説明

酸化触媒、酸化方法、酸化装置および抗菌剤

【課題】新規な酸化触媒および抗菌剤を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の酸化触媒および抗菌剤は、金属化合物を含むイオン液体を担体に担持したものである。ここで、イオン液体は、アンモニウム系イオン液体、ピリジニウム系イオン液体、イミダゾリウム系イオン液体、ホスホニウム系イオン液体等からなることが好ましい。また、金属化合物は、金属塩、金属錯体、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫化物、金属微粒子等からなることが好ましい。また、担体は、粒状シリカ、アルミナ、活性炭、モレキュラーシーブス、繊維、ガラス板、ガラス細菅、ガラスビーズ、金属板、金属細菅、オガクズ、紙、スポンジ等からなることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な酸化触媒に関する。また、本発明は、この酸化触媒を用いる新規な酸化方法に関する。また、本発明は、この酸化方法を用いる新規な酸化装置に関する。また、本発明は、新規な抗菌剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、揮発性有機化合物(VOCs)の酸化除去用触媒として、シリカやアルミナに、直接パラジウムや白金などの貴金属や希土類酸化物を担持させた触媒が多く使用されているが、いずれも触媒として駆動させるには数百度の高温が必要である(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
イオン液体を反応媒体として、各種の金属化合物を触媒とする、オレフィン(Pd/Cu触媒)、チオール(Co触媒)、アルコール(Cu触媒, Ru触媒, V触媒)、アルデヒド(Ni触媒)、アルキルベンゼン(Co触媒)の空気酸化反応が数例報告されている。
【0004】
PdCl2/CuCl2触媒を用いる末端オレフィンのWacker酸化反応では[BuMeIm]BF4を溶媒とするケトンの合成が行われているが、反応基質(2 mmol)やイオン液体(2 mL)に対して用いる触媒金属の濃度(10 mol%)が高いことが欠点である。また、PdCl2(0.2 mmol)に対してCuCl2(2 mmol)を使用しなければならない(非特許文献2参照)。
【0005】
チオールを空気酸化してジスルフィドを合成する触媒としてコバルト(II)−フタロシアニン錯体(1 mol%)を用いる反応が報告されているが、配位子の分子量が大きく、触媒使用量(重量)が大きいのが欠点である(非特許文献3参照)。
【0006】
アルコールの酸化により、ケトンを合成する反応においては、イオン液体として[BuMeIm]PF6が用いられている。触媒のCuCl(5 mol%)に対してTEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ)(5 mol%)を用いねばならず、触媒系が複雑である(非特許文献4参照)。また、RuCl2(PPh3)3触媒(1 mol%)を用いる場合には配位子のホスフィンが酸化されて、触媒が分解される恐れがある。触媒金属は酸化ルテニウムに変化している可能性はあるが、その記述はない(非特許文献5参照)。また、V(O)(acac)2(5 mol%)を触媒とする反応も報告されているが、触媒に対して2倍量の第3級アミンの添加が必須であり、反応系が複雑である(非特許文献6参照)。また、触媒がイオン液体に良く溶解しており、酸化物を形成しているという記述はない。
【0007】
アルデヒドもNi(acac)2(3 mol%)を触媒として空気酸化を受け、カルボン酸に容易に変換される(非特許文献7参照)。触媒は[BuMeIm]PF6に完全に溶解しており、酸化物を形成しているという記述はない。
【0008】
アルキルベンゼンの側鎖アルキル基の空気酸化がCo(OAc)2, NaBr,AIBN(アゾビスイソブチロ二トリル)を触媒として酸性イオン液体中で行われている。触媒系が複雑な上、酸性イオン液体[HMeIm]CF3COO或いは中性イオン液体[BuMeIm]BF4とトリフルオロ酢酸(CF3COOH)混合溶媒を用いる為、反応容器の腐食が問題である(特許文献1参照)。
【0009】
また、シリカゲル表面にアート型金属アンモニウム塩を化学結合させたものを触媒として用いる、アルカン類の液相酸化反応も既知である(特許文献2参照)。これらは何れも合成化学的見地から、酸化生成物を得るための触媒として用いられている。
【0010】
一方、イオン液体中で金属酸化物を発生させた文献として、以下の4例がある。
酸化チタンの合成例として、チタンテトライソプロポキシド(Ti(OiPr)4を原料として[BuMeIm]PF6中で加水分解してナノ構造を持つ微粒子状のTiO2を合成している(非特許文献8参照)。最終的にイオン液体から分離してTiO2の微粉末を得ているが、イソプロパノール中で合成したものと比べるとイオン液体中で合成した微粒子の方がBET比表面積が数倍大きいという報告である。
【0011】
また、イオン液体としてエチレンジアミンオラート(エチレンジアミンとオレイン酸の混合物)中で酢酸亜鉛を286℃に加熱しながら、加水分解して酸化亜鉛のピラミッド状微結晶の合成に成功している(非特許文献9参照)。
【0012】
さらに、[BuMeIm]BF4中で、塩化マンガン(MnCl2)と過マンガン酸カリウム(KMnO4)の酸化還元反応により、ナノニードルやナノロッド状二酸化マンガン(MnO2)の合成に成功している(非特許文献10参照)。
【0013】
さらに、Fe(CO)5をイオン液体として[BuMeIm](CF3SO2)2Nに溶解して、空気中で熱分化することで、酸化鉄のナノ粒子を合成する報告もある(非特許文献11参照)。
【0014】
なお、発明者は、本発明に関連する技術内容を開示している(非特許文献12参照)。これは、特許法第30条第1項を適用できるものと考えられる。
【0015】
近年、有機系抗菌材、無機系抗菌材など多種多様な抗菌製品が開発されている。なかでもAg+イオンを微量溶出させることで抗菌性を発現させる銀系無機抗菌材、酸化チタンに代表される光触媒能を有する化合物を主成分とする無機抗菌材が代表的である(非特許文献13参照)。また、活性炭などの担体に銀化合物を担持して水処理剤として用いる試みもなされている(特許文献3〜6参照)。また、イオン液体をテンプレートとして作成したメソ空間を持つシリカ微粒子が抗菌活性を有することも見出されている(非特許文献14参照)。また、酸化バナジウムのナノ粒子が抗菌活性を示すことも報告されている(非特許文献15〜16参照)。ポリアクリル酸のような水溶性高分子に担持したバナジウム化合物が抗菌活性を示すという報告もある(非特許文献17参照)。
【0016】
発明者は、揮発性有機化合物の空気による酸化分解を低温で行うことを目的として、イオン液体にバナジウム等の微量の金属化合物を溶解せしめたものをシリカゲルに含浸して調製した触媒を開発した(非特許文献12参照)。この触媒を用いて各種の揮発性有機化合物の空気酸化分解を行った。
【0017】
イミダゾリウム塩に代表されるイオン液体の抗菌活性については、幾つかの報告がある。そのアンモニウム塩を構成するアルキル基鎖長が長い程、その抗菌活性は増大することが知られている(非特許文献18参照)。また、イミダゾリウム塩以外のハロゲンを含まないイオン液体を用いて抗菌繊維を製造する報告もある(特許文献7参照)。
【0018】
【特許文献1】J. Tang, F. Yang, H. Zhu, CN 1528726 (2004)
【特許文献2】W. F. Hoelderich, E. Modrogan, GB 2427192
【特許文献3】特開平5−84439号公報
【特許文献4】特開平6−135808号公報
【特許文献5】特開平6−287103号公報
【特許文献6】特開平11−278823号公報
【特許文献7】特開2007−39820号公報
【非特許文献1】P. Gelin, M. Primet, Applied Catalysis B: Environmental 39, 1-37 (2002)
【非特許文献2】I. A. Ansari, S. Joyasawal, M. K. Gupta, J. S. Yadav, R. Gee, Tetrahedron Lett., 2005, 46, 7507-7510
【非特許文献3】S. M. S. Chauhan, A. Kumar, K. A. Srinivas, Chem. Commun., 2003, 2348-2349
【非特許文献4】I. A. Ansari, R. Gee, Org. Lett.,2002,4,1507-1509
【非特許文献5】A. Wolfson, S. Wuyts, D. E. D. Vos, I. F. J. Vankelecom, P. A. Jacobs, Tetrahedron Lett., 2002、43、8107-8110
【非特許文献6】N. Jiang, A. J. Ragauskas, Tetrahedron Lett., 2007, 48, 273-276
【非特許文献7】J. Howarth, Tetrahedron Lett., 2000, 41, 6627-6629
【非特許文献8】K. Yoo, H. Choi, D. D. Dionysiou, Chem. Commun., 2004, 2000-2001
【非特許文献9】X. Zhou, Z.-X. Xie, Z.-Y. Jiang, Q. Kuang, S.-H. Zhang, T. Xu, R.-B. Huang, L.-S. Zheng, Chem. Commun., 2005, 5572-5574
【非特許文献10】L.-X. Yang, Y.-J. Zhu, W.-W. Wang, H. Tong, K.-L. Ruan, J. Phys. Chem., B, 2006, 110, 6609-6614.
【非特許文献11】Y. Wang, S. Maksimuk, R. Shen, H. Yang, Green Chem., 2007, 9, 1051-1056
【非特許文献12】谷口裕樹、牧岡良和、稲津晃司、馬場俊秀、高石優太、高村岳樹、石油学会関西支部第16回研究発表会・日本エネルギー学会関西支部第52回研究発表会・合同研究発表会、関西大学、2007年12月7日、P08, pp66-67.
【非特許文献13】内田眞志、防菌防黴、2008、36(4)、273−280)
【非特許文献14】B. G. Trewyn, C. M. Whitman, V. S.-Y. Lin, Nano Lett., 2004, 4, 2139-2143.
【非特許文献15】J.-f. Ju, C.-j. Li, M. Xu, H. Ye, 精細化工2003, (20), 641-643+681.
【非特許文献16】J.-f. Ju, M. Xu, C.-j. Li, 精細化工2006, (23), 10481055.
【非特許文献17】D. Kalita, S. Sarmah, S. P. Das, D. Baishya, A. Patowary, S. Baruah, N. S. Islam, React. Func. Polym. 2008, 68, 876-890.
