説明

重症急性呼吸症候群(SARS)の治療のための、組成物および方法

重症急性呼吸症候群(SARS)の治療のための組成物および方法が、本明細書において開示される。SARS関連炎症性サイトカイン阻害剤が、SARS関連コロナウイルス(SARS−CoV)感染を含むSARSの治療における使用のため、本明細書において提供される。TNF阻害剤が、本明細書において開示され、SARS−CoVを含むSARS治療のための前記阻害剤の使用も開示される。前記阻害剤を同定およびスクリーニングする方法もまた、提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の属する分野
[001] 本発明は、重症急性呼吸症候群(SARS)の治療のための組成物および方法に関する。さらに、本発明は、SARSの治療に用いるための、リコンビナントTNF受容体、小分子および抗体を含む、腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤を含んでなる組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
[002] 重症急性呼吸症候群(SARS)は、多数の国において最近報告されている呼吸器疾病である。SARSは、2002年後半に、ヒトの健康に対する潜在的な脅威として最初に現れた。これは、著しい罹患率および死亡率を伴った高伝染性の新興感染性疾患として認識されている。ウイルスは、東南アジアを起源として、2003年4月30日時点で、世界の26ヶ国のおよそ5,663個体に感染している。M.M.W.R.,52(17):388−90(2003年5月2日)。これらの感染のうち、372例(およそ6.6%)は、結果として死亡した。同上。SARSは、世界中の人々の健康および福祉に対する著しい脅威であり、そして、該疾患に対する治療を開発するために、現在努力が続けられている。
【0003】
[003] SARSは、典型的には2〜7日間の長さの潜伏期間で、典型的に高熱を呈し、ときに悪寒、頭痛、倦怠感および筋肉痛を伴う感染個体として、一般的には特徴付けられる。疾病は、低酸素血症に付随するかもしくはこれに発展する乾性咳嗽または呼吸困難の発症を伴って、進行する。症例の10〜20%は、挿管および機械換気を必要とする。さらに、呼吸器疾病のピークにおいては、およそ50%の感染個体が、白血球減少症および血小板減少症を発現する。M.M.W.R.,52(12):255−256(2003年3月28日)。
【0004】
[004] SARSが伝播するパターンは、ウイルス病原体の飛沫伝染または接触伝染を示唆する。Poutanenら、New England Journal of Medicine、2003年3月31日オンライン公開、www.nejm.org。最近、SARSは、感染動物宿主細胞の細胞質中で複製するエンベロープウイルスのコロナウイルスファミリーメンバーである、新規ウイルスのSARS関連コロナウイルス(SARS−CoV)と、疫学的に関連している。コロナウイルスは、およそ30,000ヌクレオチドのゲノムを有する一本鎖RNAウイルスとして、一般的に特徴付けられる。Rota,P.A.ら、Sciencexpress、2003年5月1日オンライン公開;10.1126/science.1085952。コロナウイルスは、公知の三群に分けられ;最初の二群は、哺乳動物コロナウイルス感染を引き起こし、そして三番目の群は、トリコロナウイルス感染を引き起こす。同上。コロナウイルスは、多くの動物におけるいくつかの重症疾患の原因因子であると考えられており、例えば、感染性気管支炎ウイルス、ネコ感染性腹膜炎ウイルスおよび伝染性胃腸炎ウイルスは、重要な動物の病原体である。同上。これらの公知のコロナウイルスは、ヒトにおいてはほんの軽度の症状を引き起こす。
【0005】
[005] SARS−CoVは、11のオープンリーディングフレーム、および41%がG−CのゲノムDNAを伴う、29,727ヌクレオチド長のゲノムを有する。同上。系統発生解析によって、SARS−CoVが、これまでに公知であった三群のコロナウイルスとは異なった新たなコロナウイルス群を表すことが、明らかにされる。同上。世界中の他の地域の感染患者から得たSARS−CoV単離株を配列決定することで、この異なった分類が確認される。Marra,M.A.,et al.,Science express,2003年5月1日オンライン公開;10.1126/science.2095953。公知の三群とは対照的に、SARS−CoVは上記のヒトにおける重篤な疾患を引き起こす。
【0006】
[006] 最近の研究では、SARS−CoVの病原性が試験された。世界保健機関(World Health Organization)によると、SARS−CoVは、少なくとも1〜2日間は室温の糞便(feces)中で安定であり、そして、下痢患者の大便(stool)中ではおよそ4日間安定である。加えて、SARS−CoVは、細胞培養上清において、4℃および−80℃にて21日後に最小限のウイルス濃度低下を伴って安定であり、そしてSARS−CoVは、細胞培養上清において、安定した室温にて2日間でウイルス濃度を1logのみ低下させた。SARS−CoVは、一般に用いられる消毒剤および固定剤に対して感受性を示す。SARSの安定性および耐性に関する、WHOデータ。しかしながら、該データは、SARS−CoVがヒト宿主の外側で病原性を長期間保持可能であることを、強く示唆している。
【0007】
[007] SARS−CoVに加えて、他の感染性因子が、SARSに関与していることが疑われる。例えば、ヒトメタ肺炎ウイルスもまた、SARSを患う患者から単離されている。Poutanenら、New England Journal of Medicine、2003年3月31日オンライン公開、www/nejm.org。病原体の組み合わせが、SARSに関与する可能性がある。SARSが、一つの第二病原体または複数の第二病原体による日和見感染を含む可能性もある。
【0008】
[008] 2003年3月25日時点で、米国疾病対策予防センター(U.S. Centers for Disease Control and Prevention)は、「現時点では、具体的な治療の勧告を行うことはできない。」と述べた。CDC SARS Treatment、www.cdc.gov/ncidod/sars/treatment。香港において現在のところ施行されている一つの療法である、ステロイドと抗ウイルス剤リバビリンの併用は、レシピエントに対して効果がなく、そしてそれどころか危険であると、批判されている。D.Cyranoski,Nature,423:4(2003年)。他の試みられた療法には、抗生剤またはオセルタミビルの投与が含まれている。Poutanenら、New England Journal of Medicine、2003年3月31日オンライン公開、www.nejm.org。有効な治療がない場合、医療従事者は、SARSを有する患者を治療するために、静脈内(IV)輸液、酸素、ならびに、必要であれば機械換気および挿管などの補助対策を用いることに限定される。
【0009】
[009] 種々の対策が、SARSの伝播を制御する目的で、試みられている。これらの対策には、旅行制限/忠告、隔離、医療現場におけるSARS特異的スクリーニング、および適切な感染制御手順に関する大衆のさらなる教育が含まれる。SARS伝播の制限に役立てるため、人工呼吸器、手袋、ゴーグルおよび室内着などの予防策が、臨床家および医療従事者に対して推奨されている。少数の国で、疾患の伝播が頂点に達したことが報告されているのに対し、中国などの他国では、SARSは制御不可能に伝播し続けている。
【0010】
[010] 専門家は、該疾患用ワクチンが何年かの間利用可能ではなさそうであると、予測する。実際に、米国政府の感染性疾患の一流科学者によれば、「数年」の加速された研究が、ワクチンが一般的に利用可能となる前に必要とされるであろう。Nesmith,New York Times Syndicate;2003年4月7日オンライン公開;www.nlm.nih.gov/medlineplus/print/news/full story_12280.html。さらに、コロナウイルスの急速に変異する能力は、有効なワクチンの開発に実質的な障害をもたらす可能性がある。その上、たとえワクチンが開発されているとしても、ワクチンは、患者の免疫を含む可能性があり、そして実際にSARSに対する免疫応答を悪化させる。このように、該疾患は、依然として世界の人々に対する著しい脅威であり、そしてかなりしばらくの間はそうであり続けるように見える。
【0011】
[011] したがって、SARSと診断された患者、SARS−CoVに感染している患者などの、SARS関連感染性因子に感染している患者、あるいは、SARS関連感染性因子に曝露されたか、近い将来おそらく曝露されるであろう個体などの、SARSと接触する差し迫った危険にある患者を、有効に治療する必要性がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の概要
[012] 本明細書において提供されるのは、重症急性呼吸症候群(SARS)の治療のための組成物および方法である。
【0013】
[013] 本発明の態様は、医薬的に許容可能なキャリアー中、治療有効量のSARS関連炎症性サイトカイン阻害剤:を含んでなる組成物を、提供する。
[014] 本発明のさらなる態様は、可溶性リコンビナントSARS関連炎症性サイトカイン受容体、SARS関連炎症性サイトカインに対する抗体、SARS関連炎症性サイトカインの活性に影響を及ぼす小分子、SARS関連アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその組み合わせ:を含んでなる組成物を、提供する。
【0014】
[015] 本発明のいっそうさらなる態様は、可溶性リコンビナントTNF受容体、TNFに対する抗体、TNFの活性に影響を及ぼす小分子、TNFアンチセンスオリゴヌクレオチド、およびその組み合わせからなる群より選択される、第一物質;ならびに、ウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤、ウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼのプロセシングに影響を及ぼす、ウイルスにコードされるプロテアーゼの阻害剤、感染細胞からのコロナウイルス出芽もしくは放出の阻害剤、ヘマグルチニンエステラーゼ活性に影響を及ぼす、感染細胞からのコロナウイルス出芽もしくは放出の阻害剤、特定の細胞表面受容体へのウイルス結合の阻害剤、ウイルス侵入に関連するウイルススパイク糖タンパク質の受容体誘導コンホメーション変化の阻害剤、およびその組み合わせからなる群より選択される、第二物質:を含んでなる組成物を、提供する。
【0015】
[016] 本発明の別の態様は、無作為プラセボ対照試験において、候補のSARS関連炎症性サイトカイン阻害剤を、SARS関連感染性因子に感染している患者群に投与すること;候補のSARS関連炎症性サイトカイン阻害剤の有効性を、モニターすること;および、医薬的に許容可能なキャリアーを有する組成物中に、このように同定された治療に有効なSARS関連炎症性サイトカイン阻害剤を含めること:を含んでなる過程によって調製される組成物を、提供する。
【0016】
[017] 本発明のさらに別の態様は、無作為プラセボ対照試験において、候補の腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤を、重症急性呼吸症候群(SARS)関連感染性因子に感染している患者群に投与すること;候補のTNF阻害剤の有効性を、モニターすること;および、医薬的に許容可能なキャリアーを伴う組成物中に、このように同定された治療に有効なTNF阻害剤を含めること:を含んでなる過程によって調製される組成物を、提供する。
【0017】
[018] 本発明のなおさらなる態様は、治療有効量のSARS関連炎症性サイトカイン阻害剤を患者に投与すること:を含んでなる、重症急性呼吸症候群(SARS)を有する患者を治療するための方法を、提供する。
【0018】
[019] 本発明のいっそうさらなる態様は、治療有効量のTNF阻害剤を患者に投与すること:を含んでなる、重症急性呼吸症候群(SARS)を有する患者を治療するための方法を、提供する。
【0019】
[020] 本発明の別のさらなる態様は、無作為プラセボ対照試験において、候補のSARS関連炎症性サイトカイン阻害剤を、重症急性呼吸症候群(SARS)関連感染性因子に感染している患者群に投与すること;および、治療に有効なSARS関連炎症性サイトカインを同定するために、候補のSARS関連炎症性サイトカイン阻害剤の有効性をモニターすること:を含んでなる、SARS関連炎症性サイトカイン阻害剤のスクリーニング方法を、提供する。
【0020】
[021] 本発明のさらに別のさらなる態様は、無作為プラセボ対照試験において、候補の腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤を、重症急性呼吸症候群(SARS)関連感染性因子に感染している患者群に投与すること;および、治療に有効なTNF阻害剤を同定するために、候補のTNF阻害剤の有効性をモニターすること:を含んでなる、SARS患者の治療に有効な組成物のスクリーニング方法である。
【0021】
発明の詳細な説明
[022] 本発明は、疑わしい、可能性の高い、および確認されたSARS症例を含む、SARS関連病原性因子に感染しているヒトを含む患者を治療するための、化合物、組成物および方法を提供する。本開示の目的上、「疾病」「疾患」「医学的状態」「異常状態」等の語は、特に窮迫症がコロナウイルスによって引き起こされる場合に、呼吸窮迫症に関連する「医学的障害」の語と同義的に用いられる。
