説明

配線・配管材の付属カバー用スペーサー、および配線・配管構造

【課題】 配線・配管材の保護カバーを、その変形を防ぐことで、壁面に確実に固定することのできる、配線・配管構造を提供する。
【解決手段】 配管構造7は、壁面1に沿って配設される給水管2と、その給水管2を収容する保護カバーと、その保護カバーと壁面1との間に配備されて壁面1に形成される段差D1をほぼ全長に渡って埋める保護カバー用スペーサーと、からなる。ここで、保護カバーは、直線状の本体カバー3と、その本体カバー3に接続される付属カバー4とから構成される。一方、保護カバー用スペーサーは、長手方向に板状に延びた本体カバー用スペーサー5と、付属カバー用スペーサー6とから構成される。そして、本体カバー用スペーサー5および付属カバー用スペーサー6は、それぞれ、積み重ね可能に形成され、かつ、本体カバー用スペーサー5と付属カバー用スペーサー6とは、その高さが同一となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配線・配管材の保護カバーを、壁面に確実に固定するための、配線・配管構造(配線・配管材の付属カバー用スペーサーを含む。)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、リフォームの際に室内の壁面21に沿って配設される、配線・配管材としての給水管22は、図10に示すように、保護カバー23に収容されて保護されていた。かかる保護カバー23は、その基台23aを壁面21に、ビス、アンカー等(図10においては、木ネジM)により固定されるものであった。
【0003】
また、給水管22の分岐配管部等においては、例えば、主流路側の大径の管材と、分岐路側の小径の管材とを連結する異種管継手が使用された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、壁面21に、わずかな段差部や突部があると、それら段差部や突部によって形成される段差により、保護カバー23と壁面21との間に隙間が生じて、美観を損なっていた。さらに、壁面21の段差のために、保護カバー23が変形した状態で壁面21に固定されて、その保護カバー23内に給水管22が収容できなかったり、また、段差の大きさによっては、保護カバー23を壁面21に固定することができない場合もあった。
【0005】
また、前記継手は、流量損失を極力減らすように、主流路側の管材が接続される大径の受口の軸心と、分岐路側の管材が接続される小径の受口の軸心とが、壁面21からほぼ同じ高さとなるように形成されていた。このため、この小径の受口に接続される分岐路側の管材は、この分岐路側の管材が単独で配設される場合よりも、壁面21から離れて配設された。その結果、壁面21と、分岐路側の管材を収容して保護する保護カバーとの間に隙間が形成されて、上記の壁面21に段差部や突部がある場合と同様の問題が生じた。
【0006】
この発明は、上述した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、配線・配管材の保護カバーを、その変形を防ぐことで、壁面に確実に固定することのできる、配線・配管材の付属カバー用スペーサー、および配線・配管構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る配線・配管材の付属カバー用スペーサー、および配線・配管構造は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る配線・配管材の付属カバー用スペーサーは、壁面に沿って配設される配線・配管材を収容して保護する保護カバーと前記壁面との間に配備されて前記壁面に形成される段差をほぼ全長に渡って埋める保護カバー用スペーサーの一部を構成する、付属カバー用スペーサーである。前記保護カバーは、前記配線・配管材の配設方向におけるその配線・配管材の各部を収容して保護する、直線状の本体カバーとその本体カバーに接続される付属カバーとから構成される。そこで、前記付属カバー用スペーサーは、前記段差を埋めるよう、前記付属カバーと前記壁面との間に配備され、かつ、積み重ね可能に形成されるとともに、その積み重ねの際に、互いに係合する凹凸により位置決めされる。
