説明

部品取付用の留め具

【課題】電源プラグやケーブル類等の部品を、TV等の背面のパネルに留め付けておくための留め具に関し、弾性爪を解除するための操作部材を、バネ部材の間隔内から突出させることで、目に付きやすい位置に配置できるばかりでなく、バネ部材と独立していることから、比較的に軽い力で操作することができるようにした。
【解決手段】支持脚50は、ベース40から垂下し、互いに離れて対向する少なくとも一対の弾性爪、ベース40から垂下し、パネル20の表面に弾性的に当接するとともに、両弾性爪の対向方向と直行する方向に対向する少なくとも一対のバネ部材90,91、両バネ部材の間隔内を通して、両弾性爪の対向方向外向きにそれぞれ突出し、両弾性爪を接近させる方向に操作可能であって、操作により両弾性爪を貫通孔中で縮径させるための少なくとも一対の操作部材101を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば電源プラグやケーブル類等の部品を、TV等の背面のパネルに留め付けておくための留め具に関し、弾性爪を解除するための操作部材を、バネ部材の間隔内から突出させることで、目に付きやすい位置に配置できるばかりでなく、バネ部材と独立していることから、比較的に軽い力で操作することができるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、嵌合片、連結片、脚片、解除片を連続して成形し、解除片を両側から挟み付けることで、解除片を内側に向けて変形させて、シャーシから抜き取ることができるようにした固定具が知られている(例えば特許文献1の段落番号「0020」及び図4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3938754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来の固定具は、解除片に嵌合片、連結片、脚片が連続して形成されていたので、解除片の位置がわかり難く、又、解除片に脚片が連続していたので、そのバネ力に抗して解除片を操作しなければならず、操作に要する力が増加するという問題点があった。
また、上記した従来の固定具は、板厚の許容幅を大きく取ろうとする場合、脚片を長くしなければならず、製品が大型化してしまうという問題点もあった。
そこで、各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次の点にある。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を目的とする。
【0005】
すなわち、請求項1に記載の発明は、弾性爪を解除するための操作部材を、バネ部材の間隔内から突出させることで、目に付きやすい位置に配置できるばかりでなく、バネ部材と独立していることから、比較的に軽い力で操作することができるようにしたものである。
また、請求項1に記載の発明は、バネ部材のより板厚を許容することができるようにしたものである。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0006】
すなわち、請求項2に記載の発明は、バネ部材のバネ力を向上できるばかりでなく、留め具の全体の形状を小型化することができるようにしたものである。
また、請求項2に記載の発明は、バネ部材の撓む区間を長く取れるため、当該バネ部材をへたりにくくできるようにしたものである。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項2に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0007】
すなわち、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明と同様に、バネ部材のバネ力を一層の向上を図ることができるばかりでなく、留め具の全体の形状の一層の小型化を図ることができるようにしたものである。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0008】
すなわち、請求項4に記載の発明は、電源プラグやケーブル類等の部品を留め付けるのに好適な留め具を提供することができるようにしたものである。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0009】
すなわち、請求項5に記載の発明は、2枚のパネルを重合状態に固定することができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した各目的を達成するためになされたものであり、各発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
