説明

酸素濃縮装置

【課題】 酸素濃縮装置の停止時における吸着剤の性能の低下を防止することができる酸素濃縮装置を提供すること。
【解決手段】各給気弁13、15と各吸着筒17、19との間の各配管29、31には、分岐配管33、35が接続されており、分岐配管33、35には、各吸着筒17、19からの排気の流路の開閉を行う第1排気弁37及び第2排気弁39が設けられている。第1排気弁37及び第2排気弁39は、通電時に開弁する常閉弁である。各給気弁13、15と各吸着筒17、19との間の各配管29、31には、各配管29、31から分岐した各外気導入配管45、47を介して第1逆止弁49と第2逆止弁49が設けられている。両逆止弁49、51は、各配管29、31内が大気圧より減圧状態になると開弁して大気を導入し、配管29、31内(従って吸着筒17、19)内が負圧になることを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用酸素濃縮装置や産業用酸素濃縮装置に関し、酸素より窒素を優先的に吸着する吸着剤を用い、圧力変動吸着法により高濃度の酸素を患者等に供給する酸素濃縮装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、肺気腫症、慢性気管支炎などの呼吸器系疾患に苦しむ患者が増加する傾向が見られるが、その治療法の効果的なものの一つとして、在宅酸素吸入療法が挙げられる。
この酸素吸入療法の治療装置として、空気中から酸素を直接分離して濃縮空気(酸素富化空気:酸素濃縮ガス)を製造する酸素濃縮装置が開発されており、使用時の利便性、保守管理の容易さから次第に普及するようになっている。
【0003】
例えば、医療用酸素濃縮装置としては、窒素ガスを優先的に吸着する吸着剤(例えば5A型や13X型ゼオライト或いはLi置換X型ゼオライトなどの吸着剤)を用いた圧力変動吸着型酸素濃縮装置がよく使われている。
【0004】
上述した酸素濃縮装置としては、窒素ガスを優先的に吸着する吸着剤を充填した吸着筒を、少なくとも1本以上有したものが知られており、この装置では、コンプレッサ等により、加圧空気を供給して吸着筒内を加圧し、窒素を吸着剤に吸着させることによって、酸素濃縮ガスを得る吸着工程と、吸着筒内の加圧圧力を開放し、窒素を脱着させて吸着剤の再生を行う脱着工程とを、一定のサイクルで繰り返し行うことにより、連続的に酸素濃縮ガスを得ることができる(特許文献1、2参照)。
【0005】
更に、高濃度の酸素濃縮ガスを効率良く得るために、吸着筒を大気開放して窒素を脱着させるとともに、製品ガスの一部を吸着筒内にパージガスとして送って吸着剤を再生させたり、真空ポンプを用いて、吸着筒内が負圧となるまで窒素排気を行い、吸着窒素を脱着させて吸着剤を再生させる方法が行われている。
【0006】
また、上述した酸素濃縮装置では、空気中の湿度が高いと吸着剤の性能が低下するので、吸着筒内の湿度を低下させるために、吸着筒の入口付近に例えばシリカゲルや活性アルミナ等の吸湿剤を配置して空気中の水分を吸着させたり、或いは、吸着筒の入口付近の吸着剤を吸湿剤として使用する方法が工夫されている。
【特許文献1】特開2002−85567号公報
【特許文献2】特開2002−291894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来技術では必ずしも十分ではなく、以下のように、一層の改善が求められていた。
吸着工程や脱着工程を繰り返して継続的に酸素濃縮を行うと、吸着筒内で断熱圧縮が繰り返され、また、コンプレッサ等によって圧縮された外部空気の温度が室温より高いため、吸着筒内に充填されている吸着剤の温度は、40℃〜50℃に達する。
【0008】
このように吸着剤の温度が上昇した状態で酸素濃縮装置を停止すると、吸着筒が外気と遮断されている場合には、吸着剤が低温でより多くの窒素を吸着するという特性により、運転停止後に吸着筒内の圧力が大気圧に対し負圧状態に維持される。この負圧になる度合いは、運転停止後の周囲の環境温度にも依存するが、著しい場合には−40kPaGに達することがある。
【0009】
このような負圧状態においては、大気圧状態と比較し、吸着筒入口付近の吸湿剤等に残留している水蒸気が、吸着筒内全域に拡散しやすい傾向があり、吸着剤全体に水蒸気が吸着されやすい状態となる。
【0010】
このような状態で長時間にわたり装置を停止状態にすると、装置を稼働していないにも拘わらず、拡散した水蒸気の吸着(吸湿)により、吸着剤の吸着性能が低下し、著しい場合には、装置の性能の低下(発生酸素濃度の低下及び消費電力の増加)を引き起こすことがある。
【0011】
