説明

酸化染毛剤

【課題】多くの消費者が好む広義の茶色(ブラウン系)に染色しようする場合に、新生毛と既染毛との境界における均染性に優れ、かつマット色への変色がなく、色持ちの良い酸化染毛剤の提供。
【解決手段】(A)パラフェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1つの染料前駆体、(B)メタアミノフェノール、硫酸メタアミノフェノール、レゾルシン、及び2−メチルレゾルシノールからなる群より選択される少なくとも1つのカップラー、(C)1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール硫酸塩、及び(D)アルカノールアミンを含有する茶系酸化染毛剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪の均染性に優れ、かつ色持ちが良い酸化染毛剤に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、毛髪を染色することを目的として使用される染毛剤としては、第1剤に酸化染料(染料前駆体、カップラー)及びアルカリ剤を含有し、第2剤に酸化剤を含有した酸化染毛剤が一般的である。これらは使用直前に混合され毛髪に塗布される。また、消費者の好む多種多様な色調を得るためには、様々な染料前駆体とカップラーを適宜組み合わせることで可能となっている。
【0003】
しかし、日本人を含むアジア人の多くは本来黒髪であり、白髪を目立たなくする目的だけでなく、おしゃれを楽しむ目的であっても、暗いくすんだ茶色から明るい茶色の範囲の色が最も好まれている。また、暗い〜明るいという明度の違いだけではなく、色相の違いである、赤みを帯びたり、黄みを帯びたり、紫みを帯びた茶色等という色も好まれている。これらは実際、○○ブラウン、○○ベージュ等の様々な呼び名で汎用されている。
【0004】
従来からこの最も消費者に好まれるこれらの種々の茶色(ブラウン系)を得るためには、少なくともパラフェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、及びそれらの塩から選択される少なくとも1つの染料前駆体と、カップラーであるメタアミノフェノール及びレゾルシンを組み合わせるのが一般的である。(特許文献1)更にその他の染料前駆体やカップラーを適宜、上述の組み合わせに加え、消費者の好む様々な色調に調整される。
【0005】
しかし、従来の茶色(ブラウン系)が得られるこれらの酸化染料の組み合わせでは、色持ちが十分でなく、すぐに明るくなったり、たとえあまり明るくならなくとも、本来暖色系に属する茶色が、消費者に好まれない寒色系に属するいわゆるマット色に変色してしまうという問題がある。更に、根元から生えてきた新生毛と、以前に染めた中間から毛先にあたる既染毛とのつながりが不十分であり、美容師等の専門家が塗布する順序や時間を、毛髪の状況に応じて調整したとしても、きれいに均一に仕上げることが難しいという問題がある。特に、おしゃれ染めに比較して、高い染料濃度が必要な白髪染めでは、この問題が顕著であり、更なる改善が求められている。
【0006】
一方、1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール硫酸塩は赤系染料に用いられる染料前駆体であり、様々なカップラーと組み合わせることにより、鮮やかな橙色〜赤色〜赤紫色を得られることが知られている。しかし、従来、1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール硫酸塩を含む酸化染毛組成物で、毛髪を茶系の色に染めることができるものはなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−74871
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、前述のように、多くの消費者が好む広義の茶色(ブラウン系)に染色しようする場合に、新生毛と既染毛との境界における均染性に優れ、かつマット色への変色がなく、色持ちの良い酸化染毛剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、パラフェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、及びそれらの塩から選択される少なくとも1つの染料前駆体、メタアミノフェノール、硫酸メタアミノフェノール、レゾルシン、2−メチルレゾルシノールから選択される少なくとも1つのカップラーを含む茶系酸化染毛剤組成物に、1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール硫酸塩及びアルカノールアミンを組み合わせた場合、赤系染料の前駆体である1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール硫酸塩が配合されているにも関わらず、髪の毛を茶色に染毛することができ、かつ上記課題を克服し得ることを見出した。
【0010】
本発明は上記知見に基づきさらに検討を重ねた結果完成されたものであり、下記に掲げるものである。
【0011】
項1.下記の成分(A)〜(D)
(A)パラフェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1つの染料前駆体、