なお、カッコ内の符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
また、図面番号も、発明の実施の形態において用いた図番を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を特徴とする。
【0011】
第1に、部品取付用の留め具(10)には、例えば図1、図2、図17及び図18に示すように、次の構成を備える。
なお、部品として、例えば図2及び図18に示すように、電源プラグ(30)や電源ケーブル(31)を例示するが、これらに限定されない。
(1)ベース(40)
【0012】
(2)支持脚(50)
支持脚(50)は、例えば図1、図2、図17及び図18に示すように、ベース(40)から垂下し、パネル(20)に設けられた貫通孔(21)に挿入され、当該パネル(20)の裏面に当接するものである。
【0013】
なお、パネルとして、TVの背面のパネル(20)を例示したが、これに限定されない。
第2に、支持脚(50)は、例えば図1、図3〜7、図11、図17及び図18に示すように、次の構成を備える。
(3)弾性爪(80,81)
弾性爪(80,81)は、例えば図3〜11及び図17〜20に示すように、少なくとも一対あり、ベース(40)から垂下し、互いに離れて対向するものである。
【0014】
(4)バネ部材(90,91)
バネ部材(90,91)は、例えば図3〜11、図17及び図18に示すように、少なくとも一対あり、ベース(40)から垂下し、パネル(20)の表面に弾性的に当接するものである。
(5)操作部材(100,101)
操作部材(100,101)は、例えば図1、図3〜11、図17及び図18に示すように、少なくとも一対あり、両バネ部材(90,91)の間隔内を通して、両弾性爪(80,81)の対向方向外向きにそれぞれ突出し、当該両弾性爪(80,81)を接近させる方向に操作可能であって、当該操作により両弾性爪(80,81)を貫通孔(21)中で縮径させるためのものである。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0015】
すなわち、バネ部材(90,91)は、例えば図1、図3、図4、図6及び図17に示すように、長さの途中が略V字形に折れ曲がっている。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項2に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0016】
すなわち、バネ部材(90,91)は、例えば図1、図3、図4、図6及び図17に示すように、略パンタグラフ状に折れ曲がっている。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0017】
すなわち、ベース(40)には、例えば図1、図3〜6、図17、図18及び図23に示すように、次の構成を備える。
(1)バンド(70)
バンド(70)は、例えば図1、図3〜6、図17、図18及び図23に示すように、一端部がベース(40)に固定され、他端部である自由端部を部品(例えば電源プラグ30)に巻き付け可能なものである。
【0018】
(2)差込溝(61)
差込溝(61)は、例えば図9、図10及び図23に示すように、バンド(70)の自由端部を差し込み可能なものである。
(3)ロック爪(111)
ロック爪(111)は、例えば図9、図10及び図23に示すように、差込溝(61)に差し込まれたバンド(70)に向かって弾性的に突出し、当該差込溝(61)中にバンド(70)をロックするものである。
【0019】
(4)第2の操作部材(例えば操作部112)
第2の操作部材(例えば操作部112)は、例えば図9、図10及び図23に示すように、ロック爪(111)に一端部が連結され、他端部が差込溝(61)から外側に突出し、差込溝(61)に差し込まれたバンド(70)から離隔する方向にロック爪(111)を操作可能なものである。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0020】
第1に、部品(例えば第2のパネル310)は、例えば図30に示すように、パネル(20)の表面に重なり合い、貫通孔(図示せず)に連通するとともに、支持脚(50)を挿入可能な連通孔を有する。
第2に、ベース(300)と支持脚(50)との間に、例えば図30に示すように、パネル(20)と部品(例えば第2のパネル310)とを重合状態に固定するようにしている。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
