遮水壁築造工法
【課題】特別な機器やボーリング機械を使用することなく、不必要に強度を高くしてしまうことなく、遮水壁を築造することが出来る遮水壁築造工法の提供。
【解決手段】下端部から下方へ地盤掘削用噴流(12J)を噴射しながら鋼材(10、20)に振動或いは打撃を付与しつつ施工するべき地盤(G)中に押し込み、鋼材(10、20)を所定の深度(D)まで押し込んだならば、鋼材(10、20)を地上側(U)に引き上げつつ、鋼材(10、20)下端部に設けられた固化材噴射用ノズル(14)から水平方向(L)に固化材噴流(ジェット14J)を噴射する。
【解決手段】下端部から下方へ地盤掘削用噴流(12J)を噴射しながら鋼材(10、20)に振動或いは打撃を付与しつつ施工するべき地盤(G)中に押し込み、鋼材(10、20)を所定の深度(D)まで押し込んだならば、鋼材(10、20)を地上側(U)に引き上げつつ、鋼材(10、20)下端部に設けられた固化材噴射用ノズル(14)から水平方向(L)に固化材噴流(ジェット14J)を噴射する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に遮水壁を造成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に壁状固結体を造成するについては、従来から種々の技術が提案されている。
例えば、固化材及び/又は水の高圧ジェットにより、施工するべき地盤を溝状に切削し、原位置土と固化材とを混合、攪拌して、地中壁を造成する技術や、多軸混練装置を用いて、複数の円柱状領域を切削しながら原位置土と固化材とを所定領域ずつ混合、攪拌することにより地中壁を造成する技術等が存在する。
【0003】
しかし、高圧ジェットを用いる従来技術では、施工地盤を掘削する機器と、高圧ジェットで固化材及び/又は水を施工地盤に対して噴射するための機器とが必要であり、その様な機器を施工現場に搬送して、設置するためのコストが嵩んでしまう、という問題が存在する。
一方、多軸混練装置を用いる従来技術においても同様な問題、すなわち、大規模な機械である多軸混練装置を施工現場まで搬送して、設置しなければならない。
さらに、上述した高圧ジェットを用いる従来技術や、多軸混練装置を用いる従来技術によって遮水壁を築造する場合において、従来技術を用いると、必要以上の強度を有する地中壁状体が造成されてしまい、その分だけコスト的に不都合である。
【0004】
その他の従来技術として、所定間隔を隔てて縦孔を掘削し、縦孔内に芯材を建て込み、芯材に沿って昇降可能な昇降体を設け、昇降体を縦孔底部から地上側に上昇させると同時に隣接する縦孔に向けて固化材を噴射する技術が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、係る従来技術(特許文献1)は、鋼材を建て込むために、縦孔を予め切削する労力及び機械が必要となり、また、固化材を噴射し且つ昇降可能な昇降体を準備しなければならず、上述したジェットを用いる従来技術と同様に、機器の搬送、設置のための労力及びコストが必要である。
また、芯材としてH鋼等の鋼材を縦孔内に埋め殺すことになるが、遮水壁築造に適用した場合には、遮水壁は土留壁に比較して要求される強度が低いので、前記従来技術(特許文献1)を適用して築造された遮水壁の強度が高過ぎて(オーバースペックになり)無駄になる、という問題が存在する。
【特許文献1】特開2004−211421号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、特別な機器やボーリング機械を使用することなく、不必要に強度を高くしてしまうことなく、遮水壁を築造することが出来る遮水壁築造工法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遮水壁築造工法は、下端部(に設けられた高圧水用ノズル12)から下方へ地盤掘削用噴流(高圧水ジェット12J)を噴射しながら鋼材(10、20)に(例えばバイブロハンマー11により)振動或いは打撃を付与しつつ施工するべき地盤(G)中に押し込む圧入工程と、鋼材(10、20)を所定の深度(D)まで押し込んだならば、鋼材(10、20)下端部から下方へ噴射される地盤掘削用噴流(高圧水ジェット12J)を停止し、鋼材(10、20)を地上側(矢印U方向)に引き上げつつ、鋼材(10、20)下端部に設けられた固化材噴射用ノズル(14)から水平方向(矢印L方向)に固化材噴流(固化材ジェット14J、14JV)を噴射する引き抜き工程とを含み、(矢印L方向に)所定長さ(施工するべき長さ)の遮水壁(W)が築造されるまで前記圧入工程と引き抜き工程とを繰り返すことを特徴としている(請求項1)。
【0007】
ここで、例えばバイブロハンマー(11)等により鋼材(10、20)に振動或いは打撃を加えながら、当該鋼材(10、20)を施工地盤中に押し込むことを、本明細書では、「振動圧入」なる文言で表現する場合がある。
また、本明細書において「水平方向」なる文言は、水平面に対して上下に15°程度傾斜する場合を包含する意味で設けられている。
【0008】
本発明において、前記引き抜き工程では、鋼材(10、20)下端部に設けたノズル(12)から下方へ固化材噴流を噴射しているのが好ましい(請求項2)。
【0009】
本発明において、前記引き抜き工程では鋼材(10、20)に(例えばバイブロハンマー11により)振動或いは打撃が付与されるのが好ましい(請求項3)。
【0010】
また本発明において、前記鋼材としてH鋼(10)を用いることが好ましい(請求項4:図1〜図10)。
或いは、前記鋼材として、板状鋼材(20)を用いることも可能である(請求項5:図11〜図20)。
【0011】
そして、本発明において、前記引き抜き工程では、前記鋼材(10、20)に対して、鋼材の厚さ方向(矢印T方向)に振動を付与することが好ましい(請求項6:図17から図20)。
【0012】
なお、遮水壁の深度(D)は、例えば10m程度を想定している(図示の実施形態では、例えば14m)。
【0013】
本発明において、固化材噴射用ノズル(14)から水平方向(L)に噴射される固化材噴流(14J)は、当該固化材噴射用ノズル(14)と隣り合った位置に押し込まれる鋼材(10、20)の固化材噴射用ノズル(14)とを結ぶ仮想的な水平方向ライン(HL)に対して傾斜して(角度θだけ傾斜して)噴射されるのが好ましい(請求項7:図6)。
【発明の効果】
【0014】
上述する構成を具備する本発明によれば、前記圧入工程では、下端部(に設けられた高圧水用ノズル12)から下方へ地盤掘削用噴流(高圧水ジェット12J)を噴射しているので、鋼材(10、20)直下の土壌が切削されるので、当該鋼材(10、20)を容易に押し込むことが可能となる。
また、例えばバイブロハンマー(11)により鋼材(10、20)に振動或いは打撃を付与しつつ、施工地盤(G)中に押し込んでいるので、鋼材(10、20)は容易に施工地盤(G)中に押し込まれる。
そのため、鋼材(10、20)を施工地盤(G)中に押し込むこと(圧入工程)に費やされる労力やコストを低減して、繰り返し施工も容易となり、施工期間を短縮化することが出来る。
【0015】
そして本発明では、特別な機器やボーリング機械を使用する必要がなく、クレーン(13)やバックホウ等の一般的な建設機械を用いて施工することが出来る。そのため、特別な機器やボーリング機械を搬送し、設置する労力を省略出来る。
【0016】
さらに本発明によれば、鋼材(10、20)を埋め殺さず、再利用することが可能なので、材料コストを減少することが出来る。
また、鋼材(10、20)を施工地盤(G)中に押し込み、地上側に引き上げる個所は、固化材ジェット(14J)の到達距離だけ離隔されるので、鋼材(10、20)の押し込み及び引き抜き個所が、隣接する様に連続する場合に比較して、圧入工程及び引き抜き工程の回数を減少することが出来て、その分だけ施工コストが低減する。
【0017】
本発明において、前記鋼材として、板状鋼材(20)を用いれば(請求項4)、H鋼(10)に比較して厚さ寸法(矢印T方向寸法)が小さいので、施工地盤(G)中に押し込むことが容易となる。
【0018】
また、本発明において、前記引き抜き工程では、前記鋼材(10、20)に対して、鋼材の厚さ方向(矢印T方向)に振動を付与すれば(請求項6)、遮水壁(W)の厚さ寸法(矢印T方向寸法)が増加し、厚さ寸法が増加した分だけ、遮水壁(W)の遮水生能が向上する。
そして、前記鋼材(10、20)の厚さ方向Tの振動により、固化材ジェット(14JV)で切削され、混合される領域の厚さ方向Tの寸法を大きくしているので、噴射された固化材ジェット(14JV)が、先行して築造された遮水壁Wと重複し易くなる。そのため、遮水壁(W)において、不連続部分が形成されてしまうことが防止される。
【0019】
さらに本発明において、固化材噴射用ノズル(14)から水平方向(L)に噴射される固化材噴流(14J)が、それを噴射している固化材噴射用ノズル(14)と、当該固化材噴射用ノズル(14)と隣り合った位置における固化材噴射用ノズル(14)とを結ぶ仮想的な水平方向ライン(HL)に対して、所定の角度(θ)だけ傾斜して噴射される様に構成されていれば(請求項7)、当該固化材噴流(14J)により築造された遮水壁(W)と、隣り合う位置に押し込まれた鋼材(10、20)を引き抜く際に噴射される固化材ジェット(14J)で構成された遮水壁Wとは必ず交差し、連続した遮水壁(W)が築造される。
