説明

酸化オレフィンの製造方法

(a)銅酸化物,(b)ルテニウム金属またはルテニウム酸化物および(c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分を含む触媒の存在下でオレフィンと酸素とを反応させることを含む、酸化オレフィンの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化オレフィンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロピレンオキサイドのような酸化オレフィンは、ポリウレタンフォーム、高分子、アルキレングリコール、化粧品、食品乳化剤のような多種の貴重な消費者製品の製造に使用され、ならびに燻蒸剤および殺虫剤として使用される重要かつ用途が広い中間体である。
【0003】
オレフィンエポキシド化に対する以前の調査には、Agを主成分とする触媒の使用(Appl.Catal.A.Gen.2001,221,73.)、ならびにシリカ担持Cu(J.Catal.2005,236,401)、種々の金属酸化物(Appl.Catal.A.Gen.2007,316,142)、同時使用反応物としてH2を含む金を主成分とする触媒(Ind.& Eng.Chem.Res.1995,34,2298,J.Catal.1998,178,566;Appl.Catal.A.Gen.2000,190,43;Angew.Chem.Int.Ed.2004,43,1546)、迅速に不活性化されるチタニアを主成分とする触媒(Catal.Commun.2001,1356;Catal.Commun.2003,4,385)、金属硝酸塩の溶融塩(Appl.Catal.A.Gen.2000,196,217)、反応物としてのO3(Appl.Catal.A.Gen.2000,196,217)および亜酸化窒素(Ind.& Eng.Chem.Res.1995,34,2298)の使用が含まれていた。これらの進歩は科学的に興味深いものであるが、低いPO選択率および/または低いプロピレン転化率、短い触媒寿命、高圧の使用または高価な同時使用反応物の使用(Appl.Catal.A.Gen.2007,316,142)のような重大な欠点を有している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は以下のものを提供する:
[1](a)銅酸化物、(b)ルテニウム金属またはルテニウム酸化物および(c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分を含む触媒の存在下でオレフィンと酸素とを反応させることを含む、酸化オレフィンの製造方法。
[2]触媒が(d)ハロゲン成分を含む[1]記載の方法。
[3](a)銅酸化物、(b)ルテニウム金属またはルテニウム酸化物および(c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分が多孔性担体に担持されている[1]記載の方法。
[4](a)銅酸化物、(b)ルテニウム金属またはルテニウム酸化物、(c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分および(d)ハロゲン成分が多孔性担体に担持されている[2]記載の方法。
[5]多孔性担体がAl2O3、SiO2、TiO2またはZrO2を含む[3]または[4]記載の方法。
[6]多孔性担体がSiO2を含む[3]または[4]記載の方法。
[7](a)銅酸化物、(b)ルテニウム金属またはルテニウム酸化物および(c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分の総量が触媒の量の0.01ないし80重量%である[1]ないし[6]のいずれか1に記載される方法。
[8]触媒中の銅/ルテニウム金属モル比が1/99ないし99/1である[1]ないし[7]のいずれか1に記載される方法。
[9]触媒中のルテニウム/(c)成分金属モル比が1/99ないし99/1である[1]ないし[8]のいずれか1に記載される方法。
[10](a)銅酸化物がCuOである[1]ないし[9]のいずれか1に記載される方法。
[11](b)ルテニウム金属またはルテニウム酸化物がRuO2である[1]ないし[10]のいずれか1に記載される方法。
[12](c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分がアルカリ金属含有化合物である[1]ないし[11]のいずれか1に記載される方法。
[13](c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分がナトリウム含有化合物である[1]ないし[12]のいずれか1に記載される方法。
[14](c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分がカリウム含有化合物である[1]ないし[12]のいずれか1に記載される方法。
[15]触媒を、銅イオン、ルテニウムイオンおよびアルカリ金属またはアルカリ土類金属イオンを含有する溶液に多孔性担体を含浸させて組成物を調製した後に、その組成物を焼成することによって得る[3]記載の方法。
[16]触媒を、銅イオン、ルテニウムイオン、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンおよびハロゲンイオンを含有する溶液に多孔性担体を含浸させて組成物を調製した後に、その組成物を焼成することによって得る[3]または[4]記載の方法。
[17]オレフィンがプロピレンであり、酸化オレフィンがプロピレンオキサイドである[1]ないし[16]のいずれか1に記載される方法。