(B)メタアミノフェノール、硫酸メタアミノフェノール、レゾルシン、及び2−メチルレゾルシノールからなる群より選択される少なくとも1つのカップラー、
(C)1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール硫酸塩、及び
(D)アルカノールアミン
を含有する茶系酸化染毛剤組成物。
【0012】
項2.第1剤と第2剤とを混合した状態の染毛剤組成物全体を100重量%とした場合に、成分(A)〜(D)を、下記の割合で含有する項1に記載の酸化染毛剤。
(A)パラフェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、及びそれらの塩から選択される少なくとも1つの染料前駆体:0.01〜4重量%、
(B)メタアミノフェノール、硫酸メタアミノフェノール、レゾルシンから選択される少なくとも1つのカップラー:0.01〜3重量%、
(C)1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール硫酸塩:0.05〜1重量%、
(D)アルカノールアミン:0.5〜10重量%。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、パラフェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、及びそれらの塩から選択される少なくとも1つの染料前駆体、メタアミノフェノール、硫酸メタアミノフェノール、レゾルシン、2−メチルレゾルシノールから選択される少なくとも1つのカップラー、1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール硫酸塩、及びアルカノールアミンを含有する酸化染毛剤組成物を用いることによって、多くの消費者が好む広義の茶色(ブラウン系)を染色しようとする場合に、新生毛と既染毛との境界における均染性に優れ、かつマット色への変色がなく、色持ちを良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、JIS標準色票、光沢版(JIS Z 8721 準拠)のカラーチャートから抜粋し、模式化した表を示す。
【図2】図2は、JIS標準色票、光沢版(JIS Z 8721 準拠)のカラーチャートから抜粋し、模式化した表を示す。
【図3】図3は、JIS標準色票、光沢版(JIS Z 8721 準拠)のカラーチャートから抜粋し、模式化した表を示す。
【図4】図4は、JIS標準色票、光沢版(JIS Z 8721 準拠)のカラーチャートから抜粋し、模式化した表を示す。
【図5】図5は、JIS標準色票、光沢版(JIS Z 8721 準拠)のカラーチャートから抜粋し、模式化した表を示す。
【図6】図6は、JIS標準色票、光沢版(JIS Z 8721 準拠)のカラーチャートから抜粋し、模式化した表を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明は、下記の成分(A)〜(D)
(A)パラフェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1つの染料前駆体、
(B)メタアミノフェノール、硫酸メタアミノフェノール、レゾルシン、及び2−メチルレゾルシノールからなる群より選択される少なくとも1つのカップラー、
(C)1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール硫酸塩、及び
(D)アルカノールアミン
を含有する茶系酸化染毛剤組成物を提供する。
【0017】
本発明の染毛剤組成物において、「茶系」、「茶色」、「ブラウン系」とは、明度的に暗いくすんだ茶色から明るい茶色が含まれ、また赤みを帯びたり、黄みを帯びたり又は紫みを帯びた茶色も含まれる(本明細書において、これらの色の範囲を、広義の茶色(ブラウン系)という呼び名で定義する。)
この広義の茶色(ブラウン系)とは、具体的には、自然光に近いとされる照明設備の下で染毛された人頭を観察したときに、図1〜6に記載した表中の○で示した範囲の色調を指す。図1〜6は、JIS標準色票、光沢版(JIS Z 8721 準拠)のカラーチャートから抜粋し、模式化したものである。
【0018】
本発明の酸化染毛剤組成物は、パラフェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、及びそれらの塩から選択される少なくとも1つの染料前駆体、メタアミノフェノール、硫酸メタアミノフェノール、レゾルシン、2−メチルレゾルシノールから選択される少なくとも1つのカップラー、1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール硫酸塩、及びアルカノールアミンが含有される。尚、パラフェニレンジアミン及びトルエン−2,5−ジアミンの塩としては、硫酸塩及び塩酸塩が挙げられる。
【0019】