その結果、先行した築造された遮水壁(W)と、新たに噴射された固化材ジェット14Jにより築造された遮水壁(W)とが交差せず、その部分で遮水壁(W)が不連続となり、当該不連続個所から水が漏洩或いは透水してしまうことが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1〜図8は本発明の第1実施形態を示している。そして、図1、図2は第1実施形態の概要を示している。
【0021】
遮水壁Wを築造するべき地盤Gには、鋼材10がバイブロハンマー11により振動(或いは打撃)を付加しつつ押し込まれ(振動圧入され)、そして図1で示すように、クレーン13により、鋼材10が地上側(図1の矢印U方向)に引き抜かれている。ここで「振動圧入」なる文言は、バイブロハンマー11等により振動(或いは連続した打撃)を付加しながら、鋼材10を施工地盤中に押し込むことを意味している。
そして、鋼材10がクレーン13により矢印U方向へ引き抜かれる際に、固化材噴流(固化材ジェット)14Jが、水平方向(図1では左右方向)に噴射されて、施工地盤Gの土壌を切削し、且つ、切削された原位置土壌と固化材とを混合している。これにより、遮水壁Wを造成している。
ここで、鋼材10は、図2で示すようにH鋼により構成されている。
また、図1において、遮水壁Wの深度方向長さDは14m、鋼材10の押し込み及び引き抜きにより築造される遮水壁Wの水平方向(図1では左右方向)長さLは2.5mに設定されている。
【0022】
バイブロハンマー11により施工地盤Gに振動圧入され(振動或いは打撃が付与されつつ押し込まれ)、クレーン13により地上側へ引き抜かれる鋼材であるH鋼10は、図2で示すように、その最深部(図2では下端部)に、土壌切削用の高圧水ジェット12Jを噴射する高圧水用ノズル12と、固化材ジェット14Jを噴射する固化材噴射用ノズル14とを有している。
図2において、高圧水用ノズル12は1個設けられ、固化材噴射用ノズル14は4個設けられている。
図2では、高圧水用ノズル12から高圧水ジェット12Jが噴射して、且つ、固化材噴射用ノズル14から固化材ジェット14Jがしている状態が示されているが、図3で示す振動圧入工程では高圧水ジェット12Jのみが噴射され、図5で示す引き抜き工程では固化材ジェット14Jのみが噴射されている。すなわち、図3、図5で示す工程では、高圧水ジェット12Jと固化材ジェット14Jとを同時に噴射されてはいない。
第1実施形態の詳細については、図3〜図8を参照して説明する。
【0023】
図3〜図8では、第1実施形態に係る工法により遮水壁が築造される態様を、工程毎に示している。
第1実施形態に係る工法により遮水壁Wを築造するに際しては、先ず、図1に加えて、図3及び図4で示すように、H鋼10の下端部に設けられている高圧水用ノズル12から土壌切削用の高圧水ジェット12Jを噴射しつつ、バイブロハンマー11(図1参照)でH鋼10に振動(或いは打撃)を付与して、遮水壁Wを施工するべき地盤に振動圧入する。
【0024】
H鋼10の下端部において、高圧水用ノズル12と、固化材ジェット噴射用の固化材噴射用ノズル14とは、図4で示す様に配置されている。
図4で示す様に、高圧水用ノズル12はH鋼10の下端部における投影図形の概略中央に一つだけ設けられており、固化材噴射用ノズル14はH鋼10の投影図形における4隅部近傍の位置に4個設けられている。
図3で示すように、高圧水ジェット12Jが鉛直方向下方へ噴射されるように、高圧水用ノズル12は、鉛直方向下方(図1では、矢印Uとは逆方向)に向いている。そして固化材噴射用ノズル14は、図3で示すように、水平方向(図1、図3では左右方向)を向いており、固化材ジェット14Jを水平方向に噴射するように構成されている。
【0025】
ここで、特に図1で示すように、H鋼10にはバイブロハンマー11で振動(或いは打撃)が付与されるので、遮水壁Wを施工するべき地盤へH鋼10を単に押し込む場合に比較して、速い速度でH鋼10を打ち込むことが出来る。
図3、図4で示す工程では、バイブロハンマー11で振動(或いは打撃)をH鋼10に付与することに加えて、H鋼10の下端部から高圧水ジェット12Jを噴射して、H鋼10が押し込まれるべき土壌を切削しているので、H鋼10の自重が大きいため、高圧水で切削された土壌中へ容易に押し込まれるのである。
【0026】
図1において符号Dで示す所定深度(10m程度、図示の実施形態では例えば14m)までH鋼10が押し込まれたならば、高圧水用ノズル12から高圧水ジェット12Jを噴射することを停止する。
そして、図1で示すように、或いは、図5、図6で示すように、H鋼10を図1の矢印U方向へ引き抜く。
H鋼10を引き抜くに際しては、バイブロハンマー11で振動を与えたまま、クレーン13(図1では吊り上げ用の可撓性部材のみを示している)或いはバックホウ(図示せず)等の建設機械により、H鋼10を図1の矢印U方向へ引き抜く。
【0027】
なお、施工条件によっては、引き抜き時には、H鋼10に振動を付与せずに、クレーン13のみを用いて地上側(矢印U方向)へ引き抜いても良い。
例えば、H鋼10を振動圧入する際に、周辺地盤が十分に緩み、H鋼10を地上側に引き抜く作業が容易に行ないうる場合が存在するからである。
【0028】
図1及び図5で示す様に、H鋼10を矢印U方向へ引き抜く際に、固化材噴射用ノズル14から固化材ジェットJ14が、水平方向(矢印L方向:図1、図5では左右方向)に噴射される。
固化材ジェットJ14は遮水壁Wを築造するべき土壌を切削し、切削された土壌と混合攪拌して固化することにより、遮水壁Wを構成する。
【0029】
明確には図示はされていないが、H鋼10を矢印U方向へ引き抜く際に、固化材ジェットJ14を水平方向(L)に噴射することに加えて、H鋼10下端部に設けたノズル12から、垂直方向下方へ固化材噴流を噴射することも可能である。
その様に構成すれば、より広範囲に固化材を噴射して、遮水壁Wの強度や遮水性等を向上させることが可能である。
【0030】
ここで、固化材ジェットJ14の噴射方向は、図6で示すように、仮想的な水平方向ラインHLに対して、固化材ジェットJ14が角度θだけ傾斜している。角度θだけ傾斜させることにより、図7、図8で示す様に、隣り合う位置に押し込まれたH鋼を引き抜く際に、先行して押し込まれたH鋼10を引き抜く際に噴射された固化材ジェット14Jで構成された遮水壁Wと、新たに噴射された固化材ジェット14Jが必ず交差して、遮水壁Wが連続して築造されるようにするためである。
換言すれば、新たに噴射された固化材ジェット14Jが、先行した築造された遮水壁Wと交差しない場合には、遮水壁Wが不連続となり、当該不連続個所から水が漏洩或いは透水してしまうので、それを防止するために、固化材ジェットJ14が水平方向ラインHLに対して角度θ(例えば、15°程度)だけ傾斜しているのである。
【0031】
クレーン13によりH鋼10を地上側まで引き抜き、引き抜く際に噴射された固化材ジェット14Jが、切削した土壌と混合されて、固化することにより、図1において幅方向寸法Lの領域において、遮水壁Wが造成される。
以下、図3、図4で示すH鋼10の押し込み工程と、図1、図5、図6で示すH鋼10の引き抜き工程とを、所定回数だけ繰り返すことにより、必要な長さ(図1のL方向の長さ)の遮水壁Wが築造されるのである。
【0032】
図1では、図中の右側の領域が先行して、遮水壁Wが築造されているが、図7、図8では、図中左側の領域(図7では領域OP、図8では領域OP1及びOP2)が先行して遮水壁Wが築造されており、図中右側の領域で新たに遮水壁が築造される。
図7は、遮水壁Wが築造された領域OPに隣接して、幅方向Lについて遮水壁を新たに築造して延在するべく、領域OPの右側の領域で、新たにH鋼を地上側(図7では図面に垂直で、手前に向かう方向)に引き抜いている。
図6で示すように、固化材ジェット14Jが水平方向ラインHL(図6参照)に対して角度θだけ傾斜しているので、図7の左側の固化材ジェット14Jが領域OPの遮水壁Wと、符号PXで示す領域で確実に交差している。
換言すれば、図7において、後から振動圧入されたH鋼10を引き抜く際に、4本のノズル14から噴射される固化材ジェット14Jの内、先行して築造された遮水壁W側の2本の固化材ジェット14Jは、当該遮水壁Wに向かって噴射される。
【0033】
ここで、図7において、符号J1で示し、斜線のハッチングを付した領域は、ノズル14から噴射された固化材ジェット14Jが、施工地盤を切削し、混合した後に固化した領域である。なお、H鋼14直下の領域も、固化材ジェット14Jの固化材が侵入して、固化する。
一方、符号RBで示す領域は、固化材ジェット14Jが固化した領域J1で包囲された領域であり、高圧水用ノズル12から噴射される土壌切削用の高圧水ジェット12Jや、固化材噴射用ノズル14から噴射される固化材ジェット14Jにより、領域全体が切削、混合、攪拌される訳ではない。しかし、H鋼10が振動圧入され、また、振動(或いは打撃)が付与されつつ引き抜かれることにより、また、高圧水ジェット12Jや固化材ジェット14Jにより、領域RBは固化材が浸透し易い状態になっているので、H鋼10の引き抜きの際に、固化材ジェット14の一部が領域RB中に浸透する。
【0034】
