説明

部品搭載装置

【課題】電子部品フィーダのテープに保持された部品を取り出して回路基板に搭載する部品搭載装置において、スプライシング位置の認識の確実性を高める。
【解決手段】本発明の部品搭載装置は、部品残数算出手段により算出される部品残数が予め設定された残数に達したら、スプライシングを促すように警告表示し、オペレータからのスプライシング完了指示の入力後にスプライシング位置検出処理を開始する(図6)。また本装置は、スプライシング位置検出範囲7において所定個数分の連続取出しエラーが検出されない場合に、スプライシング位置の検出エラーを表示し、これに連動してスプライシング位置検出範囲の延長指示を入力するか又はスプライシング位置情報を入力するかをオペレータに選択させて入力させ、この入力指示に従ってスプライシング位置検出処理を敢行する(図8)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品搭載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えばIC、抵抗、コンデンサ等の電子部品を回路基板に搭載する装置として電子部品搭載装置が知られている。
【0003】
この電子部品搭載装置は、X−Y平面上を移動自在に制御される搭載ヘッドを備える。搭載ヘッドには吸着ノズルが装備されている。電子部品搭載装置は、電子部品を供給する電子部品フィーダから電子部品を吸着ノズルに吸着し、搭載ヘッドを回路基板の部品搭載位置まで移動し、吸着ノズル内に正圧を供給して電子部品を解放することで電子部品を回路基板へ搭載する。
上記電子部品フィーダとしては、後端部側に多数の電子部品が均一間隔で封入されたテープが巻回されたリールが装着されると共に、先端部近傍に搭載ヘッドへの電子部品の受け渡し部を有したものが適用されている。
電子部品搭載装置に複数の電子部品フィーダが装着される。電子部品搭載装置の制御部は、電子部品フィーダのテープを送り制御するとともに、搭載ヘッドをX−Y平面上で位置制御して電子部品フィーダの受け渡し部に配置し、搭載ヘッドの吸着ノズルに電子部品を吸着させて部品を取り出す。
【0004】
部品が保持されたテープリールの補充の際には、使用中のテープの終端と新規テープの始端とを継ぎ合わせて、部品搭載動作を継続可能とすることが行われている。テープとテープを継ぎ合わせることをスプライシング、テープとテープの継ぎ合い位置をスプライシング位置という。
特許文献1にも記載されるように部品搭載装置には、テープリールに保持された規格上の部品数を示す情報を取得して部品残数の初期値とし、初期値から使用部品数を減算することによって部品残数を管理するものがある。
特許文献1記載の発明にあっては、部品残数を正確に認識するために、使用中のテープと新規テープとのスプライシング位置に、予め設定された個数の空収容部を設けるとともに、部品残数が予め設定された許容範囲内にある状態で、上記空収容部の個数分の回数だけ取り出しエラーが発生した場合に、部品残数を新規テープのものに置き換えることを行う。又は、取り出しエラーが空収容部の個数分だけ発生し、かつその後に部品の取り出しが成功した場合に、部品残数を新規テープのものに置き換えることを行うとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4209243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、以上の従来技術にあっても次のような問題があった。
上記の空収容部をカウントする方法によれば、スプライシング位置が検出できるまで空収容部の検出動作を実施し続ける。スプライシングのミスにより空収容部の個数に間違いが生じていれば、空収容部を検出できずに部品の情報が新規テープのものに切り替わらないまま新規テープに保持された部品の供給が開始され、残数情報を誤るばかりでなく、部品とそのトレーサビリティ情報との関連付けにずれが生じるなどというおそれがある。
【0007】
本発明は以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、電子部品フィーダのテープに保持された部品を取り出して回路基板に搭載する部品搭載装置において、スプライシング位置の認識の確実性を高めることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するための請求項1記載の発明は、電子部品フィーダに装着されたテープに保持された部品を搭載ヘッドにより取り出して回路基板に搭載する部品搭載装置において、
