説明

遺伝子検出方法

【課題】 特定の配列を有する目的遺伝子サンプルを高感度に検出できる遺伝子検出方法を提供する。
【解決手段】 磁気ビーズを用いたサンドイッチハイブリダイゼーション手法において、特定の配列を有する遺伝子を検出する際に、検出すべき検体の遺伝子サンプルと該遺伝子サンプルと相補的に結合する核酸プローブとがハイブリダイズした二本鎖核酸と共有結合する挿入剤を用いるようにしたので、検出すべき検体の遺伝子配列に特異的に結合する標識用プローブが不要となるとともに、該二本鎖核酸へ複数挿入する挿入剤を用いて検出するため検出感度を向上させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料中に存在する特定の遺伝子配列を検出する遺伝子検出方法に関し、特に、挿入剤により電気化学的に遺伝子を検出する遺伝子検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の、電気化学的に特定の遺伝子配列を検出するDNAチップは、検出すべき目的遺伝子に対して相補的な塩基配列を有する一本鎖の核酸プローブを電極表面に固定化し、該核酸プローブと一本鎖に変性された目的遺伝子サンプルとをハイブリダイズさせた後、該核酸プローブと目的遺伝子サンプルとで形成された二本鎖核酸に特異的に結合し且つ電気化学的に活性な挿入剤を、該核酸プローブと遺伝子サンプルとの反応系に添加し、電極を介した電気化学的な測定により、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤を検出することで、目的遺伝子サンプルとハイブリダイズした前記核酸プローブを検出し、目的とする遺伝子の存在を確認する(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
この手法で用いられる前記挿入剤は、前記二本鎖の核酸を認識して、該二本鎖核酸と特異的に結合する物質を指す。前記挿入剤は、何れも分子中にフェニル基等の平板状挿入基を有し、該挿入基が二本鎖核酸の塩基対と塩基対との間に挿入することによって、二本鎖核酸と結合する。この挿入剤と二本鎖核酸との結合は、静電気的相互作用あるいは疎水的相互作用での結合であって、前記挿入剤の二本鎖核酸の塩基対間への挿入、及びその塩基対間からの離脱が一定の速度で繰り返される平衡反応による結合である。
【0004】
さらに、前述した挿入剤には、電気的に可逆な酸化還元反応を起こす物質があり、このような電気化学的に可逆である酸化還元反応を起こす挿入剤を用いれば、電気化学的変化の測定によって、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤の存在を検出することができる。なお、この電気化学的変化の出力信号としては、酸化還元時に発生する電流や発光が挙げられる。
【0005】
従って、このような従来の遺伝子検出方法においては、前記挿入剤を二本鎖核酸にのみ特異的に結合させ、該二本鎖核酸に結合した挿入剤の量を正確に検出することが重要となる。
【0006】
しかし、前記挿入剤は、一本鎖の核酸プローブや、該核酸プローブが固定される電極表面に非特異的に吸着してしまう。そして、この非特異的に吸着した挿入剤は、前記二本鎖核酸に結合した挿入剤の量の検出時に、バックグランドノイズとなり、検出感度を低下させる原因となる。
【0007】
これを解消する手法の1つとして、磁気ビーズを用いた手法がある。この手法は、磁気ビーズに固定した捕捉プローブと、挿入剤として電気化学的に活性である物質が結合した標識プローブと、遺伝子サンプルとをハイブリダイズさせ、磁気ビーズに遺伝子サンプルを介して標識剤が結合した複合体を形成させる。そして、磁気ビーズを磁力で収集し、洗浄することで、ハイブリダイズしなかった未反応の遺伝子サンプルおよび標識プローブの除去(B/F分離)を行う。その後、磁気ビーズと電解液を電極上に展開し、電極に電圧を印加して、遺伝子サンプルに結合した標識プローブからの電気化学的な信号を検出することにより、目的とする遺伝子の存在を検出する手法である(特許文献3及び特許文献4参照)。
【0008】
この手法は、いわゆるサンドイッチハイブリダイゼーションを用いた手法であり、前記捕捉プローブと、前記遺伝子サンプルと、前記標識プローブとが、各成分の特異的相互作用を介して複合体化されているため、特異性が高く、検出感度を向上させることが可能である。
【0009】
さらに、前記磁気ビーズは、バルク体や膜に比べて比表面積が大きく、反応性を向上させることができ、また、磁力を利用してB/F分離を効率的に行うことで、バックグランドノイズの低減にも有効であるため、検出感度を向上させることが可能である。
【特許文献1】特開平5−199898号公報
【特許文献2】特開平9−288080号公報
【特許文献3】特開2002−34561号公報