【0022】
[023] 「TNF受容体」および「TNFR」の語は、天然のTNF受容体またはTNF結合タンパク質のアミノ酸配列と実質的に類似するアミノ酸配列を有し、かつ、TNF分子と結合可能で、そしてTNFが細胞膜に結合しているTNFRと結合するのを阻害可能なタンパク質を指す。
【0023】
[024] TNFRタンパク質もしくはタンパク質組成物の純度を定義するために本明細書の文脈において用いられる、「単離された」または「精製された」の語は、タンパク質もしくはタンパク質組成物が、天然または内因性起源の他のタンパク質を実質的に含まず、かつ、産生過程の残余のタンパク質混入物を約1質量%未満含有することを、意味する。しかしながら、このような組成物は、安定剤、カーダー(carder)、賦形剤または共治療剤として加えられた他のタンパク質を含有することが可能である。TNFRは、ポリアクリルアミドゲルにおいて、銀染色によって単一のタンパク質バンドとして検出可能であるならば、単離されている。
【0024】
[025] 本明細書において、「リコンビナント」は、タンパク質がリコンビナントの(例えば、微生物または哺乳動物の)発現系に由来することを、意味する。「微生物の」とは、細菌または真菌(例えば、酵母)の発現系において作られたリコンビナントタンパク質を指す。産物として「リコンビナント微生物の」とは、微生物の発現系において産生された、天然の内因性物質を本質的には含まないタンパク質を定義する。例えば大腸菌(E.coli)などのほとんどの細菌の培養において発現するタンパク質は、グリカンを含まないであろう。酵母において発現するタンパク質は、哺乳動物細胞において発現するものとは異なったグリコシル化パターンを有する可能性がある。
【0025】
[026] TNF受容体の特徴として本明細書全体において用いられる「生物学的に活性な」は、特定の分子が、本明細書に開示された本発明の態様と、十分なアミノ酸配列の類似性を共有して、検出可能な量のTNFと結合すること、例えばハイブリッド受容体コンストラクトのコンポーネントとして、細胞にTNF刺激を伝達すること、または、自然(すなわち、リコンビナントでない)源由来のTNFRに対して産生させた抗TNFR抗体と交差反応することが可能であることを、意味する。好ましくは、本発明の範囲にある生物学的に活性なTNF受容体は、標準的な結合アッセイにおいて、1nmoleの受容体につき0.1nmoleを超えるTNFと、そして最も好ましくは、1nmoleの受容体につき0.5nmoleを超えるTNFと結合することが可能である。
【0026】
[027] 本明細書で用いる、「抗原結合領域」とは、抗原と相互作用し、そして抗原に対するその特異性および親和性を抗体に与えるアミノ酸残基を含有する、抗体分子のその一部分を指す。抗体領域は、抗原結合残基の適切なコンホメーションを維持するのに必要な「フレームワーク」アミノ酸残基を含む。
【0027】
[028] 本明細書では、「キメラ抗体」は、一価、二価または多価の免疫グロブリンを含む。一価キメラ抗体は、ジスルフィド架橋を介してキメラL鎖と会合しているキメラH鎖によって形成される二量体(HL)である。二価キメラ抗体は、少なくとも一つのジスルフィド架橋を介して会合している二つのHL二量体によって形成される四量体(H)である。多価キメラ抗体も、例えば、凝集するC領域(例えば、IgM H鎖またはμ鎖由来の)を用いることによって、作出可能である。
【0028】
[029] 本明細書では、「SARS患者」の表現は、SARSを有することが確認されているか、または疫学的要因に基づいてSARSの可能性の高いかもしくは疑わしい症例を有していると分類される可能性のある、ヒトなどの哺乳動物患者を指す。SARS患者は、SARSと診断される者、SARS関連感染性因子(病原体)(例えば、SARS−CoV)による感染についての検査で陽性を示す者、疫学的要因に基づいてSARSを有することが疑われる者、またはSARSと接触する差し迫った危険にある者(例えば、SARSに曝露されているか、または近い将来曝露され得るであろう者)を含む。「SARS患者」の語は、本明細書では、「SARSを有する患者」、「SARSに感染している患者」、「SARSを伴う患者」、「SARSを患う患者」および他のこのような表現と同義的に用いられる。
【0029】
[030] 「治療有効量」との句は、本明細書では、各単回投与(一連の投与の一部としての)において、治療される個体に、少なくとも感染の臨床的影響を低下させる応答をもたらすために、哺乳動物宿主(好ましくは、ヒト)に投与されるべき量を、指す。これは、病原性負荷の最小限の減少から感染予防にまで及んでもよい。理想的には、治療される個体は、より重篤な感染の臨床症状を示さないであろう。投与量は、個体の特定の状態に応じて変わることが可能である。特定の投与量は、ルーチンの臨床試験において、あるいは当業者に公知の手段によって、本明細書に提供されるガイダンスに基づき決定されることが可能である。
【0030】
[031] 本明細書では、治療剤の「治療有効量を投与すること」との句は、障害の重症度を反映する少なくとも一つの指標においてベースラインを超える持続した改善を誘導するのに十分な量および期間で、患者が薬剤で治療されることを意味する。改善は、患者が1週間以上離れた少なくとも二つの時点において改善を示すならば、「持続している」と考えられる。改善の程度は、徴候または症状に基づいて判定され、そして、判定には、生活の質(quality of life)についての質問表などの、患者に施行される質問表も用いてよい。本明細書では、「腫瘍壊死因子」または「TNF」の語とは、TNF−αおよび/またはTNF−βを指す。
【0031】
[032] サイトカインは、抗原によって活性化されるときに細胞によって放出されるタンパク質分子であり、そして、細胞間の連絡に関与して、白血球上の特定の細胞表面受容体との相互作用を介した免疫応答の増強メディエータとして作用すると考えられている。種々の異なる種類のサイトカインがあり、これにはインターロイキン、リンフォカイン、インターフェロンおよび腫瘍壊死因子(TNF)が含まれる。
【0032】
[033] 単球およびマクロファージは、エンドトキシンまたは他の刺激に応答して、腫瘍壊死因子−α(TNFα)および腫瘍壊死因子−β(TNFβ)として公知のサイトカインを分泌する。TNF−αは、17kDタンパク質サブユニットの可溶性ホモ三量体である(Smithら、J.Biol.Chem.262:6951−6954(1987年))。TNFの膜結合型26kD前駆体型もまた、存在する(Krieglerら、Cell 53:45−53(1988年))。TNFの総説については、Beutlerら、Nature 320:584(1986年)、Old,Science 230:630(1986年)、およびLeら、Lab.invest.56:234を参照されたい。
【0033】
[034] 単球またはマクロファージ以外の細胞もまた、TNF−αを作る。例えば、ヒト非単球腫瘍細胞株は、TNFを産生し(Rubinら、J.Exp.Med.164:1350(1986年);Spriggsら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:6563(1987年))、CD4+およびCD8+末梢血Tリンパ球ならびにいくつかの培養TおよびB細胞株(Cuturiら、J.Exp.Med.165:1581(1987年);Sungら、J.Exp.Med.168:1539(1988年))もまた、TNF−αを産生する。
【0034】
[035] TNFは、血管内皮細胞に対する凝固促進活性の誘導(Poberら、J.Immunol.136:1680(1988年))、好中球およびリンパ球の付着性の増加(Poberら、J.Immunol.138:3319(1987年))、ならびにマクロファージ、好中球および血管内皮細胞からの血小板活性化因子放出の刺激(Camussiら、J.Exp.Med.166:1390(1987年))などの、組織の損傷をもたらす炎症促進作用を、引き起こす。
【0035】
[036] 最近の証拠によると、TNFは、感染(Ceramiら、Immunol.Today 9:28(1988年))、免疫障害、腫瘍病態(Oliffら、Cell 50:555(1987年))、自己免疫病態、および移植片対宿主病態(Piguetら、J.Exp.Med.166:1280(1987年))と関連する。TNFと癌および感染病態との関連性は、しばしば宿主の異化状態と関係する。
【0036】
[037] TNFは、発熱、倦怠感、摂食障害および悪液質を含む、グラム陰性菌敗血症およびエンドトキシンショックにおいても、中心的な役割を果たす(Michieら、Br.J.Surg.76:670−671(1989年);Debetsら、Second Vienna Shock Forum、463〜466頁(1989年);Simpsonら、Crit.Care Clin.5:27−47(1989年))。エンドトキシンは、単球/マクロファージ産生、ならびにTNFおよび他のサイトカインの分泌を、強力に活性化する(Kornbluthら、J.Immunol.137:2585−2591(1986年))。TNFおよび他の単球由来サイトカインは、エンドトキシンに対する代謝応答および神経ホルモン応答を媒介する(Michieら、New.Engl.J.Med.318:1481−1486(1988年))。エンドトキシンをヒト志願者に投与すると、発熱、頻脈、代謝速度増加およびストレスホルモン放出を含むインフルエンザ(flu)様症状を伴った急性疾病が引き起こされる(Revhaugら、Arch.Surg.123:162−170(1988年))。循環TNFは、グラム陰性菌敗血症を患う患者において増加する(Waageら、Lancet 1:355−357(1987年);Hammerleら、Second Vienna Shock Forum、715〜718頁(1989年);Debetsら、Crit.Care Med.17:489−497(1989年);Calandraら、J.Infect.Dis.161:982−987(1990年))。
【0037】
[038] hTNFの推定受容体結合部位は、EckおよびSprang(J.Biol.Chem.264(29),17595−17605(1989年))によって開示されており、彼らは、TNF−αの受容体結合部位を、アミノ酸11〜13、37〜42、49〜57および155〜157からなるものと同定した。PCT公報WO91/02078(1991年)は、以下のエピトープを有するモノクローナル抗体と結合可能なTNFリガンドを開示している:1〜20、56〜77および108〜127のうち少なくとも一つ;1〜20、56〜77、108〜127および138〜149のうち少なくとも二つ;1〜18、58〜65、115〜125および138〜149のすべて;1〜18および108〜128のすべて;56〜79、110〜127および135〜もしくは136〜155のすべて;1〜30、117〜128および141〜153のすべて;1〜26、117〜128および141〜153のすべて;22〜40、49〜96もしくは49〜97、110〜127および136〜153のすべて;12〜22、36〜45、96〜105および132〜157のすべて;1〜20と76〜90の両方;22〜40、69〜97、105〜128および135〜155のすべて;22〜31および146〜157のすべて;22〜40および49〜98のすべて;22〜40、49〜98および69〜97のうち少なくとも一つ、22〜40と70〜87の両方。
【0038】
[039] TNF−αおよび近縁種のサイトカインであるTNF−β(リンフォトキシン)の多数の生物学的効果は、二つのTNF膜貫通受容体によって媒介され、該受容体の双方はクローニングされている。p55受容体(TNF−R55、TNF−RIまたはTNFR−αとも称される)は、シグナルを伝達して、その結果としてTNF−αの細胞毒性活性、抗ウイルス活性および増殖活性をもたらすことが示されている、55kdの糖タンパク質である。p75受容体(TNF−R75、TNF−RIIまたはTNFR−αとも称される)は、細胞毒性シグナルおよび増殖シグナル、ならびにGM−CSFの分泌をもたらすシグナルを伝達することが同様に示されている、75kDaの糖タンパク質である。さらなる考察については、以下を参照されたい:Aderkaら、lsrl.J.Med.Sci.28:126−130(1992年)(Seckingerら、J.Exp.Med.167:1511−1516(1988年);Engelmannら、J.Biol.Chem.264:11974−11980(1989年));Loetscherら、Cell 61:351−359(1990年4月20日);Schallら、Cell 61:361−370(1990年4月20日);Nopharら、EMBO J.9(10):3269−3278(1990年);Engelmannら、J.Biol.Chem.265(3):1531−1536(1990年);Englemannら、J.Biol.Chem.264(20):11974−11980(1989年);欧州特許公報第0 433 900 AI;PCT公報第WO 92/13095;欧州特許公報第0 526 905 A2;PCT公報WO 92/07076;欧州特許公報0 412 486 A1;欧州特許公報第0 398 327 A1;欧州特許公報0 308 378 A2;米国再発行36,755;および、米国特許第5,395,760および第5,605,690。
【0039】