そこで、このような停止時における減圧状態を回避するため、吸着筒と外気が連通する配管に、ノーマルオープン(NO:通電時閉)の電磁弁を設置することが可能であるが、この場合は、装置の停止状態で吸着筒が常時外気と連通状態になり、外気中の湿度が吸着筒に達し、内部の吸着剤の性能の低下を招くおそれがある。
【0012】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、酸素濃縮装置の停止時における吸着剤の性能の低下を防止することができる酸素濃縮装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)請求項1の発明は、窒素ガスを選択的に吸着させる吸着剤が充填された吸着床に、加圧された外部空気を供給する加圧吸着工程と、前記吸着剤に吸着された窒素ガスを脱着する減圧脱着工程と、を繰り返す運転により、酸素濃縮ガスを生成する圧力変動吸着式の酸素濃縮装置であって、前記酸素濃縮装置の運転を停止した状態において、前記吸着床と外気とを遮断する遮断手段と、前記遮断手段によって前記吸着床と外気とが遮断された状態において、前記吸着床が大気に対して減圧状態になることを防止する減圧防止手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明では、酸素濃縮装置の運転(即ち加圧吸着工程と減圧脱着工程とを繰り返すことよって酸素濃縮ガスを製造する運転)の停止後の放置状態において、例えば電磁弁等の遮断手段によって、吸着床(例えば吸着筒)と外気とを遮断し、この遮断された状態において、例えば逆止弁等の減圧防止手段によって、吸着床が大気に対して減圧状態になることを防止する。
【0015】
これによって、装置の運転停止後に、吸着剤の温度が低下して多くの窒素が吸着されて、吸着床内の圧力が大気圧に対し負圧状態になっても、減圧防止手段によって、吸着床が大気に対して減圧となることが防止される。その結果、吸着床入口付近の吸湿剤等に残留している水蒸気が、吸着床内全域に拡散することがないので、水蒸気の吸着による吸着剤の吸着性能の低下を防止できる。よって、装置の性能の低下(発生酸素濃度の低下及び消費電力の増加)を防ぐことができる。
【0016】
(2)請求項2の発明では、前記減圧防止手段は、前記遮断手段により遮断された経路とは別の経路にて、前記吸着床に大気を導入する手段であることを特徴とする。
本発明は、減圧防止手段を例示したものであり、遮断手段により遮断された経路(例えば排気路)とは別の経路にて、吸着床に大気を導入することができる。
【0017】
(3)請求項3の発明では、前記減圧防止手段は、前記酸素濃縮装置に外部空気を導入する外部空気供給部(例えば開口部)と前記吸着床との間の配管(例えば外気導入配管)に接続された逆止弁であることを特徴とする。
【0018】
本発明は、減圧防止手段を例示したものであり、装置内に外部空気を導入する部分から吸着床との間に(吸着床側が負圧でない場合は閉じている)逆止弁を配置することにより、吸着床が減圧状態になった場合には、逆止弁を介して外気を導入することができる。
【0019】
(4)請求項4の発明は、窒素ガスを選択的に吸着させる吸着剤が充填された吸着床に、加圧された外部空気を供給する加圧吸着工程と、前記吸着剤に吸着された窒素ガスを脱着する減圧脱着工程と、を繰り返す運転により、酸素濃縮ガスを生成する圧力変動吸着式の酸素濃縮装置であって、前記酸素濃縮装置の運転を停止した状態において、前記吸着床と外気とを遮断する遮断手段を備え、前記遮断手段によって前記吸着床と外気とが遮断された場合に、前記遮断手段による遮断を一時的に解除して、前記吸着床が大気に対して減圧状態になることを防止することを特徴とする。
【0020】
本発明では、酸素濃縮装置の運転を停止した後の放置状態において、遮断手段によって、吸着床(例えば吸着筒)と外気とを遮断した場合に、その遮断手段による遮断を一時的に解除するので、吸着床が大気に対して減圧状態になることを防止できる。
【0021】
これにより、前記請求項1の発明と同様に、装置の運転停止後に、吸着床が大気に対して減圧となることが防止できるので、吸着床入口付近の吸湿剤等に残留している水蒸気が、吸着床内全域に拡散することがない。よって、水蒸気の吸着による吸着剤の吸着性能の低下を防止できるので、装置の性能の低下を防ぐことができる。
【0022】
なお、この場合の運転の停止とは、加圧吸着工程と減圧脱着工程とを繰り返すことよって酸素濃縮ガスを製造する運転を停止することであり、この運転を中止した後でも、例えばバッテリにより電磁弁等の遮断手段を駆動することができる。
【0023】
(5)請求項5の発明では、前記遮断手段は、無通電時に閉となり電磁弁であることを特徴とする。
