説明

配線基板の高周波信号伝送特性の測定方法およびそれに用いる配線基板

【課題】配線基板におけるピッチの狭いパッドとピッチの広いパッドとの間を接続する伝送線路における信号の伝送特性を、10GHzを超える高周波の周波数帯域においても良好に測定することが可能な配線基板の高周波信号伝送特性の測定方法およびそれに用いる配線基板を提供すること。
【解決手段】広いピッチで形成された信号用パッド4Sおよび接地用パッド4Gに接続された信号用プローブ接続パッド5Sおよび接地用プローブ接続パッド5Sをそのピッチが狭まるように配線基板10に設けるとともに、先端部が狭いピッチで配置された信号用接触端子9Sおよび接地用接触端子9Gを有するプローブ8を、信号用接触端子9Sの先端部と信号用プローブ接続パッド5Sとを接触させるとともに接地用接触端子9Gの先端部と接地用プローブ接続パッド5Gとを接触させることにより信号用外部接続パッドおよび接地用外部接続パッドに接続して測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板の高周波信号伝送特性の測定およびそれに用いる配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体素子を搭載するための配線基板においては、半導体素子の作動の高速化・高周波化に伴い、例えば10GHzを超える高周波の周波数帯域における信号の伝送特性が良好であることが求められる場合がある。このような場合、配線基板の設計者は、配線基板を構成する絶縁材料の誘電率や誘電正接、導体の電導率などを勘案の上、信号が伝播される伝送線路の特性インピーダンスや信号の伝送モード等がなるべく一定になるように設計する。しかしながら、実際には複雑な要因が絡まり、設計どおりに信号が伝播されることは少なく、配線基板の伝送線路を信号が良好に伝播するかどうかは、伝送線路の両端に測定装置のプローブを当てるとともに高周波信号を伝送線路の一端から入力し、その信号の反射損や透過損を測定することにより判断している。
【0003】
図2(a),(b)に示すように、半導体素子をフリップチップ接続により搭載するフリップチップBGAタイプの配線基板20において伝送線路の伝送特性を測定する従来の方法を示す。配線基板20は、セラミックス材料や樹脂材料から成り、上面中央部に半導体素子を搭載するための搭載部11aを有する絶縁基板11と、銅等の良導電性材料から成り、絶縁基板11の搭載部11aから絶縁基板11の内部を介して絶縁基板11の下面に導出する信号線路12Sおよび接地線路12Gを含む配線導体とを有している。信号線路12Sおよび接地線路12Gは、互いに対になって信号を伝送する伝送線路を形成しており、搭載部11aにおいて半導体素子の電極が接続される直径が70〜100μm程度の円形の信号用半導体素子接続パッド13Sおよび接地用半導体素子接続パッド13Gを含む複数の半導体素子接続パッドを100〜200μm程度のピッチで有しているとともに、絶縁基板11の下面において外部電気回路の配線導体に接続される直径が400〜600μm程度の円形の信号用外部接続パッド14Sおよび接地用外部接続パッド14Gを含む複数の外部接続パッドを800〜1200μm程度のピッチで有している。
【0004】
そして、この配線基板20において信号線路12Sおよび接地線路12Gから成る伝送線路における信号の伝送特性を測定するには、伝送特性を測定するための測定装置のプローブ15と17とを信号用半導体素子接続パッド13Sおよび接地用半導体素子接続パッド13Gと信号用外部接続パッド14Sおよび接地用外部接続パッド14Gとにそれぞれ接続し、例えば信号用半導体素子接続パッド13Sおよび接地用半導体素子接続パッド13Gから信号を入力し、信号用半導体素子接続パッド13Sおよび接地用半導体素子接続パッド13Gに戻ってくる信号や信号用外部接続パッド14Sおよび接地用外部接続パッド14Gに到達する信号の量を測定したり、逆に信号用外部接続パッド14Sおよび接地用外部接続パッド14Gから信号を入力し、信号用外部接続パッド14Sおよび接地用外部接続パッド14Gに戻ってくる信号や信号用半導体素子接続パッド13Sおよび接地用半導体素子接続パッド13Gに到達する信号の量を測定したりすることにより、伝送線路の反射損や挿入損を求める方法が採られている。
【0005】
