説明

部品実装装置及び部品実装方法

【課題】ピン挿入型の部品の基板への装着時間を短縮して実装基板の生産性を向上させることができるようにした部品実装装置及び部品実装方法を提供することを目的とする。
【解決手段】吸着ノズル7aにより吸着した部品3を下方から撮像するとともに、基板2上の部品装着部位2aを上方から撮像し、得られた部品3の画像に基づいて、その部品3が備える複数の挿入ピンPの中から複数の挿入ピンPを指定する一方、得られた部品装着部位2aの画像に基づいて、指定した複数の挿入ピンPのそれぞれに対応する複数のピン孔Hを指定する。そして、挿入ピンP及びピン孔Hそれぞれの位置を算出し、指定した挿入ピンPが対応するピン孔Hの直上に位置するように吸着ノズル7aを移動させるのに必要な吸着ノズル7aの移動量を求めて吸着ノズル7aを移動させ、部品2と基板3の位置合わせを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着ノズルによりピン挿入型の部品をピックアップして基板に装着する部品実装装置及び部品実装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、吸着ノズルにより吸着してピックアップした部品を基板に装着する部品実装装置の一種として、下方に延びる複数の挿入ピンを有する部品(以下、ピン挿入型の部品と称する)の各挿入ピンを基板上の部品装着部位内に設けられた複数のピン孔に挿入して部品の基板への装着を行うタイプのものが知られている(例えば、特許文献1)。このようなタイプの部品実装装置では、ピックアップした部品を下方から撮像して挿入ピンの配列等から部品の中心位置及び部品の向きを求めるとともに、基板上の部品装着部位を上方から撮像してピン孔の配列等から部品装着部位の中心位置(この中心位置は部品装着時における部品の中心位置と上下に合致する)及び部品装着部位の向きを求め、求めた部品の中心位置と部品装着部位の中心位置とが上下に合致し、かつ部品の向きと部品装着部位の向きが一致するように位置合わせをしたうえで部品を下降させることによって、部品が備える各挿入ピンが基板上の対応するピン孔に挿入されるようにしていた。これは、部品と部品装着部位との間で中心位置と向きとをそれぞれ合わせることによってピンとピン孔とをあわせるという、いわば間接的な位置合わせ方法であるが、このような間接的な位置合わせ方法であっても、従来はピン孔の内径が挿入ピンの外形よりもやや大きめに形成されているのが通常であったことから、挿入ピンをピン孔に容易に挿入することができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−145200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年では電子機器が小型化する傾向にあり、これに伴って電子機器に内蔵される基板も小型化・狭ピッチ化している。このためピン挿入型の部品が取り付けられる基板では、ピン孔の内径はこれに挿入される挿入ピンの外形とほぼ同じか或いはわずかに小さく形成されるとともに、挿入ピンはピン孔に圧入して取り付けられるようになってきており、従来の間接的な位置合わせでは部品を基板に装着することが困難になってきている。このため部品実装装置のオペレータは、挿入ピンがピン孔に入らずに部品の基板への装着が失敗した場合には、これが成功するまで試行錯誤を繰り返す必要があり、ひとつの部品の基板への装着に要する時間が多大となって実装基板の生産性が低下してしまうという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、ピン挿入型の部品の基板への装着時間を短縮して実装基板の生産性を向上させることができるようにした部品実装装置及び部品実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の部品実装装置は、下方に延びる複数の挿入ピンを有する部品を吸着ノズルにより吸着してピックアップし、そのピックアップした部品の複数の挿入ピンが基板位置決め部により位置決めされた基板上の部品装着部位内の複数のピン孔に挿入されるように吸着ノズルを移動させて部品の基板への装着を行う部品実装装置であって、吸着ノズルにより吸着した