説明

配線基板及びその製造方法、半導体パッケージ

【課題】製造コストの大幅な増加をともなわずに基板管理情報を形成でき、又、高密度化にも対応できる配線基板及びその製造方法、並びに、前記配線基板を有する半導体パッケージを提供することを目的とする。
【解決手段】本配線基板は、複数の配線層及び絶縁層が交互に積層され、隣接する前記配線層が前記絶縁層に形成されたビアホールを介して電気的に接続されている配線基板であって、前記絶縁層のうちの外側の絶縁層には、文字や記号等として認識可能な基板管理情報を構成する複数の穴が形成されており、前記外側の絶縁層上には、前記外側の絶縁層に積層された配線層を選択的に覆い、前記複数の穴を露出するソルダーレジストが形成されており、前記配線層の前記ソルダーレジストから露出する部分は、半導体チップと電気的に接続される電極パッドを構成し、前記複数の穴は、それぞれ前記外側の絶縁層を貫通する貫通穴であり、平面視において前記電極パッドより外側の領域に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、識別番号、座標情報等の基板管理情報が形成された配線基板及びその製造方法、半導体パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、半導体チップ搭載用等に用いられる配線基板は、小型化、高密度化が進み、集合配線基板の形態で取り扱われている。図1は、従来の集合配線基板200を例示する平面図である。図1を参照するに、集合配線基板200は、複数の配線基板100と、複数の配線基板100を囲む外枠210とを有する。Aはダイシングブレード等が集合配線基板200を切断する位置(以下、「切断位置A」とする)を示している。集合配線基板200は、切断位置Aにおいて切断されることにより個片化され、配線基板100となる。この際、外枠210は、廃棄される部分である。
【0003】
複数(64個)の配線基板100には、A1〜H8の識別番号が形成されている。このような識別番号は、個片化後の配線基板100に何らかの不具合が生じた場合等に利用される。例えば、不具合が生じた配線基板100が、集合配線基板200のどの位置に配置されていたかを特定することができるため、その不具合が集合配線基板200における特定の場所に依存して生じたものか、あるいは製造工程中の特定のプロセスに関連して生じたものか等を解析することができる。
【0004】
又、複数の配線基板100には、このような識別番号以外に、座標情報、ロット番号、シリアル番号、図面番号、製品名称等が形成される場合もある。以下、識別番号、座標情報、ロット番号、シリアル番号、図面番号、製品名称等を含めて基板管理情報という。
【0005】
従来、基板管理情報は、配線パターンを用いて形成されていた(例えば、特許文献1参照)。又、配線パターン形成時には露光を行うが、従来は一括コンタクト露光方法が採用されていた。一括コンタクト露光方法とは、予め基板管理情報等を形成した露光マスクを露光対象物に密着させ、その状態で露光マスクを通して露光対象物に光を照射し、露光対象物に露光マスクに形成された基板管理情報等を転写する露光方法である。一括コンタクト露光方法を採用することにより、各配線基板100にそれぞれ異なる基板管理情報を形成する場合にも、一回の露光を行えば済むため、集合配線基板200の製造コストを低く抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−86735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、一括コンタクト露光方法は、露光マスクを露光対象物に密着させるため、露光対象物にゴミが付着し、集合配線基板200の歩留まりが低下するという問題があった。又、一括コンタクト露光方法に用いるコンタクト露光機は、露光の位置精度が高くないため、高密度の配線基板100が集合化された集合配線基板200の製造に用いることが困難であるという問題があった。
【0008】
このような問題を解決するために、一括コンタクト露光方法に代えて、投影露光方法を採用することも考えられる。投影露光方法は、露光マスクを露光対象物に密着させないため、露光対象物にゴミが付着することがなく、又、露光の位置精度が高いため、高密度の配線基板100が集合化された集合配線基板200の製造にも用いることができるという特徴がある。
【0009】
