説明

重合体を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子

【課題】正孔注入性の優れた重合体を用いた経時で安定であり、更には製造プロセスの簡素化、大画面化、及び素子性能の向上した有機EL素子を提供する。
【解決手段】下記一般式[1]で表されるモノマーをプロトン酸で処理し、酸化重合により製造されてなるか、または下記一般式[1]で表されるモノマーを酸化重合し、プロトン酸で処理することで製造されてなる重合体が該正孔輸送層及び/又は正孔注入層に含有される有機エレクトロルミネッセンス素子。一般式[1]


(式中、R1〜R18は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン基、ヒドロキシル基、アミノ基等の置換基を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機エレクトロルミネッセンス素子に関し、詳しくは正孔注入層及び/又は正孔輸送層に特定の重合体が使用され、発光層には特定の低分子材料を用いることによって作製された有機エレクトロルミネッセンス素子に関するものである。
【0002】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、フラットパネルディスプレイ等の平面発光体、複写機、プリンター、液晶ディスプレイのバックライト又は計器類等の光源、表示板、標識灯等に利用できる。
【背景技術】
【0003】
有機材料を使用したエレクトロルミネッセンス素子(以下、単に「有機EL素子」と略す場合がある。)は、固体発光型の安価な大面積フルカラー表示素子(発光素子) としての用途が有望視され、多くの開発が行われている。一般に、有機EL素子は、陰極と陽極との間に発光層を有する構成であり、陰極と陽極との間に電界を印加すると、発光層に陰極側から電子が注入され、陽極側から正孔が注入される。
この際に、有機EL素子で用いる発光層用材料の分子構造や分子の集合状態が特定の状態である場合に、前記注入された電子と正孔とが即座に結合せず、特別の励起状態として一定の時間保持される。そのため、通常の状態である基底状態と比較して分子の総エネルギーは、励起エネルギー分だけ増加する。この特別な励起状態を保持している電子と正孔との対を励起子(エキシトン)と呼ぶ。そして、前記保持された一定の時間経過後に励起子が崩壊して電子と正孔とが結合すると、増加していた励起エネルギー分が外部に熱や光として放出される。
【0004】
この光放出は、発光層付近においてなされ、前記励起エネルギー分の内の光放出する割合は、有機EL材料の分子構造や分子の集合状態によって大きく影響される。さらに、このような有機EL素子において、高い発光を得るためには、電子または正孔のキャリア輸送性の異なる有機材料で構成される有機層を、発光層と、陰極および/または陽極との間に積層する素子構造が有効であることも判っている。
有機EL素子は、Tangらの報告以来(非特許文献1)、低電圧駆動や高効率化を目指して様々な提案がされてきている。無機材料の発光ダイオードと同様に、界面や閉じ込め層でのキャリアの効果的な再結合を狙った正孔注入層/正孔輸送層/ 発光・電子輸送層や、正孔注入層/正孔輸送層/ 発光層/ 電子輸送層などの積層構造は良く知られており、他には1層で正孔輸送層と正孔注入層を兼ねる積層構造など様々な工夫が報告されている。(非特許文献2〜4)また、陽極・陰極からのキャリア注入障壁の低減は、低電圧駆動のために非常に重要であり、電極と有機層界面へのバッファ層(キャリア注入層)の挿入が広く行われている。一般に陽極に用いられるITOと正孔輸送層とのバッファ層(正孔注入層)としては、銅フタロシアニン(非特許文献5)が良く知られている。
【0005】
正孔輸送層の製膜方法として、電解重合法がある。この方法は、モノマー、電解質および水素受容体をプロピレンカーボネートのような溶媒に溶かし、作用電極としてITOのガラス電極、対極に白金、参照極にSCEを使用して、2.0V程度の電位で重合を行い、ITO電極上に導電性高分子膜を作製する方法である。モノマーにN,N'-ジフェニルベンジジン、電解質にテトラーn―ブチルアンモニウムテトラフルオロボレート、水素受容体に2,6−ルチジンを用いた重合膜を用いた電界発光素子を報告している。(特許文献1)この重合膜の特徴としては、m,m'-ジメチルテトラフェニルベンジジン(TPD)を蒸着した膜と比べて、電界発光素子の耐熱性が向上している。
【0006】
このように、正孔注入層を方法として、銅フタロシアニンのような有機化合物の蒸着法、導電性高分子の電解重合法がある。しかしながら、有機化合物の蒸着操作を伴う有機電界発光素子作成は、生産性に問題がある。さらに、電解重合法においては、製膜できる画面の大きさに限度がある。そこで、製造工程の簡略化、大面積化の観点から、塗布方式の素子作成が望ましい。
【0007】
生産性に有利な塗布方式の有機電界発光素子作成で使用される有機電界発光素子の正孔注入材料としては、PEDOT・PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシ)−2,5−チオフェン・ポリスチレンスルホン酸)が一般的に知られている。この導電性ポリマーは水溶性であり、塗布により良質な膜を形成することができるが、PEDOT・PSSは水を吸着する性質をもつことから、大気中の水分によって素子が劣化する恐れがある。さらに、イオン性の不純物が入りやすく、イオンによる信頼性(寿命)低下の懸念があり、代替材料の開発が必要となっている。そこで、正孔注入材料としては、大気中の水分による劣化が少なく、イオン性の不純物が入りにくい、つまり、疎水性の塗布材料が強く望まれている。
有機EL素子用材料には大きく分けて、ポリマー材料(本発明の重合体を含む)と低分子材料が挙げられる。ポリマー材料は、生産性に優れる塗布方式での製膜が可能な一方で、材料に分子量分布を有し、また、精製が困難で高純度化しづらい等の欠点があり、有機EL素子の発光層に用いた場合、発光色の色純度や発光効率、輝度や輝度半減時間に問題があった。一方、低分子材料は公知の精製方法で高純度化が容易であり、有機EL素子の発光層に用いた場合ではポリマーに比べて発光色の色純度や発光効率、輝度に優れ、輝度半減時間も長いことが長所としてあげられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002-151256号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】アプライド・フィジクス・レターズ、51巻、913ページ、1987年
【非特許文献2】宮田清蔵監修: 有機EL素子とその工業化最前線、エヌ・ティー・エス(1998 )
【非特許文献3】城戸淳二、遠藤潤、沖田荘志、森浩一、横井啓、松本敏男、第4 9 回応用物理学会関連連合講演会、27p-YL−3、P.1308(2002)
【非特許文献4】K.Kato、K.Suzuku、K.Shinbo、F.Kaneko、N.Tsuboi、S.Kobayashi、T.Tadokoro and S.Ohato,Jpn.J.Appl.Phys.,42(2003)p.2526-2529
【非特許文献5】S.A.Vanslyke、C.H.Chen and C.W.Tang、Appl.Phys.Lett.,69(15)(1996)p2160-2162
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上記課題を解決するために、正孔注入性および正孔輸送性の優れた重合体を用いた経時で安定な有機EL素子を提供することであり、更には製造プロセスの簡素化、大画面化、及び素子性能(発光輝度、発光効率、素子寿命)の向上した有機EL素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明は、少なくとも発光層を含む一層以上の有機層を陽極と陰極で構成された一対の電極で挟持してなる有機EL素子において、該有機層が正孔輸送層及び/又は正孔注入層を有するエレクトロルミネッセンス素子であって、下記一般式[1]で表されるモノマーをプロトン酸で処理し、酸化重合により製造されてなるか、または下記一般式[1]で表されるモノマーを酸化重合し、プロトン酸で処理することで製造されてなる重合体が該正孔輸送層及び/又は正孔注入層に含有される有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【0012】
一般式[1]
【化1】

【0013】
(式中、R1〜R18は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアシルオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルファニル基、置換基を有してもよいアリールスルファニル基、置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいアリールスルフィニル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいカルバモイル基、置換基を有してもよいスルファモイル基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいホスフィノイル基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、ハロゲン基、ニトロ基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、または、シアノ基を表す。ここで、R1〜R5のうち少なくとも一つは水素原子であり、かつR6〜R10のうち少なくとも一つは水素原子である。)
【0014】
また、本発明は、前記発光層がアントラセンまたはその誘導体、チオフェンまたはその誘導体、ビスインドールまたはその誘導体、ジベンゾシクロへプタンまたはその誘導体、ペリレンまたはその誘導体、ピレンまたはその誘導体、ジケトピロロピロールまたはその誘導体、イリジウム錯体、白金錯体から選ばれる少なくとも一種を含む上記有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【0015】
また、本発明は、前記正孔輸送層及び/又は正孔注入層を湿式製膜法で形成し、前記発光層を乾式成膜法で形成する上記有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【発明の効果】
【0016】
前記手段を用いることにより、有機EL素子に関して、製造プロセスの簡素化、大画面化、及び素子性能の向上を提供することを目的とする。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明における一般式[1]で表されるモノマーについて説明する。
【0018】
一般式[1]
【化2】

