説明

遷移金属錯体、環状オレフィン重合用触媒、および環状オレフィン重合体の製造方法

【課題】 比較的安定で取り扱いが容易であって、環状オレフィンの高活性な重合用触媒となり得る新規な遷移金属錯体、この遷移金属錯体を含有する環状オレフィン重合用触媒、及びこの重合用触媒を用いる環状オレフィン重合体の製造方法を提供する。
【解決手段】 二座配位子が2つの窒素原子を介して配位した周期表第8〜10族遷移金属錯体であって、該二座配位子中の2つの窒素原子及び1つの炭素原子と遷移金属原子が四員環を形成していることを特徴とする遷移金属錯体(A)、この遷移金属錯体(A)と、有機アルミニウム化合物(B−1)、および遷移金属錯体(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B−2)から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)とを含有する環状オレフィンの重合用触媒、並びに、前記重合用触媒の存在下に環状オレフィンを重合する環状オレフィン重合体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な周期表第8〜10族遷移金属錯体、この遷移金属錯体を含有する環状オレフィンの重合用触媒、及びこの重合用触媒を用いる環状オレフィン重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環状オレフィン重合体、特にノルボルネン系単量体のビニル付加重合体は、耐熱性、低吸水性、電気特性に優れるため、近年、電気・電子部品用途の高分子材料として注目されている。これに伴い、例えば、特許文献1〜3等において、優れた物性を有する重合体をより効率よく得るべく、ノルボルネン系単量体等の環状オレフィンの重合用触媒が数多く提案されている。しかしながら、いずれの文献に記載された触媒にも、重合活性が低かったり、触媒が不安定であったり、取り扱いが困難である等の問題点があり、未だ、満足できる重合用触媒が得られていない。
【0003】
一方、一般に比較的安定で、取り扱いが容易な遷移金属錯体として、二座以上の多座配位子がヘテロ原子を介して配位する周期表第8〜10族遷移金属錯体が知られており、これを重合用触媒として用いる研究も盛んに行われている。
【0004】
例えば、特許文献4には、中性のジイミンが配位して五員環を形成してなる置換ジイミンのニッケル錯体やパラジウム錯体が、エチレンの高活性な重合用触媒であることが報告されている。また、この文献には、このようなジイミン錯体はエチレンの高活性な重合用触媒であるのみならず、ノルボルネン、シクロペンテン等の環状オレフィンの重合用触媒でもあることが記載されている。しかしながら、この文献に記載された金属錯体は、環状オレフィンに対する重合活性はエチレンに対する重合活性に比して大幅に低いものであった。
【0005】
その他、特許文献5においては、多座配位子を有する周期表第8〜10族遷移金属錯体として、ジイミノピリジン鉄、コバルト錯体等が報告されているが、環状オレフィンの重合に関する記載はない。
【0006】
さらに、二座配位子と第8〜10族遷移金属原子がヘテロ原子を介して四員環を構成する遷移金属錯体として、特許文献6には、リン原子と窒素原子または酸素原子を介して四員環を形成するNi錯体が記載されている。特許文献7には、(ビスホスフィノ)メタンが配位したNi錯体が記載されている。また特許文献8には、中性のジイミノシランが配位したNi錯体が記載されている。しかしながら、いずれの文献にも環状オレフィンの重合に関する記載はない。
【0007】
【特許文献1】特開平4−63807号公報
【特許文献2】特表平9−508649号公報
【特許文献3】特開2004−107442号公報
【特許文献4】W096/23010号公報
【特許文献5】特表2002−506090号公報
【特許文献6】特表2004−502652号公報
【特許文献7】特表2004−502697号公報
【特許文献8】特開2003−128678号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記した従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、比較的安定で取り扱いが容易であって、環状オレフィンの高活性な重合用触媒となり得る新規な遷移金属錯体、この遷移金属錯体を含有する環状オレフィン重合用触媒、及びこの重合用触媒を用いる環状オレフィン重合体の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ベンズアミジネートがニッケル原子又はパラジウム原子に配位して4員環を形成してなる遷移金属錯体を合成した。そして、これらの遷移金属錯体は合成が容易であり、しかも比較的安定で取り扱いが容易である上に、環状オレフィンに対して高い重合活性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
かくして本発明の第1によれば、下記(1)、(2)の遷移金属錯体(A)が提供される。
(1)二座配位子が2つの窒素原子を介して配位した周期表第8〜10族遷移金属錯体であって、該二座配位子中の2つの窒素原子及び1つの炭素原子と遷移金属原子が四員環を形成していることを特徴とする遷移金属錯体(A)。
(2)一般式(1)
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、Mは周期表第8〜10族遷移金属原子であり、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子もしくはケイ素原子を含む官能基;または、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
は中性の電子供与性配位子を表し、Xはアニオン性配位子を表す。また、LとXは互いに結合して多座配位子を形成していてもよい。
a、bはそれぞれ独立して、0〜3の整数であり、a、bがそれぞれ2以上のとき、L、Xはそれぞれ同一であっても、相異なっていてもよい。)で示される(1)の遷移金属錯体(A)。
【0013】
本発明の第2によれば、下記(3)、(4)の環状オレフィンの重合用触媒が提供される。
(3)前記(1)または(2)の遷移金属錯体(A)を含有することを特徴とする環状オレフィンの重合用触媒。
(4)前記(1)または(2)の遷移金属錯体(A)と、有機アルミニウム化合物(B−1)、及び遷移金属錯体(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B−2)から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)とを含有することを特徴とする環状オレフィンの重合用触媒。
本発明の第3によれば、下記(5)の環状オレフィン重合体の製造方法が提供される。
(5)前記(3)または(4)の重合用触媒の存在下に環状オレフィンを重合することを特徴とする環状オレフィン重合体の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、合成が容易であり、比較的安定で取り扱い容易な遷移金属錯体、環状オレフィンの高活性な重合用触媒、及びこの重合用触媒を用いる環状オレフィン重合体の製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
1)遷移金属錯体(A)
本発明の遷移金属錯体(A)は、二座配位子が2つの窒素原子を介して配位した周期表第8〜10族遷移金属錯体であって、該二座配位子中の2つの窒素原子及び1つの炭素原子と遷移金属原子が四員環を形成していることを特徴とする。本発明の遷移金属錯体(A)は新規化合物である。
【0016】
本発明の遷移金属錯体(A)の中心金属である周期表第8〜10族の遷移金属としては、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、及びPt等が挙げられ、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、及びPdが好ましく、Fe、Co、Ni及びPdがより好ましく、Ni及びPdが特に好ましい。
【0017】
本発明の二座配位子中の2つの窒素原子及び1つの炭素原子と遷移金属原子が四員環を形成する遷移金属錯体とは、1つの炭素原子を挟んで2つの窒素原子が中心金属原子に結合する二座配位子を有する遷移金属錯体のことである。
本発明の遷移金属錯体は、好ましくは、一般式(2)
【0018】
【化2】

