説明

選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子の結合方法及び使用方法

【課題】本発明は、アンドロゲンレセプタ標的薬剤(ARTA)の結合方法及び使用方法を提供する。
【解決手段】薬剤は選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子(SARM)化合物の新規なサブクラスを定める。複数のSARM化合物は、アンドロゲンレセプタのための非ステロイド性リガンドの、予想出来ないアンドロゲン活性及びタンパク同化活性を有することが解った。それらSARM化合物は、精子形成を抑制、男性の避妊、ホルモン治療、ホルモン補充療法、ホルモン関連コンディションの治療用、前立腺ガン用、ドライアイコンディション用の医薬の製造に用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンドロゲンレセプタのための非ステロイド製リガンドの抗アンドロゲン活性を実証するアンドロゲンレセプタターゲティング薬剤(ARTA)に関する。薬剤は、新規な化合物のサブクラスを定め、それらは、a)男性避妊、b)高齢男性におけるアンドロゲン減少(ADAM)に関連するような、複数のホルモン関連コンディションの治療、c)女性におけるアンドロゲン減少(ADIF)に関連するコンディションの治療、d)急性及び/または慢性の筋萎縮障害の治療及び/又は防止、e)ドライアイの治療及び/又は防止、f)経口アンドロゲン補充療法、及び/又はg)前立腺癌発生の減少、若しくは前立腺癌退行の中断若しくは実行に有用な選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子である。
【背景技術】
【0002】
アンドロゲン受容体(AR)は、その内因性アンドロゲンとの活性を介して、男性の性的発育及び機能の誘導を仲立ちするリガンド活性化転写調節タンパク質である。アンドロゲンは、一般に、男性ホルモンとして知られている。男性ホルモンは、体内で睾丸及び副腎の皮質により生成される、又は実験室で合成されるステロイドである。アンドロゲン性ステロイドは、男性の性的特徴(例えば、筋肉や骨量など)の発育及び維持、前立腺の成長、精子形成、及び男性の髪のパターン(Matsumoto, Endocrinol. Met. Gun. N. Am. 23: 857-75, 1994(非特許文献1))などの、多くの生理学的過程で重要な役割を果たす。前記した内因性のステロイド性アンドロゲンとしては、テストステロンや、ジヒドロテストステロン(dihydrotestosterone:DHT)がある。テストステロンは、睾丸から分泌される主要なステロイドである。また、テストステロンは、男性の血漿中に含まれている主要な循環アンドロゲンである。多くの末梢組織で、テストステロンは5αレダクターゼによってDHTに変換される。したがって、DHTは、ほとんどのアンドロゲン作用において、細胞内の媒介物としての機能を果たすと考えられている(Zhou, et al., Molec. Endocrinol. 9: 208-18, 1995(非特許文献2))。他のステロイド性アンドロゲンとしては、テストステロンのエステル類(例えば、シピオネート、プロピオン酸、フェニルプロピオン酸、シクロペンチルプロピオネート、イソカルポレート(isocarporate)、エナント酸、及びカプリン酸・エステル)や、他の合成アンドロゲン(例えば、7−メチル−ノルテストステロン、及び酢酸エステル(Sundaram et al., "7 Alpha-Methyl-Nortestosterone(MENT): The Optimal Androgen For Male Contraception," Ann. Med., 25:199-205, 1993, "Sundaram"(非特許文献3))がある。ARは男性の性的発育及び機能に関与しているので、ARは、効果的な男性避妊、又は他のホルモン補充療法の対象として有望である。
【0003】
世界的な人口増加に伴う家族計画に対する社会意識により、避妊についての多くの調査が行われた。どのような場合でも、避妊は難しい問題である。それは、文化的及び社会的不名誉、宗教的な意味合い、そして、間違いなく、重大な健康上の懸念を伴っている。こうした状況は、この問題を男性避妊について焦点を絞った場合は、とても深刻である。適切な避妊具を利用できるのにもかかわらず、従来、社会は避妊の決断とその結果についての責任が女性にあると見なしていた。また、性病への関心は、安全で責任のある性的習癖を向上させる必要性を、男性により強く意識させるようになった。しかし、女性は依然として頻繁に避妊の選択の矢面に立たされている。女性は、スポンジやペッサリー(diaphragm)などの一時的な機械的器具から、殺精子剤などの化学的器具まで、多くの選択肢を有している。また、女性は、例えば避妊リング(intrauterine device: IUD)や子宮頚管キャップなどの物理的器具という、より長持ちする選択肢を有している。同様に、女性は、経口避妊薬や皮下植込錠などの化学的処置という、より長持ちする選択肢を有している。しかしながら、今日まで、男性が利用できる選択肢は、コンドームとパイプカットだけであった。コンドームの使用は、性的感度の減少、性的な自然さの障害、及び破損や誤用により起こる妊娠のかなりの可能性により、多くの男性には好まれてはいない。パイプカットもまた好まれてはいない。もし、男性がより便利な避妊方法を利用できるのであれば、特に、準備が不要であり、性行為の直前に作用する長期間の方法があれば、そのような方法は、男性が避妊に対してもっと責任を取る可能性を著しく増大させるであろう。男性ステロイド(例えば、テストステロン及びその派生物)の投与は、これらの化合物のゴナドトロピン抑制とアンドロゲン代用特性との組み合わせにより、このことについて特別な見込みを示している(Steinberger et al., "Effect of Chronic Administration of Testosterone Enanthate on Sperm Production and Plasma Testosterone, Follicle Stimulating Hormone, and Luteinizing Hormone Levels: A Preliminary Evaluation of a Possible Male Contraceptive, " Fertility and Sterility 28: 1320-28, 1977(非特許文献4))。大量のテストステロンの長期投与は、精子増殖を完全に止める(無精子症)、又は精子増殖をとても低いレベルまで減少させる(精子減少)。不妊を実現するために、ある程度の精子形成の抑制が必要であるということは、正しく知られていない。また、世界保健機関(World Health Organization: WHO)による最近の報告では、週1回のテストステロン・エナント酸の筋肉注射は、無精子又は重度の精子減少(例えば、精子は3百万個/ml未満となる)をもたらし、治療を受けた男性の98%が不妊となることが分かっている(World Health Organization Task Force on Methods And Regulation of Male Fertility, "Contraceptive Efficacy of Testosterone-Induced Azoospermia and Oligospermia in Normal Men, " Fertility and Sterility 65: 21-29, 1996(非特許文献5))。
【0004】
筋肉注射後にゆっくりと吸収されて男性ホルモン作用を強める、様々な種類のテストステロン・エステルが開発されている。テストステロン・エナント酸は、それらのエステルの中で最も幅広く使用されている。テストステロン・エナント酸は、男性避妊用のホルモン剤を実現するという点については有用である。しかし、週1回の注射が必要であるという欠点や、筋肉注射の直後にテストステロンのピーク水準が生理的環境を超えるという欠点を含んでいる(Wu, "Effects of Testosterone Enanthate in Normal Men: Experience From a Multicenter Contraceptive Efficacy Study, " Fertility and Sterility 65: 626-36, 1996(非特許文献6))。
【0005】
ARと結合し、アンドロゲン(例えば、テストステロン・エナント酸)又は抗アンドロゲン(例えば、酢酸シプロテロン)としての機能を果たすステロイド性のリガンドは、長年知られており臨床的に使用されている(Wu 1988)。また、非ステロイド系の抗アンドロゲンはホルモン依存性前立腺癌の臨床に用いられるが、非ステロイド系のアンドロゲンは報告されていない。そういう訳で、男性避妊についての研究は、もっぱらステロイド系合成物に集中している。
【0006】
前立腺癌は、アメリカ合衆国の男性の間で最も頻繁に発生する癌の1つであり、毎年、数十万人もの新しい患者が診断されている。残念なことに、新しく診断された患者の60%以上が病理的に進行しており、不治であり予後は思わしくないことが分かっている。この問題に対する1つのアプローチは、検診によって前立腺癌を早期に発見し、それによって進行性の前立腺癌患者の数を減少させることである。また、他の方法は、前立腺癌を予防する薬剤を開発することである。50歳以上の男性全ての3分の1は、生命にかかわる臨床的な前立腺癌の形態を活性化させる、潜在性の前立腺癌を有している。潜在性の前立腺腫瘍の発生頻度は、50代(5.3−14%)から90代(40−80%)までの間で、10年間毎に大幅に増加することが知られている。全ての文化、民族、及び人種の間で潜在性の前立腺癌を有している人が同じように増えているが、臨床的に悪性である癌の発生頻度は著しく異なっている。これは、潜在性の前立腺癌を活性化させる上で、環境の要因が重要な役割を果たすということを示唆している。したがって、前立腺癌の治療方法及び予防方法の開発は、前立腺癌に対して医学的及び経済的に大きな全体的な影響を与えるであろう。
【0007】
骨粗鬆症は全身性の骨疾患であり、骨量が減少し骨組織が劣化するという特徴がある。その結果、骨の脆弱性が増し、骨折に弱くなる。アメリカ合衆国では、この病気は、毎年、2千5百万人以上の人々に影響を与えており、1千3百万人以上の人々に害を与えている(毎年、500,000人が背骨を骨折し、250,000人が股関節を骨折し、240,000人が手首を骨折している)。股関節の骨折は骨粗鬆症の最も深刻な結果であり、毎年、患者の5−20%は死亡し、生存者の50%以上が再起不能となっている。高齢者は、骨粗鬆症となる危険が最も高い。そのため、この問題は高齢化社会が進むにつれて著しく増加すると予測される。世界中での骨折の発生率は、次の60年間で3倍になると予測されている。そして、ある調査では、2050年には世界中で4千5百万人の股関節骨折が起こると推測している。
【0008】
女性は、男性よりも骨粗鬆症となる危険性が高い。女性は、閉経後の5年間で、骨量が急激に減少する。危険性を高める他の要因としては、喫煙、アルコールの過剰摂取、ほとんど運動しない生活習慣、及びカルシウム摂取の不足がある。また、骨粗鬆症は、男性にも高い頻度で発生する。男性の骨ミネラル濃度が年を取ると共に減少するということはよく知られている。ミネラル含有量及び濃度の減少は、骨強度の減少と相関しており、骨折しやすくなる。非再生組織での性ホルモンの多面発現効果の基礎をなす分子構造は、まだ理解され始めたばかりであるが、アンドロゲン及びエストロゲンの生理的濃度が、生涯を通じて骨の恒常性に対して重要な役割を果たすということは明らかである。したがって、アンドロゲン又はエストロゲンの欠乏が生じると、結果として骨再形成の割合が増加し、再吸収と形成のバランスが、骨量の全体的な損失の原因となる再吸収の方に傾く。男性では、壮年時における性ホルモンの自然的な減少は(アンドロゲンの減少を、アンドロゲンの末梢組織における芳香化から生じたエストロゲンと同様の低いレベルまで導く)、骨のもろさと関係がある。このことは、去勢された男性にも見られる。
【0009】
高齢男性におけるアンドロゲンの減少(Androgen Decline In The Aging Male: ADAM)は、アンドロゲン生成の進行性の減少が原因であり、中年以降の男性によく見られる。この症候群は、アンドロゲン環境と相関関係にある身体的領域及び知的領域の変質に特徴があり、アンドロゲン環境の操作により修正することができる。ADAMは、生化学的に、血清アンドロゲンの減少だけではなく、他のホルモン(例えば、成長ホルモン、メラトニン、及びデヒドロエピアンドロステロン)の減少に特徴がある。臨床的な徴候としては、倦怠感、憂うつ、性欲減退、性的不全、勃起不全、性腺機能低下症、骨粗鬆症、脱毛症、肥満、サルコぺニア、骨減少、良性前立腺過形成、貧血、情緒及び認識力の変動、及び前立腺癌がある。
【0010】
女性におけるアンドロゲンの欠乏(Androgen Deficiency In Female: ADIF)は、様々なホルモン関連の病気が原因であり、中年以降の女性によく見られる。この症候群は、性的不全、性欲減退、性腺機能低下症、サルコぺニア、骨減少、骨粗鬆症、認識力及び情緒の変動、貧血、憂うつ、脱毛症、肥満、子宮内膜症、乳癌、子宮癌、及び卵巣癌を特徴とする。
【0011】
筋肉疲労は、進行性の筋量の減少、及び/又は進行性の筋肉の弱体化及び退化が原因である。前記筋肉としては、運動を司る骨格筋又は随意筋、心拍制御を行う心筋、及び平滑筋がある。慢性の筋肉疲労は、進行性の筋量の減少、筋肉の弱体化及び退化を特徴とする慢性症状(長期に渡って持続する)である。筋肉疲労中に起こる筋量の減少は、筋肉タンパクを破壊又は分解するという性質を持っている。タンパク分解は、異常に高い率のタンパク質分解、異常に低い率のタンパク質合成、又はそれらの組み合わせにより起こる。タンパク質分解は、異常に高い率のタンパク質分解により起ころうと、異常に低い率のタンパク質合成により起ころうと、筋量の減少と筋肉疲労をもたらす。筋肉疲労は、慢性、神経性、遺伝性又は伝染性の、病状、疾病、疾患又は状態と関連している。それらの病状としては、筋ジストロフィー(例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィーや、筋強直緊張性ジストロフィー)、筋萎縮(例えば、ポリオ後筋萎縮。Post-Polio Muscle Atrophy: PPMA)、悪液質(例えば、心臓悪液質や、エイズ悪液質及び癌悪液質)、栄養失調、ハンセン病、糖尿病、腎臓病、慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease: COPD)、癌、末期腎不全、気腫、骨軟化症、HIV感染、エイズ、及び心筋症がある。さらに、他の環境や状況が筋肉疲労と関係あり、筋肉疲労を起こすことができる。それらは、慢性的な腰痛、老化、中枢神経系の損傷、末梢神経の損傷、脊髄の損傷、化学的損傷、中枢神経系の傷害、末梢神経の傷害、脊髄の傷害、化学的傷害、熱傷、手足が固定化されたときに生じる廃用症、病気又は負傷のための長期間の入院、及びアルコール依存症などがある。筋肉疲労を治療しないまま放置すると、悲惨な健康状態となる。例えば、筋肉疲労の間に起こる変化は、健康状態を悪化させ個人の健康に害を及ぼす。その結果、感染症にかかりやすくなり、一般状態不良をもたらし、負傷しやすくなる。
【0012】
次の(a)〜(h)に有用な化合物を開発するための、基礎科学及び臨床レベルの両方で新しい革新的なアプローチが緊急に必要とされている。(a)男性避妊、(b)例えば、高齢男性におけるアンドロゲンの減少(ADAM)と関連する病気(例えば、倦怠感、憂うつ、性欲減退、性的不全、勃起不全、性腺機能低下症、骨粗鬆症、脱毛症、貧血、肥満、サルコぺニア、骨減少、良性前立腺過形成、貧血、情緒及び認識力の変動、及び前立腺癌)のような、様々なホルモンと関連する病気の治療、(c)ADIFと関連する病気(例えば、性的不全、性欲減退、性腺機能低下症、サルコぺニア、骨減少、骨粗鬆症、認識力及び情緒の変動、憂うつ、貧血、脱毛症、肥満、子宮内膜症、乳癌、子宮癌、及び卵巣癌)の治療、(d)急性及び/又は慢性の筋肉疲労状態の治療及び/又は予防、(e)ドライアイ状態の予防及び/又は治療、(f)経口のアンドロゲン補充療法、(g)前立腺癌を食い止める又は退行を引き起こすことによる発生率の減少、及び/又は(h)癌細胞内へのアポトーシスの誘導。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Matsumoto, Endocrinol. Met. Gun. N. Am. 23: 857-75, 1994
【非特許文献2】Zhou, et al., Molec. Endocrinol. 9: 208-18, 1995
【非特許文献3】Sundaram et al., "7 Alpha-Methyl-Nortestosterone(MENT): The Optimal Androgen For Male Contraception," Ann. Med., 25:199-205, 1993, "Sundaram"
【非特許文献4】Steinberger et al., "Effect of Chronic Administration of Testosterone Enanthate on Sperm Production and Plasma Testosterone, Follicle Stimulating Hormone, and Luteinizing Hormone Levels: A Preliminary Evaluation of a Possible Male Contraceptive, " Fertility and Sterility 28: 1320-28, 1977
【非特許文献5】World Health Organization Task Force on Methods And Regulation of Male Fertility, "Contraceptive Efficacy of Testosterone-Induced Azoospermia and Oligospermia in Normal Men, " Fertility and Sterility 65: 21-29, 1996
【非特許文献6】Wu, "Effects of Testosterone Enanthate in Normal Men: Experience From a Multicenter Contraceptive Efficacy Study, " Fertility and Sterility 65: 626-36, 1996
【発明の概要】
【0014】
一実施例では、本発明は、アンドロゲンレセプタ標的薬剤(ARTA)を提供する。
薬剤は選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子(SARM)化合物の新規なサブクラスを定める。複数のSARM化合物は、アンドロゲンレセプタのための非ステロイド性リガンドの、予想出来ないアンドロゲン活性及びタンパク同化活性を有することが解った。別のSARM化合物は、アンドロゲンレセプタのための非ステロイド性リガンドの予想できない抗アンドロゲン活性を有することが解った。それらSARM化合物は、単独で用いられても成分として用いられても、a)男性の避妊、b)高齢男性におけるアンドロゲン減少(ADAM)に関連するような、複数のホルモン関連コンディションの治療、例えば、うつ病、性欲減退、生殖機能不全、インポテンツ、性腺機能低下症、骨粗鬆症、脱毛症、貧血、肥満、サルコペニア、骨減少症、オステオポローシス、前立腺肥大症、認識及び気分の変化、及び前立腺癌、c)ADIFに関連するコンディションの治療、例えば、生殖機能不全、性欲減退、性腺機能低下症、サルコペニア、骨減少症、骨粗鬆症、認識及び気分の変化、貧血、脱毛症 肥満、子宮内膜症、乳ガン、子宮癌、及び卵巣癌、d)急性及び/または慢性の筋萎縮障害の治療及び/又は防止、e)ドライアイの治療及び/又は防止、f)経口アンドロゲン補充療法、及び/又はg)前立腺癌発生の減少、若しくは前立腺癌退行の中断若しくは実行に有用である。
【0015】
一実施例では、本発明は次の化学構造式1で示される選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子(SARM)を提供する。
【化1】

