説明

遺伝子発現プロファイルを用いた漢方薬の評価法

【課題】特定の遺伝子について、漢方薬による前記遺伝子発現プロファイルの変化を調べることにより漢方薬の効果を評価する方法及び評価するためのDNAマイクロアレイの提供

【解決手段】漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価する方法であって、前記活性成分を生体に適用した場合に発現が変動する遺伝子を用い、評価しようとする漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物を生体に適用した場合に得られる前記遺伝子の発現プロファイルと前記活性成分を生体に適用した場合に得られる前記遺伝子の発現プロファイルとを比較することを含む、漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝子発現プロファイルを用いて漢方薬やその有効成分を含む医薬品、食品等の活性を評価する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
漢方薬は、長年の経験をもとに薬草などを様々な方法で煎じたり抽出し、含まれる有効成分を効率良くかつ効果的に体内に摂取させることにより、医薬あるいは健康食品としての役割を果たしてきたが、有効成分の数、量、形状(化学修飾や代謝などによる化学構造の変化による物も含む)、あるいは、有効成分の効果を増減する成分の混入割合など、様々な要因によりその効果が影響されるために有効な活性探索及び活性評価並びに品質管理の方法が無かった。特に、HPLC、TLCあるいは質量分析法などによる成分分析は活性や効
果を評価する方法ではないため、有効成分の効果を増減する成分についてはその影響を評価できないという欠点がある。また、漢方薬の成分の特定の酵素の活性への影響を測定したり(特許文献1参照)、動物実験などによるアッセイにより効果を評価する方法もあった。しかしながら、これらの方法は手間や費用がかかるわりに精度が高くないために、より良い技術が求められてきた。特に甘草は、多くの漢方薬に使われる素材(あるいは生薬)であり健康食品にも多く用いられており、気候や産地、あるいは保存法や加工法によりその活性が影響されることが知られている。このような、様々な要因を含むためにその活性評価や品質管理は難しいとされてきた。
【0003】
漢方薬の有効な活性には、種々のものがあるが、例えば、エストロゲン様活性がある。女性ホルモンの一種であるエストロゲンは、従来よりエストロゲン補充療法として、体のほてり及び性器の萎縮の症状の軽減、及び閉経後の骨粗鬆症の予防等に用いられていた。また、エストロゲンはコレステロールを低下させ、コラーゲンを増加させ、脳神経の老化を防ぎアルツハイマー等の神経性疾患の治療効果もあることが報告されている。しかしながら、エストロゲンの投与は、子宮内膜症や悪性腫瘍等を誘発するというリスクもあった。植物にも植物エストロゲンと呼ばれるエストロゲン様作用を有する物質が微量に存在する。これらの物質は、哺乳動物においてエストロゲン受容体に結合し、エストロゲン様作用を奏する。特に天草等の漢方薬の多くにこのような物質が存在することが知られており、エストロゲンを投与するエストロゲン補充療法に比較し、マイルドな治療を可能にし、上記の副作用をもたらすリスクも少ない。また、植物エストロゲンの効果に着目し、植物エストロゲンが含まれていると謳われている健康食品等も種々市販されている。しかしながら、これらの食品等の中には実際には植物エストロゲンがほとんど含有されていないものも存在した。これらの食品等のエストロゲン様活性を正確に評価することは必ずしも容易ではなかった。
【0004】
一方、種々の活性化合物の活性を、遺伝子発現プロファイルへの影響をDNAマイクロア
レイを用いて測定することにより評価する方法について報告されている。この中には、エストロゲン又はエストロゲン類似活性を有する化学物質により発現が変動するエストロゲン応答遺伝子を用いてエストロゲンやエストロゲンと作用が類似した物質の活性を評価する方法も含まれていた(特許文献2及び3等を参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2003-70496号公報
【特許文献2】特許第3713461号公報
【特許文献3】特開2005-323600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は特定の遺伝子について、漢方薬による前記遺伝子発現プロファイルの変化を調べることにより漢方薬の効果を評価する方法及び評価するためのDNAマイクロアレイ等の
試薬の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、その問題を解決するために開発した、DNAチップ(遺伝子名は図1にまとめ
た)を用いた漢方生薬である甘草(その成分並びにその成分を含む医薬品・食品・試薬及びそれらの加工品を含む)の活性探索及び評価並びにその品質管理のための方法(以下、「甘草の活性評価の方法」と略す)である。本方法の特徴は、甘草の生物・生理活性の評価を細胞の遺伝子の発現変動を指標に行うものであり、たとえば、後記の実施例で示されるように、エストロゲンの特有な遺伝子発現プロファイルとの相同性を指標に、その相同性の高さや遺伝子機能別の相同性の高さの類似性をもとに甘草の活性を評価する方法をいう。したがって、遺伝子発現プロファイルを得る方法としては、DNAチップでなくても良
く、また、用いる遺伝子に関しては、図1で示される遺伝子の全ての必要はなく、その中の複数の遺伝子を用いても良い。また、甘草の発現プロファイルが取得可能であり、例えばエストロゲンによる発現プロファイルと比較し相関解析を行うことができれば、そのような遺伝子群を用いることも可能である。
【0008】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価する方法であって、前記活性成分を生体に適用した場合に発現が変動する遺伝子を用い、評価しようとする漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物を生体に適用した場合に得られる前記遺伝子の発現プロファイルと前記活性成分を生体に適用した場合に得られる前記遺伝子の発現プロファイルとを比較することを含む、漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価する方法。
[2] 漢方薬が甘草を含む漢方薬である、[1]の漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価する方法。
[3] 活性成分がエストロゲン活性又はエストロゲン様活性を有する成分であり、活性成分を生体に適用した場合に発現が変動する遺伝子がエストロゲン応答遺伝子である[1]または[2]の漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価する方法。
[4] 活性成分の生体への適用が、該活性成分を含む培地中での細胞の培養により行われる[1]〜[3]のいずれかの漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価する方法。
【0009】
[5] 細胞がMCF-7細胞である[4]の漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を
含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価する方法。
[6] 遺伝子プロファイルを、活性成分を生体に適用した場合に発現が変動する遺伝子またはその断片を固相化したDNAマイクロアレイを用いて得る、[1]〜[5]のいずれかの漢
方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価する方法。
[7] 遺伝子プロファイルを、活性成分を生体に適用した場合に発現が変動する遺伝子またはその断片をターゲットとする定量PCRにより得る、[1]〜[5]のいずれかの漢方薬若
しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価する方法。
[8] 漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性の評価が、漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物中の有効活性の探索若しくは評価、又は漢方薬若しくはその活性成分を含
む組成物の品質管理である[1]〜[7]のいずれかの漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価する方法。
【0010】
[9] 漢方薬の活性成分を生体に適用した場合に発現が変動する遺伝子が図1に示す115
個のエストロゲン応答遺伝子の少なくとも1個である[1]〜[8]のいずれかの漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価する方法。
[10] 漢方薬の活性成分を生体に適用した場合に発現が変動する遺伝子が図1に示す115個のエストロゲン応答遺伝子の少なくとも5個である[1]〜[8]のいずれかの漢方薬若
しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価する方法。
[11] 図1に示す115個のエストロゲン応答遺伝子の少なくとも1個の遺伝子の塩基配
列の全部または一部を含む、漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価するための試薬。
[12] 図1に示す115個のエストロゲン応答遺伝子の少なくとも5個の遺伝子の塩基配
列の全部または一部を含む、漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価するための試薬。
【0011】
[13] 遺伝子の塩基配列の全部または一部が固定化されたDNAマイクロアレイである、[11]または[12]の漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出
物若しくは組成物の活性を評価するための試薬。
[14] 遺伝子の塩基配列の全部または一部からなる定量PCR用プライマーセットである
、[11]または[12]の漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価するための試薬。
[15] 以下の遺伝子の塩基配列の全部または一部からなる定量PCR用プライマーセット
である、[14]の漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価するための試薬。
16. cathepsin D (lysosomal aspartyl peptidase) (CTSD) [NM_001909]
25. ribosomal protein S6 kinase, 90kDa, polypeptide 3 (RPS6KA3) [NM_004586 ]
26. protein kinase C, delta (PRKCD) [NM_006254]
30. cyclin-dependent kinase inhibitor 1A (p21, Cip1) (CDKN1A) [NM_000389]
38. Rho GDP dissociation inhibitor (GDI) alpha (ARHGDIA) [NM_004309]
48. trefoil factor 1 (breast cancer, estrogen-inducible sequence expressed in) (TFF1) [NM_003225]
67. tumor protein p53 inducible protein 11 (TP53I11) [NM_006034]
76. nuclear receptor interacting protein 1 (NRIP1) [NM_003489]
[16] 配列番号1から16に記載のプライマーを含む[15]の漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価するための試薬。
【発明の効果】
【0012】
実施例に示すように、本方法の有効性を示すために、甘草抽出物(検定濃度は図2に示した)で見られる活性がDNAチップを用いた遺伝子発現プロファイル解析(図3)と遺伝
子機能を取り入れた統計解析(図4)で再現された。また、従来有効成分と考えられてきた甘草主要成分であるGlycyrrhizin(グリチルリチン)の示すプロファイルと異なることが示された。さらに、そのプロファイルの相違は、生物学的・生理的に意味のない相違ではなく、生物・生理機能の相違に基づくことをリアルタイム定量RT-PCR(Reverse Transcription-Polymerase Chain Reaction)法による遺伝子の応答解析(図5)、シグナル伝
達系タンパク質Erkのリン酸化反応の解析(図6)、及び、ラットPC12細胞による神経樹
状突起形成能の解析(図7)により示すことができた。
【0013】
これらの結果は、本発明の方法を用いることにより、漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物のヒト等の動物に対する有用な生物・生理活性を評価することができることを示す。本発明の方法は、漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物について、有用な生物・生理活性の探索、有用な生物・生理活性の大きさ、有用な生物・生理活性における品質管理を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の方法は、漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物を評価する方法である。漢方薬は生薬をも含む。漢方薬の活性成分とは、ヒト等の動物に対して、有益な生物・生理学的機能を有し、一定の有益な生理的効果をもたらす漢方薬に含まれる有効成分をいう。漢方薬の活性成分を含む組成物とは、漢方薬の活性成分を含み、該活性成分が発揮する生物・生理活性により動物に対して有益な効果をもたらす食品、医薬品、医薬部外品、試薬等をいい、漢方薬や該漢方薬の原料となり得る薬草等の植物の加工品をも含む。食品とは、健康食品、特定保健用食品、栄養機能食品等を含み、食品には飲料品も含まれる。ここで、特定保健用食品とは、食生活において特定の保健の目的で摂取をし、その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をする食品をいう。本発明において、評価とは上記の活性成分に基づく有効な生物・生理活性についての評価をいい、評価対象とする漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物が前記活性を有しているか否かを検定する活性の探索、評価対象とする漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物がどの程度の活性を有するかの評価、評価対象とする漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の品質管理を含む。品質管理は、特に活性を有すると表示されている医薬品、医薬部外品、試薬、食品等の組成物が所定の活性を有しているか否かの検定に有用であり、また、それらの組成物の製造工程において、製品又は中間体である組成物が所定の活性を有しているか否かの検定に有用である。ここで、「有効活性」とは、漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物が動物に対して何らかの有益な効果をもたらす場合、どの程度の有益な効果をもたらすかを指標にして決めることができる活性をいう。漢方薬によっては、その薬効をもたらす活性成分が特定されていない場合もあり、このような場合、その漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の評価をすることが困難である。本発明の方法は、たとえ活性成分が特定されていなくても、その活性成分による遺伝子発現の変動を指標にして活性を把握することができるので、漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の的確な評価を行うことができる。また、有効な活性の大小は、通常漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物中での活性成分の量に相関する。しかしながら、組成物に含まれる他の成分により有効な活性の効果が減じる場合があり、このような場合は、活性成分の量と有効な活性の大小は相関しない。本発明においては、活性成分の物理化学的な量を測定するのではなく、評価しようとする漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物における動物に対する有効活性の大きさを測定することができるので、他の成分の影響等も加味した上での評価が可能になる。
