説明

酵素PDE7及び/又はPDE4の二重阻害化合物、薬剤組成物および利用法

本発明は、式(I)の構造を有した、酵素PDE7とPDE4の二重阻害物質に関し、炎症及び/又は自己免疫症の治療用薬剤組成物の製造におけるその利用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に医療化学の分野に関する。さらに特定すれば、酵素PDE7とPDE4の二重阻害物質、並びに、炎症または自己免疫過程の治療のための薬剤組成物の製造におけるその可能性を有した利用法に関する。よって、本発明は薬学分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ホスホジエステラーゼ(PDE)の酵素活性は、3’−ホスホジエステル結合の加水分解切断を介した環状ヌクレオチド(cAMP及びcGMP)の分解で成り、5’−モノホスフェートの対応する不活性形態を生成する(Mコンチ及びSLジンの「環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼの分子生物学」Prog.NucleicAcid Res.Mol.Biol.1999,63,1-38)。cAMP及びcGMPは細胞内標識の形質導入で副次的メッセンジャーとして機能するアデニル酸シクラーゼ及びグアニル酸シクラーゼのそれぞれの作用を通じて生成される。cAMP又はcGMPの細胞内量を増加させる1手法は、それらが分解の唯一の道筋である理由により、PDEを阻害することである(Mビグ、Aジョージ、Rセン、Jダーディック、Sラス及びVバルの「二次的応答に対する活性T細胞の関わりは、cAMP依存性タンパク質キナーゼA−Iによって仲介される信号によって増幅される」Mol.Pharmacol.,2002,62,1471-1481;Wリッチャの“3’,5’−環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼのクラスIII”要素、構造及び触媒作用、Proteins,2002,46,278-286)。特定PDE阻害物質を開発することに対する関心は細胞内cAMPの量を増加させることができる薬剤によって示される抗炎症及び免疫抑制特性に基づいている(DMエッセイヤンの「環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)阻害物質及び免疫調節」Biochem.Pharmacol.,199957,965-973;ACアリソンの「免疫抑制薬:最初の50年間と将来の展望」Immunopharmacology,2000,47,63-83)。従って、cAMP特有PDEの選択性阻害物質は様々な病気の治療における治療剤として有効であり得る(Cルグニールの「環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)スーパーファミリー:特殊治療剤開発のための新標的」Pharmacol. Ther.,2006,109,366-398)。さらに、多発性硬化症のごとき免疫系統の本質的変性(HJダイクとJGモンタナの「PDE4阻止物質の治療可能性の最新情報」Expert Opin.Invest.Drugs,2002,11,1-13)、炎症変性(Dスピナの「炎症性肺疾患の治療におけるホスホジエステラーゼ−4阻害物質」Drugs、2003,63,2575-2594)及び鬱病、脳虚血性損傷並びアルツハイマー病のごとき中枢神経系統の異常(FSメニッチ、WSファラッチ及びCJシュミッツの「CNSにおけるホスホジエステラーゼ:天然薬剤開発の標的」NatRevDrug Discov.,2006,5,660-670)に対して有効であり得る。
【0003】
PDEの11の解説されているファミリー(属)の中で、Tリンパ球で発現するものは主として3B、4A、4B、4D及び7A1である(Dエクホルム、Bヘマー、Gガオ、Mベルゲリ、Rマーチン及びVマンガニエロの「ミエリン塩基性タンパク質に対して特殊なヒトのT細胞クローンにおける環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ3と4の活性の差別的発現」J.Immunol.,1997,159,1520-1529;SエルドガンとMDハウスレイの「アデニル酸シクラーゼ活性物質フォルスコリンを有したヒトのジャーカルT細胞の攻撃はPDE3をアップレギュレートし、PDE4D1とPDE4D2のスプライス変性物を誘発し、新規なPDE4Aのスプライス変性物をダウンレギュレートすることでcAMPホスホジエステラーゼ(PDE)発現における大変化を誘発する」Biochem.J.,1997,321,165-175;MAギエムビクス、CJコリガン、Jセイボルド、Rニュートン及びPJバーンズの「ヒトのCD4+及びCD8+Tリンパ球における環状AMPホスホジエステラーゼ3、4及び7の特定:インターロイキン−2の増殖調整及び生合成における役割」Br.J.Pharmacol.,1996,118,1945-1958)。PDE4がT細胞内の主なイソエンザイムであるなら、PDE4阻害物質の開発は最も重要なものであった。事実、この酵素の選択性阻害物質は炎症性サイトカインの生成を減少させる能力を示した(MAギエムビクス、CJコリガン、Jセイボルド、Rニュートン及びPJバーンズの「ヒトのCD4+及びCD8+Tリンパ球における環状AMPホスホジエステラーゼ3、4及び7の特定:インターロイキン−2の増殖調整及び生合成における役割」Br.J.Pharmacol.,1996,118,1945-1958;CDマニング、Mバーマン、SBクリステンセン、LBシエスリンスキー、DMエッセイアン、Mグラウス、TJトーフィ及びMSバーネットの「亜型選択性PDE4阻害物質によるヒトの炎症性細胞機能の抑制はPDE4A及びPDE4Bの阻害と相関する」Br.J.Pharmacol.,1999,128,1393-1398)。これは、喘息、リウマチ性関節炎及び多発性硬化症その他の治療に有効性を有するであろう(MDハウスレイ、Pシャファー及びKYJザングの「治療標的としてのホスホジエステラーゼ」Drug Discov.Today,2005,10,1503-1519)。現在、2つのPDE4阻害物質であるシロミラスト及びロフルミラストが、免疫及び炎症応答により特徴付けられる2つの病気である喘息と慢性閉塞性肺疾患(COLD)の治療のための第3段階臨床試験の最中である(KFチャンの「ホスホジエステラーゼ阻害物質」Eur.J.Pharmacol.2006,533,110-117)。しかし、これら阻害物質はそれらの強力な催吐性によって強毒性を示す。これらの不都合を回避するために様々な方策が考察された。それらには、改善された薬物動態特性を備え、抑制された副作用のPDE4阻害物質の第2世代の開発が含まれる(Mギエムビクスの「PDE4以降の人生:二重特異性ホスホジエステラーゼでの有害事象を克服」Curr.Opin.Pharm.,2005,5,238-244)。
【0004】
別な代替策は、免疫細胞で発現する他のcAMP選択性PDEに対する阻害物質の開発である。特に、酵素の活性を阻害することでTh1細胞の活性を阻害する可能性が証明されたので、PDE7の阻害はT細胞活性による病気の治療の1方法であり得る(Lリー、Cイー及びJAビーボの「T細胞活性に必要なPDE7のCD3及びCD28依存誘導」Science、1999,283,848-851;Aナカタ、Kオガワ、Tササキ、Nコヤマ、Kワダ、Jコテラ、Hキッカワ、Kオオモリ及びOカミムラの「ヒトのT細胞機能におけるホスホジエステラーゼ7の可能な役割:2種のホスホジエステラーゼ阻害物質の比較効果」Clin.Exp.Immunol.,2002,128,460-466)。しかし、PDE7A−l−ノックアウトマウスの使用に基づく試験は、T細胞の増殖におけるPDE7Aの役割を確認できず、液状免疫応答の規制に際してこの酵素が異なる機能を果たすことを暗示した(Gヤン、KWマクリンタイア、RMタウンゼンド、HHシェン、WJピッツ、JHドッド、SGナドラ、Mマッキノン及びAJワトソンの「ホスホジエステラーゼ7A欠損マウスは機能性T細胞を有する」J.Immunol.,2003,171,6411-6420)。従って、PDE7選択性阻害物質の使用は、免疫応答変性の治療のための薬学的標的としてのPDE7Aの現実的な可能性の解明には根本的なものである(Aカストロ、MJジェレス、Cジル及びAマルチネスの「環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ並びのその免疫調節応答における役割:特殊ホスホジエステラーゼ阻害物質開発における進歩」Med.Res.Rev.,2005,25,229-244)。この点に関して、本発明の発明者によって開発されたベンゾ−及びベンゾチエノチアジアジンの誘導体はPDE7の最初に解説された複素環式阻害物質であった(Aマルチネス、Aカストロ、Cジル、Mミラルペイックス、Vセガラ、Tドメネク、Jベレタ、Jパラシオス、Hライダ、Xミロ、Cボネット、Jカサクベルタ、Fアゾリン、Bピナ及びPプイグドメネクの「2,1,3−ベンゾ−及びベンゾチエノ[3,2−a]チアジアジン2,2−ジオキシドの誘導体:第1ホスホジエステラーゼ7阻害物質」J.Med.Chem.,2000,43,683-689;Aカストロ、MIアバソロ、Cジル、Cセガラ及びAマルチネスの「2,1,3−ベンゾ−及びベンゾチエノ[3,2−a]チアジアジン2,2−ジオキシドのベンジル誘導体のCoMFA:ホスホジエステラーゼ7阻害物質設計のカギ」Eur.J.Med.Chem.,2001,36,333-338)。それ以降、スピロ三環式誘導体、スルフォンアミド、プリン及びピリミジンその他はPDE7の阻害物質として解説されてきた(Fベルン、Pベルナルデリ及びEチェバリエの「PDE7阻害物質:化学及び可能性を有した治療利用性」医療化学報告年鑑、2005年40号227〜241頁;MAギエンビクス及びSJスミスの「治療標的としてのホスホジエステラーゼ7(PDE7)」Drugs Fut.,2006,31,207-229)。
【0005】
PDE7選択性阻害物質の開発は異なる細胞と組織におけるPDE7Aの機能の研究を可能にした。しかし、PDE7Aの阻害はそれ自体ではT細胞の増殖を減少させないが、cAMPの量の増加に対するPDE4阻害物質が有する効果を相当程度増強させる(SJスミス、LBシエリンスキー、Rニュートン、LEドネリ、PSフェンウィック、AGニコルソン、PJバーンズ、MSバーネット及びMAギメモビクスの「BRL50481[3−(N,N−ジメチルスルフォンアミド)−4−メチル−ニトロベンゼン]ホスホジエステラーゼ7の選択性阻害物質発見:ヒト単核細胞、肺臓マクロファージ及びCD8+Tリンパ球の生体外研究」Mol.Pharmacol.,2004,66,1679-1689)。
【0006】
その結果、二重PDE4−PDE7阻害物質の使用は炎症に関与するThリンパ球の確認された機能に対して制御機能を発揮することができる(Aハッチェルマン、Dマルクス及びWスタインヒルバによる“アルタナファーマAG社:2002年度版”の記載;PDE4/7阻害物質として有効なフタラジノン誘導体(WO02085906);WJピッツ、AJワトソン及びJHドッドの“ブリストルマイヤーズの記事2002年、二重阻害物質PDE7及びPDE4”;国際特許(WO02088079)。これは、炎症又は自己免疫過程(例えば、多発性硬化症(MS))の規制における好適な方策を含み、副作用による制限も限定的であろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の1目的は、酵素PDE7及び/又はPDE4に対して二重阻害活性を有した化合物(同系化合物)(以降、本発明化合物)は以下の式(I)を有する。
【0008】
【化1】