なお、信号用半導体素子接続パッド13Sおよび接地用半導体素子接続パッド13Gに接続されるプローブ15は、中央部に信号用半導体素子接続パッド13Sに接続される信号用接触端子16Sが配置されているとともに、その両側に接地用半導体素子接続パッド13Gに接続される接地用接触端子16Gが配置されている。プローブ15における信号用接触端子16Sと接地用接触端子16Gとはその先端部が半導体素子接続パッド13Sおよび13Gの配列ピッチに対応した100〜200μmのピッチであるとともに信号用接触端子16Sにおける特性インピーダンスが例えば50Ωになるように配置されており、信号用接触端子16Sの先端部を信号用半導体素子接続パッド13Sに接触させるとともに接地用接触端子16Gの先端部を接地用半導体素子接続パッド13Gに接触させることにより、それぞれが信号用半導体素子接続パッド13S,接地用半導体素子接続パッド13Gに接続される。
【0006】
他方、信号用外部接続パッド14Sおよび接地用外部接続パッド14Gに接続されるプローブ17は、中央部に信号用外部接続パッド14Sに接続される信号用接触端子18Sが配置されているとともに、その両側に接地用外部接続パッド14Gに接続される接地用接触端子18Gが配置されている。このプローブ17においては、両側の接地用接触端子18Gの先端部の幅が中央部の信号用接触端子18Sよりも広くなっており、信号用接触端子18Sと接地用接触端子18Gとは中央の信号用接触端子18Sの先端部と両側の接地用接触端子18Gの外側先端部とが外部接続パッド14Sおよび14Gの配列ピッチに対応した800〜1200μmのピッチであるとともに信号用接触端子18Sにおける特性インピーダンスが例えば50Ωになるように配置されており、信号用接触端子18Sを信号用外部接続パッド14Sに接触させるとともに接地用接触端子18Gを接地用外部接続パッド14Gに接触させることにより、それぞれが信号用外部接続パッド14S,接地用外部接続パッド14Gに接続される。
【0007】
しかしながら、この従来の方法においては、半導体素子接続パッド13Sおよび13Gに接続されるプローブ15は、半導体素子接続パッド13Sおよび13Gに接触する先端部のピッチが半導体素子接続パッド13Sおよび13Gのピッチに対応した100〜200μmの狭いピッチであるものの、外部接続パッド14Sおよび14Gに接続されるプローブ17は、外部接続パッド14Sおよび14Gに接触する先端部のピッチが外部接続パッド14Sおよび14Gのピッチに対応した800〜1200μmの広いピッチとなっている。このようにプローブ17において外部接続パッド14Sおよび14Gに接触する先端部のピッチが800〜1200μmの広いピッチである場合、10GHz以下の周波数帯域における信号の伝送特性は十分に測定することが可能であるものの、10GHzを超える周波数帯域においては、良好に測定することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−264384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、配線基板におけるピッチの狭いパッドとピッチの広いパッドとの間を接続する伝送線路における信号の伝送特性を、10GHzを超える高周波の周波数帯域においても良好に測定することが可能な配線基板の高周波信号伝送特性の測定方法およびそれに用いる配線基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の配線基板の高周波信号伝送特性の測定方法は、第一のピッチで設けられた第一の信号用パッドおよび第一の接地用パッドと、前記第一のピッチより広い第二のピッチで設けられた第二の信号用パッドおよび第二の接地用パッドと、前記第一の信号用パッドと前記第二の信号用パッドとの間を接続する信号線路および前記第一の接地用パッドと前記第二の接地用パッドとの間を接続する接地線路とを有する配線基板の前記第一の信号用パッドおよび前記第一の接地用パッドと前記第二の信号用パッドおよび前記第二の接地用パッドとの間における高周波信号伝送特性を、両者間に測定装置のプローブを接続して測定する配線基板の高周波信号伝送特性の測定方法であって、前記配線基板の表面に前記第二の信号用パッドに接続された信号用プローブ接続パッドおよび前記第二の接地用パッドに接続された接地用プローブ接続パッドを前記信号用プローブ接続パッドと前記接地用プローブ接続パッドとのピッチが前記第二のピッチより狭い第三のピッチに狭まるように設けるとともに、先端部が前記第一のピッチで配置された第一の信号用接触端子および第一の接地用接触端子を有する第一のプローブを、前記第一の信号用接触端子の先端部