【0015】
本発明において、漢方薬及び漢方薬の活性成分は限定されず、既知のあるいは未知の漢方薬の活性成分に基づく有効活性について本発明の方法を用いて評価することができる。例えば、エストロゲン様活性を有する漢方薬が挙げられる。エストロゲン様活性を有する漢方薬は限定されないが、ヒトのエストロゲン受容体に結合し、ヒトに対してエストロゲンと同等の作用をもたらす、いわゆる植物エストロゲンを含む漢方薬が対象となる。このような漢方薬には甘草、芍薬、牡丹等を原料とする漢方薬が含まれる。
【0016】
ここでいう「エストロゲン様活性」とは、女性ホルモンであるエストロゲンと同等あるいは類似の効果を示す活性を意味するが、エストロゲンは様々なホルモンや成長因子類あるいは個体の成長や免疫反応等様々な生理作用に関わる化学物質に対しても直接的あるいは間接的な相互作用を行うため、その影響を明確に検出・評価することは難しいという問題を持つ。特に、漢方の場合は、様々な成分が複雑に影響しあうので、エストロゲンと同等あるいは類似の効果として検出・評価されない場合もある。また、エストロゲン様活性以外の活性が大きい場合は、エストロゲン様活性が明確に感知されない場合もある。しかし、エストロゲン様活性が細胞に与える影響は、エストロゲン様活性を有する化学物質に対して程度の大小はあるものの共通しているものと考えられ、その影響は遺伝子の発現によって測定することが可能である。したがって、本方法では、他の手法によっても明確なエストロゲン様活性を検出・評価することが可能な化学物質のみならず、他の手法では明確なエストロゲン様活性を検出・評価することが不可能であるが遺伝子発現に対してエストロゲンと同等あるいは類似の影響を示す化学物質に対してもその活性を評価することができる。すなわち、本発明の方法の一態様は、エストロゲンの特有な遺伝子発現プロファイルとの相同性を指標に、その相同性の高さや遺伝子機能別の相同性の高さの類似性をもとに甘草等の漢方薬の活性を評価する方法である。
【0017】
本発明の方法においては、漢方薬の活性成分又はその活性成分様活性を有する成分を動物、動物の組織又は動物の細胞等の生体に適用した場合に発現が変動することが判明している遺伝子の発現変動を指標にして漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の評価を行う。漢方薬の活性成分様活性を有する成分とは、例えば、上記の植物のエストロゲン様活性を有する成分に対する動物のエストロゲンまたはエストロゲンと類似の活性を有する物質を指す。この場合、予め動物においてエストロゲンにより発現が変動する遺伝子群を特定しておく。次いで、評価しようとする漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物を動物、動物の組織又は動物の細胞等の生体に適用した場合の該遺伝子群の変動を測定することにより、評価を行うことができる。ここで、漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物を動物、動物の組織又は動物の細胞等の生体に適用するとは、動物への投与、組織への投与、細胞との接触等をいう。好適には、in vitroにおいて、ヒト細胞等の動物細胞に接触させる。接触は、動物細胞を前記の漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の存在下で一定時間培養することをいう。用いる細胞は、特に限定されないが、乳腺、子宮、肝臓、脳及び胃等のヒト等の動物の組織から採取した細胞またはヒト等の動物由来の細胞株を使用することができる。
【0018】
漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物を動物、動物の組織又は動物の細胞等の生体に適用した後、動物、動物の組織又は動物の細胞等の生体における遺伝子発現の変動を、遺伝子発現のプロファイルを得ることにより測定することができる。遺伝子発現のプロファイルは、上記の特定された遺伝子群の発現レベルを測定することにより得ることができる。発現レベルの測定は、遺伝子の転写産物、すなわちmRNAの測定により行ってもよいし、遺伝子の翻訳産物、すなわちタンパク質の測定により行ってもよい。好ましくは、遺伝子の転写産物の測定により行なう。遺伝子の転写産物には、mRNAから逆転写されて得られたcDNAも含まれる。
【0019】
本発明において、発現プロファイルは、例えばDNAチップを用いた方法、DNAマイクロアレイを用いた方法、cDNAサブトラクション法(cDNA subtraction)、ディファレンシャルディスプレイ法(differential display)、リアルタイム定量PCR法等により得ることがで
きる。リアルタイム定量PCRとしては、SAGE(serial analysis of gene expression)、ATAC-PCR法(Kato,K.et al.,Nucl.Acids Res.,25,4694-4696,1997)、Taqman PCR法(SYBR(
登録商標)グリーン法)(Schmittgen TD,Methods25,383-385,2001)、Body Map法(Gene,174,151-158(1996))、Serial analysis of gene expression(SAGE)法(米国特許第527,154号、第544,861号、欧州特許公開第0761822号)、MAGE(Micro-analysis of Gene Expression)(特開2000-232888号)等がある。
【0020】
本発明においては、評価しようとする有効活性を有する活性成分を、動物、動物の組織又は動物の細胞等の生体に適用した場合に発現が変動する特定の遺伝子を選択する。
【0021】
このような遺伝子の選択方法としては、包括的な発現解析という点で、DNAチップ又はDNAマイクロアレイを用いて行うのが望ましい。DNAチップは、あらかじめ配列が分かって
いる遺伝子DNA又はESTを基板上にピンヘッドあるいはインクジェットなどを用いてスポッティングするか、あるいは光リソグラフィにより適当な基板上に合成して作製することができる。この際、DNA配列情報は、GenBank等のDNAデータベースから得ることができる。DNAマイクロアレイは、ヒト細胞からcDNAクローンを得て、PCRによりcDNAを増幅させて、
適当な基板上に貼り付けて作製することができる。
【0022】
これらの方法による解析は、例えば「DNAマイクロアレイと最新PCR法」、細胞工学別冊、 ゲノムサイエンスシリーズ1、村松正明、那波宏之監修、2000年3月16日発行、秀潤社等の記載に従って行うことができる。
【0023】
ここで、DNAマイクロアレイとは、基板上にDNAを整列(アレイ)固定化させたデバイスを総称していう。基盤の大きさや載せるDNAの密度によって、DNAマクロアレイやDNAマイ
クロアレイに分けられるが、本発明においては、DNAマクロアレイもDNAマイクロアレイも含めてDNAマイクロアレイと呼ぶ。また、整列させるDNAの数にも限定はなく、基板上に少なくとも1つのDNAがスポットされている限りDNAマイクロアレイに含まれる。さらに、DNAマイクロアレイにおいては、基板上にスポットしたDNAを標識したサンプルDNAとハイブ
リダイズさせるが、この標識方法も限られず、蛍光標識、放射性同位体による標識等を含む。
【0024】
本発明で用いる漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物を評価するための特定の遺伝子は、例えば、以下のようにcDNAマイクロアレイを利用して特定の遺伝子を選択することができる。最初にヒトEST又は完全長cDNAを得
る。ヒト細胞からcDNAライブラリーを作製して得ることもできるし、また市販の遺伝子セットを利用してもよい。得られたcDNA及びESTをプローブDNAとして、市販のアレイ機を用いてスライドガラス上にスポットする。用いるスライドガラスは、例えばポリLリシン処
理したものを用いる。固定化に用いるDNAは例えば3×SSCに溶解させスポットする。その
濃度には限定はないが、濃度0.5μg/μl〜1μg/μl以上が望ましい。例えば4cm2のスライドガラスならば、直径約100〜400μmでスポットすることにより、1枚当たり10000種類以
上のDNAを固定化することができる。固定化を行った後には、リハイドレーション(rehydration)、コハク酸によるブロッキング等により後処理を行う。なお、本発明において遺伝子という場合、ESTも含む。
【0025】
漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の評価しようとする有効活性を有している物質を動物、動物の組織又は動物の細胞等の生体に適用し、刺激する。ここで、漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の評価しようとする有効活性を有している物質とは、漢方薬の特定の成分、漢方薬の該特定成分を含む抽出物、漢方薬の該特定成分を含む組成物、漢方薬の該特定成分と同等の活性を有する物質等をいう。漢方薬の該特定成分と同等の活性を有する物質としては、該特定成分の類似体、誘導体等がある。これらの物質で刺激した動物の細胞及び刺激しない細胞からトータルmRNAを抽出する。mRNAの調製は、グアニジンチ
オシアネート/塩化セシウム法などにより全RNAを抽出した後、オリゴdT−セルロースや
ポリU−セファロース等を用いたアフィニティーカラム法により、あるいはバッチ法によ
りポリ(A)+RNA(mRNA)を得ることにより行える。このようにして得られたmRNAを鋳型
として、オリゴdTプライマー及び逆転写酵素を用いて一本鎖cDNAを合成する際にcDNAを標識すればよい。標識は、蛍光色素で行い、前記物質で刺激した細胞から得られたcDNA及び刺激しない細胞から得られたcDNAをそれぞれ異なる蛍光色素で標識すればよい。蛍光色素としては、例えば、Amersham Pharmacia Biotech社のCy3(赤色)及びCy5(緑色)が挙げられる。
【0026】
適当なハイブリダイゼーション溶液中のそれぞれの蛍光色素で標識したcDNAをマイクロアレイ上にスポットしたDNAとハイブリダイゼーションさせる。この際のハイブリダイゼ
ーション条件は、所望の感度に応じてハイブリダイゼーション溶液の塩濃度を変化させたり、反応温度を変化させることにより適宜選択することができる。
【0027】
ハイブリダイゼーション後、スライドグラス上の蛍光パターンを蛍光顕微鏡、蛍光検出器(例えば、CHIP READER(商標)(VERTEK社製))等により観察又は測定することにより
、前記物質で刺激した細胞及び刺激しない細胞の発現プロファイルを解析することができる。例えば、前記物質で刺激した細胞から得られたcDNAを赤色のCy3で標識し、刺激しな
い細胞から得られたcDNAを緑色のCy5で標識した場合、刺激した細胞のみで発現する遺伝
子を固定化したマイクロアレイ上のスポットは赤色蛍光を発し、刺激しない細胞のみで発現する遺伝子を固定化したマイクロアレイ上のスポットは緑色蛍光を発し、両細胞で発現する遺伝子を固定化したマイクロアレイ上のスポットは赤と緑の合成色蛍光を発する。上記物質で刺激した場合のCy3の蛍光(赤色蛍光)強度が刺激しない場合のCy5の蛍光(緑色蛍光)強度よりも大きい結果を示すスポットに固定化したDNAは漢方薬若しくはその活性
成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物により発現が高まる遺伝子であり、刺激した場合のCy3の蛍光強度が刺激しない場合のCy5の蛍光強度よりも小さい結果を示すスポットに固定化したDNAは漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含
む植物、抽出物若しくは組成物により発現が抑制される遺伝子である。DNAマイクロアレ
イ上の各スポットのCy3の蛍光強度とCy5の蛍光強度を測定し、例えばCy3/Cy5比を計算し
、該比を指標にこれらの遺伝子について漢方薬又はその成分の効果を評価することができる。この際、DNAマイクロアレイには内部標準遺伝子をスポットしておく。内部標準遺伝
子とハイブリダイズし得るDNAであって、Cy3又はCy5で標識したものをサンプルに添加し
てハイブリダイゼーションを行う。各スポット上のCy3/Cy5比を計算するときに、内部標
準遺伝子のCy3/Cy5比で標準化することにより、各スポットのCy3/Cy5比を補正することができる。また、この際階層クラスター解析等により、発現が変動する遺伝子を解析することもできる。階層クラスター解析は、市販のソフトウェアを用いて行うことができる。
【0028】
例えば、漢方薬の活性成分がエストロゲン様活性を有する成分である場合、エストロゲン又はエストロゲン類似活性を有する化学物質により発現が変動するエストロゲン応答遺伝子が選択される。エストロゲン応答遺伝子としては、特許第3713461号公報、特開2002-360249号公報、特開2003-169682号公報、特開2005-312456号公報に記載の遺伝子を用いることができる。また、図1に示す115個のエストロゲン又はエストロゲン類似活性を有す
る化学物質により発現が変動するエストロゲン応答遺伝子が選択され、これらの遺伝子の少なくとも1個、好ましくは5個以上、さらに好ましくは10個以上、さらに好ましくは20個以上、さらに好ましくは30個以上、さらに好ましくは40個以上、さらに好ましくは50個以上、さらに好ましくは60個以上、さらに好ましくは70個以上、さらに好ましくは80個以上、さらに好ましくは90個以上、さらに好ましくは100個以上、さらに好ましくは110個以上、さらに好ましくは115個を用いて漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を
含む植物、抽出物若しくは組成物の効果を評価することができる。エストロゲン応答遺伝子には、エストロゲン又はエストロゲン類似活性を有する化学物質により発現が亢進する
遺伝子も発現が減弱する遺伝子も含まれる。
【0029】
図1には、用いた遺伝子のGenBankデータベース掲載のUniGene名とAccession No.を示
した。また、クラスター解析の分類に用いた遺伝子機能のグループ名を示した。
【0030】
図1に示すエストロゲン応答遺伝子は、遺伝子の機能別に分類することができる。すなわち、酵素をコードする遺伝子(グループ名:enzyme、遺伝子番号1〜24)、キナーゼをコードする遺伝子(グループ名:kinase、遺伝子番号25〜31)、受容体をコードする遺伝子(グループ名:receptor、遺伝子番号32および33)、シグナル伝達に関与する遺伝子(グループ名:signaling、遺伝子番号34〜50)、アポトーシスに関与する
