説明

酸性染料

一般式(I)の化合物それらの調製方法、ならびに有機素地を染色および/または印刷するためのそれらの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な酸性染料、それらの調製方法、および有機素地でのそれらの染色のための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
酸性染料は、例えば欧州特許出願公開第719837A2号明細書から公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、改善された特性を有する酸性染料への要求が依然ある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、次の一般式(I)の化合物を提供する、
【化1】

【0005】
式中、
およびRは、独立して、非置換非分枝C1〜6アルキルまたは非置換分枝C3〜6アルキルまたは置換非分枝C1〜6アルキルまたは置換分枝C3〜6アルキルであり、
は、水素、非置換非分枝C1〜6アルキルまたは非置換分枝C3〜6アルキルまたは置換非分枝C1〜6アルキルまたは置換分枝C3〜6アルキルであり、
およびRは、独立して、水素、非置換非分枝C1〜6アルキルもしくは非置換分枝C3〜6アルキルもしくは置換非分枝C1〜6アルキルもしくは置換分枝C3〜6アルキル、またはハロゲンであり、
は、水素、非置換非分枝C1〜6アルキルもしくは非置換分枝C3〜6アルキルもしくは置換非分枝C1〜6アルキルもしくは置換分枝C3〜6アルキル、または非置換非分枝C1〜6アルコキシもしくは非置換分枝C3〜6アルコキシもしくは置換非分枝C1〜6アルコキシもしくは置換分枝C3〜6アルコキシ、またはハロゲン、または置換もしくは非置換である非分枝C1〜6アルキル基を有する−NHCO−(C1〜6アルキル)、または置換もしくは非置換である分枝C3〜6アルキル基を有する−NHCO−(C3〜6アルキル)、または−NHCONHであり、
およびRは、独立して、非置換非分枝C1〜6アルキルまたは非置換分枝C3〜6アルキルまたは置換非分枝C1〜6アルキルまたは置換分枝C3〜6アルキルまたはアリールまたは−(CH−アリール(式中、n=1、2、3または4)である。
【0006】
一般式(I)の好ましい化合物において、
およびRは、独立して、非置換非分枝C1〜6アルキルまたは非置換分枝C3〜6アルキルまたは置換非分枝C1〜6アルキルまたは置換分枝C3〜6アルキルであり、
は、水素、非置換非分枝C1〜6アルキルまたは非置換分枝C3〜6アルキルまたは置換非分枝C1〜6アルキルまたは置換分枝C3〜6アルキルであり、
およびRは、独立して、水素、非置換非分枝C1〜6アルキルもしくは非置換分枝C3〜6アルキルもしくは置換非分枝C1〜6アルキルもしくは置換分枝C3〜6アルキル、またはハロゲンであり、
は、水素、非置換非分枝C1〜6アルキルもしくは非置換分枝C3〜6アルキルもしくは置換非分枝C1〜6アルキルもしくは置換分枝C3〜6アルキル、または非置換非分枝C1〜6アルキルもしくは置換分枝C3〜6アルキルもしくは非置換非分枝C1〜6アルコキシもしくは非置換分枝C3〜6アルコキシもしくは置換非分枝C1〜6アルコキシであり、
は、非置換非分枝C1〜6アルキルまたは非置換分枝C3〜6アルキルまたは置換非分枝C1〜6アルキルまたは置換分枝C3〜6アルキルであり、
は、アリールまたは−(CH−アリール(式中、n=1、2、3または4)である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
