説明

配電システム、および、配電制御方法

【課題】送電装置におけるパルス発生のタイミングと受電装置におけるパルス受信のタイミングとの同期をとる。
【解決手段】MERS受電装置500は、MERS受電装置500が必要とする電力量を示す電力量情報を、MERS直流パルスルータ400に送信する。MERS直流パルスルータ400は、受信された電力量情報に基づいて、MERS直流パルス変換器300が備える送電側スイッチの切替時刻と、MERS受電装置500が備える受電側スイッチの切替時刻と、を決定する。MERS直流パルス変換器300は、決定された送電側スイッチの切替時刻に基づいて、パルス電流を生成する。MERS受電装置500は、決定された受電側スイッチの切替時刻に基づいて、パルス電流を受信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電システム、および、配電制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気エネルギーを回生することが可能な低損失なスイッチとして、MERS(磁気エネルギー回生スイッチ:Magnetic Energy Recovery Switch)が知られている。このMERSを用いて、直流電圧源から交流電力を負荷に、あるいは、交流電圧源から直流電力を負荷に供給できる低損失な直流/交流電力変換装置が、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
この直流/交流電力変換装置は、MERSと、交流電源あるいは交流負荷と直列回路を形成し、MERSの交流端子間に接続された交流インダクタと、直流電源あるいは直流負荷と直列回路を形成し、MERSの直流端子間に接続された直流インダクタと、を備える。この直流/交流電力変換装置は、MERSの逆導通型半導体スイッチをオン・オフすることで、交流電源から二次電池を充電、または、二次電池から交流電力を負荷へ供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−193817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示されたMERSによれば、磁気エネルギーの回生を利用することで高周波パルス電流により電力を送電することができる。一方、このような高周波パルス電流送電方式においては、送電装置におけるパルス発生のタイミングと受電装置におけるパルス受信のタイミングとの同期をとる必要がある。
【0006】
しかしながら、例えば、送電装置と受電装置とが物理的に離れている場合、送電装置と受電装置との双方が、特定の発振器から出力される同一のタイミング信号を参照することなどにより同期をとることは困難である。このため、任意の場所に存在する送電装置と受電装置との間で高周波パルスにより電力を送受電する場合に、送電装置におけるパルス発生のタイミングと受電装置におけるパルス受信のタイミングとの同期を容易にとる技術が望まれている。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、任意の場所に存在する送電装置と受電装置との間で高周波パルスにより電力を送受電する場合に、送電装置におけるパルス発生のタイミングと受電装置におけるパルス受信のタイミングとの同期を容易にとるのに好適な配電システム、および、配電制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る配電システムは、
制御装置と送電装置と受電装置とを備える配電システムであって、
前記送電装置と前記受電装置とは、電力線を介して相互に接続され、
前記制御装置と前記送電装置と前記受電装置とは、相互に通信可能に接続され、
前記制御装置は、
前記受電装置が必要とする電力量を示す電力量情報を、前記受電装置から受信する制御側受信手段と、
前記受信された電力量情報に基づいて、前記送電装置が備える送電側スイッチの切替時刻と、前記受電装置が備える受電側スイッチの切替時刻と、を決定する切替時刻決定手段と、
前記決定された送電側スイッチの切替時刻を示す情報を、前記送電装置に送信するとともに、前記決定された受電側スイッチの切替時刻を示す情報を、前記受電装置に送信する制御側送信手段と、
前記送電装置は、
前記送信された送電側スイッチの切替時刻を示す情報を、前記制御装置から受信する送電側受信手段と、
現在時刻を取得する送電側時刻取得手段と、
前記送電側スイッチを有し、前記取得された現在時刻が前記受信された情報により示される送電側スイッチの切替時刻と一致するときに前記送電側スイッチの状態を切り替えることにより、パルス電流を生成するパルス電流生成手段と、を備え、
前記受電装置は、
前記受電装置が必要とする電力量を示す電力量情報を、前記制御装置に送信する受電側送信手段と、
前記送信された受電側スイッチの切替時刻を示す情報を、前記送電装置から受信する受電側受信手段と、
現在時刻を取得する受電側時刻取得手段と、
前記受電側スイッチを有し、前記取得された現在時刻が前記受信された情報により示される受電側スイッチの切替時刻と一致するときに前記受電側スイッチの状態を切り替えることにより、前記生成されたパルス電流を前記送電装置から受信するパルス電流受信手段と、を備える、
ことを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の第2の観点に係る配電システムは、
制御装置と送電装置と受電装置とを備える配電システムであって、
前記送電装置と前記受電装置とは、電力線を介して相互に接続され、
前記制御装置と前記送電装置と前記受電装置とは、相互に通信可能に接続され、
前記制御装置は、
前記送電装置が送電可能な電力量を示す電力量情報を、前記送電装置から受信する制御側受信手段と、
前記受信された電力量情報に基づいて、前記送電装置が備える送電側スイッチの切替時刻と、前記受電装置が備える受電側スイッチの切替時刻と、を決定する切替時刻決定手段と、
前記決定された送電側スイッチの切替時刻を示す情報を、前記送電装置に送信するとともに、前記決定された受電側スイッチの切替時刻を示す情報を、前記受電装置に送信する制御側送信手段と、
前記送電装置は、
前記送電装置が送電可能な電力量を示す電力量情報を、前記制御装置に送信する送電側送信手段と、
現在時刻を取得する送電側時刻取得手段と、
前記送信された送電側スイッチの切替時刻を示す情報を、前記制御装置から受信する送電側受信手段と、
前記送電側スイッチを有し、前記取得された現在時刻が前記受信された情報により示される送電側スイッチの切替時刻と一致するときに前記送電側スイッチの状態を切り替えることにより、パルス電流を生成するパルス電流生成手段と、を備え、
前記受電装置は、
前記送信された受電側スイッチの切替時刻を示す情報を、前記送電装置から受信する受電側受信手段と、
現在時刻を取得する受電側時刻取得手段と、
前記受電側スイッチを有し、前記取得された現在時刻が前記受信された情報により示される受電側スイッチの切替時刻と一致するときに前記受電側スイッチの状態を切り替えることにより、前記生成されたパルス電流を前記送電装置から受信するパルス電流受信手段と、を備える、
ことを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の第3の観点に係る配電制御方法は、
制御装置と送電装置と受電装置とを備える配電システムが実行する配電制御方法であって、
前記送電装置と前記受電装置とは、電力線を介して相互に接続され、
前記制御装置と前記送電装置と前記受電装置とは、相互に通信可能に接続され、
前記受電装置が、前記受電装置が必要とする電力量を示す電力量情報を、前記制御装置に送信する受電側送信ステップと、
前記制御装置が、前記受電装置が必要とする電力量を示す電力量情報を、前記受電装置から受信する制御側受信ステップと、
前記制御装置が、前記受信された電力量情報に基づいて、前記送電装置が備える送電側スイッチの切替時刻と、前記受電装置が備える受電側スイッチの切替時刻と、を決定する切替時刻決定ステップと、
前記制御装置が、前記決定された送電側スイッチの切替時刻を示す情報を、前記送電装置に送信するとともに、前記決定された受電側スイッチの切替時刻を示す情報を、前記受電装置に送信する制御側送信ステップと、
前記送電装置が、前記送信された送電側スイッチの切替時刻を示す情報を、前記制御装置から受信する送電側受信ステップと、
前記送電装置が、現在時刻を取得する送電側時刻取得ステップと、
前記送電装置が、前記取得された現在時刻が前記受信された情報により示される送電側スイッチの切替時刻と一致するときに前記送電側スイッチの状態を切り替えることにより、パルス電流を生成するパルス電流生成ステップと、
前記受電装置が、前記送信された受電側スイッチの切替時刻を示す情報を、前記送電装置から受信する受電側受信ステップと、
前記受電装置が、現在時刻を取得する受電側時刻取得ステップと、
前記受電装置が、前記取得された現在時刻が前記受信された情報により示される受電側スイッチの切替時刻と一致するときに前記受電側スイッチの状態を切り替えることにより、前記生成されたパルス電流を前記送電装置から受信するパルス電流受信ステップと、を備える、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、任意の場所に存在する送電装置と受電装置との間で高周波パルスにより電力を送受電する場合に、送電装置におけるパルス発生のタイミングと受電装置におけるパルス受信のタイミングとの同期を容易にとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る配電システムを示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る配電システムが扱う各種の情報について説明するための図である。
【図3】本発明の実施形態に係る配電システムが備えるMERS直流パルス変換器の物理的な構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る配電システムが備えるMERS直流パルスルータの物理的な構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に係る配電システムが備えるMERS受電装置の物理的な構成を示すブロック図である。
【図6】MERS受電装置にパルスが供給される様子を示す第1の図である。
【図7】MERS受電装置にパルスが供給される様子を示す第2の図である。
【図8】(a)は、給電タイミング変更前における、送電側スイッチの切替タイミングを示すタイミングチャートである。(b)は、給電タイミング変更前における、パルスの供給タイミングを示すタイミングチャートである。(c)は、給電タイミング変更前における、受電側スイッチの切替タイミングを示すタイミングチャートである。
【図9】(a)は、給電タイミング変更後における、送電側スイッチの切替タイミングを示すタイミングチャートである。(b)は、給電タイミング変更後における、パルスの供給タイミングを示すタイミングチャートである。(c)は、給電タイミング変更後における、受電側スイッチの切替タイミングを示すタイミングチャートである。
【図10】本発明の実施形態に係る配電システムが備えるMERSパルス生成回路の回路構成を示す回路図である。
【図11】本発明の実施形態に係る配電システムが備えるMERSパルス受信回路の回路構成を示す回路図である。
【図12】本発明の実施形態に係る配電システムが備えるMERS直流パルス変換器が実行するパルス生成処理を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施形態に係る配電システムが備えるMERS直流パルスルータが実行する配電制御処理を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施形態に係る配電システムが備えるMERS受電装置が実行するパルス受信処理を示すフローチャートである。