【0019】
(式中、R1〜R18は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアシルオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルファニル基、置換基を有してもよいアリールスルファニル基、置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいアリールスルフィニル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいカルバモイル基、置換基を有してもよいスルファモイル基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいホスフィノイル基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、ハロゲン基、ニトロ基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、または、シアノ基を表す。ここで、R1〜R5のうち少なくとも一つは水素原子であり、かつR6〜R10のうち少なくとも一つは水素原子である。)
【0020】
以下に一般式[1]のR1〜R18に関して詳細に説明する。
【0021】
置換基を有してもよいアルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1−エチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基、3−ニトロフェナシル基等の鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。さらに、環状のアルキル基(シクロアルキル環)として、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基がある。
【0022】
置換基を有してもよいアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、より好ましくは炭素数6〜14のアリール基である。フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−、m−、およびp−トリル基、キシリル基、o−、m−、およびp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基等が挙げられる。
【0023】
置換基を有してもよいアルケニル基としては、炭素数2〜10のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、スチリル基等が挙げられる。
【0024】
置換基を有してもよいアルキニル基としては、炭素数2〜10のアルキニル基が好ましく、例えば、エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基等が挙げられる。
【0025】
置換基を有してもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜20のアルコキシ基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基である。例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ヘキシルオキシキ、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、エトキシカルボニルメチル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ基、アミノカルボニルメチルオキシ基、N,N−ジブチルアミノカルボニルメチルオキシ基、N−メチルアミノカルボニルメチルオキシ基、N−エチルアミノカルボニルメチルオキシ基、N−オクチルアミノカルボニルメチルオキシ基、N−メチル−N−ベンジルアミノカルボニルメチルオキシ基、ベンジルオキシ基、シアノメチルオキシ基等が挙げられる。
【0026】
置換基を有してもよいアリールオキシ基としては、炭素数6〜30のアリールオキシ基が好ましく、より好ましくは炭素数6〜14のアリールオキシ基である。例えば、フェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、2−クロロフェニルオキシ基、2−メチルフェニルオキシ基、2−メトキシフェニルオキシ基、2−ブトキシフェニルオキシ基、3−クロロフェニルオキシ基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシ基、3−シアノフェニルオキシ基、3−ニトロフェニルオキシ基、4−フルオロフェニルオキシ基、4−シアノフェニルオキシ基、4−メトキシフェニルオキシ基、4−ジメチルアミノフェニルオキシ基、4−メチルスルファニルフェニルオキシ基、4−フェニルスルファニルフェニルオキシ基等が挙げられる。
【0027】
置換基を有してもよいアシルオキシ基としては、炭素数2〜20のアシルオキシ基が好ましく、例えば、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、トリフルオロメチルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、1−ナフチルカルボニルオキシ基、2−ナフチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0028】
置換基を有してもよいアルキルスルファニル基としては、炭素数1〜20のアルキルスルファニル基が好ましく、例えば、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、プロピルスルファニル基、イソプロピルスルファニル基、ブチルスルファニル基、ヘキシルスルファニル基、シクロヘキシルスルファニル基、オクチルスルファニル基、2−エチルヘキシルスルファニル基、デカノイルスルファニル基、ドデカノイルスルファニル基、オクタデカノイルスルファニル基、シアノメチルスルファニル基、メトキシメチルスルファニル基等が挙げられる。
【0029】
置換基を有してもよいアリールスルファニル基としては、炭素数6〜30のアリールスルファニル基が好ましく、より好ましくは炭素数6〜14のアリールスルファニル基である。例えば、フェニルスルファニル基、1−ナフチルスルファニル基、2−ナフチルスルファニル基、2−クロロフェニルスルファニル基、2−メチルフェニルスルファニル基、2−メトキシフェニルスルファニル基、2−ブトキシフェニルスルファニル基、3−クロロフェニルスルファニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルファニル基、3−シアノフェニルスルファニル基、3−ニトロフェニルスルファニル基、4−フルオロフェニルスルファニル基、4−シアノフェニルスルファニル基、4−メトキシフェニルスルファニル基、4−メチルスルファニルフェニルスルファニル基、4−フェニルスルファニルフェニルスルファニル基、4−ジメチルアミノフェニルスルファニル基等が挙げられる。
【0030】
置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基としては、炭素数1〜20のアルキルスルフィニル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基である。例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、ヘキシルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、オクチルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、デカノイルスルフィニル基、ドデカノイルスルフィニル基、オクタデカノイルスルフィニル基、シアノメチルスルフィニル基、メトキシメチルスルフィニル基等が挙げられる。
【0031】
置換基を有してもよいアリールスルフィニル基としては、炭素数6〜30のアリールスルフィニル基が好ましく、より好ましくは炭素数6〜14のアリールスルフィニル基である。例えば、フェニルスルフィニル基、1−ナフチルスルフィニル基、2−ナフチルスルフィニル基、2−クロロフェニルスルフィニル基、2−メチルフェニルスルフィニル基、2−メトキシフェニルスルフィニル基、2−ブトキシフェニルスルフィニル基、3−クロロフェニルスルフィニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルフィニル基、3−シアノフェニルスルフィニル基、3−ニトロフェニルスルフィニル基、4−フルオロフェニルスルフィニル基、4−シアノフェニルスルフィニル基、4−メトキシフェニルスルフィニル基、4−メチルスルファニルフェニルスルフィニル基、4−フェニルスルファニルフェニルスルフィニル基、4−ジメチルアミノフェニルスルフィニル基等が挙げられる。
【0032】
置換基を有してもよいアルキルスルホニル基としては、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6のアルキルスルホニル基である。例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、デカノイルスルホニル基、ドデカノイルスルホニル基、オクタデカノイルスルホニル基、シアノメチルスルホニル基、メトキシメチルスルホニル基等が挙げられる。
【0033】
置換基を有してもよいアリールスルホニル基としては、炭素数6〜30のアリールスルホニル基が好ましく、より好ましくは炭素数6〜14のアリールスルホニル基である。例えば、フェニルスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、2−クロロフェニルスルホニル基、2−メチルフェニルスルホニル基、2−メトキシフェニルスルホニル基、2−ブトキシフェニルスルホニル基、3−クロロフェニルスルホニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルホニル基、3−シアノフェニルスルホニル基、3−ニトロフェニルスルホニル基、4−フルオロフェニルスルホニル基、4−シアノフェニルスルホニル基、4−メトキシフェニルスルホニル基、4−メチルスルファニルフェニルスルホニル基、4−フェニルスルファニルフェニルスルホニル基、4−ジメチルアミノフェニルスルホニル基等が挙げられる。
【0034】
置換基を有してもよいアシル基としては、炭素数2〜20のアシル基が好ましく、例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、トリフルオロメチルカルボニル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、4−メチルスルファニルベンゾイル基、4−フェニルスルファニルベンゾイル基、4−ジメチルアミノベンゾイル基、4−ジエチルアミノベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、2−ブトキシベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、3−トリフルオロメチルベンゾイル基、3−シアノベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基等が挙げられる。
【0035】
置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましく、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、トリフルオロメチルオキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基、2−メチルフェニルオキシカルボニル基、2−メトキシフェニルオキシカルボニル基、2−ブトキシフェニルオキシカルボニル基、3−クロロフェニルオキシカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシカルボニル基、3−シアノフェニルオキシカルボニル基、3−ニトロフェニルオキシカルボニル基、4−フルオロフェニルオキシカルボニル基、4−シアノフェニルオキシカルボニル基、4−メトキシフェニルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0036】
置換基を有してもよいカルバモイル基としては、総炭素数1〜20のカルバモイル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6のカルバモイル基である。例えば、N−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N−プロピルカルバモイル基、N−ブチルカルバモイル基、N−ヘキシルカルバモイル基、N−シクロヘキシルカルバモイル基、N−オクチルカルバモイル基、N−デシルカルバモイル基、N−オクタデシルカルバモイル基、N−アセチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−2−メチルフェニルカルバモイル基、N−2−クロロフェニルカルバモイル基、N−2−イソプロポキシフェニルカルバモイル基、N−2−(2−エチルヘキシル)フェニルカルバモイル基、N−3−クロロフェニルカルバモイル基、N−3−ニトロフェニルカルバモイル基、N−3−シアノフェニルカルバモイル基、N−4−メトキシフェニルカルバモイル基、N−4−シアノフェニルカルバモイル基、N−4−メチルスルファニルフェニルカルバモイル基、N−4−フェニルスルファニルフェニルカルバモイル基、N−メチル−N−フェニルカルバモイル基、N、N−ジメチルカルバモイル基、N、N−ジブチルカルバモイル基、N、N−ジフェニルカルバモイル基等が挙げられる。
【0037】
置換基を有してもよいスルファモイル基としては、総炭素数0〜20のスルファモイル基が好ましく、例えば、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N、N−ジアルキルスルファモイル基、N、N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモオイル基等が挙げられる。より具体的には、N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N−プロピルスルファモイル基、N−ブチルスルファモイル基、N−ヘキシルスルファモイル基、N−シクロヘキシルスルファモイル基、N−オクチルスルファモイル基、N−2−エチルヘキシルスルファモイル基、N−デシルスルファモイル基、N−オクタデシルスルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基、N−2−メチルフェニルスルファモイル基、N−2−クロロフェニルスルファモイル基、N−2−メトキシフェニルスルファモイル基、N−2−イソプロポキシフェニルスルファモイル基、N−3−クロロフェニルスルファモイル基、N−3−ニトロフェニルスルファモイル基、N−3−シアノフェニルスルファモイル基、N−4−メトキシフェニルスルファモイル基、N−4−シアノフェニルスルファモイル基、N−4−ジメチルアミノフェニルスルファモイル基、N−4−メチルスルファニルフェニルスルファモイル基、N−4−フェニルスルファニルフェニルスルファモイル基、N−メチル−N−フェニルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N,N−ジブチルスルファモイル基、N,N−ジフェニルスルファモイル基等が挙げられる。
【0038】
置換基を有してもよいアミノ基としては、総炭素数0〜40のアミノ基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜14のアミノ基である。例えば、−NH2,N−アルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N−アシルアミノ基、N−スルホニルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、N,N−ジスルホニルアミノ基等が挙げられる。より具体的には、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−プロピルアミノ基、N−イソプロピルアミノ基、N−ブチルアミノ基、N−tert−ブチルアミノ基、N−ヘキシルアミノ基、N−シクロヘキシルアミノ基、N−オクチルアミノ基、N−2−エチルヘキシルアミノ基、N−デシルアミノ基、N−オクタデシルアミノ基、N−ベンジルアミノ基、N−フェニルアミノ基、N−2−メチルフェニルアミノ基、N−2−クロロフェニルアミノ基、N−2−メトキシフェニルアミノ基、N−2−イソプロポキシフェニルアミノ基、N−2−(2−エチルヘキシル)フェニルアミノ基、N−3−クロロフェニルアミノ基、N−3−ニトロフェニルアミノ基、N−3−シアノフェニルアミノ基、N−3−トリフルオロメチルフェニルアミノ基、N−4−メトキシフェニルアミノ基、N−4−シアノフェニルアミノ基、N−4−トリフルオロメチルフェニルアミノ基、N−4−メチルスルファニルフェニルアミノ基、N−4−フェニルスルファニルフェニルアミノ基、N−4−ジメチルアミノフェニルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジアセチルアミノ基、N,N−ジベンゾイルアミノ基、N,N−(ジブチルカルボニル)アミノ基、N,N−(ジメチルスルホニル)アミノ基、N,N−(ジエチルスルホニル)アミノ基、N,N−(ジブチルスルホニル)アミノ基、N,N−(ジフェニルスルホニル)アミノ基等が挙げられる。
【0039】
置換基を有してもよいホスフィノイル基としては、総炭素数2〜50のホスフィノイル基が好ましく、例えば、ジメチルホスフィノイル基、ジエチルホスフィノイル基、ジプロピルホスフィノイル基、ジフェニルホスフィノイル基、ジメトキシホスフィノイル基、ジエトキシホスフィノイル基、ジベンゾイルホスフィノイル基、ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフィノイル基等が挙げられる。
【0040】
置換基を有してもよいヘテロアリール基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、芳香族あるいは脂肪族の複素環が好ましい。例えば、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、ピロリル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、チオキサントリル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェナジニル基、ベンゾフリル基、イソチアゾリル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、ピラニル基等が挙げられる。
ハロゲン基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0041】
さらに、前述した置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアシルオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルファニル基、置換基を有してもよいアリールスルファニル基、置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいアリールスルフィニル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいカルバモイル基、置換基を有してもよいスルファモイル基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいホスフィノイル基および置換基を有してもよいヘテロアリール基の水素原子はさらに他の置換基で置換されていても良い。
【0042】
そのような置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等のアリールオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基等のアシル基、メチルスルファニル基、tert−ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基、フェニルスルファニル基、p−トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基、メチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基等のジアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、p−トリルアミノ基等のアリールアミノ基、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基等のアルキル基、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基等のアリール基等の他、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、ホスホノ基、トリメチルアンモニウミル基、ジメチルスルホニウミル基、トリフェニルフェナシルホスホニウミル基等が挙げられる。
一般式[1]において、R1〜R18として、好ましくは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、ハロゲン基、ニトロ基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、水素原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、または、アリール基であり、最も好ましくは水素原子である。
以下、表1に本発明で好ましく使用されるモノマーの代表例を示すが、本発明は、なんらこれらに限定されるものではない。
【0043】
表1
【表1】

【0044】
【表1】

【0045】
【表1】

【0046】
ここで、本発明における重合体の合成方法について説明する。
まず、プロトン酸による処理について説明する。プロトン酸による処理とは、プロトン酸をドーピング剤としてドープすることによって重合体に導電性をもたせるものである。これにより、推測ではあるが、下記に示すユニットように、重合体のアミン部分がプロトン化され、導電性が発現するものである。
【0047】
【化3】

