遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法
【課題】 ロール状の遮水シートをスムーズに回転させ、遮水シートを容易に展開させることができる遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法を提供することを目的としている。
【解決手段】 地盤に形成された溝内に配置され、ロール状に巻かれた遮水シート3を収納するとともに遮水シート3を溝内に展開させる遮水シート収納具1であって、内部にロール状の遮水シート3が収納され、側部に遮水シート3を引き出すための引出口4が形成されている筒部材5と、筒部材5内の遮水シート3を回転可能に保持する回転保持手段6と、引出口4を通過する遮水シート3の両側にそれぞれ配置されて引出口3を塞ぐ止水手段7とが備えられている。
【解決手段】 地盤に形成された溝内に配置され、ロール状に巻かれた遮水シート3を収納するとともに遮水シート3を溝内に展開させる遮水シート収納具1であって、内部にロール状の遮水シート3が収納され、側部に遮水シート3を引き出すための引出口4が形成されている筒部材5と、筒部材5内の遮水シート3を回転可能に保持する回転保持手段6と、引出口4を通過する遮水シート3の両側にそれぞれ配置されて引出口3を塞ぐ止水手段7とが備えられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤に形成された溝内でロール状の遮水シートを展開させる場合に用いる遮水シート収納具およびその遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業廃棄物の最終処分場などでは、汚染物の流出を防止するために遮水構造で最終処分場を囲み、外部と仕切る必要がある。遮水構造としては、透水性の高い地盤や地耐力の低い地盤の場合、簡単且つ高い水密性を確保できる遮水シートを使用した遮水シート工法が採用される場合が多い。一般に、遮水シートからなる遮水構造を地盤内に鉛直に構築する方法として、まず地盤を溝状にほぐすとともに水を混合させて溝内を泥水に置き換え、次に泥水に置き換えられた溝内に遮水シートを鉛直に挿入する方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、近年、ロール状に巻いた遮水シートを溝内で展開する方法が開発されている。この方法は、ロール状の遮水シートを溝内に挿入し、溝内でロール状の遮水シートを展開し、溝内に遮水シートを配置する方法である。従来、ロール状の遮水シートは、芯部材に遮水シートを巻き付けたものであり、ロール状の遮水シートは溝内に満たされたソイルセメントや泥水の中で回転しながら展開される。
【0004】
また、一度に設置できる遮水シートの長さには限度があるため、長い範囲にわたって連続的な遮水構造体を構築する場合は、引き出される遮水シートの先端部および基端部に一対の継手部をそれぞれ付設し、既に溝内に配置された遮水シートの基端部と新たに挿入した遮水シートの先端部とを継手部を介して連結する。具体的には、溝内に配置された遮水シートの基端部の隣りにロール状の遮水シートを挿入しつつ、溝内の遮水シート基端部に付設された継手部と新たに挿入する遮水シート先端部の継手部とをジョイントさせていく。これによって、溝内に遮水シートを連続的に配置することができる。
【特許文献1】特許第3094186号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来のロール状の遮水シートでは、溝内に満たされたソイルセメント等の中でロール状の遮水シートを回転させつつ展開することとなるため、ソイルセメント等との摩擦抵抗によりロール状の遮水シートがスムーズに回転せず、遮水シートを展開させる際に大きな回転力が必要になるという問題がある。また、隣接する遮水シートに連結しながら新たな遮水シートを挿入する際、当該遮水シートと溝内のソイルセメント等との摩擦抵抗や遮水シート自体に作用する浮力に抵抗するために、大きな圧入力を加える必要があるという問題が存在する。また、溝内に配置された遮水シートの継手部はソイルセメント等の中で固定されていない状態にあるため、継手部同士をジョイントする作業は難しいという問題がある。さらに、時間が経過して溝内のソイルセメント等が固化した場合には、継手部同士をジョイントすることが困難になるという問題が存在する。
【0006】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、ロール状の遮水シートをスムーズに回転させ、遮水シートを容易に展開させることができる遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法を提供することを目的としている。また、ロール状の遮水シートをソイルセメント等が満たされた溝内に配置する際、大きな圧入力を加えずにロール状の遮水シートを容易に配置させることを目的としている。また、溝内に配置された遮水シートの継手部を固定し、継手部同士のジョイント作業を容易にすることを目的としている。さらには、ソイルセメント等が固化した場合でも継手部同士をジョイントさせることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、地盤に形成された溝内に配置され、ロール状に巻かれた遮水シートを収納するとともに該遮水シートを前記溝内に展開させる遮水シート収納具であって、内部にロール状の前記遮水シートが収納され、側部に該遮水シートを引き出すための引出口が形成されている筒部材と、該筒部材内の前記遮水シートを回転可能に保持する回転保持手段と、前記引出口を通過する前記遮水シートの両側にそれぞれ配置されて前記引出口を塞ぐ止水手段とが備えられていることを特徴としている。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法において、前記遮水シート収納具を前記溝内に挿入する工程と、前記遮水シートの先端部を前記溝内に固定し、前記回転保持手段によって前記筒部材内の前記遮水シートを軸回転させつつ前記遮水シート収納具を前記溝に沿って移動させる工程とを備える。
【0009】
このような特徴により、筒部材内に収納されたロール状の遮水シートを軸回転させつつ遮水シート収納具を溝内で移動させることで、筒部材内に収納されたロール状の遮水シートは引出口から引き出されて構内に展開するが、止水手段によって溝内に満たされたソイルセメントや泥水が筒部材内に流入することはなく、ロール状の遮水シートは中空の筒部材内で回転される。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の遮水シート収納具において、前記筒部材内には、先端部に第1の継手部が付設され、基端部に隣接する前記遮水シートの前記第1の継手部に連結される第2の継手部が付設された前記遮水シートが収納され、前記溝内に展開する前記遮水シートの前記第2の継手部を前記溝内に出る手前で両側から挟持する挟持手段が備えられていることを特徴としている。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項2記載の遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法において、前記遮水シート収納具を前記溝内に挿入する工程と、前記遮水シートの先端部を前記溝内に固定し、前記回転保持手段によって前記筒部材内の前記遮水シートを軸回転させつつ前記遮水シート収納具を前記溝に沿って移動させる工程と、前記遮水シートの基端部に付設された前記第2の継手部を前記挟持手段によって挟持する工程と、前記筒部材内に新たな遮水シートを挿装させるとともに、該新たな遮水シートの先端部に付設された第1の継手部を前記挟持手段によって挟持された第2の継手部に前記筒部材内で連結する工程とを備えることを特徴としている。
【0012】
このような特徴により、溝内に展開された遮水シートの基端部と新たに挿装される遮水シートの先端部とは、ソイルセメント等が流入していない中空の筒部材内で継手部を介して連結される。また、溝内に展開された遮水シート基端部の継手部と新たに挿装される遮水シート先端部の継手部とを結合させる際、遮水シート基端部に付設された継手部は挟持手段によって固定される。また、新たなロール状の遮水シートを溝内に配置する際、筒部材を溝内に配置したままの状態で、中空の筒部材内にロール状の遮水シートが挿装される。
【0013】
請求項3記載の発明は、前記筒部材内には、先端部に第1の継手部が付設されているとともに基端部が前記筒部材内で固定される前記遮水シートが収納され、前記筒部材の外側面には、隣接する前記遮水シートの前記第1の継手部が連結される第2の継手部が付設されていることを特徴としている。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項3記載の遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法において、前記遮水シート収納具を前記溝内に挿入する工程と、前記遮水シートの先端部を前記溝内に固定し、前記回転保持手段によって前記筒部材内の前記遮水シートを軸回転させつつ前記遮水シート収納具を前記溝に沿って移動させる工程と、新たな遮水シート収納具を前記溝内の前記筒部材に隣接させて前記溝内に挿入するとともに、前記新たな遮水シート収納具の筒部材内に収納された新たな遮水シートの前記第1の継手部と前記溝内の前記筒部材に付設された前記第2の継手部とを連結する工程とを備えることを特徴としている。
【0015】
このような特徴により、遮水シート収納具は筒部材の重量によって大きな圧入力を加えることなく溝内に挿入され、溝内にロール状の遮水シートが配置される。第1の継手部と第2の継手部とを結合させる際、第2の継手部は筒部材に付設されているため余計な挙動を起こさない。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の遮水シート収納具および請求項4記載の遮水シートの設置方法によれば、内部にロール状の遮水シートが収納されているとともに側部に遮水シートを引き出すための引出口が形成されている筒部材と、筒部材内の遮水シートを回転可能に保持する回転保持手段と、引出口を通過する遮水シートの両側にそれぞれ配置されて引出口を塞ぐ止水手段とが備えられており、回転保持手段によって筒部材内の遮水シートを軸回転させつつ遮水シート収納具を溝に沿って移動させるため、筒部材内に収納されたロール状の遮水シートは引出口から引き出されて構内に展開され、溝内に遮水シートを容易に設置することができる。また、遮水シートを展開させる際、止水手段によって筒部材内部にソイルセメント等が流入することはなく、ロール状の遮水シートは中空の筒部材内でスムーズに回転され、遮水シートを容易に展開させることができる。
【0017】
