説明

部品移送装置

【課題】部品の一部が欠落したような破片部品などの微細な不要物を除去できるとともに、これらに起因する部品の詰まりが発生した場合には、自動的に原因を解消することが可能な部品移送装置を提供する。
【解決手段】部品移送装置1は、受取り側Aの供給口4aから引渡し側Bの取出し口4bへ振動によって部品Wを移送し、次工程に引き渡すものであり、振動を起振する起振手段5を有する振動体3と、振動体3上に設けられ、供給口4aから取出し口4bまで、部品Wを移送可能な移送用溝6が延設され、移送用溝6の引渡し側Bの先端部には不要物排出口が形成されたシュート4と、シュート4の上面に延設され、開閉機構12によって移送用溝6の上部開口6aを開閉可能な可動シュートカバー10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受取り側に配置されたパーツフィーダなどの部品供給装置から供給される部品を引渡し側まで移送し、次工程に引き渡す部品移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パーツフィーダなどの部品供給装置と、例えば、検査装置や組立装置などの次工程の装置との間には、振動作用によって部品を移送する部品移送装置が設けられ、部品を整列させて自動的に次工程に供給する方法が行われている。このような部品移送装置においては、移送される途中において部品が詰まってしまい、次工程に部品を引き渡せなくなってしまう場合がある。これらの原因の多くは、部品の一部が欠落した破片部品や、外部からの異物、あるいは堆積した汚れなど、微細な不要物が部品とともに部品移送装置に混入してしまい、これら不要物が部品移送装置の通路と部品との間にクサビ状態に嵌り込んでしまうことにある。このため、従来、部品の詰まりが発生した場合には、オペレータが部品移送装置のカバー等を取り外し、原因となる不要物を確認して取り除き、また洗浄することで、部品の詰まりを解消していた。しかしながら、このような部品の詰まりが発生するごとに、人手によって原因を確認して取り除き、再度部品移送装置のカバー等を組立てる作業は、非常に時間のかかる作業であった。特に、部品移送装置のカバー等を組立てる際には、装置の通路と移送される部品との隙間調整など、微細な調整を再度する必要があり、人手によって行う場合にはバラツキが多く、試行錯誤に時間を要してしまう。
【0003】
このような問題を解消すべく、例えば、部品を送り出す通路内の底面と一側面を構成する内側面を有する固定ガイドと、上記通路の上面と他の一側面を構成する内側面を有する可動ガイドと、部品の進行方向に漸次狭くなるように傾斜した異常検出部と、異常検出部で部品が停止したことを検出する検出手段と、固定ガイドに対して可動ガイドを開閉させる開閉機構とを備えた異常部品自動除去装置を有するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような装置を有することで、不良品など形状の異なる異常部品が異常部品自動除去装置まで移送されると、異常検出部で異常部品が停止して検出手段で検出されることで、可動ガイドが開き、異常部品は自動的に除去されるとされている。
【特許文献1】特開2000−317406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1によれば、不良品など形状の異なる異常部品は異常検出部で停止するので、除去することが可能であるものの、例えば部品の一部が欠落したような破片部品などの微細な不要物などは、異常検出部で検出することができない問題があった。また、異常部品自動除去装置が設けられた位置において、上記のように微細な不要物がクサビ状態で正常な部品と通路との間に嵌り込んでしまった場合には、正常な部品まで除去してしまい、また、異常部品自動除去装置が設けられた位置と異なる位置で発生してしまった場合には、詰まった原因を解消することが出来ない問題があった。
【0005】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、部品の一部が欠落したような破片部品などの微細な不要物を除去できるとともに、これらに起因する部品の詰まりが発生した場合には、自動的に原因を解消することが可能な部品移送装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明は、受取り側に設けられた供給口から供給された部品を、引渡し側に設けられた取出し口まで振動によって移送し、次工程に引き渡す部品移送装置であって、前記振動を与える振動体と、該振動体上に設けられ、前記供給口から前記取出し口まで、前記部品を移送可能な移送用溝が延設されているとともに、該移送用溝の前記引渡し側の先端部には、前記部品の幅よりも小さい径を有して下方に貫通する不要物排出口が形成されたシュートと、該シュートの上面に延設され、開閉機構によって前記移送用溝の上部開口を開閉可能な可動シュートカバーとを備えることを特徴としている。
