説明

選果システム

【課題】選果システムをコンパクトに構成することを課題とする。
【解決手段】載置台5に載置される青果物6を等級および階級毎にトレイ8に詰める選果システム1であって、青果物6の内部品質に関する情報に基づいて青果物6の等級および階級を判断するとともに、前記判断した等級および階級から青果物6の移送先となるトレイ8を決定する制御装置と、青果物6の内部品質を計測する内部品質計測手段を有し、載置台5に載置される青果物6を決定された移送先のトレイ8へ移送する移送部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、載置台に載置される青果物を等級および階級毎にトレイに詰める選果システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、載置台に載置される青果物を等級および階級毎に前記トレイに詰める選果システムは公知となっている(特許文献1参照)。
このような選果システムには、青果物の内部品質を計測する内部品質計測手段と、青果物の内部品質に関する情報に基づいて青果物の等級および階級を判断するとともに当該判断した等級および階級から青果物の移送先となるトレイを決定する制御装置と、前記決定された移送先のトレイへ青果物を移送する移送部と、を備えたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−52487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらこのような選果システムでは、内部品質計測手段が移送部以外の場所(移送部の上流側)に配置され、当該移送部以外の場所で青果物の内部品質が計測されており、大掛かりな構成となっていた。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、選果システムをコンパクトに構成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、載置台に載置される青果物を等級および階級毎にトレイに詰める、選果システムであって、前記青果物の内部品質に関する情報に基づいて前記青果物の等級および階級を判断するとともに、前記判断した等級および階級から前記青果物の移送先となる前記トレイを決定する制御装置と、前記青果物の内部品質を計測するとともに前記青果物の内部品質に関する情報を前記制御装置に送信する内部品質計測手段を有し、前記載置台に載置される前記青果物を前記決定された移送先のトレイへ移送する移送部と、を備える選果システムとするものである。
【0008】
請求項2においては、前記移送部は、前記載置台に載置される前記青果物を吸着部で吸着して前記トレイへ移送する移送装置を備え、前記内部品質計測手段は、投光部とおよび受光部とを備え、前記投光部から前記青果物に対して照射された光を受光部により受光することによって前記青果物の内部品質を計測するように構成されるとともに、前記投光部と前記受光部とのうちいずれか一方が前記移送装置の吸着部内に配置されて構成されるものである。
【0009】
請求項3においては、前記移送部は、前記載置台に載置される前記青果物を吸着部で吸着して前記トレイへ移送する移送装置を備え、前記内部品質計測手段は、投光部とおよび受光部とを備え、前記投光部から前記青果物に対して照射された光を受光部により受光することによって前記青果物の内部品質を計測するように構成されるとともに、前記投光部と前記受光部とが前記移送装置の吸着部内に配置されて構成される、ものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
即ち、請求項1に記載の発明によれば、移送部以外の場所に内部品質計測手段を配置しなくてよいため、選果システム全体をコンパクトに構成することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、移送部をコンパクトに構成することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、移送部をよりコンパクトに構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る選果システムの全体的な構成を示した模式図。
【図2】(a)は本発明の実施形態に係る選果システムの載置台を示した平面図、(b)は同じく側面図。
【図3】本発明の実施形態に係る選果システムの移送部を示した平面模式図。
