遮光反射テープ及びLCDモジュール
【課題】 画像表示部端部のヒカリムラを抑制できる光吸収領域や光拡散領域を、低コストで、且つ、任意の工程にて形成可能な遮光反射テープを提供する。
【解決手段】 LCDモジュールのLCDパネルとバックライト筐体との間に貼付して使用される遮光反射テープであって、少なくとも遮光層と光反射層とを有する支持体と、前記支持体の光反射層側に設けられた粘着剤層とを有し、前記光反射層又は粘着剤層が、光又は熱により発色する発色剤を含有するか、あるいは、前記光反射層と粘着剤層との間に、光又は熱により発色する発色剤を含有する発色層を有する遮光反射テープにより、遮光反射テープ製造後の加工工程で、光又は熱により光反射層側の層が暗色に変色させることができるため、画像表示部端部のヒカリムラを抑制できる光吸収領域や光拡散領域を、低コストで、且つ、任意の工程にて形成可能である。
【解決手段】 LCDモジュールのLCDパネルとバックライト筐体との間に貼付して使用される遮光反射テープであって、少なくとも遮光層と光反射層とを有する支持体と、前記支持体の光反射層側に設けられた粘着剤層とを有し、前記光反射層又は粘着剤層が、光又は熱により発色する発色剤を含有するか、あるいは、前記光反射層と粘着剤層との間に、光又は熱により発色する発色剤を含有する発色層を有する遮光反射テープにより、遮光反射テープ製造後の加工工程で、光又は熱により光反射層側の層が暗色に変色させることができるため、画像表示部端部のヒカリムラを抑制できる光吸収領域や光拡散領域を、低コストで、且つ、任意の工程にて形成可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LCD(Liquid Crystal Display)パネルとバックライト筐体の間に貼着して使用される光反射性と遮光性を併有する粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
LCDモジュール(液晶表示装置)はワープロやパソコンを始めとする広範な分野で用いられており、特に電子手帳、携帯電話、PHS等においては益々小型化された電子機器の表示装置として用いられるようになってきた。このようなLCDモジュールの中で、例えば、サイドライト型バックライト方式のLCDモジュールは、一般に、バックライト筐体の中に反射板、導光板、拡散シート、必要に応じて使用されるプリズムシート(輝度を高める)とLCDパネルが順に積層されており、導光板の側方にランプリフレクタを設けた、LED(Light Emitting Diode)、冷陰極管等の光源が配置されている。
更に、LCDパネルとバックライト筐体の間には粘着テープ(通常額縁状に打ち抜かれ、その幅は通常約0.5mm〜約10mmである)が挟み込まれている。粘着テープは、バックライト筐体のみでなく、プリズムシートにも接し、プリズムシートの下側に設置されている拡散シート等を固定する役割や、ゴミの侵入の防止やクッション性を持たせて衝撃による上記各部品の割れを防ぐ役割も併せ有している。
【0003】
上記のようなLCDモジュールが組み込まれた電子機器においては、端末自体の軽薄短小化が求められる一方で、情報量の増加や高精細化の要求にともなって画像表示部の大画面化が求められている。このため近年のLCDモジュールは、従来のものに比して光源とLCDパネルとの位置とがより近接した構成がとられるため、粘着テープには更なる薄型化が求められる。
【0004】
また、LCDパネルとバックライト筐体の間に挟み込まれる粘着テープには高い遮光性が求められ、LCDパネルの表示面の見栄えを向上させると同時に、LCDパネルを駆動するためのドライバーへの光の進入を遮蔽し、誤作動を防止する役目も併せ持つことが要請される。さらには、バックライト筐体の周辺部に進入する光を反射し、光源からの光を効率良くLCDパネルの背面に導くための高い光反射性能も求められる。これにより薄型の携帯機器に対応でき、また省電力化が達成可能となる。
【0005】
しかし、近年のバックライトの性能向上や、粘着テープによる光反射性付与により、画像表示部の輝度が高くなる一方で、光源とLCDパネルとが近接している場合や、画像表示部分の外枠が狭い場合など、使用される態様によっては、画像表示部の端部が明るくなりすぎ、画像表示部に輝度ムラが生じる問題が生じている。
【0006】
このような問題に対し、輝度ムラを抑制できる遮光反射テープとして、光反射層の一部に、印刷等により光吸収層や光拡散層を設けた遮光反射テープが開示されている(特許文献1参照)。当該遮光反射テープは、光反射層に設けられた光吸収層等により、光の反射性を好適に制御できることが開示されている。しかし、当該構成の遮光反射テープは、粘着剤層を設ける前の工程において印刷を行う必要があり、打ち抜き加工等が行われる前に最終の製品構成を考慮した上で印刷を設けておく必要がある。従って、一旦印刷されたパターンは後に変更することができないため、各種の製品毎に当該製品構成に準じた印刷層を設けた原反を適宜製造する必要が生じ、製造コストが非常に高くなる問題があった。また、印刷されたパターンに応じて精密な打ち抜き加工が必要となるため、小型電子端末に用いるような遮光反射テープにおいては、狭小な幅に形成されたパターンを打ち抜く際には打ち抜き加工が難しく、加工ミスの発生や低速での打ち抜き加工の必要性のため収率の向上が困難であった。
【0007】
【特許文献1】特開2007−169322号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、画像表示部端部のヒカリムラを抑制できる光吸収領域や光拡散領域を、低コストで、且つ、任意の工程にて形成可能な遮光反射テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、遮光反射テープ製造後の加工工程で、光又は熱により光反射層側の層が暗色に変色するテープを検討した。その結果、粘着剤、光反射層又は、光反射層と粘着剤の間に光または熱により発色する発色剤を含有する遮光反射テープにより、上記課題を解決できることを見出した。
【0010】
すなわち本発明は、LCDモジュールのLCDパネルとバックライト筐体との間に貼付して使用される遮光反射テープであって、
少なくとも遮光層と光反射層とを有する支持体と、前記支持体の光反射層側に設けられた粘着剤層とを有し、
前記光反射層又は粘着剤層が、光又は熱により発色する発色剤を含有するか、あるいは、前記光反射層と粘着剤層との間に、光又は熱により発色する発色剤を含有する発色層を有する遮光反射テープを提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の遮光反射テープは、画像表示部端部のヒカリムラを抑制できる光吸収領域や光拡散領域を、遮光反射テープの製造工程中の任意の製造工程や、遮光反射テープの打ち抜き加工後等のいずれの工程においても適宜形成可能である。このような本発明の遮光反射テープは、製品構成に準じた印刷を有する原反を製品毎に製造する必要がなく、また、印刷にあわせた打ち抜き加工を要さないため高速で容易に打ち抜き加工が可能となるため、製造コストの大幅な削減や、製品設計の自由度の向上に大きく貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の光反射性と遮光性を併有する遮光反射テープを、その構成要素に基づいて、更に詳しく説明する。
【0013】
本発明の遮光反射テープは遮光層と光反射層とを有する支持体と、支持体の光反射層側に設けられた粘着剤層とを有し、光反射層又は粘着剤層が、光又は熱により発色する発色剤を含有するか、あるいは、光反射層と粘着剤層との間に、光又は熱により発色する発色剤を含有する発色層を有する。そのため、遮光反射テープ製造後の加工工程で、遮光反射テープの必要な部分に光又は熱を与えることで、遮光反射テープの反射面側の反射性を制御できる。その結果、LCDモジュールの固定用に使用した時、LCDモジュールの平均輝度の向上とLCDモジュールの端部のヒカリムラ抑制を安価且つ、高度に両立できる。
【0014】
[光又は熱により発色する発色剤]
光反射層、粘着剤層又は、光反射層と粘着剤の間に設けられる発色層が含有する発色剤は、光又は熱により暗色に変色するものが用いられる。そのなかでも発色剤はレーザー光により発色するレーザー発色剤が好ましい。
【0015】
(レーザーにより発色する発色剤)
本発明に使用するレーザー発色性を有する発色剤としては、レーザー光によって暗色、好ましくは黒色に変色する公知の発色剤を使用できる。当該発色剤としては、金属化合物を用いた無機粒子を主成分とする発色剤や、ロイコ染料等の発色成分とフェノールメチロール化合物等の顕色剤とを含有し、感熱によって黒色発色する反応系の発色剤などが例示でき、レーザー光に対して感度が高く、経時的な発色の安定性を有する発色剤として、金属化合物を用いた無機粒子を主成分とする発色剤を好ましく使用できる。中でも銅、モリブデン等の金属複合酸化物を用いた発色剤粒子や、キレート形成が可能な金属化合物を含有する無機粒子表面に、レーザー照射時の熱刺激によって黒色発色性が良好なアミノ基を有する炭化水素化合物を配位させた発色剤粒子を好適に使用できる。
【0016】
キレート形成能がある金属としては、銅、モリブデン、マンガン、鉄、マグネシウム、ニッケル等の金属種が好ましく、アミノ基への配位性が高い金属酸化物、水酸化物、アルコキシド等の金属化合物がとくに好ましい。金属化合物は単体もしくは二種の金属化合物を用いても良い。金属化合物を含有する無機粒子に使用する無機粒子としては、シリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、アルミナ等が好ましく、オーバーラミネート用粘着剤として使用するため、できうる限り着色しないシリカ、酸化チタン、アルミナの粒子がとくに好ましい。アミノ基を有する炭化水素化合物は、第一級アミン、第二級アミンが用いられる。
【0017】
発色剤を有する層には、老化防止剤を添加することが好ましい。老化防止剤としては特にヒンダードアミン系のものが好ましい。
【0018】
[支持体]
本発明の遮光反射テープに使用する支持体は、少なくとも遮光層、光反射層を有する。これら各層の構成は、支持体の一方の面が遮光性を有し、他方の面が光反射性を有するものであれば特段制限されるものではない。
【0019】
(基材層)
本発明の遮光反射テープにおいては、遮光性又は光反射性の樹脂フィルムで形成することにより、遮光層又は光反射層と、基材層とを兼備する構成であっても、遮光層や光反射層とは別の層を基材層として設けてもよい。遮光層や光反射層と、基材層とを共通の層とする場合には、遮光反射テープの薄型化に貢献しやすく、一方、遮光層や光反射層と、基材層とを別の層として構成する場合には、遮光性や光反射性の向上や制御を行いやすいため好ましい。
【0020】
