説明

酸素濃度検出素子

【課題】 ヒータ部や検出部に熱応力に起因するクラック等の発生を防止できると共に、一対の電極のリード部線の歩留まりが向上し、且つ、ヒータ絶縁層の印刷回数を削減して低コストにできる酸素濃度検出素子を提供する。
【解決手段】 絶縁性材料により形成された芯ロッド2と、この芯ロッド2の円周面2aに設けられ、外部からの通電によって発熱するヒータパターン3と、芯ロッド2の円周面で、且つ、ヒータパターン3との間で印刷保護層10を介して配置された酸素イオン伝導性の固体電解質層5を有し、この固体電解質層5の内外面に配置された参照電極6及び検出電極7より酸素濃度に応じた電気信号を取り出す検出部15とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサに用いられる酸素濃度検出素子に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車用エンジン等では、排気管の途中に酸素センサを配置し、酸素センサで排気ガス中に含まれる酸素濃度を検出し、燃料と空気との混合比率である空燃比A/Fを所定の理論空燃比(A/F=14.7)とするように吸引空気量をフィードバック制御する。
【0003】
上記酸素センサに使用される従来の酸素濃度検出素子として、図5に示すものがある。
【0004】
この酸素濃度検出素子100は、図5に示すように、ベース部材101と、このベース部材101の外周側に形成された酸素イオン伝導性の固体電解質層102と、ベース部材101の外周面に設けられた多孔質層103と、固体電解質層102の内面に形成された参照電極104と、固体電解質層102の外面に形成された検出電極105と、この検出電極105及び固体電解質層102の外面の全域に形成され、検出電極105の外面に酸素導入窓部106aを有する緻密層106と、この緻密層106の外面及び酸素導入窓部106aより露出された検出電極105の外面に形成された保護層107とから構成されている。そして、緻密層106及び保護層107の外側に測定ガス(例えば、排気管内の排気ガス)が導かれる状態で配置される。
【0005】
ベース部材101は、中実円柱の芯ロッド110と、この外周に形成されたヒータ部であるヒータパターン111と、このヒータパターン111を被覆するよう芯ロッド110の外周に形成された絶縁性材料のヒータ絶縁層112とから構成されている。つまり、ヒータパターン111の上面に、固体電解質層102、参照電極104及び検出電極105から成る検出部120が積層されている。
【0006】
参照電極104及び検出電極105は、共に導電性で、且つ、酸素が通過できる材料より形成されている。また、参照電極104及び検出電極105にはそれぞれリード線部113(参照電極104側は図示せず)が一体的に延設されており、これらリード線部113を用いて参照電極104と検出電極105との間に現れる出力電圧を検出できるようになっている。緻密層106は、測定ガス中の酸素が内面側に通過できない材料で形成されている。保護層107は、測定ガス中の有害ガスは内面側に通過できないが、測定ガス中の酸素は通過できる材料で形成されている。
【0007】
次に、酸素濃度検出素子100による酸素濃度の検出動作を説明する。ヒータパターン111に通電されると、ヒータパターン111の発熱がヒータ絶縁層112を介して検出部120に伝達され、固体電解質層102が活性化される。そして、測定ガス中の酸素は保護層107を透過し、検出電極105を通過して固体電解質層102の外面に導入され、基準となる大気ガス中の酸素は多孔質層103を介して参照電極104に達する。固体電解質層102の内外面で酸素濃度に差があると、酸素イオンが固体電解質層102内を輸送されることによって酸素濃度差に応じて参照電極104と検出電極105との間に起電力が発し、酸素濃度差に応じた出力電圧が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−27737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記従来の酸素濃度検出素子100では、ヒータパターン111の上面にヒータ絶縁層112を介して検出部120が積層された構造であり、ヒータパターン111と検出部120とは熱膨脹率の異なる材料より形成される。従って、ヒータパターン111と検出部120との間に熱膨張率差により熱応力が発生し、双方の間に剥離が発生し、この剥離箇所を基点としてクラック等が発生するという問題があった。