【図4】同じく正面模式図。
【図5】同じく平面模式図。
【図6】同じく平面模式図。
【図7】同じく平面模式図。
【図8】同じく平面模式図。
【図9】同じく平面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に係る選果システム1について、図1から図9を用いて説明する。なお、図中で示す白色矢印は載置台5またはトレイ8の搬送方向を示すものとして説明する。
【0016】
選果システム1は、載置台5に載置される青果物を搬送し、当該青果物6を等級および階級毎にトレイ8に詰めるシステムである。
【0017】
ここで、青果物6とは、イチゴ、ミニトマト、ミズナス等の可食部6a表面が比較的柔らかく、がく片(通称:へた)部6bを有するものを示す(図6参照)。本実施形態では、青果物6は、イチゴであるものとして説明する。青果物6の主軸Xは、青果物6のがく片部6bの中央と、可食部6aの先端部(がく片部6bと反対側の先端部)と、を結ぶ仮想の直線を示す。
【0018】
またここで、青果物6が詰められるトレイ8は、プラスチック等の合成樹脂素材からなる平面視長方形の部材であり、載置台5から移送された青果物6が収納される収納部8aを縦横に複数個有して構成される。トレイ8では、24個(長手方向に6個、短手方向に4個)の収納部8a・8a・・・が配置される(図6参照)。
トレイ8の収納部8aは、略横に寝かせた青果物6が収まるような形状に合わせて凹状にトレイ8の上面が形成されて構成される。トレイ8の収納部8aが形成される部分の下面は、収納部8aが形成されることによって凸状に形成される。
トレイ8の収納部8aは、平面視で所定角度傾斜するように配置される。本実施形態では、トレイ8の収納部8aは、トレイ8の長手方向に対して平面視で左方(反時計周り)に略45度傾くように配置され、青果物6の収納効率を高めている。
【0019】
また、選果システム1は、図1に示すように、作業者によって載置台5に青果物6が載置される青果物載置部30と、青果物載置部30において載置台5に載置された青果物6を撮影する撮影部40と、載置台5に載置される果物6をその等級および階級毎に載置台5からトレイ8に移送する移送部50と、を備える。選果システム1では、主搬送装置11に沿って上流側から順に、青果物載置部30、撮影部40が配置され、主搬送装置11の下流側に移送部50が配置される。
【0020】
選果システム1は、青果物載置部30において青果物6が載置台5に正確に載置されていなかった場合に、撮影部40の下流側から、主搬送装置11の上流側に当該載置台5を戻す、リターンライン12を備える。
【0021】
選果システム1は、移送部50において青果物6がトレイ8へ移送されて青果物6が載置されていない(空の状態)載置台5を移送部50の下流側から主搬送装置11の始端に戻す、載置台戻りライン13を備える。
【0022】
選果システム1は、廃棄ライン14を備える。選果システム1では、青果物6は、規格外に変形しているもの、規格外に大きすぎるものまたは小さすぎるもの、規格外に変質しているもの、傷が付いているもの、がく片部6bがないもの、糖度や酸度が規定値以下または規定値以上、残留農薬が規定値以上のもの等の場合には、移送部50から廃棄ライン14に移送されて、当該廃棄ライン14によって搬送される。
【0023】
選果システム1は、制御装置を備える。選果システム1の制御装置は、種々の情報を記憶する記憶手段を有し、また、種々の機構や装置等に接続されてこれを制御するものである。
【0024】
載置台5は、青果物6が載置されるものであり、図2に示すように、略円筒状に形成される。載置台5は、その上面に青果物6が載置される載置部5aを有して構成される。
載置台の載置部5aは、中央に向かって低くなる略円錐形の凹状に形成され、略横に寝かせた青果物6が収まるように構成される。
【0025】
また、載置台5の側面(若しくは底面)には、ID認識手段が貼設される。具体的には、載置台5のID認識手段は、バーコードや二次元コードや磁気テープやICチップ等で構成される。載置台5のID認識手段には、認識番号が記される(IDが書込まれる)。載置台5のID認識手段における認識番号は、撮影部40や移送部50において、それぞれ図示しない読取手段によって読取られる。
【0026】
選果システム1の主搬送装置11は、ベルトコンベアにより構成される。主搬送装置11の搬送ベルトの搬送面上には、青果物6が載置されていない載置台5、または、青果物載置部30において青果物6が載置された載置台5が載せられて搬送される。