式(I)の好ましい化合物は、少なくとも1つのアニオン性置換基、好ましくは1つまたは2つまたは3つアニオン性置換基を有し、2つのアニオン性置換基が、特に非常に好ましい。
【0008】
好ましいアニオン性置換基は、カルボキシル基および/またはスルホ基であり、そしてスルホ基が、特に好ましい。
【0009】
式(I)の好ましい化合物は、好ましくは1つ、2つまたは3つ、そしてさらに好ましくは2つのスルホ基を有する。好ましくは1つ、2つまたは3つスルホ基は、好ましくはさらにR、R、Rおよび/またはR基の上の置換基である。R基がスルホ基を有することがもっとも好ましい。
【0010】
アリールは、好ましくは置換フェニルまたは置換ナフチルまたは非置換フェニルまたは非置換ナフチルである。
【0011】
好ましくは、RおよびRは、独立して、非置換非分枝C1〜6アルキルまたは非置換分枝C3〜6アルキルまたは置換非分枝C1〜6アルキルまたは置換分枝C3〜6アルキルまたは非置換非分枝C1〜6アルコキシまたは非置換分枝C3〜6アルコキシまたは置換非分枝C1〜6アルコキシまたは置換分枝C3〜6アルコキシを有する。最も好ましくは、RおよびRは、独立して、メチル、エチルまたはイソプロピルである。
【0012】
好ましくは、Rは、水素、非置換非分枝C1〜6アルキルまたは非置換分枝C3〜6アルキルまたは置換非分枝C1〜6アルキルまたは置換分枝C3〜6アルキルまたは非置換非分枝C1〜6アルコキシまたは非置換分枝C3〜6アルコキシまたは置換非分枝C1〜6アルコキシまたは置換分枝C3〜6アルコキシである。最も好ましくは、Rは、水素、メチル、エチルまたはイソプロピルであるが、特にRは、水素またはメチルである。
【0013】
好ましくは、RおよびRおよびRは、独立して、水素、非置換非分枝C1〜6アルキルもしくは非置換分枝C3〜6アルキル、または置換非分枝C1〜6アルキルもしくは置換分枝C3〜6アルキルもしくは非置換非分枝C1〜6アルコキシもしくは非置換分枝C3〜6アルコキシもしくは置換非分枝C1〜6アルコキシもしくは置換分枝C3〜6アルコキシである。最も好ましくは、RおよびRは、それぞれ、水素またはメチルである。
【0014】
式(I)の化合物(式中、Rは、非置換非分枝C1〜6アルキルまたは非置換分枝C3〜4アルキルまたは置換非分枝C1〜6アルキルまたは置換分枝C3〜4アルキルであるが、特に水素、メチルまたはエチルであり、メチルまたはエチルが特に非常に好ましい)に、非常に特別な性能が与えられる。式(I)の化合物(式中、Rは、置換もしくは非置換フェニルまたは置換もしくは非置換ナフチルまたは置換もしくは非置換−(CH−フェニルまたは置換もしくは非置換−(CH−ナフチル(式中、n=1、2、3または4である)であり、−CH−フェニレン基が、特に非常に好ましい。)に、非常に特別な性能がさらに与えられる。好ましい−CH−フェニレン基は、好ましくはニトロ基および/またはスルホ基によって、置換されており、スルホ基は、好ましい−CH−フェニレン基の置換基として、特に非常に好ましい。
【0015】
分枝C3〜6アルキル基または非分枝C1〜6アルキル基および非分枝C1〜6アルコキシ基または分枝C3〜6アルコキシ基は、ヒドロキシ基またはシアノ基でさらに置換できる。好ましくは、アルキル基および/またはアルコキシ基は、さらに置換されない。
【0016】
式(I)の好ましい化合物において、好ましいアルキル基および好ましいアルコキシ基は、メチル、エチル、プロピル、メトキシおよびエトキシ基である。メチルおよびエチル基は、特に非常に好ましい。
【0017】
置換アリール基は、好ましくはニトロまたはスルホ基によって置換されている。特別な性能が、アリール基上の置換基としてのスルホ基に与えられる。
【0018】
式(I)の化合物において、式(I’)
【0019】
【化2】