【非特許文献18】J. Pernak, K. Sobaszkiewicz, I. Mirska, Green Chem., 2003, 5, 52-56.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、上述した論文では、何れも金属酸化物微粒子を合成、単離する報告であり、合成する際には様々な添加物を加えたり、洗浄に手間が掛かるなど、合成過程、精製過程が複雑である。当然どの論文に関しても微粒子の合成、物性解析を目的とするものであり、用途については記載されていない。
【0020】
一方、上述したように発明者は、イオン液体にバナジウム等の微量の金属化合物を溶解せしめたものをシリカゲルに含浸して調製した触媒を開発した。この触媒を用いて各種の揮発性有機化合物の空気酸化分解を行った。しかしながら、抗菌活性の評価については検討していない。
【0021】
また、上述したように、イミダゾリウム塩に代表されるイオン液体の抗菌活性については、幾つかの報告がある。また、イミダゾリウム塩以外のハロゲンを含まないイオン液体を用いて抗菌繊維を製造する報告もある。しかしながら、他のイオン液体については、抗菌活性を調べていない。
【0022】
そのため、このような課題を解決する、新規な酸化触媒、酸化方法、酸化装置および抗菌剤の開発が望まれている。
【0023】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、新規な酸化触媒を提供することを目的とする。
また、本発明は、この酸化触媒を用いる新規な酸化方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、この酸化方法を用いる新規な酸化装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、新規な抗菌剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の酸化触媒は、対象物質を酸化する酸化触媒において、金属化合物を含むイオン液体を担体に担持したことを特徴とする。
【0025】
ここで、限定されるわけではないが、対象物質は揮発性有機化合物であることが好ましい。また、限定されるわけではないが、対象物質は、スチレン、ベンゼン、エチルベンゼン、p−キシレン、トリクロロエタン、トルエン、トリクロロエチレンから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなることが好ましい。また、限定されるわけではないが、イオン液体は、アンモニウム系イオン液体、ピリジニウム系イオン液体、イミダゾリウム系イオン液体、ホスホニウム系イオン液体から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなることが好ましい。また、限定されるわけではないが、イオン液体は、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェート、N-オクチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、N-ブチルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-ヘキシルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-オクチルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-ブチルピリジニウムテトラフルオロボラート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムテトラフルオロボラート、塩化トリヘキシルテトラデシルホスホニウムから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなることが好ましい。また、限定されるわけではないが、金属化合物は、金属塩、金属錯体、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫化物、金属微粒子から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなることが好ましい。また、限定されるわけではないが、金属化合物は、VO(acac)2、V(acac)3、NaVO3、Na3VO4、VOSO4、Cu(OAc)2、Fe(acac)3、Pd(acac)2、MoO2(acac)2、(nBu4N)4PVMo11O40、(nBu4N)3PMo12O40から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなることが好ましい。また、限定されるわけではないが、担体は、粒状シリカ、アルミナ、活性炭、モレキュラーシーブス、繊維、ガラス板、ガラス細菅、ガラスビーズ、金属板、金属細菅、オガクズ、紙、スポンジから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなることが好ましい。
【0026】
本発明の酸化方法は、酸化触媒を用いて対象物質を酸化する、酸化方法において、前記酸化触媒は、金属化合物を含むイオン液体を担体に担持したものであることを特徴とする。
【0027】
ここで、限定されるわけではないが、対象物質は揮発性有機化合物であることが好ましい。また、限定されるわけではないが、対象物質は、スチレン、ベンゼン、エチルベンゼン、p−キシレン、トリクロロエタン、トルエン、トリクロロエチレンから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなることが好ましい。また、限定されるわけではないが、イオン液体は、アンモニウム系イオン液体、ピリジニウム系イオン液体、イミダゾリウム系イオン液体、ホスホニウム系イオン液体から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなることが好ましい。また、限定されるわけではないが、イオン液体は、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェート、N-オクチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、N-ブチルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-ヘキシルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-オクチルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-ブチルピリジニウムテトラフルオロボラート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムテトラフルオロボラート、塩化トリヘキシルテトラデシルホスホニウムから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなることが好ましい。また、限定されるわけではないが、金属化合物は、金属塩、金属錯体、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫化物、金属微粒子から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなることが好ましい。また、限定されるわけではないが、金属化合物は、VO(acac)2、V(acac)3、NaVO3、Na3VO4、VOSO4、Cu(OAc)2、Fe(acac)3、Pd(acac)2、MoO2(acac)2、(nBu4N)4PVMo11O40、(nBu4N)3PMo12O40から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなることが好ましい。また、限定されるわけではないが、担体は、粒状シリカ、アルミナ、活性炭、モレキュラーシーブス、繊維、ガラス板、ガラス細菅、ガラスビーズ、金属板、金属細菅、オガクズ、紙、スポンジから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなることが好ましい。
【0028】
本発明の酸化装置は、酸化触媒を用いて対象物質を酸化する、酸化装置において、前記酸化触媒は、金属化合物を含むイオン液体を担体に担持したものであることを特徴とする。
【0029】
ここで、限定されるわけではないが、対象物質は揮発性有機化合物であることが好ましい。また、限定されるわけではないが、対象物質は、スチレン、ベンゼン、エチルベンゼン、p−キシレン、トリクロロエタン、トルエン、トリクロロエチレンから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなることが好ましい。また、限定されるわけではないが、イオン液体は、アンモニウム系イオン液体、ピリジニウム系イオン液体、イミダゾリウム系イオン液体、ホスホニウム系イオン液体から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなることが好ましい。また、限定されるわけではないが、イオン液体は、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェート、N-オクチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、N-ブチルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-ヘキシルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-オクチルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-ブチルピリジニウムテトラフルオロボラート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムテトラフルオロボラート、塩化トリヘキシルテトラデシルホスホニウムから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなることが好ましい。また、限定されるわけではないが、金属化合物は、金属塩、金属錯体、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫化物、金属微粒子から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなることが好ましい。また、限定されるわけではないが、金属化合物は、VO(acac)2、V(acac)3、NaVO3、Na3VO4、VOSO4、Cu(OAc)2、Fe(acac)3、Pd(acac)2、MoO2(acac)2、(nBu4N)4PVMo11O40、(nBu4N)3PMo12O40から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなることが好ましい。また、限定されるわけではないが、担体は、粒状シリカ、アルミナ、活性炭、モレキュラーシーブス、繊維、ガラス板、ガラス細菅、ガラスビーズ、金属板、金属細菅、オガクズ、紙、スポンジから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなることが好ましい。
【0030】
本発明の抗菌剤は、金属化合物を含むイオン液体を担体に担持したものである。
【0031】
ここで、限定されるわけではないが、イオン液体は、アンモニウム系イオン液体、ピリジニウム系イオン液体、イミダゾリウム系イオン液体、ホスホニウム系イオン液体から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなることが好ましい。また、限定されるわけではないが、イオン液体は、イミダゾリウムテトラフルオロボラート誘導体、イミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート誘導体、イミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート誘導体、イミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド誘導体、イミダゾリウムトリフルオロアセタート誘導体、イミダゾリウムアルキルスルフェート誘導体、イミダゾリウムハイドロジェンスルフェート誘導体、イミダゾリウムジアルキルホスフェート誘導体、塩化イミダゾリウム誘導体、臭化イミダゾリウム誘導体、ヨウ化イミダゾリウム誘導体、チオシアン化イミダゾリウム誘導体、ミダゾリウムカルボキシレート誘導体、イミダゾリウムビスオキザサトボラート誘導体、イミダゾリウムジシアナミド誘導体、ピリジニウムテトラフルオロボラート誘導体、ピリジニウムトリフルオロアセタート誘導体、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート誘導体、塩化ピリジニウム誘導体、臭化ピリジニウム誘導体、ヨウ化ピリジニウム誘導体、チオシアン化ピリジニウム誘導体、ピリジニウムジシアナミド誘導体、ピリジニウムアルキルスルフェート誘導体、ピリジニウムハイドロジェンスルフェート誘導体、ピリジニウムジアルキルホスフェート誘導体、ピリジニウムカルボキシレート誘導体、ピリジニウムビスオキザラトボラート誘導体、ピリジニウムジシアナミド誘導体から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなることが好ましい。また、限定されるわけではないが、イオン液体は、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N-ヘキシル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、N-オクチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、N-ブチルピリジニウムテトラフルオロボラート、N-ヘキシルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-オクチルピリジニウムトリフルオロアセタートから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなることが好ましい。また、限定されるわけではないが、金属化合物は、金属塩、金属錯体、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫化物、金属微粒子から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなることが好ましい。また、限定されるわけではないが、金属化合物は、VO(acac)2、Mn(acac)2、Ni(acac)2、Co(acac)3、Fe(acac)3、MoO2(acac)2、Pd(acac)2、NaVO3、VOSO4(H2O)nから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなることが好ましい。また、限定されるわけではないが、担体は、粒状シリカ、アルミナ、活性炭、モレキュラーシーブス、セラミックス、レンガ、木材、繊維、ガラス板、ガラス細菅、ガラスビーズ、金属板、金属細菅、オガクズ、紙、スポンジから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなることが好ましい。
【0032】
本発明の抗菌剤は、イオン液体を担体に担持したものである。
【0033】