式(I)
式中、
Aは飽和あるいは不飽和である5個、6個または7個の構成要素を有する炭素環または選択的に置換された縮合複素環であり、二重結合であってもよく、
XとYは、水素、アルキル、=O、=S、−N(アルキル)、−N(アリール)、O−アルキル、O−アリール、S−アルキル及び−S−アリールで成る群からそれぞれ独立的に選択されるものであり、
R、R及びRは、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アリール、シクロアルキル、(Z)−アリール、ヘテロアリール、−OR、−C(O)OR、−(Z)−C(O)OR及び−S(O)−で成る群からそれぞれ独立的に選択されるものであり、あるいは薬学的に受容可能なそれらの塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物または立体異性体である。
【0009】
例外:Aが置換しないベンゼンであるときには、X=O、Y=Sであり、Aが置換しないベンゼンであるときには、X=O、Y=Oであり、Aが置換しないベンゼンであるときには、X=O、Y=S−Meであり、Aが置換しないチオフェンであるときには、X=O、Y=Sであり、Aが置換しないベンゾチオフェンであるときには、X=O、Y=Sである。
【0010】
本発明の別な目的は、炎症と自己免疫症の治療において有効な薬学的に受容可能な組成物(以降“本発明薬剤組成物”)の提供である。この薬剤組成物は、薬学的効果量である式(I)の化合物、あるいはその混合物、薬学的に受容可能なその塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物または立体異性体を含み、患者への投与するために薬学的に受容可能な基剤、アジュバントあるいは賦形物と共に利用される。
【0011】
本発明の別な目的は、炎症及び/又は自己免疫病変または自己免疫症の治療のための薬剤の製造のための式(I)の化合物、あるいはその混合物の利用(以降“本発明化合物の利用”)である。治療対象の疾患とは、腸炎、関節炎、アトピー性皮膚炎および他の皮膚炎、神経炎、脳炎、脳髄膜炎および中枢神経を冒す炎症(多発性硬化症)または末端神経症、筋肉炎、血管炎、全身性エリテマトーデス、炎症の症状を伴う炎症、移植物宿主拒絶反応、結膜炎、および眼、耳、および粘膜の炎症等である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、本発明の発明者が、式(I)の化合物が酵素PDE7及び/又はPDE4、さらに特定すれば酵素PDE7A1及び/又はPDE4D2(実施例5)の二重阻害物質であることを証明した事実に基づく。すなわち、それら化合物は炎症または自己免疫疾患の治療のための薬剤化合物の製造に使用できる。
【0013】
従って、本発明の1目的は、酵素PDE7及び/又はPDE4に対する二重阻害活性を備えた化合物(同系化合物)(以降“本発明化合物”)の提供である。本発明化合物は以下の式(I)で表される。
【0014】
【化2】

