説明

配達物検索システム

【課題】配達物を保管するために用いられるIDがわからない場合に、配達物を探索する探索者が棚から所望の配達物を探索する時間を短縮し、探索者の労力を低減する。
【解決手段】配達物を収納する無線タグ付きケース13を収納する収納部を有し、各収納部に対して無線タグ用アンテナが配設される郵便物検索棚部10を複数設けた棚101と、収納部に応じて配設された例えば発光ダイオード15とを有する配達物検索システムにおいて、無線タグ用アンテナから順次電波を無線タグに出力することにより無線タグに検索用IDに対応付けられたキーワードが記憶されているかを検索し、その検索した無線タグを有する無線タグ付きケースを収納する収納部に応じて配設された発光ダイオードを発光させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、郵便局に持ち戻った例えば記録扱い郵便物である配達物を、無線タグを利用して検索する配達物検索システムに関する。
【背景技術】
【0002】
郵便局等で配達される例えば、記録扱い郵便物のような郵便物を配達する郵便局員は、郵便物を配達したときに受取人が不在の場合に、お知らせ番号等を記載した不在配達票を作成し、その不在配達票をポストに投函等した後、郵便物を不在配達票の写しとともに郵便局に持ち帰る。このように受取人が不在のため郵便局に戻された郵便物は、不在配達票の写しが貼り付けられて所定の棚に収納されて保管される。そして受取人が後で郵便局に出向いたときに、所定の本人確認を行った後、不在配達票に記載されているお知らせ番号をキーとして、郵便局員が棚から手作業により郵便物を検索していた。
【0003】
このように手作業により、大量の郵便物が保管された棚からお知らせ番号をキーとして所望の郵便物を検索することは大変煩雑な作業である。このため、戻された郵便物を、お知らせ番号を情報として記憶させた無線タグを設けた無線タグ付きケース(ファイル)に収納し、その無線タグ付きケースを、棚に収納して保管し、受取人が郵便物を受け取りに来たときに、お知らせ番号をキーとして棚から所定の無線タグ付きケースを検索することが考えられている。
【0004】
このように棚に収納されたファイルを検索する技術として、ファイルを収納する収納棚の上部に点灯ランプを載置するとともに、ファイル夫々と対向する位置に配置された赤外線発光ダイオードを有し、IDナンバーを入力してファイルを検索する際に、先ず収納棚上部の点灯ランプが点灯し、続いて、ファイルに対向する赤外線発光ダイオードが発光し、ファイルの場所を報知する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特公平6−51525号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した技術は、お知らせ番号をキーとして棚から無線タグ付きケースの検索を行う、又は特許文献1のようにIDナンバーを入力してファイルの検索を行うものである。また、不在配達票に記載されるお知らせ番号は、受取人が不在である場合に郵便物と関連づけられて保管を行うために用いられるIDである。
したがって、受取人が郵便物を受け取りに来たときに不在配達票を所持していないと、お知らせ番号がわからないため上述した技術を用いることができない。このような場合、郵便局員は、結局、受取人を運転免許証等の証明書に基づいて本人確認を行った後、棚から手作業で郵便物を探すことになる。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、配達物を保管するために用いられるIDがわからない場合に、配達物を探索する探索者が棚から所望の配達物を探索する時間を短縮し、探索者の労力を低減することができる配達物検索システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、配達物を収納する無線タグ付きケースを収納する収納部を有し、各収納部に対して無線タグ用アンテナが配設される物品検索棚部を複数設けた棚と、収納部に応じて配設された例えば発光ダイオードである発光手段とを有する配達物検索システムにおいて、無線タグ用アンテナから順次電波を無線タグに出力することにより無線タグに検索用IDに対応付けられたキーワードが記憶されているかを検索し、その検索した無線タグを有する無線タグ付きケースを収納する収納部に応じて配設された発光ダイオードを発光させるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、配達物を保管するために用いられるIDがわからない場合に、配達物を探索する探索者が棚から所望の配達物を探索する時間を短縮し、探索者の労力を低減することができる配達物検索システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の配達物検索システムの全体構成を示す図である。図示のように、ホストコンピュータ11は、棚101,…,棚10nの有する配達物としての郵便物を収納する複数の郵便物検索棚部(物品検索棚部)10と接続している。図2は、棚101の外観を示す斜視図である。棚101は、5段の郵便物検索棚部10を2列設けている。また、棚101の各郵便物検索棚部10は同様な構成及び形状をしている。この郵便物検索棚部10に無線タグ22が取り付けられた無線タグ付きケース13が収納される。なお、棚101,…,棚10nは、同様な構成をしているため棚101以外の説明は省略する。