図8は、領域OP1、OP2に遮水壁が施工された後に、幅方向Lについて遮水壁を延在するべく、領域OP2の右側の領域にH鋼10を振動圧入して、地上側(図面に垂直で、手前に向かう方向)に引き抜いている状態を示している。
図8において、符号PXAで示す個所は、領域OP1に遮水壁が築造された際に固化材ジェットが噴射された領域J1と、領域OP2に遮水壁が築造された際に固化材ジェットが噴射された領域J1とが交差している箇所である。
その他については、図7で示すのと同様である。
【0035】
図7、図8で示す遮水壁Wの水平方向断面から明らかな様に、図1〜図8の第1実施形態により築造される遮水壁Wは、水平方向に噴射される固化材ジェット14Jが厚さ方向(図7、図8では上下方向)について2本あるので、築造される遮水壁Wの壁厚が厚くなる。その結果、遮水性が向上する。
【0036】
図1〜図8で示す第1実施形態において、施工地盤G中に押し込まれ、引き抜かれる鋼材10は、H鋼に限定されない。第1実施形態で用いられる鋼材10としては、バイブロハンマー11の打撃に耐えて、変形しない程度の剛性がある部材であれば、適用可能である。例えば、板状鋼材を鋼材10とし、或いは、円形断面を有する鋼材を鋼材10として用いることも可能である。
【0037】
また、図1〜図8の第1実施形態において、遮水壁Wを築造するべき施工地盤が、例えば、緩い砂地盤である場合には、バイブロハンマー11で振動或いは打撃を付与することなく、高圧水ジェット12JとH鋼10の自重のみにより、鋼材であるH鋼10を施工地盤である緩い砂地盤中に押し込むことも可能である。
なお、いわゆる「締まった」状態にある砂地盤であれば、図1〜図8で説明したように、バイプロハンマー11と高圧水ジェット12Jの双方を用いなければ、H鋼10を施工地盤中に押し込めない場合が存在する。
或いは、施工地盤が、例えば、N値(標準貫入試験の打撃回数)の低い粘性土であれば、高圧水ジェット12Jを噴射せずに、バイブロハンマー11で振動或いは打撃を付与しつつ、建設機械でH鋼10を押し込むことにより、振動圧入のみでH鋼を施工地盤中に押し込むことが可能である。ここで、高圧水ジェット12Jを噴射しないとH鋼10が施工地盤に押し込めない様な粘性土であれば、止水性が十分にあると考えられるので、遮水壁を設ける必要性がない。
鋼材の押し込みにおける具体的な態様については、土質によってケース・バイ・ケースで異なる。
【0038】
遮水壁においては、H鋼を埋め込んで土圧を支持する必要性はなく、H鋼10を地中に埋め殺したのでは、いわゆるオーバースペックとなってしまう。
図1〜図8の第1実施形態によれば、遮水壁Wの一部分(図6、図7、図8で、固化材ジェット14Jが到達する範囲:図1において符号Lで示す幅方向長さの範囲)を施工する度毎に、H鋼10を地上側に引き抜いている。すなわち、H鋼10を幅寸法Lを施工する度毎に、地中に埋め殺す必要がない。そのため、過剰な強度を遮水壁に持たせて、コスト高になってしまう恐れがない。
【0039】
図1〜図8の第1実施形態において、H鋼10を振動圧入する際に、ノズル12から高圧水ジェット12Jを噴射することに代えて、固化材ジェットを噴射することも可能である。
なお、図示はされていないが、図示の実施形態の施工に際しては、発生したスライムを処理する設備を準備する必要がある。
【0040】
そして図1〜図8の第1実施形態によれば、遮水壁W築造が、H鋼10の振動圧入工程と、H鋼10の引き抜き工程とで構成されるので、施工及びその段取りが容易となり、施工期間が短縮され、且つ、施工コストを削減することが出来る。
より詳細には、バイブロハンマー11及び切削用高圧水ジェット12Jの利用により、H鋼10を施工地盤中に押し込む速度が増加する。
そして、H鋼10の引き抜きに際しては、固化材ジェットにより地中固結体を造成する工法(いわゆる「ジェットを用いた工法」)に比較して、H鋼10の引き抜き速度を早くすることが出来る。そのため、壁厚の調整等で必要な繰り返し施工も容易である。結果として、施工期間を短縮することが出来る。
【0041】
また、図1〜図8の第1実施形態は、クレーン13やバックホウのような一般的な建設機械により、施工地盤にH鋼10を圧入し、施工地盤からH鋼10を引き抜くことが出来るので、ボーリング機器や特別な機器を用いて施工する場合に比較して、施工コストを低減することが出来る。
【0042】
さらに、H鋼10を施工地盤に押し込むピッチが空いており、当該ピッチ毎に固化材ジェット14Jを噴射して連続した遮水壁を築造しているので、ピッチを調整することで、H鋼10の振動圧入及び引き抜きの本数、施工期間を削減して、施工コストを低く抑えることが出来る。
【0043】
なお、H鋼10を引き抜く際に、上下方向(矢印U方向及びその逆方向)に振動を付加することが可能であるが、上下方向の振動に代えて、或いは、上下方向の振動に加えて、図6の矢印R方向の振動を付加して、固化材ジェット14による地盤切削領域の厚さ方向(図6の矢印T方向)の寸法を増加することも可能である。
【0044】
図9、図10は、第1実施形態の変形例を示している。
係る変形例では、図9で示すように、3本のH鋼10を束ねて鋼材を構成しており、3本の鋼材の下端部が面一ではなく、上下方向にずれている。具体的には、図中左側のH鋼の下端部の方が、右側のH鋼の下端部よりも上方に位置している。
そのため、図9において、固化材ジェット14Jの噴射方向も、上下方向についてずれており、図中左側のH鋼から噴射される固化材ジェット14Jの方が、右側のH鋼から噴射される固化材ジェット14Jよりも上方に噴射されている。
なお、図1〜図8で説明した様に、第1実施形態では、固化材ジェット14JはH鋼10の下端部における4隅近傍部から4本噴射されている。但し、図9、図10では、図示の簡略化のため、各H鋼10から固化材ジェット14が1〜2本噴射されるように示している。
【0045】
図9で示す3本束ねたH鋼10は、図10において、それぞれ符号10−1、10−2、10−3で示されている。H鋼10−1〜10−3を矢印U方向(地上側)へ引き抜きつつ、各H鋼10−1、10−2、10−3から固化材ジェット14J−1、14J−2、14J−3を噴射すれば、H鋼10−1〜10−3が押し込まれた土壌の組成が均一ではなくても、3本の固化材ジェット14J−1〜14J−3で連続的に施工地盤が切削されるので、最も下方の固化材ジェット14J−3が地盤を切削して到達する距離は、概略均一となる。
その結果、図9、図10の変形例によれば、固化材ジェットが到達して固化した部分の幅方向寸法(符号L方向:図9、図10における左右方向)が均一な遮水壁が築造される。
【0046】
図9、図10の変形例におけるその他の構成及び作用効果については、図1〜図8の第1実施形態と同様である。
【0047】
次に、図11〜図16を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
図1〜図10で説明した第1実施形態では、施工地盤に振動圧入され、引き抜かれる鋼材としてH鋼10を用いた。
これに対して、図11〜図16の第2実施形態では、H鋼10よりも厚さ方向(図12における矢印T方向)寸法が小さい板状の鋼材20を、施工地盤に圧入している。
【0048】
図11で示すように、板状鋼材20は、第1実施形態と同様に、ノズル12から噴射される高圧水ジェット12Jで直下の地盤を切削しつつ、バイブロハンマー11と板状鋼材20の自重とにより(また、必要に応じて、図示しない建設機械により)、板状鋼材20を施工地盤内に圧入する。
ここで、図11及び図12で示すように、板状鋼材20には、固化材ジェット噴射用ノズル14は、2本しか設けられていない。上述したように、板状鋼材20は、H鋼10に比較して、厚さ寸法Tが小さいからである。
【0049】
板状鋼材20を所定深度(図1の符号D)まで振動圧入したならば、図13で示すように、板状鋼材20の下方への高圧水ジェット12Jの噴射を停止する。そして、図13、図14で示すように、ノズル14から固化材ジェット14Jを、水平方向(図13、図14では左右方向)に噴射する。
そして、板状鋼材20にバイブロハンマー11で振動を付加しつつ、クレーン13(図1参照)で地上側(図13の矢印U方向)に引き上げる。
固化材ジェット14Jを噴射しつつ、板状鋼材20を引き上げることにより、固化材ジェット14が土壌を切削し、混合し、固化した領域が、深度D(図1参照:例えば14m)に亘って壁状固結体を構成する。
【0050】
ここで、図15、図16で示すように、噴射された固化材ジェット14Jは、先行して築造された遮水壁Wと連続しなければならない(図15、図16において、符号J2で示す連結個所)。固化材ジェット14Jが先行して築造された遮水壁Wと連続せず、非連続な部分が出来てしまうと、地下水は当該非連続部分を流れてしまい、遮水機能が発揮されないからである。
固化材ジェット14Jを、先行して築造された遮水壁Wに対して確実に衝突させるため、図15で示すように、固化材ジェット14Jの噴射方向を水平方向(図15では左右方向)に対して傾斜せしめ、先行して築造された遮水壁Wと固化材ジェット14Jとを交差させることが出来る。
もちろん、固化材ジェット14Jが、先行して築造された遮水壁Wに対して確実に衝突するのであれば、図16で示すように、固化材ジェット14Jの噴射方向を水平方向(図16では左右方向)にしても良い。
【0051】