[040] 様々な疾患を治療するためのTNF阻害剤の使用について、公開されている。具体的には、感染性疾患の分野において、TNF阻害剤を用いて敗血症を治療する試みがなされている。このような敗血症を治療する試みは、成功していない。しかしながら、TNF阻害剤は、新興感染性疾患であるSARSの治療において、予想外に有効である。
【0040】
[041] 本発明は、SARSの治療に有効な組成物を対象とする。具体的には、本発明は、SARS治療用の化合物および組成物、SARSの治療に有効な化合物および組成物の同定方法、ならびに、SARSを治療するための方法における本化合物の使用を、対象とする。
【0041】
[042] 実施に応じて、本発明は:医薬的に許容可能なキャリアー中、治療有効量のSARS関連炎症性サイトカイン阻害剤を含む。好ましくは、SARS関連炎症性サイトカイン阻害剤は、可溶性リコンビナントSARS関連炎症性サイトカイン受容体、SARS関連炎症性サイトカインに対する抗体、SARS関連炎症性サイトカイン活性に影響を及ぼす小分子、SARS関連アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその組み合わせである。より好ましくは、SARS関連炎症性サイトカイン阻害剤は、可溶性リコンビナント受容体である。SARS関連炎症性サイトカイン受容体阻害剤は、好ましくは、以下に記載されるように、本発明のスクリーニング方法にしたがって同定される。本明細書において提供されるガイダンスに基づいて、当業者は、本発明の実施に応じてこのような化合物または組成物を容易に同定することが可能であろう。
【0042】
[043] 本発明の実施に応じて、本発明の組成物は、医薬的に許容可能なキャリアー中、治療有効量のSARS関連炎症性サイトカイン阻害剤;および、当該医薬的に許容可能なキャリアー中、治療有効量の抗ウイルス化合物:を含む組成物を含む。
【0043】
[044] 本発明の別の実施に応じて、本発明の組成物は、可溶性リコンビナントTNF受容体、TNFに対する抗体、TNF活性に影響を及ぼす小分子、およびTNFアンチセンスオリゴヌクレオチド、ならびにその組み合わせからなる群より選択される第一物質を含んでなる。第一物質を、ウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤、ウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼのプロセシングに影響を及ぼす、ウイルスにコードされるプロテアーゼの阻害剤、感染細胞からのコロナウイルス出芽もしくは放出の阻害剤、ヘマグルチニンエステラーゼ活性に影響を及ぼす、感染細胞からのコロナウイルス出芽もしくは放出の阻害剤、特定の細胞表面受容体へのウイルス結合の阻害剤、ウイルス侵入に関連するウイルススパイク糖タンパク質の受容体誘導コンホメーション変化の阻害剤、およびその組み合わせからなる群より選択される第二物質と、所望により組み合わせてもよい。
【0044】
[045] 本発明の組成物は、無作為プラセボ対照試験において、候補のSARS関連炎症性サイトカイン阻害剤を、SARS関連感染性因子に感染している患者群に投与すること;および、候補のSARS関連炎症性サイトカイン阻害剤の有効性を、モニターすること:を含んでなる過程によって調製される組成物も、意図している。好ましくは、無作為プラセボ対照試験は、盲検プラセボ対照試験または二重盲検プラセボ対照試験である。また本発明によって意図されるのは、無作為プラセボ対照試験において、候補の腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤を、重症急性呼吸症候群(SARS)関連感染性因子に感染している患者群に投与すること;および、候補のTNF阻害剤の有効性を、モニターすることを含んでなる過程によって調製される組成物である。
【0045】
可溶性リコンビナントTNF受容体
[046] 態様にしたがって、本発明の組成物は、可溶性TNF受容体、および好ましくはTNFR−Igを含む。二つの異なる種類のTNFRは、存在することが公知である:I型TNFR(TNFRI)およびII型TNFR(TNFRII)。成熟した完全長ヒトTNFRIIは、約75〜80キロダルトン(kDa)の分子量を有する糖タンパク質である。成熟した完全長ヒトTNFRHは、約55〜60キロダルトン(kDa)の分子量を有する糖タンパク質である。本発明の好ましいTNFRは、TNFRIおよびTNFRIIの可溶型、ならびに可溶性TNF結合タンパク質である。
【0046】
[047] 可溶性TNFR分子には、例えば、少なくとも20アミノ酸を有し、そしてTNFRI、TNFRIIまたはTNF結合タンパク質と共通した少なくともいくらかの生物学的活性を示す、天然タンパク質の類似体またはサブユニットが含まれる。可溶性TNFRコンストラクトは、膜貫通領域を欠く(そして細胞から分泌される)が、しかしTNFとの結合能は保持する。種々の生物学的に同等なタンパク質およびアミノ酸類似体は、天然TNFRの細胞外領域の全部または一部に相当するアミノ酸配列を有する。
【0047】
[048] 同等な可溶性TNFRには、これらの配列とは1もしくはそれより多くの置換、欠失または付加により異なり、かつ、TNFとの結合能を保持するか、または細胞表面に結合しているTNF受容体タンパク質を介したTNFシグナル伝達活性を阻害するポリペプチドが、含まれる。類似の欠失は、muTNFRに対して行われてもよい。TNFシグナル伝達活性の阻害を、リコンビナント受容体発現を得るために細胞にリコンビナントTNFRのDNAをトランスフェクトすることによって、測定することが可能である。次いで、細胞をTNFと接触させ、そしてその結果として得られる代謝効果を検討する。効果がリガンドの作用に起因するとの結果であるならば、リコンビナント受容体は、シグナル伝達活性を有する。ポリペプチドがシグナル伝達活性を有するかどうかを判定するための典型的な手順は、Idzerdaら、J.Exp.Med.171:861(1990年);Curtisら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.86:3045(1989年);Prywesら、EMBO J.5:2179(1986年)、およびChouら、J.Biol.Chem.262:1842(1987年)によって開示されている。あるいは、内因性TNF受容体を発現し、そしてTNFに対する検出可能な生物学的応答を有する、初代細胞もしくは細胞株を利用することも、可能である。
【0048】
[049] 本明細書では、TNFR類似体に対する命名は、hu(ヒト)またはmu(マウス)のいずれかに先行され、そしてΔ(欠失を指定)およびC末端アミノ酸の番号が続く、タンパク質命名の慣習にしたがう。例えば、huTNFRΔ235とは、Asp235をC末端アミノ酸として有するヒトTNFRを指す。ヒトまたはマウスの種の指定がない場合、TNFRとは、哺乳動物TNFRを総称的に指す。同様に、欠失変異体に関していかなる特定の指定もない場合、TNFRの語は、TNFRの生物学的活性を保有する変異体および類似体を含む、すべての型のTNFRを意味する。
【0049】
[050] 好ましい態様において、TNFR−IgはTNFR:Fcであり、これは、本明細書に記載されるような医薬的に許容可能な組成物の形態で投与されてもよい。本明細書に記載される疾患は、TNFR:Fcを週に1回以上、皮下注射により投与することによって治療されてもよいが、他の投与経路が望ましいならば、これを用いてもよい。成人ヒト患者を治療するための一つの典型的なレジメンにおいて、25mgのTNFR:Fcを、週に2回または週に3回、1週間以上、そして好ましくは4週間以上、皮下注射により投与する。あるいは、5〜12mg/mの用量、または50mgの定用量を、週に1回または2回、1週間以上、皮下注射する。他の態様において、SARSは、生体適合性ポリマー中に封入されているTNFR:Fc、生体適合性ポリマー(局所に塗布されるヒドロゲルなど)と混合されているTNFR:Fc、および半透性移植片中に入れられているTNFR:Fcなどの、徐放型のTNFR:Fcを用いて、治療される。
【0050】
[051] 本明細書に記載される疾患を治療するのに用いられる種々の他の薬剤も、TNFR:FcなどのTNF−α阻害剤を含む組成物と同時に投与されてもよい。このような薬剤には:NSAID;DMARD;鎮痛剤;局所ステロイド;全身性ステロイド(例えば、プレドニゾン);他のサイトカイン;炎症性サイトカインのアンタゴニスト;T細胞表面タンパク質に対する抗体;経口レチノイド;サリチル酸;およびヒドロキシウレアが含まれる。このような併用に適した鎮痛剤には:アセトアミノフェン、コデイン、ナプシル酸プロポキシフェン、塩酸オキシコドン、酒石酸オキシコドンおよびトラマドールが含まれる。このような併用に適したDMARDには:アザチオプリン、シクロホスファミド、シクロスポリン、硫酸ヒドロキシクロロキン、メトトレキサート、レフルノミド、ミノサイクリン、ペニシラミン、スルファサラジン、経口金、金チオリンゴ酸ナトリウムおよびアウロチオグルコースが含まれる。標記の併用治療に適したNSAIDには:サリチル酸(アスピリン)およびサリチレート誘導体;イブプロフェン;インドメタシン;セレコキシブ(セレブレックス、ファルマシア社およびファイザー社);ロフェコキシブ(バイオックス、メルク&Co.Inc.);ケトロラク;ナンブメトン(nambumetone);ピロキシカム;ナプロキセン;オキサプロジン;スリンダク;ケトプロフェン;ジクロフェナク;ならびに、新規に開発された抗炎症剤を含む、他のCOX−1およびCOX−2阻害剤、プロピオン酸誘導体、酢酸誘導体、カルボン酸誘導体、カルボン酸誘導体、酪酸誘導体、オキシカム、ピラゾールならびにピラゾロンが含まれる。
【0051】
[052] 炎症性サイトカインに対するアンタゴニストが、TNFR:Fcと同時に投与される場合、このようなアンタゴニストに適した標的には、TGFβ、II−6およびII−8が含まれる。
【0052】
[053] 加えて、TNFR:Fcを、局所ステロイド、全身性ステロイド、炎症性サイトカインのアンタゴニスト、T細胞表面タンパク質に対する抗体、メトトレキサート、シクロスポリン、ヒドロキシウレアおよびスルファサラジンと併用してもよい。
【0053】
[054] 適切な用量は、動物の体重にしたがって決定されてもよい。例えば、0.2〜1mg/kgの用量を、用いてもよい。あるいは、用量は、動物の表面積にしたがって決定されてもよく、典型的な用量は、0.1〜20mg/m、またはより好ましくは5〜12mg/mである。イヌまたはネコなどの小動物については、適切な用量は、好ましい態様において0.4mg/kgである。TNFR:Fc(好ましくは、患者と同種由来の遺伝子から構築される)または別の可溶性TNFR模倣品は、動物の状態が改善されるまで、週に1回またはそれより多く、注射または他の適切な経路によって投与される。
【0054】
[055] TNFアンタゴニストタンパク質は、哺乳動物、好ましくはヒトに、SARSを治療する目的で投与される。例えばIL−1、IL−2およびIL−6などのインターロイキンがTNFの産生において果たす主要な役割のために、TNFRをIL−1Rおよび/またはIL−2Rと併用する併用療法は、TNF関連の臨床適応の治療において好ましい可能性がある。ヒトの治療においては、可溶性ヒトTNFRが好ましい。I型IL−1RまたはII型IL−1R、あるいはその組み合わせを、本発明にしたがって、関節炎などのTNF依存性炎症性疾患を治療するのに用いてもよい。他の種類のTNF結合タンパク質を、同様に用いてもよい。
【0055】
[056] 標記の方法は、産生されるTNF量を低下させるか、またはTNFとその細胞表面受容体との結合を妨げるなどによって、生物学的に活性な内因性TNFの有効量を低下させることが可能な可溶性TNFアンタゴニストを、患者に投与することを含む。この結合を阻害することが可能なアンタゴニストには、TNFの受容体結合ペプチド断片、TNF産生を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドもしくはリボザイム、TNFに対する抗体、ならびに、TNFまたはその修飾バリアントに対する受容体の全部または一部を含むリコンビナントタンパク質が含まれ、これには、遺伝子改変突然変異タンパク質(mutein)、多量体型、および徐放性処方物が含まれる。
【0056】
[057] 本発明の好ましい態様は、可溶性TNFRを、TNFアンタゴニストとして利用する。TNRの可溶型は、単量体、融合タンパク質(「キメラタンパク質」とも称される)、二量体、三量体またはより高次の多量体を含んでもよい。本発明のある態様において、可溶性TNFR誘導体は、75kDaのTNFRまたは55kDaのTNFRを模倣し、かつ患者体内においてTNFに結合するものである。可溶性TNFRの模倣品は、TNFR p55もしくはp75、またはその断片に由来してもよい。例えばWO 99/04001に記載されているTNFRなどの、p55およびp75以外のTNFRもまた、本明細書に記載される医学的障害を治療するための可溶性化合物を得るのに、有用である。TNFR模倣品を構築するのに用いられる可溶性TNFR分子には、例えば、天然TNFRの膜貫通領域を欠き、かつTNFと結合可能な、少なくとも20アミノ酸を有する天然TNFRの類似体または断片が含まれる。TNFR由来のアンタゴニストは、TNFについて細胞表面上の受容体と競合し、したがってTNFが細胞と結合するのを阻害し、それゆえにそれがその生物学的活性を現すことを妨げる。可溶性TNFRのTNFまたはLT(リンフォトキシン−α、これはTNF−βと同義的に用いられる)への結合については、ELISAまたは他の任意の都合のよいアッセイを用いて、アッセイすることが可能である。本発明は、疾患の治療のための薬剤製造における可溶性TNF受容体の使用を、提供する。