【0007】
この発明に係る部品移送装置によれば、受取り側の供給口からシュートの移送用溝に供給された部品は、振動体からシュートに伝達される振動によって、移送用溝の内部を受取り側から引渡し側へ移送され、引渡し側の取出し口から次工程へ引き渡される。この際、可動シュートカバーによって移送用溝の上部開口を閉じることで、移送される部品が振動によって回転してしまう、あるいは移送用溝の上部開口から上方に跳ね上がってしまうのを防ぐことができる。また、部品とともに混入してしまった不要物は、同様に振動によって受取り側から引渡し側へ移送され、不要物排出口から排出される。なお、不要物排出口は部品の幅より小さい径を有しているので、部品が不要物排出口から排出されてしまうことは無い。一方、移送用溝の内部において、部品と移送用溝との間に不要物がクサビ状態に嵌り込んで詰まってしまった場合には、開閉機構によって可動シュートカバーを開くことによって自動的にクサビ状態を解除することができる。このため、部品は再び振動によって取出し口まで移送され、原因となっていた不要物は不要物排出口から排出される。
【0008】
また、上記の部品移送装置において、前記可動シュートカバーが前記移送用溝の前記上部開口を閉じている状態において、前記可動シュートカバーは、前記シュートの上面と隙間を有して配置されていることがより好ましいとされている。
【0009】
この発明に係る部品移送装置によれば、可動シュートカバーはシュートと隙間を有して配置されているので、振動体の振動がシュートから可動シュートカバー、さらには開閉機構へ伝達してしまうことが無い。このため、振動体からシュートに効率良く所定の振動数及び振幅の振動を伝達させて、シュートの移送用溝に供給された部品を移送することができる。
【0010】
また、上記の部品移送装置において、前記シュートの前記移送用溝の底部には、さらに、前記部品の幅よりも狭い幅を有する不要物回収溝が形成されていることがより好ましいとされている。
【0011】
この発明に係る部品移送装置によれば、シュートに供給された部品は移送用溝を通過して取出し口まで移送される。一方、部品とともに混入した不要物は、移送用溝の底部に形成された不要物回収溝に落下することで、部品と異なるルートを通過して、不要物排出口まで移送される。このため、移送用溝の内部において、部品と移送用溝との間に不要物がクサビ状態に嵌り込んで発生する部品の詰まりをさらに軽減することができる。
【0012】
また、上記の部品移送装置において、前記シュートの前記移送用溝の前記上部開口を閉じるように延設された固定シュートカバーをさらに備え、前記可動シュートカバーは、前記移送用溝の前記上部開口を閉じている状態において、前記固定シュートカバーと前記移送用溝の幅方向に所定の隙間を有して配置されていることがより好ましいとされている。
【0013】
この発明に係る部品移送装置によれば、可動シュートカバーを閉じた状態では、移送用溝の上部開口は、可動シュートカバーと固定シュートカバーとによってその一部が閉じられているとともに、可動シュートカバーと固定シュートカバーとの間の隙間分だけ開いた状態となっている。このため、振動によって順次部品を移送しながら、内部の移送状況を確認することが可能である。さらに、不要物がクサビ状態に嵌り込んで部品が詰まってしまった場合には、可動シュートカバーを開くことによってクサビ状態を解除することができる。さらに、可動シュートカバーを開いた状態で振動体を起振することによってクサビ状態をより確実に解除することができるが、この際、移送用溝の上部開口の一部を固定シュートカバーで閉じていることにより、部品の回転、跳ね上がり等を防ぐことができる。
【0014】
また、上記の部品移送装置において、前記シュートの前記移送用溝には、前記受取り側において、前記移送用溝に供給される前記部品の有無を検出する受取り側検出センサーが設けられているとともに、前記引渡し側において、前記移送用溝を通過する前記部品の有無を検出する引渡し側検出センサーが設けられており、前記受取り側検出センサーで前記部品が検出され、前記引渡し側検出センサーで前記部品が検出されなかった時に、前記開閉機構に前記可動シュートカバーを開放させる制御部を備えることがより好ましいとされている。
【0015】