式(I)
式中、
Aは飽和あるいは非飽和である5個、6個または7個の構成要素を有する炭素環または選択的に置換された縮合複素環であり、二重結合であってもよく、
XとYは、水素、アルキル、=O、=S、−N(アルキル)、−N(アリール)、O−アルキル、O−アリール、S−アルキル及び−S−アリールで成る群からそれぞれ独立的に選択されるものであり、
R、R及びRは、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アリール、シクロアルキル、(Z)−アリール、ヘテロアリール、−OR、−C(O)OR、−(Z)−C(O)OR及び−S(O)−で成る群からそれぞれ独立的に選択されるものであり、あるいは薬学的に受容可能なそれらの塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物または立体異性体である。
【0015】
例外:Aが置換しないベンゼンであるときには、X=O、Y=Sであり、Aが置換しないベンゼンであるときには、X=O、Y=Oであり、Aが置換しないベンゼンであるときには、X=O、Y=S−Meであり、Aが置換しないチオフェンであるときには、X=O、Y=Sであり、Aが置換しないベンゾチオフェンであるときには、X=O、Y=Sである。
【0016】
本発明の他の目的は、4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(図1の化合物Ia)である化合物の提供である。さらに好適には、(本発明の解説を目的とし、本発明の範囲を限定するものではない)以下の化合物群に属する化合物の提供である。
【0017】
−6−ブロモ−3−フェニル−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC2.30)、
−6−ブロモ−3−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC3.29)、
−6−ブロモ−3−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC3.30)、
−6−ブロモ−3−(2−ブロモフェニル)−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC3.28)、
−3−(2,6−ジフルオロフェニル)−8−メチル−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC3.16)、
−3−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−8−メチル−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC3.17)、
−3−(2−ブロモフェニル)−8−メチル−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC3.14)
【0018】
本発明の他の目的は、2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(図2の化合物Ib)である化合物の提供である。さらに好適には(本発明の解説を目的とし、本発明の範囲を限定するものではない)以下の化合物群に属する化合物の提供である。
【0019】
−6−ブロモ−3−フェニル−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC3.47)、
−6−ブロモ−3−(2,6−ジフルオロフェニル)−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC3.36)、
−6−ブロモ−3−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC3.32)、
−6−ブロモ−3−(2−ブロモフェニル)−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC3.35)、
−3−フェニル−8−メチル−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC3.15b)、
−3−(2,6−ジフルオロフェニル)−8−メチル−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC3.23)、
−3−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−8−メチル−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC3.24)、
−3−(2−ブロモフェニル)−8−メチル−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC3.22)
【0020】
本発明の他の目的は、2,4−ジチオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(図3の化合物Ic)である化合物の提供である。さらに好適には(本発明の解説を目的とし、本発明の範囲を限定するものではない)以下の化合物群に属する化合物の提供である。
【0021】
−3−フェニル−2,4−ジチオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC3.6)、
−3−(2,6−ジフルオロフェニル)−2,4−ジチオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC2.49)、
−3−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−2,4−ジチオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC2.45)
【0022】
本発明の他の目的は、2−メチルチオ−4−チオキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(図4の化合物Id)である化合物の提供である。さらに好適には‘本発明の解説を目的とし、本発明の範囲を限定するものではない)以下の化合物群に属する化合物の提供である。
【0023】
−3−フェニル−2−メチルチオ−4−チオキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC3.9)、
−3−(2,6−ジフルオロフェニル)−2−メチルチオ−4−チオキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC3.1)、
−3−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−2−メチルチオ−4−チオキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC2.51)、
−3−(2−ブロモフェニル)−2−メチルチオ−4−チオキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC3.13)
【0024】
式(I)で表される本発明の化合物、特に式Ia、Ib、IcおよびIdである化合物並びに前記化合物の亜種に属する化合物は、キラル中心の存在如何により異なる光学異性体または鏡像異性体を含む多重結合(例:Z、E)の存在如何によって異なる異性体を含むであろう。それら異性体、鏡像体または個別のジアステレオ異性体及びそれらの混合物は本発明の範囲内である。それら鏡像体または個別のジアステレオ異性体並びにそれらの混合物は従来技術によって分別が可能である。
【0025】
本明細書中で言及する“誘導体”には、薬学的に受容可能な化合物が含まれる。すなわち、それら誘導体には、薬剤の製造に利用が可能な式(I)の化合物の誘導体と、薬学的に受容可能な誘導体の製造に利用できるため、薬学的に受容不能な誘導体とが含まれる。薬学的に受容可能な誘導体の特性は、それらが薬学的に受容可能である限り決定的なものではない。
【0026】
本発明の範囲には式(I)の化合物のプロドラッグも含まれる。ここで使用する“プロドラッグ”とは式(I)の化合物から誘導される全ての化合物を含むものであり、例えば、エステルであり、それらにはカルボキシル酸のエステル、アミノ酸のエステル、リン酸エステル、金属塩のスルフォン酸エステル、等々、並びにカルバミン酸エステル、アミド、等々が含まれる。これらは、人体に投与されると体内に式(I)の化合物を直接的または間接的に提供することができる。有利なことに、このような誘導体は、人体に投与されると式(I)の化合物の生体内利用性を増強するか、式(I)の化合物をBLコンパートメント内で遊離させる化合物である。人体に投与でき、人体のBLコンパートメントに式(I)の化合物を提供できる限り、このような誘導体の特性は決定的なものではない。このようなプロドラッグの製造は、当該技術分野の専門家には知られている方法によって実施することが可能である。
【0027】
本発明の化合物は遊離化合物または溶媒和物としての結晶形態であろう。それら両形態は本発明の範囲内である。この点に関して、“溶媒和物”とは薬学的に受容可能な溶媒和物であって、薬剤の製造に利用できる式(I)の化合物の溶媒和物と、薬学的に受容可能な溶媒和物または塩の生成に利用可能な薬学的に受容不能な溶媒和物との両方が含まれる。薬学的に受容可能な溶媒和物の特性は、それが薬学的に受容可能である限り決定的なものではない。特殊実施形態においては、溶媒和物は水和物である。溶媒和物は当該技術分野の専門家によく知られている従来方法によって得られる。
【0028】
治療における利用のため、式(I)の化合物、その異性体、プロドラッグ又は溶媒和物は、好適には、薬学的に受容可能または実質的に純粋な形態であり、換言すれば、溶媒および担体のごとき標準的な薬剤添加物を除いて、通常投与量で有毒であると考えられる物質を含まない薬学的に受容可能な純度を有するものである。活用レベルの純度は、好適には50%以上であり、さらに好適には70%以上であり、さらに好適には90%以上である。1好適実施形態においては、それらは式(I)の化合物、あるいはその塩、溶媒和物またはプロドラッグの95%以上を占める。
【0029】
特に記載がない限り、本発明の化合物は同位体的に濃縮された1以上の原子の存在下でのみ異なる化合物も含む。例えば、ジューテリウム又はトリチウムによる1水素原子の置換、あるいは13C又は14Cによって濃縮された1炭素原子による1炭素原子の置換、あるいは15Nによって濃縮された1窒素原子による1炭素原子の置換を除いて、この化学構造を有する化合物は本発明の範囲内である。
【0030】
本明細書で解説されている化合物、それらの薬学的に受容可能な塩、プロドラッグ及び/又は溶媒和物、並びにそれらを含有した薬剤組成物は、組み合わせ治療を提供するために他の薬剤と共に使用することができる。そのような追加薬剤はその薬剤組成物の一部として利用することも、式(I)の化合物、又はそのプロドラッグ、溶媒和物あるいは薬学的に受容可能なその塩を含む薬剤組成物と同時的または非同時的に投与する別組成物の形態で利用することもできる。
【0031】
式(I)の本発明化合物は化学合成によって得られるか生成でき、あるいは異なる源の天然物質から得られる。本発明においては、式(I)の本発明化合物及びその同属物(図1から図4、実施例1から4参照)の合成方法が解説されている。これは当該技術分野の専門家によって本明細書で解説されているデータを利用して実行に移すことができる。本発明化合物Ia、Ib、Ic及びIdの合成方法は本明細書において説明されており、本発明の別目的を構成する。
【0032】
本発明のさらに他の目的は、炎症および自己免疫疾患の治療に有効である薬剤組成物(以降“本発明薬剤組成物”)の提供である。この薬剤組成物は薬学効果量にて式(I)の化合物、その混合物、薬学的に受容可能なその塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物又はその立体異性体を含み、薬学的に受容可能な基剤、アジュバントまたは賦形物と共に患者に投与される。
【0033】
本発明の他の目的は、本発明の薬剤組成物の提供であり、式(I)の化合物又は1以上の以下の同属化合物に属する化合物の提供である。
【0034】
−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(化合物Ia、図1)
−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(化合物Ib、図2)
−2,4−ジチオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(化合物Ic、図3)、
−2−メチルチオ−4−チオキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(化合物Id、図4)
【0035】
さらに好適には(本発明の説明のみを目的とし、限定を意図しない)以下の化合物群に属するものである。
【0036】
−6−ブロモ−3−フェニル−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC.2.30)、
−6−ブロモ−3−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC.3.29)、
−6−ブロモ−3−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC3.30)、
−6−ブロモ−3−(2−ブロモフェニル)−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC.3.28)、
−3−(2,6−ジフルオロフェニル)−8−メチル−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC.3.16)、
−3−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−8−メチル−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC.3.17)、
−3−(2−ブロモフェニル)−8−メチル−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC.3.14)、
−6−ブロモ−3−フェニル−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC.3.47)、
−6−ブロモ−3−(2,6−ジフルオロフェニル)−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC.3.36)、
−6−ブロモ−3−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC.3.32)、
−6−ブロモ−3−(2−ブロモフェニル)−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC.3.35)、
−3−フェニル−8−メチル−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC.3.15b)、
−3−(2,6−ジフルオロフェニル)−8−メチル−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC.3.23)、
−3−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−8−メチル−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC.3.24)、
−3−(2−ブロモフェニル)−8−メチル−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC.3.22)、
−3−フェニル−2,4−ジチオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC.3.6)、
−3−(2,6−ジフルオロフェニル)−2,4−ジチオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC.2.49)、
−3−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−2,4−ジチオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC.2.45)、
−3−フェニル−2−メチルチオ−4−チオキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC.3.9)、
−3−(2,6−ジフルオロフェニル)−2−メチルチオ−4−チオキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC.3.1)、
−3−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−2−メチルチオ−4−チオキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC.2.51)、
−3−(2−ブロモフェニル)−2−メチルチオ−4−チオキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC.3.13)、
あるいは、それらのR、S鏡像異性体及び/又はそれらのラセミ体混合体の中のいずれかである。
【0037】
当該薬剤組成物中に使用できる薬学的に受容可能なアジュバント及び賦形剤は当該技術分野の技術者に知られているアジュバントと賦形剤でよく、治療組成物の製造に普通に使用されるものでよい。
【0038】
本明細書中の“薬学効果量”とは、要求される効果を発揮するように計算され、一般的に化合物の本質によって決定され、患者の年齢、病状、症状変化程度又は異常程度に基づいて決定され、投与の形態および頻度を考慮に入れた酵素PDE7とPDE4に対する阻害力を発揮することができる薬剤または化合物の投与量のことである。
【0039】
他の実施形態では、この治療組成物は薬学的に受容可能な溶剤中にて固形状または水性縣濁液の形態にて生成される。本発明により提供される治療組成物は適した投与形態にて投与できる。そのためにこの薬剤組成物は選択された投与形態に適した薬剤形態にて生成されるであろう。1特殊実施形態では、本発明の治療組成物は経口投与、局所投与、直腸投与又は非経口投与(皮下投与、腹腔内投与、皮内投与、筋肉内投与、静脈投与、等々を含む)により投与される。薬剤及びそれらを製造するのに必要な賦形剤の様々な投与方法は、例えば「ガレノス薬理学契約」(C.フォーリ・i・トリロ、1993年、ルーザン5、S.A.エディシオン社、マドリッド)又は他のスペインあるいは米国の一般的な調剤書あるいはそれらに類似した書物において解説されている。
【0040】
本発明のさらに他の目的は、腸炎、関節炎、アトピー性皮膚炎及び他の皮膚炎、神経炎、脳炎、脳髄膜炎、中枢神経を冒す炎症(多発性硬化症)又は末端神経を冒す炎症、筋炎、血管炎、全身性エリテマトーデス、炎症の症状を伴う疾患、移植物宿主拒絶反応、結膜炎、および眼、耳、および粘膜の炎症及び/又は自己免疫疾患あるいは自己免疫疾患の治療を目的とした薬剤の製造のための式(I)である本発明化合物またはその混合物の利用方法(以降“本発明化合物の利用方法”)の提供である。
【0041】
本発明の化合物の使用は、それ自体で、又は他の治療または他の医療と組み合わされて式(I)の化合物またはその混合物が使用されるプロトコルにおけるそれらの使用にも利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は本発明の化学式Iaの化合物の合成図である。
【図2】図2は本発明の化学式Ibの化合物の合成図である。
【図3】図3は本発明の化学式Icの化合物の合成図である。
【図4】図4は本発明の化学式Idの化合物の合成図である。
【図5】図5は誘導体TC3.6及びTC3.14の細胞内cAMPの増加の測定図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
【実施例1】
【0044】
4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(化合物Ia、図1)の誘導体を得るための一般的手法
【0045】
対応する量のエタノール内の2−アミノ安息香酸の誘導体の溶液に対して、それぞれの場合に対応する量のイソチオシアネート(1当量)を0℃にて加える。反応混合物を4℃で撹拌し、沈殿物の形成を確認する。その固形物を真空濾過により単離し、必要な生成物を得る。特に要求される場合にのみ、カラムクロマトグラフィによる固形物の純化が必要であった。

−6−ブロモ−3−フェニル−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラギドロキナゾリン(TC2.30)
【0046】
上記の化合物は前述の一般方法により得られる。

試薬:5−ブロモ−2−アミノ安息香酸(800mg、3.70mmol)、フェニルイソチオシアネート(0.44mL、3.70mmol)、エタノール(37.03mL)。反応時間:3日間。生成物:白色固形物(493.70mg、40%)