と前記第一の信号用パッドとを接触させるとともに前記第一の接地用接触端子の先端部と前記第一の接地用パッドとを接触させることにより前記第一の信号用パッドおよび前記第一の接地用パッドに接続するとともに、先端部が前記第三のピッチで配置された第二の信号用接触端子および第二の接地用接触端子を有する第二のプローブを、前記第二の信号用接触端子の先端部と前記信号用プローブ接続パッドとを接触させるとともに前記第二の接地用接触端子の先端部と前記接地用プローブ接続パッドとを接触させることにより前記第二の信号用パッドおよび前記第二の接地用パッドに接続して測定することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の配線基板は、第一のピッチで設けられた第一の信号用パッドおよび第一の接地用パッドと、前記第一のピッチより広い第二のピッチで設けられた第二の信号用パッドおよび第二の接地用パッドと、前記第一の信号用パッドと前記第二の信号用パッドとの間を接続する信号線路および前記第一の接地用パッドと前記第二の接地用パッドとの間を接続する接地線路とを有する配線基板であって、前記第二の信号用パッドに接続された信号用プローブ接続パッドおよび前記第二の接地用パッドに接続された接地用プローブ接続パッドを前記信号用プローブ接続パッドと前記接地用プローブ接続パッドとのピッチが前記第二のピッチより狭い第三のピッチに狭まるように設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の配線基板の高周波信号伝送特性の測定方法によれば、第一のピッチよりも広い第二のピッチで形成された第二の信号用パッドおよび第二の接地用パッドに、前記第二の信号用パッドに接続された信号用プローブ接続パッドおよび前記第二の接地用パッドに接続された接地用プローブ接続パッドを前記信号用プローブ接続パッドと前記接地用プローブ接続パッドとのピッチが前記第二のピッチより狭い第三のピッチに狭まるように配線基板に設けるとともに、先端部が前記第三のピッチで配置された第二の信号用接触端子および第二の接地用接触端子を有する第二のプローブを、前記第二の信号用接触端子の先端部と前記信号用プローブ接続パッドとを接触させるとともに前記第二の接地用接触端子の先端部と前記接地用プローブ接続パッドとを接触させることにより前記第二の信号用パッドおよび前記第二の接地用パッドに接続することから、たとえ第二のピッチが800〜1200μmと広いものであったとしても、第三のピッチを例えば100〜200μmの狭いものとすることにより、測定装置と第二の信号用パッドおよび第二の接地用パッドとを接触端子の先端部のピッチが狭いプローブを用いて接続することにより測定することが可能となるので、10GHzを超える周波数帯域においても配線基板の高周波信号伝送特性を良好に測定することができる。
【0013】
また、本発明の配線基板によれば、第一のピッチよりも広い第二のピッチで形成された第二の信号用パッドおよび第二の接地用パッドに、前記第二の信号用パッドに接続された信号用プローブ接続パッドおよび前記第二の接地用パッドに接続された接地用プローブ接続パッドを前記信号用プローブ接続パッドと前記接地用プローブ接続パッドとのピッチが前記第二のピッチより狭い第三のピッチに狭まるように設けたことから、たとえ第二のピッチが800〜1200μmと広いものであったとしても、第三のピッチを例えば100〜200μmの狭いものとすることにより、測定装置と第二の信号用パッドおよび第二の接地用パッドとを接触端子の先端部のピッチが狭いプローブを用いて接続することにより測定することが可能となるので、10GHzを超える周波数帯域においても配線基板の高周波信号伝送特性を良好に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)は、本発明の配線基板の高周波信号伝送特性の測定方法およびそれに用いる配線基板の実施形態の一例を説明するための簡略断面図であり、(b)は、(a)に示す測定方法および配線基板を説明するための簡略下面図である。