部品を下方から撮像する部品撮像手段と、部品撮像手段による部品の撮像によって得られた画像に基づいて、その部品が備える複数の挿入ピンの中から複数の挿入ピンを指定する挿入ピン指定手段と、挿入ピン指定手段によって指定された複数の挿入ピンそれぞれの位置を算出する挿入ピン位置算出手段と、基板位置決め部により位置決めされた基板上の部品装着部位を上方から撮像する部品装着部位撮像手段と、部品装着部位撮像手段による部品装着部位の撮像によって得られた画像に基づいて、部品装着部位内の複数のピン孔の中から、挿入ピン指定手段によって指定された複数の挿入ピンのそれぞれに対応する複数のピン孔を指定するピン孔指定手段と、ピン孔指定手段によって指定された複数のピン孔それぞれの位置を算出するピン孔位置算出手段と、挿入ピン位置算出手段によって算出された各挿入ピンの位置及びピン孔位置算出手段によって算出された各ピン孔の位置に基づいて、指定された各挿入ピンがそれぞれ対応する各ピン孔の直上に位置するように吸着ノズルを移動させるのに必要な吸着ノズルの移動量を算出する移動量算出手段と、移動量算出手段により算出された移動量で吸着ノズルを移動させた後、部品の各挿入ピンが部品装着部位内の対応する各ピン孔内に挿入されるように吸着ノズルを基板に対して下降させる装着制御手段とを備えた。
【0007】
請求項2に記載の部品実装装置は、請求項1に記載の部品実装装置であって、挿入ピン指定手段は、部品実装装置のオペレータが複数の挿入ピンを任意に選択して指定することができる。
【0008】
請求項3に記載の部品実装方法は、下方に延びる複数の挿入ピンを有する部品を吸着ノズルにより吸着してピックアップし、そのピックアップした部品の複数の挿入ピンが基板位置決め部により位置決めされた基板上の部品装着部位内の複数のピン孔に挿入されるように吸着ノズルを移動させて部品の基板への装着を行う部品実装方法であって、吸着ノズルにより吸着した部品を下方から撮像する工程と、部品の撮像によって得られた画像に基づいて、その部品が備える複数の挿入ピンの中から複数の挿入ピンを指定する工程と、指定した複数の挿入ピンそれぞれの位置を算出する工程と、基板位置決め部により位置決めされた基板上の部品装着部位を上方から撮像する工程と、部品装着部位の撮像によって得られた画像に基づいて、部品装着部位内の複数のピン孔の中から、指定した複数の挿入ピンのそれぞれに対応する複数のピン孔を指定する工程と、指定した複数のピン孔それぞれの位置を算出する工程と、算出した各挿入ピンの位置及び算出した各ピン孔の位置に基づいて、指定した各挿入ピンがそれぞれ対応する各ピン孔の直上に位置するように吸着ノズルを移動させるに必要な吸着ノズルの移動量を算出する工程と、算出した移動量で吸着ノズルを移動させた後、部品の各挿入ピンが部品装着部位内の対応する各ピン孔内に挿入されるように吸着ノズルを基板に対して下降させる工程とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、吸着ノズルにより吸着した部品の挿入ピンとこれに対応する基板のピン孔との組み合わせを複数指定して挿入ピン及びピン孔それぞれの位置を算出し、対応する挿入ピンとピン孔とを上下に合致させる、いわば直接的な方法によって部品と基板との位置合わせ行ってから部品の各挿入ピンを基板の各ピン孔に挿入するようになっているので、部品は基板に確実に装着される。このため、試行錯誤を繰り返すことなく容易に部品を基板に装着することができ、ピン挿入型の部品の基板への装着時間を短縮して、実装基板の生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態における部品実装装置の斜視図
【図2】本発明の一実施の形態における部品実装装置が基板に装着する部品及び基板の一部の斜視図
【図3】(a)本発明の一実施の形態における部品実装装置が備える部品カメラにより部品を撮像して得られる部品画像の一例を示す図(b)部品画像をタッチパネルに表示した表示画像の一例を示す図
【図4】(a)本発明の一実施の形態における部品実装装置が備える基板カメラにより部品装着部位を撮像して得られる部品装着部位画像の一例を示す図(b)部品装着部位画像をタッチパネルに表示した表示画像の一例を示す図