本発明の酸化染毛剤組成物の形態は、本発明の効果を奏する形態であれば各種形態のものが使用でき、液状、クリーム状、フォーム状、ジェル状、乳液状、粉末状を問わない。また、第1剤がクリーム状、第2剤が乳液状など、互いに異なる形態であってもよく、第1剤と第2剤の混合比も問わないが、好ましくは、第1剤がパラフェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、及びそれらの塩から選択される少なくとも1つの染料前駆体、メタアミノフェノール、硫酸メタアミノフェノール、レゾルシン、2−メチルレゾルシノールから選択される少なくとも1つのカップラー、1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール硫酸塩、及びアルカノールアミンを含有するクリーム状で、第2剤が酸化剤を含有するクリーム状であり、混合比は1:1〜1:2である(重量比。以下、本明細書中において、混合比とは、他のように記載されていない限り、重量比を意味する)。
【0020】
他の形態としては、第1剤がパラフェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、及びそれらの塩から選択される少なくとも1つの染料前駆体、メタアミノフェノール、硫酸メタアミノフェノール、レゾルシン、2−メチルレゾルシノールから選択される少なくとも1つのカップラー、1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール硫酸塩、及び酸化剤を含有する粉末状で、第2剤がアルカノールアミンを含有する液状又はクリーム状組成物である組み合わせが挙げられる。
【0021】
パラフェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、及びそれらの塩から選択される少なくとも1つの染料前駆体の含有量は、本発明の効果が発揮されれば特に限定されないが、第1剤と第2剤とを混合した状態の染毛剤組成物全体を100重量%とした場合に、上記染料前駆体含有量(2種類以上含む場合はその合計の含量)は、好ましくは0.01〜4重量%であり、より好ましくは、0.05〜3重量%である。染料前駆体含有量を上記範囲とすることによって、十分な染色性が得られ、かつ、クリーム状の形態であっても、染料前駆体が充分に溶解するため安定性がよいので好ましい。
【0022】
メタアミノフェノール、硫酸メタアミノフェノール、レゾルシン、2−メチルレゾルシノールから選択される少なくとも1つのカップラーの含有量(2種類以上含む場合はその合計の含量)は、本発明の効果が発揮されれば特に限定されないが、第1剤と第2剤とを混合した状態の染毛剤組成物全体を100重量%とした場合に、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.01〜3重量%であり、さらに好ましくは、0.05〜2重量%である。カップラーの含有量を上記範囲にすることによって、十分な染色性を得ることができるため好ましい。
【0023】
1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール硫酸塩の含有量は、本発明の効果を発揮し、鮮やかな赤色等の色ではなく広義の茶色(ブラウン系)を染色するという観点から、第1剤と第2剤とを混合した状態の染毛剤組成物全体を100重量%とした場合に、0.05〜1重量%が好ましく、0.1〜0.7重量%がより好ましい。1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール硫酸塩の含有量を上記範囲とすることによって、本発明の効果である均染性及び色持ちの良さが得られ、かつ広義の茶色(ブラウン系)に調色することができる。
【0024】
アルカノールアミンとしては、特に限定することなく、公知のものを広く使用でき、例えば、下記一般式で表される化合物が挙げられる:
【0025】
【化1】

【0026】
[式中、R〜Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜6の直鎖又は分枝状のヒドロキシアルキル基を示す。]。
より具体的には、上記アルカノールアミンには、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、テトラキス(2−ヒドロキシイソプロピル)エチレンジアミン、モノイソプロパノールアミン等が含まれ、好ましくは、モノエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、モノイソプロパノールアミン等を挙げることができる。これらは、単独で或いは2種以上を混合して使用することができる。その含有量(2種類以上含む場合はその合計の含量)は、第1剤と第2剤とを混合した状態の染毛剤組成物全体を100重量%とした場合に、0.5〜10重量%であり、好ましくは、1〜7重量%である。アルカノールアミンの含有量を上記範囲とすることによって、毛髪の損傷は押さえられつつ、1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール硫酸塩を含んでいても広義の茶色(ブラウン系)に調色することができ、それにより均染性及び色持ちの良さが得られるため、好ましい。
【0027】
その他の成分−酸化染料及び直接染料