しかしながら、投影露光方法に用いる投影露光機のレンズ口径は比較的小さく、有効露光領域が狭いため、集合配線基板200の全体を一括で露光することができない。集合配線基板200の全体を複数回に分けて露光することはできるが、各配線基板100にそれぞれ異なる基板管理情報を形成する場合には、露光のたびに露光マスクを交換しなければならず、集合配線基板200の製造コストが大幅に増加するという問題があった。又、配線パターン形成時の露光は投影露光方法で行い、その後、基板管理情報形成のためだけの露光を、一括コンタクト露光方法で行うこともできるが、同様に集合配線基板200の製造コストが大幅に増加するという問題があった。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、製造コストの大幅な増加をともなわずに基板管理情報を形成でき、又、高密度化にも対応できる配線基板及びその製造方法、並びに、前記配線基板を有する半導体パッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本配線基板は、複数の配線層及び絶縁層が交互に積層され、隣接する前記配線層が前記絶縁層に形成されたビアホールを介して電気的に接続されている配線基板であって、前記絶縁層のうちの外側の絶縁層には、文字や記号等として認識可能な基板管理情報を構成する複数の穴が形成されており、前記外側の絶縁層上には、前記外側の絶縁層に積層された配線層を選択的に覆い、前記複数の穴を露出するソルダーレジストが形成されており、前記配線層の前記ソルダーレジストから露出する部分は、半導体チップと電気的に接続される電極パッドを構成し、前記複数の穴は、それぞれ前記外側の絶縁層を貫通する貫通穴であり、平面視において前記電極パッドより外側の領域に形成されていることを要件とする。
【0012】
本配線基板の製造方法は、複数の配線層及び絶縁層が交互に積層され、隣接する前記配線層が前記絶縁層に形成されたビアホールを介して電気的に接続されている配線基板の製造方法であって、前記絶縁層のうちの外側の絶縁層に、文字や記号等として認識可能な基板管理情報を構成する複数の穴を形成する穴形成工程と、前記外側の絶縁層上に、配線層を積層する配線層積層工程と、前記外側の絶縁層上に、前記配線層積層工程で積層された配線層を選択的に覆い、前記複数の穴を露出するソルダーレジストを形成するソルダーレジスト形成工程と、を有し、前記穴形成工程は、前記外側の絶縁層に前記ビアホールを形成するビアホール形成工程と同一工程であり、前記配線層の前記ソルダーレジストから露出する部分は、半導体チップと電気的に接続される電極パッドを構成し、前記複数の穴は、それぞれ前記外側の絶縁層を貫通する貫通穴であり、平面視において前記電極パッドより外側の領域に形成されることを要件とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、製造コストの大幅な増加をともなわずに基板管理情報を形成でき、又、高密度化にも対応できる配線基板及びその製造方法、並びに、前記配線基板を有する半導体パッケージを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来の集合配線基板200を例示する平面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る集合配線基板20を部分的に例示する平面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る集合配線基板20を例示する図2のB−B線に沿った断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る集合配線基板20の製造工程を例示する図(その1)である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る集合配線基板20の製造工程を例示する図(その2)である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る集合配線基板20の製造工程を例示する図(その3)である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る集合配線基板20の製造工程を例示する図(その4)である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る集合配線基板20の製造工程を例示する図(その5)である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る集合配線基板20の製造工程を例示する図(その6)である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る集合配線基板20の製造工程を例示する図(その7)である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る集合配線基板20の製造工程を例示する図(その8)である。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係る集合配線基板20の製造工程を例示する図(その9)である。
【図13】本発明の第1の実施の形態に係る集合配線基板20の製造工程を例示する図(その10)である。
【図14】本発明の第1の実施の形態に係る集合配線基板20の製造工程を例示する図(その11)である。
【図15】本発明の第1の実施の形態に係る集合配線基板20の製造工程を例示する図(その12)である。
【図16】本発明の第1の実施の形態に係る集合配線基板20の製造工程を例示する図(その13)である。
【図17】複数の貫通穴15yにより形成された基板管理情報11a「1」を模式的に例示する平面図である。