【0048】
プロトン酸で処理する工程としては、先にモノマーをプロトン酸処理し、重合を行う方法と、モノマーを重合してからプロトン酸処理を行う方法のどちらもとりうるが、工程の短縮を考えて、先にモノマーをプロトン酸処理し、重合を行う方法が好ましい。
【0049】
本発明において用いるプロトン酸は、例えば、有機カルボン酸又はフェノール類である。このようなプロトン酸としては、脂肪族、芳香族、芳香脂肪族、脂環式等の一又は多塩基酸を含む。このようなプロトン酸は、水酸基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アミノ基等を有していてもよい。従って、かかるプロトン酸の具体例として、例えば、酢酸、n−酪酸、ペンタデカフルオロオクタン酸、ペンタフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、モノフルオロ酢酸、モノブロモ酢酸、モノクロロ酢酸、シアノ酢酸、アセチル酢酸、ニトロ酢酸、トリフェニル酢酸、ギ酸、シュウ酸、安息香酸、m−ブロモ安息香酸、p−クロロ安息香酸、m−クロロ安息香酸、p−クロロ安息香酸、o−ニトロ安息香酸、2,4−ジニトロ安息香酸、3,5−ジニトロ安息香酸、ピクリン酸、o−クロロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、トリメチル安息香酸、p−シアノ安息香酸、m−シアノ安息香酸、チモールブルー、サリチル酸、5−アミノサリチル酸、o−メトキシ安息香酸、1,6−ジニトロ−4−クロロフェノール、2,6−ジニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、p−オキシ安息香酸、ブロモフェノールブルー、マンデル酸、フタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、α−アラニン、β−アラニン、グリシン、グリコール酸、チオグリコール酸、エチレンジアミン−N,N'−二酢酸、エチレンジアミン−N,N,N',N'−四酢酸等を挙げることができる。
【0050】
また、プロトン酸は、スルホン酸又は硫酸基を有するものであつてもよい。このようなプロトン酸としては、例えば、アミノナフトールスルホン酸、メタニル酸、スルファニル酸、アリルスルホン酸、ラウリル硫酸、キシレンスルホン酸、クロロベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−プロパンスルホン酸、1−ブタンスルホン酸、1−ヘキサンスルホン酸、1−ヘプタンスルホン酸、1−オクタンスルホン酸、1−ノナンスルホン酸、1−デカンスルホン酸、1−ドデカンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、スチレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、プロピルベンゼンスルホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、ペンチルベンゼンスルホン酸、ヘキシルベンゼンスルホン酸、ヘプチルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ノニルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ウンデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ペンタデシルベンゼンスルホン酸、オクタデシルベンゼンスルホン酸、ジエチルベンゼンスルホン酸、ジプロピルベンゼンスルホン酸、ジブチルベンゼンスルホン酸、メチルナフタレンスルホン酸、エチルナフタレンスルホン酸、プロピルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、ペンチルナフタレンスルホン酸、ヘキシルナフタレンスルホン酸、ヘプチルナフタレンスルホン酸、オクチルナフタレンスルホン酸、ノニルナフタレンスルホン酸、デシルナフタレンスルホン酸、ウンデシルナフタレンスルホン酸、ドデシルナフタレンスルホン酸、ペンタデシルナフタレンスルホン酸、オクタデシルナフタレンスルホン酸、ジメチルナフタレンスルホン酸、ジエチルナフタレンスルホン酸、ジプロピルナフタレンスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸、ジペンチルナフタレンスルホン酸、ジヘキシルナフタレンスルホン酸、ジヘプチルナフタレンスルホン酸、ジオクチルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、トリメチルナフタレンスルホン酸、トリエチルナフタレンスルホン酸、トリプロピルナフタレンスルホン酸、トリブチルナフタレンスルホン酸、カンフアースルホン酸、アクリルアミド−t−ブチルスルホン酸等を挙げることができる。
【0051】
また、本発明においては、分子内に2つ以上のスルホン酸基を有する多官能有機スルホン酸も用いることができる。このような多官能有機スルホン酸としては、例えば、エタンジスルホン酸、プロパンジスルホン酸、ブタンジスルホン酸、ペンタンジスルホン酸、ヘキサンジスルホン酸、ヘプタンジスルホン酸、オクタンジスルホン酸、ノナンジスルホン酸、デカンジスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、トルエンジスルホン酸、エチルベンゼンジスルホン酸、プロピルベンゼンジスルホン酸、ブチルベンゼンジスルホン酸、ジメチルベンゼンジスルホン酸、ジエチルベンゼンジスルホン酸、ジプロピルベンゼンジスルホン酸、ジブチルベンゼンジスルホン酸、メチルナフタレンジスルホン酸、エチルナフタレンジスルホン酸、プロピルナフタレンジスルホン酸、ブチルナフタレンジスルホン酸、ペンチルナフタレンジスルホン酸、ヘキシルナフタレンジスルホン酸、ヘプチルナフタレンジスルホン酸、オクチルナフタレンジスルホン酸、ノニルナフタレンジスルホン酸、ジメチルナフタレンジスルホン酸、ジエチルナフタレンジスルホン酸、ジプロピルナフタレンジスルホン酸、ジブチルナフタレンジスルホン酸、ナフタレントリスルホン酸、ナフタレンテトラスルホン酸、アントラセンジスルホン酸、アントラキノンジスルホン酸、フェナントレンジスルホン酸、フルオレノンジスルホン酸、カルバゾールジスルホン酸、ジフエニルメタンジスルホン酸、ビフエニルジスルホン酸、ターフェニルジスルホン酸、ターフェニルトリスルホン酸、ナフタレンスルホン酸−ホルマリン縮合物、フェナントレンスルホン酸−ホルマリン縮合物、アントラセンスルホン酸−ホルマリン縮合物、フルオレンスルホン酸−ホルマリン縮合物、カルバゾールスルホン酸−ホルマリン縮合物等を挙げることができる。芳香環におけるスルホン酸基の位置は任意である。
【0052】
更に、本発明において、プロトン酸はポリマー酸であってもよい。このようなポリマー酸としては、例えば、ポリビニルスルホン酸、ポリビニル硫酸、ポリスチレンスルホン酸、スルホン化スチレン−ブタジエン共重合体、ポリアリルスルホン酸、ポリメタリルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリハロゲン化アクリル酸、ポリイソプレンスルホン酸、N−スルホアルキル化ポリアニリン、核スルホン化ポリアニリン等を挙げることができる。ナフイオン(米国デュポン社登録商標)として知られている含フッ素重合体も、ポリマー酸として好適に用いられる。
その中でも、プロトン酸ドーピング剤としては、アニオン系界面活性剤を用いることが好ましい。アニオン系界面活性剤としては、例えば、スルホン酸系界面活性剤、カルボン酸系界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤、又は硫酸エステル系界面活性剤を挙げることができる。
【0053】
プロトン酸ドーピング剤の中でも、アニオン系界面活性剤を用いることにより、塩酸又は硫酸などの無機酸と比べて、イオン半径が大きく嵩高いために熱などによる拡散による脱ドープが起こりにくい。また疎水性部分があるために、ドープされた重合体同士が凝集することなく有機溶剤に良分散することができる。
スルホン酸系界面活性剤は、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、ナフタレンスルホン酸塩−ホルムアルデヒド縮合物、又はスルホコハク酸ジアルキルエステル(例えば、スルホコハク酸ジ2−エチルヘキシルナトリウム)である。カルボン酸系界面活性剤は、例えば、脂肪族モノカルボン酸塩(例えば、ラウリン酸ナトリウム)又はN−アシロイルグルタミン酸塩(例えば、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム)である。リン酸エステル系界面活性剤は、例えば、リン酸アルキル塩(例えば、モノラウリルレン酸ナトリウム)である。また、硫酸エステル系界面活性剤は、例えば、硫酸アルキル塩(例えば、硫酸ドデシルナトリウム)である。これらのアニオン系界面活性剤を1種単独で、あるいは2種以上を任意に組み合わせて用いることができる。
【0054】
モノマーとプロトン酸ドーピング剤との重量比は、好ましくは1:20〜20:1、より好ましくは1:10〜10:1である。プロトン酸ドーピング剤の量がモノマーの量に対して少なくなりすぎると、重合体が良好な分散状態を得ることができずに凝集してしまい、逆に量が多すぎるとラジカル反応性化合物の相と水層との界面が分かれにくくなり、水層を除去する操作が煩雑となってしまう。
【0055】
次にモノマーの重合方法について説明する。
【0056】
重合方法としては、電解重合法、化学酸化重合法により実施することができる。工程の簡略化を考えて、重合方法は、化学酸化重合法で行うことが好ましい。
【0057】
モノマーの化学酸化重合法としては、従来公知の重合開始用酸化剤を用いることができる。具体的には、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過塩素酸カリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウム、又は塩化鉄(II)などを挙げることができ、特に過硫酸アンモニウムに代表される過硫酸類が好ましい。また、モノマーと酸化剤の重量比は、1:10〜10:1が好ましく、より好ましくは1:5〜5:1である。酸化剤の量がモノマーに対して少なすぎると、重合反応が十分に進行せず、また量が多すぎると重合反応時に副生成物が多量に生成してしまう。
【0058】
モノマーの重合時の反応温度は−20℃〜80℃が好ましく、より好ましくは−10℃〜60℃である。また、反応時間は30分〜48時間の範囲であり、常圧下で、反応混合物を撹拌させて行うことができる。また、本発明における製造方法において、平均分子量を調整するために、連鎖移動剤を添加して行うこともできる。
【0059】
また、本発明の重合体は、2種類以上のモノマーを共重合したものでもよい。
【0060】
次に有機EL素子について説明する。有機EL素子は、陽極と陰極間に一層または多層の有機層を形成した素子から構成されるが、ここで、一層型有機EL素子とは、陽極と陰極との間に発光層のみからなる素子を指す。一方、多層型有機EL素子とは、発光層の他に、発光層への正孔や電子の注入を容易にしたり、発光層内での正孔と電子との再結合を円滑に行わせたりすることを目的として、正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層、電子注入層などを積層させたものを指す。したがって、多層型有機EL素子の代表的な素子構成としては、(1)陽極/正孔注入層/発光層/陰極、(2)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極、(3)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極、(4)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極、(5)陽極/正孔注入層/発光層/正孔阻止層/電子注入層/陰極、(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子注入層/陰極、(7)陽極/発光層/正孔阻止層/電子注入層/陰極、(8)陽極/発光層/電子注入層/陰極等の多層構成で積層した素子構成が考えられる。
また、上述の各層は、各層のキャリア輸送性、キャリア注入性、発光効率を高めるなどの目的で、2種類以上の化合物で構成されていても良い。また、白色など単一の発光層では得ることが難しい発光を得る目的で、2層以上の発光層を設けてもよい。そのほかには、隣接する2層の材料が混在する状態を該2層の間に設け、明確な界面が無い状態で積層を行っても良い。
【0061】
また、上述した各有機層は、それぞれ二層以上の層構成により形成されても良く、いくつかの層が繰り返し積層されていても良い。そのような例として、近年、光取り出し効率の向上を目的に、上述の多層型有機EL素子の一部の層を多層化する「マルチ・フォトン・エミッション」と呼ばれる素子構成が提案されている。これは例えば、ガラス基板/陽極/正孔輸送層/電子輸送性発光層/電子注入層/電荷発生層/発光ユニット/陰極から構成される有機EL素子に於いて、電荷発生層と発光ユニットの部分を複数層積層するといった方法が挙げられる。
【0062】
正孔注入層および正孔輸送層は、発光層への正孔注入を助け、発光領域まで輸送する層であって、正孔移動度が大きく、イオン化エネルギーが通常5.5eV以下と小さい。このような正孔注入、輸送層としてはより低い電界強度で正孔を発光層に輸送する材料が好ましく、さらに正孔の移動度が、例えば104〜106V/cmの電界印加時に、少なくとも10-4cm2/V・sであれば好ましい。正孔注入層および正孔輸送層を構成する材料としては、陽極界面との密着性や、形成した薄膜の平滑性に優れたものが好ましい。具体的な平滑性としては、また、このような材料を多層積層させ、正孔注入効果の高い材料と正孔輸送効果の高い材料とを多層積層させた場合、それぞれに用いる材料を正孔注入材料、正孔輸送材料と呼ぶことがある。
【0063】
本発明の一般式[1]の重合体は、正孔に対して高い輸送性能をもつ化合物であり、正孔注入材料、正孔輸送材料の何れにも好適に使用することができる。さらに本発明の重合体には公知の正孔注入材料あるいは正孔輸送材料を混合しても良く、また、本発明の重合体からなる層と、公知の正孔注入材料あるいは正孔輸送材料からなる層を積層しても良い。
【0064】
このような正孔注入材料や正孔輸送材料としては、具体的には、例えばトリアゾール誘導体(米国特許3,112,197号明細書等参照)、オキサジアゾール誘導体(米国特許3,189,447号明細書等参照)、イミダゾール誘導体(特公昭37−16096号公報等参照)、ポリアリールアルカン誘導体(米国特許3,615,402号明細書、同第3,820,989号明細書、同第3,542,544号明細書、特公昭45−555号公報、同51−10983号公報、特開昭51−93224号公報、同55−17105号公報、同56−4148号公報、同55−108667号公報、同55−156953号公報、同56−36656号公報等参照)、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体(米国特許第3,180,729号明細書、同第4,278,746号明細書、特開昭55−88064号公報、同55−88065号公報、同49−105537号公報、同55−51086号公報、同56−80051号公報、同56−88141号公報、同57−45545号公報、同54−112637号公報、同55−74546号公報等参照)、フェニレンジアミン誘導体(米国特許第3,615,404号明細書、特公昭51−10105号公報、同46−3712号公報、同47−25336号公報、特開昭54−53435号公報、同54−110536号公報、同54−119925号公報等参照)、アリールアミン誘導体(米国特許第3,567,450号明細書、同第3,180,703号明細書、同第3,240,597号明細書、同第3,658,520号明細書、同第4,232,103号明細書、同第4,175,961号明細書、同第4,012,376号明細書、特公昭49−35702号公報、同39−27577号公報、特開昭55−144250号公報、同56−119132号公報、同56−22437号公報、西独特許第1,110,518号明細書等参照)、アミノ置換カルコン誘導体(米国特許第3,526,501号明細書等参照)、オキサゾール誘導体(米国特許第3,257,203号明細書等に開示のもの)、スチリルアントラセン誘導体(特開昭56−46234号公報等参照)、フルオレノン誘導体(特開昭54−110837号公報等参照)、ヒドラゾン誘導体(米国特許第3,717,462号明細書、特開昭54−59143号公報、同55−52063号公報、同55−52064号公報、同55−46760号公報、同55−85495号公報、同57−11350号公報、同57−148749号公報、特開平2−311591号公報等参照)、スチルベン誘導体(特開昭61−210363号公報、同第61−228451号公報、同61−14642号公報、同61−72255号公報、同62−47646号公報、同62−36674号公報、同62−10652号公報、同62−30255号公報、同60−93455号公報、同60−94462号公報、同60−174749号公報、同60−175052号公報等参照)、シラザン誘導体(米国特許第4,950,950号明細書)、ポリシラン系(特開平2−204996号公報)、アニリン系共重合体(特開平2−282263号公報)、特開平1−211399号公報に開示されている導電性高分子オリゴマー(特にチオフェンオリゴマー)等をあげることができる。
【0065】
正孔注入材料や正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物(特開昭63−2956965号公報)、芳香族第三級アミン化合物およびスチリルアミン化合物(米国特許第4,127,412号明細書、特開昭53−27033号公報、同54−58445号公報、同54−149634号公報、同54−64299号公報、同55−79450号公報、同55−144250号公報、同56−119132号公報、同61−295558号公報、同61−98353号公報、同63−295695号公報等参照)を用いることもできる。例えば、米国特許第5,061,569号に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有する4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル等や、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン等をあげることができる。また、正孔注入材料として銅フタロシアニンや水素フタロシアニン等のフタロシアニン誘導体も挙げられる。さらに、その他、芳香族ジメチリデン系化合物、p型Si、p型SiC等の無機化合物も正孔注入材料や正孔輸送材料として使用することができる。
【0066】
さらに、正孔注入層に使用できる材料としては、酸化モリブデン(MnOx)、酸化バナジウム(VOx)、酸化ルテニウム(RuOx)、酸化銅(CuOx)、酸化タングステン(WOx)、酸化イリジウム(IrOx)などの無機酸化物もあげられる。
【0067】
芳香族三級アミン誘導体の具体例としては、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−(4−メチルフェニル)−1,1’−フェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−(4−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−(メチルフェニル)−N,N’−(4−n−ブチルフェニル)−フェナントレン−9,10−ジアミン、N,N−ビス(4−ジ−4−トリルアミノフェニル)−4−フェニル−シクロヘキサン、N,N’−ビス(4’−ジフェニルアミノ−4−ビフェニリル)−N,N’−ジフェニルベンジジン、N,N’−ビス(4’−ジフェニルアミノ−4−フェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン、N,N’−ビス(4’−ジフェニルアミノ−4−フェニル)−N,N’−ジ(1−ナフチル)ベンジジン、N,N’−ビス(4’−フェニル(1−ナフチル)アミノ−4−フェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン、N,N’−ビス(4’−フェニル(1−ナフチル)アミノ−4−フェニル)−N,N’−ジ(1−ナフチル)ベンジジン等があげられ、これらは正孔注入材料、正孔輸送材料いずれにも使用することができる。
【0068】
正孔注入材料として、特に好ましい例を表2に示す。
【0069】
表2
【表2】



【0070】
また、本発明の化合物(有機EL素子用材料)と共に用いることが出来る正孔輸送材料としては、下記表3に示す化合物も挙げられる。
【0071】
表3
【表3】



【0072】
上に説明した正孔注入層を形成するには、上述の化合物を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法等の公知の方法により薄膜化する。正孔注入層の膜厚は、特に制限はないが、通常は5nm〜5μmである。
【0073】
一方、電子注入層には、発光層に対して優れた電子注入効果を示し、かつ陰極界面との密着性と薄膜形成性に優れた電子注入層を形成できる電子注入材料が用いられる。そのような電子注入材料の例としては、金属錯体化合物、含窒素五員環誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェノキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ペリレンテトラカルボン酸誘導体、フレオレニリデンメタン誘導体、アントロン誘導体、シロール誘導体、トリアリールホスフィンオキシド誘導体、カルシウムアセチルアセトナート、酢酸ナトリウムなどが挙げられる。また、セシウム等の金属をバソフェナントロリンにドープした無機/有機複合材料(高分子学会予稿集,第50巻,4号,660頁,2001年発行)や、第50回応用物理学関連連合講演会講演予稿集、No.3、1402頁、2003年発行記載のBCP、TPP、T5MPyTZ等も電子注入材料の例として挙げられるが、素子作成に必要な薄膜を形成し、陰極からの電子を注入できて、電子を輸送できる材料であれば、特にこれらに限定されるものではない。
【0074】
上記電子注入材料の中で好ましいものとしては、金属錯体化合物、含窒素五員環誘導体、シロール誘導体、トリアリールホスフィンオキシド誘導体が挙げられる。本発明に使用可能な好ましい金属錯体化合物としては、8−ヒドロキシキノリンまたはその誘導体の金属錯体が好適である。8−ヒドロキシキノリンまたはその誘導体の金属錯体の具体例としては、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(4−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(5−フェニル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)(2−ナフトラート)アルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)(4−シアノ−1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(4−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(5−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(2−ナフトラート)アルミニウム、ビス(5−フェニル−8−ヒドロキシキノリナート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(5−シアノ−8−ヒドロキシキノリナート)(4−シアノ−1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)クロロアルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)(o−クレゾラート)アルミニウム等のアルミニウム錯体化合物、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、トリス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、トリス(4−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、トリス(5−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、トリス(2−メチル−5−フェニル−8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(1−ナフトラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(2−ナフトラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(フェノラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(4−シアノ−1−ナフトラート)ガリウム、ビス(2、4−ジメチル−8−ヒドロキシキノリナート)(1−ナフトラート)ガリウム、ビス(2、5−ジメチル−8−ヒドロキシキノリナート)(2−ナフトラート)ガリウム、ビス(2−メチル−5−フェニル−8−ヒドロキシキノリナート)(フェノラート)ガリウム、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−ヒドロキシキノリナート)(4−シアノ−1−ナフトラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)クロロガリウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(o−クレゾラート)ガリウム等のガリウム錯体化合物の他、8−ヒドロキシキノリナートリチウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)銅、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)マンガン、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)亜鉛、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛等の金属錯体化合物が挙げられる。
【0075】
また、本発明に使用可能な電子注入材料の内、好ましい含窒素五員環誘導体としては、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体があげられ、具体的には、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−チアゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,4−ビス[2−(5 −フェニルオキサジアゾリル)]ベンゼン、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサジアゾリル)−4−tert−ブチルベンゼン]、2−(4’−tert− ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−チアジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルチアジアゾリル)]ベンゼン、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)−1,3,4−トリアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−トリアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルトリアゾリル)]ベンゼン等が挙げられる。
また、本発明に使用可能な電子注入材料の内、特に好ましいオキサジアゾール誘導体の具体例を表4に示す。
【0076】
【表4】

【0077】
また、本発明に使用可能な電子注入材料の内、特に好ましいトリアゾール誘導体の具体例を表5に示す。表5中、Phは、フェニル基を表わす。
【0078】
表5
【表5】