また、請求項2記載の遮水シート収納具および請求項4記載の遮水シートの設置方法によれば、筒部材内には先端部に第1の継手部が付設されて基端部に第2の継手部が付設された前記遮水シートが収納され、遮水シート収納具には第2の継手部を筒部材内で挟持する挟持手段が備えられており、新たな遮水シートの先端部に付設された第1の継手部を、挟持手段によって挟持された第2の継手部に連結するため、隣接する遮水シート同士はソイルセメント等が流入していない中空の筒部材内で連結され、ソイルセメント等の抵抗を受けることなく容易に連結することができる。また、溝内に展開された遮水シート基端部の第2の継手部と新たに挿装される遮水シート先端部の第1の継手部とを結合させる際、第2の継手部は挟持手段によって固定されるため、第2の継手部が余計な挙動を起こすことがなく、容易に連結することができる。また、遮水シートを連結させる際、溝内の筒部材はそのままの状態で、ロール状の遮水シートを中空の筒部材内に挿装させることで、新たなロール状の遮水シートは溝内に配置されるため、遮水シート同士をジョイントするたびに筒部材を溝内から引き上げる必要がなく、施工手間を軽減することができる。
【0018】
また、請求項3記載の遮水シート収納具および請求項5記載の遮水シートの設置方法によれば、筒部材内には先端部に第1の継手部が付設されて基端部が筒部材内で固定される遮水シートが収納され、筒部材の外側面には第2の継手部が付設されており、新たな遮水シート収納具を溝内の筒部材に隣接させて溝内に挿入するとともに、新たな遮水シート収納具の筒部材内に収納された新たな遮水シートの第1の継手部と溝内の筒部材に付設された第2の継手部とを連結するため、筒部材の重量によって大きな圧入力を加えることなく溝内に遮水シート収納具を挿入することができ、溝内にロール状の遮水シートを容易に配置することができる。また、第2の継手部は筒部材に付設されているため、第1の継手部と第2の継手部とを結合させる際、第2の継手部が余計な挙動を起こさず、容易に連結することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法の第1,第2の実施の形態について説明する。
【0020】
[第1の実施の形態]
図1は遮水シート収納具1の横断面図であり、図2は遮水シート収納具1の縦断面図である。図1,図2に示すように、遮水シート収納具1は、地盤Gに形成されてソイルセメントSが満たされた溝2内に配置され、溝2内で展開されるロール状に巻かれた遮水シート3を収納するとともに溝2内に遮水シート3を送り出すものであり、筒部材5と回転保持手段6と止水手段7と挟持手段8とが備えられている。遮水シート3は、ボビン9にロール状に巻き付けられており、遮水シート3の先端部には雌継手部10が付設されており、遮水シート3の基端部には雌継手部10に嵌合される雄継手部11が付設されている。
【0021】
筒部材5は、下端に底部5aが形成された中空円柱形のものであり、筒部材5の内部にはロール状の遮水シート3が収納されており、筒部材5の側部には遮水シート3を引き出すための引出口4が形成された箱状のボックス部12が形成されている。ボックス部12は筒部材5の側面から張設されており、引出口4はボックス部12の先端に形成されている。
【0022】
筒部材5の上端には蓋部5bが被せられており、筒部材5の内周面には複数のキャスター13が付設されている。キャスター13は鉛直方向に回転自在に取り付けられているとともにスプリング13aによって内側に付勢されており、回転自在のローラー部13bが遮水シート3の外周面に接触されている。また、ローラー部13bは回転自在に取り付けられており、ロール状の遮水シート3を挿入するときは鉛直方向に回転し、ロール状の遮水シート3を軸回転させるときは水平方向に回転する。
【0023】
回転保持手段6は、筒部材5内の遮水シート3を回転可能に保持するものであり、筒部材5内に収納されたロール状の遮水シート3を載せるターンテーブル14と、遮水シート3が巻き付けられたボビン9内に貫装された駆動シャフト15と、駆動シャフト15を軸回転させる駆動機16とから構成されている。ターンテーブル14は筒部材5内の底部5aに配置されており、水平方向に回転自在に取り付けられている。ターンテーブル14の中心には、駆動シャフト15の下端部が嵌挿される筒状のシャフトホルダー24が立設されており、駆動シャフト15とターンテーブル14とは一体的に回転される。駆動シャフト15の上端部は蓋部5bを貫通して蓋部5b上に配置された駆動機16に接続されており、駆動機16は駆動シャフト15に対して取り外し可能に設けられている。また、駆動シャフト15とボビン9とは、駆動シャフト15が回転するとボビン9も同期して回転するように嵌合されているとともに、ボビン9のみを引き抜くことができるように脱着可能に取り付けられている。
【0024】
止水手段7は、引出口4を塞いで筒部材5内へのソイルセメントSの流入を防ぐものであり、引出口4を通過する遮水シート3の両側にそれぞれ配置された対向する2枚の流入防止シート17から構成されている。流入防止シート17はフレキシブルなシートであり、例えばゴム製シートからなる。2枚の流入防止シート17は、ボックス部12からそれぞれ張り出されており、引出口4から出た遮水シート3を両面側から挟み込むように配置されている。流入防止シート17の基端部は、固定プレート18とボックス部12との間に介在されてボルト接合されており、流入防止シート17の先端部は、ソイルセメントSの圧力によって押圧されて遮水シート3にそれぞれ密着されている。
【0025】
挟持手段8は、溝2内に展開する遮水シート3の雄継手部11を溝2内に出る手前で両側から挟持するものであり、雄継手部11の両側に配置されて雄継手部11を両側から挟み込むように開閉する挟持部材19と、挟持部材19を水平方向に回転させて挟持部材19を開閉させる開閉機構20とから構成されている。挟持部材19は、ヒンジ結合された2枚のプレート19a,19bからなり、ボックス部12内に配置されている。一方のプレート19aはボックス部12の内面に接合されており、他方のプレート19bは回転自在に配置されている。雄継手部11を押圧する他方のプレート19bの端部は、若干屈曲されているとともに、ゴム製の緩衝材21が付設されており、緩衝材21によって他方のプレート19bの端部と雄継手部11とは密着される。
【0026】
図3(a)は閉状態の開閉機構20を表す斜視図であり、図3(b)は開状態の開閉機構20を表す斜視図である。図1,図3(a),図3(b)に示すように、開閉機構20はエアが送り込まれると膨張する複数の膨張部22と、膨張部22にエアを供給するエア管23と、図示せぬエアコンプレッサーとから構成されている。複数の膨張部22は他方のプレート19bの側方にそれぞれ配置されており、膨張部22と他方のプレート19bとは接触されている。図3(a)に示すように、膨張部22が膨張すると他方のプレート19bは押圧されて閉じる方向に回転し、図3(b)に示すように、膨張部22が収縮すると他方のプレート19bは開く方向に回転する。
【0027】
次に上記した遮水シート収納具1を用いて溝2内に遮水シート3の設置する方法について説明する。
【0028】
まず、図4に示すように、掘削機によって形成された溝2内にロール状の遮水シート3が収納された遮水シート収納具1を挿入する工程を行う。具体的には、重機Mを使用して遮水シート収納具1の上端部を掴持し、ソイルセメントSで満たされた溝2内に遮水シート収納具1を略鉛直に挿入する。
【0029】
次に、図1,図2に示すように、引出口4から筒部材5の外に引き出された遮水シート3の先端部を、例えば溝2内に打込んだ図示せぬ棒状のアンカー部材に係止させることで溝2内に固定し、回転保持手段6によって筒部材5内の遮水シート3を軸回転させつつ遮水シート収納具1を溝2に沿って移動させる工程を行う。具体的には、駆動機16を稼動させて駆動シャフト15を軸回転させ、駆動シャフト15の下端に取り付けられたターンテーブル14を回転させる。これによって、ターンテーブル14上に載せられたロール状の遮水シート3は筒部材5内に収納されたロール状の遮水シート3を軸回転する。このとき、筒部材5内のキャスター13は、ローラー部13bがスプリング13aによってロール状の遮水シート3の外周面に接触するとともにローラー部13bの向きが水平方向に回転する向きになり、軸回転するロール状の遮水シート3の外周面上を転がる。また、遮水シート収納具1は、重機などを用いて溝2に沿って移動させる。このとき、遮水シート収納具1を溝2に沿って移動させるとともに、遮水シート収納具1に備え付けられた図示せぬモルタル供給手段によって溝2の底にモルタル25を連続的に供給する。このモルタル25によって、溝2内に展開された遮水シート3の下端部と溝2の底面との間を塞ぐことができ、遮水シート3の下方の隙間から浸水することを防止することができる。
【0030】
次に、図1,図2,図5に示すように、遮水シート3の基端部に付設された雄継手部11を挟持手段8によって挟持する工程を行う。具体的には、膨張部22内にエアを送って加圧して対向する膨張部22をそれぞれ膨張させる。膨張部22が膨張すると、他方のプレート19bは押圧されて閉じる方向に回転し、挟持部材19は閉状態になる。そして、ボビン9に巻き付いていた遮水シート3を全て送り出したところで、遮水シート3基端部に付設された雄継手部11を対向する閉状態の挟持部材19間に嵌入させて固定する。
【0031】
次に、図1に示すように、筒部材5内に新たなロール状の遮水シート3aを挿装させるとともに、新たな遮水シート3aの先端部に付設された雌継手部10を挟持手段8によって挟持された雄継手部11に筒部材5内で連結する工程を行う。具体的には、駆動機16を駆動シャフト15から取り外して蓋部5b上から撤去し、筒部材5の上端に被せられた蓋部5bをあけて駆動シャフト15に挿装されたボビン9を抜き取る。そして、新たなロール状の遮水シート3aを筒部材5内に挿入し、新たなロール状の遮水シート3aのボビン9を駆動シャフト15に挿装させる。このとき、筒部材5内のキャスター13は、ローラー部13bがスプリング13aによってロール状の遮水シート3aの外周面に接触するとともにローラー部13bの向きが鉛直方向に回転する向きになり、挿入されるロール状の遮水シート3aの外周面上を転がる。また、新たな遮水シート3aの先端部に付設された雌継手部10を挟持手段8によって挟持された雄継手部11に嵌合させ、溝2内に展開された遮水シート3の基端部と新たな遮水シート3aの先端部とを連結する。
【0032】
次に、図6に示すように、雄継手部11を挟持する挟持手段8を解除し、筒部材5内に新たに収納された遮水シート3aを溝2内に展開させる工程を行う。具体的には、膨張部22内のエアを抜いて圧力を低下させ、膨張部22を収縮させ、他方のプレート19bを開く方向に回転させ、挟持部材19を開状態にする。そして、駆動機16を稼動させて筒部材5内に収納された新たなロール状の遮水シート3aを軸回転させるとともに、遮水シート収納具1を溝2に沿って移動させて、新たな遮水シート3aを溝2内に展開する。このとき、筒部材5内で嵌合された雌継手部10及び雄継手部11は、対向する開状態の挟持部材19の間を通過する。