この発明に係る部品移送装置によれば、受取り側検出センサーで前記部品が検出され、引渡し側検出センサーで前記部品が検出されなかった時、すなわち、受取り側からは部品が供給され、引渡し側へ移送されずに移送用溝の途中で詰まっている時に、制御部によって開閉機構が駆動して、可動シュートカバーが開放される。このため、受取り側検出センサー及び引渡し側検出センサー並びに制御部を設けることによって、移送用溝に部品が詰まっている時のみ開閉機構が自動的に駆動し、効率良く詰まりの原因を除去することができる。
【0016】
さらに、上記の部品移送装置において、前記シュートの前記移送用溝の上方には、上下に昇降可能で、前記可動シュートカバーが開いている状態において、前記移送用溝の内部に下降し、前記移送用溝に存在する不要物の除去を行うクリーナーが設けられていることがより好ましいとされている。
【0017】
この発明に係る部品移送装置によれば、移送用溝に部品が詰まった際には、可動シュートカバーが開いて不要物のクサビ状態を解除させるとともに、移送用溝の内部にクリーナーが下降し、原因となった不要物を強制的に除去することができる。
【0018】
また、上記の部品移送装置において、前記クリーナーは、前記移送用溝が延びる方向に回転可能な回転ブラシと、該回転ブラシを回転させるブラシ駆動部と、前記回転ブラシを上下に昇降させる昇降手段と、前記回転ブラシを前記移送用溝が延設されている方向に移動させる移動手段とを備えることがより好ましいとされている。
【0019】
この発明に係る部品移送装置によれば、移送用溝に部品が詰まった際には、クリーナーの回転ブラシが、昇降手段によって移送用溝まで下降し、ブラシ駆動部によって回転する。そして、移動手段によって移送用溝の受取り側から引渡し側まで移動することによって移送用溝に混入した不要物を除去することができる。
【0020】
さらに、上記の部品移送装置において、前記クリーナーは、前記回転ブラシとともに移動し、前記不要物を吸引する吸引手段を備えていることがより好ましいとされている。
この発明に係る部品移送装置によれば、回転ブラシで移送用溝の不要物を除去するとともに、吸引手段によって除去された不要物を吸引し排出することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の部品移送装置によれば、開閉機構によって開閉可能な可動シュートカバーを有することで、移送用溝と部品との間にクサビ状態に嵌り込んでしまった不要物を自動的に、かつ容易に除去、排出して、部品の詰まりを解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1及び図6は、この発明に係る実施形態を示している。図1に示すように、部品移送装置1は、受取り側Aに設けられた部品供給装置である円筒ボール式パーツフィーダ50から供給される部品Wを引渡し側Bまで移送し、図示しない搬送ロボットに引渡すものである。円筒ボール式パーツフィーダ50は、上面50aがボウル状に形成されており、振動することで、上面50aに載置された部品Wを整列させ、一つずつガイド51を経由して部品移送装置1に部品Wを供給するものである。ここで、部品Wは、振動によって選別及び整列、また、移送が可能な程度に微小な部品であって、ねじや精密機器に搭載される微小な歯車などの機械部品、あるいは電子部品などである。本実施形態においては、部品Wとして、時計などに使用される歯車Wを例に挙げている。
【0023】
図1に示すように、部品移送装置1は、支持台2と、支持台2に固定された振動体3と、振動体3上に設けられたシュート4とを備えている。振動体3は、受取り側Aに傾斜して立設された一対の板バネ3aと、起振手段として板バネ3aの両面に貼り合わされた圧電素子5とを備えている。そして、両面に貼り合わされた圧電素子5に交互に電圧を印加して伸縮させることで、板バネ3aを撓ませて前後に振動させるものである。また、シュート4は、受取り側Aにおいて、ガイド51と接続されて歯車Wが供給される供給口4aが形成されているとともに、引渡し側Bにおいて、上方に開口する取出し口4bが形成されている。また、シュート4には、供給口4aから取出し口4bまで、供給口4aから供給された歯車Wを移送可能な移送用溝6が上部開口6aを形成して延設されている。図2に示すように、移送用溝6は、歯車Wの円板部W1を移送可能な形状を有する上部溝6bと、歯車Wの軸部W2を移送可能な形状を有する下部溝6cとで構成されている。さらに、移送用溝6の底部には、歯車Wの幅より狭い不要物回収溝7が形成されている。すなわち、図2に示すように、移送用溝6によって歯車Wを移送する場合において、歯車Wは円板部W1が上部溝6bに、軸部W2が下部溝6cに嵌り込んで位置決めされた状態で移送されるとともに、不要物回収溝7の分だけ下方に隙間を有した状態を保つことができる。また、図3に示すように、移送用溝6及び不要物回収溝7の引渡し側Bの先端部には、歯車Wの幅よりも小さい径を有して下方に貫通する不要物排出口8が形成されている。