【特許文献4】特表平6−509412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前述した特許文献3の方法では、1つの遺伝子サンプルにつき、1つの標識プローブがハイブリダイズするだけであり、さらに、該標識プローブは一本鎖核酸の末端部に電気化学的に活性な物質が1つ標識されているだけであるため最大でも2つの標識であり、前述の特許文献1,2のような標識剤を用いた手法に比べ、電気化学的に活性な物質からの信号強度が低い。そのため、検出対象の遺伝子サンプルが低濃度の場合は、まずその遺伝子サンプルをPCRなどで増幅させて高濃度にしなければならないという課題がある。
【0011】
さらに、前記標識プローブは検出すべき検体の遺伝子配列それぞれに特異的でなければならないため、配列の設計が検体の種類ごとに必要となりコスト高の一因となっている。
【0012】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであって、検出すべき検体の遺伝子サンプルと該遺伝子サンプルと相補的に結合する核酸プローブとがハイブリダイズした二本鎖核酸に挿入及び結合する挿入剤を用いることで、検出すべき遺伝子サンプルを高感度に且つ低価格に検出可能な遺伝子検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するため、本発明の遺伝子検出方法は、特定の配列を有する遺伝子を検出する遺伝子検出方法であって、検出すべき遺伝子を一本鎖に変性して遺伝子サンプルを作製する遺伝子サンプル作製工程と、前記検出すべき遺伝子配列に対して相補的な塩基配列を有する一本鎖の核酸プローブを作製する核酸プローブ作製工程と、前記核酸プローブと前記遺伝子サンプルとを反応させ、該核酸プローブと該遺伝子サンプルとがハイブリダイズした二本鎖核酸を形成する二本鎖核酸形成工程と、電気化学的に活性であり、かつ光照射により前記二本鎖核酸と共有結合する挿入剤を添加する挿入剤添加工程と、光照射を行うことにより、前記二本鎖核酸と前記挿入剤とを共有結合させる光照射工程と、前記挿入剤が共有結合した二本鎖核酸を磁気ビーズに固定化し、該磁気ビーズに捕捉する二本鎖核酸捕捉工程と、前記磁気ビーズを磁力により収集し、未反応の遺伝子サンプル、核酸プローブおよび挿入剤を除去する洗浄工程と、収集した前記磁気ビーズを電解液とともに電極上に展開し、前記磁気ビーズに捕捉された前記二本鎖核酸と共有結合した挿入剤を電気化学的な測定により検出する検出工程、とを含むものである。
【0014】
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、検出すべき遺伝子を一本鎖に変性して遺伝子サンプルを作製する遺伝子サンプル作製工程と、前記検出すべき遺伝子配列に対して相補的な塩基配列を有する一本鎖の核酸プローブを作製し、該核酸プローブを磁気ビーズに固定化する固定化工程と、前記磁気ビーズに固定された一本鎖の核酸プローブと前記遺伝子サンプルとを反応させ、前記核酸プローブと前記遺伝子サンプルとがハイブリダイズした二本鎖核酸を形成する二本鎖核酸形成工程と、前記二本鎖核酸を前記磁気ビーズに捕捉する遺伝子サンプル捕捉工程と、電気化学的に活性であり、かつ光照射により前記二本鎖核酸と共有結合する挿入剤を添加する挿入剤添加工程と、光照射を行うことにより、前記二本鎖核酸と前記挿入剤とを共有結合させる光照射工程と、前記磁気ビーズを磁力により収集し、未反応の遺伝子サンプル、核酸プローブおよび挿入剤を除去する洗浄工程と、収集した前記磁気ビーズを電解液とともに電極上に展開し、前記磁気ビーズに捕捉された前記二本鎖核酸と共有結合した挿入剤を電気化学的な測定により検出する検出工程、とを含むものである。
【0015】
これにより、検出対象である遺伝子サンプルを高感度にかつ低価格に検出できる。
【0016】
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記検出工程は、前記電極に対して電圧を印加し、前記遺伝子サンプルに共有結合させた挿入剤による電気化学発光量を測定するものである。これにより、前記検出対象である遺伝子サンプルの存在を的確に確認できる。
【0017】
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記挿入剤が、前記遺伝子サンプルに、特異的に結合し且つ光照射により共有結合する遺伝子サンプル結合部位と、電気化学活性を有する電気化学活性部位と、前記遺伝子サンプル結合部位と前記電気化学活性部位とを連結する連結部位と、を有する化合物からなるものである。これにより、前記二本鎖核酸と前記挿入剤とを、不可逆的に、且つ強固に結合させることができ、この結果、前記二本鎖核酸に挿入される挿入剤の割合を増すことができる。
【0018】
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記遺伝子サンプル結合部位が、感光性を持つ化合物であるものである。これにより、前記二本鎖核酸と前記挿入剤とを、光照射することによって、不可逆的に、且つ強固に結合させることができる。