【0027】
選果システム1の青果物載置部30では、主搬送装置11の上流側の両側または一側に、複数の作業者が位置して、当該作業者によって主搬送装置11により搬送される載置台5に青果物6が載置される。
詳述すると、青果物載置部30では、複数の作業者が、主搬送装置11の上流側の左右両側、または、左右一側に、搬送方向に沿って並んで位置する。そして、青果物載置部30では、主搬送装置11の搬送面に載せられて搬送されてきた載置台5の載置部5aに、略横に寝かせるようにして青果物6を載置する(図6参照)。
【0028】
選果システム1の撮影部40は、載置台5に載置されて主搬送装置11により搬送されてくる青果物6を撮影するCCDカメラ等の撮影手段、撮影手段で撮影された画像に関する情報の画像処理を行う画像処理手段、等が配置されて構成される。
【0029】
選果システム1の撮影部40に青果物6が載置された載置台5が搬送されてくると、撮影部40に配置された読取手段によって、当該載置台5の認識番号が読取られて、当該認識番号に関する情報が制御装置に送信されて、その記憶装置に記憶される。
また、選果システム1の撮影部40では、青果物6の大きさ、青果物6の変質度合い、青果物6の傷の有無、青果物6のがく片部6bの有無、および、載置台5に載置される青果物6の向き(がく片部6bの向き、および、主軸Xの傾斜する方向)、等に関する情報、が制御装置に送信されて、載置台5の認識番号に関する情報と関連付けられてその記憶手段に記憶される。
【0030】
選果システム1の移送部50では、主搬送装置11によって搬送されてくる載置台5に載置される青果物6をトレイ8(トレイ8の収納部8a)に移送する。
移送部50は、図3乃至図5に示すように、載置台5に載置される青果物6の向きを修正する方向修正装置と、主搬送装置11によって搬送されてくる載置台5を搬送する載置台搬送装置51と、トレイ8を搬送するトレイ搬送装置53と、載置台5に載置された青果物6をトレイ8に移送する移送装置60と、青果物6の内部品質を計測する内部品質計測手段70と、を有して構成される。
【0031】
主搬送装置11から移送部50に青果物6が載置された載置台5が搬送されてくると、移送部50に配置された読取手段によって当該載置台5の認識番号が読取られて、当該認識番号に関する情報が制御装置に送信される。
【0032】
移送部50の載置台搬送装置51は、主搬送装置11から連続して搬送されるものであり、主搬送装置11の搬送経路を延長するように配置される。
【0033】
移送部50の方向修正装置は、載置台搬送装置51によって搬送される載置台5の向きを修正して、後述する移送装置60の吸着部66によって青果物6のがく片部6bを吸着可能なように、当該載置台5に載置される青果物6の向き(青果物6のがく片部6bの向き)を修正する。
移送部50の方向修正装置は、青果物6が載置された載置台5を平面視で時計回りまたは反時計周りに回転させて、青果物6のがく片部6bが載置台搬送装置51の搬送方向に対して右方に135度の方向を向くように(後述する移送装置60の吸着部66によって青果物6のがく片部6bを吸着可能なように)、青果物6の向きを修正する。
ここで、移送部50の方向修正装置における青果物6の向きを修正する動作は、移送部50の読取手段によって読取られた載置台5の認識番号に関する情報に関連付けられた青果物6の向き(がく片部6bの向き)に関する情報に基づいて、制御装置によって制御される。
【0034】
移送部50のトレイ搬送装置53は、ベルトコンベアによって構成され、複数台配置される。
本実施形態では、移送部50のトレイ搬送装置53・53・・・は、載置台搬送装置51の搬送方向に対して左方に一台、右方に二台配置される。移送部50のトレイ搬送装置53・53・・・は、その搬送方向が載置台搬送装置51の搬送方向と同一方向となるように、載置台搬送装置51に平行して並べてそれぞれ配置される。
移送部50では、各トレイ搬送装置53のトレイ8に移送させる青果物6は、青果物6の等級および階級等によって異なる。前記青果物6の等級および階級等は、トレイ搬送装置53毎に予め設定されている。
移送部50の前記最も右方のトレイ搬送装置53の外側には、廃棄ライン14が、その搬送方向が載置台搬送装置51およびトレイ搬送装置53の搬送方向と同一方向となるように、載置台搬送装置51およびトレイ搬送装置53に平行して並べて配置される。
【0035】
