説明

部品整列供給装置

【課題】ボルト整列供給装置において、モータ等の動力を必要としないで作動させることができ、ボルトを整列して保持し、一つずつ一定の方向で取出し可能とする。
【解決手段】ボルトBを非整列状態で投入部4に投入する。投入されたボルトBは、ボルト向き揃え部3の傾斜角θにより滑落しながら縦溝10内で頭部又は軸部のいずれかを下方に向けて揃えられる。さらに、ボルトBは、ボルト整列部5で案内レール14上に頭部を載せて軸部を吊下げた状態で整列される。案内レール14上で整列されたボルトBを切出機構17により、一定数ずつ切出して、鉛直方向に配置されたボルト供給部6内へ落下させ、透明のパイプ部材25内に軸部を下方に向けた整列状態で収容する。ボルト供給部6を取外し、適当な場所に設置し、パイプ部材25内に整列されたボルトBを取出機構27により下側から一つずつ取出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルト等の大径の頭部と小径の軸部とを有する部品を整列して供給する部品整列供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車のエンジンの組立ラインにおいて、タイミングチェーンカバー、ヘッドカバーの取付等の工程では、多数のボルトの締め付けが行なわれるが、生産量の増大に伴い、これらのボルトの締付作業に要する時間は、秒単位の削減が望まれている。一般的に、これらのボルトは、無造作に箱詰めされた非整列状態で組立ラインに供給されるため、その箱の中から必要数のボルトを取出して、所定の位置にセットする作業は、煩雑であり効率的なものではない。
【0003】
そこで、無造作に投入された非整列状態の多数のボルトを一定の向きに揃えて作業者に供給するボルト整列装置が種々提案されている。例えば特許文献1には、一定の隙間をもって並列に配置された複数のローラを回転させ、ローラ間の隙間にボルトの軸部を受入れることにより、頭部をローラ上に載置し、軸部をローラ間に吊下げた状態でボルトを整列させ、更に、整列してボルトを、ローラ間の隙間に連なるように平行に配置した一対のロッドを介して供給するようにした部品整列装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−143753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたものでは、ローラを駆動するためのモータ等の駆動装置が必要であり、設備コスト及びランニングコストが高くなるため、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、シンプルな構造で、モータ等の動力を必要としないで作動させることができ、ボルト等の頭部及び軸部を有する非整列状態の複数の部品を整列して保持し、一つずつ一定の方向で取出し可能とする部品整列供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る部品整列供給装置は、縦溝を有し、一方に傾斜されて、非整列状態で投入される頭部及び軸部を有する部品を前記縦溝に受入れて前記頭部又は前記軸部を下方に向けて滑落させる部品向き揃え部と、
前記縦溝を滑落する前記部品を受入れ、前記部品の前記頭部を載せて前記軸部を吊下げた状態で整列して滑落させる一方に傾斜された案内レールを有し、該案内レール上で整列された前記部品を一定数ずつ切出す切出機構が設けられた部品整列部と、
前記切出機構によって切出されて前記案内レールから落下する前記部品を順次受入れ、前記部品を前記軸部が下方に向くように整列して収容する略鉛直方向に延びる筒状の収容部材を有し、前記収容部材内に整列された前記部品を下側から順に取出す取出機構が設けられた部品供給部とを備えていることを特徴とする。
【0008】
(発明の態様)
以下に、本発明において特許請求が可能と認識される発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の(1)乃至(4)の内容が請求項1乃至4に対応する。
【0009】
(1)縦溝を有し、一方に傾斜されて、非整列状態で投入される頭部及び軸部を有する部品を前記縦溝に受入れて前記頭部又は前記軸部を下方に向けて滑落させる部品向き揃え部と、