本発明の酸化染毛剤組成物には、前述の染料先駆体及びカップラー以外の酸化染料も含有することができる。これらは、特に限定することなく、公知のものを広く使用できる。より具体的には、5−アミノオルトクレゾール、硫酸5−アミノオルトクレゾール、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、塩酸2,4−ジアミノフェノキシエタノール、塩酸2,4−ジアミノフェノール、塩酸N−フェニルパラフェニレンジアミン、塩酸メタフェニレンジアミン、オルトアミノフェノール、酢酸N−フェニルパラフェニレンジアミン、2,6−ジアミノピリジン、硫酸2,6−ジアミノピリジン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、ジフェニルアミン、トルエン−3,4−ジアミン、α−ナフトール、パラアミノフェノール、パラメチルアミノフェノール、ヒドロキノン、ピロガロール、N−フェニルパラフェニレンジアミン、フロログルシン、メタフェニレンジアミン、没食子酸、硫酸オルトアミノフェノール、硫酸オルトクロルパラフェニレンジアミン、 硫酸4,4’−ジアミノジフェニルアミン、硫酸パラアミノフェノール、硫酸パラメチルアミノフェノール、硫酸2−(2−ヒドロキシエチル)−1,4−フェニレンジアンモニウム、硫酸ヒドロキシエチルパラフェニフェンジアミン、硫酸メタフェニレンジアミン等を例示することができる。上記染料を、単独で或いは2種以上を混合して用いてもよい。
【0028】
また、本発明の酸化染毛剤組成物には、直接染料を含有してもよい。直接染料としては、特に限定することなく、公知のものを広く使用できる。より具体的には、2−アミノ−4−ニトロフェノール、2−アミノ−5−ニトロフェノール、塩酸ニトロパラフェニレンジアミン、ニトロパラフェニレンジアミン、パラニトロオルトフェニレンジアミン、硫酸2−アミノ−5−ニトロフェノール、硫酸ニトロパラフェニレンジアミン、硫酸パラニトロオルトフェニレンジアミン、硫酸パラニトロメタフェニレンジアミン、1−アミノ−4−メチルアミノアントラキノン、1,4−ジアミノアントラキノン、ピクラミン酸、ピクラミン酸ナトリウム、2−((2−ニトロフェニル)アミノ)エタノール等を例示することができる。上記染料を、単独で或いは2種以上を混合して用いてもよい。
【0029】
尚、直接染料は酸化染料に比べ洗髪に対する堅牢度が低いため、無配合とするか、又は少量の使用が好ましい。具体的には、直接染料の含有量(2種類以上含む場合はその合計の含量)は、第1剤と第2剤とを混合した状態の染毛剤組成物全体を100重量%とした場合に、0.3重量%以下であり、好ましくは、0.1重量%以下である。
【0030】
酸化染料及び直接染料を含めた全染料の含有量としては、特に限定されないが、十分な染色性及び経済性の観点から、第1剤と第2剤とを混合した状態の染毛剤組成物全体を100重量%とした場合に、0.1〜6重量%であり、好ましくは0.2〜5重量%である。
【0031】
その他の成分−アルカリ剤
本発明の酸化染毛剤組成物には、毛髪の膨潤及び染料の毛髪への浸透並びに毛髪の脱色力向上のために、アルカリ剤を使用することができる。アルカリ剤としては前述のアルカノールアミン以外にも、公知のアルカリ剤を広く使用することができ、例えば、アンモニア水、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。染料の浸透性や頭皮への刺激性を考慮すると、アンモニア水、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムが好ましい。上記アルカリ剤は、単独で、或いは2種以上を混合して用いることができる。
【0032】
アルカリ剤の含有量(2種類以上含む場合はその合計の含量)は、求める明るさなどに応じて適宜設定され、特に限定されないが、多量に配合した場合の毛髪損傷の恐れを考慮すると、第1剤と第2剤とを混合した状態の染毛剤組成物全体を100重量%とした場合に、0.1〜10重量%であり、好ましくは、0.5〜7重量%である。
【0033】
その他の成分−高級アルコール
本発明の酸化染毛剤組成物には、さらに高級アルコールを加えてもよい。これにより、染毛において、安定性、操作性(例えば毛髪への塗布のしやすさ、垂れ落ちない、混合操作の容易さ等)、染色性の点で優れた効果が得られる。
【0034】
その配合量は本発明の効果を奏する範囲内で適宜設定し得るが、第1剤と第2剤とを混合した状態の染毛剤組成物全体を100重量%とした場合に、高級アルコールの純分に換算して合計で0.5〜20重量%とすることができる。0.5重量%より少ないと十分な安定性、操作性、染色性が得られず、また20重量%を超えても増加分の向上が認められない。さらに効果及び経済性を考慮すると、1〜15重量%の範囲が好ましく、1.5〜10重量%の範囲がより好ましい。
【0035】
ここで、本発明に用いられる高級アルコールとしては、炭素数8〜24のアルコールが挙げられ、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール等が挙げられる。これらの中でも特にミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、及びヘキシルデカノールが安定性の面から好ましい。
【0036】
その他の成分−界面活性剤
本発明の酸化染毛剤組成物には、さらに界面活性剤を加えてもよい。界面活性剤は高級アルコールと同様の目的で添加される。
【0037】
