説明

部品組立システム

【課題】自動化された部品組立システムにおいて、搬送台車の走行スペースを削減する。
【解決手段】主部品6を搬送する主部品搬送台車3が走行する主搬送路1から、副部品12を搭載して移動する副部品搬送台車4の部品投入路2を分岐・合流させる。副部品搬送台車4により、副部品12を組立ステーション9のストッカ17に補充するときは、副部品搬送台車4を部品投入路2に分岐させて、集中部品庫38から副部品12を積み込んだ後、主搬送路1へ合流させて目的の組立ステーション9へ運ぶ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック製品等の自動生産ラインに設けられる部品組立システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動機による生産ラインでは近年、部品の組立の自動化だけではなく、各組立ステーションへの部品の補充の自動化が図られている。この部品補充の自動化の方法として代表的なものはAGV(Automatic Guided Vehicles)であり、自走式の搬送台車を決められた運行プログラムに従って走行させている。
【0003】
しかし、運行プログラムに従う方法の場合、ラインの規模が大きくなり、搬送台車の数が多くなると、システムが複雑化するという欠点があった。そこで、運行プログラムに沿うのではなく、各組立ステーションから補充の要求を行い、その要求を受けて補充を行うシステムが考えられた(特許文献1参照)。
【0004】
図9は、このシステムを模式的に示すもので、組立を行う主部品が搬送される生産ライン101と、副部品のストッカ102を備えた複数の組立ステーション103と、ストッカ102の残量情報を通知する残量情報ネットワーク104と、を有する。各組立ステーション103からの補充要求を受けて、制御装置105により、副部品を供給する自走式搬送台車106を制御する。自走式搬送台車106の搬送経路107には、自走式搬送台車106に部品を投入するための部品投入ステーション108が設けられている。
【0005】
この部品供給システムでは、ストッカ102の部品の補充が必要になると、組立ステーション103は残量情報ネットワーク104を通じて制御装置105に部品補充要求を出す。制御装置105は、この要求を受け取った順に補充が行われるよう、自走式搬送台車106を搬送経路107に沿って運行させる。補充する部品は部品投入ステーション108で投入され、各組立ステーションに運ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2978028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような部品供給システムの場合、組立ステーション内に設置された部品供給機のストッカは副部品の搬送経路に面していなければならず、組立ステーションに必要な広さは副部品によって異なる。このため、狭い組立ステーションの場合にはストッカまで直接副部品を運ぶことができず、部分的に人が運んだり、別途コンベアを用意する必要があった。また、生産ラインの全長に渡って、自走式搬送台車が走行するためのスペースが生産ラインとは別に必要となる。
【0008】
本発明は、搬送台車の走行スペースを削減し、装置全体の小型化と低コスト化を促進する部品組立システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の部品組立システムは、組立ロボットにより、ストッカから取り出した副部品を主部品に組み付ける部品組立システムにおいて、主搬送路に配置された複数の組立ステーションと、各組立ステーションに配置された組立ロボットおよびストッカと、前記主搬送路を走行し、前記複数の組立ステーションに主部品を搬送する主部品搬送台車と、副部品を搭載して前記主搬送路を走行する副部品搬送台車と、前記副部品搬送台車から各組立ステーションの前記ストッカへ副部品を移載する移載装置と、前記主搬送路から分岐・合流する部品投入路と、前記部品投入路において、前記副部品搬送台車に副部品を供給する副部品供給手段と、各組立ステーションの前記ストッカにおける副部品情報に基づいて、前記副部品搬送台車を前記主搬送路から前記部品投入路に分岐させ、前記副部品供給手段から供給された副部品を前記副部品搬送台車に積み込んで前記主搬送路に合流させる搬送台車制御装置と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
副部品を各組立ステーションのストッカに補充するための副部品搬送台車を、主部品搬送台車と同じ軌道を用いて走行させることで、搬送台車の走行のためのスペースを削減し、装置全体の占有面積を縮小するとともに、駆動部を簡素化し、コストを抑える。
【0011】
さらに、部品残量情報を元に部品供給が可能となるので、各組立ステーションに1回に供給する副部品の個数が異なる場合でも、それぞれの搬送台車の全運行パターンを事前設定することなく、状況に応じた部品供給を行うことができる。副部品の供給が不要な場合には、副部品搬送台車を待機させることが可能となるので、消費電力を削減できると共に、副部品搬送台車の可動部動作用のバッテリを充電する時間を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施例による自動生産ラインにおける部品組立システムを示す模式図である。