H−RMN(300MHz、DMSO−d)、δ:13:22(sa、1H、NH);8.09(d、1H、J=2.1Hz、H−5);8.03(dd、1H、J=8.7及び2.1Hz、H−7);7.50−7.37(m、4H、H−c、H−c’、H−d、H−8);7.35(d、2H、J=7.3Hz、H−b、H−b’)

13C−RMN(75MHz、DMSO−d6)、δ:176.0(C−2);158.7(C−4);139.1(C−a);138.8(C−8a);138.1(C−7);129.2(C−5);128.9(2C、C−c、C−c’);128.8(2C、C−b、C−b’);128.1(C−d)、118.2(C−8);118.0(C−4a);115.7(C−6)

EM(ES):m/z=333、335(M+H)、355、357(M+Na)

14BrNOSの構成要素分析:
【0047】
【化3】

理論値:C%50.46 H%2.72 N%8.41 S%9.62

実測値:C%50.19 H%2.88 N%8.35 S%9.34

−6−ブロモ−3−(2,6−ジフルオリフェニル)−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC.3.29)
【0048】
上記の化合物は前述の一般方法により得られる。

試薬:5−ブロモ−2−アミノ安息香酸(600mg、2.77mmol)、2,6−ジフルオロフェニルイソチオシアネート(0.35mL、2.77mmol)、エタノール(27.70mL)。反応時間:17日間。生成物:白色固形物(354.30mg、35%)

H−RMN(300MHz、DMSO−d)、δ:13:56(sa、1H、NH);8.07(d、1H、J=2.2Hz、H−5);8.01(dd、1H、J=8.7及び2.2Hz、H−7);7.66−7.56(m、1H、H−d);7.42(d、1H、J=8.7Hz、H−8)7.33−7.28(m、2H、Hc、Hc’)

13C−RMN(75MHz、DMSO−d6)、δ:174.5(C−2);157.7(dd、2C、J=248.7及び4.4Hz、C−b、C−b’);157.6(C−4);139.2(C−7);138.9(C−8a);131.6(t、1C、J=10.0Hz、C−d);129.4(C−5);118.6(C−8);116.7(C−6);116.5(C−4a);114.9(t、1C、J=16.8Hz、C−a);112.2(dd、2C、J=19.6及び2.6Hz、C−c、C−c’)

EM(ES):m/z=369、371(M+H)

14BrFOSの構成要素分析:

理論値:C%45.55 H%1.91 N%7.59 S%8.69

実測値:C%45.31 H%2.19 N%7.47 S%8.41

HPLC:純度=98%

−6−ブロモ−3−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC3.30)
【0049】
上記の化合物は前述の一般方法により得られる。

試薬:5−ブロモ−2−アミノ安息香酸(600mg、2.77mmol)、1,3,4−トリフルオロフェニルイソチオシアネート(0.36mL、2.77mmol)、エタノール(27.70mL)、反応時間:4日間。生成物:白色固形物(540.10mg、50%)

H−RMN(300MHz、DMSO−d)、δ:13:43(sa、1H、NH);8.04(d、1H、J=2.2Hz、H−5);7.99(dd、1H、J=8.7及び2.2Hz、H−7);7.56−7.42(m、2H、H−c、H−b);7.39(d、1H、J=8.7Hz、H−8)

13C−RMN(75MHz、DMSO−d6)、δ:175.1(C−2);158.2(C−4);150.3(d、1C、J=257.1Hz、C−d);146.5(dd、1C、J=246.4及び14.4Hz、C−b’);139.2(ddd、1C、J=231.2、15.9及び14.1Hz、C−c’);138.8(C−8a);138.7(C−7);129.3(C−5);126.0(dd、1C、J=8.4及び3.6Hz、C−b);123.8(dd、1C、J=10.7及び4.1Hz、C−a);118.4(C−8);117.3(C−4a);116.4(C−6);112.7(dd、1C、J=18.0及び3.4Hz、C−c)

EM(IE):m/z=366、368(M−F、91、100)、386、388(M、18、19)

14BrFOSの構成要素分析:
【0050】
【化4】

理論値:C%43.43 H%1.56 N%7.24 S%8.28

実測値:C%43.11 H%1.68 N%7.07 S%7.98

−6−ブロモ−3−(2−ブロモフェニル)−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC.3.28)
【0051】
上記の化合物は前述の一般方法により得られる。

試薬:5−ブロモ−2−アミノ安息香酸(600mg、2.77mmol)、2−ブロモフェニルイソチオシアネート(0.37mL、2.77mmol)、エタノール(27.70mL)。反応時間:9日間。生成物:白色固形物(584.70mg、51%)

H−RMN(300MHz、DMSO−d)、δ:13:30(sa、1H、NH);8.05(d、1H、J=2.2Hz、H−5);7.98(dd、1H、J=8.7及び2.2Hz、H−7);7.76(d、1H、J=7.5Hz、H−c’)、7.54−7.46(m、2H、H−c、H−b);7.42−7.35(m、2H、H−8、H−d)

13C−RMN(75MHz、DMSO−d6)、δ:175.0(C−2);158.0(C−4);138.8(C−7);138.7(C−8a);138.2(C−a);132.9(C−c’);131.2(C−b);130.4(C−d);129.4(C−5);128.7(C−c);122.2(C−b’);118.3(C−8);117.5(C−4a);116.3(C−6)

EM(IE):m/z=331、333(M−Br、100、98)

EM(ES):m/z=413(M+H)、825(2M+H)、887(2M+Na+K+H)

14BrOSの構成要素分析:
【0052】
【化5】

理論値:C%40.80 H%1.96 N%6.80 S%7.78

実測値:C%40.80 H%1.96 N%6.80 S%7.78

HPLC:純度=97%

−8−メチル−3−フェニル−2−メルカプト−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC.2.31)
【0053】
上記の化合物は前述の一般方法により得られる。

試薬:3−メチル−2−アミノ安息香酸(50mg、0.33mmol)、フェニルイソチオシアネート(39.57μL、0.33mmol)、エタノール(3.30mL)。反応時間:3日間。得られた固形物は、その後の純化処理なく以下の工程で使用された。

−3−(2,6−ジフルオロフェニル)−8−メチル−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC3.16)
【0054】
上記の化合物は前述の一般方法により得られる。

試薬:3−メチル−2−アミノ安息香酸(700mg、4.63mmol)、2,6−ジフルオロフェニルイソチオシアネート(0.59mL、4.63mmol)、エタノール(46.30mL)。反応時間:13日間。純化:ヘキサン/酢酸エチル(5:1)を溶離液として使用したカラムクロマトグラフィ。生成物:白色固形物(642.70mg、46%)

H−RMN(300MHz、CDCl)、δ:9.38(sa、1H、NH);8.07(d、1H、J=7.9Hz、H−5);7.59(d、1H、J=7.3Hz、H−7);7.54−7.44(m、1H、H−d)、7.29(dd、1H、J=7.9及び7.3Hz、H−6);7.14−7.09(m、2H、Hc、Hc’);2.50(s、3H、Me)

13C−RMN(75MHz、CDCl)、δ:175.5(C−2);158.9(C−4);158.4(dd、2C、J=251.4及び4.2Hz、C−b、C−b’);137.3(C−8a);137.0(C−7);130.8(t、1C,J=9.75Hz、C−d);126.9(C−5);124.7(C−6);122.5(C−8);115.5(2C、C−a、C−4a);122.0(dd、2C、J=19.8及び3.1Hz、C−c、C−c’);16.2(Me)

EM(ES):m/z=305(M+H)、327(M+Na)、631(2M+Na)

EM(IE):m/z=285(M−F、100)、304(M、60)

1510OSの構成要素分析:
【0055】
【化6】

理論値:C%59.20 H%3.31 N%9.21 S%10.54

実測値:C%59.10 H%3.45 N%9.40 S%10.65

−3−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−8−メチル−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC3.17)
【0056】
上記の化合物は前述の一般方法により得られる。

試薬:3−メチル−2−アミノ安息香酸(700mg、4.63mmol)、2,3,4−トリフルオロフェニルイソチオシアネート(0.61mL、4.63mmol)、エタノール(46.30mL)。反応時間:4日間。純化:ヘキサン/酢酸エチル(3:1)を溶離液として使用したカラムクロマトグラフィ。生成物:白色固形物(505.40mg、34%)

H−RMN(300MHz、CDCl)、δ:9.36(sa、1H、NH);8.01(d、1H、J=7.8Hz、H−5);7.56(dd、1H、J=7.4及び0.5Hz、H−7);7.26(dd、1H、J=7.8及び7.4Hz、H−6);7.16−7.04(m、2H、H−c、H−b);2.46(s、3H、Me)

13C−RMN(75MHz、CDCl)、δ:175.8(C−2);159.4(C−4);151.6(ddd、1C、J=251.0、10.0及び2.9Hz、C−d);147.6(ddd、1C、J=253.1、11.0及び3.9Hz、C−b’);140.8(ddd、1C、J=251.7、15.8及び13.8Hz、C−c’);137.2(C−8a);137.1(C−7);126.9(C−5);124.9(C−6);124.2(dd、1C、J=8.1及び4.1Hz、C−b);123.4(dd、1C、J=10.9及び4.4Hz、C−a);122.5(C−8);115.7(C−4a);112.1(dd、1C、J=18.6及び3.9Hz、C−c);16.2(Me)