【0024】
また、図1及び図2に示すように、シュート4の上面4cにおいて移送用溝6の両側には、固定シュートカバー9と可動シュートカバー10とが受取り側Aから引渡し側Bまで延設されている。固定シュートカバー9と可動シュートカバー10とは、移送用溝6の幅方向に隙間11を有して配置されており、それぞれが移送用溝6の一部を閉じた状態となっている。図1及び図2に示すように、固定シュートカバー9は、固定ねじ9aによって、シュート4の上面4cに固定されている。また、可動シュートカバー10は、開閉機構12によって、シュート4の上面4cと隙間13を有して支持されるとともに、移送用溝6の上部開口6aを開く位置まで幅方向に進退可能である。開閉機構12は、支持台2に固定された支持部材12aと、支持部材12aに固定され、移送用溝6の幅方向に伸縮可能な動作シリンダ12bと、可動シュートカバー10を支持するジョイント12cと、ジョイント12cと動作シリンダ12bとを接続するロッド12dとを備えている。なお、支持部材12a上には直動ベアリング12eが設けられているとともに、可動シュートカバー10の下面から突出する一対の係合板10aが嵌合しており、可動シュートカバー10が水平に進退可能となるように誘導している。
【0025】
また、図1に示すように、シュート4の移送用溝6には、受取り側Aにおいてガイド51に固定された受取り側検出センサー14と、引渡し側Bにおいて固定シュートカバー9に固定された引渡し側検出センサー15とが設けられている。さらに、取出し口4bの側方には、取出し確認センサー16が設けられている。受取り側検出センサー14、引取り側検出センサー15及び取出し確認センサー16は、例えば本実施形態では反射型光電センサーであり、透過型光電センサーあるいはフォトセンサなどでも良い。すなわち、ガイド51から供給口4aに供給される歯車Wは、受取り側検出センサー14によって検出され、さらに移送用溝6を通過し、引渡し側Bまで移送された歯車Wは、引渡し側検出センサー15によって検出される。さらに、取出し口4bまで到達し、図示しない搬送ロボットに引き渡されると取出し確認センサー16によって検出される。
【0026】
また、図1及び図2に示すように、シュート4の移送用溝6の上方には、移送用溝6に存在する不要物の除去を行うクリーナー17が設けられている。クリーナー17は、移送用溝6が延びる方向に回転可能な回転ブラシ18と、回転ブラシ18を上下に昇降させる昇降手段19と、回転ブラシ18を移送用溝6が延設されている方向に移動させる移動手段20とを備える。移動手段20は、支持台2に固定された一対のポスト21と、ポスト21間に移送用溝6と略平行に支持されたガイド部材22と、各ポスト21に回転可能に設けられた回転ローラ23、24と、回転ローラ23、24に巻回された無端ベルト25とを備える。さらに、移動手段20は、回転ローラ23を回転させる移動用モータ26と、ガイド部材22に進退可能に固定されるとともに、無端ベルト25に固定されたスライダ27とを備える。すなわち、移動用モータ26を駆動させることにより、無端ベルト25がいずれかの方向に走行し、これによりスライダ27がガイド部材22上、すなわち、移送用溝6が延設された方向に移動可能な構成となっている。
【0027】
また、昇降手段19は、スライダ27の上面に立設されたガイドポスト28と、ガイドポスト28に上下に昇降可能に固定されたL字状の支持部材29と、支持部材29をガイドポスト28上で進退させる昇降シリンダ30とを備える。回転ブラシ18は、支持部材29に回転可能に軸着されており、支持部材29に設けられたブラシ駆動部31によって回転することが可能である。
【0028】
図1に示すように、クリーナー17は、さらに吸引手段34を備えている。吸引手段34は、先端部の吸引口35aを移送用溝6と対向させて支持部材29に固定された吸引ノズル35と、先端側が吸引ノズル35に接続された可撓性を有する接続管36と、接続管36の基端側が接続されたバキュームポンプ37とを備える。吸引ノズル35は、回転ブラシ18よりも引渡し側Bに近い位置に配置されており、昇降手段19によって回転ブラシ18とともに下降し、移送用溝6の内部を吸引することが可能である。
【0029】
また、部品移送装置1は制御部38を備えており、図4に示すように、制御部38は、コントローラ39を介して振動体3の起振手段である圧電素子5と接続されているとともに、パーツフィーダ用コントローラ52を介して、円筒ボール式パーツフィーダ50の起振部とも接続されている。さらに、制御部38は、受取り側検出センサー14、引渡し側検出センサー15及び取出し確認センサー16と接続され、各検出結果を入力可能であるとともに、開閉機構12の動作シリンダ12b、並びにクリーナー17の昇降手段19の昇降シリンダ30、移動手段20の移動用モータ26、回転ブラシ18のブラシ駆動部31及び吸引手段34のバキュームポンプ37と接続されている。