【0019】
(式中、Mは第8〜10族遷移金属原子であり、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子もしくはケイ素原子を含む官能基;または、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
N−C−Nの−(太線)は、単結合または二重結合を表し、・・・(点線)は、配位していることを示す。
は中性の電子供与性配位子を表し、Xはアニオン性配位子を表し、LとXは互いに結合して多座配位子を形成していてもよい。
ここで、p、q、rはそれぞれ独立して1または2、好ましくは1を表し、c、dはそれぞれ0〜3の整数を表す。p、q、r、c、dがそれぞれ2以上のとき、R、R、R、X、Lは、それぞれ同一であっても相異なっていてもよい。)
で表される遷移金属錯体である。
【0020】
〜Rの好ましい具体例としては、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子等のハロゲン原子;水酸基、ニトロ基、ニトロソ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、カルボキシル基、カルボニル基、シアノ基、スルフォニル基、アルキルスルホニル基、及びアリールスルホニル基等の官能基;置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、及び置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基等の、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基;が挙げられる。
【0021】
炭素数1〜20のアルキル基及び炭素数2〜20のアルケニル基の置換基としては、ハロゲン原子や前記と同様の官能基が挙げられる。前記炭素数6〜20のアリール基の置換基としては、ハロゲン原子、前記と同様の官能基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。
【0022】
これらのなかでも、R〜Rとしては、触媒の安定性及び合成の容易さの観点から、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、及び置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基が好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、及び置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基がより好ましく、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基がさらに好ましく、置換基を有していてもよいフェニル基が特に好ましい。
【0023】
アニオン性配位子(X)は、中心金属から引き離されたときに負の電荷を持つ配位子であれば、いかなるものでもよい。
の具体例としては、フツ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子;水素原子;アセチルアセトネート等のジケトネート基;置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基;置換基を有していてもよいアリル基、アルケニル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルキルスルフォネート基、アリールスルフォネート基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルフォニル基及びアルキルスルフィニル基が挙げられる。
【0024】
これらの中でも、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基、置換基を有していてもよいアリル基、アルケニル基、アルキル基及びアリール基が好ましく、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアリル基、アルケニル基、アルキル基及びアリール基がより好ましい。
【0025】
中性配位子(L)は、中心金属から引き離されたときに中性の電荷を持つ配位子であれば、いかなるものでもよい。
の具体例としては、酸素原子、水、カルボニル、アミン類、ピリジン類、エーテル類、ニトリル類、エステル類、ホスフィン類、ホスフィナイト類、ホスファイト類、スルホキシド類、チオエーテル類、アミド類、芳香族化合物、環状ジオレフィン類、オレフィン類、イソシアニド類、チオシアネート類、及びヘテロ環カルベン化合物等が挙げられる。これらの中でも、ピリジン類、ホスフィン類、エーテル類及びヘテロ環カルベン化合物が好ましい。
【0026】
また、前記一般式(2)で示される化合物は、LとXは互いに結合して多座配位子を形成しているものであってもよい。例えば、LとXは互いに結合して一般式(2)のN−C−N構造を有する二座配位子を形成していてもよい。すなわち、下記の一般式(3)で示される遷移金属錯体も本発明に含まれる。
【0027】
【化3】

【0028】
〔式中、R〜R、M、p、q及びrは前記と同じ意味を表す。また、N−C−Nの−(太線)、及び・・・(点線)は前記と同じ意味を表す。〕
さらに、本発明の遷移金属錯体は、前記一般式(2)で示される化合物が二量化した化合物であってもよい。すなわち、一般式(4)で示される遷移金属錯体も本発明に含まれる。
【0029】
【化4】

【0030】
〔式中、R〜R、M、X、p、q及びrは前記と同じ意味を表す。また、N−C−Nの−(太線)、及び・・・(点線)は前記と同じ意味を表す。〕
これらの中でも、本発明においては、一般式(1)
【0031】
【化5】

【0032】
〔式中、Mは周期表第8〜10族遷移金属原子であり、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子もしくはケイ素原子を含む官能基;または、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。Lは中性の電子供与性配位子を表し、Xはアニオン性配位子を表す。また、LとXは互いに結合して多座配位子を形成していてもよい。a、bはそれぞれ独立して、0〜3の整数であり、a、bがそれぞれ2以上のとき、L、Xはそれぞれ同一であっても、相異なっていてもよい。また、・・・(点線)は前記と同じ意味を表す。〕で示される遷移金属錯体が特に好ましい。
このような遷移金属錯体は、アミジネート化合物の2つの窒素原子が遷移金属原子に配位して四員環が形成された構造を有する。このとき、アミジネート化合物はπ結合で遷移金属原子に配位する。従って、一般式(1)で示される化合物は、一般式(5)で示される化学式で表すこともできる。
【0033】
【化6】

【0034】
(式中、R〜R、M、X、L、a及びbは前記と同じ意味を表す。)
前記一般式(1)、(5)のR〜Rの具体例としては、R〜Rの具体例として列記したものと同様のものが挙げられる。なかでも、R〜Rとしては、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、及び置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基が好ましく、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基がより好ましく、置換基を有していてもよいフェニル基が特に好ましい。
【0035】
一般式(1)、(5)中、Xはアニオン性配位子を表し、その具体例としては、前記Xの具体例として列記したものと同様のものが挙げられる。なかでも、Xとしては、ハロゲン原子;置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基、置換基を有していてもよいアリル基、アルケニル基、アルキル基、及びアリール基が好ましく、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアリル基、アルケニル基、アルキル基、及びアリール基がより好ましい。
【0036】
一般式(1)、(5)中、Lは中性配位子を表す。その具体例としては、前記Lの具体例として列記したものと同様のものが挙げられる。なかでも、Lとしては、ピリジン類、ホスフィン類、エーテル類、及びヘテロ環カルベン化合物が好ましい。
【0037】
また、LとXは互いに結合して多座配位子を形成していてもよい。すなわち、一般式(6)で示される遷移金属錯体も本発明に含まれる。
【0038】
【化7】

【0039】
(式中、R〜R及びMは前記と同じ意味を表す。)
また、一般式(1)で示される化合物が二量化した遷移金属錯体も本発明に含まれる。具体的には、一般式(7)で示される遷移金属錯体も本発明に含まれる。
【0040】
【化8】