EM(IE):m/z=303(M−F、100)、322(M、61)

15OSの構成要素分析:
【0057】
【化7】

理論値:C%55.90 H%2.81 N%8.69 S%9.95

実測値:C%55.84 H%3.01 N%8.57 S%9.97

HPLC:純度=99%

−3−(2−ブロモフェニル)−8−メチル−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC.3.14)
【0058】
上記の化合物は前述の一般方法で得られる。

試薬:3−メチル−2−アミノ安息香酸(700mg、4.63mmol)、2−ブロモフェニルイソチオシアネート(0.62mL、4.63mmol)、エタノール(46.30mL)。反応時間:5日間。純化:ヘキサン/酢酸エチル(8:1)を溶離液として使用したカラムクロマトグラフィ。生成物:白色固形物(854.30mg、53%)

H−RMN(200MHz、DMSO−d)、δ:11.98(sa、1H、NH);7.86(d、1H、J=7.9Hz、H−5);7.76(d、1H、J=8.0Hz、H−c’);7.65(d、1H、J=7.5Hz、H−7);7.56−7.46(m、2H、H−c、H−b)、7.42−7.35(m、1H、H−d);7.29(dd、1H、J=7.9及び7.5Hz、H−6);2.53(s、1H、Me)

13C−RMN(75MHz、DMSO−d)、δ:175.4(C−2);159.0(C−4);138.3(C−8a);138.0(C−a);137.2(C−7);132.7(C−c’);131.1(C−b);130.2(C−d);128.6(C−c);125.3(C−5);124.7(C−8);124.4(C−6);122.2(C−b’);116.0(C−4a);17.4(Me)

EM(IE):m/z=267(M−Br、100)

1511BrNOSの構成要素分析:
【0059】
【化8】

理論値:C%51.89 H%3.19 N%8.07 S%9.23

実測値:C%52.03 H%3.32 N%8.16 S%9.16

HPLC:純度>99%
【実施例2】
【0060】
2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(化合物Ib、図2)の誘導体を得るための一般的手法
【0061】
4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリンの誘導体の溶液に、対応量のDMF(1当量)KCOを加え(1当量)、室温で1時間撹拌する。その後、ヨウ化メチル(1.5当量)を加え、室温で撹拌する。続いて、溶剤を減圧下における蒸発処理により除去し、それぞれの要求に応じて得られる固形物を純化する。

−6−ブロモ−3−フェニル−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC3.47)
【0062】
上記の化合物は前述の一般方法で得られる。

試薬:TC2.30(60mg、0.18mmol)、KCO(24.90mg、0.18mmol)、DMF(3.91mL)、ヨウ化メチル(16.81μL、0.27mmol)。反応時間:3時間。純化:ヘキサン/酢酸エチル(4:1)を溶離液として使用したカラムクロマトグラフィ。生成物:白色固形物(60.80mg、97%)

H−RMN(300MHz、CDCl)、δ:8.35(d、1H、J=2.2Hz、H−5);7.80(dd、1H、J=8.6及び2.2Hz、H−7);7.57−7.54(m、3H、H−c、H−c’、H−d)、7.51(d、2H、J=8.6Hz、H−8);7.33−7.27(m、2H、H−b、H−b’);2.51(Me)

13C−RMN(75MHz、CDCl)、δ:160.7(C−4);158.8(C−2);146.8(C−8a);137.7(C−7);135.7(C−a);130.9(C−d);129.8(2C、C−c、C−c’);129.7(C−5);129.1(2C、C−b、C−b’);128.1(C−8);121.3(C−4a);119.0(C−6);15.5(Me)

EM(ES):m/z=347、349(M+H)、717(M+Na)

1511BrNOSの構成要素分析:
【0063】
【化9】

理論値:C%51.89 H%3.19 N%8.07 S%9.23

実測値:C%51.71 H%3.04 N%7.98 S%9.10

−6−ブロモ−3−(2,6−ジフルオロフェニル)−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC.3.36)
【0064】
上記の化合物は前述の一般方法で得られる。

試薬:TC3.29(100mg、0.27mmol)、KCO(37.45mg、0.27mmol)、DMF(5.86mL)、ヨウ化メチル(25.22μL、0.40mmol)。反応時間:4時間;純化:ヘキサン/酢酸エチル(8:1)を溶離液として使用したカラムクロマトグラフィ。生成物:白色固形物(102.40mg、99%)

H−RMN(300MHz、CDCl)、δ:8.35(d、1H、J=2.3Hz、H−5);7.82(dd、1H、J=8.6及び2.3Hz、H−7);7.58−7.43(m、1H、H−d)、7.51(d、1H、J=8.6Hz、H−8);7.14−7.08(m、2H、H−c、H−c’);2.57(Me)

13C−RMN(75MHz、CDCl)、δ:159.4(C−4);158.9(dd、2C、J=253.7及び3.4Hz、C−b、C−b’);157.8(C−2);146.6(C−8a);138.0(C−7);132.2(t、1C、J=9.8Hz、C−d);129.8(C−5);128.2(C−8);120.6(C−4a);119.2(C−6);112.8(t、1C、J=16.9Hz、C−a);112.4(dd、2C、J=19.8及び3.3Hz、C−c、C−c’);15.0(Me)

EM(ES):m/z=383、385(M+H)、405、407(M+Na)、789(2M+Na)

15BrFOSの構成要素分析:

理論値:C%47.01 H%2.37 N%7.31 S%8.37

実測値:C%47.31 H%2.37 N%7.24 S%8.32

−6−ブロモ−3−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC.3.32)
【0065】
上記の化合物は前述の一般方法で得られる。

試薬:TC3.30(100mg、0.25mmol)、KCO(35.71mg、0.25mmol)、DMF(5.60mL)、ヨウ化メチル(24.10μL、0.38mmol)。反応時間:4時間;純化:ヘキサン/酢酸エチル(10:1)を溶離液として使用したカラムクロマトグラフィ。生成物:白色固形物(66.30mg、64%)

H−RMN(300MHz、CDCl)、δ:8.32(d、1H、J=2.3Hz、H−5);7.82(dd、1H、J=8.6及び2.3Hz、H−7);7.51(d、1H、J=8.6Hz、H−8);7.21−7.06(m、2H、H−c、H−b);2.56(Me)

13C−RMN(75MHz、CDCl)、δ:159.7(C−4);157.6(C−2);152.4(ddd、1C、J=253.3及び2.9Hz、C−d);148.0(ddd、1C、J=255.6、10.9及び4.3Hz、C−b’);146.5(C−8a);140.7(ddd、1C、J=253.2、15.6及び13.8Hz、C−c’);138.1(C−7);129.7(C−5);128.2(C−8);124.9(dd、1C、J=8.1及び3.9Hz、C−b);120.5(dd、1C、J=11.1及び3.9Hz、C−a);120.5(C−4a);119.3(C−6);112.4(dd、1C、J=18.6及び3.9Hz、C−c);15.7(Me)

EM(ES):m/z=401、403(M+H)、423、425(M+Na)

15BrFOSの構成要素分析:
【0066】
【化10】


理論値:C%44.91 H%2.01 N%6.98 S%7.99

実測値:C%44.71 H%2.02 N%6.69 S%7.58

−6−ブロモ−3−(2−ブロモフェニル)−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC3.35)
【0067】
上記の化合物は前述の一般方法で得られる。

試薬:TC3.28(125mg、0.30mmol)、KCO(41.93mg、0.30mmol)、DMF(6.58mL)、ヨウ化メチル(28.30μL、0.45mmol)。反応時間:5時間;純化:ヘキサン/酢酸エチル(6:1)を溶離液として使用したカラムクロマトグラフィ。生成物:白色固形物(89.10mg、69%)

H−RMN(300MHz、CDCl)、δ:8.39(d、1H、J=2.3Hz、H−5);7.84(dd、1H、J=8.6及び2.3Hz、H−7);7.80(dd、1H、J=7.8及び1.3Hz、H−c’);7.55(d、1H、J=8.6Hz、H−8);7.56−7.50(m、1H、H−c);7.47−7.39(m、2H、H−b、H−d);2.57(s、3H、Me)

13C−RMN(75MHz、CDCl)、δ:159.7(C−4);158.0(C−2);146.7(C−8a);137.8(C−7);135.0(C−a);133.9(C−c’);131.6(C−b);130.9(C−d);129.8(C−5);128.7(C−c);128.1(C−8);123.7(C−b’);121.0(C−4a);119.0(C−6);15.3(Me)

EM(ES):m/z=425、427、429(M+H)、447、449、451(M+Na)、875(2M+Na)

1510BrOSの構成要素分析:
【0068】
【化11】

理論値:C%42.28 H%2.37 N%6.57 S%7.52

実測値:C%42.42 H%2.49 N%6.57 S%7.23

HPLC:純度=98%

−フェニル−8−メチル−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC3.15b)
【0069】
上記の化合物は前述の一般方法で得られる。

試薬:TC.2.31(130mg、0.48mmol)、KCO(67.04mg、0.48mmol)、DMF(10.54mL)、ヨウ化メチル(45.30μL、0.72mmol)。反応時間:24時間。純化:ヘキサン/酢酸エチル(8:1)を溶離液として使用したカラムクロマトグラフィ。生成物:白色固形物(9.70mg、7%)