使用中のテープと新規テープとのスプライシング位置に所定個数の連続した空収容部を設けるように規定され、
前記電子部品フィーダに装着されたテープに保持される部品保持数を示す情報を取得して当該部品保持数から当該電子部品フィーダからの部品取出し数を減算することにより当該電子部品フィーダの部品残数を算出する部品残数算出手段と、
前記部品残数算出手段により算出される部品残数が予め設定された残数に達したら、スプライシングを促すように警告表示するスプライシング警告表示手段と、
前記部品残数算出手段の算出する部品残数が0となる前記テープ上の位置を含む所定の部品個数分のスプライシング位置検出範囲で前記搭載ヘッドによる取出しエラーを検出して連続回数を計数し前記所定個数分に達したら、前記部品残数算出手段に部品残数を新規テープに係る前記部品保持数に切り替えさせるスプライシング位置検出処理を実行するスプライシング位置検出処理手段と、
前記スプライシング位置検出範囲において前記所定個数分の連続取出しエラーが検出されない場合に、前記テープのスプライシング位置の検出エラーを表示する検出エラー表示手段と、
前記検出エラー表示手段による検出エラー表示に連動して操作入力可能になり、前記スプライシング位置検出範囲の延長指示を入力するか又は前記テープのスプライシング位置情報を入力するかをオペレータに選択させて入力させる検出エラー時操作入力手段とを備え、
前記スプライシング位置検出処理手段は、前記延長指示の入力があれば当該延長指示に従った延長後のスプライシング位置検出範囲の終端まで前記スプライシング位置検出処理を実行し、前記スプライシング位置情報の入力があれば当該スプライシング位置情報及び新規テープに係る前記部品保持数に基づき前記部品残数算出手段に部品残数を計算させる部品搭載装置である。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記検出エラー時操作入力手段は、スプライシング位置情報の入力が選択された場合に、前記電子部品フィーダの搭載ヘッドへの部品の受け渡し部を通過した新規テープに属する部品数によってスプライシング位置情報を入力することが可能に構成され、
前記部品残数算出手段は、当該通過した部品数を新規テープに係る前記部品保持数から減算してスプライシング位置情報入力時の部品残数とし、
またその際にトレーサビリティ情報の修正を自動的に行う請求項1に記載の部品搭載装置である。
【0010】
請求項3記載の発明は、オペレータに前記テープのスプライシング完了指示を入力させるスプライシング完了操作入力手段を備え、
前記スプライシング位置検出処理手段は、前記スプライシング完了指示の入力時に前記電子部品フィーダの搭載ヘッドへの部品の受け渡し部に配置されている前記テープ上の位置以降の範囲に、スプライシング位置検出範囲を設定する請求項1に記載の部品搭載装置である。
【0011】
請求項4記載の発明は、前記スプライシング位置検出範囲の設定をオペレータにより変更操作可能とする操作入力手段を備える請求項1に記載の部品搭載装置である。
【発明の効果】
【0012】
本件請求項1に係る発明によれば、部品残数が予め設定された残数に達したら、スプライシングを促すように警告表示するので、スプライシングの未完了に基づくスプライシング位置の認識不能が防がれて、スプライシング位置の検出の確実性を高めることができ、 さらに、スプライシング位置の検出エラーを表示して、スプライシング位置検出範囲の延長指示又はスプライシング位置情報をオペレータに入力させ、これに基づき処理するので、人為的ミスや装置による検出ミスによりスプライシング位置を検出することができなかった場合にも、スプライシング位置を検出することができ、スプライシング位置の検出の確実性を高めることができるという効果がある。
【0013】
本件請求項2に係る発明によれば、スプライシング位置が検出されないままスプライシング位置が通過しても、オペレータから入力された通過した部品数によりスプライシング位置を認識するので、スプライシング位置の認識の確実性を高めることができるという効果がある。
【0014】
