説明

酸化染毛剤組成物

【課題】 染毛効果及び染毛の均一性にすぐれた酸化染毛剤を提供する。
【解決手段】
(1)ホホバアルコールを第1剤及び/又は第2剤に含有することを特徴とする酸化染毛剤組成物。
(2)(1)の第1剤及び/又は第2剤に界面活性剤を含有することを特徴とする酸化染毛剤組成物。
(3)界面活性剤がホホバ脂肪酸のアルカリ金属塩である(2)に記載の酸化染毛剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は酸化染料を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤とからなり、使用時混合して毛髪に適用される酸化染毛剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化染料を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤を使用時混合して毛髪に適用する酸化染毛剤は、染毛効果が比較的長期に持続すること、脱色作用があるので明るい色調にも染毛できることなどから、広く使用されている。
【0003】
酸化染毛剤の染毛効果は、基本的には酸化染料と酸化剤との酸化重合反応によるものであるが、その効果を向上させるために第3物質を添加することはがよく為される。
【0004】
染毛効果を向上するための添加剤としては、鉄塩等の金属塩、イソステアリルアルコール、ベンジルアルコール等の油性成分、ノニオン性界面活性剤等の界面活性剤、カチオン化ポリマー等のポリマー、グリコシド等の糖類等の例がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの添加剤は染毛効果の向上性において必ずしも満足できるものとは言い難い。
【0006】
また、例えば、金属塩の共存により系の粘度が低下し毛髪への適用が困難になったり、過度の油性物質によりべたついた感触になったり、染毛が不均一になったり、ポリマーの皮膜感が後のヘアスタイリングの際に影響したりすることがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記のような状況下でなされたものであり、(1)ホホバアルコールを第1剤及び/又は第2剤に含有することを特徴とする酸化染毛剤組成物である。
【0008】
本発明は、また(2)上記(1)の第1剤及び/又は第2剤に界面活性剤を含有することを特徴とする酸化染毛剤組成物である。
【0009】
本発明は、また(3)上記界面活性剤がホホバ脂肪酸のアルカリ金属塩である上記(2)記載の酸化染毛剤組成物である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、副次的な悪影響をもたらすことなく酸化染毛剤の染毛効果を向上させることができ、延いては必ずしも安全性上完璧とはいえない、酸化染料の配合量を減少させることができる。また、界面活性剤と共に用いた時は、均一な染毛効果が得られ、且つ濯ぎ時、或いは乾燥後も過度なべたつき感のない良好な感触の染色毛が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明について詳述する。本発明に用いるホホバアルコールの製法は特にこだわらないが、通常、ホホバ種子から得られるホホバオイルを加水分解して得られる。
【0012】
本発明の酸化染毛剤組成物において、ホホバアルコールの配合量は本発明の効果が得られる範囲であれば、特に限定されないが、好ましくは0.01〜50重量%、更に好ましくは0.1〜10重量%である。
【0013】
本発明の酸化染毛剤組成物において、ホホバアルコールは第1剤、第2剤のうちすくなくとも、一方に配合される。
【0014】
本発明の酸化染毛剤組成物においては、ホホバアルコールと共に界面活性剤を配合してもよい。この界面活性剤は、系中でホホバアルコールを部分的に、又は完全に乳化することにより、その分散性を高め、毛髪の染まりを均一にするものである。
【0015】
この界面活性剤は、特に限定されないが、アルカリ性の第1剤、酸性の第2剤中にあって安定なものが好ましく、特に第1剤に配合される時は高級脂肪酸のアルカリ金属塩が好ましい。
【0016】
この時、ホホバアルコールとホホバ脂肪酸カリウム塩との混合物として配合しても良く、それは、例えば市販品としてフローラテック社(INTERNATIONAL FLORA TECHNOLGIES Ltd.)の商品名「フローラエステルK−20W(FLORAESTERS K−20W)」、「フローラエステルK−100(FLORAESTERS K−100)」として得ることができる。
【0017】
本発明の酸化染毛剤組成物において、界面活性剤の配合量は本発明の効果が得られる範囲であれば、特に限定されないが、好ましくは0.01〜20重量%、更に好ましくは0.1〜10重量%である。
【0018】
本発明の酸化染毛剤組成物の第1剤で用いられる酸化染料の内、酸化染料中間体としては、フェニレンジアミン類、アミノフェノール類、トルエンジアミン類、アミノニトロフェノール類、ジフェニルアミン類、ジアミノフェニルアミン類、N−フェニルフェニレンジアミン類、ジアミノピリジン類、アミノアントラキノン類及びそれらの塩類などが挙げられ、特に好ましくは、p−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2−クロロ−p−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン、p−アミノフェノール、2,6−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、p−アミノフェニルスルファミン酸及びそれらの塩類が染毛効果の点から好ましい。
【0019】
これらの酸化染料中間体は単独で又は二種以上を組み合わせて用いられ、その配合量は通常酸化染毛剤に用いられる範囲であれば、特に限定されない。
【0020】