【0041】
(式中、R〜R、M及びXは前記と同じ意味を表す。)
一般式(1)、(5)で示されるアミジネート配位遷移金属錯体の好ましい具体例としては、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリフェニルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネート鉄(トリフェニルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリフェニルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリフェニルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリフェニルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリフェニルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリフェニルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリフェニルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス−(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリフェニルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネート鉄(トリフェニルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリフェニルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリフェニルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリフェニルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリフェニルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリフェニルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリフェニルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネート(アリル)鉄、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリフェニルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネート鉄(トリフェニルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリフェニルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリフェニルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリフェニルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリフェニルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリフェニルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリフェニルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(2,6−ジイソブロピルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネート鉄(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)べンズアミジネート鉄(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリシクロヘキシルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネート鉄(トリシクロヘキシルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリシクロヘキシルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリシクロヘキシルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリシクロヘキシルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリシクロヘキシルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリシクロヘキシルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリシクロヘキシルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリシクロヘキシルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネート鉄(トリシクロヘキシルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリシクロヘキシルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリシクロヘキシルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリシクロヘキシルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリシクロヘキシルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリシクロヘキシルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネート鉄(トリシクロヘキシルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネート(アリル)カルボニル鉄、N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネート鉄(アリル)カルボニル鉄、N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネート(アリル)カルボニル鉄、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネート(アリル)カルボニル鉄、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネート(アリル)カルボニル鉄、N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネート(アリル)カルボニル鉄、N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネート(アリル)カルボニル鉄、及びN,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネート(アリル)カルボニル鉄等のFe錯体;
【0042】
ビス(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネートコバルト、ビス(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネートコバルト、ビス(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネートコバルト、ビス(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートコバルト、ビス(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネートコバルト、ビス(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートコバルト、ビス(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネートコバルト、ビス(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートコバルト、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネートコバルト、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネートコバルト、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネートコバルト、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートコバルト、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネートコバルト、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートコバルト、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネートコバルト、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートコバルト、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネート(アリル)コバルト、N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネート(アリル)コバルト、N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネート(アリル)コバルト、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネート(アリル)コバルト、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネート(アリル)コバルト、N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネート(アリル)コバルト、N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネート(アリル)コバルト、及びN,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネート(アリル)コバルト等のCo錯体;
【0043】
N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス−(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス−(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリシクロヘキシルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリシクロヘキシルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリシクロヘキシルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリシクロヘキシルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリシクロヘキシルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリシクロヘキシルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリシクロヘキシルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリシクロヘキシルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリシクロヘキシルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリシクロヘキシルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリシクロヘキシルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリシクロヘキシルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリシクロヘキシルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリシクロヘキシルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリシクロヘキシルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリシクロヘキシルホスフィン)ヨージド、メチル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネートニッケル、メチル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネートニッケル、メチル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル、メチル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル、メチル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル、メチル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル、メチル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネートニッケル、メチル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル、メチル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネートニッケル、メチル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネートニッケル、メチル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル、メチル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(2一メチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル、メチル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル、メチル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートニツケル、メチル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネートニッケル、メチル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル、フェニル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネートニッケル、フェニル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネートニッケル、フェニル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル、フェニル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル、フェニル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル、フェニル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル、フェニル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネートニッケル、フェニル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル、フェニル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネートニッケル、フェニル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネートニッケル、フェニル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル、フェニル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル、フェニル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル、フェニル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル、フェニル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネートニッケル、フェニル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネート(アリル)ニッケル、N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネート(アリル)ニッケル、N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネート(アリル)ニッケル、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネート(アリル)二ッケル、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネート(アリル)ニッケル、N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネート(アリル)ニッケル、N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネート(アリル)ニッケル、及びN,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネート(アリル)ニッケル等のNi錯体;
【0044】
N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリフェニルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリフェニルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリフェニルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリフェニルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリフェニルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリフェニルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリフェニルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリフェニルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリフェニルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリフェニルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリフェニルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリフェニルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリフェニルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリフェニルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリフェニルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリフェニルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリフェニルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリフェニルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリフェニルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリフェニルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリフェニルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリフェニルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリフェニルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリフェニルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(4一メチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)ブロミド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)ヨージド、N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)ヨージド、
【0045】
メチル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム、メチル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネートパラジウム、メチル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム、メチル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム、メチル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス−(4−メチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム、メチル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム、メチル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネートパラジウム、メチル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム、メチル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム、メチル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネートパラジウム、メチル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム、メチル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム、メチル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム、メチル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム、メチル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネートパラジウム、メチル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム、フェニル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス−(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム、フェニル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネートパラジウム、フェニル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム、フェニル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム、フェニル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム、フェニル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム、フェニル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネートパラジウム、フェニル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム、フェニル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム、フェニル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネートパラジウム、フェニル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム、フェニル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム、フェニル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム、フェニル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム、フェニル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネートパラジウム、フェニル(トリシクロヘキシルホスフィン)N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム、
【0046】
N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネート(アリル)パラジウム、N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネート(アリル)パラジウム、N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネート(アリル)パラジウム、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネート(アリル)パラジウム、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネート(アリル)パラジウム、N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネート(アリル)パラジウム、N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネート(アリル)パラジウム、N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネート(アリル)パラジウム、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(ベンゾニトリル)クロリド、N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネートパラジウム(ベンゾニトリル)クロリド、N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(ベンゾニトリル)クロリド、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(ベンゾニトリル)クロリド、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(ベンゾニトリル)クロリド、N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(ベンゾニトリル)クロリド、N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(ベンゾニトリル)クロリド、N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(ベンゾニトリル)クロリド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(ベンゾニトリル)ブロミド、N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネートパラジウム(ベンゾニトリル)ブロミド、N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(ベンゾニトリル)ブロミド、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(ベンゾニトリル)ブロミド、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(ベンゾニトリル)ブロミド、N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(ベンゾニトリル)ブロミド、N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(ベンゾニトリル)ブロミド、N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(ベンゾニトリル)ブロミド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロビルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(ベンゾニトリル)ヨージド、N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネートパラジウム(ベンゾニトリル)ヨージド、N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(ベンゾニトリル)ヨージド、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(ベンゾニトリル)ヨージド、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(ベンゾニトリル)ヨージド、N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(ベンゾニトリル)ヨージド、N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(ベンゾニトリル)ヨージド、及びN,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(ベンゾニトリル)ヨージド等のPd錯体;等が挙げられる。
【0047】
これらの中でも、本発明においては、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2、4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリド、フェニル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス−(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル、フェニル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス−(2、3,4,5,6−ペンタフルロフェニル)ベンズアミジネートニッケル、フェニル(トリフェニルホスフィン)N,N’−ビス−(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリフェニルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリフェニルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートパラジウム(トリフェニルホスフィン)クロリド、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネート(アリル)パラジウム、N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネート(アリル)パラジウム、及びN,N’−ビス(2、4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネート(アリル)パラジウムが好ましい。
【0048】
本発明の遷移金属錯体(A)は、好ましくは、1つの炭素原子を挟んで2つの窒素原子が中心金属原子に結合する二座配位子(以下、単に「二座配位子」ということがある)を有しない遷移金属化合物と二座配位子とを反応させる、いわゆる配位子置換反応により製造することができる。
【0049】
二座配位子を有しない遷移金属化合物としては、配位子交換反応により、本発明の遷移金属錯体(A)を与える化合物であれば、特に制限されない。例えば、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、及びアリルパラジウムクロリドダイマー〔ビス(η−アリル)ジクロロ二パラジウム〕等が挙げられる。
【0050】
用いる二座配位子としては、分子内に炭素原子を介して2つの窒素原子が配された構造を有し、該2つの窒素原子が遷移金属原子と結合して、該2つの窒素原子及び1つの炭素原子と遷移金属原子が四員環を形成するものが好ましい。なかでも、前記一般式(1)の構造を有する遷移金属錯体(A)を与える、式:R−C(=NR)NHR(式中、R〜Rは前記と同じ意味を表す)で示されるアミダイン化合物が特に好ましい。
【0051】
このようなアミダイン化合物の具体例としては、N,N’−ジ(メチル)ベンズアミダイン、N,N’−ジ(エチル)ベンズアミダイン、N,N’−ジ(イソプロピル)ベンズアミダイン、N,N’−ジ(t−ブチル)ベンズアミダイン、N,N’−ジ(シクロヘキシル)ベンズアミダイン、N−メチル−N’−(フェニル)ベンズアミダイン、N−t−ブチル−N’−(フェニル)ベンズアミダイン、N−メチル−N’−(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミダイン、N−メチル−N’−(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミダイン、N−メチル−N’−(フェニル)ベンズアミダイン、
N−メチル−N’−(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミダイン、N−メチル−N’−(2−メチルフェニル)ベンズアミダイン、N−メチル−N’−(4−メチルフェニル)ベンズアミダイン、N−メチル−N’−(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミダイン、N−メチル−N’−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミダイン、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミダイン
N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミダイン、N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミダイン、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミダイン、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミダイン、N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミダイン、N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミダイン、及びN,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミダイン等が挙げられる。
なお、以上の化合物はあくまで例示であって、本発明に用いることができるアミダイン化合物は、上記のものに限定されない。
二座配位子の使用量は、遷移金属化合物1モルに対し、通常、0.5〜5倍モルである。
【0052】
二座配位子は、公知の製造方法により製造することができる。例えば、式:R−C(=NR)NHRで示されるアミダイン化合物は、式:R−COOHで表されるカルボン酸と、式:RNHで表されるアミン化合物とを、ポリリン酸シリルエーテルの存在下に反応させることにより得ることができる(Chem.Commun.,2003年,522−523ページ、Bull.Chem.Soc.Jp.,1986年,2171−2177ページ等参照)。
また、市販されているものをそのまま二座配位子として用いることもできる。
【0053】
前記配位子置換反応は、より詳細には、二座配位子を有しない遷移金属化合物の溶媒溶液に、前記二座配位子を添加して、所望により塩基の存在下に、所定温度で所定時間攪拌することにより行うことができる。
【0054】
用いる溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば、特に制限されない。例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン及びn−オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサン及びシクロオクタン等の脂環式炭化水素系溶媒;並びに、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン及びクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;等が挙げられる。これらの溶媒は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。また、用いる溶媒は十分に乾燥し、脱気したものが好ましい。
【0055】
溶媒の使用量は、特に制限されず、遷移金属化合物の種類や反応規模等に応じて、適宜定めることができる。通常、遷移金属化合物1gに対して、0.01〜100gの範囲である。
【0056】
この反応は、窒素ガス、ヘリウムガス及びアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
反応は、−100℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲で行うことができる。
反応時間は、通常、数分から数日間である。
反応終了後は、通常の分離・精製操作を行うことにより、目的とする遷移金属錯体(A)を単離することができる。
【0057】
目的物の構造は、元素分析、IRスペクトル、NMRスペクトル、マススペクトル及びX線結晶解析等により、同定・確認することができる。
以上のようにして得られる本発明の遷移金属化合物(A)は、後述するように、環状オレフィンの重合用触媒の活性成分として有用である。
【0058】
2)環状オレフィンの重合用触媒
本発明の環状オレフィンの重合用触媒は、上記した本発明の遷移金属錯体(A)を含有することを特徴とする。
本発明の環状オレフィンの重合用触媒は、本発明の遷移金属錯体(A)の少なくとも一種を含有するものであればよいが、有機アルミニウム化合物(B−1)、及び遷移金属錯体(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B−2)から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)をさらに含有するものが、より高い触媒活性を有することから好ましい。
【0059】
有機アルミニウム化合物(B−l)
有機アルミニウム化合物(B−1)は有機基を有するアルミニウム化合物であればいずれのものも含まれる。具体的に例示すると、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、及びトリsec−ブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;トリフェニルアルミニウム、及びトリトリルアルミニウム等のトリアリールアルミニウム;ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、及びジブチルアルミニウムブトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、及びブチルアルミニウムセスキブトキシド等のアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;R2.5Al(OR0.5(R、Rはアルキル基を表す。)で表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、ジイソブチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、及びイソブチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)等のジアルキルアルミニウムアリーロキシド;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、及びジイソブチルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、及びエチルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニウムセスキハライド;エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、及びブチルアルミニウムジブロミド等のアルキルアルミニウムジハライド等の部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリド、及びジブチルアルミニウムヒドリド等のジアルキルアルミニウムヒドリド;エチルアルミニウムジヒドリド及びプロピルアルミニウムジヒドリド等のアルキルアルミニウムジヒドリド等のその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、及びエチルアルミニウムエトキシブロミド等の、部分的にアルコキシ化及びハロゲン化されたアルキルアルミニウム;等を挙げることができる。
【0060】
さらに、有機アルミニウム化合物(B−1)としては、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0061】
遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物(B−2)
本発明で必要に応じて用いられる遷移金属錯体(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B−2)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、USP−5321106号等に記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物及びカルボラン化合物等を挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物及びイソポリ化合物も挙げることができる。
【0062】
具体的には、ルイス酸としては、BR(Rは、フツ素原子、メチル基及びトリフルオロメチル基等の置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素原子を表す。)で示される化合物が挙げられ、例えばトリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、及びトリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロン等が挙げられる。
【0063】
イオン性化合物としては、例えば、リチウムテトラキス(2−フルオロフェニル)ボレート、ナトリウムテトラキス(3−フルオロフェニル)ボレート、銀テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、タリウムテトラキス(4−フルオロフェニル)ボレート、フェロセニウム(3,5−ジフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボレート、ナトリウムテトラキス〔3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル〕ボレート、N,N’−ジメチルアニリニウムテトラキス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリエチルシリリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルシリリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、リチウムテトラキス〔トリス(トリフルオロメチル)メトキシ〕ボレート、タリウムテトラキス〔1,1−ビス(トリフルオロメチル)エトキシ〕ボレート、トリチルテトラキス〔ビス(トリフルオロメチル)メトキシ〕ボレート、銀〔1,1−ビス(トリフルオロメチル)エトキシ〕ボレート、リチウムビス(テトラフルオロカテコール)ボレート、〔銀(トルエン)〕ビス(テトラフルオロカテコール)ボレート、及びタリウムビス(テトラクロロカテコール)ボレート等のボレート塩;
【0064】
リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、トリチル(パーフルオロビフェニル)フルオロアルミネート、ナトリウムテトラキス〔3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル〕アルミネート、カリウム(オクチルオキシ)トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、マグネシウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、カルシウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、リチウムテトラキス〔ビス(トリフルオロメチル)フェニルメトキシ〕アルミネート、タリウムテトラキス〔1,1−ビス(トリフルオロメチル)エトキシ〕アルミネート、トリチルテトラキス〔ビス(トリフルオロメチル)メトキシ〕アルミネート、銀テトラキス〔1,1−ビス(トリフルオロメチル)エトキシ〕アルミネート、リチウムビス(テトラフルオロカテコール)アルミネート、及びリチウムテトラキス〔ビス(トリフルオロメチル)−4−イソプロピルフェニルメトキシ〕アルミネート等のアルミネート塩;が挙げられる。
【0065】
本発明の遷移金属錯体(A)と、有機アルミニウム化合物(B−1)及び遷移金属錯体(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B−2)から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)との混合割合は、各種の条件により適宜に選択することができるが、通常、遷移金属錯体(A)と有機アルミニウム化合物(B−1)については、(A)の遷移金属原子:(B−1)のアルミニウム原子のモル比が、1:0.1〜1:10000、好ましくは1:0.5〜1:5000、より好ましくは、1:1〜1:2000である。遷移金属錯体(A)と化合物(B−2)については、(A):(B−2)のモル比が1:0.1〜1:100、好ましくは1:0.5〜1:50、より好ましくは、1:1〜1:20である。
なお、上記化合物(B)としては、前記化合物(B−1)と(B−2)の両方を含有していてもよい。
【0066】
遷移金属錯体(A)と化合物(B)を混合するときの温度は、特に限定されないが、通常−200℃〜+200℃、好ましくは−150℃〜+150℃、より好ましくは−100℃〜+100℃の範囲である。
【0067】
遷移金属錯体(A)と化合物(B)との混合は溶媒中で行ってもよい。
用いる溶媒としては、特に限定されないが、不活性であり、工業的に汎用なものが好ましい。このような溶媒としては、具体的には、n−ペンタン、n−ヘキサン、及びn−ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、及びシクロオクタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、及びキシレン等の芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、及びアセトニトリル等の含窒素溶媒;ジエチルエーテル、及びテトラヒドロフラン等のエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、及びジクロロベンゼン等のハロゲン溶媒;等の溶媒を使用することができる。これらの中でも、芳香族炭化水素や脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、エーテル類及びハロゲン溶媒が好ましい。
【0068】
3)環状オレフィン重合体の製造方法
本発明の環状オレフィン重合体の製造方法は、本発明の重合用触媒の存在下に、環状オレフィンを重合することを特徴とする。
本発明の製造方法には、環状オレフィンを開環重合して環状オレフィン開環重合体を得る場合と、環状オレフィンを付加重合して環状オレフィン付加重合体を得る場合とがあるが、環状オレフィンを付加重合して、環状オレフィンの付加重合体を得る場合が好ましい。
【0069】
本発明の製造方法は、より詳細には、(i)環状オレフィンの一種を付加重合することにより環状オレフィンの単独付加重合体を得る方法、(ii)環状オレフィンの二種以上を付加共重合することにより、環状オレフィン付加共重合体を得る方法、または(iii)環状オレフィンの一種以上と、環状オレフィンと共重合可能な他の単量体の一種以上とを付加共重合することにより、環状オレフィン付加共重合体を得る方法、のいずれかであるのが好ましい。
【0070】
環状オレフィン
本発明に用いる環状オレフィンは、環構造を有し、環構造内に二重結合を有する、置換基を有していてもよい炭化水素類である。具体的には、シクロブテン、シクロペンテン、及びシクロオクテン等の単環の環状オレフィン;ノルボルネン、及びジシクロペンタジエン等のノルボルネン環構造を有する化合物(以下、単に「ノルボルネン類」という。);を挙げることができるが、特に本発明の重合触媒を用いると、ノルボルネン類を高活性で重合することができる。
ノルボルネン類としては、一般式(8)で示されるものが好ましい。
【0071】
【化9】