【0019】
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記感光性を持つ化合物が、フロクマリン誘導体であるものである。
【0020】
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記フロクマリン誘導体が、ソラレン誘導体であるものである。
【0021】
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記電気化学活性部位が、酸化還元性を有する化合物であるものである。
【0022】
これにより、可逆な酸化還元反応時に生じる酸化還元電流を測定することで、検出対象である遺伝子サンプルを検出することができる。
【0023】
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記酸化還元性を有する化合物が、電気化学発光を示す化合物であるものである。これにより、前記電極に電圧を印加すると、該電極に固定化された二酸化核酸に結合した挿入剤が酸化還元反応すると共に発光し、該電気化学発光量を測定することで、検出対象である遺伝子サンプルを検出することができる。
【0024】
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記電気化学発光を示す化合物が、配位子に複素環系化合物を有する金属錯体、ルブレン、アントラセン、コロネン、ピレン、フルオランテン、クリセン、フェナントレン、ペリレン、ビナフチル、あるいはオクタテトラエンのいずれかであるものである。
【0025】
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記配位子に複素環系化合物を有する金属錯体が、配位子にピリジン部位を有する金属錯体であるものである。
【0026】
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記配位子にピリジン部位を有する金属錯体が、金属ビピリジン錯体、あるいは金属フェナントロリン錯体のいずれかであるものである。
【0027】
さらに、本発明の遺伝子検出方法は、前記配位子に複素環系化合物を有する金属錯体の中心金属が、ルテニウム、あるいはオスニウムのいずれかであるものである。
【0028】
これにより、前記電極に電圧を印加した際、より良好な電気化学発光量を得ることができ、検出対象である遺伝子サンプルをより高感度に検出することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の遺伝子検出方法によれば、磁気ビーズを用いたサンドイッチハイブリダイゼーション手法において、特定の配列を有する遺伝子を検出する際に、検出すべき検体の遺伝子サンプルと該遺伝子サンプルと相補的に結合する核酸プローブとがハイブリダイズした二本鎖核酸と共有結合する挿入剤を用いるようにしたので、検出すべき検体の遺伝子配列に特異的に結合する標識用プローブが不要となるとともに、該二本鎖核酸へ複数挿入する挿入剤を用いて検出するため検出感度を向上させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に、本発明の遺伝子検出方法について詳細に説明する。なお、以下の実施の形態における遺伝子サンプルとは、例えば、血液、白血球、血清、尿、糞便、精液、唾液、培養細胞、各種臓器細胞のような組織細胞、その他遺伝子を含有する任意の試料から、該試料中の細胞を破壊して二本鎖核酸を遊離させ、熱処理あるいはアルカリ処理によって、一本鎖の核酸に解離させたものである。また、本実施の形態における遺伝子サンプルは、制限酵素で切断して電気泳動による分離等で精製した核酸断片でもよい。
【0031】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1における遺伝子検出方法について説明する。まず、検査対象となる遺伝子サンプルを作製する。この遺伝子サンプルは、前述したように、任意の試料中の細胞を破壊して二本鎖核酸を遊離させ、熱処理あるいはアルカリ処理によって、一本鎖に変性させる。
【0032】
このとき、前記試料中の細胞の破壊は、常法により行うことができ、例えば、振とう、超音波等の物理的作用を外部から加えて行うことができる。また、核酸抽出溶液(例えば、SDS、Triton−X、Tween−20等の界面活性剤、又はサポニン、EDTA、プロテア−ゼ等を含む溶液等)を用いて、細胞から核酸を遊離させることもできる。
【0033】
次に、核酸プローブを作製する。前記核酸プローブは、前記検出すべき遺伝子配列に対して相補的な塩基配列を有するものである。
【0034】