本発明の酸化染毛剤組成物の第1剤には、酸化染料中間体以外の酸化染料として、カップラーを配合してもよい。カップラーの例としては、レゾルシン、ピロガロール、カテコール、m−アミノフェノール、m−フェニレンジアミン、o−アミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、1,2,4−ベンゼントリオール、トルエン−2,4−ジアミン、ヒドロキノン、α−ナフト−ル、2,6−ジアミノピリジン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、5−アミノ−o−クレゾール、ジフェニルアミン、p−メチルアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、没食子酸、タンニン酸、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール及びそれらの塩等が挙げられる。
【0021】
本発明の酸化染毛剤組成物には上記の他に、「医薬部外品原料規格2006」(平成18年6月発行、薬事日報社)に収載された酸化染料及び酸化染料以外の染料として直接染料を配合することもできる。
【0022】
本発明の酸化染毛剤組成物の第2剤で用いられる酸化剤としては、過酸化水素、過硫酸塩、過炭酸塩、過ホウ酸塩、臭素酸塩、過ヨウ素酸塩、過酸化尿素等が挙げられる。
【0023】
これらの酸化剤の配合量は通常酸化染毛剤に用いられる範囲であれば、特に限定されない。
【0024】
本発明の酸化染毛剤組成物には本発明の効果を損なわれない範囲で通常酸化染毛剤に用いられる他の成分を配合することができる。かかる他の成分としては下記成分が例示される。本発明の酸化染毛剤組成物は、上記必須成分にこれらの一種又は二種以上を配合して常法に従って製造される。
【0025】
油性成分として次のものを挙げることができる。オリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、アボガド油、小麦胚芽油、サフラワー油、モリンガ油、綿実油、大豆油、茶実油、ヒマワリ油、月見草油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、牛脂、馬脂、カカオ脂、モクロウ等の油脂類、カルナバロウ、キャンデリラロウ、ホホバオイル、ミツロウ、ラノリン等のロウ類、流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン等の炭化水素、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の高級脂肪酸、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、バチルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール等の高級アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、オクタン酸セチル、2−エチルヘキサン酸セチル、ペンタエリスリトールテトラエステル、リンゴ酸ジイソステアリル、クエン酸トリエチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸フィトステアリル、エトキシジグリコールベヘネート、エトキシジグリコールオレエート、ヤシ油脂肪酸ブチレングリコール等のエステル類、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状ジメチルシリコーン油、アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、3次元網目構造シリコーン、シリコーンゴム等のシリコーン。
【0026】
多価アルコールとして次のものを挙げることができる。グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、エトキシジグリコール、ヘプタンジオール、オクタンジオール等。
【0027】
糖類として次のものを挙げることができる。ソルビトール、マンニトール、ショ糖、乳糖、キシリトール、マルチトール、トレハロース等。
【0028】
界面活性剤として次のものを挙げることができる。アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アシルN−メチルタウリン塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、N−アシルアミノ酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、POEアルキルエーテルカルボン酸塩等のアニオン性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム等のカチオン性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミタゾリニウムベタイン等の両性界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビット脂肪酸エステル、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油、POEアルキルエーテル、POEPOPアルキルエーテル、POEアルキルアミン・脂肪酸アミド、PEG脂肪酸エステル、アルキルアミンオキサイド等のノニオン界面活性剤。
【0029】
色剤として次のものを挙げることができる。ニトロ染料、酸性染料、塩基性染料、天然色素等。
【0030】
動植物抽出物として次のものを挙げることができる。ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム等のムコ多糖類、キチン・キトサン、コラーゲン、エラスチン、ペプチド等の動物抽出物、アロエエキス、オオバクエキス、オドリコソウエキス、カモミラエキス、カンゾウエキス、クルミの種子エキス、シコンエキス、シラカバエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、茶エキス、トウキエキス、ニンニクエキス、ニンジンエキス、ハマメリスエキス、ヒノキチオール、ビワ葉エキス、ブナの木の幼芽エキス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ヤナギランエキス、ケーパーエキス、キバナオランダセンニチエキス、クルミ種子エキス、モモ葉エキス、ユーカリエキス、ローズ水等の植物抽出物。