[18]100ないし350℃の温度でオレフィンと酸素とを反応させることを含む[1]ないし[17]のいずれか1に記載される方法。
[19](a)銅酸化物、(b)ルテニウム金属またはルテニウム酸化物および(c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分を含む、酸化オレフィン製造用の触媒。
[20](d)ハロゲン成分を含む[19]記載の触媒。
[21](a)銅酸化物、(b)ルテニウム金属またはルテニウム酸化物および(c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分が多孔性担体に担持されている[19]記載の触媒。
[22](a)銅酸化物、(b)ルテニウム金属またはルテニウム酸化物、(c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分および(d)ハロゲン成分が多孔性担体に担持されている[20]記載の触媒。
[23]銅イオン、ルテニウムイオンおよびアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを含有する溶液に多孔性担体を含浸させて組成物を調製した後に、その組成物を焼成することによって得られる[21]記載の触媒。
[24]銅イオン、ルテニウムイオン、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンおよびハロゲンイオンを含有する溶液に多孔性担体を含浸させて組成物を調製した後に、その組成物を焼成することによって得られる[21]または[22]記載の触媒。
[25](c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分がアルカリ金属含有化合物である[19]ないし[24]のいずれか1に記載される触媒。
[26](c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分がナトリウム含有化合物である[19]ないし[24]のいずれか1に記載される触媒。
[27](c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分がカリウム含有化合物である[19]ないし[24]のいずれか1に記載される触媒。
[28]多孔性担体がAl2O3、SiO2、TiO2またはZrO2を含む[21]ないし[27]のいずれか1に記載される触媒。
[29]多孔性担体がSiO2を含む[21]ないし[28]のいずれか1に記載される触媒。
[30]酸化オレフィンがプロピレンオキサイドである[19]ないし[29]のいずれか1に記載される触媒。
[31]酸化オレフィンを製造するための触媒の使用であり、該触媒が(a)銅酸化物、(b)ルテニウム金属またはルテニウム酸化物および(c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分を含む該使用。
[32]酸化オレフィンがプロピレンオキサイドである、[31]記載の触媒の使用。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】実施例1の結果を示すグラフである。
【図2】実施例2の結果を示すグラフである。
【図3】実施例3の結果を示すグラフである。
【図4】実施例4の結果を示すグラフである。
【図5】実施例5の結果を示すグラフである。
【図6】実施例6のXRDパターンを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の方法は、(a)銅酸化物,(b)ルテニウム金属またはルテニウム酸化物および(c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分を含む触媒の存在下でオレフィンと酸素とを反応させることを含む。
触媒において、成分(a)、(b)および(c)は好ましくは多孔性担体上に担持されている。この触媒は、本発明の1つの態様である酸化オレフィンの製造に価値がある。
【0007】
多孔性担体は成分(a)、(b)および(c)を担持することができる孔を有する。多孔性担体には、好ましくはAl2O3、SiO2、TiO2またはZrO2、より好ましくはSiO2が含まれる。SiO2を含む多孔性担体には、例えばメソ多孔性シリカが含まれる。かかる多孔性担体は、ゼオライトも含んでいてもよい。
【0008】
触媒が担体としてSiO2を含む場合には、酸化オレフィンを良好な収率および良好な選択率で調製することができる。
【0009】
触媒には、1種以上の(a)銅酸化物が含まれていてもよい。
(a)銅酸化物は、通常、銅と酸素とから構成される。
銅酸化物には、例えば、Cu2OおよびCuOが含まれる。銅酸化物は好ましくはCuOである。
【0010】
触媒には、1種以上の(b)ルテニウム金属またはルテニウム酸化物が含まれていてもよい。(b)ルテニウム酸化物は、通常、ルテニウムと酸素とから構成される。ルテニウム酸化物には、例えば、RuO4およびRuO2が含まれる。成分(b)は好ましくはRuO2である。
【0011】
触媒には、1種以上の(c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分が含まれていてもよい。
成分(c)は、アルカリ金属含有化合物、アルカリ土類金属含有化合物、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを含んでいてもよい。
【0012】