【0016】
Xは、結合、O、CH2、NH、S、Se、PR、NO、若しくはNRであり、
Gは、O、若しくはSであり、
TはOH、OR、-NHCOCH3、若しくはNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CH2F、CHF2、CF3、CF2CF3、アリル、フェニル、ハロゲン、アルケニル、若しくはOHであり、
R1は、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2CH3、若しくはCF2CF3であり、
R2は、F、Cl、Br、I、CH3、CF3、OH、CN、NO2、NHCOCH3、NHCOCF3、NHCOR、アルキル、アリルアルキル、OR、NH2、NHR、NR2、SRであり、
R3は、F、Cl、Br、I、CN、NO2、COR、COOH、CONHR、CF3、SnR3、若しくはR3であり、また、結合されたベンゼン環を有している次の構造、

で示されるような縮合環システムであり、
Zは、NO2、CN、COR、COOH、若しくはCONHRであり、
Yは、CF3、F、Br、Cl、I、CN、若しくはSnR3であり、
Qは、H、アルキル、ハロゲン、CF3、CN、 CR3、 SnR3、 NR2、NHCOCH3、 NHCOCF3、 NHCOR、 NHCONHR、 NHCOOR、OCONHR、 CONHR、 NHCSCH3、NHCSCF3、NHCSR、 NHSO2CH3、 NHSO2R、OH、 OR、 COR、 OCOR、 OSO2R、 SO2R、 SR;若しくは、ベンゼン環を有しベンゼン環に取着されているQは、次の構造A、B、若しくはCで示される縮合環システムであり、

nは、1−4の整数であり、また、
mは、1−3の整数である。
【0017】
別の実施例では、本発明は化学式1の化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせ提供する。
【0018】
一実施例では、化合物1におけるXはOである。別の実施例では、化合物1におけるGはOである。別の実施例では、化合物1におけるZはNOである。別の実施例では、化合物1におけるZはCNである。別の実施例では、化合物1におけるYはCFである。別の実施例では、化合物1におけるQはNHCOCHである。化合物1におけるQはFである。別の実施例では、化合物1におけるTはOHである。別の実施例では、化合物1におけるRはCHである。別の実施例では、化合物1におけるQはFであり、RはCHである。別の実施例では、化合物1におけるQはFであり、RはClである。
【0019】
一実施例では、本発明は次の化学構造式2で示される選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子(SARM)を提供する。
【0020】
【化2】

【0021】
ここで、pは2乃至5の整数で、残りの置換基は上述したとおりである。一実施例では、pは5である。
【0022】
別の実施例では、本発明は化学式2の化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせ提供する。
【0023】
別の実施例では、化学式4で示される選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子をアンドロゲンレセプタに結合させる方法であって、
【0024】
【化4】

【0025】
ここで、
Xは、Oであり、
Gは、O、又はSであり、
Tは、OH、OR、-NHCOCH3、又はNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CH2F、CHF2、CF3、CF2CF3、アリル、フェニル、ハロゲン、アルケニル、又はOHであり、
R1は、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2CH3、又はCF2CF3であり、
R3は、F、Cl、Br、I、CN、NO2、COR、COOH、CONHR、CF3、Sn(R)3、又は結合されたベンゼン環を有しているR3は、次の構造、

で示されるような縮合環システムであり、Zは、NO2、CN、COR、COOH、若しくはCONHRであり、
Qは、H、アルキル、ハロゲン、CF3、CN、C(R)3、Sn(R)3、NR2、NHCOCH3、NHCOCF3、又はNHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、 NHCSCH3、NHCSCF3、NHCSR、NHSO2CH3、NHSO2R、OH、 OR、COR、OCOR、OSO2R、SO2R、SRであり、
P’は、1、2、3又は4であり、
mは、1、2又は3であり、
前記選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子を前記アンドレゲンレセプタに結合するのに効果的な量で、前記アンドロゲンレセプタに前記アンドロゲンレセプタ修飾因子及び/若しくはその異性体、それらの医薬的に許容される塩、又はこれらのいずれかの組み合わせに接触させる過程を含むことを特徴とする方法である。
【0026】
また、これらのアンドロゲンレセプタに前記アンドロゲンレセプタ修飾因子及び/若しくはその異性体、それらの医薬的に許容される塩、又はこれらのいずれかの組み合わせを使用して、精子形成を抑制するための医薬を製造する方法、男性の避妊のための医薬を製造する方法、ホルモン治療のための医薬を製造する方法、ホルモン補充療法のための医薬を製造する方法、ホルモン関連コンディションの治療用の医薬を製造する方法、前立腺ガンの治療用の医薬を製造する方法、前立腺ガンを防止するための医薬を製造する方法、前立腺ガン進行を遅延させるための医薬を製造する方法、前立腺ガンの再発を防止するための医薬を製造するための方法、前立腺ガン再発を治療するための医薬を製造する方法、ドライアイコンディションの治療のための医薬を製造する方法、及びドライアイコンディションの防止のための医薬を製造する方法を提供する。
【0027】
一実施例では、本発明は次の化学構造式5で示される選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子(SARM)を提供する。
【0028】
【化5】

R2は、F、Cl、Br、I、CH3、CF3、OH、CN、NO2、NHCOCH3、NHCOCF3、NHCOR、アルキル、アリルアルキル、OR、NH2、NHR、NR2、SRであり、
R3は、F、Cl、Br、I、CN、NO2、COR、COOH、CONHR、CF3、SnR3、若しくは、結合されたベンゼン環を有している次の構造、

で示されるような縮合環システムであり、
R は、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、 CH2F、 CHF2、 CF3、CF2CF3、 アリル、フェニル、ハロゲン、 アルケニル、若しくはOHであり、
Zは、NO2、CN、COR、COOH、若しくはCONHRであり、
Yは、CF3、F、Br、Cl、I、CN、若しくはSnR3であり、
Qは、H、アルキル、ハロゲン、CF3、CN、 CR3、 SnR3、 NR2、NHCOCH3、 NHCOCF3、 NHCOR、 NHCONHR、 NHCOOR、OCONHR、 CONHR、 NHCSCH3、NHCSCF3、NHCSR、 NHSO2CH3、 NHSO2R、OH、 OR、 COR、 OCOR、 OSO2R、 SO2R、 SR;若しくは、ベンゼン環を有しベンゼン環に取着されているQは、次の構造A、B、若しくはCで示される縮合環システムであり、

ここで、nは、1−4の整数であり、また、
mは、1−3の整数である。
【0029】
別の実施例では、本発明は化学式5の化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせ提供する。
【0030】
一実施例では、化合物5におけるZはNOである。別の実施例では、化合物5におけるZはCNである。別の実施例では、化合物5におけるYはCFである。別の実施例では、化合物5におけるQはNHCOCHである。別の実施例では、化合物5におけるQはFである。別の実施例では、化合物1におけるQはFであり、RはCHである。別の実施例では、化合物1におけるQはFであり、RはClである。
【0031】
一実施例では、本発明は次の化学構造式6で示される選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子(SARM)を提供する。
【化6】

【0032】
ここで、p’は1乃至4の整数で、残りの置換基は化合物5に関して上述したとおりである。一実施例ではp’は5である。
【0033】
別の実施例では、本発明は化学式6の化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせ提供する。
【0034】
別の実施例では、SARMは次の構造で示される。

【0035】
別の実施例では、SARMは次の構造で示される。

【0036】
別の実施例では、SARMは次の構造で示される。

【0037】
一実施例では、本発明のSARM化合物は、アンドロゲンレセプタアゴニストである。別の実施例では、化学式1乃至6のいずれかのSARM化合物は、アンドロゲンレセプタアンタゴニストである。別の実施例では、化学式1乃至6のいずれかのSARM化合物は、アンドロゲンレセプタに不可逆的に結合する。別の実施例では、化学式1乃至6のいずれかのSARM化合物は、アンドロゲンレセプタに可逆的に接合する。
【0038】
一実施例では、本発明は、本発明のSARM化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせを有する成分を提供する。
【0039】
一実施例では、本発明は、本発明のSARM化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせ、及び適切な担体若しくは希釈剤を有する医薬品を提供する。
【0040】
一実施例では、本発明は更にアンドロゲンレセプタに対してSARM化合物を結合させる方法を提供し、方法には、効果的な量の、本発明のSARM化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせと、アンドロゲンレセプタとを接触させる過程が含まれる。
【0041】
別の実施例では、本発明は更に被験者の精子形成の抑制方法を提供し、方法には、効果的な量の、本発明のSARM化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせと、アンドロゲンレセプタとを接触させる過程が含まれる。
【0042】
別の実施例では、本発明は更に男性被験者の避妊方法を提供し、方法には、効果的な量の、本発明のSARM化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせと、アンドロゲンレセプタとを接触させる過程が含まれる。
【0043】
別の実施例では、本発明は更にホルモン療法を提供し、方法には、効果的な量の、本発明のSARM化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせと、アンドロゲンレセプタとを接触させる過程が含まれる。
【0044】
別の実施例では、本発明は更にホルモン補充療法を提供し、方法には、効果的な量の、本発明のSARM化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせと、アンドロゲンレセプタとを接触させる過程が含まれる。
【0045】
別の実施例では、本発明は更にホルモン関連の症状を有する患者を治療する方法を提供し、方法には、効果的な量の、本発明のSARM化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせを被験者に投与する過程が含まれる。
【0046】
別の実施例では、本発明は更に前立腺癌に苦しむ患者を治療する方法を提供し、方法には、効果的な量の、本発明のSARM化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせを被験者に投与する過程が含まれる。
【0047】
別の実施例では、本発明は更に前立腺癌を予防する方法を提供し、方法には、効果的な量の、本発明のSARM化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせを被験者に投与する過程が含まれる。
【0048】
別の実施例では、本発明は更に前立腺癌に苦しむ被験者に於ける前立腺癌の進行を遅延させる方法を提供し、方法には、効果的な量の、本発明のSARM化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせを被験者に投与する過程が含まれる。
【0049】
別の実施例では、本発明は更に前立腺癌に苦しむ被験者に於ける前立腺癌再発防止方法を提供し、方法には、効果的な量の、本発明のSARM化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせを被験者に投与する過程が含まれる。
【0050】
別の実施例では、本発明は更に前立腺癌に苦しむ被験者に於ける前立腺癌再発を治療する方法を提供し、方法には、効果的な量の、本発明のSARM化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせを被験者に投与する過程が含まれる。
【0051】
別の実施例では、本発明は更にドライアイに苦しむ被験者に於けるドライアイ症状の治療方法を提供し、方法には、効果的な量の、本発明のSARM化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせを被験者に投与する過程が含まれる。
【0052】
別の実施例では、本発明は更にドライアイ症状の防止方法を提供し、方法には、効果的な量の、本発明のSARM化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせを被験者に投与する過程が含まれる。
【0053】
別の実施例では、本発明は、次の化学式1で示される選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子(SARM)化合物を調製するためのプロセスを提供する。
【化1】