【0008】
こうして、保護カバーが、本体カバーと付属カバーとから構成されるものであっても、壁面に形成される段差を埋めるように、保護カバー用スペーサーを配備することで、段差によって壁面と本体カバーおよび付属カバーとの間に形成される隙間を塞ぐことができる。ここで、特に、保護カバー用スペーサーの一部を構成する付属カバー用スペーサーは、壁面と付属カバーとの間の隙間を塞ぐように作用する。そして、付属カバー用スペーサーは、積み重ね可能に形成されているので、壁面と付属カバーとの間の隙間の高さに応じて、つまりは、壁面の段差に応じて、適宜、複数枚の付属カバー用スペーサーを積み重ねて使用することができ、また、その積み重ねの際には、互いに係合する凹凸により位置決めされる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明に係る配線・配管構造は、壁面に沿って配設される配線・配管材と、その配線・配管材を収容して保護する保護カバーと、その保護カバーと前記壁面との間に配備されて前記壁面に形成される段差をほぼ全長に渡って埋める保護カバー用スペーサーと、からなる。ここで、前記保護カバーは、前記配線・配管材の配設方向におけるその配線・配管材の各部を収容して保護する、直線状の本体カバーとその本体カバーに接続される付属カバーとから構成される。一方、前記保護カバー用スペーサーは、前記本体カバーと前記壁面との間に配備されて前記段差を埋める、長手方向に板状に延びた本体カバー用スペーサーと、前記付属カバーと前記壁面との間に配備されて前記段差を埋める付属カバー用スペーサーとから構成される。そして、前記本体カバー用スペーサーおよび前記付属カバー用スペーサーは、それぞれ、積み重ね可能に形成され、かつ、前記本体カバー用スペーサーと前記付属カバー用スペーサーとは、その高さが同一となっている。
【0010】
こうして、保護カバーが、本体カバーと付属カバーとから構成されるものであっても、壁面に形成される段差を埋めるように、長手方向に板状に延びた本体カバー用スペーサーと、付属カバー用スペーサーとを配備することで、段差によって壁面と本体カバーおよび付属カバーとの間に形成される隙間を塞ぐことができる。また、本体カバー用スペーサーや付属カバー用スペーサーは、積み重ね可能に形成されているので、壁面と本体カバーおよび付属カバーとの間の隙間の高さに応じて、つまりは、壁面の段差に応じて、適宜、複数枚の本体カバー用スペーサーや付属カバー用スペーサーをそれぞれ積み重ねて使用することができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明に係る配線・配管構造のように、前記本体カバー用スペーサーおよび前記付属カバー用スペーサーは、それぞれ、積み重ねの際に、互いに係合する凹凸により位置決めされてもよい。
【0012】
また、請求項4に記載の発明に係る配線・配管構造のように、前記本体カバー用スペーサーの上面側には、中央に、センター溝が、長手方向に連続して設けられ、また、前記付属カバー用スペーサーの上面側には、中央に、センター溝が設けられてもよい。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係る配線・配管材の付属カバー用スペーサーによれば、この付属カバー用スペーサーが、壁面の段差によってその壁面と付属カバーとの間に形成される隙間を塞ぐことで、付属カバーの変形を防ぐことができ、付属カバーを壁面に確実に固定することができる。しかも、付属カバー用スペーサーは、積み重ね可能に形成されているので、壁面と付属カバーとの間の隙間の高さに応じて、つまりは、壁面の段差に応じて、適宜、複数枚の付属カバー用スペーサーを積み重ねて使用することができる。また、この付属カバー用スペーサーは、その積み重ねの際に、互いに係合する凹凸により位置決めされる。
【0014】