【0030】
次に、部品移送装置1の作用について説明する。図1に示すように、受取り側Aにおいて、円筒ボール式パーツフィーダ50で整列された歯車Wは、一つずつガイド51を経由して供給口4aからシュート4の移送用溝6に供給される。この際、受取り側検出センサー14によって歯車Wの供給が順次検出されている。そして、供給された歯車Wは、振動体3からシュート4に伝達される振動によって、移送用溝6の内部を受取り側Aから引渡し側Bへ移送される。この際、図2及び図3に示すように、移送用溝6は、上部溝6bと下部溝6cとで構成されているので、歯車Wを所定の向きで整列して移送することができる。また、固定シュートカバー9と可動シュートカバー10とで、隙間11を除いて移送用溝6の上部開口6aを閉じているので、振動によって歯車Wが回転する、あるいは上部開口6aから上方に跳ね上がるようなこと無く、歯車Wを整列して移送することができる。また、隙間11を有していることによって、歯車Wの移送状況を適時目視によっても確認することができる。また、引渡し側Bには、引渡し側検出センサー15が設けられているので、引渡し側検出センサー15によって歯車Wが移送用溝6の内部を引渡し側Bまで移送されたかどうかが順次検出されている。そして、引渡し側Bの取出し口4bまで移送されると、取出し口4bから図示しない搬送ロボットによって次工程に引渡される。この際、取出し確認センサー16によって、順次歯車Wが取り出されているかが検出されている。
【0031】
また、歯車Wとともに不要物W4が移送用溝6内に混入してしまう場合がある。ここで、不要物W4とは、歯車Wの一部が欠落した破片部品や、外部から混入した異物、あるいは堆積した汚れなどである。このような不要物W4は、移送用溝6から不要物回収溝7に落下する。そして、同様に振動によって受取り側Aから引渡し側Bへ移送され、不要物排出口8から排出される。なお、不要物回収溝7の幅及び不要物排出口8の径は、歯車Wの幅より小さいので、歯車Wが不要物回収溝7に落下してしまうことは無く、また、不要物排出口8から排出されてしまうことも無い。
【0032】
一方、図5に示すように、移送用溝6の内部において、歯車Wと移送用溝6との間に不要物W4がクサビ状で嵌り込み、詰まってしまう場合がある。すなわち、円筒ボール式パーツフィーダ50からは歯車Wが供給され、受取り側検出センサー14では検出されているにもかかわらず、引渡し側検出センサー15では歯車Wが検出されない場合である。このような場合には、制御部38は、受取り側検出センサー14及び引渡し側検出センサー15の検出結果をもとに、パーツフィーダ用コントローラ52を介して円筒ボール式パーツフィーダ50の振動を停止して、歯車Wの供給を停止させる。また、コントローラ39を介して振動体3の圧電素子5による振動を停止させる。そして、開閉機構12の動作シリンダ12bを駆動することで、可動シュートカバー10をスライドさせて、移送用溝6の上部開口6aを開いた状態にさせる。このため、移送用溝6と歯車Wとの間でクサビ状態に嵌り込んでいた不要物W4を解除することができる。さらに、制御部38が、可動シュートカバー10を開いた状態で、振動体3の圧電素子5を再度起振させることによって、クサビ状態の解除をより確実なものとするともに、詰まっていた歯車W及び不要物W4を移送させることができる。この際、移送用溝6の上部開口6aの一部は、固定シュートカバー9で閉じられているので、歯車Wの回転、跳ね上がり等を防ぐことができる。また、原因となっていた不要物W4は、不要物回収溝7に落下し、不要物排出口8から排出される。
【0033】
次に、制御部38は、引渡し側検出センサー15によって詰まっていた歯車Wが移送されたことを確認した後に、クリーナー17を稼動させる。図1及び図6に示すように、まず、昇降手段19の昇降シリンダ30を駆動させ、回転ブラシ18を移送用溝6の内部まで下降させる。そして、ブラシ駆動部31を駆動させて、回転ブラシ18を引渡し側Bへ掃き出すように回転させる。また、これと同時に、吸引手段34のバキュームポンプ37を駆動させる。そして、移動手段20の移動用モータ26を駆動させることで、無端ベルト25を走行させ、スライダ27を介して回転ブラシ18及び吸引ノズル35を受取り側Aから引渡し側Bへ移動させる。すなわち、図6に示すように、回転ブラシ18が引渡し側Bへ移動しながら回転することによって、例えば不要物W5が粘着性を有するものや、堆積した汚物であった場合などで、振動によって排出されなかったものを除去することができる。さらに、回転ブラシ18に隣接して吸引ノズル35から吸引しているので、回転ブラシ18で掃き出された不要物の内、微細なものは吸引ノズル35から吸引し、排出されることになる。