遺伝子(グループ名:apoptosis、遺伝子番号51および52)、細胞周期に関与する遺
伝子(グループ名:cell cycle、遺伝子番号53および54)、分化に関与する遺伝子(グループ名:differentiation、遺伝子番号55および56)、細胞増殖に関与する遺伝
子(グループ名:proliferation、遺伝子番号57〜68)、転写に関与する遺伝子(グ
ループ名:transcription、遺伝子番号69〜79)、カルシウム結合に関する遺伝子(
グループ名:calcium、遺伝子番号80〜83)、プロセシングに関与する遺伝子(グル
ープ名:processing、遺伝子番号84〜86)、翻訳に関与する遺伝子(グループ名:translation、遺伝子番号87及び88)、輸送に関与する遺伝子(グループ名:transport、遺伝子番号89〜97)、膜に関与する遺伝子(グループ名:membrane、遺伝子番号98および99)、タンパク質のフォールディングに関与する遺伝子(グループ名:protein folding、遺伝子番号100〜102)、構造に関与する遺伝子(グループ名:structure、遺伝子番号103および104)及び機能未知の遺伝子(グループ名:unknown、遺
伝子番号105〜115)の17のグループに分けられる。
【0031】
図1中、遺伝子の名称はUniGeneのSymbolで示してあるが、各遺伝子のdescriptionは以下の通りである。以下には上記17のグループごとに遺伝子番号とともに遺伝子を示してある。[]内は、GenBank登録番号を示す。これらの遺伝子は、図1に記載のGenBank登録番号に基づいてデータベースより、配列情報を得ることができる。さらに、これらの遺伝子はバリアントを有する場合もあり、本発明で用いる遺伝子には上記遺伝子のバリアントも含まれる。なお、遺伝子は遺伝子断片を用いることができ、同じ遺伝子の複数の部位の断片を用いてもよい。一般的に、同じ遺伝子でも複数の部位をプローブとして用いることにより、DNAチップの信頼性が高まることが知られている。どの部分がプローブとして適当
かは遺伝子によって異なる。従って、各遺伝子について1つの部位をプローブとして用いても十分信頼性のある結果を得ることができるが、遺伝子によっては、複数の部位をプローブとして用いることにより、さらに、結果の信頼性が高まることが期待できる。断片の塩基長は、10〜200bp、好ましくは10〜100bp、さらに好ましくは10〜50bp、さらに好ましくは15〜25bpである。例えば、図1の115個の遺伝子中、遺伝子番号34の遺伝子(insulin-like growth factor binding protein 5 (IGFBP5) [NM_000599])は同じ遺伝子の別部分の3つの断片を用いてもよい。また、遺伝子番号57の遺伝子(amphiregulin (schwannoma-derived growth factor) (AREG) [NM_001657])は同じ遺伝子の別部分の2つの断片を用いてもよい。同様に、遺伝子番号77の遺伝子(transcription elongation factor A (SII), 1 (TCEA1) [NM_006756])も同じ遺伝子の別部分の2つの断片を用いてもよい。さらに、遺伝子番号109の遺伝子(SH3 domain binding glutamic acid-rich protein (SH3BGR) [NM_007341])も同じ遺伝子の別部分の2つの断片を用いてもよい。この場合、本発明においては、120種類の遺伝子またはその断片(プローブ)を用いることができる。
【0032】
グループ名:enzyme
1. phosphoenolpyruvate carboxykinase 2 (mitochondrial) (PCK2)[NM_004563]
2. phosphoserine aminotransferase 1 (PSAT1)[NM_058179]
3. asparagine synthetase (ASNS)[NM_133436]
4. phosphoglycerate dehydrogenase (PHGDH)[NM_006623]
5. serine hydroxymethyltransferase 2 (mitochondrial) (SHMT2)[NM_005412]
6. 24-dehydrocholesterol reductase (DHCR24)[NM_014762]
7. tryptophanyl-tRNA synthetase (WARS) [NM_004184]
8. fucosyltransferase 8 (alpha (1,6) fucosyltransferase) (FUT8) [NM_178155]
9. argininosuccinate synthetase (ASS) [NM_054012]
10. enolase 2 (gamma, neuronal) (ENO2) [NM_001975]
11. enolase 3 (beta, muscle) (ENO3) [NM_001976]
12. fructose-1,6-bisphosphatase 1 (FBP1) [NM_000507]
13. methylenetetrahydrofolate dehydrogenase (NADP+dependent) 2, methenyltetrahydrofolate cyclohydrolase (MTHFD2) [NM_006636]
14. carnitine palmitoyltransferase 1A (liver) (CPT1A) [NM_001876]
15. peptidase (mitochondrial processing) alpha (PMPCA) [NM_015160]
16. cathepsin D (lysosomal aspartyl peptidase) (CTSD) [NM_001909]
17. glutamic-oxaloacetic transaminase 1, soluble (aspartate aminotransferase 1) (GOT1) [NM_002079]
18. sorbitol dehydrogenase (SORD) [NM_003104]
19. stearoyl-CoA desaturase (delta-9-desaturase) (SCD) [NM_005063]
20. surfactant, pulmonary-associated protein B (SFTPB) [NM_000542]
21. serpin peptidase inhibitor, clade A (alpha-1 antiproteinase, antitrypsin), member 3 (SERPINA3) [NM_001085]
22. aconitase 2, mitochondrial (ACO2) [NM_001098]
23. glutamine-fructose-6-phosphate transaminase 1 (GFPT1) [NM_002056]
24. CDP-diacylglycerol--inositol 3-phosphatidyltransferase (phosphatidylinositol
synthase) (CDIPT) [NM_006319]
【0033】
グループ名:kinase
25. ribosomal protein S6 kinase, 90kDa, polypeptide 3 (RPS6KA3) [NM_004586 ]
26. protein kinase C, delta (PRKCD) [NM_006254]
27. unc-51-like kinase 1 (C. elegans) (ULK1) [NM_003565]
28. integrin-linked kinase (ILK) [NM_004517]
29. protein kinase C substrate 80K-H (PRKCSH) [NM_002743]
30. cyclin-dependent kinase inhibitor 1A (p21, Cip1) (CDKN1A) [NM_000389]
31. phosphoinositide-3-kinase, class 3 (PIK3C3) [NM_002647]
【0034】
グループ名:receptor
32. poliovirus receptor (PVR) [NM_006505]
33. progesterone receptor (PGR) [NM_000926]
【0035】
グループ名:signaling
34. insulin-like growth factor binding protein 5 (IGFBP5) [NM_000599]
35. catenin (cadherin-associated protein), delta 2 (neural plakophilin-related arm-repeat protein) (CTNND2) [NM_001332]
36. neuropeptide Y receptor Y1 (NPY1R) [NM_000909]
37. protein tyrosine phosphatase, non-receptor type 18 (brain-derived) (PTPN18) [NM_014369]
38. Rho GDP dissociation inhibitor (GDI) alpha (ARHGDIA) [NM_004309]
39. endothelin 2 (EDN2) [NM_001956]
40. stanniocalcin 2 (STC2) [NM_003714]
41. lectin, galactoside-binding, soluble, 3 binding protein (LGALS3BP) [NM_00556
7]
42. angiotensin II receptor, type 1 (AGTR1) [NM_000685]
43. proprotein convertase subtilisin/kexin type 6 (PCSK6) [NM_002570]
44. SH3-domain binding protein 5 (BTK-associated) (SH3BP5) [NM_004844]
45. growth differentiation factor 15 (GDF15) [NM_004864]
46. ras homolog gene family, member C (RHOC) [NM_175744]
47. estrogen receptor 1 (ESR1) [NM_000125]
48. trefoil factor 1 (breast cancer, estrogen-inducible sequence expressed in) (TFF1) [NM_003225]
49. aryl-hydrocarbon receptor nuclear translocator 2 (ARNT2) [NM_014862]
50. v-erb-b2 erythroblastic leukemia viral oncogene homolog 2, neuro/glioblastoma derived oncogene homolog (avian) (ERBB2) [NM_004448]
【0036】
グループ名:apoptosis
51. tribbles homolog 3 (Drosophila) (TRIB3) [NM_021158]
52. tyrosyl-tRNA synthetase (YARS) [NM_003680]
グループ名:cell cycle
53. quiescin Q6 (QSCN6) [NM_002826]
54. cyclin A1 (CCNA1) [NM_003914]
【0037】
グループ名:differentiation
55. interferon-related developmental regulator 1 (IFRD1) [NM_001550]
56. matrix Gla protein (MGP) [NM_000900]
【0038】
グループ名:proliferation
57. amphiregulin (schwannoma-derived growth factor) (AREG) [NM_001657]
58. insulin-like growth factor binding protein 4 (IGFBP4) [NM_001552]
59. Kruppel-like factor 10 (KLF10) [NM_005655]
60. calpain, small subunit 1 (CAPNS1) [NM_001749]
61. interferon stimulated exonuclease gene 20kDa (ISG20) [NM_002201]
62. tumor-associated calcium signal transducer 2 (TACSTD2) [NM_002353]
63. PDZ domain containing 1 (PDZK1) [NM_002614]
64. ferritin, heavy polypeptide 1 (FTH1) [NM_002032]
65. peripheral myelin protein 22 (PMP22) [NM_000304]
66. lysosomal-associated membrane protein 3 (LAMP3) [NM_014398]
67. tumor protein p53 inducible protein 11 (TP53I11) [NM_006034]
68. tetraspanin 1 (TSPAN1) [NM_005727]
【0039】
グループ名:transcription
69. CCAAT/enhancer binding protein (C/EBP), beta (CEBPB) [NM_005194]
70. activating transcription factor 3 (ATF3) [NM_001674]
71. enolase 1, (alpha) (ENO1) [NM_001428]
72. activating transcription factor 3 (ATF3) [NM_004024]
73. early growth response 3 (EGR3) [NM_004430]
74. runt-related transcription factor 1 (acute myeloid leukemia 1; aml1 oncogene) (RUNX1) [NM_001001890]
75. v-fos FBJ murine osteosarcoma viral oncogene homolog (FOS) [NM_005252]
76. nuclear receptor interacting protein 1 (NRIP1) [NM_003489]
77. transcription elongation factor A (SII), 1 (TCEA1) [NM_006756]
78. general transcription factor II, i (GTF2I) [NM_032999]
79. TAF9 RNA polymerase II, TATA box binding protein (TBP)-associated factor, 32kDa (TAF9) [NM_003187]
【0040】
グループ名:calcium
80. EGF-containing fibulin-like extracellular matrix protein 1 (EFEMP1) [NM_004105]