【0079】
また、本発明に使用可能な電子注入材料の内、特に好ましいシロール誘導体としての具体例を、表6に示す。
【0080】
表6
【表6】




【0081】
さらに、正孔阻止層には、発光層を経由した正孔が電子注入層に達するのを防ぎ、薄膜形成性に優れた層を形成できる正孔阻止材料が用いられる。そのような正孔阻止材料の例としては、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム等のアルミニウム錯体化合物や、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(4−フェニルフェノラート)ガリウム等のガリウム錯体化合物、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)等の含窒素縮合芳香族化合物が挙げられる。
【0082】
本発明の有機EL素子の発光層としては、以下の機能を併せ持つものが好適である。
注入機能;電界印加時に陽極または正孔注入層より正孔を注入することができ、陰極または電子注入層より電子を注入することができる機能
輸送機能;注入した電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる機能
発光機能;電子と正孔の再結合の場を提供し、これを発光につなげる機能
【0083】
ただし、正孔の注入されやすさと電子の注入されやすさには、違いがあってもよく、また正孔と電子の移動度で表される輸送能に大小があってもよい。
【0084】
発光層に用いられる発光材料としては、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、テトラセン、コロネン、クリセン、フルオレセイン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ペリノン、フタロペリノン、ナフタロペリノン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、アルダジン、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、ジアミン、ピラジン、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、イミン、ジフェニルエチレン、ビニルアントラセン、ジアミノカルバゾール、ピラン、チオピラン、ポリメチン、メロシアニン、イミダゾールキレート化オキシノイド化合物、キナクリドン、ルブレン、ジケトピロロピロール、チオフェン、ビスインドール、ジベンゾシクロヘプタン等およびそれらの誘導体があるが、これらに限定されるものではない。また、本発明の発光層は、ホスト材料又はドーパント材料として、2種以上の化合物を組み合わせて発光層を形成しても良い。
【0085】
白色の発光を得る場合の発光層としては特に制限はないが、下記のものを用いることができる。
有機EL積層構造体の各層のエネルギー準位を規定し、トンネル注入を利用して発光させるもの(欧州特許第0390551号公報)。
同じくトンネル注入を利用する素子で実施例として白色発光素子が記載されているもの(特開平3−230584号公報)。
二層構造の発光層が記載されているもの(特開平2−220390号公報および特開平2−216790号公報)。
発光層を複数に分割してそれぞれ発光波長の異なる材料で構成されたもの(特開平4−51491号公報)。
青色発光体(蛍光ピーク380〜480nm)と緑色発光体(480〜580nm)とを積層させ、さらに赤色蛍光体を含有させた構成のもの(特開平6−207170号公報)。
青色発光層が青色蛍光色素を含有し、緑色発光層が赤色蛍光色素を含有した領域を有し、さらに緑色蛍光体を含有する構成のもの(特開平7−142169号公報)。
【0086】
これらの中では、上記の構成のものが特に好ましい。
【0087】
これらのうち、本発明で好適に用いられるアントラセン誘導体としては、下記一般式[2]で表されるものがあげられる。
【0088】
一般式[2]
【化4】

【0089】
(式中、Aは下記一般式[3]であらわされるカルバゾリル基であり、
19〜R27は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、アルコキシル基、アリ−ルオキシ基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、または、アリ−ルスルホニル基を表す。)
【0090】
一般式[3]
【化5】

【0091】
(式中、Ar1は置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、または、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基を表し、
28〜R34は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、アルコキシル基、アリ−ルオキシ基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、または、アリ−ルスルホニル基を表す。)
また、一般式[2]で表されるアントラセン誘導体のうち、R23が下記一般式[4]であらわされる置換もしくは未置換のフェニル基であるものがさらに好ましい。
【0092】
一般式[4]
【化6】

【0093】
(式中、R35〜R39は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、アルコキシル基、アリ−ルオキシ基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、または、アリ−ルスルホニル基を表し、R35〜R39は、それぞれ隣り合う置換基同士で環を形成しても良い。)
また、一般式[3]で表されるカルバゾリル基としては、Ar1が、置換もしくは未置換の炭素数6〜18の1価の芳香族炭化水素基、または、置換もしくは未置換の炭素数2〜18の芳香族複素環基であるものが好ましく、下記一般式[5]で表される置換もしくは未置換のフェニル基であるものがさらに好ましい。
【0094】
一般式[5]
【化7】

【0095】
(式中、R40〜R44は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、アルコキシル基、アリ−ルオキシ基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、または、アリ−ルスルホニル基を表す。)
【0096】
また、一般式[3]で表されるカルバゾリル基としては、R29〜R35が水素原子であるものが好ましい。
【0097】
以下、詳細にわたって一般式[2]から[5]を説明する。
【0098】
一般式[2]におけるR19〜R27は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、アルコキシル基、アリ−ルオキシ基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、または、アリ−ルスルホニル基を表す。
【0099】
ここで、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0100】
ここで、1価の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜18の1価の脂肪族炭化水素基を指し、そのようなものとしては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基が挙げられる。
【0101】
また、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基といった炭素数1〜18のアルキル基が挙げられる。
【0102】
また、アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−オクテニル基、1−デセニル基、1−オクタデセニル基といった炭素数2〜18のアルケニル基が挙げられる。
【0103】
また、アルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−オクチニル基、1−デシニル基、1−オクタデシニル基といった炭素数2〜18のアルキニル基が挙げられる。
【0104】
また、シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクタデシル基といった炭素数3〜18のシクロアルキル基が挙げられる。
【0105】
さらに、1価の芳香族炭化水素基としては、1価の単環、縮合環、環集合炭化水素基が挙げられる。ここで、1価の単環芳香族炭化水素基としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,4−キシリル基、p−クメニル基、メシチル基等の炭素数6〜18の1価の単環芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0106】
また、1価の縮合環炭化水素基としては、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アンスリル基、2−アンスリル基、5−アンスリル基、1−フェナンスリル基、9−フェナンスリル基、1−アセナフチル基、2−アズレニル基、1−ピレニル基、2−トリフェニレル基等の炭素数10〜18の1価の縮合環炭化水素基が挙げられる。
【0107】
また、1価の環集合炭化水素基としては、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、p−ビフェニリル基等の炭素数12〜18の1価の環集合炭化水素基が挙げられる。
【0108】
また、1価の脂肪族複素環基としては、2−ピラゾリノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、2−モルホリニル基といった炭素数3〜18の1価の脂肪族複素環基が挙げられる。
また、1価の芳香族複素環基としては、トリアゾリル基、3−オキサジアゾリル基、2−フラニル基、3−フラニル基、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、1−ピロ−リル基、2−ピロ−リル基、3−ピロ−リル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピラジル基、2−オキサゾリル基、3−イソオキサゾリル基、2−チアゾリル基、3−イソチアゾリル基、2−イミダゾリル基、3−ピラゾリル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、N−インドリル基、N−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、N−アクリジニル基、2−チオフェニル基、3−チオフェニル基、ビピリジル基、フェナントロリル基といった炭素数2〜18の1価の芳香族複素環基が挙げられる。
【0109】
また、アルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基といった炭素数1〜8のアルコキシル基が挙げられる。
【0110】
また、アリ−ルオキシ基としては、フェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、9−アンスリルオキシ基といった炭素数6〜14のアリ−ルオキシ基が挙げられる。
【0111】
また、アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基といった炭素数1〜8のアルキルチオ基が挙げられる。
【0112】
また、アリ−ルチオ基としては、フェニルチオ基、2−メチルフェニルチオ基、4−tert−ブチルフェニルチオ基といった炭素数6〜14のアリ−ルチオ基が挙げられる。
【0113】
また、置換アミノ基としては、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N−ベンジルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基、N−フェニルアミノ基、N−フェニル−N−メチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ビス(m−トリル)アミノ基、N,N−ビス(p−トリル)アミノ基、N,N−ビス(p−ビフェニリル)アミノ基、ビス[4−(4−メチル)ビフェニリル]アミノ基、N−α−ナフチル−N−フェニルアミノ基、N−β−ナフチル−N−フェニルアミノ基等の炭素数2〜26の置換アミノ基が挙げられる。
【0114】
また、アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、シクロヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基、トルオイル基、アニソイル基、シンナモイル基等の炭素数2〜14のアシル基が挙げられる。
【0115】
また、アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等の炭素数2〜14のアルコキシカルボニル基が挙げられる。
【0116】
また、アリ−ルオキシカルボニル基としては、フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等の炭素数2〜14のアリ−ルオキシカルボニル基が挙げられる。
【0117】
また、アルキルスルホニル基としては、メシル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基等の炭素数2〜14のアルキルスルホニル基が挙げられる。
【0118】
また、アリ−ルスルホニル基としては、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等の炭素数2〜14のアリ−ルスルホニル基が挙げられる。
【0119】
これらR19〜R27における、1価の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂肪族複素環基、芳香族複素環基は、さらに他の置換基によって置換されていても良い。そのような置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシル基、アリ−ルオキシ基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリ−ルスルホニル基等が挙げられる。これらの置環基の例としては、前述のものが挙げられる。
【0120】
一般式[2]におけるAとして好ましいのは、一般式[3]であらわされるカルバゾリル基である。
【0121】
一般式[3]におけるR28〜R34は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、アルコキシル基、アリ−ルオキシ基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、または、アリ−ルスルホニル基を表し、これらは、それぞれ、R19〜R27における置換基と同義である。
【0122】
一般式[3]中のR28〜R34における、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、アルコキシル基、アリ−ルオキシ基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリ−ルスルホニル基は、それぞれ、R19〜R27におけるハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、アルコキシル基、アリ−ルオキシ基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリ−ルスルホニル基と同義である。
【0123】
一般式[3]におけるAr1は置換もしくは未置換の炭素数6〜18の1価の芳香族炭化水素基、または、置換もしくは未置換の炭素数2〜18の1価の芳香族複素環基を表す。ここでいう1価の芳香族炭化水素基、または、1価の芳香族複素環基は、R19〜R27における1価の有機残基と同義である。
【0124】
一般式[2]におけるR23として好ましいものは、置換もしくは未置換の炭素数10〜18の1価の芳香族炭化水素基が挙げられ、さらに好ましくは、一般式[4]で表される置換もしくは未置換のフェニル基が挙げられる。
【0125】
一般式[4]におけるR35〜R39は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、アルコキシル基、アリ−ルオキシ基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、または、アリ−ルスルホニル基を表す。ここで、R35〜R39におけるハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、アルコキシル基、アリ−ルオキシ基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、または、アリ−ルスルホニル基は、それぞれ、R19〜R27におけるハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、アルコキシル基、アリ−ルオキシ基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、または、アリ−ルスルホニル基と同義である。
【0126】
また、R35〜R39は、それぞれ隣り合う置換基同士で環を形成しても良く、その具体例としては、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アンスリル基、2−アンスリル基、5−アンスリル基、1−フェナンスリル基、9−フェナンスリル基、1−アセナフチル基が挙げられる。
【0127】
Ar1として好ましいものとしては、置換もしくは未置換の炭素数10〜18の1価の芳香族炭化水素基が挙げられ、さらに好ましくは、一般式[5]で表される置換もしくは未置換のフェニル基が挙げられる。
【0128】
ここで言う炭素数10〜18の1価の芳香族炭化水素基としては、R19〜R27における1価の芳香族炭化水素基と同義である。
【0129】
一般式[5]中のR40〜R44は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、アルコキシル基、アリ−ルオキシ基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、または、アリ−ルスルホニル基を表す。
【0130】
一般式[5]中のR40〜R44における、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、アルコキシル基、アリ−ルオキシ基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリ−ルスルホニル基は、それぞれ、R19〜R27におけるハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、アルコキシル基、アリ−ルオキシ基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリ−ルスルホニル基と同義である。
【0131】
一般式[3]中のR28〜R34として、好ましいものとしては、水素原子、1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基が挙げられ、さらに好ましいものは、水素原子、1価の芳香族炭化水素基が挙げられ、特に好ましいものは、水素原子が挙げられる。
本発明で好適に用いられるチオフェン誘導体としては、下記一般式[6]で示されるものがあげられる。
【0132】
一般式[6]
【化8】

【0133】
(式中、Ar2およびAr3は、それぞれ独立に置換もしくは未置換の2価の芳香族炭化水素基、または、置換もしくは未置換の2価の芳香族複素環基であり、
Ar4は、置換もしくは未置換の1価の縮合芳香族炭化水素基、または、置換もしくは未置換の1価の縮合芳香族複素環基であり、
Ar5は、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、または、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基であり、
45およびR46は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の芳香族複素環基、または、置換もしくは未置換のアルコキシ基である。ここで、R45およびR46が結合して環を形成しても良い。
また、nは0または1である。)
【0134】
上記一般式[6]であらわされるチオフェン誘導体においてAr4が、2ないし3環式縮合芳香族炭化水素基、または、2ないし3環式縮合芳香族複素環基であるものが好ましい。
【0135】
また、上記一般式[6]であらわされるチオフェン誘導体において、nが1であるものが好ましい。
【0136】
また、上記一般式[6]であらわされるチオフェン誘導体において、Ar2とAr3が同一の基であるものが好ましい。
【0137】
また、上記一般式[6]であらわされるチオフェン誘導体において、Ar4とAr5が同一の基であるものが好ましい。
【0138】
以下に一般式[6]について詳細に説明する。
【0139】
上記一般式[6]におけるAr1およびAr2は、置換もしくは未置換の2価の芳香族炭化水素基、または、置換もしくは未置換の2価の芳香族複素環基を表す。
【0140】
ここで、2価の芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントレニレン基、フルオレニレン基、テトラセニレン基、ペンタセニレン基、ペリレニレン基等が挙げられる。これらの中で、フェニレン基、ナフチレン基、フェナントレニレン基が好ましい。
【0141】
また、2価の芳香族複素環基としては、ピリジレン基、キノリニレン基、イソキノリニレン基、フェナントロリニレン基、ベンゾチエニレン基、ベンゾフリレン基、インドリレン基などが挙げられる。これらの中で、ピリジレン基、キノリニレン基、ベンゾフリレン基が好ましい。
【0142】
また、上記一般式[6]におけるAr4は、置換もしくは未置換の1価の縮合芳香族炭化水素基、または、置換もしくは未置換の1価の縮合芳香族複素環基を表す。
【0143】
ここで、1価の縮合芳香族炭化水素基としては、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオレニル基などが挙げられる。これらの中で、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基が好ましい。
【0144】
また、1価の縮合芳香族複素環基としては、キノリニル基、イソキノリニル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾフリル基、インドリル基、フェナントロリニル基等が挙げられる。これらの中で、キノリニル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾフリル基が好ましい。
【0145】
また、上記一般式[6]におけるAr5は、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、または、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基を表す。
【0146】
ここで、1価の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、また、上記記載の1価の縮合芳香族炭化水素基などが挙げられる。これらの中で1価の縮合芳香族炭化水素基が好ましい。
また、1価の芳香族複素環基としては、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、および上記記載の1価の縮合芳香族複素環基などが挙げられる。これらの中で、1価の縮合芳香族複素環基が好ましい。
【0147】
上記Ar2〜Ar5は置換基を有してもよい。Ar2〜Ar5の置換基として好ましいものは、アルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基などが挙げられる。
【0148】
ここで、アルキル基としては、炭素数1〜18個からなるアルキル基、さらに好ましくは炭素数1〜4個からなるアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。
【0149】
また、芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基については上記のものが挙げられる。
【0150】
また、アルコシキ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基などのアルコキシ基が挙げられる。これらの中で、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基が好ましい。
【0151】
また、アリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基が挙げられる。
【0152】
また、上記一般式[6]におけるR45およびR46は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の芳香族複素環基、置換もしくは未置換のアルコキシ基を表し、また、R45およびR46が結合して環を形成しても良い。
【0153】
ここで、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基といった炭素数1〜18のアルキル基が挙げられる。これらの中で、メチル基、エチル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が好ましい。
【0154】
また、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基としては、上記記載の基が挙げられる。これらの中で、好ましくは、フェニル基である。
【0155】
また、アルコシキ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基などのアルコキシ基が挙げられる。これらの中で、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基が好ましい。
【0156】
また、R45およびR46は、置換基を有していても良く、置換基として好ましいのは、Ar2ないしAr5が有しても良い置換基と同じである。
【0157】
また、上記一般式[6]におけるnは0または1どちらもとり得るが、好ましくは1である。
本発明で好適に用いられるビスインドールおよびその誘導体としては、下記一般式[7]で示されるものがあげられる。
【0158】
一般式[7]
【化9】

