説明

還元剤供給装置及びこれを備えた排気ガス浄化装置

【課題】排気ガスの流量が急激に増加してもNOx浄化反応の効率の低下を抑えることのできる還元剤供給装置及びこれを備えた排気ガス浄化装置を提供する。
【解決手段】還元剤供給装置10は、2枚のSUS製の板である前端板31及び後端板32と、前端板31と後端板32との間に挟まれた多孔質弾性シート33及び非多孔質弾性シート34とを備えている。多孔質弾性シートは、前端板31及び後端板32が互いに近づくような力を加えることによりその厚さ方向に圧縮されると共にその力が加えられなくなると元に戻るような弾性特性を有し、内部に多数の細孔を有することにより尿素水を吸収することができる。細孔中に尿素水が吸収された状態で多孔質弾性シート33が圧縮されると、細孔から尿素水が噴出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、還元剤供給装置及びこれを備えた排気ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を低減するために、尿素SCR(Selective Catalytic Reduction)システムが開発されている。尿素SCRシステムの基本構成は、一酸化窒素(NO)を酸化して二酸化窒素(NO)にするための酸化触媒と、酸化触媒の下流側に設けられ、尿素水から生成したアンモニアとNOxとの化学反応により、NOxを窒素(N)及び水(HO)に還元する(NOx浄化反応)ためのSCR触媒と、SCR触媒に尿素水を添加するための尿素添加システムと、SCR触媒の下流側に設けられ、SCR触媒における化学反応で消費されずに残ったアンモニアを酸化するための酸化触媒とから構成される。
【0003】
このような尿素SCRシステムが例えば、特許文献1に記載されている。この尿素SCRシステムでは、触媒担体の上流側に、複数の噴出孔が形成された格子状のパイプが設けられ、ポンプによって尿素水が格子状のパイプに送られて、噴出孔から触媒担体に向けて尿素水が供給されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−107450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の尿素SCRシステムでは、ポンプによって尿素水が噴出孔から供給されるので、排気ガスの流量が急激に変動した場合には、その変動に尿素水の供給量の調整が追随できず、NOx浄化反応の効率が悪化してしまうといった問題点があった。
【0006】
この発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、排気ガスの流量が急激に増加してもNOx浄化反応の効率の低下を抑えることのできる還元剤供給装置及びこれを備えた排気ガス浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る還元剤供給装置は、内燃機関から排出されて排気管を流通する排気ガス中のNOxを還元するSCR触媒が担持された触媒担体に還元剤を供給する還元剤供給装置であって、環状の外周部と外周部の径方向内側において孔部を有する内周部とをそれぞれ備える前端板及び後端板と、排気ガスの流れに対して前端板を上流側に配置すると共に後端板を下流側に配置し、前端板と後端板との間に挟まれるようにして配置された多孔質弾性シートであって、前端板及び後端板それぞれの孔部と重なるように多孔質弾性シートの厚み方向に貫通する貫通孔部を有すると共に還元剤を吸収可能な多孔質弾性シートとを備え、前端板に排気ガスの圧力が加わることにより、前端板が後端板に向かって押されて多孔質弾性シートが圧縮可能である。排気ガスの流量が急激に増加すると、それに応じて排気ガスにより前端板に加えられる圧力が上昇し、多孔質弾性シートが圧縮されて多孔質弾性シートに吸収されている還元剤が噴出するので、排気ガスの流量の急激な増加に追随した量の還元剤が多孔質弾性シートから噴出される。