を有する基は、好ましくは式(I’’)
【0020】
【化3】

【0021】
の基に、m(メタ)位またはp(パラ)位のいずれかで付いている。式(I)の特に非常に好ましい化合物において、式(I’)の基は、式(I’’)の基にp(パラ)で付いている。
【0022】
本発明はまた、式(I)の化合物の調製方法を提供する。式(I)の本発明の化合物は、従来方法における従来条件で調製できる。
【0023】
これらの方法において、式(II)
【0024】
【化4】

【0025】
の化合物は、文献から公知であり、そしてSGは、例えばアセチル等の保護基であり、そして他の置換基は、上記のように規定されたそれぞれであり、通常ジアゾ化され、そして1当量の式(III)
【0026】
【化5】

【0027】
(式中、置換基は、上記のように規定されたそれぞれである)の化合物に結合しており、そして保護基SGが(加水分解によって)除去され、式(IV)
【0028】
【化6】

【0029】
のアミンは、通常ジアゾ化され、そして1当量の式(V)
【0030】
【化7】

【0031】
の化合物に、酸性のpHで結合している。
以下の方法によって行うことが同様に可能である:
最初に式(II’)
【0032】
【化8】

【0033】
の化合物は、通常ジアゾ化され、そして1当量の式(V)
【0034】
【化9】

【0035】
の化合物に酸性のpHで結合しており、そして保護基SGが(加水分解によって)除去された後で、式(IV)
【0036】
【化10】

【0037】
のアミンは、通常ジアゾ化され、そして1当量の式(III)
【0038】
【化11】

【0039】
(式中、置換基は、上記で規定されたそれぞれである。)の化合物に結合しており、
【0040】
式(I)の染料は、従来方法によって、例えば、適当であれば減圧下および高温下での、アルカリ金属塩での塩析、ろ過および乾燥によって、反応媒体から単離できる。
【0041】
反応および/または単離条件によって、式(I)の染料は、遊離酸として、塩としてまたは例えば、アルカリ金属イオン、例えばナトリウムイオン、またはアンモニウムイオンまたはアルキルアンモニウムカチオン、例えばモノ、ジまたはトリメチルまたはエチルアンモニウムカチオンから選択された1種または2種以上のカチオンを含む混合された塩として、得ることができる。染料は、遊離酸から塩に、もしくは混合塩に、もしくは逆もまた同様に、またはある塩形態から別の塩形態に、従来技術によって転化できる。必要に応じて、染料は、好ましからざる塩および合成の副生成物が粗アニオン性染料から分離される膜分離によって、さらに精製できる。
【0042】
粗染料溶液からの好ましからざる塩および合成の副生成物の除去および水の部分的な除去は、圧力をかけることにより、半浸透性膜によって行われ、それによって染料は、好ましからざる塩および合成副生成物のない溶液として、そして必要であれば、従来の方式の固体物として得られる。
【0043】
式(I)およびそれらの塩の染料は、黄色から紫色の色合いの天然または合成ポリアミドからなる繊維材料を染色または印刷するのに、特に好適である。式(I)およびそれらの塩の染料は、インクジェット印刷インクの生成、および天然もしくは合成ポリアミドまたはセルロース(例えば、紙)からなる繊維材料を印刷するこれらのインクジェット印刷インクの使用に好適である。
【0044】
従って、本発明は、別の形態から、天然または合成ポリアミドからなる繊維材料を染色および/または印刷するための式(I)、それらの塩および混合物の染料の使用を提供する。さらなる形態は、インクジェット印刷インクの生産、および天然または合成ポリアミドからなる繊維材料を印刷するための使用である。
【0045】
染色は、公知の方法により行われ、例えばUllmanns Encyklopadie der technischen Chemie、4th Edition、1982、Volume 22、658〜673ページまたは M.Peter and H.K. Rouetteによる書籍、 Grundlagen der Textilveredlung、 13th Edition、1989、535〜556頁および566〜574頁に記載された染色法を参照のこと。好ましくは30〜140℃で、さらに好ましくは80〜120℃の温度で、そして最も好ましくは80〜100℃の温度で、そして3:1〜40:1の範囲の液体比率での、吸尽(exhaust)法である。
【0046】