前記縦溝を滑落する前記部品を受入れ、前記部品の前記頭部を載せて前記軸部を吊下げた状態で整列して滑落させる一方に傾斜された案内レールを有し、該案内レール上で整列された前記部品を一定数ずつ切出す切出機構が設けられた部品整列部と、
前記切出機構によって切出されて前記案内レールから落下する前記部品を順次受入れ、前記部品を前記軸部が下方に向くように整列して収容する略鉛直方向に延びる筒状の収容部材を有し、前記収容部材内に整列された前記部品を下側から順に取出す取出機構が設けられた部品供給部とを備えていることを特徴とする部品整列供給装置。
このように構成したことにより、非整列状態で部品向き揃え部に投入された部品は、滑落しながら縦溝に受入れられて頭部又は軸部を下方に向けて一列に向きが揃えられる。向きが揃えられた部品は、部品整列部の案内レールに受入れられ、案内レール上に頭部を載せて軸部を吊下げた状態で整列され、切出機構によって一定数ずつ切出される。切出機構によって切出された部品は、案内レールの先端部から落下して、部品供給部に受入れられ、軸部を下方に向けて整列した状態で収容部材内に収容される。そして、取出機構によって部品を収容部材の下側から順に取出すことができる。
【0010】
このようにして、非整列状態の部品を整列して一つずつ一定の方向で取出すことができる。モータ等の駆動装置を必要とせず、構造をシンプルにすることができる。
頭部及び軸部を有する部品としては、ボルト、フランジボルト等のネジ類のほかリベット、その他の部品を想定することができる。
縦溝、案内レール、収容部材は、1組又は複数組配置することができる。
【0011】
(2)(1)の部品整列供給装置において、断面形状が略円弧状で前記案内レールの先端部に対向して略垂直に面して配置され、前記収容部材内に向かって下方へ延ばされ、前記案内レールの先端部から落下する前記部品を当接させて前記収容部材内に案内する部品ガイドが設けられていることを特徴とする部品整列供給装置。
このように構成したことにより、案内レールの先端部から落下する部品は、部品ガイドに衝突し、部品ガイドに沿って収容部材内に送られる。このとき、部品ガイドは、案内レールに対して略垂直に面して配置されているので、部品の頭部と軸部とがほぼ同時に衝突するので、部品が暴れることなく、円滑に部品ガイドに沿って収容部材内に滑落する。
【0012】
(3)(1)又は(2)の部品整列供給装置において、前記収容部材は、透明であることを特徴とする部品整列供給装置。
このように構成したことにより、収容部材に収容された部品の数及び向き等の状態を目視によって容易に確認することができる。
【0013】
(4)(1)〜(3)の部品整列供給装置において、前記部品供給部は、着脱可能であることを特徴とする部品整列供給装置。
このように構成したことにより、部品を整列して収容した部品供給部は、取外して部品の使用場所に移動し、部品を取出すこととができるので、作業効率を高めることができる。
【0014】
(5)(1)〜(4)の部品整列供給装置において、部品整列部の切出機構は、案内レール上のボルトを下流側で保持及び保持解除可能な下流側ストッパと、上流側で保持及び保持解除可能な上流側ストッパとを有し、前記下流側及び上流側ストッパが連動して、一方が保持位置にあるとき他方が保持解除位置に移動することを特徴とする部品整列供給装置。
このように構成したことにより、下流側ストッパによって部品を保持し、保持した部品が一定数となったとき、下流側ストッパの保持を解除することにより、一定数の部品を切出すことができ、このとき、それ以外の部品は、上流側ストッパによって保持される。
【0015】
(6)(1)〜(5)の部品整列供給装置において、部品供給部の取出機構は、前記収容部材に収容された部品の軸部を挿通して外部に延出させるボア、及び、該ボアの上部を拡径して前記部品の頭部に当接するテーパ部が形成され、分割されて前記ボアを拡開する取出し位置と、前記ボア及び前記テーパ部を形成する閉位置との間で移動可能な取出部材と、該取出部材を閉位置に付勢するバネ手段とを有していることを特徴とする部品整列供給装置。
このように構成したことにより、ボアから外部に突出した軸部を引張ることにより、部品の頭部がテーパ部を押圧してバネ手段のバネ力に抗して取出部材を拡開させて部品を取出すことができる。
【0016】