【0159】
[式中、R47〜R56は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、または1価の有機残基を表す。また、R47〜R50、R52〜R53、R54〜R56は、それぞれ隣接した基が互いに結合して環を形成しても良い。]
【0160】
また、一般式[7]であらわされるビスインドールおよびその誘導体のうち、R51とR52および/またはR55とR56が、一体となって環を形成するものが好ましく、下記一般式[8]で表されるものが特に好ましい。
【0161】
一般式[8]
【化10】

【0162】
[式中、R57〜R70は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、または1価の有機残基を表す。また、R57〜R70は隣接した基が互いに結合して環を形成しても良い。]
【0163】
以下に、一般式[7]、および一般式[8]に関する詳細な説明を行う。
【0164】
47〜R56、R57〜R70は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、または1価の有機残基を表す。
【0165】
ここでいう、ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子があげられる。
【0166】
ここでいう、1価の有機残基としては、1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基、1価の脂肪族複素環基、1価の芳香族複素環基、シアノ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基などがあげられる。ここで、アリールオキシ基やアリールオキシカルボニル基などにおけるアリールは、芳香族炭化水素および芳香族複素環を表す。
【0167】
また、1価の脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基があげられる。
【0168】
ここで、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基といった炭素数1〜18のアルキル基があげられる。
【0169】
また、アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−オクテニル基、1−デセニル基、1−オクタデセニル基といった炭素数2〜18のアルケニル基があげられる。
【0170】
また、アルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−オクチニル基、1−デシニル基、1−オクタデシニル基といった炭素数2〜18のアルキニル基があげられる。
【0171】
また、シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクタデシル基といった炭素数3〜18のシクロアルキル基があげられる。
【0172】
さらに、1価の芳香族炭化水素基としては、1価の単環、縮合環、環集合炭化水素基があげられる。
ここで、1価の単環芳香族炭化水素基としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,4−キシリル基、p−クメニル基、メシチル基等の炭素数6〜18の1価の単環芳香族炭化水素基があげられる。
【0173】
また、1価の縮合環炭化水素基としては、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アンスリル基、2−アンスリル基、9−アンスリル基、1−フェナンスリル基、9−フェナンスリル基、1−アセナフチル基、2−アズレニル基、1−ピレニル基、2−トリフェニレル基等の炭素数10〜18の1価の縮合環炭化水素基があげられる。
【0174】
また、1価の環集合炭化水素基としては、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、p−ビフェニリル基、ターフェニル基等の炭素数12〜18の1価の環集合炭化水素基があげられる。
さらに、1価の脂肪族複素環基としては、2−ピラゾリノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、2−モルホリニル基といった炭素数3〜18の1価の脂肪族複素環基があげられる。
【0175】
また、1価の芳香族複素環基としては、トリアゾリル基、3−オキサジアゾリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、1−ピローリル基、2−ピローリル基、3−ピローリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピラジル基、2−オキサゾリル基、3−イソオキサゾリル基、2−チアゾリル基、3−イソチアゾリル基、2−イミダゾリル基、3−ピラゾリル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、N−インドリル基、N−カルバゾリル基、N−アクリジニル基、(2,2’−ビチエニル)−4−イル基といった炭素数2〜18の化合物があげられる。
【0176】
また、アルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基といった炭素数1〜8のアルコキシル基があげられる。
【0177】
また、アリールオキシ基としては、フェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、9−アンスリルオキシ基といった炭素数6〜14のアリールオキシ基があげられる。
【0178】
また、置換アミノ基としては、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N−ベンジルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基、N−フェニルアミノ基、N−フェニル−N−メチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ビス(m−トリル)アミノ基、N,N−ビス(p−トリル)アミノ基、N,N−ビス(p−ビフェニリル)アミノ基、ビス[4−(4−メチル)ビフェニリル]アミノ基、N−α−ナフチル−N−フェニルアミノ基、N−β−ナフチル−N−フェニルアミノ基等の炭素数2〜24の置換アミノ基があげられる。
【0179】
また、アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、シクロヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基、トルオイル基、アニソイル基、シンナモイル基等の炭素数2〜14のアシル基があげられる。
【0180】
また、アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等の炭素数2〜14のアルコキシカルボニル基があげられる。
【0181】
また、アリールオキシカルボニル基としては、フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等の炭素数2〜14のアリールオキシカルボニル基があげられる。
【0182】
上に述べた、1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基、1価の脂肪族複素環基、1価の芳香族複素環基は、さらに他の置換基によって置換されていても良い。また、これら置換基同士が結合し、環を形成していても良い。そのような置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等があげられる。これらの置環基の例としては、前述のものが挙げられる。
【0183】
以上挙げた、R47〜R56、R57〜R70に結合して良い置換基(1価の有機残基)のうち、より好ましいものとしては、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、スチリル基等があげられ、特に好ましくは水素原子、フェニル基、ビフェニル基、スチリル基があげられる。これらの置換基とした場合には、分子量も比較的小さく、蒸着等で化合物(材料)を昇華することが容易であり、また、安定性の面からも好ましい。ただし、蒸着を行わない場合はこの限りではない。
【0184】
また、一般式[7]、および一般式[8]において、R47〜R50、R52〜R53、R54〜R56、R57〜R70は隣接した基が互いに結合して環を形成しても良く、その具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、ピラジン環、ピペラジン環などが挙げられる。
【0185】
本発明で好適に用いられるジベンゾシクロヘプタンおよびその誘導体としては、下記一般式[9]であらわされるものがあげられる。
【0186】
一般式[9]
【化11】

【0187】
(式中、Ar6〜Ar13は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、または、置換シリル基を表すが、Ar6〜Ar13の少なくとも1つは、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、および、置換シリル基のいずれかであり、
Qは−CH2−CH2−、または、−CH=CH−を表し、
71およびR72は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、または、置換シリル基を表し、R71およびR72は結合して新たな環を形成して良い。)
【0188】
また、一般式[9]であらわされるジベンゾシクロヘプタンおよびその誘導体のうち、R71およびR72が、それぞれ独立に、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、または、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基であるものが好ましい。
【0189】
また、一般式[9]であらわされるジベンゾシクロヘプタンおよびその誘導体のうち、R71およびR72が、それぞれ独立に、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基であるものがさらに好ましい。
【0190】
また、一般式[9]であらわされるジベンゾシクロヘプタンおよびその誘導体のうち、下記一般式[10]、または一般式[11]であらわされるものが特に好ましい。
【0191】
一般式[10]
【化12】

【0192】
一般式[11]
【化13】

【0193】
(式中、Ar6〜Ar13およびQは、一般式[9]におけるAr6〜Ar13およびQと同義である。
73〜R90は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、または、置換シリル基を表す。)
【0194】
また、一般式[9]〜一般式[11]であらわされるジベンゾシクロヘプタンおよびその誘導体において、Ar6〜Ar13の少なくとも一つが、好ましくは、Ar6〜Ar13のいずれか2つが、さらに好ましくは、Ar8とAr11がそれぞれ独立に、2つ置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、または、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基であるものが好ましい。
【0195】
以下に、一般式[9]〜[11]に関する詳細な説明を行う。
【0196】
まず、一般式[9]におけるR71およびR72は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、もしくは、置換シリル基を表す。
【0197】
ここで、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0198】
ここで、1価の脂肪族炭化水素基としては、1価の脂肪族炭化水素基を指し、そのようなものとしては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基が挙げられる。
【0199】
また、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基といったアルキル基が挙げられる。
【0200】
また、アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−オクテニル基、1−デセニル基、1−オクタデセニル基といったアルケニル基が挙げられる。
【0201】
また、アルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−オクチニル基、1−デシニル基、1−オクタデシニル基といったアルキニル基が挙げられる。
【0202】
また、シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクタデシル基といったシクロアルキル基が挙げられる。
【0203】
さらに、1価の芳香族炭化水素基としては、1価の単環、縮合環、環集合炭化水素基が挙げられる。ここで、1価の単環芳香族炭化水素基としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,4−キシリル基、p−クメニル基、メシチル基等の1価の単環芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0204】
また、1価の縮合環炭化水素基としては、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アンスリル基、2−アンスリル基、5−アンスリル基、1−フェナンスリル基、9−フェナンスリル基、1−アセナフチル基、2−アズレニル基、1−ピレニル基、2−トリフェニレル基等の1価の縮合環炭化水素基が挙げられる。
【0205】
また、1価の環集合炭化水素基としては、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、p−ビフェニリル基、o−ターフェニル基、m−ターフェニル基、p−ターフェニル基等の1価の環集合炭化水素基が挙げられる。
【0206】
また、1価の脂肪族複素環基としては、2−ピラゾリノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、2−モルホリニル基といった1価の脂肪族複素環基が挙げられる。
また、1価の芳香族複素環基としては、トリアゾリル基、3−オキサジアゾリル基、2−フラニル基、3−フラニル基、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、1−ピロ−リル基、2−ピロ−リル基、3−ピロ−リル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピラジル基、2−オキサゾリル基、3−イソオキサゾリル基、2−チアゾリル基、3−イソチアゾリル基、2−イミダゾリル基、3−ピラゾリル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、N−インドリル基、N−カルバゾリル基、3-カルバゾリル基、N−アクリジニル基、2−チオフェニル基、3−チオフェニル基、ビピリジル基、フェナントロリル基といった1価の芳香族複素環基が挙げられる。
【0207】
また、置換シリル基としては、置換もしくは未置換のアルキル基、または、置換もしくは未置換のアリール基によって置換されたシリル基であり、モノアルキルシリル基、モノアリールシリル基、ジアルキルシリル基、ジアリールシリル基、トリアルキルシリル基、トリアリールシリル基等といった置換シリル基が挙げられる。
【0208】
また、モノアルキルシリル基としては、モノメチルシリル基、モノエチルシリル基、モノブチルシリル基、モノイソプロピルシリル基、モノデカンシリル、モノイコサンシリル基、モノトリアコンタンシリル基等のモノアルキルシリル基が挙げられる。
【0209】
また、モノアリールシリル基としては、モノフェニルシリル基、モノトリルシリル基、モノナフチルシリル基、モノアンスリルシリル基等のモノアリールシリルが挙げられる。
【0210】
また、ジアルキルシリル基としては、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジメチルエチルシリル基、ジイソプロピルシリル基、ジブチルシリル基、ジオクチルシリル基、ジデカンシリル基等のジアルキルシリル基が挙げられる。
【0211】
また、ジアリールシリル基としては、ジフェニルシリル基、ジトリルシリル基等のジアリールシリルが挙げられる。
【0212】
また、トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリブチルシリル基、トリオクチルシリル基等のトリアルキルシリル基が挙げられる。
【0213】
また、トリアリールシリル基としては、トリフェニルシリル基、トリトリルシリル基等のトリアリールシリルが挙げられる。
【0214】
これら、一般式[9]のR71およびR72における、1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基、1価の脂肪族複素環基、および、1価の芳香族複素環基は、さらに他の置換基によって置換されていてもよい。そのような置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基、1価の脂肪族複素環基、1価の芳香族複素環基、または、置換シリル基が挙げられ、これらの置換基の例としては前述のものが挙げられる。
【0215】
また一般式[9]のR71およびR72における、置換シリル基におけるアルキル基、および、アリール基が有しても良い置換基としては、1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基、1価の脂肪族複素環基、1価の芳香族複素環基が有してもよい置換基と同義である。
【0216】
次に、一般式[9]におけるAr6〜Ar13は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、または、置換シリル基、を表す。ここでいう、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、および、置換シリル基は、R71およびR72における置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、および、置換シリル基と同義である。
【0217】
また、一般式[9]におけるAr6〜Ar13として好ましいものとしては、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、または、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基が挙げられ、さらに好ましいものとしては、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、または、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基が挙げられ、特に好ましいものとしては、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0218】
また、一般式[9]において、置換基が置換される位置として好ましいものはAr8とAr11の位置が挙げられる。
【0219】
次に、一般式[9]におけるR71およびR72として好ましいものとしては、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、一般式[10]または、一般式[11]が挙げられ、さらに好ましいものとしては、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、一般式[10]または、一般式[11]が挙げられ、特に好ましくは、一般式[10]または、一般式[11]が挙げられる。
【0220】
また、一般式[10]、および、一般式[11]におけるR73〜R90は、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、または、置換シリル基を表す。ここで、R73〜R90におけるハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、または、置換シリル基はそれぞれ、R71および、R72におけるハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、および、置換シリル基と同義である。
【0221】
本発明で好適に用いられるペリレン誘導体としては、下記一般式[12]であらわされるものがあげられる。
【0222】
一般式[12]
【化14】