移送部50のトレイ搬送装置53では、トレイ8は、収納部8aのがく片部収納位置8bがトレイ搬送装置53の搬送方向に対して右方に135度の方向を向くようにしてトレイ搬送装置53の搬送面上に載せられて搬送される。つまり、移送部50のトレイ搬送装置53では、トレイ8は、その収納軸Zがトレイ搬送装置53の搬送方向に対して右方に略135度(左方に45度)傾くようにしてトレイ搬送装置53の搬送面上に載せられて搬送される。
【0036】
ここで、トレイ8のがく片部収納位置8bとは、トレイ8の収納部8aに青果物6が収納されたときに青果物6のがく片部6bが位置する部分を示す。また、トレイ8の収納軸Zとは、トレイ8の収納部8aにおける、がく片部収納位置8bの中央と、収納部8aに青果物6が収納されたときにその先端部が位置する部分とを、を結ぶ仮想の直線を示す。
【0037】
移送部50の移送装置60は、載置台搬送装置51によって搬送される載置台5に載置される青果物6をトレイ搬送装置53によって搬送されるトレイ8へ移送するものであり、制御装置に接続される。
移送部50の移送装置60は、載置台5に載置された青果物6をトレイ8へ移すものであり、主として移送レール61、シリンダブラケット、上下シリンダ63、支持部、吸着シリンダ65、および、吸着部66、を具備する。
【0038】
移送部50の移送装置60の移送レール61は、載置台搬送装置51およびトレイ搬送装置53の搬送方向に対して左右方向にまたがるように(直交するように)、載置台搬送装置51およびトレイ搬送装置53の上方に配置される。
移送部50の移送装置60のシリンダブラケットは、移送レール61の下面に、載置台搬送装置51およびトレイ搬送装置53の搬送方向に対して直交する方向、且つ水平方向(矢印Aの方向)に摺動可能に支持される。移送装置60の移送レール61にはリニアアクチュエータが設けられて、シリンダブラケットを水平方向に摺動駆動可能としている。移送装置60のリニアアクチュエータは例えば電動シリンダまたはリニアモータ等で構成され、速度変更可能とし、制御装置によって移動速度や移動位置等が制御される。
移送部50の移送装置60のシリンダブラケットには上下シリンダ63が固定される。
移送部50の移送装置60の上下シリンダ63には上下方向(矢印Bの方向)に伸縮可能なピストンロッドが設けられ、ピストンロッドの先端(下端)には支持部が固定され、支持部には吸着シリンダ65が固定される。移送装置60の上下シリンダ63及び吸着シリンダ65は、例えば電動シリンダまたはリニアモータ等で構成され、速度変更可能とし、制御装置によって移動速度が制御される。
移送部50の移送装置60の吸着シリンダ65にはピストンロッドが突設され、当該ピストンロッドの先端(下端)には吸着部66が固定される。移送部50の移送装置60の吸着シリンダ65のピストンロッドは、平面視で載置台搬送装置51上の載置台5に載置された青果物6の主軸Xとトレイ搬送装置53上のトレイ8の収納軸Zとに平行(矢印Cの方向)で、やや下方に伸縮可能に構成される。
移送部50の移送装置60の吸着部66は、図示せぬポンプまたはエジェクタと接続され、当該ポンプまたはエジェクタにより空気を吸引することにより、吸着部66の先端に青果物6を吸着することができる。移送部50の移送装置60の吸着部66は、青果物6のがく片部6b側からこれを吸着するように構成される。
【0039】
また、移送部50の移送装置60は、その吸着部66による青果物6の吸着が完了したことを検知することができる吸着センサ(空圧センサ)を備える。移送部50の移送装置60の吸着センサは、吸着部66による青果物6の吸着の完了を感知したら、その旨の情報を制御装置に送信するように構成される。
このとき、制御装置は、前記青果物6の吸着の完了を感知した旨の情報に基づいて、移送装置60の上下シリンダのアームを上方に縮めて吸着部66(青果物6)の上昇移動を開始させるように、移送装置60を制御する。
【0040】
移送部50の内部品質計測手段70は、青果物6の内部品質を計測するものであり、制御装置に接続される。
ここで、青果物6の内部品質とは、青果物6の糖度や酸度、または、青果物6の残留農薬濃度を示す。
【0041】
移送部50の内部品質計測手段70は、図5に示すように、投光部71とおよび受光部72とを備え、投光部71から青果物6に対して照射された光を受光部72により受光することによって、青果物6の内部品質を計測するように構成される。