アルカリ金属含有化合物には、例えば、Na、K、RbおよびCsのようなアルカリ金属を含有する化合物が含まれる。アルカリ土類金属含有化合物には、例えば、Ca、Mg、SrおよびBaのようなアルカリ土類金属を含有する化合物が含まれる。アルカリ金属イオンには、例えば、Na+、K+、Rb+およびCs+が含まれる。アルカリ土類金属イオンには、例えば、Ca2+、Mg2+、Sr2+およびBa2+が含まれる。
【0013】
成分(c)は、好ましくはアルカリ金属含有化合物、アルカリ金属またはそれらの両方であり、より好ましくはアルカリ金属含有化合物であり、なおより好ましくはナトリウム含有化合物またはカリウム含有化合物である。
化合物(c)がカリウム含有化合物またはカリウムイオン、好ましくはカリウム含有化合物である場合には、酸化オレフィン選択率が270℃以下の反応温度において優れる。
【0014】
アルカリ金属含有化合物およびアルカリ土類金属含有化合物は、好ましくはアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩である。アルカリ金属塩には、アニオンを含む前記したアルカリ金属イオンが含まれる。アルカリ土類金属塩には、アニオンを含む前記したアルカリ土類金属イオンが含まれる。かかる塩のアニオンには、Cl-、Br-、I-、NO3-、SO42-およびCO32-が含まれる。かかる塩は、好ましくはアルカリ金属ハロゲン化物のようなハロゲンを含むアルカリ金属塩、またはアルカリ土類金属ハロゲン化物のようなハロゲンを含むアルカリ土類金属含有塩、より好ましくはハロゲンを含むアルカリ金属、なおより好ましくはアルカリ金属塩化物である。
【0015】
触媒は、好ましくはCuO、RuO2およびアルカリ金属含有化合物、なおより好ましくはCuO、RuO2およびナトリウム含有化合物を含む。酸化オレフィンの製造にかかる組合せを採用することにより、酸化オレフィンの収率および選択率を改善することができるからである。特に、触媒が(c)成分としてNaClを含む場合には、優れた酸化オレフィンの選択率および収率を示すことができる。触媒中の銅/ルテニウム金属モル比は1/99〜99/1である。金属モル比がかかる範囲に入る場合には、酸化オレフィンの収率および選択率をさらに改善することができる。モル比の下限は、より好ましくは2/98、なおより好ましくは3/97である。モル比の上限は、より好ましくは98/2、なおより好ましくは97/3である。
【0016】
触媒中のルテニウム/(c)成分モル比は、好ましくは1/99ないし99/1である。モル比がかかる範囲に入る場合には、酸化オレフィンの収率および選択率をさらに改善することができる。モル比の下限は、より好ましくは2/98であり、なおより好ましくは3/97である。モル比の上限はより好ましくは98/2であり、なおより好ましくは97/3である。モル比の「(c)成分」は、(c)成分中に存在するアルカリ金属またはアルカリ土類金属および(c)成分中に存在するアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを表す。
【0017】
成分(a)、(b)および(c)を触媒の多孔性担体に担持させる場合、成分(a)、(b)および(c)の総含量は、好ましくは触媒の量の0.01ないし80重量%である。総含量がかかる範囲に入る場合には、酸化オレフィンの収率および選択率をさらに改善することができる。総含量の下限は、より好ましくは触媒の量の0.05重量%、なおより好ましくは0.1重量%である。総含量の上限は、より好ましくは触媒の量の50重量%、なおより好ましくは30重量%である。
【0018】
触媒は、成分(a)、(b)および(c)の他に(d)ハロゲン成分を含んでいてもよい。成分(d)は、一般的にハロゲン含有化合物である。ハロゲンには、例えば、塩素、フッ素、ヨウ素および臭素が含まれる。
かかるハロゲン含有化合物には、銅またはルテニウムのハロゲン化物および銅またはルテニウムのオキシハロゲン化物が含まれる。成分(d)は、成分(a)、(b)および(c)または多孔性担体のいずれかに担持させてもよい。触媒が成分(d)を含む場合、その成分は前記した多孔性担体に担持してもよい。
【0019】
触媒の製造は特定の方法に制限されるものではなく、例えば、従来の方法が含まれる。
成分(a)、(b)および(c)を触媒の多孔性担体に担持させる場合、触媒は、銅イオン、ルテニウムイオンおよびアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属含有イオンを含有する溶液に多孔性担体を含浸させて組成物を調製した後に、その組成物を焼成することによって得ることができる。担体は粉体の形態にすることができ、あるいは必要に応じて所望の構造に成形することができる。触媒がハロゲンを含むアルカリ金属塩またはハロゲンを含むアルカリ土類金属塩である成分(c)、および多孔性担体に担持された成分(d)を含む場合、触媒は、溶液が銅イオン、ルテニウムイオン、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属含有イオンおよびハロゲンイオンを含むことを除いて前記したものと同じ方法で得ることができる。
【0020】
銅イオン、ルテニウムイオンおよびアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを含有する溶液は、銅金属塩、ルテニウム金属塩およびアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩を溶媒に溶解することによって調製することができる。銅金属塩には、例えば、酢酸銅、塩化アンモニウム銅、臭化銅、炭酸銅、銅エトキシド、水酸化銅、ヨウ化銅、銅イソブチレート、銅イソプロポキシド、シュウ酸銅、塩基性塩化銅、硝酸銅および塩化銅が含まれる。ルテニウム金属塩には、例えば、臭化ルテニウム、塩化ルテニウム、ヨウ化ルテニウムのようなハロゲン化物、Ru2OCl4、Ru2OCl5およびRu2OCl6のようなオキシハロゲン化物、[RuCl2(H2O)4]Clのようなハロゲノ錯体、[Ru(NH3)5H2O]Cl2、[Ru(NH3)5Cl]Cl2、[Ru(NH3)6]Cl2および[Ru(NH3)6]Cl3のようなアンミン錯体、Ru(CO)5およびRu3(CO)12のようなカルボニル錯体、[Ru3O(OCOCH3)6(H2O)3]、ルテニウムニトロシルクロリドおよび[Ru2(OCOR)4]Cl(R=1ないし3個の炭素原子を有するアルキル基)のようなカルボキシラート錯体、[Ru(NH3)5(NO)]Cl3、[Ru(OH)(NH3)4(NO)](NO3)2および[Ru(NO)](NO3)3のようなニトロシル錯体、アミン錯体、アセチルアセトナート錯体、ならびに(NH4)2RuCl6のようなアンモニウム塩が含まれる。溶液用のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩は、(c)成分と同一または異なるものであってもよい。アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩には、例えば、アルカリ金属硝酸塩、アルカリ土類金属硝酸塩、アルカリ金属ハロゲン化物およびアルカリ土類金属ハロゲン化物、好ましくはアルカリ金属ハロゲン化物およびアルカリ金属硝酸塩、より好ましくはNaNO3、NaCl、KClおよびKNO3が含まれる。溶媒用の金属塩の少なくとも1種は、好ましくはハロゲンイオンを含み、より好ましくは塩素イオンを含む。かかるハロゲンイオンは、NaClのような(c)成分およびCuまたはRuのハロゲン化物およびオキシハロゲン化物のような(d)成分を形成してもよい。溶液は、そのpHを制御する目的で酸性または塩基性の化合物を含んでいてもよい。
【0021】
酸化合物は無機酸および有機酸のいずれのものであってもよい。無機酸には、例えば、塩酸、硝酸、亜硝酸および過塩素酸ほかが含まれる。有機酸には、例えば、酢酸、シュウ酸、プロピオン酸、酪酸、クエン酸、マレイン酸、フマル酸および酒石酸ほかのような脂肪族カルボン酸;ならびに、安息香酸、ジカルボキシベンゼン、トリカルボキシベンゼン、ジカルボキシナフタレンおよびジカルボキシアントラセンほかのような芳香族カルボン酸が含まれる。
【0022】
塩基化合物には、例えば、アルカリ金属水酸化物、アミン化合物、イミン化合物、ヒドラジド化合物またはヒドラジン化合物、アンモニア、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシアミンおよびアンモニウム水酸化物が含まれる。
【0023】
アルカリ金属水酸化物には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムほかが含まれる。アミン化合物には、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、アニリン、ベンジルアミンおよびフェニレンジアミンほかのような、1個ないし20個の炭素数を有する脂肪族アミンおよび6個ないし20個の炭素数を有する芳香族アミンが含まれる。
【0024】
イミン化合物には、例えば、エチレンイミン、ピロリジン、ピペリジンおよびピペラジンほかが含まれる。アミド化合物には、例えば、アセトアミドおよびベンズアミドほかが含まれる。ヒドラジン化合物には、例えば、メチルヒドラジンおよびフェニルヒドラジンほかが含まれる。第四級アンモニウム塩には、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウムほかのような水酸化第四級アンモニウム;塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウムおよび臭化テトラエチルアンモニウムほかのようなハロゲン化第四級アンモニウムが含まれる。
【0025】
溶液用の溶媒には、例えば、水、およびメタノールまたはエタノールのようなアルコールが含まれる。
多孔性担体の総量は、得られる触媒の好ましくは20ないし99.99重量%、より好ましくは50ないし99.5重量%、なおより好ましくは70ないし99.9重量%である。
【0026】
含浸によって調製した組成物は、該組成物を焼成する前に、好ましくはほぼ40℃ないしほぼ200℃の温度にて乾燥する。乾燥は、常圧または減圧下、空気の雰囲気下または不活性ガス雰囲気(例えば、Ar、N2、He)下で行ってもよい。乾燥時間は、好ましくは0.5ないし24時間の範囲である。乾燥した後、組成物は必要に応じて所望の構造に成形することができる。
【0027】
組成物の焼成は限定されないが、好ましくは酸素を含有するガス雰囲気下で行ってもよい。かかるガス流には、例えば、空気および酸素ガスが含まれる。ガスは、窒素、ヘリウム、アルゴンおよび水蒸気のような希釈ガスと適当な比で混合した後に使用してもよい。焼成の最適温度はガスおよび組成物の種類に依存して変化するが、温度が高すぎるとルテニウム酸化物および銅酸化物の凝集を引き起こす可能性がある。したがって、焼成温度は典型的には200ないし800℃、好ましくは400ないし600℃である。
【0028】
触媒は粉体として使用することができるが、通常はそれを球形、ペレット、柱形、リング形、中空柱形または星形のような所望の構造に成形する。触媒は押出し、ラム押出し、錠剤成形のような公知の方法によって成形することができる。通常、焼成は所望の構造に成形した後に行うが、成形する前に行うこともできる。