【図2】(a)は、従来の配線基板の高周波信号伝送特性の測定方法を説明するための簡略断面図であり、(b)は、(a)に示す測定方法および配線基板を説明するための簡略下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の配線基板の高周波信号伝送特性の測定方法およびそれに用いる配線基板を図1(a),(b)を基にして説明する。図1(a)に示すように、本発明の配線基板の高周波信号伝送特性の測定方法に用いられる本発明の配線基板10は、アルミナや窒化アルミニウム、ムライト、ガラスセラミックス等のセラミックス材料や、エポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂、アリル変性ポリフェニレンエーテル樹脂等の熱硬化性樹脂を含有する樹脂材料から成り、上面中央部に半導体素子を搭載するための搭載部1aを有する絶縁基板1と、タングステンやモリブデン、銅等の金属から成り、絶縁基板1の搭載部1aから絶縁基板1の内部を介して絶縁基板1の下面に導出する信号線路2Sおよび接地線路2Gを含む配線導体とを有している。信号線路2Sおよび接地線路2Gは、互いに対になって信号を伝送する伝送線路を形成しており、搭載部1aにおいて半導体素子の電極が接続される直径が70〜100μm程度の円形の信号用半導体素子接続パッド3Sおよび接地用半導体素子接続パッド3Gを含む複数の半導体素子接続パッドを例えば格子状の並びに100〜200μm程度のピッチで有しているとともに、絶縁基板1の下面において外部電気回路の配線導体に接続される直径が400〜600μm程度の円形の信号用外部接続パッド4Sおよび接地用外部接続パッド4Gを含む複数の外部接続パッドを例えば格子状の並びに800〜1200μm程度のピッチで有している。
【0016】
さらに本発明においては、配線基板10の下面に、信号用外部接続パッド4Sに接続された信号用プローブ接続パッド5Sおよび接地用外部接続パッド4Gに接続された接地用プローブ接続パッド5Gを備えている。信号用プローブ接続パッド5Sおよび接地用プローブ接続パッド5Gは、信号用外部接続パッド4Sおよび接地用外部接続パッド4Gと同じ材料により形成されており、通常は、それぞれが対応する信号用外部接続パッド4Sまたは接地用外部接続パッド4Gと一体的に同時形成されている。信号用プローブ接続パッド5Sと接地用プローブ接続パッド5Gとは、その一端側においてそのピッチが信号用外部接続パッド4Sおよび接地用外部接続パッド4Gのピッチよりも狭いピッチに狭まるように形成されており、ピッチが狭まった部分におけるピッチは半導体素子接続パッド3S,3Gのピッチと同じ100〜200μmである。
【0017】
そして、この配線基板10において信号線路2Sおよび接地線路2Gから成る伝送線路における高周波信号伝送特性を測定するには、伝送特性を測定するための測定装置のプローブ6と8とを信号用半導体素子接続パッド3Sおよび接地用半導体素子接続パッド3Gと信号用プローブ接続パッド5Sおよび接地用プローブ接続パッド5Gとにそれぞれ接続し、例えば信号用半導体素子接続パッド3Sおよび接地用半導体素子接続パッド3Gから信号を入力し、信号用半導体素子接続パッド3Sおよび接地用半導体素子接続パッド3Gに戻ってくる信号や信号用プローブ接続パッド5Sおよび接地用プローブ接続パッド5Gに到達する信号の量を測定したり、逆に信号用プローブ接続パッド5Sおよび接地用プローブ接続パッド5Gから信号を入力し、信号用プローブ接続パッド5Sおよび接地用プローブ接続パッド5Gに戻ってくる信号や信号用半導体素子接続パッド3Sおよび接地用半導体素子接続パッド3Gに到達する信号の量を測定したりすることにより、伝送線路の反射損や挿入損を求める方法が採られる。
【0018】
なお、信号用半導体素子接続パッド3Sおよび接地用半導体素子接続パッド3Gに接続されるプローブ6は、中央部に信号用半導体素子接続パッド3Sに接続される信号用接触端子7Sが配置されているとともに、その両側に接地用半導体素子接続パッド3Gに接続される接地用接触端子7Gが配置されている。プローブ6における信号用接触端子7Sと接地用接触端子7Gとはその先端部が半導体素子接続パッド3Sおよび3Gの配列ピッチに対応した100〜200μmのピッチであるとともに信号用接触端子7Sにおける特性インピーダンスが例えば50Ωになるように配置されており、信号用接触端子7Sの先端部を信号用半導体素子接続パッド3Sに接触させるとともに接地用接触端子7Gの先端部を接地用半導体素子接続パッド3Gに接触させることにより、それぞれが信号用半導体素子接続パッド3S,接地用半導体素子接続パッド3Gに接続される。
【0019】