81. reticulocalbin 1, EF-hand calcium binding domain (RCN1) [NM_002901]
82. cadherin 18, type 2 (CDH18) [NM_004934]
83. S100 calcium binding protein P (S100P) [NM_005980]
【0041】
グループ名:processing
84. chromosome 1 open reading frame 19 (C1orf19) [NM_052965]
85. IMP4, U3 small nucleolar ribonucleoprotein, homolog (yeast) (IMP4) [NM_033416]
86. elongation factor Tu GTP binding domain containing 2 (EFTUD2)(U5-116KD) [NM_004247]
【0042】
グループ名:translation
87. glycyl-tRNA synthetase (GARS) [NM_002047]
88. eukaryotic translation initiation factor 3, subunit 9 eta, 116kDa (EIF3S9) [NM_003751]
【0043】
グループ名:transport
89. solute carrier family 12 (sodium/potassium/chloride transporters), member 2 (SLC12A2) [NM_001046]
90. solute carrier family 7 (cationic amino acid transporter, y+ system), member
5 (SLC7A5) [NM_003486]
91. solute carrier family 1 (glutamate/neutral amino acid transporter), member 4
(SLC1A4) [NM_003038]
92. solute carrier family 7, (cationic amino acid transporter, y+ system) member
11 (SLC7A11) [NM_014331]
93. lipocalin 2 (oncogene 24p3) (LCN2) [NM_005564]
94. exportin, tRNA (nuclear export receptor for tRNAs) (XPOT) [NM_007235]
95. solute carrier family 1 (neutral amino acid transporter), member 5 (SLC1A5) [NM_005628]
96. chloride intracellular channel 4 (CLIC4) [NM_013943]
97. transcobalamin I (vitamin B12 binding protein, R binder family) (TCN1) [NM_001062]
【0044】
グループ名:membrane
98. synaptogyrin 2 (SYNGR2) [NM_004710]
99. transmembrane 4 L six family member 1 (TM4SF1) [NM_014220]
【0045】
グループ名:protein folding
100. heat shock 70kDa protein 1A (HSPA1A) [NM_005345]
101. heat shock 70kDa protein 5 (glucose-regulated protein, 78kDa) (HSPA5) [NM_005347]
102. heat shock protein 90kDa beta (Grp94), member 1 (HSP90B1) (TRA1)[ NM_003299]
【0046】
グループ名:structure
103. chromobox homolog 1 (HP1 beta homolog Drosophila) (CBX1) [NM_006807]
104. H3 histone, family 3B (H3.3B) (H3F3B) [NM_005324]
【0047】
グループ名:unknown
105. retinoblastoma binding protein 8 (RBBP8) [NM_002894]
106. tumor protein D52-like 1 (TPD52L1) [NM_003287]
107. absent in melanoma 1 (AIM1) [NM_001624]
108. chromosome 19 open reading frame 21 (C19orf21) [NM_173481]
109. SH3 domain binding glutamic acid-rich protein (SH3BGR) [NM_007341]
110. selenium binding protein 1 (SELENBP1) [NM_003944]
111. KIAA0196 (KIAA0196) [NM_014846]
112. LOC401397 [BC065765]
113. phorbol-12-myristate-13-acetate-induced protein 1 (PMAIP1) [NM_021127]
114. PREDICTED: paternally expressed 10 (PEG10) [XM_496907]
115. DAZ associated protein 2 (DAZAP2) [NM_014764]
【0048】
本発明の漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の評価には、各グループの少なくとも1つの遺伝子を選択し、グループ別に選択さ
れた遺伝子を組合せて用いてもよい。この場合、17のすべてのグループから少なくとも1つの遺伝子を選択してもよい。また、17のグループから少なくとも1つのグループを選択し、選択されたグループからそれぞれ少なくとも1つの遺伝子を選択し組合せて用いてもよい。例えば、上記のenzyme、kinase、receptor、signaling、apoptosis、cell cycle、differentiation、proliferation、transcription、calcium、processing、translation、transport、membrane、protein folding、structure及びunknownの17のグループ
の中から少なくとも1つのグループ、好ましくは2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個又は17個のグループを選択し、選択したグループに属する複数の遺伝子群の中から少なくとも1つの遺
伝子を選択し、組合せればよい。17グループの中から、n個のグループを選択し、さら
に各グループからm個の遺伝子を選択した場合、用いる遺伝子の総数はn×m個となる。各
グループから選択する遺伝子の数は同一である必要はない。
【0049】
また、上記機能別グループを関連するグループごとにまとめてもよく、例えば、enzyme、kinase、receptor及びsignalingのグループを1つのグループにまとめ、apoptosis、cell cycle、differentiation及びproliferationのグループを1つのグループにまとめ、calcium、processing、translation及びtransportのグループを1つのグループにまとめ、membrane、protein folding、structure及びunknownを1つのグループにまとめ、6グループについて上記のようにして遺伝子を選択してもよい。
【0050】
このようにして得られた遺伝子をスライドガラス上にスポットして、DNAマイクロアレ
イを作製する。
【0051】
本発明において、上述の遺伝子には、上述の遺伝子だけでなく上述の遺伝子の塩基配列に相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAも含まれる。ここで、ストリンジェントな条件とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。例えば、相同性が高いDNA同士
、すなわち60%以上、好ましくは80%以上の相同性を有するDNA同士がハイブリダイズし
、それにより相同性が低い核酸同士がハイブリダイズしない条件が挙げられる。より具体的には、ナトリウム濃度が150〜900mM、好ましくは600〜900mMであり、温度が60〜68℃、好ましくは65℃での条件をいう。
【0052】
さらに、上述の遺伝子の全長を用いてもよいし、一部断片を用いてもよい。一部断片を用いる場合その部分配列の位置は限られず、各遺伝子の連続した部分配列を用いればよい。また断片の長さも限られないが、10〜200bp、好ましくは10〜100bp、さらに好ましくは10〜50bp、さらに好ましくは15〜25bpである。
【0053】
上述の遺伝子の全長配列又は一部配列を適当な基板上に固定化することにより、漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の評価に用いるためのDNAマイクロアレイを作製することができる。
【0054】
固定基板としては、ガラス板、石英板、シリコンウェハーなどが挙げられる。基板の大きさとしては、例えば3.5mm×5.5mm、18mm×18mm、22mm×75mmなどが挙げられるが、これは基板上のDNAプローブのスポット数やそのスポットの大きさなどに応じて様々に設定す
ることができる。DNAの固定化方法としては、DNAの種類及び担体の種類に応じて適当な方法が選択される。例えば、固定化するDNAがcDNAやPCR産物の場合、DNAの荷電を利用して
、ポリリジン、ポリエチレンイミン、ポリアルキルアミンなどのポリ陽イオンで表面処理した固相担体に静電結合させたり、アミノ基、アルデヒド基、エポキシ基などの官能基を導入した固相表面に、アミノ基、アルデヒド基、SH基、ビオチンなどの官能基を導入したDNAを共有結合により結合させることもできる。固定化は、上述のようにアレイ機を用い
て行えばよい。このさい固定化する遺伝子として全長を用いてもよいし、一部断片を用いてもよい。一部断片を用いる場合その部分配列の位置は限られず、各遺伝子の連続した部分配列を用いればよい。また断片の長さも限られないが、10〜200bp、好ましくは10〜100bp、さらに好ましくは10〜50bp、さらに好ましくは15〜25bpである。
【0055】
漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の評価は以下に記載の方法で行う。
【0056】
例えば、DNAマイクロアレイを用いて行う場合、上述の遺伝子又はその一部断片を固定
化したDNAマイクロアレイを用いて以下のように行う。用いるDNAマイクロアレイには必要に応じて内部標準遺伝子を固定化する。上述の細胞を漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物で刺激する。刺激は、細胞を適当な培地で培養し、該培地に漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物を添加しさらに培養することにより行うことができる。添加する濃度に限定はないが、数nMから数十μM添加すればよい。次いで、該培養細胞からmRNAを抽出し、
蛍光色素で標識したmRNA又は蛍光色素で標識したcDNAを作製する。該標識mRNA又はcDNAをマイクロアレイとハイブリダイズさせ、各スポット上の蛍光強度を測定することにより、各スポット上の遺伝子の発現量がわかりどの遺伝子がどの程度発現が抑制され又は誘導されたかを決定することができ発現プロファイルを得ることができる。評価しようとする漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物で得られた発現プロファイルと漢方薬の特定の成分、漢方薬の該特定成分を含む抽出物、漢方薬の該特定成分を含む組成物、漢方薬の該特定成分と同等の活性を有する物質で得られた発現プロファイルとを比較することにより漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の評価をすることができる。
【0057】
例えば、漢方薬の活性成分がエストロゲン様活性を有する成分である場合、図1に示す遺伝子を用いて、評価しようとする漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物で得られた発現プロファイルとエストロゲン又はエストロゲン類似活性を有する物質で得られた発現プロファイルを比較すればよい。
【0058】
発現プロファイルは、上記遺伝子又はその断片をターゲットとするリアルタイムPCR等
の定量PCRによっても得ることができる。例えば、リアルタイムPCRによる解析は、サーマルサイクラーと分光蛍光光度計を一体化した機器、例えばロッシュ社製のLightCycler(商標)により行うことができる。リアルタイムPCRにより、PCR増幅産物の生成過程をリアル
タイムで検出解析することが可能になる。PCR産物を蛍光色素で標識するため、正確な定
量が行えるので、本発明の方法に適する。
【0059】
以下にLightCycler(ロシュ・ダイアグノスティックス社)とそれ用のホットスタート
反応溶液キットLightCycler-FastStart DNA Master SYBR Green I(ロシュ・ダイアグノ
スティックス社)を用いた手順を説明する。まず初めにプライマー混合液と鋳型となるcDNA溶液を82℃で5分間熱処理し、氷中で急冷する。次に、H2O 12.6 mL、MgCl2 2.4 mL、10×Light Cycler Mix 2.0mL、鋳型cDNA 1.0mLを混合し、混合溶液を作成する。作成した混合溶液19mLをキャピラリーに分注し、そこにプライマー混合液(10 pmol/mL)を1mL加え
、キャピラリーにふたをする。キャピラリーを遠心用アダプターにのせたまま遠心を1900rpmで10〜15秒間行う。これをLightCyclerのカローセルにセットし、リアルタイムPCRを
行う。以上の操作はできるだけ氷上若しくは4℃で保管しておいた遠心用アダプター上で
行う。解析は、LightCycler Software Ver.3.3(ロシュ・ダイアグノスティックス社)を用いて行うことができる。
【0060】
評価しようとする漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物を用いて得られた遺伝子発現プロファイルがあらかじめ漢方薬の特定の成分、漢方薬の該特定成分を含む抽出物、漢方薬の該特定成分を含む組成物、漢方薬の該特定成分と同等の活性を有する物質を用いて得られた遺伝子発現プロファイルと相同性がある場合、すなわち類似している場合に、漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物は、有効活性成分を含んでいるか、有効活性成分を有用量含んでいるか、又は品質が優良であると評価することができる。また、用いた遺伝子が機能別にグループ分けできる場合は、遺伝子機能別グループごとに発現プロファイルを比較し、グループごとに相同性を判定し、グループごとの相同性の類似性により、評価しようとする漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物を評価することもできる。この際、例えば、遺伝子の各遺伝子の発現程度について判定基準を設定してもよい。
【0061】
例えば、有効活性成分がエストロゲン様活性成分である場合、図1に示す115個のエス