その配合量は本発明の効果を奏する範囲内で適宜設定し得るが、第1剤と第2剤とを混合した状態の染毛剤組成物全体を100重量%とした場合に、界面活性剤の純分に換算して合計で0.5〜20重量%とすることができる。界面活性剤を上記範囲で含有させることによって、十分な安定性、操作性、染色性が得られるため、好ましい。さらに効果及び経済性を考慮すると、1〜15重量%の範囲が好ましく、1.5〜10重量%の範囲がより好ましい。
【0038】
また、本発明に用いられる界面活性剤としては、公知のものを広く使用できる。具体的には非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。より具体的には、以下の通りで少なくともいずれか1種以上加えるとより効果的である。
【0039】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンイソセチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンセトステアリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、モノウンデシレン酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、親油型モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸ポリグリセリル、ステアリン酸ポリグリセリル、イソステアリン酸ポリグリセリル、オレイン酸ポリグリセリル、ジステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ポリオキシエチレンオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、及びモノオレイン酸ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0040】
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化オクタデシルアンモニウム、塩化オクチルジヒドロキシエチルメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(12〜15)ジメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(14〜18)ジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジ(ポリオキシエチレン)オレイルメチルアンモニウム、塩化ステアリルジヒドロキシエチルベタインナトリウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(25)ジエチルメチルアンモニウム、塩化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化メチルベンゼトニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルピリジニウム、臭化アルキルイソキノリニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、及びセチルトリメチルアンモニウムサッカリン等が挙げられる。
【0041】
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、N−アシル−L−グルタミン酸ジエタノールアミン、N−アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、イセチオン酸ナトリウム、ウンデシレノイルアミドエチルスルホコハク酸二ナトリウム、オクチルフェノキシジエトキシエチルスルホン酸ナトリウム、オレオイルザルコシン、オレオイルメチルタウリンナトリウム、カルボキシ化ポリオキシエチレントリデシルエーテル、L−グルタミン酸トリエタノールアミン硬化牛脂脂肪酸アミド、L−グルタミン酸ナトリウム硬化牛脂脂肪酸アミド、L−グルタミン酸ナトリウムヤシ油脂肪酸アミド、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリル硫酸ナトリウム、ジウンデシレノイルアミドエチルスルホコハク酸ナトリウム、N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム、ステアロイル−L−グルタミン酸二ナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、スルホコハク酸ポリオキシエチレンラウロイルエタノールアミドエステル二ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、セチル硫酸ジエタノールアミン、セチル硫酸ナトリウム、セトステアリル硫酸ナトリウム、デキストラン硫酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、トリデシル硫酸トリエタノールアミン、N−パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン、ポリオキシエチレンウンデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンペンタデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