【0010】
また、参照電極104と検出電極105の各リード線部113はヒータ絶縁層112が配置されない芯ロッド110の上面にまで延設する場合には、リード線部113の配線経路がヒータ絶縁層112の端面による段差を通ることになる。ここで、ヒータ絶縁層112はヒータパターン111と検出部120との間の絶縁を確保するために非常に厚く形成する必要がある。従って、リード線部113の配線経路は大きな段差を有する経路となるため、リード線部113の断線原因になり、歩留まりが悪いという問題があった。
【0011】
さらに、上述したようにヒータ絶縁層112を厚く形成する必要があるため、ヒータ絶縁層112を形成するのに多数の印刷回数が必要であり、コスト高であるという問題があった。
【0012】
本発明は前述した事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ヒータ部や検出部に熱応力に起因するクラック等の発生を防止できると共に、一対の電極のリード部線の歩留まりが向上し、且つ、ヒータ絶縁層の印刷回数を削減して低コストにできる酸素濃度検出素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ベース部材と、このベース部材の外面に設けられ、外部からの通電によって発熱するヒータ部と、このヒータ部との間で保護層を介して配置された酸素イオン伝導性の固体電解質層を有し、この固体電解質層の内外面に配置された一対の電極より酸素濃度に応じた電気信号を取り出す検出部とを備えたことを趣旨とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、ヒータ部と検出部が積層されず、ヒータ部と検出部との間に熱膨張率差により熱応力が発生しないため、熱応力に起因するクラック等が発生することがない。また、一対の電極のリード線部を従来例のように厚いヒータ絶縁層の上を配線経路としないで配索可能であるため、配線経路に高い段差がなくリード線部の歩留まりが向上し、低コストになる。さらに、ヒータ部と検出部が積層されないためにヒータ部のヒータ絶縁層を薄くしても絶縁を確保できるため、ヒータ絶縁層の印刷回数を削減でき、低コストになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態を示し、酸素濃度検出素子の断面図である。
【図2】本発明の一実施形態を示し、酸素濃度検出素子の製造手順を説明するための図である。
【図3】本発明の一実施形態を示し、酸素濃度検出素子を展開し、且つ、展開状態での各層の輪郭線を示した図である。
【図4】本発明の一実施形態の変形例を示し、酸素濃度検出素子を展開し、且つ、展開状態での各層の輪郭線を示した図である。
【図5】従来例を示し、酸素濃度検出素子の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具現化した一実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1〜図3は本発明の一実施形態を示し、図1は酸素濃度検出素子の断面図、図2は酸素濃度検出素子の製造手順を説明するための図、図3は酸素濃度検出素子を展開し、且つ、展開状態での各層の輪郭線を示した図である。
【0018】
図1において、酸素濃度検出素子1Aは、ベース部材である芯ロッド2と、この芯ロッド2の円周面(外面)2aに形成されたヒータ部であるヒータパターン3と、このヒータパターン3の外周面の全域を覆うヒータ絶縁層4と、芯ロッド2の円周面2a側で、且つ、ヒータパターン3との間を絶縁するクリアランスを有した位置に形成された酸素イオン伝導性の固体電解質層5と、この固体電解質層5の内面に形成された電極である参照電極6と、固体電解質層5の外面に形成された電極である検出電極7と、参照電極6の内面とベース部材2の円周面2aとの間に設けられた応力緩和層8と、固体電解質層5の外面全体及び検出電極7の一部外面に形成され、電極用窓部9aを有する緻密層9と、この緻密層9やヒータ絶縁層4の外面を全体的に覆う印刷保護層10と、この印刷保護層10の外面を含めた領域を被うスピネル保護層11とから構成されている。
