説明

部品配置構造、燃焼器装置およびガスタービン

【課題】2個の構造要素が隙間を空けた状態で互いにはめ合わされる部位を備えて静止して配置され、前記隙間を漏れ止めするシール要素が配置されている好適な部品配置構造を提供する。
【解決手段】2個の両構造要素(8、11)の一方(11)が漏れ止めすべき隙間(1)の領域で他方の構造要素(8)に向けて開いた側壁面(23)付き溝(7)を有している。シール要素(4)が両側面(第1側面(31a)と第2側面(31b))を備えた保持要素(6)を有し、少なくとも部分的に溝(7)の中に配置されている。保持要素(6)の第1側面(31a)が、この第1側面(31a)に作用する圧力と第2側面(31b)に作用する圧力との圧力差によって溝(7)の側壁面(23)に押し付けられる。溝(7)の側壁面(23)および/又は保持要素(6)の第1側面(31a)が少なくとも1つの圧力バランス窪み(25)を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は部品配置構造およびシール要素付き燃焼器装置に関する。また本発明はガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼器例えばガスタービンの燃焼器は、通常、部分的に相互にはめ合わされた別個の部品を有している。特に通常、火炎管の出口および火炎管に続く移行要素が部分的に相互にはめ合わされている。そのはめ合い部位間に代表的に生ずる隙間は漏れ止め(シール)されねばならない。これは、通常、締付けばねシールによって行われるが、ブラシシールでも行える。
【0003】
1つの保持リングを有するブラシシールを利用する場合あるいは1つの保持リングを有する他のシール要素を利用する場合、シール要素にわたり作用する圧力差が保持リングに横方向のスラストを発生し、このスラストが保持リングを案内溝の側壁面に押し付ける。そのスラストは基本的に望まれ、それどころか、それによって保持リングの周りを通って流れる漏れが減少されるので必要である。それに加えて保持リングの側面および案内溝の接触面が滑らかで平坦に加工されているとき、その漏れは僅かとなる。
【0004】
かかる漏れ止め装置において、シール要素が予定通りに機能するようにするためには、スラスト力が正しく設計され管理されることが重要である。そのスラストは、保持リングが運転中に、即ち、圧力差が保持リングにかかった状態で、半径方向に変位されるとき、摩擦を発生する。その変位は保持リングの目的設定に基づき不可避である。ブラシシールを利用する場合、その摩擦力はブラシシールおよび漏れ止めされる向かい合った両部品によって受けられねばならない。
【0005】
保持リングの高さおよび/又は圧力差が比較的高い場合、保持リングを実際に案内溝内に固着してしまう過大な摩擦力が生ずることがある。その関連部品は過大に負荷され、これは損傷を生じさせ、例えばブラシを押しつぶし、部品を変形させ、あるいは部品に割れを生じさせることがある。これを防止するために、特に保持リングの大きさをできる限り小さくすることができる。また圧力差を減少するために、複数のシールリングを直列に使用することができる。さらに、関連面が平滑にされおよび/又は被覆されることによって、摩擦を減少することができる。しかしこれらの処置は、保持リング直径が大きい場合および/又は圧力差が大きい場合に十分でないことが判明している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、隙間を空けた状態で互いにはめ合わされ静止して配置された部位を備えた2個の構造要素およびその隙間を漏れ止めするシール要素を有する有利な部品配置構造を提供することにある。また本発明の課題は有利な燃焼器装置を提供することにある。さらに本発明の課題は有利なガスタービンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の課題は特許請求の範囲の請求項1に記載の部品配置構造によって解決される。第2の課題は請求項12に記載の燃焼器装置によって解決される。また第3の課題は請求項19に記載のガスタービンによって解決される。それらの従属請求項が本発明の有利な実施態様を含んでいる。
【0008】
本発明に基づく部品配置構造は2個の構造要素を有し、これらの構造要素は隙間を空けた状態で互いにはめ合わされ静止して配置された部位を備えている。