ここで、限定されるわけではないが、イオン液体は、アンモニウム系イオン液体、ピリジニウム系イオン液体、イミダゾリウム系イオン液体、ホスホニウム系イオン液体から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなることが好ましい。また、限定されるわけではないが、イオン液体は、イミダゾリウムテトラフルオロボラート誘導体、イミダゾリウムトリフルオロアセタート誘導体、イミダゾリウムアルキルスルフェート誘導体、イミダゾリウムハイドロジェンスルフェート誘導体、イミダゾリウムジアルキルホスフェート誘導体、塩化イミダゾリウム誘導体、臭化イミダゾリウム誘導体、ヨウ化イミダゾリウム誘導体、チオシアン化イミダゾリウム誘導体、ミダゾリウムカルボキシレート誘導体、イミダゾリウムビスオキザサトボラート誘導体、イミダゾリウムジシアナミド誘導体、ピリジニウムトリフルオロアセタート誘導体、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート誘導体、塩化ピリジニウム誘導体、臭化ピリジニウム誘導体、ヨウ化ピリジニウム誘導体、チオシアン化ピリジニウム誘導体、ピリジニウムジシアナミド誘導体、ピリジニウムアルキルスルフェート誘導体、ピリジニウムハイドロジェンスルフェート誘導体、ピリジニウムジアルキルホスフェート誘導体、ピリジニウムカルボキシレート誘導体、ピリジニウムビスオキザラトボラート誘導体、ピリジニウムジシアナミド誘導体から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなり、イオン液体は、水溶性であることが好ましい。また、限定されるわけではないが、イオン液体は、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、N-ヘキシル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、N-オクチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、N-ヘキシルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-オクチルピリジニウムトリフルオロアセタートから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなることが好ましい。また、限定されるわけではないが、担体は、粒状シリカ、アルミナ、活性炭、モレキュラーシーブス、セラミックス、レンガ、木材、繊維、ガラス板、ガラス細菅、ガラスビーズ、金属板、金属細菅、オガクズ、紙、スポンジから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなることが好ましい。
【発明の効果】
【0034】
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
【0035】
本発明の酸化触媒は、対象物質を酸化する酸化触媒において、金属化合物を含むイオン液体を担体に担持したので、新規な酸化触媒を提供することができる。
【0036】
本発明の酸化方法は、酸化触媒を用いて対象物質を酸化する、酸化方法において、前記酸化触媒が、金属化合物を含むイオン液体を担体に担持したものであるので、新規な酸化方法を提供することができる。
【0037】
本発明の酸化装置は、酸化触媒を用いて対象物質を酸化する、酸化装置において、前記酸化触媒が、金属化合物を含むイオン液体を担体に担持したものであるので、新規な酸化装置を提供することができる。
【0038】
本発明の抗菌剤は、金属化合物を含むイオン液体を担体に担持したものであるので、新規な抗菌剤を提供することができる。
【0039】
本発明の抗菌剤は、イオン液体を担体に担持したものであるので、新規な抗菌剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、酸化触媒、酸化方法および酸化装置にかかる発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0041】
酸化触媒について説明する。酸化触媒は、対象物質を酸化する酸化触媒において、金属化合物を含むイオン液体を担体に担持したものである。
【0042】
本発明触媒の処理対象となる揮発性有機化合物としては、ノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、ノルマルヘプタン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、スチレン、p−キシレン、m−キシレン、o−キシレン、アニソール、フラン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、tert-ブチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、1,4−ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、ブタノン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ピリジン、メチルメルカプタン(CHSH)、クロロメタン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、酢酸、プロピオン酸、酪酸、クロロ酢酸、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0043】
本発明触媒の処理対象は、揮発性有機化合物に限定されるものではない。このほか本発明触媒の処理対象としては、アンモニア、一酸化炭素、硫化水素(H2S)、ホスフィン(PH3)、シラン(SH4)などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0044】
本発明の触媒では、金属化合物を使用している。金属化合物を使用する理由は、酸化還元反応により酸素と化合して有機化合物を酸素化し、分解する能力があるからであり、触媒として作用する能力を有しているからである。
【0045】
金属化合物の金属としては、バナジウム、モリブデン、銅、鉄、パラジウム、チタン、ジルコニウム、イットリウム、ランタン、ニオブ、タンタル、クロム、タングステン、マンガン、レニウム、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、白金、銀、亜鉛、スズ、鉛などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0046】
金属化合物としては、金属塩、金属錯体、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫化物、金属微粒子などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0047】
金属塩として具体的には、Cu(OAc)2, Zn(OAc)2, Rh(OAc)2, Ni(OAc)2, Mo2(OAc)4, Mn(OAc)2, Mn(OAc)3等の酢酸塩、Fe(C2O4), Fe2(C2O4)3, Ni(C2O4)等のシュウ酸塩、ZnCl2, VCl3, V(O)Cl3, WCl6, RhCl3, ReCl5, MoCl5, MnCl2, NiCl2, FeCl2, FeCl3, CuCl2, CuCl等の塩化物、 ZnBr2, WBr5, RhBr3, MnBr2, FeBr2, NiBr2, CuBr, CuBr2等の臭化物、ZnI2, RhI3, MnI2, FeI2, NiI2, CuI等のヨウ化物、MnCO3, NiCO3, CuCO3等の炭酸塩、Zn3(PO4)2, RhPO4, FePO4等のリン酸塩、 Zn(NO3)2, Rh(NO3)3, Mn(NO3)2, Ni(NO3)2等の硝酸塩、ZnSO4, VOSO4, Rh2(SO4)3, MnSO4, FeSO4, NiSO4, CuSO4等の硫酸塩、Zn(CF3SO3)2, Cu(CF3SO3)2等のスルホン酸塩などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0048】
金属錯体として具体的には、VO(acac)2, V(acac)3, MoO2(acac)2, Pd(acac)2, Fe(acac)2, Fe(acac)3, Cu(acac)2, Mn(acac)2, Ni(acac)2, Co(acac)2, Co(acac)3等のアセチルアセトナート錯体、RuCl2(PPh3)3, RhCl(PPh3)3等のホスフィン錯体、Mo(CO)6, Ni(CO)4, Fe(CO)5, Mn2(CO)10, W(CO)6等のカルボニル錯体、Ti(OiPr)4, V(O)(OiPr)3等の 金属アルコラートなどから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0049】
金属酸化物として具体的には、NaVO3, Na3VO4, V2O3, V2O4, V2O5, (nBu4N)3PMo12O40, (nBu4N)4PVMo11O40, MoO2, MoO3, MnO, Mn2O3, MnO2, Mn3O4, WO3, TiO2, ZnO, CuO, Cu2O, CoO, Co3O4, FeO, Fe2O3, Fe3O4, NiO, NiO2, Re2O7, Rh2O3などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0050】
金属水酸化物として具体的には、Ni(OH)2, Cu(OH)2などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0051】
金属硫化物として具体的には、V2S3, V2S5, MoS2, MoS3, MnS, ZnS, CuS, Cu2S, FeS, NiS2, PdS, Re2S7, RuS2などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0052】
金属微粒子として具体的には、鉄粉、亜鉛粉、パラジウム粉、バナジウム粉、銅粉、コバルト粉などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0053】
本発明の触媒では、イオン液体を使用している。イオン液体を使用する理由は、4級アンモニウム塩であるため揮発性が無いこと、耐酸化性を有すること、極性が高いため触媒の金属化合物に対する溶解度が高いこと、アルキル基を有しているため揮発性有機化合物との相溶性があること、酸素に対する溶解度が高いことを挙げることができる。
【0054】
イオン液体としては、カチオン部位では、アンモニウム系イオン液体、ピリジニウム系イオン液体、イミダゾリウム系イオン液体、ホスホニウム系イオン液体などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。アニオン部位では、ハロゲン化物系イオン液体、アセタート系イオン液体、イミド系イオン液体、ボラート系イオン液体、ホスフェート系イオン液体、スルホナート系イオン液体などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することが出来る。
【0055】
アンモニウム系イオン液体として具体的には、N−プロピルトリメチルアンモニウム塩、N-メチル−N−プロピルピペリジニウム塩、N-メチル−N−プロピルピロリジニウム塩、N−メチル−トリオクチルアンモニウム塩などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0056】
ピリジニウム系イオン液体として具体的には、N−ブチルピリジニウム塩、N−ヘキシルピリジニウム塩、N−オクチルピリジニウム塩などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0057】
イミダゾリウム系イオン液体として具体的には、N−プロピル−N’−メチルイミダゾリウム塩、N−アリル−N’−メチルイミダゾリウム塩、N−ブチル−N’−メチルイミダゾリウム塩、N,N’−ジプロピルイミダゾリウム塩、N,N’−ジアリルイミダゾリウム塩、N−オクチル−N’−メチルイミダゾリウム塩などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0058】
ホスホニウム系イオン液体として具体的には、トリヘキシルテトラデシルホスホニウム塩などを採用することができる。
【0059】
ハロゲン化物系イオン液体として具体的には、塩化物、臭化物、ヨウ化物、チオシアナートなどから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0060】
アセタート系イオン液体として具体的には、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0061】
イミド系イオン液体として具体的には、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、ジシアナミドなどから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0062】
ボラート系イオン液体として具体的には、テトラフルオロボラート、ビス[オキサラト(2−)−O,O’]ボラートなどから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0063】
ホスフェート系イオン液体として具体的には、ヘキサフルオロホスフェート、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートなどから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0064】
スルホナート系イオン液体として具体的には、メタンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、メチルスルフェート、ブチルスルフェート、ヘキシルスルフェート、ハイドロジェンスルフェート、p−トルエンスルホナートなどから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0065】
本発明の触媒では、担体を使用している。担体を使用する理由は、担体表面に膜を形成することによりイオン液体の流動を防ぐこと、担体の表面積を利用することにより揮発性有機化合物の吸着能力を高めること、大きい表面積を利用して酸素ガスの溶解量を増大させること、反応熱を放散させることを挙げることができる。
【0066】
担体としては、粒状シリカ、アルミナ、活性炭、モレキュラーシーブス、セラミックス、レンガ、木材などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0067】
担体の比表面積は100〜5000 m2/gの範囲内にあることが好ましい。比表面積が100 m2/g以上であると、イオン液体が流動を起こさず、十分担持されるという利点がある。比表面積が5000 m2/g以下であると、気体分子の吸着量が大きいという利点がある。
【0068】
担体の粒度分布は0.1〜1000μmの範囲内にあることが好ましい。粒度分布が0.1μm以上であると、イオン液体が十分担持されるという利点がある。粒度分布が1000μm以下であると、反応熱を放散できるという利点がある。
【0069】
担体は、上記の例に限定されるものではない。このほか担体としては、繊維、ガラス板、ガラス細菅(キャピラリー)、ガラスビーズ、金属板、金属細菅、オガクズ、紙、スポンジなどから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0070】
触媒に対する金属化合物の担持量は0.001〜1000μmol/触媒100mgの範囲内にあることが好ましい。担持量が0.001μmol/触媒100mg以上であると、揮発性有機溶媒を分解する能力を発現するという利点がある。担持量が1000μmol/触媒100mg以下であると、触媒活性の持続時間が向上するという利点がある。
【0071】
反応温度は-20〜300℃の範囲内にあることが好ましい。反応温度が-20℃以上であると、沸点が低温の揮発性ガスを分解できるという利点がある。反応温度が300℃以下であると、イオン液体が分解せず、触媒能を維持できるという利点がある。