また、この発明に係る配線・配管構造によれば、長手方向に板状に延びた本体カバー用スペーサーと、付属カバー用スペーサーとが、壁面の段差によってその壁面と本体カバーおよび付属カバーとの間に形成される隙間を塞ぐことで、本体カバーおよび付属カバーの変形を防ぐことができ、それら本体カバーおよび付属カバーを壁面に確実に固定することができる。しかも、本体カバー用スペーサーや付属カバー用スペーサーは、積み重ね可能に形成されているので、壁面と本体カバーおよび付属カバーとの間の隙間の高さに応じて、つまりは、壁面の段差に応じて、適宜、複数枚の本体カバー用スペーサーや付属カバー用スペーサーをそれぞれ積み重ねて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の第一の実施の形態の、正面図である。
【図2】図1における、A−A線による断面図である。
【図3】図1における、B−B線による断面図である。
【図4】本体カバー用スペーサーを積み重ねた状態を示す拡大断面図である。
【図5】付属カバー用スペーサーを積み重ねた状態を示す拡大断面図である。
【図6】参考例として、第二の実施の形態の、平面図である。
【図7】図6における、C−C線による断面図である。
【図8】図7における、D−D線による断面図である。
【図9】図7における、E−E線による断面図である。
【図10】従来の配管構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明に係る配線・配管材の付属カバー用スペーサー、および配線・配管構造を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1ないし図5は、本発明を、段差を有する壁面に沿って配設される給水管の配管構造に適用した第一の実施の形態を示す。図中符号1は、例えば、台所の流し台回りの壁面である。2は、壁面に沿って配設される配線・配管材としての給水管であり、直線状に延びる管材2aとその管材2aに接続されるエルボー2bとから構成される。3は、直線状に延びて、管材2aを収容して保護する保護カバーとしての本体カバーである。同様に、4は、前記本体カバー3に接続されて、エルボー2bを収容して保護する保護カバーとしての付属カバー4である。5は、壁面1と本体カバー3との間に形成される隙間S1を塞ぐように配備される、本体カバー用スペーサーである。同様に、6は、壁面1と付属カバー4との間に形成される隙間S1を塞ぐように配備される、付属カバー用スペーサーである。こうして、これら給水管2、本体カバー3、付属カバー4、本体カバー用スペーサー5および付属カバー用スペーサー6が、配線・配管構造としての、給水管2の配管構造7を構成している。
【0018】
ここで、壁面1は、第1の平面部1aと、その第1の平面部1aから若干下がった第2の平面部1bとからなり、その結果、壁面1には、第1の平面部1aと第2の平面部1bとによる、段差D1が形成される。
【0019】
給水管2は、管材2aとエルボー2bとがそれらの一方端で接続されている。そして、エルボー2bの他方端には、管材2aおよびエルボー2bを通って供給される水を吐出するための、水栓設備8が接続されている。
【0020】
本体カバー3は、図2に示すように、壁面1に固定される基台3aと、その基台3aに嵌着される蓋体3bとから構成されており、それら基台3aおよび蓋体3bは、それぞれ、例えば、合成樹脂を押出成形して得られる。基台3aは、底板部3cと、その底板部3cから上方に延びて、管材2aを両側から抱え込むようにして挟む、一対の側板部3d、3dとからなる。そして、底板部3cの底面3eには、中央に凹溝3fが長手方向に連続して設けられており、また、それぞれの側板部3dの基端部には、外側に開口する係合凹部3gが、長手方向に連続して設けられている。一方、蓋体3bは、管材2aを覆うように、断面略コの字形状に形成されている。そして、蓋体3bの両端部分には、それぞれ内側に向かって突出する係合凸部3hが、長手方向に連続して設けられており、この係合凸部3hと前記基台3aの係合凹部3gとが互いに係合することで、基台3aに蓋体3bが嵌着される構造となっている。さらに、蓋体3bの内側面には、シート状の断熱材3iが、接着等によって取り付けられている。
【0021】