ジエタノールアミン、ミリスチル硫酸ナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸ナトリウム、ミリストイルメチルアミノ酢酸ナトリウム、ミリストイルメチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸カリウム、ヤシ油脂肪酸・牛脂脂肪酸−L−グルタミン酸ナトリウムアミド、N−ヤシ油脂肪酸−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸−L−グルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシン、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸トリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルアラニンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンカリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸エタノールアミンラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸ジエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウロイル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン、ラウロイルサルコシンカリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロイルメチルβ−アラニンナトリウム、及びラウロイルメチルタウリンナトリウム等が挙げられる。
【0042】
両性界面活性剤としては、例えば、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ウンデシノイル−カルボキシルメトキシエチルカルボキシメチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ウンデシルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ウンデシル−N−ヒドロキシエチル−N−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン、ステアリルジメチルベタインナトリウム、ステアリルベタイン、ビス(ステアリル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリン)クロル酢酸錯体、ヤシ油アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ヤシ油アルキルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ヤシ油脂肪酸−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシメチルイミダゾリニウムジナトリウムラウリル硫酸、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸トリエタノールアミン、及びラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム等が挙げられる。
【0043】
染毛中および染毛後の感触の良さを考慮すると、陽イオン性界面活性剤を使用することが好ましい。また、製剤の安定性の向上という点を考慮すると、非イオン性界面活性剤を使用することが好ましい。
【0044】
その他の成分−油剤
本発明の酸化染毛剤組成物には、油剤を配合することもできる。油剤としては、従来から酸化染毛剤に使用されている公知のものを広く使用できる。具体的には、例えば、オリーブ油、ゴマ油、ヒマシ油、ヤシ油、ホホバ油、アボガド油、マカデミアナッツ油、シア脂、流動パラフィン、軽質イソパラフィン、固形パラフィン、ワセリン、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソセチル、オレイン酸デシル、乳酸ミリスチル、スクワラン、マイクロクリスタリンワックスなどが挙げられる。また、高重合メチルポリシロキサン、ジメチルシロキサン、メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、メチルフェニルポリシロキサン及びアミノ変性シリコーン等を使用することができる。
【0045】
上記油剤を1種又は2種以上配合することができ、油剤の配合量(2種類以上含む場合はその合計の含量)としては、本発明の効果を奏する範囲内で通常配合されている配合量であれば、特に限定されない。例えば、油剤は第1剤と第2剤とを混合した状態の染毛剤組成物全体を100重量%とした場合に、0.1〜15重量%、好ましくは0.2〜10重量%になるよう配合される。
【0046】
その他の成分−酸化剤
本発明の酸化染毛剤組成物には、酸化剤を配合することができる。酸化剤としては、アンモニウム塩を除いて、酸化染毛剤の分野において用いられている公知のものを広く使用できる。具体的には、過酸化水素や水と接触して酸素を遊離する物質が挙げられる。