当該基材層としては、粘着シートに使用される公知慣用の樹脂フィルム等を用いることができ、例えば、セロファン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリエステル等が挙げられる。なかでも、ポリエステルは、強度や絶縁性に優れるため好ましく使用できる。樹脂フィルムは光反射性や遮光性を付与するため、白色、銀色、黒色、グレー等の有色に着色されていても良い。また樹脂フィルムの中には公知の各種添加剤、たとえば、酸化防止剤、帯電防止剤などが添加されていても良い。
【0021】
基材層が透明樹脂フィルムからなる場合には、基材層の一方の面に遮光層と光反射層とを積層しても、基材層の一方の面に遮光層を積層し、他方の面に光反射層を積層しても良いため、透明樹脂フィルムであると構成の設計が容易となるため好ましい。一方で、基材層が着色されている場合には、遮光性の向上や光反射性の制御等を行い易くなるため好ましい。
【0022】
基材層の厚みとしては、3〜100μmが好ましい。厚みが3μm以上の場合は、剥離時にフィルムのキレが発生しにくく、100μm以下の場合は、局面貼付時にハガレが発生しにくい。さらに好ましくは、12〜50μmである。
【0023】
(遮光層)
遮光層は、LCDモジュールの光源からの光を遮光する機能を有していれば、黒や銀以外の、例えば、紫色や紺色等の暗色であっても良く、又、如何なる構造であっても良い。以下に本発明の粘着テープにおける、遮光層として好ましい例を記載する。
【0024】
遮光層として黒色インキ層を使用する場合は、カーボンブラック等を顔料とする黒色インキが使用できる。黒色インキ層の厚みは0.5〜5μmが好ましい。黒色インキ層は単層でも良いが、ピンホールの防止の点から2〜4層に積層するのが好ましい。
【0025】
黒色インキの組成としては、例えば、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステルウレタン樹脂が挙げられる。そのなかでも周波数1Hzでの動的粘弾性スペクトルで測定されるtanδのピーク温度が−30〜30℃のポリエステルウレタン樹脂であることが好ましい。
【0026】
ポリエステルウレタン樹脂のtanδのピーク温度は次の方法で測定される。バーコーターにてポリエステルウレタン樹脂を厚さ50μmに製膜する。次に試料長さ20mmにカットした試験片(試料長20mm、膜厚50μ)を粘弾性試験機を用いて、周波数1Hz、昇温時間3℃/1分の条件で−150℃から250℃までの貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)を測定する。損失正接tanδは、以下の計算式より算出する。
損失正接tanδ=G”/G’
粘弾性試験機としては例えば、セイコーインスツル社製DMS210、DMS220、DMS6100等があげられる。
【0027】
インキの印刷方式としては、公知慣用の方式で印刷できる。例えば、凸版印刷、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等が採用できる。その中でも、グラビア印刷が重ねてコートするのに適している。
インキコートするフィルム面は、公知慣用の易接着処理を施すのが好ましい。その中でもコロナ処理・プラズマ処理・プライマー処理から選ばれる易接着処理が好ましい。
【0028】
(光反射層)
光反射層は、特に限定されるものではないが、反射率が60%以上であることが好ましく、より好ましく80%以上、最も好ましくは90%以上である。反射率が高いほど、輝度の向上効果が高い。そのような反射性を持つ材料としては、銀やアルミ等の金属を蒸着した樹脂フィルム、白色樹脂フィルム、樹脂フィルムに白色或いは銀色の着色剤を含有するインキからなる白色インキ層や銀色インキ層を積層したフィルム、3M社製ESR等の薄いフィルムの積層体等が挙げられる。なかでも、光反射性の制御が容易であることから、白色インキ層からなる光反射層を好適に使用できる。市販されている光反射フィルムとしては、麗光社製37W01、3M社製ESR、東レ製E#38、三菱化学ポリエステルフィルム製W400#38、帝人デュポン製テフレックスFW2#13等が厚みが薄く、反射性が高いため好ましい。
【0029】
光反射層が基材層と共通した構成を有し、光反射層と遮光層との間に基材層が無い構成の場合には、光反射層と遮光層の間には、反射性を高めるために、白色樹脂コートや銀色樹脂コートや金属蒸着層を設けることが好ましい。
【0030】
光反射層として、白色インキ層を使用する場合には、白色インキの組成としては、例えば、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステルウレタン樹脂が挙げられる。そのなかでも周波数1Hzでの動的粘弾性スペクトルで測定されるtanδのピーク温度が−30〜30℃のポリエステルウレタン樹脂であることが好ましい。
【0031】
樹脂フィルムへの白色インキ層の積層は公知慣用の印刷方式により印刷する方法が容易であるため好ましい。例えば、凸版印刷、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等が採用できる。その中でも、グラビア印刷が重ねてコートするのに適している。
【0032】
インキコートする樹脂フィルムの表面は、公知慣用の易接着処理を施すのが好ましい。その中でもコロナ処理・プラズマ処理・プライマー処理から選ばれる易接着処理が好ましい。
【0033】
光反射層に上記発色剤を含有させる場合には、光反射層を白色インキにより形成することが好ましい。発色剤の含有量は、使用する発色剤の種類や発色させる程度により適宜調整すれば良いが、白色インキの固形分100質量部に対し、10〜60質量部の含有量とすることが好ましい。より好ましくは20〜50質量部である。上記範囲であると、発色性と耐黄変性を高度に両立しやすい。
【0034】
(発色層)
本発明においては、光反射層と粘着剤層との間に、光又は熱により発色する発色剤の含有する発色層を設けても良い。製造工程の簡素化には光反射層や粘着剤層中に発色剤を含有させることが好ましいが、色の鮮明性・持続性の点からは、反射層と粘着剤層との間に別途発色層を設けることが好ましい。
【0035】
当該発色層としては、光反射層の光反射性能や粘着剤層の透明性、光反射層や粘着剤層との密着性等を確保できるものであれば特段制限されないが、製造が容易であり、遮光反射テープの機能を制御しやすいことから、上記発色剤を含有する透明インキからなる層であることが好ましい。
【0036】
発色層として、透明インキを使用する場合には、例えば、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステルウレタン樹脂が挙げられる。そのなかでも周波数1Hzでの動的粘弾性スペクトルで測定されるtanδのピーク温度が−30〜30℃のポリエステルウレタン樹脂であることが好ましい。
【0037】
[粘着剤層]
本発明に使用する粘着剤層は、樹脂フィルムや遮光層と良好な粘着性を有するものを使用でき、公知のアクリル系、ゴム系、シリコン系の粘着樹脂を使用することができる。そのなかでも、反復単位として炭素数2〜14のアルキル基を有するアクリル酸エステルに由来する反復単位を含有するアクリル系共重合体が、耐光性・耐熱性の点から好ましい。
【0038】
アクリル系共重合体としては、例えば、n−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、エチルアクリレート等に由来する反復単位を含むアクリル系共重合体があげられる。これらの中でも、ハロゲン含有量が0.3質量%以下のものが好ましく、0.1質量%以下のものがより好ましく、ハロゲンを実質的に含有しないものが特に好ましい。そのなかでも反復単位として、n−ブチルアクリレート単位が50質量%以上含むものがポリエステルウレタン系樹脂を使用したインキ層との密着性に優れ、より好ましくは90質量%以上含むものが密着性に優れる。
【0039】
さらに反復単位として、側鎖に水酸基、カルボキシル基、アミノ基などの極性基を有するアクリル酸エステルやその他のビニル系単量体に由来する反復単位を0.1〜15質量%の範囲で含有するのが好ましい。また、アクリル酸単位を2〜10質量%の範囲で含有するのが、ポリエステルウレタン系樹脂を使用したインキ層との密着性に優れ好ましい。
【0040】
アクリル系共重合体は、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、紫外線照射法、電子線照射法によって共重合させることにより得ることができる。アクリル系共重合体の平均質量分子量は塗工性と粘着物性を両立するため、40万〜140万が好ましく、更に好ましくは、60万〜120万である。前記平均質量分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算である。測定条件として、カラムはTSKgel GMHXL[東ソー製]を用い、カラム温度40℃、溶離液はテトラヒドロフラン、流量は1.0mL/分とし、標準ポリスチレンはTSK標準ポリスチレンを用いる。
【0041】
さらに粘着剤の凝集力をあげるために、架橋剤を添加するのが好ましい。架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、キレート系架橋剤等があげられる。特に粘着剤層を設ける場合は、イソシアネート系架橋剤またはエポキシ系架橋剤を使用するのが好ましい。架橋剤の添加量としては、粘着剤層のゲル分率が25〜80%になるよう調整するのが好ましい。さらに好ましいゲル分率は、30〜70%である。そのなかでも35〜60%が最も好ましい。ゲル分率が25%以上であると粘着剤が適度な凝集力をもつため、リワークした際に糊残りが生じにくい。一方、ゲル分率が80%以下であると粘着剤が硬くなりすぎず、接着力が良好である。接着性が低下する。ゲル分率は、養生後の粘着剤層の組成物をトルエン中に浸漬し、24時間放置後に残った不溶分の乾燥後の質量を測定し、元の質量に対する百分率で表す。
【0042】
さらに粘着剤層の粘着力を向上させるため、粘着付与樹脂を添加しても良い。本発明の粘着テープの粘着剤層に添加する粘着付与樹脂は、ロジンやロジンのエステル化物等のロジン系樹脂;ジテルペン重合体やα−ピネン−フェノール共重合体等のテルペン系樹脂;脂肪族系(C5系)や芳香族系(C9)等の石油樹脂;その他、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。また、前記アクリル共重合体以外のアクリル樹脂を粘着付与樹脂として添加しても良い。
【0043】
粘着付与樹脂の添加量としては、粘着剤樹脂がアクリル系共重合体である場合は、アクリル系共重合体100質量部に対して10〜60質量部を添加するのが好ましい。接着性を重視する場合は、20〜50質量部を添加するのが最も好ましい。また、粘着剤樹脂がゴム系の樹脂である場合は、ゴム系の樹脂100質量部に対して、粘着付与樹脂を80〜150質量部添加するのが好ましい。なお、一般的に粘着剤樹脂がシリコン系樹脂である場合は、粘着付与樹脂を添加しない。
【0044】
また、必要に応じて、カーボンブラック等の黒色着色剤や、他の公知慣用の添加剤を添加することができる。他の添加剤としては、例えば、可塑剤、軟化剤、充填剤、顔料、難燃剤等が例示できる。
