説明

重水素標識ケタミン

式(I)の置換シクロヘキサノン系NMDA受容体調節剤、その調製プロセス、その医薬組成物、およびその使用方法を本明細書で開示する。


式I

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年4月26日に出願の、米国仮出願第60/914,121号の優先権の利益を主張し、その開示は、参照することによりその全体が本明細書に書かれているかのように、本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、シクロヘキサノン系N−メチルd−アスパラギン酸(NMDA)受容体調節剤、その薬剤として許容される塩およびプロドラッグ、その化学合成、ならびにNMDA受容体媒介疾患の治療および/または管理のためのこのような化合物の医療的使用に関するものである。
【背景技術】
【0003】
ケタミン(ケタロール(登録商標)、ケタジェクト(登録商標)、ケタラール(登録商標))は、N−メチルd−アスパラギン酸(NMDA)受容体によるカルシウム、ナトリウムおよびカリウム輸送の推定上の非競合的拮抗薬である。ケタミンはNDMA受容体のアロステリック部位にて結合する。ケタミンは解離麻酔および鎮痛を誘発および維持するために使用される。ケタミンおよび他の機構的に同様の薬剤、例えばフェンシクリジン(PCP)、アマンタジン、イボガイン、亜酸化窒素およびデキストロメトルファンは、ベンゾジアゼピン(およびトリアゾロベンゾジアゼピン)としばしば同時投与される。ケタミンはオピオイドとの相乗効果を有する。多くの非NMDA麻酔剤は血管緊張、血圧、および呼吸を調節するため、その有用性は人工呼吸および心臓機能薬の存在および供給によって支配される。NMDA受容体拮抗薬はこの欠点を被らない。ケタミン誘発効果は迅速であるが、それらは長続きしない(Grant et al,British journal of Anesthesiology 1983,55,1107−1111;Anderson et al,Biomedicine & Pharmacotherapy 2006,60,303−309;Clements et al,Journal of Pharmaceutical Sciences 1982,77(5),539−542;Hyjazi et al,British Journal of Anaesthesia 2003,90(2),155−160;Mazar et al,Anesthesiology 2005,102,1174−1181;Obach,Drug Metabolism and Disposition 1999,27(11),1350−1359;Persson et al,European Journal of Clinical Pharmacology 2002,57,869−875;White et al,British Journal of Anaesthesia 1985,57,197−203;Yanagihara et al,Biopharmaceutics & Drug Disposition 2003,24,37−43。
【化1】

ケタミン
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ケタミンの半減期は、投与方式に応じて約2〜約5時間の範囲に及び得る。ケタミンの経鼻投与はケタミンの半減期を延長するだけでなく、他の投与形式よりも高い生物学的利用能を与え、Fは約20%〜50%の範囲に及ぶ。ケタミンは〜0.82の血液対血漿比を与え、血液脳関門を容易に通過する。ケタミンは独自の特徴をそれぞれ備えた2種類のエナンチオマーを有する。S−(+)異性体はR−(−)異性体の約4倍の効力である。各エナンチオマーは同様の半減期を有する。S−(+)異性体は麻酔を誘発するのに優れていることが報告されており、より早い回復をもたらし、より低い覚醒時譫妄の発生率を有する。しかし、S−(+)異性体はより全体的な副作用を引き起こすが、副作用は軽微と見なされる。神経保護および神経分解でのケタミンの役割は不明瞭である。急性的なケタミンの使用は脳血流量を増加させて、それにより脳虚血の進行を妨げることによって、そして投与中に正常な心臓パラメータを維持することによって、神経保護を与えることができる。他方、長期のケタミン使用は、神経分解に関連している動物での空胞形成を引き起こす。しかし、空胞形成が親ドラッグ自体の作用から生じるのか、またはその代謝物の1種の作用から生じるのかは明らかでない。ケタミンは主にCYP3A4によって触媒された酸化によって、広範な初回通過代謝を受ける。ケタミンの1次代謝物は、通例は「ノルケタミン」と呼ばれるN−デスメチルケタミンである。ノルケタミンは親ドラッグのほぼ3分の1の効力であり、約5時間の半減期を有する。別の検出された代謝物であるデヒドロノルケタミンは、実際のin vivo代謝物とは対照的に汚染物質であり得る。排出された物質の多くがグルクロン酸抱合化またはヒドロキシル化物質より成る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では構造式I
【化2】