【0054】
Xは、O、NH、S、Se、PR、若しくはNRであり、
Gは、O、若しくはSであり、
TはOH、OR、-NHCOCH3、若しくはNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CH2F、CHF2、CF3、CF2CF3、アリル、フェニル、ハロゲン、アルケニル、若しくはOHであり、
Rは、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2CH3、若しくはCF2CF3であり、
R2は、F、Cl、Br、I、CH3、CF3、OH、CN、NO2、NHCOCH3、NHCOCF3、NHCOR、アルキル、アリルアルキル、OR、NH2、NHR、NR2、SRであり、
R3は、F、Cl、Br、I、CN、NO2、COR、COOH、CONHR、CF3、SnR3、若しくはR3であり、また、結合されたベンゼン環を有している次の構造、

で示されるような縮合環システムであり、
Zは、NO2、CN、COR、COOH、若しくはCONHRであり、
Yは、CF3、F、Br、Cl、I、CN、若しくはSnR3であり、
Qは、H、アルキル、ハロゲン、CF3、CN、 CR3、 SnR3、 NR2、NHCOCH3、 NHCOCF3、 NHCOR、 NHCONHR、 NHCOOR、OCONHR、 CONHR、 NHCSCH3、NHCSCF3、NHCSR、 NHSO2CH3、 NHSO2R、OH、 OR、 COR、 OCOR、 OSO2R、 SO2R、 SR;若しくは、ベンゼン環を有しベンゼン環に取着されているQは、次の構造A、B、若しくはCで示される縮合環システムであり、

nは、1−4の整数であり、また、
mは、1−3の整数である。
【0055】
前記プロセスは、Z、Y、G、R1、T、R、及びmが上で定義され、またLが脱離基である化学式7の化合物、
【化7】

と、Q、XR及びnが上で定義されている化学式8の化合物、
【化8】

とをカップリングさせる過程を含んでいる。
【0056】
一実施例では、カップリング過程は塩基の存在下で実行される。また別の実施例では、脱離基LはBrである。別の実施例では、化学式7の化合物は次のように調製される。
【0057】
i)化学式10の環状化合物を開環することによる、化学式9の化合物の調製が、次のように実行され

ここで、L、R1、G、及びTが上で定義されており、TはO若しくはNHであり、また、
ii)カップリング薬剤存在下で、Z、Y、R、及びmが上で定義されている化学式11のアミン、
【化11】

と、化学式9の化合物とを反応させて、化学式7の化合物、
【化7】

を生成する。
【0058】
一実施例では、過程(a)は、HBrの存在の下で実行される。別の実施例では、プロセスは更に、SARM化合物をその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせに変換する過程を含む。
【0059】
本発明の新規な選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子化合物は、単独で用いられても、また医薬品成分として用いられても、a)男性の避妊、b)高齢男性におけるアンドロゲン減少(ADAM)に関連するような、複数のホルモン関連コンディションの治療、例えば、うつ病、性欲減退、生殖機能不全、インポテンツ、性腺機能低下症、骨粗鬆症、脱毛症、貧血、肥満、サルコペニア、骨減少症、オステオポローシス、前立腺肥大症、認識及び気分の変化、及び前立腺癌、c)ADIFに関連するコンディションの治療、例えば、生殖機能不全、性欲減退、性腺機能低下症、サルコペニア、骨減少症、骨粗鬆症、認識及び気分の変化、貧血、脱毛症 肥満、子宮内膜症、乳ガン、子宮癌、及び卵巣癌、d)急性及び/または慢性の筋萎縮障害の治療及び/又は防止、e)ドライアイの治療及び/又は防止、f)経口アンドロゲン補充療法、及び/又はg)前立腺癌発生の減少、若しくは前立腺癌退行の中断若しくは実行に有用である。
【0060】
本発明のSARM化合物が、アンドロゲンレセプタのための非ステロイド性リガンドのアンドロゲン活性及びタンパク同化活性を有することが、in- vivoで示されているので、本発明の選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子化合物は、ステロイド性アンドロゲン療法に関する著しい進歩を提供する。よって、SARM化合物は、アンドロゲンレセプタのための非ステロイド性リガンドのアンドロゲン活性及びタンパク同化活性を有しており、深刻な副作用、投与の不便さ、若しくは高額な費用などの問題を伴うことなく、経口による生物学的利用能、別ステロイドレセプタを有する交差反応性の欠乏、及び長期間の生化学的半減期といった長所も有している。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図は、ラットにおける化合物1及び2のアンドロゲン活性及びタンパク同化活性を示すグラフである。ここで、ラットには、処置されていないもの(実験対照標準)、去勢されたもの(去勢された実験対照標準)、一日あたり1.0mgの化合物1による治療を受けたもの、一日あたり1.0mgの化合物3による治療を受けたものがあり、アンドロゲン反応組織(前立腺、精嚢、及び肛門挙筋)の重量が決定された。
【図2】ラットにおける化合物7のアンドロゲン及びタンパク同化活性を示すグラフである。ここで、ラットは0日目に去勢されており、DMSO/PEG溶媒中の化合物7が、毎日皮下的に投与(投与量は一日当たり0.05mg〜3mg)された。ラットは最終日に殺され、アンドロゲン(前立腺及び精嚢)重量やタンパク同化(挙筋)重量が測定された。
【発明を実施するための形態】
【0062】
一実施例では、本発明は、アンドロゲンレセプタ標的薬剤(ARTA)を提供する。
薬剤は選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子(SARM)化合物の新規なサブクラスを定める。複数のSARM化合物は、アンドロゲンレセプタのための非ステロイド性リガンドの、予想出来ないアンドロゲン活性及びタンパク同化活性を有することが解った。別のSARM化合物は、アンドロゲンレセプタのための非ステロイド性リガンドの予想できない抗アンドロゲン活性を有することが解った。それらSARM化合物は、単独で用いられても成分として用いられても、a)男性の避妊、b)高齢男性におけるアンドロゲン減少(ADAM)に関連するような、複数のホルモン関連コンディションの治療、例えば、うつ病、性欲減退、生殖機能不全、インポテンツ、性腺機能低下症、骨粗鬆症、脱毛症、貧血、肥満、サルコペニア、骨減少症、オステオポローシス、前立腺肥大症、認識及び気分の変化、及び前立腺癌、c)ADIFに関連するコンディションの治療、例えば、生殖機能不全、性欲減退、性腺機能低下症、サルコペニア、骨減少症、骨粗鬆症、認識及び気分の変化、貧血、脱毛症 肥満、子宮内膜症、乳ガン、子宮癌、及び卵巣癌、d)急性及び/または慢性の筋萎縮障害の治療及び/又は防止、e)ドライアイの治療及び/又は防止、f)経口アンドロゲン補充療法、及び/又はg)前立腺癌発生の減少、若しくは前立腺癌退行の中断若しくは実行に有用である。
【0063】
一実施例では、本発明は次の化学構造式1で示される選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子(SARM)を提供する。
【化1】

【0064】
Xは、結合、O、CH2、NH、S、Se、PR、NO、若しくはNRであり、
Gは、O、若しくはSであり、
TはOH、OR、-NHCOCH3、若しくはNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CH2F、CHF2、CF3、CF2CF3、アリル、フェニル、ハロゲン、アルケニル、若しくはOHであり、
R1は、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2CH3、若しくはCF2CF3であり、
R2は、F、Cl、Br、I、CH3、CF3、OH、CN、NO2、NHCOCH3、NHCOCF3、NHCOR、アルキル、アリルアルキル、OR、NH2、NHR、NR2、SRであり、
R3は、F、Cl、Br、I、CN、NO2、COR、COOH、CONHR、CF3、SnR3、若しくはR3であり、また、結合されたベンゼン環を有している次の構造、

で示されるような縮合環システムであり、
Zは、NO2、CN、COR、COOH、若しくはCONHRであり、
Yは、CF3、F、Br、Cl、I、CN、若しくはSnR3であり、
Qは、H、アルキル、ハロゲン、CF3、CN、 CR3、 SnR3、 NR2、NHCOCH3、 NHCOCF3、 NHCOR、 NHCONHR、 NHCOOR、OCONHR、 CONHR、 NHCSCH3、NHCSCF3、NHCSR、 NHSO2CH3、 NHSO2R、OH、 OR、 COR、 OCOR、 OSO2R、 SO2R、 SR;若しくは、ベンゼン環を有しベンゼン環に取着されているQは、次の構造A、B、若しくはCで示される縮合環システムであり、

nは、1−4の整数であり、また、
mは、1−3の整数である。
【0065】
一実施例ではSARMは化学式1の化合物の類似体であり、別の実施例ではSARMは化学式1の化合物の誘導体であり、別の実施例ではSARMは化学式1の化合物の異性体であり、別の実施例ではSARMは化学式1の化合物の代謝産物であり、別の実施例ではSARMは化学式1の化合物の薬剤的に許容されている塩であり、別の実施例ではSARMは化学式1の化合物の医薬品であり、別の実施例ではSARMは化学式1の化合物の水和物であり、別の実施例ではSARMは化学式1の化合物のN−酸化物であり、また、別の実施例ではSARMは化学式1の化合物の、類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物のいずれかの組み合わせである。
【0066】
一実施例では、化合物1におけるXはOである。別の実施例では、化合物1におけるGはOである。別の実施例では、化合物1におけるZはNOである。別の実施例では、化合物1におけるZはCNである。別の実施例では、化合物1におけるYはCFである。別の実施例では、化合物1におけるQはNHCOCHである。化合物1におけるQはFである。別の実施例では、化合物1におけるTはOHである。別の実施例では、化合物1におけるRはCHである。別の実施例では、化合物1におけるQはFであり、RはCHである。別の実施例では、化合物1におけるQはFであり、RはClである。
【0067】
置換基Z、Y、及びRは、それら置換基を有する環(以後A環と表記)のいずれの位置であっても良い。一実施例では、置換基ZがA環のパラ位にある。別の実施例では、置換基YはA環のメタ位にある。別の実施例では、置換基ZはA環のパラ位にあり、置換基YはA環のメタ位にある。
【0068】
置換基Q及びRは、それら置換基を有する環(以後B環と表記)のいずれの位置であっても良い。一実施例では、置換基QがB環のパラ位にある。別の実施例では、置換基QがB環のパラ位にある。別の実施例では、置換基QはNHCOCHであり、またB環のパラ位にある。
【0069】
ここでは、整数m及びnが1よりも大きければ、置換基R及びRは特定の置換基に限定されることはなく、上述した置換基のいずれの組み合わせであっても良い。
【0070】
一実施例では、本発明は次の化学構造式2で示される選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子(SARM)を提供する。
【0071】
【化2】

【0072】
ここで、pは2乃至5の整数で、残りの置換基は上述の化合物1に関して定義したとおりである。施例ではp’は5である。
【0073】
一実施例では、本発明はpが2である化学式2の化合物を提供する。一実施例では、本発明はpが3である化学式2の化合物を提供する。一実施例では、本発明はpが4である化学式2の化合物を提供する。一実施例では、本発明はpが5である化学式2の化合物を提供する。
【0074】
一実施例ではSARMは化学式2の化合物の類似体であり、別の実施例ではSARMは化学式1の化合物の誘導体であり、別の実施例ではSARMは化学式2の化合物の異性体であり、別の実施例ではSARMは化学式2の化合物の代謝産物であり、別の実施例ではSARMは化学式2の化合物の薬剤的に許容されている塩であり、別の実施例ではSARMは化学式2の化合物の医薬品であり、別の実施例ではSARMは化学式2の化合物の水和物であり、別の実施例ではSARMは化学式2の化合物のN−酸化物であり、また、別の実施例ではSARMは化学式2の化合物の、類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物のいずれかの組み合わせである。
【0075】
一実施例では、本発明は次の化学構造式2で示される選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子(SARM)を提供する。
【0076】
【化3】

【0077】
X は、結合、 O、CH2、NH、 S、 Se、 PR、 NO、若しくはNRであり、
Gは、O若しくはSであり、
T は、OH、 OR、-NHCOCH3、若しくはNHCORであり、
R は、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、 CH2F、 CHF2、 CF3、CF2CF3、 アリル、フェニル、ハロゲン、 アルケニル、若しくはOHであり、
R1は、CH3、CH2F、 CHF2、 CF3、 CH2CH3、若しくは CF2CF3であり、
R2は、F、Cl、Br、I、CH3、CF3、OH、CN、NO2、NHCOCH3、NHCOCF3、NHCOR、アルキル、アリルアルキル、OR、NH2、NHR、NR2、SRであり、
R3は、F、Cl、Br、I、CN、NO2、COR、COOH、CONHR、CF3、SnR3、若しくは、結合されたベンゼン環を有している次の構造、

で示されるような縮合環システムであり、
Zは、NO2、CN、COR、COOH、若しくはCONHRであり、
Yは、CF3、F、Br、Cl、I、CN、若しくはSnR3であり、
Qは、H、アルキル、ハロゲン、CF3、CN、 CR3、 SnR3、 NR2、NHCOCH3、 NHCOCF3、 NHCOR、 NHCONHR、 NHCOOR、OCONHR、 CONHR、 NHCSCH3、NHCSCF3、NHCSR、 NHSO2CH3、 NHSO2R、OH、 OR、 COR、 OCOR、 OSO2R、 SO2R、 SR;若しくは、ベンゼン環を有しベンゼン環に取着されているQは、次の構造A、B、若しくはCで示される縮合環システムであり、

nは、1−4の整数であり、また、
mは、1−3の整数である。
【0078】
一実施例ではSARMは化学式3の化合物の類似体であり、別の実施例ではSARMは化学式3の化合物の誘導体であり、別の実施例ではSARMは化学式3の化合物の異性体であり、別の実施例ではSARMは化学式3の化合物の代謝産物であり、別の実施例ではSARMは化学式3の化合物の薬剤的に許容されている塩であり、別の実施例ではSARMは化学式3の化合物の医薬品であり、別の実施例ではSARMは化学式3の化合物の水和物であり、別の実施例ではSARMは化学式3の化合物のN−酸化物であり、また、別の実施例ではSARMは化学式3の化合物の、類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物のいずれかの組み合わせである。
【0079】
一実施例では、化合物3におけるXはOである。別の実施例では、化合物3におけるGはOである。別の実施例では、化合物3におけるZはNOである。別の実施例では、化合物3におけるZはCNである。別の実施例では、化合物3におけるYはCFである。別の実施例では、化合物3におけるQはNHCOCHである。化合物3におけるQはFである。別の実施例では、化合物3におけるTはOHである。別の実施例では、化合物3におけるRはCHである。別の実施例では、化合物3におけるQはFであり、RはCHである。別の実施例では、化合物3におけるQはFであり、RはClである。
【0080】
一実施例では、本発明は次の化学構造式2で示される選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子(SARM)を提供する。
【0081】
【化4】