【図5】本発明の一実施の形態における部品実装装置により吸着ノズルを移動させるときの移動量を示す図
【図6】本発明の一実施の形態における部品実装装置による部品実装作業の実行手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1において部品実装装置1は、基板2の搬入及び位置決め、位置決めした基板2上への部品(電子部品)3の装着及び部品3を装着した基板2の搬出から成る一連の動作を繰り返し実行する装置である。
【0012】
図1において、部品実装装置1は基板2の搬送及び位置決めを行う基板位置決め部としての搬送コンベア4、部品3が載置されたトレイ5aを所定の位置に移動させて部品3の供給を行う部品供給部としてのトレイフィーダ5、直交座標型のヘッド移動ロボット6によって三次元的に移動自在に設けられ、昇降及び上下軸回りの回転が可能な複数の吸着ノズル7aを備えた装着ヘッド7及び各部の作動制御を行う制御装置8を備えている。制御装置8は、搬送コンベア4による基板2の搬送及び位置決め動作、トレイフィーダ5によるトレイ5aの供給動作、ヘッド移動ロボット6による装着ヘッド7の移動動作及び装着ヘッド7に対する吸着ノズル7aの昇降、上下軸回りの回転動作及び吸着ノズル7aによる部品3の吸着動作の各制御を行う。
【0013】
図1において、部品3は下方に延びる複数の挿入ピンPを有しており、基板2上に設定された複数の部品装着部位2aのそれぞれには、部品3の各挿入ピンPが上方から挿入される複数のピン孔Hが設けられている。
【0014】
図2において、複数の挿入ピンPは部品3の下面に2列(第1列及び第2列)に並んで設けられており、各列にはそれぞれ8本の挿入ピンPが並んでいる。また、複数のピン孔Hは各部品装着部位2a内に2列(第1列及び第2列)に並んで設けられており、各列にはそれぞれ8個のピン孔Hが並んでいる。
【0015】
本実施の形態では、部品3に設けられた計16本の挿入ピンPがそれぞれ基板2上の対応するピン孔Hの上方に位置するようにした状態で部品3を基板2に対して相対的に下降させれば、各挿入ピンPが対応するピン孔H内に圧入されて、部品3が基板2上の部品装着部位2aに装着されるようになっている。
【0016】
図1において、搬送コンベア4とトレイフィーダ5との間には撮像視野を上方に向けた部品カメラ11が設けられている。部品カメラ11の撮像動作制御は制御装置8の作業実行部8aによってなされ、トレイフィーダ5から供給される部品3をピックアップした装着ヘッド7が部品3を基板2に装着する前(部品3が部品カメラ11の上方を通過する際)に、その部品3を下方から撮像する。このように本実施の形態において、部品カメラ11は、吸着ノズル7aにより真空吸着した部品3を下方から撮像する部品撮像手段として機能する。図3(a)に、部品カメラ11によって撮像された部品3の画像(部品画像SC1)の一例を示す。
【0017】
図1において、装着ヘッド7には撮像視野を下方に向けた基板カメラ12が設けられている。基板カメラ12の撮像動作制御は制御装置8の作業実行部8aによってなされ、装着ヘッド7がピックアップした部品3を基板2上の部品装着部位2aに装着する前、装着ヘッド7の移動によって移動して、その部品装着部位2aを上方から撮像する。このように本実施の形態において、基板カメラ12は、搬送コンベア4によって位置決めされた基板2上の部品装着部位2aを上方から撮像する部品装着部位撮像手段として機能する。図4(a)に、基板カメラ12によって撮像された部品装着部位2aの画像(部品装着部位画像SC2)の一例を示す。
【0018】
部品カメラ11の撮像動作によって得られた部品画像SC1の画像データと基板カメラ12の撮像動作によって得られた部品装着部位画像SC2の画像データはそれぞれ制御装置8に送られて画像認識部8b(図1)で画像認識される。
【0019】
画像認識部8bは、部品画像SC1の画像認識を行って部品3が備える各挿入ピンPを抽出し、その抽出した各挿入ピンPが視覚的に明確になるようにして(例えば挿入ピンPに相当する領域のみを色づけするなどして)、その画像を制御装置8に繋がる入出力装置としてのタッチパネル13に視覚表示する。図3(b)に、部品画像SC1のタッチパネル13での表示画像(部品表示画像DP1)を示す。
【0020】