【0045】
粘着剤層の周波数1Hzでの動的粘弾性スペクトルの損失正接は、85℃下で0.5〜0.70であることが好ましい。さらに好ましくは0.55〜0.65である。0.5未満であると、粘着剤が硬くなりすぎ、初期の密着性と耐反発性が低下する。一方、0.70を越えると、粘着剤が柔らかくなりすぎ、高温で粘着剤が伸びてハガレが発生しやすい。
【0046】
本発明における粘着剤層の動的粘弾性は、粘弾性試験機(レオメトリックス社製、商品名:アレス2KSTD)を用いて、同試験機の測定部である平行円盤の間に試験片を挟み込み、周波数1Hzでの貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)を測定し、損失正接はtanδ=(G”)/(G’)で表される式により算出される。試験片は厚み0.5〜2.5mmの粘着剤を単独で平行円盤の間に挟んでも良いが、基材と粘着剤の積層体を幾重にも重ねて平行円盤の間に挟んでも良い。なお、後者の場合は粘着剤のみの厚さが前記の範囲となるように調整する。粘着剤としての厚さを上記の範囲に調整すると、中間に基材が挟まっていても基材のない場合と同様に粘着剤の動的粘弾性スペクトルを測定できる。
【0047】
粘着剤層の厚みは、5〜50μmが好ましく、さらに好ましくは、10〜30μmである。5μm以上であれば、充分な接着性を得ることができ、また、50μm以下とすることで軽薄短小化の進む表示装置等に好適に適用できる。
【0048】
粘着剤層に上記発色剤を含有させる場合の発色剤の含有量は、使用する発色剤の種類や発色させる程度により適宜調整すれば良いが、粘着剤組成物の固形分100質量部に対し、10〜40質量部の含有量とすることが好ましい。
【0049】
[遮光反射テープ]
本発明の遮光反射テープは上記のように、光反射層又は粘着剤層が光又は熱により発色する発色剤を含有するか、あるいは、光反射層と粘着剤層との間に、光又は熱により発色する発色剤を含有する発色層を有するため、遮光反射テープ製造後の加工工程で、遮光反射テープの必要な部分に光又は熱を与えることで、遮光反射テープの反射面側の反射性を制御できる。その結果、LCDパネルとバックライト筐体との間に貼付して使用された場合に、LCDモジュールの平均輝度の向上とLCDモジュールの端部のヒカリムラ抑制を安価且つ、高度に両立できる
【0050】
本発明の遮光反射テープの厚みは20〜100μmであることが好ましい。さらに好ましくは、30〜75μmであり、中でも、40〜65μmであることが特に好ましい。
【0051】
本発明の遮光反射テープをLCDモジュールのLCDパネルとバックライト筐体との間に貼付して適用する際には、通常、光反射層側をバックライト筐体に、遮光層側をLCDパネルに貼り付ける。このような態様においては、光反射層側に設けられた粘着剤層のバックライト筐体に対する接着力と、遮光層側に設けられた粘着剤層のLCDパネルに対する接着力との比の好適な範囲としては、10:1〜10:9が好ましく、さらに好ましくは10:2〜10:8である。なかでも、10:3〜10:7が最も好ましい。
【0052】
また、光反射層側に設けられた粘着剤層のバックライト筐体に対する接着力は、10N/10mm未満であることが好ましく、3〜9N/10mmであることがより好ましい。中でも4〜8N/10mmであることが特により好ましい。
【0053】
(本発明の遮光反射テープの構成)
本発明の遮光反射テープの具体的な実施形態について、貼付図面を例示して説明する。
【0054】
図1は、光反射層1と遮光層2を積層した支持体3の遮光層2側に粘着剤層4が積層されている実施形態である。当該構成においては、光反射層1に発色剤が含有される。図2は、光反射層1と遮光層2を積層した支持体3の光反射層1側に粘着剤層4が積層されている実施形態である。当該構成においては、光反射層1又は粘着剤層4のいずれに発色剤が含有されていてもよい。また、図3は、光反射層1と遮光層2を積層した支持体3の両面に粘着剤層4を設けた本発明の遮光反射テープの一例を示す実施形態である。当該構成においては、光反射層1又は光反射層1に積層された粘着剤層4の少なくとも一方に発色剤が含有されていればよい。本発明の遮光反射テープは、図1、及び図2のような片面遮光反射テープ、あるいは図3のような両面遮光反射テープの形態を採ることができる。なお、粘着剤層4は単層の粘着剤の層であっても良いが、両面テープのような複数の粘着剤の層及びシートからなる多層の材料であっても良い。
【0055】
図4は透明樹脂フィルムからなる透明基材層5の一方の面に、白色インキ等による光反射層1と黒色インキ等による遮光層2をこの順に設けた支持体の両面に、粘着剤層4を設けた遮光反射粘着テープである。当該構成においては、光反射層1又は透明基材層5に積層された粘着剤層4の少なくとも一方に発色剤が含有されていてもよい。図5は透明樹脂フィルムからなる透明基材層5の一方の面に、白色インキ等による光反射層1を設け、他方の面に黒色インキ等による遮光層2を設けた支持体の両面に、粘着剤層を設けた遮光反射粘着テープである。当該構成においては、光反射層1又は光反射層1に積層された粘着剤層4の少なくとも一方に発色剤が含有されていればよい。
【0056】
発色剤を含有する発色層を有する構成として、図6〜8に示した実施形態を例示できる。図6は、図3に示した構成における光反射層1と粘着剤層4の間に発色剤層6を有する実施形態である。図7は、図4に示した構成において光反射層1と粘着剤層4との間に、透明基材層5に積層させる構成で発色剤層6を設けた実施形態である。図8は、図5に示した構成における光反射層1と粘着剤層4との間に発色剤層6を有する実施形態である。
【0057】
本発明の遮光反射テープは、図3〜8で例示されているような両面に粘着剤層を有する遮光反射テープであることが好ましい。両面粘着型のテープの場合、LCDパネルがバックライト筐体から脱離するのを防ぐための部品を用いなくてもLCDパネルをバックライト筐体に固定することができる。
【0058】
(発色の方法)
本発明の遮光反射テープはテープ製造後の加工工程で反射面側に部分的に光や熱を加えることで、光反射性を制御できる。発色の位置・範囲・濃度はLCDモジュールのモデルに応じて個別に調整することができる。
【0059】
発色の方法は特に限定されるものではないが、発色の位置・範囲・濃度を精密にできるレーザー光によるが好ましい。レーザー光は、ルビーレーザーやYAGレーザー等の固体レーザー、炭酸ガスレーザーやヘリウムネオンガスレーザー等のガスレーザー等が挙げられる。イッテルビウム添加のファイバ内でレーザー増幅するFAYb方式でも良い。なかでも、発熱量が少なく粘着剤への影響が少ないYAGレーザー光の波長1064nmが最も好ましい。レーザーは遮光層のダメージを避けるため、弱い出力で2回以上に分けて照射することが好ましい。またレーザーを粘着テープに照射する際、剥離フィルムのウキを防止するため、剥離フィルムを剥がして直接粘着面に照射することが好ましい。
【0060】
本発明の遮光反射テープが、LCDモジュールにおいて、額縁状に打ち抜かれた形状にて使用される場合には、その目的に合わせて次のようなパターンで発色させることが好ましい。例えば、LED側以外の三辺のヒカリムラが問題となる場合には、図9のようにLED側以外の三辺を暗色に発色させることが好ましい。また、LED近傍のヒカリムラがある場合は、光源位置8の周辺部に発色部7を形成することで輝度ムラの抑制効果が高いため、図10のようにLEDの光源位置8と画像表示部の間に、発色部7により島状のパターンを形成したり、図11のように光源位置8と画像表示部の間に、発色部7によりライン状のパターンを形成することが好ましい。
【0061】
(LCDモジュールでの使用方法)
本発明の光反射性と遮光性を併有する遮光反射テープは、LCDパネル17とバックライト筐体16の間に額縁状に打ち抜かれて挟み込まれた態様を好ましい態様として例示できる。図12で示される「遮光反射テープ10」の位置に貼られる。当該形態で適用される本発明の遮光性粘着テープは、LCDパネル17とバックライト筐体16の間に額縁状に打ち抜かれて挟み込まれた態様を好ましい態様として例示できる。その際、本発明の遮光反射テープの遮光層2はLCDパネル17の方向になるように、又光反射層1は光源13の方向になるようにバックライト筐体16及びプリズムシート11に接するように貼着する。その際、本発明の遮光反射テープが両面遮光反射テープである場合は、LCDパネル17及びバックライト筐体16に貼着する。また、片面の遮光反射テープである場合は、LCDパネル17又はバックライト筐体16に貼着する。なお、本発明の遮光反射テープが片面の遮光反射テープである場合は、LCDパネルは、押さえ具等の部品によりバックライト筐体16に固定される。本発明の遮光反射テープは、光反射性及び遮光性にも優れているため、光源13の光を有効にLCDパネル17側に反射させることができると共に、駆動するドライバー9への光の進入を防止することができる。
【実施例】
【0062】
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、以下に表示する部は、質量部である。
【0063】
[ポリエステルウレタンの製造例]
(ポリエステルウレタン樹脂A)
攪拌機,温度計,還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四つロフラスコにアジピン酸/テレフタル酸=50/50なる酸成分と3一メチル‐1,5ペンタンジオールから得られる数平均分子量(以下Mnという)2,000のポリエステルジオール256.3部とイソホロンジイソシアネート36.5部を仕込み、窒素気流下に90℃で15時間反応させた。次いでイソホロンジアミン5.0部、ジ‐n‐ブチルアミン2.2部、トルエン175部、メチルエチルケトン350部、イソプロピレンアルコール175部を添加し、攪枠下に40℃で3時間反応させ、樹脂固形分濃度30.0%、ガードナー粘度U−V(25℃)、アミン価=0、質量平均分子量(以下Mwという)67,000のポリエステルウレタン樹脂Aを得た。得られた樹脂のtanδのピーク温度は−8℃であった。
【0064】
[黒色インキの製造例1]
デグサ社製「カーボンデグサスペシャル4A」を4部、デグサ社製「カーボンスペシャル250P」6部、ポリエステルウレタン樹脂A(tanδピーク温度=−8℃)を40部、メチルエチルケトンを23部、トルエンを13部、酢酸エチルを6部、N−プロピルアセテートを3部、イソプロピルアルコール3部を添加し、サンドミルで約1時間湿式分散した物に、DIC社製硬化剤「KR90」(ヘキサメチレンジジイソシアネートのビウレット体)を4部、DIC社製希釈剤「ダイレジューサーV No.20」を35部添加して黒色インキBを作成した。なお、樹脂は固形分比を表す。
【0065】
[白色インキの製造例1]