(I)
を有する化合物またはその薬剤として許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ
が開示され、
式中:
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16は、水素および重水素から成る群から独立して選択され;
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16の少なくとも1つは重水素である。
【0006】
さらに、NMDA受容体媒介疾患の1つ以上の症状を治療、予防、または改善するための方法であって、治療上有効な量の、本明細書で開示される少なくとも1つの化合物、またはその薬剤として許容される塩、溶媒和物、またはプロドラッグを、被験体に投与するステップを含む方法を、本明細書に開示する。
【0007】
本明細書では、侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、幻肢痛、虚血性疼痛、脳卒中、敗血症、炎症、オピオイド耐性、アルツハイマー病、火傷を含むが、これらに限定されない疾患、麻酔剤、鎮痛剤、エンセオジェン、カタレプシー治療剤、または神経保護剤を投与することによって軽減、緩和、もしくは受益し得る任意の疾患、および/またはNMDA受容体を調節することによって軽減、緩和、もしくは受益し得る任意の疾患を含む1つ以上の症状を治療、予防、または改善する方法がさらに開示される。
【0008】
また、本明細書で開示される化合物を含む、製造品およびキットも本明細書に開示する。単に例として、キットまたは製造品は、本明細書に記載される所望の量の少なくとも1つの化合物(または化合物の医薬組成物)を含む、容器(ボトル等)を含み得る。さらに、そのようなキットまたは製造品は、本明細書で開示される該化合物(または化合物の医薬組成物)を使用する説明書をさらに含み得る。説明書は、容器に添付することができるか、または容器を保持するパッケージ(箱、もしくはプラスチックまたはホイル製の袋)に含めることができる。
【0009】
別の態様において、NMDA受容体を調節することによって被験体の障害を治療する薬剤の製造における化合物の使用は、本明細書で開示する通りである。さらなるまたは代わりの実施形態において、前記疾患は、侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、幻肢痛、虚血性疼痛、脳卒中、敗血症、炎症、オピオイド耐性、アルツハイマー病、火傷、麻酔剤、鎮痛剤、エンセオジェン、カタレプシー治療剤、または神経保護剤を投与することによって軽減、緩和、もしくは受益し得る任意の疾患、および/またはNMDA受容体によって軽減、緩和、もしくは受益し得る任意の疾患である。
【0010】
別の態様において、NMDA受容体調節剤、または他の薬剤として許容される誘導体、例えばプロドラッグ誘導体、または個々の異性体および異性体もしくはそのエナンチオマーの混合物として化合物を調製するプロセスは本明細書で開示される通りである。
【0011】
または本明細書では、本明細書で開示した化合物によって医薬組成物を調合するプロセスも開示される。
【0012】
さらなる実施形態において、前記医薬組成物は、本明細書で開示した化合物および1つ以上の薬剤として許容される担体を含む。
【0013】
特定の実施形態において、前記医薬組成物は1つ以上の放出制御賦形剤を含む。
【0014】
他の実施形態において、前記医薬組成物は1つ以上の非放出制御賦形剤をさらに含む。
【0015】
特定の実施形態において、前記医薬組成物は、経口、非経口、または点滴静脈内投与に好適である。
【0016】
なお他の実施形態において、前記医薬組成物は錠剤、またはカプセル剤を含む。
【0017】
特定の実施形態において、本明細書で開示される化合物は、0.5ミリグラムから1000ミリグラムの用量で投与される。
【0018】
なおさらなる実施形態において、前記医薬組成物は別の治療剤をさらに含む。
【0019】
他の実施形態において、前記治療剤は、NMDA受容体調節剤、オピオイド、麻酔剤、局所作用筋弛緩剤、ベンゾジアゼピン系薬物、エンドセリン変換酵素(ECE)阻害剤、トロンボキサン酵素拮抗薬、カリウムチャネル開口薬、トロンビン阻害剤、成長因子阻害剤、血小板活性化因子(PAF)拮抗薬、抗血小板剤、第VIIa因子阻害剤、第Xa因子阻害剤、レニン阻害剤、中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、バソペプチダーゼ阻害剤、HMG CoAレダクターゼ阻害剤、スクアレン合成酵素阻害剤、フィブラート系薬剤、胆汁酸抑制剤、抗アテローム硬化症薬、MTP阻害剤、カルシウムチャネル遮断薬、カリウムチャネル活性化薬、α−PDE5剤、β−PDE5剤、抗不整脈剤、利尿薬、抗糖尿病剤、PPAR−γ作用薬、ミネラルコルチコイド酵素拮抗薬、aP2阻害剤、タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤、抗炎症薬、抗増殖剤、化学療法剤、免疫抑制剤、抗癌剤、細胞毒性薬、代謝拮抗薬、ファルネシル−タンパク質転移酵素阻害剤、ホルモン剤、微小管破壊剤、微小管安定剤、トポイソメラーゼ阻害剤、プレニル−タンパク質転移酵素阻害剤、シクロスポリン、TNF−α阻害剤、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤、金化合物、および白金配位複合体から成る群から選択される、別の治療薬を含有する。
【0020】
他の実施形態において、前記治療剤はNMDA受容体調節剤である。
【0021】
さらなる実施形態において、前記NMDA受容体調節剤は、フェンシクリジン(PCP)、アマンタジン、イボガイン、メマンチン、亜酸化窒素、およびデキストロメトルファンから成る群から選択される。
【0022】
他の実施形態において、前記治療剤はオピオイドである。
【0023】
さらなる実施形態において、前記オピオイドは、モルヒネ、コデイン、テバイン、ジアセチルモルヒネ、オキシコドン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、オキシモルホン、ニコモルフィン、フェンタニル、α−メチルフェンタニル、アルフェンタニル、スフェンタニル、レミフェンタニル、カーフェンタニル、オーメフェンタニル、ペチジン、ケトベミドン、プロポキシフェン、デキストロプロポキシフェン、メタドン、ロペラミド、ペンタゾシン、ブプレノルフィン、エトルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン、レボルファノール、ナロキソン、ナルトレキソン、およびトラマドールから成る群から選択される。
【0024】
他の実施形態において、前記治療剤は麻酔剤である。
【0025】
なお他の実施形態において、前記麻酔剤はジエチルエーテル、ビニルエーテル、ハロタン、クロロホルム、メトキシフルラン、エンフルラン、トリクロロエチレン、イソフルラン、デスフルラン、セボフルラン、メトヘキシタール、ヘキソバルビタール、チオペンタール、ナルコバルビタール、フェンタニル、アルフェンタニル、スフェンタニル、フェノペリジン、アニレリジン、レミフェンタニル、ドロペリドール、ケタミン、プロパニジド、アルファキサロン、エトミデート、プロポフォール、ヒドロキシ酪酸、亜酸化窒素、エスケタミン、メタブテタミン、プロカイン、テトラカイン、クロロプロカイン、ベンゾカイン、ブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、プリロカイン、ブタニリカイン、シンコカイン、エチドカイン、アルチカイン、ロピバカイン、レボブピバカイン、コカイン、塩化エチル、ジクロニン、フェノールおよびカプサイシンから成る群から選択される。
【0026】
他の実施形態において、前記治療剤は末梢作用筋弛緩剤である。
【0027】
なお他の実施形態において、前記末梢作用筋弛緩剤は、アルクロニウム、ジメチルツボクラリン、ツボクラリン、スキサメトニウム、アトラクリウム、シサトラクリウム、ドキサクリウムクロリド、臭化ファザジニウム、ガラミン、ヘキサフルオロニウム、塩化ミバクリウム、パンクロニウム、臭化ピペクロニウム、臭化ロクロニウム、ベクロニウム、およびボツリヌス毒素から成る群から選択される。
【0028】
他の実施形態において、前記治療剤はベンゾジアゼピンである。
【0029】
なお他の実施形態において、前記ベンゾジアゼピンは、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロナゼパム、ジアゼパム、エスタゾラム、フルニトラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、トリアゾラム、テマゼパム、およびクロルジアゼポキシドから成る群から選択される。
【発明の効果】
【0030】
本発明のさらなる実施形態において、治療上有効な量の本明細書で開示される化合物を被験体に投与することによって、NDMA受容体媒介疾患の1つ以上の症状の治療、予防、または改善の方法。
【0031】
他の実施形態において、前記NDMA受容体媒介疾患は、侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、幻肢痛、虚血性疼痛、脳卒中、敗血症、炎症、オピオイド耐性、アルツハイマー病、および火傷から成る群から選択される。
【0032】
さらなる実施形態において、前記NMDA受容体媒介疾患は、麻酔剤、鎮痛剤、エンセオジェン、カタレプシー治療剤、および神経保護剤から成る群から選択される薬剤を使用することによって軽減、緩和、または予防され得る。
【0033】
特定の実施形態において、前記麻酔剤は全身麻酔を促進する。
【0034】
なお他の実施形態において、前記NMDA受容体媒介疾患は、NDMA受容体調節剤を投与することによって軽減、緩和、または予防され得る。
【0035】
他の実施形態において、該化合物は、以下の特性のうちの少なくとも1つを有する:
a)非同位体濃縮化合物と比較して、前記化合物またはその代謝物の血漿中濃度の個人 間変動の減少、
b)非同位体濃縮化合物と比較して、前記化合物の、その用量単位当たりの平均血漿中濃度の増加、
c)非同位体濃縮化合物と比較して、前記化合物の少なくとも1つの代謝物の、その用量単位当たりの平均血漿中濃度の減少、
d)非同位体濃縮化合物と比較して、前記化合物の少なくとも1つの代謝物の、その用量単位当たりの平均血漿中濃度の増加、および
e)非同位体濃縮化合物と比較して、その用量単位当たりの、該被験体における治療中の臨床効果の改善。
【0036】
またさらなる実施形態において、該化合物は、以下の特性のうちの少なくとも2つを有する:
a)非同位体濃縮化合物と比較して、前記化合物またはその代謝物の血漿中濃度の個人間変動の減少、
b)非同位体濃縮化合物と比較して、前記化合物の、その用量単位当たりの平均血漿中濃度の増加、
c)非同位体濃縮化合物と比較して、前記化合物の少なくとも1つの代謝物の、その用量単位当たりの平均血漿中濃度の減少、
d)非同位体濃縮化合物と比較して、前記化合物の少なくとも1つの代謝物の、その用量単位当たりの平均血漿中濃度の増加、および
e)非同位体濃縮化合物と比較して、その用量単位当たりの、該被験体における治療中の臨床効果の改善。
【0037】
特定の実施形態において、該化合物の代謝は、非同位体濃縮化合物と比較して、該被検体における少なくとも1つの多様に発現されたチトクロームP450アイソフォームにより、その用量単位当たり減少する。
【0038】
他の実施形態において、該チトクロームP450アイソフォームは、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6から成る群から選択される。
【0039】
またさらなる実施形態において、該化合物は、非同位体濃縮化合物と比較して、その用量単位当たり、該被験体において少なくとも1つのチトクロームP450またはモノアミンオキシダーゼアイソフォームの阻害が減少するという特徴がある。
【0040】
特定の実施形態において、該チトクロームP450またはモノアミンオキシダーゼアイソフォームは、CYP1A1、CYP1A2、CYP1B1、CYP2A6、CYP2A13、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C18、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP2G1、CYP2J2、CYP2R1、CYP2S1、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A5P1、CYP3A5P2、CYP3A7、CYP4A11、CYP4B1、CYP4F2、CYP4F3、CYP4F8、CYP4F11、CYP4F12、CYP4X1、CYP4Z1、CYP5A1、CYP7A1、CYP7B1、CYP8A1、CYP8B1、CYP11A1、CYP11B1、CYP11B2、CYP17、CYP19、CYP21、CYP24、CYP26A1、CYP26B1、CYP27A1、CYP27B1、CYP39、CYP46、CYP51、MAOA、およびMAOBから成る群から選択される。
【0041】
他の実施形態において、前記方法は疾患の治療に影響を及ぼし、同時に、対応する非同位体濃縮化合物と比較して、診断用肝機能エンドポイントの有害変化を低減または排除する。
【0042】
またさらなる実施形態において、診断用肝胆機能エンドポイントは、アラニンアミノ基転移酵素(「ALT」)、血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(「SGPT」)、アスパラギン酸アミノ基転移酵素(「AST」または「SGOT」)、ALT/AST比,血清アルドラーゼ、アルカリホスファターゼ(「ALP」)、アンモニア濃度、ビリルビン、γ−グルタミントランスペプチターゼ(「GGTP」、「γ−GTP」、または「GGT」)、ロイシンアミノペプチダーゼ(「LAP」)、肝生検、肝臓超音波検査、肝臓核スキャン、5´−ヌクレオチダーゼ、および血液タンパク質から成る群から選択される。
【0043】
(文献の引用)
[背景技術]の項にある出版物および参考文献を含む、本明細書に引用されるすべての出版物および参考文献は、参照することによりその全体が、本明細書に明確に組み込まれる。しかしながら、組み込まれた出版物または参考文献と、本書に明確に示されるか、または定義されるものとの両方に見られる任意の同様または同一の用語に関しても、本書に明確に示される、それらの用語の定義または意味が、あらゆる点で優位に立つものとする。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本明細書に記載される開示の理解を容易にするために、多くの用語を以下に定義する。一般に、本明細書で使用する命名法ならびに本明細書に記載する有機化学、医薬品化学、および薬理学における実験手順は当分野で周知であり、一般に利用されるものである。別途定義しない限り、本明細書で使用するすべての技術的および科学的用語は、本開示が属する分野で普通に理解されるのと同じ意味を一般に有する。本明細書で使用される用語に対して、複数の定義がある場合、別段の指定がない限り、本項の定義が優先する。
【0045】
本明細書で使用される、単数形「a」、「an」、および「the」は、具体的に別段の指定がない限り、複数のものを指すことができる。
【0046】
「被験体」という用語は、霊長動物(例えば、ヒト、サル、チンパンジー、ゴリラ等)、齧歯動物(例えば、ラット、マウス、アレチネズミ、ハムスター、フェレット等)、ウサギ目の動物、ブタ(例えば、家畜ブタ、ミニブタ)、ウマ科の動物、イヌ科の動物、ネコ科の動物等を含む動物を指すが、これらに限定されない。「被験体」および「患者」という用語は、例えばヒト患者などの哺乳類被験体に関しては、本明細書で互換的に使用される。
【0047】
「治療する」、「治療すること」、および「治療」という用語は、疾患、または該疾患に関連する症状のうちの1つ以上の緩和もしくは消滅、または該疾患自体の緩和または根絶を意図的に含む。
【0048】
「予防する」、「予防すること」、および「予防」という用語は、疾患の発現、および/またはその付随する症状を遅延させるか、または防止する、被験体が疾患に罹ることから防御する、および/または被験体が疾患に罹るリスクを削減する方法を指す。
【0049】
「治療上有効な量」という用語は、投与されると、治療される疾患の症状のうちの1つ以上の発生を予防する、またはある程度緩和するのに十分である、化合物の量を指す。「治療上有効な量」という用語は、研究者、獣医、医師、または臨床医により求められる、細胞、組織、システム、動物、またはヒトの生物学的または医学的反応を導くに十分である、化合物の量も指す。
【0050】
「薬剤として許容される担体」、「薬剤として許容される賦形剤」、「生理学的に許容される担体」、または「生理学的に許容される賦形剤」という用語は、液体または固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、または封入材料等の、薬剤として許容される材料、組成物、または媒体を指す。各成分は、医薬製剤の他の成分と適合性があるという意味において、「薬剤として許容され」なければならない。それはまた、合理的なリスク対効果比に見合った、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性、または他の問題または合併症のない、ヒトおよび動物の組織または器官と接触する際の使用に好適でなければならない。Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition;Lippincott Williams & Wilkins:Philadelphia,PA,2005;Handbook of Pharmaceutical Excipients,5th Edition;Rowe et al.,Eds.,The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association:2005;およびHandbook of Pharmaceutical Additives,3rd Edition;Ash and Ash Eds.,Gower Publishing Company:2007;Pharmaceutical Preformulation and Formulation,Gibson Ed.,CRC Press LLC:Boca Raton,FL,2004)を参照。
【0051】
「重水素濃縮」という用語は、水素の代わりの、分子中の所与の位置における重水素の取り込みの割合を指す。例えば、所与の位置における1%の重水素濃縮は、所与の試料中の分子の1%が、特定の位置で重水素を含むことを意味する。重水素の自然発生的な分布が、約0.0156%であるため、非濃縮出発材料を使用して合成される化合物中の、任意の位置における重水素濃縮は、約0.0156%である。重水素濃縮は、質量分析法および核磁気共鳴分光法などの従来の分析方法を使用して決定され得る。
【0052】
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16等の分子中の所与の位置を記載するために使用される、「重水素である」という用語、または分子構造の図中の所与の位置を表すために使用される、記号「D」は、特定の位置が、重水素の自然発生的な分布上で、重水素で濃縮されることを意味する。一実施形態において、重水素濃縮は、特定の位置における、少なくとも約1%、別の実施形態において、少なくとも約5%、別の実施形態において、少なくとも約10%、別の実施形態において、少なくとも約20%、別の実施形態において、少なくとも約50%、別の実施形態において、少なくとも約70%、別の実施形態において、少なくとも約80%、別の実施形態において、少なくとも約90%、別の実施形態において、少なくとも約98%の重水素である。
【0053】
「同位体濃縮」という用語は、一元素のより一般的な同位体の代わりに、分子中の所与の位置に該元素のあまり一般的ではない同位体を取り込む割合を指す。
【0054】
「非同位体濃縮の」という用語は、様々な同位体の割合が、自然発生的な割合と実質的に同様である、分子を指す。
【0055】
「実質的に純粋な」および「実質的に均質な」という用語は、薄層クロマトグラフィ(TLC)、ゲル電気泳動法、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、核磁気共鳴法(NMR)、および質量分光法(MS)を含むが、これらに限定されない、標準的な分析法により確定される、容易に検出できる不純物がないと思われるほど十分に均質性であること、またはさらなる精製が、物理的および化学的特性、または物質の酵素および生物活性等の生物学的および薬理学的特性を検出可能な程度に変更しないほど、十分純粋であることを意味する。特定の実施形態において、「実質的に純粋な」または「実質的に均質な」は、分子の少なくとも約50%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%が、標準的な分析法により確定されるように、混合物または単一立体異性体を含む単一化合物である、分子の集合体を指す。
【0056】
「約」または「およそ」という用語は、部分的に、その値がどのように測定または確定されたのかに依存する、特定の値に対する許容可能な誤差を意味する。特定の実施形態において、「約」は、1つ以上の標準偏差を意味し得る。
【0057】
「活性成分」および「活性物質」という用語は、疾患の1つ以上の症状を治療、予防、または改善するために、単独で、または1つ以上の薬剤として許容される賦形剤および/または担体と併用して、被験体に投与する化合物を指す。
【0058】
「薬物」、「治療薬」、および「化学療法薬」という用語は、疾患の1つ以上の症状を治療、予防、または改善するために、被験体に投与される化合物、またはその医薬組成物を指す。
【0059】
本明細書で使用される、「疾患」という用語は、概して同義であることを意図し、すべてが、正常な機能を損ない、通常際立った兆候および症状が現れる、身体またはその部分のうちの1つの異常な病状を反映するという点において、「疾病」、「症候群」および「病態」(病状において見られるような)の用語と代替可能に用いられる。
【0060】
「放出制御賦形剤」という用語は、主要な作用が、従来の即時放出剤形と比較して、剤形からの活性物質の放出の持続時間または位置を修正する、賦形剤を指す。
【0061】
「非放出制御賦形剤」という用語は、主要な作用が、従来の即時放出剤形と比較して、剤形からの活性物質の放出の持続時間または位置を修正することを含まない、賦形剤を指す。
【0062】
「NMDA」という用語は、特定の細胞膜を越えるイオン、特にカルシウム、ナトリウム、およびカリウムの輸送を促進するタンパク質である、N−メチルd−アスパラギン酸受容体を指す。
【0063】
「NMDA受容体媒介疾患」という用語は、異常なNMDA受容体活性またはその活性が修飾されるときに他の異常な生物学的プロセスの緩和に至る正常なNMDA受容体活性を特徴とする疾患を指す。NMDA受容体媒介疾患は、異常なNMDA受容体によって完全または部分的に介在され得る。特に、NMDA受容体媒介疾患とは、NMDA受容体活性の調節が、基礎疾患に何らかの影響をもたらすものであり、例えば、NMDA受容体の調節が、治療される患者のうちの少なくとも一部において、何らかの改善をもたらす。
【0064】
「NMDA受容体調節剤」または「NMDA受容体の調節」という用語は、本明細書で開示する化合物がNMDA受容体の機能を変更する能力を指す。調節剤はNMDA受容体の活性を活性化させ得る、NMDA受容体に曝露された化合物の濃度に応じてNMDA受容体の活性を活性化もしくは阻害し得る、またはNMDA受容体の活性を阻害し得る。そのような活性化または阻害は、シグナル伝達経路の活性化等の特定の事象の発生に付随するものであり得、および/または特定の細胞型においてのみ現れ得る。「NMDA受容体調節剤」または「NMDA受容体の調節」という用語は、NMDA受容体と天然の結合パートナーとの間で複合体が形成する確率を上昇または低下させることによって、NMDA受容体の機能を変更することも指す。NMDA受容体調節剤は、NMDA受容体と天然の結合パートナーとの間で複合体が形成する確率を上昇させ得る、NMDA受容体に曝露される化合物の濃度に応じてNMDA受容体と天然の結合パートナーとの間で複合体が形成する確率を上昇もしくは低下させ得る、およびまたはNMDA受容体と天然の結合パートナーとの間で複合体が形成する確率を低下させ得る。いくつかの実施形態において、NMDA受容体は、参照することにより、その全体が本明細書に組み込まれている、米国特許第5,707,798号に記載されている受容体選択および増幅技術(R−SAT)を使用して評価され得る。
【0065】
「保護基」または「除去可能な保護基」という用語は、ヒドロキシルもしくはカルボキシル基の酸素原子、またはアミノ基の窒素原子等の官能基に結合すると、その官能基での反応の発生を阻止し、従来の化学的または酵素的ステップにより、官能基を再建するために除去され得る、基を指す(Greene and Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Ed.,John Wiley & Sons,New York,NY,1999)。
【0066】
「ハロゲン」、「ハロゲン化物」、または「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を含む。
【0067】
「離脱基」(LG)という用語は、求核試薬によって置換された後にそのアニオン形または中性形で安定である任意の原子(または原子の基)も指す。「離脱基」の定義は:水、メタノール、エタノール、塩化物、臭化物、ヨウ化物、例えばメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩等のアルキルスルホン酸塩、例えばベンゼンスルホン酸塩、トリルスルホン酸塩等のアリールスルホン酸塩、例えばトリフルオロメタンスルホン酸塩、トリクロロメタンスルホン酸塩等のペルハロアルカンスルホン酸塩、例えば酢酸塩等のアルキルカルボン酸塩、例えばトリフルオロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩等のペルハロアルキルカルボン酸塩、例えば安息香酸塩等のアリールカルボン酸塩を含むが、これらに限定されない。
【0068】
「臭素化試薬」は、臭素化反応で使用される反応性化学試薬を指し、臭素化反応によって臭素は基質に移される。塩素化剤の例は、臭化銅(II)、テトラブロモメタン、N−ブロモスクシンイミド、臭化水素酸、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、三臭化リン、塩化臭素、気体臭素、臭化スルフリル、液体臭素、および三臭化アルミニウムを含むが、これらに限定されない。
【0069】
「アルキル」および「置換アルキル」という用語は、代替可能であり、特定の数の炭素原子を有する、置換、任意に置換、および非置換のC−C10直鎖脂肪族飽和炭化水素基、置換、任意に置換、および非置換のC−C10直鎖脂肪族不飽和炭化水素基、置換、任意に置換、および非置換のC−C10分岐状脂肪族飽和炭化水素基、置換および非置換のC−C10分岐状脂肪族不飽和炭化水素基、置換、任意に置換、および非置換のC−C環状脂肪族飽和炭化水素基、置換、任意に置換、および非置換のC−C環状脂肪族不飽和炭化水素基を含む。例えば、「アルキル」の定義は:メチル(Me)、トリデューテロメチル(−CD)、エチル(Et)、プロピル(Pr)、ブチル(Bu)、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、イソプロピル(i−Pr)、イソブチル(i−Bu)、tert−ブチル(t−Bu)、sec−ブチル(s−Bu)、イソペンチル、ネオペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、メチルシクロプロピル、エチルシクロヘキセニル、ブテニルシクロペンチル、アダマンチル、ノルボルニル等を含むものとするが、これらに限定されない。アルキル置換基は、水素、重水素、ハロゲン、−OH、−SH、−NH、−CN、−NO、=O、=CH、トリハロメチル、カルバモイル、アリールC0−10アルキル、ヘテロアリールC0−10アルキル、C1−10アルキルオキシ、アリールC0−10アルキルオキシ、C1−10アルキルチオ、アリールC0−10アルキルチオ、C1−10アルキルアミノ、アリールC0−10アルキルアミノ、N−アリール−N−C0−10アルキルアミノ、C1−10アルキルカルボニル、アリールC0−10アルキルカルボニル、C1−10アルキルカルボキシ、アリールC0−10アルキルカルボキシ、C1−10アルキルカルボニルアミノ、アリールC0−10アルキルカルボニルアミノ、テトラヒドロフリル、モルホリニル、ピペラジニル、ヒドロキシピロニル、−C0−10アルキルCOOR30および−C0−10アルキルCONR3132(式中、R30、R31、およびR32は、水素、重水素、アルキル、アリールから成る群から独立して選択されるか、またはR32およびR33は、それらが結合される窒素とともに、本明細書で定義される少なくとも1つの置換基を有する、3つから8つの炭素原子を含有する飽和環状系または不飽和環状系を形成する)から成る群から独立して選択される。
【0070】
本開示に記載される目的を踏まえて、「アルキル」またはC−H結合を通常含む任意の基へのすべての言及は、本明細書に概説される改善に影響を与えるために必要とされる、部分的または完全重水素化型を含み得る。
【0071】
重水素速度論的同位体効果
その循環系から治療薬等の異物を排除するために、動物体は、これらの異物と反応し、これらの異物を腎排泄のために、より極性の中間体または代謝物に変換するために、チトクロームP450酵素またはCYP、エステラーゼ、プロテアーゼ、レダクターゼ、デヒドロゲナーゼ、およびモノアミンオキシダーゼ等の様々な酵素を発現する。医薬化合物の最も一般的な代謝反応の中には、炭素−水素(C−H)結合から、炭素−酸素(C−O)または炭素−炭素(C−C)π−結合のいずれかへの酸化を伴うものもある。得られた代謝物は、生理学的病態下で、安定または不安定であり得て、親化合物に対して、実質的に相違する薬物動態学的、薬力学的、ならびに急性および長期毒性プロフィールを有し得る。ほとんどの薬物に対して、そのような酸化は、概して急速であり、最終的に複数または高い日用量の投与をもたらす。
【0072】
活性化エネルギーと反応速度との関係は、アレニウスの式、k=Ae−Eact/RTにより定量化され得て、Eactは、活性化エネルギーであり、Tは、温度であり、Rは、モル気体定数であり、kは、反応速度定数であり、A(頻度因子)は、分子が、正しい配向でぶつかる可能性に左右される、各反応に特異的な定数である。アレニウスの式は、エネルギー障壁を越えるのに十分なエネルギーを有する分子の留分、すなわち、活性化エネルギーと少なくとも同等のエネルギーを有する分子の割合が、熱エネルギー(RT)に対する活性化エネルギーの比、特定温度で分子が有する熱エネルギーの平均量に指数関数的に左右されることを示す。
【0073】
反応の遷移状態は、最初の結合がその限界に及んでいる間、反応経路に沿って持続の短い状態(約10−14秒)である。定義により、反応に対する活性化エネルギーEactは、その反応の遷移状態に達するために必要とされるエネルギーである。複数のステップを伴う反応は、必然的に多くの遷移状態を有し、これらの場合、反応に対する活性化エネルギーは、反応体と最も不安定な遷移状態との間のエネルギー差に等しい。一度遷移状態に達すると、分子が、元の状態に戻り得る、したがって、元の反応体を再形成し得るか、あるいは新しい結合が形成され、生成物をもたらす。前および後ろ両方の経路が、エネルギー放出をもたらすため、この二分法が可能である。触媒は、遷移状態をもたらす活性化エネルギーを低下させることにより、反応プロセスを容易にする。酵素は、特定の遷移状態に達するために必要なエネルギーを減少させる、生物学的触媒の例である。
【0074】
炭素−水素結合は、本質的に共有化学結合である。同様の電気陰性度の2つの原子が、それらの価電子のいくつかを共有することにより、原子を結び付ける強さを生成する場合、そのような結合が形成される。この強さまたは結合力は、定量化され得て、エネルギーの単位で表され、そのようなものとして、様々な原子間の共有結合は、結合を切断するか、または2つの原子を分離するために、結合に印加されなければならないエネルギーの量に従い、分類され得る。
【0075】
結合力は、結合の基底状態の振動エネルギーの絶対値に正比例する。この振動エネルギーは、ゼロ点振動エネルギーとしても知られるが、結合を形成する原子の質量に左右される。結合を作る原子の1つまたは両方の質量が増加すると、ゼロ点振動エネルギーの絶対値は、増加する。重水素(D)が、水素(H)の2倍の質量を有するため、C−D結合が、対応するC−H結合よりも強いという結果になる。C−D結合による化合物は、HO中で無限に安定している場合が多く、同位体研究に広く使用されてきた。C−H結合が、化学反応中の律速段階(すなわち、最高遷移状態エネルギーを有する段階)の間に切断される場合、その水素の重水素への置換により、反応速度の減少を引き起こし、プロセスは、速度を落とす。この現象は重水素速度論的同位体効果(DKIE)として知られ、DKIEは、約1(同位体効果なし)から50以上等の非常に大きな数に及び得て、水素が重水素で置換された場合、反応が、50倍以上も遅くなり得ることを意味する。高DKIE値は、不確定性原理の結果であるトンネル現象として知られる現象に、ある程度起因し得る。トンネル現象の原因は、小さな質量の水素原子にあると見なされ、プロトンを伴う遷移状態が、必要とされる活性化エネルギーがない場合に形成され得るため、発生する。重水素はより大きく、この現象を受ける確率は統計的にはるかに低い。水素の三重水素への置換は、重水素よりもさらに強い結合をもたらし、数値的により大きい同位体効果を与える。
【0076】
Ureyにより1932年に発見されたように、重水素(D)は、水素の安定および非放射性同位体である。それは、純粋な形でその元素から分離された最初の同位体であり、水素の2倍の質量を有し、地球上での水素の全質量(この用法では、すべての水素同位体を意味する)の約0.02%を占める。2つの重水素原子が、1つの酸素と結合する場合、重水素酸化物(DOまたは「重水」)が形成される。DOは、HOと同様の外観および味を有するが、異なる物理的性質を有する。DOは101.41℃で沸騰し、3.79℃で凍結する。その熱容量、融解熱、蒸発熱、およびエントロピーはすべてHOよりも高い。DOはまた、より粘性であり、HOほど強力な溶媒ではない。
【0077】
純DOが齧歯動物に与えられる場合、それは容易に吸収され、通常、摂取される濃度の約80%である、平衡レベルに達する。毒性を誘導するために必要とされる重水素の量は、非常に高い。体内の水分の0%から15%ほどが、DOに置き換えられた場合、動物は健康であるが、対照(未治療)群と同じぐらい速く体重を増加させることは不可能である。体内の水分の約15%から約20%が、DOに置き換えられた場合、動物は、興奮性になる。体内の水分の約20%から約25%が、DOに置き換えられた場合、動物は非常に興奮性になり、刺激を受けると頻繁な痙攣を起こす。皮膚病変、手足および鼻口部上の潰瘍、ならびに尾の壊死が、出現する。また、動物は、非常に攻撃的になり、雄は、ほとんど手に負えなくなる。体内の水分の約30%が、DOに置き換えられた場合、動物は、摂食を拒否し、昏睡状態になる。それらの体重は激減し、それらの代謝速度は、通常よりもはるかに減少し、約30%から約35%のDOによる置き換えでは、死に至る。効果は、以前の体重の30%超が、DOにより減少していない限り、可逆性である。研究はまた、DOの使用が、癌細胞の増殖を遅延させ、特定の抗癌薬の細胞毒性を増強させることを示している。
【0078】
三重水素(T)は、研究、核融合炉、中性子発生装置、および放射性医薬品に使用される、水素の放射性同位体である。三重水素の蛍光体との混合は、腕時計、コンパス、ライフル照準器、および出口標識に一般的に使用される技術である、連続光源をもたらす。それは、Rutherford、Oliphant、およびHarteckにより1934年に発見され、宇宙線がH分子と反応する際、上層大気中で自然に生成される。三重水素は核内に中性子2個を有する水素原子であり、3に近い原子量を有する。三重水素は、環境おいて非常に低濃度で自然に発生して、最も一般的には無色および無臭液体であるTOとして見出される。三重水素は、ゆっくりと崩壊し(半減期=12.3年)、ヒト皮膚の外層に浸透することが不可能な低エネルギーβ粒子を放出する。内部被爆は、この同位体に関連する主要な危険有害性であるが、著しい健康上のリスクを生じさせるには大量に摂取されなければならない。重水素と比較して、危険なレベルに到達するまでに、より少量の三重水素が摂取されなければならない。
【0079】
薬物動態(PK)、薬理作用(PD)、および毒性プロフィールを改善させるための調合薬の重水素化は、いくつかの分類の薬物でこれまで実証されてきた。例えば、DKIEは、恐らくトリフルオロアセチルクロリド等の反応種の生成を制限することにより、ハロタンの肝毒性を減少させるために使用された。しかしながら、この方法は、すべての薬物分類には適用され得ない。例えば、重水素の包含は、活性化第1相酵素(例えばチトクロームP4503A4)からより高速のオフ速度で酸化中間体さえ与え得る代謝スイッチに達し得る。代謝スイッチの概念は、異種(xenogen)が、第I相酵素により隔離される場合、化学反応(例えば、酸化)前に、一時的に結合、かつ様々な構造で再結合し得ることを断言する。この仮説は、多くの第I相酵素中の比較的大きいサイズの結合ポケット、および多くの代謝反応の寛容な性質により支持される。代謝スイッチは、完全に新しい代謝物に加えて、既知の代謝物の異なる割合を潜在的にもたらし得る。この新しい代謝プロフィールは、より多い、またはより少ない毒性を与え得る。そのような落とし穴は自明ではなく、いかなる薬物分類に対しても、これまでのところ先験的に十分に予測可能ではない。
【0080】
重水素化シクロヘキサノン誘導体
ケタミンは、置換シクロヘキサンン系NMDA拮抗薬である。ケタミンの炭素−水素結合は、水素同位体の自然発生的な分布、すなわち、Hつまりプロチウム(約99.9844%)、Hつまり重水素(約0.0156%)、およびHつまり三重水素(1018プロチウム原子当たり、約0.5から67の三重水素原子の範囲で)を含む。重水素の取り込みレベルの増加は、自然発生的なレベルの重水素を有する化合物と比較して、そのようなNMDA調節剤の薬物動態、薬理および/または毒性プロフィールに影響を与え得る、検出可能な動力学同位体効果(KIE)を生成する。
【0081】
ヒトにおける主なケタミン代謝物は、N−メチル基の脱メチル化から、そしてシクロヘキサノン基のヒドロキシル化によって生じる。ケタミンの芳香環C−H結合の酸化から生じる代謝物を含む、他の代謝物も存在し得る。得られた上述の代謝物の毒性および薬理学は確実に既知ではないが、C−H結合の酸化は毒性の可能性がある反応性代謝物の形成につながり得る。そのような代謝物の生成の制限は、そのような薬物の投与の危険性を減少させ、用量の増加および付随する効能の増加を可能にさえすることができる。様々な重水素化パターンは、a)不要な代謝物を減少させるか、または排除するため、b)親薬物の半減期を増加させるため、c)所望の効果を得るために必要とされる投与回数を減少させるため、d)所望の効果を得るために必要とされる投与量を減少させるため、e)形成された場合、活性代謝物の形成を増加させるため、かつ/またはf)特定組織内の有害な代謝物の生成を減少させ、および/またはポリファーマシーが意図的であるかないかにかかわらず、ポリファーマシーに対して、より効果的な薬物および/またはより安全な薬物を生成するために使用され得る。重水素化手法は、各種の酸化機構によって代謝を低速化する強い可能性を有する。
【0082】
一実施形態において、構造式I:
【化3】