移送部50の内部品質計測手段70における投光部71は、青果物6に対して光(赤外線)を照射するLEDやハロゲンランプ等により構成される投光手段を備える。
移送部50の内部品質計測手段70における受光部72は、前記青果物6に照射された光(赤外線)を受光する、フォトダイオードやフォトトランジスタ、CCD等により構成される受光手段を備える。そして、内部品質計測手段70における受光部72が受光した光は、図示しない分光器によって特定の波長の光が取り出され(分光され)て電気信号に変換され、青果物6の内部品質に関する情報として制御装置に送信される。
【0042】
移送部50の内部品質計測手段70における投光部71と受光部72とは、青果物6が載置台5から持ち上げられて上昇端に達するまでの経路途中に配設され、移送装置60の吸着部66に吸着された青果物6の内部品質を計測可能な位置にそれぞれ配置される。
移送部50の内部品質計測手段70における投光部71は、移送装置60の吸着部66による青果物6の吸着位置の近傍において、載置台搬送装置51よりも上方であって載置台搬送装置51における載置台5の搬送方向に対して左方に配置される。
移送部50の内部品質計測手段70における受光部72は、移送装置60の吸着部66による青果物6の吸着位置の近傍において、載置台搬送装置51よりも上方であって載置台搬送装置51における載置台5の搬送方向に対して右方に配置される。つまり、内部品質計測手段70における投光部71と受光部72とは、これらの間を青果物6が上昇移動するように対向して配置される。
【0043】
そして、移送部50の内部品質計測手段70は、移送装置60の吸着部66に吸着された青果物6をトレイ8へ移送する際の当該吸着部66の上昇移動中に、投光部71から青果物6に向かって光を照射し、当該光を受光部72が受光することによって、青果物6の内部品質を計測するように構成される。
【0044】
移送部50には、青果物6の質量を計測する質量計が配置される。移送部50の質量計は、移送装置60の吸着部66が青果物6を吸着した際に当該青果物6の質量を計測可能なように吸着部66に配置されるとともに、制御装置に接続される。
なお、前記質量計は、移送部50よりも上流側(例えば、撮影部40)に配置してもよい。
【0045】
以下では、上述の如く構成された移送部50における青果物6のパック詰め作業について説明する。
【0046】
まず、移送部50の載置台搬送装置51によって、青果物6が載置された載置台5所定の位置(青果物6の吸着位置)まで搬送されてくる。移送部50のトレイ搬送装置53によって、トレイ8が所定の位置(青果物6の移送位置)まで搬送されてくる。
移送部50の載置台搬送装置51およびトレイ搬送装置53は、前記青果物6の吸着位置および青果物6の移送位置まで青果物6が載置された載置台5およびトレイ8がそれぞれ搬送されてくると、その搬送動作が停止する。
このとき、青果物6のがく片部6bと、トレイ8の収納部8aにおけるがく片部収納位置8bとが、同一方向(移送部50の載置台搬送装置51およびトレイ搬送装置53の搬送方向に対して右方に135度の方向)を向くように、青果物6が載置された載置台5およびトレイ8がそれぞれ搬送される。また、青果物6の主軸Xと、トレイ8の収納軸Zと、が平面視で平行するように、青果物6が載置された載置台5およびトレイ8がそれぞれ搬送される。
【0047】
次に、移送部50の移送装置60のシリンダブラケットを摺動させ、載置台5の上方に位置させる。そして、上下シリンダ63を伸長させて吸着部66を下降させ、下端位置で吸着シリンダ65を伸長させて、載置台5に載置された青果物6に向かって吸着部66の先端部を当該青果物6(青果物6のがく片部6b)に近接させる。
ここで、移送部50の移送装置60の前記ポンプ等により空気を吸引し、移送装置60の吸着部66の先端部に青果物6のがく片部6bを吸着させる。
【0048】
移送部50の移送装置60の吸着センサが移送装置60の吸着部66による青果物6の吸着を確認すると、上下シリンダ63を縮小させて青果物6を吸着した吸着部66(青果物6)を上昇移動させる。
【0049】
この際、移送部50の質量計によって移送装置60の吸着部66に吸着された青果物6の質量が計測される。前記質量計によって計測された青果物6の質量に関する情報は、制御装置に送信されて、載置台5の認識番号に関する情報と関連付けられてその記憶手段に記憶される。