染色される素地は、例えば、糸、織物、ループを形成する(loop−formingly)編物またはじゅうたんの形態で、存在できる。フルファッションの染色は、繊細な素地上で、恒久的にさえ可能である、例は、子羊のウール、カシミヤ、アルパカおよびモヘアである。本発明の染料は、微細なデニール繊維(マイクロ繊維)の染色に特に有用である。
【0047】
本発明およびそれらの塩による染料は、公知の酸性染料と非常に相溶性である。従って、式(I)、それらの塩または混合物の染料は、同じ分類の他の酸性染料、すなわち例えば堅牢度特性および染浴から素地への吸尽率等の比較できる染色特性を有する酸性染料とともに、組み合わせた色合いの染色または印刷組成物の成分として、染色または印刷工程など中で単独で使用可能である。本発明の染料は、特に好適な発色団を有する、ある他の染料と共に使用可能である。染料が、組み合わせた色合いの染色または印刷組成物において存在する比率は、得られる色相によって決定される。
【0048】
式(I)の新規な染料は、上記のように、それぞれにおいて、高い堅牢度レベル、特に良好な光堅牢度および良好な洗浄堅牢度(洗浄、アルカリ性汗)を有する染色が得られる、天然および合成ポリアミド、すなわち羊毛、絹およびオールナイロンタイプの染色に非常に有用である。式(I)およびそれらの塩の染料は、高率の吸尽を有する。式(I)およびそれらの塩の染料の付着(build up)能力は、同様に非常に良好である。特定の素地上での同系色相の染色は、卓越した品質を有する。すべての染色は、さらに人工光の元で一定な色相を有する。さらに、蒸じゅう(decating)および沸騰に対する堅牢度は良好である。
【0049】
新規な染料の1つの決定的な利点は、染料が、金属フリーであり、そして非常に良好なレベル染色を提供することである。
【0050】
本発明による化合物は、それらの良好な適合性により個々の染料などとして、例えば、一般的な堅牢度、吸尽値等に関する比較できる染色特性を有する同じ分類の他の染料との組み合わせ要素として使用できる。得られた、組み合わせた色合いの染色は、個々の染料を有する染物と、類似の堅牢度を有する。
【0051】
式(I)の本発明の染料はまた、3色の染色または印刷で、赤色成分として使用できる。3色の染色または印刷は、例えば連続法、吸尽法、泡沫染色法およびインクジェット法等のすべての伝統的および公知の染色および印刷方法を利用できる。
【0052】
本発明中の方法で使用される3色の染料混合物における個々の染料成分の組成は、所望の色相による。例えば茶色の色相は、好ましくは20〜40wt%の黄色成分、40〜60wt%の本発明の橙色または赤色成分および10〜20wt%の青色成分を利用する。
【0053】
黄色成分は、上記の様に、式(I)に従う、単一成分もしくは異なる橙色の個々の成分の混合物からなることができる。二重および三重の組み合わせが好ましい。
【0054】
特に好ましい赤色および/または黄色成分は、国際公開第2002/46318号パンフレットに記載されている。
【0055】
以下の例において、部およびパーセンテージは重量により、そして温度は摂氏度で報告される。
【実施例】
【0056】
調製例1
15.0部の4−アミノアセトアニリドを、50部の氷と25体積部の約30%塩酸の混合物に導入し、そして約30分間攪拌した。0〜5℃において、17.3体積部の40%亜硝酸ナトリウム溶液を、次に30分以内に滴下で加えた。添加の間、氷を加えることによって温度を0〜5℃で維持した。ジアゾ化が終了した後で、過剰の亜硝酸ナトリウムをアミノスルホン酸で無効化した。
【0057】
29.1部の3−[(エチルフェニルアミノ)メチル]ベンゼンスルホン酸を、200部の水中で懸濁した。懸濁液を炭酸ナトリウムで、pH7〜7.5に調製した。ジアゾ懸濁液を次に、30分の内に、激しく攪拌しながら加えた。添加の間、炭酸ナトリウム溶液の計量添加によって、pHを約7で維持した。
【0058】
カップリング反応が終了した後で、50体積部の約30%水酸化ナトリウム水溶液を加え、そして反応混合物を90〜100℃に加熱した。反応を薄層クロマトグラフィーで監視した。約24時間後に、脱アセチル化が終了した。式
【0059】
【化12】

【0060】
の生じた化合物を、ろ過した。
【0061】
200部の水中で、34.4部の2−(2'、6'−ジメチルフェニルアミノ)−8−ヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸の懸濁液と、約20〜25℃および1〜2のpHにおいて、41.0部のアミノアゾ化合物(I)と17.3体積部の40%亜硝酸ナトリウム溶液から0〜5℃で従来法により調製したジアゾニウム塩溶液とを混合した。カップリングが終了した後で、式
【0062】
【化13】