【0057】
[058] 本発明の可溶性TNFRポリペプチドもしくは断片を、キメラタンパク質を形成するために、第二のポリペプチドと融合させてもよい。第二のポリペプチドは、TNF−αまたはLT−α分子と結合可能で、かつそれが細胞に結合している受容体と結合することを妨げることが可能な、二量体、三量体またはより高次の多量体のキメラタンパク質による、自発的な形成を促進してもよい。アンタゴニストとして用いられるキメラタンパク質には、例えば、抗体分子定常領域およびTNFRの細胞外部分に由来する分子が含まれる。このような分子は、本明細書では、TNFR−Ig融合タンパク質と称される。ヒトおよび他の哺乳動物における疾患の治療に適した好ましいTNFR−Ig融合タンパク質は、本明細書では「エタネルセプト」を指す語である、リコンビナントTNFR:Fcであって、これは、p75 TNF−α受容体の細胞外部分の二分子の二量体であり、各分子は、235アミノ酸のヒトIgGのFc部分からなる。エタネルセプトは、現在、エンブレル(商標登録)の商用名のもと、イミュネックスコーポレーションによって販売されている。それに組み込まれているp75受容体タンパク質は、TNF−αとだけでなく、炎症性サイトカインLT−αとも結合するため、エタネルセプトは、TNF−αだけでなくLT−αの競合的阻害剤としても作用することが可能である。これは、LT−αを阻害することができないTNF−αに対する抗体とは対照的である。
【0058】
[059] 本発明によってまた包含されるのは、IgGのFc部分と融合した55kDaのTNFRの細胞外部分を含んでなる化合物を用いた治療、ならびにこのような分子を含有する組成物および組み合わせである。また包含されるのは、例えばWO 99/04001に記載されるTNFRなどの、p55およびp75 TNFR以外のTNF−α受容体分子の細胞外領域に由来する可溶性TNFRの投与を伴う治療方法であって、これは、このTNFRに由来するTNFR−Igを含む。他の適切なTNF−α阻害剤には、ヒト化抗TNF−α抗体、ヒューミラの商用名のもと、アボット・ラボラトリーズから入手可能な(D2E7の商用名のもと、クノール・ファーマシューティカル/BASFによって以前は販売されていた)アダリムマブが含まれる。本発明の組成物は、1またはそれより多くの以下の薬物を含んでもよい:インフリキシマブ(レミケード(セントコア・Inc.)としても知られる)、トロケード(ホフマン−ラ・ロシュ社、RO−32−3555)としても公知)、レフルノミド(ヘキスト・マリオン・ルセル社のアラバとしても知られる)、キネレット(アムジェンInc.のアナキンラとしても知られるIL−1受容体アンタゴニスト)。
【0059】
[060] 本発明の一つの好ましい態様において、徐放型のTNFR:Fcを含む、徐放型の可溶性TNFRが用いられる。開示されている方法での使用に適した徐放型には、これに限定されないが、徐々に溶解する生体適合性ポリマー中に封入されているTNFR(米国特許第6,036,978に記載されるアルギネート微粒子、または米国特許第6,083,534に記載されるポリエチレン−酢酸ビニルおよびポリ(乳酸−グルコール酸)組成物など)、このようなポリマー(局所に塗布されるヒドロゲルを含む)と混合されているTNFR、および/または、生体適合性半透性移植片中に入れられているTNFRが、含まれる。加えて、本明細書に記載される治療における使用のための、I型またはII型可溶性TNFRを、その血清中半減期を延長するために、またはタンパク質送達を増強するために、ポリエチレングリコールと結合(PEG化)させてもよい。
【0060】
小分子
[061] 本明細書に記載される疾患の治療に適した他の化合物には、サリドマイドもしくはサリドマイド類似体、ペントキシフィリンまたはマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)阻害剤、あるいは他の小分子が含まれる。適切なMMP阻害剤には、例えば、米国特許第5,883,131、第5,863,949および第5,861,510に記載されるもの、ならびに、米国特許第5,872,146に記載されるメルカプトアルキルペプチジル化合物が含まれる。TNF産生を低下させることが可能な他の小分子には、例えば、米国特許第5,508,300、第5,596,013および第5,563,143に記載される分子が含まれ、いずれの該分子も、可溶性TNFRまたはTNFに対する抗体などのTNF阻害剤と併用投与されることが可能である。本明細書に記載されるTNFを介した疾患の治療に有用な小分子には、米国特許第5,747,514、米国特許第5,691,382に記載されるMMP阻害剤、ならびに、米国特許第5,821,262に記載されるヒドロキサム酸誘導体が、さらに含まれる。本明細書に記載される疾患はまた、置換オキシム誘導体(WO 96/00215)、キノリンスルホンアミド(米国特許第5,834,485)、アリールフラン誘導体(WO 99/18095)およびヘテロ二環式誘導体(WO 96/01825;GB 2 291 422 A)などの、ホスホジエステラーゼIVおよびTNF産生を阻害する小分子を用いて、治療されてもよい。また有用なのは、TNFおよびIFNδを抑制するチアゾール誘導体(WO 99/15524)、ならびに、TNFおよび他の炎症促進性サイトカインを抑制するキサンチン誘導体(例えば、米国特許第5,118,500、米国特許第5,096,906および米国特許第5,196430を参照されたい)である。本明細書に記載される状態を治療するのに有用な小分子には、米国特許第5,547,979に開示されるものがさらに含まれる。
【0061】
アンチセンスオリゴヌクレオチド
[062] 本発明のTNF阻害剤の中にまた含まれるのは、標的とするmRNAとハイブリダイズし、そしてポリペプチド翻訳を妨げることによってmRNAの翻訳を直接的に遮断する働きをする、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、本明細書に開示される任意の医学的障害の治療において、単独で、または他のTNF阻害剤と併用して、または同状態を治療するための他の剤と併用して使用するのに適している。本発明のアンチセンス分子は、TNF、TNF受容体、またはTNF合成の代謝経路にある酵素の翻訳を、妨げてもよい。完全な相補性は、好ましくはあるが、必要とされない。本明細書に述べるような、核酸の一部分に「相補的な」配列は、核酸とハイブリダイズし、そして安定な二本鎖(または、必要に応じて三本鎖)を形成することが可能な十分な相補性を有する配列を、意味する。ハイブリダイズ能は、相補性の程度およびアンチセンス核酸の長さの双方によって決まるであろう。例えば、AUG開始コドンまでの、およびAUG開始コドンを含む5’非翻訳配列などのメッセージの5’末端に相補的なオリゴヌクレオチドは、翻訳を阻害する際に、最も効果的に作用する。しかしながら、標的とする転写物の5’または3’非翻訳非コード領域のいずれかに相補的なオリゴヌクレオチドを用いることは、可能である。mRNAの5’非翻訳領域に相補的なオリゴヌクレオチドは、AUG開始コドンの相補体を含むべきである。
【0062】
[063] アンチセンス核酸は、少なくとも6ヌクレオチド長であるべきで、そして好ましくは、6〜約50ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドである。特定の側面において、該オリゴヌクレオチドは、少なくとも10ヌクレオチド、少なくとも17ヌクレオチド、少なくとも25ヌクレオチド、または少なくとも50ヌクレオチドである。最も好ましくは、これらは18〜21ヌクレオチドを含有するであろう。
【0063】
[064] アンチセンスオリゴヌクレオチドの骨格は、体内でのオリゴヌクレオチドの半減期を延長するように化学修飾されてもよい。この目的に適した修飾は、当該技術分野において公知であって、例えば、米国特許第114,517において開示されるものなどであり、該出願には、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチルおよび他のアルキルホスホネート、種々のホスホネート、ホスフィネートならびにホスホロアミデート等をこの目的のために用いることについて記載されている。
【0064】
[065] オリゴヌクレオチドは、DNAもしくはRNAまたはそのキメラ混合体、あるいはその誘導体または修飾型であって、一本鎖または二本鎖であることが、可能である。オリゴヌクレオチドは、例えば、分子の安定性、ハイブリダイゼーション等を改良するために、塩基部分、糖部分またはリン酸骨格において修飾されることが可能である。オリゴヌクレオチドは、ペプチド(例えば、in vivoにて宿主細胞の受容体を標的とするための)または細胞膜を介する輸送の促進剤(例えば、Letsingerら、1989年、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.86:6553−6556;Lemaitreら、1987年、Proc.Natl.Acad.Sci.84:648−652;1988年12月15日に公表されたPCT公報第WO88/09810を参照されたい)、あるいはハイブリダイゼーションによって誘発される切断剤またはインターカレート剤(例えば、Zon、1988年、Pharm.Res.5:539−549を参照されたい)などの、他の付加基を含んでもよい。アンチセンス分子は、標的とする転写物を発現する細胞に送達されるべきである。
【0065】
[066] アンチセンスオリゴヌクレオチドは、静脈内または皮下注射を含む、非経口投与によって投与されることが可能であり、あるいは、経口投与に適した処方物に組み入れられることが可能である。多くの方法が、アンチセンスDNAまたはRNAを細胞に送達するために開発されており;例えば、アンチセンス分子は、組織または細胞の誘導部位に直接注射されることが可能であり、また、所望の細胞を標的とするように設計された修飾アンチセンス分子(例えば、標的細胞表面に発現する受容体もしくは抗原と特異的に結合するペプチドまたは抗体を連結させたアンチセンス)は、全身投与されることが可能である。しかしながら、内因性mRNAの翻訳を抑制するのに十分なアンチセンスオリゴヌクレオチドの細胞内濃度に到達することは、しばしば困難である。それゆえに、好ましいアプローチとして、アンチセンスオリゴヌクレオチドが強力なpol IIIまたはpol IIプロモーターの制御下に配置されるリコンビナントDNAコンストラクトが、利用される。患者において標的細胞にトランスフェクトするためにこのようなコンストラクトを用いることで、内因性標的遺伝子転写物に相補的な塩基対を形成し、それによって標的とするmRNAの翻訳を妨げるであろう一本鎖RNAの十分な量の転写が、もたらされるであろう。例えば、ベクターは、それが細胞によって取り込まれ、そしてアンチセンスRNAの転写を導くように、in vivoにて導入されることが可能である。このようなベクターは、それが転写されて所望のアンチセンスRNAを産生することが可能である限り、エピソームのままであるか、または染色体に組み込まれることができる。このようなベクターは、当該技術分野において標準的なリコンビナントDNA技術方法によって、構築されることが可能である。ベクターは、プラスミド、ウイルス、または、哺乳動物細胞における複製および発現に用いられる、当該技術分野において公知の他のものであることが可能である。高TNFと関連する疾患の治療に適したアンチセンスオリゴヌクレオチドには、例えば、米国特許第6,080,580に記載される抗TNFオリゴヌクレオチドが含まれ、該出願は、このようなオリゴヌクレオチドを、糖尿病、関節リウマチ、接触過敏症、クローン病、多発性硬化症、膵炎、肝炎または心臓移植の動物モデルにおける試験の候補として用いることを提案している。
【0066】
[067] mRNA転写物を触媒的に切断するように設計されたリボザイム分子もまた、TNF、TNF受容体、またはTNFもしくはTNFRの合成に関与する酵素をコードするmRNAの翻訳を妨げるのに用いられることが可能である(例えば、PCT WO90/11,364;米国特許第5,824,519を参照されたい)。この目的上有用なリボザイムには、ハンマーヘッド型リボザイム(HaseloffおよびGerlach、1988年、Nature、334:585−591)、テトラヒメナ好熱菌(Tetrahymena thermophila)において自然発生するもの(IVSまたはL−19 IVS RNAとして公知)などのRNAエンドリボヌクレアーゼ(以下、「Cech型リボザイム」)(例えば、WO 88/04300;BeenおよびCech、1986年、Cell,47:207−216を参照されたい)が含まれる。リボザイムは、修飾オリゴヌクレオチドから構成されることが可能であり(例えば、安定性の改良、ターゲティング等のため)、そしてin vivoにて標的ペプチドを発現する細胞に送達されるべきである。好ましい送達方法は、トランスフェクトされた細胞が、内因性標的mRNAを破壊し、それによってその翻訳を阻害するのに十分な量のリボザイムを産生するように、強力な構成的pol IIIまたはpol IIプロモーターの制御下でリボザイムをコードするDNAコンストラクトを用いることを含む。
【0067】
[68] 本発明の実施に応じて、アンチセンス分子は、標的ウイルスにおける遺伝子配列に相補的なオリゴデオキシヌクレオチド構造を含有する。ウイルスRNAに相補的なホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、細胞培養においてウイルス複製の阻害を示した。ISIS 2922は、CMVに対する強力な抗ウイルス活性を有するホスホロチオエートオリゴヌクレオチドであり;これは、CMVの前初期ユニットの領域2のRNAに相補的であって、そしてタンパク質合成を阻害する。これは、CMV網膜炎の硝子体内治療として、研究されている。副作用には、硝子体炎および網膜色素上皮斑点が含まれる。