【0010】
図3は、郵便物検索棚部10を示す図である。この郵便物検索棚部10には、例えば、受取人が不在のため郵便局に戻された記録扱い郵便物等が保管される。この郵便物検索棚部10は上述したようにホストコンピュータ11と接続している。
【0011】
郵便物検索棚部10は一面が開口された直方体形状をしている。そして、この郵便物検索棚部10内の底面には、その開口部から背面11a方向に沿って複数の仕切り板12が立設されている。隣接する仕切り板12のピッチは無線タグ付きケース13の厚さとほぼ同じに設定されており、仕切り板12の高さは、後述する無線タグ付きケース13を自立させるのに十分な高さに設定されている。このようにして、仕切り板12がn個の場合には、(n+1)個の収納部14が形成される。また、各収納部14の下側には、収納部14と1対1に対応して開口部に面するように、発光手段としての発光ダイオード15が配設されている。
【0012】
そして、図4に示すように、各収納部14に対して電波を出力する無線タグ用アンテナ21が背面11aに取り付けられている。また、無線タグ付きケース13を収納部14に収納した場合に、背面11aに取り付けられている無線タグ用アンテナ21と対向する位置に来るように図6に示す無線タグ付きケース13の外面に無線タグ22が設けられている。なお、31は無線タグリーダである。
【0013】
次に、図6を参照して無線タグ付きケース13の構成について説明する。この無線タグ付きケース13には、前述した位置に無線タグ22が取り付けられている。そして、この無線タグ付きケース13内には、はがき等の記録扱い郵便物が収納される。そして、この無線タグ付きケース13は矢印A方向に沿うように、郵便物検索棚部10の収納部14に挿入される。
【0014】
次に、図5を参照して各郵便物検索棚部10に配置される無線タグリーダ31の要部構成について説明する。無線タグリーダ31は上位端末、つまりホストコンピュータ11とのインタフェースを行うインタフェース部32、CPU、ROM、RAM等で構成される制御部33、無線タグ22への送信データを変調する変調部34、変調電波を増幅してアンテナ221〜22nから放射させる送信アンプ35、アンテナ221〜22nで受信した電波を増幅する受信アンプ36及び増幅された受信電波を復調する復調部37等で構成される。
【0015】
アンテナ221〜22nはそれぞれ切り換えスイッチ381〜38nを介して送信アンプ35及び受信アンプ36に接続されている。この切り換えスイッチ381〜38nは制御部33からの切り換え信号に応じて切り換えられる(スイッチング手段)。
【0016】
なお、391〜39nは各収納部14に対応して設けられた前述した発光ダイオード15を意味する。これら発光ダイオード391〜39nの点灯制御は制御部33により行われる。すなわち、制御部33は、検索される固有無線IDと一致する固有無線IDを有する無線タグを設けた無線タグ付きケース13を収納した収納部14に応じた発光ダイオード15を点灯させる制御を行う(発光制御手段)。また、図示を省略するが、制御部33は、発光ダイオード15の点灯を制御する制御部に対して前記無線タグ付きケース13を収納している郵便物検索棚部10の位置を示す情報を送信する。
【0017】
次に、図5を用いて無線タグ22の内部構成を示す。無線タグ22は、送受信可能なタグアンテナ41とLSIチップ42とを基板と一体成形した独立の部品である。タグアンテナ41は、矩形状に成形されたループコイル等からなる。LSIチップ42は、タグアンテナ41で受信した変調電波の整流と安定化を行うことによりLSIチップ42の各部に電源を供給する電源生成部43、上記変調電波を復調して制御部46へ送信する復調部44、制御部46から送信されたデータを変調してタグアンテナ41に送信する変調部45、復調部44で復調されたデータのメモリ47への書き込みや、メモリ47から送信データを読み出して変調部45へ送出する制御部46及びメモリ47等で構成されている。メモリ47には、当該無線タグ22の製造段階で製造業者により割当て設定された検索用IDである固有無線ID(例えばRFID)を記憶する固有無線IDエリアと、ユーザで任意のデータを書き込むことができるユーザエリアとが形成されている。