前端板の外周部と後端板の外周部との間には、多孔質弾性シートを囲むように非多孔質弾性シートが設けられ、非多孔質弾性シートは、多孔質弾性シートと一緒に圧縮されてもよい。
前端板及び後端板それぞれの内周部は複数の棒状部材からなり、棒状部材は、それらの両端部以外の部分において一か所で交わったスポーク形状を構成し、隣り合う棒状部材の間に孔部が形成されてもよい。
【0008】
この発明に係る排気ガス浄化装置は、内燃機関から排出された排気ガス中のNOxを還元するSCR触媒が担持された触媒担体と、SCR触媒によってNOxを還元するために触媒担体に還元剤を供給する還元剤供給装置とを備え、還元剤供給装置は、環状の外周部と外周部の径方向内側において孔部を有する内周部とをそれぞれ備える前端板及び後端板と、排気ガスの流れに対して前端板を上流側に配置すると共に後端板を下流側に配置し、前端板と後端板との間に挟まれるようにして配置された多孔質弾性シートであって、前端板及び後端板それぞれの孔部と重なるように多孔質弾性シートの厚み方向に貫通する貫通孔部を有すると共に還元剤を吸収可能な多孔質弾性シートを備え、前端板に排気ガスの圧力が加わることにより、前端板が後端板に向かって押されて多孔質弾性シートが圧縮可能である。排気ガスの流量が急激に増加すると、それに応じて排気ガスにより前端板に加えられる圧力が上昇し、多孔質弾性シートが圧縮されて多孔質弾性シートに吸収されている還元剤が噴出するので、排気ガスの流量の急激な増加に追随した量の還元剤が多孔質弾性シートから噴出される。
前端板の外周部と後端板の外周部との間には、多孔質弾性シートを囲むように非多孔質弾性シートが設けられ、非多孔質弾性シートは、多孔質弾性シートと一緒に圧縮されてもよい。
前端板及び後端板それぞれの内周部は複数の棒状部材からなり、棒状部材は、それらの両端部以外の部分において一か所で交わったスポーク形状を構成し、隣り合う棒状部材の間に孔部が形成されてもよい。
還元剤供給装置は、後端板の外周部が触媒担体の上流側の端面に接するように配置されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、排気ガスの流量が急激に増加すると、それに応じて排気ガスによって前端板に加えられる圧力が上昇し、多孔質弾性シートが圧縮されて多孔質弾性シートに吸収されている還元剤が噴出することにより、排気ガスの流量の急激な増加に追随した量の還元剤が多孔質弾性シートから噴出されるので、NOx浄化反応の効率の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態に係る排気ガス浄化装置の構成模式図である。
【図2】この実施の形態に係る排気ガス浄化装置の触媒担体の断面図である。
【図3】この実施の形態に係る排気ガス浄化装置の還元剤供給装置の平面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】図3のV−V線に沿った断面図である。
【図6】図3のVI−VI線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、内燃機関であるディーゼルエンジン1から排出された排気ガスが流通する排気管2に、酸化触媒3と、ウォールフロー型の触媒担体6を備えた排気ガス浄化フィルタ4と、酸化触媒5とが設けられている。排気ガス浄化フィルタ4と酸化触媒5との間には、排気ガス中のNOx濃度を検出するためのNOxセンサ7が設けられている。触媒担体6の上流側の端面6aには、還元剤である尿素水を噴出する還元剤供給装置10が設けられている。還元剤供給装置10は、配管13を介して、尿素水が貯留されている尿素水タンク14に連通されている。配管13には、尿素水タンク14に貯留された尿素水を還元剤供給装置10に圧送するポンプ15と、電磁弁16とが設けられている。NOxセンサ7とポンプ15と電磁弁16とはそれぞれ、制御装置であるECU17に電気的に接続されている。
【0012】