【0068】
[069] あるいは、TNFまたはTNFRの産生に関与する遺伝子の発現を、標的遺伝子の調節領域(すなわち、標的遺伝子のプロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的なデオキシリボヌクレオチド配列を標的として、標的遺伝子の転写を妨げる三重ヘリカル構造を形成させることによって、低下させることが可能である(例えば、Helene、1991年、Anticancer Drug Des.,6(6),569−584;Heleneら、1992年、Ann.N.Y.Acad.Sci.,660,27−36;および、Maher、1992年、Bioassays 14(12),807−815を参照されたい)。
【0069】
[070] 本発明のアンチセンスRNAおよびDNA、リボザイム、三重ヘリックス分子等は、例えば固相ホスホロアミダイトの化学合成を含む、DNAおよびRNA分子の合成に関する当該技術分野において公知の任意の方法を用いて、調製されてもよい。オリゴヌクレオチドは、例えば、自動DNA合成機(このようなものは、バイオサーチ社、アプライドバイオシステムズ社等から市販されている)を用いることによって、当該技術分野において公知の標準的な方法によって合成されることが可能である。例として、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、Steinら、1988年、Nucl.Acids Res.16:3209の方法によって合成されてもよく、そしてメチルホスホネートオリゴヌクレオチドは、Sarinら、1988年、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:7448−7451によって記載されるように調製されてもよい。あるいは、RNA分子は、アンチセンスRNA分子をコードするDNA配列をin vitroおよびin vivoにて転写することによって、作出されてもよい。このようなDNA配列は、T7またはSP6ポリメラーゼプロモーターなどの適切なRNAポリメラーゼプロモーターを組み入れている多様なベクター中に組み入れられてもよい。あるいは、用いられるプロモーターに依存してアンチセンスRNAを構成的または誘導的に合成するアンチセンスcDNAコンストラクトは、細胞株に安定に導入されることが可能である。
【0070】
[071] 内因性標的遺伝子の発現は、標的とされる相同組換えを用いて標的遺伝子またはそのプロモーターを不活化または「ノックアウト」することによっても、低下させることが可能である(例えば、Smithiesら、1985年、Nature 317:230−234;ThomasおよびCapeechi、1987年、Cell 51,503−512;Thompsonら、1989年、Cell 5,313−321を参照されたい)。例えば、内因性標的遺伝子(標的遺伝子のコード領域または調節領域のいずれか)に相同的なDNAに隣接する非機能的変異標的遺伝子(または、完全に関連しないDNA配列)を、選択マーカーおよび/もしくは陰性選択マーカーを伴うかまたは伴わずに、in vivoにて発現する細胞にトランスフェクトするために用いることが可能である。標的とする相同組換えを介したDNAコンストラクトの挿入は、その結果として標的遺伝子の不活化をもたらす。このようなアプローチは、ES(胚性幹)細胞に対する修飾が、不活性標的遺伝子を有する動物の子を作出するのに用いられることが可能な農業分野において(例えば、ThomasおよびCapecchi、1987年、ならびに、Thompson、1989年、同上を、参照されたい)、あるいは、「RNA干渉」(「RNAi」)技術(Grishok A、Tabara HおよびMello C C、2000年、Science 287(5462):2494−2497)または導入遺伝子の導入(Dernburgら、2000年、Genes Dev.14(13):1578−1583)が特定の標的遺伝子の発現を阻害するのに用いられる、シノラブディス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)などのモデル生物体において、特に適している。リコンビナントDNAコンストラクトが、ウイルスベクターなどの適切なベクターを用いて、必要とされる部位にin vivoにて直接的に投与されるかまたは標的とされるならば、このアプローチを、ヒトにおける使用に適用することが可能である。
【0071】
抗TNF抗体
[072] ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(mAb)、キメラ抗体、可溶型または結合型にて標識されることが可能な抗体に対する抗イデオタイプ(抗Id)抗体、ならびに、非限定的に、酵素的切断、ペプチド合成または組換え技術などの任意の公知の技術によって提供されるその断片、領域または誘導体は、本発明によって意図されている。このような本発明の抗TNF抗体は、TNFのTNF受容体への結合を阻害するTNFの一部分と結合することが可能である。
【0072】
[073] ポリクローナル抗体は、抗原を用いて免疫化された動物の血清に由来する抗体分子の不均一な集団である。モノクローナル抗体は、抗原に特異的な抗体の実質的に均一な集団を含有し、該集団は、実質的に類似したエピトープ結合部位を含有する。mAbは、当業者に公知の方法によって得てもよい。例えば、KohlerおよびMilstein、Nature 256:495−497(1975年);米国特許第4,376,110;Ausubelら編集、CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY、Greene Publishing Assoc.およびWiley Interscience社、ニューヨーク州(1987年、1992年);ならびに、HarlowおよびLane、ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL コールドスプリングハーバー研究所(1988年);Colliganら編集、Current Protocols in Immunology、Greene Publishing Assoc.およびWiley Interscience社、ニューヨーク州(1992年、1993年)を参照されたく、該参考文献の内容は、すべてが参照によって本明細書に援用される。このような抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、GILDおよびその任意のサブクラスを含む、任意の免疫グロブリンクラスからなってもよい。本発明のmAbを産生するハイブリドーマは、in vitro、in situまたはin vivoにて培養されてもよい。高力価のmAbをin vivoまたはin situにて産生することから、これは、現在のところ好ましい方法または産生となっている。
【0073】
[074] キメラ抗体は、マウスmAb由来可変領域とヒト免疫グロブリン定常領域を有するものなどの、異なる動物種に由来する異なる部分の分子であって、これは、例えば、マウスmAbが、ハイブリドーマからより多く産生されるが、しかしヒトにおいてより高い免疫原性を有する場合において、投与されるときに免疫原性を低下させ、そして産生量を増加させるために、ヒトマウスキメラmAbを用いるなどのように、主として用いられる。キメラ抗体およびその産生のための方法は、当該技術分野において公知である(Cabillyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3273−3277(1984年);Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851−6855(194)、Boulianneら、Nature 312:643−646(1984年);Cabillyら、欧州特許出願125023(1984年11月14日公表);Neubergerら、Nature 314:268−270(1985年);Taniguchiら、欧州特許出願17/496(1985年2月19日公表);Morrisonら、欧州特許出願173494(1986年3月5日公表);Neubergerら、PCT出願WO 86/01533(1986年3月13日公表);Kudoら、欧州特許出願184187(1986年6月11日公表);Morrisonら、欧州特許出願[73494(1986年3月5日公表);Sahaganら、J.Immunol.137:1066−1074(1986年);Robinsonら、国際特許公報第PCT/US86/02269(1987年5月7日公表);Liuら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:3439−3443(1987年);Sunら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:214−218(1987年);Betterら、Science 240:1041−1043(1988年);および、HarlowおよびLane ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL コールドスプリングハーバー研究所(1988年))。
【0074】
[075] TNFに対するマウスポリクローナル抗体は、Ceramiら(EPO特許公報0212489、1987年3月4日)によって開示されている。
[076] Rubinら(EPO特許公報0218868、1987年4月22日)は、ヒトTNFに対するマウスモノクローナル抗体、このような抗体を分泌するハイブリドーマ、このようなマウス抗体を産生する方法、およびこのようなマウス抗体のTNFのイムノアッセイにおける使用について、開示している。
【0075】
[077] Yoneら(EPO特許公報0288088、1988年10月26日)は、mAbを含む抗TNFマウス抗体、ならびに、特に川崎病の病態および細菌感染における病態の免疫アッセイ診断におけるその利用について、開示している。
【0076】
[078] 他の研究者は、in vitroにて中和活性を有するリコンビナントヒトTNFに特異的な、げっ歯類mAbまたはルーチンのmAbについて、記載している(Liangら、(Biochem.Biophys.Res.Comm.137:847−854(1986年);Meagerら、Hybridoma 6:305−311(1987年);Fendlyら、Hybridoma 6:359−369(1987年);Bringmanら、Hybridoma 6:489−507(1987年);Hiraiら、J.Immunol.Meth.96:57−62(1987年)Moilerら、(Cytokine 2:162−169(1990年))。
【0077】
[079] TNFに対する中和抗血清またはmAbは、実験的内毒血症および菌血症において、有害な生理学的変化を抑制し、そして致死量曝露後の死を予防することが、ヒト以外の哺乳動物において示されている。この効果は、例えば、げっ歯類の致死性アッセイ、および霊長類病態モデル系において、実証されている(Mathisonら、J.Clin.Invest.81:1925−1937(1988年);Beutlerら、Science 229:869−871(1985年);Traceyら、Nature 330:662−664(1987年);Shimamotoら、Immunol.Lett.17:311−318(1988年);Silvaら、J.Infect.Dis.162:421−427(1990年);Opalら、J.Infect.Dis.161:1148−1152(1990年);Hinshawら、Circ.Shock 30:279−292(1990年))。
【0078】
[080] 本発明の抗TNF抗体は、重鎖定常領域(H)、重鎖可変領域(H)、軽鎖可変領域(L)および軽鎖定常領域(L)のうちの少なくとも一つを含むことが可能であり、ここでポリクローナルAb、モノクローナルAb、その断片および/または領域は、TNFの一部分と結合し、そして少なくとも一つのTNF生物学的活性を阻害および/または中和する、少なくとも一つの重鎖可変領域(H)または軽鎖可変領域(L)を含む。
【0079】
[081] 抗原は、抗体と結合することが可能な分子または分子の一部分であって、これは、動物に対してその抗原のエピトープと結合可能な抗体の産生を誘導することがさらに可能である。抗原は、1または1より多くのエピトープを有することが可能である。
【0080】
[082] 上記に述べた特異的な反応は、抗原が、高選択性にその対応する抗体と反応し、そして他の抗原によって惹起されることが可能な多数の他の抗体とは反応しないであろうことを示すことになる。本発明の抗TNF抗体の抗体、断片および領域と結合する好ましい抗原には、hTNF−α(配列番号1の)のアミノ酸残基87〜108、あるいは残基59〜80および8〜108の両方、のうち少なくとも一つを含む、少なくとも5アミノ酸が含まれる。本発明の抗TNF抗体の抗体、断片および領域と結合する好ましい抗原は、hTNF−α(配列番号1)のアミノ酸11〜13、37〜42、49〜57または155〜157のアミノ酸を含まない。
【0081】