【図2】主搬送路と部品供給機の関係を説明する図である。
【図3】ストッカに副部品を供給するための移載装置の一例を示す図である。
【図4】副部品搬送台車からストッカへの副部品供給に組立ロボットを用いた例を示す図である。
【図5】主部品搬送台車と副部品搬送台車を連結した構成を示す図である。
【図6】副部品供給システムにおいて部品残量管理を行う制御システムを示す図である。
【図7】副部品搬送台車の制御を説明する図である。
【図8】部品供給工程を示すフローチャートである。
【図9】一従来例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0013】
図1に示すように、本実施例は、部品搬送と組立の双方を行う主搬送路1と、主搬送路1から分岐・合流する部品投入路2と、を備える部品組立システムである。部品組立のための位置決め機能を備えた主部品搬送台車3と、組立に用いる部品を積み込み各組立工程に搬送する副部品搬送台車4とは、それぞれ独立して主搬送路1上を走行し、搬送台車制御装置5から無線通信を用いて動作制御される。主部品搬送台車3は、主搬送路1をABCAの順で走行し、副部品品搬送台車4は、主部品搬送路1および部品投入路2をADBCAの順で走行する。
【0014】
本実施例において、プラスチック製品の主部品6は、部品トレイ7より主部品投入ロボット8によって1個ずつ主部品搬送台車3に投入される。主部品6は、主部品搬送台車3により主搬送路1上を搬送される。主搬送路1は、複数の組立ステーション9を順次経由しており、各組立ステーション9では、組立ロボット10が部品供給機11より副部品12a〜12f(12)を取り出し、主部品6に組み付ける。副部品12の取り付けが完了した完成品13は、完成品トレイ14に、主部品排出ロボット15によって排出される。
【0015】
例えば、図2に示すように、主搬送路1に隣接して組立ステーション9a〜9cの部品供給機11が配置されている場合を説明する。副部品12は主部品6に対し様々な形状をしており、組立ステーション9aにおいては副部品12の補充時の様子を示し、副部品搬送台車4より補充シュート16を通じてストッカ17に副部品12を補充している。また、組立ステーション9b、9cにおいては、組立時の様子を示している。副部品12を短時間で主部品6に取り付けるために、部品供給機11は副部品12の向きを揃えるための整列部18および副部品12を1列に並べて組立ロボット10の近くまで運ぶフィーダ19を持つ。副部品12は組立ロボット10によって取り出され、主部品6に取り付けられる。
【0016】
図3に示す機構は、ストッカ17へ副部品12を移載する移載装置の一例である。副部品搬送台車4は、搬送路を走行する基台20と、部品投入方向を変更するための回転軸21と、投入高さを変更するための上下軸22と、部品投入の際に開閉するシャッタ23と、ストッカ側の補充シュート16を連結するための滑り台24と、を備える。副部品搬送台車4は、電源ラインが接続されていないため、内部にバッテリ25を持ち、バッテリ25を充電する電源供給部26が設けられている。副部品搬送台車4は部品供給機11に隣接すると、回転軸21と上下軸22を駆動させてストッカ17に滑り台24の位置を合わせた後、シャッタ23を開け、副部品12をストッカ17に補充する。また、バッテリ切れが発生しないよう、バッテリ25にて充電を行う。
【0017】
部品補充方法の別の例として、組立ロボット10を副部品12の移載装置として兼用した例を図4に示す。副部品12の中には、形状や材質が補充シュート16による補充に適さないものがある。この場合には、組立ロボット10により架台28上に置かれたストッカ17に補充を行う。組立ロボット10で補充を行うと生産速度に影響を与えてしまう場合には、図1に示す供給ロボット29を別途準備して補充動作を行わせる。
【0018】
図5は、主部品搬送台車3と副部品搬送台車4を連結させる連結部30を用いた場合を示す。駆動部を共通化することで台車間の衝突を防ぐための制御が不要になる。
【0019】
次に、図6を用いて部品供給システムを説明する。部品供給機11と組立ロボット10から構成される組立ステーション9は、副部品1種類に対し1個割り当てられる。部品供給機11の動作および副部品の主部品への組立動作の制御には、ステーション制御コントローラ31を用いている。
【0020】
各組立ステーション9のストッカ17には、副部品の残量を検知するための残量センサ32が取り付けられている。ストッカ内の副部品の残量の不足を検知すると、その情報(副部品情報)がステーション制御コントローラ31に取り込まれる。ステーション制御コントローラ31では、組立ステーション9の番号と部品残量不足の情報を生成し、稼働情報ネットワーク33に情報を発信する。稼働情報処理装置34は、稼働情報データベース35と接続されており、受信された部品残量不足の情報を受けて、稼働情報データベース35への書き込みと、搬送台車制御装置5への副部品供給の指示とを行う。同時に、部品庫制御装置36に対し、投入する部品の指示を行う。搬送台車制御装置5は、副部品搬送台車4と無線通信を行い、現在の場所と動作状態に応じた制御を行う。
【0021】
副部品搬送台車4の制御方法を、図7および図8を用いて説明する。図7(a)は、主部品搬送台車3と副部品搬送台車4が連結されていない場合の、副部品搬送台車4の状態遷移図である。図8(a)は、図7(a)の場合の部品供給システムの処理フローである。