【図15】第1変形例に係る配電システムが備えるDC/DCコンバータの回路構成を示す回路図である。
【図16】第2変形例に係る配電システムが備えるDC/DCコンバータの回路構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る配電システムについて説明する。
【0014】
まず、図1を参照して、本実施形態に係る配電システムの構成について説明する。
【0015】
図1に示すように、配電システム1000は、リアクタンス補償器100と、AC(Alternation Current)/DC(Direct Current)コンバータ200と、MERS(磁気エネルギー回生スイッチ:Magnetic Energy Recovery Switch)直流パルス変換器300と、MERS直流パルスルータ400A及び400Bと、MERS受電装置500A〜500Dと、を備える。なお、以下の説明において、MERS直流パルスルータ400A及び400Bを、適宜、MERS直流パルスルータ400と呼び、MERS受電装置500A〜500Dを、適宜、MERS受電装置500と呼ぶ。
【0016】
リアクタンス補償器100は、商用電源としての商用交流送電系統2000からAC/DCコンバータ200に電力が供給される際のリアクタンスを補償する。
【0017】
AC/DCコンバータ200は、商用交流送電系統2000から供給される交流電力を直流電力に変換するための整流回路である。AC/DCコンバータ200は、生成した直流電力をMERS直流パルス変換器300に供給する。
【0018】
MERS直流パルス変換器300は、AC/DCコンバータ200から供給された直流電力に基づいて、パルス状の電流(以下「パルス電流」という。)を生成する。MERS直流パルス変換器300は、MERS直流パルスルータ400から供給される送電側タイミング情報に従ってMERSの状態を切り替えることにより、パルス電流を生成する。MERS直流パルス変換器300は、生成したパルス電流をMERS直流パルスルータ400に供給する。
【0019】
MERS直流パルスルータ400は、MERS直流パルス変換器300から供給されたパルス電流を、電力を要求したMERS受電装置500に供給する。MERS直流パルスルータ400は、例えば、PAM(パルス振幅変調:Pulse Amplitude Modulation)やPDM(パルス密度変調:Pulse Density Modulation)を備え、パルス電流の振幅を制御しながら、パルス電流を所望のMERS受電装置500に振り分けて供給する。また、MERS直流パルスルータ400は、MERS受電装置500から供給された電力量情報に基づいて、送電側タイミング情報と受電側タイミング情報とを生成する。MERS直流パルスルータ400は、生成した送電側タイミング情報をMERS直流パルス変換器300に供給し、生成した受電側タイミング情報をMERS受電装置500に供給する。
【0020】
MERS受電装置500は、必要とする電力量を示す電力量情報を生成し、MERS直流パルスルータ400に供給する。また、MERS受電装置500は、MERS直流パルスルータ400から供給される受電側タイミング情報に従ってMERSの状態を切り替えることにより、パルス電流を受信する。
【0021】
ここで、MERS直流パルス変換器300、MERS直流パルスルータ400、及び、MERS受電装置500は、いずれも、GPS(Global Positioning System)3000から供給される時刻情報に基づく現在時刻を基準にして動作する。
【0022】
このように、配電システム1000は、送電装置であるMERS直流パルス変換器300から、受電装置であるMERS受電装置500への電力の供給を、制御装置であるMERS直流パルスルータ400が制御するシステムである。
【0023】
次に、図2を参照して、配電システム1000が扱う各種の情報について説明する。
【0024】
電力量情報は、MERS受電装置500が必要とする電力量を示す情報である。電力量情報は、電力を必要とするMERS受電装置500により生成される。電力量情報は、電気通信網600を介して、MERS受電装置500からMERS直流パルスルータ400に供給される。なお、電気通信網600は、典型的には、インターネットである。
【0025】
ID情報は、電力を必要とするMERS受電装置500を特定する情報である。ID情報は、電気通信網600を介して、当該電力を必要とするMERS受電装置500からMERS直流パルスルータ400に供給される。
【0026】
送電側盗電情報は、盗電が発生している旨を示す情報であり、MERS直流パルス変換器300により生成される情報である。送電側盗電情報は、MERS直流パルス変換器300が盗電を検知したことに応答して、電気通信網600を介して、当該MERS直流パルス変換器300からMERS直流パルスルータ400に供給される。
【0027】
受電側盗電情報は、盗電が発生している旨を示す情報であり、MERS受電装置500により生成される情報である。受電側盗電情報は、MERS受電装置500が盗電を検知したことに応答して、電気通信網600を介して、当該MERS受電装置500からMERS直流パルスルータ400に供給される。
【0028】
送電側タイミング情報は、MERS直流パルス変換器300が備えるMERSの切替タイミングを示す情報である。送電側タイミング情報は、電力量情報に基づいてMERS直流パルスルータ400が生成する情報である。送電側タイミング情報は、電気通信網600を介して、MERS直流パルスルータ400からMERS直流パルス変換器300に供給される。
【0029】
受電側タイミング情報は、MERS受電装置500が備えるMERSの切替タイミングを示す情報である。受電側タイミング情報は、電力量情報に基づいてMERS直流パルスルータ400が生成する情報である。送電側タイミング情報は、電気通信網600を介して、MERS直流パルスルータ400からMERS受電装置500に供給される。
【0030】
時刻情報は、GPS3000から発信される信号に含まれる情報であって、現在時刻を表す情報である。時刻情報は、GPS3000からMERS直流パルス変換器300、MERS直流パルスルータ400およびMERS受電装置500のそれぞれに供給される。なお、図2は、GPS3000A、GPS3000BおよびGPS3000Cの3つのGPS3000のそれぞれから、MERS直流パルス変換器300、MERS直流パルスルータ400およびMERS受電装置500のそれぞれに、時刻情報が供給される例を示している。MERS直流パルス変換器300、MERS直流パルスルータ400およびMERS受電装置500のそれぞれは、例えば、受信した複数の時刻情報により示される複数の現在時刻の平均値を求めて、正確な現在時刻を求め、内部に備える時計モジュールの時刻を補正する。
【0031】
なお、MERS直流パルス変換器300により生成されたパルス電流は、電力線を介して、MERS直流パルスルータ400に供給される。また、MERS直流パルスルータ400に供給されたパルス電流は、電力線を介して、MERS受電装置500に供給される。
【0032】
次に、図3を参照して、本実施形態に係るMERS直流パルス変換器300の物理的な構成について説明する。
【0033】
図3に示すように、MERS直流パルス変換器300は、制御部310と、GPSモジュール320と、アンテナ321と、インターフェースカード330と、電力センサ340と、MERSパルス生成回路370と、を備える。MERS直流パルス変換器300が備えるこれらの構成は、バス390により相互に接続される。
【0034】
制御部310は、MERS直流パルス変換器300の全体の動作を制御する。制御部310は、例えば、CPU(Central Processing Unit)301と、ROM(Read Only Memory)302と、RAM(Random Access Memory)303と、を備える。
【0035】
CPU301は、MERS直流パルス変換器300の全体の動作を制御する。なお、CPU301は、ROM302に格納されているプログラムに従って動作し、RAM303をワークエリアとして使用する。つまり、CPU301とROM302とRAM303とが協働することにより制御部310を構成する。CPU301は、典型的には、MERSパルス生成回路370が備えるMERSの状態を切り替える処理を実行する。
【0036】
ROM302には、MERS直流パルス変換器300の全体の動作を制御するためのプログラムやデータが記憶される。
【0037】
RAM303は、CPU301のワークエリアとして機能する。つまり、CPU301は、RAM303にプログラムやデータを一時的に書き込み、これらのプログラムやデータを適宜参照する。
【0038】
アンテナ321は、GPS3000から発せられた、時刻情報を含む信号を受信する。
【0039】
GPSモジュール320は、アンテナ321により受信された信号に基づいて、現在時刻を取得する。GPSモジュール320は、例えば、複数のGPS3000から取得された複数の時刻情報により示される複数の現在時刻の平均をとることにより、正確な現在時刻を算出する。GPSモジュール320は、例えば、時計として機能するRTC(Real Time Clock)を備え、算出された正確な現在時刻に基づいて、当該時計の時刻を補正する。
【0040】
インターフェースカード330は、MERS直流パルス変換器300を電気通信網600に接続するためのネットワークカードである。制御部310は、インターフェースカード330を介して、MERS直流パルスルータ400やMERS受電装置500と通信する。
【0041】
電力センサ340は、MERSパルス生成回路370により生成されたパルス電流により消費された電力を検出する。制御部310は、例えば、電力センサ340により検出された電力の値から、予測される電力の値を減じた値が、あらかじめ定められた閾値以上であることを検知した場合、送電側盗電情報を生成する。制御部310は、生成した送電側盗電情報を、インターフェースカード330を介して、MERS直流パルスルータ400に供給する。
【0042】
MERSパルス生成回路370は、制御部310の指示に従って、自己が備えるMERSの状態を切り替えることにより、パルス電流を生成する。MERSパルス生成回路370の具体的な構成は、後述する。
【0043】
次に、図4を参照して、本実施形態に係るMERS直流パルスルータ400の物理的な構成について説明する。
【0044】
図4に示すように、MERS直流パルスルータ400は、制御部410と、GPSモジュール420と、アンテナ421と、インターフェースカード430と、フラッシュROM450と、PAM470と、PDM480と、を備える。MERS直流パルスルータ400が備えるこれらの構成は、バス490により相互に接続される。
【0045】
制御部410は、MERS直流パルスルータ400の全体の動作を制御する。制御部410は、例えば、CPU401と、ROM402と、RAM403と、を備える。
【0046】
CPU401は、MERS直流パルスルータ400の全体の動作を制御する。なお、CPU401は、ROM402に格納されているプログラムに従って動作し、RAM403をワークエリアとして使用する。つまり、CPU401とROM402とRAM403とが協働することにより制御部410を構成する。CPU401は、典型的には、電力量情報に基づいて、送電側タイミング情報と受電側タイミング情報とを生成する処理を実行する。
【0047】