【0063】
の生じた染料を塩化ナトリウムで塩析させ、ろ過し、そして50℃減圧下で乾燥した。羊毛上および特にポリアミド繊維上で、染料は、良好な光および湿気堅牢度特性(ラムダ(max)(λmax)=588nm)を有する青色染色を生成した。
【0064】
例2〜53
以下の表は、対応する出発物質を使用することにより、例1に記載された方法と類似の方法によって調製できる染料を含む。これらの染料は、ポリアミド繊維および羊毛上で、良好な光および湿気堅牢度を有する青色染色を提供する。
【0065】
【化14】

【0066】
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【0067】
使用例A
2000部の水と、エトキシレート化アミノプロピル脂肪酸アミドに基づき、そして染料に親和性を有する1部の弱カチオン活性均染剤と、0.25部の調製例1の染料とからなり、そして1〜2部の40%酢酸でpH5に調整した40℃の染浴に、100部のナイロン−6の織物を入れた。40℃で10分後に、染浴を、1℃/分の割合で98℃に加熱し、そして次に45〜60分沸騰させた。その後、染浴を15分にかけて70℃に冷却した。染色を浴から除去し、熱水、そして次に冷水で洗浄し、そして乾燥した。得られた結果は、良好な光および湿気堅牢度を有する青色ポリアミド染色である。
【0068】
使用例B
2000部の水、エトキシレート化アミノプロピル脂肪酸アミドに基づき、そして染料に親和性を有する1部の弱カチオン活性均染剤、0.3部の調製例1の染料からなり、そして1〜2部の40%酢酸で、pH5.5に調整した40℃の染浴に、100部のナイロン−6、6の織物を入れた。40℃で10分後に、染浴を1.5℃/分の割合で120℃に加熱し、そして次にこの温度で15〜25分間放置した。その後染浴を25分にかけて70℃に冷却した。染物を、染浴から除去し、熱水、そして次に冷水で洗浄し、そして乾燥した。得られた結果は、良好な均染性、ならびに良好な光および湿気堅牢度を有する青色ポリアミド染色である。
【0069】
使用例C
4000部の水と、硫酸化されたエトキシレート化アミノプロピル脂肪酸アミドに基づき、そして染料に親和性を有する1部の弱両性均染剤と、0.4部の調製例1の染料とからなり、そして1〜2部の40%酢酸でpH5に調整した40℃の染浴に、100部の羊毛の織物を入れた。40℃で10分後に、染浴を1℃/分の割合で沸騰するまで加熱し、そして次に40〜60分間沸騰させた。その後、染浴を20分にかけて70℃に冷却した。染物を、染浴から除去し、熱水、そして次に冷水で洗浄し、そして乾燥した。得られた結果は、良好な光および湿気堅牢度を有する青色羊毛染色である。
【0070】
使用例D
100部の編まれたナイロン−6材料を、
40部の調製例1の染料、
100部の尿素、
20部のブチルジグリコール系非イオン性可溶化剤、
(pHを4に調整するための)15〜20部の酢酸、
エトキシレート化アミノプロピル脂肪酸アミドに基づき、そして染料に親和性を有する10部の弱カチオン活性均染剤、および、
(1000部の浸漬液にするための)810〜815部の水、
から成る50℃の液体に浸した。
【0071】
このように含浸させた材料を巻き上げ、そして上記85〜98℃の飽和蒸気状態の蒸気チャンバー内に、3〜6時間定着させるために放置した。染物を、次に熱水および冷水で洗浄し、そして乾燥した。得られた結果は、小片内で、良好な均染性、ならびに良好な光および湿気堅牢度を有する青色ナイロン染色である。
【0072】
使用例E
ナイロン−6からなり、そして合成系の織物を有する繊維製品カットパイル(cut pile)シート材料を、
1000部あたり、
1部の調製例1の染料、
4部の市販されているカーボフローエーテル(carob flour ether)系増粘剤、
2部の高級アルキルフェノールの非イオン性エチレンオキサイド付加物、
1部の60%酢酸、
を含有する液体に浸した。
【0073】
これに続き、1000部当たり、