本件請求項3に係る発明によれば、スプライシングを促す警告表示の後にオペレータからスプライシング完了指示が入力され後にスプライシング位置検出処理を開始するので、スプライシング完了前の無駄な検出動作を防ぎ、スプライシング位置検出の可能性のある範囲にスプライシング位置検出範囲を限定することができるので、スプライシング位置の検出の確実性を高めることができるという効果がある。
【0015】
本件請求項4に係る発明によれば、スプライシング位置検出範囲の設定をオペレータにより変更操作可能とする操作入力手段を備えるので、オペレータの状況判断に基づきスプライシング位置検出範囲を変更することができ、スプライシング位置の検出の確実性を高めることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る部品搭載装置の主要構成を示す構成ブロック図である。
【図2】スプライシング位置前後の部品保持テープの平面図であり、スプライシング位置の空収容部が規定の5個で、スプライシング位置検出範囲に含まれる状況を示す。
【図3】スプライシング位置前後の部品保持テープの平面図であり、スプライシング位置の空収容部が規定より1個少ない4個で、スプライシング位置検出範囲に含まれる状況を示す。
【図4】スプライシング位置前後の部品保持テープの平面図であり、スプライシング位置の空収容部が規定の5個で、初期のスプライシング位置検出範囲外にある状況を示す。
【図5】スプライシング位置前後の部品保持テープの平面図であり、スプライシング位置の空収容部が規定の5個で、延長されたスプライシング位置検出範囲の延長部に含まれる状況を示す。
【図6】本発明の一実施形態に係る部品搭載装置によるスプライシング警告処理のフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係る部品搭載装置によるスプライシング位置検出処理のフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係る部品搭載装置によるスプライシング位置検出範囲終了処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の一実施形態につき図面を参照して説明する。以下は本発明の一実施形態であって本発明を限定するものではない。
【0018】
本発明の一実施形態に係る部品搭載装置は、図1に示すように、制御装置1と、吸着ノズルが装備された搭載ヘッド2と、回路基板搬送装置3と、電子部品フィーダ4と、表示装置5と、操作入力装置6とを備えて構成される。また図示しないが本部品搭載装置はCCDカメラ、センサ類を備える。
搭載ヘッド2は、一又は複数設けられる。電子部品フィーダ4は複数設けられる。各電子部品フィーダ4には、図2に示すように多数の電子部品が連付け保持されたテープがリールに巻回されて装備される。
表示装置5は画像表示機能及び音声表示機能を有する。
操作入力装置6は、操作キーによる入力装置や、表示装置5の表示画面に設置されるタッチセンサーによる入力装置が適用される。表示装置5及び操作入力装置6の形態として、部品搭載装置本体に設置されるもの、部品搭載装置本体と無線通信回線を介して繋がれた携帯端末等が適用される。
【0019】
本部品搭載装置は、電子部品フィーダ4に装着されたテープに保持された部品を搭載ヘッド2により取り出して回路基板に搭載する。
制御装置1は演算装置及び記憶装置を備える。制御装置1は各部を司り、搭載ヘッド2の位置制御、吸着ノズルの延出及び吸着動作の制御、回路基板搬送装置3の回路基板搬送制御、電子部品フィーダ4のテープ送り制御、表示装置5への表示出力制御、操作入力装置6からの入力情報の処理、プログラムに従った情報処理を担い、部品搭載動作を制御するほか、以下に説明する手段を必要により各部と連携して構成する。
【0020】
制御装置1は、上述した部品残数算出手段を構成する。そのために制御装置1は、電子部品フィーダ4に装着されたテープに保持される規格上の部品保持数を示す情報を取得する。さらに制御装置1は、部品搭載動作の進行に並行して、当該部品保持数から当該電子部品フィーダ4からの部品取出し数を減算することにより当該電子部品フィーダ4の部品残数を算出し記憶保持する。
【0021】