【0223】
[式中、Ar14は、置換もしくは未置換のペリレニル基、R91およびR92は、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、および、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基より選ばれる1価の有機残基である。Ar14とR91、Ar14とR92、R91とR92は、互いに結合して環を形成していても良い。]
【0224】
以下に、一般式[12]に関する詳細な説明を行う。
【0225】
まず、一般式[12]中のAr14は、置換もしくは未置換のペリレニル基を表し、未置換のペリレニル基としては、1−ペリレニル基、2−ペリレニル基、3−ペリレニル基があげられる。これらペリレニル基は、さらに他の置換基によって置換されていても良い。
【0226】
そのような置換基としては、1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基、1価の脂肪族複素環基、1価の芳香族複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等があげられる。
【0227】
ここで、1価の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜18の1価の脂肪族炭化水素基を指し、そのようなものとしては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基があげられる。
【0228】
したがって、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基といった炭素数1〜18のアルキル基があげられる。
また、アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−オクテニル基、1−デセニル基、1−オクタデセニル基といった炭素数2〜18のアルケニル基があげられる。
【0229】
また、アルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−オクチニル基、1−デシニル基、1−オクタデシニル基といった炭素数2〜18のアルキニル基があげられる。
また、シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクタデシル基、2−ボルニル基、2−イソボルニル基、1−アダマンチル基といった炭素数3〜18のシクロアルキル基があげられる。
【0230】
さらに、1価の芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜30の1価の単環、縮合環、環集合芳香族炭化水素基があげられる。ここで、炭素数6〜30の1価の単環芳香族炭化水素基としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,4−キシリル基、p−クメニル基、メシチル基等の炭素数6〜30の1価の単環芳香族炭化水素基があげられる。
【0231】
また、1価の縮合環芳香族炭化水素基としては、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アンスリル基、2−アンスリル基、5−アンスリル基、1−フェナンスリル基、9−フェナンスリル基、1−アセナフチル基、2−アズレニル基、1−ピレニル基、2−トリフェニレル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、1−ペリレニル基、2−ペリレニル基、3−ペリレニル基、2−トレフェニレニル基、2−インデニル基、1−アセナフチレニル基、2−ナフタセニル基、2−ペンタセニル基等の炭素数10〜30の1価の縮合環炭化水素基があげられる。
【0232】
また、1価の環集合芳香族炭化水素基としては、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、p−ビフェニリル基、テルフェニリル基、7−(2−ナフチル)−2−ナフチル基等の炭素数12〜30の1価の環集合炭化水素基があげられる。
【0233】
また、1価の脂肪族複素環基としては、3−イソクロマニル基、7−クロマニル基、3−クマリニル等の炭素数3〜18の1価の脂肪族複素環基があげられる。
【0234】
また、1価の芳香族複素環基としては、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−ピリミジニル基、2−ピラジニル基、2−キナゾリニル基、2−キノキサリニル基、2−オキサゾリル基、2−チアゾリル基等の炭素数3〜30の1価の芳香族複素環基があげられる。
【0235】
また、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子があげられる。
【0236】
また、アルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、2−ボルニルオキシ基、2−イソボルニルオキシ基、1−アダマンチルオキシ基等の炭素数1〜18のアルコキシル基があげられる。
【0237】
また、アリールオキシ基としては、フェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、9−アンスリルオキシ基といった炭素数6〜30のアリールオキシ基があげられる。
【0238】
また、アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基といった炭素数1〜18のアルキルチオ基があげられる。
【0239】
また、アリールチオ基としては、フェニルチオ基、2−メチルフェニルチオ基、4−tert−ブチルフェニルチオ基といった炭素数6〜30のアリールチオ基があげられる。
また、アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、シクロヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基、トルオイル基、アニソイル基、シンナモイル基等の炭素数2〜18のアシル基があげられる。
【0240】
また、アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等の炭素数2〜18のアルコキシカルボニル基があげられる。
【0241】
また、アリールオキシカルボニル基としては、フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等の炭素数2〜18のアリールオキシカルボニル基があげられる。
また、アルキルスルホニル基としては、メシル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基等の炭素数2〜18のアルキルスルホニル基があげられる。
【0242】
また、アリールスルホニル基としては、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等の炭素数2〜18のアリールスルホニル基があげられる。
上に述べた置換基は、さらに他の置換基によって置換されていても良く、また、これら置換基同士が結合し、環を形成していても良い。
【0243】
以上述べた一般式[12]中のAr14としては、置換もしくは未置換の3−ペリレニル基が好ましく、未置換の3−ペリレニル基が特に好ましい。この理由として、ペリレンの3位にアミノ基が結合するような構造である場合、ペリレン環とアミノ基とのなす角が比較的同一平面に保たれるため蛍光性が強くなり、有機エレクトロルミネッセンス素子として用いた場合の発光輝度が向上するためと考えられるためである。
【0244】
また、置換3−ペリレニル基の中で好ましい置換基としては、アルキル基、1価の芳香族炭化水素基、1価の芳香族複素環基、アリールオキシ基、アリールチオ基があげられ、特に好ましい置換基としては、アルキル基、1価の単環芳香族炭化水素基、1価の縮合環芳香族炭化水素基、1価の環集合芳香族炭化水素基、1価の芳香族複素環基があげられる。
【0245】
また、上に述べた好ましい置換基の内、置換基の炭素数としては1〜18が好ましく、1〜12がさらに好ましい。この理由として、これら置換基の炭素数が多くなると、溶剤に対する溶解性が乏しくなるため、精製が困難になるだけでなく、素子作成時の作業性が悪くなる、また蒸着によって素子を作成しようとした場合の蒸着性が悪くなるといった懸念が考えられるためである。
【0246】
次に、一般式[12]中のR91およびR92について説明する。R91およびR92は、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基より選ばれる1価の有機残基でである。ここでいう置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基とは、Ar14の置換基で説明した置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基と同義である。
【0247】
また、本発明で好適に用いられるジケトピロロピロール誘導体としては、下記一般式[13]であらわされるものがあげられる。
【0248】
一般式[13]
【化15】

【0249】
(式中、R93〜R98は、それぞれ独立に無置換もしくは置換基を有する、アルキル基、アリール基あるいは複素環基を表す。)
【0250】
以下に、一般式[13]に関する詳細な説明をおこなう。
【0251】
93〜R98は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基あるいは複素環基を表わし、それらは、無置換であってもよいし、置換基を有してもよい。ここで置換基とはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アルキルカルボニル、アミノ基、シアノ基を表す。
【0252】
本発明でいうアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基等がある。
【0253】
アリール基としては、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、クオーターフェニリル基、o−、m−、およびp−トリル基、キシリル基、o−、m−、およびp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基等がある。
【0254】
複素環基としては、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基等がある。
【0255】
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソペンチルオキシ基等がある。
【0256】
アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、イソプロピルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、イソペンチルチオ基等がある。
【0257】
アリールオキシ基としては、フェニルオキシ基、ビフェニリルオキシ基、ターフェニリルオキシ基、クオーターフェニリルオキシ基、o−、m−、およびp−トリルオキシ基、キシリルオキシ基、o−、m−、およびp−クメニルオキシ基、メシチルオキシ基、ペンタレニルオキシ基、インデニルオキシ基、ナフチルオキシ基、ビナフタレニルオキシ基、ターナフタレニルオキシ基、クオーターナフタレニルオキシ基、アズレニルオキシ基、ヘプタレニルオキシ基、ビフェニレニルオキシ基、インダセニルオキシ基、フルオランテニルオキシ基、アセナフチレニルオキシ基、アセアントリレニルオキシ基、フェナレニルオキシ基、フルオレニルオキシ基、アントリルオキシ基、ビアントラセニルオキシ基、ターアントラセニルオキシ基、クオーターアントラセニルオキシ基、アントラキノリルオキシ基、フェナントリルオキシ基、トリフェニレニルオキシ基、ピレニルオキシ基、クリセニルオキシ基、ナフタセニルオキシ基、プレイアデニルオキシ基、ピセニルオキシ基、ペリレニルオキシ基、ペンタフェニルオキシ基、ペンタセニルオキシ基、テトラフェニレニルオキシ基、ヘキサフェニルオキシ基、ヘキサセニルオキシ基、ルビセニルオキシ基、コロネニルオキシ基、トリナフチレニルオキシ基、ヘプタフェニルオキシ基、ヘプタセニルオキシ基、ピラントレニルオキシ基、オバレニルオキシ基等がある。
【0258】
アリールチオ基としては、フェニルチオ基、ビフェニルチオ基、ターフェニルチオ基、クオーターフェニル基、o−、m−、およびp−トリルチオ基、キシリルチオ基、o−、m−、及びp−クメニルチオ基、メシチルチオ基、ペンタレニルチオ基、インデニルチオ基、ナフチルチオ基、ビナフタレニルチオ基、ターナフタレニルチオ基、クオーターナフタレニルチオ基、アズレニルチオ基、ヘプタレニルチオ基、ビフェニレニルチオ基、インダセニルチオ基、フルオランテニルチオ基、アセナフチレニルチオ基、アセアントリレニルチオ基、フェナレニルチオ基、フルオレニルチオ基、アントリルチオ基、ビアントラセニルチオ基、ターアントラセニルチオ基、クオーターアントラセニルチオ基、アントラキノリルチオ基、フェナントリルチオ基、トリフェニレニルチオ基、ピレニルチオ基、クリセニルチオ基、ナフタセニルチオ基、プレイアデニルチオ基、ピセニルチオ基、ペリレニルチオ基、ペンタフェニルチオ基、ペンタセニルチオ基、テトラフェニレニルチオ基、ヘキサフェニルチオ基、ヘキサセニルチオ基、ルビセニルチオ基、コロネニルチオ基、トリナフチレニルチオ基、ヘプタフェニルチオ基、ヘプタセニルチオ基、ピラントレニルチオ基、オバレニルチオ基等がある。
【0259】
アルキルカルボニル基としては、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基、sec−ブチルカルボニル基、tert−ブチルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、イソペンチルカルボニル基、ネオペンチルカルボニル基、tert−ペンチルカルボニル基、ヘキシルカルボニル基、イソヘキシルカルボニル基、ヘプチルカルボニル基、オクチルカルボニル基、ノニルカルボニル基、デシルカルボニル基、ウンデシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、トリデシルカルボニル基、テトラデシルカルボニル基、ペンタデシルカルボニル基、ヘキサデシルカルボニル基、ヘプタデシルカルボニル基、オクタデシルカルボニル基、ノナデシルカルボニル基等がある。
【0260】
置換アミノ基としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジ(sec−ブチル)アミノ基、ジ(tert−ブチル)アミノ基、ジペンチルアミノ基、ジイソペンチルアミノ基、ジネオペンチルアミノ基、ジ(tert−ペンチル)アミノ基、ジヘキシルアミノ基、ジイソヘキシルアミノ基、ジヘプチルアミノ基、ジオクチルアミノ基、ジノニルアミノ基、ジデシルアミノ基、ジウンデシルアミノ基、ジドデシルアミノ基、ジトリデシル基、ジテトラデシルアミノ基、ジペンタデシルアミノ基、ジヘキサデシルアミノ基、ジヘプタデシルアミノ基、ジオクタデシルアミノ基、ジノナデシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジビフェニリルアミノ基、ビス(ターフェニリル)アミノ基、ビス(クオーターフェニリル)アミノ基、ジ(o−トリル)アミノ基、ジ(m−トリル)アミノ基、ジ(p−トリル)アミノ基、ジキシリルアミノ基、ジ(o−クメニル)アミノ基、ジ(m−トリル)アミノ基、ジ(p−クメニル)アミノ基、ジメシチルアミノ基、ジペンタレニルアミノ基、ジインデニルアミノ基、ジナフチルアミノ基、ビス(ビナフタレニル)アミノ基、ビス(ターナフタレニル)アミノ基、ビス(クオーターナフタレニル)アミノ基、ジアズレニルアミノ基、ジヘプタレニルアミノ基、ビス(ビフェニレニル)アミノ基、ジインダセニルアミノ基、ジフルオランテニルアミノ基、ジアセナフチレニルアミノ基、ビス(アセアントリレニル)アミノ基、ジフェナレニルアミノ基、ジフルオレニルアミノ基、ジアントリルアミノ基、ビス(ビアントラセニル)アミノ基、ビス(ターアントラセニル)アミノ基、ビス(クオーターアントラセニル)アミノ基、ビス(アントラキノリル)アミノ基、ジフェナントリルアミノ基、ジトリフェニレニルアミノ基、ジピレニルアミノ基、ジクリセニルアミノ基、ジナフタセニルアミノ基、ジプレイアデニルアミノ基、ジピセニルアミノ基、ジペリレニルアミノ基、ビス(ペンタフェニル)アミノ基、ジペンタセニルアミノ基、ビス(テトラフェニレニル)アミノ基、ビス(ヘキサフェニル)アミノ基、ジヘキサセニルアミノ基、ジルビセニルアミノ基、ジコロネニルアミノ基、ビス(トリナフチレニル)アミノ基、ビス(ヘプタフェニル)アミノ基、ジヘプタセニルアミノ基、ジピラントレニルアミノ基、ジオバレニルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、メチルブチル基、メチルペンチルアミノ基、メチルヘキシルアミノ基、エチルプロピルアミノ基、エチルブチルアミノ基、エチルペンチルアミノ基、エチルヘキシルアミノ基、プロピルブチルアミノ基、プロピルペンチルアミノ基、プロピルヘキシルアミノ基、ブチルペンチルアミノ基、ブチルヘキシルアミノ基、ペンチルヘキシルアミノ基、フェニルビフェニリルアミノ基、フェニルターフェニリルアミノ基、フェニルナフチルアミノ基、フェニルアントリルアミノ基、フェニルフェナントリルアミノ基、ビフェニリルナフチルアミノ基、ビフェニリルアントリルアミノ基、ビフェニリルフェナントリルアミノ基、ビフェニリルターフェニリルアミノ基、ナフチルアントリルアミノ基、ナフチルフェナントリルアミノ基、ナフチルターフェニリルアミノ基、アントリルフェナントリルアミノ基、アントリルターフェニリルアミノ基、メチルフェニルアミノ基、メチルビフェニリルアミノ基、メチルナフチルアミノ基、メチルアントリルアミノ基、メチルフェナントリルアミノ基、メチルターフェニリルアミノ基、エチルフェニルアミノ基、エチルビフェニリルアミノ基、エチルナフチルアミノ基、エチルアントリルアミノ基、エチルフェナントリルアミノ基、エチルターフェニリルアミノ基、プロピルフェニルアミノ基、プロピルビフェニリルアミノ基、プロピルナフチルアミノ基、プロピルアントリルアミノ基、プロピルフェナントリルアミノ基、プロピルターフェニリルアミノ基、ブチルフェニルアミノ基、ブチルビフェニリルアミノ基、ブチルナフチルアミノ基、ブチルアントリルアミノ基、ブチルフェナントリルアミノ基、ブチルターフェニリルアミノ基、ペンチルフェニルアミノ基、ペンチルビフェニリルアミノ基、ペンチルナフチルアミノ基、ペンチルアントリルアミノ基、ペンチルフェナントリルアミノ基、ペンチルターフェニリルアミノ基、ヘキシルフェニルアミノ基、ヘキシルビフェニリルアミノ基、ヘキシルナフチルアミノ基、ヘキシルアントリルアミノ基、ヘキシルフェナントリルアミノ基、ヘキシルターフェニリルアミノ基、ヘプチルフェニルアミノ基、ヘプチルビフェニリルアミノ基、ヘプチルナフチルアミノ基、ヘプチルアントリルアミノ基、ヘプチルフェナントリルアミノ基、ヘプチルターフェニリルアミノ基、オクチルフェニルアミノ基、オクチルビフェニリルアミノ基、オクチルナフチルアミノ基、オクチルアントリルアミノ基、オクチルフェナントリルアミノ基、オクチルターフェニリルアミノ基等がある。
【0261】
ここで、R93およびR94としては、アルキル基が好ましい。特に好ましいものとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、および、tert−ブチル基があげられ、中でもエチル基が特に好ましい。
【0262】
95〜R98としては、アリール基が好ましい。特に好ましいものとしては、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、クオーターフェニリル基、o−トリル基、m−トリル基、および、p−トリル基があげられ、中でもp−トリル基が好ましい。
本発明で好適に用いられるピレン誘導体としては、下記一般式[14]で示されるものがあげられる。
【0263】
一般式[14]
【化16】