【0018】
次に、図8を用いてホストコンピュータ11の構成について説明する。ホストコンピュータ11はCPU51を中心に構成されている。CPU51のシステムバスには、ROM52、RAM53、例えばキーボードである入力部54、表示部55、バーコードリーダ56、インタフェース57、無線タグリーダ58が接続される。このインタフェース57は前述した無線タグリーダ31のインタフェース32に接続される。
【0019】
なお、ROM52は、棚101〜10nに収納された無線タグ付きケース13を検索するための検索処理を行うための制御プログラムを記憶している。CPU51は、この制御プログラムを実行することにより、郵便局員により入力部54を用いて指示された固有無線IDと、棚101の郵便物検索棚部10を順次切り換え全ての郵便物検索棚部10内の無線タグ付きケース13に設けられた無線タグから順番に読み取った固有無線IDとが一致するかを判断し、一致するものがなければ、次の棚に対して同様な処理を行っていく。この処理を固有無線IDを検索するまで棚101〜10nに対して行う(検索手段)。
【0020】
次に、上記のように構成された本発明の一実施の形態の動作について説明する。受取人が不在のため郵便局に持ち戻された郵便物は、図1の無線タグ付きケース13に収納された後、郵便物検索棚部10に収納されて保管される。この際、郵便局員は以下の示す手順により郵便物を郵便物検索棚部10に収納させている。
【0021】
まず、持ち戻った郵便物をどの無線タグ付きケース13に収納したかをホストコンピュータ11に登録する作業を行う。受取人が不在の場合には、郵便局員は不在配達票を受取人の所に置いて来る。その不在配達票には、郵便物を特定するためのお知らせ番号が記載されている。また、郵便局員はお知らせ番号が記載された用紙を郵便物に貼り付けて郵便局に持ち戻る。そして、ホストコンピュータ11に備えられているバーコードリーダ56によりその用紙に記載されているお知らせ番号を読み取り、無線タグ付きケース13に取り付けられている無線タグ22の固有無線IDを無線タグリーダ58で読み取り、さらに、入力部54を用いてキーワードを入力し、固有無線IDとお知らせ番号とキーワードとを図9に示すように対応付けてRAM53に記憶させる処理を行う。
【0022】
郵便局員が入力部54を用いて固有無線ID、お知らせ番号と対応付けて入力するキーワードは、受取人の名字(宛名)の頭文字を入力する。例えば、受取人の名字が「東(あずま)」であれば、「あ」を入力する。この固有無線IDと対応づけられるキーワードは、これに限られるものではないが、郵便局内でどのようなキーワードをどのような規則で入力するかは、予め定めておく必要がある。
【0023】
そして、郵便局員は郵便物を収納した無線タグ付きケース13を郵便物検索棚部10の空いている収納部14に挿入する。このように、無線タグ付きケース13を収納部14に収納すると、無線タグ22は図2に示すように無線タグ用アンテナ21と対向するように位置する。
【0024】
以下、同様にして郵便局員が持ち戻った郵便物は同様の処理を経て郵便物検索棚部10に収納される。
次に、受取人が不在配達票を所持せず、郵便局に郵便物を受け取りに来たときの処理について説明する。
【0025】
郵便局員は、受取人が不在配達票を所持していないため、本人であることを、例えば、運転免許証により確認する。郵便局員は、この本人確認を行った後、運転免許証に記載された名字の頭文字を入力部54から入力する。例えば、受取人の名字が「東(あずま)」であれば「あ」を入力する。すると、ホストコンピュータ11は入力部54から入力された「あ」に対応する固有無線IDをRAM53に記憶されている図9のテーブルを検索することにより求める。
【0026】
次に、検索すべき郵便物を収納した無線タグ付きケース13に取り付けられた無線タグ22の固有無線IDが判明すると、この固有無線IDを検索用IDとして該当する無線タグ付きケース13を検索する処理を行う。なお、この検索する処理は、「あ」に対応する固有無線IDが1つであればその固有無線IDに対して、複数検索された場合は全ての固有無線IDに対して行う。
【0027】
ホストコンピュータ11は、先ず棚101へアクセスする。そして、無線タグリーダ31の制御部33は切り換えスイッチ381〜38nを順番に1つずつオンする処理を行う。これにより、収納部14の背面11aに設けられた無線タグ用アンテナ21から順番に電波が放射される。この無線タグ用アンテナ21から放射される電波は指向性が強いので、収納部14内に放射される。
【0028】