【0019】
芯ロッド2は、絶縁材料であるアルミナ等のセラミック材料より形成されている。芯ロッド2は中実円柱のロッド状を有し、外面が円周面2aに形成されている。ヒータパターン3は、タングステンや白金等の発熱性導体材料より形成されている。このヒータパターン3には、リード線部3aが一体に延設されている。そして、外部からの通電で発熱することによって固体電解質層5を昇温して活性化させる。ヒータ絶縁層4は、絶縁性材料より形成され、ヒータパターン3の電気的絶縁を確保する。
【0020】
固体電解質層5は、例えば、ジルコニアの粉体中に所定重量%のイットリアの粉体を混合してペースト状物より形成される。そして、固体電解質層5は、参照電極6と検出電極7との間で、周囲の酸素濃度差に応じた起電力を発生させ、その厚さ方向に酸素イオンを輸送する。つまり、固体電解質層5と参照電極6及び検出電極7とによって酸素濃度を電気信号として取り出す検出部15が形成されている。検出部15とヒータパターン3とは、ベース部材2の円周面2aの径方向の対向位置に設けられている。
【0021】
参照電極6及び検出電極7は、共に白金等からなる導電性で、且つ、酸素が透過できる材料より形成されている。そして、参照電極6及び検出電極7にはそれぞれリード線部6a,7aが一体的に延設されており、リード線部6a,7aを用いて参照電極6と検出電極7との間に現れる出力電圧を検出できるようになっている。また、参照電極6及び検出電極7とヒータパターン3との間は、図3に示すように、0.5mm以上のクリアランスC1をあけて形成されている。
【0022】
応力緩和層8は、ジルコニアとアルミニュームの混合材料より形成されている。そして、応力緩和層8は、固体電解質層5の焼結時における固体電解質層5とベース部材2との間の応力差を緩和すると共に、固体電解質層5を通じて参照電極6へ輸送されてくる酸素を、図示しない経路によって逃散させるガス逃散路を構成している。
【0023】
緻密層9は、測定ガス中の酸素が内面側に透過できない材料、例えば、アルミナ等のセラミック材料より形成されている。緻密層9は、固体電解質層5の外面の全域を全て覆い、電極用窓部9a内からは検出電極7が露出されている。つまり、測定ガス中の酸素が電極用窓部9aのみから検出電極7に入り込むことができるようになっている。
【0024】
印刷保護層10は、緻密層9の電極用窓部9aを介して外部に露出される検出電極7を外側から覆い、測定ガス中の有害ガス、ダスト等は内面側に通過できないが、測定ガス中の酸素は通過できる材質、例えば、アルミナと酸化マグネシウムの混合物の多孔質構造体にて形成されている。
【0025】
スピネル保護層11は、測定ガス中の酸素を通過でき、印刷保護層10より粗い多孔質体にて形成されている。
【0026】
次に、酸素濃度検出素子1Aの製造方法を図2に基づいて説明する。先ず、アルミナ等のセラミック材料を射出成型して中実円柱の芯ロッド2を製造する。この芯ロッド2を回転させつつ、芯ロッド2の円周面2aの略半分領域に、例えば、白金又はタングステン等の発熱性材料を曲面スクリーン印刷してヒータパターン3を形成する。
【0027】
次に、芯ロッド2の円周面2aの略半分領域に、アルミナ等を曲面スクリーン印刷してヒータ絶縁層4を形成する。
【0028】
次に、芯ロッド2の円周面2aで、且つ、ヒータパターン3の領域とは逆の半分領域に、曲面スクリーン印刷によって応力緩和層8を形成する。
【0029】
次に、芯ロッド2の円周面2aに、応力緩和層8の上から白金等からなる導電性ペーストを曲面スクリーン印刷して参照電極6及びそのリード線部6aを一体に形成する。次に、参照電極6及び応力緩和層8等の上面に、例えば、ジルコニアとイットリアからなるペースト状物を曲面スクリーン印刷して酸素イオン伝導性の固体電解質層5を形成する。
【0030】
次に、固体電解質層5の上面等に、白金等からなる導電性ペーストを曲面スクリーン印刷して検出電極7及びそのリード線部7aを一体に形成する。
【0031】
次に、検出電極7及び固体電解質層5の上面に、例えば、アルミナ等のセラミック材料を曲面スクリーン印刷して電極用窓部9aを有する緻密層9を形成する。緻密層9の電極用窓部9aからは検出電極7の中央部分が露出され、この露出された検出電極7の部分が電極としての有効部分となる。