【0072】
(式中、R〜R10は、それぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子もしくはケイ素原子を含む官能基;ハロゲン原子もしくは前記官能基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基である。さらに、R〜R10は、互いに結合して環を形成していても構わない。mは0または1である。)
【0073】
ノルボルネン類は、一般式(8)のmが0であるビシクロ[2.2.1]へプト−2−エン類;及び、mが1であるテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン類;に分類することができ、いずれも使用することができる。
【0074】
〜R10は、具体的には、水素原子;フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子等のハロゲン原子;水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、ヒドロキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、及び酸無水物基等の酸素原子を含む官能基;アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、シアノ基、アミノカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、及びアリールアミノカルボニル基等の窒素原子を含む官能基;メルカプト基、アルコキシチオ基、及びアリールオキシチオ基等の硫黄原子を含む官能基;シリル基、アルキルシリル基、アリールシリル基、アルコキシシリル基、及びアリールオキシシリル基等のケイ素原子を含む官能基;を挙げることができる。さらに、これらの官能基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、及びアリール基等の炭化水素基;も挙げられる。また、R〜R10は、互いに結合して環を形成していてもよい。
【0075】
本発明に好適に用いられるノルボルネン類の具体例としては、2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボルネン、5−デシル−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシル−2−ノルボルネン、5−シクロペンチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−シクロヘキセニル−2−ノルボルネン、5−シクロペンテニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンともいう。)、テトラシクロ[10.2.1.02,11.04,9]ペンタデカ−4,6,8,13−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9,9a,10−ヘキサヒドロアントラセンともいう。)、ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、及びジヒドロジシクロペンタジエン(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン)等の無置換または炭化水素置換基を有するビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン類;
【0076】
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02、7]ドデカ−4−エン、9−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチルテトラシクロ[6、2.1,13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロヘキシルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロペンチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチレンテトラシクロ[6.2.1,13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1,13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−ビニルテトラシクロ[6.2.1,13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−プロペニルテトラシクロ[6.2.1,13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロヘキセニルテトラシクロ[6.2.1,13,6.02,7]ドデカ−4−エン、及び9−フェニルテトラシクロ[6.2.1,13,6.02,7]ドデカ−4−エン等の無置換または炭化水素基を有するテトラシクロ[6.2.1,13,6.02,7]ドデカ−4−エン類;
【0077】
5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、5−ノルボルネン−2−カルボンン酸エチル、2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、及び2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチル等のアルコキシカルボニル基を有するピシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類;
テトラシクロ[6,2,1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル、及び4−メチルテトラシクロ[6,2,1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル等のアルコキシカルボニル基を有するテトラシクロ[6,2,1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン類;
【0078】
5−ノルボルネン−2−カルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、及び5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物等のヒドロキシカルボニル基又は酸無水物基を有するビシクロ[2,2.1]ヘプト−2−エン類;
テトラシクロ[6,2,1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸;テトラシクロ[6。2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸、及びテトラシクロ[6。2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸無水物等のヒドロキシカルボニル基または酸無水物基を有するテトラシクロ[6。2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン類;
【0079】
5−ヒドロキシ−2−ノルボルネン、5−ヒドロキシメチル−2−ノルボルネン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)−2−ノルボルネン、5,5−ジ(ヒドロキシメチル)−2−ノルボルネン、5−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)−2−ノルボルネン、及び5−メチル−5−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)−2−ノルボルネン等のヒドロキシル基を有するビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類;テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−メタノール、及びテトラシクロ[6,2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−オール等のヒドロキシル基を有するテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン類;
【0080】
5−ノルボルネン−2−カルバルデヒド等のヒドロカルボニル基を有するビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類;
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルバルデヒド等のヒドロカルボニル基を有するテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン類;
【0081】
3−メトキシカルボニル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸等のアルコキシルカルボニル基とヒドロキシカルボニル基とを有するビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類;
【0082】
酢酸5−ノルボルネン−2−イル、酢酸2−メチル−5−ノルボルネン−2−イル、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イル、及びメタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル等のカルボニルオキシ基を有するビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類;
【0083】
酢酸9−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エニル、酢酸9−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エニル、アクリル酸9−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エニル、及びメタクリル酸9−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エニル等のカルボニルオキシ基を有するテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン類;
【0084】
5−ノルボルネン−2−カルボニトリル、及び5−ノルボルネン−2−カルボキサミド、及び5−ノルボルネン−2、3−ジカルボン酸イミド等の窒素原子を含む官能基を有するビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類;テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボニトリル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボキサミド、テトラシクロ[6,2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,及び5−ジカルボン酸イミド等の窒素原子を含む官能基を有するテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン類;
【0085】
5−クロロ−2−ノルボルネン等のハロゲン原子を有するビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類;9−クロロテトラシクロ[6,2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン等のハロゲン原子を有するテトラシクロ[6,2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン類;
【0086】
5−トリメトキシ−2−ノルボルネン、及び5−トリエトキシ−2−ノルボルネン等のケイ素原子を含む官能基を有するビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類;4−トリメトキシシリルテトラシクロ[6,2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン、及び4−トリエトキシシリルテトラシクロ[6,2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン等のケイ素原子を含む官能基を有するテトラシクロ[6,2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン類;等が挙げられる。
これらの環状オレフィンはそれぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0087】
環状オレフィンと共重合可能な単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、l−ブテン、1−ペンテン、及び1−ヘキセン等のα−オレフィン類;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、及びインデン等のスチレン類;1,3−ブタジエン、及びイソプレン等の鎖状共役ジエン;エチルビニルエーテル、及びイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;メチルアクリレート、エチルアクリレート、及び2−エチルヘキシルアクリレート等のアクリレート類;メチルメタクリレート、及びエチルメタクリレート等のメタリレート類;等が挙げられる。
【0088】
本発明の製造方法において、重合用触媒として、遷移金属錯体(A)と有機アルミニウム化合物(B−1)、及び遷移金属錯体(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B−2)から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)とを混合して得たものを使用する場合には、(A)、(B)、及び環状オレフィンの三者を混合する順序は特に限定されない。すなわち、(A)と(B)の混合物を環状オレフィンに添加して混合してもよいし、環状オレフィンと(A)の混合物に(B)を添加して混合してもよく、また、環状オレフィンと(B)の混合物に(A)を添加して混合してもよい。
【0089】
環状オレフィンに対する重合用触媒の使用割合は、(遷移金属錯体(A)中の遷移金属原子:環状オレフィン)のモル比で、通常1:100〜1:2,000,000、好ましくは1:200〜1:1,000,000、より好ましくは1:500〜1:500,000である。触媒量が多すぎると触媒除去が必要な場合にその操作が困難となり、少なすぎると十分な重合活性が得られない場合がある。
【0090】
本発明の製造方法においては溶媒を用いることができる。用いる溶媒としては、重合に影響しない溶媒であれば、その種類は特に限定されないが、工業的に汎用なものが好ましい。このような溶媒としては、前記(A)と(B)との混合に使用可能な溶媒をいずれも使用することができる。なかでも、芳香族炭化水素や脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、エーテル類、ハロゲン溶剤、またはこれら二種以上の混合溶媒が好ましい。
【0091】
重合を溶媒中で行う場合には、環状オレフィンの濃度は、溶液中1〜50重量%が好ましく、2〜45重量%がより好ましく、5〜40重量%が特に好ましい。単量体の濃度が1重量%以下の場合は生産性が悪く、50重量%以上の場合は重合後の溶液粘度が高すぎて、その後の取り扱いが困難となる場合がある。
【0092】
重合温度は特に制限はないが、一般には、−30℃〜+200℃、好ましくは0℃〜180℃である。重合時間は、特に制限はなく、通常1分間から100時間である。
【0093】
得られる環状オレフィン付加重合体の分子量は、環状オレフィンと触媒の比や重合温度等を変えることによって調節することができる。また、α−オレフィンや水素、アルコール等の添加によっても、重合体の分子量をコントロールすることができる。
【0094】
以上のようにして得られる環状オレフィン重合体は、耐熱性、低吸水性、電気特性に優れ、電気・電子部品用途の高分子材料として好ましく用いることができる。
【実施例】
【0095】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。実施例中の部及び%は、特に断りのない限り重量基準である。
実施例及び比較例中の試験及び評価は以下の方法で行った。
【0096】
(1)合成した遷移金属錯体は、元素分析及びIRスペクトル(ATR法)により同定した。
(2)重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、テトラヒドロフランまたはクロロホルムを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値として測定した。
(3)重合体の共重合比は、H−NMR測定により求めた。
【0097】
合成例1:N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミダインの合成
(N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミダインの合成は、Chem.Commun.,2003年,522−523ページに記載の方法に従い、以下の手順で行った。
窒素置換したナスフラスコに、五酸化二リン15部、ヘキサメチルジシロキサン34部及び、蒸留したジクロロメタン30部を加え、30分間加熱還流した。還流後、生成物を160℃まで加熱し、ジクロロメタン、及び未反応のヘキサメチルジシロキサンを留去させ、油状のポリリン酸トリメチルシリルエーテルを得た。
このポリリン酸トリメチルシリルエーテルに安息香酸1.5部、及びジイソプロピルアニリン0.45部を加え、170℃で6時間加熱した。加熱後、室温まで冷却し、反応溶液をlM水酸化カリウム水溶液500部に注いだ。生成した油状物質を2日間放置すると固体となった。この固体を水で洗浄し、エタノール−水の混合溶媒から再結晶することで白色の標題化合物を3部得た。
【0098】
得られた化合物のH−NMRのスペクトル測定により、この化合物がN,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミダインであることを確認した。スペクトルデータを以下に示す。
【0099】
H−NMR(CDC1)(δppm):6.8〜7.4(m,11H)、5.70(s,lH)、3.12〜3.38(m,4H)、1.35(d,6H)、1.23(d,6H)、0.98(d,6H)、0.84(d,6H)
【0100】
合成例2:N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミダインの合成
N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミダインの合成は、Bull.Chem.Soc.Jp.,1986年,2171−2177ページに記載の方法に従い、以下の手順で行った。
窒素置換したナスフラスコに五酸化二リン30部、ヘキサメチルジシロキサン64部及び、蒸留したジクロロメタン60部を加え、30分間加熱還流した。還流後、生成物を160℃まで加熱し、ジクロロメタン、及び未反応のヘキサメチルジシロキサンを留去させ、油状のポリリン酸トリメチルシリルエーテルを得た。
このポリリン酸トリメチルシリルエーテルに安息香酸3部、及びアニリン4.7部を加え、170℃で6時間加熱した。加熱後、室温まで冷却し、反応溶液をlM水酸化カリウム500部に注いだ。生成した油状物質を2日間放置すると固体となった。この固体を水で洗浄し、エタノール−水の混合溶媒から再結晶することで白色の標題化合物を6.2部得た。
【0101】
得られた化合物のH−NMRのスペクトル測定により、この化合物がN,N’−ビス(フェニル)ベンズアミダインであることを確認した。スペクトルデータを以下に示す。
【0102】
H−NMR(CDC1)(δppm):6.7〜7.6(m,15H)、5.58(s,lH)
【0103】
合成例3:N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミダインの合成
窒素置換したナスフラスコに、五酸化二リン13部、ヘキサメチルジシロキサン26部及び、蒸留したジクロロメタン25部を加え、30分間加熱還流した。還流後、生成物を160℃まで加熱し、ジクロロメタン、及び未反応のヘキサメチルジシロキサンを留去させ、油状のポリリン酸トリメチルシリルエーテルを得た。