(請求項1)
請求項1に記載の発明によれば、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、弾性爪を解除するための操作部材を、バネ部材の間隔内から突出させることで、目に付きやすい位置に配置できるばかりでなく、バネ部材と独立していることから、比較的に軽い力で操作することができる。
また、請求項1に記載の発明によれば、バネ部材のより板厚を許容することができる。
(請求項2)
請求項2に記載の発明によれば、上記した請求項1に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0022】
すなわち、請求項2に記載の発明によれば、バネ部材のバネ力を向上できるばかりでなく、留め具の全体の形状を小型化することができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、バネ部材の撓む区間を長く取れるため、当該バネ部材をへたりにくくできる。
(請求項3)
請求項3に記載の発明によれば、上記した請求項2に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0023】
すなわち、請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明と同様に、バネ部材のバネ力を一層の向上を図ることができるばかりでなく、留め具の全体の形状の一層の小型化を図ることができる。
(請求項4)
請求項4に記載の発明によれば、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0024】
すなわち、請求項4に記載の発明によれば、電源プラグやケーブル類等の部品を留め付けるのに好適な留め具を提供することができる。
(請求項5)
請求項5に記載の発明によれば、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0025】
すなわち、請求項5に記載の発明によれば、2枚のパネルを重合状態に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】パネルに装着した状態の留め具の斜視図である。
【図2】留め具の使用状態を説明するための概略斜視図である。
【図3】留め具の斜視図である。
【図4】留め具の左側面図である。
【図5】留め具の正面図である。
【図6】留め具の右側面図である。
【図7】留め具の底面図である。
【図8】留め具の平面図である。
【図9】留め具の一部断面図である。
【図10】図4のA−A線に沿う断面図である。
【図11】図7のB−B線に沿う断面図である。
【図12】図11のC部の拡大図である。
【図13】図4のD−D線に沿う断面図である。
【図14】図8のE部の拡大図である。
【図15】図4のF部の拡大図である。
【図16】図6のC−C線に沿う断面図である。
【図17】留め具の使用状態を説明するための側面図である。
【図18】留め具の使用状態を説明するための一部を断面にした正面図である。
【図19】パネルに取り付けた状態の支持脚の断面図である。
【図20】パネルから取り外す際の支持脚の断面図である。
【図21】ベースの一部斜視図である。
【図22】図18のH−H線に沿う断面図である。
【図23】ロック爪とロック溝との係合状態を説明するための説明図である。
【図24】本発明の第2の実施の形態を示し、同図はパネルに装着した状態の留め具の斜視図である。
【図25】ベース本体の一部を切断した留め具の斜視図である。
【図26】ベース本体の一部を切断した留め具の正面図である。
【図27】留め具の一部を拡大した斜視図である。
【図28】留め具の使用状態を説明するための側面図である。
【図29】留め具の使用状態を説明するための一部を断面にした正面図である。
【図30】本発明の第3の実施の形態を示し、留め具の使用状態を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(留め具10)
図1中、10は留め具を示し、当該留め具10により、図2に示すように、パネルの一例であるTVの背面のパネル20に、部品の一例である電源プラグ30を固定したり、或いは電源ケーブル31を結束するのに使用される。
なお、パネルとして、TVの背面のパネル20を例示したが、これに限定されない。また、部品として、電源プラグ30や電源ケーブル31を例示したが、これらに限定されない。
【0028】
TV20の背面には、図18〜20に示すように、留め具10を取り付けるための貫通孔21を設けている。貫通孔21は、TV20の背面のパネル20の表裏面に貫通するとともに、その内縁には裏面に向かって断面L字形に突出した突縁部22を設けている。