【0032】
次に、検出電極7及び固体電解質層5の外面のみならずヒータ絶縁層4の外面、つまり、芯ロッド2の円周面2aの円周方向の全領域に亘って、例えば、アルミナと酸化マグネシウムからなるペースト状物を曲面スクリーン印刷して印刷保護層10を形成する。同様にして、スピネル保護層11を形成する。これで、曲面スクリーン印刷工程を終了する。
【0033】
次に、曲面スクリーン印刷等を終えた円柱状作成物を高熱で焼成することにより一体的に焼結させる。これにより、酸素濃度検出素子1Aの製造が完了する。完成した酸素濃度検出素子1Aは図示しない酸素センサに組み込まれる。
【0034】
次に、酸素濃度検出素子1Aによる酸素濃度の検出動作を説明する。例えば、エンジンの排気管内に酸素センサが設置される場合には、測定ガスである排気ガスが酸素濃度検出素子1Aの外周面を通過し、基準となる大気が応力緩和層8を介して導入されるように設置される。そして、ヒータパターン3に通電され、酸素濃度検出素子1A全体を所定状態に加熱すると、固体電解質層5が活性化される。これで、検出可能状態となる。
【0035】
排気ガスが排気管内に排出されると、排気ガス中の酸素はスピネル保護層11、印刷保護層10及び検出電極7を通過して固体電解質層5に導入され、大気ガス中の酸素は参照電極6の周囲に溜め込まれる。そして、固体電解質層5の内外面で酸素濃度に差が発生すると、従来例で説明したように、酸素イオンが固体電解質層5内を輸送されることによって酸素濃度差に応じて参照電極6と検出電極7との間に起電力が発生し、酸素濃度差に応じた出力電圧が得られる。
【0036】
上記酸素濃度検出素子1Aでは、芯ロッド2の円周面2aのそれぞれ異なる位置にヒータパターン3と検出部15とを設けたので、従来例のようにヒータパターン3と検出部15間が接合面を介して接着されず、熱膨張率差により熱応力が発生しないため、熱応力に起因するクラック等が発生しない。
【0037】
また、参照電極6及び検出電極7の各リード線部6a,7aは、ヒータ絶縁層4上を配索経路とすることなく配索可能である。従って、リード線部6a,7aの配線経路には、従来例のような大きな段差がなくリード線部6a,7aの歩留まりが向上し、低コストになる。
【0038】
さらに、ヒータパターン3と検出部15が積層されないためにヒータパターン3のヒータ絶縁層4を薄くしても絶縁を確保できるため、ヒータ絶縁層4の印刷回数を削減でき、低コストになる。つまり、従来例ではヒータパターン111と検出部120が積層構造であったため、ヒータパターン111と検出部120との間に厚いヒータ絶縁層112を形成する必要があり、複数回の印刷工程が必要であったためコスト高であったが、本発明ではヒータパターン3の外面を薄いヒータ絶縁層4で被いさえすれば絶縁を確保できるため、ヒータ絶縁層4の印刷回数を削減でき、低コストにできる。
【0039】
上記実施形態では、芯ロッド2は、外面が円周面2aのロッド状に形成されたので、取付け時の方向やガスの流れ方向等に影響されることなく酸素濃度を安定した精度で検出できる。
【0040】
上記実施形態では、ヒータパターン3と検出部15は、芯ロッド2の円周面2aの径方向の対向位置に設けられたので、ヒータパターン3と検出部15との間で絶縁に十分なクリアランスを取りつつ、コンパクトに構成できる。また、芯ロッド2の同一面の異なる位置にヒータパターン3と検出部15を曲面スクリーン印刷によって形成できるため、容易に製造できる。
【0041】
上記実施形態では、ヒータパターン3と検出部15の参照電極6及び検出電極7との間は、0.5mm以上のクリアランスC1を開けて形成されたので、ヒータパターン3と参照電極6及び検出電極7との間に十分な絶縁間隔があるため、ヒータ絶縁層4の厚みを薄くできる。従って、ヒータ絶縁層4の印刷回数を削減でき、低コストになる。
【0042】
上記実施形態では、芯ロッド2と検出部15との間に応力緩和層8を介在させたので、固体電解質層5の焼結時における固体電解質層5と芯ロッド2との間の応力差を緩和できる。
【0043】
図4は、上記実施形態の変形例を示し、酸素濃度検出素子1Bを展開し、且つ、展開状態での各層の輪郭線を示した図である。
【0044】