図11〜図16の第2実施形態によれば、H鋼10に比較して厚さ寸法Tが小さい板状鋼材20を用いているので、施工地盤の所定深度(図1の符号D:例えば14m)まで振動圧入することが容易となる。
なお、上述した通り、遮水壁について要求される強度はさほど大きくはないので、築造される遮水壁の厚さ方向(矢印T方向)の寸法が小さくても、遮水壁としての機能は十分に発揮することが出来るのである。
また、図1〜図10の実施形態と同様に、板状鋼材20を振動圧入する個所の間隔を広くして、板状鋼材20の振動圧入、地上側への引き抜きの工数を少なくして、施工期間や施工コストを低減出来る。
【0052】
図11〜図16の第2実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、図1〜図10の第1実施形態と同様である。
【0053】
図17〜図20は本発明の第3実施形態を示している。
第3実施形態は、図11〜図16の第2実施形態と同様に、板状鋼材20を振動圧入しているが、板状鋼材20を地上側に引き抜く態様が異なっている。
なお、板状鋼材20を遮水壁Wを施工するべき地盤中に振動圧入する工程については、第2実施形態における図11、図12と工程と同様である。
【0054】
第3実施形態において、板状鋼材20を所定深度(図1の符号D)まで振動圧入したならば、図17で示すように、ノズル12から高圧水ジェット12Jを噴射するのを停止する。そして、図17、図18で示すように、ノズル14から固化材ジェット14JVを、水平方向(図17、図18における矢印L方向)に噴射する。そして、板状鋼材20にバイブロハンマー11で振動を付加しつつ、クレーン13(図1参照)で地上側(図13の矢印U方向)に引き上げる。
【0055】
ここで、図17、図18で示すように、固化材ジェット14JVを噴射するにあたって、板状鋼材20を、その厚さ方向Tについて、振動する。
係る振動により、図18において、固化材噴射用ノズル14は、図18において、符号14V1で示す位置(図18における上方の位置)と、符号14V2で示す位置(図18における下方の位置)との間を往復動する。その結果、固化材ジェットJ14Vも、ノズル14が位置14V1にある瞬間に噴射された固化材ジェット14JV−1と、ノズル14が位置14V2にある瞬間に噴射された固化材ジェット14JV−2との間の領域で噴射されることになる。
なお、図示の簡略化のため、位置14V1、14V2、固化材ジェット14JV−1、14JV−2は、図18における左側の領域のみ図示する。
【0056】
固化材噴射用ノズル14が位置符号14V1と位置14V2間を往復動し、固化材ジェットJ14Vも固化材ジェット14JV−1と固化材ジェット14JV−2との間で往復動することにより、固化材ジェットJ14Vにおける厚み方向Tにおける寸法は、図11〜図17の第2実施形態に比較して、大きくなる。
そのため、固化材ジェットJ14Vが土壌を切削し、混合し、固化することにより築造される遮水壁Wの厚さ寸法(矢印T方向寸法)も増加する。そして、遮水壁Wの厚さ寸法(矢印T方向寸法)が増加することにより、遮水性能が向上する。
なお、矢印T方向に板状鋼材20を振動する振動速度については、特に限定条件は存在しない。
【0057】
そして、板状鋼材20を矢印T方向に振動して固化材ジェット14JVを噴射しつつ、板状鋼材20を引き上げることにより、深度D(図1参照:例えば14m)に亘って壁状固結体Wが築造される。
なお、板状鋼材20を引き上げる際に、矢印T方向に振動を付加するのに加えて、板状鋼材20の長手方向にも振動を付加して、板状鋼材20をクレーン13(図1参照)等の建設機械により、容易に引き上げることが可能なように構成されている。
【0058】
ここで、図19、図20で示すように、噴射された固化材ジェット14JVが、先行して築造された遮水壁Wと連続しなければならない。これに対して、板状鋼材20の厚さ方向Tの振動により、固化材ジェット14JVで切削され、混合される領域の厚さ方向Tの寸法を大きくしているので、噴射された固化材ジェット14JVが、先行して築造された遮水壁Wと重複し易くなり、遮水壁Wにおいて、不連続部分が形成されてしまうことが防止される。
固化材ジェット14JVを、先行して築造された遮水壁Wに対して確実に衝突させるため、図19で示すように、固化材ジェット14JVの噴射方向を水平方向(図19では左右方向)に対して傾斜せしめ、先行して築造された遮水壁Wと固化材ジェット14JVとを交差させても良い。
もちろん、固化材ジェット14JVが、先行して築造された遮水壁Wに対して確実に衝突するのであれば、図20で示すように、固化材ジェット14JVの噴射方向を水平方向(図20では左右方向)にすることが出来る。
【0059】
図17〜図20の第3実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、図11〜図16の第2実施形態と同様である。
【0060】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない。
例えば、図示の実施形態において、固化材ジェット14Jにおける配合を変更することにより、遮水性を向上させることも可能である。
なお、本発明において、H鋼等の鋼材を施工地盤中に埋め殺す様にすれば、築造された壁状体を土留壁とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1実施形態の概要を示す正面図。
【図2】第1実施形態で用いられるH鋼の下端部近傍の構造を示す部分斜視図。
【図3】第1実施形態におけるH鋼の振動圧入工程におけるH鋼の下端部近傍を示す部分斜視図。
【図4】図3の振動圧入工程におけるH鋼の下端部の底面図。
【図5】第1実施形態におけるH鋼の引き抜き時におけるH鋼の下端部近傍を示す部分斜視図。
【図6】図5の引き抜き時におけるH鋼の下端部の底面図。
【図7】第1実施形態において、幅方向の2つ目の領域について、遮水壁を築造している状態を示す平面図。
【図8】第1実施形態において、幅方向の3つ目の領域について、遮水壁を築造している状態を示す平面図。
【図9】第1実施形態の変形例で用いられるH鋼を示す斜視図。
【図10】第1実施形態の変形例において、図9のH鋼を引き抜いている状態を示す斜視図。
【図11】本発明の第2実施形態におけるH鋼の振動圧入工程におけるH鋼の下端部近傍を示す部分斜視図。
【図12】図11の振動圧入工程におけるH鋼の下端部の底面図。
【図13】第2実施形態におけるH鋼の引き抜き時におけるH鋼の下端部近傍を示す部分斜視図。
【図14】図13の引き抜き時におけるH鋼の下端部の底面図。
【図15】第2実施形態において、固化材ジェットを水平方向に対して傾斜する様に噴射して遮水壁を築造している状態を示す平面図。
【図16】第2実施形態において、固化材ジェットを水平方向に噴射して遮水壁を築造している状態を示す平面図。
【図17】第3実施形態におけるH鋼の引き抜き時におけるH鋼の下端部近傍を示す部分斜視図。
【図18】図17の引き抜き時におけるH鋼の下端部の底面図。
【図19】第3実施形態において、固化材ジェットを水平方向に対して傾斜する様に噴射して遮水壁を築造している状態を示す平面図。
【図20】第3実施形態において、固化材ジェットを水平方向に噴射して遮水壁を築造している状態を示す平面図。
【符号の説明】
【0062】
G・・・施工地盤
W・・・遮水壁
10・・・H鋼
20・・・板状鋼材
11・・・バイブロハンマー
12・・・高圧水用ノズル
12J・・・高圧水ジェット
13・・・クレーン
14、14V1、14V2・・・固化材噴射用ノズル
14JV、14JV−1、14JV−2・・・固化材ジェット
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に遮水壁を造成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に壁状固結体を造成するについては、従来から種々の技術が提案されている。
例えば、固化材及び/又は水の高圧ジェットにより、施工するべき地盤を溝状に切削し、原位置土と固化材とを混合、攪拌して、地中壁を造成する技術や、多軸混練装置を用いて、複数の円柱状領域を切削しながら原位置土と固化材とを所定領域ずつ混合、攪拌することにより地中壁を造成する技術等が存在する。
【0003】
しかし、高圧ジェットを用いる従来技術では、施工地盤を掘削する機器と、高圧ジェットで固化材及び/又は水を施工地盤に対して噴射するための機器とが必要であり、その様な機器を施工現場に搬送して、設置するためのコストが嵩んでしまう、という問題が存在する。
一方、多軸混練装置を用いる従来技術においても同様な問題、すなわち、大規模な機械である多軸混練装置を施工現場まで搬送して、設置しなければならない。
さらに、上述した高圧ジェットを用いる従来技術や、多軸混練装置を用いる従来技術によって遮水壁を築造する場合において、従来技術を用いると、必要以上の強度を有する地中壁状体が造成されてしまい、その分だけコスト的に不都合である。
【0004】
その他の従来技術として、所定間隔を隔てて縦孔を掘削し、縦孔内に芯材を建て込み、芯材に沿って昇降可能な昇降体を設け、昇降体を縦孔底部から地上側に上昇させると同時に隣接する縦孔に向けて固化材を噴射する技術が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、係る従来技術(特許文献1)は、鋼材を建て込むために、縦孔を予め切削する労力及び機械が必要となり、また、固化材を噴射し且つ昇降可能な昇降体を準備しなければならず、上述したジェットを用いる従来技術と同様に、機器の搬送、設置のための労力及びコストが必要である。