【0264】
(式中、R99〜R108は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、置換シリル基、または、下記一般式[15]で表されるカルバゾリル基を表す。但し、R99〜R108のうち、2ないし4つの基は、一般式[15]で表されるカルバゾリル基である。)
【0265】
一般式[15]
【化17】

【0266】
(式中、Ar15は、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、または、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基を表し、
109〜R115は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、置換シリル基、または、置換アミノ基を表す。また、R109およびR110、並びに、R111〜R115はそれぞれ隣接する基同士で結合して環を形成してもよい。)
【0267】
一般式[14]で示されるピレン誘導体において、R99〜R108のうち、いずれか2つが、それぞれ独立に一般式[15]で表されるカルバゾリル基を有するものが好ましく、その中でも、R99およびR102、または、R99およびR104が、それぞれ独立に一般式[15]で表わされるカルバゾリル基であるものがさらに好ましい。
【0268】
一般式[15]であらわされるカルバゾリル基のうち、Ar15が下記一般式[16]で表される置換もしくは未置換のフェニル基であるものが好ましい。
【0269】
一般式[16]
【化18】

【0270】
(式中、R116〜R120は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、置換シリル基、または、置換アミノ基を表す。また、R116およびR120はそれぞれ隣接する基同士で結合して環を形成してもよい。)
【0271】
下記一般式[16]で表される置換もしくは未置換のフェニル基としては、R116〜R120が、水素原子であるものが好ましい。
【0272】
一般式[15]であらわされるカルバゾリル基のうち、下記一般式[17]で表される基であるものが特に好ましい。
【0273】
一般式[17]
【化19】

【0274】
また、一般式[14]で示されるピレン誘導体において、R109〜R115のうち、一般式[15]で表わされるカルバゾリル基以外の基全てが、水素原子であるものが特に好ましい。
【0275】
以下に、一般式[14]〜[16]に関する詳細な説明をおこなう。
【0276】
まず、一般式[14]におけるR99〜R108は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、置換シリル基、または、一般式[15]で表わされるカルバゾリル基を表す。
【0277】
ここで、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0278】
また、1価の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜18の1価の脂肪族炭化水素基を指し、そのようなものとしては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基が挙げられる。
【0279】
ここで、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基といった炭素数1〜18のアルキル基が挙げられる。
【0280】
また、アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−オクテニル基、1−デセニル基、1−オクタデセニル基といった炭素数2〜18のアルケニル基が挙げられる。
【0281】
また、アルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−オクチニル基、1−デシニル基、1−オクタデシニル基といった炭素数2〜18のアルキニル基が挙げられる。
【0282】
また、シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクタデシル基といった炭素数3〜18のシクロアルキル基が挙げられる。
【0283】
さらに、1価の芳香族炭化水素基としては、1価の単環、縮合環、環集合炭化水素基が挙げられる。
ここで、1価の単環芳香族炭化水素基としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,4−キシリル基、p−クメニル基、メシチル基等の炭素数6〜18の1価の単環芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0284】
また、1価の縮合環炭化水素基としては、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アンスリル基、2−アンスリル基、5−アンスリル基、1−フェナンスリル基、9−フェナンスリル基、1−アセナフチル基、2−アズレニル基、1−ピレニル基、2−トリフェニレル基等の炭素数10〜18の1価の縮合環炭化水素基が挙げられる。
【0285】
また、1価の環集合炭化水素基としては、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、p−ビフェニリル基等の炭素数12〜18の1価の環集合炭化水素基が挙げられる。
【0286】
さらに、1価の脂肪族複素環基としては、2−ピラゾリノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、2−モルホリニル基といった炭素数3〜18の1価の脂肪族複素環基が挙げられる。
【0287】
さらに、1価の芳香族複素環基としては、トリアゾリル基、3−オキサジアゾリル基、2−フラニル基、3−フラニル基、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、1−ピロ−リル基、2−ピロ−リル基、3−ピロ−リル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピラジル基、2−オキサゾリル基、3−イソオキサゾリル基、2−チアゾリル基、3−イソチアゾリル基、2−イミダゾリル基、3−ピラゾリル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、N−インドリル基、N−カルバゾリル基、N−アクリジニル基、2−チオフェニル基、3−チオフェニル基、ビピリジル基、フェナントロリル基といった炭素数2〜18の1価の芳香族複素環基が挙げられる。
【0288】
さらに、置換シリル基としては、置換もしくは未置換のアルキル基、または、置換もしくは未置換のアリール基によって置換されたシリル基であり、モノアルキルシリル基、モノアリールシリル基、ジアルキルシリル基、ジアリールシリル基、トリアルキルシリル基、トリアリールシリル基等といった置換シリル基が挙げられる。
【0289】
ここで、モノアルキルシリル基としては、モノメチルシリル基、モノエチルシリル基、モノブチルシリル基、モノイソプロピルシリル基、モノデカンシリル、モノイコサンシリル基、モノトリアコンタンシリル基等のモノアルキルシリル基が挙げられる。
【0290】
また、モノアリールシリル基としては、モノフェニルシリル基、モノトリルシリル基、モノナフチルシリル基、モノアンスリルシリル基等のモノアリールシリルが挙げられる。
【0291】
また、ジアルキルシリル基としては、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジメチルエチルシリル基、ジイソプロピルシリル基、ジブチルシリル基、ジオクチルシリル基、ジデカンシリル基等のジアルキルシリル基が挙げられる。
【0292】
また、ジアリールシリル基としては、ジフェニルシリル基、ジトリルシリル基等のジアリールシリルが挙げられる。
【0293】
また、トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリブチルシリル基、トリオクチルシリル基等のトリアルキルシリル基が挙げられる。
【0294】
また、トリアリールシリル基としては、トリフェニルシリル基、トリトリルシリル基等のトリアリールシリルが挙げられる。
【0295】
これらR99〜R108における、1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基、1価の脂肪族複素環基、および、1価の芳香族複素環基は、さらに他の置換基によって置換されていても良い。そのような置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基、1価の脂肪族複素環基、1価の芳香族複素環基、置換シリル基が挙げられる。これらの置換基の例としては前述のものが挙げられる。
【0296】
また、一般式[14]中のR99〜R108のうち一般式[15]以外の基として、好ましいものとしては、水素原子、1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基が挙げられ、さらに好ましいものは、水素原子、1価の芳香族炭化水素基が挙げられ、特に好ましいものは、水素原子が挙げられる。
【0297】
次に、一般式[15]におけるR109〜R115は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、置換シリル基、および、置換アミノ基を表す。
【0298】
ここで、置換アミノ基としては、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N−ベンジルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基、N−フェニルアミノ基、N−フェニル−N−メチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ビス(m−トリル)アミノ基、N,N−ビス(p−トリル)アミノ基、N,N−ビス(p−ビフェニリル)アミノ基、ビス[4−(4−メチル)ビフェニリル]アミノ基、N−α−ナフチル−N−フェニルアミノ基、N−β−ナフチル−N−フェニルアミノ基等の炭素数2〜26の置換アミノ基が挙げられる。
【0299】
109〜R115における、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、および、置換シリル基、は、R99〜R108におけるハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、および、置換シリル基、と同義である。
【0300】
また、一般式中[16]、R116〜R120は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、置換シリル基、または、置換アミノ基を表す。また、R116およびR120はそれぞれ隣接する基同士で結合して環を形成してもよい。
【0301】
116〜R120における、ハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、および、置換シリル基、は、R99〜R108におけるハロゲン原子、置換もしくは未置換の1価の脂肪族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは未置換の1価の脂肪族複素環基、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基、シアノ基、および、置換シリル基、と同義である。
【0302】
また、一般式[15]におけるAr15は、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、または、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基を表す。
【0303】
Ar15における、置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、および、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基は、R109〜R115における置換もしくは未置換の1価の芳香族炭化水素基、および、置換もしくは未置換の1価の芳香族複素環基と同義である。
一般式[16]におけるAr15として、好ましいものとしては、未置換の1価の芳香族炭化水素基、未置換の1価の芳香族複素環基が挙げられ、さらに好ましいものは、未置換の1価の芳香族炭化水素基が挙げられ、特に好ましいものとしては、フェニル基が挙げられる。
【0304】
また、一般式[15]におけるR109〜R115として、好ましいものとしては、水素原子、1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基が挙げられ、さらに好ましいものは、水素原子、1価の芳香族炭化水素基が挙げられ、特に好ましいものは、水素原子が挙げられる。
【0305】
また、本発明に使用可能な発光材料の内、特に好ましいアントラセン誘導体、チオフェン誘導体、ビスインドールおよびその誘導体、ジベンゾシクロヘプタンおよびその誘導体、ペリレン誘導体、そして、ジケトピロロピロール誘導体の具体例を表7に示す。ここで、表7中、(1)〜(10)はアントラセン誘導体であり、(11)〜(20)はチオフェン誘導体であり、(21)〜(30)はビスインドール誘導体であり、(31)〜(40)はジベンゾシクロヘプタン誘導体であり、(41)〜(45)はペリレン誘導体であり、(46)〜(50)はジケトピロロピロール誘導体であり、(51)〜(60)はピレン誘導体である。
【0306】
表7
【表7】


【0307】
【表7】

【0308】
【表7】

【0309】
【表7】

【0310】
【表7】

【0311】
【表7】

【0312】
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子では、リン光発光材料を用いることもできる。この場合、本発明の化合物は発光層中のホスト材料として用いることができる。ここでいうリン光発光材料とは、励起三重項状態から基底状態へ遷移する際に発光する化合物を意味する。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子に使用できるリン光発光材料は、例えば有機金属錯体があげられ、ここで金属原子は通常、遷移金属であり、好ましくは周期では第5周期または第6周期、族では6族から11族、さらに好ましくは8族から10族の元素が対象となる。具体的にはイリジウムや白金などである。また、配位子としては2−フェニルピリジンや2−(2’−ベンゾチエニル)ピリジンなどがあり、これらの配位子上の炭素原子が金属と直接結合しているのが特徴である。別の例としてはポルフィリンまたはテトラアザポルフィリン環錯体などがあり、中心金属としては白金などが挙げられる。例えば、下記に示す公知のイリジウム錯体、白金錯体、および、ルテニルム錯体がリン光発光材料として好適に用いられる(ただし、Phはフェニル基を表す)。また、リン光発光材料としてはイリジウム錯体、白金錯体が特に好ましい。
【0313】
【化20】

【0314】
【化21】

【0315】
さらに、本発明の有機EL素子の陽極に使用される材料は、炭素、アルミニウム、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、タングステン、銀、金、白金、パラジウム等の金属およびそれらの合金、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)等の導電性金属酸化物、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性ポリマー等があげられる。特に本発明の有機EL素子の陽極に使用される導電性材料としては、できるだけ抵抗値の低いものが好ましく、ITOガラス、NESAガラスが好適に使用される。
【0316】
また、本発明の有機EL素子の陰極に使用される材料は、電子を効率よく有機EL素子に注入できる材料であれば特に限定されないが、一般に、白金、金、銀、銅、鉄、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびこれらの合金があげられる。ここで、合金としては、マグネシウム/銀、マグネシウム/インジウム、リチウム/アルミニウム等が代表例としてあげられるが、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの低仕事関数金属を含む合金が好ましい。また、フッ化リチウムのような無機塩を上記低仕事関数金属の替わりに使用することも可能である。また、これら陰極の作成方法としては、抵抗加熱、電子線ビーム照射、スパッタリング、イオンプレーティング、コーティングなどの業界公知の方法で作成することができる。以上述べた陽極および陰極は、必要に応じて二層以上の層構成により形成されていても良い。
【0317】
本発明の有機EL素子からの発光を効率よく取り出すためには、発光を取り出す面の基板の材質が充分透明であることが望ましく、具体的には素子からの発光の発光波長領域における透過率が50%以上、好ましくは90%以上であることが望ましい。これら基板は、機械的、熱的強度を有し、透明であれば特に限定されるものではないが、例えば、ガラスの他、ポリエチレン、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン等の透明性ポリマーが推奨される。
【0318】
また、本発明の有機EL素子の各層の形成方法としては、真空蒸着、電子線ビーム照射、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティング等の乾式成膜法、もしくはスピンコーティング、ディッピング、フローコーティング等の湿式成膜法のいずれかの方法を適用することができる。各層の膜厚は特に限定されるものではないが、膜厚が厚すぎると一定の光出力を得るために大きな印加電圧が必要となり効率が悪くなり、逆に膜厚が薄すぎるとピンホール等が発生し、電界を印加しても充分な発光輝度が得にくくなる。したがって、各層の膜厚は、1nmから1μmの範囲が適しているが、10nmから0.2μmの範囲がより好ましい。
【0319】
また、有機EL素子の温度、湿度、雰囲気等に対する安定性向上のために、素子の表面に保護層を設けたり、樹脂等により素子全体を被覆や封止を施したりしても良い。特に素子全体を被覆や封止する際には、光によって硬化する光硬化性樹脂が好適に使用される。
【0320】
以上述べたように、本発明の重合体を正孔注入層あるいは正孔輸送層に用いた有機EL素子は、低い駆動電圧で長時間の発光を得ることが可能である。故に、本有機EL素子は、壁掛けテレビ等のフラット・パネル・ディスプレーや各種の平面発光体として、さらには、複写機やプリンター等の光源、液晶ディスプレーや計器類等の光源、表示板、標識灯等への応用が考えられる。
【実施例】
【0321】
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0322】
まず、本発明の有機EL素子で用いる重合体の合成例について説明する。
【0323】
合成例1
モノマー(M1)の重合体(P1)の合成
機械式攪拌機、滴下ロートを備える1Lのガラスフラスコに、トルエン200mLを入れ、ジイソオクチルスルホコハク酸ナトリウム(東京化成工業社製)3.52gとモノマー(M1)6.53gを溶解させた。この溶液を撹拌しながら、1N塩酸200mLを加え、氷水浴にてフラスコを冷却した。ここに、過硫酸アンモニウム5.36g を1N塩酸200mLに溶解した溶液を、上記滴下ロートより滴下してモノマーの重合を開始させた。フラスコを氷水浴で冷却しながら重合反応させ、24時間後に撹拌を停止した。反応溶液を分液ロートに移し、二層に分離した反応溶液から水相を廃棄し、トルエン有機相をイオン交換水で2回洗浄した。目的物を含むトルエン溶液から揮発分(有機溶剤)を減圧留去して、プロトネーションされた固形状の重合体(P1)を得た
【0324】
合成例2〜16
実合成例1モノマー(M1)を表1のモノマー(M2)〜(M16)に変えた以外は、実施例1と同じ方法で重合し、重合体(P2)〜(P16)を得た。
【0325】
次に、本発明の有機EL素子作製の実施例を示す。また、電極面積2mm×2mmの有機EL素子の特性を測定した。
【0326】
実施例1
洗浄したITO電極付きガラス板上に、合成例1で合成した重合体(P1)をトルエンに溶解させ、スピンコーティング法により膜厚60nmの正孔注入層を作製した後、表3のHTM8を真空蒸着して膜厚20nmの正孔輸送層を作製した。次いで、表7中の化合物(1)を真空蒸着して膜厚50nmの発光層を得た。さらに、トリス(8−ヒドロキシキノリノ)アルミニウム錯体(Alq3)を真空蒸着して膜厚20nmの電子注入層を作成し、その上に、まずフッ化リチウムを1nm、次いでアルミニウム(Al)を200nm蒸着して電極を形成し、有機EL素子を得た。各層は10-6Torrの真空中で、基板温度室温の条件下で蒸着した。この素子は、8Vにて発光輝度11000(cd/m2)の青色発光を示し、その色度は、x=0.16、y=0.05であった。この素子を発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、電流密度10mA/cm2で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表8に示す。
【0327】
実施例2〜6
重合体(P1)を、それぞれ(P2)、(P6)、(P9)(P10)、(P13)、の重合体に変えた以外は、実施例1と同じ方法で有機EL素子を作製した。それぞれの素子を発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、それぞれの素子を電流密度10mA/cm2で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表8に示す。
【0328】
実施例7〜12
発光層を表7中の化合物(11)に変えた以外は、実施例1〜16と同じ方法で有機EL素子を作製した。それぞれの素子を発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、それぞれの素子を電流密度10mA/cm2で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表8に示す。
【0329】
実施例13〜18
発光層を表7中の化合物(21)に変えた以外は、実施例1〜16と同じ方法で有機EL素子を作製した。それぞれの素子を発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、それぞれの素子を電流密度10mA/cm2で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表8に示す。
【0330】
実施例19〜24
発光層を表7中の化合物(31)に変えた以外は、実施例1〜16と同じ方法で有機EL素子を作製した。それぞれの素子を発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、それぞれの素子を電流密度10mA/cm2で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表8に示す。
【0331】
実施例25〜30
発光層を表7中の化合物(41)に変えた以外は、実施例1〜16と同じ方法で有機EL素子を作製した。それぞれの素子を発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、それぞれの素子を電流密度10mA/cm2で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表8に示す。
【0332】
比較例1〜5
正孔注入層として、重合体(P1)の代わりにPEDOT・PSS(H.C.Starck社製バイトロンP)を塗布した膜厚60nmの薄膜を設ける以外は、実施例1、7、13、19、および、25と同様の方法で有機EL素子を作製した。それぞれの素子を発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、電流密度10mA/cm2で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表8に示す。
【0333】
表8
【表8】