【0029】
次に、前記した触媒の存在下での酸素とのオレフィンの反応を以下に説明する。
本発明においては、オレフィンは線状または分枝状の構造を有してもよく、通常、2ないし10個、好ましくは2ないし8個の炭素原子を含有してもよい。オレフィンは、モノオレフィンまたはジオレフィンとしてもよい。モノオレフィンには、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネンおよびデセンが含まれる。ジエンには、例えば、1,3−ブタジエンまたは1,2−ブタジエンのようなブタジエンが含まれる。オレフィンには、例えば、好ましくはモノオレフィン、より好ましくはエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテンおよびオクテンが含まれ、なおより好ましくはエチレン、プロピレンおよびブテンが含まれ、最も好ましくはプロピレンが含まれる。
【0030】
一般的に、反応は気相中で行う。反応においては、オレフィンおよび酸素をガスの形態で各々送給してもよい。オレフィンおよび酸素ガスは、それらの混合ガスの形態で送給することができる。オレフィンおよび酸素ガスは、希釈ガスと送給してもよい。希釈ガスには、例えば、窒素、メタン、エタン、プロパン、二酸化炭素、またはアルゴンおよびヘリウムのような希ガスが含まれる。
【0031】
酸素源としては、純粋な酸素を使用してもよく、あるいは空気のような反応に不活性なガスを含有する混合ガスを使用してもよい。使用する酸素の量は、反応の型、触媒、反応温度などに依存して変化する。酸素の量は、オレフィン1モルに対して、典型的には0.01ないし100モル、好ましくは0.03ないし30モル、より好ましくは0.25ないし10モルである。
【0032】
反応は一般的には100ないし350℃、好ましくは120℃ないし330℃、より好ましくは170ないし310℃、なおより好ましくは200ないし270℃の温度で行う。特に、マイクロ反応器中の反応については、反応温度は最も好ましくは240ないし270℃である。
【0033】
反応は、通常、減圧ないし加圧の範囲の反応圧力下で行う。かかる反応圧力条件下で反応を行うことによって、酸化オレフィンの生産率および選択率を改善することができる。減圧とは大気圧よりも低い圧力を意味する。加圧とは大気圧よりも高い圧力を意味する。圧力は、絶対圧で、典型的には0.01ないし3MPaの範囲、好ましくは0.02ないし2MPaの範囲である。
【0034】
反応は、バッチ反応または連続反応として行ってもよいが、好ましくは産業上利用のために連続反応として行ってもよい。本発明の反応は、オレフィンおよび酸素を混合した後、その混合物を減圧ないし加圧下で触媒と接触させることによって行ってもよい。
【0035】
反応器の型は限定されない。反応器の型は、例えば、流動床反応器、固定床反応器、移動床反応器などであるが、好ましくは固定床反応器である。固定床反応器を使用する場合は、単管反応器または複数管反応器を利用することができる。1個よりも多い反応器を使用することができる。反応器の数が多い場合は、例えばマイクロ反応器のような、複数のチャネルを有することができる小さな反応器を使用することができる。また、断熱型または熱交換型を使用してもよい。
【0036】
本発明においては、酸化オレフィンは線状または分枝状の構造を有してもよく、通常2ないし10個、好ましくは2ないし8個の炭素原子を含有してもよい。酸化オレフィンは、ジオレフィンを反応に適用する場合は1個の炭素−炭素二重結合を有していてもよい。1個の炭素−炭素二重結合を有する酸化オレフィンには、例えば、3,4−エポキシ−1−ブテンが含まれる。酸化オレフィンには、例えば、好ましくはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブテンオキサイド、ペンテンオキサイド、ヘキセンオキサイド、ヘプテンオキサイドおよびオクテンオキサイド、より好ましくはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドおよびブテンオキサイド、なおより好ましくはプロピレンオキサイドが含まれる。
【0037】
得られた酸化オレフィンは、蒸留による分離のような当該技術分野で公知の方法によって収集することができる。
【実施例】
【0038】
実施例1ないし5においては、各々の測定を以下の方法に準拠して行った。
試料ガスのデータ分析は、熱伝導度検出器(TCD)、PoraPLOT U(10M)およびモレキュラーシーブ 13×(10M)を備えたオン−ライン・マイクロ−ガスクロマトグラフ(Varian,CP−4900)によって行った。
検出された生成物はプロピレンオキサイド(PO)、アセトン(AT)、アセトアルデヒド(AD)、COx(CO2およびCO)、およびプロパナール+アクロレイン(PaL+AC)であった。
【0039】
生成物のプロピレン転化率、生成物選択率および収率(生成物の選択率×プロピレン転化率として計算)を、炭素収支に基づいて計算した。
プロピレン転化率(XPR)は下式:
【0040】
【数1】

に従って計算し;次いで、PO選択性(SPO)は下式:
【0041】
【数2】

を使用して計算した。
注記:PaLは典型的には微量でしか見出されないが、PaLおよびACは同じ保持時間に出現するため、これらの化合物は一緒に報告されている。
【0042】
[実施例1]