また、画像認識部8bは、部品装着部位画像SC2の画像認識を行って部品装着部位2a内の各ピン孔Hを抽出し、その抽出した各ピン孔Hが視覚的に明確になるようにして(例えばピン孔に相当する領域にのみ色づけするなどして)、その画像をタッチパネル13に視覚表示する。 図4(b)に、部品装着部位画像SC2のタッチパネル13での表示画像(部品装着部位表示画像DP2)を示す。
【0021】
ここで、部品画像SC1は部品3を下から見た画像であり、部品装着部位画像SC2は部品装着部位2aを上から見た画像であって、タッチパネル13に表示された両画像を見た部品実装装置1のオペレータ(図示せず)が挿入ピンPとピン孔Hの対応を把握するときに不便である。このため制御装置8は、部品画像SC1のタッチパネル13での表示画像を部品画像SC1の左右(状況によっては上下も)を反転させてタッチパネル13に表示することにより(図3(b))、オペレータが挿入ピンPとピン孔Hとの対応が一見して分かるようにする。なお、タッチパネル13では、部品表示画像DP1と部品装着部位表示画像DP2を同時に表示するようにしてもよいし、オペレータの表示切り替え操作に応じて切り替えて表示するようにしてもよい。
【0022】
オペレータは、タッチパネル13に表示された部品表示画像DP1を見ながら、部品表示画像DP1中に示される複数の挿入ピンPの中から任意の2つの挿入ピンPを選択して指定する。この挿入ピンPの指定は、オペレータがタッチパネル13に表示される部品表示画像DP1の中の挿入ピンPを指でタッチすることによって行う。すなわち本実施の形態において、タッチパネル13は、部品カメラ11による部品3の撮像によって得られた画像(部品画像SC1)に基づいて、その部品3が備える複数の挿入ピンPの中から複数の挿入ピンPを指定する挿入ピン指定手段として機能する。
【0023】
制御装置8の挿入ピン位置算出部8c(挿入ピン位置算出手段。図1)は、オペレータによってタッチパネル13から指定された複数の挿入ピンPそれぞれの位置を、部品実装装置1を基準とした座標軸(絶対座標軸)での座標として算出する。ここで、部品カメラ11によって部品3を撮像するときの部品カメラ11の撮像視野の中心位置Q1(図3(a),(b))の座標は常に一定であって既知であることから、指定した各挿入ピンPの絶対座標軸での座標を、部品カメラ11の撮像視野の中心位置Q1からの相対変位量として把握するようにしてもよい。ここで、部品3の撮像時には通常、部品カメラ11の撮像視野の中心位置Q1に吸着ノズル7aの中心位置、すなわち部品3の吸着点が位置する。
【0024】
なお、挿入ピンPの指定は、対角上に位置する2つの挿入ピンPを含むように行うことが好ましい。後述するように、部品3と基板2との位置合わせは、オペレータが選択して指定した複数の挿入ピンPと、これら複数の挿入ピンPに対応する基板2上の複数のピン孔Hが上下に合致するように吸着ノズル7aを移動(上下軸回りの回転を含む)させることによって行われるが、その位置合わせの精度は選択した2つの挿入ピンPの距離が大きいほど高くなり、対角上に位置する2つの挿入ピンPは最も距離が大きい位置にあって、高精度での位置合わせを望めるからである。
【0025】
また、オペレータは、タッチパネル13に表示された部品装着部位表示画像DP2を見ながら、部品装着部位表示画像DP2中に示される複数のピン孔Hの中から、指定した複数の挿入ピンPに対応する複数のピン孔Hを指定する。このピン孔Hの指定は、オペレータがタッチパネル13に表示される部品装着部位表示画像DP2の中のピン孔Hを指でタッチすることによって行う。すなわち本実施の形態において、タッチパネル13は、基板カメラ12による部品装着部位2aの撮像によって得られた画像(部品装着部位画像SC2)に基づいて、挿入ピン指定手段としてのタッチパネル13によって指定された複数の挿入ピンPのそれぞれに対応する複数のピン孔Hを指定するピン孔指定手段として機能する。
【0026】
制御装置8のピン孔位置算出部8d(ピン孔位置算出手段。図1)は、オペレータによって指定された複数のピン孔Hそれぞれの位置を絶対座標軸での座標として算出する。ここで、基板カメラ12によって部品装着部位2aを撮像するときの基板カメラ12の撮像視野の中心位置Q2(図4(a),(b))の座標は既知であることから、指定した各ピン孔Hの絶対座標軸での座標を基板カメラ12の撮像視野の中心位置Q2からの相対変位量として把握するようにしてもよい。