【0009】
またこの部品配置構造は上記隙間を漏れ止めするシール要素を有している。両構造要素の一方は側壁面付き溝を有しており、この溝は漏れ止めすべき隙間の領域に設けられ且つ他方の構造要素に向けて開いている。シール要素は2つの側面(第1側面と第2側面)を備えた保持要素を有している。そのシール要素は少なくとも部分的に溝の中に配置されている。保持要素の第1側面は、この第1側面に作用する圧力と第2側面に作用する圧力との圧力差によって溝の側壁面に押し付けられる。溝のこの側壁面および/又は保持要素の第1側面が少なくとも1つの圧力バランス窪みを有している。
【0010】
本発明において、「静止して配置」とは、両構造要素のはめ合い部位が相対回転しないことを意味する。本発明に基づく両構造要素のはめ合い部位は振動や熱膨張のために動かされる可能性があるけれども、そのようにして相対運動する両部品は本発明では静止して配置されていると見なす。
【0011】
用語「溝」は本発明においては特に案内溝を意味する。
【0012】
圧力バランス窪みによって、相互に接する構造要素間の接触面積が減少する。これによって、圧力差が作用する面積が減少する。これは低減された押圧力のために摩擦力の減少を生じさせ、保持要素の固着および関連部品の過負荷を防止する。特に、圧力バランス窪みの寸法の適切な選定によって、相互に接する溝の側壁面と保持要素の側面との間における力を調整することができる。また、これによって、相互に接する面間における摩擦力に影響を与えることができる。
【0013】
この溝は特に環状溝として形成することができる。また、保持要素は保持リングとして形成することができる。さらに、シール要素は例えば、特にブラシを備えた保持リングを有するブラシシールとして形成することができる。あるいはまた、このシール要素はコードシール、割りシールリング(Cリング)、無端シールリング(Oリング)とすることができる。これらの場合において、特に保持リングはコードシール、割りシールリング(Cリング)あるいは無端シールリング(Oリング)に結合することができる。他の実施態様において、シール要素は純粋なピストンリングあるいは保持リングとして形成することができる。
【0014】
また溝は、この溝がそれに向いて開いた構造要素の周りを環状に取り囲むことができる。この場合、その圧力バランス窪みは溝の側壁面全体に沿っておよび/又は保持要素の第1側面全体に沿って延びる。あるいはまた、複数の圧力バランス窪みが溝の側壁面全体に沿っておよび/又は保持要素の第1側面全体に沿って複数のセグメントの形で延びることができる。換言すれば、圧力バランス窪みは環状溝ないしセグメント状溝として形成することができる。そのセグメント化は非セグメント形の圧力バランス窪みに比べて、保持リングの良好な接触支持、従って、部品配置構造の高い安定性を生じさせる。
【0015】
溝の側壁面および/又は保持要素の第1側面は被覆することができる。その被覆材料の適切な選択によって、互いに接する側面間の摩擦が同様に減少される。
【0016】
圧力バランス窪みは特に1mm〜10mm、好適には、1.5mmの深さを有する。
【0017】
互いにはめ合わされた2個の構成要素の一方のはめ合い部位は例えば火炎管の出口を形成することができる。この場合、火炎管の出口が、互いにはめ合わされた2個の構成要素の他方のはめ合い部位に対して半径方向内側に配置されていることが有利である。このようにして、この隙間は火炎管から出る燃焼ガスの流れ方向には貫流されず、流れ方向と逆向きにしか貫流されず、このことは漏れを減少する働きをし、流れ方向に貫流される隙間に比べて、より小形シールの採用を可能とする。また上述した部品配置構造の枠内で、内側部品の外側面が燃焼ガスに曝されず、このために、熱的負荷が減少される。また、隙間を洗浄するために必要な空気量が最少にされる。
【0018】
また、互いにはめ合わされた2個の構成要素の他方のはめ合い部位は、火炎管(combustor basket)とタービン入口との間に配置された移行要素(transition piece)のはめ合い部位を形成する。この場合、その移行要素のはめ合い部位が、互いにはめ合わされた2個の構成要素の他方のはめ合い部位に関して半径方向外側に配置されていることが有利である。ここでも、この隙間の貫流は全般的流れ方向と逆向きにしか行えない。
【0019】
