説明

遮煙用避難扉付袖扉連動シャッター開閉装置

【課題】 昇降するシャッターは、並設されている一部に避難扉を設けた袖扉の火煙による開放閉鎖によってシャッター自動閉鎖装置を作動して、火災発生による防火防煙と避難を容易とすることを目的とする。
【解決手段】 避難扉2を有する縦長の袖扉1の電動回転閉鎖によって、シャッターを案内レール6に下降せしめ、該袖扉には、上部に火煙の受信で作動する扉自動閉鎖装置7を設けると共に、下部に下部ロック12を装設する。また、袖扉の上部には、リミットスイッチ8を設けると共に、上部にシャッター収納ケース15を設ける。該シャッター収納ケースには、内部に巻取軸16と、リミットスイッチとに連動したシャッター自動閉鎖装置17を連接し、シャッター自動閉鎖装置には、ブレーキを解除する開閉機18を連係してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災発生の際に建築物内の屋内通路等における空間部分を区画するシャッターと袖扉との並設によって、防火区域内に火煙を漏洩させないようにすると共に、火災の区域からの袖扉の避難扉による開閉によって避難を極めて容易且つ可能とし、空間区画の機能を損なうことなく火煙発生時に避難扉付の縦長の袖扉の閉鎖とシャッターと連動するようにした遮煙用避難扉付袖扉連動シャッター開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の避難扉付の袖扉は、通常の通路となる開口部に一方がシャッターを案内するレールと他方に避難扉を受止する案内部とを設けた固定柱を立設するもの。更にシャッター収納ケース内の捲込されたシャッターのスラットの一部分に避難扉の嵌合する欠除部を形成し、シャッターの閉鎖時に側方より引き出すものか、側壁の正面に避難扉が上下のヒンジによって垂直に開閉自在となるものが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記従来で述べた、前者の通路となる開口部に一方にシャッター、他方に避難扉を受止する案内部を設けた固定柱を設けるものでは、該固定柱が開口部の踊り場に残るため、著しく空間を邪魔する問題点がある。後者のシャッタースラットの下方の一部を欠除した所に避難扉を引き出して閉鎖状態にするものがあるが、然し、この場合は、シャッターの閉鎖と袖扉の閉鎖個所に隙間が生じ、遮煙ができず、且つ軟弱となる。また避難扉を手動で引き出して避難用に供するため、時間と防火要員が必要となると共に、スラットと袖扉との間の隙間のために、防煙の役目を果たすことが出来ない問題点がある。
また、最後のシャッターの閉鎖後に側壁より上下のヒンジで避難扉を垂直に回動閉鎖してからシャッターの全面を閉鎖するものであるが、この場合は、避難扉によって避難はできるが、避難扉の閉鎖が速くないので、シャッターとの連動が著しく遅くなり、時間と防火要員が絶対に必要であり、且つシャッターと袖扉との接合面の隙間より火炎等が流出すると云う問題点もある。
そこで、本発明の目的とする所は、シャッターの縦長と同寸法の避難扉付袖扉が煙で作動すると同時に連動してシャッターを閉鎖するもので、火災発生の時に建物内の通路等の空間を区画化して、火煙の漏洩を完全に防止し、常時は、袖扉を側壁内の袖扉収納枠内に収納して、邪魔にならないようにした遮煙用避難扉付袖扉連動シャッター開閉装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記目的を達成するために、避難扉を有する袖扉は、まぐさの位置までの高さ寸法に形成され、袖扉の回転閉鎖でシャッター収納ケース内のシャッターを降下閉鎖させる。該袖扉は、常時側壁面に設けた袖扉収納枠の内部に収納する。該袖扉には、上部に受信で作動する扉自動開閉装置を設けると共に、下部にはヒンジを設けてある。また、該袖扉には、開放先端部の縦方向の全長に案内レールを設けると共に上部ロックと床面の下部ロックとを各々装設してある。