他方、信号用プローブ接続パッド5Sおよび接地用プローブ接続パッド5Gに接続されるプローブ8は、中央部に信号用プローブ接続パッド5Sに接続される信号用接触端子9Sが配置されているとともに、その両側に接地用プローブ接続パッド5Gに接続される接地用接触端子9Gが配置されている。プローブ8における信号用接触端子9Sと接地用接触端子9Gとはその先端部がプローブ接続パッド5Sおよび5Gの配列ピッチに対応した100〜200μmのピッチであるとともに信号用接触端子9Sにおける特性インピーダンスが例えば50Ωになるように配置されており、信号用接触端子9Sの先端部を信号用プローブ接続パッド5Sに接触させるとともに接地用接触端子9Gの先端部を接地用プローブ接続パッド5Gに接触させることにより、それぞれが信号用プローブ接続パッド5S,接地用プローブ接続パッド5Gに接続される。
【0020】
このとき、本発明の配線基板の高周波信号伝送特性の測定方法によれば、800〜1200μmの広いピッチで形成された信号用外部接続パッド4Sおよび接地用外部接続パッド4Gに、信号用外部接続パッド4Sに接続された信号用プローブ接続パッド5Sおよび接地用外部接続パッド4Gに接続された接地用プローブ接続パッド5Gを、信号用プローブ接続パッド5Sと接地用プローブ接続パッド5Gとのピッチが外部接続パッド4S,4Gのピッチより狭い100〜200μmのピッチに狭まるように配線基板10に設けるとともに、先端部が150から200μmのピッチで配置された信号用接触端子9Sおよび接地用接触端子9Gを有するプローブ8を、信号用接触端子9Sの先端部と信号用プローブ接続パッド5Sとを接触させるとともに接地用接触端子9Gの先端部と接地用プローブ接続パッド5Gとを接触させることにより信号用外部接続パッド4Sおよび接地用外部接続パッド4Gに接続することから、たとえ外部接続パッド4S,4Gのピッチが800〜1200μmと広いものであったとしても、プローブ接続パッド5S,5Gのピッチを100〜200μmに狭めることにより、測定装置と信号用外部接続パッド4Sおよび接地用外部接続パッド4Gとを接触端子9S,9Gの先端部のピッチが100〜200μmの狭いプローブ8を用いて接続することにより測定することが可能となるので、10GHzを超える周波数帯域においても配線基板10の高周波信号伝送特性を良好に測定することができる。
【0021】
また、本発明の配線基板10によれば、800〜1200μmの広いピッチで形成された信号用外部接続パッド4Sおよび接地用外部接続パッド4Gに、信号用外部接続パッド4Sに接続された信号用プローブ接続パッド5Sおよび接地用外部接続パッド4Gに接続された接地用プローブ接続パッド5Gを、信号用プローブ接続パッド5Sと接地用プローブ接続パッド5Gとのピッチが外部接続パッド4S,4Gのピッチより狭い100〜200μmのピッチに狭まるように配線基板10に設けたことから、たとえ外部接続パッド4S,4Gのピッチが800〜1200μmと広いものであったとしても、プローブ接続パッド5S,5Gのピッチを100〜200μmに狭めることにより、測定装置と信号用外部接続パッド4Sおよび接地用外部接続パッド4Gとを接触端子9S,9Gの先端部のピッチが100〜200μmの狭いプローブ8を用いて接続することにより測定することが可能となるので、10GHzを超える周波数帯域においても配線基板10の高周波信号伝送特性を良好に測定することができる。ちなみに、本発明者が、特性インピーダンスを50Ωに整合させた信号線路とその両側の接地線路とからなる伝送線路の両端にそれぞれピッチが200μmのプローブを接続した本発明に対応する解析モデルと、前記伝送線路の一端にピッチが200μmのプローブを接続させるとともに他端にピッチが1000μmのプローブを接続した従来技術に対応する解析モデルとを電磁界シミュレーターを用いて解析した結果によると、本発明に対応するモデルでは従来技術に対応するモデルに対して伝送線路の両端のプローブ間の20GHzにおける射損が5dB程度改善されるとともに、挿入損が0.1dB程度改善される結果となった。
【0022】
なお本発明は、上述の実施形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変更は可能であり、例えば上述の実施形態例では、配線基板10の上面に設けられた半導体素子接続パッド3S,3Gと配線基板10の下面に設けられた外部接続パッド4S,4Gとの間の伝送特性を測定する場合について説明したが、配線基板の上面側に設けられたパッド同士の間や配線基板の下面側に設けられたパッド同士の間の伝送特性を測定する場合に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0023】
1 絶縁基板
2S 信号線路