【0027】
制御装置8の移動量算出部8e(移動量算出手段。図1)は、挿入ピン位置算出部8cによって算出された各挿入ピンPの位置と、ピン孔位置算出部8dによって算出された各ピン孔Hの位置とに基づいて、オペレータによって指定された挿入ピンPがそれぞれ対応する各ピン孔Hの直上に位置するように吸着ノズル7aを移動させるのに必要な吸着ノズル7aの移動量を算出する。
【0028】
この吸着ノズル7aの移動量の算出は、具体的には、オペレータによって指定された挿入ピンPの位置と、その挿入ピンPに対応するピン孔Hの位置との絶対座標軸での差分を、指定された複数の挿入ピンPそれぞれについて求めることによって行う。
【0029】
例えば、図5に示すように、オペレータが、部品3が備える複数の挿入ピンPの中から第1列の一端部の挿入ピンP(図5において符号をP1とする)と第2列の他端部の挿入ピンP(図5において符号をP2とする)との2つの挿入ピンPを選択した場合であって、部品カメラ11によって撮像された部品画像SC1に基づいて求められる2つの挿入ピンP1,P2の座標(XY座標とする)がそれぞれ(X1p,Y1p),(X2p,Y2p)であり、基板カメラ12によって撮像された部品装着部位画像SC2に基づいて求められる挿入ピンP1に対応するピン孔H(図5において符号をH1とする)と挿入ピンP2に対応するピン孔H(図5において符号をH2とする)との2つのピン孔H1,H2のXY座標がそれぞれ(X1h,Y1h),(X2h,Y2h)である場合には、挿入ピンP1の移動量(ΔX1,ΔY1)は(ΔX1,ΔY1)=(X1h−X1p,Y1h−Y1p)として求められ、挿入ピンP2の移動量(ΔX2,ΔY2)は(ΔX2,ΔY2)=(X2h−X2p,Y2h−Y2p)として求められる。
【0030】
制御装置8の作業実行部8aは、移動量算出部8eが上記移動量を算出したら、その移動量算出部8eが算出した移動量だけ、吸着ノズル7aを移動させて、部品3と基板2との位置合わせを行う。上記の例では、制御装置8の作業実行部8aは、部品3が部品カメラ11によって撮像された位置から挿入ピンP1が移動量(ΔX1,ΔY1)=(X1h−X1p,Y1h−Y1p)だけ移動し、かつ挿入ピンP2が移動量(ΔX2,ΔY2)=(X2h−X2p,Y2h−Y2p)だけ移動するように吸着ノズル7aを移動(上下軸回りの回転を含む)させる。
【0031】
制御装置8の作業実行部8aは、部品3と基板2との位置合わせが終了したら、吸着ノズル7aを下降させて、部品3を基板2に装着する。このとき、部品3が備える複数の挿入ピンPのぞれぞれは、基板2上の部品装着部位2a内の対応するピン孔Hに上方から挿入され、圧入される。
【0032】
このように本実施の形態における制御装置8の作業実行部8aは、挿入ピン位置算出部8cによって算出された各挿入ピンPの位置及びピン孔位置算出部8dによって算出された各ピン孔Hの位置に基づいて、指定された各挿入ピンPがそれぞれ対応する各ピン孔Hの直上に位置した後、部品3の各挿入ピンPが部品装着部位2a内の対応する各ピン孔H内に挿入されるように吸着ノズル7aを移動させる装着制御手段として機能する。
【0033】
次に、部品実装装置1により基板2に部品3を装着する部品実装作業の実行手順を説明する。この部品実装作業では、先ず、制御装置8の作業実行部8aが搬送コンベア4を作動させることにより、上流側の装置から送られてきた基板2を受け取って搬入し、所定の作業位置(図1に示す位置)に位置決めする。そして、ヘッド移動ロボット6の作動制御を行って、装着ヘッド7をトレイフィーダ5の上方に移動させ、吸着ノズル7aにより部品3を真空吸着して部品3のピックアップを行う(図6に示すステップST1のピックアップ工程)。
【0034】
制御装置8の作業実行部8aは、吸着ノズル7aによる部品3のピックアップを行ったら、ヘッド移動ロボット6を作動させ、ステップST1で吸着ノズル7aにより吸着(ピックアップ)した部品3が部品カメラ11の上方を通過するように装着ヘッド7を移動させつつ、その部品3を部品カメラ11により部品3の下方から撮像する(図6に示すステップST2の部品撮像工程)。
【0035】