付属カバー4は、図3に示すように、本体カバー3と同様に、壁面1に固定される基台4aと、その基台4aに嵌着される蓋体4bとから構成されている。基台4aは、その上面側に、上方に突出して中央が半円形の溝状に窪んだ、載置部4cを備えており、その載置部4cに、エルボー2bが載せられるようになっている。そして、基台4aの底面側には、載置部4cの裏側に相当する位置に、凹部4dが設けられている。また、蓋体4bは、エルボー2bを覆うように形成されており、本体カバー3との接続部分は、その本体カバー3に被るように、断面略コの字形状に形成されている。また、蓋体4bの上面は、水栓設備8のつば部8aが載る座面4eとなっており、その座面4eには、エルボー2bが貫通する孔4fが設けられている。
【0022】
本体カバー用スペーサー5は、例えば、合成樹脂を押出成形して得られるものであり、その押出方向である長手方向に板状に延びている。そして、この本体カバー用スペーサー5は、上面側には、両側に、若干下がった凹条部5a、5aが、長手方向に連続して設けられており、また、底面側には、中央に、凹溝5bが長手方向に連続して設けられており、その結果、両側は、下方に向かって突出して長手方向に連続する凸条部5c、5cとなっている。さらに、本体カバー用スペーサー5の上面側には、中央に、断面V字状のセンター溝5dが、長手方向に連続して設けられており、この本体カバー用スペーサー5を壁面1の墨だし線に沿って固定する際の、基準となっている。また、この本体カバー用スペーサー5は、その高さが、壁面1の段差D1とほぼ同一であり、壁面1の第2の平面部1bに載せられて、段差D1を埋めることで、壁面1と本体カバー3との間に形成される隙間S1を塞いでいる。
【0023】
付属カバー用スペーサー6は、例えば、合成樹脂材料からなり、板状に形成されている。そして、この付属カバー用スペーサー6は、上面側に、付属カバー4の凹部4dと係合する、付属カバー4との位置決め手段としての一対の凸部6a、6aを備えている。そして、付属カバー用スペーサーの底面側には、凸部6a、6aの裏側に相当する位置に、凹部6bが設けられている。さらに、付属カバー用スペーサー6の上面側には、本体カバー用スペーサー5と同様に、中央に、断面V字状のセンター溝6cが設けられており、この付属カバー用スペーサー6を壁面1の墨だし線に沿って固定する際の、基準となっている。そして、この付属カバー用スペーサー6もまた、その高さは、壁面1の段差D1とほぼ同一であり、壁面1の第2の平面部1bに載せられて、段差D1を埋めることで、壁面1と付属カバー4との間に形成される隙間S1を塞いでいる。
【0024】
これら、本体カバー用スペーサー5および付属カバー用スペーサー6は、それぞれ、積み重ね可能に形成されており、本体カバー用スペーサー5においては、図4に示すように、積み重ねた際に、下側のスペーサー5の凹条部5a、5aと、上側のスペーサー5の凸条部5c、5cとが係合して、位置決めされることで、互いにずれないようになっている。同様に、付属カバー用スペーサー6においても、図5に示すように、積み重ねた際に、下側のスペーサー6の凸部6a、6aと、上側のスペーサー6の凹部6bとが係合して、位置決めされることで、互いにずれないようになっている。
【0025】
なお、本体カバー用スペーサー5は、本体カバー3の基台3aとともに、木ネジ等の固定手段K1により、壁面1に固定される。そして、付属カバー用スペーサー6もまた、付属カバー4の基台4aとともに、木ネジ等の固定手段(図示せず)により、壁面1に固定される。
【0026】
次に、以上の構成からなる配管構造7の作用効果について説明する。この配管構造7においては、壁面1に段差D1が形成されていても、本体カバー用スペーサー5および付属カバー用スペーサー6で、壁面1の段差D1を埋めることで、壁面1と本体カバー3および付属カバー4との間に形成される隙間S1が塞がれる。したがって、この本体カバー用スペーサー5および付属カバー用スペーサー6がない場合には、壁面1と本体カバー3および付属カバー4との間の隙間S1によって、本体カバー3および付属カバー4が変形して壁面1に固定されるところ、この本体カバー用スペーサー5および付属カバー用スペーサー6によって、本体カバー3および付属カバー4を、その変形を防ぐことで、壁面1に確実に固定することができる。
【0027】