また制御装置1は、上述したスプライシング警告表示手段を構成する。そのために制御装置1は、上記により算出される部品残数が予め設定された残数に達したら、スプライシングを促すように表示装置5に警告表示する。スプライシング警告表示に係る設定残数(「部品残数1」とする。)は、プログラムの書込時に初期値が入力され記憶装置に記憶され、操作入力装置6から変更操作可能とされる。すなわち、本部品搭載装置は、部品残数1の設定をオペレータにより変更操作可能とする操作入力手段を備える。部品残数1の設定においては、スプライシング警告開始位置が計算上の残数0を基点とする部品残数により設定される。
【0022】
本部品搭載装置は、電子部品フィーダ4に装着される使用中のテープと新規テープとのスプライシング位置に所定個数(例えば5個)の連続した空収容部を設けるように規定され、所定個数の連続した空収容部をスプライシング位置として検出する。
制御装置1は、上述したスプライシング位置検出処理手段を構成する。そのために制御装置1は、搭載ヘッド2による取出しエラーを示すセンサ信号を受信している。
さらに制御装置1はスプライシング位置検出範囲においては次のスプライシング位置検出処理を実行する。すなわち、制御装置1は、搭載ヘッド2による取出しエラーの連続回数を計数し所定個数分に達したら、部品残数を新規テープに係る部品保持数に切り替える。
スプライシング位置検出範囲は、前述のようにして算出する部品残数が0となるテープ上の位置を含む所定の部品個数分に相当する。スプライシング位置検出範囲は、プログラムの書込時に初期値が入力され記憶装置に記憶され、操作入力装置6から変更操作可能とされる。すなわち、本部品搭載装置は、スプライシング位置検出範囲の設定をオペレータにより変更操作可能とする操作入力手段を備える。スプライシング位置検出範囲の設定とは、スプライシング位置検出範囲の長さ、スプライシング位置検出の開始位置及び終了位置等の変数により設定され、長さは部品数により、開始位置は計算上の残数0を基点とする部品残数により、終了位置は計算上の残数0を基点とする(−部品残数)により設定される。長さのみの操作設定の場合は、計算上の残数0点が中央となるように処理する。但し、本実施形態においてスプライシング位置検出処理は、オペレータからのスプライシング完了指示の入力後に開始し、こちらを優先する。
【0023】
制御装置1は、上述した検出エラー表示手段を構成する。そのために制御装置1は、スプライシング位置検出範囲において前記所定個数分の連続取出しエラーが検出されない場合に、スプライシング位置の検出エラーを表示装置5に表示する。
【0024】
制御装置1は、検出エラー表示に連動して操作入力可能になり、スプライシング位置検出範囲の延長指示を入力するか又はスプライシング位置情報を入力するかをオペレータに選択させて入力させる検出エラー時操作入力手段を構成する。そのために制御装置1は表示装置5に検出エラー表示を行い、さらにその選択を求める操作案内を表示し、操作入力装置6を介したオペレータからの入力を処理する。制御装置1のスプライシング位置検出処理としては、延長指示の入力があれば当該延長指示に従った延長後のスプライシング位置検出範囲の終端までスプライシング位置検出処理を実行し、スプライシング位置情報の入力があれば当該スプライシング位置情報及び新規テープに係る部品保持数に基づき部品残数を計算する。
【0025】
さらに図2〜図8を参照して本部品搭載装置のスプライシングに関する処理内容につき説明する。
【0026】
本部品搭載装置は、図6に示し以下に説明するスプライシング警告処理を実行する。
まず、制御装置1は各電子部品フィーダ4についてスプライシング対象か否か判断する(ステップS1)。スプライシング対象とはスプライシングを要するものを示す。したがって、スプライシングを要しない電子部品フィーダ4はスプライシング対象から外しておく。スプライシング対象か否かの情報は、予め操作入力装置6を介してオペレータが電子部品フィーダ4の設定として入力する。制御装置1は、スプライシング対象か否かの情報を記憶保持し、これに基づき判断する。
制御装置1は、スプライシング対象外の電子部品フィーダ4に関しては(ステップS1でNO)、警告表示をしない。
【0027】
制御装置1はスプライシング対象の電子部品フィーダ4に関して計算上の部品残数が部品残数1以内か否か判断し(ステップS2)、ステップS2でNOであれば搭載ヘッド2による次の部品の吸着動作(ステップS3)の後、ステップS1に戻り部品を受け渡した電子部品フィーダ4についてスプライシング対象か否か判断する。