制御装置8は、部品カメラ11による部品3の撮像を行ったら、得られた画像(部品画像SC1)のデータを取り込んで、画像認識部8bにおいて画像認識を実行し、部品3の異常(変形や欠損など)の有無の検査を行う(図6に示すステップST3の部品検査工程)。
【0036】
制御装置8の作業実行部8aは、部品3の異常の有無の検査を行ったら、部品表示画像DP1をタッチパネル13に表示させるとともに、オペレータに挿入ピンPの指定を促すメッセージをタッチパネル13に表示する(図6に示すステップST4の第1の画像表示工程)。
【0037】
制御装置8により、タッチパネル13に部品表示画像DP1及びオペレータに挿入ピンPの指定を促すメッセージが表示されたら、オペレータは、部品表示画像DP1(すなわち部品3の撮像によって得られた画像)に基づいて、その部品3が備える複数の挿入ピンPの中から複数の挿入ピンを指定する(図6に示すステップST5の挿入ピン指定工程)。
【0038】
オペレータが複数の挿入ピンPを指定したら、制御装置8の作業実行部8aは、挿入ピン位置算出部8cにおいて、オペレータが指定した複数の挿入ピンPそれぞれの位置を算出する(図6に示すステップST6の挿入ピン位置算出工程)。
【0039】
制御装置8は、オペレータが指定した複数の挿入ピンPそれぞれの位置を算出したら、搬送コンベア4により位置決めされた基板2の上方に装着ヘッド7を移動させて、基板カメラ12により、基板2上のこれから部品3の装着を行おうとしている部品装着部位2aを上方から撮像する(図6に示すステップST7の部品装着部位撮像工程)。
【0040】
制御装置8は、部品装着部位2aの撮像を行ったら、得られた画像(部品装着部位画像SC2)のデータを取り込んで、画像認識部8bにおいて画像認識を実行し、部品装着部位表示画像DP2をタッチパネル13に表示させるとともに、オペレータにピン孔Hの指定を促すメッセージをタッチパネル13に表示する(図6に示すステップST8の第2の画像表示工程)。
【0041】
制御装置8により、タッチパネル13に部品装着部位表示画像DP2及びオペレータにピン孔Hの指定を促すメッセージが出力されたら、オペレータは部品装着部位表示画像DP2(すなわち部品装着部位2aの撮像によって得られた画像)に基づいて、部品装着部位2a内の複数のピン孔Hの中から、ステップST5でオペレータが指定した複数の挿入ピンPのそれぞれに対応する複数のピン孔Hを指定する(図6に示すステップST9のピン孔指定工程)。
【0042】
オペレータが複数のピン孔Hを指定したら、制御装置8の作業実行部8aは、ピン孔位置算出部8dにおいて、オペレータが指定した複数のピン孔Hそれぞれの位置を算出する(図6に示すステップST10のピン孔位置算出工程)。
【0043】
制御装置8は、オペレータが指定した各ピン孔Hの位置を算出したら、ステップST6で算出した各挿入ピンPの位置及びステップST10で算出した各ピン孔Hの位置に基づいて、指定した各挿入ピンPがそれぞれ対応する各ピン孔Hの直上に位置するように(挿入ピンPとピン孔Hが上下に合致するように)吸着ノズル7aを移動させるのに必要な吸着ノズル7aの移動量を算出する(図6に示すステップST11の移動量算出工程)。
【0044】
制御装置8は、吸着ノズル7aの移動量を算出したら、その算出した移動量で吸着ノズル7aを移動させる(図6に示すステップST12の吸着ノズル移動工程)。これにより部品3の各挿入ピンPは、基板2上の対応するピン孔Hの上方に位置する。
【0045】
制御装置8の作業実行部8aは、吸着ノズル7aを移動量で移動させたら、吸着ノズル7aを(すなわち部品3を)下降させ、部品3の各挿入ピンPを部品装着部位2a内の対応するピン孔Hに上方から挿入(圧入)させて、部品3を基板2上の部品装着部位2aに装着する。すなわち制御装置8の作業実行部8aは、算出した各挿入ピンPの位置及び算出した各ピン孔Hの位置に基づいて、指定した各挿入ピンPがそれぞれ対応する各ピン孔Hの直上に位置した後、部品3の各挿入ピンPが部品装着部位2a内の対応する各ピン孔H内に挿入されるように吸着ノズル7aを基板2に対して下降させる。これにより部品3が基板2上の部品装着部位2aに装着される(図6に示すステップST13の部品装着工程)。
【0046】