このポリリン酸トリメチルシリルエーテルに安息香酸1.5部、及び2,4,6−トリメチルアニリン3.4部を加え、170℃で6時間加熱した。加熱後、室温まで冷却し、反応溶液を1M水酸化カリウム水溶液500部に注いだ。生成した油状物質を2日間放置すると固体となった。この固体を水で洗浄し、エタノール−水の混合溶媒から再結晶することで白色の標題化合物を3.4部得た。
【0104】
得られた化合物のH−NMRのスペクトル測定により、この化合物がN,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミダインであることを確認した。スペクトルデータを以下に示す。
【0105】
H−NMR(CDC1)(δppm):6.5〜7.5(m,9H)、5.69(s,lH)、2.00〜2.43(m,18H)
【0106】
合成例4:N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミダインの合成
窒素置換したナスフラスコに、五酸化二リン30部、ヘキサメチルジシロキサン65部及び、蒸留したジクロロメタン60部を加え、30分間加熱還流した。還流後、生成物を160℃まで加熱し、ジクロロメタン、及び未反応のヘキサメチルジシロキサンを留去させ、油状のポリリン酸トリメチルシリルエーテルを得た。
このポリリン酸トリメチルシリルエーテルに安息香酸3部、及びトルイジン5.4部を加え、170℃で6時間加熱した。加熱後、室温まで冷却し、反応溶液をlM水酸化カリウム水溶液500部に注いだ。生成した油状物質を2日間放置すると固体となった。この固体を水で洗浄し、エタノール−水の混合溶媒から再結晶することで白色の標題化合物を4.9部得た。
【0107】
得られた化合物のH−NMRのスペクトル測定により、この化合物がN,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミダインであることを確認した。スペクトルデータを以下に示す。
【0108】
H−NMR(CDC1)(δppm):6.7〜7.5(m,13H)、5.99(s,lH)、2.22(s,3H)、2.09(s,3H)
【0109】
合成例5:N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミダインの合成
窒素置換したナスフラスコに、五酸化二リン30部、ヘキサメチルジシロキサン65部及び、蒸留したジクロロメタン60部を加え、30分間加熱還流した。還流後、生成物を160℃まで加熱し、ジクロロメタン、及び未反応のヘキサメチルジシロキサンを留去させ、油状のポリリン酸トリメチルシリルエーテルを得た。
このポリリン酸トリメチルシリルエーテルに安息香酸3部、及び、p−メチルアニリン5.4部を加え、170℃で6時間加熱した。加熱後、室温まで冷却し、反応溶液をlM水酸化カリウム500部に注いだ。生成した油状物質を2日間放置すると固体となった。この固体を水で洗浄し、エタノール−水の混合溶媒から再結晶することで薄黄色の標題化合物を2.8部得た。
【0110】
得られた化合物のH−NMRのスペクトル測定により、この化合物がN,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミダインであることを確認した。スペクトルデータを以下に示す。
【0111】
H−NMR(CDCl)(δppm):6,9〜7.7(m,13H)、5.33(s,lH)、2.31(s,3H)、2.19(s,3H)
【0112】
合成例6:N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミダインの合成
窒素置換したナスフラスコに五酸化二リン30部、ヘキサメチルジシロキサン65部及び、蒸留したジクロロメタン60部を加え、30分間加熱還流した。還流後、生成物を160℃まで加熱し、ジクロロメタン、及び未反応のへキサメチルジシロキサンを留去させ、油状のポリリン酸トリメチルシリルエーテルを得た。
このポリリン酸トリメチルシリルエーテルに安息香酸2部、及びp−t−ブチルアニリン4.7部を加え、170℃で6時間加熱した。加熱後、室温まで冷却し、反応溶液をlM水酸化カリウム水溶液500部に注いだ。生成した油状物質を2日間放置すると固体となった。この固体を水で洗浄し、エタノール−水の混合溶媒から再結晶することで白色の標題化合物を1.4部得た。
【0113】
得られた化合物のH−NMRのスペクトル測定により、この化合物がN,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミダインであることを確認した。
スペクトルデータを以下に示す。
【0114】
H−NMR(CDC1)(δppm):6.7〜7.8(m,13H)、5.57(s,lH)、1.14(s,18H)
【0115】
合成例7:N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミダインの合成
窒素置換したナスフラスコに、五酸化ニリン15部、ヘキサメチルジシロキサン30部及び、蒸留したジクロロメタン30部を加え、30分間加熱還流した。還流後、生成物を160℃まで加熱し、ジクロロメタン、及び未反応のヘキサメチルジシロキサンを留去させ、油状のポリリン酸トリメチルシリルエーテルを得た。
このポリリン酸トリメチルシリルエーテルに安息香酸1.2部、及び2,4,6−トリ−t−ブチルアニリン5部を加え、170℃で6時間加熱した。加熱後、室温まで冷却し、反応溶液をlM水酸化カリウム水溶液500部に注いだ。生成した油状物質を2日間放置すると固体となった。この固体を水で洗浄し、エタノール−水の混合溶媒から再結晶することで白色の標題化合物を4.5部得た。
【0116】
得られた化合物のH−NMRのスペクトル測定により、この化合物がN,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミダインであることを確認した。スペクトルデータを以下に示す。
【0117】
H−NMR(CDC1)(δppm):6,7〜7.4(m,5H)、5.62(s,lH)、1.14〜1.42(m,54H)
【0118】
合成例8:N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミダインの合成
窒素置換したナスフラスコに五酸化二リン30部、ヘキサメチルジシロキサン67部、及び蒸留したジクロロメタン30部を加え、30分間加熱還流した。還流後、生成物を160℃まで加熱し、ジクロロメタン、及び未反応のヘキサメチルジシロキサンを留去させ、油状のポリリン酸トリメチルシリルエーテルを得た。
このポリリン酸トリメチルシリルエーテルに安息香酸3部、及び2,3,4,5,6−ペンタフルオロアニリン9.1部を加え、170℃で6時間加熱した。加熱後、室温まで冷却し、反応溶液をlM水酸化カリウム水溶液500部に注いだ。生成した油状物質を2日間放置すると固体となった。この固体を水で洗浄し、エタノール−水の混合溶媒から再結晶することで白色の標題化合物を6.2部得た。
【0119】
得られた化合物のH−NMRのスペクトル測定により、この化合物がN,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミダインであることw確認した。スペクトルデータを以下に示す。
【0120】
H−NMR(CDC1)(δppm):7.2〜7.5(m,5H)
【0121】
実施例1:N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリド(錯体a)の合成
【0122】
アルゴン置換したシュレンク管に、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル3.1部、及びN,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミダイン2部を入れ、あらかじめ脱水及び脱気したジクロロメタン200部を加えた。室温で16時間攪拌後、反応溶液をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。残渣をn−ヘキサン300部で2回洗い、減圧乾燥して錯体aを2.1部得た。
【0123】
錯体aの元素分析の結果は、炭素74.6%、水素6.3%、窒素2.9%であった。元素分析結果は、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリドの計算値(炭素73.9%、水素6.8%、窒素3.5%)とほぼ一致した。
以上より、錯体aはN,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリドであると同定した。
【0124】
実施例2:N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリド(錯体b)の合成
【0125】
アルゴン置換したシュレンク管に、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル6.5部、及びN,N’−ビス(フェニル)ベンズアミダイン2.7部を入れ、あらかじめ脱水及び脱気したジクロロメタン200部を加えた。室温で16時間攪拌後、反応溶液をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。残渣をn−ヘキサン300部で2回洗い、減圧乾燥して錯体bを4部得た。
【0126】
錯体bの元素分析の結果は、炭素71.9%、水素5.4%、窒素3.7%であった。元素分析結果は、N,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリドの計算値(炭素70.8%、水素4.8%、窒素4.5%)とほぼ一致した。
以上より、錯体bはN,N’−ビス(フェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリドであると同定した。
【0127】
実施例3:N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリド(錯体c)の合成
【0128】
アルゴン置換したシュレンク管に、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル9.2部、及びN,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミダイン4.8部を入れ、あらかじめ脱水及び脱気したジクロロメタン500部を加えた。室温で16時間攪拌後、反応溶液をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。残渣をn−ヘキサン500部で2回洗い、減圧乾燥して錯体cを4.8部得た。
【0129】
錯体cの元素分析の結果は、炭素72.1%、水素5.4%、窒素3.1%であった。元素分析結果は、N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリドの計算値(炭素72.5%、水素6.0%、窒素3.9%)とほぼ一致した。
以上より、錯体cはN,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリドであると同定した。
【0130】
実施例4:N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリド(錯体d)の合成
【0131】
アルゴン置換したシュレンク管に、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル18.1部、及びN,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミダイン8部を入れ、あらかじめ脱水及び脱気したジクロロメタン700部を加えた。室温で16時間攪拌後、反応溶液をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。残渣をn−ヘキサン800部で2回洗い、減圧乾燥して錯体dを14.4部得た。
【0132】
錯体dの元素分析の結果は、炭素72,1%、水素5.8%、窒素3.6%であった。元素分析結果は、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリドの計算値(炭素71.4%、水素5.2%、窒素4.3%)とほぼ一致した。
また、このもののIRスペクトル(ATR法)を測定した。測定したIRチャートを図1に示す。図1中、縦軸は透過率(%)、横軸は波数(cm−1)をそれぞれ表す。
以上より、錯体dはN,N’−ビス(2−メチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリドであると同定した。
【0133】
実施例5:N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリド(錯体e)の合成
【0134】
アルゴン置換したシュレンク管に、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル6.5部、及びN,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミダイン3部を入れ、あらかじめ脱水及び脱気したジクロロメタン200部を加えた。室温で16時間攪拌後、反応溶液をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。残渣をn−ヘキサン200部で2回洗い、減圧乾燥して錯体eを4.3部得た。
【0135】
錯体eの元素分析の結果は、炭素73.4%、水素6.1%、窒素3.8%であった。元素分析結果は、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリドの計算値(炭素71.4%、水素5.2%、窒素4.3%)とほぼ一致した。
以上より、錯体eはN,N’−ビス(4−メチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリドであると同定した。
【0136】
実施例6:N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリド(錯体f)の合成
【0137】
アルゴン置換したシュレンク管に、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル6.5部、及びN,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミダイン3.8部を入れ、あらかじめ脱水及び脱気したジクロロメタン700部を加えた。室温で16時間攪拌後、反応溶液をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。残渣をn−ヘキサン300部で2回洗い、減圧乾燥して錯体fを5.6部得た。
【0138】
錯体fの元素分析の結果は、炭素74.3%、水素6.9%、窒素3.1%であった。元素分析結果は、N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリドの計算値(炭素73.0%、水素6.3%、窒素3.8%)とほぼ一致した。
以上より、錯体fはN,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリドであると同定した。
【0139】
実施例7:N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリド(錯体g)の合成
【0140】
アルゴン置換したシュレンク管に、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル6.5部、及びN,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミダイン6.1部を入れ、あらかじめ脱水及び脱気したジクロロメタン200部を加えた。室温で16時間攪拌後、反応溶液をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。残渣をn−ヘキサン200部で2回洗い、減圧乾燥して錯体gを1.4部得た。
【0141】
錯体gの元素分析の結果は、炭素77.2%、水素7.6%、窒素2.2%であった。元素分析結果は、N,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリドの計算値(炭素76.0%、水素8.2%、窒素2.9%)とほぼ一致した。
以上より、錯体gはN,N’−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリドであると同定した。
【0142】
実施例8:N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリド(錯体h)の合成
【0143】
アルゴン置換したシュレンク管に、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル6.5部、及びN,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミダイン4.5部を入れ、あらかじめ脱水及び脱気したジクロロメタン200部を加えた。室温で16時間攪拌後、反応溶液をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。残渣をn−ヘキサン200部で2回洗い、減圧乾燥して錯体hを1.1部得た。
【0144】
錯体hの元素分析の結果は、炭素56.0%、水素2.2%、窒素3.2%であった。元素分析結果は、N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリドの計算値(炭素55.0%、水素2.5%、窒素3.5%)とほぼ一致した。
以上より、錯体hはN,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネートニッケル(トリフェニルホスフィン)クロリドであると同定した。
【0145】
実施例9:(アリル)パラジウム(N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネート(錯体i)の合成
【0146】
アルゴン置換したシュレンク管に、アリルパラジウムクロリドダイマー1.8部、及びN,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミダイン5.4部を入れ、あらかじめ脱水及び脱気したジクロロメタン200部を加えた。室温で16時間攪拌後、反応溶液をろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去した。残渣を−70℃でn−ペンタン100部で2回洗い、減圧乾燥して錯体iを3.2部得た。
【0147】
錯体iの元素分析の結果は、炭素43.5%、水素2.1%、窒素3.9%であった。元素分析結果は、(アリル)パラジウム(N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネート)錯体の計算値(炭素44.1%、水素1.7%、窒素4.7%)とほぼ一致した。
以上より、錯体iは(アリル)パラジウム(N,N’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンズアミジネート)錯体であると同定した。
【0148】
実施例10:環状オレフィン重合体の製造
窒素置換したガラス反応器に、実施例1で得た錯体a6.5部、及びアルミニウム分が9.0%であるメチルアルミノキサンのトルエン溶液551部を入れ、さらにトルエン500部を加えて触媒液を調製した。
次いで、窒素置換した攪拌機付きの耐圧ガラス反応器に、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(以下、「環状オレフィンA」という)1175部、5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(以下、「環状オレフィンB」という)1500部及び、重合溶媒としてトルエン5000部を仕込み、上記の触媒液を添加して重合を開始した。60℃で3時間反応させた後、重合反応液を多量のメタノールに注いでポリマーを完全に析出させ、濾別洗浄後、50℃で18時間減圧乾燥して重合体143部を得た。得られた重合体はトルエン、クロロホルム等に可溶であった。
【0149】
用いた環状オレフィンの種類及び使用量、用いた錯体の種類及び使用量、重合反応条件、得られた重合体の収量、数平均分子量、重量平均分子量、及び繰り返し単位B含有率(全繰り返し単位中の環状オレフィンB由来の繰り返し単位の存在割合(モル%))を第1表に示す。
【0150】
実施例11〜18:環状オレフィン重合体の製造
錯体の種類及び使用量を第1表に示す条件とした他は、実施例10と同様にして重合体を得た。得られた重合体の収量、数平均分子量、重量平均分子量、及び繰り返し単位B含有率(全繰り返し単位中の環状オレフィンB由来の繰り返し単位の存在割合(モル%))を第1表に示す。
【0151】
【表1】