ROM402には、MERS直流パルスルータ400の全体の動作を制御するためのプログラムやデータが記憶される。
【0048】
RAM403は、CPU401のワークエリアとして機能する。つまり、CPU401は、RAM403にプログラムやデータを一時的に書き込み、これらのプログラムやデータを適宜参照する。
【0049】
アンテナ421は、GPS3000から発せられた、時刻情報を含む信号を受信する。
【0050】
GPSモジュール420は、アンテナ421により受信された信号に基づいて、現在時刻を取得する。GPSモジュール420は、例えば、複数のGPS3000から取得された複数の時刻情報により示される複数の現在時刻の平均をとることにより、正確な現在時刻を算出する。GPSモジュール420は、例えば、時計として機能するRTCを備え、算出された正確な現在時刻に基づいて、当該時計の時刻を補正する。
【0051】
インターフェースカード430は、MERS直流パルスルータ400を電気通信網600に接続するためのネットワークカードである。制御部410は、インターフェースカード430を介して、MERS直流パルス変換器300やMERS受電装置500と通信する。
【0052】
フラッシュROM450は、MERS受電装置500を特定するID情報と、当該MERS受電装置500が記憶している復号鍵に対応する暗号鍵と、を対応づけて記憶する。一方、制御部410は、MERS受電装置500から電力量情報とID情報とが受信されたことに応答して、送電側タイミング情報と受電側タイミング情報とを生成する。そして、制御部410は、生成した送電側タイミング情報を、インターフェースカード430を介して、MERS直流パルス変換器300に送信する。また、制御部420は、生成した受電側タイミング情報を、受信されたID情報に対応付けられてフラッシュROM450に記憶されている暗号鍵で暗号化し、暗号化された受電側タイミング情報を、インターフェースカード430を介して、当該ID情報により特定されるMERS受電装置500に送信する。
【0053】
PAM470は、MERS受電装置500から供給された電力量情報に基づいて、MERS直流パルス変換器300から供給されたパルス電流の振幅を調整し、振幅が調整後のパルス電流を当該MERS受電装置500に供給する。なお、パルス電流の振幅を調整する手法は、任意である。例えば、PAM470は、1つのパルス電流を同時に複数のMERS受電装置500に供給することにより、パルス電流の振幅を減衰させることができる(パルス電流は定電圧であることが好ましい。定電圧であれば、電力量と電流量が比例する。)。或いは、PAM470は、MERS直流パルス変換器300からパルス電流が供給されている途中で当該パルス電流をカットし、MERS受電装置500への供給を停止することで、パルス電流の振幅を減衰させることができる。或いは、MERS直流パルス変換器300でパルス電流の振幅を減衰させてもよい。
【0054】
PDM480は、MERS受電装置500から供給された電力量情報に基づいて、MERS直流パルス変換器300から供給されたパルス電流の個数を調整し、個数が調整後のパルス電流を当該MERS受電装置500に供給する。なお、パルス電流の個数を調整する手法は、任意である。例えば、PDM480は、MERS直流パルス変換器300から供給されたパルス電流のうち、あらかじめ定められたパルス電流以外のパルス電流をカットすることにより、パルス電流の個数を調整することができる。また、MERSパルス直流パルス変換器300の発生するパルス電流の個数を調整してもよい。なお、例えば、乗り物内の配電システムなど盗電の可能性が低い場合、PDM480は、パルス電流の個数を調整しなくてもよい。かかる場合でも、受信側タイミング情報に適切な個数のパルス電流のみがMERS受電装置500により受信される。
【0055】
次に、図5を参照して、本実施形態に係るMERS受電装置500の物理的な構成について説明する。
【0056】
図5に示すように、MERS受電装置500は、制御部510と、GPSモジュール520と、アンテナ521と、インターフェースカード530と、電力センサ540と、フラッシュROM550と、MERSパルス受信回路570と、二次電池580と、を備える。MERS受電装置500が備えるこれらの構成は、バス590により相互に接続される。
【0057】
制御部510は、MERS受電装置500の全体の動作を制御する。制御部510は、例えば、CPU501と、ROM502と、RAM503と、を備える。
【0058】
CPU501は、MERS受電装置500の全体の動作を制御する。なお、CPU501は、ROM502に格納されているプログラムに従って動作し、RAM503をワークエリアとして使用する。つまり、CPU501とROM502とRAM503とが協働することにより制御部510を構成する。CPU501は、典型的には、MERSパルス受信回路570が備えるMERSの状態を切り替える処理を実行する。
【0059】
ROM502には、MERS受電装置500の全体の動作を制御するためのプログラムやデータが記憶される。
【0060】
RAM503は、CPU501のワークエリアとして機能する。つまり、CPU501は、RAM503にプログラムやデータを一時的に書き込み、これらのプログラムやデータを適宜参照する。
【0061】
アンテナ521は、GPS3000から発せられた、時刻情報を含む信号を受信する。
【0062】
GPSモジュール520は、アンテナ521により受信された信号に基づいて、現在時刻を取得する。GPSモジュール520は、例えば、複数のGPS3000から取得された複数の時刻情報により示される複数の現在時刻の平均をとることにより、正確な現在時刻を算出する。GPSモジュール520は、例えば、時計として機能するRTCを備え、算出された正確な現在時刻に基づいて、当該時計の時刻を補正する。
【0063】
インターフェースカード530は、MERS受電装置500を電気通信網600に接続するためのネットワークカードである。制御部510は、インターフェースカード530を介して、MERS直流パルス変換器300やMERS直流パルスルータ400と通信する。
【0064】
電力センサ540は、MERSパルス受信回路570により受信されたパルス電流により消費された電力を検出する。制御部510は、例えば、予測される電力の値から、電力センサ540により検出された電力の値を減じた値が、あらかじめ定められた閾値以上であることを検知した場合、受電側盗電情報を生成する。制御部510は、生成した受電側盗電情報を、インターフェースカード530を介して、MERS直流パルスルータ400に供給する。
【0065】
フラッシュROM550は、自己(MERS受電装置500)を特定するID情報と、自己に対応付けられた復号鍵と、を記憶する。一方、制御部510は、電力を取得することの要求があると判別すると、電力量情報を生成する。そして、制御部510は、生成した電力量情報とフラッシュROM550に記憶されているID情報とを、インターフェースカード530を介して、MERS直流パルスルータ400に送信する。また、制御部510は、MERS直流パルスルータ400から受信側タイミング情報が受信されたことに応答して、フラッシュROM550に記憶されている復号鍵を用いて、当該受信側タイミング情報を復号化する。そして、制御部510は、復号化した受信側タイミング情報に基づいて、MERSパルス受信回路570が備えるMERSを切り替え、パルス電流を受信する。
【0066】
MERSパルス受信回路570は、制御部510の指示に従って、自己(MERS受電装置500)が備えるMERSの状態を切り替えることにより、パルス電流を受信する。MERSパルス受信回路570の具体的な構成は、後述する。
【0067】
二次電池580は、MERSパルス受信回路570により受信された電流パルスに基づく電力を蓄積する。二次電池580として、例えば、鉛二次電池やリチウムイオン二次電池を採用することができる。
【0068】
次に、図6および図7を参照して、MERS直流パルスルータ400が、MERS直流パルス変換器300から供給されたパルス電流を調整して、MERS受電装置500に分配する手法について説明する。なお、ここでは、理解を容易にするため、パルス電流が調整される例のみを示すが、パルス電圧もパルス電流と同様に調整される。
【0069】
まず、パルス電流が供給される装置は、MERS受電装置500AとMERS受電装置500Bとの2つであり、パルス電流を供給する装置は、MERS直流パルス変換器300の1つであり、パルス電流の供給を中継する装置は、MERS直流パルスルータ400の1つであるものとする。また、MERS直流パルス変換器300により生成されるパルス電流は、いずれも、振幅の大きさが互いに同じであり、互いに同じ電力を発生することができるものとする。そして、MERS受電装置500Aが必要とする電力とMERS受電装置500Bが必要とする電力とは、全て、MERS直流パルス変換器300により生成されるパルス電流により賄われるものとする。つまり、MERS受電装置500Aが必要とする電力量とMERS受電装置500Bが必要とする電力量との和は、MERS直流パルス変換器300により生成されるパルス電流のそれぞれにより発生する電力量の和以下である。
【0070】
ここで、MERS受電装置500Aは、パルス電流2.5個分の電力を必要としており、MERS受電装置500Bは、パルス電流1.7個分の電力を必要としているものとする。一方、MERS直流パルス変換器300は、5個のパルス電流(パルス電流P1〜P5)を生成する。なお、MERS直流パルス変換器300から、パルス電流P1→パルス電流P2→パルス電流P3→パルス電流P4→パルス電流P5の順序で、パルス電流がMERS直流パルスルータ400に供給されるものとする。また、図6および図7は、MERS直流パルス変換器300が、5個のパルス電流を生成した様子を模式的に示す図であり、生成した5個のパルス電流がMERS直流パルスルータ400に実際に供給されることを意味する図ではない。
【0071】
MERS直流パルスルータ400は、例えば、図6に示すように、パルス電流P1をMERS受電装置500Aに供給し、パルス電流P2をMERS受電装置500Bに供給し、パルス電流P3をMERS受電装置500Aに供給する。そして、MERS直流パルスルータ400は、例えば、電力が0.7倍になるようにパルス電流P4を減衰し、減衰により得られたパルス電流P4BをMERS受電装置500Bに供給する。また、MERS直流パルスルータ400は、例えば、電力が0.5倍になるようにパルス電流P5を減衰し、減衰により得られたパルス電流P5AをMERS受電装置500Aに供給する。
【0072】
なお、MERS直流パルスルータ400がパルス電流P4Bを減衰する手法は、任意である。例えば、PAM470が、パルス電流P4により発生する電力量の累積値を検出し、検出された電力量がパルス電流1個により発生する電力量の0.7倍に到達したことに応答して、パルス電流P4BのMERS受電装置500Bへの供給を遮断することができる。同様に、PAM470が、パルス電流P5により発生する電力量の累積値を検出し、検出された電力量がパルス電流1個により発生する電力量の0.5倍に到達したことに応答して、パルス電流P5AのMERS受電装置500Aへの供給を遮断することができる。
【0073】
なお、パルス電流P4Bによる電力量が、パルス電流1個により発生する電力量の0.7倍になるように受信側タイミング情報が生成される場合、PAM470はパルス電流P4を途中で遮断しなくてもよい。同様に、パルス電流P5Aによる電力量が、パルス電流1個により発生する電力量の0.5倍になるように受信側タイミング情報が生成される場合、PAM470はパルス電流P5を途中で遮断しなくてもよい。
【0074】