2個の構成要素の互いにはめ合わされる部位は特に円筒状に形成することができる。
【0020】
互いにはめ合わされる部位の中心線に関して半径方向外側に配置された部位を有する構成要素が溝を有していることが有利である。しかし勿論、互いにはめ合わされる部位の中心線に関して半径方向内側に配置された部位を有する部品が溝を有することもできる。
【0021】
本発明に基づく燃焼器装置は、火炎管出口を備えた火炎管と、この火炎管から出る燃焼ガスの流れ方向において火炎管出口に後置接続され火炎管出口に合わされた入口を備えた移行要素とを有している。その火炎管出口および移行要素の入口は部分的に互いにはめ合わされている。その場合、火炎管出口と移行要素の入口との間に隙間が生じている。火炎管出口あるいは移行要素は漏れ止めすべき隙間の領域に側壁面付き環状溝を有している。その隙間は両側面(第1側面と第2側面)を備えた保持要素を有するシール要素によって漏れ止めされている。そのシール要素は少なくとも部分的にこの溝の中に配置されている。保持要素の第1側面は、この第1側面に作用する圧力と第2側面に作用する圧力との圧力差によって溝の側壁面に押し付けられる。その溝の側壁面および/又は保持要素の第1側面は、少なくとも1つの圧力バランス窪みを有している。
【0022】
その圧力バランス窪みによって、互いに接する溝の側壁面と保持要素の側面の接触面積が減少される。これによって、圧力差が作用する面積が減少される。これは摩擦力の低減を生じさせ、保持要素の固着および関連部品の過負荷を防止する。特に圧力バランス窪みの寸法の適切な選定によって、互いに接する溝の側壁面と保持要素の側面との間における力を調整することができる。またこれによって、相互に接する面間における摩擦力に影響を与えることができる。
【0023】
溝の側壁面および/又は保持要素の第1側面は被覆することができる。被覆材料の適切な選択によって、相互に接する面間における摩擦が減少される。
【0024】
圧力バランス窪みは例えば1mm〜10mm、好適には1.5mmの深さを有する。
【0025】
また溝は環状溝として形成することができる。シール要素は例えばブラシシール、コードシール、割りシールリング(Cリング)、無端シールリング(Oリング)とすることができる。ブラシシールの場合、これは特にブラシを備えた保持リングを有することができる。もっともシール要素は純粋なピストンリングあるいは保持リングとしても形成することができる。
【0026】
また溝は、この溝がそれに向いて開いた移行要素あるいは火炎管出口の周りを環状に取り囲むことができる。この場合、圧力バランス窪みは溝の側壁面全体に沿っておよび/又は保持要素の第1側面全体に沿って設けることができる。あるいはまた、圧力バランス窪みは溝の側壁面全体に沿っておよび/又は保持要素の第1側面全体に沿って複数のセグメントの形で設けることができる。そのセグメント化は、保持要素ないし保持リングが非セグメント化の環状の圧力バランス窪みの場合よりも良好に接触支持される働きをする。
【0027】
基本的には本発明の枠内で並びに本発明に基づく燃焼器装置の枠内で、溝の側壁面における種々の半径方向位置に複数例えば2つの圧力バランス窪みを配置することができる。
【0028】
また、相互に接する面の縁は丸められるか球面状に形成することができる。これによって、接触面積を最小とすることができる。
【0029】
本発明に基づく部品配置構造および本発明に基づく燃焼器装置は、材料を相応して選択した場合、基本的にはあらゆる温度範囲および種々の媒体例えば空気、水あるいは油において利用できる。作用する圧力も原理的には制限されない。押圧力が低すぎる場合には、特に保持リングの半径方向における高さを増大すればよい。
【0030】
本発明に基づくガスタービンは上述したような燃焼器装置を有している。本発明に基づくガスタービンは本発明に基づく燃焼器装置と同じ利点を有する。
【0031】
以下図に示した実施例を参照して、本発明の他の特徴、特性および利点を詳細に説明する。それぞれの実施例は個別でも互いに組み合わせても有利である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】ガスタービンの概略縦断面図。
【図2】ガスタービンの燃焼器装置の部分概略構成図。
【図3】本発明に基づく部品配置構造の部分概略断面図。