実施例19:環状オレフィン重合体の製造
窒素置換したガラス反応器に、実施例8で得た錯体h10.1部及びアルミニウム分が9.0%であるメチルアルミノキサンのトルエン溶液825部を入れ、さらにトルエン500部を加えて触媒液を調製した。
次いで、窒素置換した攪拌機付きの耐圧ガラス反応器に、環状オレフィンA l175部、環状オレフィンB 2230部、及び重合溶媒としてトルエン5000部を仕込み、上記の触媒液を添加して重合を開始した。25℃で1時間反応させた後、重合反応液を多量のメタノールに注いでポリマーを完全に析出させ、ろ別洗浄後、50℃で18時間減圧乾燥して重合体3189部を得た。得られた重合体はトルエン、クロロホルム等に可溶であった。
【0152】
用いた環状オレフィンの種類及び使用量、用いた錯体の種類及び使用量、重合反応条件、得られた重合体の収量、数平均分子量、重量平均分子量、及び繰り返し単位B含有率(全繰り返し単位中の環状オレフィンB由来の繰り返し単位の存在割合(モル%))を第2表に示す。
【0153】
実施例20,21:環状オレフィン重合体の製造
錯体の種類及び使用量を第2表に示す条件とした他は、実施例19と同様にして重合体を得た。得られた重合体の収量、数平均分子量、重量平均分子量、及び繰り返し単位B含有率(全繰り返し単位中の環状オレフィンB由来の繰り返し単位の存在割合(モル%))を第2表に示す。
【0154】
【表2】