トロゲン応答遺伝子の少なくとも1個の遺伝子について、評価しようとする漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物を用いて発現プロファイルを得て、あらかじめエストロゲンを用いて得られた遺伝子発現プロファイルと比較する。両発現プロファイルが類似していれば、評価しようとする漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物はエストロゲン様活性成分を有しているか、エストロゲン様活性成分を有用量含んでいるか、又は品質が優良であると評価することができる。
【0062】
発現プロファイルの相同性(類似性)は、例えば、選択した遺伝子について、漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の評価しようとする有効活性を有している物質を用いた場合の各遺伝子の発現レベルと、評価しようとする漢方薬又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物を用いた場合の各遺伝子の発現レベルを測定し、各遺伝子又は各遺伝子グループごとに遺伝子レベルの相関をとり、比較することにより行うことができる。例えば、後述の実施例に記載のようにして比較する。
【0063】
また、遺伝子発現プロファイルは、蛍光強度等の発現シグナルのパターンが、デジタル数値で又は色を有する画像で記録される。遺伝子発現プロファイルの比較は、例えばパタ
ーン比較ソフトウェアを用いて行うことができ、コックスハザード分析、判別分析等を利用することができる。あらかじめ漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物を評価するための判別分析モデルを構築し、該判別分析モデルに評価しようとする漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物から得られた遺伝子発現プロファイルに関するデータを入力し、評価を行うこともできる。例えば、判別分析により判別式を得て、蛍光強度と活性成分の濃度、活性等の有効性を関連付け、判別式に漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の発現シグナル数値を代入することにより、評価することができる。
【0064】
本発明は本発明の漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物を評価する方法により、漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物を評価するシステムを包含する。
【0065】
本発明の漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物を評価するシステムは、
(a) 評価しようとする漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽
出物若しくは組成物を用いた場合の遺伝子発現プロファイルに関するデータを入力する手段、ここで入力される遺伝子発現プロファイルに関するデータとは、例えば、各遺伝子におけるシグナル数値等の各遺伝子の発現レベルを示すデータである;
(b) 構築した判別モデルを記憶している記憶手段、
(c) (a)の入力手段を用いて入力したデータを(b)の記憶手段に記憶されている判別モデ
ルに適用して、漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物を評価するためのデータ処理手段、及び
(d) 得られた漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若し
くは組成物の評価を出力する出力手段、
とを含むシステムである。
【0066】
(a)のデータを入力する手段は、キーボード又はデータを記憶した外部記憶装置等を含
む。(b)の記憶手段はハードディスク等を含む。データ処理手段は、記憶手段から判別モ
デルを受け取るとともに、入力されたデータを処理して、処理結果を出力手段に送り、出力手段で処理結果が表示される。データ処理手段は、データを演算処理する中央演算処理装置(CPU)等を含む。また、出力手段は、結果を表示するモニタやプリンタを含む。
【0067】
本発明のシステムは、市販のパーソナルコンピュータ等を用いて構築することが可能である。
【0068】
本発明は、さらに、漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の評価のために選択された遺伝子の塩基配列からなるヌクレオチド又はその一部配列を含むヌクレオチドを含む、漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物を評価するための試薬又はキットを包含する。該試薬は、前記遺伝子の塩基配列からなるヌクレオチド又はその一部配列を含むヌクレオチドをプローブ又はプライマーとして含む試薬であり、また前記遺伝子の塩基配列からなるヌクレオチド又はその一部配列を含むヌクレオチドを固相化したマイクロアレイ等の基板を含む試薬である。
【0069】
例えば、活性成分がエストロゲン様活性成分の場合、この試薬又はキットは、図1に示す115個のエストロゲン応答遺伝子の少なくとも1個、好ましくは5個以上、さらに好ま
しくは10個以上、さらに好ましくは20個以上、さらに好ましくは30個以上、さらに好ましくは40個以上、さらに好ましくは50個以上、さらに好ましくは60個以上、さらに好ましく
は70個以上、さらに好ましくは80個以上、さらに好ましくは90個以上、さらに好ましくは100個以上、さらに好ましくは110個以上、さらに好ましくは115個を含む。
【0070】
このようなDNAマイクロアレイとして、例えば、EstrArray(Infogenes社製、Inoue A.,
et al., Journal of molecular endocrinology. 2002 Oct; 29(2): 175-192)を用いる
ことができる。EstrArrayには、上記115個の遺伝子を含む約200個のエストロゲン応答性
遺伝子またはその遺伝子の塩基配列の一部配列からなる断片が配列させてある。
【0071】
本発明はさらに、本発明の漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価する方法により漢方薬の活性成分を含み有効な生物・生理活性を有する医薬品、食品又は研究用試薬等の組成物を製造する方法、並びに該方法により製造された医薬品、食品又は研究用試薬等の組成物をも包含する。
【実施例】
【0072】
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0073】
(1)エストロゲン様活性を評価するための遺伝子
エストロゲン応答遺伝子として図1に記載の115種類の遺伝子を用いた。
なお、遺伝子番号34の遺伝子(insulin-like growth factor binding protein 5 (IGFBP5) [NM_000599])は同じ遺伝子の別部分の3つの断片を用いた。また、遺伝子番号5
7の遺伝子(amphiregulin (schwannoma-derived growth factor) (AREG) [NM_001657])は同じ遺伝子の別部分の2つの断片を用い、同様に、遺伝子番号77の遺伝子(transcription elongation factor A (SII), 1 (TCEA1) [NM_006756])も同じ遺伝子の別部分の2つの断片を用いた。さらに、遺伝子番号109の遺伝子(SH3 domain binding glutamic acid-rich protein (SH3BGR) [NM_007341])も同じ遺伝子の別部分の2つの断片を用いた。従って、遺伝子または断片の数としては120個を用いた。
【0074】
(2)DNAチップ条件検討のための細胞増殖試験(図2)
甘草抽出物とGlycyrrhizinの各濃度における細胞増殖能をSRB(Sulforhodamine B)試
験(図2A)及びエストロゲン応答因子を用いたレポーター遺伝子試験(図2B)により検定した。対照として、vehicleのみの添加(Control)、及び、エストロゲン(E2:10 nM 17β-estradiol)添加の場合の結果を示した。どちらの試験結果も、甘草抽出物(約10%のGlycyrrhizinを含む)では明確なエストロゲンと同様の細胞増殖活性があるが、Glycyrrhizinではほとんど活性は見られないことを示す。甘草抽出物は、市販の甘草抽出物(アルプス薬品工業株式会社より購入)を1:10で純水に稀釈し、オートクレーブし、滅菌した後使用した。濃度(μg/ml)は抽出物の重量を用いて計算した。
【0075】
エストロゲン応答因子を用いたレポーター遺伝子試験は以下のように行った。
ERα遺伝子プロモーター領域(キャップ部位を基点として-838塩基から+214塩基の部位)をベクター(Promega社のpGL3Basicベクター)のKpnI/HindIII部位に挿入して構築したレポーターベクターを用いた。アッセイは、Lipofectamine 2000 (Invitrogen社)を用い
てレポーターベクターをMCF-7細胞に対しトランスフォームした。エストロゲン及び甘草抽出物をMCF-7細胞培地に添加し、24時間培養した後、ルシフェラーゼ活性を測った。本レポーターアッセイは、論文(Inoue A., Journal of Pharmacological and Toxicological Methods, 2002, May-Jun; 47(3): 129-135)に記載の方法により行った。
【0076】
(3)甘草抽出物、及び、GlycyrrhizinのDNAチップ解析(図3)
DNAチップ(EstrArray、Infogenes社製)を用いてヒトMCF-7細胞に対する甘草抽出物、Glycyrrhizin、及び、エストロゲン(E2:10 nM 17β-estradiol)の影響評価を行い、図
1で示した115個の遺伝子について遺伝子発現プロファイルを取得した。更に、その結果
をクラスター解析により検討した。遺伝子は機能(グループ名として図1に示した)により分類して、遺伝子発現上昇を濃色、発現減少を淡色で示した(左下に増減の相対値を濃淡スケールで示した)。
【0077】
影響評価は以下の方法で行った。
クラスター解析により、Glycyrrhizin、甘草抽出物、及び、エストロゲンの間のプロファイルの近さを解析した。クラスター解析は、論文(Terasaka S., et al., Toxicology Letters 2006 May 25; 163(2): 130-141)に記載の方法により行った。
【0078】
(4)遺伝子機能を利用したDNAチップ解析結果の評価(図4)
それぞれ、エストロゲンと甘草抽出物(図4A)、エストロゲンとGlycyrrhizin(図4B)、甘草抽出物とGlycyrrhizin(図4C)について、DNAチップ(EstrArray、Infogenes社製)を用いて得た遺伝子発現プロファイルを全ての遺伝子または遺伝子断片(プローブ)(図中「120 genes」と表示)あるいは遺伝子の機能別に比較し、直線近似に基づく相関
係数の値をそれぞれグラフで表示した。
【0079】
ここで、115遺伝子(120プローブ)、あるいは、図1に示した機能別グループに属す遺伝子に関して、DNAチップを用いて得られた発現プロファイルをそれぞれの試料の組み合
わせの間で相関解析を行い、得られた相関係数をグラフに表示した。相関係数は、統計解析ソフトウエアSPSS 12.0J for Windows(SPSS Japan Inc.)を用いて計算した。
【0080】
遺伝子の機能別分類としては、115遺伝子を「enzyme」、「signaling」(図1の「kinase」、「signaling」、「receptor」に属する遺伝子グループをまとめたもの)、「proliferation」(図1の「apoptosis」、「cell cycle」、「differentiation」、「proliferation」に属する遺伝子グループをまとめたもの)、「transcription」、「transport」
(図1の「calcium」、「transport」、「processing」、「translation」に属する遺伝
子グループをまとめたもの)、「others」(図1の「membrane」、「structure」、「protein folding」、「unknown」に属する遺伝子グループをまとめたもの)の6グループに
再分類した。エストロゲンとGlycyrrhizinの間(図4B)には全遺伝子の間だけでなく特
に統計的に有意な相関を示す機能グループは存在しないが、エストロゲンと甘草抽出物の間(図4A)では、「signaling」、「proliferation」、「transport」に分類される遺伝子の間で統計的に有意でかつ全遺伝子の比較より高い相関を示した。また、甘草抽出物とGlycyrrhizin(図4C)では、「signaling」に分類された遺伝子についてのみ統計的に有意でかつ全遺伝子の比較より高い相関を示した。これは、甘草抽出物はMCF-7細胞におい
てエストロゲンによる応答に特徴的な遺伝子全般の応答を誘起しており、中でもシグナル伝達や細胞増殖、細胞内物質移送に関与する遺伝子には共通性が高いが、一方で、甘草抽出物とGlycyrrhizinの間では、MCF-7細胞で共通のシグナル伝達に関与する遺伝子に影響
を与えるが、それはエストロゲンに対する応答反応とは異なることを示すと考えられる。
【0081】
(5)エストロゲン応答遺伝子による甘草抽出物のエストロゲン様応答評価(図5)
各試料(エストロゲン、甘草抽出物、及び、Glycyrrhizin)に対するエストロゲン応答遺伝子(上記、EstrArrayに搭載してあるもののうちの8個、TFF1、CDKN1A、RPS6KA3、NRIP1、CTSD、TP53I11、PRKCD、ARHGDIA)の転写反応の変動をリアルタイム定量RT-PCR法を用いて解析し、vehicleのみを添加した場合(Control)に対する相対的な発現変動値(Relative expression index)として示した。
【0082】
リアルタイム定量RT-PCRは以下の方法で行った。
TFF1、CDKN1A、RPS6KA3、NRIP1、CTSD、TP53I11、PRKCD、ARHGDIA遺伝子はエストロゲ
ン及び植物性エストロゲンに応答することがこれまでの研究により分かっている(文献例
:Ise R., et al., FEBS Letters, 2005, Mar 14; 579(7): 1732-1740)。リアタイム定
量RT-PCRは、各処理したMCF-7細胞から抽出したRNAを用いて、Invitrogen社製Two-Step qRT-PCR kitを用いて行った。使ったプライマーを次に示す:TFF1, 5’-CACCATGGAGAACAAGGTGA-3’(配列番号1)、及び、5’-CTAGAACAGCACCTGGCACA-3’(配列番号2); CDKN1A, 5’-CCTTTCCCTTCAGTACCCTCTCA-3’(配列番号3)、及び、5’-ACTAGGGTGCCCTTCTTCTTGTG-3’(配列番号4); RPS6KA3, 5’-CAAAGGACCTGGTGTCAAAGATG-3’(配列番号5)、及び、5’-AGATGTGGTGCATCCTGTCTGTT-3’(配列番号6); NRIP1, 5’-TGCATTAGAACCATCTGGAGCA-3’(配列番号7)、及び、5’-CAGATGGAAGATTCCAGGTCCA-3’(配列番号8); CTSD, 5'-AGGCCATTGTGGACAAGGCA-3’(配列番号9)、及び、5'-CACGGTCAAACACAGTGTAGTAG-3
’(配列番号10); TP53I11, 5’-CACGGACAAAGGGACACACA-3’(配列番号11)、及び