【0033】
上記した構成からなる遮水シート収納具1によれば、ロール状の遮水シート3,3aは筒部材5内で回転しながら展開されるため、止水手段7によって筒部材5内部にソイルセメントSが流入することはなく、ロール状の遮水シート3は中空の筒部材5内でスムーズに回転され、遮水シート3,3aを容易に展開させることができる。なお、筒部材5内に抵抗の少ない水等の液体を充填してもよい。
【0034】
また、隣接する遮水シート3,3a同士はソイルセメントSが流入していない中空の筒部材5内で連結され、ソイルセメントSの抵抗を受けることなく容易に連結することができる。また、溝2内に展開された遮水シート3基端部の雄継手部11と新たに挿装される遮水シート3a先端部の雌継手部10とを結合させる際、雄継手部11は挟持手段8によって固定されるため、雄継手部11が余計な挙動を起こすことがなく、容易に連結することができる。
【0035】
また、遮水シート3,3a同士を連結させる際、溝2内の筒部材5を溝2内に配置したままの状態で、新たなロール状の遮水シート3aを中空の筒部材5内に挿装させるため、遮水シート3,3a同士をジョイントするたびに筒部材5を溝2内から引き上げる必要がなく、施工手間を軽減することができる。また、筒部材5内へのソイルセメントSの流入は、止水手段7の流入防止シート17と挟持手段8のプレート19bとの2重構造によって防止されるため、確実に流入を防止することができる。
【0036】
なお、上記した第1の実施の形態では、挟持手段8は、ヒンジ結合された2枚のプレート19a,19bからなりボックス部12内に固定された挟持部材19と、挟持部材19を開閉させる開閉機構20とから構成されているが、本発明は、図7に示すように、ボックス部202内でスライド自在、且つ着脱自在な挟持手段201を備える遮水シート収納具200であってもよい。
図7は遮水シート収納具200の横断面図であり、図8は図7に示すA−A間の縦断面図であり、図9は図7に示すB−B間の縦断面図である。
【0037】
図7,図8,図9に示すように、挟持手段201は、ボックス部202内に配置されて雌継手部218や雄継手部219を両側から挟み込む2つの挟持部材203から構成されている。挟持部材203は、鉛直に配置された管状の軸部材204と、該軸部材204に外装された水平方向に回転自在のローラ205と、軸部材204の底面に形成された孔204aに貫装された係止ピン206と、係止ピン206に連結されて軸部材204の上端から外部に出されているワイヤー207とから構成されている。
【0038】
2つの挟持部材203は、雌継手部218や雄継手部219を挟んで隣り合わせに配置されており、2つの挟持部材203に備えられたローラ205の間には、雌継手部218や雄継手部219が引っ掛かる程度の隙間があけられている。また、2つの挟持部材203の上端部間には架材208が架設されており、2つの挟持部材203は一体的に形成されている。
【0039】
また、2つの挟持部材203の下端部は、ボックス部202の底面に形成されて遮水シート3の引き出し方向に延在する溝状のガイド部209に嵌合されており、2つの挟持部材203は遮水シート3の引き出し方向にスライド自在に保持されている。また、ボックス部202の底面には、軸部材204の下端面から突出する係止ピン206が挿入されるピン孔210が形成されており、係止ピン206がピン孔210に挿入された状態では、係止ピン206がピン孔210に引っ掛かり、挟持部材203のスライド移動は規制される。
なお、図7,図8,図9に示す符号211は筒部材であり、符号212は遮水シートであり、符号213は駆動シャフトであり、符号214はボビンであり、符号215はキャスターであり、符号216は流入防止シートであり、符号217は引出口である。
【0040】
次に、上記した挟持手段201を備える遮水シート収納具200の使用方法を説明する。
図7,図9に示すように、先行の遮水シート212を展開させた後、挟持部材203によって雌継手部218を挟持させる工程を行う。このとき、ワイヤー207を引っ張って係止ピン206をピン孔210から引き抜き、2つの挟持部材203をガイド部209に沿って引出口217方向にそれぞれスライドさせる。
【0041】
次いで、先行の遮水シート212が巻かれていたボビン214を筒部材211内から引き抜き、図10,図11に示すように、ボビン214に巻かれた新たなロール状の遮水シート212aを筒部材211内に挿入させる工程を行う。具体的には、クレーン等によって略水平状態で吊り上げられるH形鋼等からなる鉄骨材220と、鉄骨材220の一端部に垂設されて架材208を把持する第1の把持部材221と、鉄骨材220の他端部に垂設されてボビン214の上端部を把持する第2の把持部材222とからなる吊込手段223によって、新たなロール状の遮水シート212aおよび2つの新たな挟持部材203aを一体的に吊り上げる。そして、先行して展開された既設の遮水シート212の雄継手部219と、新たな遮水シート212aの雌継手部218とを接続させつつ筒部材211内に挿入し、挟持部材203aの下端面から突出した係止ピン206をボックス部202底面に形成されたピン孔210に挿入させるとともに、ボビン214を駆動シャフト213に嵌め込む。
【0042】
次いで、先行の遮水シート212の雌継手部218を挟持している2つの挟持部材203をボックス部202内から引き抜いて撤去し、新たな遮水シート212aを展開させる。
【0043】
上記した挟持手段201を備える遮水シート収納具200によれば、先行して展開された既設の遮水シート212の雄継手部219と、新たな遮水シート212aの雌継手部218とを接続させる際、既設の遮水シート212の雄継手部219が2つの挟持部材203によって固定されるため、継手作業が容易に行うことができ、作業効率も向上する。これによって、工期短縮およびコスト低減を図ることができる。また、既設の遮水シート212の雄継手部219が2つの挟持部材203によって固定されるため、既設の遮水シート212の雄継手部219がボックス部202内から抜け出ることを防止することができる。
【0044】
[第2の実施の形態]
図12は遮水シート収納具100の横断面図であり、図13は遮水シート収納具100の縦断面図である。図12,図13に示すように、遮水シート収納具100は、スリット状の引出口104が形成されているとともにロール状の遮水シート105が収納される筒部材101と、ロール状の遮水シート105を軸回転自在に保持する回転保持手段102と、引出口104から筒部材101内へのソイルセメントSの流入を防止する止水手段103とが備えられている。遮水シート105は回転軸106にロール状に巻き付けられており、遮水シート105の先端部には雌継手部107が付設され、遮水シート105の基端部は回転軸106に接合されている。雌継手部107が付設された遮水シート105の先端部は引出口104から筒部材101の外に出ている。また、回転保持手段102は回転軸106の上下端廻りには複数のベアリング102aが配設されており、回転軸106は回転自在に保持される。
【0045】
筒部材101の外側面には、雌継手部107に嵌合されて結合される雄継手部108が付設されている。雄継手部108は、引出口104の対称位置に付設されており、筒部材101の軸方向に沿って延在されている。止水手段103は、引出口104から溝109内に送り出される遮水シート105を両側面から挟み込む対向するシール材110からなり、対向するシール材110は引出口104の両側面にそれぞれ接合されている。
【0046】
次に上記した遮水シート収納具100を用いて溝109内に遮水シート105の設置する方法について説明する。
【0047】
まず、図14に示すように、掘削機によって形成された溝109内にロール状の遮水シート105が収納された遮水シート収納具100を挿入する工程を行う。具体的には、図4に記載の重機を使用して遮水シート収納具100の上端部を掴持し、ソイルセメントSで満たされた溝109内に遮水シート収納具100を略鉛直に挿入する。
【0048】
次に、遮水シート105の先端部を、例えば溝2内に打込んだ図示せぬ棒状のアンカー部材に係止させることで溝109内に固定し、回転保持手段102によって筒部材101内の遮水シート105を軸回転させつつ遮水シート収納具100を溝109に沿って移動させる工程を行う。これによって、遮水シート105は引出口104から引き出されて溝109内に展開される。
【0049】
次に、新たな遮水シート収納具100aを溝109内の筒部材101に隣接させて溝109内に挿入するとともに、新たな筒部材101a内に収納された新たな遮水シート105aの雌継手部107と溝109内に立設された筒部材101に付設された雄継手部108とを連結する工程を行う。具体的には、上記した掘削機を用いて挿入する工程と同様にして新たな遮水シート収納具100aを把持し、新たな遮水シート105aの雌継手部107と、溝109内に既に配置された筒部材101の雄継手部108とを嵌合させつつ、遮水シート収納具100aを略鉛直に挿入する。
【0050】
次に、溝109内に既に配置された筒部材101内にグラウト等の固結材111を充填する工程を行う。具体的には、筒部材101の上端部に形成された図示せぬ注入口から流動性に優れた固結材111を充填する。
【0051】
次に、新たな筒部材101a内に収納された遮水シート105aを溝109内に展開させる工程を行う。具体的には、新たなロール状の遮水シート105aを回転させるとともに、新たな遮水シート収納具100aを溝109に沿って移動させ、新たな遮水シート105aを溝109内に引き出して展開させる。
【0052】
上記した構成からなる遮水シート収納具100によれば、遮水シート収納具100,100aは、筒部材101,101aの重量によって大きな圧入力を加えることなく溝109内に挿入され、溝109内にロール状の遮水シートを容易に配置することができる。また、雄継手部108は筒部材101に付設されているため、雌継手部107と雄継手部108とを結合させる際、筒部材101の重量によって雄継手部108が余計な挙動を起こさず、容易に連結することができる。
【0053】
以上、本発明に係る遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法の第1,第2の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記した第1,第2の実施の形態では、引出口4から引き出された遮水シート3の先端部を溝2内に固定し、筒部材5内の遮水シート3を軸回転させつつ重機Mを使用して遮水シート収納具1を溝2に沿って移動させることによって、遮水シート3を展開させているが、この方法では、遮水シート3と流入防止シート17との間の摩擦が大きくなり、遮水シート収納具1を鉛直に保つことが困難になる場合がある。そこで、本発明は、図15,図16に示すように、遮水シート収納具300の下端部にワイヤー301を介して水平方向に引張力を与えることにより、遮水シート収納具300の鉛直性を制御しながら遮水シート302を展開してもよい。