石原産業社製「R830」を25部、ポリエステルウレタン樹脂A(tanδピーク温度=−8℃)を40部、メチルエチルケトンを23部、トルエンを13部、酢酸エチルを6部、N−プロピルアセテートを3部、イソプロピルアルコール3部を添加し、サンドミルで約1時間湿式分散した物に、DIC社製硬化剤「KR90」(ヘキサメチレンジジイソシアネートのビウレット体)を4部、DIC社製希釈剤「ダイレジューサーV No.20」を35部添加して白色インキWを作成した。なお、樹脂は固形分比を表す。
【0066】
(レーザー発色剤A)
酸化銅(II)24部、三酸化モリブデン(VI)29部(ともに和光純薬社製)、シリカ粒子(富士サイシリア社製)100部を混合し、小型粉砕機にて乾式混合した。混合粉体を電気炉にて700℃の温度にて焼成した。焼成粉体を乳鉢にて解粉し、レーザー発色剤Aを得た。
【0067】
(レーザー発色剤Aを含有するインキA)
レーザー発色剤Aを25部、ポリエステルウレタン樹脂A(tanδピーク温度=−8℃)を40部、メチルエチルケトンを23部、トルエンを13部、酢酸エチルを6部、N−プロピルアセテートを3部、イソプロピルアルコール3部を添加し、サンドミルで約1時間湿式分散した物に、DIC社製硬化剤「KR90」(ヘキサメチレンジジイソシアネートのビウレット体)を4部、DIC社製希釈剤「ダイレジューサーV No.20」を35部添加してレーザー発色剤Aを含有するインキAを作成した。なお、樹脂は固形分比を表す。
【0068】
(基材の作製)
東レ社製白色ポリエステルフィルム「E20#38」の両面を濡れ張力が50dyne/cmとなるようにコロナ処理し、一方の面に白色インキWを乾燥厚みが2μmになるよう2回グラビアコートした。更に白インキの上に黒色インキBを乾燥厚みが4μmになるよう2回グラビアコートした。
さらに40℃で2日間養生し、インキコートフィルム(a)を得た。
【0069】
インキコートフィルム(a)のポリエステルフィルム面にレーザー発色剤Aを含有するインキAを乾燥厚みが2μmとなるよう1回グラビアコートした。さらに40℃で2日間養生し、インキコートフィルム(b)を得た。
【0070】
(アクリル系共重合体1の調製)
冷却管、攪拌機、温度計、滴下漏斗を備えた反応容器にn−ブチルアクリレート93.4部、アクリル酸3.5部、β−ヒドロキシーエチルアクリレート0.1部と、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.2部とを酢酸エチル100部に溶解し、窒素置換後、80℃で8時間重合して質量平均分子量80万のアクリル系共重合体1を得た。
【0071】
(アクリル系粘着剤組成物1の調製)
上記アクリル系共重合体1を100部、荒川化学社製「スーパーエステルA100」を10部、及び荒川化学社製「ペンセルD135」を10部をトルエンで希釈し、固形分40%のアクリル系粘着剤組成物1を得た。
【0072】
(実施例1)
(両面テープの作製)
アクリル系粘着剤組成物1に、レーザー発色剤Aを10部配合し、日本ポリウレタン工業社製「コロネートL−45」(イソシアネート系架橋剤)を1.5部配合し、充分に撹拌した後、離型処理した厚さ75μmのポリエステルフィルム上に、乾燥後の厚さが20μmとなるよう塗工して、100℃で2分間乾燥して粘着剤層を得た。これをインキコートフィルム(a)の白面に転写する。次に、アクリル系粘着剤組成物1に、日本ポリウレタン工業社製「コロネートL−45」(イソシアネート系架橋剤)を1.5部配合し、充分に撹拌した後、離型処理した厚さ75μmのポリエステルフィルム上に、乾燥後の厚さが20μmとなるよう塗工して、100℃で2分間乾燥して粘着剤層を得た。この粘着剤層を黒面側に80℃の熱ロールで4kgf/cmの圧力でラミネートし、さらに、40℃で2日間養生して、両面テープを得た。
【0073】
(実施例2)
アクリル系粘着剤組成物1に、日本ポリウレタン工業社製「コロネートL−45」(イソシアネート系架橋剤)を1.5部配合し、充分に撹拌した後、離型処理した厚さ75μmのポリエステルフィルム上に、乾燥後の厚さが20μmとなるよう塗工して、100℃で2分間乾燥して粘着剤層を得た。これをインキコートフィルム(b)の両面に転写し、80℃の熱ロールで4kgf/cmの圧力でラミネートし、さらに、40℃で2日間養生して、両面テープを得た。
【0074】
(比較例1)
インキコートフィルム(b)の代わりにインキコートフィルム(a)を用いた以外は、実施例2と同様にして両面テープを得た。
【0075】
実施例、比較例で作成した両面テープについて、以下に示す方法により、全光線透過率、全反射率、接着力、テープ厚み、平均輝度、ヒカリムラ、を評価した。評価結果は、表1、2に記載した。
【0076】
(全光線透過率、全反射率)
村上色彩技術研究所製HR−100を用い、全光線透過率、全反射率を測定した。尚、光源はD65光源を使用し、全反射率はブランクとレーザー照射後の値を測定した。
尚、レーザーはFAYb方式レーザー「LPV−10U」(SUNX社製)を用いて、両面テープの反射面側に、剥離フィルムを剥がして、波長1064nm、平均出力3.6Wのパルス発振レーザー光を照射した。
【0077】
(接着力)
接着力はJIS−Z0237(2000)の180度引き剥がし接着力の試験方法に従って下記の手順により求めた。
SUS板にポリエステルフィルム25μmで裏打ちした20mm幅の実施例及び比較例の遮光反射テープを、環境温度23℃、湿度50%の条件下において、2kgのローラーで1往復加圧貼付し1時間放置後、テンシロン万能引張試験機(オリエンテック製、RTA100)を用い、同一の温度湿度条件下で300mm/minの速度で引っ張って、180度引き剥がし接着力S20を測定した。
【0078】
(テープ厚み)
厚み計で、両面テープの厚みを測定した。厚みが100μm以下の場合を適合とした。
【0079】
(平均輝度)
1)実施例、比較例の両面テープの所定の位置に、FAYb方式レーザー「LPV−10U」(SUNX社製)を用いて、両面テープの反射面側に、剥離フィルムを剥がして、波長1064nm、平均出力3.6Wのパルス発振レーザー光を照射した。さらに打ち抜き加工を行い、図7のような額縁状のテープ加工品を作成した。
2)次に平均輝度6232cd/m2のLEDバックライト(Minebea(株)製、2.2インチ携帯電話用バックライト(LED;日亜化学製NSSW020A 4灯、プリズムシート;Downward Prism)を装着したLCDモジュールのバックライト筐体に、上記テープ加工品の反射面がバックライト筐体側になるよう接着した。
3)(株)アイ・システム製輝度計「アイスケール3」で、画面を9分割し、各中央位置の輝度を測定した。駆動条件はIf=15mAとした。測定環境は室温23℃、湿度50%とした。平均輝度は9点の平均値とした。
平均輝度が6400cd/m2を越えるものを良好であると判断した。
【0080】
(端部のヒカリムラ)
上記バックライトを見て、遮光反射テープのLED側以外の3辺にヒカリムラの有無を目視にて判断した。尚、LED側は実際の携帯電話に組み込んだ際、目立たないため無視した。
○:ヒカリムラがない
×:ヒカリムラがある
【0081】
【表1】
【0082】
表1に示した結果から明らかなように、実施例の遮光反射テープは、バックライトモジュールに組み込んだ時、部分的にレーザーで反射率を制御しているので、端部のヒカリムラがなく、且つ高い平均輝度を示した。しかも両面テープ作成後の加工時にレーザーで反射率を制御しているので、製品設計の自由度が極めて高い。一方、比較例1のテープは平均輝度が高いが、端部のヒカリムラがある。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】光反射層1と遮光層2を積層した支持体3の遮光層2側に粘着剤層4を設けた本発明の粘着テープの一例を示す断面図である。
【図2】光反射層1と遮光層2を積層した支持体3の光反射層1側に粘着剤層4を設けた本発明の粘着テープの一例を示す断面図である。
【図3】光反射層1と遮光層2を積層した支持体3の両面に粘着剤層4を設けた本発明の粘着テープの一例を示す断面図である。
【図4】透明樹脂フィルムからなる透明基材層5の一方の面に、光反射層1と遮光層2をこの順に設けた支持体3の両面に、粘着剤層4を設けた本発明の粘着テープの一例を示す断面図である。
【図5】透明樹脂フィルムからなる透明基材層5の一方の面に、光反射層1を設け、他方の面に遮光層2を設けた支持体3の両面に、粘着剤層4を設けた本発明の粘着テープの一例を示す断面図である。
【図6】光反射層1と遮光層2を積層した支持体3の両面に粘着剤層4を設け、光反射層1と粘着剤層4の間に発色剤層6を設けた本発明の粘着テープの一例を示す断面図である。
【図7】透明樹脂フィルムからなる透明基材層5の一方の面に、光反射層1と遮光層2をこの順に設けた支持体3の両面に、粘着剤層4を設け、光反射層1と粘着剤層4との間に、透明基材層5に積層させる構成で発色剤層6を設けた本発明の粘着テープの一例を示す断面図である。
【図8】透明樹脂フィルムからなる透明基材層5の一方の面に、光反射層1を設け、他方の面に遮光層2を設けた支持体3の両面に粘着剤層4を設け、光反射層1と粘着剤層4との間に発色剤層6を設けた本発明の粘着テープの一例を示す断面図である。
【図9】画像表示部を額縁状に打ち抜き、光源側以外の三辺を暗色に発色させた遮光反射テープの一例を示す図である。
【図10】画像表示部を額縁状に打ち抜き、光源位置と画像表示部の間に島状に暗色に発色させたパターンを形成した遮光反射テープの一例を示す図である。
【図11】画像表示部を額縁状に打ち抜き、光源位置と画像表示部の間にライン状に暗色に発色させたパターンを形成した遮光反射テープの一例を示す図である。
【図12】遮光反射テープ10を使用してLCDパネル17等の各部品をバックライト筐体16に固定したLCDモジュールの断面図である。
【符号の説明】
【0084】
1:光反射層
2:遮光層
3:支持体
4:粘着層
5:透明基材層
6:発色層
7:発色部
8:光源位置
9:ドライバー
10:遮光反射テープ
11:プリズムシート
12:拡散シート
13:光源
14:導光板
15:反射板
16:バックライト筐体
17:LCDパネル
100:LCDモジュール
【技術分野】
【0001】
本発明は、LCD(Liquid Crystal Display)パネルとバックライト筐体の間に貼着して使用される光反射性と遮光性を併有する粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
LCDモジュール(液晶表示装置)はワープロやパソコンを始めとする広範な分野で用いられており、特に電子手帳、携帯電話、PHS等においては益々小型化された電子機器の表示装置として用いられるようになってきた。このようなLCDモジュールの中で、例えば、サイドライト型バックライト方式のLCDモジュールは、一般に、バックライト筐体の中に反射板、導光板、拡散シート、必要に応じて使用されるプリズムシート(輝度を高める)とLCDパネルが順に積層されており、導光板の側方にランプリフレクタを設けた、LED(Light Emitting Diode)、冷陰極管等の光源が配置されている。