次に、MERS受電装置500Aは、パルス電流2.5個分の電力を必要としており、MERS受電装置500Bは、パルス電流2.5個分の電力を必要としているものとする。一方、MERS直流パルス変換器300は、5個のパルス電流(パルス電流P1〜P5)を生成する。なお、MERS直流パルス変換器300から、パルス電流P1→パルス電流P2→パルス電流P3→パルス電流P4→パルス電流P5の順序で、パルス電流がMERS直流パルスルータ400に供給されるものとする。
【0075】
この場合、MERS直流パルスルータ400は、例えば、図7に示すように、パルス電流P1をMERS受電装置500Aに供給し、パルス電流P2をMERS受電装置500Bに供給し、パルス電流P3をMERS受電装置500Aに供給し、パルス電流P4をMERS受電装置500Bに供給する。そして、MERS直流パルスルータ400は、例えば、パルス電流P5を分配して、MERS受電装置500AとMERS受電装置500Bとの双方に同時に供給する。この場合、パルス電流P5の0.5倍の電力を発生させるパルス電流P5AがMERS受電装置500Aに供給されるとともに、パルス電流P5の0.5倍の電力を発生させるパルス電流P5BがMERS受電装置500Bに供給される。
【0076】
このように、パルス電流を分配して、複数個のMERS受電装置500に同時に供給することにより、複数個のMERS受電装置500のそれぞれに供給されるパルス電流が減衰されるようにしてもよい。
【0077】
次に、図8と図9とを参照して、盗電を防止する手法について説明する。
【0078】
まず、盗電は、例えば、電力の供給対象であるMERS受電装置500(以下、適宜「正当なMERS受電装置500」という。)に供給する予定の電流パルスを、電力を供給対象でないMERS受電装置500(以下、適宜「正当でないMERS受電装置500」という。)が受信することをいう。なお、MERS受電装置500が電力の供給対象であるか否かは、例えば、電流パルスが供給される前に契約によりあらかじめ定められているものとする。
【0079】
ここで、正当でないMERS受電装置500が、受信側スイッチの切替タイミングを認識した場合、盗電が可能となる。例えば、正当でないMERS受電装置500が、受信側スイッチの切替タイミングを示す受信側タイミング情報を、不正な手段により入手した場合、盗電が可能となる。従って、配電システム1000は、盗電が発生していることを検知した場合、受信側スイッチの切替タイミングを変更することで、さらなる盗電を防止することができる。
【0080】
図8(A)は、送電側スイッチの切替タイミング変更前における、送電側スイッチの状態を示すタイミングチャートである。
【0081】
図8(a)に示す例では、送電側スイッチは、t11までOFF、t11〜t14までON、t14〜t21までOFF、t21〜t24までON、t24〜t31までOFF、t31〜t34までONである。なお、送電側スイッチの状態は、送電側タイミング情報に基づいて制御される。また、送電側スイッチは、MERSパルス発生回路370が備えるMERSである。
【0082】
一方、図8(b)は、送電側スイッチの切替タイミング変更前における、生成された電流を示すタイミングチャートである。なお、図8(b)は、MERS直流パルス変換器300が発生させた電流を模式的に示す図であり、MERS直流パルスルータ400に実際に電流が供給されたことを意味する図ではない。
【0083】
図8(b)に示す例では、t11に送電側スイッチ及び受電側スイッチがONになることで電流が流れ始める(磁気エネルギーが蓄積され始める)。t12に受電側スイッチが先にOFFされることで電流は減少する(受電が開始する)。そしてt13で電流は0になる(送電が完了する)。また、t13〜t21まで電流量は0を維持する。再び、送電側スイッチ及び受電側スイッチがONになるt21から電流は流れ始める。以後、この動作を、MERS直流パルスルータ400から供給された送電側タイミング情報及び受電側タイミング情報に従って繰り返す。
【0084】
また、図8(c)は、送電側スイッチの切替タイミング変更前における、受電側スイッチの状態を示すタイミングチャートである。
【0085】
図8(c)に示す例では、受電側スイッチは、t11までOFF、t11〜t12までON、t12〜t21までOFF、t21〜t22までON、t22〜t31までOFF、t31〜t32までON、t32以降OFFである。なお、受電側スイッチの状態は、受電側タイミング情報に基づいて制御される。また、受電側スイッチは、MERSパルス受信回路570が備えるMERSである。
【0086】
ここで、送電側スイッチの切替タイミングと受電側スイッチの切替タイミングとは、基本的に、パルス電流がMERS直流パルス変換器300からMERS受電装置500に効率よく供給されるように設定される。
【0087】
上述したように、正規の契約者でない者(以下、適宜「盗電者」という。)でも、受電可能な時間帯を知っている場合、正当でないMERS受電装置500を使用して、受電側スイッチをONすることで電流を導通させ、パルス電流が発生している間に受電側スイッチをOFFにすることで盗電することができる。従って、配電システム1000は、盗電者による盗電を防止するために、所定の条件が満たされた場合(例えば負荷の抵抗が変わる、正規需要者への送電量と受電量が合わない、電流のピーク値が理論値と合わない等の場合)、送電側スイッチの切替タイミング及び受電側スイッチの切替タイミングを変更し、受電可能な時間帯を変更することにより、正当でないMERS受電装置500による受電を防止する。また、配電システム1000は、新たな受電側タイミング情報(変更後の送電側スイッチの切替タイミングに対応する、変更後の受電側スイッチの切替タイミングを示す情報)を正規の契約者が使用している正当なMERS受電装置500に供給し、当該正当なMERS受電装置500による受電を可能とする。
【0088】
かかる構成によれば、正規の契約者が使用している正当なMERS受電装置500が新たな受電側タイミング情報に従ってMERSを切り替えることにより、当該正当なMERS受電装置500による受電が可能となる。一方、盗電者が使用している正当でないMERS受電装置500は、MERSの切り替えタイミングを知ることができないため、当該正当でないMERS受電装置500による盗電は難しくなる。
【0089】
なお、送電側スイッチの切替タイミング及び受電側スイッチの切替タイミングを変更する条件は、適宜、調整が可能である。例えば、盗電が検知されること、現在時刻があらかじめ定められた時刻になることなどを、切り替えタイミングを変更する条件とすることができる。なお、盗電は、MERS直流パルス変換器300、MERS直流パルスルータ400もしくはMERS受電装置500のいずれにより検知されてもよい。
【0090】
図9(a)は、送電側スイッチの切替タイミング変更後における、送電側スイッチの状態を示すタイミングチャートである。
【0091】
図9(a)に示す例では、送電側スイッチは、t12までOFF、t12〜t16までON、t16〜t22までOFF、t22〜t26までON、t26〜t32までOFF、t32以降ONである。
【0092】
一方、図9(b)は、送電側スイッチの切替タイミング変更後における、生成された電流を示すタイミングチャートである。
【0093】
図9(b)に示す例では、送電側スイッチから流れる電流をしめす。電流は、t12まで0を維持し、t12〜t13までIpeakに向かって増加し、t13〜t15まで0に向かって減少し、t15〜t22まで0を維持し、t22〜t23までIpeakに向かって増加し、t23〜t25まで0に向かって減少し、t25〜t32まで0を維持し、t32〜t33までIpeakに向かって増加し、t33以降0に向かって減少する。この例は、盗電者は、ONの正しいタイミングがわからないため、盗電しようとする受電側スイッチに流れる電流はない。仮に、電流が発生しうるタイミングでONできたとしてもOFFの正確な時間がわからないため、効率よく受電することは難しい。
【0094】
また、図9(c)は、送電側スイッチの切替タイミング変更後における、受電側スイッチの状態を示すタイミングチャートである。なお、受電側スイッチの切替タイミングは、送電側スイッチの切替タイミングの変更の前後で変更されないものとする。
【0095】
図9(c)に示す例では、受電側スイッチは、t11までOFF、t11〜t12までON、t12〜t21までOFF、t21〜t22までON、t22〜t31までOFF、t31〜t32までON、t32以降OFFである。
【0096】
ここで、送電側スイッチの切替タイミング変更後では、受電可能な時間帯は、t12〜t15、t22〜t25、t32以降となる。この時間帯に、受電側スイッチをON・OFFすることが不可欠である。一方、盗電者が使用している正当でないMERS受電装置500は、この受電可能な時間帯に受電側スイッチをON・OFFするように受電側スイッチの切替タイミングを変更するすべがないため、盗電することができなくなる。
【0097】
次に、図10〜図11を参照して、MERSパルス生成回路370とMERSパルス受信回路570とについて詳細に説明する。なお、理解を容易にするため、MERSパルス生成回路370とMERSパルス受信回路570に接続される電源及び負荷を、それぞれ二次電池であるとして説明する。
【0098】
図10に示すように、MERSパルス生成回路370は、MERS380と、高周波トランスRFTと、Ldc11と、Ldc21と、を備える。
【0099】
MERS380は、ゲートGV1により状態が制御される逆導通型半導体スイッチSWV1と、ゲートGX1により状態が制御される逆導通型半導体スイッチSWX1と、を備える。
【0100】
高周波トランスRFTは、一次コイルL1と、二次コイルL2と、漏れインダクタンスLM1及びLM2と、から構成されている。
【0101】
一次コイルL1と二次コイルL2とは電磁的に接続される。
漏れインダクタンスLM1及びLM2は、一次コイルL1と二次コイルL2との結合における漏れインダクタンスである。なお、図中の一次コイルL1、二次コイルL2、及び漏れインダクタンスLM1及びLM2はトランス結合の簡単なモデルである。
【0102】
漏れインダクタンスLM1は、一端が一次コイルL1の一端に、他端がMERS380の端子AC21に接続される。漏れインダクタンスLM2は、一端が二次コイルL2の一端に、他端がMERS580の端子AC21に接続される。
一次コイルL1の他端は、MERS380の端子AC11に接続される。二次コイルL2の他端は、MERS580の端子AC22に接続される。
ただし、実際には、漏れインダクタンスLM1及びLM2が存在するわけでは無く、一次コイルL1の一端が端子AC21に、二次コイルL2の一端が端子AC12に接続される。
【0103】
このように、本実施形態では、高周波トランスRFTを介してMERS380とMERS580とを絶縁接続する。
【0104】
なお、漏れインダクタンスLM1及び漏れインダクタンスLM2に更に、インダクタを接続してもよい。
【0105】
制御部310は、送電側タイミング情報に従って、ゲートGV1を制御する信号とゲートGX1を制御する信号とを生成する。
【0106】
MERSパルス生成回路370は、逆導通型半導体スイッチSWV1及びSWX1がONになることで、コンデンサCM1に蓄積されている電力を端子AC21からトランスRFTを介して端子AC11に放電する。これによって、コンデンサCM1に蓄積されていた静電エネルギーが、トランスRFTの漏れインダクタンスLM1及びLM2に磁気エネルギーとして蓄積される。
【0107】
一方、図11に示すように、MERSパルス受信回路570は、MERS580と、Ldc12と、Ldc22と、を備える。
【0108】