実施例22:環状オレフィン重合体の製造
窒素置換したガラス反応器に、実施例4で得た錯体d8.2部、及びアルミニウム分が9.0%であるメチルアルミノキサンのトルエン溶液825部を入れ、さらにトルエン500部を加えて触媒液を調製した。
次いで、窒素置換した攪拌機付きの耐圧ガラス反応器に、環状オレフィンA l175部、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレン(以下、「環状オレフィンC」という)2300部、及び重合溶媒としてトルエン5000部を仕込み、上記の触媒液を添加して重合を開始した。25℃で10時間反応させた後、重合反応液を多量のメタノールに注いでポリマーを完全に析出させ、ろ別洗浄後、50℃で18時間減圧乾燥して重合体2158部を得た。
得られた重合体はトルエン、クロロホルム等に可溶であった。
【0155】
用いた環状オレフィンの種類及び使用量、用いた錯体の種類及び使用量、重合反応条件、得られた重合体の収量、数平均分子量、重量平均分子量、及び繰り返し単位C含有率(全繰り返し単位中の環状オレフィンC由来の繰り返し単位の存在割合(モル%))を第3表に示す。
【0156】
実施例23〜26:環状オレフィン重合体の製造
錯体の種類及び使用量を第3表に示す条件とした他は、実施例22と同様にして重合体を得た。得られた重合体の収量、数平均分子量、重量平均分子量、及び繰り返し単位C含有率(全繰り返し単位中の環状オレフィンC由来の繰り返し単位の存在割合(モル%))を第3表に示す。
【0157】
【表3】