これら前記核酸プローブは、化学合成で得られた一本鎖の核酸あるいは、生物試料から抽出した核酸を制限酵素で切断し、電気泳動による分離等で精製した核酸を用いることができる。生物試料から抽出した核酸の場合には、熱処理あるいはアルカリ処理によって、一本鎖の核酸に解離させておくことが好ましい。
【0035】
次に、前記一本鎖の遺伝子サンプルに、核酸プローブを含む溶液を接触させる。これにより、該挿核酸プローブと相補的な配列を有する遺伝子サンプルがハイブリダイズし、二本鎖核酸が形成される。この核酸プローブと遺伝子サンプルをハイブリダイズさせる方法は周知であるため、ここでは説明を省略する。
【0036】
このように二本鎖核酸を形成した後、挿入剤を添加して、該挿入剤を前記二本鎖核酸に挿入させる。なお、この挿入剤の添加は、二本鎖核酸を形成する前、つまりハイブリダイゼーション反応前に、前記検体試料中に添加するものであってもよい。
【0037】
そして、挿入剤を二本鎖核酸に挿入させた後に光照射を行い、二本鎖核酸と挿入剤との間で共有結合を形成させる。
【0038】
以下、前記二本鎖核酸に挿入する挿入剤について説明する。本発明の挿入剤は、前記二本鎖核酸に特異的に挿入し、光照射により二本鎖核酸と共有結合する特徴をもつ物質を用いる。これにより、前記挿入剤は、二本鎖核酸と、強固且つ不可逆的に結合するため、この後の工程である洗浄工程の際に、二本鎖核酸に結合した挿入剤が解離することがない。さらに、本発明の挿入剤は、電気化学的に活性である特徴を持つ物質を用いる。これにより、前記二本鎖核酸に特異的に結合した挿入剤由来の電気化学的な信号により、該二本鎖核酸の存在を高感度に検出できる。
【0039】
前述した2つの特性を満たす挿入剤は、前記二本鎖核酸に特異的に挿入し、且つ光照射により二本鎖核酸と共有結合する二本鎖核酸結合部位(I)と、電気化学活性を有する電気化学活性部位(F)と、前記二本鎖核酸結合部位と前記電気化学活性部位とを連結する連結部位(L)と、を有する化合物である。
【0040】
例えば、このような挿入剤は、下記一般式(1)で表すことができる。
【0041】
一般式
F − L − I ・・(1)
(式中Fは電気化学活性基、Lは連結基、Iは光照射により二本鎖核酸と架橋する部位を有する二本鎖核酸挿入基を表わす。)
ここで、前記一般式(1)に示す、二本鎖核酸挿入基Iとして用いることができる物質としては、二本鎖核酸に特異的に挿入し、且つ光照射により二本鎖核酸と共有結合できる物質であり、感光性を持つ挿入剤が挙げられる。
【0042】
そして、このような感光性を持つ挿入剤としては、例えば、フロクマリン誘導体が挙げられ、特に、ソラレン誘導体が好ましい。このソラレン誘導体は、二本鎖核酸に挿入すると、二本鎖核酸と非共有的相互作用を起こし、さらにこれに長波長紫外線(300〜400nm)を照射すると、安定な共有結合を形成する。
【0043】
これにより、二本鎖核酸に挿入したソラレン誘導体部分が、強固に且つ不可逆的に二本鎖核酸と共有結合するようになり、前記一本鎖の核酸プローブや、該核酸プローブが固定される磁気ビーズ表面に非特異吸着した挿入剤を洗浄等する操作によって、二本鎖核酸に結合させた挿入剤が抜け落ちることがなくなる。これにより、前記一本鎖の核酸プローブ及び磁気ビーズ表面に非特異吸着した挿入剤に対して、強い洗浄を行って除去することができるようになる。
【0044】
このようなソラレン誘導体の具体的な例としては、ソラレン、メトキシソラレン、トリメチルソラレン等が挙げられる。
【0045】
次に、前記一般式(1)に示す、電気化学活性基Fとして用いることができる物質は、電気化学的に検出可能な物質であれば、特に制限されずに用いられ、例えば、可逆な酸化還元反応時に生じる酸化還元電流を測定することで物質の検出が可能な、酸化還元性を有する化合物を挙げることができる。
【0046】
そして、このような酸化還元性を有する化合物としては、例えば、フェロセン、カテコールアミン、配位子に複素環系化合物を有する金属錯体、ルブレン、アントラセン、コロネン、ピレン、フルオランテン、クリセン、フェナントレン、ペリレン、ビナフチル、オクタテトラエンもしくはビオローゲン等がある。
【0047】
さらに、前述の配位子に複素環系化合物を有する金属錯体、ルブレン、アントラセン、コロネン、ピレン、フルオランテン、クリセン、フェナントレン、ペリレン、ビナフチル、オクタテトラエンには、酸化還元反応時に電気化学発光を生じるものもあり、その発光を測定することで検出を行うこともできる。
【0048】
そして、前記配位子に複素環系化合物を有する金属錯体としては、酸素や窒素等を含む複素環系化合物、例えば、ピリジン部位、ピラン部位等を配位子に有する金属錯体があり、特にピリジン部位を配位子に有する金属錯体が好ましく、該ピリジン部位を配位子に有する金属錯体としては、例えば、金属ビピリジン錯体、金属フェナントロリン錯体等がある。
【0049】