H−RMN(300MHz、CDCl)、δ:8.09(d、1H、J=7.9Hz、H−5);7.60(dd、1H、J=7.2及び0.6Hz、H−7);7.57−7.52(m、3H、H−c、H−c’、H−d)、7.35−7.27(m、2H、H−b、H−b’、H−6);2.62(s、3H、Me);2.54(s、3H、SMe)

13C−RMN(75MHz、CDCl)、δ:162.1(C−4);156.6(C−2);146.2(C−8a);136.0(C−a);135.1(C−7);134.7(C−8);129.8(C−d);129.6(2C、C−c、C−c’);129.1(2C、C−b、C−b’);125.3(C−6);124.8(C−5);119.6(C−4a);17.2(Me);15.5(SMe)

EM(ES):m/z=283(M+H)、587(2M+Na)

EM(IE):m/z=282(M、100)

1614OSの構成要素分析:
【0070】
【化12】

理論値:C%68.06 H%5.00 N%9.92 S%11.36

実測値:C%67.89 H%4.78 N%9.94 S%11.18

−3−(2,6−ジフルオロフェニル)−8−メチル−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC3.23)
【0071】
上記の化合物は前述の一般方法で得られる。

試薬:TC3.16(100mg、0.32mmol)、KCO(45.46mg、0.32mmol)、DMF(7.13mL)、ヨウ化メチル(30.64μL、0.49mmol)。反応時間:4時間;純化:ヘキサン/酢酸エチル(5:1)を溶離液として使用したカラムクロマトグラフィ。生成物:白色固形物(59.50mg、57%)

H−RMN(300MHz、CDCl)、δ:8.10(dd、1H、J=7.9及び0.7Hz、H−5);7.61(dd、1H、J=7.3及び0.7Hz、H−7);7.56−7.46(m、1H、H−d)、7.31(dd、1H、J=7.9及び7.3Hz、H−6);7.14−7.08(m、2H、H−c、H−c’);2.62(s、3H、Me);2.60(s、3H、SMe)

13C−RMN(75MHz、CDCl)、δ:161.0(C−4);159.0(dd、2C、J=253.5及び3.6Hz、C−b、C−b’);
155.7(C−2);146.1(C−8a);135.5(C−7);134.9(C−8);131.9(t、1C、J=9.8Hz、C−d);125.5(C−6);124.9(C−5);119.1(C−4a);113.1(t、1C、J=16.9Hz、C−a);.112.3(dd、2C、J=19.9及び3.3Hz、C−c、C−c’);17.1(Me);15.0(SMe)

EM(IE):m/z=318(M、100)

1612OSの構成要素分析:
【0072】
【化13】

理論値:C%60.37 H%3.80 N%8.80 S%10.07

実測値:C%60.18 H%3.65 N%8.62 S%9.78

−3−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−8−メチル−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC3.24)
【0073】
上記の化合物は前述の一般方法で得られる。

試薬:TC3.17(75mg、0.23mmol)、KCO(32.19mg、0.23mmol)、DMF(5.06mL)、ヨウ化メチル(21.67μL、0.34mmol)。反応時間:5時間。純化:ヘキサン/酢酸エチル(6:1)を溶離液として使用したカラムクロマトグラフィ。生成物:白色固形物(43.50mg、56%)

H−RMN(300MHz、CDCl)、δ:8.08(dd、1H、J=7.9及び0.7Hz、H−5);7.61(d、1H、J=7.3Hz、H−7);7.31(dd、1H、J=7.9及び7.3Hz、H−6);7.19−7.07(m、2H、H−c、H−b);2.61(s、3H、Me);2.59(s、3H、SMe)

13C−RMN(75MHz、CDCl)、δ:161.3(C−4);155.5(C−2);152.3(ddd、1C、J=252.9、9,9及び2.2Hz、C−d);148.2(ddd、1C、J=254.2、11.5及び4.5Hz、C−b’);146.0(C−8a);140.7(ddd、1C、J=252.9、15.6及び14.1Hz、C−c’);135.7(C−7);134.9(C−8);125.7(C−6);125.0(dd、1C、J=8.1及び3.9Hz、C−b);124.9(C−5);121.0(dd、1C、J=11.2及び3.9Hz、C−a);119.1(C−4a);112.3(dd、1C、J=18.5及び3.8Hz、C−c);17.1(Me);15.2(SMe)

EM(IE):m/z=336(M、100)

1611OSの構成要素分析:
【0074】
【化14】


理論値:C%57.14 H%3.30 N%8.33 S%9.53

実測値:C%57.35 H%3.46 N%8.23 S%9.21

3−(2−ブロモフェニル)−8−メチル−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC3.22)
【0075】
上記の化合物は前述の一般方法で得られる。

試薬:TC3.14(250mg、0.72mmol)、KCO(99.57mg、0.72mmol)、DMF(15.65mL)、ヨウ化メチル(67.30μL、1.08mmol)。反応時間:6時間。純化:ヘキサン/酢酸エチル(5:1)を溶離液として使用したカラムクロマトグラフィ。生成物:白色固形物(220.40mg、85%)

H−RMN(300MHz、CDCl)、δ:8.12(d、1H、J=7.9Hz、H−5);7.77(dd、1H、J=7.5及び1.3Hz、H−c’);7.61(d、1H、J=7.2Hz、H−7);7.50(td、1H、J=7.5及び1.3Hz、H−c);7.45−7.37(m、2H、H−b、H−d);7.30(dd、1H、J=7.9及び7.2Hz、H−6);2.64(s、1H、Me);2.58(s、1H、SMe)

13C−RMN(75MHz、CDCl)、δ:161.3(C−4);155.8(C−2);146.2(C−8a);135.4(C−a);135.3(C−7);134.7(C−8);133.8(C−c’);131.4(C−b);131.0(C−d);128.6(C−c);125.4(C−6);124.0(C−5);123.9(C−b’);119.4(C−4a);17.2(Me);15.3(SMe)

EM(IE):m/z=266(M−Br−Me、47)、281(M−Br、100)、360、362(M、8、9)

1613BrNOSの要素分析:
【0076】
【化15】

理論値:C%53.20 H%3.63 N%7.75 S%8.88

実測値:C%52.90 H%3.48 N%7.75 S%8.59

HPLC:純度=99%
【実施例3】
【0077】
2,4−ジチオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(化合物Ic、図3)の誘導体を得る一般的手法
【0078】
対応量のトルエン内の4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリンの誘導体の溶液にローソン(Lawesson’s)試薬(1.5当量)を加え、撹拌して還流する。続いて、反応混合物を室温に冷却し、減圧下で溶剤を蒸発処理により除去する。得られる固形物を要求に応じて純化する。
【0079】

−3−フェニル−2,4−ジチオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC.3.6)
【0080】
上記の化合物は前述の一般方法で得られる。

試薬:3−フェニル−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC3.5)(75mg、0.29mmol)、ローソン試薬(178.93mg、0.44mmol)、トルエン(6.41mL)。反応時間:24時間。純化:ヘキサン/酢酸エチル(9:1)を溶離液として使用したカラムクロマトグラフィ。生成物:オレンジ固形物(50.30mg、63%)

H−RMN(300MHz、DMSO−d)、δ:13.48(sa、1H、NH);8.32(dd、1H、J=8.2及び1.0Hz、H−5);7.78(ddd、1H、J=8.3、7.0及び1.0Hz、H−7);7.50−7.42(m、3H、H−c、H−c’、H−6);7.39−7.32(m、2H、H−d、H−8);7.21(dd、1H、J=8.3及び1.1Hz、H−b、Hb’)

13C−RMN(75MHz、DMSO−d)、δ:189.8(C−4);172.8(C−2);144.2(C−a);135.8(C−7);135.2(C−8a);131.7(C−5);129.2(2C、C−c、C−c’);128.5(2C、C−b、C−b’);127.9(C−d);125.2(C−8);123.7(C−4a);115.9(C−6)
【0081】
【化16】

EM(ES):m/z=271(M+H)、293(M+Na)

EM(IE):m/z=270(M、60)

HPLC:純度=98%

−3−(2,6−ジフルオロフェニル)−2,4−ジチオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC2.49)
【0082】
上記の化合物は前述の一般方法で得られる。

試薬:3−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC2.40)(100mg、0.34mmol)、ローソン試薬(208.96mg、0.51mmol)、トルエン(7.49mL)。反応時間:4日間。純化:ヘキサン/酢酸エチル(8:1)を溶離液として使用したカラムクロマトグラフィ。生成物:オレンジ固形物(42.80mg、41%)

H−RMN(300MHz、DMSO−d)、δ:13.83(sa、1H、NH);8.33(dd、1H、J=8.2及び1.3Hz、H−5);7.87(ddd、1H、J=8.4、7.4及び1.3Hz、H−7);7.64−7.54(m、1H、H−d);7.46(dd、1H、J=8.4及び0.9Hz、H−8);7.41(ddd、1H、J=8.2、7.4及び0.9Hz、H−6);7.33−7.26(m、2H、H−c、H−c’)

13C−RMN(75MHz、DMSO−d)、δ:188.2(C−4);171.4(C−2);156.1(dd、2C、J=247.8及び4.8Hz、C−b、C−b’);136.7(C−7);135.0(C−8a);131.4(C−5);131.1(t、1C、J=9.8Hz、C−d);125.8(C−6);122.3(C−4a);119.7(t、1C、J=16.5Hz、C−a);116.2(C−8);112.2(dd、2C、J=19.4及び3.0Hz、C−c、C−c’)