【図4】本発明に基づく部品配置構造の異なった実施例の部分概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図1〜図4を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
【0034】
図1はガスタービンを概略的に示している。ガスタービンは内部にタービンランナとも呼ばれるロータを有し、このロータは回転軸線を中心に回転可能に支持され、軸107を備えている。そのロータに沿って順々に、吸込み室109、圧縮機101、複数の燃焼器装置15、タービン105および排気室190が続いている。
【0035】
各燃焼器装置15は例えば環状の燃焼ガス通路に連通している。そこで直列接続された複数のタービン段がタービン105を形成している。各タービン段はそれぞれ2つの翼輪(翼列)で形成されている。燃焼ガス通路において、作動媒体(燃焼ガス)の流れ方向に見て、静翼列117に多数の動翼115から成る動翼列が続いている。その静翼117はステータの内部車室に取り付けられ、これに対して、動翼列の動翼115は例えばタービン円板によってロータに設けられている。そのロータに発電機や作業機械が連結されている。
【0036】
ガスタービンの運転中、圧縮機101によって吸込み室109を通して空気が吸い込まれ圧縮される。圧縮機101のタービン側端に供給される圧縮空気は燃焼器装置15に供給され、そこで燃料と混合される。その混合気は燃焼器で燃焼され、作動媒体が発生される。そこから作動媒体は燃焼ガス通路に沿って流れ、静翼117および動翼115を通って流れる。作動媒体は膨張し動翼115に衝撃伝達し、これにより、動翼115がロータを駆動し、このロータがそれに連結された作業機械を駆動する。
【0037】
図2はガスタービンの燃焼器装置15の一部を概略的に示している。図2に示された燃焼器装置15は例えばいわゆる缶形燃焼器である。これらの缶形燃焼器は円周に沿って一様に配置され、ロータ軸107に対して同心的に配置されている。各燃焼器装置15は1つの火炎管(combustor basket)8および1つの移行要素(transition piece)11を有している。バーナ(図示せず)で発生された燃料と空気とから成る混合気が火炎管8内で燃焼される。その際に生じた燃焼ガスは火炎管8から移行要素11を介してタービン105に導かれ、そこで作動媒体としてタービン105に存在するタービン翼13を駆動する。燃焼器装置15における燃焼ガスの流れ方向は矢印14で示されている。
【0038】
火炎管8の中心軸線および互いにはめ合わされた火炎管8と移行要素11のはめ合い部位の中心軸線は符号19で示されている。
【0039】
また図2に示された火炎管8は出口9を有している。火炎管8の出口9の部位がそれに続く移行要素11の部位の中に挿入されているように、移行要素11が出口9に接続されている。互いにはめ合わされる部位は円筒状に形成されている。互いにはめ合わされた火炎管8と移行要素11のはめ合い部位間に隙間1が生じている。従来においてこの隙間1は例えば締付けばねシール18によって漏れ止め(シール)されている。しかし本発明では、この隙間1は、好適にはブラシシールによって、あるいは少なくとも部分的に案内溝内に配置された他のシール要素によって漏れ止めすることができる。
【0040】
移行要素11はその横断面積が流れ方向に徐々に減少し、また円形断面から部分円断面状に変化している。流れ方向14における移行要素11の終端はタービン入口12を形成している。
【実施例1】
【0041】
次に、特に本発明に基づく燃焼器装置である本発明に基づく部品配置構造について、図3と図4を参照して詳細に説明する。図3と図4はそれぞれ本発明に基づく部品配置構造の異なる実施例を概略断面図で示し、それらの部品配置構造は、ここでの実施例では、ガスタービンにおける燃焼器装置15である。互いにはめ合わされた2個の構成要素が示されている。この実施例においてそれらの構成要素は火炎管8と移行要素11である。互いにはめ合わされた火炎管8と移行要素11の円筒状のはめ合い部位間に隙間1が存在している。この隙間1はブラシシール4によって漏れ止めされている。
【0042】
ブラシシール4は1つのシールホルダ(シール保持体)6と1つのブラシ5を有している。そのブラシ5はシールホルダ6に、ブラシ5の剛毛が部分的にシールホルダ6の内部に位置し、部分的にシールホルダ6から突出するように配置されている。好適には、シールホルダ6はピストンリングとして形成されている。これはブラシ5と火炎管8の表面との恒常的な直接接触を保証する。