【図18】本発明の第2の実施の形態に係る集合配線基板30を例示する断面図である。
【図19】本発明の第3の実施の形態に係る集合配線基板40を例示する断面図である。
【図20】本発明の第4の実施の形態に係る集合配線基板50を例示する断面図である。
【図21】図19に示す集合配線基板40に半導体チップ72を搭載した半導体パッケージ70を例示する断面図である。
【図22】本発明の第5の実施の形態に係る半導体パッケージ70の製造工程を例示する図(その1)である。
【図23】本発明の第5の実施の形態に係る半導体パッケージ70の製造工程を例示する図(その2)である。
【図24】本発明の第5の実施の形態に係る半導体パッケージ70の製造工程を例示する図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
【0016】
〈第1の実施の形態〉
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る集合配線基板20を部分的に例示する平面図である。図3は、本発明の第1の実施の形態に係る集合配線基板20を例示する図2のB−B線に沿った断面図である。
【0017】
図2を参照するに、集合配線基板20は、複数の配線基板10と外枠21とから構成されている。Aはダイシングブレード等が集合配線基板20を切断する位置(以下、「切断位置A」とする)を示している。集合配線基板20は、切断位置Aにおいて切断されることにより個片化され、配線基板10となる。この際、外枠21は、廃棄される部分である。
【0018】
複数の配線基板10には、それぞれ「1」を示す基板管理情報11aや「2」を示す基板管理情報11bが形成されている。集合配線基板20を構成する図2に図示されていない配線基板10にも、それぞれ基板管理情報が形成されている。基板管理情報11aや11b等は、前述のように、識別番号、座標情報、ロット番号、シリアル番号、図面番号、製品名称等の情報であり、個片化後の配線基板10に何らかの不具合が生じた場合等に利用される。なお、図2において、基板管理情報11aや11b等は簡略化して図示されている。
【0019】
図3を参照するに、集合配線基板20は、第1絶縁層14と、第2絶縁層15と、第1配線層16と、第2配線層17と、第3配線層18と、ソルダーレジスト19とを有し、支持体を有さないシート形状の集合配線基板である。第1配線層16上には第1絶縁層14が形成され、第1絶縁層14上には第2配線層17が形成されている。更に、第2配線層17上には第2絶縁層15が形成され、第2絶縁層15上には第3配線層18が形成されている。
【0020】
第1配線層16は、表面めっき層16a及びパッド本体16bから構成されている。第1配線層16は、例えば半導体チップ等と電気的に接続される電極パッドとして機能する。第1配線層16と第2配線層17とは、第1絶縁層14に形成された第1ビアホール14xを介して電気的に接続されている。又、第2配線層17と第3配線層18とは、第2絶縁層15に形成された第2ビアホール15xを介して電気的に接続されている。
【0021】
第2絶縁層15には、第2配線層17と第3配線層18とを電気的に接続する第2ビアホール15xの他に、基板管理情報を構成する貫通穴15yが形成されている。第3配線層18上には、ソルダーレジスト19が形成されている。ソルダーレジスト19は、第3配線層18上に開口部19xを、貫通穴15y上に開口部19yを有する。第3配線層18の開口部19xに対応する部分は、例えば半導体チップ等と電気的に接続される電極パッドとして機能する。
【0022】
このように、貫通穴15y上には、絶縁層やソルダーレジストは形成されず、貫通穴15yからは第2配線層17が露出し、ソルダーレジスト19の上部方向から、平面視「1」のように認識される(図17参照)。
【0023】
続いて、集合配線基板20の製造方法について説明する。図4〜図16は、本発明の第1の実施の形態に係る集合配線基板20の製造工程を例示する図である。図4〜図16において、図2及び図3と同一部品については、同一符号を付し、その説明は省略する。
【0024】
始めに、図4に示す工程では、支持体12を用意する。本実施形態では支持体12としてCu箔を用いる。Cu箔の厚さは、例えば、35〜100μmとすることができる。次いで、図5に示す工程では、支持体12上に、レジスト膜13を形成する。レジスト膜13としては、例えば、ドライフィルム等を用いることができる。
【0025】
次いで、図6に示す工程では、レジスト膜13に対して露光等のパターニング処理を行い、第1配線層16の形成位置に対応する部分に開口部13xを形成する。露光には、例えば、投影露光方法を用いることができる。なお、ドライフィルム状のレジスト膜13に対して予め開口部13xを形成しておき、開口部13xが形成されたレジスト膜13を支持体12上に配設してもよい。
【0026】
次いで、図7に示す工程では、支持体12をめっき給電層に利用する電解めっき法により、支持体12上に第1配線層16を形成する。第1配線層16は、レジスト膜13に形成された開口部13x内に形成されており、表面めっき層16aとパッド本体16bとにより構成されている。