MERS580は、ゲートGV2により状態が制御される逆導通型半導体スイッチスイッチSWV2と、ゲートGX2により状態が制御される逆導通型半導体スイッチSWX2と、を備える。
【0109】
制御部510は、受電側タイミング情報に従って、ゲートGV2を制御する信号とゲートGX2を制御する信号とを生成する。
【0110】
MERSパルス受信回路570は、逆導通型半導体スイッチSWV2及びSWX2をONすることで、トランスRFTを介してMERSパルス生成回路370から流れる電流を、その回路内に導通させる。ここで、MERSパルス受信回路570の逆導通型半導体スイッチSWV2及びSWX2をOFFすると、回路内の電流が、コンデンサCM2に蓄積される。
【0111】
このように、制御部310及び510は、コンデンサCM1に蓄積されていた静電エネルギーを放電させて高周波トランスRFTに磁気エネルギーとして蓄積させ、高周波トランスRFTに蓄積されていた磁気エネルギーを、受電側のコンデンサすなわちコンデンサCM2に静電エネルギーとして蓄積させるように、MERS380及び580を制御する。
【0112】
次に、図12に示すフローチャートを用いて、MERS直流パルス変換器300が実行するパルス生成処理について説明する。MERS直流パルス変換器300は、電源が投入されると、図12に示すパルス生成処理を実行する。
【0113】
まず、CPU301は、送電側タイミング情報を受信したか否かを判別する(ステップS101)。具体的には、CPU301は、電気通信網600を介してMERS直流パルスルータ400から送電側タイミング情報がインターフェースカード330に供給されたか否かを判別する。
【0114】
なお、MERS直流パルス変換器300が送電側タイミング情報を受信することは、MERS受電装置500からMERS直流パルスルータ400に対して電力供給要求がなされ、送電側タイミング情報と受電側タイミング情報とが生成されたこと、あるいは、MERS直流パルスルータ400が盗電情報を受信するなどして、送電側タイミング情報と受電側タイミング情報とが更新されたことを意味する。
【0115】
CPU301は、送電側タイミング情報を受信したと判別すると(ステップS101:YES)、受信された送電側タイミング情報に基づいて、送電側スイッチの切替時刻を更新する(ステップS102)。送電側スイッチの切替時刻は、例えば、RAM303に記憶される。送電側スイッチの切替時刻は、どのような形式で記憶されても良い。
【0116】
例えば、図8に示す例において、送電側スイッチの切替時刻は、t11、t14、t21、t24、t31、t34、・・・というように、送電側スイッチをOFFからONする時刻もしくは送電側スイッチをONからOFFする時刻を列挙する形式で、RAM303に記憶される。あるいは、送電側スイッチの切替時刻は、t11、t21、t31、・・・というように、送電側スイッチをOFFからONする時刻を列挙するとともに、t14、t24、t34、・・・というように、送電側スイッチをONからOFFする時刻を列挙する形式で、RAM303に記憶される。
【0117】
また、送電側スイッチの切替時刻は、(t14−t11)、(t21−t14)、(t24−t21)、(t31−t24)、(t34−t31)、・・・というように、前回送電側スイッチを切り替えてから次に送電側スイッチを切り替えるまでの時間を列挙する形式で、RAM303に記憶されてもよい。この場合、送電側スイッチの最初の切替時刻として、t11が別途記憶される。
【0118】
あるいは、送電側スイッチの切替時刻の間隔があらかじめ定められている場合、送電側スイッチの最初の切替時刻と、当該間隔と、がRAM303に記憶されていてもよい。例えば、t11と、(t14−t11)と、(t21−t14)と、がRAM303に記憶される。
【0119】
CPU301は、送電側タイミング情報を受信していないと判別した場合(ステップS101:NO)、もしくは、ステップS102の処理を完了した場合、現在時刻を取得する(ステップS103)。CPU301は、例えば、GPSモジュール320から現在時刻を取得する。一方、GPSモジュール320は、例えば、常時、複数のGPS3000から取得される複数の時刻情報により示される複数の現在時刻の平均を算出するなどして、現在時刻を求める。GPSモジュール320は、求めた現在時刻に基づいて、内部の時計の時刻を補正し、常に、正確な現在時刻を供給可能な状態を維持する。
【0120】
CPU301は、ステップS103の処理を完了すると、ステップS103において取得された現在時刻が、RAM303に記憶されている送電側スイッチの切替時刻であるか否かを判別する(ステップS104)。
【0121】
CPU301は、現在時刻が送電側スイッチの切替時刻であると判別すると(ステップS104)、送電側スイッチの状態を切り替える(ステップS105)。つまり、CPU301は、送電側スイッチがONである場合、送電側スイッチをOFFに切り替え、送電側スイッチがOFFである場合、送電側スイッチをONに切り替える。
【0122】
CPU301は、現在時刻が送電側スイッチの切替時刻でないと判別した場合(ステップS104:NO)、もしくは、ステップS105の処理を完了した場合、電力センサ340から電力情報を取得する(ステップS106)。なお、電力情報は、例えば、MERSパルス生成回路370により生成されたパルス電流により消費されている電力である。
【0123】
CPU301は、ステップS106の処理を終了すると、ステップS106において取得された電力情報に基づいて、盗電があるか否かを判別する(ステップS107)。盗電があるか否かを判別する手法は、適宜、調整することが可能である。例えば、取得された電力情報により示される消費電力が、想定される消費電力よりも所定の閾値以上高い場合、盗電があると判別される。この判別方法は、正当でないMERS受電装置500にパルス電流が供給されることにより、想定される消費電力よりも大幅に高い電力が消費されてしまうことに基づく。
【0124】
なお、MERS直流パルス変換器300が、送電側タイミング情報に基づいて、想定される消費電力を求めてもよい。あるいは、MERS直流パルスルータ400が、電力量情報に基づいて、想定される消費電力を求め、求めた想定される消費電力を示す情報を、MERS直流パルス変換器300に供給してもよい。想定される消費電力を示す情報は、例えば、あらかじめRAM303に記憶されているものとする。
【0125】
CPU301は、盗電があると判別した場合(ステップS107:YES)、盗電情報を送信する(ステップS108)。具体的には、CPU301は、例えば、インターフェースカード330を制御して、電気通信網600を介して、MERS直流パルスルータ400に盗電情報を送信する。盗電情報は、どのようなものであってもよい。例えば、盗電情報は、盗電が検知されたことのみを示す情報であってもよい。あるいは、盗電情報は、想定される消費電力や測定された消費電力などが含まれた情報であってもよい。
【0126】
CPU301は、盗電がないと判別した場合(ステップS107:NO)、もしくは、ステップS108の処理を終了した場合、ステップS101に処理を戻す。
【0127】
MERS直流パルス変換器300は、以上説明したようなパルス生成処理を実行することにより、送信側タイミング情報に従ったパルス電流を生成する。
【0128】
次に、図13に示すフローチャートを用いて、MERS直流パルスルータ400が実行する配電制御処理について説明する。MERS直流パルスルータ400は、電源が投入されると、図14に示す配電制御処理を実行する。
【0129】
まず、CPU401は、現在時刻を取得する(ステップS201)。CPU401は、例えば、GPSモジュール420から現在時刻を取得する。一方、GPSモジュール420は、例えば、常時、複数のGPS3000から取得される複数の時刻情報により示される複数の現在時刻の平均を算出するなどして、現在時刻を求める。GPSモジュール420は、求めた現在時刻に基づいて、内部の時計の時刻を補正し、常に、正確な現在時刻を供給可能な状態を維持する。
【0130】
CPU401は、ステップS201の処理を終了すると、電力量情報とID情報とを受信したか否かを判別する(ステップS202)。具体的には、CPU401は、電気通信網600を介してMERS受信装置500から電力量情報とID情報とがインターフェースカード430に供給されたか否かを判別する。
【0131】
CPU401は、電力量情報とID情報とを受信していないと判別すると(ステップS202)、盗電情報を受信したか否かを判別する(ステップS203)。具体的には、CPU401は、電気通信網600を介してMERS直流パルス変換器300もしくはMERS受信装置500から盗電情報がインターフェースカード430に供給されたか否かを判別する。
【0132】
CPU401は、盗電情報を受信していないと判別すると(ステップS203)、タイミング情報更新時刻である否かを判別する(ステップS204)。具体的には、CPU401は、ステップS201において取得した現在時刻が、あらかじめ定められたタイミング情報更新時刻であるか否かを判別する。なお、タイミング情報更新時刻は、例えば、盗電を防止するために送電側タイミング情報および受電側タイミング情報を更新する時刻であり、一定間隔で到来する時刻である。タイミング情報更新時刻は、例えば、1分毎に到来する時刻、1時間毎に到来する時刻、1日毎に到来する時刻とすることができる。タイミング情報更新時刻を示す情報は、例えば、ROM402、RAM403もしくはフラッシュROM450に記憶される。
【0133】
CPU401は、電力量情報とID情報とを受信したと判別した場合(ステップS202:YES)、盗電情報を受信したと判別した場合(ステップS203:YES)、もしくは、タイミング情報更新時刻であると判別した場合(ステップS204:YES)、タイミング情報を生成する(ステップS205)。ここで、タイミング情報は、送電側タイミング情報と受電側タイミング情報とである。また、タイミング情報を生成するとは、タイミング情報を新規に生成することのほか、タイミング情報を更新することを含む。なお、電力量情報とID情報とを受信したと判別された場合、タイミング情報が新規に生成される。一方、盗電情報を受信したと判別された場合、もしくは、タイミング情報更新時刻であると判別された場合、タイミング情報が更新される。
【0134】
CPU401は、MERS直流パルスルータ400がMERS受電装置500から受信した電力量情報に従って、タイミング情報を生成する。CPU401は、複数個のMERS受電装置500から電力量情報を受信した場合、受信した複数個の電力量情報に従って、タイミング情報を生成する。なお、タイミング情報は、所定の大きさの電力の供給を求めるMERS受電装置500に、当該所定の大きさの電力が供給されるように生成される。
【0135】
例えば、図8に示す例では、t11でON、t14でOFF、t21でON、t24でOFF、t31でON、t34でOFF、・・・を示す送電側タイミング情報ならびに受電側タイミング情報が生成される。
【0136】
CPU401は、ステップS205の処理を完了すると、タイミング情報を暗号化する(ステップS206)。なお、送電側タイミング情報よりも受電側タイミング情報のほうが、盗電者により取得されることにより盗電される可能性が高くなると考えられる。従って、本実施形態では、送電側タイミング情報が暗号化されず、受電側タイミング情報が暗号化されるものとする。
【0137】