【0072】
本発明触媒は、気相中の反応ばかりでなく、有機溶媒、水溶媒、フルオロカーボンなどの液相中の反応や、超臨界流体中でも使用することができる。
【0073】
酸化方法について説明する。酸化方法は、酸化触媒を用いて対象物質を酸化する方法であり、前記酸化触媒は、金属化合物を含むイオン液体を担体に担持したものである。
【0074】
酸化装置について説明する。酸化装置は、酸化触媒を用いて対象物質を酸化する装置であり、前記酸化触媒は、金属化合物を含むイオン液体を担体に担持したものである。
【0075】
酸化装置として具体的には、脱臭装置、空気浄化装置、汚水処理装置、純水製造装置などを採用することができる。
【0076】
なお、本発明は上述の発明を実施するための最良の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0077】
つぎに、抗菌剤にかかる発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0078】
第1の抗菌剤の例について説明する。
【0079】
抗菌剤は、金属化合物を含むイオン液体を担体に担持したものである。
【0080】
抗菌剤は、金属化合物を使用している。金属化合物を使用する理由は、多くの無機系抗菌剤の場合もそうであるように、金属イオン自体に抗菌作用があるので、徐々に金属イオンや、金属酸化物を放出することで抗菌活性を維持させるためである。
【0081】
金属化合物の金属としては、バナジウム、モリブデン、銅、鉄、パラジウム、チタン、ジルコニウム、イットリウム、ランタン、ニオブ、タンタル、クロム、タングステン、マンガン、レニウム、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、白金、銀、亜鉛、スズ、鉛などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0082】
金属化合物としては、金属塩、金属錯体、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫化物、金属微粒子などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0083】
金属塩として具体的には、Cu(OAc)2, Zn(OAc)2, Rh(OAc)2, Ni(OAc)2, Mo2(OAc)4, Mn(OAc)2, Mn(OAc)3等の酢酸塩、Fe(C2O4), Fe2(C2O4)3, Ni(C2O4)等のシュウ酸塩、ZnCl2, VCl3, V(O)Cl3, WCl6, RhCl3, ReCl5, MoCl5, MnCl2, NiCl2, FeCl2, FeCl3, CuCl2, CuCl等の塩化物、 ZnBr2, WBr5, RhBr3, MnBr2, FeBr2, NiBr2, CuBr, CuBr2等の臭化物、ZnI2, RhI3, MnI2, FeI2, NiI2, CuI等のヨウ化物、MnCO3, NiCO3, CuCO3等の炭酸塩、Zn3(PO4)2, RhPO4, FePO4等のリン酸塩、 Zn(NO3)2, Rh(NO3)3, Mn(NO3)2, Ni(NO3)2等の硝酸塩、ZnSO4, VOSO4, Rh2(SO4)3, MnSO4, FeSO4, NiSO4, CuSO4等の硫酸塩、Zn(CF3SO3)2, Cu(CF3SO3)2等のスルホン酸塩などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0084】
金属錯体として具体的には、VO(acac)2, V(acac)3, MoO2(acac)2, Pd(acac)2, Fe(acac)2, Fe(acac)3, Cu(acac)2, Mn(acac)2, Ni(acac)2, Co(acac)2, Co(acac)3等のアセチルアセトナート錯体、RuCl2(PPh3)3, RhCl(PPh3)3等のホスフィン錯体、Mo(CO)6, Ni(CO)4, Fe(CO)5, Mn2(CO)10, W(CO)6等のカルボニル錯体、Ti(OiPr)4, V(O)(OiPr)3等の 金属アルコラートなどから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0085】
金属酸化物として具体的には、NaVO3, Na3VO4, V2O3, V2O4, V2O5, (nBu4N)3PMo12O40, (nBu4N)4PVMo11O40, MoO2, MoO3, MnO, Mn2O3, MnO2, Mn3O4, WO3, TiO2, ZnO, CuO, Cu2O, CoO, Co3O4, FeO, Fe2O3, Fe3O4, NiO, NiO2, Re2O7, Rh2O3などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0086】
金属水酸化物として具体的には、Ni(OH)2, Cu(OH)2などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0087】
金属硫化物として具体的には、V2S3, V2S5, MoS2, MoS3, MnS, ZnS, CuS, Cu2S, FeS, NiS2, PdS, Re2S7, RuS2などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0088】
金属微粒子として具体的には、鉄粉、亜鉛粉、パラジウム粉、バナジウム粉、銅粉、コバルト粉などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0089】
抗菌剤は、イオン液体を使用している。イオン液体を使用する理由は、(1)イオン液体自体に抗菌活性があること、(2)イオン液体中に金属化合物を添加することで、空気中の酸素および水分の作用により、金属化合物を金属酸化物の微粒子に変化させるための溶媒として用いていること、(3)イオン液体中で、金属酸化物微粒子をゲル化して安定化させるためであること、(4)イオン液体をプールとして用いて、水系へ徐々に金属酸化物を溶出させるためであること、である。
【0090】
イオン液体としては、カチオン部位では、アンモニウム系イオン液体、ピリジニウム系イオン液体、イミダゾリウム系イオン液体、ホスホニウム系イオン液体などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。アニオン部位では、ハロゲン化物系イオン液体、カルボキシラート系イオン液体、イミド系イオン液体、ボラート系イオン液体、ホスフェート系イオン液体、スルホナート系イオン液体、スルフェート系イオン液体などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することが出来る。
【0091】
アンモニウム系イオン液体として具体的には、N−プロピルトリメチルアンモニウム塩、N-メチル−N−プロピルピペリジニウム塩、N-メチル−N−プロピルピロリジニウム塩、N−メチル−トリオクチルアンモニウム塩などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0092】
ピリジニウム系イオン液体として具体的には、N−ブチルピリジニウム塩、N−ヘキシルピリジニウム塩、N−オクチルピリジニウム塩などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0093】
イミダゾリウム系イオン液体として具体的には、N−プロピル−N’−メチルイミダゾリウム塩、N−アリル−N’−メチルイミダゾリウム塩、N−ブチル−N’−メチルイミダゾリウム塩、N,N’−ジプロピルイミダゾリウム塩、N,N’−ジアリルイミダゾリウム塩、N−ヘキシル−N’−メチルイミダゾリウム塩、N−オクチル−N’−メチルイミダゾリウム塩などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0094】
ホスホニウム系イオン液体として具体的には、トリヘキシルテトラデシルホスホニウム塩などを採用することができる。
【0095】
ハロゲン化物系イオン液体として具体的には、塩化物、臭化物、ヨウ化物、チオシアナートなどから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0096】
カルボキシラート系イオン液体として具体的には、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0097】
イミド系イオン液体として具体的には、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、ジシアナミドなどから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0098】
ボラート系イオン液体として具体的には、テトラフルオロボラート、ビス[オキサラト(2−)−O,O’]ボラートなどから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0099】
ホスフェート系イオン液体として具体的には、ヘキサフルオロホスフェート、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートなどから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0100】
スルホナート系イオン液体として具体的には、メタンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、p−トルエンスルホナートなどから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0101】
スルフェート系イオン液体として具体的には、メチルスルフェート、ブチルスルフェート、ヘキシルスルフェート、ハイドロジェンスルフェートなどから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0102】
抗菌剤は、担体を使用している。担体を使用する理由は、つぎのとおりである。シリカのように多くの細孔を有し、表面積が大きい担体上では、イオン液体が表面張力で含浸しやすいことが第一の理由としてあげられる。さらにイオン液体中に溶解した金属化合物が空気中の酸素と作用し、金属酸化物に変化する。その場合、表面積が大きいほど空気中の酸素と接触する機会が増え、その効果が大きくなることが第二の理由である。
【0103】
担体としては、粒状シリカ、アルミナ、活性炭、モレキュラーシーブス、セラミックス、レンガ、木材などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0104】
担体は、上記の例に限定されるものではない。このほか担体としては、繊維、ガラス板、ガラス細菅(キャピラリー)、ガラスビーズ、金属板、金属細菅、オガクズ、紙、スポンジなどから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0105】
担体の比表面積は100〜5000 m2/gの範囲内にあることが好ましい。比表面積が100 m2/g以上であると、空気との接触面積が増え、イオン液体中の金属化合物が効率的に金属酸化物に変化させることができるという利点がある。比表面積が5000 m2/g以下であると、イオン液体の含浸量を軽減できるという利点がある。
【0106】
担体の粒度分布は0.1〜1000μmの範囲内にあることが好ましい。粒度分布が0.1μm以上であると、イオン液体中金属酸化物微粒子を効率的に水系に放出できるという利点がある。粒度分布が1000μm以下であると、イオン液体含浸量および金属担持量を減らすことができるという利点がある。
【0107】
抗菌剤に対する金属化合物の担持量は0.001〜1000μmol/抗菌剤100mgの範囲内にあることが好ましい。担持量が0.001μmol/抗菌剤100mg以上であると、活性な抗菌作用を有する金属酸化物の微粒子が生成しやすいという利点がある。担持量が1000μmol/抗菌剤100mg以下であると、抗菌活性を長時間持続させることができるという利点がある。
【0108】
本発明の抗菌剤の用途としては、塗料に混ぜることで住宅建材の抗菌塗装に用いたり、繊維に練りこんで抗菌繊維、不織布に添加し抗菌不織布、空気清浄機のフィルター、浄水器フィルター、プラスチックに配合し抗菌プラスチックとして用いることなどを挙げることができる。
【0109】
第2の抗菌剤の例について説明する。
【0110】
抗菌剤は、イオン液体を担体に担持したものである。
【0111】
抗菌剤は、イオン液体を使用している。イオン液体を使用する理由は、(1)イオン液体自体に抗菌活性があること、(2)イオン液体には揮発性が無く、耐久性があること、(3)イオン液体は他の有機抗菌剤に比較して熱安定性に優れていること、(4)イオン液体は一種の塩であるので極性が高く、水に対して難溶性ではないこと、などが挙げられる。
【0112】
イオン液体は、水溶性であることが好ましい。水溶性であることが好ましい理由は、水媒体を介して細菌に抗菌剤を接触させる為である。
【0113】
イオン液体としては、カチオン部位では、アンモニウム系イオン液体、ピリジニウム系イオン液体、イミダゾリウム系イオン液体、ホスホニウム系イオン液体などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。アニオン部位では、ハロゲン化物系イオン液体、イミド系イオン液体、ボラート系イオン液体、ホスフェート系イオン液体、スルホナート系イオン液体、スルフェート系イオン液体、カルボキシレート系イオン液体、ジシアナミド系イオン液体などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することが出来る。
【0114】
アンモニウム系イオン液体として具体的には、N−プロピルトリメチルアンモニウム塩、N-メチル−N−プロピルピペリジニウム塩、N-メチル−N−プロピルピロリジニウム塩、N−メチル−トリオクチルアンモニウム塩などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0115】
ピリジニウム系イオン液体として具体的には、N−ブチルピリジニウム塩、N−ヘキシルピリジニウム塩、N−オクチルピリジニウム塩などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0116】
イミダゾリウム系イオン液体として具体的には、N−プロピル−N’−メチルイミダゾリウム塩、N−アリル−N’−メチルイミダゾリウム塩、N−ブチル−N’−メチルイミダゾリウム塩、N,N’−ジプロピルイミダゾリウム塩、N,N’−ジアリルイミダゾリウム塩、N−ヘキシル−N’−メチルイミダゾリウム塩、N−オクチル−N’−メチルイミダゾリウム塩などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0117】
ホスホニウム系イオン液体として具体的には、トリヘキシルテトラデシルホスホニウム塩などを採用することができる。
【0118】
ハロゲン化物系イオン液体として具体的には、塩化物、臭化物、ヨウ化物、チオシアナートなどから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0119】
カルボキシラート系イオン液体として具体的には、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0120】
イミド系イオン液体として具体的には、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、ジシアナミドなどから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0121】