(I)
を有する化合物、またはその薬剤として許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグが本明細書で開示され
式中:
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16は、水素および重水素から成る群から独立して選択され;
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16の少なくとも1つは重水素である。
【0083】
別の実施形態において、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16のうちの少なくとも1つは、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約50%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約98%の重水素濃縮を独立して有する。
【0084】
さらなる実施形態において、該化合物は、実質的に単一エナンチオマー、約90重量%以上の(−)エナンチオマーと約10重量%以下の(+)エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(+)エナンチオマーと約10重量%以下の(−)エナンチオマーとの混合物、実質的に個々のジアステレオマー、または約90重量%以上の個々のジアステレオマーと約10重量%以下の任意の他のジアステレオマーとの混合物である。
【0085】
他の実施形態において、Rは水素である。いくつかの実施形態において、Rは水素である。他の実施形態において、Rは水素である。また他の実施形態において、Rは水素である。また他の実施形態において、Rは水素である。また他の実施形態において、Rは水素である。さらに他の実施形態において、Rは水素である。さらに他の実施形態において、Rは水素である。いくつかの実施形態において、Rは水素である。他の実施形態において、R10は水素である。また他の実施形態において、R11は水素である。さらに他の実施形態において、R12は水素である。また他の実施形態において、R13は水素である。他の実施形態において、R14は水素である。特定の実施形態において、R15は水素である。他の実施形態において、R16は水素である。
【0086】
他の実施形態において、Rは重水素である。いくつかの実施形態において、Rは重水素である。他の実施形態において、Rは重水素である。また他の実施形態において、Rは重水素である。また他の実施形態において、Rは重水素である。また他の実施形態において、Rは重水素である。さらに他の実施形態において、Rは重水素である。さらに他の実施形態において、Rは重水素である。いくつかの実施形態において、Rは重水素である。他の実施形態において、R10は重水素である。また他の実施形態において、R11は重水素である。さらに他の実施形態において、R12は重水素である。また他の実施形態において、R13は重水素である。他の実施形態において、R14は重水素である。特定の実施形態において、R15は重水素である。他の実施形態において、R16は重水素である。
【0087】
また他の実施形態において、R、R、R、R、R、およびRの少なくとも1つは重水素である。
【0088】
また他の実施形態において、R、R、R、R、R、およびRは重水素である。
【0089】
また他の実施形態において、R、R、R、R、R、R、R、およびRの少なくとも1つは重水素である。
【0090】
また他の実施形態において、R、R、R、R、R、R、R、およびRは重水素である。
【0091】
また他の実施形態において、R、R10、およびR11の少なくとも1つは重水素である。
【0092】
また他の実施形態において、R、R10、およびR11は重水素である。
【0093】
また他の実施形態において、R12は重水素である。
【0094】
また他の実施形態において、R13、R14、R15、およびR16の少なくとも1つは重水素である。
【0095】
また他の実施形態において、R13、R14、R15、およびR16は重水素である。
【0096】
また他の実施形態において、R、R、R、R、R、およびRの少なくとも1つは重水素であり;R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16は水素である。
【0097】
また他の実施形態において、R、R、R、R、R、およびRは重水素であり;R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16は水素である。
【0098】
また他の実施形態において、R、R、R、R、R、R、R、およびRの少なくとも1つは重水素であり;R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16は水素である。
【0099】
また他の実施形態において、R、R、R、R、R、R、R、およびRは重水素であり;R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16は水素である。
【0100】
また他の実施形態において、R、R10、およびR11の少なくとも1つは重水素であり;R、R、R、R、R、R、R、R、R12、R13、R14、R15、およびR16は水素である。
【0101】
また他の実施形態において、R、R10、およびR11は重水素であり;R、R、R、R、R、R、R、R、R12、R13、R14、R15、およびR16は水素である。
【0102】
また他の実施形態において、R12は重水素であり;R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、R14、R15、およびR16は水素である。
【0103】
また他の実施形態において、R13、R14、R15、およびR16の少なくとも1つは重水素であり;R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、およびR12は水素である。
【0104】
また他の実施形態において、R13、R14、R15、およびR16は重水素であり;R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、およびR12は水素である。
【0105】
また他の実施形態において、本明細書で開示する化合物は:
【化4】

【化5】


【化6】

【化7】


またはその薬剤として許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグから成る群から選択される。
【0106】
別の実施形態において、Dで表される位置の少なくとも1つは、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約50%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または、少なくとも約98%の重水素濃縮を独立して有する。
【0107】
さらなる実施形態において、該化合物は、実質的に単一エナンチオマー、約90重量%以上の(−)エナンチオマーと約10重量%以下の(+)エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(+)エナンチオマーと約10重量%以下の(−)エナンチオマーとの混合物、実質的に個々のジアステレオマー、または約90重量%以上の個々のジアステレオマーと約10重量%以下の任意の他のジアステレオマーとの混合物である。
【0108】
さらなる実施形態において、本明細書で開示される化合物は:
【化8】

から成る群から選択される。
【0109】
別の実施形態において、Dで表される位置の少なくとも1つは、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約50%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または、少なくとも約98%の重水素濃縮を独立して有する。
【0110】
さらなる実施形態において、該化合物は、実質的に単一エナンチオマー、約90重量%以上の(−)エナンチオマーと約10重量%以下の(+)エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(+)エナンチオマーと約10重量%以下の(−)エナンチオマーとの混合物、実質的に個々のジアステレオマー、または約90重量%以上の個々のジアステレオマーと約10重量%以下の任意の他のジアステレオマーとの混合物である。
【0111】
特定の実施形態において、本明細書で開示される化合物は、化合物の約60重量%以上の(−)エナンチオマーと、化合物の約40重量%以下の(+)エナンチオマーとを含む。特定の実施形態において、本明細書で開示される化合物は、化合物の約70重量%以上の(−)エナンチオマーと、化合物の約30重量%以下の(+)エナンチオマーとを含む。特定の実施形態において、本明細書で開示される化合物は、化合物の約80重量%以上の(−)エナンチオマーと、化合物の約20重量%以下の(+)エナンチオマーとを含む。特定の実施形態において、本明細書で開示される化合物は、化合物の約90重量%以上の(−)エナンチオマーと、化合物の約10重量%以下の(+)エナンチオマーとを含む。特定の実施形態において、本明細書で開示される化合物は、化合物の約95重量%以上の(−)エナンチオマーと、化合物の約5重量%以下の(+)エナンチオマーとを含む。特定の実施形態において、本明細書で開示される化合物は、化合物の約99重量%以上の(−)エナンチオマーと、化合物の約1重量%以下の(+)エナンチオマーとを含む。
【0112】
特定の実施形態において、本明細書で開示される化合物は、化合物の約60重量%以上の(+)エナンチオマーと、化合物の約40重量%以下の(−)エナンチオマーとを含む。特定の実施形態において、本明細書で開示される化合物は、化合物の約70重量%以上の(+)エナンチオマーと、化合物の約30重量%以下の(−)エナンチオマーとを含む。特定の実施形態において、本明細書で開示される化合物は、化合物の約80重量%以上の(+)エナンチオマーと、化合物の約20重量%以下の(−)エナンチオマーとを含む。特定の実施形態において、本明細書で開示される化合物は、化合物の約90重量%以上の(+)エナンチオマーと、化合物の約10重量%以下の(−)エナンチオマーとを含む。特定の実施形態において、本明細書で開示される化合物は、化合物の約95重量%以上の(+)エナンチオマーと、化合物の約5重量%以下の(−)エナンチオマーとを含む。特定の実施形態において、本明細書で開示される化合物は、化合物の約99重量%以上の(+)エナンチオマーと、化合物の約1重量%以下の(−)エナンチオマーとを含む。
【0113】
本明細書で開示される化合物である重水素化化合物は、炭素の13Cまたは14C、硫黄の33S、34S、または36S、窒素の15N、および酸素の17Oまたは18Oを含むが、これらに限定されない、他の元素のあまり一般的ではない同位体も含み得る。
【0114】
特定の実施形態において、いかなる学説にも束縛されるものではないが、本明細書で開示される化合物におけるC−D結合のすべてが、DOまたはDHOとして代謝および放出されると仮定して、本明細書で開示される化合物は、患者を最大約0.000005%DOまたは約0.00001%DHOに曝露し得る。この量は、循環におけるDOまたはDHOの自然発生的なバックグラウンド濃度のごくわずかである。特定の実施形態において、動物における毒性を引き起こすことが示されるDOの濃度は、本明細書で開示される重水素濃縮化合物による、曝露した最大限度の濃度よりもはるかに大きい。したがって、特定の実施形態において、本明細書で開示される重水素濃縮化合物は、重水素の使用により、いかなる追加の毒性も引き起こすはずがない。
【0115】
一実施形態において、本明細書で開示される重水素化化合物は、実質的に最大耐量を増加させ、毒性を減少させ、半減期(T1/2)を増加させ、最小有効量(MED)の最大血漿濃度(Cmax)を減少させ、有効量を減少させ、したがって、非機構関連の毒性を減少させ、および/または薬物−薬物相互作用の可能性を減少させる一方で、対応する非同位体濃縮分子の有益な面を維持する。
【0116】
同位体水素は、取り込み速度があらかじめ定められた、重水素化試薬を用いる合成技術により、かつ/または取り込み速度が平衡条件により確定され、反応条件に応じて、非常に可変であり得る交換技術により、本明細書で開示される化合物に導入され得る。三重水素または重水素を、既知の同位体含有量を有する三重水素化または重水素化試薬により、直接かつ特異的に挿入する合成技術は、高い三重水素または重水素存在量をもたらし得るが、必要とされる化学的性質により制限され得る。一方で、交換技術は、多くの場合、分子上の多くの位置にわたって分布する同位体により、より低い三重水素または重水素の取り込みをもたらし得る。
【0117】
本明細書で開示される化合物は、当業者に既知の方法およびその日常的な修正形態、ならびに/または本明細書の[実施例]の項に記載されるものと類似した以下の手順およびその日常的な修正形態、ならびに/またはHopfgartner et al.,J.Mass.Spectrom.1996,31,69−76、米国特許第3,254,124号に見出される手順、ならびにそこで引用された参考文献およびその日常的な修正形態によって調製され得る。本明細書で開示される化合物は、以下のスキームおよびその日常的な修正形態のいずれかにおいて示されるように、調製することもできる。
【0118】
例えば、本明細書で開示される特定の化合物は、スキーム1に示す通り、調製することができる。
スキーム1
【化9】