本発明の遷移金属錯体は保存安定性が極めて高く、空気中で取扱いが可能である。また、イオン対を形成する化合物との組み合わせは、他のNi触媒に比べ、置換基を有する環状オレフィンの付加重合活性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】実施例4で得られた錯体dのIRスペクトルチャート図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二座配位子が2つの窒素原子を介して配位した周期表第8〜10族遷移金属錯体であって、該二座配位子中の2つの窒素原子及び1つの炭素原子と遷移金属原子が四員環を形成していることを特徴とする遷移金属錯体(A)。
【請求項2】
一般式(1)
【化1】

(式中、Mは周期表第8〜10族遷移金属原子であり、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子もしくはケイ素原子を含む官能基;または、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
は中性の電子供与性配位子を表し、Xはアニオン性配位子を表す。また、LとXは互いに結合して多座配位子を形成していてもよい。
a、bはそれぞれ独立して、0〜3の整数であり、a、bがそれぞれ2以上のとき、L、Xはそれぞれ同一であっても、相異なっていてもよい。)で示される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の遷移金属錯体(A)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の遷移金属錯体(A)を含有することを特徴とする環状オレフィンの重合用触媒。
【請求項4】
請求項1または2に記載の遷移金属錯体(A)と、有機アルミニウム化合物(B−1)、および遷移金属錯体(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B−2)から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)とを含有することを特徴とする環状オレフィンの重合用触媒。
【請求項5】
請求項3または4に記載の重合用触媒の存在下に環状オレフィンを重合することを特徴とする環状オレフィン重合体の製造方法。


【図1】
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【公開番号】特開2006−328034(P2006−328034A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−158216(P2005−158216)
【出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】