また、芯材としてH鋼等の鋼材を縦孔内に埋め殺すことになるが、遮水壁築造に適用した場合には、遮水壁は土留壁に比較して要求される強度が低いので、前記従来技術(特許文献1)を適用して築造された遮水壁の強度が高過ぎて(オーバースペックになり)無駄になる、という問題が存在する。
【特許文献1】特開2004−211421号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、特別な機器やボーリング機械を使用することなく、不必要に強度を高くしてしまうことなく、遮水壁を築造することが出来る遮水壁築造工法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遮水壁築造工法は、下端部(に設けられた高圧水用ノズル12)から下方へ地盤掘削用噴流(高圧水ジェット12J)を噴射しながら鋼材(10、20)に(例えばバイブロハンマー11により)振動或いは打撃を付与しつつ施工するべき地盤(G)中に押し込む圧入工程と、鋼材(10、20)を所定の深度(D)まで押し込んだならば、鋼材(10、20)下端部から下方へ噴射される地盤掘削用噴流(高圧水ジェット12J)を停止し、鋼材(10、20)を地上側(矢印U方向)に引き上げつつ、鋼材(10、20)下端部に設けられた固化材噴射用ノズル(14)から水平方向(矢印L方向)に固化材噴流(固化材ジェット14J、14JV)を噴射する引き抜き工程とを含み、(矢印L方向に)所定長さ(施工するべき長さ)の遮水壁(W)が築造されるまで前記圧入工程と引き抜き工程とを繰り返すことを特徴としている(請求項1)。
【0007】
ここで、例えばバイブロハンマー(11)等により鋼材(10、20)に振動或いは打撃を加えながら、当該鋼材(10、20)を施工地盤中に押し込むことを、本明細書では、「振動圧入」なる文言で表現する場合がある。
また、本明細書において「水平方向」なる文言は、水平面に対して上下に15°程度傾斜する場合を包含する意味で設けられている。
【0008】
本発明において、前記引き抜き工程では、鋼材(10、20)下端部に設けたノズル(12)から下方へ固化材噴流を噴射しているのが好ましい(請求項2)。
【0009】
本発明において、前記引き抜き工程では鋼材(10、20)に(例えばバイブロハンマー11により)振動或いは打撃が付与されるのが好ましい(請求項3)。
【0010】
また本発明において、前記鋼材としてH鋼(10)を用いることが好ましい(請求項4:図1〜図10)。
或いは、前記鋼材として、板状鋼材(20)を用いることも可能である(請求項5:図11〜図20)。
【0011】
そして、本発明において、前記引き抜き工程では、前記鋼材(10、20)に対して、鋼材の厚さ方向(矢印T方向)に振動を付与することが好ましい(請求項6:図17から図20)。
【0012】
なお、遮水壁の深度(D)は、例えば10m程度を想定している(図示の実施形態では、例えば14m)。
【0013】
本発明において、固化材噴射用ノズル(14)から水平方向(L)に噴射される固化材噴流(14J)は、当該固化材噴射用ノズル(14)と隣り合った位置に押し込まれる鋼材(10、20)の固化材噴射用ノズル(14)とを結ぶ仮想的な水平方向ライン(HL)に対して傾斜して(角度θだけ傾斜して)噴射されるのが好ましい(請求項7:図6)。
【発明の効果】
【0014】
上述する構成を具備する本発明によれば、前記圧入工程では、下端部(に設けられた高圧水用ノズル12)から下方へ地盤掘削用噴流(高圧水ジェット12J)を噴射しているので、鋼材(10、20)直下の土壌が切削されるので、当該鋼材(10、20)を容易に押し込むことが可能となる。
また、例えばバイブロハンマー(11)により鋼材(10、20)に振動或いは打撃を付与しつつ、施工地盤(G)中に押し込んでいるので、鋼材(10、20)は容易に施工地盤(G)中に押し込まれる。
そのため、鋼材(10、20)を施工地盤(G)中に押し込むこと(圧入工程)に費やされる労力やコストを低減して、繰り返し施工も容易となり、施工期間を短縮化することが出来る。
【0015】
そして本発明では、特別な機器やボーリング機械を使用する必要がなく、クレーン(13)やバックホウ等の一般的な建設機械を用いて施工することが出来る。そのため、特別な機器やボーリング機械を搬送し、設置する労力を省略出来る。
【0016】
さらに本発明によれば、鋼材(10、20)を埋め殺さず、再利用することが可能なので、材料コストを減少することが出来る。
また、鋼材(10、20)を施工地盤(G)中に押し込み、地上側に引き上げる個所は、固化材ジェット(14J)の到達距離だけ離隔されるので、鋼材(10、20)の押し込み及び引き抜き個所が、隣接する様に連続する場合に比較して、圧入工程及び引き抜き工程の回数を減少することが出来て、その分だけ施工コストが低減する。
【0017】
本発明において、前記鋼材として、板状鋼材(20)を用いれば(請求項4)、H鋼(10)に比較して厚さ寸法(矢印T方向寸法)が小さいので、施工地盤(G)中に押し込むことが容易となる。
【0018】
また、本発明において、前記引き抜き工程では、前記鋼材(10、20)に対して、鋼材の厚さ方向(矢印T方向)に振動を付与すれば(請求項6)、遮水壁(W)の厚さ寸法(矢印T方向寸法)が増加し、厚さ寸法が増加した分だけ、遮水壁(W)の遮水生能が向上する。
そして、前記鋼材(10、20)の厚さ方向Tの振動により、固化材ジェット(14JV)で切削され、混合される領域の厚さ方向Tの寸法を大きくしているので、噴射された固化材ジェット(14JV)が、先行して築造された遮水壁Wと重複し易くなる。そのため、遮水壁(W)において、不連続部分が形成されてしまうことが防止される。
【0019】
さらに本発明において、固化材噴射用ノズル(14)から水平方向(L)に噴射される固化材噴流(14J)が、それを噴射している固化材噴射用ノズル(14)と、当該固化材噴射用ノズル(14)と隣り合った位置における固化材噴射用ノズル(14)とを結ぶ仮想的な水平方向ライン(HL)に対して、所定の角度(θ)だけ傾斜して噴射される様に構成されていれば(請求項7)、当該固化材噴流(14J)により築造された遮水壁(W)と、隣り合う位置に押し込まれた鋼材(10、20)を引き抜く際に噴射される固化材ジェット(14J)で構成された遮水壁Wとは必ず交差し、連続した遮水壁(W)が築造される。
その結果、先行した築造された遮水壁(W)と、新たに噴射された固化材ジェット14Jにより築造された遮水壁(W)とが交差せず、その部分で遮水壁(W)が不連続となり、当該不連続個所から水が漏洩或いは透水してしまうことが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1〜図8は本発明の第1実施形態を示している。そして、図1、図2は第1実施形態の概要を示している。
【0021】
遮水壁Wを築造するべき地盤Gには、鋼材10がバイブロハンマー11により振動(或いは打撃)を付加しつつ押し込まれ(振動圧入され)、そして図1で示すように、クレーン13により、鋼材10が地上側(図1の矢印U方向)に引き抜かれている。ここで「振動圧入」なる文言は、バイブロハンマー11等により振動(或いは連続した打撃)を付加しながら、鋼材10を施工地盤中に押し込むことを意味している。
そして、鋼材10がクレーン13により矢印U方向へ引き抜かれる際に、固化材噴流(固化材ジェット)14Jが、水平方向(図1では左右方向)に噴射されて、施工地盤Gの土壌を切削し、且つ、切削された原位置土壌と固化材とを混合している。これにより、遮水壁Wを造成している。
ここで、鋼材10は、図2で示すようにH鋼により構成されている。
また、図1において、遮水壁Wの深度方向長さDは14m、鋼材10の押し込み及び引き抜きにより築造される遮水壁Wの水平方向(図1では左右方向)長さLは2.5mに設定されている。
【0022】
バイブロハンマー11により施工地盤Gに振動圧入され(振動或いは打撃が付与されつつ押し込まれ)、クレーン13により地上側へ引き抜かれる鋼材であるH鋼10は、図2で示すように、その最深部(図2では下端部)に、土壌切削用の高圧水ジェット12Jを噴射する高圧水用ノズル12と、固化材ジェット14Jを噴射する固化材噴射用ノズル14とを有している。
図2において、高圧水用ノズル12は1個設けられ、固化材噴射用ノズル14は4個設けられている。
図2では、高圧水用ノズル12から高圧水ジェット12Jが噴射して、且つ、固化材噴射用ノズル14から固化材ジェット14Jがしている状態が示されているが、図3で示す振動圧入工程では高圧水ジェット12Jのみが噴射され、図5で示す引き抜き工程では固化材ジェット14Jのみが噴射されている。すなわち、図3、図5で示す工程では、高圧水ジェット12Jと固化材ジェット14Jとを同時に噴射されてはいない。
第1実施形態の詳細については、図3〜図8を参照して説明する。
【0023】
図3〜図8では、第1実施形態に係る工法により遮水壁が築造される態様を、工程毎に示している。