(7)(1)〜(6)の部品整列供給装置において、前記部品整列部には、前記案内レール上で整列された部品の頭部の上端部を前記案内レールに沿って案内する案内部材が設けられていることを特徴とする部品整列供給装置。
案内レール上に整列された部品の頭部の重なりを防止して、部品を円滑に滑落させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る部品整列供給装置によれば、シンプルな構造で、モータ等の動力を必要としないで作動させることができ、ボルト等の頭部及び軸部を有する非整列状態の複数の部品を整列して保持し、一つずつ一定の方向で取出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る部品整列装置の側面図である。
【図2】図1の装置において、ボルト供給部の1つを取外した平面図である。
【図3】図1の装置の正面図である。
【図4】図1の装置のボルト向き揃え部の背面図である。
【図5】図1の装置のボルト整列部によるボルトの整列過程を示す説明図である。
【図6】図1の装置のボルト整列部の切出機構を拡大して示す平面図である。
【図7】図1の装置のボルト供給部を拡大して示す側面の縦断面図である。
【図8】図1の装置のボルト供給部を拡大して示す平面図である。
【図9】図7に示すボルト供給部のボルト取出部を拡大して示す縦断面図である。
【図10】図1の装置のボルト供給部の着脱機構を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1乃至図4に示すように、本実施形態に係るボルト整列供給装置1(部品整列供給装置)は、上部が階段状に形成されたフレーム状の基台2と、基台2の上段側に傾斜して配置されたボルト向き揃え部3(部品向き揃え部)と、ボルト向き揃え部3の上部に配置された投入部4と、基台2上の下段側にボルト向き揃え部3の前端部に連接するように傾斜して配置されたボルト整列部5と、ボルト整列部5の前端部に上端部を対向させて鉛直方向に沿って配置され、基台2の前部に着脱可能に取付けられたボルト供給部6(部品供給部)とを備えている。基台2は、下部に固定用の脚部7及び移動用の車輪8が設けられており、床面F上で移動及び固定が可能となっている。
【0020】
ボルト向き揃え部3は、図4に最もよく示されるように、一対の円筒状のパイプ材9が互いに近接、又は当接して平行に並べられ、これらの間にボルトBを受入れる縦溝10が形成されている。図示の例では、8本のパイプ材9を2本ずつ近接させて並列に配置して4組の縦溝10が形成されている。各対のパイプ材9の縦溝10をはさんだ両側には、パイプ材9の外周面に連なるよう縦溝10に向かって傾斜されて縦方向に沿って延びる案内プレート11が設けられている。隣接する各案内プレート11の上部は、互いに接合されて頂部を形成している。また、パイプ材9及び案内プレート11は、縦溝10内に受入れられたボルトBが下方へ向かって滑落するように、支持脚12によって所定の傾斜角度θ(図1参照)で傾斜されている。パイプ材9及び案内プレート11の傾斜角度θは、整列すべきボルトBの種類に応じて適宜設定することができ、本実施形態では一例として20°程度としている。これにより、ボルト向き揃え部3上に無造作に投入された非整列状態のボルトBは、滑落しながら案内プレート11の傾斜面及びパイプ材9の外周面に案内されて縦溝10に受入れられ、縦溝10に沿って頭部B1又は軸部B2のいずれかを下方に向けて向きが揃えられることになる(図5(A)、(B)参照)。
【0021】
投入部4は、図1に示すように、上部及び下部が開口された箱状の部材で、その内部に先端部が隙間をもって交互に配置された複数(図示の例では4つ)の傾斜板13が設けられ、これらの傾斜板13の先端部の間にボルトBが通る屈曲した経路が形成されている。これにより、投入部4の上部の開口部に無造作に投入された複数のボルトBは、交互に配置された傾斜板13に当接しながら落下し、ボルト向き揃え部3上に幅方向に略均一に分散される。
【0022】
ボルト整列部5は、図6(A)、(B)に最もよく示されるように、ボルトBの軸部B2の径よりもやや大きく、頭部B1の径よりも充分小さい幅Wをもって平行に配置されて縦方向に延びる一対の平板状のレール14Aからなる案内レール14を有している。案内レール14は、ボルト向き揃え部3のパイプ材9と同様に、支持脚15によって傾斜角度θで傾斜され、ボルト向き揃え部3の縦溝10の前端部に連接するように配置さる。ボルト向き揃え部3の4組の縦溝10に対応して4つの案内レール14が配置されている。