【0028】
制御装置1はステップS2でYESであれば、表示装置5にスプライシング警告表示をする(ステップS4)。スプライシング警告表示は、警告対象となる電子部品フィーダ4を特定する形態で行う。この警告表示に連動して制御装置1は表示装置5を制御して、オペレータにスプライシング完了指示の入力を案内する表示を展開する。スプライシング完了指示の入力案内は、スプライシング警告表示と同時に表示しても良いし、スプライシング警告表示の後、オペレータからの操作入力に応じて展開してもよい。
オペレータはスプライシング警告表示に促されてスプライシングを行った後、操作入力装置6を操作してスプライシング完了指示を入力し、制御装置1はオペレータから操作入力装置6を介して入力されたスプライシング完了指示の入力を受ける(ステップS5)。
制御装置1は、スプライシング完了指示の入力を受けると、スプライシング位置検出処理(図7)を開始する(ステップS6)。
【0029】
以上のように制御装置1は、スプライシング完了指示の入力を受けた後に、スプライシング位置検出処理を実行する、すなわち、制御装置1はスプライシング完了指示の入力時に電子部品フィーダ4の搭載ヘッド2への部品の受け渡し部に配置されているテープ上の位置以降に範囲に、スプライシング位置検出範囲を設定する。
【0030】
次にスプライシング位置検出処理につき説明する。本部品搭載装置は、図7に示し以下に説明するスプライシング位置検出処理を実行する。
まず、制御装置1は、部品残数の順次減算処理に伴って逐一にスプライシング位置検出範囲に入ったか否か判断する(ステップS11)。
ステップS11でNOの場合、搭載ヘッド2による通常の部品吸着搭載動作(ステップS18)のみを継続する。
ステップS11でYESの場合、搭載ヘッド2による部品吸着動作(ステップS12)とともに、次の処理を実行する。すなわち、制御装置1は搭載ヘッド2による部品吸着(ステップS12)の後、吸着エラーか否か判断する(ステップS13)。
ステップS13でNOの場合、制御装置1は吸着成功として部品搭載動作を実行し(ステップS15)、吸着エラーカウンタをクリアし(ステップS16)、さらに次の部品吸着動作(ステップS12)へ処理を進める。
ステップS13でYESの場合、制御装置1は吸着エラーカウンタを累進させ、連続した吸着エラーの回数がスプライシング位置に設けられる空収容部の所定個数に相当する回数か否か判断する(ステップS14)。
ステップS14でNOの場合、制御装置1は次の部品吸着動作(ステップS12)へ処理を進める。
ステップS14でYESの場合、制御装置1は計算上の部品残数を新規テープの部品保持数に切り替え、必要なトレーサビリティ情報の関連付け等の処理を行い(スプライシング位置検出完了処理:ステップS17)、スプライシング位置検出処理を終了する。
【0031】
以上のスプライシング位置検出処理について図2を参照して説明する。さらにスプライシング位置検出範囲終了処理につき図3〜図5及び図8を参照して説明する。スプライシング位置に設けられる空収容部の所定個数を5個とする。
図2〜図5において、マス目は部品収容部を示し、7はスプライシング位置検出範囲、8aは先に使用される旧テープの部品保持部、「残数0」は制御装置1による計算上の部品残数0の位置を示し、8bは新規テープの部品保持部、9a、9bは旧テープの終端部と新規テープの始端部とのスプライシングにより構成された空収容部である。空収容部9aは正しく規定の5個分の空きを構成している。
【0032】
図2に示す連続2個分10において吸着エラーが連続して起こり、その次に吸着できたとする。この場合、ステップS12→ステップS13(YES)→ステップS14(NO)→ステップS12→ステップS13(YES)→ステップS14(NO)→ステップS12→ステップS13(NO)→ステップS15→ステップS16との過程で処理される。すなわち、連続2個分10は、スプライシング位置検出範囲7内にあるが、連続吸着エラーが5回に至らないので、スプライシング位置として検出されることはない。
【0033】