具体的には、留め具10は、図1及び図3〜6に示すように、大別すると、次の各部を備え、適度な弾性と剛性とを有する熱可塑性の合成樹脂により一体的に成形されている。
【0029】
なお、次の(1)及び(2)については、後述する。
(1)ベース40
(2)支持脚50
なお、留め具10の各部は、上記した(1)及び(2)に限定されない。
(ベース40)
ベース40は、図18に示すように、部品の一例である電源プラグ30を取り付け可能なものである。
【0030】
具体的には、ベース40は、図1及び図3〜6に示すように、大別すると、次の各部を備える。
なお、次の(1)及び(2)については、後述する。
(1)ベース本体60
(2)バンド70
なお、ベース40の各部は、上記した(1)及び(2)に限定されない。
(支持脚50)
支持脚50は、図1及び図17〜20に示すように、ベース40から垂下し、パネル20に設けられた貫通孔21に挿入され、当該パネル20の裏面に当接するものである。
【0031】
具体的には、支持脚50は、図1及び図3〜11に示すように、大別すると、次の各部を備える。
なお、次の(1)〜(3)については、後述する。
(1)弾性爪80,81
(2)バネ部材90,91
(3)操作部材100,101
なお、支持脚50の各部は、上記した(1)〜(3)に限定されない。
(ベース本体60)
ベース本体60は、図1、図3〜6及び図9〜11に示すように、略角筒形に形成され、両端部が横向きに開放し、中空内部が後述するバンド70の自由端部を差し込み可能な差込溝61となっている。
【0032】
具体的には、ベース本体60は、図9〜11に示すように、差込溝61のほか、次の各部を備える。
なお、次の(1)及び(2)については、後述する。
(1)プレート部材110
(2)支持バネ120
なお、ベース本体60の各部は、上記した(1)及び(2)に限定されない。
(バンド70)
バンド70は、図1及び図3〜6に示すように、一端部がベース本体60に固定され、図18に示すように、他端部である自由端部を部品の一例である電源プラグ30や電源ケーブル31に巻き付け可能なものである。
【0033】
具体的には、バンド70の一端部は、図3〜6に示すように、ベース本体60の上壁の上面から上方に向かってほぼ垂直に延びている。バンド70の一端部は、ベース本体60の上壁のうち、バンド70の自由端部を差込溝61に差し込む差込方向を基準として、その後方側の端部に位置させている。
バンド70の表面、すなわち図13の向かって右側の面には、後述するプレート部材110のロック爪111がはまり込むロック溝71を、バンド70の長さの方向に沿って複数設けている。
【0034】
また、バンド70の自由端部には、図13に示すように、凹凸からなる滑止部72を設けている。
(プレート部材110)
プレート部材110は、図9、図10及び図23に示すように、差込溝61の内外に延びるものであり、板状に形成されている。
【0035】
プレート部材110は、図9、図10及び図23に示すように、次の各部を備える。
なお、次の(1)及び(2)については、後述する。
(1)ロック爪111
(2)操作部112
なお、プレート部材110の各部は、上記した(1)及び(2)に限定されない。
(支持バネ120)
支持バネ120は、図9及び図23に示すように、ベース本体60に一端部、すなわち下端部が固定され、他端部の上端部がプレート部材110の下面の長さの途中に連結され、当該プレート部材110を傾動可能に支持するとともに、樹脂の弾性復元力を利用し、前記傾動の角度を一定の位置に維持するものである。
【0036】
支持バネ120は、バンド70の差込方向を基準として、その前方に向かって断面C字形に湾曲している。
(ロック爪111)
ロック爪111は、図9、図10及び図23に示すように、プレート部材110の一端部に位置し、差込溝61に差し込まれたバンド70に向かって、支持バネ120のバネ力により弾性的に突出し、当該差込溝61中にバンド70をロックするものである。
【0037】
ロック爪111は、バンド70の差込方向を基準として、プレート部材110の後端部に位置し、その下面から、差込溝61の底面に向かって断面が略直角三角形形に突出する。ロック爪111は、バンド70の差込方向を基準として、その後方に斜面を位置させ、前方に切り立った係止面を位置させている。ロック溝71は、ロック爪111と相補的な形状に形成され、ロック爪111の斜面と当接する斜面と、ロック爪111の係止面と当接する係止面を有する。
【0038】