【0119】
グリニャール試薬2(シクロペンチルブロミド1を削り状マグネシウムと反応させて調製)を2−クロロベンゾニトリル3と適切な溶媒、例えばジエチルエーテル中で、適切な触媒、例えば臭化銅(I)の存在下で反応させて、ケトン4を得る。次に化合物4を臭素化試薬、例えば臭化銅(II)と適切な溶媒、例えば酢酸エチル中で高温にて反応させて、ブロモケトン5を得る。化合物5を水性メチルアミンと反応させてヒドロキシイミン6を得て、次にこれを高温にて適切な溶媒、例えば安息香酸エチル中に再配置して式Iのシクロヘキサノン7を得る。
【0120】
重水素は、適切な重水素化中間体を使用することにより、スキーム1に示される合成手順に従って、合成的に異なる位置に取り込まれ得る。例えば、重水素をR、R、R、R、R、R、RおよびRのうちの1つ以上の位置に導入するために、対応する重水素置換を有するシクロペンチルブロミドを使用することができる。重水素をR、R10、およびR11のうちの1つ以上の位置に導入するために、対応する重水素置換を有するメチルアミンを使用することができる。重水素をR13、14、R15、およびR16のうちの1つ以上の位置に導入するために、対応する重水素置換を有する2−クロロベンゾニトリルを使用することができる。これらの重水素化中間体は、市販されているか、あるいは当業者に既知の方法、または本明細書の[実施例]の項に記載されるものと類似した手順、およびその日常的な修正形態に従って調製することができる。
【0121】
重水素は、また、プロトン−重水素平衡交換を介して、アミンN−H等の交換可能なプロトンを有する様々な位置に取り込むことができる。重水素をR12に導入するために、当分野で既知のプロトン−重水素交換法によってこのプロトンは選択的にまたは非選択的に重水素で置換され得る。
【0122】
本明細書に提供される化合物は、“Stereochemistry of Carbon Compounds”Eliel and Wilen,John Wiley & Sons,New York,1994,pp.1119−1190に記載されるような、1つ以上のキラル中心、キラル軸、および/またはキラル面を含み得ることを理解されたい。そのようなキラル中心、キラル軸、およびキラル面は、(R)または(S)構造であり得るか、あるいはその混合物であり得る。
【0123】
少なくとも1つのキラル中心を有する化合物を含む組成物を、特徴付けるための別の方法は、偏光ビームへの組成物の効果による。平面偏光ビームが、キラル化合物の溶液を通過する際、現れる偏光面は、元の面に対して回転する。この現象は、光学活性として知られており、偏光面を回転させる化合物は、光学活性があるといわれる。化合物の1つのエナンチオマーは、偏光ビームを一方向に回転させ、他方のエナンチオマーは、光ビームを反対方向に回転させる。偏光を時計回りに回転させるエナンチオマーは、(+)エナンチオマーであり、偏光を反時計回りに回転させるエナンチオマーは、(−)エナンチオマーである。本明細書で開示される化合物の0%から100%の(+)および/または(−)エナンチオマーを含む組成物が、本明細書に記載される組成物の範囲内に含まれる。
【0124】
本明細書で開示される化合物が、アルケニルまたはアルケニレン基を含む場合、化合物は、幾何cis/trans(またはZ/E)異性体の1つまたは混合物として存在し得る。構造異性体が、低エネルギー障壁を介して相互変換可能な場合、本明細書で開示される化合物は、単一互変異性体、または互変異性体の混合物として存在し得る。これは、例えばイミノ、ケト、またはオキシム基を含む本明細書で開示される化合物において、プロトン互変異性の形態、または芳香族部分を含む化合物において、いわゆる原子価互変異性の形態を取り得る。当然、単一化合物は、2つ以上の異性を示し得るということになる。
【0125】
本明細書で開示される化合物は、単一エナンチオマーもしくは単一ジアステレオマー等、エナンチオマー的に純粋であり得るか、またはエナンチオマーの混合物、ラセミ混合物、もしくはジアステレオマー混合物等の、立体異性体混合物であり得る。したがって、その(R)形態である化合物の投与は、in vivoでエピマー化される化合物については、その(S)形態の化合物の投与と同等であることを、当業者は認識する。個々のエナンチオマーの調製/分離のための従来の技術は、例えば、キラルクロマトグラフィー、再結晶、分割、ジアステレオマー塩形成、またはジアステレオマー付加物への誘導体化に続いて分離を使用する、好適な光学的に純粋な先駆体からのキラル合成、またはラセミ化合物の分割を含む。
【0126】
本明細書で開示される化合物が、酸性または塩基性部分を含む場合、それは、薬剤として許容される塩としても開示され得る(Berge et al.,J.Pharm.Sci.1977,66,1−19、および“Handbook of Pharmaceutical Salts,Properties,and Use,”Stah and Wermuth,Ed.;Wiley−VCH and VHCA,Zurich,2002を参照)。
【0127】
薬剤として許容される塩の調製で使用する好適な酸は、酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アシル化アミノ酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、ホウ酸、(+)ショウノウ酸、カンファースルホン酸、(+)(1S)−カンファー−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、D−グルクロン酸、L−グルタミン酸、α−オキソ−グルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、(+)L−乳酸、(±)−DL−乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモン酸、過塩素酸、リン酸、L−ピログルタミン酸、糖酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸、およびバレリアン酸を含むが、これらに限定されない。
【0128】
薬剤として許容される塩の調製で使用する好適な塩基は、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化亜鉛、または水酸化ナトリウム等の無機塩基;ならびにL−アルギニン、ベネタミン、ベンザチン、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、ジメチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、2−(ジエチルアミノ)−エタノール、エタノールアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、イソプロピルアミン、N−メチル−グルカミン、ヒドラバミン、1H−イミダゾール、L−リジン、モルホリン、4−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン、メチルアミン、ピペリジン、ピペラジン、プロピルアミン、ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピロリジン、ピリジン、キヌクリジン、キノリン、イソキノリン、第2級アミン、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチル−D−グルカミン、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、およびトロメタミンを含む、第1級、第2級、第3級、および第4級、脂肪族および芳香族アミン等の有機塩基を含むが、これらに限定されない。
【0129】
本明細書で開示される化合物は、本明細書で開示される化合物の機能的誘導体であり、in vivoで親化合物に容易に変換可能である、プロドラッグとしても設計され得る。プロドラッグは、場合によっては、親化合物よりも投与が容易であり得るため、有用である場合が多い。例えば、親化合物が経口投与により生物学的に利用不可能なのに対して、プロドラッグは、経口投与により生物学的に利用可能であり得る。プロドラッグはまた、親化合物よりも、医薬組成物において改善された溶解度を有し得る。プロドラッグは、酵素プロセスおよび代謝加水分解を含む、様々な機構により親薬物に変換され得る。Harper,Progress in Drug Research 1962,4,221−294;Morozowich et al.,in“Design of Biopharmaceutical Properties through Prodrugs and Analogs,”Roche Ed.,APHA Acad.Pharm.Sci. 1977;“Bioreversible Carriers in Drug in Drug Design,Theory and Application,”Roche Ed.,APHA Acad.Pharm.Sci.1987;“Design of Prodrugs,”Bundgaard,Elsevier,1985;Wang et al.,Curr.Pharm.Design 1999,5,265−287;Pauletti et al.,Adv.Drug.Delivery Rev.1997,27,235−256;Mizen et al.,Pharm.Biotech.1998,11,345−365;Gaignault et al.,Pract.Med.Chem.1996,671−696;Asgharnejad in“Transport Processes in Pharmaceutical Systems,”Amidon et al.,Ed.,Marcell Dekker,185−218,2000;Balant et al.,Eur.J.DrugMetab.Pharmacokinet.1990,15,143−53;Balimane and Sinko,Adv.Drug Delivery Rev.1999,39,183−209;Browne,Clin.Neuropharmacol.1997,20,1−12;Bundgaard,Arch.Pharm.Chem.1979,86,1−39;Bundgaard,Controlled Drug Delivery 1987,17,179−96;Bundgaard,Adv.Drug Delivery Rev.1992,8,1−38;Fleisher et al.,Adv.Drug Delivery Rev.1996,19,115−130;Fleisher et al.,Methods Enzymol.1985,112,360−381;Farquhar et al.,J.Pharm.Sci.1983,72,324−325;Freeman et al.,J.Chem.Soc,Chem.Commun.1991,875−877;Friis and Bundgaard,Eur.J.Pharm.Sci.1996,4,49−59;Gangwar et al.,Des.Biopharm.Prop.Prodrugs Analogs,1977,409−421;Nathwani and Wood,Drugs 1993,45,866−94;Sinhababu and Thakker,Adv.Drug Delivery Rev.1996,19,241−273;Stella et al.,Drugs 1985,29,455−73;Tan et al.,Adv.Drug Delivery Rev.1999,39,117−151;Taylor,Adv.Drug Delivery Rev.1996,19,131−148;Valentino and Borchardt,Drug Discovery Today 1997,2,148−155;Wiebe and Knaus,Adv.Drug Delivery Rev.1999,39,63−80;Waller et al.,Br.J.Clin.Pharmac.1989,28,497−507を参照。
【0130】
医薬組成物
薬剤として許容される媒体、担体、希釈剤、もしくは賦形剤、またはその混合物中に;1つ以上の薬剤として許容される賦形剤または担体と併用して、活性成分、またはその薬剤として許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグとして本明細書で開示される化合物を含む医薬組成物を本明細書で開示する。
【0131】
本明細書で開示される化合物、またはその薬剤として許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ;および本明細書で開示される1つ以上の放出制御賦形剤または担体を含む、調節放出剤形の医薬組成物を本明細書で開示する。好適な調節放出投与媒体は、親水性または疎水性マトリックス装置、水溶性剥離層コーティング、腸溶性コーティング、浸透性装置、多微粒子装置、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。医薬組成物は、非放出制御賦形剤または担体も含み得る。
【0132】
本明細書で開示される化合物、またはその薬剤として許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ;および腸溶コーティング剤形で使用するための1つ以上の放出制御賦形剤または担体を含む、腸溶コーティング剤形の医薬組成物を本明細書でさらに開示する。医薬組成物は、非放出制御賦形剤または担体も含み得る。
【0133】
本明細書で開示される化合物、またはその薬剤として許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ;および発泡剤形で使用するための1つ以上の放出制御賦形剤または担体を含む、発泡剤形の医薬組成物を本明細書でさらに開示する。医薬組成物は、非放出制御賦形剤または担体も含み得る。
【0134】
さらに、即時放出成分および少なくとも1つの遅延放出成分を有し、0.1時間から最大24時間まで時間的に隔てられた、少なくとも2つの連続したパルスの形態で、化合物を断続的に放出することが可能な剤形の、医薬組成物が開示される。医薬組成物は、本明細書で開示される化合物、またはその薬剤として許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ;ならびに1つ以上の放出制御および非放出制御賦形剤または担体、例えば崩壊性半透膜に好適な賦形剤または担体および膨潤性物質を含む。
【0135】
アルカリによって部分的に中和され、カチオン交換能力を有する胃液耐性ポリマー層状材料を含む中間反応性層および胃液耐性外層に封入された、本明細書で開示された化合物、またはその薬剤として許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ;および1つ以上の薬剤として許容される賦形剤または担体を含む、被験体への経口投与用剤形の医薬組成物も本明細書で開示する。
【0136】
経口投与のための遅延放出カプセルとしての腸溶コーティング顆粒の形態の、約0.1mgから約1000mg、約1mgから約500mg、約2mgから約100mg、約1mg、約2mg、約3mg、約5mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約100mg、約500mgの、1つ以上の本明細書で開示される化合物を含む、医薬組成物を本明細書で開示する。医薬組成物は、セルロース、リン酸水素二ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ラクトース、マンニトール、およびラウリル硫酸ナトリウムをさらに含む。
【0137】
経口投与のための遅延放出カプセルとしての腸溶コーティングペレットの形態の、約0.1mgから約1000mg、約1mgから約500mg、約2mgから約100mg、約1mg、約2mg、約3mg、約5mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約100mg、約500mgの、1つ以上の本明細書で開示される化合物を含む、医薬組成物を本明細書で開示する。医薬組成物は、モノステアリン酸グリセリル40〜50、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウム、メタクリル酸コポリマータイプC、ポリソルベート80、球状糖、タルク、およびクエン酸トリエチルをさらに含む。
【0138】
経口投与のための腸溶コーティング遅延放出錠剤として、約0.1mgから約1000mg、約1mgから約500mg、約2mgから約100mg、約1mg、約2mg、約3mg、約5mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約100mg、約500mgの、1つ以上の本明細書で開示される化合物を含む、医薬組成物を本明細書で開示する。医薬組成物は、カルナウバろう、クロスポビドン、ジアセチル化モノグリセリド、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、フタル酸ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、水酸化ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、二酸化チタン、および黄色三酸化二鉄をさらに含む。
【0139】
経口投与のための腸溶コーティング遅延放出錠剤として、約0.1mgから約1000mg、約1mgから約500mg、約2mgから約100mg、約1mg、約2mg、約3mg、約5mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約100mg、約500mgの、1つ以上の本明細書で開示される化合物を含む、医薬組成物を本明細書で開示する。医薬組成物は、ステアリン酸カルシウム、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酸化鉄、マンニトール、メタクリル酸コポリマー、ポリソルベート80、ポビドン、プロピレングリコール、炭酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、二酸化チタン、およびクエン酸トリエチルをさらに含む。
【0140】
本明細書で開示される医薬組成物は、単回投与用量形態または複数回投与用量形態で開示され得る。本明細書で使用される単回投与用量形態は、ヒトおよび動物被験体への投与に好適であり、当分野で既知である個々にパッケージングされた物理的に別個の単位を指す。各単回投与用量は、必要な医薬担体または賦形剤と共に、所望の治療効果を生じるのに十分な所定量の活性成分を含有する。単回投与用量形態の例は、アンプル、注射器、ならびに個々にパッケージングされた錠剤およびカプセル剤を含む。単回投与用量形態は、その分割または倍数単位で投与され得る。複数回投与用量形態は、分離された単回投与用量形態で投与されるように、単一容器にパッケージングされる複数の同一の単回投与用量形態である。複数回投与用量形態の例は、バイアル、錠剤もしくはカプセル剤のボトル、またはパイントもしくはガロンのボトルを含む。
【0141】
本明細書で開示される化合物は、単独で、または1つ以上の他の本明細書で開示される化合物、1つ以上の他の活性成分と併用して投与され得る。本明細書で開示される化合物を含む医薬組成物は、経口、非経口、および局所投与用の様々な剤形で配合され得る。医薬組成物はまた、遅延、持続、持効性、徐放、パルス、制御、加速および迅速、標的、プログラム放出を含む調節放出製剤、ならびに胃貯留剤形として配合され得る。これらの投与用量形態は、当業者に既知の従来の方法および技術に従って調製できる(Remington:The Science and Practice of Pharmacy,supra;Modified−Release Drug Deliver Technology,Rathbone et al.,Eds.,Drugs and the Pharmaceutical Science,Marcel Dekker,Inc.:New York,NY,2002;Vol.126を参照)。
【0142】
本明細書で開示される医薬組成物は、一度、または時間をおいて複数回、投与され得る。正確な投与量および治療期間は、治療される患者の年齢、体重、および病態により異なり、既知の試験プロトコルを使用して、またはin vivoもしくはin vitroテストまたは診断データからの外挿法により、実験的に確定され得ることが理解される。任意の特定の個人に対しても、具体的な用法用量は、個々の必要性、および製剤の投与を管理または指導する個人の専門的な判断に従い、経時的に調製されるべきであることが、さらに理解される。
【0143】
患者の病態が改善しない場合、医師の判断により、化合物の投与は、患者の疾病または病態の症状を改善、または別様に抑制もしくは制限するために、慢性的に、すなわち患者の一生涯を含む、長期間投与され得る。
【0144】
患者の状態が、改善する場合、医師の判断により、化合物の投与は、特定期間、継続的または一時的に中断されて与えることができる(すなわち、「休薬期間」)。
【0145】
患者の病態の改善が見られるようになれば、維持量が、必要に応じて投与される。その後、投与の用量もしくは頻度、またはその両方は、症状に応じて、改善された疾病、疾患または病態が保持される程度まで減少することができる。しかしながら、患者は、任意の症状の再発によっても、長期的な間欠的治療を必要とし得る。
【0146】
A.経口投与
本明細書で開示される医薬組成物は、経口投与用に、固体、半固体、または液体剤形で配合され得る。本明細書で使用される、経口投与は、口腔、舌、および舌下投与も含む。好適な経口剤形は、錠剤、カプセル剤、ピル、トローチ、ドロップ、パステル剤、カシェ剤、ペレット、薬用チューイングガム、粒剤、原末、発泡性または非発泡性散剤または粒剤、溶液、乳剤、懸濁剤、溶液、ウエハー剤、スプリンクル剤、エリキシル剤、およびシロップを含むが、これらに限定されない。活性成分に加えて、医薬組成物は、限定するわけではないが、結合剤、充填剤、希釈剤、崩壊剤、湿潤剤、潤滑剤、流動促進剤、着色剤、染料移動抑制剤、甘味剤、および香料添加剤を含む、1つ以上の薬剤として許容される担体または賦形剤を含み得る。
【0147】
結合剤またはグラニュレーターは、圧縮後錠剤が確実に原型を保つように、錠剤に粘着性を与える。好適な結合剤またはグラニュレーターは、コーンデンプン、ジャガイモデンプン、および予備ゼラチン化デンプン(例えば、デンプン1500)等のデンプン;ゼラチン;スクロース、グルコース、ブドウ糖、糖蜜、および乳糖等の糖類;アカシア、アルギン酸、アルギン酸塩、アイリッシュモスの抽出物、パンワールガム、ガッチゴム、イサゴールハスクの粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビーガム、カラマツのアラボガラクタン、トラガント末、およびグアーガム等の天然および合成ガム;エチルセルロース、セルロースアセテート、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などのセルロース;AVICEL−PH−101、AVICEL−PH−103、AVICEL RC−581、AVICEL−PH−105(FMC Corp.,Marcus Hook,PA)等の微結晶性セルロース;ならびにその混合物を含むが、これらに限定されない。好適な充填剤は、タルク、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、粉末セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、予備ゼラチン化デンプン、ならびにその混合物を含むが、これらに限定されない。結合剤または充填剤は、本明細書で開示される医薬組成物において、約50重量%から約99重量%で存在し得る。
【0148】
好適な希釈剤は、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、乳糖、ソルビトール、スクロース、イノシトール、セルロース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、および粉砂糖を含むが、これらに限定されない。マンニトール、乳糖、ソルビトール、スクロース、およびイノシトール等の特定の希釈剤は、十分な量で存在する場合、口腔での咀嚼による崩壊を可能にする特性を、一部の圧縮錠剤に与え得る。そのような圧縮錠剤は、チュアブルタブレットとして使用され得る。
【0149】
好適な崩壊剤は、寒天;ベントナイト;メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース等のセルロース;木からの生成物;海綿;陽イオン交換樹脂;アルギン酸;グアーガムおよびビーガムHV等のガム;シトラスパルプ;クロスカルメロース等の交差結合セルロース;クロスポビドン等の交差結合ポリマー;交差結合デンプン;炭酸カルシウム;デンプングリコール酸ナトリウム等の微結晶性セルロース;ポラクリリンカリウム;コーンデンプン、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン、および予備ゼラチン化デンプン等のデンプン;粘土;アライン;ならびにその混合物を含むが、これらに限定されない。本明細書で開示される医薬組成物中の崩壊剤の量は、製剤の種類に応じて変わり、当業者によって容易に識別可能である。本明細書で開示される医薬組成物は、約0.5〜約15重量%の、または約1〜約5重量%の崩壊剤を含有し得る。
【0150】
好適な潤滑剤は、ステアリン酸カルシウム;ステアリン酸マグネシウム;鉱油;軽油;グリセリン;ソルビトール;マンニトール;グリセロールベヘネートおよびポリエチレングリコール(PEG)等のグリコール;ステアリン酸;ラウリル硫酸ナトリウム;タルク;ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、および大豆油を含む、硬化植物油;ステアリン酸亜鉛;オレイン酸エチル;ラウリン酸エチル;寒天;デンプン;石松子;AEROSIL(登録商標)200(W.R.Grace Co.,Baltimore,MD)およびCAB−O−SIL(登録商標)(Cabot Co. of Boston,MA)等のシリカまたはシリカゲル;ならびにその混合物を含むが、これらに限定されない。本明細書で開示される医薬組成物は、約0.1重量%から約5重量%の潤滑剤を含み得る。
【0151】
好適な流動促進剤は、コロイド状二酸化ケイ素、CAB−O−SIL(登録商標)(Cabot Co. of Boston,MA)、およびアスベスト不使用タルクを含む。着色剤は、アルミナ白に懸濁している、認可された、認定された、水溶性FD&C染料および不水溶性FD&C染料のいずれか、および顔料レーキ、ならびにその混合物を含む。顔料レーキは、重金属の水和酸化物への水溶性染料の吸着による化合物であり、不可溶性形態の染料をもたらす。香料添加剤は、果物等の植物から抽出される天然香味料、ならびにペパーミントおよびメチルサリチル酸等の好ましい味覚を生成する化合物の合成混合物を含む。甘味剤は、スクロース、乳糖、マンニトール、シロップ、グリセリン、ならびにサッカリンおよびアスパルタム等の人工甘味料を含む。好適な乳化剤は、ゼラチン、アカシア、トラガカント、ベントナイト、ならびにポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(TWEEN(登録商標)20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート80(TWEEN(登録商標)80)、およびオレイン酸トリエタノールアミン等の界面活性剤を含む。懸濁化剤および分散剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、トラガカント、ビーガム、アカシア、カルボメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンを含む。防腐剤は、グリセリン、メチルおよびプロピルパラベン、安息香酸添加、安息香酸ナトリウム、ならびにアルコールを含む。湿潤剤は、プロピレングリコールモノステアラート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレート、およびポリオキシエチレンラウリルエーテルを含む。溶媒は、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコール、およびシロップを含む。乳剤に使用される非水溶液の例は、鉱油および綿実油を含む。有機酸は、クエン酸および酒石酸を含む。二酸化炭素源は、重炭酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムを含む。
【0152】
同一の製剤においても、多くの担体および賦形剤がいくつかの機能を果たし得ることを、理解すべきである。
【0153】
本明細書で開示される医薬組成物は、圧縮錠剤、粉薬錠剤、チュアブルドロップ、速溶性錠剤、複数圧縮錠剤、または腸溶コーティング錠剤、糖衣もしくはフィルムコーティング錠剤として配合され得る。腸溶コーティング錠剤は、胃酸の作用に対して耐性を有するが、腸内で溶解または崩壊し、それによって胃の酸性環境から活性成分を保護する物質でコーティングされる、圧縮錠剤である。腸溶コーティングは、脂肪酸、脂肪、サリチル酸フェニル、ワックス、セラック、アンモニア化セラック、および酢酸フタル酸セルロースを含むが、これらに限定されない。糖衣錠は、糖コーティングにより包まれている圧縮錠剤であり、好ましくない味または臭いの隠蔽、および酸化からの錠剤の保護に有益であり得る。フィルムコーティング錠剤は、水溶性材料の薄層またはフィルムで被覆される圧縮錠剤である。フィルムコーティングは、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000、および酢酸フタル酸セルロースを含むが、これらに限定されない。フィルムコーティングは、糖コーティングと同一の一般的特性を与える。複数圧縮錠剤は、層錠、およびプレスコーティングまたはドライコーティング錠剤を含む、2つ以上の圧縮サイクルで製造される圧縮錠剤である。
【0154】
錠剤剤形は、粉末、結晶、または粒状形態の活性成分から、単独で、または結合剤、崩壊剤、制御放出ポリマー、潤滑剤、希釈剤、および/または着色剤を含む、本明細書で開示される1つ以上の担体または賦形剤と併用して調製され得る。香料添加剤および甘味剤は、チュアブルタブレットおよびドロップの形成において特に有用である。
【0155】
本明細書で開示される医薬組成物は、軟または硬カプセル剤として配合することができ、ゼラチン、メチルセルロース、デンプン、またはアルギン酸カルシウムから製造され得る。硬ゼラチンカプセル剤は、乾燥充填カプセル剤(DFC)としても知られるが、2つの部分から成り、1つが他方の上を滑るように移動し、それによって、活性成分を完全に封入する。軟カプセル剤(SEC)は、ゼラチンシェル等の、軟性球形シェルであり、グリセリン、ソルビトール、または同様のポリオールの添加により可塑化される。軟ゼラチンシェルは、微生物の増殖を防止するために、防腐剤を含み得る。好適な防腐剤は、メチルおよびプロピルパラベン、ならびにソルビン酸を含む、本明細書に記載されているような防腐剤である。本明細書で開示される液体、半固体、および固体剤形は、カプセル剤に封入され得る。好適な液体および半固体剤形は、プロピレンカーボネート中の溶液および懸濁液、植物油、またはトリグリセリドを含む。このような溶液を含有するカプセル剤は、米国特許第4,328,245号;第4,409,239号;および第4,410,545号に記載されているように調製され得る。カプセル剤はまた、活性成分の溶解を調節または持続するために、当業者に既知であるようにコーティングされ得る。
【0156】
本明細書で開示される医薬組成物は、乳剤、溶液、懸濁液、エリキシル剤、およびシロップを含む、液体および半固体剤形で配合され得る。乳剤は、二相系であり、1つの液体が、別の液体全体に微小球の形態で分散し、水中油型または油中水型であり得る。乳剤は、薬剤として許容される非水性液体もしくは溶媒、乳化剤、および防腐剤を含み得る。懸濁液は、薬剤として許容される懸濁化剤および防腐剤を含み得る。アルコール水溶液は、例えば、アセトアルデヒドジエチルアセタール等の低アルキルアルデヒドのジ(低アルキル)アセタール(「低」という用語は、1つから6つの炭素原子を有するアルキルを意味する)等の、薬剤として許容されるアセタール、ならびにプロピレングリコールおよびエタノール等の、1つ以上のヒドロキシル基を有する水混和性溶媒を含み得る。エリキシル剤は、透明、甘味、および含水アルコール溶液である。シロップは、糖類、例えば、スクロースの濃縮水溶液であり、防腐剤も含み得る。液体剤形に関して、例えば、ポリエチレングリコール中の溶液は、投薬のために簡便に測定されるように、十分な量の薬剤として許容される液体担体、例えば水で希釈され得る。
【0157】