さらに、前記配位子に複素環系化合物を有する金属錯体において、中心金属としては、例えば、ルテニウム、オスニウム、亜鉛、コバルト、白金、クロム、モリブデン、タングステン、テクネチウム、レニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、銅、インジウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、サマリウム等を挙げることができる。
【0050】
そして特に、中心金属がルテニウム、オスニウムである錯体は良好な電気化学発光特性を有し、このような良好な電気化学発光特性を有する物質としては、例えば、ルテニウムビピリジン錯体、ルテニウムフェナントロリン錯体、オスニウムビピリジン錯体、オスニウムフェナントロリン錯体等を挙げることができる。
【0051】
さらに、前記一般式(1)において、連結基Lとして用いることができる基としては、前
記電気化学活性基Fと前記二本鎖核酸挿入基Iとを連結するものであれば、そのリンカー配列は特に制限されるものではなく、例えば、アルキル基、−O−基、−CO−基、−NH−基、リン酸基、又はこれらの組み合わせから成る基などを挙げることができる。
【0052】
そしてこの後、前述したようにして形成された挿入剤が共有結合した二本鎖核酸を、磁気ビーズに固定化させる。
【0053】
ここで、前記捕捉プローブを固定化する磁気ビーズとしては、特に限定されるものではなく、医用で一般的に用いられている磁気ビーズが使用可能である。前記磁気ビーズは、電気絶縁材料であるポリスチレンやデキストランのようなポリマーに酸化鉄のような可磁化物質を分散させたものである。前記磁気ビーズの粒径は、10nm〜10μmと幅広く選択可能であり、特に限定されるものではないが、溶液中での分散性および分離、回収性から、300nm〜5μmが好ましい。
【0054】
また、前記挿入剤が共有結合した二本鎖核酸を前記磁気ビーズに固定化する方法としては、例えば、磁気ビーズにアビジンコーティングを施し、末端をビオチン修飾した核酸プローブと結合させるなどの公知の方法が用いることができる。
【0055】
なお、前述の説明では、まず遺伝子サンプルと核酸プローブとをハイブリダイズさせて二本鎖核酸を形成後に挿入剤を共有結合させ、その後に挿入剤が共有結合した二本鎖核酸を磁気ビーズに固定化を行なうものとしたが、核酸プローブを磁気ビーズへ固定後に遺伝子サンプルとハイブリダイズさせ、その後に挿入剤を二本鎖核酸に共有結合させるのでもよい。
【0056】
前述のようにして前記挿入剤が共有結合した遺伝子サンプルを磁気ビーズに固定化後、磁気ビーズを磁力で収集し、未反応の遺伝子サンプルと挿入プローブを除去することで、B/F分離を行う。
【0057】
B/F分離を行った後、磁気ビーズを電解液とともに電極上に展開し、前記磁気ビーズは磁力により電極表面に捕捉する。そして、電極に電圧を印加することで、該磁気ビーズに固定化された前記挿入化遺伝子サンプルの、電気化学的に活性である物質由来の電気化学的な信号を測定する。
【0058】
電気化学的な信号の測定は、挿入された電気化学的に活性である物質によって異なり、前記電気化学的に活性である物質として、酸化還元電流を生じる電気化学的に活性である物質を用いた場合には、該電気化学的に活性である物質由来の電気化学的な信号を、前記ポテンショスタット、ファンクションジェネレータ等からなる計測系で測定できる。一方、前記電気化学的に活性である物質として、電気化学発光を生じる物質を用いた場合には、フォトマルチプライヤー等を用いて計測が可能である。
【実施例1】
【0059】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0060】
(1)遺伝子サンプル
遺伝子サンプルには、ヒト由来Cytochrome P−450の遺伝子配列の5’−末端より599−698番目に位置するAATTGAATGA AAACATCAGG ATTGTAAGCA CCCCCTGGAT CCAGATATGC AATAATTTTC CCACTATCAT TGATTATTTC CCGGGAACCC ATAACAAATTの配列を有する100塩基のオリゴデオキシヌクレオチドを使用した。
【0061】
(2)磁気ビーズ表面への核酸プローブの固定化
磁気ビーズには、Bangs Laboratories社製のCM01N/5896ストレプトアビジン磁気ビーズを用いた(粒径0.35μm)。核酸プローブには、5’末端よりAATTTGTTAT GGGTTCCCGG GAAATAATCAの遺伝子サンプルと相補的な配列を有し、5’末端のリン酸基を介してビオチンを修飾したプローブを使用した。
【0062】
まず、磁気ビーズを1mg採取し、TTLバッファー(500mM Tris−HCl(pH8.0):Tween20:2M塩化リチウム:超純水=2:10:5:3の体積比になるよう調製)で洗浄後、20μLのTTLバッファーに置換した。その後、100nMの核酸プローブを5μL添加し、室温で15分穏やかに振とうした。
【0063】