制御装置8は、部品3を部品装着部位2aに装着したら、現在、部品3の装着を行っている基板2に装着すべき全ての部品3の装着が終了したかどうかの判断を行う(図6に示すステップST14の判断工程)。その結果、現在、部品3の装着を行っている基板2に装着すべき全ての部品3の装着が終了していなかった場合には、ステップST1に戻って新たに部品3のピックアップを行い、現在、部品3の装着を行っている基板2に装着すべき全ての部品3の装着が終了していた場合には、基板2への部品実装作業を終了する。
【0047】
このように、本実施の形態における部品実装装置1による部品実装方法は、吸着ノズル7aにより吸着した部品3を下方から撮像する工程(ステップST2の部品撮像工程)、部品3の撮像によって得られた画像(部品画像SC1)に基づいて、その部品3が備える複数の挿入ピンPの中から複数の挿入ピンPを指定する工程(ステップST5の挿入ピン指定工程)、指定した複数の挿入ピンPそれぞれの位置を算出する工程(ステップST6の挿入ピン位置算出工程)基板位置決め部である搬送コンベア4により位置決めされた基板2上の部品装着部位2aを上方から撮像する工程(ステップST7の部品装着部位撮像工程)、部品装着部位2aの撮像によって得られた画像(部品装着部位画像SC2)に基づいて、部品装着部位2a内の複数のピン孔Hの中から、指定した複数の挿入ピンPのそれぞれに対応する複数のピン孔Hを指定する工程(ステップST9のピン孔指定工程)、指定した複数のピン孔Hそれぞれの位置を算出する工程(ステップST10のピン孔位置算出工程)、算出した各挿入ピンPの位置及び算出した各ピン孔Hの位置に基づいて、指定した各挿入ピンPがそれぞれ対応する各ピン孔Hの直上に位置するように吸着ノズル7aを移動させるのに必要な吸着ノズル7aの移動量を算出する工程(ステップST11の移動量算出工程)及び算出した移動量で吸着ノズル7aを移動させた後、部品3の各挿入ピンPが部品装着部位2a内の対応する各ピン孔H内に挿入されるように吸着ノズル7aを基板2に対して下降させる工程(ステップST13の部品装着工程)を含むものとなっている。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態における部品実装装置1は、下方に延びる複数の挿入ピンPを有する部品3を吸着ノズル7aにより吸着してピックアップし、そのピックアップした部品3の複数の挿入ピンPを基板位置決め部である搬送コンベア4により位置決めされた基板2上の部品装着部位2a内の複数のピン孔Hに挿入して部品3の基板2への装着を行う部品実装装置1において、吸着ノズル7aにより吸着した部品3の挿入ピンPとこれに対応する基板2のピン孔Hとの組み合わせを複数指定して挿入ピンP及びピン孔Hそれぞれの位置を算出し、対応する挿入ピンPとピン孔Hとを上下に合致させる、いわば直接的な方法によって部品3と基板2との位置合わせ行ってから部品3の各挿入ピンPを基板2の各ピン孔Hに挿入するようになっているので、部品3は基板2に確実に装着される。このため、試行錯誤を繰り返すことなく容易に部品3を基板2に装着することができ、ピン挿入型の部品3の基板2への装着時間を短縮して、実装基板の生産性を向上させることができる。
【0049】
ここで、本実施の形態において、挿入ピンPの指定は、制御装置8の画像認識部8bによる部品3の画像(部品画像SC1)の画像認識の結果、予め設置した位置にある複数の挿入ピンPが自動で選択される構成となっていてもよいが、本実施の形態では、挿入ピン指定手段としてのタッチパネル13は、部品実装装置1のオペレータが複数の挿入ピンPを任意に選択して指定することができるようになっているので、画像認識部8bにおける画像認識の結果、挿入ピンPの位置を十分に把握できなかった場合や、部品3の形状等が変わったとき等であっても、適切な位置にある複数の挿入ピンPの指定を確実に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
ピン挿入型の部品の基板への装着時間を短縮して実装基板の生産性を向上させることができるようにした部品実装装置及び部品実装方法を提供する。
【符号の説明】
【0051】
1 部品実装装置
2 基板
2a 部品装着部位
3 部品
4 搬送コンベア(基板位置決め部)