【0027】
表面めっき層16aは、例えば、Au膜,Pd膜,Ni膜を積層した構造を有する。第1配線層16を形成するには、例えば、Au膜,Pd膜,Ni膜を順にめっきすることにより表面めっき層16aを形成し、続いて、表面めっき層16a上にCu等からなるパッド本体16bをめっきにより形成する。次いで、図8に示す工程では、図7に示すレジスト膜13を除去する。なお、第1配線層16は、例えば半導体チップ等と電気的に接続される電極パッドとして機能する。
【0028】
次いで、図9に示す工程では、支持体12に第1配線層16を被覆する第1絶縁層14を形成する。第1絶縁層14の材料としては、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂などの樹脂材を用いることができる。第1絶縁層14の形成方法の一例としては、支持体12に樹脂フィルムをラミネートした後に、樹脂フィルムをプレス(押圧)し、その後、190℃程度の温度で熱処理して硬化させることにより第1絶縁層14を得ることができる。
【0029】
次いで、図10に示す工程では、支持体12に形成された第1絶縁層14に、第1配線層16が露出するようにレーザ加工法を用いて第1ビアホール14xを形成する。レーザとしては、例えば、COレーザやYAGレーザ等を使用することができる。
【0030】
次いで、図11に示す工程では、第1絶縁層14上に、第1ビアホール14xを介して第1配線層16と電気的に接続される第2配線層17を形成する。第2配線層17としては、例えば、Cu等を用いることができる。第2配線層17は、例えば、セミアディティブ法により形成される。
【0031】
第2配線層17を、セミアディティブ法により形成する例を、より詳しく説明すると、始めに、無電解めっき法又はスパッタ法により、第1ビアホール14x内及び第1絶縁層14の上にCuシード層(図示せず)を形成した後に、第2配線層17に対応する開口部を備えたレジスト膜(図示せず)を形成する。この際に行う露光には、例えば、投影露光方法を用いることができる。次いで、Cuシード層をめっき給電層に利用した電解めっき法により、レジスト膜の開口部にCu層パターン(図示せず)を形成する。
【0032】
次いで、レジスト膜を除去した後に、Cu層パターンをマスクにしてCuシード層をエッチングすることにより、第2配線層17を得る。なお、第2配線層17の形成方法としては、上述したセミアディティブ法の他にサブトラクティブ法などの各種の配線形成方法を用いることができる。
【0033】
次いで、図12に示す工程では、第1絶縁層14上に第2配線層17を被覆する第2絶縁層15を形成する。第2絶縁層15の材料としては、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂などの樹脂材を用いることができる。第2絶縁層15の形成方法は、第1絶縁層14の形成方法と同一であるため、その説明は省略する。
【0034】
次いで、図13に示す工程では、第2絶縁層15に、第2配線層17が露出するようにレーザ加工法を用いて第2ビアホール15x及び貫通穴15yを形成する。レーザとしては、例えば、COレーザやYAGレーザ等を使用することができる。貫通穴15yは、図2に示す基板管理情報11aとして、平面視「1」のように認識されるように、複数個形成される。一例として、図17に基板管理情報11aの形成例を示す。
【0035】
図17は、複数の貫通穴15yにより形成された基板管理情報11a「1」を模式的に例示する平面図である。図2において、基板管理情報11aは簡略化して図示したが、貫通穴15yの直径は60μm〜150μm程度であり、認識可能とするためには、貫通穴15yは、ある程度まとめて形成しなければならない。従って、実際には、図17に示すように、多数の貫通穴15yが形成される。
【0036】
この際、図17(a)に示すように、貫通穴15yが互いに接するか又は重複するように形成しても良いし、図17(b)に示すように、貫通穴15yが互いに重複しないように、基板管理情報11aが認識可能な範囲内で間引いて形成しても良い。貫通穴15yを基板管理情報11aが認識可能な範囲内で間引いて形成することにより、貫通穴15yの加工時間を短縮することができる。
【0037】
このようにして、第2配線層17と第3配線層18とを電気的に接続する第2ビアホール15xを形成する工程と同一の工程において、基板管理情報11aを構成する貫通穴15yを形成することができる。
【0038】
なお、基板管理情報11aを構成する貫通穴15yを形成するためにレーザ加工時間が増加するが、第2ビアホール15xを形成する工程と同一の工程において対応できるため、配線パターン形成時の露光は投影露光方法で行い、その後、基板管理情報形成のためだけの露光を、一括コンタクト露光方法で行うことにより基板管理情報を形成する際に生ずるような大幅な加工時間の増加はともなわず、集合配線基板20の製造コストが大幅に増加することはない。
【0039】