溶液をデカントし、残留した磁気ビーズを0.15Mの水酸化ナトリウム水溶液で洗浄後、TTバッファー(500mM Tris−HCl(pH8.0):Tween20:超純水=1:2:1の体積比になるよう調製)で洗浄した。
【0064】
洗浄後、TTEバッファーに溶液を置換し、80℃で10分間インキュベートすることにより、不安定な結合を除去した。これにより、核酸プローブが固定化された磁気ビーズを得た。
【0065】
さらに、本実施例1においては、比較対象として、遺伝子サンプルと非相補的な配列を有する捕捉核酸プローブを使用して、前記捕捉核酸プローブと同様の処理を行った。なお、ここでは、非相補的な捕捉プローブとして、30merのPoly−A、AAAAAAAAAA AAAAAAAAAA AAAAAAAAAAの配列を有する5’末端のリン酸基を介してビオチンを修飾したプローブを使用した。
【0066】
(3)ハイブリダイゼーション
前記核酸プローブを固定した磁気ビーズに、2XSSCを14μL加え、そこに10nMに調製した遺伝子サンプルをそれぞれ5μL添加し、70℃で穏やかに振とうさせた。
【0067】
1時間振とうさせた後、磁石で磁気ビーズを収集後、溶液をデカントし、40℃に加温した2XSSCで洗浄し、二本鎖核酸が形成された磁気ビーズαを得た。
【0068】
なお、非相補的な捕捉プローブを固定した磁気ビーズについても、上記と同様の処理を行い、二本鎖核酸が形成されていない磁気ビーズβを得た。
【0069】
(4)挿入剤の添加
挿入剤には、下記の化1に示すソラレン修飾ルテニウム錯体を使用した。
【0070】
【化1】

ソラレン修飾ルテニウム錯体の合成は、以下の手順により得ることができる。まず、公知の方法(Biochemistry,vol.16,No6,1977)により合成した4’−クロロメチル−4,5,8−トリメチルソラレン(0.5g、1.81mmol)を、水酸化ナトリウム溶解 ジメチルホルムアミド(乾燥)に溶かし、160℃で撹拌しながら1,4−ジアミノブタン(0.32g、3.63mmol)を滴下し12時間反応させた。溶媒を留去した後、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー処理により精製し、生成物Aを得た(収率40%)。
【0071】
次に、THF60.0mLに溶解させた4,4’−ジメチル−2,2’ビピリジン2.50g(1.35×10-2mol)溶液を窒素雰囲気の容器に注入した後、リチウムジイソプロピルアミド2M溶液16.9mL(2.70×10-2mol)を滴下し、冷却しながら30分撹拌した。一方、同様に窒素気流中で乾燥させた容器に、1,2−ジブロモエタン7.61g(4.05×10-2mol)とTHF10mLとを加え、冷却しながら撹
拌させた。
【0072】
この1,2−ジブロモエタンとTHFとが挿入された容器に、先程の、THFに溶解させた4,4’−ジメチル−2,2’ビピリジン溶液とリチウムジイソプロピルアミド2M溶液とを反応させた反応液をゆっくり滴下させ、2.5時間反応させた。そして、この反応溶液を、2Nの塩酸で中和して、THFを留去した後、クロロホルムで抽出し、さらに、前記溶媒を留去して得た粗生成物をシリカゲルカラムで精製し、生成物Bを得た(収率47%)。
【0073】
そして、前記生成物A(0.50g、1.52mmol)と前記生成物B(0.49g、1.68mmol)とを、水酸化ナトリウム溶解ジメチルホルムアミド(乾燥)に溶かし、160℃で18時間撹拌させた。そして、この攪拌した溶媒を留去した後、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー処理により精製し、生成物Cを得た(収率38%)。
【0074】
さらに、塩化ルテニウム(III)(2.98g、0.01mol)、及び2,2’−ビピリジン(3.44g、0.022mol)をジメチルホルムアミド(80.0mL)中で6時間還流した後、溶媒を留去した。その後、アセトンを加え、一晩冷却することで得られた黒色沈殿物を採取し、エタノール水溶液170mL(エタノール:水=1:1)を加
え、1時間加熱還流を行った。ろ過後、塩化リチウムを20g加え、エタノールを留去し、さらに一晩冷却した。析出した黒色物質は、吸引ろ過で採取し、生成物Dを得た(収率68.2%)。
【0075】
そして、前記生成物C(0.30g、0.56mmol)と前記生成物D(0.32g、0.66mmol)とを、ジメチルホルムアミドに溶かして6時間還流し、反応後、溶媒を留去させて得た黒紫色の物質に蒸留水を加えて溶解させ、未反応錯体をろ過により除去した後、溶媒を留去した。
【0076】
得られた粗生成物は、シリカゲルクロマトグラフィー処理により精製し、ソラレン修飾ルテニウム錯体を得た(収率68%)。下表は、前述のようにして得たソラレン修飾ルテニウム錯体の1H-NMR結果である。
【0077】
1H-NMR(300MHz、DMSOd−6)
σ:
1.4〜1.8 (6H,m)
2.4〜2.6 (12H,m)
2.74 (2H,t)