バンド70を差込溝61内に差し込み、その自由端部を差込溝61から引き出す際、すなわちバンド70が差込溝61を前進する際には、ロック爪111とロック溝71との斜面が互いに当接し、支持バネ120のバネ力に抗して、ロック爪111を押し上げ、或いは蹴り上げるようにして、ロック爪111の下側をロック溝71が通過する。
これに対し、バンド70を引き出す力を解放すると、支持バネ120のバネ力により、ロック爪111がロック溝71の一つに嵌り合って両者が噛み合う。この状態で、バンド70を差込溝61から引き抜こうとすると、すなわちバンド70が差込溝61を後退する際には、ロック爪111とロック溝71との切り立った係止面が互いに当接することで、差込溝61からのバンド70の抜けが阻止される。
(操作部112)
操作部112は、図9、図10及び図23に示すように、プレート部材110の他端部に位置し、ロック爪111をバンド70から離隔する方向に操作可能なものである。
【0039】
操作部112は、バンド70の差込方向を基準として、支持バネ120を挟んで、プレート部材110の前端部に位置し、差込溝61の開放前面から突出する。
操作部112には、図1及び図3〜6に示すように、凹凸からなる滑止部100a,101bを設けている。
(弾性爪80,81)
弾性爪80,81は、図11に示すように、少なくとも一対あり、ベース40のベース本体60から垂下し、互いに離れて対向するのものである。
【0040】
弾性爪80,81は、バンド70の差込方向を基準として、当該差込方向と直向する向きに対向する。弾性爪80,81の先端部は、斜面を背向させた断面直角三角形に形成されている。弾性爪80,81の斜面の頂点の間の間隔は、パネル20の貫通孔21の直径より大きく設定され、貫通孔21に挿入した際にベース本体60との間の基端部が撓むことで、互いに接近する方向に移動し、貫通孔21を縮径して通り抜ける。
(バネ部材90,91)
バネ部材90,91は、図3〜10に示すように、少なくとも一対あり、ベース40のベース本体60から垂下し、パネル20の表面に弾性的に当接するものである。
【0041】
バネ部材90,91は、図9及び図10に示すように、両弾性爪80,81の対向方向と直行する方向に対向する。具体的には、バネ部材90,91は、バンド70の差込方向を基準として、弾性爪80,81を挟んで、当該差込方向の前後に方向に対向する。
バネ部材90,91は、図3〜6に示すように、全体として略パンタグラフ状に折れ曲がり、長さの途中に位置し、互いに外向きに略V字形或いは略C形に折れ曲がった左右一対の屈曲部90a,90b,91a,91bと、下端部に位置し、左右一対の屈曲部90a,90b,91a,91bを連結するとともに、左右外向きに棒状に長く延びる当接部90c,91cとを備え、当接部90c,91cの全長をパネル20の貫通孔21の直径より長く設定している。
(操作部材100,101)
操作部材100,101は、図1、図3〜6及び図11に示すように、少なくとも一対あり、両バネ部材90,91の間隔内を通して、両弾性爪80,81の対向方向外向きにそれぞれ突出し、当該両弾性爪80,81を接近させる方向に操作可能であって、当該操作により両弾性爪80,81を貫通孔21中で縮径させるためのものである。
【0042】
操作部材100,101は、図11に示すように、両弾性爪80,81の長さの途中から外向きにブロック状に突出し、その外側端部を両バネ部材90,91の間隔内を通して外向きに突出させている。また、操作部材100,101の外面には、図12に示すように、断面波形に起伏した滑止部100a,101bを設けている。
(留め具10の使用方法)
つぎに、上記した構成を有する留め具10の使用方法について説明する。
(パネル20への装着)
まず、留め具10をパネル20に装着するには、その支持脚50の弾性爪80,81を、図17及び図18に示すように、パネル20の表面側から貫通孔21に合わせて挿入すれば良い。
【0043】
弾性爪80,81を貫通孔21に合わせて挿入すると、弾性爪80,81の外周が貫通孔21の内周に押され、両弾性爪80,81が互いに接近する方向に撓むことで、貫通孔21を通過する。両弾性爪80,81は、貫通孔21を通過後、樹脂の弾性復元力により復元することで、図19に示すように、パネル20の裏面に当接し、貫通孔21から抜けなくなる。
このとき、両バネ部材90,91の当接部90c,91cが、パネル20の表面に押されて弾性力を蓄積し、図17に示すように、パネル20の表面に弾性的に当接する。
【0044】
このため、パネル20は、図17〜19に示すように、両バネ部材90,91の当接部90c,91cと両弾性爪80,81との間で挟み持たれ、留め具10の支持脚50が貫通孔21にがた付き無く取り付く。