【0023】
そして、ボルト向き揃え部3の縦溝10に沿って滑落するボルトBの軸部B2をレール14A間に受入れ、頭部B1を一対のレール14Aの上部に載せた状態でボルトBを引続き滑落させる。このとき、図5(A)に示すように、軸部B2を下方に向けて縦溝10を滑落するボルトBは、案内レール14Aに受入れられる際、軸部B2が自重により、レール14A間に落下し、頭部B1を案内レール14に載せて軸部B2をレール14A間に吊下げた状態で案内レール14に沿って滑落する。一方、図5(B)に示すように、頭部B1を下方に向けて縦溝10を滑落するボルトBは、案内レール14に受入れられる際、頭部B1が案内レール14上に載った状態で滑落し、軸部B2の先端部が縦溝10から離脱した後、自重によりレール14A間に落下し、頭部B1を案内レール14上に載せて軸部B2をレール14A間に吊下げた状態で案内レール14に沿って滑落する。したがって、いずれの場合も、ボルトBは、頭部B1を案内レール14上に載せて、軸部B2をレール14A間に吊下げた状態で整列されることになる。
【0024】
ボルト整列部5には、案内レール14上を滑落するボルトBの頭部B1の上端部を案内する案内部材16が設けられている。案内部材16は、案内レール14上のボルトB1の上端部に対して、所定の隙間をもって配置され、案内レール14に沿って、その基端部から適当距離だけ離れた部位から先端部まで延ばされている。そして、案内レール14上を滑落するボルトBの頭部B1の上端部を案内して、ボルトB1の浮上りを防止することにより、整列されたボルトB(フランジボルト)のフランジ部の重なりを防止する。
【0025】
ボルト整列部5の各案内レール14の下流側には、案内レール14上に整列されたボルトBを保持し、一定数ずつ切出すための切出機構17が設けられている。図6(A)及び(B)に示すように、切出機構17は、各案内レール14の前端部側(下流側)に配置された下流ストッパピン18(下流側ストッパ)及び下流ストッパピン18の上流側に配置された上流ストッパピン19(上流側ストッパ)を備えている。下流ストッパピン18は、案内レール14の側部からレール14A間を横切るように挿入されるように進退動可能に設けられている。下流ストッパピン19は、図6(A)に示すように、レール14A間を横切る保持位置にあるとき、案内レール14上のボルトBの軸部B2に当接して、ボルトBを保持する。また、図6(B)に示すように、レール14A間から後退した解放位置(保持解除位置)にあるとき、軸部B2から離間してボルトBを滑落させる。
【0026】
上流ストッパピン19は、下流ストッパピン18と同様、進退動可能に設けられ、図6(B)に示す保持位置にあるとき、軸部B2に当接してボルトBを保持し、図6(A)に示す解放位置(保持解除位置)にあるとき、軸部B2から離間してボルトBを滑落させる。下流ストッパピン18及び上流ストッパピン19は、これらの間の案内レール14上に一定の数のボルトBが整列されるように一定の間隔で配置されている。下流ストッパピン18の先端部は、平坦面であるのに対して、上流ストッパピン19の先端部19Aは、尖っており、図6(A)に示すように下流ストッパピン18によって保持されて案内レール14上に整列された複数のボルトBに対して、図6(B)に示す保持位置に移動する際、互いに隣接するボルトBの軸部B2間に容易に挿入できるようになっている。
【0027】
下流ストッパピン18は、案内レール14の一側に配置されてレール14Aに沿って延びる支持プレート20に固定され、上流側ストッパピン19は、案内レール14の他側に配置されてレール14Aに沿って延びる支持プレート21に取付けられている。案内レール14をはさんで両側に配置された支持プレート20、21は、レール14A間を横切って延びる連結ピン22によって互いに連結され、連結ピン22は、ガイドブッシュ24により、その軸方方向に沿って摺動可能に案内されている。これにより、下流ストッパピン18と上流ストッパピン19とが連動し、図6(A)に示すように下流ストッパピン18が保持位置にあるとき、上流ストッパピン19が解放位置に配置され、図6(B)に示すように下流ストッパピン18が解放位置にあるとき、上流ストッパピン19が保持位置に配置される。そして、支持プレート20、21は、通常は、バネ(図示せず)により図6(A)に示す位置(初期位置)に付勢され、バネ力に構成して図6(B)に示す切出し位置に移動させることができる。