3.8〜3.1 (6H,m)
4.31 (2H,s)
6.32 (1H,s)
7.38 (2H,d)
7.54 (7H,m)
7.77 (4H,m)
8.16 (4H,t)
8.70 (2H,d)
8.88 (4H,d)
このようにして得られたソラレン修飾ルテニウム錯体を、10mMのPBSで100nMに調整した。
【0078】
この調整した溶液を10μL、二本鎖核酸が形成された磁気ビーズα、及び二本鎖核酸が形成されていない磁気ビーズβにそれぞれ添加し、30分間4℃の冷蔵庫内で暗反応を行った。
【0079】
(5)二本鎖核酸と挿入剤との共有結合
30分後、UVクロスリンカー(フナコシ製UVPCL1000L型)を用いて波長365nm、5mW/cm2の紫外線を10分間照射し、ソラレンと二本鎖核酸とを共有結
合させた。
【0080】
共有結合後、金電極を10mMのPBSで10分間揺動洗浄し、未反応のRu錯体を取り除いた。
【0081】
5μMに調製した前記(化1)4μLに、1MのWSC水溶液1μLと、1MのNHS水溶液1μLとを添加し、その溶液を前記(2)にて得た磁気ビーズに加え、1時間穏やかに反応させた。
【0082】
反応後、溶液をデカントし、界面活性剤、及び電解液(0.1MのPBS及び0.1M
のトリエチルアミンを混合)で洗浄し、二本鎖核酸が形成された磁気ビーズαを得た。
【0083】
なお、非相補的な捕捉プローブを固定した磁気ビーズについても、上記と同様の処理を行い、二本鎖核酸が形成されていない磁気ビーズβを得た。
【0084】
(6)電気化学測定
以上の工程の後、二本鎖核酸が形成された磁気ビーズα及び二本鎖核酸が形成されていない磁気ビーズβに0.2MのPBSを10μLと0.2Mのトリエチルアミンを10μL混合した溶液を加え、懸濁した後、それぞれ5μLずつ電極に滴下した。
【0085】
前記電極には、ガラス基板上にスパッタ装置(アルバック製SH−350)によりチタン10nmを下地に金200nmを成膜し、フォトリソグラフィ工程により電極パターンを形成したものを使用した。また、電極の下には永久磁石のシートを取り付けており、作用極のみに磁気ビーズが集約するようにした。
【0086】
5分静置後、前記磁気ビーズα、βが集約した電極xα、yβそれぞれに、電解液を75μL滴下した。
【0087】
その後、それぞれの電極xα、yβに電圧を印加し、この時に生じた電気化学発光の測定を行った。なお、電圧の印加は、0Vから1.3Vまで走査し、3秒間電気化学測定を行った。電気化学発光量の測定は、光電子増倍管(浜松ホトニクス製H7360−01)を用いて行い、電圧走査中における最大発光量を測定した。
【0088】
図1は、本実施例1における、二本鎖核酸が形成された磁気ビーズの電極xα、及び二本鎖核酸が形成されていない磁気ビーズの電極yβにおいて検出された最大電気化学発光量を示したものである。
【0089】
図1から明らかなように、二本鎖核酸が形成された磁気ビーズ電極xαでの発光量は、二本鎖核酸が形成されていない磁気ビーズ電極vβでの発光量と比較して著しく高い値となっており、本発明の検出法を用いれば、高感度に二本鎖核酸の存在を検出でき、この結果、目的遺伝子サンプルの検出を高感度に行うことが可能であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明にかかる遺伝子検出方法は、特定の配列を有する遺伝子を高感度に検出することができ、遺伝子診断、感染症診断、ゲノム創薬等の用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施例1における最大電気化学発光量の測定図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の配列を有する遺伝子を検出する遺伝子検出方法であって、
前記検出すべき遺伝子を一本鎖に変性して遺伝子サンプルを作製する遺伝子サンプル作製工程と、
前記検出すべき遺伝子配列に対して相補的な塩基配列を有する一本鎖の核酸プローブを作製する核酸プローブ作製工程と、
前記核酸プローブと前記遺伝子サンプルとを反応させ、該核酸プローブと該遺伝子サンプルとがハイブリダイズした二本鎖核酸を形成する二本鎖核酸形成工程と、
電気化学的に活性であり、かつ光照射により前記二本鎖核酸と共有結合する挿入剤を添加する挿入剤添加工程と、
光照射を行うことにより、前記二本鎖核酸と前記挿入剤とを共有結合させる光照射工程と、
前記挿入剤が共有結合した二本鎖核酸を磁気ビーズに固定化し、該磁気ビーズに捕捉する二本鎖核酸捕捉工程と、
前記磁気ビーズを磁力により収集し、未反応の遺伝子サンプル、核酸プローブおよび挿入剤を除去する洗浄工程と、
収集した前記磁気ビーズを電解液とともに電極上に展開し、前記磁気ビーズに捕捉された前記二本鎖核酸と共有結合した挿入剤を電気化学的な測定により検出する検出工程、とを含む、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。