【0043】
図3と図4における移行要素11のはめ合い部位は、漏れ止めすべき隙間1の領域を延びる1つの環状溝7を有し、この環状溝7は中心軸線20に関して半径方向外側に窪んでいる。シールホルダ6はその環状溝7の中に、シールホルダ6が中心軸線20に関して半径方向に変位可能であるように設置されている。半径方向に変位可能な方向は矢印16で示されている。また環状溝7およびブラシホルダ6は、シールホルダ6が部分的に隙間1の中に突出し、このようにして隙間1を部分的に漏れ止めするように配置されている。シールホルダ6で漏れ止めされない隙間1の部分は、火炎管8の方向にシールホルダ6から突出するブラシ5によって漏れ止めされる。そのブラシ5の剛毛は火炎管8の表面に直接接触する。
【0044】
互いにはめ合わされた火炎管8と移行要素11のはめ合い部位における火炎管8の表面とブラシ5との接触面での軸方向の変位方向は矢印17で示されている。環状溝7内におけるシールホルダ6の半径方向の変位可能性は、例えば熱膨張や機械応力によって起こり得る移行要素11と火炎管8との半径方向における相対運動や相対変位の相殺を可能とする。
【0045】
運転中、シールホルダ6は環状溝7の側壁面23に接していなければならず、さもなければ漏れが生じてしまう。相互に接する面は相応してきれいに且つ平坦に加工されねばならない。典型的には、シールホルダ6は環状溝7の側壁面23にシールにわたる圧力差によって押し付けられる。基本的には、シールホルダ6は環状溝7に軸方向における僅かな遊びしろを有するだけで足りる。
【0046】
図3に示された移行要素は、図4に示された部品配置構造とは異なって、互いに例えばねじ結合された2個の部品部分11a、11bから成っている。勿論、移行要素11の図示された部品は、図4に示されているように1個の部品で作ることもできる。
【0047】
図3における部品部分11aは環状溝7の第1側壁面24と底壁面30を有している。他方の部品部分11bは環状溝7の第2側壁面23を有している。図3と図4において、シールホルダ6は両側面(第1側面31aと第2側面31b)を有している。ブラシシール4のシールホルダ6の第1側面31aは、この第1側面31aに作用する圧力と第2側面31bに作用する圧力との圧力差によって環状溝7の第2側壁面23に押し付けられる。図3と図4において、ブラシシール4のシールホルダ6の第1側面31aは環状溝7の第2側壁面23に当接している。
【0048】
ガスタービンないし燃焼器装置の運転中、符号28が付された範囲に、符号29が付された範囲よりも高い圧力がかかる。その圧力差によって、シールホルダ6の第1側面31aが環状溝7の第2側壁面23に押し付けられる。シールホルダ6と第1側壁面24との間の圧力平衡は矢印27で示された流れ方向に沿って行われる。
【0049】
環状溝7の第2側壁面23は圧力バランス窪み25を有している。この圧力バランス窪み25は例えば1mm〜10mm、好適には1.5mmの深さ26を有する。この圧力バランス窪み25は特に環状溝7の第2側壁面23全体に沿って延ばしてもよい。あるいはこの圧力バランス窪み25は円周方向にセグメント化(区分け)して形成することができる。この場合、それらの複数の窪みセグメントは環状溝7の第2側壁面23全体に沿って設けることができる。そのセグメント化は、シールホルダ6が非セグメント化形態の場合よりも良好に接触支持される働きをする。
【0050】
また代案として、相互に接する第1側面31aと第2側壁面23との間に補助シール33を配置することができる。これは特に環状溝7の第2側壁面23とシールホルダ6の第1側面31aとの間で漏れが心配されるときに有利である。そのシール33は例えばOリングあるいはブラシシールとすることができる。
【実施例2】
【0051】
図4は本発明に基づく部品配置構造の異なった実施例を概略的に断面図で示している。図3に示された実施例と異なって、環状溝7の第2側壁面23に接するシールホルダ6の第1側面31aが圧力バランス窪み25を有している。この圧力バランス窪み25は高圧がかかっている範囲28に圧力平衡孔32を介して流れ技術的に接続されている。この実施例において、環状溝7の第2側壁面23は圧力バランス窪み25を有していない。図4において移行要素11は、図3に関連して述べたように形成されている。この移行要素11は、図3に示されているように2分割構造あるいはより多分割な構造に形成できるが、図4に示されているように単一体としても形成できる。