図2に示されるように、触媒担体6は、多孔質性の基材21から構成されている。基材21の材質としては、コージェライト、アルミナ、炭化珪素等の、通常のフィルタ基材として用いられるセラミックス材料が利用できる。基材21の内部の細孔内には、NOxを還元するためのSCR触媒が担持されている。基材21のディーゼルエンジン1側の表面21aには、排気ガス中のパティキュレートマター(PM)を捕集する捕集層22がコーティングされている。捕集層22の材質としても基材21と同様の材料が利用可能である。触媒担体6の内部には、触媒担体6の軸方向に延びる複数の排気ガス通路23が形成されているが、触媒担体6はウォールフロー型の触媒担体であるので、各排気ガス通路23は、端面6a側及び他方の端面6b側のいずれか一方の端部が開口部23aを構成し、他方の端部が目封じ部23bを構成している。
【0013】
還元剤供給装置10の平面図を図3に示し、還元剤供給装置10における異なる部分の断面図を図4〜6に示す。図4に示されるように、還元剤供給装置10は、2枚のSUS製の板である前端板31及び後端板32と、前端板31と後端板32との間に挟まれた多孔質弾性シート33及び非多孔質弾性シート34とを備えている。前端板31は、触媒担体6(図1参照)の外径と同じ外径を有する環状の外周部31aと、外周部31aの径方向内側に設けられた6本の細長い板状の棒状部材31bとを有している。図3に示されるように、6本の棒状部材31bは、それぞれの両端部以外の部分(この実施の形態では中央部分)において一か所で交わったスポーク形状を形成することにより前端板31の内周部を構成している。隣り合う棒状部材31b間には、扇型形状の孔部31cが形成されている。図4に示されるように、後端板32も、外周部31aと同じ形状の外周部32aと、棒状部材31bと同じ形状及び同じ本数の棒状部材32bとを有している。棒状部材32bもスポーク形状を形成することにより後端板32の内周部を構成し、隣り合う棒状部材32b間には、扇型形状の孔部32c(図5参照)が形成されている。すなわち、前端板31と後端板32とは、同じ形状である。尚、還元剤供給装置10は、後端板32の外周部32aが触媒担体6の端部6a(図1参照)に接するようにして、排気管2(図1参照)に設置される。
【0014】
多孔質弾性シート33は、外周部31a,32a間の径方向内側半分の領域と、棒状部材31b,32b間とに設けられている。図5に示されるように、多孔質弾性シート33には、その厚さ方向に貫通するように、孔部31c,32cと同じ形状及びサイズの断面を有する貫通孔部33cが形成されている。孔部31c,32c及び貫通孔部33cは、還元剤供給装置10の貫通通路24を構成する。多孔質弾性シート33は、前端板31及び後端板32が互いに近づくような力を加えることによりその厚さ方向に圧縮されると共にその力が加えられなくなると元に戻るような弾性特性を有し、内部に多数の細孔を有することにより尿素水を吸収することができる。細孔中に尿素水が吸収された状態で多孔質弾性シート33が圧縮されると、細孔から尿素水が噴出する。このような機能を奏するために、多孔質弾性シート33は例えば、セピオライトのような多孔質無機材を主材として無機繊維を配合してシート状に形成したものを使用するとよい。
【0015】
図4に示されるように、非多孔質弾性シート34は、円筒形状を有し、外周部31a,32a間の径方向外側半分の領域に、多孔質弾性シート33を囲むように設けられている。非多孔質弾性シート34は、多孔質弾性シート33と一緒に縮むと共に元に戻るような弾性特性を有しているが、内部に細孔を有していないため、尿素水を吸収することができない。非多孔質弾性シート34は例えば、アルミナ繊維等から形成することができる。
【0016】
図6に示されるように、配管13は、非多孔質弾性シート34の外周面から内周面を貫通するように設けられた挿入孔35に挿入され、その端部が、多孔質弾性シート33と非多孔質弾性シート34との間に位置することにより、配管13が還元剤供給装置10に接続されている。尚、多孔質弾性シート33の外周面に窪んだ穴を形成し、この穴に配管13の端部を挿入するようにしてもよい。
【0017】
次に、この実施の形態に係る還元剤供給装置及びこれを備えた排気ガス浄化装置の動作について説明する。