またこの際、移送部50の内部品質計測手段70によって前記青果物6の内部品質が計測される。内部品質計測手段70によって計測された青果物6の内部品質(青果物6の糖度や酸度や、および、青果物6の残留農薬濃度等)に関する情報は、制御装置に送信されて、載置台5の認識番号に関する情報と関連付けられてその記憶手段に記憶される。
【0050】
そして、制御装置は、前記載置台5の認識番号に関する情報と関連付けられた、青果物6の大きさに関する情報、青果物6の質量に関する情報、青果物6の内部品質に関する情報等、に基づいて、青果物6の等級および階級を判断するとともに、当該判断された等級および階級から青果物6の移送先となるトレイ8(トレイ搬送装置53)を決定する。
同時に、制御装置は、前記載置台5の認識番号に関する情報と関連付けられた、青果物6の大きさに関する情報、青果物6の変質度合いに関する情報、青果物6の傷の有無に関する情報、青果物6のがく片部6bの有無に関する情報、青果物6の質量に関する情報、青果物6の内部品質に関する情報、等に関する情報、に基づいて、当該青果物6が規格外のものかについて判断する。
【0051】
移送部50では、前記決定された移送先のトレイ8(トレイ搬送装置53)へ、青果物6を移送する。
具体的には、前記吸着部66の上昇移動後、移送装置60のシリンダブラケットをトレイ搬送装置53側に摺動させて、吸着部66(青果物6)をトレイ8の所定の収納部8a上方まで水平移動させる。
【0052】
移送装置60の吸着部66(青果物6)がトレイ8まで到達すると、吸着シリンダ65を伸長させて、青果物6をトレイ8の収納部8aに収納し、移送部50の移送装置60の前記ポンプ等による空気の吸引を終了して吸着部66より青果物6を開放する。このとき、青果物6は、そのがく片部6bをトレイ8の収納部8aにおけるがく片部収納位置8bに位置させるとともに、青果物6の主軸Xとトレイ8の収納軸Zとを略平行させ、略横に寝かせるようにして収納される(図6参照)。その後、移送装置60の吸着シリンダ65を縮小しながら上下シリンダ63を縮小させて初期位置まで移動する。
上記作業を繰り返すことで、トレイ8に複数個の青果物6・6・・・を並べて詰めることができる。なお、上記作業は、トレイ8の収納部8aのうち移送部50のトレイ搬送装置53の搬送方向の最も下流側に位置する収納部8aの列(トレイ搬送装置53の搬送方向に対して直交する方向に配置された収納部8a・8a・・・)から順次おこなわれる。
【0053】
なお、移送部50の載置台搬送装置51は、移送部50の移送装置60による青果物6のトレイ8への移送が終了すると、その搬送動作が再開され、空の載置台5は載置台戻りライン13へ搬送されるように構成される。
また、移送部50のトレイ搬送装置53は、青果物6が収納された収納部8aの属する列すべてに青果物6が収納されると、次の列に搬送され、全ての列(トレイ8全ての収納部8a)に青果物6が収納されると、次のトレイ8が載置位置まで搬送されるように構成される。
【0054】
制御装置によって前記青果物6が、規格外に変形している、規格外に大きすぎまたは小さすぎる、規格外に変質している、傷が付いている、がく片部6bがない、糖度や酸度が規定値以下または規定値以上、残留農薬濃度が規定値以上、等と判断された場合には、当該青果物6は、移送装置60によって廃棄ライン14に移送される。
【0055】
以上のように、移送部50が内部品質計測手段70を有することにより、選果システム1は、移送部50において載置台5からトレイへ移送する際の青果物6の内部品質を計測可能に構成される。
したがって、選果システム1では、移送部50以外の場所(移送部50の上流側)に内部品質計測手段70を配置しなくてよいため、選果システム1をコンパクトに構成することができる。
【0056】
移送部50の内部品質計測手段70は、投光部71と受光部72とのうち少なくともいずれか一方が移送装置60の吸着部66内に配置される構成としてもよい。
例えば図7に示すように、移送部50の内部品質計測手段70は、投光部71が移送装置60の吸着部66内に配置されるとともに、受光部72が吸着部66外に配置されて、投光部71から照射された光が、吸着部66の軸心部の吸引用孔を通して主軸Xと平行に青果物6に至って当該光を吸着部66外において受光部72が受光するような構成とする。
また、図8に示すように、移送部50の内部品質計測手段70は、投光部71が移送装置60の吸着部66外に配置されるとともに、受光部72が吸着部66内に配置されて、投光部71から照射された光が吸着部66の軸心部の吸引用孔を通して受光部72に至って当該光を受光部72が受光するような構成とする。