Ru[(NH4)2RuCl6、Aldrich社]およびCu[Cu(NO3)2、Alfa Aesar社,ACS,98.0%−102.0%]およびNa[NaNO3、Alfa Aesar社,ACS,99.0%]の水溶液を4:2:1(=Ru:Cu:Na)の金属重量比で混合して、SiO2担体粉体(表面積145m2/g)に12.5重量%(触媒の量に対する金属原子量による)の負荷を達成する金属塩溶液を調製した。ついで、その金属塩溶液を、空気中で24時間担体に浸透させた。ついで、得られた材料を乾燥するまで150℃にて加熱し、空気中、500℃にて12時間焼成させた。
【0043】
触媒(5.0mg)を、Angew.Chem.Int.Ed.38(1999)2794に記載されるように、反応器チャネル内にアレイマイクロ反応器、各反応器チャネルに沿ったウェルおよび表面保護処理された200マイクロIDキャピラリーサンプリングプローブを備えた反応器のウェルに入れた。1体積%のプロピレン(C3H6)、4体積%のO2、および95体積%のHeからなる混合ガスを、190、210、230、250、260、270、290または310℃の反応器温度にて、20,000h-1のガス毎時空間速度(GHSV)で触媒を含むウェルに送給した。
ガスのサンプリングは、表面保護処理された200マイクロIDキャピラリーサンプリングプローブを使用して反応器出口のガスを取り出すことによって行った。
結果を図1に示す。
【0044】
[実施例2]
触媒中の総金属含量を8重量%としたこと以外は実施例1と同様な操作で触媒を調製した。プロピレンオキサイドは、本実施例の触媒を使用し、反応器温度を250℃とし、GHSVを変化させたこと以外は、実施例1と同様な操作で行った。
結果を図2に示す。
【0045】
[実施例3]
各触媒中の総金属含量を5、7、10または12.5重量%としたこと以外は実施例1と同様な操作で触媒を調製した。プロピレンオキサイドは、本実施例の触媒を使用し、反応器温度を250℃としたこと以外は、実施例1と同様な操作で行った。
結果を図3に示す。
【0046】
[実施例4]
触媒中の総金属含量を12.5重量%としたこと以外は実施例3と同様な操作で触媒を調製した。プロピレンオキサイドは、酸素/プロピレン(体積比)を変化させた以外は、実施例3と同様な操作で行った。
結果を図4に示す。
【0047】
[実施例5]
触媒を使用して経時試験を行った。触媒は、実施例4と同様な操作で調製した。反応器温度を250℃または265℃としたこと以外は、実施例3と同様な操作でプロピレンオキサイドを調製した。
結果を図5に示す。
【0048】
[実施例6]
実施例1で得た触媒の粉末X線回折(XRD)パターンを、NiフィルターおよびSollerスリットコリメーターを備えたPANalytical X'Pert PROを用いて測定した。45kVおよび40mAのCu−Kα放射を用いて、活性触媒相を同定した。
【0049】
以下の組成物も同様な操作で調べた:NaNO3から調製した、SiO2に担持されたNa2O(Na2OおよびSiO2の合計に対して1.8重量%のNa);Cu(NO3)2から調製した、SiO2に担持されたCuO(CuOおよびSiO2の合計に対して3.6重量%のCu);(NH42RuCl6から調製した、SiO2に担持されたRuO2(RuO2およびSiO2の合計に対して7.2重量%のRu);NaClから調製した、SiO2に担持されたNaCl(NaClおよびSiO2の合計に対して1.8重量%のNa);およびNaClを使用しないこと以外は触媒と同様な操作で調製した、SiO2に担持された二種の金属からなるRuO2+CuO。
XRDパターンを図6に示す。触媒のXRDパターンは、触媒が、いずれの結晶性の混合金属酸化物またはアロイを形成することなく、CuO、RuO2およびNaClを含んでいることを示している。
【0050】
[実施例7]
SiO2の代わりにTiO2を用いたこと以外は実施例1と同様な操作で触媒を調製する。プロピレンオキサイドの製造は、本実施例の触媒を用いたこと以外は実施例1と同様な操作で行う。
【0051】
実施例8ないし15においては、データ分析を以下の方法に準拠して行った:
反応ガスを外部標準としてのエタン(10Nml/分)と混合した後に、Gaskuropack 54のカラム(2m)を備えたTCD−GCに直接導入した。直列に連結し、ドライアイス/メタノール浴を用いて冷却した二重のメタノールトラップを用いて、反応ガス中のすべての生成物を1時間収集した。2つのメタノール溶液を一緒に混合し、外部標準としてのアニソールに添加した後に、異なるカラム、PoraBOND U(25m)およびPoraBOND Q(25m)を備えた2つのFID−GCを用いて分析した。
プロピレン転化率、生成物選択率および生成物の収率は、実施例1ないし5と同様な操作で計算した。
【0052】
[実施例8]
金属組成物は、同時含浸法によって調製した。所定重量(1.9g)の非晶質シリカ粉体(SiO2、日本アエロジル株式会社、380m2/g)を、0.54gの(NH4)2RuCl6(Aldrich社)、0.30gのCu(NO3)2(和光純薬工業株式会社)および0.10gのNaNO3(和光純薬工業株式会社)を含有する水溶液混合物に添加した後に、空気中で24時間攪拌して担体に金属塩を含浸させた。ついで、得られた材料を乾燥するまで100℃に加熱し、空気中、500℃にて12時間焼成して触媒を得た。
【0053】
触媒は、固定床反応器を使用することによって評価した。かくして得られた触媒1mLをステンレス鋼製の1/2−インチ反応管に充填し、その反応管に以下のガスを送給して反応を行った:450NmL/hのプロピレン、900NmL/hの空気、990NmL/hの窒素ガス。かかる反応は、加圧下(絶対圧力で0.3MPaに等しい)、200℃の反応温度で行った。
結果を表1に示す。
【0054】
[実施例9]