【0028】
基台2の前部には、ボルト整列部5の4つの案内レール14に対向して4つのボルト供給部6が取付けられている。ボルト供給部6は、図7に示すように、所定の数のボルトBを収容する円筒状のパイプ部材25(収容部材)と、パイプ部材25の上端部に結合されて、ボルト整列部5の案内レール14からボルトBを受入れるための受入部材26と、パイプ部材25の下端部に結合されて、パイプ部材25に収容されたボルトBを1つずつ取出すための取出機構27とを備えている。
【0029】
パイプ部材25の内径は、ボルトBの頭部B1の外径よりもやや大きく、ボルトBを軸方向に沿って一列に並べて収容することができ、かつ、パイプ部材25の内周面とボルトBの頭部B1との間に軸部B2が入り込まないように設定されている。また、パイプ部材25は、例えばポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂等からなる透明の管であり、内部に収容されたボルトBの状態を外部から目視できるようになっている。
【0030】
受入部材26は、パイプ部材25の内径と同径でパイプ部材25の内部と連通するボア28を有する略円筒状で、ボア28の上部は、テーパ状に拡径されて拡径部28Aが形成されている。受入部材16の上端縁部には、ボルト整列部5の案内レール14の先端部に対向して、円筒を半割した形状のガイドカバー29が上方に延出されている。ガイドカバー29の延出長さは、ボルトBの全長よりもやや長くなっている。ガイドカバー29は、本実施形態では、受入部材26とは別体として、受入部材26の外周部に取付けられているが、受入部材26と一体に形成してもよい。
【0031】
受入部材26には、ガイドカバー29の内側の上端の中央部から、ボア28内の拡径部28Aの下端部付近まで延びる円弧状の断面のボルトガイド30(部品ガイド)が取付けられている。ボルトガイド30は、円弧状の内面の曲率半径がボルトBの外径よりもやや大きく、また、ボルト供給部6が基台2に取付けられた状態で、案内レール30の先端部に対して略垂直に面するように配置されている(図7においてφ=90°)。
【0032】
取出機構27は、縦方向に半割された2分割構造の取出部材31を有し、取出部材31は、パイプ部材25と同心でボルトBの軸部B2よりもやや大径のボア32が貫通されている。ボア32の上部は、テーパ状に拡径されてテーパ部32Aが形成され、テーパ部32Aの上端部は、ボルトBの頭部B1よりもやや大径でパイプ部材25の内部に連通している。分割構造(図示の例では2分割構造)の取出部材31を構成する各半体31Aは、ピン33によって支持され、図7に示す閉位置と図9(A)及び(B)に示す拡開した取出し位置との間で回動可能となっている。取出部材31の各半体31Aには、把持部34が上方に略平行に延ばされている。取出部材31の各半体31Aは、バネ35により、図7に示す閉位置に付勢されており、バネ35のバネ力に抗して図9(A)及び(B)に示す取出し位置に移動させることができる。
【0033】
これにより、取出部材31は、通常は、バネ35のバネ力により、図7に示す閉位置にある。この状態では、軸部B2を下方に向けてパイプ部材25内に収容されたボルトBは、軸部B2がボア32を通して外部に突出し、頭部B1がテーパ部32Aに当接して保持される。そして、外部に突出した軸部B2を摘んで下方に引張ると、図9(A)に示すように、ボルトBの頭部がテーパ部32Aを押圧して取出部材31がバネ35のバネ力に抗して取出し位置に拡開することにより、ボルトBを取出すことができる。その後、取出部材31は、バネ35のバネ力によって図7に示す閉位置に戻ってパイプ部材25内の残りのボルトBを保持する。また、取出部材31は、図9(B)に示すように、把持部34を摘んでバネ35のバネ力に抗して取出し位置に拡開させることができ、これにより、軸部B2の向きにかかわらず、ボルトBをパイプ部材25から取出すことができる(図9(B)には、頭部B1を下方に向けたボルトBが示されている)。なお、取出部材31は、図示の2分割構造のほか、放射状に3以上の分割構造としてもよい。