【0052】
図4に示された圧力バランス窪み25は、基本的には図3に示された圧力バランス窪み25と同じ特性と利点を有している。この圧力バランス窪み25は特に保持要素6の第1側面31a全体に沿って設けることができ、また図3に関連して述べたようにセグメント化して形成することができる。
【0053】
また、図4に示された実施例においても代案として、第1側面31aと第2側壁面23との間に、図3に関連して述べたように補助シール33を配置することができる。
【0054】
圧力バランス窪み25は、図3と図4に示された両実施例において、環状溝7の第2側壁面23とシールホルダ6の第1側面31aとの加圧接触面積の減少を生じさせ、従ってその両面間の摩擦の減少を生じさせる。また加圧接触面積の減少は作用スラストを低下する。圧力バランス窪み25の寸法の適切な選定によって、相互に接する環状溝7の側壁面23とシールホルダ6の第1側面31aとの間の力を調整することができる。またこれによって、相互に接する両面23、31a間の摩擦力に影響を与えることができる。
【0055】
上述した実施例の代わりに、本発明に基づく部品配置構造を、移行要素11と重なり合って配置された火炎管8の部位、即ち、火炎管8の出口9が環状溝7を有するように形成することもできる。上述した説明はこの実施例に対しても当てはまる。
【符号の説明】
【0056】
1 隙間
4 ブラシシール(シール要素)
6 保持要素(シールホルダ)
7 環状溝
8 火炎管
9 火炎管出口
11 移行要素
12 タービン入口
23 溝壁側面
25 圧力バランス窪み
31a 保持要素の第1側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隙間(1)を空けた状態で互いにはめ合わされ静止して配置された部位を有する2個の構造要素(8、11)と、前記隙間(1)を漏れ止めするシール要素(4)とを備え、前記両構造要素(8、11)の一方が、漏れ止めすべき隙間(1)の領域に他方の構造要素(8、11)に向けて開いた側壁面(23)付き溝(7)を有し、前記シール要素(4)が両側面(第1側面(31a)と第2側面(31b))を備えた保持要素(6)を有し、前記シール要素(4)が少なくとも部分的に前記溝(7)の中に配置され、保持要素(6)の第1側面(31a)がこの第1側面(31a)に作用する圧力と第2側面(31b)に作用する圧力との圧力差によって前記溝(7)の側壁面(23)に押し付けられる、部品配置構造であって、
溝(7)の側壁面(23)および/又は保持要素(6)の第1側面(31a)が、少なくとも1つの圧力バランス窪み(25)を有していることを特徴とする部品配置構造。
【請求項2】
前記溝(7)が環状溝として形成されていることを特徴とする請求項1に記載の部品配置構造。
【請求項3】
保持要素(6)が保持リングとして形成されていることを特徴とする請求項2に記載の部品配置構造。
【請求項4】
シール要素(4)が、ブラシシール、コードシール、割りシールリング、無端シールリングを有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の部品配置構造。
【請求項5】
溝(7)が、この溝(7)がそれに向いて開いた構造要素(8)の周りに環状に設けられ、圧力バランス窪み(25)が溝(7)の側壁面(23)全体に沿っておよび/又は保持要素(6)の第1側面(31a)全体に沿って設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の部品配置構造。
【請求項6】
溝(7)が、この溝(7)がそれに向いて開いた構造要素(8)の周りに環状に設けられ、圧力バランス窪み(25)が溝(7)の側壁面(23)全体に沿っておよび/又は保持要素(6)の第1側面(31a)全体に沿って複数のセグメントの形で設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の部品配置構造。
【請求項7】
溝(7)の側壁面(23)および/又は保持要素(6)の第1側面(31a)が被覆されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の部品配置構造。