2G 接地線路
3S 信号用半導体素子接続パッド(第一の信号パッド)
3G 接地用半導体素子接続パッド(第一の接地パッド)
4S 信号用外部接続パッド(第二の信号パッド)
4G 接地用外部接続パッド(第二の接地パッド)
5S 信号用プローブ接続パッド
5G 接地用プローブ接続パッド
6 プローブ(第一のプローブ)
7S 信号用接触端子(第一の信号用接触端子)
7G 接地用接触端子(第一の接地用接触端子)
8 プローブ(第二のプローブ)
9S 信号用接触端子(第二の信号用接触端子)
9G 接地用接触端子(第二の接地用接触端子)
10 配線基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のピッチで設けられた第一の信号用パッドおよび第一の接地用パッドと、前記第一のピッチより広い第二のピッチで設けられた第二の信号用パッドおよび第二の接地用パッドと、前記第一の信号用パッドと前記第二の信号用パッドとの間を接続する信号線路および前記第一の接地用パッドと前記第二の接地用パッドとの間を接続する接地線路とを有する配線基板の前記第一の信号用パッドおよび前記第一の接地用パッドと前記第二の信号用パッドおよび前記第二の接地用パッドとの間における高周波信号伝送特性を、両者間に測定装置のプローブを接続して測定する配線基板の高周波信号伝送特性の測定方法であって、前記配線基板の表面に前記第二の信号用パッドに接続された信号用プローブ接続パッドおよび前記第二の接地用パッドに接続された接地用プローブ接続パッドを前記信号用プローブ接続パッドと前記接地用プローブ接続パッドとのピッチが前記第二のピッチより狭い第三のピッチに狭まるように設けるとともに、先端部が前記第一のピッチで配置された第一の信号用接触端子および第一の接地用接触端子を有する第一のプローブを、前記第一の信号用接触端子の先端部と前記第一の信号用パッドとを接触させるとともに前記第一の接地用接触端子の先端部と前記第一の接地用パッドとを接触させることにより前記第一の信号用パッドおよび前記第一の接地用パッドに接続するとともに、先端部が前記第三のピッチで配置された第二の信号用接触端子および第二の接地用接触端子を有する第二のプローブを、前記第二の信号用接触端子の先端部と前記信号用プローブ接続パッドとを接触させるとともに前記第二の接地用接触端子の先端部と前記接地用プローブ接続パッドとを接触させることにより前記第二の信号用パッドおよび前記第二の接地用パッドに接続して測定することを特徴とする配線基板の高周波信号伝送特性の測定方法。
【請求項2】
前記第一のピッチが100〜200μmであり、前記第二のピッチが800〜1200μmであることを特徴とする請求項1に記載の配線基板の高周波信号伝送特性の測定方法。
【請求項3】
前記第三のピッチが100〜200μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の配線基板の高周波信号伝送特性の測定方法。
【請求項4】
第一のピッチで設けられた第一の信号用パッドおよび第一の接地用パッドと、前記第一のピッチより広い第二のピッチで設けられた第二の信号用パッドおよび第二の接地用パッドと、前記第一の信号用パッドと前記第二の信号用パッドとの間を接続する信号線路および前記第一の接地用パッドと前記第二の接地用パッドとの間を接続する接地線路とを有する配線基板であって、前記第二の信号用パッドに接続された信号用プローブ接続パッドおよび前記第二の接地用パッドに接続された接地用プローブ接続パッドを前記信号用プローブ接続パッドと前記接地用プローブ接続パッドとのピッチが前記第二のピッチより狭い第三のピッチに狭まるように設けたことを特徴とする配線基板。
【請求項5】
前記第一のピッチが100〜200μmであり、前記第二のピッチが800〜1200μmであることを特徴とする請求項4に記載の配線基板。
【請求項6】
前記第三のピッチが100〜200μmであることを特徴とする請求項4または5に記載の配線基板。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−95191(P2011−95191A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251472(P2009−251472)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(304024898)京セラSLCテクノロジー株式会社 (213)
【Fターム(参考)】