【0054】
上記した遮水シート302の設置方法には、ワイヤー301によって遮水シート収納具300を水平方向に引っ張る機構を搭載した重機M´が使用される。この重機M´は、例えば、クローラ状の本体部303と、略鉛直に立設されたマスト部304と、遮水シート収納具300を把持してマスト部304に沿って上下動する把持部305と、把持部305を上下動させる移動機構306と、遮水シート収納具300を略鉛直状態に保持する鉛直保持機構307とが備えられている。移動機構306は、マスト部304の上下端部にそれぞれ付設された上下動用滑車(シーブ)308と、本体部303に搭載された上下動用巻上機(ウインチ)309と、一端が把持部305に接続されて、上下動用のシーブ308に巻回されるとともに上下動用のウインチ309によって巻き上げられる上下動用のワイヤー310とから構成されている。また、鉛直保持機構307は、遮水シート302の展開方向における先方の溝311内に立設された棒状のワイヤー固定アンカー312と、遮水シート収納具300の下端部およびマスト部304の上下端部にそれぞれ付設された引張用滑車(シーブ)313と、本体部303に搭載された引張用巻上機(ウインチ)314と、一端がワイヤー固定アンカー312に固定されて、引張用のシーブ313に巻回されるとともに引張用のウインチ314によって巻き上げられる引張用のワイヤー301とから構成されている。また、ワイヤー固定アンカー312はアンカー留め315によって固定されている。
【0055】
上記した構成からなる重機M´を使用して遮水シート302を設置する方法について説明する。
まず、移動機構306を稼動させて遮水シート収納具300を溝311内に挿入するとともに、遮水シート302展開方向の所定距離先の溝311内にワイヤー固定アンカー312を打ち込む。このとき、ワイヤー固定アンカー312の下端部に予めワイヤー301を連結しておくとともに、このワイヤー301を引張用のシーブ313を通して引張用のウインチ314に巻きつけておく。次に、重機M´を遮水シート302展開方向に移動させるとともに、引張用のウインチ314で引張用のワイヤー301を巻き取り、遮水シート収納具300の下端部に引張力を与える。
【0056】
上記した遮水シート302の設置方法によれば、遮水シート収納具300を移動させて遮水シート302を展開させる際、遮水シート302と流入防止シート316との間の摩擦が大きい場合でも遮水シート収納具300を容易に鉛直に保つことができ、ソイルセメント壁中の遮水シート302の展開作業をスムーズに行うことができる。
なお、無論、第2の実施の形態における遮水シート収納具の下端部にワイヤーを介して水平方向に引張力を与えることにより、遮水シート収納具の鉛直性を制御しながら遮水シートを展開してもよい。
【0057】
また、上記した第1の実施の形態では、ロール状の遮水シート3が載せられたターンテーブル14を回転させることでロール状の遮水シート3を軸回転させているが、本発明は、遮水シートが巻き付けられたボビンを回転させることでロール状の遮水シートを軸回転させてもよい。また、ロール状の遮水シート3は、駆動シャフト15が挿通するボビン9に遮水シート3をロール状に巻き付けて形成されているが、本発明は、遮水シートのみをロール状に巻いたものでもよい。
【0058】
また、上記した第1の実施の形態では、挟持手段8には、エアの圧力によって膨張する膨張部22を用いて挟持部材19を開閉させる開閉機構20が備えられているが、本発明は、モータ等のアクチュエータを用いて挟持部材を開閉させてもよい。
【0059】
また、上記した第2の実施の形態では、ベアリング102aによって軸回転自在に保持された回転軸106に遮水シート105を巻き付けているが、本発明は、遮水シートをボビンに巻き付け、該ボビンを回転しない軸材に回転自在に挿装させてもよい。また、第1の実施の形態と同様に、駆動機を設けてロール状の遮水シートを機械的に軸回転させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係る遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法の第1の実施の形態を説明するための遮水シート収納具の横断面図である。
【図2】本発明に係る遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法の第1の実施の形態を説明するための遮水シート収納具の縦断面図である。
【図3】(a)は第1の実施の形態を説明するための閉状態の挟持手段を表す斜視図であり、(b)は第1の実施の形態を説明するための開状態の挟持手段を表す斜視図である。
【図4】本発明に係る遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法の第1の実施の形態を説明するための全体縦断面図である。
【図5】本発明に係る遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法の第1の実施の形態を説明するための遮水シート収納具の横断面図である。
【図6】本発明に係る遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法の第1の実施の形態を説明するための遮水シート収納具の横断面図である。
【図7】本発明に係る遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法のその他の実施形態を説明するための遮水シート収納具の横断面図である。
【図8】図7に示すA−A間の縦断面図である。
【図9】図7に示すB−B間の縦断面図である。
【図10】本発明に係る遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法のその他の実施形態を説明するための遮水シート収納具の横断面図である。
【図11】本発明に係る遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法のその他の実施形態を説明するための遮水シート収納具の縦断面図である。
【図12】本発明に係る遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法の第2の実施の形態を説明するための遮水シート収納具の横断面図である。
【図13】本発明に係る遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法の第2の実施の形態を説明するための遮水シート収納具の縦断面図である。
【図14】本発明に係る遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法の第2の実施の形態を説明するための全体横断面図である。
【図15】本発明に係る遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法のその他の実施の形態を説明するための全体縦断面図である。
【図16】本発明に係る遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法のその他の実施の形態を説明するための全体縦断面図である。
【符号の説明】
【0061】
1,100,100a,200,300 遮水シート収納具
2,109,311 溝
3,3a,105,105a,212,212a,302 遮水シート
4,104,217 引出口
5,101,101a,211 筒部材
6,102 回転保持手段
7,103 止水手段
8,201 挟持手段
10,107,218 雌継手部(第1の継手部)
11,108,219 雄継手部(第2の継手部)
G 地盤
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤に形成された溝内でロール状の遮水シートを展開させる場合に用いる遮水シート収納具およびその遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業廃棄物の最終処分場などでは、汚染物の流出を防止するために遮水構造で最終処分場を囲み、外部と仕切る必要がある。遮水構造としては、透水性の高い地盤や地耐力の低い地盤の場合、簡単且つ高い水密性を確保できる遮水シートを使用した遮水シート工法が採用される場合が多い。一般に、遮水シートからなる遮水構造を地盤内に鉛直に構築する方法として、まず地盤を溝状にほぐすとともに水を混合させて溝内を泥水に置き換え、次に泥水に置き換えられた溝内に遮水シートを鉛直に挿入する方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、近年、ロール状に巻いた遮水シートを溝内で展開する方法が開発されている。この方法は、ロール状の遮水シートを溝内に挿入し、溝内でロール状の遮水シートを展開し、溝内に遮水シートを配置する方法である。従来、ロール状の遮水シートは、芯部材に遮水シートを巻き付けたものであり、ロール状の遮水シートは溝内に満たされたソイルセメントや泥水の中で回転しながら展開される。
【0004】
また、一度に設置できる遮水シートの長さには限度があるため、長い範囲にわたって連続的な遮水構造体を構築する場合は、引き出される遮水シートの先端部および基端部に一対の継手部をそれぞれ付設し、既に溝内に配置された遮水シートの基端部と新たに挿入した遮水シートの先端部とを継手部を介して連結する。具体的には、溝内に配置された遮水シートの基端部の隣りにロール状の遮水シートを挿入しつつ、溝内の遮水シート基端部に付設された継手部と新たに挿入する遮水シート先端部の継手部とをジョイントさせていく。これによって、溝内に遮水シートを連続的に配置することができる。
【特許文献1】特許第3094186号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来のロール状の遮水シートでは、溝内に満たされたソイルセメント等の中でロール状の遮水シートを回転させつつ展開することとなるため、ソイルセメント等との摩擦抵抗によりロール状の遮水シートがスムーズに回転せず、遮水シートを展開させる際に大きな回転力が必要になるという問題がある。また、隣接する遮水シートに連結しながら新たな遮水シートを挿入する際、当該遮水シートと溝内のソイルセメント等との摩擦抵抗や遮水シート自体に作用する浮力に抵抗するために、大きな圧入力を加える必要があるという問題が存在する。また、溝内に配置された遮水シートの継手部はソイルセメント等の中で固定されていない状態にあるため、継手部同士をジョイントする作業は難しいという問題がある。さらに、時間が経過して溝内のソイルセメント等が固化した場合には、継手部同士をジョイントすることが困難になるという問題が存在する。