更に、LCDパネルとバックライト筐体の間には粘着テープ(通常額縁状に打ち抜かれ、その幅は通常約0.5mm〜約10mmである)が挟み込まれている。粘着テープは、バックライト筐体のみでなく、プリズムシートにも接し、プリズムシートの下側に設置されている拡散シート等を固定する役割や、ゴミの侵入の防止やクッション性を持たせて衝撃による上記各部品の割れを防ぐ役割も併せ有している。
【0003】
上記のようなLCDモジュールが組み込まれた電子機器においては、端末自体の軽薄短小化が求められる一方で、情報量の増加や高精細化の要求にともなって画像表示部の大画面化が求められている。このため近年のLCDモジュールは、従来のものに比して光源とLCDパネルとの位置とがより近接した構成がとられるため、粘着テープには更なる薄型化が求められる。
【0004】
また、LCDパネルとバックライト筐体の間に挟み込まれる粘着テープには高い遮光性が求められ、LCDパネルの表示面の見栄えを向上させると同時に、LCDパネルを駆動するためのドライバーへの光の進入を遮蔽し、誤作動を防止する役目も併せ持つことが要請される。さらには、バックライト筐体の周辺部に進入する光を反射し、光源からの光を効率良くLCDパネルの背面に導くための高い光反射性能も求められる。これにより薄型の携帯機器に対応でき、また省電力化が達成可能となる。
【0005】
しかし、近年のバックライトの性能向上や、粘着テープによる光反射性付与により、画像表示部の輝度が高くなる一方で、光源とLCDパネルとが近接している場合や、画像表示部分の外枠が狭い場合など、使用される態様によっては、画像表示部の端部が明るくなりすぎ、画像表示部に輝度ムラが生じる問題が生じている。
【0006】
このような問題に対し、輝度ムラを抑制できる遮光反射テープとして、光反射層の一部に、印刷等により光吸収層や光拡散層を設けた遮光反射テープが開示されている(特許文献1参照)。当該遮光反射テープは、光反射層に設けられた光吸収層等により、光の反射性を好適に制御できることが開示されている。しかし、当該構成の遮光反射テープは、粘着剤層を設ける前の工程において印刷を行う必要があり、打ち抜き加工等が行われる前に最終の製品構成を考慮した上で印刷を設けておく必要がある。従って、一旦印刷されたパターンは後に変更することができないため、各種の製品毎に当該製品構成に準じた印刷層を設けた原反を適宜製造する必要が生じ、製造コストが非常に高くなる問題があった。また、印刷されたパターンに応じて精密な打ち抜き加工が必要となるため、小型電子端末に用いるような遮光反射テープにおいては、狭小な幅に形成されたパターンを打ち抜く際には打ち抜き加工が難しく、加工ミスの発生や低速での打ち抜き加工の必要性のため収率の向上が困難であった。
【0007】
【特許文献1】特開2007−169322号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、画像表示部端部のヒカリムラを抑制できる光吸収領域や光拡散領域を、低コストで、且つ、任意の工程にて形成可能な遮光反射テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、遮光反射テープ製造後の加工工程で、光又は熱により光反射層側の層が暗色に変色するテープを検討した。その結果、粘着剤、光反射層又は、光反射層と粘着剤の間に光または熱により発色する発色剤を含有する遮光反射テープにより、上記課題を解決できることを見出した。
【0010】
すなわち本発明は、LCDモジュールのLCDパネルとバックライト筐体との間に貼付して使用される遮光反射テープであって、
少なくとも遮光層と光反射層とを有する支持体と、前記支持体の光反射層側に設けられた粘着剤層とを有し、
前記光反射層又は粘着剤層が、光又は熱により発色する発色剤を含有するか、あるいは、前記光反射層と粘着剤層との間に、光又は熱により発色する発色剤を含有する発色層を有する遮光反射テープを提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の遮光反射テープは、画像表示部端部のヒカリムラを抑制できる光吸収領域や光拡散領域を、遮光反射テープの製造工程中の任意の製造工程や、遮光反射テープの打ち抜き加工後等のいずれの工程においても適宜形成可能である。このような本発明の遮光反射テープは、製品構成に準じた印刷を有する原反を製品毎に製造する必要がなく、また、印刷にあわせた打ち抜き加工を要さないため高速で容易に打ち抜き加工が可能となるため、製造コストの大幅な削減や、製品設計の自由度の向上に大きく貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の光反射性と遮光性を併有する遮光反射テープを、その構成要素に基づいて、更に詳しく説明する。
【0013】
本発明の遮光反射テープは遮光層と光反射層とを有する支持体と、支持体の光反射層側に設けられた粘着剤層とを有し、光反射層又は粘着剤層が、光又は熱により発色する発色剤を含有するか、あるいは、光反射層と粘着剤層との間に、光又は熱により発色する発色剤を含有する発色層を有する。そのため、遮光反射テープ製造後の加工工程で、遮光反射テープの必要な部分に光又は熱を与えることで、遮光反射テープの反射面側の反射性を制御できる。その結果、LCDモジュールの固定用に使用した時、LCDモジュールの平均輝度の向上とLCDモジュールの端部のヒカリムラ抑制を安価且つ、高度に両立できる。
【0014】
[光又は熱により発色する発色剤]
光反射層、粘着剤層又は、光反射層と粘着剤の間に設けられる発色層が含有する発色剤は、光又は熱により暗色に変色するものが用いられる。そのなかでも発色剤はレーザー光により発色するレーザー発色剤が好ましい。
【0015】
(レーザーにより発色する発色剤)
本発明に使用するレーザー発色性を有する発色剤としては、レーザー光によって暗色、好ましくは黒色に変色する公知の発色剤を使用できる。当該発色剤としては、金属化合物を用いた無機粒子を主成分とする発色剤や、ロイコ染料等の発色成分とフェノールメチロール化合物等の顕色剤とを含有し、感熱によって黒色発色する反応系の発色剤などが例示でき、レーザー光に対して感度が高く、経時的な発色の安定性を有する発色剤として、金属化合物を用いた無機粒子を主成分とする発色剤を好ましく使用できる。中でも銅、モリブデン等の金属複合酸化物を用いた発色剤粒子や、キレート形成が可能な金属化合物を含有する無機粒子表面に、レーザー照射時の熱刺激によって黒色発色性が良好なアミノ基を有する炭化水素化合物を配位させた発色剤粒子を好適に使用できる。
【0016】
キレート形成能がある金属としては、銅、モリブデン、マンガン、鉄、マグネシウム、ニッケル等の金属種が好ましく、アミノ基への配位性が高い金属酸化物、水酸化物、アルコキシド等の金属化合物がとくに好ましい。金属化合物は単体もしくは二種の金属化合物を用いても良い。金属化合物を含有する無機粒子に使用する無機粒子としては、シリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、アルミナ等が好ましく、オーバーラミネート用粘着剤として使用するため、できうる限り着色しないシリカ、酸化チタン、アルミナの粒子がとくに好ましい。アミノ基を有する炭化水素化合物は、第一級アミン、第二級アミンが用いられる。
【0017】
発色剤を有する層には、老化防止剤を添加することが好ましい。老化防止剤としては特にヒンダードアミン系のものが好ましい。
【0018】
[支持体]
本発明の遮光反射テープに使用する支持体は、少なくとも遮光層、光反射層を有する。これら各層の構成は、支持体の一方の面が遮光性を有し、他方の面が光反射性を有するものであれば特段制限されるものではない。
【0019】
(基材層)
本発明の遮光反射テープにおいては、遮光性又は光反射性の樹脂フィルムで形成することにより、遮光層又は光反射層と、基材層とを兼備する構成であっても、遮光層や光反射層とは別の層を基材層として設けてもよい。遮光層や光反射層と、基材層とを共通の層とする場合には、遮光反射テープの薄型化に貢献しやすく、一方、遮光層や光反射層と、基材層とを別の層として構成する場合には、遮光性や光反射性の向上や制御を行いやすいため好ましい。
【0020】
当該基材層としては、粘着シートに使用される公知慣用の樹脂フィルム等を用いることができ、例えば、セロファン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリエステル等が挙げられる。なかでも、ポリエステルは、強度や絶縁性に優れるため好ましく使用できる。樹脂フィルムは光反射性や遮光性を付与するため、白色、銀色、黒色、グレー等の有色に着色されていても良い。また樹脂フィルムの中には公知の各種添加剤、たとえば、酸化防止剤、帯電防止剤などが添加されていても良い。
【0021】
基材層が透明樹脂フィルムからなる場合には、基材層の一方の面に遮光層と光反射層とを積層しても、基材層の一方の面に遮光層を積層し、他方の面に光反射層を積層しても良いため、透明樹脂フィルムであると構成の設計が容易となるため好ましい。一方で、基材層が着色されている場合には、遮光性の向上や光反射性の制御等を行い易くなるため好ましい。
【0022】
基材層の厚みとしては、3〜100μmが好ましい。厚みが3μm以上の場合は、剥離時にフィルムのキレが発生しにくく、100μm以下の場合は、局面貼付時にハガレが発生しにくい。さらに好ましくは、12〜50μmである。
【0023】
(遮光層)
遮光層は、LCDモジュールの光源からの光を遮光する機能を有していれば、黒や銀以外の、例えば、紫色や紺色等の暗色であっても良く、又、如何なる構造であっても良い。以下に本発明の粘着テープにおける、遮光層として好ましい例を記載する。
【0024】
遮光層として黒色インキ層を使用する場合は、カーボンブラック等を顔料とする黒色インキが使用できる。黒色インキ層の厚みは0.5〜5μmが好ましい。黒色インキ層は単層でも良いが、ピンホールの防止の点から2〜4層に積層するのが好ましい。
【0025】
黒色インキの組成としては、例えば、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステルウレタン樹脂が挙げられる。そのなかでも周波数1Hzでの動的粘弾性スペクトルで測定されるtanδのピーク温度が−30〜30℃のポリエステルウレタン樹脂であることが好ましい。
【0026】
ポリエステルウレタン樹脂のtanδのピーク温度は次の方法で測定される。バーコーターにてポリエステルウレタン樹脂を厚さ50μmに製膜する。次に試料長さ20mmにカットした試験片(試料長20mm、膜厚50μ)を粘弾性試験機を用いて、周波数1Hz、昇温時間3℃/1分の条件で−150℃から250℃までの貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)を測定する。損失正接tanδは、以下の計算式より算出する。
損失正接tanδ=G”/G’
粘弾性試験機としては例えば、セイコーインスツル社製DMS210、DMS220、DMS6100等があげられる。
【0027】