【0047】
より具体的には、過酸化水素(通常、10〜35重量%水溶液として使用される)、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過炭酸ナトリウム、臭素酸ナトリウム(これらは、水溶液又は原料のままで配合される。)等が挙げられる。好ましくは過酸化水素である。これらの酸化剤を、1種又は2種以上混合して用いても良い。
【0048】
酸化剤の配合量(2種類以上含む場合はその合計の含量)としては、酸化染料をすべて酸化できる量であれば、また、毛髪を明るくする目的においては脱色するのに十分な酸素が発生する量であれば特に限定されないが、第1剤と第2剤とを混合した状態の染毛剤組成物全体を100重量%とした場合に、0.01〜15重量%、好ましくは、0.1〜10重量%配合するのがよい。
【0049】
その他の成分
本発明の染毛剤組成物には、使用する前に酸化染料が酸化され、無用に発色することを抑える目的で、チオグリコール酸、チオグリコール酸カルシウム、チオグリコール酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸アンモニウム、没食子酸プロピル、トコフェロール、L−システイン、ホモシステイン及びN−アセチル−L−システインなどの酸化防止剤を配合することができる。
【0050】
また、金属イオンによる酸化染料の発色が速くなるのを防止する目的で、エデト酸、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、メタリン酸ナトリウム及びポリリン酸ナトリウムなどの金属封鎖剤を配合することができる。
【0051】
このほか、公知のプロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の多価アルコール及び低級アルコール等の溶解剤、毛髪保護剤、着香料、増粘剤、高分子化合物、色素、紫外線吸収剤、浸透剤、湿潤剤、安定化剤、養毛剤なども本発明の酸化染毛剤の性能を損なわない程度に適宜加えてもよい。
【0052】
前述の成分(A)〜(D)及び前述の任意の成分を水に溶解、混合することにより、第1剤及び第2剤を製造することができる。水としては通常精製水が配合される。水の配合量としては、各成分を所定量配合した場合の残部であり、その配合量は、好ましくは第1剤と第2剤とを混合した状態の染毛剤組成物全体を100重量%とした場合に、10〜90重量%程度であるが、成分の種類、配合量等により当然に適宜調整される。
【0053】
第1剤及び第2剤の製造方法
本発明の酸化染毛剤組成物における第1剤及び第2剤は、公知の方法、例えば、第1剤、第2剤共に、それぞれ全成分を配合し混合するか、必要に応じて、一部の成分を配合し加温後攪拌混合し、その後冷却して残りの成分を加え混合することによって製造することができる。
【0054】
使用方法
こうして得られた第1剤及び第2剤を、公知の方法、例えば使用直前に第1剤と第2剤を混合することによって染毛に使用することができる。
【0055】
本発明の酸化染毛剤組成物は、前述のように第1剤と第2剤を混合した後、例えば、これを毛髪に塗布するなど常法に従って染毛処理することができ、染毛時間は、塗布量、酸化染料の種類、量、希望の染着の程度によって、適宜選択されるが、5分以上、好ましくは5〜50分、より好ましくは10〜45分、通常40分程度までが例示される。
【実施例】
【0056】
以下の本発明の酸化染毛剤及びその効果について実施例を用いて説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例において、配合量は重量%で示す。
【0057】
試験例
酸化染毛剤について、表1〜3に記載の各成分及び配合割合の第1剤、第2剤を、常法に従って調製した。
【0058】
得られた第1剤と第2剤とを、表1及び表2に記載の2剤型酸化染毛剤は1:1の重量比で、表3記載の粉末酸化染毛剤は1:9の重量比で、使用直前に室温で混合し、むらがなくなるまで十分に混ぜた。当該混合物を人頭によるハーフヘッドテストにて、後述の評価方法に従い、各項目の評価を行った。
【0059】
ハーフヘッドテスト
被験者には、1ヶ月〜2ヶ月以前に市販の酸化染毛剤を使用していて、全頭の白髪率が10〜90%あり、頭髪の長さが20cm以上の人を選んだ。頭髪を左右に2分割し、それぞれに比較例と実施例の当該混合物を塗布した。この際、それぞれの薬剤が混ざらないように別々の塗布具を用いた。
【0060】
比較例1〜3及び実施例1〜5では、第1剤30gと第2剤30gを混合した全量を、比較例4及び実施例6では、第1剤5gと第2剤45gを混合した全量を、左右それぞれに塗布した。左右それぞれの塗布手順は、常法に従い、新生毛部分だけを10分以内に塗布し、続いて20分後に既染毛部分に塗布した。新生毛部分の塗布が終了してから30分後に水洗し、シャンプー、リンス後、ドライヤーで完全に乾燥した。
【0061】
実施したハーフヘッドテストの組み合わせを以下に示す。
【0062】
1. 比較例1と実施例1
2. 比較例1と実施例2
3. 比較例1と実施例3
4. 比較例1と実施例4
5. 比較例2と実施例5
6. 比較例3と実施例5
7. 比較例4と実施例6
1.仕上がりの色