【0034】
クリーナー17の回転ブラシ18が受取り側Aから引渡し側Bまで移動すると、制御部38は再び昇降シリンダ30を駆動させ、回転ブラシ18を移送用溝6の上方へ移動させる。そして、制御部38は、開閉機構12の動作シリンダ12bを駆動させて、可動シュートカバー10を閉じた状態にする。最後に、制御部38は、コントローラ39を介して振動体3の圧電素子5を起振させ、ボールフィーダ用コントローラ52を介して円筒ボール式パーツフィーダ50の振動部を起振させることで、再び歯車Wを供給させ、引渡し側Bまで順次移送することができるようになる。
【0035】
以上のように、開閉機構12によって開閉可能な可動シュートカバー10を有することで、移送用溝6と歯車Wとの間にクサビ状態に嵌り込んでしまった不要物を自動的に、かつ容易に除去することができる。また、クリーナー14の回転ブラシ18及び吸引手段34を設けることで、詰まりの原因である不要物が粘着性を有するものや堆積した汚物であったとしても強制的に除去することができ、歯車Wの移送をより確実なものとすることができる。なお、可動シュートカバー10は、シュート4と隙間13を有して配置されているので、振動体3の振動がシュート4から可動シュートカバー10、さらには開閉機構12と伝達されてしまうことが無い。このため、振動体3からシュート4に効率良く所定の振動数及び振幅の振動を伝達させて、シュート4の移送用溝6に供給された歯車Wを移送することができる。また、不要物回収溝7を有することで、混入してしまった不要物は、歯車Wと異なるルートを通過して、不要物排出口8まで移送される。このため、移送用溝6の内部において、歯車Wと移送用溝6との間に不要物がクサビ状態に嵌り込んで発生する歯車Wの詰まりをさらに軽減することができる。
【0036】
なお、開閉機構12は、可動シュートカバー10を移送用溝6の幅方向に進退可能であるとしたが、移送用溝6の上部開口6aを開閉可能であれば良く、上方に回動する機構としても良い。また、本実施形態においては、移送用溝6の上部開口6aは、固定シュートカバー9と可動シュートカバー10とで閉じられているものとしたが、これに限ることは無い。可動シュートカバー10のみの構成としても、閉じている状態においては移送されている歯車Wの回転、跳ね上がり等を防ぎ、また開くことによって、移送用溝6の内部で部品と不要物とがクサビ状態になっているのを解除して詰まりを解消することができる。また、隙間11を除いて閉じている状態としたが、完全に閉じた状態としても同様の効果を期待することができる。また、本実施形態においては、可動シュートカバー10を開いた状態にするとともに、振動体3を起振させるものとしたが、少なくとも可動シュートカバー10を開くようにすることで、部品と不要物とがクサビ状態になっているのを解除して、詰まりを解消することができる。
【0037】
移送用溝6は、部品である歯車Wの形状と対応して上部溝6b及び下部溝6cで構成されているものとしたが、部品の種類に応じて上部溝6bのみの構成としても良い。さらに、移送用溝6の底部に不要物回収溝7が設けられるものとしたが、不要物回収溝7が無い構成としても、上記可動シュートカバー10を開いて詰まりを解消するとともに、原因となる不要物を不要物排出口8から排出させることは可能である。
【0038】
また、クリーナー17は、回転ブラシ18が回転することによって移送用溝6の不要物を除去できるものとしたが、ブラシ状で回転しない構成や、弾性を有するワイパー状の部材などとしても同様の効果を期待することができる。また、クリーナー17の移動手段20として、無端ベルト25が走行するものとしたが、例えばボールネジによる構成などとしても良い。また、可動シュートカバー10の開閉機構12の駆動及びクリーナ17の駆動は、受取り側検出センサー24及び引渡し側検出センサー25の検出結果をもとに行われるとしたが、これに限ることは無い。例えば、取出し口4bにおいて一定時間連続して取出しができなかった場合に駆動されるものとしても良いし、定期的に駆動するものとしても良い。
【0039】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明の実施形態の部品移送装置の斜視図である。
【図2】この発明の実施形態の部品移送装置の移送用溝を拡大した断面図である。
【図3】この発明の実施形態の部品移送装置の取出し口を拡大した断面図である。