7a 吸着ノズル
8a 作業実行部(装着制御手段)
8c 挿入ピン位置算出部(挿入ピン位置算出手段)
8d ピン孔位置算出部(ピン孔位置算出手段)
8e 移動量算出部(移動量算出手段)
11 部品カメラ(部品撮像手段)
12 基板カメラ(部品装着部位撮像手段)
13 タッチパネル(挿入ピン指定手段、ピン孔指定手段)
P 挿入ピン
H ピン孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方に延びる複数の挿入ピンを有する部品を吸着ノズルにより吸着してピックアップし、そのピックアップした部品の複数の挿入ピンが基板位置決め部により位置決めされた基板上の部品装着部位内の複数のピン孔に挿入されるように吸着ノズルを移動させて部品の基板への装着を行う部品実装装置であって、
吸着ノズルにより吸着した部品を下方から撮像する部品撮像手段と、
部品撮像手段による部品の撮像によって得られた画像に基づいて、その部品が備える複数の挿入ピンの中から複数の挿入ピンを指定する挿入ピン指定手段と、
挿入ピン指定手段によって指定された複数の挿入ピンそれぞれの位置を算出する挿入ピン位置算出手段と、
基板位置決め部により位置決めされた基板上の部品装着部位を上方から撮像する部品装着部位撮像手段と、
部品装着部位撮像手段による部品装着部位の撮像によって得られた画像に基づいて、部品装着部位内の複数のピン孔の中から、挿入ピン指定手段によって指定された複数の挿入ピンのそれぞれに対応する複数のピン孔を指定するピン孔指定手段と、
ピン孔指定手段によって指定された複数のピン孔それぞれの位置を算出するピン孔位置算出手段と、
挿入ピン位置算出手段によって算出された各挿入ピンの位置及びピン孔位置算出手段によって算出された各ピン孔の位置に基づいて、指定された各挿入ピンがそれぞれ対応する各ピン孔の直上に位置するように吸着ノズルを移動させるのに必要な吸着ノズルの移動量を算出する移動量算出手段と、
移動量算出手段により算出された移動量で吸着ノズルを移動させた後、部品の各挿入ピンが部品装着部位内の対応する各ピン孔内に挿入されるように吸着ノズルを基板に対して下降させる装着制御手段とを備えたことを特徴とする部品実装装置。
【請求項2】
挿入ピン指定手段は、部品実装装置のオペレータが複数の挿入ピンを任意に選択して指定することができることを特徴とする請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
下方に延びる複数の挿入ピンを有する部品を吸着ノズルにより吸着してピックアップし、そのピックアップした部品の複数の挿入ピンが基板位置決め部により位置決めされた基板上の部品装着部位内の複数のピン孔に挿入されるように吸着ノズルを移動させて部品の基板への装着を行う部品実装方法であって、
吸着ノズルにより吸着した部品を下方から撮像する工程と、
部品の撮像によって得られた画像に基づいて、その部品が備える複数の挿入ピンの中から複数の挿入ピンを指定する工程と、
指定した複数の挿入ピンそれぞれの位置を算出する工程と、
基板位置決め部により位置決めされた基板上の部品装着部位を上方から撮像する工程と、
部品装着部位の撮像によって得られた画像に基づいて、部品装着部位内の複数のピン孔の中から、指定した複数の挿入ピンのそれぞれに対応する複数のピン孔を指定する工程と、
指定した複数のピン孔それぞれの位置を算出する工程と、
算出した各挿入ピンの位置及び算出した各ピン孔の位置に基づいて、指定した各挿入ピンがそれぞれ対応する各ピン孔の直上に位置するように吸着ノズルを移動させるに必要な吸着ノズルの移動量を算出する工程と、
算出した移動量で吸着ノズルを移動させた後、部品の各挿入ピンが部品装着部位内の対応する各ピン孔内に挿入されるように吸着ノズルを基板に対して下降させる工程とを含むことを特徴とする部品実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−134341(P2012−134341A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285600(P2010−285600)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】