、5’-GTACATGCCAAGGGGCAAGA-3’(配列番号12); PRKCD, 5’-GACCTCAAACTGGACAATGTGCT-3’(配列番号13)、及び、5’-ATCTCAGGGGCGATATAGTCAGG-3’(配列番号14); ARHGDIA, 5’-CCTCACTAGCCTCTACTCCCTGT-3’(配列番号15)、及び、5’-ACTGAGGTGACTTGAGTGTTGG-3’(配列番号16); β-Actin, 5’-CAAGAGATGGCCACGGCTGCT-3’(配列番号17)、及び、5’-TCCTTCTGCATCCTGTCGGCA-3’(配列番号18)。リアタイム定量RT-PCR反応はLightCycler (Roch社)を用いて行った。データの補正用にβ-Actinを用いた。Relative expression indexの計算は次のように行った。
【0083】
Relative expression index = 2-(DCt- DCt’)
ただし、各試料について、
ΔCt = CtGene-CtActin
Control として、
ΔCt’ = Ct’Gene-Ct’Actin
である(Ctは threshold cycleを示す)。
【0084】
それぞれ、Log2変換値を示した。エラーバーは3回の試験の偏差(SD)を示す。それぞれの値の信頼性(変動が無いと仮定した場合の危険率)を、「*」(p < 0.05)、あるい
は、「**」(p < 0.01)で示した。遺伝子名は、米国NIHのNCBI(National Center for Biotechnology Information)が運営するGenBankデータベースに登録されているUniGene名で示した。得られた結果は、いずれの遺伝子の場合も、甘草抽出物はエストロゲンと同様の変動(遺伝子発現の増加あるいは減少)を示したが、Glycyrrhizinは明確な変動は示さなかった。この結果により、DNAチップで得られた結果はリアルタイム定量RT-PCR法によ
っても再現されることが示された。
【0085】
(6)シグナル伝達系タンパク質による甘草抽出物のエストロゲン様応答評価(図6)
シグナル伝達系のタンパク質であるErk1/2のリン酸化反応を指標にして、各試料(エストロゲン、甘草抽出物、及び、Glycyrrhizin)に対するMCF-7細胞の応答をリン酸化Erk1/2タンパク質(P-Erk1/2)、及び、全Erk1/2タンパク質(T-Erk1/2)に対する抗体を用い
たウェスタンブロッティングにより調べた。処理後の継時変化を調べたところ(図6A)、いずれも、処理後5〜30分後にリン酸化Erk1/2タンパク質(P-Erk1/2)の量が増加して
いた。ウエスタンブロッティングは以下の方法で行った。
【0086】
MCF-7細胞をPhenol red free PRMI1640培地(10% DCC-FBS含む)に48時間培養した後、FBSを含まないPRMI1640培地を用いて更に36時間培養した。その後、各試料を添加した後、Erk1/2タンパク質リン酸化の継時変化を解析した。SDSサンプルバッファーを用いて抽出したタンパク質試料各30μgを、12.5%ゲルを用いてSDS-PAGEを行い、ウエスタンブロット
解析を行った。ウエスタンブロット解析は一次抗体にウサギ抗リン酸化Erk1/2と抗Total-Erk1/2抗体を用い、二次抗体には抗ウサギIg抗体ホースディッラシュペルオシダーゼ複合体を用い、検出はECL plus Western Blotting Detection System(アムシャム社)を用いて化学発光検出器Cool Saver AE-6955(アトー社)にて行った。
【0087】
エストロゲンに対するアンタゴニストの影響を調べたところ(図6B)、タモキシフェン(OHT)に対してはいずれもリン酸化が抑制されたが、ICI 182,780(ICI)に対しては
、甘草抽出物は抑制を示したが、Glycyrrhizin処理の場合は抑制の度合いは低かった。このことから、シグナル伝達のメカニズムについても甘草抽出物とGlycyrrhizinの間で相違があると考えられる。Glycyrrhizinも甘草抽出物と同様にErk1/2タンパク質のリン酸化反応を促進することから、両者に共通するシグナル伝達系が考えられる。このことは、DNA
チップの解析結果で得られた甘草抽出物とGlycyrrhizinの間の遺伝子発現プロファイルの相同性を良く説明するものである。また、Erk1/2タンパク質は様々な受容体応答や転写因子の活性化・不活性化に関与しており、Erk1/2タンパク質のリン酸化反応が高まったことはDNAチップ解析で得られたシグナル応答遺伝子の変動を示す結果についても良く説明す
る。
【0088】
(7)PC12神経樹状突起形成能による甘草抽出物のエストロゲン様応答評価(図7)
ラット副腎髄質由来のPC12細胞は、神経成長因子NGFの刺激により樹状突起形成を示す
が、低濃度のNGFの存在化で、エストロゲン受容体が存在する場合にエストロゲン刺激に
対しても樹状突起の形成を示す。これは、エストロゲン受容体の発現が見られなく、エストロゲン応答シグナル伝達系が機能していないと考えられるPC12細胞でも、他のシグナル伝達系カスケードを通してエストロゲン受容体(ER)依存のシグナル伝達が行われることを示す。この細胞に対して、NGF存在下、各試料(エストロゲン(E2:17β-エストラジオ
ール)、甘草抽出物、及び、Glycyrrhizin)添加後の樹状突起形成能を調べたところ、エストロゲン、及び、甘草抽出物の存在下では、エストロゲン受容体依存の樹状突起形成が見られたが、Glycyrrhizinの場合は、樹状突起形成は見られなかった。結果を図7に示す。図7Aは未処理細胞、図7BはNGF及びE2添加、図7CはER及びNGF添加、図7DはER、NGF
及びE2添加、図7EはER、NGF及び甘草抽出物添加、図7FはER、NGF及びGlycyrrhizin添加の結果を示す。この結果、甘草抽出物はエストロゲンと同様の樹状突起形成能を持つが(図7Dおよび図7E)、Glycyrrhizinにはその活性はない(図7F)ことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】エストロゲン様活性を評価するために用いられる遺伝子一覧を示す図である。
【図2】DNAチップ条件検討のための細胞増殖試験の結果を示す図である。
【図3】甘草抽出物、及び、GlycyrrhizinのDNAチップ解析の結果を示す図である。
【図4】遺伝子機能を利用したDNAチップ解析結果の評価を示す図である。
【図5】エストロゲン応答遺伝子による甘草抽出物のエストロゲン様応答評価の結果を示す図である。
【図6】シグナル伝達系タンパク質による甘草抽出物のエストロゲン様応答評価の結果を示す図である。
【図7】PC12神経樹状突起形成能による甘草抽出物のエストロゲン様応答評価の結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価する方法であって、前記活性成分を生体に適用した場合に発現が変動する遺伝子を用い、評価しようとする漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物を生体に適用した場合に得られる前記遺伝子の発現プロファイルと前記活性成分を生体に適用した場合に得られる前記遺伝子の発現プロファイルとを比較することを含む、漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価する方法。
【請求項2】
漢方薬が甘草を含む漢方薬である、請求項1記載の漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価する方法。
【請求項3】
活性成分がエストロゲン活性又はエストロゲン様活性を有する成分であり、活性成分を生体に適用した場合に発現が変動する遺伝子がエストロゲン応答遺伝子である請求項1または2に記載の漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価する方法。
【請求項4】
活性成分の生体への適用が、該活性成分を含む培地中での細胞の培養により行われる請求項1〜3のいずれか1項に記載の漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価する方法。
【請求項5】
細胞がMCF-7細胞である請求項4記載の漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成
分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価する方法。
【請求項6】
遺伝子プロファイルを、活性成分を生体に適用した場合に発現が変動する遺伝子またはその断片を固相化したDNAマイクロアレイを用いて得る、請求項1〜5のいずれか1項に
記載の漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価する方法。
【請求項7】
遺伝子プロファイルを、活性成分を生体に適用した場合に発現が変動する遺伝子またはその断片をターゲットとする定量PCRにより得る、請求項1〜5のいずれか1項に記載の
漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価する方法。
【請求項8】
漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性の評価が、漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物中の有効活性の探索若しくは評価、又は漢方薬若しくはその活性成分を含む組成物の品質管理である請求項1〜7のいずれか1項に記載の漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価する方法。
【請求項9】
漢方薬の活性成分を生体に適用した場合に発現が変動する遺伝子が以下に示す115個の
エストロゲン応答遺伝子の少なくとも1個である請求項1〜8のいずれか1個に記載の漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価する方法。
1. phosphoenolpyruvate carboxykinase 2 (mitochondrial) (PCK2)[NM_004563]
2. phosphoserine aminotransferase 1 (PSAT1)[NM_058179]
3. asparagine synthetase (ASNS)[NM_133436]
4. phosphoglycerate dehydrogenase (PHGDH)[NM_006623]
5. serine hydroxymethyltransferase 2 (mitochondrial) (SHMT2)[NM_005412]
6. 24-dehydrocholesterol reductase (DHCR24)[NM_014762]
7. tryptophanyl-tRNA synthetase (WARS) [NM_004184]
8. fucosyltransferase 8 (alpha (1,6) fucosyltransferase) (FUT8) [NM_178155]
9. argininosuccinate synthetase (ASS) [NM_054012]
10. enolase 2 (gamma, neuronal) (ENO2) [NM_001975]
11. enolase 3 (beta, muscle) (ENO3) [NM_001976]
12. fructose-1,6-bisphosphatase 1 (FBP1) [NM_000507]
13. methylenetetrahydrofolate dehydrogenase (NADP+dependent) 2, methenyltetrahydrofolate cyclohydrolase (MTHFD2) [NM_006636]
14. carnitine palmitoyltransferase 1A (liver) (CPT1A) [NM_001876]
15. peptidase (mitochondrial processing) alpha (PMPCA) [NM_015160]
16. cathepsin D (lysosomal aspartyl peptidase) (CTSD) [NM_001909]
17. glutamic-oxaloacetic transaminase 1, soluble (aspartate aminotransferase 1) (GOT1) [NM_002079]
18. sorbitol dehydrogenase (SORD) [NM_003104]
19. stearoyl-CoA desaturase (delta-9-desaturase) (SCD) [NM_005063]
20. surfactant, pulmonary-associated protein B (SFTPB) [NM_000542]
21. serpin peptidase inhibitor, clade A (alpha-1 antiproteinase, antitrypsin), member 3 (SERPINA3) [NM_001085]
22. aconitase 2, mitochondrial (ACO2) [NM_001098]
23. glutamine-fructose-6-phosphate transaminase 1 (GFPT1) [NM_002056]
24. CDP-diacylglycerol--inositol 3-phosphatidyltransferase (phosphatidylinositol
synthase) (CDIPT) [NM_006319]
25. ribosomal protein S6 kinase, 90kDa, polypeptide 3 (RPS6KA3) [NM_004586 ]
26. protein kinase C, delta (PRKCD) [NM_006254]
27. unc-51-like kinase 1 (C. elegans) (ULK1) [NM_003565]
28. integrin-linked kinase (ILK) [NM_004517]
29. protein kinase C substrate 80K-H (PRKCSH) [NM_002743]
30. cyclin-dependent kinase inhibitor 1A (p21, Cip1) (CDKN1A) [NM_000389]
31. phosphoinositide-3-kinase, class 3 (PIK3C3) [NM_002647]
32. poliovirus receptor (PVR) [NM_006505]
33. progesterone receptor (PGR) [NM_000926]
34. insulin-like growth factor binding protein 5 (IGFBP5) [NM_000599]
35. catenin (cadherin-associated protein), delta 2 (neural plakophilin-related arm-repeat protein) (CTNND2) [NM_001332]
36. neuropeptide Y receptor Y1 (NPY1R) [NM_000909]
37. protein tyrosine phosphatase, non-receptor type 18 (brain-derived) (PTPN18) [NM_014369]
38. Rho GDP dissociation inhibitor (GDI) alpha (ARHGDIA) [NM_004309]
