説明

避難誘導照明灯装置

【課題】夜間でも停電時にでも表示可能とするだけでなく、表示部を明るく照らすことができると共に、遠方からでも視認容易とされる避難誘導照明灯装置を提供する。
【解決手段】太陽電池2と、太陽電池によって充電される蓄電池3と、蓄電池を電源として点灯される灯部6と避難誘導表示部7と、太陽電池の発電状態と蓄電池の充電状態の監視および灯部と避難誘導表示部の点灯状態を制御するコントローラ4を備え、太陽電池が所定の起電力を生成している発電状態では、灯部を消灯し、所定の起電力以下および発電していない状態では、灯部を点灯あるいは点滅すると共に、揺れを感知する感震センサ5を設け、この感震センサが所定の閾値以上の揺れを感知した時に、避難誘導表示部を点灯あるいは点滅する避難誘導照明灯装置1とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明灯装置に関し、特に、地震発生等の災害時に、人を安全な避難所に誘導する避難誘導照明灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、学校や公園などの地震等の災害時に避難所となる近辺には、緊急時に避難所となることを表示する標識が設けられている。また、照明灯や標識として、太陽電池と蓄電池と表示部を組み合わせた形式のものも知られている。
【0003】
さらに、振動を感知するセンサを備えて、地震が発生したことを感知して表示部を点灯するとした避難誘導標識が既に公開されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−315261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
夜間に地震等の災害が発生した場合は、避難経路や避難所を示す標識などは明るく視認容易であることが望ましい。しかし、前記特許文献1に記載された避難誘導標識のように、太陽電池と蓄電池を備えて、表示部を発光させるだけでは、表示部の面輝度が十分でなく、遠方から表示部を視認することは困難である。
【0005】
また、灯りの少ない地域では、緊急時に標識を認識することができても、周囲が暗いために、十分な避難誘導効果を上げることは困難である。
【0006】
そこで本発明は、夜間でも停電時にでも表示可能とするだけでなく、表示部を明るく照らすことができると共に、遠方からでも視認容易とされる避難誘導照明灯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、太陽電池と、太陽電池によって充電される蓄電池と、蓄電池を電源として点灯される灯部と避難誘導表示部と、太陽電池の発電状態の監視と蓄電池の充電状態の監視、および灯部と避難誘導表示部の点灯状態を制御するコントローラを備え、太陽電池が所定の起電力を生成している発電状態では、灯部を消灯し、所定の起電力以下および発電していない状態では、灯部を点灯あるいは点滅すると共に、揺れを感知する感震センサを設け、この感震センサが所定の閾値以上の揺れを感知した時に、前記コントローラを介して避難誘導表示部を点灯あるいは点滅する避難誘導照明灯装置としたことを特徴としている。
【0008】
この構成によると、太陽電池によって発電された電力を用いて避難誘導表示部を点灯あるいは点滅させて、人を誘導避難させることができる。また、灯部と避難誘導表示部との点灯状態を制御することで、視認容易な任意の状態に表示可能となり、太陽電池が発電状態でない暗い時には、灯部を点灯あるいは点滅することで、遠方にいる人に注意を促し効果的な誘導を行う避難誘導照明灯装置を得ることができる。
【0009】
また本発明は上記構成の避難誘導照明灯装置において、灯部と避難誘導表示部が共に、光源として複数のチップ型LEDを備えることで、低消費電力で発光輝度の明るい表示を行うことが可能となる。
【0010】
また本発明は上記構成の避難誘導照明灯装置において、前記灯部と前記避難誘導表示部が共に発光するときは、これらの発光状態を異ならせて、一方を点灯し、他方を点滅することができる。さらに、前記感震センサが揺れを感知せず、前記太陽電池が所定の起電力以下および発電していない状態では、前記灯部を点灯し、前記感震センサが所定の閾値以上の揺れを感知した時に、前記避難誘導表示部を点灯させ、前記灯部を点滅させることもできる。
【0011】