他の有用な液体および半固体剤形は、本明細書で開示される活性成分、および1,2−ジメトキシメタン、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、ポリエチレングリコール−350−ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール−550−ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール−750−ジメチルエーテルを含む、ジアルキル化モノ−またはポリ−アルキレングリコールを含む剤形を含むが、これらに限定されず、350、550、および750は、ポリエチレングリコールのおおよその平均分子量を意味する。これらの剤形は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、ビタミンE、ハイドロキノン、ヒドロキシクマリン、エタノールアミン、レシチン、ケファリン、アスコルビン酸、リンゴ酸、ソルビトール、リン酸、亜硫酸水素塩、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオジプロピオン酸およびそのエステル、ならびにジチオカルバメート等の1つ以上の抗酸化物質をさらに含み得る。
【0158】
また、経口投与用の本明細書で開示される医薬組成物は、リポソーム、ミセル、ミクロスフェア、またはナノ系の形態でも配合され得る。ミセル剤形は、米国特許第6,350,458号に記載されるように調製され得る。
【0159】
本明細書で開示される医薬組成物は、液体剤形に再構成されるために、非発泡性または発泡性粒剤および散剤として配合され得る。非発泡性粒剤および散剤に使用される、薬剤として許容される担体および賦形剤は、希釈剤、甘味料、および湿潤剤を含み得る。発泡性粒剤および散剤に使用される、薬剤として許容される担体および賦形剤は、有機酸および二酸化炭素源を含み得る。
【0160】
着色剤および香料添加剤は、上記の剤形のすべてで使用され得る。
【0161】
本明細書で開示される医薬組成物は、遅延、徐放、パルス、制御、標的、およびプログラム放出形態を含む、即時または調節放出剤形として配合され得る。
【0162】
本明細書で開示される医薬組成物は、所望の治療効果を与えない他の活性成分と、またはドロトレコギンαおよびヒドロコルチゾン等の所望の効果を補足する物質と同時に配合され得る。
【0163】
B.非経口投与
本明細書に開示される医薬組成物は、局所的または全身投与のために、注射、注入、または移植により非経口的に投与され得る。本明細書で使用される、非経口投与は、静脈内、動脈内、腹腔内、くも膜下、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、滑液嚢内、および皮下投与を含む。
【0164】
本明細書で開示される医薬組成物は、溶液、懸濁液、乳剤、ミセル、リポソーム、ミクロスフェア、ナノ系、および注射前の液体中の溶液または懸濁液に好適な固体を含む、非経口投与に好適な任意の剤形でも配合され得る。このような剤形は、医薬科学分野の当業者に既知の従来方法に従って調製され得る(Remington:The Science and Practice of Pharmacy(上記)を参照)。
【0165】
非経口投与用の医薬組成物は、水性媒体、水混和性媒体、非水性媒体、微生物の増殖に対する抗菌剤もしくは防腐剤、安定剤、溶解促進剤、等張剤、緩衝剤、抗酸化物質、局所麻酔薬、懸濁化剤および分散剤、湿潤剤もしくは乳化剤、錯化剤、金属イオン封鎖剤もしくはキレート剤、抗凍結剤、溶解保護剤、増粘剤、pH調整剤、および不活性ガス(ただし必ずしもこれらに限定されない)を含む、1つ以上の薬剤として許容される担体および賦形剤を含み得る。
【0166】
好適な水性媒体は、水、食塩水、生理食塩水もしくはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、塩化ナトリウム注射液、リンガー注射液、等張ブドウ糖注射液、滅菌水注射液、ブドウ糖、および乳酸加リンガー注射液を含むが、これらに限定されない。非水性媒体は、植物性固定油、ヒマシ油、コーン油、綿実油、オリーブ油、ピーナッツ油、ハッカ油、サフラワー油、ゴマ油、大豆油、硬化植物油、硬化大豆油、ならびにヤシ油およびパーム核油の中鎖脂肪酸トリグリセリドを含むが、これらに限定されない。水混和性媒体は、エタノール、1,3−ブタンジオール、液体ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール300およびポリエチレングリコール400)、プロピレングリコール、グリセリン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、およびジメチルスルホキシドを含むが、これらに限定されない。
【0167】
好適な抗菌剤または防腐剤は、フェノール、クレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルおよびプロピルp−ヒドロキシ安息香酸、チメロサール、ベンザルコニウムクロリド、塩化ベンゼトニウム、メチル−およびプロピル−パラベン、ならびにソルビン酸を含むが、これらに限定されない。好適な等張剤は、塩化ナトリウム、グリセリン、およびブドウ糖を含むが、これらに限定されない。好適な緩衝剤は、リン酸塩およびクエン酸塩を含むが、これらに限定されない。好適な抗酸化物質は、亜硫酸水素塩およびメタ重亜硫酸ナトリウムを含む、本明細書に記載される抗酸化物質である。好適な局所麻酔薬は、塩酸プロカインを含むが、これに限定されない。好適な懸濁化剤および分散剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンを含む、本明細書に記載される懸濁化剤および分散剤である。好適な乳化剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート80、およびオレイン酸トリエタノールアミンを含む、本明細書に記載される乳化剤を含む。好適な金属イオン封鎖剤もしくはキレート剤は、EDTAを含むが、これに限定されない。好適なpH調整剤は、水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸、および乳酸を含むが、これらに限定されない。好適な錯化剤は、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン、およびスルホブチルエーテル7−β−シクロデキストリン(CAPTISOL(登録商標),CyDex,Lenexa,KS)を含むシクロデキストリンを含むが、これらに限定されない。
【0168】
本明細書で開示される医薬組成物は、単回または複数回投与用に配合され得る。単回投与製剤は、アンプル、バイアル、または注射器にパッケージングされる。複数回投与の非経口製剤は、静菌または静真菌濃度で抗菌剤を含まなければならない。すべての非経口製剤は、当技術分野において既知であり、実践されているように、滅菌でなければならない。
【0169】
一実施形態において、医薬組成物は、即使用可能な滅菌溶液として開示される。別の実施形態において、医薬組成物は、使用前に媒体で再構成されるように、凍結乾燥散剤および皮下注射用錠剤を含む、滅菌乾燥可溶性生成物として配合される。さらに別の実施形態において、医薬組成物は、即使用可能な滅菌懸濁液として配合される。さらに別の実施形態において、医薬組成物は、使用前に媒体で再構成されるように、滅菌乾燥不溶性生成物として配合される。さらに別の実施形態において、医薬組成物は、即使用可能な滅菌乳剤として配合される。
【0170】
本明細書で開示される医薬組成物は、遅延、徐放、パルス、制御、標的、およびプログラム放出形態を含む、即時または調節放出剤形として配合され得る。
【0171】
医薬組成物は、埋め込みデポ剤としての投与用に、懸濁液、固体、半固体、または揺変性液体として配合され得る。一実施形態において、本明細書で開示される医薬組成物は、固体内部マトリックスに分散され、それは、体液中で不溶性であるが、医薬組成物中の活性成分が拡散することを可能にする高分子の外膜により包まれている。
【0172】
好適な内部マトリックスは、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化または非可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート塩、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネートコポリマー、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルのヒドロゲル等の親水性ポリマー、コラーゲン、交差結合ポリビニルアルコール、および交差結合された、部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニルを含む。
【0173】
好適な高分子の外膜は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、およびプロピレンでの塩化ビニルコポリマー、イオノマーポリエチレンテレフタラート、ブチルゴムエピクロルヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマー、ならびにエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマーを含む。
【0174】
C.局所投与
本明細書で開示される医薬組成物は、皮膚、開口部、または粘膜に局所的に投与され得る。本明細書で使用される、局所投与は、経皮(皮内)、結膜、角膜内、眼内、経眼、経耳、経皮、経鼻、膣内、経尿道、呼吸器、および直腸投与を含む。
【0175】
本明細書で開示される医薬組成物は、乳剤、溶液、懸濁液、クリーム、ゲル、ヒドロゲル、軟膏、散布剤、包帯剤、エリキシル剤、ローション、懸濁液、チンキ剤、ペースト、泡沫、フィルム、エアロゾル、潅注、スプレー、坐剤、包帯、皮膚パッチを含む、局所的または全身的な効果のための局所投与に好適ないかなる剤形でも配合され得る。本明細書で開示される医薬組成物の局所製剤は、リポソーム、ミセル、ミクロスフェア、ナノ系、およびそれらの混合物も含み得る。
【0176】
本明細書で開示される局所製剤での使用に好適な、薬剤として許容される担体および賦形剤は、水性媒体、水混和性媒体、非水性媒体、微生物の増殖に対する抗菌剤もしくは防腐剤、安定剤、溶解促進剤、等張剤、緩衝剤、抗酸化物質、局所麻酔薬、懸濁化剤および分散剤、湿潤剤もしくは乳化剤、錯化剤、金属イオン封鎖剤もしくはキレート剤、浸透促進剤、抗凍結剤、溶解保護剤、増粘剤、および不活性ガスを含むが、これらに限定されない。
【0177】
また、医薬組成物は、エレクトロポレーション、イオントフォレーシス、フォノフォレーシス、ソノフォレーシス、ならびにPOWDERJECT(登録商標)(Chiron Corp.,Emeryville,CA)およびBIOJECT(登録商標)(Bioject Medical Technologies Inc.,Tualatin,OR)等の極微針もしくは無針注射により、局所的に投与され得る。
【0178】
本明細書で開示される医薬組成物は、軟膏、クリーム、およびゲルの形態で配合され得る。好適な軟膏媒体は、豚脂、安息香豚脂、オリーブ油、綿実油、および他の油、白色ワセリン等を含む油性または炭化水素媒体;親水性ワセリン、硫酸ヒドロキシステアリン、および脱水ラノリン等の乳化可能もしくは吸収媒体;親水性軟膏等の水除去性媒体;様々な分子量のポリエチレングリコールを含む、水溶性軟膏媒体;セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリン、ラノリン、およびステアリン酸を含む、乳剤媒体、油中水型(W/O)乳剤または水中油型(O/W)乳剤のいずれかを含む(Remington:The Science and Practice of Pharmacy(上記)を参照)。これらの媒体は、皮膚軟化剤であるが、概して、抗酸化物質および防腐剤の添加を必要とする。
【0179】
好適なクリーム基剤は、水中油型または油中水型であり得る。クリーム媒体は、水洗性であり得、油相、乳化剤、および水相を含む。油相は、「内」相とも呼ばれ、概してワセリン、およびセチルまたはステアリルアルコール等の脂肪アルコールから成る。水相は、必ずしもそうではないが通常、体積で油相を上回り、概して保湿剤を含む。クリーム製剤における乳化剤は、非イオン、陰イオン、陽イオン、または両性界面活性剤であり得る。
【0180】
ゲルは、半固体、懸濁系である。単相ゲルは、液体担体全体に実質的に均一に分布した有機高分子を含む。好適なゲル化剤は、カルボマー、カルボキシポリアルキレン、Carbopol(登録商標)等の交差結合されたアクリル酸ポリマー;ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー、およびポリビニルアルコール等の親水性ポリマー;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、およびメチルセルロース等のセルロースポリマー;トラガカントおよびキサンタンゴム等のガム;アルギン酸ナトリウム;ならびにゼラチンを含む。均一なゲルを調製するために、アルコールまたはグリセリン等の分散剤が添加され得るか、またはゲル化剤が、粉砕、機械的混合、および/または撹拌により分散され得る。
【0181】
本明細書で開示される医薬組成物は、坐剤、ペッサリー、ブジー、湿布もしくはパップ、ペースト、散剤、包帯剤、クリーム、硬膏、避妊薬、軟膏、溶液、乳剤、懸濁液、タンポン、ゲル、泡沫、スプレー、または浣腸の形態で、経直腸的、尿道的、膣内的、または膣周囲的に投与され得る。これらの剤形は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(上記)に記載された従来プロセスを使用して製造され得る。
【0182】
肛門、尿道、膣座剤は、身体開口部へ挿入するための固形物であり、通常の温度で固体であるが、開口部内で活性成分を放出するために、体温で融解または軟化する。直腸および膣座剤で用いられる薬剤として許容される担体は、本明細書で開示される医薬組成物と配合される際、体温に近い融点を生成する硬化剤等の基剤または媒体、ならびに亜硫酸水素塩およびメタ重亜硫酸ナトリウムを含む、本明細書に記載される抗酸化物質を含む。好適な媒体は、ココアバター(カカオ脂)、グリセリン−ゼラチン、カーボワックス(ポリオキシエチレングリコール)、鯨ろう、パラフィン、白および黄ろう、および脂肪酸のモノ−、ジ−およびトリグリセリドの適切な混合物、ポリビニルアルコール、メタクリル酸ヒドロキシエチル、ポリアクリル酸等のヒドロゲル、グリセリンゼラチンを含むが、これらに限定されない。様々な媒体の組み合わせが使用され得る。直腸および膣坐剤は、圧縮方法または成形により調製され得る。直腸および膣坐剤の典型的な重量は、約2gから約3gである。
【0183】
本明細書で開示される医薬組成物は、溶液、懸濁液、軟膏、乳剤、ゲル形成溶液、溶液用散剤、ゲル、眼内挿入、および移植の形態で、眼科的に投与され得る。
【0184】
本明細書で開示される医薬組成物は、鼻腔内に、または気道への吸入により投与され得る。医薬組成物は、加圧容器、ポンプ、スプレー、霧状ミストを生成するために電気流体力学を使用するアトマイザー等のアトマイザー、または単独の、もしくは1,1,1,2−テトラフルオロエタンもしくは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン等の好適な噴射剤と併用したネブライザーを使用した送達のために、エアロゾルまたは溶液の形態で配合され得る。医薬組成物は、単独の、または乳糖もしくはリン脂質等の不活性担体と併用した吹送用乾燥散剤、および点鼻薬としても配合され得る。鼻腔内使用のために、散剤は、キトサンまたはシクロデキストリンを含む生体接着剤を含み得る。
【0185】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、またはネブライザーでの使用のための溶液または懸濁液は、エタノール、水性エタノール、または本明細書で開示される活性成分の放出を分散、可溶化、または持続させるための好適な代替薬剤、溶媒としての噴射剤、ならびに/またはトリオレイン酸ソルビタン、オレイン酸、もしくはオリゴ乳酸等の界面活性剤を含むように配合され得る。
【0186】
本明細書で開示される医薬組成物は、約50マイクロメートル以下、または約10マイクロメートル以下等の、吸入による送達に好適なサイズまで微粉化され得る。そのような粒径の粒子は、当業者に既知であるスパイラルジェットミリング、フルイドベッドジェットミリング、ナノ粒子を形成するための超臨界流体プロセシング、高圧ホモジナイズ、または噴霧乾燥等の粉砕方法を使用して調製され得る。
【0187】
インヘイラーまたは吸入器の使用のためのカプセル剤、ブリスター、およびカートリッジは、本明細書で開示される医薬組成物の混合粉体、乳糖またはデンプン等の好適な粉末基剤、およびl−ロイシン、マンニトール、またはステアリン酸マグネシウム等の性能調節剤を含むように配合され得る。乳糖は、無水であり得るか、または一水和物の形態であり得る。他の好適な賦形剤または担体は、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロース、およびトレハロースを含む。吸入/鼻腔内投与のための本明細書で開示される医薬組成物は、メントールおよびレボメントール等の好適な香味料、またはサッカリンもしくはサッカリンナトリウム等の甘味料をさらに含み得る。
【0188】
局所投与用の本明細書で開示される医薬組成物は、遅延、徐放、パルス、制御、標的、およびプログラム放出を含む、即時または調節放出になるように配合され得る。
【0189】
D.調節放出
本明細書で開示される医薬組成物は、調節放出剤形として配合され得る。本明細書で使用される、「調節放出」という用語は、活性成分の放出速度または位置が、同一経路で投与される場合、即時剤形とは異なる剤形を指す。調節放出剤形は、遅延、持続、持効性、徐放、パルス、制御、加速および迅速、標的、プログラム放出、ならびに胃貯留剤形を含む。調節放出剤形の医薬組成物は、マトリックス制御放出装置、浸透圧制御放出装置、多粒子制御放出装置、イオン交換樹脂、腸溶性コーティング、多層コーティング、ミクロスフェア、リポソーム、およびそれらの組み合わせ(ただし必ずしもこれらに限定されない)を含む、当業者に既知である様々な調節放出装置および方法を使用して調製され得る。活性成分の放出速度はまた、活性成分の粒径およびポリモルフォリズムを変化させることにより調節され得る。
【0190】
調節放出の例は、米国特許第3,845,770号;第3,916,899号;第3,536,809号;第3,598,123号;第4,008,719号;第5,674,533号;第5,059,595号;第5,591,767号;第5,120,548号;第5,073,543号;第5,639,476号;第5,354,556号;第5,639,480号;第5,733,566号;第5,739,108号;第5,891,474号;第5,922,356号;第5,972,891号;第5,980,945号;第5,993,855号;第6,045,830号;第6,087,324号;第6,113,943号;第6,197,350号;第6,248,363号;第6,264,970号;第6,267,981号;第6,376,461号;第6,419,961号;第6,589,548号;第6,613,358号および第6,699,500号に記載されたものを含むが、これに限定されない。
【0191】
1.マトリックス制御放出装置
調節放出剤形の本明細書で開示される医薬組成物は、当業者に既知であるマトリックス制御放出装置を使用して加工され得る(Takada et al in “Encyclopedia of Controlled Drug Delivery,”Vol.2,Mathiowitz ed.,Wiley,1999を参照)。
【0192】
一実施形態において、調節放出剤形の本明細書で開示される医薬組成物は、合成ポリマーを含む水膨潤性、浸食性、または可溶性ポリマー、ならびに多糖類およびタンパク質等の自然発生的なポリマーおよび誘導体である、浸食性マトリックス装置を使用して配合される。
【0193】
浸食性マトリックスの形成に有用な材料は、キチン、キトサン、デキストラン、およびプルラン;寒天ゴム、アラビアゴム、カラヤガム、ローカストビーンガム、トラガカントガム、カラギーナン、ガッティガム、グアーゴム、キサンタンゴム、およびスクレログルカン;デキストリンおよびマルトデキストリン等のデンプン;ペクチン等の親水性コロイド;レシチン等のフォスファチド;アルギン酸塩;アルギン酸プロピレングリコール;ゼラチン;コラーゲン;およびエチルセルロース(EC)、メチルエチルセルロース(MEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、CMEC、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、セルロースアセテート(CA)、プロピオン酸セルロース(CP)、酪酸セルロース(CB)、酢酸酪酸セルロース(CAB)、CAP、CAT、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、HPMCP、HPMCAS、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートトリメリテート(HPMCAT)、およびエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)等のセルロース誘導体,;ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;ポリ酢酸ビニル;グリセロール脂肪酸エステル;ポリアクリルアミド;ポリアクリル酸;エタクリル酸またはメタクリル酸のコポリマー(EUDRAGIT(登録商標),Rohm America,Inc.,Piscataway,NJ);ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリル酸塩);ポリラクチド;L−グルタミン酸およびエチル−L−グルタミン酸塩のコポリマー;分解性乳酸−グリコール酸コポリマー;ポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸;ならびにブチルメタクリル酸塩、メチルメタクリル酸塩、エチルメタクリル酸塩、エチルアクリル酸塩、(2−ジメチルアミノエチル)メタクリル酸塩、および(トリメチルアミノエチル)塩化メタクリル酸塩のホモポリマーおよびコポリマー等の、他のアクリル酸誘導体を含むが、これらに限定されない。
【0194】
さらなる実施形態において、医薬組成物は、非浸食性マトリックス装置を用いて配合され得る。活性成分は、不活性マトリックス内で溶解または分散され、投与されると、主に不活性マトリックスを通じた拡散により放出される。非浸食性マトリックス装置としての使用に好適な材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル酸メチル−メタクリル酸メチルコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、およびプロピレンを有する塩化ビニルコポリマー、イオノマーポリエチレンテレフタラート、ブチルゴムエピクロルヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマー、およびエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマー、ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート塩、天然ゴム、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネートコポリマー等の不溶性プラスチック、ならびにエチルセルロース、セルロースアセテート、クロスポビドン、および交差結合部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニル等の親水性ポリマー;ならびにカルナバワックス、微結晶ワックス、およびトリグリセリド等の脂肪化合物を含むが、これらに限定されない。
【0195】
マトリックス制御放出システムにおいて、所望の放出速度は、例えば、用いられるポリマーの種類、ポリマーの粘度、ポリマーおよび/または活性成分の粒径、ポリマーに対する活性成分の比、および組成物中の他の賦形剤または担体を介して、制御され得る。
【0196】
調節放出剤形の本明細書で開示される医薬組成物は、直接圧縮法、圧縮法が後続する乾式または湿式造粒法、圧縮法が後続する溶融造粒法を含む、当業者に既知の方法により調製され得る。
【0197】
2.浸透圧制御放出装置
調節放出剤形の本明細書で開示される医薬組成物は、1チャンバシステム、2チャンバシステム、非対称膜技術(AMT)、および押し出しコアシステム(ECS)を含む、浸透圧制御放出装置を使用して加工され得る。一般に、このような装置は少なくとも2つの構成要素:(a)活性成分を含有するコアおよび(b)コアをカプセル化する少なくとも1つの送達ポートを備えた半透膜を有する。半透膜は、送達ポートを通じた押し出しにより薬物放出をもたらすために、使用中の水性環境からのコアへの水侵入を制御する。
【0198】
活性成分に加えて、浸透圧装置のコアは、使用環境から装置のコアへの水の輸送のための駆動力を生成する、浸透圧薬剤を任意に含む。浸透圧薬剤の1分類である、水膨潤性親水性ポリマーは、「オスモポリマー」および「ヒドロゲル」とも呼ばれるが、親水性ビニルおよびアクリルポリマー、アルギン酸カルシウム等の多糖類、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリ(2−メタクリル酸ヒドロキシエチル)、ポリ(アクリル)酸、ポリ(メタクリル)酸、ポリビニルピロリドン(PVP)、交差結合されたPVP、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA/PVPコポリマー、メタクリル酸メチルおよび酢酸ビニル等の疎水性モノマーを有するPVA/PVPコポリマー、大きいPEOブロックを含む親水性ポリウレタン、クロスカルメロースナトリウム、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)およびカルボキシエチル、セルロース(CEC)、アルギン酸ナトリウム、ポリカルボフィル、ゼラチン、キサンタンゴム、ならびにデンプングリコール酸ナトリウムを含むが、これらに限定されない。
【0199】
もう一方の部類の浸透圧薬剤は、オスモゲンであり、周囲のコーティングのバリア全体の浸透圧勾配に影響を与えるように、水を吸収され得る。好適なオスモゲンは、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、塩化カリウム、および硫酸ナトリウム等の無機塩;ブドウ糖、フルクトース、グルコース、イノシトール、乳糖、マルトース、マンニトール、ラフィノース、ソルビトール、スクロース、トレハロース、およびキシリトール等の糖類;アスコルビン酸、安息香酸、フマル酸、クエン酸、マレイン酸、セバシン酸、ソルビン酸、アジピン酸、エデト酸、グルタミン酸、p−トルエンスルホン酸、コハク酸、および酒石酸等の有機酸;尿素;ならびにその混合物を含むが、これらに限定されない。
【0200】
活性成分が剤形から初期に送達される速度に影響を与えるように、異なる溶解速度の浸透圧薬剤を用いることができる。所望の治療効果を迅速に生むために、初めの数時間のより速い送達、かつ長時間にわたって所望のレベルの治療または予防効果を維持するために、残量の段階的および継続的放出を提供するために、例えば、Mannogeme EZ(SPI Pharma,Lewes,DE)等の非晶質糖類を使用することができる。この場合、活性成分は、代謝および排出される活性成分の量を置き換えるような速度で放出される。
【0201】
コアは、剤形の性能を強化するために、または安定性および処理を促進するために、本明細書に記載されているような、多種多様な他の賦形剤および担体も含み得る。
【0202】
半透膜の形成に有用な材料は、生理的に適切なpHで透水性および不水溶性であるか、あるいは架橋結合等の化学的変化により不水溶性にされやすい、様々なグレードのアクリル、ビニル、エーテル、ポリアミド、ポリエステル、およびセルロース誘導体を含む。コーティングの形成に有用な、好適なポリマーの例は、可塑化、非可塑化、および強化セルロースアセテート(CA)、セルロースジアセテート、三酢酸セルロース、CAプロピオン酸塩、硝酸セルロース、酢酸酪酸セルロース(CAB)、CAカルバミン酸エチル、CAP、CAカルバミン酸メチル、CAコハク酸塩、トリメリト酸酢酸セルロース(CAT)、CAジメチルアミノアセテート、CA炭酸エチル、CAクロロ酢酸塩、CAシュウ酸エチル、CAメチルスルホン酸、CAブチルスルホン酸、CAp−トルエンスルホン酸、寒天アセテート、アミローストリアセテート、βグルカンアセテート、βグルカントリアセテート、アセトアルデヒドジメチルアセテート、ローカストビーンガムのトリアセテート、ヒドロキシル化エチレン−ビニル酢酸塩、EC、PEG、PPG、PEG/PPGコポリマー、PVP、HEC、HPC、CMC、CMEC、HPMC、HPMCP、HPMCAS、HPMCAT、ポリ(アクリル)酸およびエステルならびにポリ−(メタクリル)酸およびエステル、およびコポリマー、デンプン、デキストラン、デキストリン、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、ポリアルケン、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ハロゲン化ポリビニル、ポリビニルエステルおよびエーテル、天然ワックス、ならびに合成ワックスを含む。
【0203】
半透膜は疎水性微孔性膜でもあり得て、米国特許第5,798,119号に開示されているように、微孔は気体によって実質的に充填され、水性媒体によっては濡れないが、水蒸気に対して浸透性である。このような疎水性であるが水蒸気浸透性の膜は通常、疎水性ポリマー、例えばポリアルケン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリル酸誘導体、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ピリビニルハライド、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルエステルおよびエーテル、天然ワックス、ならびに合成ワックスから成る。
【0204】
半透膜上の送達ポートは、機械またはレーザー穿孔によりコーティング後に形成され得る。送達ポートはまた、水溶性材料の栓の浸食により、またはコア中のくぼみを覆う膜のより薄い部分の破裂により、原位置で形成され得る。さらに、送達ポートは、米国特許第5,612,059号および第5,698,220号に開示される種類の非対称膜コーティングの場合のように、コーティングプロセス中に形成され得る。
【0205】
放出される活性成分の総量および放出速度は、半透膜の厚さおよび孔隙率、コアの組成、ならびに送達ポートの数、サイズ、および位置を介して、実質的に調節され得る。
【0206】
浸透圧制御放出剤形における医薬組成物は、製剤の性能または処理を促進するために、本明細書に記載されるような、追加の従来の賦形剤または担体をさらに含み得る。
【0207】
浸透圧制御放出剤形は、当業者に既知である従来の方法および技術に従い、調製され得る(Remington:The Science and Practice of Pharmacy(上記);Santus and Baker,J.Controlled Release 1995,35,1−21;Verma et al.,Drug Development and Industrial Pharmacy 2000,26,695−708;Verma et al.,J.Controlled Release 2002,79,7−27を参照)。
【0208】
特定の実施形態において、本明細書で開示される医薬組成物は、AMT制御放出剤形として配合され、活性成分および他の薬剤として許容される賦形剤または担体を含むコアをコーティングする、非対称浸透圧膜を含む。米国特許第5,612,059号および国際特許WO2002/17918号を参照AMT制御放出剤形は、直接圧縮法、乾式造粒法、湿式造粒法、およびディップコーティング法を含む、当業者に既知である従来の方法および技術に従い、調製され得る。
【0209】
特定の実施形態において、本明細書で開示される医薬組成物は、ESC制御放出剤形として配合され、活性成分、ヒドロキシルエチルセルロース、および他の薬剤として許容される賦形剤または担体を含むコアをコーティングする、浸透圧膜を含む。
3.多粒子制御放出装置
【0210】