20部の市販されているアルコキシレート化脂肪アルキルアミン(置き換え製品)、
20部の市販されているカーボフローエーテル(carob flour ether)系増粘剤、
を含むペーストで印刷した。
【0074】
印刷物を、100℃の飽和蒸気内で6分間定着させ、洗浄し、そして乾燥した。得られた結果は、青色および白色パターンを有する均質な色の被覆材である。
【0075】
使用例F
2000部の水と、エトキシレート化アミノプロピル脂肪酸アミドに基づき、そして染料に親和性を有する1部の弱カチオン活性均染剤と、0.2部の国際公開第2002/46318号パンフレットの例8の染料と、1.5部のC.I. Acid Yellow 236 (Nylosan Yellow F−L)の市販されている調製物と、1〜2部の40%酢酸でpH5に調整した0.5部のこの特許出願の調製例1の青色染料と、からなる40℃の染浴に、100部の編まれたナイロン−6。6の織物を入れた。40℃で10分後に、染浴を、1℃/分の割合で98℃に加熱し、そして次に45〜60分沸騰させた。その後染浴を15分にかけて70℃に冷却した。染物を浴から除去し、熱水、そして次に冷水で洗浄し、そして乾燥した。得られた結果は、良好な光および湿気堅牢度を有する均質な灰色のポリアミド染色である。
【0076】
使用例G
100部のクロームなめしし、そして合成的に再なめししたシェイブモイストグレイン(shave−moist grain)皮を、55℃の300部の水および2部の調製例1の染料の浴中で30分間染色した。4部の亜硫酸化した魚油の60%エマルジョンを加えた後で、皮を45分間加脂した。次に皮を8.5%ギ酸で酸性化し、そして10分間ミル(milled)した(浴中の最終のpHは、3.5〜4.0)。皮を次に洗浄し、濡れたまま干し、そして通常のとおり仕上げた。得られた結果は、良好な堅牢度を有する均質に透明な青色色相で染められた皮である。使用例A〜Gはまた、染料2〜53を用いて行うことができ、類似の結果となった。
【0077】
使用例H
3部の調製例3の染料を、60℃で82部の脱塩水および15部のジエチレングリコールに溶解した。室温まで冷却すると、紙またはポリアミドおよび羊毛繊維製品上でインクジェット印刷に非常に好適である青色の印刷インクを与えた。
使用例Hはまた、染料1または2および4〜53で行うことができ、類似の結果となった。
【0078】
使用例I
1000部の水と、80部の焼成Glauber塩と、1部のニトロベンゼン−3−スルホン酸ナトリウムおよび1部の例79からの染料と、からなる染浴を、10分の内に80℃まで加熱した。次に、100部のシルケット綿を加えた。これに続き、80℃で5分間染色し、そして次に15分の内に95℃まで加熱した。95℃で10分後に、3部の炭酸ナトリウムを加え、続いて20分後にさらに7部の炭酸ナトリウム、そして95℃で30分後に、さらに10部の炭酸ナトリウムを加えた。染色を、その後95℃で60分続けた。染められた材料を、次に染浴から除去し、そして流れている脱塩水で3分間洗浄した。これに続き、1回当たり5000部の沸騰脱塩水中で10分間の洗浄を、2回し、そして次に60℃の流れている脱塩水で3分間、そして冷水道水で1分間洗浄した。乾燥すると、良好な堅牢度を有するすばらしい青色綿染色を与えた。
【0079】
使用例J
0.2部の調製例1の染料を、100部の熱水に溶解し、そして溶液を室温まで冷却した。この溶液を、オランダ−(Hollander)中の2000部の水でビートした100部の化学的に漂白した亜硫酸パルプに加えた。15分の混合の後で、この物を、従来法で、樹脂のサイズ剤および硫酸アルミニウムを用いて、サイズした。この物から生成された紙は、良好な湿気堅牢度を有する青色の色合いを有する。
使用例IおよびJはまた、染料2〜53で行うことができ、類似の結果が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物、
【化1】