[083] エピトープは、1またはそれより多くのAbの抗原結合領域において抗体によって認識されそして結合されることが可能な、任意の分子のその一部分である。エピトープは、通常、アミノ酸または糖側鎖などの分子の化学的活性表面配置からなり、そして特異的な三次元構造の特徴、ならびに特異的な電荷の特徴を有する。「阻害エピトープおよび/または中和エピトープ」とは、in vivo、in vitroまたはin situにおいて、より好ましくはin vivoにおいて、抗体に結合されたときにその結果としてエピトープを含有する分子または生物体の生物学的活性を消失させるエピトープを意味し、これには、例えばTNFのTNF受容体への結合が含まれる。例えば、このようなエピトープは、米国6,277,969に開示されるものなどを含み、該出願は、そのすべてを参照によって本明細書に援用される。
【0082】
[084] 本明細書では、「キメラ抗体」の語は、一価、二価または多価免疫グロブリンを含む。一価キメラ抗体は、ジスルフィド架橋を介してキメラL鎖と会合しているキメラH鎖によって形成される二量体(HL)である。二価キメラ抗体は、少なくとも一つのジスルフィド架橋を介して会合している二つのHL二量体によって形成される四量体(H)である。多価キメラ抗体も、例えば、凝集するC領域(例えば、IgM H鎖またはμ鎖由来の)を用いることによって、作出可能である。
【0083】
[085] 本発明のマウス抗体およびキメラ抗体、断片ならびに領域は、個々の免疫グロブリン重(H)鎖および/または軽(L)鎖を含んでなる。キメラH鎖は、TNFに特異的な非ヒト抗体のH鎖に由来する抗原結合領域を含んでなり、これは、少なくともCHもしくはCHなどのヒトH鎖C領域(C)の一部分と連結している。
【0084】
[086] 本発明にしたがったキメラL鎖は、少なくともヒトL鎖C領域(C)の一部分と連結している、TNFに特異的なヒツジ−ヒト抗体のL鎖に由来する抗原結合領域を、含んでなる。
【0085】
[087] 同じかまたは異なる可変領域結合特異性のキメラH鎖とL鎖を有する抗体、断片または誘導体もまた、例えばAusubel 以下、Harlow 以下、およびColligan 以下などの、公知の方法の工程にしたがって、個々のポリペプチド鎖を適切に会合させることよって調製されることが可能である。
【0086】
抗TNF免疫受容体ペプチド
[088] 本発明の免疫受容体ペプチドは、TNF−αおよび/またはTNF−βと結合することが可能である。免疫受容体は、少なくともTNF受容体の一部分と共有結合している、少なくとも一つの免疫グロブリン重鎖または軽鎖を含んでなる。ある好ましい態様において、重鎖定常領域は、少なくともCHの一部分を含む。具体的には、軽鎖が免疫受容体ペプチドに含まれる場合において、重鎖は、軽鎖定常領域との結合に関与するCH区域を含まなければならない。
【0087】
[089] 本発明の免疫受容体ペプチドは、好ましくは、少なくとも一つの重鎖定常領域と、特定の態様においては、少なくとも一つの軽鎖定常領域を、免疫グロブリン鎖の少なくとも一つと共有結している受容体分子とともに含んでなることが、可能である。ある態様においては、軽鎖または重鎖可変領域が含まれる。受容体分子が免疫グロブリン鎖内部で連結することが可能であることから、一つの鎖が可変領域、および受容体分子との融合を有することが、可能である。
【0088】
[090] 免疫グロブリン分子と連結しているTNF受容体の一部分は、TNF−αおよび/またはTNFβと結合することが可能である。TNF受容体の細胞外領域がTNFと結合することから、免疫受容体の免疫グロブリン分子と結合している一部分は、少なくともTNF受容体の細胞外領域の一部分からなる。
【0089】
[091] 免疫グロブリン遺伝子は、マウスなどの任意の脊椎動物由来であることが可能であるが、しかし好ましくは、それは、免疫受容体ペプチドの最終的なレシピエントと同じ由来の配列の実質的な液性を有する免疫グロブリンをコードする。例えば、ヒトが本発明の分子を用いて治療される場合、好ましくは、免疫グロブリンはヒト由来である。
【0090】
[092] 重鎖に並ぶためのTNF受容体コンストラクトを、例えば、該受容体の細胞ドメインに存在するアミノ酸をコードするDNAを用いて、合成することが可能である。hTNFの推定受容体結合部位は、EckおよびSprange、J.Biol.Chem.264(29),17595−17605(1989年)によって示されており、彼らは、TNF−αの受容体結合部位を、アミノ酸11〜13、37〜42、49〜57および155〜157からなるものと同定した。PCT出願WO91/02078(優先日1989年8月7日)は、以下のエピトープを有するモノクローナル抗体と結合可能なTNFリガンドを開示している:1〜20、56〜77および108〜127のうち少なくとも一つ;1〜20、56〜77、108〜127および138〜149のうち少なくとも二つ;1〜18、58〜65、115〜125および138〜149のすべて;1〜18および108〜128のすべて;56〜79、110〜127および135〜もしくは136〜155のすべて;1〜30、117〜128および141〜153のすべて;1〜26、117〜128および141〜153のすべて;22〜40、49〜96もしくは〜97、11〜127および136〜153のすべて;12〜22、36〜45、96〜105および132〜157のすべて;1〜20および76〜90の両方のすべて;22〜40、69〜97、105〜128および135〜155のすべて;22〜31および146〜157のすべて;22〜40および49〜98のすべて;22〜40、9〜98および69〜97のうち少なくとも一つ、22〜40および70〜87の両方。したがって、本開示を一旦備えた当業者は、TNFと結合することが公知の受容体の一部分を用いて、TNF受容体融合タンパク質を作出することが可能であろう。
【0091】
[093] 本発明の免疫グロブリン融合タンパク質(免疫受容体ペプチド)を用いることの利点には、(1)結果として得られる二量体融合タンパク質の二価性によって、多価リガンドに対する結合活性が増加する可能性、(2)血清中半減期の延長、(3)Fcドメインを介してエフェクター細胞を活性化する能力、(4)精製の容易さ(例えば、プロテインAクロマトグラフィーによる)、(5)TNF−αおよびTNF−βに対する親和性、ならびに、(6)TNF−αまたはTNF−β細胞毒性を遮断する能力、のうちの1またはそれより多くが含まれる。
【0092】
[094] これは、概して、Ig軽鎖の非存在下で融合タンパク質の分泌を可能とするが、本発明の主要な態様は、CHドメインを含むことを提供し、これは、以下のような利点を授与する可能性がある:(1)二つの受容体分子間の距離および/または可動性を増加させる結果としての、TNFに対する親和性の増大、(2)互いに集合しそして二量体化して、四価(二つの融合)受容体分子を形成するであろう、重鎖融合タンパク質および軽鎖融合タンパク質を作出する能力、ならびに、(3)四価融合タンパク質は、二価(一つの融合)分子と比較して、TNFに対する増加した親和性および/または中和能力を有することができる。
【0093】
抗イデオタイプAb
[095] モノクローナルまたはキメラ抗TNF抗体に加えて、本発明は、本発明の抗TNF抗体に特異的な抗イデオタイプ(抗Id)抗体も対象とする。抗Id抗体は、別の抗体の抗原結合領域に概して関連する固有の決定基を認識する:抗体である。TNFに特異的な抗体は、イデオタイプ抗体またはId抗体と称される。抗Idは、Id抗体源と同じ種類および遺伝子型の動物(例えば、マウス系統)を、Id抗体またはその抗原結合領域を用いて免疫化することによって、調製されることが可能である。免疫化された動物は、免疫抗体のイデオタイプ決定基を認識し、そしてそれに応答し、そして抗Id抗体を産生するであろう。抗Id抗体を「免疫原」として用いて、さらに別の動物において免疫応答を誘導し、いわゆる抗抗Id抗体を産生することも可能である。抗抗Id抗体は、抗Idを誘導した元の抗体とエピトープが同一であることが可能である。このように、mAbのイデオタイプ決定基に対する抗体を用いることによって、同一特異性の抗体を発現している他のクローンを同定することが、可能である。例えば、米国特許第4,699,880を参照されたく、該出願は、そのすべてを参照によって本明細書に援用される。
【0094】
[096] 抗イデオタイプ(抗Id)抗体は、抗体の抗原結合部位に概して関連する固有の決定基を認識する抗体である。抗Id抗体は、mAb源と同じ種類および遺伝子型の動物(例えば、マウス系統)を、抗Idを調製するmAbを用いて免疫化することによって、調製されることが可能である。免疫化された動物は、これらのイデオタイプ決定基に対する抗体(抗Id抗体)を産生することによって、免疫抗体のイデオタイプ決定基を認識し、そしてそれに応答するであろう。
【0095】
[097] したがって、本発明にしたがってTNFに対して産生されるmAbを用いて、BALB/cマウスなどの適切な動物において抗Id抗体を誘導することが可能である。このような免疫化されたマウスから得た脾臓細胞を用いて、抗Id mAbを分泌する抗Idハイブリドーマを作製することが可能である。さらに、抗Id mAbは、キーホール・リンペット・ヘモシアニン(KLH)などのキャリアーと結合させ、そしてさらなるBALB/cマウスを免疫化するのに用いられることが、可能である。これらのマウスから得た血清は、TNFエピトープに特異的な元のmAbの結合特性を有する抗抗Id抗体を含有するであろう。
【0096】
[098] したがって、いかなる適切なTNF中和化合物も、本発明にしたがった方法において用いられることが可能である。このようなTNF中和化合物の例は、TNFの中和エピトープに特異的な抗体もしくはその一部分、p55受容体、p75受容体またはその複合体、TNFと結合するTNF受容体の一部分、TNFと結合するペプチド、TNFと結合するいずれかのペプチドミメティック薬物、およびTNFを遮断する任意の有機ミメティック薬物からなる群より選択されることが可能である。
【0097】
[099] このようなTNF中和化合物は、関連分野における当業者によって、本明細書に示される教示およびガイダンスに基づいて、ルーチンの実験により決定されることが可能である。
【0098】
抗TNF抗体および抗TNFペプチドの構造類似体
[100] 本発明の、抗TNF Ab(その断片および領域を含む)および前記Abを作り出す抗原(本明細書では「ペプチド」とも称される)の構造類似体は、本明細書に示される教示およびガイダンスに基づいた公知の方法の工程によって、提供される。
【0099】
[101] タンパク質三次元構造についての知識は、どのようにそれらが機能するかを理解するために必須である。400を超えるタンパク質の三次元構造が、タンパク質構造データベースにおいて、現在のところ利用可能である(配列データベースにおけるおよそ15,000の公知のタンパク質配列とは対照的に)。これらの構造の解析は、それらが認識可能な種類のモチーフに分類されることを示す。したがって、公知の構造の関連するタンパク質とのタンパク質相同性に基づいて、タンパク質の三次元構造のモデルを作成することが可能である。比較的低い配列相同性を有する二つのタンパク質が、非常に類似した三次元構造またはモチーフを有することが可能であるという、多くの例が、知られている。
【0100】
[102] 近年、約15kDaまでのタンパク質の三次元構造を、核磁気共鳴(NMR)によって決定することが可能となってきている。該技術は、純粋なタンパク質の濃縮溶液を必要とするのみである。結晶または同形誘導体は必要ない。多数のタンパク質の構造が、この方法によって決定されている。NMR構造決定の詳細は、当該技術分野において周知である(例えば、Wuthrich、NMR of Proteins and Nucleic Acids,ワイリー社、ニューヨーク州、1986年;Wuthrich,K. Science 243:45−50(1989年);Cloreら、Crit,Rev.Bioch,Molec.Biol.24:479−564(1989年);Cookeら、Bioassays 8:52−56(1988年))。
【0101】
[103] このアプローチを適用する際に、多様なH NMR 2Dデータセットを、本発明の抗TNFAbおよび/または抗TNFペプチドについて収集する。これらは、二つの主な種類からなる。一方の種類であるCOSY(相関分光分析)は、化学結合によって連結しているプロトン共鳴を同定する。これらのスペクトルは、3またはそれより少ない共有結合によって連結しているプロトンに関する情報を提供する。NOESY(核オーバーハウザー増強分光分析)は、空間において近接している(0.5nm未満)プロトンを同定する。完全なスピン系の割り当てにしたがって、二次構造は、NOESYによって決定される。交差ピーク(核オーバーハウザー効果またはNOE’s)は、ペプチドの一次配列において近接している残基間に見つけられ、そして0.5nm未満離れたプロトンに関してみられる。アミドプロトンカップリング定数と組み合わせた連続的なNOE’s、および、二次構造と近接している非近接アミノ酸から得たNOE’sから集められたデータは、ポリペプチドの二次構造を特徴付けるのに用いられる。二次構造を予測するほかに、NOE’sは、一次アミノ酸配列と二次構造の双方において、空間におけるプロトンの距離を示す。三次構造予測は、すべてのデータを考慮した後に、「最適なフィット」外挿によって決定される。
【0102】