ここで、配線パターン形成時の露光は投影露光方法で行い、基板管理情報の形成は本発明に係る方法により行う場合の加工時間の増加と、配線パターン形成時の露光は投影露光方法で行い、その後、基板管理情報形成のためだけの露光を、一括コンタクト露光方法で行う場合の加工時間の増加について比較する。
【0040】
一例として、120個の配線基板10から構成されている集合配線基板20の各配線基板10に、直径約80μmの貫通穴15yを平均232個使用して基板管理情報を形成する場合を考える。この場合、集合配線基板20全体としては、120×232=27840個の貫通穴15yを形成する必要がある。レーザ加工法により貫通穴15yを形成する速度は、約400個/秒程度であるから、27840÷400≒70秒となり、集合配線基板20の加工時間は、約70秒増加する。
【0041】
一方、配線パターン形成時の露光は投影露光方法で行い、その後、基板管理情報形成のためだけの露光を、一括コンタクト露光方法で行う場合の加工時間の増加について考える。この場合には、投影露光機から一括コンタクト露光機への段取り変更に約10分、一括コンタクト露光に約10分、合計で約20分(=1200秒)必要である。
【0042】
これらを比較すると、1200秒÷70秒≒17となり、本発明に係る基板管理情報形成方法によれば、配線パターン形成時の露光は投影露光方法で行い、その後、基板管理情報形成のためだけの露光を、一括コンタクト露光方法で行う場合に比べて、加工時間の増加を約17分の1に抑えられる。その結果、集合配線基板20の製造コストが大幅に増加することを抑制できる。
【0043】
次いで、図14に示す工程では、第2絶縁層15上に、第2ビアホール15xを介して第2配線層17と電気的に接続される第3配線層18を形成する。第3配線層18としては、例えば、Cu等を用いることができる。第3配線層18は、例えば、セミアディティブ法により形成される。この際に行う露光には、例えば、投影露光方法を用いることができる。
【0044】
次いで、図15に示す工程では、第3配線層18の所定の領域上に開口部19xが、貫通穴15y上に開口部19yが設けられたソルダーレジスト19が形成される。これにより、第3配線層18の所定の領域はソルダーレジスト19の開口部19x内に露出し、第2配線層17の所定の領域はソルダーレジスト19の開口部19y内に露出する。ソルダーレジスト19の開口部19x内に露出した第3配線層18を構成するCu等の表面、及び、ソルダーレジスト19の開口部19y内に露出した第2配線層17を構成するCu等の表面に、Agめっき、Snめっき、OSP(Organic Solderability Preservative)処理等を施しても構わない。
【0045】
第3配線層18の開口部19x内に露出する部分は、例えば半導体チップ等と電気的に接続される電極パッドとして機能する。又、開口部19yは、貫通穴15yに対応する部分に形成されるため、貫通穴15yからは第2配線層17が露出し、ソルダーレジスト19の上部方向から、平面視「1」のように認識される(図17参照)。
【0046】
このようにして、支持体12上に所定のビルドアップ配線層が形成される。本実施例では、3層のビルドアップ配線層(第1配線層16,第2配線層17,及び第3配線層18)を形成したが、n層(nは2以上の整数)のビルドアップ配線層を形成してもよい。
【0047】
次いで、図16に示す工程では、図15に示す支持体12を除去する。支持体12の除去は、ソルダーレジスト19の開口部19x内に露出した第3配線層18、及び、開口部19y内に露出した第2配線層17上にマスキングフィルムを貼った後に、塩化第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶液又は過硫酸アンモニウム水溶液などを用いたウエットエッチングにより行うことができる。この際、第1配線層16は、最表面に表面めっき層16aが形成されているため、第1配線層16及び第1絶縁層14に対し、Cuからなる支持体12を選択的にエッチングして除去することができる。これにより、第1配線層16は第1絶縁層14から露出される。
【0048】
このようにして、本発明の第1の実施の形態に係る集合配線基板20が製造される。
【0049】
本発明の第1の実施の形態に係る集合配線基板20によれば、外側の絶縁層である第2絶縁層15に、ビアホール15xを形成する工程と同一の工程において、11a等の基板管理情報を構成する貫通穴15yを形成することにより、製造コストの大幅な増加をともなわずに、集合配線基板20に基板管理情報を形成することができる。
【0050】
又、露光の位置精度が高い投影露光方法により配線層を形成することもできるため、高密度の配線基板が集合化された集合配線基板20の製造にも対応することができる。
【0051】
〈第2の実施の形態〉
図18は、本発明の第2の実施の形態に係る集合配線基板30を例示する断面図である。図18を参照するに、集合配線基板30は、図3に示す集合配線基板20における第3配線層18が、基板管理情報を構成する貫通穴15y内にも形成された以外は集合配線基板20と同様に構成される。
【0052】