インキの印刷方式としては、公知慣用の方式で印刷できる。例えば、凸版印刷、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等が採用できる。その中でも、グラビア印刷が重ねてコートするのに適している。
インキコートするフィルム面は、公知慣用の易接着処理を施すのが好ましい。その中でもコロナ処理・プラズマ処理・プライマー処理から選ばれる易接着処理が好ましい。
【0028】
(光反射層)
光反射層は、特に限定されるものではないが、反射率が60%以上であることが好ましく、より好ましく80%以上、最も好ましくは90%以上である。反射率が高いほど、輝度の向上効果が高い。そのような反射性を持つ材料としては、銀やアルミ等の金属を蒸着した樹脂フィルム、白色樹脂フィルム、樹脂フィルムに白色或いは銀色の着色剤を含有するインキからなる白色インキ層や銀色インキ層を積層したフィルム、3M社製ESR等の薄いフィルムの積層体等が挙げられる。なかでも、光反射性の制御が容易であることから、白色インキ層からなる光反射層を好適に使用できる。市販されている光反射フィルムとしては、麗光社製37W01、3M社製ESR、東レ製E#38、三菱化学ポリエステルフィルム製W400#38、帝人デュポン製テフレックスFW2#13等が厚みが薄く、反射性が高いため好ましい。
【0029】
光反射層が基材層と共通した構成を有し、光反射層と遮光層との間に基材層が無い構成の場合には、光反射層と遮光層の間には、反射性を高めるために、白色樹脂コートや銀色樹脂コートや金属蒸着層を設けることが好ましい。
【0030】
光反射層として、白色インキ層を使用する場合には、白色インキの組成としては、例えば、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステルウレタン樹脂が挙げられる。そのなかでも周波数1Hzでの動的粘弾性スペクトルで測定されるtanδのピーク温度が−30〜30℃のポリエステルウレタン樹脂であることが好ましい。
【0031】
樹脂フィルムへの白色インキ層の積層は公知慣用の印刷方式により印刷する方法が容易であるため好ましい。例えば、凸版印刷、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等が採用できる。その中でも、グラビア印刷が重ねてコートするのに適している。
【0032】
インキコートする樹脂フィルムの表面は、公知慣用の易接着処理を施すのが好ましい。その中でもコロナ処理・プラズマ処理・プライマー処理から選ばれる易接着処理が好ましい。
【0033】
光反射層に上記発色剤を含有させる場合には、光反射層を白色インキにより形成することが好ましい。発色剤の含有量は、使用する発色剤の種類や発色させる程度により適宜調整すれば良いが、白色インキの固形分100質量部に対し、10〜60質量部の含有量とすることが好ましい。より好ましくは20〜50質量部である。上記範囲であると、発色性と耐黄変性を高度に両立しやすい。
【0034】
(発色層)
本発明においては、光反射層と粘着剤層との間に、光又は熱により発色する発色剤の含有する発色層を設けても良い。製造工程の簡素化には光反射層や粘着剤層中に発色剤を含有させることが好ましいが、色の鮮明性・持続性の点からは、反射層と粘着剤層との間に別途発色層を設けることが好ましい。
【0035】
当該発色層としては、光反射層の光反射性能や粘着剤層の透明性、光反射層や粘着剤層との密着性等を確保できるものであれば特段制限されないが、製造が容易であり、遮光反射テープの機能を制御しやすいことから、上記発色剤を含有する透明インキからなる層であることが好ましい。
【0036】
発色層として、透明インキを使用する場合には、例えば、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステルウレタン樹脂が挙げられる。そのなかでも周波数1Hzでの動的粘弾性スペクトルで測定されるtanδのピーク温度が−30〜30℃のポリエステルウレタン樹脂であることが好ましい。
【0037】
[粘着剤層]
本発明に使用する粘着剤層は、樹脂フィルムや遮光層と良好な粘着性を有するものを使用でき、公知のアクリル系、ゴム系、シリコン系の粘着樹脂を使用することができる。そのなかでも、反復単位として炭素数2〜14のアルキル基を有するアクリル酸エステルに由来する反復単位を含有するアクリル系共重合体が、耐光性・耐熱性の点から好ましい。
【0038】
アクリル系共重合体としては、例えば、n−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、エチルアクリレート等に由来する反復単位を含むアクリル系共重合体があげられる。これらの中でも、ハロゲン含有量が0.3質量%以下のものが好ましく、0.1質量%以下のものがより好ましく、ハロゲンを実質的に含有しないものが特に好ましい。そのなかでも反復単位として、n−ブチルアクリレート単位が50質量%以上含むものがポリエステルウレタン系樹脂を使用したインキ層との密着性に優れ、より好ましくは90質量%以上含むものが密着性に優れる。
【0039】
さらに反復単位として、側鎖に水酸基、カルボキシル基、アミノ基などの極性基を有するアクリル酸エステルやその他のビニル系単量体に由来する反復単位を0.1〜15質量%の範囲で含有するのが好ましい。また、アクリル酸単位を2〜10質量%の範囲で含有するのが、ポリエステルウレタン系樹脂を使用したインキ層との密着性に優れ好ましい。
【0040】
アクリル系共重合体は、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、紫外線照射法、電子線照射法によって共重合させることにより得ることができる。アクリル系共重合体の平均質量分子量は塗工性と粘着物性を両立するため、40万〜140万が好ましく、更に好ましくは、60万〜120万である。前記平均質量分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算である。測定条件として、カラムはTSKgel GMHXL[東ソー製]を用い、カラム温度40℃、溶離液はテトラヒドロフラン、流量は1.0mL/分とし、標準ポリスチレンはTSK標準ポリスチレンを用いる。
【0041】
さらに粘着剤の凝集力をあげるために、架橋剤を添加するのが好ましい。架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、キレート系架橋剤等があげられる。特に粘着剤層を設ける場合は、イソシアネート系架橋剤またはエポキシ系架橋剤を使用するのが好ましい。架橋剤の添加量としては、粘着剤層のゲル分率が25〜80%になるよう調整するのが好ましい。さらに好ましいゲル分率は、30〜70%である。そのなかでも35〜60%が最も好ましい。ゲル分率が25%以上であると粘着剤が適度な凝集力をもつため、リワークした際に糊残りが生じにくい。一方、ゲル分率が80%以下であると粘着剤が硬くなりすぎず、接着力が良好である。接着性が低下する。ゲル分率は、養生後の粘着剤層の組成物をトルエン中に浸漬し、24時間放置後に残った不溶分の乾燥後の質量を測定し、元の質量に対する百分率で表す。
【0042】
さらに粘着剤層の粘着力を向上させるため、粘着付与樹脂を添加しても良い。本発明の粘着テープの粘着剤層に添加する粘着付与樹脂は、ロジンやロジンのエステル化物等のロジン系樹脂;ジテルペン重合体やα−ピネン−フェノール共重合体等のテルペン系樹脂;脂肪族系(C5系)や芳香族系(C9)等の石油樹脂;その他、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。また、前記アクリル共重合体以外のアクリル樹脂を粘着付与樹脂として添加しても良い。
【0043】
粘着付与樹脂の添加量としては、粘着剤樹脂がアクリル系共重合体である場合は、アクリル系共重合体100質量部に対して10〜60質量部を添加するのが好ましい。接着性を重視する場合は、20〜50質量部を添加するのが最も好ましい。また、粘着剤樹脂がゴム系の樹脂である場合は、ゴム系の樹脂100質量部に対して、粘着付与樹脂を80〜150質量部添加するのが好ましい。なお、一般的に粘着剤樹脂がシリコン系樹脂である場合は、粘着付与樹脂を添加しない。
【0044】
また、必要に応じて、カーボンブラック等の黒色着色剤や、他の公知慣用の添加剤を添加することができる。他の添加剤としては、例えば、可塑剤、軟化剤、充填剤、顔料、難燃剤等が例示できる。
【0045】
粘着剤層の周波数1Hzでの動的粘弾性スペクトルの損失正接は、85℃下で0.5〜0.70であることが好ましい。さらに好ましくは0.55〜0.65である。0.5未満であると、粘着剤が硬くなりすぎ、初期の密着性と耐反発性が低下する。一方、0.70を越えると、粘着剤が柔らかくなりすぎ、高温で粘着剤が伸びてハガレが発生しやすい。
【0046】
本発明における粘着剤層の動的粘弾性は、粘弾性試験機(レオメトリックス社製、商品名:アレス2KSTD)を用いて、同試験機の測定部である平行円盤の間に試験片を挟み込み、周波数1Hzでの貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)を測定し、損失正接はtanδ=(G”)/(G’)で表される式により算出される。試験片は厚み0.5〜2.5mmの粘着剤を単独で平行円盤の間に挟んでも良いが、基材と粘着剤の積層体を幾重にも重ねて平行円盤の間に挟んでも良い。なお、後者の場合は粘着剤のみの厚さが前記の範囲となるように調整する。粘着剤としての厚さを上記の範囲に調整すると、中間に基材が挟まっていても基材のない場合と同様に粘着剤の動的粘弾性スペクトルを測定できる。
【0047】
粘着剤層の厚みは、5〜50μmが好ましく、さらに好ましくは、10〜30μmである。5μm以上であれば、充分な接着性を得ることができ、また、50μm以下とすることで軽薄短小化の進む表示装置等に好適に適用できる。
【0048】
粘着剤層に上記発色剤を含有させる場合の発色剤の含有量は、使用する発色剤の種類や発色させる程度により適宜調整すれば良いが、粘着剤組成物の固形分100質量部に対し、10〜40質量部の含有量とすることが好ましい。
【0049】
[遮光反射テープ]
本発明の遮光反射テープは上記のように、光反射層又は粘着剤層が光又は熱により発色する発色剤を含有するか、あるいは、光反射層と粘着剤層との間に、光又は熱により発色する発色剤を含有する発色層を有するため、遮光反射テープ製造後の加工工程で、遮光反射テープの必要な部分に光又は熱を与えることで、遮光反射テープの反射面側の反射性を制御できる。その結果、LCDパネルとバックライト筐体との間に貼付して使用された場合に、LCDモジュールの平均輝度の向上とLCDモジュールの端部のヒカリムラ抑制を安価且つ、高度に両立できる
【0050】
本発明の遮光反射テープの厚みは20〜100μmであることが好ましい。さらに好ましくは、30〜75μmであり、中でも、40〜65μmであることが特に好ましい。
【0051】