【0006】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、ロール状の遮水シートをスムーズに回転させ、遮水シートを容易に展開させることができる遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法を提供することを目的としている。また、ロール状の遮水シートをソイルセメント等が満たされた溝内に配置する際、大きな圧入力を加えずにロール状の遮水シートを容易に配置させることを目的としている。また、溝内に配置された遮水シートの継手部を固定し、継手部同士のジョイント作業を容易にすることを目的としている。さらには、ソイルセメント等が固化した場合でも継手部同士をジョイントさせることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、地盤に形成された溝内に配置され、ロール状に巻かれた遮水シートを収納するとともに該遮水シートを前記溝内に展開させる遮水シート収納具であって、内部にロール状の前記遮水シートが収納され、側部に該遮水シートを引き出すための引出口が形成されている筒部材と、該筒部材内の前記遮水シートを回転可能に保持する回転保持手段と、前記引出口を通過する前記遮水シートの両側にそれぞれ配置されて前記引出口を塞ぐ止水手段とが備えられていることを特徴としている。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法において、前記遮水シート収納具を前記溝内に挿入する工程と、前記遮水シートの先端部を前記溝内に固定し、前記回転保持手段によって前記筒部材内の前記遮水シートを軸回転させつつ前記遮水シート収納具を前記溝に沿って移動させる工程とを備える。
【0009】
このような特徴により、筒部材内に収納されたロール状の遮水シートを軸回転させつつ遮水シート収納具を溝内で移動させることで、筒部材内に収納されたロール状の遮水シートは引出口から引き出されて構内に展開するが、止水手段によって溝内に満たされたソイルセメントや泥水が筒部材内に流入することはなく、ロール状の遮水シートは中空の筒部材内で回転される。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の遮水シート収納具において、前記筒部材内には、先端部に第1の継手部が付設され、基端部に隣接する前記遮水シートの前記第1の継手部に連結される第2の継手部が付設された前記遮水シートが収納され、前記溝内に展開する前記遮水シートの前記第2の継手部を前記溝内に出る手前で両側から挟持する挟持手段が備えられていることを特徴としている。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項2記載の遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法において、前記遮水シート収納具を前記溝内に挿入する工程と、前記遮水シートの先端部を前記溝内に固定し、前記回転保持手段によって前記筒部材内の前記遮水シートを軸回転させつつ前記遮水シート収納具を前記溝に沿って移動させる工程と、前記遮水シートの基端部に付設された前記第2の継手部を前記挟持手段によって挟持する工程と、前記筒部材内に新たな遮水シートを挿装させるとともに、該新たな遮水シートの先端部に付設された第1の継手部を前記挟持手段によって挟持された第2の継手部に前記筒部材内で連結する工程とを備えることを特徴としている。
【0012】
このような特徴により、溝内に展開された遮水シートの基端部と新たに挿装される遮水シートの先端部とは、ソイルセメント等が流入していない中空の筒部材内で継手部を介して連結される。また、溝内に展開された遮水シート基端部の継手部と新たに挿装される遮水シート先端部の継手部とを結合させる際、遮水シート基端部に付設された継手部は挟持手段によって固定される。また、新たなロール状の遮水シートを溝内に配置する際、筒部材を溝内に配置したままの状態で、中空の筒部材内にロール状の遮水シートが挿装される。
【0013】
請求項3記載の発明は、前記筒部材内には、先端部に第1の継手部が付設されているとともに基端部が前記筒部材内で固定される前記遮水シートが収納され、前記筒部材の外側面には、隣接する前記遮水シートの前記第1の継手部が連結される第2の継手部が付設されていることを特徴としている。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項3記載の遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法において、前記遮水シート収納具を前記溝内に挿入する工程と、前記遮水シートの先端部を前記溝内に固定し、前記回転保持手段によって前記筒部材内の前記遮水シートを軸回転させつつ前記遮水シート収納具を前記溝に沿って移動させる工程と、新たな遮水シート収納具を前記溝内の前記筒部材に隣接させて前記溝内に挿入するとともに、前記新たな遮水シート収納具の筒部材内に収納された新たな遮水シートの前記第1の継手部と前記溝内の前記筒部材に付設された前記第2の継手部とを連結する工程とを備えることを特徴としている。
【0015】
このような特徴により、遮水シート収納具は筒部材の重量によって大きな圧入力を加えることなく溝内に挿入され、溝内にロール状の遮水シートが配置される。第1の継手部と第2の継手部とを結合させる際、第2の継手部は筒部材に付設されているため余計な挙動を起こさない。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の遮水シート収納具および請求項4記載の遮水シートの設置方法によれば、内部にロール状の遮水シートが収納されているとともに側部に遮水シートを引き出すための引出口が形成されている筒部材と、筒部材内の遮水シートを回転可能に保持する回転保持手段と、引出口を通過する遮水シートの両側にそれぞれ配置されて引出口を塞ぐ止水手段とが備えられており、回転保持手段によって筒部材内の遮水シートを軸回転させつつ遮水シート収納具を溝に沿って移動させるため、筒部材内に収納されたロール状の遮水シートは引出口から引き出されて構内に展開され、溝内に遮水シートを容易に設置することができる。また、遮水シートを展開させる際、止水手段によって筒部材内部にソイルセメント等が流入することはなく、ロール状の遮水シートは中空の筒部材内でスムーズに回転され、遮水シートを容易に展開させることができる。
【0017】
また、請求項2記載の遮水シート収納具および請求項4記載の遮水シートの設置方法によれば、筒部材内には先端部に第1の継手部が付設されて基端部に第2の継手部が付設された前記遮水シートが収納され、遮水シート収納具には第2の継手部を筒部材内で挟持する挟持手段が備えられており、新たな遮水シートの先端部に付設された第1の継手部を、挟持手段によって挟持された第2の継手部に連結するため、隣接する遮水シート同士はソイルセメント等が流入していない中空の筒部材内で連結され、ソイルセメント等の抵抗を受けることなく容易に連結することができる。また、溝内に展開された遮水シート基端部の第2の継手部と新たに挿装される遮水シート先端部の第1の継手部とを結合させる際、第2の継手部は挟持手段によって固定されるため、第2の継手部が余計な挙動を起こすことがなく、容易に連結することができる。また、遮水シートを連結させる際、溝内の筒部材はそのままの状態で、ロール状の遮水シートを中空の筒部材内に挿装させることで、新たなロール状の遮水シートは溝内に配置されるため、遮水シート同士をジョイントするたびに筒部材を溝内から引き上げる必要がなく、施工手間を軽減することができる。
【0018】
また、請求項3記載の遮水シート収納具および請求項5記載の遮水シートの設置方法によれば、筒部材内には先端部に第1の継手部が付設されて基端部が筒部材内で固定される遮水シートが収納され、筒部材の外側面には第2の継手部が付設されており、新たな遮水シート収納具を溝内の筒部材に隣接させて溝内に挿入するとともに、新たな遮水シート収納具の筒部材内に収納された新たな遮水シートの第1の継手部と溝内の筒部材に付設された第2の継手部とを連結するため、筒部材の重量によって大きな圧入力を加えることなく溝内に遮水シート収納具を挿入することができ、溝内にロール状の遮水シートを容易に配置することができる。また、第2の継手部は筒部材に付設されているため、第1の継手部と第2の継手部とを結合させる際、第2の継手部が余計な挙動を起こさず、容易に連結することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法の第1,第2の実施の形態について説明する。
【0020】
[第1の実施の形態]
図1は遮水シート収納具1の横断面図であり、図2は遮水シート収納具1の縦断面図である。図1,図2に示すように、遮水シート収納具1は、地盤Gに形成されてソイルセメントSが満たされた溝2内に配置され、溝2内で展開されるロール状に巻かれた遮水シート3を収納するとともに溝2内に遮水シート3を送り出すものであり、筒部材5と回転保持手段6と止水手段7と挟持手段8とが備えられている。遮水シート3は、ボビン9にロール状に巻き付けられており、遮水シート3の先端部には雌継手部10が付設されており、遮水シート3の基端部には雌継手部10に嵌合される雄継手部11が付設されている。
【0021】
筒部材5は、下端に底部5aが形成された中空円柱形のものであり、筒部材5の内部にはロール状の遮水シート3が収納されており、筒部材5の側部には遮水シート3を引き出すための引出口4が形成された箱状のボックス部12が形成されている。ボックス部12は筒部材5の側面から張設されており、引出口4はボックス部12の先端に形成されている。
【0022】
筒部材5の上端には蓋部5bが被せられており、筒部材5の内周面には複数のキャスター13が付設されている。キャスター13は鉛直方向に回転自在に取り付けられているとともにスプリング13aによって内側に付勢されており、回転自在のローラー部13bが遮水シート3の外周面に接触されている。また、ローラー部13bは回転自在に取り付けられており、ロール状の遮水シート3を挿入するときは鉛直方向に回転し、ロール状の遮水シート3を軸回転させるときは水平方向に回転する。
【0023】
回転保持手段6は、筒部材5内の遮水シート3を回転可能に保持するものであり、筒部材5内に収納されたロール状の遮水シート3を載せるターンテーブル14と、遮水シート3が巻き付けられたボビン9内に貫装された駆動シャフト15と、駆動シャフト15を軸回転させる駆動機16とから構成されている。ターンテーブル14は筒部材5内の底部5aに配置されており、水平方向に回転自在に取り付けられている。ターンテーブル14の中心には、駆動シャフト15の下端部が嵌挿される筒状のシャフトホルダー24が立設されており、駆動シャフト15とターンテーブル14とは一体的に回転される。駆動シャフト15の上端部は蓋部5bを貫通して蓋部5b上に配置された駆動機16に接続されており、駆動機16は駆動シャフト15に対して取り外し可能に設けられている。また、駆動シャフト15とボビン9とは、駆動シャフト15が回転するとボビン9も同期して回転するように嵌合されているとともに、ボビン9のみを引き抜くことができるように脱着可能に取り付けられている。