調節放出剤形の本明細書で開示される医薬組成物は、多粒子制御放出装置により加工することができ、直径が約10μmから約3mm、約50μmから約2.5mm、または約100μmから約1mmの範囲の、非常に多くの粒子、散剤、またはペレットを含む。そのような多微粒子は、湿式および乾式造粒、押し出し/球形化、ローラ圧縮、溶融凝固を含む、当業者に既知のプロセスにより、およびスプレーコーティングシードコアにより作製され得る。例えばMultiparticulate Oral Drug Delivery;Marcel Dekker:1994;およびPharmaceutical Pelletization Technology;Marcel Dekker:1989を参照。
【0211】
本明細書で開示される他の賦形剤または担体は、多微粒子の処理および形成に役立つように、医薬組成物と混合され得る。得られた粒子は、それ自体多粒子装置を構成し得るか、または腸溶性ポリマー、水膨潤性および水溶性ポリマー等の様々なフィルム形成材料によりコーティングされ得る。多微粒子は、カプセル剤または錠剤としてさらに処理され得る。
【0212】
4.標的送達
また、本明細書で開示される医薬組成物は、リポソーム、再密封赤血球、および抗体による送達系を含む、治療される被験体の特定組織、受容器官、または体の他の部位を標的とするように配合され得る。例としては、米国特許第6,316,652号、第6,274,552号、第6,271,359号、第6,253,872号、第6,139,865号、第6,131,570号、第6,120,751号、第6,071,495号、第6,060,082号、第6,048,736号、第6,039,975号、第6,004,534号、第5,985,307号、第5,972,366号、第5,900,252号、第5,840,674号、第5,759,542号、および第5,709,874号が含まれるが、これらに限定されない。
【0213】
使用方法
NMDA受容体媒介疾患の1つ以上の症状を治療、予防、または改善するための方法であって、そのような疾患を有する、または有すると疑われる被験体に、治療上有効な量の本明細書で開示される化合物、またはその薬剤として許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを投与するステップを含む、方法を開示する。
【0214】
NMDA受容体媒介疾患は、侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、幻肢痛、虚血性疼痛、脳卒中、敗血症、炎症、オピオイド耐性、アルツハイマー病、火傷、麻酔剤、鎮痛剤、エンセオジェン、カタレプシー治療剤、または神経保護剤を投与することによって軽減、緩和、もしくは受益し得る任意の疾患、および/またはNMDA受容体によって軽減、緩和、もしくは受益し得る任意の疾患を含むが、これらに限定されない。
【0215】
また、NMDA受容体媒介疾患に関連する疾患を有する、または有すると疑われる被験体に、治療上有効な量の本明細書で開示される化合物、またはその薬剤として許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを投与するステップにより、そのような疾患の1つ以上の症状を治療、予防、または改善するための方法も開示する。
【0216】
さらに、NMDA受容体の調節に応じて、疾患の1つ以上の症状を治療、予防、または改善するための方法であって、そのような疾患を有する、または有すると疑われる被験体に、治療上有効な量の本明細書で開示される化合物、またはその薬剤として許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを投与するステップを含む、方法を開示する。
【0217】
さらに、NMDA受容体の活性を調節する方法であって、少なくとも1つの本明細書で開示される化合物、またはその薬剤として許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグと、該酵素を接触させるステップを含む、方法を本明細書で開示する。一実施形態において、NMDA受容体は細胞によって発現される。
【0218】
侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、幻肢痛、虚血性疼痛、脳卒中、敗血症、炎症、オピオイド耐性、アルツハイマー病、火傷、麻酔剤、鎮痛剤、エンセオジェン、カタレプシー治療剤、もしくは神経保護剤を投与することによって軽減、緩和、もしくは受益し得る任意の疾患、および/またはNMDA受容体を調節することによって軽減、緩和、もしくは受益し得る任意の疾患も含むが、これに限定されない疾患を有する、または有すると疑われる被験体を治療する方法、またはこのような疾患を、該疾患に罹りやすい被験体において予防する方法であって、対応する非同位体濃縮化合物と比較して、疾患の治療の間に、化合物またはその代謝物の血漿中濃度の個人間変動の減少に影響を及ぼすために、被験体に、治療上有効な量の本明細書で開示される化合物またはその薬剤として許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを投与するステップを含む、方法を本明細書で開示する。
【0219】
特定の実施形態において、本明細書で開示する化合物、またはその代謝物の血漿中濃度の個人間変動は、対応する非同位体濃縮化合物と比較して、約5%超、約10%超、約20%超、約30%超、約40%超、または約50%超減少する。
【0220】
侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、幻肢痛、虚血性疼痛、脳卒中、敗血症、炎症、オピオイド耐性、アルツハイマー病、火傷、麻酔剤、鎮痛剤、エンセオジェン、カタレプシー治療剤、もしくは神経保護剤を投与することによって軽減、緩和、もしくは受益し得る任意の疾患、および/またはNMDA受容体を調節することによって軽減、緩和、もしくは受益し得る任意の疾患を含むが、これらに限定されない疾患を有する、または有すると疑われる被験体を治療する方法であって、対応する非同位体濃縮化合物と比較して、用量単位当たりの化合物の平均血漿中濃度の増加または化合物の少なくとも1つの代謝物の平均血漿中濃度の減少に影響を及ぼすために、被験体に、治療上有効な量の本明細書で開示される化合物またはその薬剤として許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを投与するステップを含む、方法を本明細書で開示する。
【0221】
特定の実施形態において、本明細書で開示される化合物の平均血漿中濃度は、対応する非同位体濃縮化合物と比較して、約5%超、約10%超、約20%超、約30%超、約40%超、または約50%超増加する。
【0222】
特定の実施形態において、本明細書で開示される化合物の代謝物の平均血漿中濃度は、対応する非同位体濃縮化合物と比較して、約5%超、約10%超、約20%超、約30%超、約40%超、または約50%超減少する。
【0223】
本明細書で開示される化合物、またはその代謝物の血漿濃度は、Liら(Rapid Communications in Mass Spectrometry 2005,19,1943−1950)によって記載された方法を使用して測定される。
【0224】
侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、幻肢痛、虚血性疼痛、脳卒中、敗血症、炎症、オピオイド耐性、アルツハイマー病、火傷、麻酔剤、鎮痛剤、エンセオジェン、カタレプシー治療剤、もしくは神経保護剤を投与することによって軽減、緩和、もしくは受益し得る任意の疾患、および/またはNMDA受容体を調節することによって軽減、緩和、もしくは受益し得る任意の疾患を含むが、これらに限定されない疾患を有する、または有すると疑われる被験体を治療する方法、またはこのような疾患を、該疾患に罹りやすい被験体において予防する方法であって、対応する非同位体濃縮化合物と比較して、疾患の治療の間に、被験体において少なくとも1つのチトクロームP450またはモノアミンオキシダーゼアイソフォームの阻害の減少、および/またはそれによる代謝の減少に影響を及ぼすために、被験体に、治療上有効な量の本明細書で開示される化合物またはその薬剤として許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを投与するステップを含む、方法を本明細書で開示する。
【0225】
哺乳動物被験体におけるチトクロームP450アイソフォームの例は、CYP1A1、CYP1A2、CYP1B1、CYP2A6、CYP2A13、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C18、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP2G1、CYP2J2、CYP2R1、CYP2S1、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A5P1、CYP3A5P2、CYP3A7、CYP4A11、CYP4B1、CYP4F2、CYP4F3、CYP4F8、CYP4F11、CYP4F12、CYP4X1、CYP4Z1、CYP5A1、CYP7A1、CYP7B1、CYP8A1、CYP8B1、CYP11A1、CYP11B1、CYP11B2、CYP17、CYP19、CYP21、CYP24、CYP26A1、CYP26B1、CYP27A1、CYP27B1、CYP39、CYP46、およびCYP51を含むが、これらに限定されない。
【0226】
哺乳動物被験体におけるモノアミンオキシダーゼアイソフォームの例は、MAOおよびMAOを含むが、これらに限定されない。
【0227】
特定の実施形態において、本明細書で開示される化合物による、チトクロームP450またはモノアミンオキシダーゼアイソフォームの阻害の減少は、対応する非同位体濃縮化合物と比較して、約5%超、約10%超、約20%超、約30%超、約40%超、約50%超である。
【0228】
チトクロームP450アイソフォームの阻害は、Koら(British Journal of Clinical Pharmacology,2000,49,343−351)の方法によって測定される。MAOアイソフォームの阻害は、Weylerら(J.Biol Chem.1985,260,13199−13207)の方法によって測定される。MAOアイソフォームの阻害は、Uebelhackら(Pharmacopsychiatry,1998,31,187−192)の方法によって測定される。
【0229】
侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、幻肢痛、虚血性疼痛、脳卒中、敗血症、炎症、オピオイド耐性、アルツハイマー病、火傷、麻酔剤、鎮痛剤、エンセオジェン、カタレプシー治療剤、もしくは神経保護剤を投与することによって軽減、緩和、もしくは受益し得る任意の疾患、および/またはNMDA受容体を調節することによって軽減、緩和、もしくは受益し得る任意の疾患を含むが、これらに限定されない疾患を有する、または有すると疑われる被験体を治療する方法、またはこのような疾患を、該疾患に罹りやすい被験体において予防する方法であって、対応する非同位体濃縮化合物と比較して、疾患の治療の間に、被験体において少なくとも1つの多様に発現されたチトクロームP450アイソフォームによる代謝の減少に影響を及ぼすために、被験体に、治療上有効な量の本明細書で開示される化合物またはその薬剤として許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを投与するステップを含む、方法を本明細書で開示する。
【0230】
哺乳動物被験体における多様に発現されたチトクロームP450アイソフォームの例は、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6を含むが、これらに限定されない。
【0231】
特定の実施形態において、少なくとも1つの多様に発現されたチトクロームP450アイソフォームによる、化合物の代謝の減少は、対応する非同位体濃縮化合物と比較して、約5%超、約10%超、約20%超、約30%超、約40%超、または約50%超である。
【0232】
チトクロームP450アイソフォームの代謝活性は、実施例5に記載された方法によって測定される。モノアミンオキシダーゼアイソフォームの代謝活性は、実施例6および7に記載された方法によって測定される。
【0233】
侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、幻肢痛、虚血性疼痛、脳卒中、敗血症、炎症、オピオイド耐性、アルツハイマー病、火傷、麻酔剤、鎮痛剤、エンセオジェン、カタレプシー治療剤、もしくは神経保護剤を投与することによって軽減、緩和、もしくは受益し得る任意の疾患、および/またはNMDA受容体を調節することによって軽減、緩和、もしくは受益し得る任意の疾患を含むが、これらに限定されない疾患を有する、または有すると疑われる被験体を治療する方法、またはこのような疾患を、該疾患に罹りやすい被験体において予防する方法であって、対応する非同位体濃縮化合物と比較して、少なくとも1つの統計的に有意な疾患制御および/または疾患根絶エンドポイントの改善に影響を及ぼすために、被験体に、治療上有効な量の本明細書で開示される化合物またはその薬剤として許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを投与するステップを含む、方法を本明細書で開示する。
【0234】
疾患制御および/または疾患根絶エンドポイントの改善の例は、対応する非同位体濃縮化合物と比較して、疼痛指数の統計的に有意な改善、酸素による虚血組織の灌流、虚血の予防、心理療法を促進するのに十分なエンセオジェン効果、コンプライアンス不良外傷被害者の内科療法を可能にするのに十分なカタレプシー効果、虚血事象中の神経保護、および/または肝毒性の減少を含むが、これに限定されない。
【0235】
侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、幻肢痛、虚血性疼痛、脳卒中、敗血症、炎症、オピオイド耐性、アルツハイマー病、火傷、麻酔剤、鎮痛剤、エンセオジェン、カタレプシー治療剤、もしくは神経保護剤を投与することによって軽減、緩和、もしくは受益し得る任意の疾患、および/またはNMDA受容体を調節することによって軽減、緩和、もしくは受益し得る任意の疾患を含むが、これらに限定されない疾患を有する、または有すると疑われる被験体を治療する方法、またはこのような疾患を、該疾患に罹りやすい被験体において予防する方法であって、対応する非同位体濃縮化合物と比較して、臨床効果の改善に影響を及ぼすために、被験体に、治療上有効な量の本明細書で開示される化合物またはその薬剤として許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを投与するステップを含む、方法を本明細書で開示する。臨床効果の改善の例は、対応する非同位体濃縮化合物と比較して、疼痛指数の統計的に有意な改善、酸素による虚血組織の灌流、虚血の予防、心理療法を促進するのに十分なエンセオジェン効果、コンプライアンス不良外傷被害者の内科療法を可能にするのに十分なカタレプシー効果、虚血事象中の神経保護、および/または肝毒性の減少を含むが、これに限定されない。
【0236】
侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、幻肢痛、虚血性疼痛、脳卒中、敗血症、炎症、オピオイド耐性、アルツハイマー病、火傷、麻酔剤、鎮痛剤、エンセオジェン、カタレプシー治療剤、もしくは神経保護剤を投与することによって軽減、緩和、もしくは受益し得る任意の疾患、および/またはNMDA受容体を調節することによって軽減、緩和、もしくは受益し得る任意の疾患を含むが、これらに限定されない疾患を有する、または有すると疑われる被験体を治療する方法、またはこのような疾患を、該疾患に罹りやすい被験体において予防する方法であって、対応する非同位体濃縮化合物と比較して、主要な臨床的有益性としての異常な栄養または肝臓パラメータの再発の防止、または低下もしくは出現の遅延に影響を及ぼすために、被験体に、治療上有効な量の本明細書で開示される化合物またはその薬剤として許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを投与するステップを含む、方法を本明細書で開示する。
【0237】
侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、幻肢痛、虚血性疼痛、脳卒中、敗血症、炎症、オピオイド耐性、アルツハイマー病、火傷、麻酔剤、鎮痛剤、エンセオジェン、カタレプシー治療剤、もしくは神経保護剤を投与することによって軽減、緩和、もしくは受益し得る任意の疾患、および/またはNMDA受容体を調節することによって軽減、緩和、もしくは受益し得る任意の疾患を含むが、これらに限定されない疾患を有する、または有すると疑われる被験体を治療する方法、またはこのような疾患を、該疾患に罹りやすい被験体において予防する方法であって、対応する非同位体濃縮化合物と比較して、いずれの診断用肝胆機能エンドポイントの悪化も減少または排除しながら、これに限定されるわけではないが、侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、幻肢痛、虚血性疼痛、脳卒中、敗血症、炎症、オピオイド耐性、アルツハイマー病、火傷、麻酔剤、鎮痛剤、エンセオジェン、カタレプシー治療剤、または神経保護剤を投与することによって軽減、緩和、もしくは受益し得る任意の疾患、および/またはNMDA受容体によって軽減、緩和、もしくは受益し得る任意の疾患の治療を可能にするために、被験体に、治療上有効な量の本明細書で開示される化合物またはその薬剤として許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを投与するステップを含む、方法を本明細書で開示する。
【0238】
診断用肝胆機能エンドポイントの例は、アラニンアミノ基転移酵素(「ALT」)、血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(「SGPT」)、アスパラギン酸アミノ基転移酵素(「AST」または「SGOT」)、ALT/AST比,血清アルドラーゼ、アルカリホスファターゼ(「ALP」)、アンモニア濃度、ビリルビン、γ−グルタミントランスペプチターゼ(「GGTP」、「γ−GTP」、または「GGT」)、ロイシンアミノペプチダーゼ(「LAP」)、肝生検、肝臓超音波検査、肝臓核スキャン、5´−ヌクレオチダーゼ、および血液タンパク質を含むが、これらに限定されない。肝胆エンドポイントは、“Diagnostic and Laboratory Test Reference”,4th edition,Mosby,1999に記載された、表示正常レベルと比較される。これらのアッセイは、標準プロトコルに従って公認研究所で実施される。
【0239】
治療される疾病および被験体の病態に応じて、本明細書で開示される化合物は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、嚢内注射もしくは注入、皮下注射、または移植)、吸入、経鼻、膣内、肛門、舌下、または局所(例えば、経皮または局部)投与ルートにより投与することができ、単独で、または各投与ルートに適切な、薬剤として許容される担体、アジュバント、および媒体と併せて好適な投与単位で配合することができる。
【0240】
用量は、1日に適切な間隔で投与される、1、2、3、4、5、6、またはそれ以上のサブ用量の形態であり得る。用量またはサブ用量は、用量単位当たり、約0.1ミリグラムから1000ミリグラム、約0.1ミリグラムから約500ミリグラム、または約0.5ミリグラムから約100ミリグラムの活性成分を含む、用量単位の形態で投与することができ、患者の病態により必要とされる場合は、用量は、代替手段として、持続注入として投与することができる。
【0241】
特定の実施形態においては、適切な用量レベルは、1日当たりの患者の体重1kg当たり約0.01から約100mg(mg/kg/日)、約0.01から約50mg/kg/日、約0.01から約25mg/kg/日、または約0.05から約10mg/kg/日であり、単回または複数回用量で投与される。好適な用量レベルは、約0.01から約100mg/kg/日、約0.05から約50mg/kg/日、または約0.1から約10mg/kg/日であり得る。この範囲内で、用量は、約0.01から約0.1、約0.1から約1.0、約1.0から約10、または約10から約50mg/kg/日であり得る。
【0242】
併用療法
本明細書で開示された化合物はまた、侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、幻肢痛、虚血性疼痛、脳卒中、敗血症、炎症、オピオイド耐性、アルツハイマー病、火傷、麻酔剤、鎮痛剤、エンセオジェン、カタレプシー治療剤、または神経保護剤を投与することによって軽減、緩和、もしくは受益し得る任意の疾患、および/またはNMDA受容体を調節することによって軽減、緩和、もしくは受益し得る任意の疾患を含むが、これらに限定されない、本明細書で開示された化合物が有用である疾患の1つ以上の症状の治療、予防、または改善に有用な他の薬剤と併用され得るか、または併用使用され得る。あるいは、一例に過ぎないが、本明細書に記載する化合物のうちの1つの治療有効性は、アジュバントの投与により強化され得る(すなわち、アジュバント自体では、最小限の治療的有用性しか有し得ないが、他の治療薬と併用し、全体としての患者への治療的有用性が強化され得る)。
【0243】
そのような他の薬剤、アジュバント、または薬物は、それらのために一般的に使用されるルートおよび量で、本明細書で開示される化合物と同時に、または連続して投与され得る。本明細書で開示される化合物が、1つ以上の他の薬物と同時に使用される場合、本明細書で開示される化合物に加えてそのような他の薬物を含む医薬組成物を使用することはできるが、必要ではない。したがって、本明細書で開示される医薬組成物は、本明細書で開示される化合物に加えて、1つ以上の他の活性成分または治療薬も含有するものを含む。
【0244】
特定の実施形態において、本明細書で開示される化合物は、フェンシクリジン(PCP)、アマンタジン、イボガイン、メマンチン、亜酸化窒素、およびデキストロメトルファンを含むが、これらに限定されない当分野で既知のNMDA受容体の1つ以上の調節剤と併用され得る。
【0245】
特定の実施形態において、本明細書で開示される化合物は、モルヒネ、コデイン、テバイン、ジアセチルモルヒネ、オキシコドン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、オキシモルホン、ニコモルフィン、フェンタニル、α−メチルフェンタニル、アフェンタニル、スフェンタニル、レミフェンタニル、カーフェンタニル、オーメフェンタニル、ペチジン、ケトベミドン、プロポキシフェン、デキストロプロポキシフェン、メタドン、ロペラミド、ペンタゾシン、ブプレノルフィン、エトルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン、レボルファノール、ナロキソン、ナルトレキソン、およびトラマドールを含むが、これらに限定されない、当分野で既知の1つ以上の天然、半合成、または完全合成オピオイドと併用され得る。
【0246】
特定の実施形態において、本明細書で開示される化合物は、ジエチルエーテル、ビニルエーテル、ハロタン、クロロホルム、メトキシフルラン、エンフルラン、トリクロロエチレン、イソフルラン、デスフルラン、セボフルラン、メトヘキシタール、ヘキソバルビタール、チオペンタール、ナルコバルビタール、フェンタニル、アフェンタニル、スフェンタニル、フェノペリジン、アニレリジン、レミフェンタニル、ドロペリドール、ケタミン、プロパニジド、アルファキサロン、エトミデート、プロポフォール、ヒドロキシ酪酸、亜酸化窒素、エスケタミン、メタブテタミン、プロカイン、テトラカイン、クロロプロカイン、ベンゾカイン、ブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、プリロカイン、ブタニリカイン、シンコカイン、エチドカイン、アルチカイン、ロピバカイン、レボブピバカイン、コカイン、塩化エチル、ジクロニン、フェノールおよびカプサイシンを含むが、これらに限定されない、当分野で既知の1つ以上の局所または全身麻酔薬と併用され得る。
【0247】
特定の実施形態において、本明細書で開示される化合物は、アルクロニウム、ジメチルツボクラリン、ツボクラリン、スキサメトニウム、アトラクリウム、シサトラクリウム、ドキサクリウムクロリド、臭化ファザジニウム、ガラミン、ヘキサフルオロニウム、塩化ミバクリウム、パンクロニウム、臭化ピペクロニウム、臭化ロクロニウム、ベクロニウム、およびボツリヌス毒素を含むが、これらに限定されない、当分野で既知の1つ以上の末梢作用筋弛緩剤と併用され得る。
【0248】
特定の実施形態において、本明細書で開示される化合物は、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロナゼパム、ジアゼパム、エスタゾラム、フルニトラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、トリアゾラム、テマゼパム、およびクロルジアゼポキシドを含むが、これらに限定されない、当分野で既知の1つ以上のベンゾジアゼピン(「弱トランキライザ」)と併用され得る。
【0249】
また、本明細書で開示される化合物は、ホスホラミドン等のエンドセリン変換酵素(ECE)阻害剤;イフェトロバン等のトロンボキサン受容体拮抗薬;カリウムチャネル開口薬;ヒルジン等のトロンビン阻害剤;PDGF活性の調節剤等の成長因子阻害剤;血小板活性化因子(PAF)拮抗薬;GPIIb/IIIa遮断薬(例えばアブシキシマブ、エプチフィバチド、およびチロフィバン)、P2Y(AC)拮抗薬(例えばクロピドグレル、チクロピジン、およびCS−747)、およびアスピリン等の抗血小板剤;ワルファリン等の抗凝血剤;エノキサパリン等の低分子量ヘパリン;第VIIa因子阻害剤および第Xa因子阻害剤;レニン阻害剤;中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤;オマパトリラトおよびゲモパトリラト等のバソペプチダーゼ阻害剤(NEP−ACE二重阻害剤);プラバスタチン、ロバスタチン、アトロバスタチン、シンバスタチン、NK−104(別名イタバスタチン、ニスバスタチン(nisvastatin)、またはニスバスタチン(nisbastatin)、およびZD−4522(別名ロスバスタチン、アタバスタチンまたはビサスタチン)等のHMG CoAレダクターゼ阻害剤;スクアレン合成酵素阻害剤;フィブラート系薬剤;クエストラン等の胆汁酸抑制剤;ナイアシン;ACAT阻害剤等の抗アテローム硬化症薬;MTP阻害剤;ベシル酸アムロジピン等のカルシウムチャネル遮断薬;カリウムチャネル活性化薬;α−アドレナリン作動薬;カルベジロールおよびメトプロロール等のβ−アドレナリン作動薬;抗不整脈剤;クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、フルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチルクロロチアジド、トリクロロメチアジド、ポリチアジド、ベンゾチアジド、エタクリン酸、トリクリナフェン(tricrynafen)、クロルタリドン、フロセニルド(furosenilde)、ムソリミン(musolimine)、ブメタニド、トリアムテレン、アミロライド、およびスピロノラクトン等の利尿薬;組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、組換えtPA、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、プロウロキナーゼ、およびアニゾールを結合したプラスミノーゲンストレプトキナーゼ活性化因子複合体(APSAC)等の血栓溶解剤;ビグアナイド(例えばメトホルミン)、グルコシダーゼ阻害剤(例えばアカルボース)、インスリン、メグリチニド(例えばレパグリニド)、スルホニル尿素(例えばグリメピリド、グリブリド、およびグリピジド)、チオゾリジンジオン(例えばトログリタゾン、ロシグリタゾン、およびピオグリタゾン)、およびPPARγ作用薬等の抗糖尿病剤;スピロノラクトンおよびエプレレノン等のミネラルコルチコイド受容体拮抗薬;成長ホルモン分泌促進因子;aP2阻害剤;PDEIII阻害剤(例えばシロスタゾール)およびPDE V阻害剤(例えばシルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル)等のホスホジエステラーゼ阻害剤;タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤;抗炎症薬;メトトレキサート、FK506(タクロリムス、プログラフ)、ミコフェノール酸モフェチル等の抗増殖剤;化学療法剤;免疫抑制剤;抗癌剤および細胞毒性薬(例えばナイトロジェンマスタード、スルホン酸アルキル、ニトロソ尿素、エチレンイミン、およびトリアジン等のアルキル化剤);葉酸拮抗薬、プリン類似体、およびピリジン類似体等の代謝拮抗薬;アントラサイクリン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ダクチノマイシン、およびプリカマイシン等の抗生物質;L−アスパラギナーゼ等の酵素;ファルネシル−タンパク質転移酵素阻害剤;グルココルチコイド(例えばコルチゾン)、エストロゲン/抗エストロゲン剤、アンドロゲン/抗アンドロゲン剤、プロゲスチン、および黄体ホルモン放出ホルモン拮抗薬、および酢酸オクトレオチド等のホルモン剤;エクチナサイジン等の微小管破壊剤;パクリタキセル、ドセタキセル、およびエポチロンA−F等の微小管安定剤;ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、およびタキサン等の植物由来生成物;ならびにトポイソメラーゼ阻害剤;プレニル−タンパク質転移酵素阻害剤;ならびにシクロスポリン;プレドニゾンおよびデキサメタゾン等のステロイド薬;アザチオプリンおよびシクロホスファミド等の細胞毒性薬;テニダップ等のTNFα阻害剤;エタネルセプト、ラパマイシン、およびレフルニミド(leflunimide)等の抗TNF抗体または可溶性TNF受容体;ならびにセレコキシブおよびロフェコキシブ等のシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤;ならびにヒドロキシ尿素、プロカルバジン、ミトタン、ヘキサメチルメラミン、金化合物、シスプラチン、サトラプラチン、およびカルボプラチン等の白金配位複合体等の種々の薬剤を含む、他の分類の化合物と併用して投与することもできるが、これらに限定されない。
【0250】
キット/製造品
本明細書で開示される治療用途で用いるために、キットおよび製造品もまた、本明細書に記載される。そのようなキットは、バイアル、管等の1つ以上の容器を受容するように区分化されるキャリア、パッケージ、または容器を備えることができ、容器のそれぞれは、本明細書に記載される方法で使用される、個々の要素のうちの1つを備える。好適な容器は、例えば、ボトル、バイアル、注射器、および試験管を含む。容器は、ガラスまたはプラスチック等の様々な材料から形成することができる。
【0251】
例えば、容器は、任意に本明細書に開示されるような別の薬剤と併用して、または1つの組成物において、本明細書に記載される1つ以上の化合物を含み得る。容器は、滅菌アクセスポートを任意に有する(例えば、容器は、皮下注射針により貫通可能なストッパーを有する、静脈注射用溶液バッグまたはバイアルであり得る)。そのようなキットは、本明細書に記載される方法でのその使用に関する、識別記述もしくはラベル、または説明書を有する化合物を任意に含む。
【0252】
キットは、通常1つ以上の追加の容器を備え、それぞれは、本明細書に記載される化合物の使用に対する、商業的および使用者の観点から望ましい、1つ以上の様々な材料を含む(任意に高濃度での試薬、および/または装置等)。そのような材料の非限定例は、緩衝剤、希釈剤、濾過器、針、注射器;内容および/または使用説明を記載するキャリア、パッケージ、容器、バイアルおよび/または管ラベル、および使用説明書を有する添付文書を含むが、これらに限定されない。一般的には、説明書一式も含まれる。
【0253】
ラベルは、容器上にあり得るか、または容器に付随し得る。ラベルを形成する文字、数字、または他の記号が、容器自体に添付、成形、またはエッチングされる場合、ラベルは、容器上にあり得て、例えば添付文書等、容器も保持するレセプタクルまたはキャリア内に存在する場合、ラベルは容器に付随し得る。ラベルは、内容物が、特定治療用途に使用できることを示すために使用され得る。ラベルは、例えば、本明細書に記載される方法等で、内容物の用法も示し得る。これらの他の治療薬は、例えば医師用卓上参考書(PDR)に示される、または当業者により別様に決定される量で、使用することができる。
【実施例1】
【0254】
本発明は、以下の実施例によってさらに図解する。
実施例1
12−2−(2−クロロフェニル)−2−メチルアミノ−シクロヘキサノン(d12−ケタミン)
【化10】

