説明

適応ブレーキトルク調整方法

【課題】v≠0の走行速度でも運転確実である電気制御可能駐車ブレーキを提供すること。
【解決手段】電気制御可能駐車ブレーキを作動する方法が提案され、所定最小速度を超過する走行速度では、制動された車輪のブレーキトルクが駐車ブレーキにより制動された車輪のロッキングを阻止するように減少される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、請求項1の上位概念による方法と請求項10の上位概念による駐車ブレーキとに関する。
【背景技術】
【0002】
今日の通常の自動車ブレーキ装置は、法律規定に基づいて主として三つの機能、即ち運転ブレーキ、駐車ブレーキと補助/緊急ブレーキ機能を満足する。そのために、公知のブレーキシステムは通常には二つの互いに独立したブレーキ装置を有する。運転ブレーキは最も頻繁にブレーキペダルの操作によって作動され、そして例えば自動車車輪の制動を阻止する既に多くの場合に電気液圧補助手段を有する。さらに、今日の自動車は、機械的に後軸のブレーキアクチュエータに作用するボーデンケーブルを備えるハンドブレーキレバーによって作動される別の完全に独立した駐車ブレーキ装置を有する。その際に、この駐車ブレーキ装置は走行中に機能を果たす能力があり、それで運転手段ブレーキの検出の際に自動車が停止状態にもたらされることができる。
【0003】
特許文献1から、独立した操作装置が対応するブレーキを操作するように企図される自動車用の運転と駐車のブレーキ装置が公知である。このブレーキ装置は駐車ブレーキ装置の摩擦ブレーキが作動されることができる外部エネルギーを供給された圧力生成手段を包含する。操作装置は走行動圧制御装置(ESP)の要素であるにもかかわらず、駐車ブレーキ装置のために、アンチロック機能が与えられていない。
【0004】
特許文献2からも、運転ブレーキと電気制御可能駐車ブレーキを備える自動車ブレーキシステムが知られており、調整可能な運転ブレーキ装置はABS−,ASR−とESP−機能を備えている。駐車ブレーキ装置は運転ブレーキがv≠0の走行速度における駐車ブレーキ装置の操作の際に、制御されるように設計されている。この駐車ブレーキはv≒0の走行速度で初めて作用される。この公知の電子式駐車ブレーキの際にも、駐車ブレーキ用のアンチロック機能が設けられていない。
【0005】
特許文献3から、電子式駐車ブレーキが定義された走行速度以上で制動される自動車用の駐車ブレーキ装置が知られている。自動車は駐車ブレーキのアクチュエータが作動できるときに後輪の制動によって制御されていない走行状態を達成することを阻止することよって、ロッキング(制動)が必要である。
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第19516639号明細書
【特許文献2】国際特許出願公開第99/38738号号明細書
【特許文献3】ドイツ特許出願公開第19908062号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の目的は、v≠0の走行速度でも運転確実である電気制御可能駐車ブレーキを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1による方法と請求項10による駐車ブレーキとによって解決される。
【0008】
この発明の基本思想は、アンチロック制御中に出来るだけ簡単に保持された方法により高ブレーキ作用のために有効な作業点をμースリップ曲線に見出すことである。
【0009】
この方法の目的は、動圧ブレーキにおいて車輪の制動を阻止するために高過ぎるブレーキトルクを回避することである。
【0010】
好ましくは新たな目標値を算出するために最高車輪スリップ挙動の評価は先行不安定位相(解放位相)で行われる。
【発明の効果】
【0011】
この場合に、特に先行不安定位相における最高車輪スリップに依存して、ブレーキトルク要件(ForceRequest)は次のブレーキ位相において減少される。
【0012】
この発明に基づく方法では、好ましくは車輪はそれぞれの不安定位相における最高車輪スリップによりブレーキトルク要件の高さを求めるためにABS−運転ブレーキにおける”低速選定”のそれ自体公知の原理に類似して考慮されている。
【0013】
車輪スリップ(SlipPH2max) が車輪における所定スリップ閾値(SlipThr)を超過するか否かが考慮されることが目的に適っている。これによって好ましくは次のブレーキ位相の固定力要件が減少される。この場合に使用するスリップ閾値(SlipThr)は特に1のおよそ30%ー50%である。
【0014】
新たな目標値の算出(ForceRequest)は特に次の公式に基づき行われる:
ForceRequest(n)=ForceRequest(n−1)−(ForceRequest(n−1) *SlipPH2max*Faktor1/Faktor2)
【0015】
Faktor1とFaktor2の要因は比例定数であり、その比例定数により専門家として自動車において条件に関する制御の個々の適合(駐車ブレーキの設計)が行われることができる。このFaktor1/Faktor2の比は好ましくは1より低い。特に好ましくは、比はおよそ0.4、例えばおよそ0.33より低い。
【0016】
指標nはForceRequest用の現実に算出する値を表示する。指標n−1は先行算出の際に求められた値を示す。
【0017】
特に好ましい実施態様によると、次のブレーキ位相の新たな目標値、ForceRequest(n)は、作用力要件の開始値ForceRequest(n−1)が車輪の不安定性を検出する時点の現実のブレーキトルクの現実値である形式で算出される。不安定性の時点は特に所定スリップ閾値の超過の時点の監視によって求められる。現実ブレーキトルクの値は直接に、つまりセンサーにより測定されて利用されないならば、専門家として誘導可能な物理的モデルによって対応する値を算出することが適切である。
【0018】
真空ブレーキ状態、即ち現実の摩擦計数の比における僅かなブレーキ圧を回避するために、この発明の方法により、所定時間後に、車輪が自動車基準速度の付近にあるときに、僅かなブレーキトルク勾配をもつブレーキトルクを特に段階的に増加させることは好ましい。この時間は目的に応じて、完全システムの遅延時間、電動アクター、車輪の慣性などが考慮されるように選定すべきである。これは、ブレーキトルク勾配が出来るだけ高くあるべきであるけれども、しかし、ブレーキシステムが作用力要件の変更にもはや適切に応答できないような大きさではないことを意味する。
【0019】
ブレーキトルクは好ましくは増加作用力によって或いは機械的作用装置における動いた要素の変位を測定することによって測定される。
【0020】
この発明の方法は、駆動中に作動される駐車ブレーキにおける車輪のロッキング或いは作用力の過負荷が回避できるから、有益である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
更に好ましい実施態様は、従属請求項及び図に基づく実施例の次の説明から明らかになる。
【実施例】
【0022】
図1と2の線図では、座標の上領域に延びる二本の曲線v1 とv2 は通常のABS車輪速度センサーによって測定される後輪の車輪速度を示す。図1と2における座標の下部分に延びる曲線1は、駐車ブレーキのアクチュエータにおける現実の力を示す。
【0023】
図1と2における点線2は、それぞれに現ブレーキ位相におけるブレーキトルクForceRequest(n−1)の目標値の蓄積値を示す。
【0024】
図1の範囲Aでは、まず最初にブレーキトルクの目標値は、上スリップ閾値5SlipPH2maxが車輪速度(v1 、v2 )によって超過されるまで増加する。位相B(解放位相)では、ブレーキトルクの目標値は、車輪速度が全システムのある反応時間後に再び増加するように減少される。次のブレーキ位相の目標値は、時刻tで現実に求められたブレーキトルク(曲線1)の使用によって決定される。下スリップ閾値6SlipPH1maxを下回る( 時刻 t3 )ときに、ブレーキトルクは新たな目標値ForceRequest(n)の使用によって再び増加される。
【0025】
図2では、範囲Aに示されたブレーキトルクの目標値は、40%のスリップ閾値が車輪速度(v1 、v2 )によって超過されるまで、増加する。この瞬間に、目標値ForceRequest(曲線2、時刻t2 )は明かに減少され、曲線1における現実ブレーキトルクの現実値はメモリーに記憶されている。車輪速度の上昇後に、ブレーキトルクが再増加され、新たな目標値は、前記公式に一致して先行位相(ForceRequest(n−1)のブレーキトルクと要因から算出される。
【0026】
時刻tS (点線4)においてこの方法の作用態様を更に説明するために、比較的低い摩擦値μL (例えば雪或いは氷)から高い摩擦値μH (例えば乾燥した車道)へ摩擦の急変更が導かれる。真空ブレーキを回避するために、目標値ForceRequest(n)は、再び所定最小スリップが生じるまで、段階的に増加される。
【0027】
適切に、ブレーキトルク保持位相A’における真空ブレーキを回避するために、特定時刻tU の車輪スリップが他の所定スリップ閾値を超過したか否かが監視できる。この場合ならば、目標値は前記節に記載された方法に類似して段階的に増加される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】簡単なアンチロック制御によりこの発明の方法を説明する線図を示す。
【図2】元へ戻すブレーキトルクを考慮するアンチロック制御によりこの発明により拡張された方法を説明する別の線図を示す。
【符号の説明】
【0029】
1.....曲線
2.....点線
3.....勾配
4.....点線
5.....上スリップ閾値
6.....下スリップ閾値
1 、v2 ...車輪速度
S ....時刻