第1実施形態に係る工法により遮水壁Wを築造するに際しては、先ず、図1に加えて、図3及び図4で示すように、H鋼10の下端部に設けられている高圧水用ノズル12から土壌切削用の高圧水ジェット12Jを噴射しつつ、バイブロハンマー11(図1参照)でH鋼10に振動(或いは打撃)を付与して、遮水壁Wを施工するべき地盤に振動圧入する。
【0024】
H鋼10の下端部において、高圧水用ノズル12と、固化材ジェット噴射用の固化材噴射用ノズル14とは、図4で示す様に配置されている。
図4で示す様に、高圧水用ノズル12はH鋼10の下端部における投影図形の概略中央に一つだけ設けられており、固化材噴射用ノズル14はH鋼10の投影図形における4隅部近傍の位置に4個設けられている。
図3で示すように、高圧水ジェット12Jが鉛直方向下方へ噴射されるように、高圧水用ノズル12は、鉛直方向下方(図1では、矢印Uとは逆方向)に向いている。そして固化材噴射用ノズル14は、図3で示すように、水平方向(図1、図3では左右方向)を向いており、固化材ジェット14Jを水平方向に噴射するように構成されている。
【0025】
ここで、特に図1で示すように、H鋼10にはバイブロハンマー11で振動(或いは打撃)が付与されるので、遮水壁Wを施工するべき地盤へH鋼10を単に押し込む場合に比較して、速い速度でH鋼10を打ち込むことが出来る。
図3、図4で示す工程では、バイブロハンマー11で振動(或いは打撃)をH鋼10に付与することに加えて、H鋼10の下端部から高圧水ジェット12Jを噴射して、H鋼10が押し込まれるべき土壌を切削しているので、H鋼10の自重が大きいため、高圧水で切削された土壌中へ容易に押し込まれるのである。
【0026】
図1において符号Dで示す所定深度(10m程度、図示の実施形態では例えば14m)までH鋼10が押し込まれたならば、高圧水用ノズル12から高圧水ジェット12Jを噴射することを停止する。
そして、図1で示すように、或いは、図5、図6で示すように、H鋼10を図1の矢印U方向へ引き抜く。
H鋼10を引き抜くに際しては、バイブロハンマー11で振動を与えたまま、クレーン13(図1では吊り上げ用の可撓性部材のみを示している)或いはバックホウ(図示せず)等の建設機械により、H鋼10を図1の矢印U方向へ引き抜く。
【0027】
なお、施工条件によっては、引き抜き時には、H鋼10に振動を付与せずに、クレーン13のみを用いて地上側(矢印U方向)へ引き抜いても良い。
例えば、H鋼10を振動圧入する際に、周辺地盤が十分に緩み、H鋼10を地上側に引き抜く作業が容易に行ないうる場合が存在するからである。
【0028】
図1及び図5で示す様に、H鋼10を矢印U方向へ引き抜く際に、固化材噴射用ノズル14から固化材ジェットJ14が、水平方向(矢印L方向:図1、図5では左右方向)に噴射される。
固化材ジェットJ14は遮水壁Wを築造するべき土壌を切削し、切削された土壌と混合攪拌して固化することにより、遮水壁Wを構成する。
【0029】
明確には図示はされていないが、H鋼10を矢印U方向へ引き抜く際に、固化材ジェットJ14を水平方向(L)に噴射することに加えて、H鋼10下端部に設けたノズル12から、垂直方向下方へ固化材噴流を噴射することも可能である。
その様に構成すれば、より広範囲に固化材を噴射して、遮水壁Wの強度や遮水性等を向上させることが可能である。
【0030】
ここで、固化材ジェットJ14の噴射方向は、図6で示すように、仮想的な水平方向ラインHLに対して、固化材ジェットJ14が角度θだけ傾斜している。角度θだけ傾斜させることにより、図7、図8で示す様に、隣り合う位置に押し込まれたH鋼を引き抜く際に、先行して押し込まれたH鋼10を引き抜く際に噴射された固化材ジェット14Jで構成された遮水壁Wと、新たに噴射された固化材ジェット14Jが必ず交差して、遮水壁Wが連続して築造されるようにするためである。
換言すれば、新たに噴射された固化材ジェット14Jが、先行した築造された遮水壁Wと交差しない場合には、遮水壁Wが不連続となり、当該不連続個所から水が漏洩或いは透水してしまうので、それを防止するために、固化材ジェットJ14が水平方向ラインHLに対して角度θ(例えば、15°程度)だけ傾斜しているのである。
【0031】
クレーン13によりH鋼10を地上側まで引き抜き、引き抜く際に噴射された固化材ジェット14Jが、切削した土壌と混合されて、固化することにより、図1において幅方向寸法Lの領域において、遮水壁Wが造成される。
以下、図3、図4で示すH鋼10の押し込み工程と、図1、図5、図6で示すH鋼10の引き抜き工程とを、所定回数だけ繰り返すことにより、必要な長さ(図1のL方向の長さ)の遮水壁Wが築造されるのである。
【0032】
図1では、図中の右側の領域が先行して、遮水壁Wが築造されているが、図7、図8では、図中左側の領域(図7では領域OP、図8では領域OP1及びOP2)が先行して遮水壁Wが築造されており、図中右側の領域で新たに遮水壁が築造される。
図7は、遮水壁Wが築造された領域OPに隣接して、幅方向Lについて遮水壁を新たに築造して延在するべく、領域OPの右側の領域で、新たにH鋼を地上側(図7では図面に垂直で、手前に向かう方向)に引き抜いている。
図6で示すように、固化材ジェット14Jが水平方向ラインHL(図6参照)に対して角度θだけ傾斜しているので、図7の左側の固化材ジェット14Jが領域OPの遮水壁Wと、符号PXで示す領域で確実に交差している。
換言すれば、図7において、後から振動圧入されたH鋼10を引き抜く際に、4本のノズル14から噴射される固化材ジェット14Jの内、先行して築造された遮水壁W側の2本の固化材ジェット14Jは、当該遮水壁Wに向かって噴射される。
【0033】
ここで、図7において、符号J1で示し、斜線のハッチングを付した領域は、ノズル14から噴射された固化材ジェット14Jが、施工地盤を切削し、混合した後に固化した領域である。なお、H鋼14直下の領域も、固化材ジェット14Jの固化材が侵入して、固化する。
一方、符号RBで示す領域は、固化材ジェット14Jが固化した領域J1で包囲された領域であり、高圧水用ノズル12から噴射される土壌切削用の高圧水ジェット12Jや、固化材噴射用ノズル14から噴射される固化材ジェット14Jにより、領域全体が切削、混合、攪拌される訳ではない。しかし、H鋼10が振動圧入され、また、振動(或いは打撃)が付与されつつ引き抜かれることにより、また、高圧水ジェット12Jや固化材ジェット14Jにより、領域RBは固化材が浸透し易い状態になっているので、H鋼10の引き抜きの際に、固化材ジェット14の一部が領域RB中に浸透する。
【0034】
図8は、領域OP1、OP2に遮水壁が施工された後に、幅方向Lについて遮水壁を延在するべく、領域OP2の右側の領域にH鋼10を振動圧入して、地上側(図面に垂直で、手前に向かう方向)に引き抜いている状態を示している。
図8において、符号PXAで示す個所は、領域OP1に遮水壁が築造された際に固化材ジェットが噴射された領域J1と、領域OP2に遮水壁が築造された際に固化材ジェットが噴射された領域J1とが交差している箇所である。
その他については、図7で示すのと同様である。
【0035】
図7、図8で示す遮水壁Wの水平方向断面から明らかな様に、図1〜図8の第1実施形態により築造される遮水壁Wは、水平方向に噴射される固化材ジェット14Jが厚さ方向(図7、図8では上下方向)について2本あるので、築造される遮水壁Wの壁厚が厚くなる。その結果、遮水性が向上する。
【0036】
図1〜図8で示す第1実施形態において、施工地盤G中に押し込まれ、引き抜かれる鋼材10は、H鋼に限定されない。第1実施形態で用いられる鋼材10としては、バイブロハンマー11の打撃に耐えて、変形しない程度の剛性がある部材であれば、適用可能である。例えば、板状鋼材を鋼材10とし、或いは、円形断面を有する鋼材を鋼材10として用いることも可能である。
【0037】
また、図1〜図8の第1実施形態において、遮水壁Wを築造するべき施工地盤が、例えば、緩い砂地盤である場合には、バイブロハンマー11で振動或いは打撃を付与することなく、高圧水ジェット12JとH鋼10の自重のみにより、鋼材であるH鋼10を施工地盤である緩い砂地盤中に押し込むことも可能である。
なお、いわゆる「締まった」状態にある砂地盤であれば、図1〜図8で説明したように、バイプロハンマー11と高圧水ジェット12Jの双方を用いなければ、H鋼10を施工地盤中に押し込めない場合が存在する。
或いは、施工地盤が、例えば、N値(標準貫入試験の打撃回数)の低い粘性土であれば、高圧水ジェット12Jを噴射せずに、バイブロハンマー11で振動或いは打撃を付与しつつ、建設機械でH鋼10を押し込むことにより、振動圧入のみでH鋼を施工地盤中に押し込むことが可能である。ここで、高圧水ジェット12Jを噴射しないとH鋼10が施工地盤に押し込めない様な粘性土であれば、止水性が十分にあると考えられるので、遮水壁を設ける必要性がない。
鋼材の押し込みにおける具体的な態様については、土質によってケース・バイ・ケースで異なる。
【0038】
遮水壁においては、H鋼を埋め込んで土圧を支持する必要性はなく、H鋼10を地中に埋め殺したのでは、いわゆるオーバースペックとなってしまう。
図1〜図8の第1実施形態によれば、遮水壁Wの一部分(図6、図7、図8で、固化材ジェット14Jが到達する範囲:図1において符号Lで示す幅方向長さの範囲)を施工する度毎に、H鋼10を地上側に引き抜いている。すなわち、H鋼10を幅寸法Lを施工する度毎に、地中に埋め殺す必要がない。そのため、過剰な強度を遮水壁に持たせて、コスト高になってしまう恐れがない。