そして、このように放射された電波の問いかけに応答して、無線タグ22は自己の固有無線IDを無線タグリーダ31に返信する。そして、制御部33は無線タグ22から返送された固有無線IDが問い合わせた固有無線IDと一致しているかを判断する。この処理を棚101の全ての郵便物検索棚部10に対して行い、一致する固有無線IDがなければ、ホストコンピュータ11は、次の棚へアクセスして同様の処理を行う。
【0029】
そして、制御部33は無線タグ22から返送された固有無線IDが問い合わせた固有無線IDと一致していると判断した場合には、その返送された固有無線IDの無線タグを設けた無線タグ付きケース13を収納した収納部14に対応する発光ダイオード15を点灯させる。キーワードに対応する固有無線IDが1つであった場合はこれで処理を終了するが、固有無線IDが複数あった場合は全ての固有無線IDに対する処理を同様に行ってから終了する。
【0030】
これにより、棚101から棚10nに収納された無線タグ付きケース13のうち、キーワードとして「あ」が登録されている無線タグ付きケース13に対応する発光ダイオード15が点灯する。したがって、郵便局員は、発光ダイオード15が点灯している収納部14に収納された無線タグ付きケース13だけを調べることにより、受取人に渡す郵便物を探索することができる。
【0031】
したがって、この実施の形態によると、受取人が不在配達票を持参しないため、郵便物を保管するために用いられるIDがわからない場合でも、棚101から10nに大量に収納された郵便物を探索する時間を発光ダイオード15の点灯を目印にすることにより、短縮することができ、郵便局員の労力を低減することができる。
【0032】
また、上記実施の形態では、キーワードを宛名の頭文字とした場合で説明しているが、頭文字だけだと、棚101から10nを検索する際に、多くの発光ダイオード15が点灯してしまうことも考えられる。したがって、宛名の名字、例えば「東(あずま)」なら「あずま」をキーワードとするようにしても良いし、名字だけでなく名前も含むようにしても良い。要は、運転免許証等の証明書により確認できるものをキーワードとして登録するようにすれば良い。ただし、キーワードを入力する作業は、通常の作業に加重された作業になるため、あまり長くないキーワードが望ましい。
【0033】
また、上記実施の形態では、無線タグに固有の固有無線IDを検索用IDとして使用したが、固有無線IDに限らず無線タグ22に別のIDをユーザエリアに書き込んでおくことにより、この別のIDを検索用IDとして使用しても良い。
【0034】
なお、本発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態における配達物検索システムの全体構成を示す図。
【図2】同実施の形態における棚の外観を示す斜視図。
【図3】同実施の形態における郵便物検索棚部を示す図。
【図4】同実施の形態における郵便物検索棚部の一部を示す図
【図5】同実施の形態における無線タグリーダの構成を示す図。
【図6】同実施の形態における無線タグ付きケースの斜視図。
【図7】同実施の形態における無線タグの要部構成を示す図。
【図8】同実施の形態におけるホストコンピュータの構成を示すブロック図。
【図9】同実施の形態における固有無線IDとお知らせ番号とキーワードとの関係を示すテーブルを示す図。
【符号の説明】
【0036】
10…郵便物検索棚部,11…ホストコンピュータ,13…無線タグ付きケース,14…収納部,15…発光ダイオード,21…無線タグ用アンテナ,31…無線タグリーダ,33…制御部,101,…,10n…棚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配達物を収納する無線タグ付きケースを収納する収納部を有し、各収納部に対して無線タグ用アンテナが配設される物品検索棚部を複数設けた棚と、
前記収納部に応じて配設された発光手段と、
前記無線タグ用アンテナから順次電波を出力させるスイッチング手段と、
このスイッチング手段により無線タグ用アンテナから前記無線タグに電波を出力することにより前記無線タグに検索用IDに対応付けられたキーワードが記憶されているかを検索する検索手段と、
この検索手段で検索した無線タグを有する無線タグ付きケースを収納する収納部に応じて配設された発光手段を発光させる発光制御手段とを具備することを特徴とする配達物検索システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−89241(P2006−89241A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−278324(P2004−278324)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】