【0024】
止水手段7は、引出口4を塞いで筒部材5内へのソイルセメントSの流入を防ぐものであり、引出口4を通過する遮水シート3の両側にそれぞれ配置された対向する2枚の流入防止シート17から構成されている。流入防止シート17はフレキシブルなシートであり、例えばゴム製シートからなる。2枚の流入防止シート17は、ボックス部12からそれぞれ張り出されており、引出口4から出た遮水シート3を両面側から挟み込むように配置されている。流入防止シート17の基端部は、固定プレート18とボックス部12との間に介在されてボルト接合されており、流入防止シート17の先端部は、ソイルセメントSの圧力によって押圧されて遮水シート3にそれぞれ密着されている。
【0025】
挟持手段8は、溝2内に展開する遮水シート3の雄継手部11を溝2内に出る手前で両側から挟持するものであり、雄継手部11の両側に配置されて雄継手部11を両側から挟み込むように開閉する挟持部材19と、挟持部材19を水平方向に回転させて挟持部材19を開閉させる開閉機構20とから構成されている。挟持部材19は、ヒンジ結合された2枚のプレート19a,19bからなり、ボックス部12内に配置されている。一方のプレート19aはボックス部12の内面に接合されており、他方のプレート19bは回転自在に配置されている。雄継手部11を押圧する他方のプレート19bの端部は、若干屈曲されているとともに、ゴム製の緩衝材21が付設されており、緩衝材21によって他方のプレート19bの端部と雄継手部11とは密着される。
【0026】
図3(a)は閉状態の開閉機構20を表す斜視図であり、図3(b)は開状態の開閉機構20を表す斜視図である。図1,図3(a),図3(b)に示すように、開閉機構20はエアが送り込まれると膨張する複数の膨張部22と、膨張部22にエアを供給するエア管23と、図示せぬエアコンプレッサーとから構成されている。複数の膨張部22は他方のプレート19bの側方にそれぞれ配置されており、膨張部22と他方のプレート19bとは接触されている。図3(a)に示すように、膨張部22が膨張すると他方のプレート19bは押圧されて閉じる方向に回転し、図3(b)に示すように、膨張部22が収縮すると他方のプレート19bは開く方向に回転する。
【0027】
次に上記した遮水シート収納具1を用いて溝2内に遮水シート3の設置する方法について説明する。
【0028】
まず、図4に示すように、掘削機によって形成された溝2内にロール状の遮水シート3が収納された遮水シート収納具1を挿入する工程を行う。具体的には、重機Mを使用して遮水シート収納具1の上端部を掴持し、ソイルセメントSで満たされた溝2内に遮水シート収納具1を略鉛直に挿入する。
【0029】
次に、図1,図2に示すように、引出口4から筒部材5の外に引き出された遮水シート3の先端部を、例えば溝2内に打込んだ図示せぬ棒状のアンカー部材に係止させることで溝2内に固定し、回転保持手段6によって筒部材5内の遮水シート3を軸回転させつつ遮水シート収納具1を溝2に沿って移動させる工程を行う。具体的には、駆動機16を稼動させて駆動シャフト15を軸回転させ、駆動シャフト15の下端に取り付けられたターンテーブル14を回転させる。これによって、ターンテーブル14上に載せられたロール状の遮水シート3は筒部材5内に収納されたロール状の遮水シート3を軸回転する。このとき、筒部材5内のキャスター13は、ローラー部13bがスプリング13aによってロール状の遮水シート3の外周面に接触するとともにローラー部13bの向きが水平方向に回転する向きになり、軸回転するロール状の遮水シート3の外周面上を転がる。また、遮水シート収納具1は、重機などを用いて溝2に沿って移動させる。このとき、遮水シート収納具1を溝2に沿って移動させるとともに、遮水シート収納具1に備え付けられた図示せぬモルタル供給手段によって溝2の底にモルタル25を連続的に供給する。このモルタル25によって、溝2内に展開された遮水シート3の下端部と溝2の底面との間を塞ぐことができ、遮水シート3の下方の隙間から浸水することを防止することができる。
【0030】
次に、図1,図2,図5に示すように、遮水シート3の基端部に付設された雄継手部11を挟持手段8によって挟持する工程を行う。具体的には、膨張部22内にエアを送って加圧して対向する膨張部22をそれぞれ膨張させる。膨張部22が膨張すると、他方のプレート19bは押圧されて閉じる方向に回転し、挟持部材19は閉状態になる。そして、ボビン9に巻き付いていた遮水シート3を全て送り出したところで、遮水シート3基端部に付設された雄継手部11を対向する閉状態の挟持部材19間に嵌入させて固定する。
【0031】
次に、図1に示すように、筒部材5内に新たなロール状の遮水シート3aを挿装させるとともに、新たな遮水シート3aの先端部に付設された雌継手部10を挟持手段8によって挟持された雄継手部11に筒部材5内で連結する工程を行う。具体的には、駆動機16を駆動シャフト15から取り外して蓋部5b上から撤去し、筒部材5の上端に被せられた蓋部5bをあけて駆動シャフト15に挿装されたボビン9を抜き取る。そして、新たなロール状の遮水シート3aを筒部材5内に挿入し、新たなロール状の遮水シート3aのボビン9を駆動シャフト15に挿装させる。このとき、筒部材5内のキャスター13は、ローラー部13bがスプリング13aによってロール状の遮水シート3aの外周面に接触するとともにローラー部13bの向きが鉛直方向に回転する向きになり、挿入されるロール状の遮水シート3aの外周面上を転がる。また、新たな遮水シート3aの先端部に付設された雌継手部10を挟持手段8によって挟持された雄継手部11に嵌合させ、溝2内に展開された遮水シート3の基端部と新たな遮水シート3aの先端部とを連結する。
【0032】
次に、図6に示すように、雄継手部11を挟持する挟持手段8を解除し、筒部材5内に新たに収納された遮水シート3aを溝2内に展開させる工程を行う。具体的には、膨張部22内のエアを抜いて圧力を低下させ、膨張部22を収縮させ、他方のプレート19bを開く方向に回転させ、挟持部材19を開状態にする。そして、駆動機16を稼動させて筒部材5内に収納された新たなロール状の遮水シート3aを軸回転させるとともに、遮水シート収納具1を溝2に沿って移動させて、新たな遮水シート3aを溝2内に展開する。このとき、筒部材5内で嵌合された雌継手部10及び雄継手部11は、対向する開状態の挟持部材19の間を通過する。
【0033】
上記した構成からなる遮水シート収納具1によれば、ロール状の遮水シート3,3aは筒部材5内で回転しながら展開されるため、止水手段7によって筒部材5内部にソイルセメントSが流入することはなく、ロール状の遮水シート3は中空の筒部材5内でスムーズに回転され、遮水シート3,3aを容易に展開させることができる。なお、筒部材5内に抵抗の少ない水等の液体を充填してもよい。
【0034】
また、隣接する遮水シート3,3a同士はソイルセメントSが流入していない中空の筒部材5内で連結され、ソイルセメントSの抵抗を受けることなく容易に連結することができる。また、溝2内に展開された遮水シート3基端部の雄継手部11と新たに挿装される遮水シート3a先端部の雌継手部10とを結合させる際、雄継手部11は挟持手段8によって固定されるため、雄継手部11が余計な挙動を起こすことがなく、容易に連結することができる。
【0035】
また、遮水シート3,3a同士を連結させる際、溝2内の筒部材5を溝2内に配置したままの状態で、新たなロール状の遮水シート3aを中空の筒部材5内に挿装させるため、遮水シート3,3a同士をジョイントするたびに筒部材5を溝2内から引き上げる必要がなく、施工手間を軽減することができる。また、筒部材5内へのソイルセメントSの流入は、止水手段7の流入防止シート17と挟持手段8のプレート19bとの2重構造によって防止されるため、確実に流入を防止することができる。
【0036】
なお、上記した第1の実施の形態では、挟持手段8は、ヒンジ結合された2枚のプレート19a,19bからなりボックス部12内に固定された挟持部材19と、挟持部材19を開閉させる開閉機構20とから構成されているが、本発明は、図7に示すように、ボックス部202内でスライド自在、且つ着脱自在な挟持手段201を備える遮水シート収納具200であってもよい。
図7は遮水シート収納具200の横断面図であり、図8は図7に示すA−A間の縦断面図であり、図9は図7に示すB−B間の縦断面図である。
【0037】
図7,図8,図9に示すように、挟持手段201は、ボックス部202内に配置されて雌継手部218や雄継手部219を両側から挟み込む2つの挟持部材203から構成されている。挟持部材203は、鉛直に配置された管状の軸部材204と、該軸部材204に外装された水平方向に回転自在のローラ205と、軸部材204の底面に形成された孔204aに貫装された係止ピン206と、係止ピン206に連結されて軸部材204の上端から外部に出されているワイヤー207とから構成されている。
【0038】
2つの挟持部材203は、雌継手部218や雄継手部219を挟んで隣り合わせに配置されており、2つの挟持部材203に備えられたローラ205の間には、雌継手部218や雄継手部219が引っ掛かる程度の隙間があけられている。また、2つの挟持部材203の上端部間には架材208が架設されており、2つの挟持部材203は一体的に形成されている。
【0039】
また、2つの挟持部材203の下端部は、ボックス部202の底面に形成されて遮水シート3の引き出し方向に延在する溝状のガイド部209に嵌合されており、2つの挟持部材203は遮水シート3の引き出し方向にスライド自在に保持されている。また、ボックス部202の底面には、軸部材204の下端面から突出する係止ピン206が挿入されるピン孔210が形成されており、係止ピン206がピン孔210に挿入された状態では、係止ピン206がピン孔210に引っ掛かり、挟持部材203のスライド移動は規制される。
なお、図7,図8,図9に示す符号211は筒部材であり、符号212は遮水シートであり、符号213は駆動シャフトであり、符号214はボビンであり、符号215はキャスターであり、符号216は流入防止シートであり、符号217は引出口である。
【0040】
次に、上記した挟持手段201を備える遮水シート収納具200の使用方法を説明する。
図7,図9に示すように、先行の遮水シート212を展開させた後、挟持部材203によって雌継手部218を挟持させる工程を行う。このとき、ワイヤー207を引っ張って係止ピン206をピン孔210から引き抜き、2つの挟持部材203をガイド部209に沿って引出口217方向にそれぞれスライドさせる。
【0041】