【0082】
ここで、p’は1乃至4の整数である。残りの置換基は上述の化合物3に関して定義されている通りである。
【0083】
一実施例では、本発明はp’が1である化学式4の化合物を提供する。一実施例では、本発明はp’が2である化学式4の化合物を提供する。一実施例では、本発明はp’が3である化学式4の化合物を提供する。一実施例では、本発明はp’が4である化学式4の化合物を提供する。
【0084】
一実施例ではSARMは化学式4の化合物の類似体であり、別の実施例ではSARMは化学式4の化合物の誘導体であり、別の実施例ではSARMは化学式4の化合物の異性体であり、別の実施例ではSARMは化学式4の化合物の代謝産物であり、別の実施例ではSARMは化学式4の化合物の薬剤的に許容されている塩であり、別の実施例ではSARMは化学式4の化合物の医薬品であり、別の実施例ではSARMは化学式4の化合物の水和物であり、別の実施例ではSARMは化学式4の化合物のN−酸化物であり、また、別の実施例ではSARMは化学式4の化合物の、類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物のいずれかの組み合わせである。
【0085】
一実施例では、本発明は次の化学構造式2で示される選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子(SARM)を提供する。
【0086】
【化5】

【0087】
R2は、F、Cl、Br、I、CH3、CF3、OH、CN、NO2、NHCOCH3、NHCOCF3、NHCOR、アルキル、アリルアルキル、OR、NH2、NHR、NR2、SRであり、
R3は、F、Cl、Br、I、CN、NO2、COR、COOH、CONHR、CF3、SnR3、若しくは、結合されたベンゼン環を有している次の構造、

で示されるような縮合環システムであり、
R は、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、 CH2F、 CHF2、 CF3、CF2CF3、 アリル、フェニル、ハロゲン、 アルケニル、若しくはOHであり、
Zは、NO2、CN、COR、COOH、若しくはCONHRであり、
Yは、CF3、F、Br、Cl、I、CN、若しくはSnR3であり、
Qは、H、アルキル、ハロゲン、CF3、CN、 CR3、 SnR3、 NR2、NHCOCH3、 NHCOCF3、 NHCOR、 NHCONHR、 NHCOOR、OCONHR、 CONHR、 NHCSCH3、NHCSCF3、NHCSR、 NHSO2CH3、 NHSO2R、OH、 OR、 COR、 OCOR、 OSO2R、 SO2R、 SR;若しくは、ベンゼン環を有しベンゼン環に取着されているQは、次の構造A、B、若しくはCで示される縮合環システムであり、

ここで、nは、1−4の整数であり、また、
mは、1−3の整数である。
【0088】
一実施例ではSARMは化学式5の化合物の類似体であり、別の実施例ではSARMは化学式5の化合物の誘導体であり、別の実施例ではSARMは化学式5の化合物の異性体であり、別の実施例ではSARMは化学式5の化合物の代謝産物であり、別の実施例ではSARMは化学式5の化合物の薬剤的に許容されている塩であり、別の実施例ではSARMは化学式5の化合物の医薬品であり、別の実施例ではSARMは化学式5の化合物の水和物であり、別の実施例ではSARMは化学式5の化合物のN−酸化物であり、また、別の実施例ではSARMは化学式5の化合物の、類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物のいずれかの組み合わせである。
【0089】
一実施例では、化合物5におけるZはNOである。別の実施例では、化合物5におけるZはCNである。別の実施例では、化合物5におけるYはCFである。別の実施例では、化合物5におけるQはNHCOCHである。別の実施例では、化合物5におけるQはFである。別の実施例では、化合物5におけるQはFであり、RはCHである。別の実施例では、化合物5におけるQはFであり、RはClである。
【0090】
一実施例では、本発明は次の化学構造式6で示される選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子(SARM)を提供する。
【0091】
【化6】

【0092】
ここで、p’は1乃至4の整数で、残りの置換基は化合物5に関して上述したとおりである。一実施例では、本発明はp’が1である化学式6の化合物を提供する。一実施例では、本発明はp’が2である化学式6の化合物を提供する。一実施例では、本発明はp’が3である化学式6の化合物を提供する。一実施例では、本発明はp’が4である化学式6の化合物を提供する。
【0093】
一実施例ではSARMは化学式6の化合物の類似体であり、別の実施例ではSARMは化学式6の化合物の誘導体であり、別の実施例ではSARMは化学式6の化合物の異性体であり、別の実施例ではSARMは化学式6の化合物の代謝産物であり、別の実施例ではSARMは化学式6の化合物の薬剤的に許容されている塩であり、別の実施例ではSARMは化学式6の化合物の医薬品であり、別の実施例ではSARMは化学式6の化合物の水和物であり、別の実施例ではSARMは化学式6の化合物のN−酸化物であり、また、別の実施例ではSARMは化学式6の化合物の、類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物のいずれかの組み合わせである。
【0094】
一実施例では、SARM化合物とは、RがFであることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。一実施例では、SARM化合物とは、RがClであることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。一実施例では、SARM化合物とは、RがBrであることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。一実施例では、SARM化合物とは、RがIであることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物とは、RがCHであることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物とは、RがOHであることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物とは、RがCFであることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物とは、RがOHであることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物とは、RがCNであることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物とは、RがNOであることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物とは、RがNHCOCHであることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物とは、RがNHCOCFであることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物とは、RがNHCORであることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物とは、Rがアルキル基であることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物とは、Rがアリルアルキル基であることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物とは、RがOHであることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物とは、RがNHであることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物とは、RがNHRであることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物とは、RがNRであることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物とは、RがSRであることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。
【0095】
一実施例では、SARM化合物とは、RがFであることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物とは、RがClであることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物とは、RがBrであることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物とは、RがIであることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。の実施例では、SARM化合物とは、RがCNであることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物とは、RがNOであることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物とは、RがCORであることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物とは、RがCOOHであることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物とは、RがCONHRであることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物とは、RがCFであることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物とは、RがSnRであることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物とは、Rが次の化学式、

を有するベンゼン環を含むことを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。
【0096】
一実施例では、SARM化合物は、mが1であることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物は、mが2であることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物は、mが3であることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。一実施例では、SARM化合物は、nが1であることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物は、nが2であることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物は、nが3であることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。別の実施例では、SARM化合物は、nが4であることを特徴とする化学式1乃至6のいずれかの化合物である。
【0097】
別の実施例では、SARMは次の構造で示される。

【0098】
別の実施例では、SARMは次の構造で示される。

【0099】
別の実施例では、SARMは次の構造で示される。

【0100】
ここで定義されている置換基Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CH2F、CHF2、CF3、CF2CF3、; アリール、フェニル、ハロゲン、アルケニル、若しくはヒドロキシル(OH)基である。
【0101】
“アルキル”基とは、直鎖型、分枝型及び環状の飽和脂肪族炭化水素を指す。一実施例では、アルキル基は1乃至12個の炭素を有する。ある実施例では、アルキル基が1乃至7個の炭素を有する。ある実施例では、アルキル基が1乃至6個の炭素を有する。ある実施例では、アルキル基が1乃至4個の炭素を有する。アルキル基は、ハロゲン基、水酸基、アルコキシカルボニル基、アミド基、アルキルアミド基、ジアルキルアミド基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボニル基、 チオ基、及びチオアルキル基から選択される一つ若しくは複数の置換基と置換されても良く、されなくとも良い。
【0102】
“ハロアルキル”基とは、例えばF、Cl、Br、若しくはIのような一つ若しくは複数のハロゲン原子で置換された上述のアルキル基を指す。
【0103】
“アリル”基とは、少なくとも一つの炭素環式芳香族基若しくは複素環式芳香族基を有する芳香族基を指しており、それらは、ハロゲン基、ハロアルキル基、水酸基、アルコキシカルボニル基、アミド基、アルキルアミド基、ジアルキルアミド基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボニル基、 チオ基、及びチオアルキル基より選択された一つ若しくは複数の置換基と置換されても良く、されなくとも良い。アリル環の実施例としては、これに限定されるものではないが、フェニル、ナフチル、ピラニル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピラゾリル、ピリジニル、フラニル、チオフェニル、thiazolyl、イミダゾリル、イソオキサゾリル、及びそれらに類似するものがある。
【0104】
“ヒドロキシル”基とは、OH基を指す。“アルケニル”基は、炭素2重結合に対し、少なくとも一つの炭素を有するものである。ハロゲン基とは、F、Cl、Br、若しくはIを指す。
【0105】
“アリルアルキル”基とは、アリル基に対するアルキル結合を指し、ここではアルキル、アリル双方に関しては、上述のとおりである。アリルアルキル基の例としてはベンジル基が挙げられる。
【0106】
ここで考えられているように、本発明は、SARM化合物の利用に関し、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、もしくはそれらいずれかの組み合わせの利用に関する。一実施例では、本発明は、SARMの類似体の使用に関する。別の実施例では、本発明は、SARMの誘導体の使用に関する。別の実施例では、本発明は、SARMの異性体の使用に関する。別の実施例では、本発明は、SARMの代謝産物の使用に関する。別の実施例では、本発明は、SARMの薬剤的に許容されている塩の使用に関する。別の実施例では、本発明は、SARMの医薬品の使用に関する。別の実施例では、本発明は、SARMの水和物の使用に関する。別の実施例では、本発明は、SARMのN−酸化物の使用に関する。別の実施例では、本発明は、SARMの類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物の、いずれかの組み合わせの使用に関する。
【0107】
ここで定められているとおり、用語“異性体”は、これに限定するものではないが、光学異性体及びその類似体、構造異性体及びその類似体、配座異性体及びその類似体等を含む。
【0108】
ある実施例では、本発明はSARMの様々な光学異性体の使用を包含する。本発明のSARMが少なくとも一つのキラル中心を有することは当業者にとって既知である。従って、本発明の方法で用いられるSARMは、光学的に活性若しくはラセミ体で存在して良く、単離されてもよい。複数の化合物が多形性を示しても良い。本発明に複数のラセミ体、光学活性体、多形体、若しくは立体異性体形状、及びその混合物が含まれて良いことはおわかりであろう。これらは、既述のアンドロゲンに関連するコンディションの治療において有用な特性を有している。ある実施例では、SARMは、純粋な(R)異性体である。別の実施例では、SARMは、純粋な(S)異性体である。別の実施例では、SARMは、(R)異性体と(S)異性体との混合物である。別の実施例では、SARMは、同量の(R)異性体と(S)異性体を含むラセミ混合物である。当技術分野では、(例えば、再結晶によるラセミ体の分解、キラル合成による光学的に活性な出発物質の合成、若しくはキラル的定常状態な位相を用いるクロマトグラフィー的な分離による)光学的に活性な形状の生成方法は既知である。
【0109】
本発明は、例えばクエン酸や塩酸のような有機酸若しくは無機酸を有するアミノ置換化合物の“薬剤的に許容されている塩”を含む。本発明は又、既述の化合物のアミノ置換基のN−酸化物を含む。薬剤的に許容されている塩はまた、例えば水酸化ナトリウムのような無機塩基で処理されることにより、フェノール類より調製されても良い。また、フェノール類のエステルが、例えば酢酸や安息香酸エステルのような脂肪酸カルボン酸及び芳香族カルボン酸とともに生成されてもよい。
【0110】
本発明は更に、SARM化合物の誘導体を含む。用語“誘導体”には、これに限定するものではないが、エーテル誘導体、酸誘導体、アミノ誘導体、エステル誘導体等が含まれる。加えて、本発明はさらにSARM化合物の水和物も含む。用語“水和物”には、これに限定するものではないが、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物などが含まれる。
【0111】
本発明は更にSARM化合物の代謝産物も含む。用語“代謝産物”とは、代謝若しくは代謝性のプロセスによって別の物質より生成される物質を意味する。
【0112】
本発明は更にSARM化合物の化学薬品も含み、用語“医薬品”とは、ここに定義されているように、医薬品としての使用に適した成分を意味している。
【0113】
別の実施例では、本発明は、次の化学式1で示される選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子(SARM)化合物を調製するためのプロセスを提供する。
【0114】
【化1】

【0115】
Xは、O、NH、S、Se、PR、若しくはNRであり、
Gは、O、若しくはSであり、
TはOH、OR、-NHCOCH3、若しくはNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CH2F、CHF2、CF3、CF2CF3、アリル、フェニル、ハロゲン、アルケニル、若しくはOHであり、
Rは、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2CH3、若しくはCF2CF3であり、
R2は、F、Cl、Br、I、CH3、CF3、OH、CN、NO2、NHCOCH3、NHCOCF3、NHCOR、アルキル、アリルアルキル、OR、NH2、NHR、NR2、SRであり、
R3は、F、Cl、Br、I、CN、NO2、COR、COOH、CONHR、CF3、SnR3、若しくはR3であり、また、結合されたベンゼン環を有している次の構造、

で示されるような縮合環システムであり、
Zは、NO2、CN、COR、COOH、若しくはCONHRであり、
Yは、CF3、F、Br、Cl、I、CN、若しくはSnR3であり、
Qは、H、アルキル、ハロゲン、CF3、CN、 CR3、 SnR3、 NR2、NHCOCH3、 NHCOCF3、 NHCOR、 NHCONHR、 NHCOOR、OCONHR、 CONHR、 NHCSCH3、NHCSCF3、NHCSR、 NHSO2CH3、 NHSO2R、OH、 OR、 COR、 OCOR、 OSO2R、 SO2R、 SR;若しくは、ベンゼン環を有しベンゼン環に取着されているQは、次の構造A、B、若しくはCで示される縮合環システムであり、

nは、1−4の整数であり、また、
mは、1−3の整数である。
【0116】
前記プロセスは、Z、Y、G、R1、T、R、及びmが上で定義され、またLが脱離基である化学式7の化合物、
【化7】

と、Q、XR及びnが上で定義されている化学式8の化合物、
【化8】

とをカップリングさせる過程を含んでいる。
【0117】
一実施例では、カップリング過程は塩基の存在下で実行される。また別の実施例では、脱離基LはBrである。別の実施例では、化学式7の化合物は次のように調製される。
【0118】
i)化学式10の環状化合物を開環することによる、化学式9の化合物の調製が、次のように実行され

ここで、L、R1、G、及びTが上で定義されており、TはO若しくはNHであり、また、
ii)カップリング薬剤存在下で、Z、Y、R、及びmが上で定義されている化学式11のアミン、
【化11】