原料として0.64gの(NH4)2RuCl6(Aldrich社)、0.35gのCu(NO3)2(和光純薬工業株式会社)、0.08gのRb(NO3)(和光純薬工業株式会社)および2.3gの非晶質シリカ粉体(SiO2、日本アエロジル株式会社、380m2/g)を使用して調製を行ったこと以外は、実施例8と同様な操作で調製および反応を行った。
結果を表1に示す。
【0055】
[実施例10]
原料として0.76gの(NH4)2RuCl6(Aldrich社)、0.42gのCu(NO3)2(和光純薬工業株式会社)、0.08gのCs(NO3)(和光純薬工業株式会社)および2.7gの非晶質シリカ粉体(SiO2、日本アエロジル株式会社、380m2/g)を使用して調製を行ったこと以外は、実施例8と同様な操作で調製および反応を行った。
結果を表1に示す。
【0056】
[実施例11]
原料として0.23gの(NH4)2RuCl6(Aldrich社)、0.13gのCu(NO3)2(和光純薬工業株式会社)、0.1gのMg(NO3)2(和光純薬工業株式会社)および0.8gの非晶質シリカ粉体(SiO2、日本アエロジル株式会社、380m2/g)を使用して調製を行ったこと以外は、実施例8と同様な操作で調製および反応を行った。
結果を表1に示す。
【0057】
[実施例12]
原料として1.0gの(NH4)2RuCl6(Aldrich社)、0.58gのCu(NO3)2(和光純薬工業株式会社)、0.08gのCa(NO3)2(和光純薬工業株式会社)および3.7gの非晶質シリカ粉体(SiO2、日本アエロジル株式会社、380m2/g)を使用して調製を行ったこと以外は、実施例8と同様な操作で調製および反応を行った。
結果を表1に示す。
【0058】
[実施例13]
原料として0.86gの(NH4)2RuCl6(Aldrich社)、0.47gのCu(NO3)2(和光純薬工業株式会社)、0.15gのSr(NO3)2(和光純薬工業株式会社)および3.0gの非晶質シリカ粉体(SiO2、日本アエロジル株式会社、380m2/g)を使用して調製を行ったこと以外は、実施例8と同様な操作で調製および反応を行った。
結果を表1に示す。
【0059】
[実施例14]
原料として0.73gの(NH4)2RuCl6(Aldrich社)、0.40gのCu(NO3)2(和光純薬工業株式会社)、0.10gのBa(NO3)2(和光純薬工業株式会社)および2.6gの非晶質シリカ粉体(SiO2、日本アエロジル株式会社、380m2/g)を使用して調製を行ったこと以外は、実施例8と同様な操作で調製および反応を行った。
結果を表1に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
[実施例15]
SiO2の代わりにTiO2を使用したこと以外は、実施例8と同様な操作で触媒を調製する。
プロピレンオキサイドの製造は、本実施例の触媒を使用したこと以外は実施例8と同様な操作で行う。
【0062】
[実施例16−18]
金属組成物は同時含浸法によって調製した。所定重量(1.9g)の非晶質シリカ粉体(SiO2、日本アエロジル株式会社、380m2/g)を、0.54gの(NH4)2RuCl6(Aldrich社)、0.30gのCu(NO3)2(和光純薬工業株式会社)および0.10gのKNO3(和光純薬工業株式会社)を含む水溶液混合物に添加した後に、空気中で24時間攪拌して担体に金属塩を含浸させた。ついで、得られた材料を乾燥するまで100℃に加熱し、空気中、500℃にて12時間焼成して触媒を得た。
【0063】
触媒は、固定床反応器を使用することによって評価した。かくして得られた触媒1mLをステンレス鋼製の1/2−インチ反応管に充填し、その反応管に以下のガスを送給して反応を行った:450NmL/hのプロピレン、900NmL/hの空気、990NmL/hの窒素ガス。かかる反応は、加圧下(絶対圧力で0.3MPaに等しい)、200℃、250℃または270℃の反応温度で行った。
結果を表2に示す。
【0064】
【表2】

*STY、すなわち空時収量、とは、「(プロピレンオキサイドの量(μmol)/{触媒の量(ml)×時間}」を表す。
【0065】
[実施例19]
プロピレンの代わりに1,3−ブタジエンを使用したこと以外は実施例8と同様な操作で調製および反応を行って3,4−エポキシ−ブテンを得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)銅酸化物、(b)ルテニウム金属またはルテニウム酸化物および(c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分を含む触媒の存在下でオレフィンと酸素とを反応させることを含む、酸化オレフィンの製造方法。
【請求項2】
触媒が(d)ハロゲン成分を含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
(a)銅酸化物、(b)ルテニウム金属またはルテニウム酸化物および(c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分が多孔性担体に担持されている請求項1記載の方法。
【請求項4】
(a)銅酸化物、(b)ルテニウム金属またはルテニウム酸化物、(c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分および(d)ハロゲン成分が多孔性担体に担持されている請求項2記載の方法。
【請求項5】
多孔性担体がAl2O3、SiO2、TiO2またはZrO2を含む請求項3または4記載の方法。
【請求項6】
多孔性担体がSiO2を含む請求項3または4記載の方法。
【請求項7】