本発明の遮光反射テープをLCDモジュールのLCDパネルとバックライト筐体との間に貼付して適用する際には、通常、光反射層側をバックライト筐体に、遮光層側をLCDパネルに貼り付ける。このような態様においては、光反射層側に設けられた粘着剤層のバックライト筐体に対する接着力と、遮光層側に設けられた粘着剤層のLCDパネルに対する接着力との比の好適な範囲としては、10:1〜10:9が好ましく、さらに好ましくは10:2〜10:8である。なかでも、10:3〜10:7が最も好ましい。
【0052】
また、光反射層側に設けられた粘着剤層のバックライト筐体に対する接着力は、10N/10mm未満であることが好ましく、3〜9N/10mmであることがより好ましい。中でも4〜8N/10mmであることが特により好ましい。
【0053】
(本発明の遮光反射テープの構成)
本発明の遮光反射テープの具体的な実施形態について、貼付図面を例示して説明する。
【0054】
図1は、光反射層1と遮光層2を積層した支持体3の遮光層2側に粘着剤層4が積層されている実施形態である。当該構成においては、光反射層1に発色剤が含有される。図2は、光反射層1と遮光層2を積層した支持体3の光反射層1側に粘着剤層4が積層されている実施形態である。当該構成においては、光反射層1又は粘着剤層4のいずれに発色剤が含有されていてもよい。また、図3は、光反射層1と遮光層2を積層した支持体3の両面に粘着剤層4を設けた本発明の遮光反射テープの一例を示す実施形態である。当該構成においては、光反射層1又は光反射層1に積層された粘着剤層4の少なくとも一方に発色剤が含有されていればよい。本発明の遮光反射テープは、図1、及び図2のような片面遮光反射テープ、あるいは図3のような両面遮光反射テープの形態を採ることができる。なお、粘着剤層4は単層の粘着剤の層であっても良いが、両面テープのような複数の粘着剤の層及びシートからなる多層の材料であっても良い。
【0055】
図4は透明樹脂フィルムからなる透明基材層5の一方の面に、白色インキ等による光反射層1と黒色インキ等による遮光層2をこの順に設けた支持体の両面に、粘着剤層4を設けた遮光反射粘着テープである。当該構成においては、光反射層1又は透明基材層5に積層された粘着剤層4の少なくとも一方に発色剤が含有されていてもよい。図5は透明樹脂フィルムからなる透明基材層5の一方の面に、白色インキ等による光反射層1を設け、他方の面に黒色インキ等による遮光層2を設けた支持体の両面に、粘着剤層を設けた遮光反射粘着テープである。当該構成においては、光反射層1又は光反射層1に積層された粘着剤層4の少なくとも一方に発色剤が含有されていればよい。
【0056】
発色剤を含有する発色層を有する構成として、図6〜8に示した実施形態を例示できる。図6は、図3に示した構成における光反射層1と粘着剤層4の間に発色剤層6を有する実施形態である。図7は、図4に示した構成において光反射層1と粘着剤層4との間に、透明基材層5に積層させる構成で発色剤層6を設けた実施形態である。図8は、図5に示した構成における光反射層1と粘着剤層4との間に発色剤層6を有する実施形態である。
【0057】
本発明の遮光反射テープは、図3〜8で例示されているような両面に粘着剤層を有する遮光反射テープであることが好ましい。両面粘着型のテープの場合、LCDパネルがバックライト筐体から脱離するのを防ぐための部品を用いなくてもLCDパネルをバックライト筐体に固定することができる。
【0058】
(発色の方法)
本発明の遮光反射テープはテープ製造後の加工工程で反射面側に部分的に光や熱を加えることで、光反射性を制御できる。発色の位置・範囲・濃度はLCDモジュールのモデルに応じて個別に調整することができる。
【0059】
発色の方法は特に限定されるものではないが、発色の位置・範囲・濃度を精密にできるレーザー光によるが好ましい。レーザー光は、ルビーレーザーやYAGレーザー等の固体レーザー、炭酸ガスレーザーやヘリウムネオンガスレーザー等のガスレーザー等が挙げられる。イッテルビウム添加のファイバ内でレーザー増幅するFAYb方式でも良い。なかでも、発熱量が少なく粘着剤への影響が少ないYAGレーザー光の波長1064nmが最も好ましい。レーザーは遮光層のダメージを避けるため、弱い出力で2回以上に分けて照射することが好ましい。またレーザーを粘着テープに照射する際、剥離フィルムのウキを防止するため、剥離フィルムを剥がして直接粘着面に照射することが好ましい。
【0060】
本発明の遮光反射テープが、LCDモジュールにおいて、額縁状に打ち抜かれた形状にて使用される場合には、その目的に合わせて次のようなパターンで発色させることが好ましい。例えば、LED側以外の三辺のヒカリムラが問題となる場合には、図9のようにLED側以外の三辺を暗色に発色させることが好ましい。また、LED近傍のヒカリムラがある場合は、光源位置8の周辺部に発色部7を形成することで輝度ムラの抑制効果が高いため、図10のようにLEDの光源位置8と画像表示部の間に、発色部7により島状のパターンを形成したり、図11のように光源位置8と画像表示部の間に、発色部7によりライン状のパターンを形成することが好ましい。
【0061】
(LCDモジュールでの使用方法)
本発明の光反射性と遮光性を併有する遮光反射テープは、LCDパネル17とバックライト筐体16の間に額縁状に打ち抜かれて挟み込まれた態様を好ましい態様として例示できる。図12で示される「遮光反射テープ10」の位置に貼られる。当該形態で適用される本発明の遮光性粘着テープは、LCDパネル17とバックライト筐体16の間に額縁状に打ち抜かれて挟み込まれた態様を好ましい態様として例示できる。その際、本発明の遮光反射テープの遮光層2はLCDパネル17の方向になるように、又光反射層1は光源13の方向になるようにバックライト筐体16及びプリズムシート11に接するように貼着する。その際、本発明の遮光反射テープが両面遮光反射テープである場合は、LCDパネル17及びバックライト筐体16に貼着する。また、片面の遮光反射テープである場合は、LCDパネル17又はバックライト筐体16に貼着する。なお、本発明の遮光反射テープが片面の遮光反射テープである場合は、LCDパネルは、押さえ具等の部品によりバックライト筐体16に固定される。本発明の遮光反射テープは、光反射性及び遮光性にも優れているため、光源13の光を有効にLCDパネル17側に反射させることができると共に、駆動するドライバー9への光の進入を防止することができる。
【実施例】
【0062】
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、以下に表示する部は、質量部である。
【0063】
[ポリエステルウレタンの製造例]
(ポリエステルウレタン樹脂A)
攪拌機,温度計,還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四つロフラスコにアジピン酸/テレフタル酸=50/50なる酸成分と3一メチル‐1,5ペンタンジオールから得られる数平均分子量(以下Mnという)2,000のポリエステルジオール256.3部とイソホロンジイソシアネート36.5部を仕込み、窒素気流下に90℃で15時間反応させた。次いでイソホロンジアミン5.0部、ジ‐n‐ブチルアミン2.2部、トルエン175部、メチルエチルケトン350部、イソプロピレンアルコール175部を添加し、攪枠下に40℃で3時間反応させ、樹脂固形分濃度30.0%、ガードナー粘度U−V(25℃)、アミン価=0、質量平均分子量(以下Mwという)67,000のポリエステルウレタン樹脂Aを得た。得られた樹脂のtanδのピーク温度は−8℃であった。
【0064】
[黒色インキの製造例1]
デグサ社製「カーボンデグサスペシャル4A」を4部、デグサ社製「カーボンスペシャル250P」6部、ポリエステルウレタン樹脂A(tanδピーク温度=−8℃)を40部、メチルエチルケトンを23部、トルエンを13部、酢酸エチルを6部、N−プロピルアセテートを3部、イソプロピルアルコール3部を添加し、サンドミルで約1時間湿式分散した物に、DIC社製硬化剤「KR90」(ヘキサメチレンジジイソシアネートのビウレット体)を4部、DIC社製希釈剤「ダイレジューサーV No.20」を35部添加して黒色インキBを作成した。なお、樹脂は固形分比を表す。
【0065】
[白色インキの製造例1]
石原産業社製「R830」を25部、ポリエステルウレタン樹脂A(tanδピーク温度=−8℃)を40部、メチルエチルケトンを23部、トルエンを13部、酢酸エチルを6部、N−プロピルアセテートを3部、イソプロピルアルコール3部を添加し、サンドミルで約1時間湿式分散した物に、DIC社製硬化剤「KR90」(ヘキサメチレンジジイソシアネートのビウレット体)を4部、DIC社製希釈剤「ダイレジューサーV No.20」を35部添加して白色インキWを作成した。なお、樹脂は固形分比を表す。
【0066】
(レーザー発色剤A)
酸化銅(II)24部、三酸化モリブデン(VI)29部(ともに和光純薬社製)、シリカ粒子(富士サイシリア社製)100部を混合し、小型粉砕機にて乾式混合した。混合粉体を電気炉にて700℃の温度にて焼成した。焼成粉体を乳鉢にて解粉し、レーザー発色剤Aを得た。
【0067】
(レーザー発色剤Aを含有するインキA)
レーザー発色剤Aを25部、ポリエステルウレタン樹脂A(tanδピーク温度=−8℃)を40部、メチルエチルケトンを23部、トルエンを13部、酢酸エチルを6部、N−プロピルアセテートを3部、イソプロピルアルコール3部を添加し、サンドミルで約1時間湿式分散した物に、DIC社製硬化剤「KR90」(ヘキサメチレンジジイソシアネートのビウレット体)を4部、DIC社製希釈剤「ダイレジューサーV No.20」を35部添加してレーザー発色剤Aを含有するインキAを作成した。なお、樹脂は固形分比を表す。
【0068】
(基材の作製)
東レ社製白色ポリエステルフィルム「E20#38」の両面を濡れ張力が50dyne/cmとなるようにコロナ処理し、一方の面に白色インキWを乾燥厚みが2μmになるよう2回グラビアコートした。更に白インキの上に黒色インキBを乾燥厚みが4μmになるよう2回グラビアコートした。
さらに40℃で2日間養生し、インキコートフィルム(a)を得た。
【0069】
インキコートフィルム(a)のポリエステルフィルム面にレーザー発色剤Aを含有するインキAを乾燥厚みが2μmとなるよう1回グラビアコートした。さらに40℃で2日間養生し、インキコートフィルム(b)を得た。
【0070】
(アクリル系共重合体1の調製)
冷却管、攪拌機、温度計、滴下漏斗を備えた反応容器にn−ブチルアクリレート93.4部、アクリル酸3.5部、β−ヒドロキシーエチルアクリレート0.1部と、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.2部とを酢酸エチル100部に溶解し、窒素置換後、80℃で8時間重合して質量平均分子量80万のアクリル系共重合体1を得た。
【0071】
(アクリル系粘着剤組成物1の調製)
上記アクリル系共重合体1を100部、荒川化学社製「スーパーエステルA100」を10部、及び荒川化学社製「ペンセルD135」を10部をトルエンで希釈し、固形分40%のアクリル系粘着剤組成物1を得た。