また、付属カバー用スペーサー6は、付属カバー4の凹部4dと係合する凸部6aを備えており、付属カバー用スペーサー6と付属カバー4とは位置決めされるので、この付属カバー用スペーサー6に付属カバー4を、位置ずれすることなく載せることができる。
【0028】
また、本体カバー用スペーサー5や付属カバー用スペーサー6は、積み重ね可能に形成されているので、壁面1と本体カバー3および付属カバー4との間の隙間S1の高さに応じて、つまりは、壁面1の段差D1に応じて、適宜、複数枚の本体カバー用スペーサー5、5や付属カバー用スペーサー6、6をそれぞれ積み重ねて使用することができる。
【0029】
図6ないし図9は、参考例として、異種管継手を含む給水管の配管構造に適用した第二の実施の形態を示す。図中符号11は、例えば、台所の流し台回りの壁面である。12は、壁面11に沿って配設される配管材としての給水管であり、大径の第1の管材12a、12aと、小径の第2の管材12bと、それら第1および第2の管材12a、12a、12bを互いに連結する異種管継手12cとから構成される。13は、第1の管材12aを収容して保護する第1の保護カバーである。14は、第2の管材12bを収容して保護する第2の保護カバーである。15は、異種管継手12cを収容して保護する継手保護カバーであり、この継手保護カバー15に、前記第1の保護カバー13および前記第2の保護カバー14が接続される。16は、第2の保護カバー14と壁面11との間に配備される保護カバー用スペーサーである。こうして、これら給水管12、第1の保護カバー13、13、第2の保護カバー14、継手保護カバー15および保護カバー用スペーサー16が、給水管12の配管構造17を構成している。
【0030】
ここで、給水管12においては、主流路側となる第1の管材12a、12aに対して、分岐路側となる第2の管材12bが直角となるように配置されて、T字形状の異種管継手12cが、それら第1の管材12a、12aおよび第2の管材12bを互いに連結している(図6参照)。このとき、異種管継手12cは、流量損失を極力減らすように、第1の管材12a、12aが接続される大径の受口12d、12dの軸心と、第2の管材12bが接続される小径の受口12eの軸心とが、ほぼ同一平面内に在るように形成されている。その結果、第1の管材12a、12aの軸心と、第2の管材12bの軸心は、壁面1からほぼ同じ高さとなっている。
【0031】
第1の保護カバー13は、第一の実施の形態に示す本体カバー3と同様の構造であり、壁面11に固定される基台13aとその基台13aに嵌着される蓋体13bとから構成されている。第2の保護カバー14もまた、第一の実施の形態に示す本体カバー3と同様の構造であり、壁面11に固定される基台14aとその基台14aに嵌着される蓋体14bとから構成されているが、収容される第2の管材12bが第1の管材12aに比して小径なため、断面形状は、第1の保護カバー13よりも、全体的に、小さくなっている。
【0032】
継手保護カバー15は、第一の実施の形態に示す付属カバー4と同様に、壁面11に固定される基台15aと、その基台15aに嵌着される蓋体15bとから構成されており、それら基台15aおよび蓋体15bは、異種管継手12cを収容するように、異種管継手12cの形状に合わせて、T字形状に形成されている(図6参照)。そして、継手保護カバー15の底面15cは、第1の保護カバー13の底面13cとほぼ面一となっており、また、第2の保護カバー14の底面14cとは、その底面14cが上側となるように、段差D2が形成されている(図7参照)。
【0033】
保護カバー用スペーサー16は、第一の実施の形態に示す本体カバー用スペーサー5と同様の構造であり、上面側には、両側に凹条部16a、16aが、中央に断面V字状のセンター溝16dが、また、底面側には、中央に凹溝16bが、両側に凸条部16c、16cが、長手方向に連続して設けられている。この保護カバー用スペーサー16は、その高さが、第2の保護カバー14の底面14cと継手保護カバー15の底面15cとの段差D2とほぼ同一であり、その段差D2を埋めるように、第2の保護カバー14と壁面11との間に配備されて、壁面11と第2の保護カバー14との間に形成される隙間S2を塞いでいる。また、この保護カバー用スペーサー16は、第一の実施の形態に示す本体カバー用スペーサー5と同様に、積み重ね可能に形成されており、積み重ねた際には、下側のスペーサー16の凹条部16a、16aと、上側のスペーサー16の凸条部16c、16cとが係合して、位置決めされることで、互いにずれないようになっている。