【0034】
次に、ボルト供給部6の基台2への着脱機構36について、主に図10を参照して説明する。図10に示すように、ボルト供給部6は、基台2の前部から水平方向に延出された保持プレート37に着脱可能に取付けられている。保持プレート37の前端部には、ボルト供給部6のパイプ部材25を受入れるU字形の切欠き38が形成され、保持プレート38の上面の切欠き38の周囲に、ボルト供給部6の受入部材26の下部に取付けられたリング状のリテーナ39を受入れる環状凹部40が形成されている。環状凹部40のリテーナ39との当接面には、マグネット41が埋め込まれており、リテーナ39は、マグネット41が吸着可能な強磁性体となっている。これにより、パイプ部材25を切欠き38に挿入し、リテーナ39を環状凹部40に嵌合することにより、マグネット41がリテーナ39を吸着してボルト供給部6を保持プレートに着脱可能に取付けることができる。ボルト供給部6は、このほか、公知の着脱可能な手段により、基台2に取付けるようにしてもよい。
【0035】
以上のように構成した本実施形態の作用について次に説明する。
複数の非整列状態のボルトBを投入部4に投入する。投入された複数のボルトBは、交互に配置された傾斜板13に当接しながら均一に分散されてボルト向き揃え部3上に落下する。ボルト向き揃え部3上に落下したボルトBは、傾斜角度θによって下方へ滑落しながら案内プレート11及びパイプ材9の外周面に沿って縦溝10に受入れられ、縦溝10に沿って軸部B2又は頭部B1のいずれかを下方に向けて向きが揃えられる(図5(A)、(B)参照)。
【0036】
ボルト向き揃え部3で向きが揃えられたボルトBは、ボルト整列部5の案内レール14に受入れられ、図5(A)及び(B)に示すように、自重により軸部B2がレール14A間に落下することにより、頭部B1を案内レール14上に載せた状態で整列されながら案内レール14に沿って滑落する。このとき、整列されるボルトBの頭部B1の上端部を案内部材16で案内することにより、ボルトB1のフランジ部の重なりを防止する。
【0037】
案内レール14上で整列されたボルトBは、図6(A)に示すように、切出機構17により、レール14A間に突出した下流ストッパピン18に当接して案内レール14上で保持される。案内レール14上で保持されたボルトBが一定数(図示の例では9本)に達した後、支持プレート20、21を操作して、下流ストッパピン18及び上流ストッパピン19を図6(B)に示す位置に移動させる。これにより、上流ストッパピン19がレール14A間に突出して(保持位置)、その上流側のボルトBを保持すると共に、下流ストッパピン18がレール14A間から後退して(解放位置)、下流ストッパピン18と上流ストッパピン19との間の一定数のボルトBを案内レール14に沿って滑落させる。このようにして、一定数のボルトBを切出すことができる。その後、支持プレート20、21を操作して下流ストッパピン18及び上流ストッパピン19を図6(A)に示す位置に戻す。これにより、上流ストッパピン19がレール14A間から後退して(解放位置)、上流ストッパピン19によって保持されていたボルトBが案内レール14上を滑落し、レール14A間に突出した下流ストッパピン18(保持位置)によって保持される。
【0038】
切出機構17によって切出された一定数のボルトBは、図7に示すように、案内レール14の先端部から落下してボルト供給部6に受入れられる。案内レール14の先端部から落下するボルトBは、円弧状断面を有するボルトガイド30に当接し、ボルトガイド30に沿って受入部材26の拡径部28A内へ滑落する。このとき、ボルトガイド30は、案内レール14に略垂直に面して配置されているため(φ=90°)、案内レール14から落下するボルトBがボルトガイド30に衝突する際、ボルトBの頭部B1と軸部B2とがほぼ同時に衝突するので、ボルトBが暴れることなく円滑にボルトガイド30に沿って受入部材26内に滑落する。ガイドカバー29は、ボルトガイド30の側部を覆うことにより、万一、ボルトBがボルトガイド30から脱落しても外部に飛び出さないようにしている。
【0039】