集合配線基板30の製造方法については、図14に示す工程を除いて、図4〜図16に示す集合配線基板20の製造方法と同一である。集合配線基板30の製造工程では、集合配線基板20の図14に相当する工程において、貫通穴15y内にも第3配線層18を形成する。
【0053】
第3配線層18としては、例えば、Cu等を用いることができる。第3配線層18は、例えば、セミアディティブ法により形成される。なお、集合配線基板20の図15に相当する工程において、ソルダーレジスト19を形成した後に、ソルダーレジスト19の開口部19x及び開口部19y内に露出した第3配線層18を構成するCu等の表面に、Agめっき、Snめっき、OSP(Organic Solderability Preservative)処理等を施しても構わない。
【0054】
本発明の第2の実施の形態に係る集合配線基板30によれば、外側の絶縁層である第2絶縁層15に、ビアホール15xを形成する工程と同一の工程において、11a等の基板管理情報を構成する貫通穴15yを形成することにより、本発明の第1の実施の形態に係る集合配線基板20と同様に、製造コストの大幅な増加をともなわずに、集合配線基板30に基板管理情報を形成することができる。
【0055】
又、露光の位置精度が高い投影露光方法により配線層を形成することもできるため、高密度の配線基板が集合化された集合配線基板30の製造にも対応することができる。
【0056】
〈第3の実施の形態〉
図19は、本発明の第3の実施の形態に係る集合配線基板40を例示する断面図である。図19を参照するに、集合配線基板40は、集合配線基板30においてソルダーレジスト19の開口部19x及び開口部19y内に露出した第3配線層18上に、金属層41が形成された以外は集合配線基板30と同様に構成される。
【0057】
集合配線基板40の製造方法については、図14及び図15に示す工程を除いて、図4〜図16に示す集合配線基板20の製造方法と同一である。集合配線基板40の製造工程では、集合配線基板30の場合と同様に、集合配線基板20の図14に相当する工程において、貫通穴15y内にも第3配線層18を形成する。第3配線層18としては、例えば、Cu等を用いることができる。第3配線層18は、例えば、セミアディティブ法により形成される。
【0058】
次いで、集合配線基板20の図15に相当する工程において、ソルダーレジスト19を形成した後に、ソルダーレジスト19の開口部19x及び開口部19y内に露出した第3配線層18上に金属層41を形成する。金属層41としては、電解めっき法、無電解めっき法等により、第3配線層18上に直接Au膜を形成する。又、例えば、Ni膜、Au膜を第3配線層18上に順次積層した構造としても構わない。又、Ni膜、Pd膜,Au膜を第3配線層18上に順次積層した構造としても構わない。金属層41を構成するAu膜の厚さは、例えば、0.01μm〜1μmとすることができる。
【0059】
第3配線層18上に金属層41を形成する目的は、基板管理情報を構成する貫通穴15yからAu膜を露出させ、基板管理情報の認識性を向上させるためである。
【0060】
本発明の第3の実施の形態に係る集合配線基板40によれば、外側の絶縁層である第2絶縁層15に、ビアホール15xを形成する工程と同一の工程において、11a等の基板管理情報を構成する貫通穴15yを形成することにより、本発明の第1の実施の形態に係る集合配線基板20と同様に、製造コストの大幅な増加をともなわずに集合配線基板40に基板管理情報を形成することができる。
【0061】
又、露光の位置精度が高い投影露光方法により配線層を形成することもできるため、高密度の配線基板が集合化された集合配線基板40の製造にも対応することができる。
【0062】
又、本発明の第3の実施の形態に係る集合配線基板40によれば、貫通穴15y内にも第3配線層18を形成し、更に、ソルダーレジスト19の開口部19y内に露出した第3配線層18上に金属層41を形成することにより、基板管理情報を構成する貫通穴15yからAu膜が認識されるため、基板管理情報の認識性を向上することができる。
【0063】
〈第4の実施の形態〉
図20は、本発明の第4の実施の形態に係る集合配線基板50を例示する断面図である。図20を参照するに、集合配線基板50は、集合配線基板20においてソルダーレジスト19の開口部19x内に露出した第3配線層18、及び、開口部19y内に露出した第2配線層17上に、金属層51が形成された以外は集合配線基板20と同様に構成される。
【0064】
集合配線基板50の製造方法については、図15に示す工程を除いて、図4〜図16に示す集合配線基板20の製造方法と同一である。集合配線基板50の製造工程では、集合配線基板20の図15に相当する工程において、ソルダーレジスト19を形成した後に、ソルダーレジスト19の開口部19x内に露出した第3配線層18、及び、開口部19y内に露出した第2配線層17上に金属層51を形成する。
【0065】
金属層51としては、電解めっき法、無電解めっき法等により、第2配線層17及び第3配線層18上に直接Au膜を形成する。又、例えば、Ni膜、Au膜を第2配線層17及び第3配線層18上に順次積層した構造としても構わない。又、Ni膜、Pd膜,Au膜を第2配線層17及び第3配線層18上に順次積層した構造としても構わない。金属層51を構成するAu膜の厚さは、例えば、0.01μm〜1μmとすることができる。