【請求項2】
特定の配列を有する遺伝子を検出する遺伝子検出方法であって、
前記検出すべき遺伝子を一本鎖に変性して遺伝子サンプルを作製する遺伝子サンプル作製工程と、
前記検出すべき遺伝子配列に対して相補的な塩基配列を有する一本鎖の核酸プローブを作製し、該核酸プローブを磁気ビーズに固定化する固定化工程と、
前記磁気ビーズに固定された一本鎖の核酸プローブと前記遺伝子サンプルとを反応させ、前記核酸プローブと前記遺伝子サンプルとがハイブリダイズした二本鎖核酸を形成する二本鎖核酸形成工程と、
前記二本鎖核酸を前記磁気ビーズに捕捉する遺伝子サンプル捕捉工程と、
電気化学的に活性であり、かつ光照射により前記二本鎖核酸と共有結合する挿入剤を添加する挿入剤添加工程と、
光照射を行うことにより、前記二本鎖核酸と前記挿入剤とを共有結合させる光照射工程と、
前記磁気ビーズを磁力により収集し、未反応の遺伝子サンプル、核酸プローブおよび挿入剤を除去する洗浄工程と、
収集した前記磁気ビーズを電解液とともに電極上に展開し、前記磁気ビーズに捕捉された前記二本鎖核酸と共有結合した挿入剤を電気化学的な測定により検出する検出工程、とを含む、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の遺伝子検出方法において、
前記電気化学的な測定は、前記電極に対して電圧を印加し、前記遺伝子サンプルと共有結合した挿入剤による電気化学発光量を測定するものである、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の遺伝子検出方法において、
前記挿入剤は、
前記遺伝子サンプルに特異的に結合し、かつ光照射により該遺伝子サンプルと共有結合を形成する核酸結合部位と、
電気化学活性を有する電気化学活性部位と、
前記核酸結合部位と前記電気化学活性部位とを連結する連結部位と、を有する化合物からなる、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。
【請求項5】
請求項4に記載の遺伝子検出方法において、
前記核酸結合部位が感光性を持つ化合物である、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。
【請求項6】
請求項5に記載の遺伝子検出方法において、
前記感光性を持つ化合物がフロクマリン誘導体である、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。
【請求項7】
請求項6に記載の遺伝子検出方法において、
前記フロクマリン誘導体がソラレン誘導体である、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。
【請求項8】
請求項4に記載の遺伝子検出方法において、
前記電気化学活性部位が酸化還元性を有する化合物である、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。
【請求項9】
請求項8に記載の遺伝子検出方法において、
前記酸化還元性を有する化合物が電気化学発光を示す化合物である、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。
【請求項10】
請求項9に記載の遺伝子検出方法において、
前記電気化学発光を示す化合物が、配位子に複素環系化合物を有する金属錯体、ルブレン、アントラセン、コロネン、ピレン、フルオランテン、クリセン、フェナントレン、ペリレン、ビナフチル、オクタテトラエンである、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。
【請求項11】
請求項10に記載の遺伝子検出方法において、
前記配位子に複素環系化合物を有する金属錯体が、配位子にピリジン部位を有する金属錯体である、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。
【請求項12】
請求項11に記載の遺伝子検出方法において、
前記配位子にピリジン部位を有する金属錯体が、金属ビピリジン錯体、金属フェナントロリン錯体である、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。
【請求項13】
請求項10に記載の遺伝子検出方法において、
前記配位子に複素環系化合物を有する金属錯体の中心金属が、ルテニウム、オスニウムである、
ことを特徴とする遺伝子検出方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−136238(P2009−136238A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−318157(P2007−318157)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】