と、化学式9の化合物とを反応させて、化学式7の化合物、
【化7】

を生成する。
【0119】
当業者であれば、T1がO若しくはNHの場合、化合物8内のTは、O 若しくはNH2であることが解る。よって、化合物1におけるTがORである場合、例えばハロゲン化アルキルR-Xを用いた反応によって、さらにOH からOR への変換過程が反応に含まれてもよい。化合物1におけるTがNHCOR、NHCOCH3である場合、例えば、アシルクロライドCICOR若しくはCICOCH3を用いた反応によって、NH2よりNHCOR若しくはNHCOCH3への更なる変換過程が反応に含まれていても良い。
【0120】
一実施例では、過程(a)は、HBrの存在の下で実行される。別の実施例では、プロセスは更に、SARM化合物をその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせに変換する過程を含む。
【0121】
一実施例では、上述したようにカップリング過程が塩基存在下で実行される。XH(XがOであれば、フェノール)成分の水素を脱プロトン化し、カップリングを可能にする適切な塩基であれば用いることが出来る。これに限定するものではないが、塩基の例としては、炭酸ナトリウム (Na2CO3)、炭酸カリウム (K2CO3)、及び炭酸セシウム(Cs2CO3)等のアルカリ炭酸塩のような炭酸塩があり、例えば炭酸水素ナトリウム (NaHCO3)、炭酸水素カリウム (KHCO3)等のアルカリ金属炭酸水素イオンのような炭酸水素イオンがあり、また、水素化ナトリウム (NaH)、水素化カリウム(KH)、及び水素化リチウム(LiH)の様なアルカリ金属水素化物がある。
【0122】
当業者によく知られているように、脱離基Lは、慣習的に化学反応のために考慮されている脱離可能基としてここに定義されている。好適な脱離基としては、例えば、F、Cl、Br、及びIのようなハロゲン基、メタンスルホン酸塩(メシレート)、 トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、2,2,2-トリフルオロエタンスルホン酸塩、ペルフルオロブタンスルホン酸塩等の、Rがアルキル基であるスルホン酸エステル基(OSO2R)、p-トルオイルスルホン酸塩(トシル基)、メチル基、塩素、臭素、ニトロ基で置換されてよく若しくは置換されなくともよいベンゼンスルホン酸等の、Arがアリル基であるアリルスルホン酸塩エステル(OSO2Ar)、NO3、NO2、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、亜リン酸エステル、カルボン酸塩、イミノエステル、N2若しくはカルバミン酸塩がある。
【0123】
反応は、テトラヒドロフラン、ジエチルエステル、ピリジンのような芳香族アミン、ベンゼン、トルエン、キシレンのような脂肪族芳香性炭化水素、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、及びジメチルアセトアミド(DMAC)のような不活性溶媒若しくは希釈液内で都合良く実行される。適切には、反応は例えば−20から120℃の温度で実行される。例えばそれは室温に近い。
【0124】
ここで定義されているカップリング試薬は、式Xのカルボン酸/チオカルボン酸を反応性の誘導体に変化させ、各アミンとカップリングさせて、アミド/チオアミド結合を形成しうる。カルボン酸/チオカルボン酸の好適な反応誘導体は、例えば、塩化チオニルのような無機酸塩化物及び酸/チオ酸の反応によって形成されたアシル/チオアシル塩化物等のアシルハロゲン化物/チオアシルハロゲン化物、イソブチルクロロホルメートのようなクロロホルメート及び酸の反応により形成された無水物のような混合無水物、酸/チオ酸、及びフェノール、エステル/チオエステル、若しくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、若しくは、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール等のアルコールの反応によって形成されたエステル/チオエステルのような活性化エステル/チオエステル、ジフェニルホスホニルアジドのようなアジド及び酸/チオ酸の反応によって形成されたアジド等のアシル/チオアシルアジド、ジエチルホスホニルシアン化物のようなシアン化物及び酸の反応によって形成されたシアン化物等のシアン化物/チオアシルシアン化物、若しくは、ジシクロヘキシルカルボジイミドのようなカルボジイミド及び酸/チオ酸の反応生成物がある。
【0125】
反応は、従来は上述の好適不活性溶媒若しくは希釈液内において、望ましくはトリエチルアミンのような塩基存在下、上述の温度範囲にて実行された。
【0126】
選択型アンドロゲン修飾因子化合物の生物学的活性
【0127】
ここに提供されているSARM化合物とは、アンドロゲンレセプタのための非ステロイド性リガンドのアンドロゲン活性及びタンパク同化活性のための予期不可能なin-vivo活性を有する経口のテストステロン置換療法に有用な選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子(SARM)である化合物のことである。さらには、適切に置換された化合物は、イメージングのために前立腺癌治療に有用である。SARM化合物は、アンドロゲンレセプタのための非ステロイド性リガンドのin-vivoなアンドロゲン及びタンパク同化活性を実証する。
【0128】
ここで考えられているように、本発明の適切な代用SARM化合物は、a)男性の避妊、b)高齢男性におけるアンドロゲン減少(ADAM)に関連するような、複数のホルモン関連コンディションの治療、例えば、うつ病、性欲減退、生殖機能不全、インポテンツ、性腺機能低下症、骨粗鬆症、脱毛症、貧血、肥満、サルコペニア、骨減少症、オステオポローシス、前立腺肥大症、認識及び気分の変化、及び前立腺癌、c)ADIFに関連するコンディションの治療、例えば、生殖機能不全、性欲減退、性腺機能低下症、サルコペニア、骨減少症、骨粗鬆症、認識及び気分の変化、貧血、脱毛症 肥満、子宮内膜症、乳ガン、子宮癌、及び卵巣癌、d)急性及び/または慢性の筋萎縮障害の治療及び/又は防止、e)ドライアイの治療及び/又は防止、f)経口アンドロゲン補充療法、及び/又はg)前立腺癌発生の減少、若しくは前立腺癌退行の中断若しくは実行に有用である。
【0129】
ここで用いられているように、細胞外シグナル伝達分子のレセプタは、まとめて“細胞シグナル伝達レセプタ”と呼ばれている。多くの細胞シグナル伝達レセプタは、細胞表面に於ける膜貫通タンパク質である。それらが細胞外シグナル伝達分子(すなわちリガンド)に結合する場合、活性化し、細胞の挙動を変更させる細胞内シグナル伝達のカスケードを生成する。対照的に、複数のケースでは、レセプタは細胞内部にあり、シグナル伝達リガンドは細胞内に進入しそれらを活性化しなければならない。それらのシグナル伝達分子は故に充分に小さく、疎水性であって、細胞の血漿膜にかけて拡散している。
【0130】
ステロイドホルモンは、微小な疎水性分子の一実施例であって、標的細胞の血漿膜にかけて直接的に拡散し、細胞内細胞シグナル伝達レセプタと結合している。これらレセプタは、構造的に関連しており、細胞内レセプタスーパーファミリー(若しくはステロイドホルモンレセプタスーパーファミリー)を構成する。ステロイドホルモンレセプタは、プロゲステロン、エストロゲン、アンドロゲン、glueocorticoid、及び硬質コルチノイドレセプタを含む。一実施例では、本発明はアンドロゲンレセプタに特化されている。
【0131】
リガンドがレセプタに結合するのに加えて、レセプタがリガンドの結合を妨げるべくブロックされてもよい。物質がレセプタに結合する場合、ボール及びソケット立体配置におえる3次元レセプタ構造物質によって生成された空間に物質の3次元構造が適合する。ボールがソケットに巧く適合すればするほど、それは堅固に保持される。この現象は、親和性と呼ばれるものである。物質の親和性がオリジナルのホルモンと比較して高ければ高いほど、ホルモンと競合し、より頻繁に結合部位と結合する。レセプタを介して一度結合及びシグナル伝達が細胞内へと送信されると、細胞は複数の方式でそれに応答する。このことを活性化(アクティべーション)と称する。活性化に際し、活性化されたレセプタは次に特定遺伝子の転写を直接的に調整する。しかしながら、しかしながら細胞を活性化するには、物質及びレセプタは親和性とは異なったある特性を有している。物質とレセプタとの間の原子の化学結合が生ずる。複数のケースでは、このことから、活性化プロセスを開始する(シグナル伝達と称される)のに充分なレセプタの立体配置の変化が導かれる。
【0132】
一実施例では、本発明はアゴニスト化合物である選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子化合物に関する。レセプタアゴニストは、レセプタに結合しそれらを活性化させる物質である。一実施例では、本発明のSARM化合物はステロイド性ホルモンレセプタの結合及び活性化に有用である。一実施例では、本発明のアゴニスト化合物は、アンドロゲンレセプタに結合するアゴニストである。別の実施例では、化合物はアンドロゲンレセプタに高い親和性を有する。別の実施例では、化合物はアゴニスト化合物は、またタンパク同化活性も有する。別の実施例では、本発明は選択的アンドロゲン修飾因子化合物を提供し、アンドロゲンレセプタのために非ステロイド性のアゴニスト活性及びタンパク同化活性を有する。
【0133】
別の実施例では、本発明は、アンタゴニスト化合物である選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子化合物について開示している。レセプタアゴニストは、レセプタに結合し、それらを活性化する物質である。レセプタアンタゴニストはレセプタに結合し、それらを不活性化する物質である。よって、一実施例では、本発明のSARM化合物は、ステロイドホルモンレセプタに結合し不活性化するのに有用である。一実施例では、本発明のアンタゴニスト化合物は、アンドロゲンレセプタに結合するアンタゴニストである。別の実施例では、化合物はアンドロゲンレセプタに高い親和性を有する化合物である。
【0134】
更に別の実施例では、本発明のSARM化合物は、部分的ARアゴニスト/アンタゴニストとして分類されても良い。SARMはある組織内ではアゴニストでありAR反応遺伝子の転写を増加させる(筋肉タンパク同化効果)。別の実施例では、化合物はARのインヒビタとして機能し、未変性アンドロゲンのアゴニスト効果を防止する。
【0135】
本発明の化合物がARアゴニストであるのかアンタゴニストであるのかに関する決定の為のアッセイは当技術分野で既知である。例えば、前立腺や精嚢のような組織を含めたARの成長を維持、及び/又は刺激するために、ARアゴニスト活性は、重量測定し、SARM化合物の能力をモニタリングすることで決定されうる。ARアンタゴニスト活性は、AR含有組織の成長を阻害するSARM化合物の能力をモニタリングすることで決定されて良い。
【0136】
本発明の化合物は、可逆的にアンドロゲンレセプタと結合する。一実施例では、SARM化合物はアンドロゲンレセプタに可逆的に結合し、別の実施例では哺乳類のアンドロゲンレセプタに可逆的に結合し、ヒトのアンドロゲンレセプタに可逆的に結合する。レセプタに対する化合物の可逆的な結合は、化合物が、結合後にレセプタより脱離しうることを示している。
【0137】
別の実施例では、本発明の化合物は、不可逆的に例えばヒトのような哺乳類のアンドロゲンレセプタと結合する。そのようなわけで、一実施例では、本発明の化合物が官能基(親和標識)を有していても良く、アンドロゲンレセプタ(すなわち共有結合)のアルキル化が可能となる。よってこのケースでは、化合物がアルキル化薬剤であり、レセプタに対し不可逆的に結合し、従って、内在性リガンドDHTやテストステロンのようにステロイドによって置換されることが無い。用語“アルキル化薬剤”とは、ここではDNA、RNA及び酵素のような細胞成分とアルキル化する(共有結合を形成する)薬剤のことである。それは高い反応性を有する化学薬剤であり、生物学的に活性な分子へとアルキルラジカルを取り込み、正常に機能しないようにする。アルキル化成分は、細胞成分における求核性成分と相互作用する親電子基である。
【0138】
本発明の一実施例によれば方法には、結合に効果的な条件で、レセプタと、SARM化合物及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせとを接触させることにより、本発明のSARM化合物をアンドロゲンレセプタに結合させる過程が提供される。アンドロゲンレセプタに対するSARM化合物の結合によって、本発明の化合物が男性避妊及び多くのホルモン療法に有用になりうる。アゴニスト化合物はアンドロゲンレセプタに結合して不活性化を行う。アゴニスト若しくはアンタゴニスト化合物の結合は可逆的、不可逆的いずれであっても良い。
【0139】
本発明の一実施例によれば、本発明はさらに被験者の精子形成を抑制する方法を提供する。方法には、アンドロゲンレセプタを、結合及び精子形成抑制に効果的な量の、本発明の選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子、及び/又は、その類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせに接触させる過程を含む。
【0140】
本発明の別の実施例によれば、本発明はさらに男性の避妊方法を提供する。方法には、アンドロゲンレセプタを、精子形成抑制に効果的でありそれによって被験者の避妊に効果的である量の、本発明の選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子、及び/又は、その類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせを被験者に投与する過程を含む。
【0141】
本発明の別の実施例によれば、本発明は患者(アンドロゲン依存症に苦しむ人)にホルモン療法を提供するための方法が提供される。方法には、アンドロゲンレセプタを、アンドロゲン依存症の変化に影響し、また結合に効果的な量の、本発明の選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子、及び/又は、その類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせを被験者に投与する過程を含む。
【0142】
本発明の別の実施例によれば、本発明は患者(アンドロゲン依存症に苦しむ人)にホルモン補充療法を提供するための方法が提供される。方法には、アンドロゲンレセプタを、アンドロゲン依存症の変化に影響し、また結合に効果的な量の、本発明の選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子、及び/又は、その類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせを被験者に投与する過程を含む。
【0143】
別の実施例では、本発明はさらにホルモン関連のコンディションにある被験者の治療方法を提供する。方法には、アンドロゲンレセプタを、アンドロゲンレセプタに対する選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子化合物の結合、及びアンドロゲン依存状況の変化に与える影響に効果的である量の、本発明の選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子、及び/又は、その類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせに接触させる過程を含む。
【0144】
本発明によって治療されうるアンドロゲン依存コンディションには、高齢に関連する次の症状が含まれる。それらは、性腺機能低下症、サルコペニア、赤血球新生、骨粗鬆症、及び、後ほど低いアンドロゲン(例えばテストステロン)レベルであると決定されるその他の症状である。
【0145】
別の実施例では、本発明はさらに前立腺癌に苦しむ被験者の治療方法を提供する。方法には、アンドロゲンレセプタを、被験者における前立腺癌の治療に効果的である量の、本発明の選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子、及び/又は、その類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせに接触させる過程を含む。
【0146】
別の実施例では、本発明はさらに前立腺癌の予防方法を提供する。方法には、アンドロゲンレセプタを、被験者における前立腺癌の予防に効果的である量の、本発明の選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子、及び/又は、その類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせに接触させる過程を含む。
【0147】
別の実施例では、本発明はさらに前立腺癌に苦しむ被験者における前立腺癌の進行を遅延させる方法を提供する。方法には、アンドロゲンレセプタを、被験者における前立腺癌の進行を遅延させるのに効果的である量の、本発明の選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子、及び/又は、その類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせに接触させる過程を含む。
【0148】
別の実施例では、本発明はさらに前立腺癌に苦しむ被験者における前立腺癌の再発防止方法を提供する。方法には、アンドロゲンレセプタを、被験者における前立腺癌の再発防止に効果的である量の、本発明の選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子、及び/又は、その類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせに接触させる過程を含む。
【0149】
別の実施例では、本発明はさらに前立腺癌に苦しむ被験者における前立腺癌の再発を治療する方法を提供する。方法には、アンドロゲンレセプタを、被験者における前立腺癌の再発の治療に効果的である量の、本発明の選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子、及び/又は、その類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせに接触させる過程を含む。
【0150】
さらには、アンドロゲンレセプタを刺激することによって涙の生成が刺激され、本発明のSARM化合物がドライアイの治療に役立てられても良い。故に本発明の別の実施例によれば、方法には、ドライアイに苦しむ被験者のドライアイ治療法も含まれ、それらは、治療に効果的な量の、本発明の選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子、及び/又は、その類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせを被験者に投与する過程を含む。
【0151】
別の実施例では、本発明はさらにドライアイの防止方法を提供する。方法には、アンドロゲンレセプタを、被験者におけるドライアイの防止に効果的である量の、本発明の選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子、及び/又は、その類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせに接触させる過程を含む。
【0152】
ここで定義されている用語“接触”は、本発明のSARMが、試験管、フラスコ、組織培養、チップ、アレイ、プレート、マイクロプレート、毛細管などで、酵素を含有するサンプル内に導入され、SARMが酵素に結合可能な温度若しくは時間でインキュベートされることを意味している。SARMやその他の特定結合成分を有するサンプルを接触させる方法は、当業者に既知であり、実行されるべきアッセイプロトコルのタイプによって選択されて良い。またインキュベーション方法は標準的なものであって当業者に既知である。
【0153】
別の実施例では、用語“接触”が、本発明のSARM化合物が治療を受けている被験者に対して投与され、SARM化合物がアンドロゲンレセプタとin vivoで接触可能とされていることを示している。
【0154】
ここでは、用語“治療”には、障害に限定可能な治療は勿論のこと、予防をも含んでいる。ここで、用語“減少”、“抑制”、及び“阻害”は、一般的な解釈では「減少」の意である。ここで、用語“進行”は、重傷化、進行、悪化を意味する。ここでは、用語“再発”は、緩解期後に再度疾患にかかることを意味する。
【0155】
ここでは、用語“投与”は、本発明のSARM化合物を被験者に接触させることを意味する。ここでは、投与は、in vitroすなわち試験管内、若しくはin vivoすなわちヒトのような生体細胞若しくは組織内で実行される。一実施例では、本発明は被験者に対する本発明の化合物の投与を包含している。
【0156】
ここでの用語“リビドー”は性的衝動を意味する。
【0157】
ここでの用語“勃起”は、勃起可能であることを示している。勃起組織は、大きく拡張可能で、多くの血管が拡張することによって硬化する組織のことである。
【0158】
“性腺機能低下症”とは、異常に低下した生殖腺の機能活性に特徴づけられ、それによって生じる状況を示すものであり、性的な成長及び発育の遅延を伴う。“骨減少症”は、減少した石灰化若しくは骨密度の減少に関連する。それは、そのような状況が記録されたすべての骨格系が含まれる用語である。
【0159】
“骨粗鬆症”とは、カルシウムや骨タンパク質の不足による、骨質量の減少を伴う、骨の間引き状態を示すものである。骨粗鬆症は、患者を骨折にさせ、それは、緩やかに治癒する。無検査の骨粗鬆症は、姿勢、肉体的な異常、及び機動力の減少における変化を導いてしまう。
【0160】