連続2個分10を通過してさらに吸着動作が進むと、空収容部9aで連続5回の吸着エラーが生じるから、ステップS14でYESとなって制御装置1は計算上の部品残数を新規テープの部品保持数に切り替え、必要なトレーサビリティ情報の関連付け等の処理を行う(ステップS17)。これにより制御装置1は新規テープの部品保持部8bの最初の部品から数えて新規テープに規定される部品保持数が部品残数であると認識する。
【0034】
一方、図3に示す状況にあっては、スプライシング位置に設けられる空収容部9bの空き個数が4個である。空収容部の個数の過誤はスプライシングの作業ミスにより起こり得る。
また、図4に示す状況にあっては、連続5個分の空きを構成する規定の空収容部9aがあるのもの、空収容部9aがスプライシング位置検出範囲7の後にある。このような状況は計算上の部品残数よりも実際の部品残数が多い場合に起こり得る。
図3に示す状況にあっても、図4に示す状況にあっても、スプライシング位置検出範囲7内に連続5個の空収容部が存在しないから、スプライシング位置検出処理をスプライシング位置検出範囲7の終端まで進めてもスプライシング位置を検出できない。
これを解決するため、図8に示すスプライシング位置検出範囲終了処理を導入する。
【0035】
図8に示すようにスプライシング位置検出範囲終了処理としては、まず、制御装置1は部品の吸着動作(ステップS21)による部品残数の順次減算に伴ってスプライシング位置検出範囲が終了したか否か判断する(ステップS22)。
ステップS22でNOの場合、制御装置1は搭載ヘッド2を制御して部品搭載動作を実行し(ステップS23)、次の吸着動作に入る(ステップS21)。
【0036】
ステップS22でYESの場合、制御装置1はスプライシング位置の検出エラーを表示装置5に表示させる(ステップS24)。図3及び図4に示す状況においてはスプライシング位置検出範囲7の終端まで進んだ時点において本ステップによりスプライシング位置の検出エラーが表示装置5に表示される。
さらに制御装置1はスプライシング位置検出範囲7の延長指示を入力するか又はスプライシング位置情報を入力するかの操作案内を表示装置5に表示してオペレータに選択させる(ステップS25)。
【0037】
図4に示す状況においてオペレータはスプライシング位置検出範囲7の先に規定の空収容部9aがあることが確認できるから、オペレータは延長を選択する。
ステップS25でNOの場合、すなわち、スプライシング位置検出範囲7の延長指示がオペレータから入力された場合、制御装置1は図5に示すように延長範囲7eを設けてスプライシング位置検出範囲を延長し(ステップS29)、図7に示したスプライシング位置検出処理へ移行して、スプライシング位置検出処理を再開する(ステップS30)。延長範囲7eの長さは、予め設定され制御装置1に記憶保持される長さに制御装置1が自動的に設定してもよいし、制御装置1がオペレータに求めて延長範囲7eの長さの選択や部品数の数値入力による延長範囲7eの長さの選択又は入力をさせて設定してもよい。
【0038】
図3に示す状況においてオペレータはスプライシング位置を過ぎていることが確認できるから、オペレータはスプライシング位置情報を入力することを選択する。
ステップS25でYESの場合、すなわち、スプライシング位置情報を入力することがオペレータによって選択された場合、制御装置1は表示装置5を制御して現在位置とスプライシング位置との間に部品数差があるか否かの入力をオペレータに要求する(ステップS26)。
オペレータからの操作入力装置6を介した入力により部品数差が無いと入力された場合(ステップS26でNO)、制御装置1は現在位置をスプライシング位置として計算上の部品残数を新規テープの部品保持数に切り替え、必要なトレーサビリティ情報の関連付け等の処理を行う(スプライシング位置検出完了処理:ステップS28)。
オペレータからの操作入力装置6を介した入力により部品数差があると入力された場合(ステップS26でYES)、制御装置1は表示装置5を制御して現在位置とスプライシング位置との間の部品数の入力をオペレータに求め、オペレータから操作入力装置6を介して当該部品数の入力を受ける(ステップS27)。すなわち、電子部品フィーダ4の搭載ヘッド2への部品の受け渡し部を通過した新規テープ8bに属する部品数によってスプライシング位置情報を入力する。
ステップS27の後、制御装置1は現在位置における計算上の部品残数を新規テープの部品保持数からステップS27の入力部品数を減じた数に切り替え、必要なトレーサビリティ情報の関連付け等の処理を行う(スプライシング位置検出完了処理:ステップS28)。