なお、受電側タイミング情報は、当該受電側タイミング情報が供給されるMERS受電装置500を特定するID情報に対応付けられてフラッシュROM450に記憶されている暗号鍵により暗号化される。なお、受電側タイミング情報が供給されるMERS受電装置500は、電力量情報をMERS直流パルスルータ400に供給したMERS受電装置500である。また、当該暗号鍵により暗号化された情報は、当該暗号鍵に対応する復号鍵であって、当該MERS受電装置500により記憶されている復号鍵により復号化が可能である。かかる構成によれば、仮に受電側タイミング情報が正当なMERS受電装置500以外の装置により盗まれるような場合であっても、受電側タイミング情報の復号化が難しいため、盗電が抑制される。
【0138】
CPU401は、ステップS206の処理を終了すると、タイミング情報を送信する(ステップS207)。具体的には、CPU401は、例えば、インターフェースカード430を制御して、電気通信網600を介して、MERS直流パルス変換器300に送電側タイミング情報を送信するとともに、MERS受電装置500に暗号化された受電側タイミング情報を送信する。なお、電力供給を要求するMERS受電装置500が複数個である場合、当該複数のMERS受電装置500のそれぞれに、対応する暗号化された受電側タイミング情報を送信する。
【0139】
CPU401は、タイミング情報更新時刻ではないと判別した場合(ステップS204:NO)、もしくは、ステップS207の処理を終了した場合、パルスレベル調整時刻であるか否かを判別する(ステップS208)。具体的には、CPU401は、ステップS201において取得された現在時刻が、送電側タイミング情報などにより決定されるパルスレベル調整時刻であるか否かを判別する。
【0140】
パルスレベル調整時刻は、例えば、MERS直流パルス変換器300からMERS受電装置500に供給されるパルス電流を制限するために、当該パルス電流のレベルの調整を開始する時刻とすることができる。例えば、図6に示す例では、パルス電流P4のレベルを調整してパルス電流P4Bを生成する必要があり、パルス電流P5のレベルを調整してパルス電流P5Aを生成する必要がある。このため、CPU401は、例えば、パルス電流P4が供給されている途中で当該パルス電流P4の供給を遮断することにより、MERS受電装置500Bに供給されるパルス電流P4Bのレベルを調整し、パルス電流P5が供給されている途中で当該パルス電流P5の供給を遮断することにより、MERS受電装置500Aに供給されるパルス電流P5Aのレベルを調整する。
【0141】
CPU401は、送電側タイミング情報などを生成したときに、当該送電側タイミング情報などに基づいて、パルスレベル調整時刻を決定し、RAM403もしくはフラッシュROM450に記憶することができる。
【0142】
CPU401は、パルスレベル調整時刻であると判別した場合(ステップS208:YES)、パルスレベルを調整する(ステップS209)。パルスレベルを調整する手法は任意である。例えば、CPU401は、PAM470を制御して、MERS直流パルス変換器300からMERS受電装置500にパルス電流が供給されないようにすることができる。
【0143】
CPU401は、パルスレベル調整時刻ではないと判別した場合(ステップS208:NO)、もしくは、ステップS209の処理を完了した場合、ステップS201に処理を戻す。
【0144】
MERS直流パルスルータ400は、以上説明したような配電制御処理を実行することにより、パルス電流による配電を制御する。
【0145】
次に、図14に示すフローチャートを用いて、MERS受電装置500が実行するパルス受信処理について説明する。MERS受電装置500は、電源が投入されると、図14に示すパルス受信処理を実行する。
【0146】
まず、CPU501は、受電要求があるか否かを判別する(ステップS301)。CPU401は、例えば、MERS受電装置500が備える操作部(図示せず)に受電要求を示す操作がユーザによりなされたことを検知した場合、電気通信網600に接続された外部装置からインターフェースカード530に受電要求を示す情報が受信されたことを検知した場合、現在時刻があらかじめ定められた時刻になったことを検知した場合、あるいは、二次電池580の電力残量が所定の閾値以下になったことを検知した場合、受電要求があると判別する。
【0147】
CPU501は、受電要求があると判別すると(ステップS301:YES)、電力量情報、ID情報を送信する(ステップS302)。具体的には、CPU501は、例えば、インターフェースカード530を制御して、電気通信網600を介して、MERS直流パルスルータ400に、電力量情報およびID情報を送信する。なお、ID情報は、例えば、フラッシュROM550に記憶されている。一方、電力量情報により示される電力量は、二次電池580の電力残量などにより算出された電力量であってもよいし、操作部やインターフェースカード530に受電要求とともに供給された情報により示される電力量であってもよい。
【0148】
CPU501は、受電要求がないと判別した場合(ステップS301:NO)、もしくは、ステップS302の処理を完了した場合、受電側タイミング情報を受信したか否かを判別する(ステップS303)。具体的には、CPU501は、電気通信網600を介してMERS直流パルスルータ400から受電側タイミング情報がインターフェースカード530に供給されたか否かを判別する。
【0149】
CPU501は、受電側タイミング情報を受信したと判別すると(ステップS303:YES)、受電側タイミング情報を復号化する(ステップS304)。具体的には、CPU501は、フラッシュROM550に記憶されている復号鍵を用いて、受信された受電側タイミング情報を復号化する。
【0150】
CPU501は、ステップS304の処理を完了すると、受電側スイッチの切替時刻を更新する(ステップS305)。受電側スイッチの切替時刻は、例えば、RAM503に記憶される。受電側スイッチの切替時刻は、送電側スイッチの切替時刻と同様、どのような形式で記憶されても良い。
【0151】
CPU501は、受電側タイミング情報を受信していないと判別した場合(ステップS303:NO)、もしくは、ステップS305の処理を完了した場合、現在時刻を取得する(ステップS306)。CPU501は、例えば、GPSモジュール520から現在時刻を取得する。一方、GPSモジュール520は、例えば、常時、複数のGPS3000から取得される複数の時刻情報により示される複数の現在時刻の平均を算出するなどして、現在時刻を求める。GPSモジュール520は、求めた現在時刻に基づいて、内部の時計の時刻を補正し、常に、正確な現在時刻を供給可能な状態を維持する。
【0152】
CPU501は、ステップS306の処理を完了すると、ステップS306において取得された現在時刻が、RAM503に記憶されている受電側スイッチの切替時刻であるか否かを判別する(ステップS307)。
【0153】
CPU501は、現在時刻が受電側スイッチの切替時刻であると判別すると(ステップS307)、受電側スイッチの状態を切り替える(ステップS308)。つまり、CPU501は、受電側スイッチがONである場合、受電側スイッチをOFFに切り替え、受電側スイッチがOFFである場合、受電側スイッチをONに切り替える。
【0154】
CPU501は、現在時刻が受電側スイッチの切替時刻でないと判別した場合(ステップS307:NO)、もしくは、ステップS308の処理を完了した場合、電力センサ540から電力情報を取得する(ステップS309)。なお、電力情報は、例えば、MERSパルス生成回路570により受信されたパルス電流により算出される消費電力である。
【0155】
CPU501は、ステップS309の処理を終了すると、ステップS309において取得された電力情報に基づいて、盗電があるか否かを判別する(ステップS310)。盗電があるか否かを判別する手法は、適宜、調整することが可能である。例えば、取得された電力情報により示される消費電力が、想定される消費電力よりも所定の閾値以上低い場合、盗電があると判別される。この判別方法は、正当でないMERS受電装置500にパルス電流が供給されることにより、電力供給を要求したMERS受電装置500に、想定される消費電力よりも大幅に低い電力しか供給されないことに基づく。
【0156】
なお、MERS受電装置500が、受電側タイミング情報に基づいて、想定される消費電力を求めてもよい。あるいは、MERS直流パルスルータ400が、電力量情報に基づいて、想定される消費電力を求め、求めた想定される消費電力を示す情報を、MERS受電装置500に供給してもよい。想定される消費電力を示す情報は、例えば、RAM503に記憶される。
【0157】
CPU501は、盗電があると判別した場合(ステップS310:YES)、盗電情報を送信する(ステップS311)。具体的には、CPU501は、例えば、インターフェースカード530を制御して、電気通信網600を介して、MERS直流パルスルータ400に盗電情報を送信する。MERS受電装置500が送信する盗電情報は、MERS直流パルス変換器300が送信する盗電情報と同様、どのようなものであってもよい。
【0158】
CPU501は、盗電がないと判別した場合(ステップS310:NO)、もしくは、ステップS311の処理を終了した場合、ステップS301に処理を戻す。
【0159】
MERS受電装置500は、以上説明したようなパルス受信処理を実行することにより、パルス電流を受信する。
【0160】
本実施形態に係る配電システム1000によれば、GPS3000から取得される現在時刻に基づいて、MERS直流パルス変換器300とMERS受電装置500との間で同期をとることができる。このように、本実施形態に係る配電システム1000によれば、Cycle by Cycleの精度が担保される。このため、送電側スイッチの切替タイミングと受電側スイッチの切替タイミングとが正確になることが期待され、パルス電流による効率の良い配電が可能となる。
【0161】
また、受電側スイッチの切替タイミングが暗号化されるため、正当でないMERS受電装置500による盗電を抑制することができる。また、盗電が検知されたなどの場合、受電側スイッチの切替タイミングが自動で変更されるため、以後の盗電を抑制することができる。
【0162】
このように、本実施形態に係る配電システム1000によれば、高周波DCパルスの同期が保証され、安全性が高められる。また、DCパルスバス(電力線)での時分割多重化により、複数の電源の強調運転が可能となる。さらに、受電側タイミング情報などの情報は、電気通信網600を介して送受信される。このため、電力線にこれらの情報を重畳する必要がない。
【0163】
本発明は、上記実施形態に開示したものに限られない。
【0164】
(変形例1)
上記実施形態では、MERSパルス生成回路370とMERSパルス受信回路570との接続に、高周波トランスRFTを利用する例を示した。しかし、図15にDC/DCコンバータ701として示すように、高周波トランスRFTに代えてインダクタLmを採用することができる。この場合、インダクタLmは、一端が端子AC21に接続され、他端が端子AC12に接続される。また、端子AC11と端子AC22とが、接地ラインに接続される。さらに、二次電池E1を中心に対称に配置されていたインダクタLdc11及びLdc21は、インダクタLdc1に統合される。そして、インダクタLdc11はインダクタLdc1に置換され、インダクタLdc21は短絡される。そして、二次電池E2を中心に対称に配置されていたインダクタLdc12及びLdc22は、インダクタLdc2に統合される。そして、インダクタLdc12はインダクタLdc2に置換され、インダクタLdc22は短絡される。
【0165】
DC/DCコンバータ701は、基本的に、MERSパルス生成回路370及びMERSパルス受信回路570と同様に動作する。DC/DCコンバータ701を採用した場合、回路構成が簡単になるが、MERSパルス生成回路370とMERSパルス受信回路570とが電気的に絶縁されない。
【0166】
(変形例2)