EM(IE):m/z=306(M、8)

14の構成要素分析:
【0083】
【化17】

理論値:C%54.89 H%2.63 N%9.14 S%20.93

実測値:C%54.65 H%2.91 N%9.32 S%20.78

−3−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−2,4−ジチオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC2.45)
【0084】
上記の化合物は前述の一般方法で得られる。

試薬:3−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC2.39)(100mg、0.32mmol)、ローソン試薬(196.75mg、0.48mmol)、トルエン(7.05mL)。反応時間:24時間。純化:ヘキサン/酢酸エチル(4:1)を溶離液として使用したカラムクロマトグラフィ。生成物:オレンジ固形物(44.00mg、42%)

H−RMN(300MHz、DMSO−d)、δ:13.74(sa、1H、NH);8.32(d、1H、J=8.2Hz、H−5);7.84(ddd、1H、J=8.2、7.2及び1.2Hz、H−7);7.56−7.37(m、4H、H−6、H−8、C−b、C−c)

13C−RMN(75MHz、DMSO−d)、δ:189.4(C−4);172.1(C−2);150.3(dd、1C、J=247.2及び8.1Hz、C−d);146.0(dd、1C、J=245.1及び10.0Hz、C−b’);139.7(ddd、1C、J=246.3、15.6及び14.1Hz、C−c’);136.5(C−7);135.3(C−8a);131.6(C−5);128.8(dd、1C、J=10.2及び3.9Hz、C−a);125.8(C−8);125.5(dd、1C、J=8.7及び3.4Hz、C−b);123.2(C−4a);116.2(C−6);113.1(dd、1C、J=18.2及び3.4Hz、C−c)

EM(IE):m/z=324(M、13)

14の構成要素分析:
【0085】
【化18】

理論値:C%51.84 H%2.18 N%8.64 S%19.77

実測値:C%51.67 H%2.23 N%8.83 S%19.98
【実施例4】
【0086】
2−メチルチオ−4−チオキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(化合物Id、図4)の誘導体をための得る一般的方法
【0087】
対応量のトルエン(1当量)内の2−メトキシ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリンの誘導体の溶液にローソン試薬(1.5当量)を加え、撹拌して環流する。その後、反応混合物を室温に冷却し、溶剤を減圧下にて蒸発処理により除去する。得られる固形物をそれぞれ必要に応じて純化する。

−3−フェニル−2−メチルチオ−4−チオキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC3.9)
【0088】
上記の化合物は前述の一般方法で得られる。

試薬:3−フェニル−2−メチルチオ−4−チオキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC3.7)(75mg、0.27mmol)、ローソン試薬(169.58mg、0.41mmol)、トルエン(6.08mL)。反応時間:24時間。純化:ヘキサン/酢酸エチル(6:1)を溶離液として使用したカラムクロマトグラフィ。生成物:黄色固形物(73.90mg、93%)

H−RMN(300MHz、CDCl)、8.68(ddd、1H、J=8.2、1.3及び0.3Hz、H−5);7.70(ddd、1H、J=8.2、6.9及び1.3Hz、H−7);7.59(dd、1H、J=8.2及び0.9Hz、H−8);7.56−7.51(m、3H、H―d、H−b、H−b’);7.37(ddd、1H、J=8.2、6.9及び0.9Hz、H−6);7.26−7.22(m、2H、H−c、H−c’)、2.49(s、3H、Me)

13C−RMN(75MHz、CDCl)、δ:189.9(C−4);157.4(C−2);142.8(C−8a);140.4(C−a);134.8(C−7);131.1(C−5);129.9(C−d);129.8(2C、C−b、C−b’);128.8(2C、C−c、C−c’);127.5(C−4a);126.9(C−6);126.8(C−8);16.0(Me)

EM(ES):m/z=285(M+H)、307(M+Na)、591(2M+Na)

1512の構成要素分析:
【0089】
【化19】

理論値:C%63.35 H%4.25 N%9.85 S%22.55

実測値:C%63.58 H%4.76 N%9.83 S%22.30

HPLC:純度=98%

−3−(2,6−ジフルオロフェニル)−2−メチルチオ−4−チオキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC3.1)
【0090】
上記の化合物は前述の一般方法で得られる。

試薬:3−(2,6−ジフルオロフェニル)−2−メチルチオ−4−チオキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC2.43)(75mg、0.24mmol)、ローソン試薬(149.50mg、0.37mmol)、トルエン(5.36mL)。反応時間:8時間。純化:ヘキサン/酢酸エチル(7:1)を溶離液として使用したカラムクロマトグラフィ。生成物:黄色固形物(48.00mg、61%)

H−RMN(300MHz、CDCl)、δ:8.71(ddd、1H、J=8.2、1.3及び0.5Hz、H−5);7.77(ddd、1H、J=7.9、7.1及び1.3Hz、H−7);7.64(ddd、1H、J=7.9、1.1及び0.5Hz、H−8);7.58−7.52(m、1H、H−d);7.43(ddd、1H、J=8.2、7.1及び1.1Hz、H−6);7.16−7.10(m、2H、H−c、H−c’)、2.59(s、3H、Me)

13C−RMN(75MHz、CDCl)、δ:189.2(C−4);158.2(dd、2C、J=253.7及び4.0Hz、C−b、C−b’);156.6(C−2);142.8(C−8a);135.2(C−7);132.2(t、1C、J=9.7Hz、C−d);131.1(C−5);127.1(C−6);127.1(C−4a);126.9(C−8);117.2(t、1C、J=16.5Hz、C−a);112.5(dd、2C、J=19.3及び3.5Hz、C−c、C−c’);15.5(Me)

EM(ES):m/z=321(M+H)

1510の構成要素分析:
【0091】
【化20】


理論値:C%56.23 H%3.15 N%8.74 S%20.02

実測値:C%55.98 H%3.56 N%8.45 S%19.92

−3−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−2−メチルチオ−4−チオキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC.2.51)
【0092】
上記の化合物は前述の一般方法で得られる。

試薬:3−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−2−メチルチオ−4−チオキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC2.41)(75mg、0.23mmol)、ローソン試薬(141.14mg、0.34mmol)、トルエン(5.06mL)。反応時間:7時間。純化:ヘキサン/酢酸エチル(6:1)を溶離液として使用したカラムクロマトグラフィ。生成物:黄色固形物(46.80mg、60%)

H−RMN(300MHz、CDCl)、δ:8.68(ddd、1H、J=8.2、1.3及び0.4Hz、H−5);7.77(ddd、1H、J=8.1、7.1及び1.3Hz、H−7);7.64(dd、1H、J=8.1及び0.9Hz、H−8);7.44(ddd、1H、J=8.2、7.1及び0.9Hz、H−6);7.23−7.13(m、1H、H−c)、7.11−7.04(m、1H、H−b);2.49(s、3H、Me)

13C−RMN(75MHz、CDCl)、δ:189.6(C−4);156.5(C−2);152.4(ddd、1C、J=253.2、9.8及び3.0Hz、C−d);147.6(ddd、1C、J=255.5、10.9及び4.1Hz、C−b’);142.6(C−8a);141.0(ddd、1C、J=253.0、15.9及び13.5Hz、C−c’);135.3(C−7);131.1(C−5);127.2(C−6);127.2(C−4a);126.9(C−8);124.9(dd、1C、J=10.5及び4.1Hz、C−a);124.6(dd、1C、J=8.2及び4.0Hz、C−b);112.7(dd、1C、J=18.6及び3.8Hz、C−c);15.8(Me)

EM(ES):m/z=319(M−F)、339(M+H)、677(2M+H)

15の構成要素分析:
【0093】
【化21】


理論値:C%53.24 H%2.68 N%8.28 S%18.95

実測値:C%53.28 H%2.73 N%8.87 S%18.99

−3−(2−ブロモフェニル)−2−メチルチオ−4−チオキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC3.13)
【0094】
上記の化合物は前述の般方法で得られる。

試薬:3−(2−ブロモフェニル)−2−メチルチオ−4−チオキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(TC3.11)(70mg、0.20mmol)、ローソン試薬(122.24mg、0.30mmol)、トルエン(4.38mL)。反応時間:6日間;純化:ヘキサン/酢酸エチル(5:1)を溶離液として使用したカラムクロマトグラフィ。生成物:黄色固形物(32.30mg、45%)

H−RMN(300MHz、CDCl)、δ:8.73(dd、1H、J=8.2及び0.9Hz、H−5);7.79−7.73(m、2H、H−c’、H−7);7.65(d、1H、J=8.1Hz、H−8);7.53(td、1H、J=7.5及び1.3Hz、H−c);7.45−7.35(m、3H、H−b、H−6、H−d);2.57(s、3H、Me)

13C−RMN(75MHz、CDCl)、δ:188.8(C−4);156.8(C−2);142.8(C−8a);139.2(C−a);135.0(C−7);134.0(C−c’);131.3(C−6);131.1(C−5);130.8(C−d);128.9(C−c);127.4(C−4a);127.0(C−b);126.9(C−8);123.2(C−b’);15.9(Me)

EM(ES):m/z=283(M−Br)