ボラート系イオン液体として具体的には、テトラフルオロボラート、ビス[オキサラト(2−)−O,O’]ボラートなどから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0122】
ホスフェート系イオン液体として具体的には、ヘキサフルオロホスフェート、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートなどから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0123】
スルホナート系イオン液体として具体的には、メタンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、p−トルエンスルホナートなどから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0124】
スルフェート系イオン液体として具体的には、メチルスルフェート、ブチルスルフェート、ヘキシルスルフェート、ハイドロジェンスルフェートなどから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0125】
抗菌剤は、担体を使用している。担体を使用する理由は、つぎのとおりである。シリカのように多くの細孔を有し、表面積が大きい担体上では、イオン液体が表面張力で含浸しやすいことが第一の理由としてあげられる。さらに、一旦、細孔に取り込まれた抗菌作用を有する化合物を断続的に水中に溶出させることで、抗菌剤に長時間の持続性を有させることが出来る。
【0126】
担体としては、粒状シリカ、アルミナ、活性炭、モレキュラーシーブス、セラミックス、レンガ、木材などから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0127】
担体は、上記の例に限定されるものではない。このほか担体としては、繊維、ガラス板、ガラス細菅(キャピラリー)、ガラスビーズ、金属板、金属細菅、オガクズ、紙、スポンジなどから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。
【0128】
担体の比表面積は100〜5000 m2/gの範囲内にあることが好ましい。比表面積が100 m2/g以上であると、イオン液体の担持が可能になり、容易に剥がれ落ちないという利点がある。比表面積が5000 m2/g以下であると、イオン液体の含浸量を軽減できるという利点がある。
【0129】
担体の粒度分布は0.1〜1000μmの範囲内にあることが好ましい。粒度分布が0.1μm以上であると、粉体としての取り扱いが容易であり、溶剤と混合させることでペースト状に加工出来、塗装用途にも可能となるという利点がある。粒度分布が1000μm以下であると、イオン液体含浸量を減らすことができるという利点がある。
【0130】
本発明の抗菌剤の用途としては、塗料に混ぜることで住宅建材の抗菌塗装に用いたり、繊維に練りこんで抗菌繊維、不織布に添加し抗菌不織布、空気清浄機のフィルター、浄水器フィルター、プラスチックに配合し抗菌プラスチックとして用いることなどを挙げることができる。
【0131】
なお、本発明は上述の発明を実施するための最良の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【実施例】
【0132】
つぎに、本発明にかかる第1の実施例について具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではないことはもちろんである。
【0133】
<イオン液体の効果>
【0134】
触媒の調製について説明する。
【0135】
実施例1
球状シリカ(AGCエスアイテック製D-100-40A、比表面積884 m2/g、細孔容積0.91 mL/g、細孔直径4.1 nm、粒度分布63-210μm)0.66gをフラスコに秤量し、メタノール10mLに懸濁させた。これにイオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート[(BuMeIm)CF3COO](0.33 g)とアセチルアセトンバナジル(VO(acac)2、26.5 mg, 0.10mmol)のメタノール溶液(10mL)を室温にて徐々に滴下し、60分間、空気下で混合させた。ロータリーエバポレータを用いて、この懸濁液からメタノールを減圧留去(25 mmHg/50℃)し、更に2時間真空乾燥させ、緑色の触媒0.93gを得た。
【0136】
実施例2
イオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート[(BuMeIm)BF4](0.33 g)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、緑色の触媒0.95 gを得た。
【0137】
実施例3
イオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート [(BuMeIm)PF6](0.33 g)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、緑色の触媒0.94 gを得た。
【0138】
実施例4
イオン液体としてN-オクチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート[(OctMeIm)CF3COO](0.33 g)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、淡緑色の触媒0.91 gを得た。
【0139】
実施例5
イオン液体としてN-ブチルピリジニウムトリフルオロアセタート[(BuPy)CF3COO](0.33 g)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、緑色の触媒1.02 gを得た。
【0140】
実施例6
イオン液体としてN-ヘキシルピリジニウムトリフルオロアセタート[(HexPy)CF3COO](0.33 g)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、緑色の触媒0.98 gを得た。
【0141】
実施例7
イオン液体としてN-オクチルピリジニウムトリフルオロアセタート[(OctPy)CF3COO](0.33 g)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、緑色の触媒0.95 gを得た。
【0142】
実施例8
イオン液体としてN-ブチルピリジニウムテトラフルオロボラート[(BuPy)BF4](0.33 g)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、緑色の触媒1.02 gを得た。
【0143】
実施例9
イオン液体としてトリヘキシルテトラデシルホスホニウムテトラフルオロボラート[C14H29(C6H13)3P]BF4](0.33 g)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、緑色の触媒0.90 gを得た。
【0144】
実施例10
イオン液体として塩化トリヘキシルテトラデシルホスホニウム[C14H29(C6H13)3P]Cl](0.33 g)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、緑色の触媒0.77 gを得た。
【0145】
比較例1
イオン液体としてNブチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート(BuMeIm)CF3COO](0.33 g)を用い、VO(acac)2を加えずに行う他は実施例1と同様に調製を行い、白色の触媒0.99 gを得た。
【0146】
評価方法について説明する。
XPS測定はAlKα X線(1486.6 eV)を線源とするULVAC-PHI 1700R ESCAを用いて行った。
【0147】
透過型電子顕微鏡観察は、電界放射型透過型電子顕微鏡(日本電子製、JEM-2010F)を用いて測定した。また、測定点における元素分析は、本装置付属のエネルギー分散型蛍光X線装置(NORAN Instruments)を用いて行った。
【0148】
触媒活性の評価は次のように行った。
図1に示すような水素炎イオン化検出器(FID)型ガスクロマトグラフィを用いるパルスインジェクション法を用いて、触媒活性の評価を行った。4mmφ×25 mmのステンレスパイプに触媒100 mg を詰めた触媒カラムを試料導入口側に取り付け、続いてアルコール、ケトン、カルボン酸等の部分酸化生成物を除去するためのフィルターカラム(Porapak QS, 2 mmφ×100 mm)を触媒カラムとFID検出器間に取り付け、キャリアガスとして空気(流量25mL/min)を流しながら、所定の温度で、VOCとしてスチレンをマイクロシリンジで1.00 μL触媒カラムに導入した。
【0149】
FID検出器で未反応のVOCを検出し、転化率X(除去率)を算出した。転化率は次式により求められる。
X=100×(SI−SA)/SI
なお、ここでSA及びSIはそれぞれ、
A:触媒カラム及びフィルターカラムを通過して検出されたVOCのピーク面積
I:触媒カラムを装着せずにフィルターカラムのみを通過して検出されたVOCのピーク面積(ブランク測定)
を示す。測定は3回行い、平均値を算出した。
【0150】
評価結果について説明する。
XPS測定について説明する。図2にVO(acac)2/[BuMeIm]BF4/SiO2触媒(実施例2)調製時のXPS測定におけるV2pのスペクトルを示す。517.5eVに特徴的なV2O5由来のピークが観測された。一般に、VO(acac)2のような4価のVO2+は513eVに観測されるが、本測定では検出されなかった。このことより本実験で調製した触媒中のV種は、触媒調製時に既に空気によって酸化を受け、V2O5に変化していると考えられる。
【0151】
触媒原料として用いた4価のVO(acac)2が空気中の酸素によって酸化を受けて、以下の反応式(1)(化1)に従ってV2O5に変化したものと考えられる。一般的に、VO(acac)2は有機溶媒中に溶解し、空気に曝しても容易には空気酸化されない。表面積の大きいイオン液体膜中で十分な酸素が供給されることで、このような酸化反応が進行したものと考えられる。
【0152】
【化1】

【0153】
電子顕微鏡観察について説明する。図3(A)にVO(acac)2/[BuMeIm]BF4/SiO2触媒(実施例2)の透過型電子顕微鏡観察を行った結果を示す。図中、右側の真っ黒な部分がシリカで、その表面上に膜状のイオン液体が観測される。ところどころまだらな斑点のような物が観測できる。色の薄い部分(a点)と黒い部分(b点)の蛍光X線分析測定(図3(B),(C))により、a点には触媒金属は存在せず、b点からはV2O5と帰属されるX線パターンを確認できた。黒い斑点はV化合物の集合体であることが判明した。XPSの結果と併せて考えれば、斑点(b点)はアモルファス状態のV2O5であると推測される。
【0154】
触媒活性の評価結果について表1を用いて説明する。比較例1に金属を含まない例を示す。金属を含まない為、スチレンは全く反応せず、転化率は0%である。これに金属としてVO(acac)2を添加した触媒を用いて触媒活性の評価を行ったところ、どのイオン液体を用いても、スチレンが酸化分解をうけ、除去されることが分かった。中でも実施例5の[BuPy]CF3COO代表されるトリフルオロ酢酸塩に高い活性がある(実施例1、4〜7)が、このイオン液体そのものの分解点が150℃と低い。実施例2の[BuMeIm]BF4は少し活性が劣るものの、それ自身の分解点は300℃以上と報告されており汎用性は高いと考えられる。また、スチレンに対して高い溶解度を示すイオン液体においても、同程度の触媒活性を示した(実施例9,10)。以上の反応では、反応機構は不明であるが、スチレンが空気と反応し、ベンズアルデヒドと二酸化炭素となり、ついで安息香酸、最終的には二酸化炭素まで酸化分解されると考えられる。
【0155】
【表1】

【0156】
<金属化合物の効果>
【0157】
触媒の調製について説明する。
【0158】
実施例11
イオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート[(BuMeIm)BF4](0.33 g)及び触媒としてV(acac)3(28.6 mg, 0.10 mmol)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、黄色の触媒0.95 gを得た。
【0159】
実施例12
イオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート[(BuMeIm)BF4](0.33 g)及び触媒としてNaVO3(13.2 mg, 0.10 mmol)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、白色の触媒0.77 gを得た。
【0160】
実施例13
イオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート[(BuMeIm)BF4](0.33 g)及び触媒としてNa3VO4(19.4 mg, 0.10 mmol)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、白色の触媒0.89 gを得た。
【0161】
実施例14
イオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート[(BuMeIm)BF4](0.33 g)及び触媒としてVOSO4(17.6 mg, 0.10 mmol)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、白色の触媒1.01 gを得た。
【0162】
比較例2
イオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート[(BuMeIm)BF4](0.33 g)及び触媒としてV2O5(18.2 mg, 0.10 mmol)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、黄色の触媒0.99 gを得た。
【0163】
実施例15
イオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート[(BuMeIm)BF4](0.33 g)及び触媒としてCu(OAc)2(19.2 mg, 0.10 mmol)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、青色の触媒0.95 gを得た。
【0164】
実施例16
イオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート[(BuMeIm)BF4](0.33 g)及び触媒としてFe(acac)3(33.8 mg, 0.10 mmol)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、濃赤色の触媒0.91 gを得た。
【0165】
実施例17
イオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート[(BuMeIm)BF4](0.33 g)及び触媒としてPd(acac)2(31.0 mg, 0.10 mmol)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、濃赤色の触媒0.97 gを得た。
【0166】
実施例18
イオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート[(BuMeIm)BF4](0.33 g)及び触媒としてMoO2(acac)2(33.8 mg, 0.10 mmol)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、橙色の触媒0.71gを得た。
【0167】
実施例19
イオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート[(BuMeIm)BF4](0.33 g)及び触媒として(nBu4N)4PVMo11O40 (20.2 mg, 6.7×10-4 mmol)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、黄色の触媒0.64 gを得た。
【0168】
実施例20
イオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート[(BuMeIm)BF4](0.33 g)及び触媒として(nBu4N)3PMo12O40 (15.1 mg, 6.7×10-4 mmol)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、黄色の触媒0.78 gを得た。
【0169】
評価方法について説明する。触媒活性の評価は、「イオン液体の効果」のところで行ったと同様の方法により、VOCとしてスチレンを用いて行った。
【0170】
評価結果について説明する。表2にイオン液体として[BuMeIm]BF4を用いて、各種金属化合物と共にシリカに担持した触媒を用いてスチレンの除去能を検討した。実施例2及び実施例18に示す、VO(acac)2とMoO2(acac)2に高い活性が認められた。特にVO(acac)2の場合では評価前後の触媒のXPS測定で何れもV2O5として存在していることが確認できている。なお、その粒子サイズは不明で、TEM測定ではアモルファス状態の集合体であることが明らかである。一方、他の幾つかのV化合物の触媒活性を評価したが、全く触媒活性を示さなかったV2O5を除き、ある程度の触媒活性を有している。V2O5が触媒活性を示さない理由としては、イオン液体に対して溶解度が無く、触媒調製の際に、メタノールに完全に溶解することなくそのまま、スラリー状にして担持したため、イオン液体膜中に細かく分散していないことが原因であると考えられる。その他金属(実施例15〜18)についての状態分析は行っていないので、酸化物になっているのかどうか不明である。実施例19及び20に示すヘテロポリ酸触媒では、Vの存在の有無に関わらず、触媒活性は低かった。
【0171】
【表2】

【0172】
<担持量の効果>
【0173】
触媒の調製について説明する。
【0174】
実施例21
イオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート[(BuMeIm)BF4](0.33 g)を用い、アセチルアセトンバナジル(VO(acac)2、54.2 mg, 0.20 mmol)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、緑色の触媒0.98 gを得た。
【0175】
実施例22
イオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート[(BuMeIm)BF4](0.33 g)を用い、アセチルアセトンバナジル(VO(acac)2、103 mg, 0.40 mmol)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、緑色の触媒0.98 gを得た。
【0176】
実施例23
イオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート[(BuMeIm)BF4](0.33 g)を用い、アセチルアセトンバナジル(VO(acac)2、275 mg, 1.00 mmol)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、緑色の触媒0.98 gを得た。
【0177】
評価方法について説明する。触媒活性の評価は「イオン液体の効果」のところで行ったと同様の方法により、VOCとしてスチレンを用いて行った。)
【0178】
評価結果について説明する。イオン液体として[BuMeIm]BF4を用いて、VO(acac)2の担持量を変化させた触媒を用いてスチレンの除去能を検討した。表3および図4から明らかなように、V触媒の担持量を増加させるに従って、スチレンの転化率は上昇し、実施例22に示すように、VO(acac)2を0.04mmolを担持した場合にスチレンの転化率は36%にまで達した。
【0179】
【表3】

【0180】
<温度の効果>
【0181】
触媒の調製について説明する。
【0182】
実施例24〜28
実施例2で調製した触媒を用いた。
【0183】
評価方法について説明する。
触媒活性の評価は「イオン液体の効果」のところで行ったと同様の方法により、VOCとしてスチレンを用いて行った。
【0184】
熱分析は次のように行った。熱重量・示差熱分析は島津製作所製DTG-60 を用い、毎分100mLの空気気流下、室温から400℃まで毎分2℃昇温で測定を行った。
【0185】
評価結果について説明する。
触媒活性の評価結果について説明する。表4および図5にスチレンの触媒酸化除去に及ぼす反応温度の効果を示す。実施例2で調製したVO(acac)2/[BuMeIm]BF4/SiO2触媒を用いて、各温度においてスチレンの反応を行った結果、反応温度が200℃でスチレンの転化率は30%を示し、その後は緩やかに減少に転じた。本触媒は次に示す熱分析の結果から260を境にイオン液体自身の分解が起こることが分かっている。
【0186】
【表4】

【0187】
熱分析結果について説明する。実施例2で調製したVO(acac)2/[BuMeIm]BF4/SiO2触媒を用いて、本触媒の空気気流かにおける、熱安定性を調べた。触媒中のイオン液体:SiO2の重量比は略1:2であり、加熱が進むにつれてイオン液体が分解して揮発し始めるならば、重量減少はSiO2の重量比66%まで減少するはずである。図6から明らかなように、260℃を境にして触媒重量が減少し始め、400℃近傍で完全にイオン液体の重量分の減少が認められた。本来、本触媒中のイオン液体[BuMeIm]BF4の分解点は300℃であり、酸化触媒であるV2O5がイオン液体の分解を促進したものと考えられる。従って、本触媒は高温領域で稼動させるよりも、比較的低温(室温から百数十℃)で稼動させることが望ましいと考えられる。なお、本触媒の分解点は用いる金属の種類、担持量、イオン液体の種類によって異なると考えられる。
【0188】
<揮発性有機化合物の効果>
【0189】
触媒の調製について説明する。実施例2で調製した触媒、および以下の実施例に記載する触媒を用いた。
【0190】
実施例29〜34
実施例2で調製した触媒を用いた。
【0191】
実施例35,36
イオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート[(BuMeIm)BF4](0.33 g)を用い、アセチルアセトン銅(Cu(acac)2、26.1 mg, 0.10 mmol)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、青色の触媒0.89 gを得た。
【0192】
実施例37,38
イオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート[(BuMeIm)BF4](0.33 g)を用い、アセチルアセトンマンガン(Mn (acac)2、25.3 mg, 0.10 mmol)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、橙色の触媒0.96 gを得た。
【0193】
実施例39,40
イオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート[(BuMeIm)BF4](0.33 g)を用い、アセチルアセトンコバルト(Co(acac)3、35.6 mg, 0.10 mmol)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、濃緑色の触媒0.80 gを得た。
【0194】
実施例41,42
実施例18で調製した触媒を用いた。
【0195】
実施例43
イオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート[(BuMeIm)BF4](0.33 g)を用い、アセチルアセトンニッケル(Ni (acac)2、29.3 mg, 0.10 mmol)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、水色の触媒0.73 gを得た。
【0196】
比較例3
比較例2で調製した触媒を用いた。
実施例44
実施例22で調製した触媒を用いた。
実施例45
実施例23で調製した触媒を用いた。
【0197】
評価方法について説明する。触媒活性の評価は「イオン液体の効果」のところで行ったと同様の方法により、表5に記載の各種のVOCを用いて行った。
【0198】
評価結果について説明する。表5に各種VOCの反応について各種触媒を用いて触媒酸化除去を行った結果を示す。触媒として、VO(acac)2/[BuMeIm]BF4/SiO2触媒を用いた場合の各種VOCの反応性はスチレン>エチルベンゼン>p−キシレン>トリクロロエタン>トリクロロエチレン>トルエン>ベンゼンの順になる(実施例2、29〜33、44)。
【0199】
【表5】

【0200】
反応性の検討を行ったVOCの中で、ハロゲン系有機溶媒は反応性が低い為に分解が困難とされている。本実験でもトリクロロエチレンの反応性が低い(実施例33)。そこで、トリクロロエチレンについて、更に活性の高い触媒を探索した結果、Mn(acac)2の触媒活性が高く、100℃で5%の転化率を示した(実施例37)。
【0201】
以上のことから、本実施例によれば、イオン液体を反応媒体とする触媒系において、種々の有機化合物が空気によって容易に酸化されることが確認できた。
【0202】
つぎに、本発明にかかる第2の実施例について具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではないことはもちろんである。
【0203】
<イオン液体の効果>
【0204】
抗菌剤の調製について説明する。
【0205】
比較例4
アンピシリン、ナトリウム塩(ナカライテスク社製、Ampicilline, Sodium Salt)50μg(0.134μmol)をそのまま用いた。
【0206】
比較例5
球状シリカ(0.66 g)及び触媒としてVO(acac)2(26.7 mg, 0.10 mmol)を用い、[(BuMeIm)CF3COO]を加えずに行う他は実施例1と同様に調製を行い、茶色の試料0.63 gを得た。
【0207】
比較例6
球状シリカ(0.66 g)及び触媒としてMn(acac)2 (25.4 mg, 0.10 mmol)を用い、[(BuMeIm)CF3COO]を加えずに行う他は実施例1と同様に調製を行い、茶色の試料0.65 gを得た。
【0208】
比較例7
球状シリカそのものを用いた。
【0209】
実施例46
イオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート[(BuMeIm)BF4](0.33 g)を用い、VO(acac)2を加えずに行う他は実施例1と同様に調製を行い、白色の試料0.87 gを得た。
【0210】
実施例47
イオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート[(BuMeIm)CF3SO3](0.34 g)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、灰色の試料0.97 gを得た。
【0211】
比較例8
イオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート [(BuMeIm) CF3SO3](0.33 g)を用い、VO(acac)2を加えずに行う他は実施例1と同様に調製を行い、白色の試料0.89 gを得た。
【0212】
実施例48
イオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート [(BuMeIm)PF6](0.33 g)及び触媒としてMn(acac)2(24.7 mg, 0.10 mmol)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、橙色の試料0.98 gを得た。
【0213】
比較例9
イオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート [(BuMeIm)PF6](0.33 g)を用い、VO(acac)2を加えずに行う他は実施例1と同様に調製を行い、白色の試料0.98 gを得た。
【0214】
実施例49
イオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド[(BuMeIm)(CF3SO2)2N](0.33 g)及び触媒としてVO(acac)2(31.0 mg, 0.10 mmol)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、緑色の試料0.97 gを得た。
【0215】
実施例50
イオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド[(BuMeIm)(CF3SO2)2N](0.33 g)及び触媒としてMn(acac)2(25.4 mg, 0.10 mmol)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、橙色の試料0.98 gを得た。
【0216】
比較例10
イオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド[(BuMeIm)(CF3SO2)2N](0.33 g)を用い、VO(acac)2を加えずに行う他は実施例1と同様に調製を行い、白色の試料0.91 gを得た。
【0217】
実施例51
イオン液体としてN-ヘキシル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート[(HexMeIm)CF3COO](0.33 g)及び触媒としてVO(acac)2(26.5 mg, 0.10 mmol)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、緑色の試料0.97 gを得た。
【0218】
実施例52
イオン液体としてN-ヘキシル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート[(HexMeIm)CF3COO](0.33 g)を用い、VO(acac)2を加えずに行う他は実施例1と同様に調製を行い、白色の試料0.90 gを得た。
【0219】
実施例53
イオン液体としてN-オクチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート[(OctMeIm)CF3COO](0.33 g)を用い、VO(acac)2を加えずに行う他は実施例1と同様に調製を行い、白色の試料0.91 gを得た。
【0220】
比較例11
イオン液体としてN-ブチルピリジニウムテトラフルオロボラート[(BuPy)BF4](0.33 g)を用い、VO(acac)2を加えずに行う他は実施例1と同様に調製を行い、白色の試料0.89 gを得た。
【0221】
実施例54
イオン液体としてN-ヘキシルピリジニウムトリフルオロアセタート[(HexPy)CF3COO](0.33 g)を用い、VO(acac)2を加えずに行う他は実施例1と同様に調製を行い、白色の試料0.96 gを得た。
【0222】
実施例55
イオン液体としてN-オクチルピリジニウムトリフルオロアセタート[(OctPy)CF3COO](0.33 g)を用い、VO(acac)2を加えずに行う他は実施例1と同様に調製を行い、白色の試料0.90 gを得た。
【0223】
このほか、実施例2、3、4、6、7、8、及び37により試料を得た。