(a)銅酸化物、(b)ルテニウム金属またはルテニウム酸化物および(c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分の総量が触媒の量の0.01ないし80重量%である請求項1または2記載の方法。
【請求項8】
触媒中の銅/ルテニウム金属モル比が1/99ないし99/1である請求項1または2記載の方法。
【請求項9】
触媒中のルテニウム/(c)成分金属モル比が1/99ないし99/1である請求項1または2記載の方法。
【請求項10】
(a)銅酸化物がCuOである請求項1または2記載の方法。
【請求項11】
(b)ルテニウム金属またはルテニウム酸化物がRuO2である請求項1または2記載の方法。
【請求項12】
(c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分がアルカリ金属含有化合物である請求項1または2記載の方法。
【請求項13】
(c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分がナトリウム含有化合物である請求項1または2記載の方法。
【請求項14】
(c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分がカリウム含有化合物である請求項1または2記載の方法。
【請求項15】
触媒を、銅イオン、ルテニウムイオンおよびアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを含有する溶液に多孔性担体を含浸させて組成物を調製した後に、その組成物を焼成することによって得る請求項3記載の方法。
【請求項16】
触媒を、銅イオン、ルテニウムイオン、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンおよびハロゲンイオンを含有する溶液に多孔性担体を含浸させて組成物を調製した後に、その組成物を焼成することによって得る請求項3または4記載の方法。
【請求項17】
オレフィンがプロピレンであり、酸化オレフィンがプロピレンオキサイドである請求項1または2記載の方法。
【請求項18】
100ないし350℃の温度でオレフィンと酸素とを反応させることを含む請求項1または2記載の方法。
【請求項19】
(a)銅酸化物、(b)ルテニウム金属またはルテニウム酸化物および(c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分を含む、酸化オレフィン製造用の触媒。
【請求項20】
(d)ハロゲン成分を含む請求項19記載の触媒。
【請求項21】
(a)銅酸化物、(b)ルテニウム金属またはルテニウム酸化物および(c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分が多孔性担体に担持されている請求項19記載の触媒。
【請求項22】
(a)銅酸化物、(b)ルテニウム金属またはルテニウム酸化物、(c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分および(d)ハロゲン成分が多孔性担体に担持されている請求項20記載の触媒。
【請求項23】
銅イオン、ルテニウムイオンおよびアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを含有する溶液に多孔性担体を含浸させて組成物を調製した後に、その組成物を焼成することによって得られる請求項21記載の触媒。
【請求項24】
銅イオン、ルテニウムイオン、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンおよびハロゲンイオンを含有する溶液に多孔性担体を含浸させて組成物を調製した後に、その組成物を焼成することによって得られる請求項21または22記載の触媒。
【請求項25】
(c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分がアルカリ金属含有化合物である請求項19または20記載の触媒。
【請求項26】
(c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分がナトリウム含有化合物である請求項19または20記載の触媒。
【請求項27】
(c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分がカリウム含有化合物である請求項19または20記載の触媒。
【請求項28】
多孔性担体がAl2O3、SiO2、TiO2またはZrO2を含む請求項21または22記載の触媒。
【請求項29】
多孔性担体がSiO2を含む請求項21または22記載の触媒。
【請求項30】
酸化オレフィンがプロピレンオキサイドである請求項19または20記載の触媒。
【請求項31】
酸化オレフィンを製造するための触媒の使用であり、該触媒が(a)銅酸化物、(b)ルテニウム金属またはルテニウム酸化物および(c)アルカリ金属成分またはアルカリ土類金属成分を含む該使用。
【請求項32】
酸化オレフィンがプロピレンオキサイドである、請求項31記載の触媒の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−505985(P2013−505985A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532152(P2012−532152)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/060188
【国際公開番号】WO2011/075459
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】