【0022】
連結部30を持たない副部品搬送台車4を用いる場合、図1に示すように、搬送路切替機37a、37b、37cを備え、主部品搬送台車3と副部品搬送台車4の搬送路の切替を行っている。搬送路切替機37aにて副部品搬送台車4を部品投入路2に分岐させ、搬送路切替機37bでは副部品搬送台車4を主搬送路1に合流させている。
【0023】
副部品搬送台車4は部品投入路2にて搬送路切替機37cによる分岐路で「待機」状態となっている。各ストッカ17の部品残量不足がセンサによって検知され(S01〜S03)、搬送台車制御装置5が副部品供給の指示を受けると(S04)、搬送台車制御装置5は「待機」中の台車を検索する(S05)。「待機」中の台車が見つからない場合には、検知されるまで検索を継続する。「待機」中の台車が見つかると、台車の状態を「待機」から「積込予約」に変更し(S06)、その台車は部品供給手段である集中部品庫38の前まで移動する。移動が完了すると、状態を「積込準備完了」に変更する。部品庫制御装置36では、「積込準備完了」状態の台車を確認すると、稼働情報処理装置34より指示された種類の副部品を、集中部品庫38より指示された数量だけ副部品搬送台車4に積み込む。積み込みが完了すると(S07)、台車の状態を「積込完了」に変更する。副部品を搭載した副部品搬送台車4は、部品投入路2から主搬送路1に搬送路切替機37bを通じで合流する。
【0024】
副部品搬送台車4はそれぞれエンコーダを持ち、現在位置の情報を知ることができる。台車の制御は搬送台車制御装置5と無線で行っている。副部品搬送台車4が指示を受けた組立ステーション9の前に到着すると(S08)、供給準備完了信号を出力する。組立ステーション9から準備完了受取確認の信号を受信後、副部品が図3の方法で供給するものに該当する場合には、副部品搬送台車4より部品供給動作を行い(S09)、それが完了した際に「供給完了」状態になる(S10)。また、図4の方法で供給する場合には、副部品搬送台車4は副部品の取り出しが完了するまで待機し、組立ステーション9より完了信号を受信後「供給完了」状態になる。その後、副部品搬送台車4は部品投入路2まで移動し、「待機」状態に戻る(S11)。
【0025】
一方、図5に示すように、主部品搬送台車3と副部品搬送台車4が連結されている場合は、図7(b)に示す状態遷移と、図8(b)に示す処理フローが適用される。搬送台車制御装置5が副部品供給の指示を受けると(S21〜S24)、「回送」状態の副部品搬送台車4の検索を行う。「回送」状態の副部品搬送台車4を複数検知した場合(S25)、最も集中部品庫38に近いものを選択し台車の状態を「積込予約」に変更する(S26)。集中部品庫38前まで台車の移動が完了すると、状態を「積込準備完了」に変更し、集中部品庫38から副部品の積み込みを行う(S27)。副部品が積み込まれ(S28)、「積込完了」状態(S29)となった副部品搬送台車4は、供給対象の組立ステーション9の前に到着すると(S30)、「供給準備完了」状態となる。部品供給機11への副部品投入時の信号のやり取りは、主部品搬送台車3と副部品搬送台車4が連結されていない場合と同様であり、「供給完了」状態に変化後は、同時に行われている組立作業が完了後に「回送」状態に戻る(S31〜S33)。
【符号の説明】
【0026】
1 主搬送路
2 部品投入路
3 主部品搬送台車
4 副部品搬送台車
5 搬送台車制御装置
6 主部品
7 主部品ケース
8 主部品投入ロボット
9、9a、9b、9c 組立ステーション
10 組立ロボット
11 部品供給機
12、12a〜12f 副部品
17 ストッカ
30 連結部
32 残量センサ
37a〜37c 搬送路切替機
38 集中部品庫

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組立ロボットにより、ストッカから取り出した副部品を主部品に組み付ける部品組立システムにおいて、
主搬送路に配置された複数の組立ステーションと、
各組立ステーションに配置された組立ロボットおよびストッカと、
前記主搬送路を走行し、前記複数の組立ステーションに主部品を搬送する主部品搬送台車と、
副部品を搭載して前記主搬送路を走行する副部品搬送台車と、
前記副部品搬送台車から各組立ステーションの前記ストッカへ副部品を移載する移載装置と、
前記主搬送路から分岐・合流する部品投入路と、
前記部品投入路において、前記副部品搬送台車に副部品を供給する副部品供給手段と、
各組立ステーションの前記ストッカにおける副部品情報に基づいて、前記副部品搬送台車を前記主搬送路から前記部品投入路に分岐させ、前記副部品供給手段から供給された副部品を前記副部品搬送台車に積み込んで前記主搬送路に合流させる搬送台車制御装置と、を有することを特徴とする部品組立システム。
【請求項2】
前記移載装置が、前記副部品搬送台車に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の部品組立システム。
【請求項3】
前記主部品搬送台車と前記副部品搬送台車を連結する連結部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の部品組立システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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