ステップ1
【化11】

【0255】
−(2−シクロフェニル)−シクロペンチル−メタノン:ステップ1の手順は米国特許第3,254,124号に記載されているように実施する。d−シクロペンチルブロミド(約120g;Sigma−Aldrich,St.Louis MO 63103より市販)および削り状マグネシウム(約19.4g)を使用して対応するグリニャール試薬を生成して、これを次に2−クロロベンゾニトリルと3日間反応させ、重水中でd−塩酸を使用して加水分解して、表題生成物を得る。
ステップ2
【化12】

【0256】
−(1−ブロモシクロペンチル)−(2−クロロフェニル)−メタノン:ステップ2の手順は米国特許第3,254,124号に記載されているように実施する。d−(2−クロロフェニル)−シクロペンチル−メタノン(約21g)を四塩化炭素(約80mL)中で臭素(約10g)によって処理する。表題生成物を標準抽出ワークアップによって単離して、これ以上精製せずに次のステップでただちに使用した。
ステップ3
【化13】

【0257】
11−1−[(2−シクロフェニル)−メチルイミノ−メチル]−シクロペンタノール:ステップ3の手順は米国特許第3,254,124号に記載されているように実施する。d−(1−ブロモシクロペンチル)−(2−クロロフェニル)−メタノン(約30g)を液体d−メチルアミン(約50mL;d−メチルアミン気体はSigma−Aldrich,St.Louis MO 63103より市販)によって処理する。約1時間後、過剰なd−メチルアミンを真空中で除去して、得られた残渣をペンタンに溶解させる。溶媒を真空中で除去して表題生成物を得る。
ステップ4
【化14】

【0258】
11−2−(2−クロロフェニル)−2−メチルアミノ−シクロヘキサノン(d11−ケタミン):ステップ4の手順は米国特許第3,254,124号に記載されているように実施する。d11−1−[(2−クロロフェニル)−メチルイミノ−メチル]−シクロペンタノール(2g)をデカリン(15mL)に溶解させて、還流下で約2.5時間加熱する。溶媒を真空中で除去して、得られた粗残渣を希塩酸中へ抽出する。溶液を脱色木炭によって処理して、水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを7超に調整して、表題生成物を得る。
ステップ5
【化15】

【0259】
12−2−(2−クロロフェニル)−2−メチルアミノ−シクロヘキサノン(d12−ケタミン):ステップ5の手順をHopfgartner et al.,J.Mass.Spectrom.1996,31,69−76.のように実施する。周囲温度にて、d11−ケタミンを重水およびジオキサンの1:1混合物中に取り、H−NMRによって監視されるような交換可能なアミドプロトンの消失まで、反応を周囲温度にて維持する。
【実施例2】
【0260】
実施例2
−2−(2−クロロフェニル)−2−メチルアミノ−シクロヘキサノンヒドロクロリド
【化16】

ステップ1
【化17】


1−ブロモシクロペンチル)−(2−クロロフェニル)−メタノン:(2−クロロフェニル)シクロペンチル−メタノン(1g、4.80mmol)を酢酸エチル(10mL)中で臭化銅(II)(2.7g、12.09mmol)によって処理した。混合物を80℃で2.5時間加熱した。混合物を濾過して、濾液を蒸発させ、粗残渣をヘキサンで洗浄して表題生成物(1.25g、91%)を得た。H NMR(300 MHz,CDCl)δ7.72(d,J=7.5 Hz,1H),7.46−7.28(m,3H),2.46−2.29(m,4H),2.03−1.93(m,2H),1.90−1.83(m,2H);LC−MS:m/z=288(MH)ステップ2
【化18】

【0261】
−1−[(2−クロロフェニル)−メチルイミノ−メチル]−シクロペンタノールヒドロクロリド:約−30℃にて、(1−ブロモシクロペンチル)−(2−クロロフェニル)−メタノン(1g、3.48mmol)を液体メチルアミン(約2mL)で処理した。約1時間後、過剰なメチルアミンを蒸発させて、生じた残渣をヘキサンに溶解させて、再蒸発させた。残渣をジエチルエーテル(10mL)に溶解させ、塩酸気体をポンプで注入した。生じた沈殿を濾過によって収集して、表題生成物(700mg、73%)を得た。H NMR(300 MHz,CDOD)δ7.76−7.49(m,3H),2.47−1.74(m,8H);LC−MS:m/z=241(MH)
ステップ3
【化19】

【0262】
−2−(2−クロロフェニル)−2−メチルアミノ−シクロヘキサノンヒドロクロリド:d−1−[(2−クロロフェニル)メチルイミノ−メチル]シクロペンタノールヒドロクロリド(400mg、1.4mmol)を安息香酸エチル(5mL)に溶解させて、約170℃にて約30分間加熱した。次にヘキサンを添加して、粗生成物を濾過によって収集した。メタノール−エーテルからの再結晶により表題生成物(200mg、50%)を得た。H NMR(300 MHz,CDCl)δ10.57−10.53(m,1H),9.49−9.46(m,1H),8.01(d,J=7.8 Hz,1H),7.55−7.42(m,3H),3.53−3.49(m,1H),2.69−2.46(m,3H),2.00−1.84(m,3H),1.65−1.51(m,1H);LC−MS:m/z=241(MH);HPLC:98%(純度).
【実施例3】
【0263】
実施例3
11−2−(2−クロロフェニル)−2−メチルアミノ−シクロヘキサノンヒドロクロリド
【化20】

ステップ1
【化21】

−(2−クロロフェニル)−シクロペンチル−メタノン:−シクロペンチルブロミド(2g、13.4mmol)および削り状マグネシウム(1.85g、77.1mmol)を使用して対応するグリニャール試薬を生成して、次にこれを 2−クロロベンゾニトリル(1.85g、13.2mmol)、臭化銅(I)(100mg、0.7mmol)およびジエチルエーテル(40mL)と混合した。混合物を還流下で約16時間加熱して、次に周囲温度にて6N塩酸(10mL)を使用して約2時間加水分解した。標準抽出ワークアップの後、粗生成物をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(石油エーテル−酢酸エチル=70/1、v/v、溶離)によって精製して、表題生成物を得た。H NMR(300 MHz,CDCl)δ7.69−7.26(m,4H),3.55(s,1H);LC−MS: m/z=217(MH)
ステップ2
【化22】

【0264】
−(1−ブロモシクロペンチル)−(2−クロロフェニル)−メタノン:d−(2−クロロフェニル)シクロペンチル−メタノン(400mg、1.84mmol)を酢酸エチル(40mL)中で臭化銅(II)(1.22g、5.46mmol)によって処理した。混合物を80℃で2.5時間加熱した。混合物を濾過して、濾液を蒸発させ、粗残渣をヘキサンで洗浄して表題生成物(450mg、83%)を得た。H NMR(300 MHz,CDCl)δ7.68(d,1H,J=7.8 Hz),7.44−7.26(m,3H);LC−MS:m/z=297(MH)
ステップ3
【化23】

【0265】
11−1−[(2−クロロフェニル)−メチルイミノ−メチル]−シクロペンタノールヒドロクロリド:約−30℃にて、d11−(1−ブロモシクロペンチル)−(2−クロロフェニル)−メタノン(450mg、1.52mmol)を液体d−メチルアミン(約2mL)で処理した。約1時間後、過剰なメチルアミンを蒸発させて、生じた残渣をヘキサンに溶解させて、再蒸発させた。残渣をジエチルエーテル(10mL)に溶解させて、塩酸気体をポンプで注入した。生じた沈殿を濾過によって収集して、表題生成物(150mg、35%)を得た。H NMR(300 MHz,CDOD)δ7.76−7.54(m,4H);LC−MS:m/z=249(MH)
ステップ4
【化24】

【0266】
11−2−(2−クロロフェニル)−2−メチルアミノ−シクロヘキサノンヒドロクロリド:d11−1−[(2−クロロフェニル)−メチルイミノ−メチル]シクロペンタノールヒドロクロリド(150mg、0.5mmol)を安息香酸エチル(5mL)に溶解させて、約170℃にて約30分間加熱した。次にヘキサンを添加して、粗生成物を濾過によって収集した。メタノール−エーテルからの再結晶により表題生成物(30mg、20%)を得た。H NMR(300 MHz,CDCl)δ10.53(br.s,1H),9.48(br.s,1H),8.01(d,1H,J=7.8 Hz),7.56−7.42(m,3H),2.68−2.53(m,2H);LC−MS:m/z=247(MH);HPLC: 90%(純度).
【0267】
以下の化合物は上述の方法を使用して一般に生成され得る。これらの化合物は生成されたときに、上の実施例で生成された化合物と同様の活性を有するであろうことが予想される。
【化25】

【化26】

【化27】

【化28】


またはその薬剤として許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ。
【0268】
実施例1から3の化合物およびそれらの類似体の、それらの非同位体濃縮類似体と比較した、代謝特性の変化は、以下の分析を使用して示すことができる。まだ作製および/または試験されていない上述に列挙された他の化合物は、1つ以上のこれらの分析によって示されるように、変化した代謝特性も有すると予測される。
【実施例4】
【0269】
実施例4
in vitro肝臓ミクロソーム安定性アッセイ
2%重炭酸ナトリウム溶液中のNADPH−生成系(2.2mM NADPH、25.6mMグルコース6−リン酸塩、1mL当たり6単位のグルコース6−リン酸塩デヒドロゲナーゼ、および3.3mM MgCl)を使用して、1mL当たり1mgの肝ミクロゾームタンパク質で、肝ミクロゾーム安定性分析を行う。試験化合物を20%アセトニトリル−水に溶解させて、アッセイ混合物(最終アッセイ濃度1μM)に添加した。分析試料中のアセトニトリルの最終濃度は、<1%でなければならない。サンプルは約37℃にてインキュベートした。分割量(50μL)を0、15、30、45、および60分の時点で採取して、氷冷アセトニトリル(200μL)を添加して反応を停止させた。サンプルを12,000RPMで約10分間遠心分離して、タンパク質を沈殿させた。次に上清を微小遠心管に移して、LC/MS/MSによる分解半減期分析用に貯蔵した。そのため本アッセイで試験された本発明による本明細書で開示された化合物が、非同位体濃縮薬と比較して、分解半減期の10%以上の延長を示したことが見出されている。例えば実施例2および実施例3の分解半減期は、非同位体濃縮ケタミンと比較して、10〜166%延長された。
【実施例5】
【0270】
実施例5
ヒトチトクロームP450酵素を使用するin vitro代謝
チトクロームP450酵素は、バキュロウイルス発現システム(BD Biosciences,San Jose,CA)を使用して、対応するヒトcDNAから発現される。リン酸カリウム100mmol(pH7.4)中にタンパク質0.8ミリグラム/mL、NADP 1.3mmol、グルコース−6−ホスフェート3.3mmol、グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ0.4U/mL、塩化マグネシウム3.3mmol、および本明細書で開示された化合物、対応する同位体濃縮化合物または標準もしくは対照0.2mmolを含有する反応混合物0.25mLを37℃にて20分間インキュベートした。インキュベーション後、適切な溶媒(例えばアセトニトリル、20%トリクロロ酢酸、94%アセトニトリル/6%氷酢酸、70%過塩素酸、94%アセトニトリル/6%氷酢酸)の添加によって反応を停止させ、3分間遠心分離する(10,000g)。上清をHPLC/MS/MSによって分析する。
【表1】

【実施例6】
【0271】
実施例6
モノアミンオキシダーゼA阻害および酸化ターンオーバー
手順はWeyler,Journal of Biological Chemistry 1985,260,13199−13207に記載されているように実施する。モノアミンオキシダーゼA活性は、4−ヒドロキシキノリンの形成によるキヌラミンの酸化時の314nmにおける吸収の上昇を監視することによって、分光光度法によって測定する。30℃で、0.2% Triton X−100(モノアミンオキシダーゼ分析緩衝液)と1mMキヌラミンと所望の量の酵素を含有する全容積1mLの、pH7.2の50mM NaP緩衝液中で測定を実施する。
【実施例7】
【0272】
実施例7
モノアミンオキシダーゼB阻害および酸化ターンオーバー
手順は、Uebelhack,Pharmacopsychiatry 1998,57,187−192に記載されているように実施する。
【実施例8】
【0273】
実施例8
ラットNMDA受容体への[H]TCP結合の阻害
手順は、Goldman et al.,FEBS Letters 1985,190(2),333−336に記載されているように実施する。
【実施例9】
【0274】
実施例9
低酸素誘起神経変性およびNMDA−拮抗薬神経保護のためのラットモデル
手順は、Reeker et al.,Canadian Journal of Anaesthesia 2000,57(6),572−578に記載されているように実施する。
* * * * *
【0275】
上記に記載した実施例は、請求する実施形態の作製方法および使用方法の完全な開示および説明を与えるために開示し、本発明者らが本明細書で開示するとみなすものの範囲を限定することは意図していない。自明である修正は、以下の[特許請求の範囲]内であることを意図する。本明細書に挙げられるすべての出版物、特許、および特許出願は、あたかもそのような各出版物、特許、または特許出願が、参照することにより本明細書に組み込まれるように具体的かつ個別に示されるように、参照することにより本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式Iを有する化合物
【化1】

(I)
またはその薬剤として許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ
(式中:R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16は、水素および重水素から成る群から独立して選択され、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16の少なくとも1つは重水素である)。
【請求項2】
前記化合物は、実質的に単一エナンチオマー、約90重量%以上の(−)エナンチオマーと約10重量%以下の(+)エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(+)エナンチオマーと約10重量%以下の(−)エナンチオマーとの混合物、実質的に個々のジアステレオマー、または約90重量%以上の個々のジアステレオマーと約10重量%以下の任意の他のジアステレオマーとの混合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16のうちの少なくとも1つは、少なくとも約98%の重水素濃縮を独立して有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16のうちの少なくとも1つは、少なくとも約90%の重水素濃縮を独立して有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16のうちの少なくとも1つは、少なくとも約50%の重水素濃縮を独立して有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16のうちの少なくとも1つは、少なくとも約20%の重水素濃縮を独立して有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16のうちの少なくとも1つは、少なくとも約10%の重水素濃縮を独立して有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16のうちの少なくとも1つは、少なくとも約5%の重水素濃縮を独立して有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、およびR16のうちの少なくとも1つは、少なくとも約1%の重水素濃縮を独立して有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
前記化合物は:
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】