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に制御可能な駐車ブレーキを作動する方法において、所定最小速度を超過する走行速度の際に、ブレーキされた車輪のブレーキトルクは、特に駐車ブレーキによりブレーキされた車輪の制動を阻止するように、減少されてることを特徴とする方法。
【請求項2】
車輪スリップは減少したブレーキトルクを求めるために監視されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
所定閾値以上の車輪スリップを検出した後にブレーキトルクが減少され、そして所定閾値以下の車輪スリップの検出後にブレーキトルクが増加されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ブレーキトルクの新たな目標値を算出するために、車輪スリップが所定値だけ走行速度(Vref )以下に位置する不安定位相(A)の最高車輪スリップが監視されていることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
駐車ブレーキによりブレーキされた車輪が監視されており、その車輪は瞬間的最高車輪スリップを有する(低速を選択する)ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
先行算出のブレーキトルクの目標値はブレーキトルクの新たな目標値を算出するように考慮されることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
スリップ閾値の超過の時点に存在する現実ブレーキトルク(2)或いは広範に現実ブレーキトルク(2)に一致する近似モデルによって誘導された量は、ブレーキトルクの新たな目標値を算出するように考慮されることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
真空ブレーキを回避するために、特定時刻tU の車輪スリップは別の所定スリップ閾値を超過しないか否かが監視されることを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
真空ブレーキの際にブレーキトルクは特に段階的に増加されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
アンチロック保護手段をもつ他の電子式運転ブレーキシステムから成る自動車の電気的に制御可能な駐車ブレーキにおいて、駐車ブレーキはアンチロック装置を包含することを特徴とするブレーキ。
【請求項11】
装置は請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法に基づき作動することを特徴とする請求項10に記載のブレーキ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−509680(P2006−509680A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−559736(P2004−559736)
【出願日】平成15年12月2日(2003.12.2)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013528
【国際公開番号】WO2004/054862
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(399023800)コンティネンタル・テーベス・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・オッフェネ・ハンデルスゲゼルシヤフト (162)
【Fターム(参考)】