【0034】
なお、第1の保護カバー13は、その基台13aが、木ネジ等の固定手段K2により、壁面11に固定され、同様に、継手保護カバー15は、その基台15aが、木ネジ等の固定手段K3により、壁面11に固定される。また、保護カバー用スペーサー16は、第2の保護カバー14の基台14aとともに、木ネジ等の固定手段K4により、壁面11に固定される。
【0035】
次に、以上の構成からなる配管構造17の作用効果について説明する。この配管構造17においては、第2の保護カバー14の底面14cと継手保護カバー15の底面15cとの段差D2によって、壁面11と第2の保護カバー14との間に隙間S2が形成されても、段差D2を埋める保護カバー用スペーサー16によって、前記隙間S2が塞がれる。したがって、この保護カバー用スペーサー16がない場合には、異種管継手12cによる壁面11と第2の保護カバー14との間の隙間S2によって、第2の保護カバー14が変形して壁面11に固定されるところ、この保護カバー用スペーサー16によって、第2の保護カバー14を、その変形を防ぐことで、壁面11に確実に固定することができる。
【0036】
また、保護カバー用スペーサー16は、積み重ね可能に形成されているので、壁面11と第2の保護カバー14との間の隙間S2の高さに応じて、つまりは、第2の保護カバー14の底面14cと継手保護カバー15の底面15cとの段差D2に応じて、適宜、複数枚の保護カバー用スペーサー16、16を積み重ねて使用することができる。
【0037】
なお、配線・配管構造は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、第一の実施の形態における配管構造7は、給水管2だけでなく、給湯管、ガス管その他の管材の配管構造に適用してもよく、さらには、管材だけでなく、電力線、信号線等の線材の配線構造に適用してもよい。同様にして、第二の実施の形態における配管構造17は、給水管12だけでなく、給湯管、ガス管その他の管材の配管構造に適用してもよい。
【0038】
また、第一の実施の形態における配管構造7は、給水管2、本体カバー3、付属カバー4、本体カバー用スペーサー5および付属カバー用スペーサー6から構成されているが、その他、給水管2、本体カバー3および本体カバー用スペーサー5から構成されてもよく(参考例)、また、給水管2、付属カバー4および付属カバー用スペーサー6から構成されてもよい(参考例)。また、付属カバー4は、エルボー2bを収容して保護するものでなくとも、管材2aに接続されるチーズその他の管継手を収容して保護するものであってもよい。
【0039】
また、第一の実施の形態においては、本発明を、第1の平面部1aと第2の平面部1bとからなる壁面1の段差D1に適用したが、例えば、壁面の一部に突部が形成されている場合には、突部と、その突部の両側との段差に適用してもよい。
【0040】
また、第一の実施の形態において、本体カバー3に凹部または凸部を設け、本体カバー用スペーサー5に、本体カバー3の凹部または凸部と係合する、凸部または凹部を設ける等により、本体カバー用スペーサー5が、本体カバー3との位置決め手段を備えるものであってもよい。同様にして、第二の実施の形態においても、保護カバー用スペーサー16は、第2の保護カバー14との位置決め手段を備えるものであってもよい。
【0041】
また、第二の実施の形態において、異種管継手12cは、径の異なる管材を連結するものであれば、T字形状でなくとも、L字、I字その他の形状であってもよい。
【0042】