【0039】
図1〜図8の第1実施形態において、H鋼10を振動圧入する際に、ノズル12から高圧水ジェット12Jを噴射することに代えて、固化材ジェットを噴射することも可能である。
なお、図示はされていないが、図示の実施形態の施工に際しては、発生したスライムを処理する設備を準備する必要がある。
【0040】
そして図1〜図8の第1実施形態によれば、遮水壁W築造が、H鋼10の振動圧入工程と、H鋼10の引き抜き工程とで構成されるので、施工及びその段取りが容易となり、施工期間が短縮され、且つ、施工コストを削減することが出来る。
より詳細には、バイブロハンマー11及び切削用高圧水ジェット12Jの利用により、H鋼10を施工地盤中に押し込む速度が増加する。
そして、H鋼10の引き抜きに際しては、固化材ジェットにより地中固結体を造成する工法(いわゆる「ジェットを用いた工法」)に比較して、H鋼10の引き抜き速度を早くすることが出来る。そのため、壁厚の調整等で必要な繰り返し施工も容易である。結果として、施工期間を短縮することが出来る。
【0041】
また、図1〜図8の第1実施形態は、クレーン13やバックホウのような一般的な建設機械により、施工地盤にH鋼10を圧入し、施工地盤からH鋼10を引き抜くことが出来るので、ボーリング機器や特別な機器を用いて施工する場合に比較して、施工コストを低減することが出来る。
【0042】
さらに、H鋼10を施工地盤に押し込むピッチが空いており、当該ピッチ毎に固化材ジェット14Jを噴射して連続した遮水壁を築造しているので、ピッチを調整することで、H鋼10の振動圧入及び引き抜きの本数、施工期間を削減して、施工コストを低く抑えることが出来る。
【0043】
なお、H鋼10を引き抜く際に、上下方向(矢印U方向及びその逆方向)に振動を付加することが可能であるが、上下方向の振動に代えて、或いは、上下方向の振動に加えて、図6の矢印R方向の振動を付加して、固化材ジェット14による地盤切削領域の厚さ方向(図6の矢印T方向)の寸法を増加することも可能である。
【0044】
図9、図10は、第1実施形態の変形例を示している。
係る変形例では、図9で示すように、3本のH鋼10を束ねて鋼材を構成しており、3本の鋼材の下端部が面一ではなく、上下方向にずれている。具体的には、図中左側のH鋼の下端部の方が、右側のH鋼の下端部よりも上方に位置している。
そのため、図9において、固化材ジェット14Jの噴射方向も、上下方向についてずれており、図中左側のH鋼から噴射される固化材ジェット14Jの方が、右側のH鋼から噴射される固化材ジェット14Jよりも上方に噴射されている。
なお、図1〜図8で説明した様に、第1実施形態では、固化材ジェット14JはH鋼10の下端部における4隅近傍部から4本噴射されている。但し、図9、図10では、図示の簡略化のため、各H鋼10から固化材ジェット14が1〜2本噴射されるように示している。
【0045】
図9で示す3本束ねたH鋼10は、図10において、それぞれ符号10−1、10−2、10−3で示されている。H鋼10−1〜10−3を矢印U方向(地上側)へ引き抜きつつ、各H鋼10−1、10−2、10−3から固化材ジェット14J−1、14J−2、14J−3を噴射すれば、H鋼10−1〜10−3が押し込まれた土壌の組成が均一ではなくても、3本の固化材ジェット14J−1〜14J−3で連続的に施工地盤が切削されるので、最も下方の固化材ジェット14J−3が地盤を切削して到達する距離は、概略均一となる。
その結果、図9、図10の変形例によれば、固化材ジェットが到達して固化した部分の幅方向寸法(符号L方向:図9、図10における左右方向)が均一な遮水壁が築造される。
【0046】
図9、図10の変形例におけるその他の構成及び作用効果については、図1〜図8の第1実施形態と同様である。
【0047】
次に、図11〜図16を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
図1〜図10で説明した第1実施形態では、施工地盤に振動圧入され、引き抜かれる鋼材としてH鋼10を用いた。
これに対して、図11〜図16の第2実施形態では、H鋼10よりも厚さ方向(図12における矢印T方向)寸法が小さい板状の鋼材20を、施工地盤に圧入している。
【0048】
図11で示すように、板状鋼材20は、第1実施形態と同様に、ノズル12から噴射される高圧水ジェット12Jで直下の地盤を切削しつつ、バイブロハンマー11と板状鋼材20の自重とにより(また、必要に応じて、図示しない建設機械により)、板状鋼材20を施工地盤内に圧入する。
ここで、図11及び図12で示すように、板状鋼材20には、固化材ジェット噴射用ノズル14は、2本しか設けられていない。上述したように、板状鋼材20は、H鋼10に比較して、厚さ寸法Tが小さいからである。
【0049】
板状鋼材20を所定深度(図1の符号D)まで振動圧入したならば、図13で示すように、板状鋼材20の下方への高圧水ジェット12Jの噴射を停止する。そして、図13、図14で示すように、ノズル14から固化材ジェット14Jを、水平方向(図13、図14では左右方向)に噴射する。
そして、板状鋼材20にバイブロハンマー11で振動を付加しつつ、クレーン13(図1参照)で地上側(図13の矢印U方向)に引き上げる。
固化材ジェット14Jを噴射しつつ、板状鋼材20を引き上げることにより、固化材ジェット14が土壌を切削し、混合し、固化した領域が、深度D(図1参照:例えば14m)に亘って壁状固結体を構成する。
【0050】
ここで、図15、図16で示すように、噴射された固化材ジェット14Jは、先行して築造された遮水壁Wと連続しなければならない(図15、図16において、符号J2で示す連結個所)。固化材ジェット14Jが先行して築造された遮水壁Wと連続せず、非連続な部分が出来てしまうと、地下水は当該非連続部分を流れてしまい、遮水機能が発揮されないからである。
固化材ジェット14Jを、先行して築造された遮水壁Wに対して確実に衝突させるため、図15で示すように、固化材ジェット14Jの噴射方向を水平方向(図15では左右方向)に対して傾斜せしめ、先行して築造された遮水壁Wと固化材ジェット14Jとを交差させることが出来る。
もちろん、固化材ジェット14Jが、先行して築造された遮水壁Wに対して確実に衝突するのであれば、図16で示すように、固化材ジェット14Jの噴射方向を水平方向(図16では左右方向)にしても良い。
【0051】
図11〜図16の第2実施形態によれば、H鋼10に比較して厚さ寸法Tが小さい板状鋼材20を用いているので、施工地盤の所定深度(図1の符号D:例えば14m)まで振動圧入することが容易となる。
なお、上述した通り、遮水壁について要求される強度はさほど大きくはないので、築造される遮水壁の厚さ方向(矢印T方向)の寸法が小さくても、遮水壁としての機能は十分に発揮することが出来るのである。
また、図1〜図10の実施形態と同様に、板状鋼材20を振動圧入する個所の間隔を広くして、板状鋼材20の振動圧入、地上側への引き抜きの工数を少なくして、施工期間や施工コストを低減出来る。
【0052】
図11〜図16の第2実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、図1〜図10の第1実施形態と同様である。
【0053】
図17〜図20は本発明の第3実施形態を示している。
第3実施形態は、図11〜図16の第2実施形態と同様に、板状鋼材20を振動圧入しているが、板状鋼材20を地上側に引き抜く態様が異なっている。
なお、板状鋼材20を遮水壁Wを施工するべき地盤中に振動圧入する工程については、第2実施形態における図11、図12と工程と同様である。
【0054】
第3実施形態において、板状鋼材20を所定深度(図1の符号D)まで振動圧入したならば、図17で示すように、ノズル12から高圧水ジェット12Jを噴射するのを停止する。そして、図17、図18で示すように、ノズル14から固化材ジェット14JVを、水平方向(図17、図18における矢印L方向)に噴射する。そして、板状鋼材20にバイブロハンマー11で振動を付加しつつ、クレーン13(図1参照)で地上側(図13の矢印U方向)に引き上げる。
【0055】
ここで、図17、図18で示すように、固化材ジェット14JVを噴射するにあたって、板状鋼材20を、その厚さ方向Tについて、振動する。
係る振動により、図18において、固化材噴射用ノズル14は、図18において、符号14V1で示す位置(図18における上方の位置)と、符号14V2で示す位置(図18における下方の位置)との間を往復動する。その結果、固化材ジェットJ14Vも、ノズル14が位置14V1にある瞬間に噴射された固化材ジェット14JV−1と、ノズル14が位置14V2にある瞬間に噴射された固化材ジェット14JV−2との間の領域で噴射されることになる。
なお、図示の簡略化のため、位置14V1、14V2、固化材ジェット14JV−1、14JV−2は、図18における左側の領域のみ図示する。
【0056】
固化材噴射用ノズル14が位置符号14V1と位置14V2間を往復動し、固化材ジェットJ14Vも固化材ジェット14JV−1と固化材ジェット14JV−2との間で往復動することにより、固化材ジェットJ14Vにおける厚み方向Tにおける寸法は、図11〜図17の第2実施形態に比較して、大きくなる。