図1に示されるように、ディーゼルエンジン1の始動後、排気ガスは排気管2を流通する。排気ガスが酸化触媒3を流通することにより、排気ガス中のNOの一部がNOに酸化される。続いて排気ガスは、排気ガス浄化フィルタ4に流入する。排気ガス浄化フィルタ4内において、排気ガスは、還元剤供給装置10の貫通通路24(図3及び5参照)を通り抜けた後、触媒担体6内に流入する。
【0018】
図2に示されるように、開口部23aを介して触媒担体6に流入した排気ガスは、排気ガス通路23を流通する。端面6a側の端部に開口部23aが設けられた排気ガス通路23は、端面6b側の端部に目封じ部23bが設けられているので、排気ガス通路23を流通する際に排気ガスは、排気ガス通路23の壁、すなわち捕集層22及び基材21を通り抜けて隣の排気ガス通路23へ移動する。この隣の排気ガス通路23は、端面6b側の端部に開口部23aが設けられているので、この開口部23aを介して触媒担体6から流出する。
【0019】
排気ガスが排気ガス通路23の壁を通り抜ける際、捕集層22によって、排気ガスに含まれるPMが捕集される。捕集層22を通り抜けた排気ガスは、基材21の内部の細孔を拡散しながら基材21を通り抜ける。この際、後述する動作により供給された尿素水が加水分解されたアンモニアと二酸化炭素(CO)となり、基材21の内部の細孔内に担持されたSCR触媒において、生成したアンモニアと排気ガス中のNOxとが反応して、窒素及び水となる。図1に示されるように、排気ガス浄化フィルタ4において消費されずに残ったアンモニアは、酸化触媒5において酸化される。このようにしてNOxが浄化された排気ガスは、排気管2を流通して大気中へ排気される。
【0020】
次に、尿素水が触媒担体6に供給される動作を、図1〜6に基づいて説明する。
NOxセンサ7は、排気ガス浄化フィルタ4から流出した排気ガス中のNOx濃度を検出し、この検出値がECU17に伝送される。ECU17は、NOxセンサ7の検出値に基づいて、ポンプ15の起動及び電磁弁16の開閉を制御する。例えば、ECU17にNOx濃度の上限値を予め設定しておき、NOxセンサ7の検出値がこの上限値以上となったら、排気ガス浄化フィルタ4においてNOxの浄化が必要であると判断し、ポンプ15を起動すると共に電磁弁16を開く。すると、尿素水タンク14内の尿素水が配管13を流通し、還元剤供給装置10に流入する。還元剤供給装置10に流入した尿素水は、後述する動作によって触媒担体6に供給される。逆に、NOxセンサ7の検出値がこの上限値未満の場合には、排気ガス浄化フィルタ4においてNOxの浄化が必要でないと判断し、ECU17は、ポンプ15を停止し、電磁弁16を閉じる。また、NOxセンサ7の検出値と尿素水の供給量とのマップ等をECU17に予め組み込んでおき、このマップに基づいて尿素水の供給量を調整するように、ポンプ15の起動及び電磁弁16の開閉を制御することもできる。
【0021】
還元剤供給装置10内において配管13の端部から流出した尿素水は、多孔質弾性シート33内の細孔中に吸収される。一方、非多孔質弾性シート34内には細孔が存在しないので、非多孔質弾性シート34には尿素水は吸収されない。多孔質弾性シート33の細孔中に吸収される尿素水の量が飽和すると、還元剤供給装置10へ尿素水が供給され続ける限り、多孔質弾性シート33から尿素水が湧出される。湧出した尿素水は、還元剤供給装置10の貫通通路24を通過する排気ガスに同伴されて、触媒担体6に流入する。
【0022】
ディーゼルエンジン1の稼働状態が急激に変化し、排出される排気ガス量が急激に増加して、排気管2を流通する排気ガスの流速が急激に上昇すると、触媒担体6において、NOx浄化反応に必要な尿素水が一時的に多くなる。この場合、還元剤供給装置10の後端板32が触媒担体6の端面6aに接しているので、急激に流速が上昇した排気ガスの圧力によって、前端板31が後端板32に向かって押されて移動する。すると、前端板31と後端板32とに挟まれる多孔質弾性シート33及び非多孔質弾性シート34はそれぞれ、それらの厚み方向に対して圧縮される。この際、多孔質弾性シート33には尿素水が吸収されているので、多孔質弾性シート33が圧縮されることによって、多孔質弾性シート33に吸収されていた尿素水の一部が噴出される。この噴出量は、多孔質弾性シート33が圧縮しない状態で多孔質弾性シート33から湧出する尿素水の量に比べて多いので、排気ガスの急激な流速の上昇に対して迅速に尿素水の供給量が増加する。