【0224】
評価方法について説明する。
抗菌活性(Positive Control)の測定方法について説明する。精製寒天末(ナカライテスク社製)15 g およびLB培地(Lennox)(ナカライテスク社製)20 gを精製水1000 mLに加え、130 ℃で1時間加熱滅菌(オートクレーブ)処理をした。この温溶液を直径10 cmのシャーレ上に深さ5 mm程度になるよう加え、蓋をして1日静置した。この寒天培地に大腸菌(Escherichia coli DH5α、和光純薬工業社製)溶液100 μLを加え、コンラージ棒にて菌を培地全面に塗り拡げた。この培地の中心部に、直径8 mm以内になるように試料粉末10 mgを載せ、37 ℃で18 時間培養した。培養後、試料を中心にして菌苔の成長が阻害され阻止円が形成される。この直径(mm)を測定し、抗菌活性の評価を行った。
【0225】
評価結果について説明する。
VO(acac)2及びMn(acac)2を用いて各種イオン液体の効果を検討した。結果を表6及び図7に示す。まず、イオン液体を用いずに金属化合物だけをシリカに含浸させたものには、いずれも抗菌活性を示さなかった。イオン液体には抗菌活性を示すものが多くあるが、実施例46,52、53、54、55の水溶性イオン液体には金属化合物が存在しなくてもそれ自体、抗菌活性を示した。さらに金属化合物を加えることでその抗菌活性は増加することが分かった(実施例2、37、47、3、48、49、50,51,4,8,6,7)。特に興味深いことに、水溶性のないイオン液体の場合(比較例9、10)、それ自体の抗菌活性は無いものの、金属化合物が添加されることで抗菌活性が発現している(実施例3、48、49、50)。またイオン液体が水溶性であっても抗菌活性を示さない場合でも(比較例8,11)、金属化合物を添加することでその抗菌活性は増大することが分かる。
【0226】
以上のことから、抗菌作用のメカニズムは次のように考えることが出来る。まず、イオン液体のみで抗菌活性を示すものについてはシリカゲル表面上に吸着しているイオン液体が、寒天培地に触れると、水溶性のイオン液体のみが寒天培地に溶出し、抗菌活性を示すものであると考えられる。
【0227】
また、金属化合物を含むイオン液体の場合は、そのイオン液体が水溶性であるかどうかにかかわらず、イオン液体中に溶解した金属化合物はシリカゲル表面上で空気および湿度の作用で徐々に酸化物微粒子に変化し、これが寒天培地に移動することによって菌苔の成長が阻害されることで、抗菌活性を示すものと考えられる。
【0228】
【表6】

【0229】
<金属化合物の効果>
【0230】
抗菌剤の調製について説明する。
実施例2、12、14、16,17、18、37,39、43、および46により試料を得た。
【0231】
評価方法について説明する。
抗菌活性(Positive Control)は上述した方法により測定した。
【0232】
評価結果について説明する。
イオン液体として[BuMeIm] BF4を用いて、各種金属化合物の効果を検討した。結果を表7及び図8に示す。イオン液体自体に抗菌活性があるものの(実施例46)、表中に示したすべての金属化合物の添加により、その阻止円直径は増大した。
【0233】
抗菌作用を示すメカニズムはイオン液体の効果で記述したように水溶性イオン液体及び金属化合物が寒天培地に溶解することで、菌苔の成長を阻害し、抗菌活性を示すものと考えられる。なお、金属の種類による差異についてはそのメカニズムは不明であるが、その抗菌活性の強さはNi=Co>Mn>V=Mo=Fe>Pdの順であった。
【0234】
【表7】

【0235】
<担持量の効果>
【0236】
抗菌剤の調製について説明する。
【0237】
実施例56
イオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート[(BuMeIm)BF4](0.33 g)を用い、アセチルアセトンバナジル(VO(acac)2、82.4 mg, 0.30 mmol)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、緑色の試料0.99 gを得た。
【0238】
実施例57
イオン液体としてN-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート[(BuMeIm)BF4](0.33 g)を用い、アセチルアセトンバナジル(VO(acac)2、160.4 mg, 0.60 mmol)を用いる他は実施例1と同様に調製を行い、緑色の試料0.99 gを得た。
【0239】
このほか、実施例2、21,22,23、および46により試料を得た。
【0240】
評価方法について説明する。
抗菌活性(Positive Control)は上述した方法により測定した。
【0241】
評価結果について説明する。
イオン液体として[BuMeIm] BF4を用いて、VO(acac)2の担持量効果を検討した。結果を表8及び図9に示す。イオン液体自体に抗菌活性があるものの(実施例46)、VO(acac)2の担持量を増加させることでその抗菌活性は増大した。これは寒天培地に移動する金属化合物の量が増えたためであると理解できる。
【0242】
【表8】

【0243】
以上のことから、本実施例によれば、抗菌活性の高い新規な抗菌剤を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0244】
【図1】パルスインジェクション法によるVOCsの接触酸化触媒評価装置の概要を示す図である。
【図2】VO(acac)2/[BuMeIm]BF4/SiO2触媒調製時のXPS測定におけるV2pのスペクトルを示す図である。
【図3】(A)V2O5がイオン液体中に分散した触媒の透過型電子顕微鏡観察画像、(B)透過型電子顕微鏡観察画像のa点における元素分析結果(Vなし)、(C) 透過型電子顕微鏡観察画像のb点における元素分析結果(Vあり)をそれぞれ示す図である。
【図4】スチレンの触媒酸化除去に及ぼすVO(acac)2触媒担持量の効果を示す図である。
【図5】スチレンの触媒酸化除去に及ぼす反応温度の効果を示す図である。
【図6】VO(acac)2/[BuMeIm]BF4/SiO2触媒の熱分析の結果を示す図である。
【図7】大腸菌(E. coli)に対するV/Mn-Ionic Liquid/SiO2の抗菌活性において、各種イオン液体の効果を示す図である。
【図8】大腸菌(E. coli)に対するMetal-[BuMeIm]BF4/SiO2の抗菌活性において、各種金属種類の効果を示す図である。
【図9】大腸菌(E. coli)に対するVO(acac)2-[BuMeIm]BF4/SiO2の抗菌活性において、金属担持量の効果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物質を酸化する酸化触媒において、
金属化合物を含むイオン液体を担体に担持した
ことを特徴とする酸化触媒。
【請求項2】
対象物質は揮発性有機化合物である
ことを特徴とする請求項1記載の酸化触媒。
【請求項3】
対象物質は、スチレン、ベンゼン、エチルベンゼン、p−キシレン、トリクロロエタン、トルエン、トリクロロエチレンから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなる
ことを特徴とする請求項1記載の酸化触媒。
【請求項4】
イオン液体は、アンモニウム系イオン液体、ピリジニウム系イオン液体、イミダゾリウム系イオン液体、ホスホニウム系イオン液体から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなる
ことを特徴とする請求項1記載の酸化触媒。
【請求項5】
イオン液体は、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、N-オクチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、N-ブチルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-ヘキシルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-オクチルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-ブチルピリジニウムテトラフルオロボラート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムテトラフルオロボラート、塩化トリヘキシルテトラデシルホスホニウムから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなる
ことを特徴とする請求項1記載の酸化触媒。
【請求項6】
金属化合物は、金属塩、金属錯体、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫化物、金属微粒子から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなる
ことを特徴とする請求項1記載の酸化触媒。
【請求項7】
金属化合物は、VO(acac)2、V(acac)3、NaVO3、Na3VO4、VOSO4、Cu(OAc)2、Fe(acac)3、Pd(acac)2、MoO2(acac)2、(nBu4N)4PVMo11O40、(nBu4N)3PMo12O40から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなる
ことを特徴とする請求項1記載の酸化触媒。
【請求項8】
担体は、粒状シリカ、アルミナ、活性炭、モレキュラーシーブス、繊維、ガラス板、ガラス細菅、ガラスビーズ、金属板、金属細菅、オガクズ、紙、スポンジから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなる
ことを特徴とする請求項1記載の酸化触媒。
【請求項9】
担体は粒状シリカからなる
ことを特徴とする請求項1記載の酸化触媒。
【請求項10】
対象物質は、スチレン、ベンゼン、エチルベンゼン、p−キシレン、トリクロロエタン、トルエン、トリクロロエチレンから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなり、
イオン液体は、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、N-オクチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、N-ブチルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-ヘキシルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-オクチルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-ブチルピリジニウムテトラフルオロボラート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムテトラフルオロボラート、塩化トリヘキシルテトラデシルホスホニウムから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなり、
金属化合物は、VO(acac)2、V(acac)3、NaVO3、Na3VO4、VOSO4、Cu(OAc)2、Fe(acac)3、Pd(acac)2、MoO2(acac)2、(nBu4N)4PVMo11O40、(nBu4N)3PMo12O40から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなり、
担体は粒状シリカからなる
ことを特徴とする請求項1記載の酸化触媒。
【請求項11】
酸化触媒を用いて対象物質を酸化する、酸化方法において、
前記酸化触媒は、金属化合物を含むイオン液体を担体に担持したものである
ことを特徴とする酸化方法。
【請求項12】
対象物質は揮発性有機化合物である
ことを特徴とする請求項11記載の酸化方法。
【請求項13】
対象物質は、スチレン、ベンゼン、エチルベンゼン、p−キシレン、トリクロロエタン、トルエン、トリクロロエチレンから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなる
ことを特徴とする請求項11記載の酸化方法。
【請求項14】
イオン液体は、アンモニウム系イオン液体、ピリジニウム系イオン液体、イミダゾリウム系イオン液体、ホスホニウム系イオン液体から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなる
ことを特徴とする請求項11記載の酸化方法。
【請求項15】
イオン液体は、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、N-オクチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、N-ブチルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-ヘキシルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-オクチルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-ブチルピリジニウムテトラフルオロボラート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムテトラフルオロボラート、塩化トリヘキシルテトラデシルホスホニウムから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなる
ことを特徴とする請求項11記載の酸化方法。
【請求項16】
金属化合物は、金属塩、金属錯体、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫化物、金属微粒子から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなる
ことを特徴とする請求項11記載の酸化方法。
【請求項17】
金属化合物は、VO(acac)2、V(acac)3、NaVO3、Na3VO4、VOSO4、Cu(OAc)2、Fe(acac)3、Pd(acac)2、MoO2(acac)2、(nBu4N)4PVMo11O40、(nBu4N)3PMo12O40から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなる
ことを特徴とする請求項11記載の酸化方法。
【請求項18】
担体は、粒状シリカ、アルミナ、活性炭、モレキュラーシーブス、繊維、ガラス板、ガラス細菅、ガラスビーズ、金属板、金属細菅、オガクズ、紙、スポンジから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなる
ことを特徴とする請求項11記載の酸化方法。
【請求項19】
担体は粒状シリカからなる
ことを特徴とする請求項11記載の酸化方法。
【請求項20】
対象物質は、スチレン、ベンゼン、エチルベンゼン、p−キシレン、トリクロロエタン、トルエン、トリクロロエチレンから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなり、
イオン液体は、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、N-オクチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、N-ブチルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-ヘキシルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-オクチルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-ブチルピリジニウムテトラフルオロボラート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムテトラフルオロボラート、塩化トリヘキシルテトラデシルホスホニウムから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなり、