[104] アミノ酸の種類を、結合を介した連結性を用いて、まず同定する。第二の工程は、空間を介した連結性を用いて、公知のアミノ酸配列とともに、近隣の残基に特定のアミノ酸を割り当てることである。次いで、構造情報を一覧表にし、そしてこれは三つの主な種類からなる: NOEは空間において近接している一対のプロトンを同定し、カップリング定数は二面角に関する情報を与え、そして徐々に交換するアミドプロトンは水素結合の位置に関する情報を与える。制限情報は、距離幾何学計算を用いて構造を計算し、続いて制限された分子動力学を用いて微調整を行うのに、用いられる。これらのコンピュータプログラムの出力は、実験データ(すなわち、<0.5nm距離制限情報の二つ一組のセット)と適合する構造群である。構造がデータによってより良く決定されるほど、構造群をより良く重ね合わせる(すなわち、構造の分解能がより良い)ことが可能である。NMRを用いてより良く決定された構造において、大半の骨格(すなわち、アミド、C−αおよびカルボニル原子)、および分子の中核に埋没するこれらのアミノ酸側鎖の位置は、結晶学によって得られた構造におけるものと同じくらい明確に決定されることが可能である。しかしながら、表面に露出しているアミノ酸残基の側鎖は、あまりよく決定されないことが多い。このことは、これらの表面残基がより可動性であり、そして固定された位置を有しないという事実を反映している。(結晶構造においては、これは、拡散電子密度としてみなされる可能性がある)。
【0103】
[105] このように、本発明にしたがって、NMR分光分析データの使用は、抗TNF Abおよびペプチドの少なくとも一部分の構造類似体を得るために、トポグラフィの構造理解に基づいて、コンピュータモデリングと組み合わされる。この情報を用いて、当業者は、TNF結合親和性が期待される治療または診断における分子の使用の必要性、好ましくはTNF結合についてのより大きな特異性を達成すること、にしたがって調節されているペプチドの産生を可能とする、合理性に基づいたアミノ酸置換などによって、どのように抗TNF Abおよび/またはペプチドの構造類似体を得るかを知るであろう。
【0104】
[106] あるいは、抗TNF治療および診断として適した構造的および化学的特徴を有する化合物は、選択的TNF親和性を伴う構造類似体を提供する。MACROMODEL(Strodinger LLC)、INSIGHT(Accelrys Inc.)およびDISCOVER(Accelrys Inc.)などのプログラムを用いた、TNF受容体、抗TNF抗体または他のTNF結合分子などのTNF結合化合物の分子モデリング研究は、本発明の抗TNF Abおよび/またはペプチドのこのような空間的必要条件および配向を提供する。このように、本発明のこのような構造類似体は、in vitro、in situおよび/またはin vivoにて選択的な定性的および定量的抗TNF活性を提供する。
【0105】
抗ウイルス化合物
[107] さらなる態様において、本発明の組成物は、抗ウイルス化合物を含む。好ましくは、抗ウイルス化合物は、抗コロナウイルス化合物である。抗コロナウイルス化合物は、好ましくは、抗体(例えば、モノクローナル、ポリクローナル、キメラ等)、ウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤、ウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼのプロセシングに影響を及ぼす、ウイルスにコードされるプロテアーゼの阻害剤、感染細胞からのコロナウイルス出芽もしくは放出の阻害剤、ヘマグルチニンエステラーゼ活性に影響を及ぼすものなどの、感染細胞からのコロナウイルス出芽もしくは放出の阻害剤、特定の細胞表面受容体へのウイルス結合の阻害剤(例えば、hAPNのHcoV−229Eへの結合阻害剤)、あるいはウイルス侵入に関連するウイルススパイク糖タンパク質の受容体誘導コンホメーション変化の阻害剤、ならびにその組み合わせである。より好ましくは、抗ウイルス化合物は、SARS−CoVなどのSARS関連ウイルスに対するモノクローナル抗体である。本発明の態様にしたがって、本発明のモノクローナル抗体(約20日の半減期を有する)は、SARS感染の予防薬として個体に投与される。
【0106】
[108] 抗ウイルス化合物には、例えば、ヌクレオシド/ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NRTI)、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)および/またはプロテアーゼ阻害剤(PI)が含まれる。本発明の組成物と併用投与されてもよいNRTIには、これに限定されないが、レトロビル(グラクソ・スミスクライン・Inc.、ジドブジン/AZT)、ヴァイデックス(ブリストル・マイヤーズスクイブ・Inc.、ジダノシン/ddI)、ハイビッド(ホフマン−ラ・ロシュ社)(ザルシタビン/ddC)、ゼリット(ブリストル・マイヤーズスクイブ社、スタブジン/d4T)、エピビル(グラクソ・スミスクライン社、ラミブジン/3TC)およびコンビビル(グラクソ・スミスクライン社、ジドブジン/ラミブジン)が含まれる。本発明の組成物と併用投与されてもよいNNRTIには、ビラミューン(ベーリンガーインゲルハイム・ファーマシューティカルズ・Inc.、ネビラピン)、レスクリプター(ファルマシア/アップジョン社、デラビルジン)およびサスティバ(デュポン・ファーマ・Co.、エファビレンズ)が含まれる。本発明の組成物と併用投与されてもよいプロテアーゼ阻害剤には、これに限定されないが、クリキシバン(メルク&Co.、インジナビル)、ノービア(アボット・Labs、リトナビル)、インビラーゼ(ホフマン−ラ・ロシュ社、サキナビル)およびビラセプト(アグロン・ファーマ・Inc.、ネルフィナビル)が含まれる。特定の態様において、抗レトロウイルス剤、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤および/またはプロテアーゼ阻害剤は、エイズを治療するため、および/またはHIV感染を予防または治療するために、本発明の組成物と任意の組み合わせで用いられてもよい。
【0107】
[109] NRTIには、ロデノシン(F−ddA;酸安定性アデノシンNRTI、トライアングル/アボット社);コビラシル(エムトリシタビン/FTC);ラミブジン(3TC)と構造的に関連するが、しかしin vitroにおける活性が3〜10倍大きい、トライアングル/アボット社);dOTC(BCH−10652、これもまたラミブジンと構造的に関連するが、しかしかなりの割合のタミブジン耐性分離株に対して活性を保持する;バイオケム・ファーマ社);アデホビル(米国食品医薬品局(FDA)によって、抗HIV治療に対する承認が棄却された;ギリアド・サイエンスイズ社);プレベオン(ギリアド・サイエンスイズ・Inc.)(アデホビル・ジピボキシル、アデホビルの活性プロドラッグ、その活性型はPMEA−pp);テノホビル(ビス−POC PMPA、PMPAプロドラッグ;ギリアド社);DAPD/DXG(DAPDの活性代謝体;トライアングル/アボット社);DD4FC(3TCに関連し、AZT/3TC耐性ウイルスに対する活性を有する);GW420867X(グラクソ・ウェルカム社);ザイアジェン(アバカビル/159U89:グラクソ・ウェルカム・Inc.);CS−87(3’アジド−2’,3’−ジデオキシウリジン:WO 99/66936);および、S−acyt−2−チオエチル(SATE)を有する、β−L−FD4Cおよびβ−L−FddCのプロドラッグ型(WO 98/17281)が含まれる。
【0108】
[110] 他のNNRTIには、コアクチノン(エミビリン/MKC−442、HEPTクラスの強力なNNRTI);カプラビリン(AG−1549/S−1153、K103N変異を含有するウイルスに対する活性を有する次世代NNRTI;アグロン社);PNU−142721(その先行体であるデラビルジンよりも20〜50倍大きな活性を有し、そしてK103N変異体に対して活性である;ファルマシア&アップジョン社);DPC−961およびDPC−963(エファビレンズの第二世代誘導体、K103N変異を有するウイルスに対して活性であるように設計されている;デュポン社);GW−420867X(HBY097よりも25倍大きな活性を有し、そしてK103N変異体に対して活性である;グラクソ・ウェルカム社);カラノラリドA(ラテックスの木から得られる自然発生的な薬剤;Y11CおよびK103N変異のいずれかまたは双方を含有するウイルスに対して活性である);および、プロポリス(WO 99/49830)が含まれる。
【0109】
[111] プロテアーゼ阻害剤には、さらに、ロピナビル(ABT378/r;(アボット・ラボラトリーズ);BMS−232632(アザペプチド;ブリストル・マイヤーズスクイブ社);チプラナビル(PNU−140690、非ペプチド性ジヒドロピロン;ファルマシア&アップジョン社);PD−178390(非ペプチド性ジヒドロピロン;パーク・デービス社);BMS 232−632(アザペプチド;ブリストル・マイヤーズスクイブ社);L−756,423(インジナビル類似体;メルク社);DMP−450(環状尿素化合物;アビッド&デュポン社 7:AG−1776(プロテアーゼ阻害剤耐性ウイルスに対するin vitro活性を有するペプチドミメティック;アグロン社);VX−175/GW−433908(アンプレナビルのリン酸化プロドラッグ;バーテックス&グラクソ・ウェルカム社);CGP61755(チバ社);および、アジェネラーゼ(アンプレナビル;グラクソ・ウェルカム・Inc.)が含まれる。
【0110】
[112] 抗レトロウイルス剤には、さらに、融合阻害剤/gp41結合剤(融合阻害剤g/gp41結合剤は、その休止状態においてgp41と結合し、そして膜融合状態へのトランスフォーメーションを妨げる、HIV gp41膜貫通タンパク質外部ドメインの残基643〜678に由来するペプチドT−20 tを含む:トリメリス社)およびT−1249(第二世代融合阻害剤:トリメリス社)が含まれる。
【0111】
[113] 抗レトロウイルス剤には、さらに、融合阻害剤/ケモカイン受容体アンタゴニストが含まれる。融合阻害剤/ケモカイン受容体アンタゴニストには、AMD 3100(バイサイクラム)、SDF−1およびその類似体、ならびにALX40−4C(カチオン性ペプチド)、T22(18アミノ酸ペプチド;トリメリス社)、ならびにT22類似体であるT134およびTI40などの、CXCR4アンタゴニスト;RANTES(9〜68)、AOP−RANTES、NNY−RANTESおよびTAK−779などのCCR5アンタゴニスト;ならびに、NSC 651016(ジスタマイシン類似体)などのCCR5/CXCR4アンタゴニストが含まれる。さらに含まれるのは、フゼオン(一般名エンフビルチド;ホフマン−ラ・ロシュ社から入手可能;HIVの健常CD4細胞への感染能を遮断する)である。また含まれるのは、CCR2B、CCR3およびCCR6アンタゴニストである。RANTES、SDF−1、MIP−1α、MIP−1β等などのケモカイン受容体アゴニストもまた、融合を阻害する可能性がある。
【0112】
[114] 抗レトロウイルス剤には、さらに、インテグラーゼ阻害剤が含まれる。インテグラーゼ阻害剤には、ジカフェオイルキナ(DFQA)酸:L−チコリ酸(ジカフェオイル酒石(DCTA)酸);キナリザリン(QLC)および関連するアントラキノン類;ジンテビル(アロネックス・ファーマシューティカルズ・Inc.)(AR 177、真のインテグラーゼ阻害剤であるより、むしろ細胞表面にて作用する可能性の高いオリゴヌクレオチド:アロンデックス社);ならびに、WO 98/50347に開示されるものなどのナフトール類が含まれる。
【0113】
[115] 抗レトロウイルス剤には、さらに、BCX−34(バイオクリスト・ファーマ・Inc.、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤)などのヒドロキシウレア様化合物;DIDOX(ヘルス・Inc.の分子)などのリボヌクレオチド還元酵素阻害剤:VX−497(バーテックス・ファーマシューティカル・Inc.)などのイノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ(IMPDH)阻害剤;および、セルセプト(ホフマン−ラ・ロシュ社、ミコフェノレート・モフェチル)などのミコフェノール酸(mycopholic acids)が含まれる。
【0114】
[116] 他の抗レトロウイルス剤には、ウイルスインテグラーゼ阻害剤、アリーレンビス(メチルケトン)化合物などのウイルスゲノム核移行の阻害剤:AOP−RANTES、NNY−RANTES、RANTES−IgG融合タンパク質、RANTESとグリコサミノグリカン類(GAG)との可溶性複合体、およびAMD−3100(AnorMed Inc.)などのHIV侵入阻害剤;ジチアン化合物などのヌクレオカプシドジンクフィンガー阻害剤:HIV TatおよびRevの標的;ならびに、ABT−378などのファーマコエンハンサーが含まれる。
【0115】