なお、パネル20の板厚が変化した際にも、両バネ部材90,91が屈曲することで、板厚の変化を吸収するため、留め具10をパネル20の板厚が変化に左右されず、常にがた付き無く取り付けることができる。
(パネル20からの取り外し)
一方、パネル20に装着した留め具10を取り外すには、図20に示すように、その支持脚50の操作部材100,101を互いに接近する方向に、指等により摘めば良い。
【0045】
操作部材100,101を互いに接近する押し込むと、図20に示すように、両弾性爪80,81が互いに接近する方向に撓む。このため、両弾性爪80,81の周囲の外周が縮径し、貫通孔21から引き抜くことができる。
(電源プラグ30の取り付け)
電源プラグ30を取り付ける際には、留め具10のバンド70を、図18に示すように、電源プラグ30の外側に巻き付け、その自由端部をベース本体60の差込溝61に合わせて差し込め良い。
【0046】
差込溝61に差し込むと、図23に示すように、バンド70のロック溝71の一つにロック爪111が嵌り合うことで、差込溝61から抜ける方向に、バンド70が差込溝61内を逆進できなくなる。
バンド70の自由端部を差込溝61から引き出すと、電源プラグ30に巻き付けられたバンド70のループが次第に小さくなり、電源プラグ30の外面を締め付ける。
【0047】
バンド70を引き出す力を解放すると、そのロック溝71の一つにロック爪111が嵌り合うことで、差込溝61内にバンド70がロックされる。
(電源プラグ30の取り外し)
一方、電源プラグ30を取り外す際には、プレート部材110の操作部112を、バンド70に接近する方向に押し上げれば良い。
このとき、操作部112は、目に付きやすい位置にあるため、簡単に操作部112を視認し、押すことができる。
【0048】
操作部112を押し上げると、支持バネ120を中心にプレート部材110が傾動し、操作部112に対し、支持バネ120を挟んでプレート部材110の他端部に位置するロック爪111が、バンド70から離隔する方向に上昇する。このため、バンド70のロック溝71の一つにはまり込んでいたロック爪111が、当該ロック溝71から浮上し、バンド70のロック状態が解除される。このため、
バンド70を、差込溝61から引き抜く方向に移動させることで、電源プラグ30に巻き付けられたバンド70のループを次第に大きくでき、当該ループ内から電源プラグ30を取り外すことができる。なお、バンド70を、差込溝61から完全に引き抜いても良い。
(第2の実施の形態)
図24〜29を用いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0049】
本実施の形態の特徴は、バンド70のロック状態を解除するための操作部221を、図24〜29に示すように、差込溝(図示せず)にバンド70を差し込む差込方向に対して、直交する向きに位置させている点である。
すなわち、ベース200は、差込溝(図示せず)を有するベース本体210と、ベース本体210に対して傾動可能に支持されたプレート部材220とを備える。プレート部材220は、断面L字形に折れ曲がり、一端部がバンド70の差込方向と平行に位置し、他端部が差込方向と直交する向き、すなわちバンド70と平行に位置する。
【0050】
バンド70の差込方向と平行に位置する、プレート部材220の一端部には、図示しないが、バンド70のロック溝の一つに嵌り合って噛み合うロック爪を設けている。
バンド70と平行に位置する、プレート部材220の他端部には、操作部221を設けている。バンド70には、操作部221が通過可能な切欠部230を設けている。
なお、本実施の形態の説明において、先に図1〜23を用いて説明した第1の実施の形態と同一の構成部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0051】
本実施の形態によれば、バンド70をベース本体210の差込溝(図示せず)に差し込むと、ロック爪(図示せず)がバンド70のロック溝(図示せず)の一つと噛み合い、ベース本体210の差込溝(図示せず)からバンド70が抜けなくなる。
一方、操作部221を、バンド70の切欠部230に向かって押し込むと、プレート部材220が傾動することで、反対側に位置するロック爪(図示せず)がロック溝(図示せず)から浮上する。このため、バンド70のロック状態が解除され、差込溝(図示せず)からバンド70を引き抜くことができるようになる。
【0052】
操作部221を押す力を解放すると、樹脂の弾性復元力により、プレート部材220が戻り傾動する。
(第3の実施の形態)
図30を用いて、本発明の第3の実施の形態について説明する。
本実施の形態の特徴は、先に図1〜23を用いて説明した第1の実施の形態のベース40のバンド70を省き、図30に示すように、2枚のパネル20,310を重合状態に固定することができるようにしたものである。