この構成によると、発光状態の異なる灯部と避難誘導表示部とにより、遠方からでも視認容易な避難誘導照明灯装置を得ることができる。また、避難誘導表示部が点灯しているときには、灯部を点滅させるので、両方を共に点灯するのと比較して電力消費を低減することができる。
【0012】
また本発明は上記構成の避難誘導照明灯装置において、太陽電池と蓄電池と灯部と避難誘導表示部とコントローラとを全て支柱に装着して一体的に構成することができる。また、灯部を避難誘導表示部の上に配置して、避難誘導表示部を明るく照らすことができる。さらに、前記灯部を、その断面形状が下向きにV型となる2面の点灯面を有する形状とし、斜め下方に向けた2面の点灯面により、下に位置する避難誘導表示部およびその周囲を照明することも可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、通常時には、灯部のみを点灯あるいは点滅して避難誘導照明灯装置の存在を知らしめることができ、地震等の災害発生時には、太陽電池によって発電された電力を用いて避難誘導表示部を点灯あるいは点滅させて、人を誘導避難させることができる。また、周囲が暗い時には、灯部を点灯あるいは点滅して避難誘導表示部を照らすので、遠方にいる人にも視認容易となって注意を促すことができ、さらに効果的な誘導を可能とする避難誘導照明灯装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明に係る避難誘導照明灯装置の構成を示すブロック図であり、図2は、本発明に係る避難誘導照明灯装置の一例を示す外観斜視図である。
【0015】
図1のブロック図に示すように、本実施形態に係る避難誘導照明灯装置1は、太陽電池2、蓄電池3、コントローラ4、感震センサ5、灯部6および避難誘導表示部7を備えた構成とされている。
【0016】
太陽電池2は、太陽光を受光して発電を行う装置であって、受光面が太陽に向かうようにすることが好ましい。蓄電池3は、太陽電池2により発電された電力を蓄える装置であると共に、コントローラ4の電力や灯部6と避難誘導表示部7を点灯する電力を供給する電力供給装置である。感震センサ5は、揺れを感知するセンサであって、所定の閾値以上(例えば、震度5に相当する揺れ)の揺れを感知したときに感知信号を出力する設定としている。もしくは、感震センサ5から感知信号をコントローラ4に送信し、コントローラ4に予め設定される閾値と比較して、コントローラ4が閾値以上の揺れかどうか判定する構成とすることもできる。
【0017】
コントローラ4は、太陽電池2の発電状態や蓄電池3の充電状態の監視および灯部6と避難誘導表示部7の点灯状態をそれぞれ制御すると共に、感震センサ5とも電気的に接続されている。そのために、この感震センサ5が所定の閾値以上の揺れを感知した時に、コントローラ4を介して避難誘導表示部7を点灯あるいは点滅するよう制御することができる。
【0018】
つまり、コントローラ4は、太陽電池2の発電状態を監視する発電監視回路と、蓄電池3の充電状態を監視する充電監視回路と、灯部6の点灯状態を制御する灯部点灯回路と、避難誘導表示部7の点灯状態を制御する避難誘導表示部点灯回路と、感震センサ5を介して閾値以上の揺れを判定する地震判別回路と、これらの回路から得られる情報を比較し制御する制御回路とを備えた構成とされている。
【0019】
灯部6および避難誘導表示部7の光源としては、チップ型LEDを用いることが好ましい。チップ型LEDであれば、平面状の大きな発光面の形成が容易であり、低消費電力で発光輝度の明るい表示を行うことが可能となる。さらには、色の異なるLEDを組み合わせて、複数色のカラー表示を行うことができ、さらに視認容易な表示が可能となる。
【0020】
上記の構成要素を備える避難誘導照明灯装置1は、操作容易あるいは設置容易とするために一体化することが好ましく、本実施の形態においては図2に示すように、太陽電池2と灯部6と避難誘導表示部7とを支柱10に装着して一体的に構成している。また、コントローラ4や蓄電池3や感震センサ5を、前記支柱10に内蔵する(図中の破線に示す)か、支柱10に取り付ける制御ボックス(不図示)内に収納して、一体構成することができる。このような構成であれば、支柱10に一体的に組み付けられて構成される避難誘導照明灯装置1を、そのまま搬送容易となり、所望される任意の場所に設置容易となる。
【0021】
また、灯部6を避難誘導表示部7の上に配置して、避難誘導表示部7を明るく照らすようにしている。さらに、前記灯部6を、その断面形状が下向きにV型となる2面の点灯面61、62を有する形状とし、斜め下方に向けた2面の点灯面61、62により、下に位置する避難誘導表示部7全体およびその周囲を照明することが可能となる。