更に、上部に袖扉の閉鎖で作動するリミットスイッチと、シャッター収納ケースを装設し、該シャッター収納ケースには、内部に巻取袖と該リミットスイッチを介したシャッター自動閉鎖装置を連係したものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明の遮煙用避難扉付袖扉連動シャッター開閉装置によれば、建屋通路等の袖扉と固定柱の無い空間を邪魔しないシャッターの避難扉付の袖扉によって区画して、火災時に防火区域を確実に形成でき、火煙等を絶対に漏洩させない効果と、火災区域からの避難扉の開閉によって容易に避難できる効果がある。また、火災時には、まず火煙により扉自動閉鎖装置が受信作動し、袖扉が確実に回転閉鎖してロックで閉鎖固定し、同時にシャッター自動閉鎖装置を作動してシャッターを自重降下して確実に全閉する効果がある。そして、避難扉を設けた袖扉は、側壁面に設けた袖扉収納枠の内部に全体を収納したので、建屋の通路に対して邪魔に成らず、広い通路として使用できる便利な効果がある。また、袖扉をまぐさの位置まで、縦長に形成したので、シャッターの横巾を縮小できる便利な効果と、袖扉の開放先端部に縦方向の全長に相対する案内レールを設けたことにより、従来の埋め込みの案内レールの一方を不要とする効果と、袖扉が閉鎖しないとシャッターは、降下できないために安全が確保される効果がある。更に、袖扉の上部に設けたリミットスイッチは、閉鎖と同時にシャッター自動閉鎖装置を連動して開閉機を解除するために不都合な作動をすることなく安全性に優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
遮煙用避難扉付袖扉連動シャッター開閉装置は、火災が発生すると、最初に火煙により敏速に上部の扉自動開閉装置(7)が火災信号を受信して避難扉(2)の袖扉(1)を作動して回転閉鎖すると、袖扉(1)の上部ロック(11)が作動し、該袖扉(1)の上部を固定する。これと同時にリミットスイッチ(8)を介して、シャッター自動閉鎖装置(17)に信号を送り、開閉機(18)のブレーキを解除する。シャッター(3)は、自重降下を始めて全閉する。下部ロック(12)は、シャッター(3)と座板(19)の重量とばねによるロッド(27)の降下によって下部を固定する。避難者は、避難扉(2)の開閉によって、安全に避難するものである。
【実施例】
【0007】
次に、本発明の実施例を図面について説明すると、図1に示すものは、遮煙用避難扉付袖扉連動シャッター開閉装置の正面を示し、袖扉(1)は、下方に適宜の大きさの把手を設けた避難扉(2)を設けると共に、まぐさ(14)の高さまでの寸法の縦長に形成され、また該袖扉(1)には、上部に火煙の受信で作動する扉自動開閉装置(7)を設け、下部に袖扉(1)の専用のヒンジ(9)を設けてある。また、該袖扉(1)が開放閉鎖する時の先端部に相対向する案内レール(6)と対応する縦方向の全長にシャッター(3)を降下案内する案内レール(6)を装設してある。該袖扉(1)の該案内レール(6)には、上下に上部ロック(11)と下部ロック(12)を装設する、該袖扉(1)が開放閉鎖する上部には、リミットスイッチ(8)を設けてある。該リミットスイッチ(8)と連動作動する上部に位置するシャッター収納ケース(15)には、内部に巻取軸(16)と、該リミットスイッチ(8)に連動するシャッター自動閉鎖装置(17)とを装設すると共に、ブレーキを解除作動する開閉機(18)を装設してある。符号(19)は、座板を示すものである。
また、該避難扉(2)には、下端にヒンジ(10)を設けると共に、上部にトップヒンジ(10A)を装設してある。
【0008】
次に、図2、図3、図4、図5に示す如く、建物の側壁面(4)には、袖扉(1)を収納する大きさの袖扉収納枠(5)を設け、不用時には、該袖扉収納枠(5)内に袖扉(1)は収められている。符号(13)は、該袖扉(1)をロックするための下部凹部を示したものである。
【0009】
次に、図8、図9に示すものは、該上部ロック(11)の部分を示したもので、袖扉(1)の上部に取着され、ラッチフレーム(20)の内部にロッド(22)を設けたラッチ(21)を設け、該ロッド(22)の外周にばね(23)を巻着し、下端には、つまみ部(24)を設けてある。ラッチ受け(25)は、上枠に取付けられている。そして、袖扉(1)のヒンジ(9)の回転閉鎖力で、該ラッチ(21)の斜面が上枠の該ラッチ受け(25)の曲角面に当たり、ばね(23)で瞬時に上下動作で該ラッチ(21)が掛かり、該袖扉(1)は、所定の位置に固定される。該つまみ部(24)は、下方に引っ張ると、ラッチ(21)は外れるようになっている。