本発明では、遮断手段は、常時閉(ノーマルクローズ)の電磁弁であるので、運転が停止して電磁弁への通電が停止された場合には、その流路を閉じることができる。よって、運転停止中には、その流路を介して外気(従ってその中の水蒸気)が、吸着床に侵入することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明の最良の形態の例(実施例)について説明する。
【実施例1】
【0025】
本実施例では、空気中から、例えば窒素吸着剤としてゼオライト(以下吸着剤と記す)を用いて窒素を吸着して除去することにより、酸素を濃縮し、この高濃度の酸素を含む製品ガス(以下酸素濃縮ガスと記す)を、患者等に対して供給する圧力変動吸着型の医療用酸素濃縮装置(以下酸素濃縮装置と記す)を例に挙げる。
【0026】
a)まず、本実施例の酸素濃縮装置の構成について説明する。
本実施例の酸素濃縮装置は、略直方体の筐体内に、以下に示す様な酸素濃縮のための各構成が配置されている。
【0027】
具体的には、図1に示す様に、酸素濃縮装置1には、空気を外部から導入する酸素取入口3から、空気の流路に沿って、上流側より、防塵フィルタ5と、防塵フィルタ5より目の細かい吸気フィルタ7と、空気の圧縮を行うコンプレッサ9とを備えており、コンプレッサ9の近傍にはコンプレッサ9を冷却する冷却ファン11が配置されている。
【0028】
前記コンプレッサ9の下流には、加圧空気を供給する流路の開閉を行う第1給気弁13及び第2給気弁15が設けられ、その下流側には、それぞれ第1吸着筒17及び第2吸着筒19が設けられている。なお、第1給気弁13及び第2給気弁15は、通電時に開弁する常閉弁(ノーマルクローズ弁:NC弁)である。
【0029】
そして、両吸着筒17、19には、窒素ガスを優先的に吸着する吸着剤として、例えば5A型や13X型ゼオライト或いはLi置換X型ゼオライトなどの吸着剤が充填されており、この吸着剤を充填した部分(吸着剤配置部21、23)より上流側の入口付近(吸湿剤配置部25、27)には、吸着筒17、19内の湿度を低下させるために、吸湿剤(例えばシリカゲルや活性アルミナ)が配置されている。なお、この種の吸湿剤を配置せずに、吸着筒17、19の入口付近の吸着剤を吸湿剤として使用してもよい。
【0030】
また、各給気弁13、15と各吸着筒17、19との間の各配管29、31には、分岐配管33、35が接続されており、この分岐配管33、35には、各吸着筒17、19からの排気の流路の開閉を行う第1排気弁37及び第2排気弁39が設けられている。この第1排気弁37及び第2排気弁39は、通電時に開弁する常閉弁(NC弁)である。なお、両排気弁37、39は、外気につながる排気路41に接続され、排気路41にはサイレンサ43が設けられている。
【0031】
特に本実施例では、各給気弁13、15と各吸着筒17、19との間の各配管29、31には、外気を装置内に取り込む外気導入配管45、47がそれぞれ接続され、この各外気導入配管45、47に第1逆止弁49と第2逆止弁51がそれぞれ設けられている。つまり、各逆止弁49、51は、各外気導入配管45、47の各開口部45A、47Aと各吸着筒17、19との間の配管部分に設置されている。
【0032】
この両逆止弁49、51は、各配管29、31内が大気圧以上の場合には閉弁しているが、各配管29、31内が大気圧より減圧状態になると自動的に開弁して大気を導入し、配管29、31内(従って吸着筒17、19)内が負圧になることを防止するものである。なお、この外気導入配管45、47や逆止弁49、51は、前記配管29、31に連通状態の配管(例えば分岐配管33、35)に設けてもよい。
【0033】
更に、各吸着筒17、19の下流側には、両吸着筒17、19間を連通する連通路53と、連通路53に設けられて両吸着筒17、19間の圧力を調節する二方弁(パージ弁)55と、その両端に設けられた径が同一のオリフィス57、59と、酸素濃縮ガスの逆流を防止する一対の逆止弁61、63とが設けられている。また、それらの流路が合流する下流側には、酸素濃縮ガスを溜める製品タンク65と、酸素濃縮ガスの圧力を調節する圧力調整器(レギュレータ)67と、酸素濃縮ガスの流量を設定する流量設定器69とが設けられ、加湿器71を介して酸素濃縮ガスを外部に供給する酸素出口73に接続されている。
【0034】
なお、前記酸素濃縮器1には、酸素濃縮器1の動作を制御するために、周知のマイクロコンピュータを主要部とする電子制御装置75が配置されている。
従って、図2に示す様に、この電子制御装置75により、各種のスイッチ77やセンサ(例えば酸素センサ79)からの信号に基づいて、コンプレッサ9や各電磁弁13、15、37、39、55などの動作を制御して、酸素濃縮やパージ等を行うようにしている。