式中、RおよびRは、独立して、非置換非分枝C1〜6アルキルまたは非置換分枝C3〜6アルキルまたは置換非分枝C1〜6アルキルまたは置換分枝C3〜6アルキルであり、
は、水素、非置換非分枝C1〜6アルキルまたは非置換分枝C3〜6アルキルまたは置換非分枝C1〜6アルキルまたは置換分枝C3〜6アルキルであり、
およびRは、独立して、水素、非置換非分枝C1〜6アルキルもしくは非置換分枝C3〜6アルキルもしくは置換非分枝C1〜6アルキルもしくは置換分枝C3〜6アルキル、またはハロゲンであり、
は、水素、非置換非分枝C1〜6アルキルもしくは非置換分枝C3〜6アルキルもしくは置換非分枝C1〜6アルキルもしくは置換分枝C3〜6アルキル、または非置換非分枝C1〜6アルコキシもしくは非置換分枝C3〜6アルコキシもしくは置換非分枝C1〜6アルコキシもしくは置換分枝C3〜6アルコキシ、またはハロゲン、または置換もしくは非置換である非分枝C1〜6アルキル基を有する−NHCO−(C1〜6アルキル)、または置換もしくは非置換である分枝C3〜6アルキル基を有する−NHCO−(C3〜6アルキル)、または−NHCONHであり、
およびRは、独立して、非置換非分枝C1〜6アルキルまたは非置換分枝C3〜6アルキルまたは置換非分枝C1〜6アルキルまたは置換分枝C3〜6アルキルまたはアリールまたは−(CH−アリール(式中、n=1、2、3または4)である。
【請求項2】
およびRは、独立して、非置換非分枝C1〜6アルキルまたは非置換分枝C3〜6アルキルまたは置換非分枝C1〜6アルキルまたは置換分枝C3〜6アルキルであり、
は、水素、非置換非分枝C1〜6アルキルまたは非置換分枝C3〜6アルキルまたは置換非分枝C1〜6アルキルまたは置換分枝C3〜6アルキルであり、
およびRは、独立して、水素、非置換非分枝C1〜6アルキルもしくは非置換分枝C3〜6アルキルもしくは置換非分枝C1〜6アルキルもしくは置換分枝C3〜6アルキル、またはハロゲンであり、
は、水素、非置換非分枝C1〜6アルキルまたは非置換分枝C3〜6アルキルまたは置換非分枝C1〜6アルキルまたは置換分枝C3〜6アルキルであり、
は、非置換非分枝C1〜6アルキルまたは非置換分枝C3〜6アルキルまたは置換非分枝C1〜6アルキルまたは置換分枝C3〜6アルキルであり、
は、アリールまたは−(CH−アリール(式中、n=1、2、3または4)であること、
を特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式(I)の該化合物が、少なくとも1つのアニオン性置換基を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
式(I)の該化合物が、1または2または3つのスルホ基を有することを特徴とする、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
式(II)
【化2】

(式中、SGは、保護基である)の化合物のアミン官能基が、ジアゾ化され、そして1当量の式(III)
【化3】

の化合物に結合しており、
そして、該保護基SGが除去された後で、式(IV)
【化4】

の生じるアミンが、ジアゾ化され、そして1当量の式(V)の化合物に、酸性のpHで結合しており、
【化5】

または、式(II’)
【化6】

の化合物がジアゾ化され、そして1当量の式(V)
【化7】

の化合物に酸性のpHで結合しており、そして該保護基SGが除去された後で、式(IV’)
【化8】

のアミンがジアゾ化され、そして1当量の式(III)の化合物
【化9】

(該置換基は、上記で規定されたそれぞれである。)
に結合していることを特徴とする、請求項1に記載の該式(I)の化合物の調製方法。
【請求項6】
有機素地を染色および/または印刷するための、請求項1による式(I)の該化合物の使用。
【請求項7】
羊毛、絹および合成ポリアミドを染色および/または印刷するための、請求項1による式(I)の化合物の使用。
【請求項8】
インクジェット法のための印刷インクを調製するための、請求項1による式(I)の化合物の使用。

【公表番号】特表2009−541551(P2009−541551A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517126(P2009−517126)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/056175
【国際公開番号】WO2008/000679
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(596033657)クラリアント インターナショナル リミティド (48)
【Fターム(参考)】