図4において、前記実施形態の酸素濃度検出素子1Aは、ヒータパターン3と検出部15が芯ロッド2の円周面2aの径方向の対向位置に設けられたが、この変形例の酸素濃度検出素子1Bは、ヒータパターン3と検出部15が芯ロッドの円周面の軸方向Mのオフセット位置に設けられている点が相違する。
【0045】
また、ヒータパターン3と検出部15の参照電極6及び検出電極7との間は、0.5mm以上のクリアランスC1,C2をあけて形成されている。
【0046】
尚、他の構成は、前記実施形態のものと同一であるため、同一構成部分に同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0047】
上記変形例では、ヒータパターン3と検出部15は、芯ロッド2の円周面2aの軸方向Mのオフセット位置に設けられたので、ヒータパターン3と検出部15との間で絶縁に十分なクリアランスを取りつつ、コンパクトに構成できる。また、芯ロッド2の同一面の異なる位置にヒータパターン3を曲面スクリーン印刷によって形成できるため、容易に製造できる。
【0048】
さらに、ヒータパターン3と検出部15の参照電極6及び検出電極7との間は、0.5mm以上のクリアランスC1,C2をあけて形成されたので、前記実施形態と同様に、ヒータパターン3と参照電極6及び検出電極7との間に十分な絶縁間隔があるため、ヒータ絶縁層4の厚みを薄くできる。従って、ヒータ絶縁層4の印刷回数を削減でき、低コストになる。
【0049】
尚、この発明は、次のような別の実施形態に具現化することができる。以下の別の実施形態において上記実施形態と同様な作用及び効果を得ることができる。
【0050】
(1)上記実施形態において、緻密層9の電極用窓部9aの形状を方形状としたが、電極用窓部9aを円形状、楕円形状、三角形状、五角形以上の多角形状等のような形状にしても良い。
【0051】
(2)上記実施形態において、ベース部材は、円柱形状の芯ロッド2にて形成されているが、円柱形状以外の形状、例えば外面がフラットな形状であっても本発明は同様に適用できる。
【0052】
さらに、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術思想について、以下にその効果と共に記載する。
【0053】
(イ)請求項1に記載の酸素濃度検出素子において、前記ヒータ部と前記検出部の前記電極との間は、0.5mm以上のクリアランスをあけて形成されたことを特徴とする酸素濃度検出素子。
【0054】
この構成によれば、ヒータ部と電極との間に十分な絶縁間隔があるため、ヒータ絶縁層の厚みを薄くできる。従って、ヒータ絶縁層の印刷回数を削減でき、低コストになる。
【0055】
(ロ)請求項1、及び、上記(イ)項に記載の酸素濃度検出素子において、前記ベース部材と前記検出部との間には、応力緩和層を介在させたことを特徴とする酸素濃度検出素子。
【0056】
この構成によれば、固体電解質層の焼結時における固体電解質とベース部材との間の応力差を緩和できる。
【符号の説明】
【0057】
1A,1B 酸素濃度検出素子
2 芯ロッド(ベース部材)
2a 円周面(外面)
3 ヒータパターン(ヒータ部)
5 固体電解質層
6 参照電極(電極)
7 検出電極(電極)
10 印刷保護層
15 検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性材料により形成されたベース部材と、このベース部材の外面に設けられ、外部からの通電によって発熱するヒータ部と、このヒータ部との間で保護層を介して配置された酸素イオン伝導性の固体電解質層を有し、この固体電解質層の内外面に配置された一対の電極より酸素濃度に応じた電気信号を取り出す検出部とを備えたことを特徴とする酸素濃度検出素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−80138(P2009−80138A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9339(P2009−9339)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【分割の表示】特願2004−10132(P2004−10132)の分割
【原出願日】平成16年1月19日(2004.1.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】