受入部材26の拡径部28A内に落下したボルトBは、さらに、パイプ部材25内に落下し、頭部B1がボルト取出機構27の取出部材31のテーパ部32Aに当接して、軸部B2がボア32を通して外部に突出した状態で保持される。そして、順次、一定数のボルトBがパイプ部材25内に落下して保持される。このとき、パイプ部材25は、透明であるから、内部に保持されたボルトBの数及び向き等の状態を目視して確認することができる。
【0040】
このようにして、パイプ部材25に一定数のボルトBを収容した後、図10に示すように、ボルト供給部6を基台2の保持プレート38から取外し、ボルトBの使用工程を行なう場所に設置する。ボルト供給部6の設置手段としては、保持プレート38への取付と同様な方法、あるいは、他の公知の着脱可能な手段を用いることができる。そして、取出機構27から外部に突出したボルトBの軸部B2を摘んで下方に引張ることにより、図9(A)に示すように、ボルトBの頭部B1がテーパ部32Aを押圧して取出部材31がバネ35のバネ力に抗して取出位置に拡開することにより、ボルトBを取出すことができる。その後、取出部材31は、バネ35のバネ力によって図7に示す閉じ位置に戻ってパイプ部材25内の残りのボルトBを保持する。このようにして、ボルトBの使用工程において、一定数のボルトBを一本ずつ取出して使用することができる。
【0041】
また、万一、ボルトBが逆向きに収容された場合には、図9(B)に示すように、取出部材31は、把持部34を摘んでバネ35のバネ力に抗して取出し位置に拡開させることができるので、逆向きのボルトBを容易に取除くことができる。
【0042】
なお、本実施形態において、ボルト供給部6は、取外す必要がない場合には、基台2に着脱可能とせずに固定してもよい。また、本実施形態では、一例として、本発明をフランジボルトであるボルトBを整列するためのボルト整列装置に適用した場合について説明しているが、本発明は、これに限らず、他の形式のボルト、あるいは、リベットその他の頭部及び軸部を有する部品を整列するための部品整列供給装置にも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1…ボルト整列供給装置(部品整列供給装置)、3…ボルト向き揃え部(部品向き揃え部)、5…ボルト整列部(部品整列部)、6…ボルト供給部(部品供給部)、10…縦溝、14…案内レール、17…切出機構、25…パイプ部材(収容部材)、27…取出機構、B…ボルト(部品)、B1…頭部、B2…軸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦溝を有し、一方に傾斜されて、非整列状態で投入される頭部及び軸部を有する部品を前記縦溝に受入れて前記頭部又は前記軸部を下方に向けて滑落させる部品向き揃え部と、
前記縦溝を滑落する前記部品を受入れ、前記部品の前記頭部を載せて前記軸部を吊下げた状態で整列して滑落させる一方に傾斜された案内レールを有し、該案内レール上で整列された前記部品を一定数ずつ切出す切出機構が設けられた部品整列部と、
前記切出機構によって切出されて前記案内レールから落下する前記部品を順次受入れ、前記部品を前記軸部が下方に向くように整列して収容する略鉛直方向に延びる筒状の収容部材を有し、前記収容部材内に整列された前記部品を下側から順に取出す取出機構が設けられた部品供給部とを備えていることを特徴とする部品整列供給装置。
【請求項2】
断面形状が略円弧状で前記案内レールの先端部に対向して略垂直に面して配置され、前記収容部材内に向かって下方へ延ばされ、前記案内レールの先端部から落下する前記部品を当接させて前記収容部材内に案内する部品ガイドが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の部品整列供給装置。
【請求項3】
前記収容部材は、透明であることを特徴とする請求項1又は2に記載の部品整列供給装置。
【請求項4】
前記部品供給部は、着脱可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の部品整列供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−250780(P2012−250780A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122195(P2011−122195)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】