【図4】この発明の実施形態の部品移送装置のブロック図である。
【図5】この発明の実施形態の部品移送装置の説明図である。
【図6】この発明の実施形態の部品移送装置の説明図である。
【符号の説明】
【0041】
1 部品移送装置
3 振動体
4 シュート
4a 供給口
4b 取出し口
4c 上面
6 移送用溝
6a 上部開口
7 不要物回収溝
8 不要物排出口
9 固定シュートカバー
10 可動シュートカバー
11 隙間
12 開閉機構
13 隙間
14 受取り側検出センサー
15 引渡し側検出センサー
17 クリーナー
18 回転ブラシ
19 昇降手段
20 移動手段
31 ブラシ駆動部
34 吸引手段
38 制御部
A 受取り側
B 引渡し側
W 歯車(部品)
W4、W5 不要物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受取り側に設けられた供給口から供給された部品を、引渡し側に設けられた取出し口まで振動によって移送し、次工程に引き渡す部品移送装置であって、
前記振動を与える振動体と、
該振動体上に設けられ、前記供給口から前記取出し口まで、前記部品を移送可能な移送用溝が延設されているとともに、該移送用溝の前記引渡し側の先端部には、前記部品の幅よりも小さい径を有して下方に貫通する不要物排出口が形成されたシュートと、
該シュートの上面に延設され、開閉機構によって前記移送用溝の上部開口を開閉可能な可動シュートカバーとを備えることを特徴とする部品移送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の部品移送装置において、
前記可動シュートカバーが前記移送用溝の前記上部開口を閉じている状態において、前記可動シュートカバーは、前記シュートの上面と隙間を有して配置されていることを特徴とする部品移送装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の部品移送装置において、
前記シュートの前記移送用溝の底部には、さらに、前記部品の幅よりも狭い幅を有する不要物回収溝が形成されていることを特徴とする部品移送装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の部品移送装置において、
前記シュートの前記移送用溝の前記上部開口を閉じるように延設された固定シュートカバーをさらに備え、
前記可動シュートカバーは、前記移送用溝の前記上部開口を閉じている状態において、前記固定シュートカバーと前記移送用溝の幅方向に所定の隙間を有して配置されていることを特徴とする部品移送装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の部品移送装置において、
前記シュートの前記移送用溝には、前記受取り側において、前記移送用溝に供給される前記部品の有無を検出する受取り側検出センサーが設けられているとともに、前記引渡し側において、前記移送用溝を通過する前記部品の有無を検出する引渡し側検出センサーが設けられており、
前記受取り側検出センサーで前記部品が検出され、前記引渡し側検出センサーで前記部品が検出されなかった時に、前記開閉機構に前記可動シュートカバーを開放させる制御部を備えることを特徴とする部品移送装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の部品移送装置において、
前記シュートの前記移送用溝の上方には、上下に昇降可能で、前記可動シュートカバーが開いている状態において、前記移送用溝の内部に下降し、前記移送用溝に存在する不要物の除去を行うクリーナーが設けられていることを特徴とする部品移送装置。
【請求項7】
請求項6に記載の部品移送装置において、
前記クリーナーは、前記移送用溝が延びる方向に回転可能な回転ブラシと、
該回転ブラシを回転させるブラシ駆動部と、
前記回転ブラシを上下に昇降させる昇降手段と、
前記回転ブラシを前記移送用溝が延設されている方向に移動させる移動手段とを備えることを特徴とする部品移送装置。
【請求項8】
請求項7に記載の部品移送装置において、
前記クリーナーは、前記回転ブラシとともに移動し、前記不要物を吸引する吸引手段を備えていることを特徴とする部品移送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−210738(P2007−210738A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−32126(P2006−32126)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】