また、第二の実施の形態において、第2の保護カバー14は、第一の実施の形態に示す保護カバーとしての、本体カバー3と付属カバー4のように、継手保護カバー15に接続される直線状の本体カバーと、その本体カバーに接続される付属カバーとから構成されるものであってもよい。この場合、保護カバー用スペーサー16は、第一の実施の形態と同様にして、前記本体カバーと壁面11との間に配備されて段差D2を埋める本体カバー用スペーサーと、前記付属カバーと壁面11との間に配備されて段差D2を埋める付属カバー用スペーサーとから構成されることとなる。こうして、第2の保護カバー14が、本体カバーと付属カバーとから構成されるものであっても、段差D2を埋めるように、本体カバー用スペーサーと付属カバー用スペーサーとを配備することで、段差D2によって壁面11と本体カバーおよび付属カバーとの間に形成される隙間S2を塞ぐことができる。
【0043】
また、第二の実施の形態において、壁面11に段差が形成されている場合には、第一の実施の形態と同様にして、保護カバー用スペーサー16とは別のスペーサーを、段差の位置に応じて、第1の保護カバー13、第2の保護カバー14および継手保護カバー15の内の適宜保護カバーと壁面11との間に配備するようにして前記段差を埋めてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 壁面 2 給水管(配線・配管材)
3 本体カバー 4 付属カバー
5 本体カバー用スペーサー 5d センター溝
6 付属カバー用スペーサー 6c センター溝
7 配管構造(配線・配管構造)
D1 段差

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に沿って配設される配線・配管材を収容して保護する保護カバーと前記壁面との間に配備されて前記壁面に形成される段差をほぼ全長に渡って埋める保護カバー用スペーサーの一部を構成する、付属カバー用スペーサーであって、
前記保護カバーは、前記配線・配管材の配設方向におけるその配線・配管材の各部を収容して保護する、直線状の本体カバーとその本体カバーに接続される付属カバーとから構成され、
前記付属カバー用スペーサーは、前記段差を埋めるよう、前記付属カバーと前記壁面との間に配備され、かつ、積み重ね可能に形成されるとともに、その積み重ねの際に、互いに係合する凹凸により位置決めされる、配線・配管材の付属カバー用スペーサー。
【請求項2】
壁面に沿って配設される配線・配管材と、その配線・配管材を収容して保護する保護カバーと、その保護カバーと前記壁面との間に配備されて前記壁面に形成される段差をほぼ全長に渡って埋める保護カバー用スペーサーと、からなり、
前記保護カバーは、前記配線・配管材の配設方向におけるその配線・配管材の各部を収容して保護する、直線状の本体カバーとその本体カバーに接続される付属カバーとから構成され、かつ、
前記保護カバー用スペーサーは、前記本体カバーと前記壁面との間に配備されて前記段差を埋める、長手方向に板状に延びた本体カバー用スペーサーと、前記付属カバーと前記壁面との間に配備されて前記段差を埋める付属カバー用スペーサーとから構成され、
前記本体カバー用スペーサーおよび前記付属カバー用スペーサーは、それぞれ、積み重ね可能に形成され、かつ、前記本体カバー用スペーサーと前記付属カバー用スペーサーとは、その高さが同一となっている、配線・配管構造。
【請求項3】
請求項2に記載の配線・配管構造であって、
前記本体カバー用スペーサーおよび前記付属カバー用スペーサーは、それぞれ、積み重ねの際に、互いに係合する凹凸により位置決めされる、配線・配管構造。
【請求項4】
請求項2または3に記載の配線・配管構造であって、
前記本体カバー用スペーサーの上面側には、中央に、センター溝が、長手方向に連続して設けられ、また、前記付属カバー用スペーサーの上面側には、中央に、センター溝が設けられる、配線・配管構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−152044(P2011−152044A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92379(P2011−92379)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【分割の表示】特願2007−252385(P2007−252385)の分割
【原出願日】平成10年5月15日(1998.5.15)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】