【0023】
排気ガスの流速の上昇が一時的なものであればすぐに、排気ガスの圧力によって前端板31が後端板32押されなくなるので、多孔質弾性シート33及び非多孔質弾性シート34はそれぞれの弾性力によって元の状態に戻る。その後は、ポンプ15による還元剤供給装置10への尿素水の供給により、元の条件と同じ条件で、多孔質弾性シート33から尿素水が湧出される。
【0024】
一方、排気ガスの流速の上昇が一時的なものではなく、継続的に続くのであれば、その後、NOxセンサ7による検出値が上昇することになるので、ECU17は、NOxセンサ7による検出値に基づいて、ポンプ15の回転数を上昇させて、還元剤供給装置10からの尿素水の湧出量を増加させる。
【0025】
また、排気管2を排気ガスが流通する際、排気ガスは一般的に、排気管2の壁面から中心部に向かって速度が大きくなるような速度分布をなす。これに対し、還元剤供給装置10において、多孔質弾性シート33の厚さ方向の断面が、前端板31及び後端板32それぞれの棒状部材31b及び32bと同じスポーク形状を構成するので、多孔質弾性シート33の外周縁から中心部に向かって、多孔質弾性シート33の本体の占める割合が増加する。すると、多孔質弾性シート33の各細孔から一様に尿素水が湧出又は噴出したとしても、還元剤供給装置10からの尿素水の供給量は、排気管2の壁面から中心部に向かって増加するようになる。その結果、排気ガスの速度が大きい個所に尿素水を多く供給するようになり、触媒担体6内でのNOx浄化反応の効率が向上する。
【0026】
このように、排気ガスの流量が急激に増加すると、それに応じて排気ガスによって前端板31に加えられる圧力が上昇し、多孔質弾性シート33が圧縮されて多孔質弾性シート33に吸収されている尿素水が噴出することにより、排気ガスの流量の急激な増加に追随した量の尿素水が多孔質弾性シート33から噴出されるので、NOx浄化反応の効率の低下を抑えることができる。
【0027】
この実施の形態では、棒状部材31b及び32bと多孔質弾性シート33の断面形状とがスポーク形状を構成していたが、この形態に限定するものではない。十字状や格子状、複数の細長い部分を平行に配置したりしてもよい。
【0028】
この実施の形態では、触媒担体6を構成する多孔質性の基材21のディーゼルエンジン1側の表面21aに、排気ガス中のPMを捕集する捕集層22がコーティングされているが、この形態限定するものではない。基材21にはPMを捕集する部材を設けずに、酸化触媒3と触媒担体6との間に、PMを捕集するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)を設けてもよい。また、この実施の形態では、触媒担体6はウォールフロー型であったが、フロースルー型であってもよい。
また、この実施の形態では、還元剤供給装置10を、後端板32が触媒担体6の上流側の端面6aに接するように設けたが、触媒担体6の端面6aと間隔をあけて配置してもよい。
【0029】
この実施の形態では、還元剤として尿素水を使用しているが、これに限定するものではない。アンモニア水、アンモニアガス等その他の還元剤を使用してもよい。