【請求項8】
圧力バランス窪み(25)が1mm〜10mmの深さを有していることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の部品配置構造。
【請求項9】
互いにはめ合わされた2個の構造要素(8、11)の一方のはめ合い部位が、火炎管(8)の出口(9)を形成していることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の部品配置構造。
【請求項10】
互いにはめ合わされた2個の構造要素(8、11)の一方のはめ合い部位が、火炎管(8)とタービン入口(12)との間に配置された移行要素(11)の部位を形成していることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の部品配置構造。
【請求項11】
2個の構造要素(8、11)の互いにはめ合わされる部位が円筒状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載の部品配置構造。
【請求項12】
火炎管出口(9)を備えた火炎管(8)とこの火炎管(8)から出る燃焼ガスの流れ方向(14)において火炎管出口(9)に後置接続され火炎管出口(9)に合わされた入口を備えた移行要素(11)とを有し、その火炎管出口(9)および移行要素(11)の入口が部分的に互いにはめ合わされ、火炎管出口(9)と移行要素(11)の入口との間に隙間(11)が生じており、火炎管出口(9)あるいは移行要素(11)が、漏れ止めすべき隙間(1)の範囲を延び移行部位(11)あるいは火炎管出口(9)に向けて開いた側壁面(23)付き溝(7)を有し、前記隙間(1)が両側面(第1側面(31a)と第2側面(31b))を備えた保持要素(6)を有するシール要素(4)によって漏れ止めされ、そのシール要素(4)が少なくとも部分的に前記溝(7)の中に配置され、保持要素(6)の第1側面(31a)が、この第1側面(31a)に作用する圧力と第2側面(31b)に作用する圧力との圧力差によって前記溝(7)の側壁面(23)に押し付けられる、燃焼器装置であって、
溝(7)の側壁面(23)および/又は保持要素(6)の第1側面(31a)が、少なくとも1つの圧力バランス窪み(25)を有していることを特徴とする燃焼器装置。
【請求項13】
溝(7)の側壁面(23)および/又は保持要素(6)の第1側面(31a)が被覆されていることを特徴とする請求項12に記載の燃焼器装置。
【請求項14】
圧力バランス窪み(25)が1mm〜10mmの深さを有していることを特徴とする請求項12又は13に記載の燃焼器装置。
【請求項15】
溝(7)が環状溝として形成されていることを特徴とする請求項12ないし14のいずれか1つに記載の燃焼器装置。
【請求項16】
シール要素(4)が、ブラシシール、コードシール、割りシールリング、無端シールリングを有していることを特徴とする請求項12ないし15のいずれか1つに記載の燃焼器装置。
【請求項17】
溝(7)がこの溝(7)がそれに向いて開いた移行要素(11)あるいは火炎管出口(9)の周りに環状に設けられ、圧力バランス窪み(25)が溝(7)の側壁面(23)全体に沿っておよび/又は保持要素(6)の第1側面(31a)全体に沿って設けられていることを特徴とする請求項12ないし16のいずれか1つに記載の燃焼器装置。
【請求項18】
溝(7)がこの溝(7)がそれに向いて開いた移行要素(11)あるいは火炎管出口(9)の周りに環状に設けられ、圧力バランス窪み(25)が溝(7)の側壁面(23)全体に沿っておよび/又は保持要素(6)の第1側面(31a)全体に沿って複数のセグメントの形で設けられていることを特徴とする請求項17に記載の燃焼器装置。
【請求項19】
請求項12ないし18のいずれか1つに記載の燃焼器装置を有していることを特徴とするガスタービン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−287559(P2009−287559A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125611(P2009−125611)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】