【0031】
鉱物抽出物として次のものを挙げることができる。孔雀石、菱マンガン鉱石、菱亜鉛鉱石、赤鉄鉱等の抽出物。
【0032】
殺菌・防腐剤として次のものを挙げることができる。安息香酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸エステル(エチルパラベン、ブチルパラベン等)、トリクロロカルバニリド、フェノキシエタノール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジン、ジンクピリチオン、トリクロサン等。
【0033】
酸化防止剤として次のものを挙げることができる。没食子酸エステル、亜硫酸水素ナトリウム等。酸化防止助剤としては次のものを挙げることができる。リン酸、クエン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマール酸、ケファリン、フィチン酸、EDTA等。
【0034】
金属封鎖剤として次のものを挙げることができる。エデト酸塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸、リン酸、クエン酸、コハク酸、フィチン酸等。
【0035】
紫外線吸収剤として次のものを挙げることができる。2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸等のベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル等のパラアミノ安息香酸誘導体、パラメトキシ桂皮酸オクチル、ジパラメトキシ桂皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル等のメトキシ桂皮酸誘導体、サリチル酸オクチル等のサリチル酸誘導体、ウロカニン酸等。
【0036】
pH調整剤として次のものを挙げることができる。水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、アンモニア水、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールアミン等のアルカリ剤、クエン酸、リン酸等の酸。
【0037】
各種薬剤として次のものを挙げることができる。アルブチン、コウジ酸、ビタミンC類等の美白剤、センブリエキス、γ−オリザノール、トウガラシチンキ、ニコチン酸ベンジルエステル、エストラジオール、エチニルエストラジオール、パントテン酸、感光素301等の育毛用薬剤、β−グリチルレチン酸、グリチルリチン酸誘導体、アラントイン、ε−アミノカプロン酸、酸化亜鉛、硫酸アルミニウム、タンニン酸、乳酸、メントール、副腎皮質ホルモン、抗ヒスタミン剤等の肌荒れ防止用薬剤、イオウ、サリチル酸、レゾルシン、塩化ベンザルコニウム、ハロカルバン等のニキビ用薬剤、クロルヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、酸化亜鉛等の制汗剤、ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2及びその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15及びその誘導体等のビタミンB類、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステル(塩)、アスコルビン酸ジパルミテート等のビタミンC類、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート、ビタミンEニコチネート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン等のビタミン類、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン、タウリン、アルギニン、ヒスチジン等のアミノ酸とこれらの塩酸塩。
【0038】
本発明の酸化染毛剤組成物の剤型は液状、乳液状、クリーム状、ゲル状、エアゾールフォーム状など、通常酸化染毛剤として用いられる形態をとることができる。
【実施例】
【0039】
次に本発明について、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。配合量は特に断りがない限り重量%で示す。
【0040】
表1に示す実施例1〜4及び比較例1〜2の染毛剤組成物をそれぞれ常法に従って調製した。
【0041】
これらの染毛剤組成物の染毛効果を確認するため、表1の第1剤10gと第2剤10gとを混合し、毛髪のモデルとしたウール白色布(5cm×5cm)に塗布した。このウール布を室温下で20分間放置後、10%POEラウリルエーテル硫酸Na水溶液を用いて洗浄し、乾燥した後、染まり具合を肉眼で判定した。
【0042】
表1から、ホホバアルコールを含有した酸化染毛剤組成物は染毛効果が著しく向上していることが判る。更に界面活性剤であるホホバ脂肪酸カリウムが共存する時、染毛の均一性が増大することが確認できる。
【0043】
【表1】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホホバアルコールを第1剤及び/又は第2剤に含有することを特徴とする酸化染毛剤組成物。
【請求項2】
請求項1の第1剤及び/又は第2剤に界面活性剤を含有することを特徴とする酸化染毛剤組成物。
【請求項3】
界面活性剤がホホバ脂肪酸のアルカリ金属塩である請求項2に記載の酸化染毛剤組成物。

【公開番号】特開2009−91343(P2009−91343A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−285542(P2007−285542)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(391056701)池田物産株式会社 (22)
【Fターム(参考)】