用語“BPH(前立腺肥大症)”とは、前立腺の良性拡張である。BPHは、複数の臓器にみられる最も一般的な良性の増殖異常であり、成人男性における疾病率の主たる原因である。50歳の男性の75%以上にBPHが発生し、90歳代迄には疾病率が88%に達する。多くの場合、BPHは、結果として前立腺にかかる尿道(尿道前立腺部)の一部を段階的に圧迫する。膀胱が完全に空にならず、排尿の際に灼熱痛や同様の不快感を伴い、このことで、患者に頻繁に尿意を覚えさせる。尿流の妨げによって、膀胱の排出口閉塞、及び失禁として既知の状況である、残留尿による制御不能な尿自制のために、尿閉障害は勿論のこと、所望時に排尿を開始することに対する障害を含めた排尿制御が失われ得る。
【0161】
用語“認識(コグニション)”とは、知るプロセス、とりわけ、気づいている、知っている、考えている、学んでいる、及び判断しているなどのプロセスである。認識とは、心理学、言語学、コンピュータサイエンス、神経科学、数学、動物行動学、及び哲学の分野に関連する。用語“気分”とは、気質若しくは気持ちの状態に関連するものである。ここにあげられているように、変化とは、認識及び/又は気分におけるポジティブ若しくはネガティブないくらかの変化を意味する。
【0162】
用語“うつ病”は、肉体、気分、及び意識を含めた疾病のことであり、ヒトが食事をしたり睡眠を取ったり、自己確認したり、物事について考察する行動に影響を与える。うつ病の兆候及び症候には、活動に対する興味の消失、過食若しくは拒食、感情の消失、無気力(empty mood)、絶望感、悲観、罪悪感、若しくは孤独感、社会逃避、疲労、睡眠障害、トラブルの集中(trouble concentrating)、記憶障害、決断障害、情動不安、頭痛、消化不良、もしくは慢性的痛みがある。
【0163】
用語“脱毛症”は、医学的にはalopeciaとして既知であり、非常に一般的なタイプの男性型脱毛症のことである。典型的には、脱毛症は、頭皮上の脱毛断片部分より開始され、完全な脱毛状態になってしまうこともあり、体毛脱毛を伴うこともある。脱毛症とは男性及び女性の双方に影響する。
【0164】
用語“貧血”とは、通常数よりも少ない赤血球数、若しくは、通常よりも少ない血液中のヘモグロビン含有量状態を示すものである。血液の酸素運搬料は、故に減少する。貧血のヒトは、すぐに疲労感を覚え、蒼白となり、動悸を覚え、息切れする。貧血は4つの主要な原因によって引き起こされるが、それらは、a)出血(失血)、b)溶血(赤血球の過剰破壊)、c)赤血球生成不足、及びd)異常ヘモグロビンである。貧血には様々な形があり、再生不良性貧血、ベンゼン中毒、ファンコーニ貧血、新生児溶血性疾患遺伝性球状赤血球症、鉄欠乏性貧血、大理石骨病、悪性貧血、鎌状細胞貧血、地中海貧血症、脊髄形成異常症候群、及び種々の骨髄疾患などが含まれる。このように、本発明のSARM化合物は上記したような貧血の一つ若しくは複数のいずれかの予防及び/又は治療に有用である。
【0165】
用語“肥満”は、標準体重を大きく超過した状態のことである。従来、理想的な体重を20%超過すると肥満であると考えられてきた。肥満は、肥満度指数(BMI)が30若しくはそれより高いものとして国立衛生研究所(NIH)によってより正確に定義されてきた。肥満は、しばしば多因子性であり、遺伝的及び行動的な要素の双方に起因する。肥満による太りすぎは、健康に関する問題に著しく関連する。そのことが次の疾病の数の増加のリスクを増大させる。それら疾病とは、2型(成人)糖尿病、高血圧、脳卒中(脳血管障害すなわちCVA)、心臓麻痺(心筋梗塞すなわちMI)、心不全(うっ血性心不全)、癌(前立腺、大腸、直腸癌のようなもの)、胆石及び胆嚢の疾病(胆嚢炎)、痛風及び痛風関節炎、膝、臀部、及び下背の骨関節炎(変性性関節炎)、睡眠時無呼吸(睡眠時の呼吸不全、血中酸素濃度の低下)、及びピックウィック症候群(肥満、赤面、呼吸低下、及び傾眠)等である。このように、用語“肥満”には、上述した肥満関連の状態及び疾病のいずれか一つが含まれる。そのようなわけで、本発明のSARM化合物は肥満及び上述した肥満関連の状態及び疾病のいずれか一つの予防及び/又は治療に有用である。
【0166】
用語“前立腺癌”は、米国の男性に最も高頻度に発生する癌の一つであって、毎年数百から数千人の新規患者が前立腺癌であると診断されている。前立腺癌であると診断された新規患者の60%以上が、治療がなされず、恐ろしい将来的予想がなされる、病理学的に進行性であると発見されている。50歳より上の全男性人口の3分の1が、人生を脅かす臨床的な前立腺癌を活性化させてしまうかもしれない潜在的な形態の前立腺癌を有している。潜在性の前立腺腫瘍の発生頻度は、50歳台(5.3−14%)から90歳台(40−80%)へと段階的に著しく増加していることが示されている。潜在的に前立腺癌を有するヒトの数は、すべての文化、人種、及び民族にかかわらず同一であるが、臨床的に活動的な癌の頻度は著しく異なる。このことは、環境的な要員が潜在性前立腺癌の活動化に影響しうることを示唆している。
【0167】
一実施例では、本発明の方法は唯一の活性成分としてSARM化合物の投与を含む。しかし、本発明の精神には、また、ここに記載されているように、ホルモン治療、前立腺癌の治療、前立腺癌の進行の遅延、及び前立腺癌の再発防止及び/又は治療方法であって、一つ若しくは複数の治療薬剤と組み合わせてSARM化合物を投与する過程を含むものである。BPHの治療方法であって、これに限定する物ではないが、薬剤には、LHRH 類似体、可逆的 抗アンドロゲン、抗女性ホルモン剤、抗癌性薬品、5-αレダクターゼ阻害剤、アロマターゼ阻害剤、プロゲスチン、他の核ホルモンレセプタを介して作用する薬剤、選択的エストロゲンレセプタ修飾因子(SERM)、プロゲステロン、エストロゲン、PDE5インヒビタ、アポモルヒネ、ビスホスホネート、及び一つ若しくは複数の追加的SARMが含まれる。
【0168】
一実施例では、本発明は、LHRH類似体と結合した、選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子を含む組成物を投与する過程を含む。一実施例では、本発明は、可逆的 抗アンドロゲンと結合した、選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子を含む組成物を投与する過程を含む。一実施例では、本発明は、抗女性ホルモン剤と結合した、選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子を含む組成物を投与する過程を含む。一実施例では、本発明は、抗癌性薬品と結合した、選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子を含む組成物を投与する過程を含む。
一実施例では、本発明は、5-αレダクターゼ阻害剤と結合した、選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子を含む組成物を投与する過程を含む。一実施例では、本発明は、アロマターゼ阻害剤と結合した、選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子を含む組成物を投与する過程を含む。一実施例では、本発明は、プロゲスチンと結合した、選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子を含む組成物を投与する過程を含む。一実施例では、本発明は、他の核ホルモンレセプタを介して作用する薬剤と結合した、選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子を含む組成物を投与する過程を含む。一実施例では、本発明は、選択的エストロゲンレセプタ修飾因子(SERM)結合した、選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子を含む組成物を投与する過程を含む。一実施例では、本発明は、プロゲステロンと結合した、選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子を含む組成物を投与する過程を含む。一実施例では、本発明は、エストロゲンと結合した、選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子を含む組成物を投与する過程を含む。一実施例では、本発明は、PDE5インヒビタと結合した、選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子を含む組成物を投与する過程を含む。一実施例では、本発明は、アポモルヒネと結合した、選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子を含む組成物を投与する過程を含む。一実施例では、本発明は、ビスホスホネートと結合した、選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子を含む組成物を投与する過程を含む。一実施例では、本発明は、一つ若しくは複数の追加的SARMと結合した、選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子を含む組成物を投与する過程を含む。
【0169】
一実施例では、本発明は、化学式1乃至6のいずれかのSARM化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬剤的に許容されている塩、医薬品、水和物、N−酸化物、若しくはここに記載されているいずれかの組み合わせ、及び適切な担体若しくは希釈液を含む組成、及び医薬品組成を提供する。
【0170】
ここで用いられている用語“医薬品組成物”は、ここでは、希釈液、防腐剤、溶解剤、乳化剤、アジュバント、及び/又は担体を有する、治療に効果的な量のSARM化合物のことである。ここで用いられている用語“治療に効果的な量”とは、所与の状況及び投与療法に治療上の効果を示す量である。そのような化合物は、液体、若しくは凍結乾燥製剤又は乾燥製剤であり、様々なバッファ成分の希釈液(トリス-HCI、アセテート、リン酸塩)、
pH及びイオン強度、界面に対する吸収を防止するためのアルブミンもしくはゼラチンのような添加物、洗剤(トウィーン20、トウィーン80、Pluronic F68、胆汁酸塩)、可溶化剤(グリセリン、ポリエチレングリコール)、抗酸化剤(アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、防腐剤(チメロサール、ベンジルアルコール、パラオキシ安息香酸エステル類)、バルキング物質若しくは緊張修飾因子(例えばラクトース、マンニトール)、タンパク質に対するポリエチレングリコールのようなポリマーの共有結合、金属イオンとの複合体形成、若しくはポリ乳酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲルのような、ポリマー化合物の粒子状製剤へ、又はリポソーム、マイクロエマルション、ミセル、単層若しくは多層状の小胞、血球影、若しくはスフェロプラストへの物質の取り込みを含む。そのような成分は、物理的状態、溶解度、安定性、in vivoな放出速度、及びin vivoな排除速度に影響を与えうる。制御され、維持された放出成分は親油性持効性製剤(脂肪酸、ワックス、オイル等)を含む。
【0171】
また、本発明には、ポリマー(ポロキサマー若しくはポロキサミン)コーティングされた粒子状薬剤も含まれる。本発明の成分の別の実施例は、非経口、肺性、経鼻、及び経口を含めた様々な経路による投与のため、粒子形態の保護コーティング、プロテアーゼインヒビタ、若しくは浸透エンハンサを含む。一実施例では、医薬品成分が、非経口、paracancerally、transmucosally、経皮的、筋肉内、静脈内、皮内、皮下、intraperitonealy、脳室内、脳内、膣内、若しくはintratumorallyに投与される。
【0172】
さらに、ここで用いられている用語“薬剤的に許容されている塩”とは、当業者に既知ものであり、これに限定するものではないが、0.01から0.1M、好適には0.05Mのリン酸バッファ、もしくは0.8Mの生理食塩水を含む。加えて、そのような薬剤的に許容されている担体は、水溶液、非水溶性溶液、懸濁液、及び乳濁液であっても良い。非水溶性溶液の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、及びエチルオレイン酸のような注射用有機エステルが含まれる。水溶性の担体としては、水、アルコール/水溶液、乳濁液、若しくは生理食塩水やバッファ媒体を含めた懸濁液が含まれる。
【0173】
非経口の媒体には、食塩水、リンガーブドウ糖、ブドウ糖及び塩化ナトリウム、乳酸加リンガーオイル及び固定油が含まれる。静脈内溶媒には、液体及び栄養素の補充薬、リンガーブドウ糖等に基づく電解質補充薬等が含まれる。保存剤及びその他の添加物が存在しても良く、例えばそれは抗菌剤、抗酸化物、照合用薬剤、不活性ガス等である。
【0174】
徐放成分には、親油性のデポー剤(脂肪酸、ワックス、オイル等)が含まれる。本発明には、ポリマー(ポロキサマー若しくはポロキサミン)コーティングされた粒子状薬剤、及び組織特異性レセプタに配向された抗体、リガンド、若しくは抗原と結合した化合物、または、組織特異性レセプタのリガンドに結合した化合物が含まれる。
【0175】
本発明の成分の別の実施例としては、非経口、肺、鼻、及び経口を含めた様々な投与ルートのため、粒子状形態、保護コーティング、プロテアーゼインヒビタ、若しくは浸透エンハンサ等が含まれる。
【0176】
ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールの固ポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、若しくはポリプロリンのような水溶性ポリマーの共有結合性の吸着によって修飾された化合物は、対応する非修飾化合物と比較して、静脈注射後に血液中で著しく長い半減期を示すことが知られている(Abuchowskiら、1981 ; Newmarkら、 1982 ; 及びKatreら、1987)。そのような修飾は、水溶液に於ける化合物溶解度も上昇させ、凝集を防止し、化合物の物理的化学的安定性を向上させ、また化合物の免疫原性及び反応性を著しく減少させる。結果として、in vivoの所望とする生物学的活性が、低い頻度、若しくは修飾されていない化合物と比較してより少ない投与量で外転するそのようなポリマー化合物の投与によって達成されても良い。
【0177】
さらに別の実施例では、医薬品組成物が調節された放出システムへと運搬されても良い。例えば、薬剤は、静脈注入、埋没式の浸透圧ポンプ、経皮パッチ、リポゾーム、若しくはその他の投与様式で投与されて良い。一実施例では、ポンプが適用されてよい。(Langer、Sefton, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14: 201 (1987)、 Buchwaldら、 Surgery 88: 507 (1980)、 Saudekら、 N. Engl. J. Med. 321: 574 (1989)を参照)。別の実施例では、高分子化合物物質が用いられても良い。さらに別の実施例では、調節された放出システムが治療上のターゲット、すなわち脳に近接して配置されても良く、全身投与量割合のみが要求される(Goodson, in Medical Applications of Controlled Release, 既出、 vol. 2, pp. 115-138 (1984)参照)。その他調節された放出システムが、Langerの報告等で議論されている(Science 249: 1527-1533 (1990))。
【0178】
医薬品には、SARM薬剤単体が含まれ、さらに、薬剤的に用いることが可能な担体を含み、また医薬品はタブレット、粉末、カプセル、ペレット、溶液、懸濁液、エリキシル剤、乳濁液、ゲル、クリーム、若しくは直腸用や尿道用を含めた座薬のように固体や液体状であって良い。薬剤的に用いることが可能な担体には、ガム類(増粘剤)、デンプン類、糖類、セルロース類、及びそれらの組み合わせが含まれる。SARM薬剤を含む医薬品はが、例えばペレットの皮下埋め込みなどで被験者に投与されてよく、別実施例では、長時間SARM薬剤の制御された開放のためにペレットが提供される。製剤は、液体製剤の静脈注射、動脈注射、若しくは筋肉注射、液体若しくは固体製剤の経口投与、若しくは局所的な塗布によって投与されても良い。投与は直腸座薬若しくは尿道座薬の使用で実行されてもよい。
【0179】
活性化要素を含有する医薬品組成物の調製法は当技術分野で知られており、例えば、溶解、ミキシング、顆粒化、及びタブレット形成過程などからなる。経口投与のために、SARM薬剤、若しくは、塩、エステル、N−酸化物等のような生理学に許容された誘導体が、賦形剤、安定剤、若しくは不活性な希釈剤のように、当該目的のために通常の方法で添加物と共に混合され、また、錠剤、コーチング錠、硬質若しくは軟質ゼラチンカプセル、水溶液、アルコール若しくはオイル溶液等のように、投与に適した形態へと通常の方法で変換される。好適な不活性媒体の例としては、ラクトース、スクロース、コーンスターチなどの従来方式のタブレットベースであって、アカシア、デンプン、ゼラチンなどの結合剤、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸のような崩壊剤、若しくは、ステアリン酸や、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤と関連するものがある。
【0180】
好適なオイル媒体すなわち溶媒の実施例には、ひまわりオイルや魚の肝油のような植物性若しくは動物性のオイルがある。薬剤は、乾式及び湿式双方の顆粒として影響を与えうる。一般的に物質にとって所望であって、本目的に適しているならば、非経口の投与(皮下注射、静脈注射、動脈注射、筋肉注射)のためには、SARM薬剤、若しくは塩、エステル、N酸化物等のような生理学的に認容された誘導体が、例えば溶解剤若しくは添加剤である溶液、懸濁液若しくは乳濁液へと変換される。実施例は、水やオイルといった無菌の液体であり、界面活性剤やその他の薬剤的に許容された免疫賦活剤が添加されていてもよい。実証されているオイルは、石油、動物、植物、若しくは合成されたもので、例えば、ピーナッツオイル、大豆油、若しくはミネラルオイルがある。一般的には、水、生理食塩水、ブドウ糖溶液、及び関連の糖水溶液が、とりわけ注射用の溶液に好適である液体担体である。
【0181】
活性化成分を含む医薬品が、当技術分野で既知である。典型的には、そのような成分は、上咽頭に到達するポリペプチドのエアロゾルとして調製されるか、又は液体溶液若しくは懸濁液のいずれかとして、注射液として調製される。しかし、注射前に溶液若しくは懸濁液で液体状になるのに適した固体形態の物質が調製されてもよい。乳化状のものが調製されても良い。活性化した治療成分は、しばしば薬剤的に利用可能であり、活性化成分に適合する賦形剤とともに混合される。好適な賦形剤としては、例えば、水、生理食塩水、ブドウ糖、グリセリン、エタノール、若しくはそれらの組み合わせがある。
【0182】
加えて組成には、活性化成分の効果を向上させる湿潤剤若しくは乳化剤、pH緩衝剤のような、少量の補助的物質が含まれてもよい。
【0183】
活性化成分が、中和された薬剤的に認可された塩の形状で成分内へと処方されうる。薬剤的に認可された塩には、酸付加塩(ポリペプチド若しくは抗体分子の遊離アミノ酸基と共に形成される)が含まれ、それは、例えば塩酸及びリン酸のような無機酸、又は酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸のような有機酸と共に形成される。遊離カルボキシル基よりの塩は、また無機塩基にも由来してよく、例えばそれらの例としては、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、若しくは水酸化第2鉄があり、また、有機塩基に由来しても良く、それらには、イソプロピルアミン、 トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、及びプロカイン等が有る。
【0184】
クリーム、ゲル、液滴等を用いた体表面に対する局所的な投与のためには、SARM薬剤や、塩、エステル、N酸化物等のような生理学的に認容されている誘導体が調製され、薬品担体を用い、若しくは用いることなく、生理学的に認容されている希釈液として、水溶液、懸濁液、若しくは乳状液として投与される。
【0185】
別の実施例では、活性化合物がとりわけリポゾームのような分泌小疱内に送られても良い(Langer、 Science 249: 1527-1533ページ (1990) ;Treatら、感染病及び癌治療でのリポゾーム、 Lopez-Berestein 及び、Fidler (編集 )、Liss、New York、同書353-365ページ(1989) ;Lopez-Berestein、同書317-327ページ参照)。
【0186】
医薬での使用のためには、SARMの塩が薬剤的に許容されている塩であって良い。しかしながらその他の塩が、本発明の化合物もしくは薬剤的に許容されている塩の調製にとって有用であっても良い。本発明の化合物の好ましい薬剤的に認可された塩は、酸付加塩を含み、それは例えば、硫酸、メタンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸若しくはリン酸のような薬剤的に許容されている酸の溶液を有する本発明による化合物の溶液を混合することで形成されても良い。
【0187】
次の実施例は、本発明の実施例をより完全に示すためのものである。しかし、本発明の精神をこれに限定するものではない。
【実施例】
【0188】
実施例1−結合親和力
結合親和力は、He et al. Eur. J. Med Chem. (2002), 619-634 及び Mukherjee et al. Xenobiotica (1996), 26, 117-122に記載されているように決定された。
【表1】