【0066】
第2配線層17上に金属層51を形成する目的は、基板管理情報を構成する貫通穴15yからAu膜を露出させ、基板管理情報の認識性を向上させるためである。
【0067】
本発明の第4の実施の形態に係る集合配線基板50によれば、外側の絶縁層である第2絶縁層15に、ビアホール15xを形成する工程と同一の工程において、11a等の基板管理情報を構成する貫通穴15yを形成することにより、本発明の第1の実施の形態に係る集合配線基板20と同様に、製造コストの大幅な増加をともなわずに集合配線基板50に基板管理情報を形成することができる。
【0068】
又、露光の位置精度が高い投影露光方法により配線層を形成することもできるため、高密度の配線基板が集合化された集合配線基板50の製造にも対応することができる。
【0069】
又、本発明の第4の実施の形態に係る集合配線基板50によれば、ソルダーレジスト19の開口部19y内に露出した第2配線層17上に金属層51を形成することにより、基板管理情報を構成する貫通穴15yからAu膜が認識されるため、基板管理情報の認識性を向上することができる。
【0070】
〈第5の実施の形態〉
図21は、図19に示す集合配線基板40に半導体チップ72を搭載した半導体パッケージ70を例示する断面図である。図21を参照するに、半導体パッケージ70は、集合配線基板40と、はんだバンプ71と、半導体チップ72と、アンダーフィル樹脂73とを有する。半導体チップ72には、電極であるボール状端子72aが形成されている。
【0071】
集合配線基板40の金属層41の開口部19xに対応する部分には、はんだバンプ71(接合金属)が形成されている。半導体チップ72のボール状端子72aは、集合配線基板40のはんだバンプ71と電気的に接続されている。半導体チップ72とソルダーレジスト19との間にはアンダーフィル樹脂73が充填されている。
【0072】
集合配線基板40において、開口部19yは、貫通穴15yに対応する部分に形成され、貫通穴15yからは金属層41を構成するAu膜が露出しているため、半導体パッケージ70において、貫通穴15yは、ソルダーレジスト19の上部方向から、平面視「1」のように認識される(図17参照)。
【0073】
図22〜図24は、本発明の第5の実施の形態に係る半導体パッケージ70の製造工程を例示する図である。図22〜図24において、図21と同一部品については、同一符号を付し、その説明は省略する。始めに、図22に示す工程では、金属層41の開口部19xに対応する部分に、はんだバンプ71(接合金属)を形成する。はんだバンプ71は、金属層41の開口部19xに対応する部分に、はんだペーストを塗布しリフロー処理することにより得られる。金属層41の開口部19xに対応する部分に、はんだボールを搭載しても構わない。
【0074】
次いで、図23に示す工程では、電極であるボール状端子72aが形成されている半導体チップ72を用意し、半導体チップ72のボール状端子72aと集合配線基板40のはんだバンプ71とを、例えば、190℃に加熱して、はんだを融解させ電気的に接続する。次いで、図24に示す工程では、半導体チップ72とソルダーレジスト19との間にアンダーフィル樹脂73を充填する。
【0075】
このようにして、シート状の集合配線基板40に半導体チップ72を実装した半導体パッケージ70が製造される。その後、ダイシングブレード等で集合配線基板40を切断位置Aで切断することにより、個片化された半導体パッケージが完成する。
【0076】
本発明の第5の実施の形態に係る半導体パッケージ70によれば、外側の絶縁層である第2絶縁層15に、ビアホール15xを形成する工程と同一の工程において、11a等の基板管理情報を構成する貫通穴15yを形成した集合配線基板40に、半導体チップ72を搭載することにより、製造コストの大幅な増加をともなわずに基板管理情報が形成された半導体パッケージ70を実現することができる。
【0077】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳説したが、本発明は、上述した実施の形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0078】
例えば、本発明の第1の実施の形態に係る集合配線基板20において、貫通穴15yの部分にはソルダーレジスト19を形成していないが、貫通穴15yを埋めるようにソルダーレジスト19を形成しても構わない。
【0079】
又、本発明の各実施の形態おいては、支持基板を有さない配線基板に本発明を適用する例を示したが、本発明は、支持基板を有する配線基板にも同様に適用することができる。
【0080】
又、本発明の第5の実施の形態に係る半導体パッケージ70において、本発明に係る集合配線基板40に半導体チップ72を搭載する例を示したが、本発明に係る集合配線基板20,30,50に半導体チップ72を搭載しても構わない。