1511BrNの構成要素分析:
【0095】
【化22】


理論値:C%49.59 H%3.05 N%7.71 S%17.65

実測値:C%49.87 H%3.15 N%7.37 S%17.25

HPLC:純度=95%
【実施例5】
【0096】
生物学研究
【0097】
PDE阻害試験
【0098】
PDE7A1(aa.130−482)及びPDE4D2(aa.1−507)の完全酵素の触媒ドメインはpETベクター内でサブクローン化され、E.coli株BL21内で過剰発現され、参考文献(Hワン、Yリュー、Yチェン、Hロビンソン及びHケイの「多重要素が環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ4及び7の阻害選択性を共同で決定する」生物化学2005年280号30949〜30955頁)に解説されているように均質に純化された。PDE7A1とPDE4D2の酵素活性は、50mMのトリスHCl(pH8.5)と、50mMのMgClと、5mMのDTTと、H−cAMP(20000cpm/試験、シグマオールドリッチ社)とを含む100μlの反応混合物との、それら酵素の室温における10分間の培養を通して試験された。反応は20%から50%のcAMPが加水分解されたときに200μlの0.2MのZnSOを添加することで実施された。反応生成物であるH−AMPは、非反応H−AMPcが上澄み液内に残留しているとき200μlの0.25MのBa(OH)(シグマオールドリッチ社)を添加することで沈殿された。上澄み液の放射能は、放射能カウンターLKBラックベータ1214を使用してシンチレーション液(シンチセーフプラスTM50%、フィッシャサイエンティフィック社)の混合物で測定された。
【0099】
阻害測定のため、Kmの1/10に等しい基剤濃縮物と、基剤の50%を加水分解する酵素濃縮物との存在下で6つの阻害物質濃縮物が使用された。C150は、50%だけ酵素活性を阻害する化合物の濃縮物として定義される。全試験は2回づつ実行された。
【0100】
【表1】

細胞毒性の測定
【0101】
同時的に本発明の式(I)の化合物の細胞毒性が測定された。
【0102】
細胞死を判定するためにヨウ化プロピジウムを使用した細胞毒性試験はフローサイトメトリーを介してTh2リンパ球のクローン(D10.G4.1)に対して実行された。この技術は、膜が損傷を受けているためにヨウ化プロピジウムが侵入できることを利用した細胞の定量化に基づく。全細胞又は正常細胞は核酸内に点在するこの蛍光色素を通過させない。
【0103】
使用された細胞密度は、異なる密度の阻害物質の存在下に48時間放置された200μl(最終量)内で1x10細胞/mlであった。その後、それら細胞は洗浄され、1分間、5μg/mlのヨウ化プロピジウムで培養された。このように処理されたサンプルはBD・FACSCantoTM装置を使用してサイトメトリによって分析された。これらの実験は2つの商業品質阻害物質であるロリプラム(PDE4阻害物質)及びBRL50481(PDE7阻害物質)で並行的に実施された。
【0104】
この新合成化合物の分析から、最も毒性が弱いものはTC3.6、TC3.14及びTC3.15であると推定することが可能である。
【0105】
【表2】

【0106】
細胞内cAMP量の研究
【0107】
PDE阻害物質はcAMPの劣化が防止されるため、cAMPを増加させる直接的な効果を有する。Tリンパ球の細胞系に対するこの効果を確認するため、式(I)の2つの本発明化合物が選択された。すなわちTC3.6及びTC3.14が選択された。cAMP密度はアメルシャムバイオサイエンス社のcAMPバイオトラック酵素免疫分析キットを使用して測定された。図5で示すように、PDE4の阻害を通じて、検出される細胞内cAMP量を相当程度増加させる共力作用によってロリプラムとPDE7阻害物質の組み合わせではさらに大きな増加が観察されるが、細胞内cAMP量はコントロールよりもPDE7阻害物質により統計学的に大きく増加した。
【0108】
これら阻害物質で処理されたTリンパ球の細胞内cAMP量の決定は、PDE7の阻害が大量のcAMPを発生させることはないが、PDE4の阻害で発生する効果を共同的に増強させることができることを証明した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症又は自己免疫症の治療に有効である薬剤組成物又は医薬の製造のための下記式(I)のうちの少なくとも一種の化合物の利用であって、該化合物は酵素PDE7及び/又はPDE4の二重活性阻害作用を備えており、薬学的に受容可能な基剤、アジュバント又は賦形剤と共に利用されるものであり、
【化1】

式(I)
式中、
Aは飽和あるいは非飽和である5個、6個又は7個の構成要素を有する炭素環または選択的に置換された縮合複素環であり、二重結合であってもよく、
XとYは、水素、アルキル、=O、=S、−N(アルキル)、−N(アリール)、O−アルキル、O−アリール、S−アルキル及び−S−アリールで成る群からそれぞれ独立的に選択されるものであり、
R、R及びRは、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アリール、シクロアルキル、(Z)−アリール、ヘテロアリール、−OR、−C(O)OR、−(Z)−C(O)OR及び−S(O)−で成る群からそれぞれ独立的に選択されるものであり(nは0以上、tは1又は2)、あるいは薬学的に受容可能なそれらの塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物または立体異性体であり、前記誘導体とは薬学的に受容可能な化合物、すなわち、薬剤の製造に利用可能な式(I)の化合物の誘導体と、薬学的に受容可能な化合物の製造に有益な薬学的に受容不能な化合物とを含む概念であり、前記プロドラッグとは、患者に投与されると、式(I)の化合物の生体内利用性を有効に増強させるか、生物コンパートメント内に式(I)の化合物の放出を促す式(I)の化合物から派生する化合物のことであり、
例外として、Aが置換しないベンゼンであるときには、X=O、Y=Sであり、Aが置換しないベンゼンであるときには、X=O、Y=Oであり、Aが置換しないベンゼンであるときには、X=O、Y=S−Meであり、Aが置換しないチオフェンであるときには、X=O、Y=Sであり、Aが置換しないベンゾチオフェンであるときには、X=O、Y=Sであることを特徴とする利用。
【請求項2】
2−メチルチオ−4−チオキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(化合物Id)であることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項3】
下記化合物群に属していることを特徴とする請求項2記載の化合物:

−3−フェニル−2−メチルチオ−4−チオキソ−3,4−ヒドロキナゾリン;
−3−(2,6−ジフルオロフェニル)−2−メチルチオ−4−チオキソ−3,4−ヒドロキナゾリン;
−3−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−2−メチルチオ−4−チオキソ−3,4−ヒドロキナゾリン;及び
−3−(2−ブロモフェニル)−2−メチルチオ−4−チオキソ−3,4−ヒドロキナゾリン。
【請求項4】
治療効果量の式(1)の化合物又はその混合物と、薬学的に受容可能なその塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物又は立体異性体とを、薬学的に受容可能な基剤、アジュバント又は賦形剤と共に含んでいることを特徴とする薬剤組成物。
【請求項5】
式(I)の化合物は下記化合物属のうちの1以上に属していることを特徴とする請求項4記載の薬剤組成物:

−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(化合物Ia);
−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(化合物Ib);
−2,4−ジチオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(化合物Ic);及び
−2−メチルチオ−4−チオキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン(化合物Id)、
又はそのR、S鏡像異性体及び/又はそのラセミ混合物。
【請求項6】
式(I)の化合物又は混合物は下記化合物群に属していることを特徴とする請求項5記載の薬剤組成物:
−6−ブロモ−3−フェニル−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン;
−6−ブロモ−3−(2,6−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン;
−6−ブロモ−3−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン;
−6−ブロモ−3−(2−ブロモフェニル)−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン;
−3−(2,6−ジフルオロフェニル)−8−メチル−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン(TC3.16)、
−3−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−8−メチル−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン;
−3−(2−ブロモフェニル)−8−メチル−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン;
−6−ブロモ−3−フェニル−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン;
−6−ブロモ−3−(2,6−ジフルオロフェニル)−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン;
−6−ブロモ−3−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン;
−6−ブロモ−3−(2−ブロモフェニル)−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン;
−3−フェニル−8−メチル−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン;
−3−(2,6−ジフルオロフェニル)−8−メチル−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン;
−3−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−8−メチル−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン;
−3−(2−ブロモフェニル)−8−メチル−2−メチルチオ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン;
−3−フェニル−2,4−ジチオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン;
−3−(2,6−ジフルオロフェニル)−2,4−ジチオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン;
−3−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−2,4−ジチオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリン;
−3−フェニル−2−メチルチオ−4−チオキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン;
−3−(2,6−ジフルオロフェニル)−2−メチルチオ−4−チオキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン;
−3−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−2−メチルチオ−4−チオキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン;及び
−3−(2−ブロモフェニル)−2−メチルチオ−4−チオキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン。
【請求項7】
炎症又は自己免疫症は、腸炎、関節炎、アトピー性皮膚炎および他の皮膚炎、神経炎、脳炎、脳髄膜炎および中枢神経を冒す炎症(多発性硬化症)または末端神経症、筋肉炎、血管炎、全身性エリテマトーデス、喘息、慢性閉塞性肺疾患、炎症症状を伴う炎症、移植物宿主拒絶反応、結膜炎及び眼、耳、および粘膜の炎症で成る群に属することを特徴とする請求項1記載の利用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−522226(P2010−522226A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500305(P2010−500305)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【国際出願番号】PCT/ES2008/070051
【国際公開番号】WO2008/113881
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(508157886)コンセジョ スペリオール デ インベスティガショネス シエンティフィカス (21)
【出願人】(509265140)インスティテュート デ サルド カルロス III (1)
【Fターム(参考)】