39. endothelin 2 (EDN2) [NM_001956]
40. stanniocalcin 2 (STC2) [NM_003714]
41. lectin, galactoside-binding, soluble, 3 binding protein (LGALS3BP) [NM_005567]
42. angiotensin II receptor, type 1 (AGTR1) [NM_000685]
43. proprotein convertase subtilisin/kexin type 6 (PCSK6) [NM_002570]
44. SH3-domain binding protein 5 (BTK-associated) (SH3BP5) [NM_004844]
45. growth differentiation factor 15 (GDF15) [NM_004864]
46. ras homolog gene family, member C (RHOC) [NM_175744]
47. estrogen receptor 1 (ESR1) [NM_000125]
48. trefoil factor 1 (breast cancer, estrogen-inducible sequence expressed in) (
TFF1) [NM_003225]
49. aryl-hydrocarbon receptor nuclear translocator 2 (ARNT2) [NM_014862]
50. v-erb-b2 erythroblastic leukemia viral oncogene homolog 2, neuro/glioblastoma derived oncogene homolog (avian) (ERBB2) [NM_004448]
51. tribbles homolog 3 (Drosophila) (TRIB3) [NM_021158]
52. tyrosyl-tRNA synthetase (YARS) [NM_003680]
53. quiescin Q6 (QSCN6) [NM_002826]
54. cyclin A1 (CCNA1) [NM_003914]
55. interferon-related developmental regulator 1 (IFRD1) [NM_001550]
56. matrix Gla protein (MGP) [NM_000900]
57. amphiregulin (schwannoma-derived growth factor) (AREG) [NM_001657]
58. insulin-like growth factor binding protein 4 (IGFBP4) [NM_001552]
59. Kruppel-like factor 10 (KLF10) [NM_005655]
60. calpain, small subunit 1 (CAPNS1) [NM_001749]
61. interferon stimulated exonuclease gene 20kDa (ISG20) [NM_002201]
62. tumor-associated calcium signal transducer 2 (TACSTD2) [NM_002353]
63. PDZ domain containing 1 (PDZK1) [NM_002614]
64. ferritin, heavy polypeptide 1 (FTH1) [NM_002032]
65. peripheral myelin protein 22 (PMP22) [NM_000304]
66. lysosomal-associated membrane protein 3 (LAMP3) [NM_014398]
67. tumor protein p53 inducible protein 11 (TP53I11) [NM_006034]
68. tetraspanin 1 (TSPAN1) [NM_005727]
69. CCAAT/enhancer binding protein (C/EBP), beta (CEBPB) [NM_005194]
70. activating transcription factor 3 (ATF3) [NM_001674]
71. enolase 1, (alpha) (ENO1) [NM_001428]
72. activating transcription factor 3 (ATF3) [NM_004024]
73. early growth response 3 (EGR3) [NM_004430]
74. runt-related transcription factor 1 (acute myeloid leukemia 1; aml1 oncogene) (RUNX1) [NM_001001890]
75. v-fos FBJ murine osteosarcoma viral oncogene homolog (FOS) [NM_005252]
76. nuclear receptor interacting protein 1 (NRIP1) [NM_003489]
77. transcription elongation factor A (SII), 1 (TCEA1) [NM_006756]
78. general transcription factor II, i (GTF2I) [NM_032999]
79. TAF9 RNA polymerase II, TATA box binding protein (TBP)-associated factor, 32kDa (TAF9) [NM_003187]
80. EGF-containing fibulin-like extracellular matrix protein 1 (EFEMP1) [NM_004105]
81. reticulocalbin 1, EF-hand calcium binding domain (RCN1) [NM_002901]
82. cadherin 18, type 2 (CDH18) [NM_004934]
83. S100 calcium binding protein P (S100P) [NM_005980]
84. chromosome 1 open reading frame 19 (C1orf19) [NM_052965]
85. IMP4, U3 small nucleolar ribonucleoprotein, homolog (yeast) (IMP4) [NM_033416]
86. elongation factor Tu GTP binding domain containing 2 (EFTUD2)(U5-116KD) [NM_004247]
87. glycyl-tRNA synthetase (GARS) [NM_002047]
88. eukaryotic translation initiation factor 3, subunit 9 eta, 116kDa (EIF3S9) [NM_003751]
89. solute carrier family 12 (sodium/potassium/chloride transporters), member 2 (SLC12A2) [NM_001046]
90. solute carrier family 7 (cationic amino acid transporter, y+ system), member
5 (SLC7A5) [NM_003486]
91. solute carrier family 1 (glutamate/neutral amino acid transporter), member 4
(SLC1A4) [NM_003038]
92. solute carrier family 7, (cationic amino acid transporter, y+ system) member
11 (SLC7A11) [NM_014331]
93. lipocalin 2 (oncogene 24p3) (LCN2) [NM_005564]
94. exportin, tRNA (nuclear export receptor for tRNAs) (XPOT) [NM_007235]
95. solute carrier family 1 (neutral amino acid transporter), member 5 (SLC1A5) [NM_005628]
96. chloride intracellular channel 4 (CLIC4) [NM_013943]
97. transcobalamin I (vitamin B12 binding protein, R binder family) (TCN1) [NM_001062]
98. synaptogyrin 2 (SYNGR2) [NM_004710]
99. transmembrane 4 L six family member 1 (TM4SF1) [NM_014220]
100. heat shock 70kDa protein 1A (HSPA1A) [NM_005345]
101. heat shock 70kDa protein 5 (glucose-regulated protein, 78kDa) (HSPA5) [NM_005347]
102. heat shock protein 90kDa beta (Grp94), member 1 (HSP90B1) (TRA1)[ NM_003299]
103. chromobox homolog 1 (HP1 beta homolog Drosophila) (CBX1) [NM_006807]
104. H3 histone, family 3B (H3.3B) (H3F3B) [NM_005324]
105. retinoblastoma binding protein 8 (RBBP8) [NM_002894]
106. tumor protein D52-like 1 (TPD52L1) [NM_003287]
107. absent in melanoma 1 (AIM1) [NM_001624]
108. chromosome 19 open reading frame 21 (C19orf21) [NM_173481]
109. SH3 domain binding glutamic acid-rich protein (SH3BGR) [NM_007341]
110. selenium binding protein 1 (SELENBP1) [NM_003944]
111. KIAA0196 (KIAA0196) [NM_014846]
112. LOC401397 [BC065765]
113. phorbol-12-myristate-13-acetate-induced protein 1 (PMAIP1) [NM_021127]
114. PREDICTED: paternally expressed 10 (PEG10) [XM_496907]
115. DAZ associated protein 2 (DAZAP2) [NM_014764]
【請求項10】
漢方薬の活性成分を生体に適用した場合に発現が変動する遺伝子が請求項9に記載の115個のエストロゲン応答遺伝子の少なくとも5個である請求項1〜8のいずれか1個に記
載の漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価する方法。
【請求項11】
以下に示す115個のエストロゲン応答遺伝子の少なくとも1個の遺伝子の塩基配列の全
部または一部を含む、漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価するための試薬。
1. phosphoenolpyruvate carboxykinase 2 (mitochondrial) (PCK2)[NM_004563]
2. phosphoserine aminotransferase 1 (PSAT1)[NM_058179]
3. asparagine synthetase (ASNS)[NM_133436]
4. phosphoglycerate dehydrogenase (PHGDH)[NM_006623]
5. serine hydroxymethyltransferase 2 (mitochondrial) (SHMT2)[NM_005412]
6. 24-dehydrocholesterol reductase (DHCR24)[NM_014762]
7. tryptophanyl-tRNA synthetase (WARS) [NM_004184]
8. fucosyltransferase 8 (alpha (1,6) fucosyltransferase) (FUT8) [NM_178155]
9. argininosuccinate synthetase (ASS) [NM_054012]
10. enolase 2 (gamma, neuronal) (ENO2) [NM_001975]
11. enolase 3 (beta, muscle) (ENO3) [NM_001976]
12. fructose-1,6-bisphosphatase 1 (FBP1) [NM_000507]
13. methylenetetrahydrofolate dehydrogenase (NADP+dependent) 2, methenyltetrahydrofolate cyclohydrolase (MTHFD2) [NM_006636]
14. carnitine palmitoyltransferase 1A (liver) (CPT1A) [NM_001876]
15. peptidase (mitochondrial processing) alpha (PMPCA) [NM_015160]
16. cathepsin D (lysosomal aspartyl peptidase) (CTSD) [NM_001909]
17. glutamic-oxaloacetic transaminase 1, soluble (aspartate aminotransferase 1) (GOT1) [NM_002079]
18. sorbitol dehydrogenase (SORD) [NM_003104]
19. stearoyl-CoA desaturase (delta-9-desaturase) (SCD) [NM_005063]
20. surfactant, pulmonary-associated protein B (SFTPB) [NM_000542]
21. serpin peptidase inhibitor, clade A (alpha-1 antiproteinase, antitrypsin), member 3 (SERPINA3) [NM_001085]
22. aconitase 2, mitochondrial (ACO2) [NM_001098]
23. glutamine-fructose-6-phosphate transaminase 1 (GFPT1) [NM_002056]
24. CDP-diacylglycerol--inositol 3-phosphatidyltransferase (phosphatidylinositol
synthase) (CDIPT) [NM_006319]
25. ribosomal protein S6 kinase, 90kDa, polypeptide 3 (RPS6KA3) [NM_004586 ]
26. protein kinase C, delta (PRKCD) [NM_006254]
27. unc-51-like kinase 1 (C. elegans) (ULK1) [NM_003565]