金属化合物は、VO(acac)2、V(acac)3、NaVO3、Na3VO4、VOSO4、Cu(OAc)2、Fe(acac)3、Pd(acac)2、MoO2(acac)2、(nBu4N)4PVMo11O40、(nBu4N)3PMo12O40から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなり、
担体は粒状シリカからなる
ことを特徴とする請求項11記載の酸化方法。
【請求項21】
酸化触媒を用いて対象物質を酸化する、酸化装置において、
前記酸化触媒は、金属化合物を含むイオン液体を担体に担持したものである
ことを特徴とする酸化装置。
【請求項22】
対象物質は揮発性有機化合物である
ことを特徴とする請求項21記載の酸化装置。
【請求項23】
対象物質は、スチレン、ベンゼン、エチルベンゼン、p−キシレン、トリクロロエタン、トルエン、トリクロロエチレンから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなる
ことを特徴とする請求項21記載の酸化装置。
【請求項24】
イオン液体は、アンモニウム系イオン液体、ピリジニウム系イオン液体、イミダゾリウム系イオン液体、ホスホニウム系イオン液体から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなる
ことを特徴とする請求項21記載の酸化装置。
【請求項25】
イオン液体は、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、N-オクチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、N-ブチルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-ヘキシルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-オクチルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-ブチルピリジニウムテトラフルオロボラート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムテトラフルオロボラート、塩化トリヘキシルテトラデシルホスホニウムから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなる
ことを特徴とする請求項21記載の酸化装置。
【請求項26】
金属化合物は、金属塩、金属錯体、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫化物、金属微粒子から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなる
ことを特徴とする請求項21記載の酸化装置。
【請求項27】
金属化合物は、VO(acac)2、V(acac)3、NaVO3、Na3VO4、VOSO4、Cu(OAc)2、Fe(acac)3、Pd(acac)2、MoO2(acac)2、(nBu4N)4PVMo11O40、(nBu4N)3PMo12O40から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなる
ことを特徴とする請求項21記載の酸化装置。
【請求項28】
担体は、粒状シリカ、アルミナ、活性炭、モレキュラーシーブス、繊維、ガラス板、ガラス細菅、ガラスビーズ、金属板、金属細菅、オガクズ、紙、スポンジから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなる
ことを特徴とする請求項21記載の酸化装置。
【請求項29】
担体は粒状シリカからなる
ことを特徴とする請求項21記載の酸化装置。
【請求項30】
対象物質は、スチレン、ベンゼン、エチルベンゼン、p−キシレン、トリクロロエタン、トルエン、トリクロロエチレンから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなり、
イオン液体は、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、N-オクチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、N-ブチルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-ヘキシルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-オクチルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-ブチルピリジニウムテトラフルオロボラート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムテトラフルオロボラート、塩化トリヘキシルテトラデシルホスホニウムから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなり、
金属化合物は、VO(acac)2、V(acac)3、NaVO3、Na3VO4、VOSO4、Cu(OAc)2、Fe(acac)3、Pd(acac)2、MoO2(acac)2、(nBu4N)4PVMo11O40、(nBu4N)3PMo12O40から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなり、
担体は粒状シリカからなる
ことを特徴とする請求項21記載の酸化装置。
【請求項31】
金属化合物を含むイオン液体を担体に担持した
ことを特徴とする抗菌剤。
【請求項32】
イオン液体は、アンモニウム系イオン液体、ピリジニウム系イオン液体、イミダゾリウム系イオン液体、ホスホニウム系イオン液体から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなる
ことを特徴とする請求項31記載の抗菌剤。
【請求項33】
イオン液体は、イミダゾリウムテトラフルオロボラート誘導体、イミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート誘導体、イミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート誘導体、イミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド誘導体、イミダゾリウムトリフルオロアセタート誘導体、イミダゾリウムアルキルスルフェート誘導体、イミダゾリウムハイドロジェンスルフェート誘導体、イミダゾリウムジアルキルホスフェート誘導体、塩化イミダゾリウム誘導体、臭化イミダゾリウム誘導体、ヨウ化イミダゾリウム誘導体、チオシアン化イミダゾリウム誘導体、イミダゾリウムカルボキシレート誘導体、イミダゾリウムビスオキザサトボラート誘導体、イミダゾリウムジシアナミド誘導体、ピリジニウムテトラフルオロボラート誘導体、ピリジニウムトリフルオロアセタート誘導体、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート誘導体、塩化ピリジニウム誘導体、臭化ピリジニウム誘導体、ヨウ化ピリジニウム誘導体、チオシアン化ピリジニウム誘導体、ピリジニウムジシアナミド誘導体、ピリジニウムアルキルスルフェート誘導体、ピリジニウムハイドロジェンスルフェート誘導体、ピリジニウムジアルキルホスフェート誘導体、ピリジニウムカルボキシレート誘導体、ピリジニウムビスオキザラトボラート誘導体、ピリジニウムジシアナミド誘導体から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなる
ことを特徴とする請求項31記載の抗菌剤。
【請求項34】
イオン液体は、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N-ヘキシル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、N-オクチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、N-ブチルピリジニウムテトラフルオロボラート、N-ヘキシルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-オクチルピリジニウムトリフルオロアセタートから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなる
ことを特徴とする請求項31記載の抗菌剤。
【請求項35】
金属化合物は、金属塩、金属錯体、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫化物、金属微粒子から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなる
ことを特徴とする請求項31記載の抗菌剤。
【請求項36】
金属化合物は、VO(acac)2、Mn(acac)2、Ni(acac)2、Co(acac)3、Fe(acac)3、MoO2(acac)2、Pd(acac)2、NaVO3、VOSO4(H2O)nから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなる
ことを特徴とする請求項31記載の抗菌剤。
【請求項37】
担体は、粒状シリカ、アルミナ、活性炭、モレキュラーシーブス、セラミックス、レンガ、木材、繊維、ガラス板、ガラス細菅、ガラスビーズ、金属板、金属細菅、オガクズ、紙、スポンジから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなる
ことを特徴とする請求項31記載の抗菌剤。
【請求項38】
担体は粒状シリカからなる
ことを特徴とする請求項31記載の抗菌剤。
【請求項39】
イオン液体は、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N-ヘキシル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、N-オクチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、N-ブチルピリジニウムテトラフルオロボラート、N-ヘキシルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-オクチルピリジニウムトリフルオロアセタートから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなり、
金属化合物は、VO(acac)2、Mn(acac)2、Ni(acac)2、Co(acac)3、Fe(acac)3、MoO2(acac)2、Pd(acac)2、NaVO3、VOSO4(H2O)nから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなり、
担体は粒状シリカからなる
ことを特徴とする請求項31記載の抗菌剤。
【請求項40】
イオン液体を担体に担持した
ことを特徴とする抗菌剤。
【請求項41】
イオン液体は、アンモニウム系イオン液体、ピリジニウム系イオン液体、イミダゾリウム系イオン液体、ホスホニウム系イオン液体から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなる
ことを特徴とする請求項40記載の抗菌剤。
【請求項42】
イオン液体は、イミダゾリウムテトラフルオロボラート誘導体、イミダゾリウムトリフルオロアセタート誘導体、イミダゾリウムアルキルスルフェート誘導体、イミダゾリウムハイドロジェンスルフェート誘導体、イミダゾリウムジアルキルホスフェート誘導体、塩化イミダゾリウム誘導体、臭化イミダゾリウム誘導体、ヨウ化イミダゾリウム誘導体、チオシアン化イミダゾリウム誘導体、イミダゾリウムカルボキシレート誘導体、イミダゾリウムビスオキザサトボラート誘導体、イミダゾリウムジシアナミド誘導体、ピリジニウムトリフルオロアセタート誘導体、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート誘導体、塩化ピリジニウム誘導体、臭化ピリジニウム誘導体、ヨウ化ピリジニウム誘導体、チオシアン化ピリジニウム誘導体、ピリジニウムジシアナミド誘導体、ピリジニウムアルキルスルフェート誘導体、ピリジニウムハイドロジェンスルフェート誘導体、ピリジニウムジアルキルホスフェート誘導体、ピリジニウムカルボキシレート誘導体、ピリジニウムビスオキザラトボラート誘導体、ピリジニウムジシアナミド誘導体から選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなり、
イオン液体は、水溶性である
ことを特徴とする請求項40記載の抗菌剤。
【請求項43】
イオン液体は、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、N-ヘキシル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、N-オクチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、N-ヘキシルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-オクチルピリジニウムトリフルオロアセタートから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなる
ことを特徴とする請求項40記載の抗菌剤。
【請求項44】
担体は、粒状シリカ、アルミナ、活性炭、モレキュラーシーブス、セラミックス、レンガ、木材、繊維、ガラス板、ガラス細菅、ガラスビーズ、金属板、金属細菅、オガクズ、紙、スポンジから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなる
ことを特徴とする請求項40記載の抗菌剤。
【請求項45】
担体は粒状シリカからなる
ことを特徴とする請求項40記載の抗菌剤。
【請求項46】
イオン液体は、N-ブチル- N’-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、N-ヘキシル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、N-オクチル- N’-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、N-ヘキシルピリジニウムトリフルオロアセタート、N-オクチルピリジニウムトリフルオロアセタートから選ばれる1種、またはいずれか2種以上の混合物からなり、
担体は粒状シリカからなる
ことを特徴とする請求項40記載の抗菌剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−214094(P2009−214094A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−272709(P2008−272709)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年12月7日 社団法人石油学会関西支部、社団法人日本エネルギー学会関西支部発行の「社団法人石油学会関西支部第16回研究発表会、社団法人日本エネルギー学会関西支部第52回研究発表会合同研究会講演要旨集」に発表
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】