次いで、先行の遮水シート212が巻かれていたボビン214を筒部材211内から引き抜き、図10,図11に示すように、ボビン214に巻かれた新たなロール状の遮水シート212aを筒部材211内に挿入させる工程を行う。具体的には、クレーン等によって略水平状態で吊り上げられるH形鋼等からなる鉄骨材220と、鉄骨材220の一端部に垂設されて架材208を把持する第1の把持部材221と、鉄骨材220の他端部に垂設されてボビン214の上端部を把持する第2の把持部材222とからなる吊込手段223によって、新たなロール状の遮水シート212aおよび2つの新たな挟持部材203aを一体的に吊り上げる。そして、先行して展開された既設の遮水シート212の雄継手部219と、新たな遮水シート212aの雌継手部218とを接続させつつ筒部材211内に挿入し、挟持部材203aの下端面から突出した係止ピン206をボックス部202底面に形成されたピン孔210に挿入させるとともに、ボビン214を駆動シャフト213に嵌め込む。
【0042】
次いで、先行の遮水シート212の雌継手部218を挟持している2つの挟持部材203をボックス部202内から引き抜いて撤去し、新たな遮水シート212aを展開させる。
【0043】
上記した挟持手段201を備える遮水シート収納具200によれば、先行して展開された既設の遮水シート212の雄継手部219と、新たな遮水シート212aの雌継手部218とを接続させる際、既設の遮水シート212の雄継手部219が2つの挟持部材203によって固定されるため、継手作業が容易に行うことができ、作業効率も向上する。これによって、工期短縮およびコスト低減を図ることができる。また、既設の遮水シート212の雄継手部219が2つの挟持部材203によって固定されるため、既設の遮水シート212の雄継手部219がボックス部202内から抜け出ることを防止することができる。
【0044】
[第2の実施の形態]
図12は遮水シート収納具100の横断面図であり、図13は遮水シート収納具100の縦断面図である。図12,図13に示すように、遮水シート収納具100は、スリット状の引出口104が形成されているとともにロール状の遮水シート105が収納される筒部材101と、ロール状の遮水シート105を軸回転自在に保持する回転保持手段102と、引出口104から筒部材101内へのソイルセメントSの流入を防止する止水手段103とが備えられている。遮水シート105は回転軸106にロール状に巻き付けられており、遮水シート105の先端部には雌継手部107が付設され、遮水シート105の基端部は回転軸106に接合されている。雌継手部107が付設された遮水シート105の先端部は引出口104から筒部材101の外に出ている。また、回転保持手段102は回転軸106の上下端廻りには複数のベアリング102aが配設されており、回転軸106は回転自在に保持される。
【0045】
筒部材101の外側面には、雌継手部107に嵌合されて結合される雄継手部108が付設されている。雄継手部108は、引出口104の対称位置に付設されており、筒部材101の軸方向に沿って延在されている。止水手段103は、引出口104から溝109内に送り出される遮水シート105を両側面から挟み込む対向するシール材110からなり、対向するシール材110は引出口104の両側面にそれぞれ接合されている。
【0046】
次に上記した遮水シート収納具100を用いて溝109内に遮水シート105の設置する方法について説明する。
【0047】
まず、図14に示すように、掘削機によって形成された溝109内にロール状の遮水シート105が収納された遮水シート収納具100を挿入する工程を行う。具体的には、図4に記載の重機を使用して遮水シート収納具100の上端部を掴持し、ソイルセメントSで満たされた溝109内に遮水シート収納具100を略鉛直に挿入する。
【0048】
次に、遮水シート105の先端部を、例えば溝2内に打込んだ図示せぬ棒状のアンカー部材に係止させることで溝109内に固定し、回転保持手段102によって筒部材101内の遮水シート105を軸回転させつつ遮水シート収納具100を溝109に沿って移動させる工程を行う。これによって、遮水シート105は引出口104から引き出されて溝109内に展開される。
【0049】
次に、新たな遮水シート収納具100aを溝109内の筒部材101に隣接させて溝109内に挿入するとともに、新たな筒部材101a内に収納された新たな遮水シート105aの雌継手部107と溝109内に立設された筒部材101に付設された雄継手部108とを連結する工程を行う。具体的には、上記した掘削機を用いて挿入する工程と同様にして新たな遮水シート収納具100aを把持し、新たな遮水シート105aの雌継手部107と、溝109内に既に配置された筒部材101の雄継手部108とを嵌合させつつ、遮水シート収納具100aを略鉛直に挿入する。
【0050】
次に、溝109内に既に配置された筒部材101内にグラウト等の固結材111を充填する工程を行う。具体的には、筒部材101の上端部に形成された図示せぬ注入口から流動性に優れた固結材111を充填する。
【0051】
次に、新たな筒部材101a内に収納された遮水シート105aを溝109内に展開させる工程を行う。具体的には、新たなロール状の遮水シート105aを回転させるとともに、新たな遮水シート収納具100aを溝109に沿って移動させ、新たな遮水シート105aを溝109内に引き出して展開させる。
【0052】
上記した構成からなる遮水シート収納具100によれば、遮水シート収納具100,100aは、筒部材101,101aの重量によって大きな圧入力を加えることなく溝109内に挿入され、溝109内にロール状の遮水シートを容易に配置することができる。また、雄継手部108は筒部材101に付設されているため、雌継手部107と雄継手部108とを結合させる際、筒部材101の重量によって雄継手部108が余計な挙動を起こさず、容易に連結することができる。
【0053】
以上、本発明に係る遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法の第1,第2の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記した第1,第2の実施の形態では、引出口4から引き出された遮水シート3の先端部を溝2内に固定し、筒部材5内の遮水シート3を軸回転させつつ重機Mを使用して遮水シート収納具1を溝2に沿って移動させることによって、遮水シート3を展開させているが、この方法では、遮水シート3と流入防止シート17との間の摩擦が大きくなり、遮水シート収納具1を鉛直に保つことが困難になる場合がある。そこで、本発明は、図15,図16に示すように、遮水シート収納具300の下端部にワイヤー301を介して水平方向に引張力を与えることにより、遮水シート収納具300の鉛直性を制御しながら遮水シート302を展開してもよい。
【0054】
上記した遮水シート302の設置方法には、ワイヤー301によって遮水シート収納具300を水平方向に引っ張る機構を搭載した重機M´が使用される。この重機M´は、例えば、クローラ状の本体部303と、略鉛直に立設されたマスト部304と、遮水シート収納具300を把持してマスト部304に沿って上下動する把持部305と、把持部305を上下動させる移動機構306と、遮水シート収納具300を略鉛直状態に保持する鉛直保持機構307とが備えられている。移動機構306は、マスト部304の上下端部にそれぞれ付設された上下動用滑車(シーブ)308と、本体部303に搭載された上下動用巻上機(ウインチ)309と、一端が把持部305に接続されて、上下動用のシーブ308に巻回されるとともに上下動用のウインチ309によって巻き上げられる上下動用のワイヤー310とから構成されている。また、鉛直保持機構307は、遮水シート302の展開方向における先方の溝311内に立設された棒状のワイヤー固定アンカー312と、遮水シート収納具300の下端部およびマスト部304の上下端部にそれぞれ付設された引張用滑車(シーブ)313と、本体部303に搭載された引張用巻上機(ウインチ)314と、一端がワイヤー固定アンカー312に固定されて、引張用のシーブ313に巻回されるとともに引張用のウインチ314によって巻き上げられる引張用のワイヤー301とから構成されている。また、ワイヤー固定アンカー312はアンカー留め315によって固定されている。
【0055】
上記した構成からなる重機M´を使用して遮水シート302を設置する方法について説明する。
まず、移動機構306を稼動させて遮水シート収納具300を溝311内に挿入するとともに、遮水シート302展開方向の所定距離先の溝311内にワイヤー固定アンカー312を打ち込む。このとき、ワイヤー固定アンカー312の下端部に予めワイヤー301を連結しておくとともに、このワイヤー301を引張用のシーブ313を通して引張用のウインチ314に巻きつけておく。次に、重機M´を遮水シート302展開方向に移動させるとともに、引張用のウインチ314で引張用のワイヤー301を巻き取り、遮水シート収納具300の下端部に引張力を与える。
【0056】
上記した遮水シート302の設置方法によれば、遮水シート収納具300を移動させて遮水シート302を展開させる際、遮水シート302と流入防止シート316との間の摩擦が大きい場合でも遮水シート収納具300を容易に鉛直に保つことができ、ソイルセメント壁中の遮水シート302の展開作業をスムーズに行うことができる。
なお、無論、第2の実施の形態における遮水シート収納具の下端部にワイヤーを介して水平方向に引張力を与えることにより、遮水シート収納具の鉛直性を制御しながら遮水シートを展開してもよい。
【0057】
また、上記した第1の実施の形態では、ロール状の遮水シート3が載せられたターンテーブル14を回転させることでロール状の遮水シート3を軸回転させているが、本発明は、遮水シートが巻き付けられたボビンを回転させることでロール状の遮水シートを軸回転させてもよい。また、ロール状の遮水シート3は、駆動シャフト15が挿通するボビン9に遮水シート3をロール状に巻き付けて形成されているが、本発明は、遮水シートのみをロール状に巻いたものでもよい。
【0058】
また、上記した第1の実施の形態では、挟持手段8には、エアの圧力によって膨張する膨張部22を用いて挟持部材19を開閉させる開閉機構20が備えられているが、本発明は、モータ等のアクチュエータを用いて挟持部材を開閉させてもよい。
【0059】
また、上記した第2の実施の形態では、ベアリング102aによって軸回転自在に保持された回転軸106に遮水シート105を巻き付けているが、本発明は、遮水シートをボビンに巻き付け、該ボビンを回転しない軸材に回転自在に挿装させてもよい。また、第1の実施の形態と同様に、駆動機を設けてロール状の遮水シートを機械的に軸回転させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係る遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法の第1の実施の形態を説明するための遮水シート収納具の横断面図である。
【図2】本発明に係る遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法の第1の実施の形態を説明するための遮水シート収納具の縦断面図である。