【0010】
次に、図10に示すものは、図1、図3に示す下部ロック(12)を示すもので、ロッドガイド(26)、ロッド(27)及び該ロッド(27)の外周にばね(28)を巻着してある。そして、袖扉(1)の案内レール(6)の溝内の下部に装着され、シャッター(3)が降下し、座板(19)との重量がロッド(27)に掛かると該ロッド(27)は下方に押圧され、図4に示す蓋付の下受凹部(13)に入り、袖扉(1)は、所定の位置で固定される。なお、シャッター(3)が上昇するとスラットと座板(19)の重量が無くなり、該ロッド(27)は、ばね(33)により可動蓋(31)と共に押上げられて、表面の化粧板(30)の表面まで自動的上昇するものである。
【0011】
図7に示すものは、従来の避難扉(2)の実施例を示したもので、シャッター(3)の一方の案内レール(6)と相対する他方の位置に固定中柱(35)を立設し、該固定中柱(35)の内側に人々が避難通路とする避難扉(2)を回動軸(36)によって開閉自在にしたものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】 本発明の遮煙用避難扉付袖扉連動シャッター開閉装置の一部欠除した正面図である。
【図2】 同じく本発明の図1のB−B線の横断平面図である。
【図3】 本発明の一部欠除した袖扉を収納する袖扉収納枠の図1A−A線縦断側面図である。
【図4】 同じく本発明のシャッターと袖扉が開放状態の一部欠除した正面図である。
【図5】 本発明の図4B−B線の横断平面図である。
【図6】 本発明の図4A−A線の一部欠除した縦断側面図である。
【図7】 従来の避難通路となる袖扉を装設した一部欠除した全体の横断平面図である。
【図8】 本発明の袖扉の上部のロック装置を示す一部欠除した縦断側面図である。
【図9】 同じく本発明の図8の一部欠除した正面図である。
【図10】 本発明の案内レール内下部分に装着した下部ロックの一部欠除した側面図である。
【符号の説明】
【0013】
1 袖扉
2 避難扉
3 シャッター
4 側壁面
5 袖扉収納枠
6 案内レール
7 扉自動閉鎖装置
8 リミットスイッチ
9、10 ヒンジ
10A トップヒンジ
11 上部ロック
12 下部ロック
13 下部凹部
14 まぐさ
15 シャッター収納ケース
16 巻取軸
17 シャッター自動閉鎖装置
18 開閉機
19 座板
20 ラッチフレーム
21 ラッチ
22、27 ロッド
23、28、33 ばね
24 つまみ部
31 可動蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
避難扉を設けた縦長の袖扉回転閉鎖によって、シャッター収納ケース内のシャッターが降下する遮煙用避難扉付袖扉連動シャッター開閉装置において、前記避難扉を設けた袖扉は、まぐさの位置まで縦長に形成され、且つ側壁面に設けた袖扉収納枠の内部に全体を収納し、該袖扉には、上部に受信で作動する扉自動開閉装置を設けると共に、下部に袖扉のヒンジを設け、該袖扉には、開放先端部の縦方向の全長に案内レールを設けると共に、上下に上部ロックと床面の下部ロックを装設し、且つ該袖扉の上部には、リミットスイッチとシャッター収納ケースを装設し、該シャッター収納ケースには、内部に巻取袖と該リミットスイッチと連通するシャッター自動閉鎖装置を連接し、該シャッター自動閉鎖装置には、ブレーキを解除する開閉機を連係したことを特徴とする遮煙用避難扉付袖扉連動シャッター開閉装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−200343(P2006−200343A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−41285(P2005−41285)
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(000185721)小俣シヤツター工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】