そのため、固化材ジェットJ14Vが土壌を切削し、混合し、固化することにより築造される遮水壁Wの厚さ寸法(矢印T方向寸法)も増加する。そして、遮水壁Wの厚さ寸法(矢印T方向寸法)が増加することにより、遮水性能が向上する。
なお、矢印T方向に板状鋼材20を振動する振動速度については、特に限定条件は存在しない。
【0057】
そして、板状鋼材20を矢印T方向に振動して固化材ジェット14JVを噴射しつつ、板状鋼材20を引き上げることにより、深度D(図1参照:例えば14m)に亘って壁状固結体Wが築造される。
なお、板状鋼材20を引き上げる際に、矢印T方向に振動を付加するのに加えて、板状鋼材20の長手方向にも振動を付加して、板状鋼材20をクレーン13(図1参照)等の建設機械により、容易に引き上げることが可能なように構成されている。
【0058】
ここで、図19、図20で示すように、噴射された固化材ジェット14JVが、先行して築造された遮水壁Wと連続しなければならない。これに対して、板状鋼材20の厚さ方向Tの振動により、固化材ジェット14JVで切削され、混合される領域の厚さ方向Tの寸法を大きくしているので、噴射された固化材ジェット14JVが、先行して築造された遮水壁Wと重複し易くなり、遮水壁Wにおいて、不連続部分が形成されてしまうことが防止される。
固化材ジェット14JVを、先行して築造された遮水壁Wに対して確実に衝突させるため、図19で示すように、固化材ジェット14JVの噴射方向を水平方向(図19では左右方向)に対して傾斜せしめ、先行して築造された遮水壁Wと固化材ジェット14JVとを交差させても良い。
もちろん、固化材ジェット14JVが、先行して築造された遮水壁Wに対して確実に衝突するのであれば、図20で示すように、固化材ジェット14JVの噴射方向を水平方向(図20では左右方向)にすることが出来る。
【0059】
図17〜図20の第3実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、図11〜図16の第2実施形態と同様である。
【0060】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない。
例えば、図示の実施形態において、固化材ジェット14Jにおける配合を変更することにより、遮水性を向上させることも可能である。
なお、本発明において、H鋼等の鋼材を施工地盤中に埋め殺す様にすれば、築造された壁状体を土留壁とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1実施形態の概要を示す正面図。
【図2】第1実施形態で用いられるH鋼の下端部近傍の構造を示す部分斜視図。
【図3】第1実施形態におけるH鋼の振動圧入工程におけるH鋼の下端部近傍を示す部分斜視図。
【図4】図3の振動圧入工程におけるH鋼の下端部の底面図。
【図5】第1実施形態におけるH鋼の引き抜き時におけるH鋼の下端部近傍を示す部分斜視図。
【図6】図5の引き抜き時におけるH鋼の下端部の底面図。
【図7】第1実施形態において、幅方向の2つ目の領域について、遮水壁を築造している状態を示す平面図。
【図8】第1実施形態において、幅方向の3つ目の領域について、遮水壁を築造している状態を示す平面図。
【図9】第1実施形態の変形例で用いられるH鋼を示す斜視図。
【図10】第1実施形態の変形例において、図9のH鋼を引き抜いている状態を示す斜視図。
【図11】本発明の第2実施形態におけるH鋼の振動圧入工程におけるH鋼の下端部近傍を示す部分斜視図。
【図12】図11の振動圧入工程におけるH鋼の下端部の底面図。
【図13】第2実施形態におけるH鋼の引き抜き時におけるH鋼の下端部近傍を示す部分斜視図。
【図14】図13の引き抜き時におけるH鋼の下端部の底面図。
【図15】第2実施形態において、固化材ジェットを水平方向に対して傾斜する様に噴射して遮水壁を築造している状態を示す平面図。
【図16】第2実施形態において、固化材ジェットを水平方向に噴射して遮水壁を築造している状態を示す平面図。
【図17】第3実施形態におけるH鋼の引き抜き時におけるH鋼の下端部近傍を示す部分斜視図。
【図18】図17の引き抜き時におけるH鋼の下端部の底面図。
【図19】第3実施形態において、固化材ジェットを水平方向に対して傾斜する様に噴射して遮水壁を築造している状態を示す平面図。
【図20】第3実施形態において、固化材ジェットを水平方向に噴射して遮水壁を築造している状態を示す平面図。
【符号の説明】
【0062】
G・・・施工地盤
W・・・遮水壁
10・・・H鋼
20・・・板状鋼材
11・・・バイブロハンマー
12・・・高圧水用ノズル
12J・・・高圧水ジェット
13・・・クレーン
14、14V1、14V2・・・固化材噴射用ノズル
14JV、14JV−1、14JV−2・・・固化材ジェット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端部から下方へ地盤掘削用噴流(12J)を噴射しながら鋼材(10、20)に振動或いは打撃を付与しつつ地盤(G)中に押し込む圧入工程と、鋼材(10、20)を所定の深度(D)まで押し込んだならば、鋼材(10、20)下端部から下方へ噴射される地盤掘削用噴流(12J)を停止し、鋼材(10、20)を地上側(U)に引き上げつつ、鋼材(10、20)下端部に設けられた固化材噴射用ノズル(14)から水平方向(L)に固化材噴流(14J、14JV)を噴射する引き抜き工程とを含み、所定長さの遮水壁(W)が築造されるまで前記圧入工程と引き抜き工程とを繰り返すことを特徴とする遮水壁築造工法。
【請求項2】
前記引き抜き工程では、固化材噴射用ノズル(14)から水平方向(L)に固化材噴流(14J、14JV)を噴射しつつ、鋼材(10、20)下端部に設けたノズル(12)から下方へ固化材噴流を噴射している請求項1の遮水壁築造工法。
【請求項3】
前記引き抜き工程では鋼材(10、20)に振動或いは打撃が付与される請求項1、2の何れかの遮水壁築造工法。
【請求項4】
前記鋼材としてH鋼(10)を用いる請求項1〜3の何れか1項の遮水壁築造工法。
【請求項5】
前記鋼材として、板状鋼材(20)を用いる請求項1〜3の何れか1項の遮水壁築造工法。
【請求項6】
前記引き抜き工程では、前記鋼材(10、20)に対して、鋼材の厚さ方向(矢印T方向)に振動を付与する請求項1〜5の何れか1項の遮水壁築造工法。
【請求項7】
固化材噴射用ノズル(14)から水平方向(L)に噴射される固化材噴流(14J)は、当該固化材噴射用ノズル(14)と隣り合った位置に押し込まれる鋼材(10、20)の固化材噴射用ノズル(14)とを結ぶ仮想的な水平方向ライン(HL)に対して傾斜(θ)して噴射される請求項1〜6の何れか1項の遮水壁築造工法。
【請求項1】
下端部から下方へ地盤掘削用噴流(12J)を噴射しながら鋼材(10、20)に振動或いは打撃を付与しつつ地盤(G)中に押し込む圧入工程と、鋼材(10、20)を所定の深度(D)まで押し込んだならば、鋼材(10、20)下端部から下方へ噴射される地盤掘削用噴流(12J)を停止し、鋼材(10、20)を地上側(U)に引き上げつつ、鋼材(10、20)下端部に設けられた固化材噴射用ノズル(14)から水平方向(L)に固化材噴流(14J、14JV)を噴射する引き抜き工程とを含み、所定長さの遮水壁(W)が築造されるまで前記圧入工程と引き抜き工程とを繰り返すことを特徴とする遮水壁築造工法。
【請求項2】
前記引き抜き工程では、固化材噴射用ノズル(14)から水平方向(L)に固化材噴流(14J、14JV)を噴射しつつ、鋼材(10、20)下端部に設けたノズル(12)から下方へ固化材噴流を噴射している請求項1の遮水壁築造工法。
【請求項3】
前記引き抜き工程では鋼材(10、20)に振動或いは打撃が付与される請求項1、2の何れかの遮水壁築造工法。
【請求項4】
前記鋼材としてH鋼(10)を用いる請求項1〜3の何れか1項の遮水壁築造工法。
【請求項5】
前記鋼材として、板状鋼材(20)を用いる請求項1〜3の何れか1項の遮水壁築造工法。
【請求項6】
前記引き抜き工程では、前記鋼材(10、20)に対して、鋼材の厚さ方向(矢印T方向)に振動を付与する請求項1〜5の何れか1項の遮水壁築造工法。
【請求項7】
固化材噴射用ノズル(14)から水平方向(L)に噴射される固化材噴流(14J)は、当該固化材噴射用ノズル(14)と隣り合った位置に押し込まれる鋼材(10、20)の固化材噴射用ノズル(14)とを結ぶ仮想的な水平方向ライン(HL)に対して傾斜(θ)して噴射される請求項1〜6の何れか1項の遮水壁築造工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−84494(P2010−84494A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257925(P2008−257925)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(390002233)ケミカルグラウト株式会社 (79)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(390002233)ケミカルグラウト株式会社 (79)
【Fターム(参考)】
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