【0334】
表8からも明らかなように、本発明の有機EL素子はいずれも、比較例の素子よりも、高い輝度が得られ、経時の安定性も優れていた。特に比較例の素子は、輝度半減寿命の測定および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した際、ダークスポットの発生により、輝度の正確な測定ができないものであった。これは、PEDOT・PSSの吸湿性によるものと予想される。
【0335】
実施例31
ITO電極付きガラス板上に、合成例1で合成した重合体(P2)をトルエンに溶解させ、スピンコーティング法により膜厚60nmの正孔注入層を作製した。次に、表7の化合物(2)と化合物(A)とを100:5の組成比で共蒸着して膜厚45nmの発光層を形成した。さらに化合物(B)を蒸着して膜厚20nmの電子注入層を形成した。その上に、酸化リチウム(Li2O)を1nm、さらにAlを100nm蒸着によって陰極を形成して有機EL素子を得た。この素子は、直流電圧10Vでの外部量子効率は3.6%を示した。また、発光輝度500(cd/m2)で定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、電流密度10mA/cm2で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表9に示す。
【0336】
【化22】

【0337】
【化23】

【0338】
実施例32〜50
表7の化合物(1)の代わりに、表7の化合物(2)〜(5)、(11)〜(15)、(21)〜(25)、(31)〜(35)に変えた以外は、実施例31と同じ方法で有機EL素子を作製した。それぞれの素子を発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、それぞれの素子を電流密度10mA/cm2で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表9に示す。
【0339】
比較例6〜9
表7の化合物(1)の代わりに、化合物(C)〜(F)を用いた以外は、実施例31と同じ方法で有機EL素子を作製した。それぞれの素子を発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、それぞれの素子を電流密度10mA/cm2で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表9に示す。
【0340】
【化24】

【0341】
【化25】

【0342】
【化26】

【0343】
【化27】

【0344】
表9
【表9】

【0345】
表9からも明らかなように、本発明の有機EL素子はいずれも、比較例の素子よりも、高い輝度が得られ、経時の安定性も優れていた。
【0346】
実施例51
ITO電極付きガラス板上に、化合物(G)を蒸着して15nmの正孔注入層を作製し、その上に、合成例12で合成した重合体(P12)をトルエンに溶解させ、スピンコーティング法により膜厚60nmの正孔輸送層を作製した。次に、表7の化合物(6)と化合物(H)とを100:7の組成比で共蒸着して膜厚50nmの発光層を形成した。さらに表5の化合物(ET8)を蒸着して膜厚20nmの電子注入層を形成した。その上に、フッ化リチウム(LiF)を0.5nm、さらにAlを100nm蒸着によって陰極を形成して有機EL素子を得た。この素子は、直流電圧6Vでの外部量子効率は6.1%を示した。また、発光輝度500(cd/m2)で定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、電流密度10mA/cm2で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表10に示す。
【0347】
【化28】

【0348】
【化29】

【0349】
実施例52〜70
表7の化合物(6)の代わりに、表7の化合物(7)〜(10)、(16)〜(20)、(26)〜(30)、(36)〜(40)に変えた以外は、実施例51と同じ方法で有機EL素子を作製した。それぞれの素子を発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、それぞれの素子を電流密度10mA/cm2で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表10に示す。
【0350】
表10
【表10】

【0351】
実施例71
ITO電極付きガラス板上に、合成例4で合成した重合体(P5)をトルエンに溶解させ、スピンコーティング法により膜厚60nmの正孔注入層を作製した。次に、表7の化合物(1)と化合物(I)とを5:100の組成比で共蒸着して膜厚40nmの発光層を形成した。さらに表4の化合物(EX3)を蒸着して膜厚25nmの電子注入層を形成した。その上に、カルシウム(Ca)を20nm、さらにAlを150nm蒸着によって陰極を形成して有機EL素子を得た。この素子は、直流電圧8Vでの外部量子効率は3.4%を示した。また、発光輝度500(cd/m2)で定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、電流密度10mA/cm2で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表11に示す。
【0352】
【化30】

【0353】
実施例72〜90
表7の化合物(1)の代わりに、表7の化合物(2)〜(5)、(11)〜(15)、(21)〜(25)、(31)〜(35)に変えた以外は、実施例71と同じ方法で有機EL素子を作製した。それぞれの素子を発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、それぞれの素子を電流密度10mA/cm2で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表11に示す。
【0354】
表11
【表11】

【0355】
実施例91
ITO電極付きガラス板上に、合成例8で合成した重合体(P8)をトルエンに溶解させ、スピンコーティング法により膜厚40nmの正孔注入層を作製した。次に、表7の化合物(6)と化合物(J)とを7:100の組成比で共蒸着して膜厚40nmの発光層を形成した。さらに表6の化合物(ES1)を蒸着して膜厚15nmの電子注入層を形成した。その上に、フッ化リチウム(LiF)を1nm、さらにAlを200nm蒸着することによって陰極を形成して有機EL素子を得た。この素子は、直流電圧10Vでの輝度は11500(cd/m2)であった。また、発光輝度500(cd/m2)で定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、電流密度10mA/cm2で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表12に示す。
【0356】
【化31】

【0357】
実施例92〜110
表7の化合物(6)の代わりに、表7の化合物(7)〜(10)、(16)〜(20)、(26)〜(30)、(36)〜(40)に変えた以外は、実施例51と同じ方法で有機EL素子を作製した。それぞれの素子を発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、それぞれの素子を電流密度10(mA/cm2)で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表12に示す。
【0358】
表12
【表12】

【0359】
実施例111
ITO電極付きガラス板上に、合成例12で合成した重合体(P12)をトルエンに溶解させ、スピンコーティング法により膜厚40nmの正孔注入層を作製した。次に、表7の化合物(41)と表7の化合物(46)とを100:5の組成比で共蒸着して膜厚50nmの発光層を形成した。さらに表4の化合物(EX3)を蒸着して膜厚25nmの電子注入層を形成した。その上に、フッ化リチウム(LiF)を1nm、さらにAlを200nm蒸着することによって陰極を形成して有機EL素子を得た。この素子は、直流電圧9Vでの輝度は12200(cd/m2)であった。また、発光輝度500(cd/m2)で定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、電流密度10mA/cm2で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表13に示す。
【0360】
実施例112〜115
表7の化合物(46)の代わりに、表7の化合物(47)〜(50)に変えた以外は、実施例111と同じ方法で有機EL素子を作製した。それぞれの素子を発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、それぞれの素子を電流密度10(mA/cm2)で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表13に示す。
【0361】
実施例116〜119
表7の化合物(41)の代わりに、表7の化合物(42)〜(45)に変えた以外は、実施例111と同じ方法で有機EL素子を作製した。それぞれの素子を発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、それぞれの素子を電流密度10(mA/cm2)で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表13に示す。
【0362】
比較例10
表7の化合物(46)の代わりに、化合物(K)に変え、そして、表7の化合物(41)の代わりに、化合物(L)に変えた以外は、実施例111と同じ方法で有機EL素子を作製した。それぞれの素子を発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、それぞれの素子を電流密度10(mA/cm2)で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表13に示す。
【0363】
【化32】

【0364】
【化33】

【0365】
表13
【表13】

【0366】
表13からも明らかなように、本発明の有機EL素子はいずれも、比較例の素子よりも、高い輝度が得られ、経時の安定性も優れていた。
【0367】
実施例120
ITO電極付きガラス板上に、合成例15で合成した重合体(P15)をトルエンに溶解させ、スピンコーティング法により膜厚80nmの正孔注入層を作製した。次に、化合物(L)と化合物(M)とを7:100の組成比で共蒸着して膜厚40nmの発光層を形成した。さらに化合物(M)を蒸着して膜厚15nmの電子注入層を形成した。その上に、フッ化リチウム(LiF)を1nm、さらにAlを200nm蒸着することによって陰極を形成して有機EL素子を得た。この素子は、直流電圧10Vでの輝度は13500(cd/m2)であった。また、発光輝度500(cd/m2)で定電流駆動したときの輝度半減寿命は1000時間以上であり。また、電流密度10mA/cm2で駆動させた時の初期輝度は480(cd/m2)であり、80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度の低下率は2割以下であった。
【0368】
【化34】


【0369】
【化35】

【0370】
実施例121
ITO電極付きガラス板上に、合成例16で合成した重合体(P16)をトルエンに溶解させ、スピンコーティング法により膜厚40nmの正孔注入層を作製した後、表3の化合物(HTM1)を真空蒸着して膜厚30nmの正孔輸送層を作製した。次に、化合物(N)と化合物(O)とを10:100の組成比で共蒸着して膜厚40nmの発光層を形成した。さらに化合物(M)を蒸着して膜厚15nmの正孔阻止層を作製した後、表4の化合物(EX1)を蒸着して膜厚25nmの電子注入層を形成した。その上にフッ化リチウム(LiF)を0.5nm、さらにAlを200nm蒸着することによって陰極を形成して有機EL素子を得た。この素子は、直流電圧8Vでの輝度は9800(cd/m2)であった。また、発光輝度500(cd/m2)で定電流駆動したときの輝度半減寿命は1000時間以上であり。また、電流密度10mA/cm2で駆動させた時の初期輝度は440(cd/m2)であり、80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度の低下率は2割以下であった。
【0371】
【化36】


【0372】
【化37】

【0373】
実施例122〜131
表7の化合物(1)の代わりに、表7の化合物(51)〜(60)に変えた以外は、実施例31と同じ方法で有機EL素子を作製した。それぞれの素子を発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、それぞれの素子を電流密度10mA/cm2で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表14に示す。
【0374】
比較例11
表7の化合物(1)の代わりに、化合物(P)に変えた以外は、実施例31と同じ方法で有機EL素子を作製した。それぞれの素子を発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、それぞれの素子を電流密度10mA/cm2で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表14に示す。
【0375】
【化38】

【0376】
表14
【表14】

【0377】
以上詳細に説明したように、本発明の重合体は、ウェットプロセス成膜が可能であり、それを用いた有機EL素子は、種々の発光色相を呈し、耐熱性が高く、特に本発明の重合体を正孔注入、輸送材料として用いると、正孔注入、輸送性が高く高発光輝度及び高発光効率で、長寿命である。このため、本発明の有機EL素子は、実用性が高く、壁掛テレビの平面発光体やディスプレイのバックライト等の光源として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも発光層を含む一層以上の有機層を陽極と陰極で構成された一対の電極で挟持してなる有機EL素子において、該有機層が正孔輸送層及び/又は正孔注入層を有するエレクトロルミネッセンス素子であって、下記一般式[1]で表されるモノマーをプロトン酸で処理し、酸化重合により製造されてなるか、または下記一般式[1]で表されるモノマーを酸化重合し、プロトン酸で処理することで製造されてなる重合体が該正孔輸送層及び/又は正孔注入層に含有される有機エレクトロルミネッセンス素子。
一般式[1]
【化1】

(式中、R1〜R18は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアシルオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルファニル基、置換基を有してもよいアリールスルファニル基、置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいアリールスルフィニル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいカルバモイル基、置換基を有してもよいスルファモイル基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいホスフィノイル基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、ハロゲン基、ニトロ基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、または、シアノ基を表す。ここで、R1〜R5のうち少なくとも一つは水素原子であり、かつR6〜R10のうち少なくとも一つは水素原子である。)
【請求項2】
前記発光層がアントラセンまたはその誘導体、チオフェンまたはその誘導体、ビスインドールまたはその誘導体、ジベンゾシクロへプタンまたはその誘導体、ペリレンまたはその誘導体、ジケトピロロピロールまたはその誘導体、ピレンまたはその誘導体、イリジウム錯体、白金錯体から選ばれる少なくとも一種を含む請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項3】
前記正孔輸送層及び/又は正孔注入層を湿式製膜法で形成し、前記発光層を乾式成膜法で形成する請求項1〜2のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

【公開番号】特開2010−225950(P2010−225950A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−73012(P2009−73012)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】