上記変形例1では、端子AC11と端子AC22とが、接地ラインに接続される例を示した。しかし、二次電池E1の負極と二次電池E2の負極とを、あるいは二次電池E1の正極と二次電池E2の正極とが、接地ラインに接続されていてもよい。ただし、二次電池E1と、二次電池E2と、が違う出力電圧である場合、共通の接地ラインを介して電流が漏れてしまう可能性がある。
【0167】
そこで、図16に示すDC/DCコンバータ702のように、DC/DCコンバータ701のインダクタLmを、MERS380の端子AC21とMERS580の端子AC12との間に接続されたインダクタLm1と、MERS580の端子AC22とMERS380の端子AC11との間に接続されたインダクタLm2と、に分割する。インダクタLm1及びLm2とは同一のインダクタンスを持つことが好ましい。これによって、二次電池E1及びE2を接地させたとしても漏れ電流を低減することができる。
【0168】
さらに、図16に示すDC/DCコンバータ702のように、インダクタLdc1,Ldc2を二次電池E1,E2を中心に対称に配置してもよい。インダクタLdc1を、二次電池E1の一端とMERS380の直流端子DC11との間に接続されたインダクタLdc11と、二次電池E1の他端とMERS380の直流端子DC21との間に接続されたインダクタLdc21とに、分割する。インダクタLdc2を、二次電池E2の一端とMERS580の直流端子DC12との間に接続されたインダクタLdc12と、二次電池E2の他端とMERS580の直流端子DC22との間に接続されたインダクタLdc22とに、分割する。インダクタLdc11及びLdc21とは同じインダクタンス、インダクタLdc12及びLdc22とは同じインダクタンス、であることが好ましい。これによっても漏れ電流を低減することができる。
【0169】
(その他変形例)
また、上記実施形態では、ゲート信号SGGV1及びSGGX1をオン信号に保持する時間が、ゲート信号SGGV2及びSGGX2をオン信号に保持する時間よりも長い場合について説明したが、短くてもよい。
この場合は、逆導通型半導体スイッチSWV1及びSWX1が先にオフするため、二次電池E2から二次電池E1へ電力が供給されることになる。よって、この例では、本来の需要者側からの電力を本来の供給側が受電することも可能である。
また、インダクタLdc1をスイッチに置き換えてもよい。この場合、このスイッチのON/OFFによって、電力を調整することも可能になる。
【0170】
なお、MERS受電装置500からMERS直流パルス変換器300にパルス電流により電力を供給する場合、例えば、MERS受電装置500は、MERS受電装置500が送電可能な電力量を示す電力量情報を、MERS直流パルスルータ400に送信する。一方、MERS直流パルスルータ400は、受信した電力量情報に基づいて、MERS直流パルス変換器300に供給するタイミング情報(受電側タイミング情報)とMERS受電装置500に供給するタイミング情報(送電側タイミング情報)とを生成する。この際、MERS直流パルスルータ400は、MERS直流パルス変換器300が備える受電側スイッチをオフするタイミングが、MERS受電装置500が備える送電側スイッチをオフするタイミングよりも早くなるように、送電側タイミング情報と受電側タイミング情報とを生成する。
【0171】
このように、MERSパルス生成回路370及びMERSパルス受信回路570によれば、MERSにより電流パルスを発生し、双方向送電が可能となる。
【0172】
上記実施形態では、MERS直流パルス変換器300とMERS直流パルスルータ400とMERS受電装置500とが別個の装置として存在する例を示した。しかし、本発明に係る配電システムの構成は、これに限られない。例えば、MERS直流パルス変換器300とMERS直流パルスルータ400とは同一の装置であってもよい。この場合、例えば、MERS直流パルス変換器300は、MERS直流パルスルータ400が備える機能を有することとなる。また、MERS直流パルス変換器300が備える機能の一部を、MERS直流パルスルータ400もしくはMERS受電装置500が備えていてもよく、MERS直流パルスルータ400が備える機能の一部を、MERS直流パルス変換器300もしくはMERS受電装置500が備えていてもよく、MERS受電装置500が備える機能の一部を、MERS直流パルス変換器300もしくはMERS直流パルスルータ400が備えていてもよい。
【0173】
上記実施形態では、MERS直流パルスルータ400が、PAM470とPDM480とを備える例を示した。しかし、MERS直流パルスルータ400は、PAM470やPDM480を備えていなくても良い。例えば、パルス電流の周波数が十分に高い場合、PAM470がなくても、PDM480により、十分な電力量の分解が得られる。また、受電側タイミング情報により、指定されたパルス電流のみが受電される取り決めがなされていれば、PDM480がなくても、受電されるべきパルス電流のみが受電されることとなる。
また、上記実施形態によればMERS直流パルス変換器300内のMERSのコンデンサから放電されたエネルギーがパルス電流となっている。それゆえに、この放電されるエネルギー量を変化させることでも、PAMを実現可能である。この放電されるエネルギー量を変化させるには、放電される電力量を調整するという方法と、そもそもコンデンサに充電される電力量を変化させるという方法と、の2つがある。
また、MERSのコンデンサを放電させなければパルスは発生しないので、MERSのコンデンサの毎時放電回数を変化させることでPDMが可能である。
【0174】
上記実施形態では、MERS直流パルス変換器300とMERS直流パルスルータ400とMERS受電装置500とが、インフラストラクチャモードで相互に通信する例について説明したが、MERS直流パルス変換器300とMERS直流パルスルータ400とMERS受電装置500とが、アドホックモードで相互に通信してもよい。
また、これら通信の代わりに、PAMを利用し、その電力線を介して、アンプリチュードの大小でこれら情報を送受信してもよい。また、パルスの発生していない期間は、電圧を変化させても送電される電力量にほとんど影響をあたえないので、この期間に各種信号を搬送してもよい。
また、パルスの発生時刻を制御できることを利用し、時分割多重化や周波数分割多重化などの各種通信をすることも可能である。
【0175】
上記実施形態では、複数のGPS3000から取得される複数の時刻情報に基づいて、現在時刻が求められる例について説明した。しかし、現在時刻を求める手法は、この例に限られない。例えば、1個のGPS3000から取得される1個の時刻情報に基づいて、現在時刻が求められてもよい。また、車内の配電システムであれば時刻の補正は必要なく、例えば同一の制御装置が各装置を制御すればよい。
【0176】
また、上記実施形態では、受電側タイミング情報を、MERS受電装置500に記憶された復号鍵に対応する暗号鍵を用いて暗号化する例を示した。しかし、受電側タイミング情報を暗号化する手法は任意である。例えば、受電側タイミング情報は、擬似乱数(Pseudo−Noise Code)により暗号化されてもよい。
【0177】
上記実施形態では、電力センサ340もしくは電力センサ540により盗電が検知される例を示した。しかし、盗電を検知する手法は任意である。例えば、電力センサの代わりに、電力計が採用されてもよい。あるいは、MERS直流パルス変換器300が、負荷インピーダンスの変化を検知することにより、盗電を検知してもよい。また、ピーク電流、ピーク電圧、ピーク電力、平均電流、平均電圧、もしくは、平均電力などに基づいて、盗電が検知されてもよい。
【0178】
また、MERSパルス生成回路370及びMERSパルス受信回路570において、MERS受電装置500に合わせた制御が実行されてもよい。例えば、MERS受電装置500が、受電専用である場合と送受電兼用の場合とで、異なる制御が実行されてもよい。
【0179】
上記実施形態では、送電装置と受電装置とのそれぞれがMERSを備える例を示した。しかし、送電装置と受電装置とのそれぞれがMERSを備えていなくてもよい。例えば、送電装置が、送電側タイミング情報に従って切り替えられるMERS以外の送電側スイッチを備え、受電装置が、受電側タイミング情報に従って切り替えられるMERS以外の受電側スイッチを備えてもよい。
【0180】
また、本発明に係る配電システムが備える各装置(MERSパルス生成回路370、MERS直流パルスルータ400、MERS受電装置500など)は、CPUに代えてまたはCPUと協働するDSP(Digital Signal Processor)を備えていてもよい。
【0181】
なお、本発明に係る配電システムが備える各装置は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いても実現可能である。例えば、コンピュータに、上記動作を実行するためのプログラムを、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk Read−Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical Disk)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶して配布し、これをコンピュータシステムにインストールすることにより、上述の処理を実行する各装置を構成しても良い。
【0182】
さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを記憶しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロード等するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0183】
100 リアクタンス補償器
200 AC/DCコンバータ
300 MERS直流パルス変換器
301,401,501 CPU
302,402,502 ROM
303,403,503 RAM
310,410,510 制御部
320,420,520 GPSモジュール
321,421,521 アンテナ
330,430,530 インターフェースカード
340,540 電力センサ
370,371,372,373,374 MERSパルス生成回路
380,381,580,581 MERS
400,400A,400B MERS直流パルスルータ
450,550 フラッシュROM
470 PAM
480 PDM
500,500A,500B,500C,500D MERS受電装置
570,571,572,573,574 MERSパルス受信回路
580 二次電池
600 電気通信網
701,702 DC/DCコンバータ
1000 配電システム
2000 商用交流送電系統
3000,3000A,3000B,3000C GPS
DC+1 第1の直流正極端子
DC+2 第2の直流正極端子
DC−1 第1の直流負極端子
DC−2 第2の直流負極端子
Ldc1,Ldc2,Ldc11,Ldc12,Ldc21,Ldc22 インダクタ
AC11,AC21,AC12,AC22 端子
DC11,DC21,DC12,DC22 直流端子
SWU1,SWV1,SWX1,SWY1,SWU2,SWV2,SWX2,SWY2 逆導通型半導体スイッチ
DU1,DV1,DX1,DY1,DU2,DV2,DX2,DY2 ダイオード部
SU1,SV1,SX1,SY1,SU2,SV2,SX2,SY2 スイッチ部
GU1,GV1,GX1,GY1,GU2,GV2,GX2,GY2 ゲート
CM1,CM2 コンデンサ
Lm,Lm1,Lm2 インダクタ
RFT 高周波トランス
L1 一次コイル
L2 二次コイル
LM1,LM2 漏れインダクタンス