ハーフヘッドテストにより、左右の仕上がりがほぼ同等の色調及び明るさに仕上がっていることを、専門パネラー(美容師)の目視により確認した。評価項目である均染性及び色持ちを厳正に評価するためには、比較例及び実施例がそれぞれ同等な希望の仕上がり色調になっていることが重要である。表1〜3には、その際の色調を一般的な表現で記載した。
【0063】
2.均染性
上述のハーフヘッドテスト直後に、新生毛だった部分と既染毛だった部分の明度と色調がほぼ一致しているかどうか、専門パネラー(美容師)の目視により以下の基準で評価した。
【0064】
◎:ほぼ色調及び明度が一致していて、境目がほとんどわからない。
【0065】
○:ほぼ色調及び明度が一致しているが、境目が簡単に判別できる。
【0066】
△:色調又は明度が不一致であり、境目のつながりが不自然である。
【0067】
×:色調及び明度が不一致であり、境目が明らかである。
【0068】
3.色持ち
上述のハーフヘッドテスト後、被験者には通常の生活を過ごしてもらい、1ヶ月後の状態を、専門パネラー(美容師)の目視により以下の基準で評価した。
【0069】
◎:わずかに明るくなっている程度で、あまり退色を感じない。
【0070】
○:少し明るくなっているが、くすみ感が残っている。
【0071】
△:明るくなっており、くすみ感がほとんど残っていない。
【0072】
×:ほぼ退色しており、かなり明るくなっている。
【0073】
尚、このような茶系染毛剤の場合、意図的にくすんだ色に染まるよう設計されているため、髪の色が明るくなることは、退色したことを意味し、好ましくない。
【0074】
各実施例及び比較例の組成及び評価結果を表1〜3に示す。
【0075】
【表1】

【0076】
1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール硫酸塩及びアルカノールアミンを含む実施例1〜4の染色組成物は、均染性に非常に優れ、色持ちが顕著に良くなることがわかった。一方、1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール硫酸塩及びアルカノールアミンを添加していない比較例1においては、均染性及び色持ちのいずれも△であり、従来の市販品レベルではあるものの、実施例1〜4と比較して、大きく劣っていた。また、実施例1〜3から明らかなように、アルカノールアミンの種類には本発明の効果は依存せず、また配合量の範囲は、第1剤と第2剤とを混合した状態の染毛剤組成物全体を100重量%とした場合に、0.5〜10重量%で所望の効果が得られることがわかった。また、実施例1及び4より、当該酸化染毛剤組成物の必須成分(染料前駆体)としては、塩酸パラフェニレンジアミン又は、硫酸トルエン−2,5−ジアミンのいずれでも所望の効果が得られることがわかった。
【0077】
【表2】

【0078】
実施例5及び比較例2〜3より、1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール硫酸塩及びアルカノールアミンを含有すること、及び1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール硫酸塩の配合量が、第1剤と第2剤とを混合した状態の染毛剤組成物全体を100重量%とした場合に、0.05重量%であれば所望の効果が得られることがわかった。また、比較例3において、1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール硫酸塩の配合量を増やすことにより、均染性及び色持ちが向上することが予想されるが、アルカノールアミンを含有していないため、鮮やかな橙赤色となってしまい、実施例5と同等の茶系色とはならなかった。
【0079】
【表3】

【0080】
実施例6及び比較例4は形態が粉末状と液状の組み合わせ例であり、同様に所望の効果が得られることがわかった。実施例5及び6より、1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール硫酸塩の配合量は、第1剤と第2剤とを混合した状態の染毛剤組成物全体を100重量%とした場合に、0.05〜1重量%の範囲で、所望の効果が得られることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(A)〜(D)
(A)パラフェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1つの染料前駆体、
(B)メタアミノフェノール、硫酸メタアミノフェノール、レゾルシン、及び2−メチルレゾルシノールからなる群より選択される少なくとも1つのカップラー、
(C)1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール硫酸塩、及び
(D)アルカノールアミン
を含有する茶系酸化染毛剤組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−189336(P2010−189336A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−36673(P2009−36673)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(391047558)ヘンケルジャパン株式会社 (43)
【Fターム(参考)】