【図3】(a)は第1の実施の形態を説明するための閉状態の挟持手段を表す斜視図であり、(b)は第1の実施の形態を説明するための開状態の挟持手段を表す斜視図である。
【図4】本発明に係る遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法の第1の実施の形態を説明するための全体縦断面図である。
【図5】本発明に係る遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法の第1の実施の形態を説明するための遮水シート収納具の横断面図である。
【図6】本発明に係る遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法の第1の実施の形態を説明するための遮水シート収納具の横断面図である。
【図7】本発明に係る遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法のその他の実施形態を説明するための遮水シート収納具の横断面図である。
【図8】図7に示すA−A間の縦断面図である。
【図9】図7に示すB−B間の縦断面図である。
【図10】本発明に係る遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法のその他の実施形態を説明するための遮水シート収納具の横断面図である。
【図11】本発明に係る遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法のその他の実施形態を説明するための遮水シート収納具の縦断面図である。
【図12】本発明に係る遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法の第2の実施の形態を説明するための遮水シート収納具の横断面図である。
【図13】本発明に係る遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法の第2の実施の形態を説明するための遮水シート収納具の縦断面図である。
【図14】本発明に係る遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法の第2の実施の形態を説明するための全体横断面図である。
【図15】本発明に係る遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法のその他の実施の形態を説明するための全体縦断面図である。
【図16】本発明に係る遮水シート収納具および遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法のその他の実施の形態を説明するための全体縦断面図である。
【符号の説明】
【0061】
1,100,100a,200,300 遮水シート収納具
2,109,311 溝
3,3a,105,105a,212,212a,302 遮水シート
4,104,217 引出口
5,101,101a,211 筒部材
6,102 回転保持手段
7,103 止水手段
8,201 挟持手段
10,107,218 雌継手部(第1の継手部)
11,108,219 雄継手部(第2の継手部)
G 地盤
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に形成された溝内に配置され、ロール状に巻かれた遮水シートを収納するとともに該遮水シートを前記溝内に展開させる遮水シート収納具であって、
内部にロール状の前記遮水シートが収納され、側部に該遮水シートを引き出すための引出口が形成されている筒部材と、
該筒部材内の前記遮水シートを回転可能に保持する回転保持手段と、
前記引出口を通過する前記遮水シートの両側にそれぞれ配置されて前記引出口を塞ぐ止水手段とが備えられていることを特徴とする遮水シート収納具。
【請求項2】
請求項1記載の遮水シート収納具において、
前記筒部材内には、先端部に第1の継手部が付設され、基端部に隣接する前記遮水シートの前記第1の継手部に連結される第2の継手部が付設された前記遮水シートが収納され、
前記溝内に展開する前記遮水シートの前記第2の継手部を前記溝内に出る手前で両側から挟持する挟持手段が備えられていることを特徴とする遮水シート収納具。
【請求項3】
請求項1記載の遮水シート収納具において、
前記筒部材内には、先端部に第1の継手部が付設されているとともに基端部が前記筒部材内で固定される前記遮水シートが収納され、
前記筒部材の外側面には、隣接する前記遮水シートの前記第1の継手部が連結される第2の継手部が付設されていることを特徴とする遮水シート収納具。
【請求項4】
請求項1記載の遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法において、
前記遮水シート収納具を前記溝内に挿入する工程と、
前記遮水シートの先端部を前記溝内に固定し、前記回転保持手段によって前記筒部材内の前記遮水シートを軸回転させつつ前記遮水シート収納具を前記溝に沿って移動させる工程とを備えることを特徴とする遮水シートの設置方法。
【請求項5】
請求項2記載の遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法において、
前記遮水シート収納具を前記溝内に挿入する工程と、
前記遮水シートの先端部を前記溝内に固定し、前記回転保持手段によって前記筒部材内の前記遮水シートを軸回転させつつ前記遮水シート収納具を前記溝に沿って移動させる工程と、
前記遮水シートの基端部に付設された前記第2の継手部を前記挟持手段によって挟持する工程と、
前記筒部材内に新たな遮水シートを挿装させるとともに、該新たな遮水シートの先端部に付設された前記第1の継手部を前記挟持手段によって挟持された前記第2の継手部に前記筒部材内で連結する工程とを備えることを特徴とする遮水シートの設置方法。
【請求項6】
請求項3記載の遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法において、
前記遮水シート収納具を前記溝内に挿入する工程と、
前記遮水シートの先端部を前記溝内に固定し、前記回転保持手段によって前記筒部材内の前記遮水シートを軸回転させつつ前記遮水シート収納具を前記溝に沿って移動させる工程と、
新たな遮水シート収納具を前記溝内の前記筒部材に隣接させて前記溝内に挿入するとともに、前記新たな遮水シート収納具の筒部材内に収納された新たな遮水シートの前記第1の継手部と前記溝内の前記筒部材に付設された前記第2の継手部とを連結する工程とを備えることを特徴とする遮水シートの設置方法。
【請求項1】
地盤に形成された溝内に配置され、ロール状に巻かれた遮水シートを収納するとともに該遮水シートを前記溝内に展開させる遮水シート収納具であって、
内部にロール状の前記遮水シートが収納され、側部に該遮水シートを引き出すための引出口が形成されている筒部材と、
該筒部材内の前記遮水シートを回転可能に保持する回転保持手段と、
前記引出口を通過する前記遮水シートの両側にそれぞれ配置されて前記引出口を塞ぐ止水手段とが備えられていることを特徴とする遮水シート収納具。
【請求項2】
請求項1記載の遮水シート収納具において、
前記筒部材内には、先端部に第1の継手部が付設され、基端部に隣接する前記遮水シートの前記第1の継手部に連結される第2の継手部が付設された前記遮水シートが収納され、
前記溝内に展開する前記遮水シートの前記第2の継手部を前記溝内に出る手前で両側から挟持する挟持手段が備えられていることを特徴とする遮水シート収納具。
【請求項3】
請求項1記載の遮水シート収納具において、
前記筒部材内には、先端部に第1の継手部が付設されているとともに基端部が前記筒部材内で固定される前記遮水シートが収納され、
前記筒部材の外側面には、隣接する前記遮水シートの前記第1の継手部が連結される第2の継手部が付設されていることを特徴とする遮水シート収納具。
【請求項4】
請求項1記載の遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法において、
前記遮水シート収納具を前記溝内に挿入する工程と、
前記遮水シートの先端部を前記溝内に固定し、前記回転保持手段によって前記筒部材内の前記遮水シートを軸回転させつつ前記遮水シート収納具を前記溝に沿って移動させる工程とを備えることを特徴とする遮水シートの設置方法。
【請求項5】
請求項2記載の遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法において、
前記遮水シート収納具を前記溝内に挿入する工程と、
前記遮水シートの先端部を前記溝内に固定し、前記回転保持手段によって前記筒部材内の前記遮水シートを軸回転させつつ前記遮水シート収納具を前記溝に沿って移動させる工程と、
前記遮水シートの基端部に付設された前記第2の継手部を前記挟持手段によって挟持する工程と、
前記筒部材内に新たな遮水シートを挿装させるとともに、該新たな遮水シートの先端部に付設された前記第1の継手部を前記挟持手段によって挟持された前記第2の継手部に前記筒部材内で連結する工程とを備えることを特徴とする遮水シートの設置方法。
【請求項6】
請求項3記載の遮水シート収納具を用いた遮水シートの設置方法において、
前記遮水シート収納具を前記溝内に挿入する工程と、
前記遮水シートの先端部を前記溝内に固定し、前記回転保持手段によって前記筒部材内の前記遮水シートを軸回転させつつ前記遮水シート収納具を前記溝に沿って移動させる工程と、
新たな遮水シート収納具を前記溝内の前記筒部材に隣接させて前記溝内に挿入するとともに、前記新たな遮水シート収納具の筒部材内に収納された新たな遮水シートの前記第1の継手部と前記溝内の前記筒部材に付設された前記第2の継手部とを連結する工程とを備えることを特徴とする遮水シートの設置方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−207153(P2006−207153A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−17360(P2005−17360)
【出願日】平成17年1月25日(2005.1.25)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【出願人】(000140694)株式会社加藤建設 (50)
【出願人】(000204192)太陽工業株式会社 (174)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月25日(2005.1.25)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【出願人】(000140694)株式会社加藤建設 (50)
【出願人】(000204192)太陽工業株式会社 (174)
【Fターム(参考)】
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