【0189】
実験方法
動物について。体重90〜100gの未成熟なオスのSDラットを米国インディアナポリス州のハーラン・バイオサイエンス社(Harlan Biosciences (Indianapolis, IN))から購入した。動物は、適宜食料及び水を与えながら12時間の明暗サイクルに維持された。動物実験計画書は、研究機関内の動物の管理および使用に関する委員会(Institutional Laboratory Animal Care and Use Committee)によって審査及び承認されたものである。
【0190】
研究デザインについて。ラットは、無作為に処理群に分けられた。薬物処理開始の前日に、動物は、個々に檻から出され、重量を測定され、ケタミン/キシラジン(87/13mg/kg;1kg当たり約1mL)の腹腔内投与で麻酔された。適切に麻酔されれば(即ちつま先をつまんでも反応がない)、動物の耳には識別のために印が付けられた。動物はその後無菌パッド上に置かれ、腹部及び陰嚢をベタジン(betadine)及び70%アルコールで洗浄された。各精巣の外科的除去に先立ち上精巣組織を結合するために用いられる無菌縫合を用いて、正中陰嚢切開によって精巣が除去された。外科的創傷部位は無菌ステンレス鋼創傷クリップで閉じられ、その部位はベタジンで清掃された。動物は、無菌パッド上で(立つことができるまで)回復させられ、その後檻に戻された。
【0191】
24時間後、動物はケタミン/キシラジンで再び麻酔され、肩甲部の皮下にアルゼット(Alzet)浸透圧ポンプ(モデル2002)が配置された。この例では、肩甲部は剪毛及び洗浄され(ベタジン及びアルコール)、無菌メスを用いて小さく(1cm)切開された。浸透圧ポンプが挿入され、創傷は無菌ステンレス鋼創傷クリップで閉じられた。動物は回復することができ、檻に戻された。浸透圧ポンプは、ポリエチレングリコール300(PEG300)に溶解した適切な処理剤を含んでいた。移植の前日に、浸透圧ポンプに適切な溶液が充填された。動物は、薬物処理に対する急性的な毒性の兆候(例えば嗜眠、粗い外皮)がないか毎日監視された。
【0192】
薬物処理の14日後、ラットはケタミン/キシラジンで麻酔された。動物は、麻酔下にて放血安楽死させられた。腹大動脈の静脈穿刺によって血液サンプルが回収され、全血細胞分析のために提出された。血液の一部は分離チューブに入れられ、12,000gで1分間遠心され、血漿層は除去されて−20℃で凍結された。腹側の前立腺、精嚢、肛門挙筋、肝臓、腎臓、脾臓、肺及び心臓は除去され、外来性組織が取り除かれ、重量測定され、10%中性緩衝ホルマリン入りのバイアルに入れられた。保存された組織は、組織病理学的分析のためにGTx社(GTx, Inc.)に送られた。
【0193】
データ分析のために、全ての器官の重量は体重に規準化され、単一因子ANOVA(分散分析)により統計学的に有意な差が分析された。前立腺及び精嚢の重量はアンドロゲン作用の評価に対する指標として用いられ、肛門挙筋の重量はタンパク同化作用を評価するために用いられた。
【0194】
結果
【0195】
去勢されたラットモデル中の化合物1及び2のアンドロゲン作用及びタンパク同化作用は、与薬の14日後に調べられた。無処置対照(去勢されておらず、未治療)と去勢された対照(去勢され、未治療)が対照群として用いられた。
【0196】
表1及び図1に示されるように、去勢されたラットの前立腺、精嚢及び肛門挙筋の重量は、内因性アンドロゲンの産出物の切除により著しく減少した。1mg/日の化合物1及び2により治療したところ、前立腺、精嚢及び肛門挙筋の重量が増加した。化合物1及び2は、前立腺及び精嚢の重量増加においてはより低い作用強度及び固有活性を示し、肛門挙筋の重量増加においてはより大きな作用強度及び固有活性を示した。特に、化合物1は、去勢された動物の肛門挙筋重量を無処置動物と同レベルに維持することが可能であった。従って、化合物1は、強力な非ステロイド性タンパク同化剤である。これは従前の化合物に対して著しく向上している点であり、この化合物は筋肉成長及び他のタンパク同化効果を選択的に促進するが、一方で前立腺及び精嚢には影響が少ない。これは、ヒトの老化における前立腺癌の発生または進行に関する懸念に特に関係があるかもしれない。
【0197】
【表2】

【0198】
化合物7
去勢されたラットモデル中の化合物7のアンドロゲン作用及びタンパク同化作用は、与薬の14日後に調べられた。無処置対照(去勢されておらず、未治療)と去勢された対照(去勢され、未治療)が対照群として用いられた。ラットは、0日目に去勢され、毎日DMSO/PEGを賦形剤として化合物7を皮下に投与された(0.05〜3mg/日)。ラットは最終日に安楽死させられ、アンドロゲン器官(前立腺及び精嚢)とタンパク同化器官(肛門挙筋)の湿重量(wet weight)が決定された。
【0199】
図2に示されているように、化合物7の用量を増やして治療すると、用量依存的な様式で、前立腺、精嚢及び肛門挙筋重量が増加した。化合物7は、前立腺及び精嚢の重量増加においてはより低い作用強度及び固有活性を示し、肛門挙筋の重量増加においてはより大きな作用強度及び固有活性を示した。
【0200】
当業者であれば、本明細書中に特に示された内容によって本発明が限定されるものでないことを理解するであろう。発明の範囲は、むしろ、特許請求の範囲によって決定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式4で示される選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子をアンドロゲンレセプタに結合させる方法であって、
【化4】

Xは、Oであり、
Gは、O、又はSであり、
Tは、OH、OR、-NHCOCH3、又はNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CH2F、CHF2、CF3、CF2CF3、アリル、フェニル、ハロゲン、アルケニル、又はOHであり、
Rは、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2CH3、又はCF2CF3であり、
R3は、F、Cl、Br、I、CN、NO2、COR、COOH、CONHR、CF3、Sn(R)3、又は結合されたベンゼン環を有しているR3は、次の構造、

で示されるような縮合環システムであり、
Zは、NO2、CN、COR、COOH、若しくはCONHRであり、
Qは、H、アルキル、ハロゲン、CF3、CN、C(R)3、Sn(R)3、NR2、NHCOCH3、NHCOCF3、又はNHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、 NHCSCH3、NHCSCF3、NHCSR、NHSO2CH3、NHSO2R、OH、 OR、COR、OCOR、OSO2R、SO2R、SRであり、
P’は、1、2、3又は4であり、
mは、1、2又は3であり、
前記選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子を前記アンドロゲンレセプタに結合するのに効果的な量で、前記アンドレゲンレセプタに前記アンドロゲンレセプタ修飾因子及び/若しくはその異性体、それらの医薬的に許容される塩、又はこれらのいずれかの組み合わせに接触させる過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
精子形成抑制に効果的な量の、化学式4で示される選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子及び/若しくはその異性体、医薬的に許容される塩、又はいずれかの組み合わせを使用して、精子形成を抑制するための医薬を製造する方法。
【化4】