【0072】
(実施例1)
(両面テープの作製)
アクリル系粘着剤組成物1に、レーザー発色剤Aを10部配合し、日本ポリウレタン工業社製「コロネートL−45」(イソシアネート系架橋剤)を1.5部配合し、充分に撹拌した後、離型処理した厚さ75μmのポリエステルフィルム上に、乾燥後の厚さが20μmとなるよう塗工して、100℃で2分間乾燥して粘着剤層を得た。これをインキコートフィルム(a)の白面に転写する。次に、アクリル系粘着剤組成物1に、日本ポリウレタン工業社製「コロネートL−45」(イソシアネート系架橋剤)を1.5部配合し、充分に撹拌した後、離型処理した厚さ75μmのポリエステルフィルム上に、乾燥後の厚さが20μmとなるよう塗工して、100℃で2分間乾燥して粘着剤層を得た。この粘着剤層を黒面側に80℃の熱ロールで4kgf/cmの圧力でラミネートし、さらに、40℃で2日間養生して、両面テープを得た。
【0073】
(実施例2)
アクリル系粘着剤組成物1に、日本ポリウレタン工業社製「コロネートL−45」(イソシアネート系架橋剤)を1.5部配合し、充分に撹拌した後、離型処理した厚さ75μmのポリエステルフィルム上に、乾燥後の厚さが20μmとなるよう塗工して、100℃で2分間乾燥して粘着剤層を得た。これをインキコートフィルム(b)の両面に転写し、80℃の熱ロールで4kgf/cmの圧力でラミネートし、さらに、40℃で2日間養生して、両面テープを得た。
【0074】
(比較例1)
インキコートフィルム(b)の代わりにインキコートフィルム(a)を用いた以外は、実施例2と同様にして両面テープを得た。
【0075】
実施例、比較例で作成した両面テープについて、以下に示す方法により、全光線透過率、全反射率、接着力、テープ厚み、平均輝度、ヒカリムラ、を評価した。評価結果は、表1、2に記載した。
【0076】
(全光線透過率、全反射率)
村上色彩技術研究所製HR−100を用い、全光線透過率、全反射率を測定した。尚、光源はD65光源を使用し、全反射率はブランクとレーザー照射後の値を測定した。
尚、レーザーはFAYb方式レーザー「LPV−10U」(SUNX社製)を用いて、両面テープの反射面側に、剥離フィルムを剥がして、波長1064nm、平均出力3.6Wのパルス発振レーザー光を照射した。
【0077】
(接着力)
接着力はJIS−Z0237(2000)の180度引き剥がし接着力の試験方法に従って下記の手順により求めた。
SUS板にポリエステルフィルム25μmで裏打ちした20mm幅の実施例及び比較例の遮光反射テープを、環境温度23℃、湿度50%の条件下において、2kgのローラーで1往復加圧貼付し1時間放置後、テンシロン万能引張試験機(オリエンテック製、RTA100)を用い、同一の温度湿度条件下で300mm/minの速度で引っ張って、180度引き剥がし接着力S20を測定した。
【0078】
(テープ厚み)
厚み計で、両面テープの厚みを測定した。厚みが100μm以下の場合を適合とした。
【0079】
(平均輝度)
1)実施例、比較例の両面テープの所定の位置に、FAYb方式レーザー「LPV−10U」(SUNX社製)を用いて、両面テープの反射面側に、剥離フィルムを剥がして、波長1064nm、平均出力3.6Wのパルス発振レーザー光を照射した。さらに打ち抜き加工を行い、図7のような額縁状のテープ加工品を作成した。
2)次に平均輝度6232cd/m2のLEDバックライト(Minebea(株)製、2.2インチ携帯電話用バックライト(LED;日亜化学製NSSW020A 4灯、プリズムシート;Downward Prism)を装着したLCDモジュールのバックライト筐体に、上記テープ加工品の反射面がバックライト筐体側になるよう接着した。
3)(株)アイ・システム製輝度計「アイスケール3」で、画面を9分割し、各中央位置の輝度を測定した。駆動条件はIf=15mAとした。測定環境は室温23℃、湿度50%とした。平均輝度は9点の平均値とした。
平均輝度が6400cd/m2を越えるものを良好であると判断した。
【0080】
(端部のヒカリムラ)
上記バックライトを見て、遮光反射テープのLED側以外の3辺にヒカリムラの有無を目視にて判断した。尚、LED側は実際の携帯電話に組み込んだ際、目立たないため無視した。
○:ヒカリムラがない
×:ヒカリムラがある
【0081】
【表1】
【0082】
表1に示した結果から明らかなように、実施例の遮光反射テープは、バックライトモジュールに組み込んだ時、部分的にレーザーで反射率を制御しているので、端部のヒカリムラがなく、且つ高い平均輝度を示した。しかも両面テープ作成後の加工時にレーザーで反射率を制御しているので、製品設計の自由度が極めて高い。一方、比較例1のテープは平均輝度が高いが、端部のヒカリムラがある。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】光反射層1と遮光層2を積層した支持体3の遮光層2側に粘着剤層4を設けた本発明の粘着テープの一例を示す断面図である。
【図2】光反射層1と遮光層2を積層した支持体3の光反射層1側に粘着剤層4を設けた本発明の粘着テープの一例を示す断面図である。
【図3】光反射層1と遮光層2を積層した支持体3の両面に粘着剤層4を設けた本発明の粘着テープの一例を示す断面図である。
【図4】透明樹脂フィルムからなる透明基材層5の一方の面に、光反射層1と遮光層2をこの順に設けた支持体3の両面に、粘着剤層4を設けた本発明の粘着テープの一例を示す断面図である。
【図5】透明樹脂フィルムからなる透明基材層5の一方の面に、光反射層1を設け、他方の面に遮光層2を設けた支持体3の両面に、粘着剤層4を設けた本発明の粘着テープの一例を示す断面図である。
【図6】光反射層1と遮光層2を積層した支持体3の両面に粘着剤層4を設け、光反射層1と粘着剤層4の間に発色剤層6を設けた本発明の粘着テープの一例を示す断面図である。
【図7】透明樹脂フィルムからなる透明基材層5の一方の面に、光反射層1と遮光層2をこの順に設けた支持体3の両面に、粘着剤層4を設け、光反射層1と粘着剤層4との間に、透明基材層5に積層させる構成で発色剤層6を設けた本発明の粘着テープの一例を示す断面図である。
【図8】透明樹脂フィルムからなる透明基材層5の一方の面に、光反射層1を設け、他方の面に遮光層2を設けた支持体3の両面に粘着剤層4を設け、光反射層1と粘着剤層4との間に発色剤層6を設けた本発明の粘着テープの一例を示す断面図である。
【図9】画像表示部を額縁状に打ち抜き、光源側以外の三辺を暗色に発色させた遮光反射テープの一例を示す図である。
【図10】画像表示部を額縁状に打ち抜き、光源位置と画像表示部の間に島状に暗色に発色させたパターンを形成した遮光反射テープの一例を示す図である。
【図11】画像表示部を額縁状に打ち抜き、光源位置と画像表示部の間にライン状に暗色に発色させたパターンを形成した遮光反射テープの一例を示す図である。
【図12】遮光反射テープ10を使用してLCDパネル17等の各部品をバックライト筐体16に固定したLCDモジュールの断面図である。
【符号の説明】
【0084】
1:光反射層
2:遮光層
3:支持体
4:粘着層
5:透明基材層
6:発色層
7:発色部
8:光源位置
9:ドライバー
10:遮光反射テープ
11:プリズムシート
12:拡散シート
13:光源
14:導光板
15:反射板
16:バックライト筐体
17:LCDパネル
100:LCDモジュール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LCDモジュールのLCDパネルとバックライト筐体との間に貼付して使用される遮光反射テープであって、
少なくとも遮光層と光反射層とを有する支持体と、前記支持体の光反射層側に設けられた粘着剤層とを有し、
前記光反射層又は粘着剤層が、光又は熱により発色する発色剤を含有するか、あるいは、前記光反射層と粘着剤層との間に、光又は熱により発色する発色剤を含有する発色層を有することを特徴とする遮光反射テープ。
【請求項2】
光又は熱により発色する発色剤がレーザーにより発色するレーザー発色剤である請求項1に記載の遮光反射テープ。
【請求項3】
前記支持体が、透明樹脂フィルムからなる基材層の一方の面に、黒印刷層からなる遮光層と白印刷層からなる光反射層とを有し、前記黒印刷層からなる遮光層を最外層として有する支持体である請求項1又は2に記載の遮光反射テープ。
【請求項4】
前記支持体が、透明樹脂フィルムからなる基材層の一方の面に黒印刷層からなる遮光層を有し、他方の面に白印刷層からなる光反射層が設けられた支持体である請求項1又は2に記載の遮光反射テープ。
【請求項5】
前記支持体が、白色樹脂フィルムからなる光反射層上に黒印刷層からなる遮光層が設けられた支持体である請求項1又は2に記載の遮光反射テープ。
【請求項6】
LCDパネルとバックライト筐体とを有するLCDモジュールであって、前記LCDパネルと前記バックライト筐体とが、請求項1〜5のいずれかに記載の遮光反射テープで貼着されたことを特徴とするLCDモジュール。
【請求項1】
LCDモジュールのLCDパネルとバックライト筐体との間に貼付して使用される遮光反射テープであって、
少なくとも遮光層と光反射層とを有する支持体と、前記支持体の光反射層側に設けられた粘着剤層とを有し、
前記光反射層又は粘着剤層が、光又は熱により発色する発色剤を含有するか、あるいは、前記光反射層と粘着剤層との間に、光又は熱により発色する発色剤を含有する発色層を有することを特徴とする遮光反射テープ。
【請求項2】
光又は熱により発色する発色剤がレーザーにより発色するレーザー発色剤である請求項1に記載の遮光反射テープ。
【請求項3】
前記支持体が、透明樹脂フィルムからなる基材層の一方の面に、黒印刷層からなる遮光層と白印刷層からなる光反射層とを有し、前記黒印刷層からなる遮光層を最外層として有する支持体である請求項1又は2に記載の遮光反射テープ。
【請求項4】
前記支持体が、透明樹脂フィルムからなる基材層の一方の面に黒印刷層からなる遮光層を有し、他方の面に白印刷層からなる光反射層が設けられた支持体である請求項1又は2に記載の遮光反射テープ。
【請求項5】
前記支持体が、白色樹脂フィルムからなる光反射層上に黒印刷層からなる遮光層が設けられた支持体である請求項1又は2に記載の遮光反射テープ。
【請求項6】
LCDパネルとバックライト筐体とを有するLCDモジュールであって、前記LCDパネルと前記バックライト筐体とが、請求項1〜5のいずれかに記載の遮光反射テープで貼着されたことを特徴とするLCDモジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−222523(P2010−222523A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−73799(P2009−73799)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】
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