【0035】
b)次に、本実施例の酸素濃縮器1の動作について説明する。
・本実施例の酸素濃縮器1では、基本的に、第1吸着筒17及び第2吸着筒19における加圧・減圧を交互に繰り返すことにより、酸素の濃縮及び吸着剤の再生を行う。
【0036】
例えば第1吸着筒17に関しては、第1給気弁13を開くとともに第1排気弁37を閉じ、コンプレッサ9により第1吸着筒17に圧縮空気を送りこみ、吸着剤に窒素を吸着させて酸素を濃縮する(吸着工程)。一方、第2吸着筒19に関しては、第2給気弁15を閉じるとともに第2排気弁39を開き、第2吸着筒19を大気側に接続し、吸着剤に吸着した窒素が減圧とともに排出されるようにする(再生工程)。
【0037】
そして、この吸着工程と再生工程とを、各両吸着筒17、19において、所定時間毎に交互に切り換えるようにする。
この様にして、第1、第2吸着筒17、19により、加圧時には酸素だけを抽出し、その酸素濃縮ガスを、下流の製品タンク65、圧力調整器69、流量設定器69、加湿器71、酸素出口73を介して、外部(従って患者)に供給する。
【0038】
・この動作を、図3のタイミングチャートを使用して詳細に説明する。
第1吸着筒17に圧縮空気を供給する際に、例えば時刻t1にて、第1給気弁13をON(開)とし、もう一方の第2吸着筒19から窒素を大気に放出するために、第2給気弁15をOFF(閉)とする。逆に、第2吸着筒19に圧縮空気を供給する際には、例えば時刻t6にて、第2給気弁15をON(開)とし、第1吸着筒17から窒素を大気に放出するために、第1給気弁13をOFF(閉)とする。
【0039】
その時には、第1給気弁13又は第2給気弁15のON(開)のタイミングから、それぞれ数秒間程度遅らせて、例えば時刻t3又は時刻t8にて、第2排気弁39又は第1排気弁37のON(開)の動作を行う。
【0040】
・特に、本実施例では、両給気弁13、15及び両排気弁37、39として常閉弁を使用しているので、酸素濃縮装置1の運転を停止した場合、詳しくは、コンプレッサ9等を停止して、吸着工程や脱着工程の動作を中止した場合には、両給気弁13、15と両排気弁37、39の通電も停止されて閉弁する。
【0041】
つまり、酸素濃縮装置1の運転を停止した場合には、圧縮空気を吸着筒17、19に供給する流路と、吸着筒17、19側からの排気の流路が閉鎖され、配管29、31内は密閉状態となる。なお、吸着筒17、19の下流側(製品ガスが排出される側)には、酸素濃縮ガスの製品タンク65側からの逆流を防ぐ逆止弁61、63が配置されているので、吸着筒17、19の下流側も密閉されている。
【0042】
この吸着筒17、19が外気と遮断された状態で酸素濃縮装置1を停止しておくと、運転中に高温となった吸着剤の温度は低下するが、吸着剤の低温でより多くの窒素を吸着するという特性により、吸着筒17、19内の圧力が大気圧に対し負圧状態に維持され、そのままでは、吸着筒17、19入口付近の吸湿剤に残留している水蒸気が、吸着筒17、19内全域に拡散して、吸着剤全体に水蒸気が吸着されてしまう。
【0043】
そこで、本実施例では、上述したように逆止弁46、59を設けることにより、吸着筒17、19内が負圧になった場合には、逆止弁49、51が自動的に開いて、外気を配管29、39内(従って吸着筒17、19内)に導入するようにしている。これによって、吸着筒17、19内が負圧になることを防止できる。
【0044】
つまり、本実施例では、酸素濃縮装置1の運転の停止により、吸着筒17、19が外気から遮断された状態で、吸着剤の温度が低下し、それによって吸着筒17、19内が負圧状態になった場合には、逆止弁49、51が開いて、外気を導入するので、吸着筒17、19内が負圧になることを防止できる。
【0045】
これにより、吸湿剤に残留している水蒸気が拡散して吸着剤全体に水蒸気が吸着されることを防止できるので、吸着剤の吸着性能を低下できる。その結果、酸素濃縮装置1の性能の低下(発生酸素濃度の低下及び消費電力の増加)を防止できる。
【0046】
また、本実施例では、両給気弁13、15と両排気弁37、39は常閉弁であるので、運転の停止中に、外気中の水蒸気が吸着筒17、19内に侵入して、吸着剤が劣化することを抑制できる。
【実施例2】
【0047】
次に、実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
図4に示す様に、本実施例の酸素濃縮装置81は、前記実施例1と同様に、電子制御装置83、コンプレッサ85、第1、第2給気弁87、89、第1、第2排気弁91、93、第1、第2吸着筒95、97等を備えているが、前記実施例1の様な第1、第2逆止弁を備えていない。
【0048】