【符号の説明】
【0081】
10,100 配線基板
11a,11b 基板管理情報
12 支持体
13 レジスト膜
13x,19x,19y 開口部
14 第1絶縁層
14x 第1ビアホール
15 第2絶縁層
15x 第2ビアホール
15y 貫通穴
16 第1配線層
17 第2配線層
18 第3配線層
16a 表面めっき層
16b パッド本体
19 ソルダーレジスト
20,30,40,50,200 集合配線基板
21,210 外枠
41,51 金属層
70 半導体パッケージ
71 はんだバンプ
72 半導体チップ
72a ボール状端子
73 アンダーフィル樹脂
A 切断位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の配線層及び絶縁層が交互に積層され、隣接する前記配線層が前記絶縁層に形成されたビアホールを介して電気的に接続されている配線基板であって、
前記絶縁層のうちの外側の絶縁層には、文字や記号等として認識可能な基板管理情報を構成する複数の穴が形成されており、
前記外側の絶縁層上には、前記外側の絶縁層に積層された配線層を選択的に覆い、前記複数の穴を露出するソルダーレジストが形成されており、
前記配線層の前記ソルダーレジストから露出する部分は、半導体チップと電気的に接続される電極パッドを構成し、
前記複数の穴は、それぞれ前記外側の絶縁層を貫通する貫通穴であり、平面視において前記電極パッドより外側の領域に形成されていることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記複数の穴からは、何れかの配線層が露出していることを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項3】
前記複数の穴からは、Au膜が露出していることを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項4】
前記複数の穴は、平面視において互いに重複しないように形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項記載の配線基板。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項記載の配線基板と、半導体チップとを有する半導体パッケージであって、前記半導体チップは、前記配線基板の前記外側の絶縁層側に搭載されていることを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項6】
複数の配線層及び絶縁層が交互に積層され、隣接する前記配線層が前記絶縁層に形成されたビアホールを介して電気的に接続されている配線基板の製造方法であって、
前記絶縁層のうちの外側の絶縁層に、文字や記号等として認識可能な基板管理情報を構成する複数の穴を形成する穴形成工程と、
前記外側の絶縁層上に、配線層を積層する配線層積層工程と、
前記外側の絶縁層上に、前記配線層積層工程で積層された配線層を選択的に覆い、前記複数の穴を露出するソルダーレジストを形成するソルダーレジスト形成工程と、を有し、
前記穴形成工程は、前記外側の絶縁層に前記ビアホールを形成するビアホール形成工程と同一工程であり、
前記配線層の前記ソルダーレジストから露出する部分は、半導体チップと電気的に接続される電極パッドを構成し、
前記複数の穴は、それぞれ前記外側の絶縁層を貫通する貫通穴であり、平面視において前記電極パッドより外側の領域に形成されることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項7】
前記複数の穴からは、何れかの配線層が露出していることを特徴とする請求項6記載の配線基板の製造方法。
【請求項8】
更に、前記穴から認識可能な配線層上に、Au膜を有する金属層を形成する金属層形成工程を有することを特徴とする請求項6又は7記載の配線基板の製造方法。
【請求項9】
前記金属層形成工程は、前記穴から認識可能な配線層上に、Au膜のみを形成する工程であることを特徴とする請求項8記載の配線基板の製造方法。
【請求項10】
前記金属層形成工程は、前記穴から認識可能な配線層上に、Ni膜、Au膜を順次積層形成する工程であることを特徴とする請求項8記載の配線基板の製造方法。
【請求項11】
前記金属層形成工程は、前記穴から認識可能な配線層上に、Ni膜、Pd膜,Au膜を順次積層形成する工程であることを特徴とする請求項8記載の配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−151509(P2012−151509A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−104890(P2012−104890)
【出願日】平成24年5月1日(2012.5.1)
【分割の表示】特願2008−36234(P2008−36234)の分割
【原出願日】平成20年2月18日(2008.2.18)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】