SGGU1,SGGV1,SGGX1,SGGY1,SGGU2,SGGV2,SGGX2,SGGY2 ゲート信号
E1,E2 二次電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置と送電装置と受電装置とを備える配電システムであって、
前記送電装置と前記受電装置とは、電力線を介して相互に接続され、
前記制御装置と前記送電装置と前記受電装置とは、相互に通信可能に接続され、
前記制御装置は、
前記受電装置が必要とする電力量を示す電力量情報を、前記受電装置から受信する制御側受信手段と、
前記受信された電力量情報に基づいて、前記送電装置が備える送電側スイッチの切替時刻と、前記受電装置が備える受電側スイッチの切替時刻と、を決定する切替時刻決定手段と、
前記決定された送電側スイッチの切替時刻を示す情報を、前記送電装置に送信するとともに、前記決定された受電側スイッチの切替時刻を示す情報を、前記受電装置に送信する制御側送信手段と、
前記送電装置は、
前記送信された送電側スイッチの切替時刻を示す情報を、前記制御装置から受信する送電側受信手段と、
現在時刻を取得する送電側時刻取得手段と、
前記送電側スイッチを有し、前記取得された現在時刻が前記受信された情報により示される送電側スイッチの切替時刻と一致するときに前記送電側スイッチの状態を切り替えることにより、パルス電流を生成するパルス電流生成手段と、を備え、
前記受電装置は、
前記受電装置が必要とする電力量を示す電力量情報を、前記制御装置に送信する受電側送信手段と、
前記送信された受電側スイッチの切替時刻を示す情報を、前記送電装置から受信する受電側受信手段と、
現在時刻を取得する受電側時刻取得手段と、
前記受電側スイッチを有し、前記取得された現在時刻が前記受信された情報により示される受電側スイッチの切替時刻と一致するときに前記受電側スイッチの状態を切り替えることにより、前記生成されたパルス電流を前記送電装置から受信するパルス電流受信手段と、を備える、
ことを特徴とする配電システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
現在時刻を取得する制御側時刻取得手段をさらに備え、
前記切替時刻決定手段は、前記取得された現在時刻が所定の時刻と一致したことに応答して、前記送電側スイッチの切替時刻と、前記受電側スイッチの切替時刻と、を変更する、
ことを特徴とする請求項1に記載の配電システム。
【請求項3】
前記送電装置は、
前記受電装置以外の装置により前記生成されたパルス電流が受信される盗電を検知する送電側盗電検知手段と、
前記盗電が検知されたことに応答して、前記盗電が検知された旨を、前記制御装置に送信する送電側送信手段と、をさらに備え、
前記制御側受信手段は、前記盗電が検知された旨を、前記送電装置から受信し、
前記切替時刻決定手段は、前記盗電が検知された旨が受信されたことに応答して、前記送電側スイッチの切替時刻と、前記受電側スイッチの切替時刻と、を変更する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の配電システム。
【請求項4】
前記受電装置は、
前記受電装置以外の装置により前記生成されたパルス電流が受信される盗電を検知する受電側盗電検知手段、をさらに備え、
前記受電側送信手段は、前記盗電が検知されたことに応答して、前記盗電が検知された旨を、前記送電装置に送信し、
前記制御側受信手段は、前記盗電が検知された旨を、前記受電装置から受信し、
前記切替時刻決定手段は、前記盗電が検知された旨が受信されたことに応答して、前記送電側スイッチの切替時刻と、前記受電側スイッチの切替時刻と、を変更する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の配電システム。
【請求項5】
前記受電側送信手段は、さらに、前記受電装置を特定するID情報を、前記制御装置に送信し、
前記制御側受信手段は、前記送信された前記受電装置を特定するID情報を、前記受電装置から受信し、
前記制御装置は、
前記受電装置を特定するID情報と、当該受電装置が記憶している復号鍵に対応する暗号鍵と、を対応付けて記憶する制御側記憶手段と、
前記受信されたID情報に対応付けられて前記制御側記憶手段に記憶されている暗号鍵で、前記受電側スイッチの切替時刻を示す情報を暗号化する暗号化手段と、を備え、
前記制御側送信手段は、前記暗号化された情報を、前記受電装置に送信し、
前記受電側受信手段は、前記送信された前記暗号化された情報を、前記制御装置から受信し、
前記受電装置は、
前記暗号鍵に対応する復号鍵を記憶する受電側記憶手段と、
前記受電側記憶手段に記憶されている復号鍵で、前記受信された前記暗号化された情報を復号化する復号化手段と、をさらに備え、
前記パルス電流受信手段は、前記取得された現在時刻が前記復号化された情報により示される受電側スイッチの切替時刻と一致するときに前記受電側スイッチの状態を切り替えることにより、前記パルス電流を受信する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の配電システム。
【請求項6】
前記切替時刻決定手段は、前記受信された電力量情報に基づく個数のパルス電流が前記受電装置に供給されるように、前記送電装置が備える送電側スイッチの切替時刻と、前記受電装置が備える受電側スイッチの切替時刻と、を決定する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の配電システム。
【請求項7】
前記切替時刻決定手段は、前記受信された電力量情報に基づく振幅のパルス電流が前記受電装置に供給されるように、前記送電装置が備える送電側スイッチの切替時刻と、前記受電装置が備える受電側スイッチの切替時刻と、を決定する、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の配電システム。
【請求項8】
複数の前記受電装置を備え、
前記制御側受信手段は、前記複数の受電装置のそれぞれから、当該受電装置が必要とする電力量を示す電力量情報を受信し、
前記切替時刻決定手段は、前記複数の受電装置のそれぞれから受信された電力量情報に基づいて、前記送電装置が備える送電側スイッチの切替時刻と、前記複数の受電装置のそれぞれが備える受電側スイッチの切替時刻と、を決定し、
前記送電側送信手段は、前記決定された送電側スイッチの切替時刻を示す情報を、前記送電装置に送信するとともに、前記複数の受電装置のそれぞれについて決定された受電側スイッチの切替時刻を示す情報を、対応する受電装置に送信する、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の配電システム。
【請求項9】
前記パルス電流生成手段は、送電側磁気エネルギー回生スイッチと、1以上の磁気エネルギー蓄積用インダクタと、を備え、
前記パルス電流受信手段は、受電側磁気エネルギー回生スイッチを備え、
前記送電側磁気エネルギー回生スイッチは、前記電源から供給された電力を第1の静電エネルギーとして蓄積し、
前記1以上の磁気エネルギー蓄積用インダクタは、前記送電側磁気エネルギー回生スイッチが蓄積した前記第1の静電エネルギーを第1の磁気エネルギーとして蓄積し、
前記受電側磁気エネルギー回生スイッチは、前記1以上の磁気エネルギー蓄積用インダクタに蓄積された前記第1の磁気エネルギーを第2の静電エネルギーとして蓄積し、蓄積した前記第2の静電エネルギーを負荷に供給する、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の配電システム。
【請求項10】
制御装置と送電装置と受電装置とを備える配電システムであって、
前記送電装置と前記受電装置とは、電力線を介して相互に接続され、
前記制御装置と前記送電装置と前記受電装置とは、相互に通信可能に接続され、
前記制御装置は、
前記送電装置が送電可能な電力量を示す電力量情報を、前記送電装置から受信する制御側受信手段と、
前記受信された電力量情報に基づいて、前記送電装置が備える送電側スイッチの切替時刻と、前記受電装置が備える受電側スイッチの切替時刻と、を決定する切替時刻決定手段と、
前記決定された送電側スイッチの切替時刻を示す情報を、前記送電装置に送信するとともに、前記決定された受電側スイッチの切替時刻を示す情報を、前記受電装置に送信する制御側送信手段と、
前記送電装置は、
前記送電装置が送電可能な電力量を示す電力量情報を、前記制御装置に送信する送電側送信手段と、
現在時刻を取得する送電側時刻取得手段と、
前記送信された送電側スイッチの切替時刻を示す情報を、前記制御装置から受信する送電側受信手段と、
前記送電側スイッチを有し、前記取得された現在時刻が前記受信された情報により示される送電側スイッチの切替時刻と一致するときに前記送電側スイッチの状態を切り替えることにより、パルス電流を生成するパルス電流生成手段と、を備え、
前記受電装置は、
前記送信された受電側スイッチの切替時刻を示す情報を、前記送電装置から受信する受電側受信手段と、
現在時刻を取得する受電側時刻取得手段と、
前記受電側スイッチを有し、前記取得された現在時刻が前記受信された情報により示される受電側スイッチの切替時刻と一致するときに前記受電側スイッチの状態を切り替えることにより、前記生成されたパルス電流を前記送電装置から受信するパルス電流受信手段と、を備える、
ことを特徴とする配電システム。
【請求項11】
制御装置と送電装置と受電装置とを備える配電システムが実行する配電制御方法であって、
前記送電装置と前記受電装置とは、電力線を介して相互に接続され、
前記制御装置と前記送電装置と前記受電装置とは、相互に通信可能に接続され、
前記受電装置が、前記受電装置が必要とする電力量を示す電力量情報を、前記制御装置に送信する受電側送信ステップと、
前記制御装置が、前記受電装置が必要とする電力量を示す電力量情報を、前記受電装置から受信する制御側受信ステップと、
前記制御装置が、前記受信された電力量情報に基づいて、前記送電装置が備える送電側スイッチの切替時刻と、前記受電装置が備える受電側スイッチの切替時刻と、を決定する切替時刻決定ステップと、
前記制御装置が、前記決定された送電側スイッチの切替時刻を示す情報を、前記送電装置に送信するとともに、前記決定された受電側スイッチの切替時刻を示す情報を、前記受電装置に送信する制御側送信ステップと、
前記送電装置が、前記送信された送電側スイッチの切替時刻を示す情報を、前記制御装置から受信する送電側受信ステップと、
前記送電装置が、現在時刻を取得する送電側時刻取得ステップと、
前記送電装置が、前記取得された現在時刻が前記受信された情報により示される送電側スイッチの切替時刻と一致するときに前記送電側スイッチの状態を切り替えることにより、パルス電流を生成するパルス電流生成ステップと、
前記受電装置が、前記送信された受電側スイッチの切替時刻を示す情報を、前記送電装置から受信する受電側受信ステップと、
前記受電装置が、現在時刻を取得する受電側時刻取得ステップと、
前記受電装置が、前記取得された現在時刻が前記受信された情報により示される受電側スイッチの切替時刻と一致するときに前記受電側スイッチの状態を切り替えることにより、前記生成されたパルス電流を前記送電装置から受信するパルス電流受信ステップと、を備える、
ことを特徴とする配電制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−55854(P2013−55854A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193990(P2011−193990)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(507149648)株式会社MERSTech (22)
【Fターム(参考)】