Xは、Oであり、
Gは、O、又はSであり、
Tは、OH、OR、-NHCOCH3、又はNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CH2F、CHF2、CF3、CF2CF3、アリル、フェニル、ハロゲン、アルケニル、又はOHであり、
Rは、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2CH3、又はCF2CF3であり、
R3は、F、Cl、Br、I、CN、NO2、COR、COOH、CONHR、CF3、Sn(R)3、又は結合されたベンゼン環を有しているR3は、次の構造、

で示されるような縮合環システムであり、
Zは、NO2、CN、COR、COOH、若しくはCONHRであり、
Qは、H、アルキル、ハロゲン、CF3、CN、C(R)3、Sn(R)3、NR2、NHCOCH3、NHCOCF3、又はNHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、 NHCSCH3、NHCSCF3、NHCSR、NHSO2CH3、NHSO2R、OH、OR、COR、OCOR、OSO2R、SO2R、SRであり、
P’は、1、2、3又は4であり、
mは、1、2又は3である。
【請求項3】
精子形成抑制に効果的な量の、化学式4で示される選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子及び/若しくはその異性体、医薬的に許容される塩、又はいずれかの組み合わせを使用して、男性の避妊のための医薬を製造する方法。
【化4】

Xは、Oであり、
Gは、O、又はSであり、
Tは、OH、OR、-NHCOCH3、又はNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CH2F、CHF2、CF3、CF2CF3、アリル、フェニル、ハロゲン、アルケニル、又はOHであり、
Rは、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2CH3、又はCF2CF3であり、
R3は、F、Cl、Br、I、CN、NO2、COR、COOH、CONHR、CF3、Sn(R)3、又は結合されたベンゼン環を有しているR3は、次の構造、

で示されるような縮合環システムであり、
Zは、NO2、CN、COR、COOH、若しくはCONHRであり、
Qは、H、アルキル、ハロゲン、CF3、CN、C(R)3、Sn(R)3、NR2、NHCOCH3、NHCOCF3、又はNHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH3、NHCSCF3、NHCSR、NHSO2CH3、NHSO2R、OH、OR、COR、OCOR、OSO2R、SO2R、SRであり、
P’は、1、2、3又は4であり、
mは、1、2又は3である。
【請求項4】
アンドロゲン依存コンディションの変化に効果的な量の、化学式4で示される選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子化合物、及び/若しくその異性体、医薬的に許容される塩、又はいずれかの組み合わせを使用して、ホルモン治療のための医薬を製造する方法。
【化4】

Xは、Oであり、
Gは、O、又はSであり、
Tは、OH、OR、-NHCOCH3、又はNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CH2F、CHF2、CF3、CF2CF3、アリル、フェニル、ハロゲン、アルケニル、又はOHであり、
Rは、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2CH3、又はCF2CF3であり、
R3は、F、Cl、Br、I、CN、NO2、COR、COOH、CONHR、CF3、Sn(R)3、又は結合されたベンゼン環を有しているR3は、次の構造、

で示されるような縮合環システムであり、
Zは、NO2、CN、COR、COOH、若しくはCONHRであり、
Qは、H、アルキル、ハロゲン、CF3、CN、C(R)3、Sn(R)3、NR2、NHCOCH3、NHCOCF3、又はNHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH3、NHCSCF3、NHCSR、NHSO2CH3、NHSO2R、OH、OR、COR、OCOR、OSO2R、SO2R、SRであり、
P’は、1、2、3又は4であり、
mは、1、2又は3である。
【請求項5】
アンドロゲン依存コンディションの変化に効果的な量の、化学式4で示される選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子化合物、及び/若しくはその異性体、医薬的に許容される塩、又はいずれかの組み合わせを使用して、ホルモン補充療法のための医薬を製造する方法。
【化4】

Xは、Oであり、
Gは、O、又はSであり、
Tは、OH、OR、-NHCOCH3、又はNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CH2F、CHF2、CF3、CF2CF3、アリル、フェニル、ハロゲン、アルケニル、又はOHであり、
Rは、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2CH3、又はCF2CF3であり、
R3は、F、Cl、Br、I、CN、NO2、COR、COOH、CONHR、CF3、Sn(R)3、又は結合されたベンゼン環を有しているR3は、次の構造、

で示されるような縮合環システムであり、
Zは、NO2、CN、COR、COOH、若しくはCONHRであり、
Qは、H、アルキル、ハロゲン、CF3、CN、C(R)3、Sn(R)3、NR2、NHCOCH3、NHCOCF3、又はNHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH3、NHCSCF3、NHCSR、NHSO2CH3、NHSO2R、OH、OR、COR、OCOR、OSO2R、SO2R、SRであり、
P’は、1、2、3又は4であり、
mは、1、2又は3である。
【請求項6】
アンドロゲン依存コンディションの変化に効果的な量の、化学式4で示される選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子化合物、及び/若しくはその異性体、医薬的に許容される塩、又はいずれかの組み合わせを使用して、ホルモン関連コンディションの治療用の医薬を製造する方法。
【化4】

Xは、Oであり、
Gは、O、又はSであり、
Tは、OH、OR、-NHCOCH3、又はNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CH2F、CHF2、CF3、CF2CF3、アリル、フェニル、ハロゲン、アルケニル、又はOHであり、
Rは、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2CH3、又はCF2CF3であり、
R3は、F、Cl、Br、I、CN、NO2、COR、COOH、CONHR、CF3、Sn(R)3、又は結合されたベンゼン環を有しているR3は、次の構造、

で示されるような縮合環システムであり、
Zは、NO2、CN、COR、COOH、若しくはCONHRであり、
Qは、H、アルキル、ハロゲン、CF3、CN、C(R)3、Sn(R)3、NR2、NHCOCH3、NHCOCF3、又はNHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH3、NHCSCF3、NHCSR、NHSO2CH3、NHSO2R、OH、OR、COR、OCOR、OSO2R、SO2R、SRであり、
P’は、1、2、3又は4であり、
mは、1、2又は3である。
【請求項7】
化学式4で示される選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子化合物、及び/若しくはその異性体、医薬的に許容される塩、又はいずれかの組み合わせを使用して、前立腺ガンの治療用の医薬を製造する方法。
【化4】

Xは、Oであり、
Gは、O、又はSであり、
Tは、OH、OR、-NHCOCH3、又はNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CH2F、CHF2、CF3、CF2CF3、アリル、フェニル、ハロゲン、アルケニル、又はOHであり、
Rは、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2CH3、又はCF2CF3であり、
R3は、F、Cl、Br、I、CN、NO2、COR、COOH、CONHR、CF3、Sn(R)3、又は結合されたベンゼン環を有しているR3は、次の構造、

で示されるような縮合環システムであり、
Zは、NO2、CN、COR、COOH、若しくはCONHRであり、
Qは、H、アルキル、ハロゲン、CF3、CN、C(R)3、Sn(R)3、NR2、NHCOCH3、NHCOCF3、又はNHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH3、NHCSCF3、NHCSR、NHSO2CH3、NHSO2R、OH、OR、COR、OCOR、OSO2R、SO2R、SRであり、
P’は、1、2、3又は4であり、
mは、1、2又は3である。
【請求項8】
化学式4で示される選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子化合物、及び/若しくはその異性体、医薬的に許容される塩、又はいずれかの組み合わせを使用して、前立腺ガンを防止するための医薬を製造する方法。
【化4】

Xは、Oであり、
Gは、O、又はSであり、
Tは、OH、OR、-NHCOCH3、又はNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CH2F、CHF2、CF3、CF2CF3、アリル、フェニル、ハロゲン、アルケニル、又はOHであり、
Rは、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2CH3、又はCF2CF3であり、
R3は、F、Cl、Br、I、CN、NO2、COR、COOH、CONHR、CF3、Sn(R)3、又は結合されたベンゼン環を有しているR3は、次の構造、

で示されるような縮合環システムであり、
Zは、NO2、CN、COR、COOH、若しくはCONHRであり、
Qは、H、アルキル、ハロゲン、CF3、CN、C(R)3、Sn(R)3、NR2、NHCOCH3、NHCOCF3、又はNHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH3、NHCSCF3、NHCSR、NHSO2CH3、NHSO2R、OH、OR、COR、OCOR、OSO2R、SO2R、SRであり、
P’は、1、2、3又は4であり、
mは、1、2又は3である。
【請求項9】
化学式4で示される選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子化合物、及び/若しくはその異性体、医薬的に許容される塩、又はいずれかの組み合わせを使用して、前立腺ガン進行を遅延させるための医薬を製造する方法。
【化4】

Xは、Oであり、
Gは、O、又はSであり、
Tは、OH、OR、-NHCOCH3、又はNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CH2F、CHF2、CF3、CF2CF3、アリル、フェニル、ハロゲン、アルケニル、又はOHであり、
Rは、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2CH3、又はCF2CF3であり、
R3は、F、Cl、Br、I、CN、NO2、COR、COOH、CONHR、CF3、Sn(R)3、又は結合されたベンゼン環を有しているR3は、次の構造、

で示されるような縮合環システムであり、
Zは、NO2、CN、COR、COOH、若しくはCONHRであり、
Qは、H、アルキル、ハロゲン、CF3、CN、C(R)3、Sn(R)3、NR2、NHCOCH3、NHCOCF3、又はNHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH3、NHCSCF3、NHCSR、NHSO2CH3、NHSO2R、OH、OR、COR、OCOR、OSO2R、SO2R、SRであり、
P’は、1、2、3又は4であり、
mは、1、2又は3である。
【請求項10】
化学式4で示される選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子化合物、及び/若しくはその異性体、医薬的に許容される塩、又はいずれかの組み合わせを使用して、前立腺ガンの再発を防止するための医薬を製造するための方法。
【化4】

Xは、Oであり、
Gは、O、又はSであり、
Tは、OH、OR、-NHCOCH3、又はNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CH2F、CHF2、CF3、CF2CF3、アリル、フェニル、ハロゲン、アルケニル、又はOHであり、
Rは、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2CH3、又はCF2CF3であり、
R3は、F、Cl、Br、I、CN、NO2、COR、COOH、CONHR、CF3、Sn(R)3、又は結合されたベンゼン環を有しているR3は、次の構造、

で示されるような縮合環システムであり、
Zは、NO2、CN、COR、COOH、若しくはCONHRであり、
Qは、H、アルキル、ハロゲン、CF3、CN、C(R)3、Sn(R)3、NR2、NHCOCH3、NHCOCF3、又はNHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH3、NHCSCF3、NHCSR、NHSO2CH3、NHSO2R、OH、OR、COR、OCOR、OSO2R、SO2R、SRであり、
P’は、1、2、3又は4であり、
mは、1、2又は3である。
【請求項11】
化学式4で示される選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子化合物、及び/若しくはその異性体、医薬的に許容される塩、又はいずれかの組み合わせを使用して、前立腺ガン再発を治療するための医薬を製造する方法。
【化4】

Xは、Oであり、
Gは、O、又はSであり、
Tは、OH、OR、-NHCOCH3、又はNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CH2F、CHF2、CF3、CF2CF3、アリル、フェニル、ハロゲン、アルケニル、又はOHであり、
Rは、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2CH3、又はCF2CF3であり、
R3は、F、Cl、Br、I、CN、NO2、COR、COOH、CONHR、CF3、Sn(R)3、又は結合されたベンゼン環を有しているR3は、次の構造、

で示されるような縮合環システムであり、
Zは、NO2、CN、COR、COOH、若しくはCONHRであり、
Qは、H、アルキル、ハロゲン、CF3、CN、C(R)3、Sn(R)3、NR2、NHCOCH3、NHCOCF3、又はNHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH3、NHCSCF3、NHCSR、NHSO2CH3、NHSO2R、OH、OR、COR、OCOR、OSO2R、SO2R、SRであり、
P’は、1、2、3又は4であり、
mは、1、2又は3である。
【請求項12】
化学式4で示される選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子化合物、及び/若しくはその異性体、医薬的に許容される塩、又はいずれかの組み合わせを使用して、ドライアイコンディションの治療のための医薬を製造する方法。
【化4】

Xは、Oであり、
Gは、O、又はSであり、
Tは、OH、OR、-NHCOCH3、又はNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CH2F、CHF2、CF3、CF2CF3、アリル、フェニル、ハロゲン、アルケニル、又はOHであり、
Rは、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2CH3、又はCF2CF3であり、
R3は、F、Cl、Br、I、CN、NO2、COR、COOH、CONHR、CF3、Sn(R)3、又は結合されたベンゼン環を有しているR3は、次の構造、

で示されるような縮合環システムであり、
Zは、NO2、CN、COR、COOH、若しくはCONHRであり、
Qは、H、アルキル、ハロゲン、CF3、CN、C(R)3、Sn(R)3、NR2、NHCOCH3、NHCOCF3、又はNHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH3、NHCSCF3、NHCSR、NHSO2CH3、NHSO2R、OH、OR、COR、OCOR、OSO2R、SO2R、SRであり、
P’は、1、2、3又は4であり、
mは、1、2又は3である。
【請求項13】
化学式4で示される選択的アンドロゲンレセプタ修飾因子化合物、及び/若しくはその異性体、医薬的に許容される塩、又はいずれかの組み合わせを使用して、ドライアイコンディションの防止のための医薬を製造する方法。
【化4】

Xは、Oであり、
Gは、O、又はSであり、
Tは、OH、OR、-NHCOCH3、又はNHCORであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CH2F、CHF2、CF3、CF2CF3、アリル、フェニル、ハロゲン、アルケニル、又はOHであり、
Rは、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2CH3、又はCF2CF3であり、
R3は、F、Cl、Br、I、CN、NO2、COR、COOH、CONHR、CF3、Sn(R)3、又は結合されたベンゼン環を有しているR3は、次の構造、

で示されるような縮合環システムであり、
Zは、NO2、CN、COR、COOH、若しくはCONHRであり、
Qは、H、アルキル、ハロゲン、CF3、CN、C(R)3、Sn(R)3、NR2、NHCOCH3、NHCOCF3、又はNHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH3、NHCSCF3、NHCSR、NHSO2CH3、NHSO2R、OH、OR、COR、OCOR、OSO2R、SO2R、SRであり、
P’は、1、2、3又は4であり、
mは、1、2又は3である。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−180245(P2010−180245A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110335(P2010−110335)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【分割の表示】特願2003−572923(P2003−572923)の分割
【原出願日】平成15年2月24日(2003.2.24)
【出願人】(504326686)ユニバーシティ オブ テネシー リサーチ ファウンデーション (22)
【Fターム(参考)】