特に本実施例では、運転停止中にも、電子制御装置83を駆動できるバッテリ99を備えており、運転停止中に、電子制御装置83によって、下記の制御を行う。
つまり、図5に示す様に、ステップ(S)100にて、例えば所定のスイッチによって運転停止の指示があったと判断された場合には、ステップ110にて、コンプレッサ85の停止、両給気弁87、89、両排気弁91、93への通電の停止などの運転の停止の処理を行う。
【0049】
この状態では、吸着筒95、97が外気から遮断されて、上述した様に吸着筒95、97内が負圧になるので、本実施例では、ステップ120にて、運転停止から所定時間が経過したか否かを判断し(又は定期的に)、一時的に両排気弁91、93に通電し、両吸着筒95、97内に外気を導入して負圧にしないようにしている。
【0050】
これにより、前記実施例1と同様な効果を奏する。
なお、両排気弁91、93を駆動する際には、装置81の電源をONして電力を供給してもよいが、バッテリ99から電力を供給してもよい。また、運転停止から所定時間だけではなく、その後、所定時間毎(或いは設定時間毎)に、一時的に両排気弁91、93を開状態にすることが好ましい。更に、吸着筒95、97内の圧力を圧力センサで検出し、負圧を検知した場合に、両排気弁91、93を開状態にしてもよい。
【0051】
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】実施例1の酸素濃縮装置の基本構成を示す説明図である。
【図2】実施例1の酸素濃縮装置の電子制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】実施例1の電子制御装置にて行われる処理を示すタイミングチャートである。
【図4】実施例2の酸素濃縮装置の基本構成を示す説明図である。
【図5】実施例2の電子制御装置にて行われる処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
1、81…酸素濃縮装置
9、85…コンプレッサ
13、87…第1給気弁
15、89…第2給気弁
17、95…第1吸着筒
19、97…第2吸着筒
29、31…配管
37、91…第1排気弁
39、93…第2排気弁
49…第1逆止弁
51…第2逆止弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒素ガスを選択的に吸着させる吸着剤が充填された吸着床に、加圧された外部空気を供給する加圧吸着工程と、前記吸着剤に吸着された窒素ガスを脱着する減圧脱着工程と、を繰り返す運転により、酸素濃縮ガスを生成する圧力変動吸着式の酸素濃縮装置であって、
前記酸素濃縮装置の運転を停止した状態において、前記吸着床と外気とを遮断する遮断手段と、
前記遮断手段によって前記吸着床と外気とが遮断された状態において、前記吸着床が大気に対して減圧状態になることを防止する減圧防止手段と、
を備えたことを特徴とする酸素濃縮装置。
【請求項2】
前記減圧防止手段は、前記遮断手段により遮断された経路とは別の経路にて、前記吸着床に大気を導入する手段であることを特徴とする請求項1に記載の酸素濃縮装置。
【請求項3】
前記減圧防止手段は、前記酸素濃縮装置に外部空気を導入する外部空気供給部と前記吸着床との間の配管に接続された逆止弁であることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸素濃縮装置。
【請求項4】
窒素ガスを選択的に吸着させる吸着剤が充填された吸着床に、加圧された外部空気を供給する加圧吸着工程と、前記吸着剤に吸着された窒素ガスを脱着する減圧脱着工程と、を繰り返す運転により、酸素濃縮ガスを生成する圧力変動吸着式の酸素濃縮装置であって、
前記酸素濃縮装置の運転を停止した状態において、前記吸着床と外気とを遮断する遮断手段を備え、
前記遮断手段によって前記吸着床と外気とが遮断された場合に、前記遮断手段による遮断を一時的に解除して、前記吸着床が大気に対して減圧状態になることを防止することを特徴とする酸素濃縮装置。
【請求項5】
前記遮断手段は、無通電時に閉となり電磁弁であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の酸素濃縮装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−119069(P2009−119069A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−297133(P2007−297133)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】