【0022】
ここで、点灯面61、62には、光源としてチップ型LED6aを平面状に複数配設して所望の大きさの発光面を有する灯部6としている。これにより、その下部に位置する避難誘導表示部7を明るく照らすだけでなく、周囲、特に避難誘導照明灯装置1が設置される路上をも照らすことが可能となる。
【0023】
避難誘導表示部7には、避難を誘導する絵柄やシンボルマークや矢印等が描写されていて、日中はそのまま視認可能である。また、夜間や暗い時には、上部から灯部6が避難誘導表示部7を照らして視認容易となる。
【0024】
昼と夜との判別を行い、夜だけ灯部6を点灯する構成とすることもできる。この場合に昼夜を判別するには、タイマーを内蔵して時間管理を行うことでも、実際の日照量を検知するセンサや装置を介して行うことも可能である。しかし、本実施の形態においては、周囲が明るいか暗いかで灯部6の点灯状態を制御するようにし、太陽電池2が所定の起電力を生成している発電状態を、周囲が明るい(昼間に相当)と判定し、所定の起電力以下および発電していない状態では、周囲が暗い(夜間に相当)と判定する構成とした。この判定は、太陽電池2の発電状態と蓄電池3の充電状態の監視を行うコントローラ4が行う。
【0025】
また、コントローラ4は、灯部6と避難誘導表示部7の点灯状態を制御する。この点灯状態とは、点灯と消灯と点滅を含む状態をいう。また、点滅の際の点滅サイクルや点灯時間も、コントローラ4を介して設定可能としている。そのために、本実施の形態の避難誘導照明灯装置1は、灯部6と避難誘導表示部7の点灯状態をそれぞれ個別に制御可能であり、両方を同時に点灯させたり点滅させたり、また、一方のみを点灯させたり点滅させたりすることができるものとされている。さらに、灯部6と避難誘導表示部7のLEDの発光色をそれぞれ変える構成であれば、これらの発光色を変えることも、点灯状態を変えることに含む。
【0026】
これにより、さらに効果的な避難誘導が可能となり、遠方からでも視認容易な点灯状態を現出することができる。特に、灯部6と避難誘導表示部7との発光色が異なるLEDを採用することで、さらに注意を引き付ける表示を行うこともできる。
【0027】
また、感震センサ5を介して閾値以上の揺れかどうか判定することもコントローラ4が行う。さらに、感震センサ5が揺れを感知せず、太陽電池2が所定の起電力以下および発電していない状態では、災害時ではない通常の夜間および夜間に相当と判定し、灯部6のみを点灯する。感震センサ5が所定の閾値以上の揺れを感知した時には、避難誘導表示部7を点灯させる。また、夜間や暗い時に地震が発生した場合は、点灯している灯部6を点滅させるようにしている。
【0028】
避難誘導表示部7の点灯継続時間は、地震発生後の予め定められる所定時間であればよく、所望される時間をコントローラ4に設定可能としている。そのために、夜間や暗い時に地震等の災害が発生すると、避難誘導表示部7が点灯表示され、点灯状態の灯部6が点滅開始する。その後所定時間経過後に、避難誘導表示が解除され、避難誘導表示部7が消灯され、灯部6が点灯状態に戻ることになる。
【0029】
上記したように、夜間に地震が発生し、所定の閾値以上の揺れが感知された場合には、避難誘導表示部7が点灯し、人に避難勧告を行い避難場所の方向を示すことになる。また、この際に、灯部6を点滅させることで、表示部を明るく照らして遠方からでも十分視認可能とすると共に、さらに注意を喚起することができる。
【0030】
前述した閾値は、各自治体や各地域で、避難を勧告する揺れの程度によって設定されればよく、コントローラ4にその閾値を変更し設定可能としている。これにより、各地域に適した避難誘導照明灯装置1を構成することができる。
【0031】
避難誘導表示部7を点灯している時に灯部6を点滅させるので、両方共に点灯することと比較して蓄電池3の出力負荷を軽減することができる。そのために、昼間に一旦満充電した蓄電池3のバッテリー寿命を延ばすことができる。
【0032】
蓄電池3は大容量のバッテリーであることが好ましい。また、大容量であれば小型化も可能であり、太陽電池2に組み込んで一体化することも可能となる。そのために、コントローラ4や感震センサ5を含めて、図中の想像線に示すように、太陽電池2の裏面側に装着することも可能であり、小型の避難誘導照明灯装置1を構成することができる。