【0039】
以上のスプライシング位置検出範囲終了処理を設けこれを実行することによって、人為的ミスや装置による検出ミスによりスプライシング位置を検出することができなかった場合にも、スプライシング位置を検出することができ、スプライシング位置の検出の確実性を高めることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 制御装置
2 搭載ヘッド
3 回路基板搬送装置
4 電子部品フィーダ
5 表示装置
6 操作入力装置
7 スプライシング位置検出範囲
7e 延長範囲
8a 旧テープの部品保持部
8b 新規テープの部品保持部
9a 規定の空収容部
9b 規定より1少ない空収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品フィーダに装着されたテープに保持された部品を搭載ヘッドにより取り出して回路基板に搭載する部品搭載装置において、
使用中のテープと新規テープとのスプライシング位置に所定個数の連続した空収容部を設けるように規定され、
前記電子部品フィーダに装着されたテープに保持される部品保持数を示す情報を取得して当該部品保持数から当該電子部品フィーダからの部品取出し数を減算することにより当該電子部品フィーダの部品残数を算出する部品残数算出手段と、
前記部品残数算出手段により算出される部品残数が予め設定された残数に達したら、スプライシングを促すように警告表示するスプライシング警告表示手段と、
前記部品残数算出手段の算出する部品残数が0となる前記テープ上の位置を含む所定の部品個数分のスプライシング位置検出範囲で前記搭載ヘッドによる取出しエラーを検出して連続回数を計数し前記所定個数分に達したら、前記部品残数算出手段に部品残数を新規テープに係る前記部品保持数に切り替えさせるスプライシング位置検出処理を実行するスプライシング位置検出処理手段と、
前記スプライシング位置検出範囲において前記所定個数分の連続取出しエラーが検出されない場合に、前記テープのスプライシング位置の検出エラーを表示する検出エラー表示手段と、
前記検出エラー表示手段による検出エラー表示に連動して操作入力可能になり、前記スプライシング位置検出範囲の延長指示を入力するか又は前記テープのスプライシング位置情報を入力するかをオペレータに選択させて入力させる検出エラー時操作入力手段とを備え、
前記スプライシング位置検出処理手段は、前記延長指示の入力があれば当該延長指示に従った延長後のスプライシング位置検出範囲の終端まで前記スプライシング位置検出処理を実行し、前記スプライシング位置情報の入力があれば当該スプライシング位置情報及び新規テープに係る前記部品保持数に基づき前記部品残数算出手段に部品残数を計算させる部品搭載装置。
【請求項2】
前記検出エラー時操作入力手段は、スプライシング位置情報の入力が選択された場合に、前記電子部品フィーダの搭載ヘッドへの部品の受け渡し部を通過した新規テープに属する部品数によってスプライシング位置情報を入力することが可能に構成され、
前記部品残数算出手段は、当該通過した部品数を新規テープに係る前記部品保持数から減算してスプライシング位置情報入力時の部品残数とし、
またその際にトレーサビリティ情報の修正を自動的に行う請求項1に記載の部品搭載装置。
【請求項3】
オペレータに前記テープのスプライシング完了指示を入力させるスプライシング完了操作入力手段を備え、
前記スプライシング位置検出処理手段は、前記スプライシング完了指示の入力時に前記電子部品フィーダの搭載ヘッドへの部品の受け渡し部に配置されている前記テープ上の位置以降の範囲に、スプライシング位置検出範囲を設定する請求項1に記載の部品搭載装置。
【請求項4】
前記スプライシング位置検出範囲の設定をオペレータにより変更操作可能とする操作入力手段を備える請求項1に記載の部品搭載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−44543(P2011−44543A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191021(P2009−191021)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】