28. integrin-linked kinase (ILK) [NM_004517]
29. protein kinase C substrate 80K-H (PRKCSH) [NM_002743]
30. cyclin-dependent kinase inhibitor 1A (p21, Cip1) (CDKN1A) [NM_000389]
31. phosphoinositide-3-kinase, class 3 (PIK3C3) [NM_002647]
32. poliovirus receptor (PVR) [NM_006505]
33. progesterone receptor (PGR) [NM_000926]
34. insulin-like growth factor binding protein 5 (IGFBP5) [NM_000599]
35. catenin (cadherin-associated protein), delta 2 (neural plakophilin-related arm-repeat protein) (CTNND2) [NM_001332]
36. neuropeptide Y receptor Y1 (NPY1R) [NM_000909]
37. protein tyrosine phosphatase, non-receptor type 18 (brain-derived) (PTPN18) [NM_014369]
38. Rho GDP dissociation inhibitor (GDI) alpha (ARHGDIA) [NM_004309]
39. endothelin 2 (EDN2) [NM_001956]
40. stanniocalcin 2 (STC2) [NM_003714]
41. lectin, galactoside-binding, soluble, 3 binding protein (LGALS3BP) [NM_005567]
42. angiotensin II receptor, type 1 (AGTR1) [NM_000685]
43. proprotein convertase subtilisin/kexin type 6 (PCSK6) [NM_002570]
44. SH3-domain binding protein 5 (BTK-associated) (SH3BP5) [NM_004844]
45. growth differentiation factor 15 (GDF15) [NM_004864]
46. ras homolog gene family, member C (RHOC) [NM_175744]
47. estrogen receptor 1 (ESR1) [NM_000125]
48. trefoil factor 1 (breast cancer, estrogen-inducible sequence expressed in) (TFF1) [NM_003225]
49. aryl-hydrocarbon receptor nuclear translocator 2 (ARNT2) [NM_014862]
50. v-erb-b2 erythroblastic leukemia viral oncogene homolog 2, neuro/glioblastom
a derived oncogene homolog (avian) (ERBB2) [NM_004448]
51. tribbles homolog 3 (Drosophila) (TRIB3) [NM_021158]
52. tyrosyl-tRNA synthetase (YARS) [NM_003680]
53. quiescin Q6 (QSCN6) [NM_002826]
54. cyclin A1 (CCNA1) [NM_003914]
55. interferon-related developmental regulator 1 (IFRD1) [NM_001550]
56. matrix Gla protein (MGP) [NM_000900]
57. amphiregulin (schwannoma-derived growth factor) (AREG) [NM_001657]
58. insulin-like growth factor binding protein 4 (IGFBP4) [NM_001552]
59. Kruppel-like factor 10 (KLF10) [NM_005655]
60. calpain, small subunit 1 (CAPNS1) [NM_001749]
61. interferon stimulated exonuclease gene 20kDa (ISG20) [NM_002201]
62. tumor-associated calcium signal transducer 2 (TACSTD2) [NM_002353]
63. PDZ domain containing 1 (PDZK1) [NM_002614]
64. ferritin, heavy polypeptide 1 (FTH1) [NM_002032]
65. peripheral myelin protein 22 (PMP22) [NM_000304]
66. lysosomal-associated membrane protein 3 (LAMP3) [NM_014398]
67. tumor protein p53 inducible protein 11 (TP53I11) [NM_006034]
68. tetraspanin 1 (TSPAN1) [NM_005727]
69. CCAAT/enhancer binding protein (C/EBP), beta (CEBPB) [NM_005194]
70. activating transcription factor 3 (ATF3) [NM_001674]
71. enolase 1, (alpha) (ENO1) [NM_001428]
72. activating transcription factor 3 (ATF3) [NM_004024]
73. early growth response 3 (EGR3) [NM_004430]
74. runt-related transcription factor 1 (acute myeloid leukemia 1; aml1 oncogene) (RUNX1) [NM_001001890]
75. v-fos FBJ murine osteosarcoma viral oncogene homolog (FOS) [NM_005252]
76. nuclear receptor interacting protein 1 (NRIP1) [NM_003489]
77. transcription elongation factor A (SII), 1 (TCEA1) [NM_006756]
78. general transcription factor II, i (GTF2I) [NM_032999]
79. TAF9 RNA polymerase II, TATA box binding protein (TBP)-associated factor, 32kDa (TAF9) [NM_003187]
80. EGF-containing fibulin-like extracellular matrix protein 1 (EFEMP1) [NM_004105]
81. reticulocalbin 1, EF-hand calcium binding domain (RCN1) [NM_002901]
82. cadherin 18, type 2 (CDH18) [NM_004934]
83. S100 calcium binding protein P (S100P) [NM_005980]
84. chromosome 1 open reading frame 19 (C1orf19) [NM_052965]
85. IMP4, U3 small nucleolar ribonucleoprotein, homolog (yeast) (IMP4) [NM_033416]
86. elongation factor Tu GTP binding domain containing 2 (EFTUD2)(U5-116KD) [NM_004247]
87. glycyl-tRNA synthetase (GARS) [NM_002047]
88. eukaryotic translation initiation factor 3, subunit 9 eta, 116kDa (EIF3S9) [NM_003751]
89. solute carrier family 12 (sodium/potassium/chloride transporters), member 2 (SLC12A2) [NM_001046]
90. solute carrier family 7 (cationic amino acid transporter, y+ system), member
5 (SLC7A5) [NM_003486]
91. solute carrier family 1 (glutamate/neutral amino acid transporter), member 4
(SLC1A4) [NM_003038]
92. solute carrier family 7, (cationic amino acid transporter, y+ system) member
11 (SLC7A11) [NM_014331]
93. lipocalin 2 (oncogene 24p3) (LCN2) [NM_005564]
94. exportin, tRNA (nuclear export receptor for tRNAs) (XPOT) [NM_007235]
95. solute carrier family 1 (neutral amino acid transporter), member 5 (SLC1A5) [NM_005628]
96. chloride intracellular channel 4 (CLIC4) [NM_013943]
97. transcobalamin I (vitamin B12 binding protein, R binder family) (TCN1) [NM_001062]
98. synaptogyrin 2 (SYNGR2) [NM_004710]
99. transmembrane 4 L six family member 1 (TM4SF1) [NM_014220]
100. heat shock 70kDa protein 1A (HSPA1A) [NM_005345]
101. heat shock 70kDa protein 5 (glucose-regulated protein, 78kDa) (HSPA5) [NM_005347]
102. heat shock protein 90kDa beta (Grp94), member 1 (HSP90B1) (TRA1)[ NM_003299]
103. chromobox homolog 1 (HP1 beta homolog Drosophila) (CBX1) [NM_006807]
104. H3 histone, family 3B (H3.3B) (H3F3B) [NM_005324]
105. retinoblastoma binding protein 8 (RBBP8) [NM_002894]
106. tumor protein D52-like 1 (TPD52L1) [NM_003287]
107. absent in melanoma 1 (AIM1) [NM_001624]
108. chromosome 19 open reading frame 21 (C19orf21) [NM_173481]
109. SH3 domain binding glutamic acid-rich protein (SH3BGR) [NM_007341]
110. selenium binding protein 1 (SELENBP1) [NM_003944]
111. KIAA0196 (KIAA0196) [NM_014846]
112. LOC401397 [BC065765]
113. phorbol-12-myristate-13-acetate-induced protein 1 (PMAIP1) [NM_021127]
114. PREDICTED: paternally expressed 10 (PEG10) [XM_496907]
115. DAZ associated protein 2 (DAZAP2) [NM_014764]
【請求項12】
請求項11に記載の115個のエストロゲン応答遺伝子の少なくとも5個の遺伝子の塩基
配列の全部または一部を含む、漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価するための試薬。
【請求項13】
遺伝子の塩基配列の全部または一部が固定化されたDNAマイクロアレイである、請求項
11または12に記載の漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価するための試薬。
【請求項14】
遺伝子の塩基配列の全部または一部からなる定量PCR用プライマーセットである、請求
項11または12に記載の漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価するための試薬。
【請求項15】
以下の遺伝子の塩基配列の全部または一部からなる定量PCR用プライマーセットである
、請求項14記載の漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価するための試薬。
16. cathepsin D (lysosomal aspartyl peptidase) (CTSD) [NM_001909]
25. ribosomal protein S6 kinase, 90kDa, polypeptide 3 (RPS6KA3) [NM_004586 ]
26. protein kinase C, delta (PRKCD) [NM_006254]
30. cyclin-dependent kinase inhibitor 1A (p21, Cip1) (CDKN1A) [NM_000389]
38. Rho GDP dissociation inhibitor (GDI) alpha (ARHGDIA) [NM_004309]
48. trefoil factor 1 (breast cancer, estrogen-inducible sequence expressed in) (TFF1) [NM_003225]
67. tumor protein p53 inducible protein 11 (TP53I11) [NM_006034]
76. nuclear receptor interacting protein 1 (NRIP1) [NM_003489]
【請求項16】
配列番号1から16に記載のプライマーを含む請求項15記載の漢方薬若しくはその活性成分、又はその活性成分を含む植物、抽出物若しくは組成物の活性を評価するための試薬。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−319051(P2007−319051A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−151189(P2006−151189)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】