このように構成された移送部50の内部品質計測手段70は、移送装置60の吸着部66に吸着された青果物6に向かって投光部71から光を照射し、当該光を受光部72が受光することによって、青果物6の内部品質を計測する。
以上のように移送部50の内部品質計測手段70を構成することにより、移送部50をコンパクトに構成することができる。
【0057】
また、移送部50の内部品質計測手段70は、図9に示すように、投光部71と受光部72とがいずれも移送装置60の吸着部66内に配置される構成としてもよい。
このように構成された移送部50の内部品質計測手段70は、吸着部66内において移送装置60の吸着部66に吸着された青果物6に向かって投光部71から光を照射して反射した光を受光部72が受光することによって、青果物6の内部品質を計測する。
以上のように移送部50の内部品質計測手段70を構成することにより、移送部50をよりコンパクトに構成することができる。
また、移送装置60の吸着部66が青果物6を吸着している間は、前記青果物6に向かって投光部71から光を照射し、当該光を受光部72が受光することができるため、当該青果物6の内部品質の計測時間を長く確保することができ、また、青果物6と投光部71との間の距離および青果物6と受光部72と間の距離が一定の距離で青果物6の内部品質を計測することができる。したがって、より正確に青果物6の内部品質を計測することができる。
なお、移送部50の内部品質計測手段70は、前記照射した光が吸着部66の軸心部の吸引用孔を通す構成としたが、移送装置60の吸着部66の外周側における青果物6の搬送に邪魔にならない位置に投光部71または受光部72または両方を設ける構成とすることも可能である。
【0058】
なお、選果システム1は、複数の移送部50が配置される構成としてもよい。
また、選果システム1では、移送部50は、前記制御装置で決定された移送先のトレイ8へ青果物6を移送する構成であればよく、例えば、移送装置60が、一台のトレイ搬送装置53により搬送される複数個のトレイ8・8・・・のうち制御装置で決定された移送先のトレイ8へ載置台5に載置される青果物6を移送するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 選果システム
5 載置台
6 青果物
8 トレイ
30 青果物載置部
40 撮影部
50 移送部
51 載置台搬送装置
53 トレイ搬送装置
60 移送装置
66 吸着部
70 内部品質計測手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置台に載置される青果物を等級および階級毎にトレイに詰める選果システムであって、
前記青果物の内部品質に関する情報に基づいて前記青果物の等級および階級を判断するとともに、前記判断した等級および階級から前記青果物の移送先となる前記トレイを決定する制御装置と、
前記青果物の内部品質を計測する内部品質計測手段を有し、前記載置台に載置される前記青果物を前記決定された移送先のトレイへ移送する移送部と、
を備える選果システム。
【請求項2】
前記移送部は、前記載置台に載置される前記青果物を吸着部で吸着して前記トレイへ移送する移送装置を備え、
前記内部品質計測手段は、投光部と受光部とを備え、前記投光部から前記青果物に対して照射された光を前記受光部により受光することによって前記青果物の内部品質を計測するように構成されるとともに、前記投光部と前記受光部とのうちいずれか一方が前記移送装置の吸着部内に配置されて構成される、
請求項1に記載の選果システム。
【請求項3】
前記移送部は、前記載置台に載置される前記青果物を吸着部で吸着して前記トレイへ移送する移送装置を備え、
前記内部品質計測手段は、投光部と受光部とを備え、前記投光部から前記青果物に対して照射された光を前記受光部により受光することによって前記青果物の内部品質を計測するように構成されるとともに、前記投光部と前記受光部とが前記移送装置の吸着部内に配置されて構成される、
請求項1に記載の選果システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−228662(P2012−228662A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98813(P2011−98813)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】