【0033】
太陽電池2は、太陽光の当たる任意の位置に設置すればよい。また、その受光面を太陽に向ける方が好ましい。そのために、例えば図2の実施形態に示すように、支柱10の最上部に突出する支持軸11を介して装着する構成とすることができる。また、この際に、前記支持軸11の先端部に任意の方向に首振り自在(例えば、球面座を介して固定する)に装着する構成とし、所望される所定方向に向けて固定することが好ましい。
【0034】
上記したように、本発明によれば、地震等の災害発生時に、太陽電池によって発電された電力を用いて避難誘導表示部を点灯あるいは点滅させて、人を誘導避難させることができる。また避難誘導表示部とは別にこの避難誘導表示部を照らす灯部を点灯あるいは点滅するので、さらに明るい表示が可能であり、周囲が暗くても、避難誘導表示部やその周囲を照らして、人の注意を喚起しやすい表示を行うことができる。そのために、遠方にいる人にも視認容易となって注意を促すことができ、さらに効果的な誘導を可能とする避難誘導照明灯装置を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明によると、太陽電池を用いた避難誘導照明灯装置であるので、照明や商用電源のない公園や路上に設置する避難誘導照明灯装置に利用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る避難誘導照明灯装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る避難誘導照明灯装置の一例を示す外観斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
1 避難誘導照明灯装置
2 太陽電池
3 蓄電池
4 コントローラ
5 感震センサ
6 灯部
7 避難誘導表示部
10 支柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池と、太陽電池によって充電される蓄電池と、蓄電池を電源として点灯される灯部と避難誘導表示部と、太陽電池の発電状態の監視と蓄電池の充電状態の監視、および灯部と避難誘導表示部の点灯状態を制御するコントローラを備え、
太陽電池が所定の起電力を生成している発電状態では、灯部を消灯し、所定の起電力以下および発電していない状態では、灯部を点灯あるいは点滅すると共に、
揺れを感知する感震センサを設け、この感震センサが所定の閾値以上の揺れを感知した時に、前記コントローラを介して避難誘導表示部を点灯あるいは点滅することを特徴とする避難誘導照明灯装置。
【請求項2】
前記灯部と前記避難誘導表示部が共に、光源として複数のチップ型LEDを備えていることを特徴とする請求項1に記載の避難誘導照明灯装置。
【請求項3】
前記灯部と前記避難誘導表示部が共に発光するときは、これらの発光状態を異ならせて、一方を点灯し、他方を点滅することを特徴とする請求項1または2に記載の避難誘導照明灯装置。
【請求項4】
前記感震センサが揺れを感知せず、前記太陽電池が所定の起電力以下および発電していない状態では、前記灯部を点灯し、前記感震センサが所定の閾値以上の揺れを感知した時に、前記避難誘導表示部を点灯し、前記灯部を点滅することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の避難誘導照明灯装置。
【請求項5】
前記太陽電池と前記蓄電池と前記灯部と前記避難誘導表示部と前記コントローラとを全て支柱に装着して一体的に構成すると共に、前記灯部を前記避難誘導表示部の上に配置したことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の避難誘導照明灯装置。
【請求項6】
前記灯部を、その断面形状が下向きにV型となる2面の点灯面を有する形状とし、斜め下方に向けた2面の点灯面により、下に位置する避難誘導表示部およびその周囲を照明することを特徴とする請求項5に記載の避難誘導照明灯装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−93575(P2009−93575A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−266026(P2007−266026)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】