またはその薬剤として許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ
から成る群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
前記化合物は、実質的に単一エナンチオマー、約90重量%以上の(−)エナンチオマーと約10重量%以下の(+)エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(+)エナンチオマーと約10重量%以下の(−)エナンチオマーとの混合物、実質的に個々のジアステレオマー、または約90重量%以上の個々のジアステレオマーと約10重量%以下の任意の他のジアステレオマーとの混合物である、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
Dで表される前記位置のそれぞれは、少なくとも98%の重水素濃縮を有する、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
Dで表される前記位置のそれぞれは、少なくとも90%の重水素濃縮を有する、請求項10に記載の化合物。
【請求項14】
Dで表される前記位置のそれぞれは、少なくとも50%の重水素濃縮を有する、請求項10に記載の化合物。
【請求項15】
Dで表される前記位置のそれぞれは、少なくとも20%の重水素濃縮を有する、請求項10に記載の化合物。
【請求項16】
Dで表される前記位置のそれぞれは、少なくとも10%の重水素濃縮を有する、請求項10に記載の化合物。
【請求項17】
Dで表される前記位置のそれぞれは、少なくとも5%の重水素濃縮を有する、請求項10に記載の化合物。
【請求項18】
Dで表される前記位置のそれぞれは、少なくとも1%の重水素濃縮を有する、請求項10に記載の化合物。
【請求項19】
前記化合物は:
【化6】


から成る群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
前記化合物は、実質的に単一エナンチオマー、約90重量%以上の(−)エナンチオマーと約10重量%以下の(+)エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(+)エナンチオマーと約10重量%以下の(−)エナンチオマーとの混合物、実質的に個々のジアステレオマー、または約90重量%以上の個々のジアステレオマーと約10重量%以下の任意の他のジアステレオマーとの混合物である、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
Dで表される前記位置のそれぞれは、少なくとも98%の重水素濃縮を有する、請求項19に記載の化合物。
【請求項22】
Dで表される前記位置のそれぞれは、少なくとも90%の重水素濃縮を有する、請求項19に記載の化合物。
【請求項23】
Dで表される前記位置のそれぞれは、少なくとも50%の重水素濃縮を有する、請求項19に記載の化合物。
【請求項24】
Dで表される前記位置のそれぞれは、少なくとも20%の重水素濃縮を有する、請求項19に記載の化合物。
【請求項25】
Dで表される前記位置のそれぞれは、少なくとも10%の重水素濃縮を有する、請求項19に記載の化合物。
【請求項26】
Dで表される前記位置のそれぞれは、少なくとも5%の重水素濃縮を有する、請求項19に記載の化合物。
【請求項27】
Dで表される前記位置のそれぞれは、少なくとも1%の重水素濃縮を有する、請求項19に記載の化合物。
【請求項28】
請求項1に記載の化合物と、1つ以上の薬剤として許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項29】
1つ以上の放出制御賦形剤をさらに含む、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
1つ以上の非放出制御賦形剤をさらに含む、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記組成物は経口、非経口、または点滴静脈内投与に好適である、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記経口剤形は錠剤またはカプセル剤である、請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記化合物は約0.5ミリグラムから約1,000ミリグラムの用量で投与される、請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項34】
別の治療剤をさらに含む、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記治療薬は、NMDA受容体調節剤、オピオイド、麻酔剤、ベンゾジアゼピン系薬物、局所作用筋弛緩剤、エンドセリン変換酵素(ECE)阻害剤、トロンボキサン受容体拮抗薬、カリウムチャネル開口薬、トロンビン阻害剤、成長因子阻害剤、血小板活性化因子(PAF)拮抗薬、抗血小板剤、第VIIa因子阻害剤および第Xa因子阻害剤、レニン阻害剤、中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、バソペプチダーゼ阻害剤、HMG CoAレダクターゼ阻害剤、スクアレン合成酵素阻害剤、フィブラート系薬剤、胆汁酸抑制剤、抗アテローム硬化症薬、MTP阻害剤、カルシウムチャネル遮断薬、カリウムチャネル活性化薬、α−PDE5薬、β−PDE5薬、抗不整脈剤、利尿薬、抗糖尿病剤、PPAR−γ作用薬、ミネラルコルチコイド酵素拮抗薬、aP2阻害剤、タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤、抗炎症薬、抗増殖剤、化学療法剤、免疫抑制剤、抗癌剤および細胞毒性薬、代謝拮抗薬、ファルネシル−タンパク質転移酵素阻害剤、ホルモン剤、微小管破壊剤、微小管安定剤、トポイソメラーゼ阻害剤、プレニル−タンパク質転移酵素阻害剤およびシクロスポリン、TNF−α阻害剤、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤、金化合物、ならびに白金配位複合体から成る群から選択される、請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記治療剤はNMDA受容体調節剤である、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記NMDA受容体調節剤はフェンシクリジン(PCP)、アマンタジン、イボガイン、メマンチン、亜酸化窒素、およびデキストロメトルファンから成る群から選択される、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記治療剤はオピオイドである、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記オピオイドは、モルヒネ、コデイン、テバイン、ジアセチルモルヒネ、オキシコドン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、オキシモルホン、ニコモルフィン、フェンタニル、α−メチルフェンタニル、アルフェンタニル、スフェンタニル、レミフェンタニル、カーフェンタニル、オーメフェンタニル、ペチジン、ケトベミドン、プロポキシフェン、デキストロプロポキシフェン、メタドン、ロペラミド、ペンタゾシン、ブプレノルフィン、エトルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン、レボルファノール、ナロキソン、ナルトレキソン、およびトラマドールから成る群から選択される、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記治療剤は麻酔剤である、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記麻酔剤はジエチルエーテル、ビニルエーテル、ハロタン、クロロホルム、メトキシフルラン、エンフルラン、トリクロロエチレン、イソフルラン、デスフルラン、セボフルラン、メトヘキシタール、ヘキソバルビタール、チオペンタール、ナルコバルビタール、フェンタニル、アフェンタニル、スフェンタニル、フェノペリジン、アニレリジン、レミフェンタニル、ドロペリドール、ケタミン、プロパニジド、アルファキサロン、エトミデート、プロポフォール、ヒドロキシ酪酸、亜酸化窒素、エスケタミン、メタブテタミン、プロカイン、テトラカイン、クロロプロカイン、ベンゾカイン、ブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、プリロカイン、ブタニリカイン、シンコカイン、エチドカイン、アルチカイン、ロピバカイン、レボブピバカイン、コカイン、塩化エチル、ジクロニン、フェノールおよびカプサイシンから成る群から選択される、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記治療剤はベンゾジアゼピンである、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記ベンゾジアゼピンは、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロナゼパム、ジアゼパム、エスタゾラム、フルニトラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、トリアゾラム、テマゼパム、およびクロルジアゼポキシドから成る群から選択される、請求項42に記載の医薬組成物。
【請求項44】
前記治療剤は末梢作用筋弛緩剤である、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項45】
前記末梢作用筋弛緩剤は、アルクロニウム、ジメチルツボクラリン、ツボクラリン、スキサメトニウム、アトラクリウム、シサトラクリウム、ドキサクリウムクロリド、臭化ファザジニウム、ガラミン、ヘキサフルオロニウム、塩化ミバクリウム、パンクロニウム、臭化ピペクロニウム、臭化ロクロニウム、ベクロニウム、およびボツリヌス毒素から成る群から選択される、請求項44に記載の医薬組成物。
【請求項46】
請求項19に記載の化合物と、1つ以上の薬剤として許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項47】
1つ以上の放出制御賦形剤をさらに含む、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項48】
1つ以上の非放出制御賦形剤をさらに含む、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項49】
前記組成物は経口、非経口、または点滴静脈内投与に好適である、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項50】
前記経口剤形は錠剤またはカプセル剤である、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項51】
前記化合物は約0.5ミリグラムから約1,000ミリグラムの用量で投与される、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項52】
別の治療剤をさらに含む、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項53】
前記治療薬は、NMDA受容体調節剤、オピオイド、麻酔剤、ベンゾジアゼピン系薬物、局所作用筋弛緩剤、エンドセリン変換酵素(ECE)阻害剤、トロンボキサン酵素拮抗薬、カリウムチャネル開口薬、トロンビン阻害剤、成長因子阻害剤、血小板活性化因子(PAF)拮抗薬、抗血小板剤、第VIIa因子阻害剤および第Xa因子阻害剤、レニン阻害剤、中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、バソペプチダーゼ阻害剤、HMG CoAレダクターゼ阻害剤、スクアレン合成酵素阻害剤、フィブラート系薬剤、胆汁酸抑制剤、抗アテローム硬化症薬、MTP阻害剤、カルシウムチャネル遮断薬、カリウムチャネル活性化薬、α−PDE5薬、β−PDE5薬、抗不整脈剤、利尿薬、抗糖尿病剤、PPAR−γ作用薬、ミネラルコルチコイド酵素拮抗薬、aP2阻害剤、タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤、抗炎症薬、抗増殖剤、化学療法剤、免疫抑制剤、抗癌剤、細胞毒性薬、代謝拮抗薬、ファルネシル−タンパク質転移酵素阻害剤、ホルモン剤、微小管破壊剤、微小管安定剤、トポイソメラーゼ阻害剤、プレニル−タンパク質転移酵素阻害剤およびシクロスポリン、TNF−α阻害剤、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤、金化合物、ならびに白金配位複合体から成る群から選択される、請求項52に記載の医薬組成物。
【請求項54】
前記治療剤はNMDA受容体調節剤である、請求項53に記載の医薬組成物。
【請求項55】
前記NMDA受容体調節剤はフェンシクリジン(PCP)、アマンタジン、イボガイン、メマンチン、亜酸化窒素、およびデキストロメトルファンから成る群から選択される、請求項54に記載の医薬組成物。
【請求項56】
前記治療剤はオピオイドである、請求項53に記載の医薬組成物。
【請求項57】
前記オピオイドは、モルヒネ、コデイン、テバイン、ジアセチルモルヒネ、オキシコドン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、オキシモルホン、ニコモルフィン、フェンタニル、α−メチルフェンタニル、アルフェンタニル、スフェンタニル、レミフェンタニル、カーフェンタニル、オーメフェンタニル、ペチジン、ケトベミドン、プロポキシフェン、デキストロプロポキシフェン、メタドン、ロペラミド、ペンタゾシン、ブプレノルフィン、エトルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン、レボルファノール、ナロキソン、ナルトレキソン、およびトラマドールから成る群から選択される、請求項56に記載の医薬組成物。
【請求項58】
前記治療剤は麻酔剤である、請求項53に記載の医薬組成物。
【請求項59】
前記麻酔剤はジエチルエーテル、ビニルエーテル、ハロタン、クロロホルム、メトキシフルラン、エンフルラン、トリクロロエチレン、イソフルラン、デスフルラン、セボフルラン、メトヘキシタール、ヘキソバルビタール、チオペンタール、ナルコバルビタール、フェンタニル、アフェンタニル、スフェンタニル、フェノペリジン、アニレリジン、レミフェンタニル、ドロペリドール、ケタミン、プロパニジド、アルファキサロン、エトミデート、プロポフォール、ヒドロキシ酪酸、亜酸化窒素、エスケタミン、メタブテタミン、プロカイン、テトラカイン、クロロプロカイン、ベンゾカイン、ブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、プリロカイン、ブタニリカイン、シンコカイン、エチドカイン、アルチカイン、ロピバカイン、レボブピバカイン、コカイン、塩化エチル、ジクロニン、フェノールおよびカプサイシンから成る群から選択される、請求項58に記載の医薬組成物。
【請求項60】
前記治療剤はベンゾジアゼピンである、請求項53に記載の医薬組成物。
【請求項61】
前記ベンゾジアゼピンは、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロナゼパム、ジアゼパム、エスタゾラム、フルニトラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、トリアゾラム、テマゼパム、およびクロルジアゼポキシドから成る群から選択される、請求項60に記載の医薬組成物。
【請求項62】
前記治療剤は末梢作用筋弛緩剤である、請求項53に記載の医薬組成物。
【請求項63】
前記末梢作用筋弛緩剤は、アルクロニウム、ジメチルツボクラリン、ツボクラリン、スキサメトニウム、アトラクリウム、シサトラクリウム、ドキサクリウムクロリド、臭化ファザジニウム、ガラミン、ヘキサフルオロニウム、塩化ミバクリウム、パンクロニウム、臭化ピペクロニウム、臭化ロクロニウム、ベクロニウム、およびボツリヌス毒素から成る群から選択される、請求項62に記載の医薬組成物。
【請求項64】
治療上有効な量の請求項1に記載の化合物を投与するステップを含む、被験体のNMDA受容体媒介疾患の1つ以上の症状を治療、予防、または改善するための方法。
【請求項65】
前記NMDA受容体媒介疾患は、侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、幻肢痛、虚血性疼痛、脳卒中、敗血症、炎症、オピオイド耐性、アルツハイマー病、および火傷から成る群から選択される、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記NMDA受容体媒介疾患は、麻酔剤、鎮痛剤、エンセオジェン、カタレプシー治療剤、および神経保護剤から成る群から選択される薬剤を使用することによって軽減、緩和、または予防され得る、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記麻酔剤が全身麻酔を促進する、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記NDMA受容体媒介疾患は、NDMA受容体調節剤を投与することによって軽減、緩和、または予防され得る、請求項64に記載の方法。
【請求項69】
前記化合物が以下の特性:
a)非同位体濃縮化合物と比較して、前記化合物またはその代謝物の血漿中濃度の個人間変動の減少、
b)非同位体濃縮化合物と比較して、前記化合物の、その用量単位当たりの平均血漿中濃度の増加、
c)非同位体濃縮化合物と比較して、前記化合物の少なくとも1つの代謝物の、その用量単位当たりの平均血漿中濃度の減少、
d)非同位体濃縮化合物と比較して、前記化合物の少なくとも1つの代謝物の、その用量単位当たりの平均血漿中濃度の増加、および
e)非同位体濃縮化合物と比較して、その用量単位当たりの該被験体における治療中の臨床効果の改善、
のうちの少なくとも1つを有する、請求項64に記載の方法。
【請求項70】
前記化合物が以下の特性:
a)非同位体濃縮化合物と比較して、前記化合物またはその代謝物の血漿中濃度の個人間変動の減少、
b)非同位体濃縮化合物と比較して、前記化合物の、その用量単位当たりの平均血漿中濃度の増加、
c)非同位体濃縮化合物と比較して、前記化合物の少なくとも1つの代謝物の、その用量単位当たりの平均血漿中濃度の減少、
d)非同位体濃縮化合物と比較して、前記化合物の少なくとも1つの代謝物の、その用量単位当たりの平均血漿中濃度の増加、および
e)非同位体濃縮化合物と比較して、その用量単位当たりの該被験体における治療中の臨床効果の改善、
のうちの少なくとも2つを有する、請求項64に記載の方法。
【請求項71】
前記方法が、対応する非同位体濃縮化合物と比較して、被験体において少なくとも1つの多様に発現されたチトクロームP450アイソフォームによる前記化合物のその用量単位当たりの代謝の減少に影響を及ぼす、請求項64に記載の方法。
【請求項72】
前記チトクロームP450アイソフォームは、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6から成る群から選択される、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記化合物は、非同位体濃縮化合物と比較して、その用量単位当たり、前記被験体における少なくとも1つのチトクロームP450またはモノアミンオキシダーゼアイソフォームの阻害が減少することを特徴とする、請求項64に記載の方法。
【請求項74】
前記チトクロームP450またはモノアミンオキシダーゼアイソフォームは、CYP1A1、CYP1A2、CYP1B1、CYP2A6、CYP2A13、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C18、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP2G1、CYP2J2、CYP2R1、CYP2S1、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A5P1、CYP3A5P2、CYP3A7、CYP4A11、CYP4B1、CYP4F2、CYP4F3、CYP4F8、CYP4F11、CYP4F12、CYP4X1、CYP4Z1、CYP5A1、CYP7A1、CYP7B1、CYP8A1、CYP8B1、CYP11A1、CYP11B1、CYP11B2、CYP17、CYP19、CYP21、CYP24、CYP26A1、CYP26B1、CYP27A1、CYP27B1、CYP39、CYP46、CYP51、MAO、およびMAOから成る群から選択される、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記方法は疾病の治療に影響を及ぼし、同時に、対応する非同位体濃縮化合物と比較して、診断用肝機能エンドポイントの有害変化を低減または排除する、請求項64に記載の方法。
【請求項76】
前記診断用肝胆機能エンドポイントは、アラニンアミノ基転移酵素(「ALT」)、血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(「SGPT」)、アスパラギン酸アミノ基転移酵素(「AST」または「SGOT」)、ALT/AST比,血清アルドラーゼ、アルカリホスファターゼ(「ALP」)、アンモニア濃度、ビリルビン、γ−グルタミントランスペプチターゼ(「GGTP」、「γ−GTP」、または「GGT」)、ロイシンアミノペプチダーゼ(「LAP」)、肝生検、肝臓超音波検査、肝臓核スキャン、5’−ヌクレオチダーゼ、および血液タンパク質から成る群から選択される、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
治療上有効な量の請求項19に記載の化合物を投与することによる、被験体のNDMA受容体媒介疾患の1つ以上の症状を治療、予防、または改善するための方法。
【請求項78】
前記NDMA受容体媒介疾患は、侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、幻肢痛、虚血性疼痛、脳卒中、敗血症、炎症、オピオイド耐性、アルツハイマー病、および火傷から成る群から選択される、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記NMDA受容体媒介疾患は、麻酔剤、鎮痛剤、エンセオジェン、カタレプシー治療剤、および神経保護剤から成る群から選択される薬剤を使用することによって軽減、緩和、または予防され得る、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
前記麻酔剤が全身麻酔を促進する、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記NMDA受容体媒介疾患は、NDMA受容体調節剤を投与することによって軽減、緩和、または予防され得る、請求項77に記載の方法。
【請求項82】
前記化合物が以下の特性:
a)非同位体濃縮化合物と比較して、前記化合物またはその代謝物の血漿中濃度の個人間変動の減少、
b)非同位体濃縮化合物と比較して、前記化合物の、その用量単位当たりの平均血漿中濃度の増加、
c)非同位体濃縮化合物と比較して、前記化合物の少なくとも1つの代謝物の、その用量単位当たりの平均血漿中濃度の減少、
d)非同位体濃縮化合物と比較して、前記化合物の少なくとも1つの代謝物の、その用量単位当たりの平均血漿中濃度の増加、および
e)非同位体濃縮化合物と比較して、その用量単位当たりの、該被験体における治療中の臨床効果の改善、
のうちの少なくとも1つを有する、請求項77に記載の方法。
【請求項83】
前記化合物が以下の特性:
a)非同位体濃縮化合物と比較して、前記化合物またはその代謝物の血漿中濃度の個人間変動の減少、
b)非同位体濃縮化合物と比較して、前記化合物の、その用量単位当たりの平均血漿中濃度の増加、
c)非同位体濃縮化合物と比較して、前記化合物の少なくとも1つの代謝物の、その用量単位当たりの平均血漿中濃度の減少、
d)非同位体濃縮化合物と比較して、前記化合物の少なくとも1つの代謝物の、その用量単位当たりの平均血漿中濃度の増加、および
e)非同位体濃縮化合物と比較して、その用量単位当たりの、該被験体における治療中の臨床効果の改善、
のうちの少なくとも2つを有する、請求項77に記載の方法。
【請求項84】
前記方法が、対応する非同位体濃縮化合物と比較して、被験体において少なくとも1つの多様に発現されたチトクロームP450アイソフォームによる前記化合物のその用量単位当たりの代謝の減少に影響を及ぼす、請求項77に記載の方法。
【請求項85】
前記チトクロームP450アイソフォームは、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6から成る群から選択される、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記化合物は、非同位体濃縮化合物と比較して、その用量単位当たり、前記被験体における少なくとも1つのチトクロームP450またはモノアミンオキシダーゼアイソフォームの阻害が減少することを特徴とする、請求項77に記載の方法。
【請求項87】
前記チトクロームP450またはモノアミンオキシダーゼアイソフォームは、CYP1A1、CYP1A2、CYP1B1、CYP2A6、CYP2A13、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C18、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP2G1、CYP2J2、CYP2R1、CYP2S1、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A5P1、CYP3A5P2、CYP3A7、CYP4A11、CYP4B1、CYP4F2、CYP4F3、CYP4F8、CYP4F11、CYP4F12、CYP4X1、CYP4Z1、CYP5A1、CYP7A1、CYP7B1、CYP8A1、CYP8B1、CYP11A1、CYP11B1、CYP11B2、CYP17、CYP19、CYP21、CYP24、CYP26A1、CYP26B1、CYP27A1、CYP27B1、CYP39、CYP46、CYP51、MAO、およびMAOから成る群から選択される、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記方法は障害の治療に影響を及ぼし、同時に、対応する非同位体濃縮化合物と比較して、診断用肝機能エンドポイントの有害変化を低減または排除する、請求項77に記載の方法。
【請求項89】
前記診断用肝胆機能エンドポイントは、アラニンアミノ基転移酵素(「ALT」)、血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(「SGPT」)、アスパラギン酸アミノ基転移酵素(「AST」または「SGOT」)、ALT/AST比、血清アルドラーゼ、アルカリホスファターゼ(「ALP」)、アンモニア濃度、ビリルビン、γ−グルタミントランスペプチターゼ(「GGTP」、「γ−GTP」、または「GGT」)、ロイシンアミノペプチダーゼ(「LAP」)、肝生検、肝臓超音波検査、肝臓核スキャン、5’−ヌクレオチダーゼ、および血液タンパク質から成る群から選択される、請求項88に記載の方法。

【公表番号】特表2010−525081(P2010−525081A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506525(P2010−506525)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/061598
【国際公開番号】WO2008/134525
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(508105728)オースペックス・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (17)
【氏名又は名称原語表記】AUSPEX PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】