また、この実施の形態では、NOxセンサ7の検出値に基づいて還元剤の供給を制御したが、ディーゼルエンジン1の運転状況などを利用したり、併用したりして、還元剤の供給を制御してもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 ディーゼルエンジン(内燃機関)、2 排気管、6 触媒担体、6a (触媒担体の)端面、10 還元剤供給装置、31 前端板、31a (前端板の)外周部、31b 棒状部材(前端板の内周部)、31c (前端板の)孔部、32 後端板、32a (後端板の)外周部、32b 棒状部材(後端板の内周部)、32c (後端板の)孔部、33 多孔質弾性シート、33c (多孔質弾性シートの)貫通孔部、34 非多孔質弾性シート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関から排出されて排気管を流通する排気ガス中のNOxを還元するSCR触媒が担持された触媒担体に還元剤を供給する還元剤供給装置であって、
環状の外周部と該外周部の径方向内側において孔部を有する内周部とをそれぞれ備える前端板及び後端板と、
前記排気ガスの流れに対して前記前端板を上流側に配置すると共に前記後端板を下流側に配置し、前記前端板と前記後端板との間に挟まれるようにして配置された多孔質弾性シートであって、前記前端板及び前記後端板それぞれの前記孔部と重なるように前記多孔質弾性シートの厚み方向に貫通する貫通孔部を有すると共に前記還元剤を吸収可能な多孔質弾性シートと
を備え、
前記前端板に前記排気ガスの圧力が加わることにより、前記前端板が前記後端板に向かって押されて前記多孔質弾性シートが圧縮可能な還元剤供給装置。
【請求項2】
前記前端板の外周部と前記後端板の外周部との間には、前記多孔質弾性シートを囲むように非多孔質弾性シートが設けられ、該非多孔質弾性シートは、前記多孔質弾性シートと一緒に圧縮される、請求項1に記載の還元剤供給装置。
【請求項3】
前記前端板及び前記後端板それぞれの内周部は複数の棒状部材からなり、該棒状部材は、それらの両端部以外の部分において一か所で交わったスポーク形状を構成し、隣り合う棒状部材の間に前記孔部が形成されている、請求項1または2に記載の還元剤供給装置。
【請求項4】
内燃機関から排出された排気ガス中のNOxを還元するSCR触媒が担持された触媒担体と、
前記SCR触媒によってNOxを還元するために前記触媒担体に還元剤を供給する還元剤供給装置と
を備え、
該還元剤供給装置は、
環状の外周部と該外周部の径方向内側において孔部を有する内周部とをそれぞれ備える前端板及び後端板と、
前記排気ガスの流れに対して前記前端板を上流側に配置すると共に前記後端板を下流側に配置し、前記前端板と前記後端板との間に挟まれるようにして配置された多孔質弾性シートであって、前記前端板及び前記後端板それぞれの前記孔部と重なるように前記多孔質弾性シートの厚み方向に貫通する貫通孔部を有すると共に前記還元剤を吸収可能な多孔質弾性シートと
を備え、
前記前端板に前記排気ガスの圧力が加わることにより、前記前端板が前記後端板に向かって押されて前記多孔質弾性シートが圧縮可能な排気ガス浄化装置。
【請求項5】
前記前端板の外周部と前記後端板の外周部との間には、前記多孔質弾性シートを囲むように非多孔質弾性シートが設けられ、該非多孔質弾性シートは、前記多孔質弾性シートと一緒に圧縮される、請求項4に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項6】
前記前端板及び前記後端板それぞれの内周部は複数の棒状部材からなり、該棒状部材は、それらの両端部以外の部分において一か所で交わったスポーク形状を構成し、隣り合う棒状部材の間に前記孔部が形成されている、請求項4または5に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項7】
前記還元剤供給装置は、前記後端板の外周部が前記触媒担体の上流側の端面に接するように配置されている、請求項4〜6のいずれか一項に記載の排気ガス浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−87743(P2013−87743A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231448(P2011−231448)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】