【0053】
すなわち、ベース300は、図30に示すように、板状に形成され、先に図1〜23を用いて説明した第1の実施の形態のベース40のバンド70を省いたものである。支持脚50は、図30に示すように、先に図1〜23を用いて説明した第1の実施の形態の支持脚50と同一の構造を採用している。
部品は、図30に示すように、第2のパネル310から構成する。第2のパネル310は、パネル20の表面に重なり合い、図示しないが、貫通孔(図示せず)に連通するとともに、支持脚50を挿入可能な連通孔を有する。
【0054】
なお、本実施の形態の説明において、先に図1〜23を用いて説明した第1の実施の形態と同一の構成部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施の形態によれば、パネル20と、第2のパネル310とを、図30に示すように、上下に重ね合わせ、図示しないが、両者の貫通孔と連通孔とを整合させる。
つぎに、支持脚50の弾性爪80,81を、互いに連通した貫通孔と連通孔とに一連に挿入することで、バネ部材90,91の当接部90c,91cとの間に、パネル20と第2のパネル310とを重合状態に挟み持つことができる。
【符号の説明】
【0055】
(第1の実施の形態)
10 留め具 20 TVの背面のパネル
21 貫通孔 22 突縁部
30 電源プラグ(部品) 31 電源ケーブル(部品)
40 ベース 50 支持脚
60 ベース本体 61 差込溝
70 バンド
71 ロック溝 72 滑止部
80,81 弾性爪 90,91 バネ部材
90a,90b,91a,91b 屈曲部 90c,91c 当接部
100,101 操作部材 100a,101b 滑止部
110 プレート部材
111 ロック爪 112 操作部
113 滑止部
120 支持バネ
(第2の実施の形態)
200 ベース 210 ベース本体
220 プレート部 221 操作部
230 切欠部
(第3の実施の形態)
300 ベース 310 第2のパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースから垂下し、パネルに設けられた貫通孔に挿入され、当該パネルの裏面に当接する支持脚とを備える部品取付用の留め具において、
前記支持脚は、
前記ベースから垂下し、互いに離れて対向する少なくとも一対の弾性爪と、
前記ベースから垂下し、前記パネルの表面に弾性的に当接する少なくとも一対のバネ部材と、
前記両バネ部材の間隔内を通して、両弾性爪の対向方向外向きにそれぞれ突出し、当該両弾性爪を接近させる方向に操作可能であって、当該操作により前記両弾性爪を前記貫通孔中で縮径させるための少なくとも一対の操作部材とを備えることを特徴とする部品取付用の留め具。
【請求項2】
請求項1に記載の部品取付用の留め具であって、
前記バネ部材は、
長さの途中が略V字形に折れ曲がっていることを特徴とする部品取付用の留め具。
【請求項3】
請求項2に記載の部品取付用の留め具であって、
前記バネ部材は、
略パンタグラフ状に折れ曲がっていることを特徴とする部品取付用の留め具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の部品取付用の留め具であって、
前記ベースには、
一端部が前記ベースに固定され、他端部である自由端部を前記部品に巻き付け可能なバンドと、
前記バンドの前記自由端部を差し込み可能な差込溝と、
前記差込溝に差し込まれた前記バンドに向かって弾性的に突出し、当該差込溝中に前記バンドをロックするロック爪と、
前記ロック爪に一端部が連結され、他端部が前記差込溝から外側に突出し、前記差込溝に差し込まれた前記バンドから離隔する方向に前記ロック爪を操作可能な第2の操作部材とを備えていることを特徴とする部品取付用の留め具。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の部品取付用の留め具であって、
前記部品は、
前記パネルの表面に重なり合い、前記貫通孔に連通するとともに、前記支持脚を挿入可能な連通孔を有し、
前記ベースと前記支持脚との間に、
前記パネルと前記部品とを重合状態に固定するようにしていることを特徴とする部品取付用の留め具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2012−62993(P2012−62993A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209509(P2010−209509)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】