[117] 態様にしたがって、本発明の組成物は、他の抗レトロウイルス化合物を含んでもよく、これには、MIP−1α、MIP−1β、SDF−1α、IL−2、プロロイキン(カイロン・Corp.)(アルデスロイキン/L2−7001;カイロン社)、IL−4、IL−10、IL−12およびIL−13などの、サイトカインおよびリンフォカイン;IFN−α2aなどのインターフェロン;TNF、NFκB、GM−CSF、M−CSFおよびIL−10のアンタゴニスト;シクロスポリンおよびプレドニゾンなどの免疫活性化調節剤;Remune(HIVイムノジェン社)、リコンビナントgp120および断片、二価(B/E)リコンビナントエンベロープ糖タンパク質、rgp120CM235、MN rgp120、SF−2 rgp 120、gp 120/可溶性CD4複合体、デルタJR−FLタンパク質、非連続性gp120 C3/C4ドメイン由来の分岐合成ペプチド、融合対応型免疫原、ならびにGap、Pol、NefおよびTatワクチンなどの、ワクチン;遺伝子サプレッサーエレメント(GSE;WO 98/54366)およびイントラカイン(新規合成CCR5の表面発現を遮断するためにERを標的とする、遺伝子改変されたCCケモカイン(Yangら、PNAS 94:11567−72(1997年);Chenら、Nat.Med.3:111−16(1997年))などの、遺伝子に基づく治療;抗CXCR4抗体12G5、抗CCR5抗体2D7、5C7、PA8、PA9、PA10、PA11、PA12およびPA14、抗CD4抗体Q4120およびRPA−T4、抗CCR3抗体7B11、抗gp120抗体17b、48d、447−52D、257−D、268−Dおよび50−1、抗Tat抗体、抗TNF−α抗体、ならびにモノクローナル抗体33Aなどの、抗体;TCDD、3,3’,4,4’,5−ペンタクロロビフェニル、3,3’,4,4’−テトラクロロビフェニルおよびα−ナフトフラボン(WO 98/30213)などの、アリール炭化水素(AH)受容体アゴニストおよびアンタゴニスト;ならびに、γ−L−グルタミル−L−システインエチルエステル(γ−GCE;WO 99/56764)などの抗酸化剤が含まれる。
【0116】
[118] 他の態様において、本発明の組成物は、さらに、抗日和見感染剤を含む。抗日和見感染剤には、これに限定されないが、トリメトプリム−スルファメトキサゾール(ホフマン−ラ・ロシュ社)、ダプソン(Jacobus・ファーマシューティカルズ社)、ペンタミジン(アメリカン・ファーマシューティカルズ・パートナーズ社)、アトバコン(グラクソ・スミスクライン社)、イソニアジド(ベクトン・ディッキンソン・マイクロバイオロジー・システム社)、リファンピン(ベッドフォード・Labs)、ピラジナミド(ファーマサイエンス・Inc.)、エタンブトール(Cadila Pharma Inc.)、リファブチン(Adria Labs Inc.)、クラリスロマイシン(Ind−Swift Labs,Ltd)、アジスロマイシン(ファイザー・Inc.)、ガンシクロビル、フォスカーネット(アストラ・ファーマシューティカルズ・Inc.)、シドフォビル(ギリアド・サイエンスイズ・Inc.)、フルコナゾール(ファイザー・Inc.)、イトラコナゾール(ヤンセン・ファーマシューティカ社)、ケトコナゾール(ノボファーム・Ltd.)、アシクロビル(グラクソ・ウェルカム社)、ファムシクロビル、ピリメタミン(グラクソ・ウェルカム・Inc.)、ロイコボリン(イムネックス/アムジェン・Inc.)、ニューポジェン(アムジェン・Inc.)(フィルグラスチム/G−CSF)、ならびにLEUKINE(バーレックス・Labs・Inc.)(サルグラモスチム/GM−CSF)が含まれる。
【0117】
[119] 態様にしたがって、本発明の組成物は、日和見ニューモシスティス・カリニ肺炎感染を予防的治療または予防するためのトリメトプリム−スルファメトキサゾール(ホフマン−ラ・ロシュ社)、ダプソン(Jacobus・ファーマシューティカルズ社)、ペンタミジン(アメリカン・ファーマシューティカルズ・パートナーズ社)および/またはアトバコン(グラクソ・スミスクライン社)を含む。別の特定の態様において、本発明の組成物は、日和見トリ結核菌(Mycobacterium avium)複合感染を予防的治療または予防するためのイソニアジド(ベクトン・ディッキンソン・マイクロバイオロジー・システム社)、リファンピン(ベッドフォード・Labs)、ピラジナミド(ファーマサイエンス・Inc.)および/またはエタンブトール(Cadila Pharma Inc.)と任意の併用で使用される。別の特定の態様において、本発明の組成物は、日和見ヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)感染を予防的治療または予防するためのリファブチン(Adria Labs Inc.)、クラリスロマイシン(Ind−Swift Labs,Ltd)および/またはアジスロマイシン(ファイザー・Inc.)と任意の併用で使用される。別の特定の態様において、本発明の組成物は、日和見サイトメガロウイルス感染を予防的治療または予防するためのガンシクロビル、フォスカーネット(アストラ・ファーマシューティカルズ・Inc.)および/またはシドフォビル(ギリアド・サイエンスイズ・Inc.)と任意の併用で使用される。別の特定の態様において、本発明の組成物は、日和見真菌感染を予防的治療または予防するためのフルコナゾール(ファイザー・Inc.)、イトラコナゾール(ヤンセン・ファーマシューティカ社)および/またはケトコナゾール(ノボファーム・Ltd.)と任意の併用で使用される。別の特定の態様において、本発明の組成物は、日和見I型および/またはII型単純ヘルペス感染を予防的治療または予防するためのアシクロビル(グラクソ・ウェルカム社)および/またはファムシクロビルと任意の併用で使用される。別の特定の態様において、本発明の組成物は、日和見トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)感染を予防的治療または予防するためのピリメタミンおよび/またはロイコボリン(イムネックス/アムジェン・Inc.)と任意の併用で使用される。別の特定の態様において、本発明の組成物は、日和見細菌感染を予防的治療または予防するためのロイコボリン(イムネックス/アムジェン・Inc.)および/またはニューポジェン(アムジェン・Inc.)と任意の併用で使用される。
【0118】
[120] さらなる態様において、本発明の組成物は、抗生剤を含む。投与されてもよい抗生剤には、これに限定されないが、アモキシシリン、β−ラクタマーゼ、アミノグリコシド、ベータラクタム(糖ペプチド)、βラクタマーゼ、クリンダマイシン、クロラムフェニコール、セファロスポリン、シプロフロキサシン、エリスロマイシン、フルオロキノロン、マクロライド、メトロニダゾール、ペニシリン、キノロン、ラパマイシン、リファンピン、ストレプトマイシン、スルホンアミド(sultonamide)、テトラサイクリン、トリメトプリム、トリメトプリム−スルファメトキサゾールおよびバンコマイシンが含まれる。
【0119】
[121] 実施に応じて、本発明の組成物は、免疫刺激剤を含む。本発明の治療法(Therapemics)と組み合わせて投与されてもよい免疫刺激剤には、これに限定されないが、レバミゾール(例えば、エルガミゾール)、イソプリノシン(例えば、OSIPLEX)、インターフェロン(例えば、インターフェロンα)およびインターロイキン(例えば、IL−2)が含まれる。
【0120】
[122] 実施に応じて、本発明の組成物は、免疫抑制剤を含む。本発明の組成物と併用投与されてもよい免疫抑制剤には、これに限定されないが、ステロイド、シクロスポリン、シクロスポリン類似体、シクロホスファミド メチルプレドニゾン、プレドニゾン、アザチオプリン、FK−506、15−デオキシスペルグアリン、ならびにT細胞に応答する機能を抑制することによって作用する他の免疫抑制剤が含まれる。本発明の組成物と併用投与されてもよい他の免疫抑制剤には、これに限定されないが、プレドニゾロン、メトトレキサート、サリドマイド、メトキサレン、ラパマイシン、レフルノミド、ミゾリビン(BREDNIN)(ベーリンガー−インゲルハイム・Inc.)、ブレキナール、デオキシスペルグアリン、およびアザスピラン(SKF 105685)、オルソクローンOKT(オルソバイオテック・プロダクツ・L.P.)3(ムロモナブ−CD3)、サンディミューン、ネオラル(ノバルティス・Inc.)、SANGDYA(サングスタット・メディカル・Corp.)シクロスポリン)、プログラフ(藤沢ヘルスケア・Inc.)(FK506、タクロリムス)、セルセプト(ホフマン−ラ・ロシュ社)(ミコフェノレート・モテフィル(motefil)、その活性代謝体は、ミコフェノール酸である)、イムラン(グラクソ・スミスクライン社)(アザチオプリン)、グルココルチコステロイド、デルタゾン(アップジョン/ファルマシア社)(プレドニゾン)およびHYDELTRASOL(デュポン社、メルク&Co.Inc.)(プレドニゾロン)などの副腎皮質ステロイド、フォレックス(Adria・ラボラトリーズ・Inc.)およびメキサート(レダリー・ラボラトリーズ・Inc.)メトトレキサート)、オキソラレン−ウルトラ(ICNファーマシューティカルズ・Inc.)(メトキサレン)ならびにラパミューン(ワイエス・Inc)(シロリムス)が含まれる。特定の態様において、免疫抑制剤は、臓器または骨髄移植の拒絶を予防するのに用いられてもよい。
【0121】
[123] 実施に応じて、本発明の組成物は、静注免疫グロブリン調製物を含む。投与されてもよい静注免疫グロブリン調製物には、これに限定されないが、GAMMAR、IVEEGAM(バクスター・Inc.)、サンドグロブリン(ノバルティス・Inc.)、ガンマガード(バクスター・Corp.)S/D、アトガム(ファルマシア/アップジョン/ファイザー社)、(抗胸腺細胞グロブリン)、およびガミミューン(バイエル・Inc.)が含まれる。特定の態様において、本発明の組成物は、移植治療(例えば、骨髄移植)において、静注免疫グロブリン調製物と併用投与される。
【0122】
[124] ある態様において、本発明の組成物は、抗炎症剤を含む。投与されてもよい抗炎症剤には、これに限定されないが、コルチコステロイド(例えば、βメタゾン、ブデゾニド、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾンおよびトリアムシノロン)、非ステロイド性抗炎症薬(例えば、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フロクタフェニン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、テノキシカム、チアプロフェン酸(tiaprofenic acid)およびトルメチン)、ならびに、抗ヒスタミン剤、アミノアリールカルボン酸誘導体、アリール酢酸誘導体、アリール酪酸誘導体、アリールカルボン酸誘導体、アリールプロピオン酸誘導体、ピラゾール、ピラゾロン、サリチル酸誘導体、チアジンカルボキサミド、e−アセトアミドカプロン酸、S−アデノシルメチオニン、3−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン、ベンダザック、ベンジダミン、ブコローム、ジフェンピラミド、ジタゾール、エモルファゾン、グアイアズレン、ナブメトン、ニメスリド、オルゴテイン、オキサセプロール、パラニリン、ペリソキサール、ピホキシム、プロクアゾン、プロキサゾールおよびテニダップが含まれる。
【0123】
免疫グロブリン
[125] 高力価CMV免疫グロブリンは、腎移植に関連したCMV疾患を弱毒化するが、しかしこれは、HIV感染者においてCMV疾患を予防するのに有用であると証明していない。ヒトモノクローナル抗サイトメガロウイルス抗体は、フォスカメット(foscamet)またはガンシクロビルとの補助療法として、CMV網膜炎の治療に有用である可能性がある。
【0124】
インターフェロン
[126] インターフェロンは、ウイルスまたは他の外来核酸に応答して感染宿主細胞から放出される天然の細胞産物である。これらは、感染後早ければ2時間後に検出される。その複雑な作用機構は完全には確立されていないが、しかしインターフェロンは、ウイルスRNAの翻訳および転写を選択的に遮断し、正常な宿主細胞機能を障害することなく、ウイルス複製を休止させる。
【0125】
[127] 内因性インターフェロン−αのリコンビナント型は、ヘアリー細胞白血病、カポジ肉腫、ヒトパピローマウイルスおよび呼吸器系ウイルスを伴う選択された患者において、研究されている。これは、主にB型およびC型肝炎に対して用いられる。検出可能なウイルス量および肝機能検査異常を伴う、活性HBVまたはC型肝炎ウイルス(HCV)患者は、療法から恩恵を受ける可能性がある。
【0126】
[128] 適切な判定基準に当てはまるHBV患者において、250万〜500万単位の4〜6ヶ月間皮下または筋肉内投与は、HBV DNAおよびB型肝炎e抗原(HABeAg)の血清からの排除を誘導し、そして肝機能検査異常および肝組織像を25〜40%の患者において改善する。慢性デルタ肝炎に関しては、より高用量の900万〜1000万単位、週3回が必要とされ、そして再発は非常に一般的である。HCVに関しては、3〜6ヶ月間の300万〜600万単位、週3回、6〜12ヶ月間は、HCV RNAレベルを典型的には減少させ、そして肝機能検査および肝組織像を10〜25%において改善する。副作用には、発熱、悪寒、衰弱および筋肉痛が含まれ、通常は初回注射後7〜12時間に始まり、そして12時間後まで続く。HCVにおいてより低用量を用いることで、肝炎の悪化は報告されているが、重篤な副作用はあまりもたらされない。HCVに対してリバビリンをインターフェロンに追加することにより、効果が示される。
【0127】
治療投与
[129] 標記方法は、本発明の組成物を患者に投与することを含む。本発明の態様にしたがって、SARS関連炎症性サイトカイン阻害剤は、SARS患者に投与される。さらなる態様にしたがって、TNF阻害剤は、SARS患者に投与される。本明細書に記載されるような抗TNFリコンビナント受容体、mAb、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ペプチド、その断片および誘導体、ならびに本発明の小分子は、個々の治療剤として、あるいは他の治療剤と併用して、投与されることが可能である。これらは単独で投与されることが可能であるが、しかし、選択される投与経路および標準的な医薬実務に基づいて選択された医薬キャリアーとともに、一般的には投与される。
【0128】
[130] 投与される投与量は、当然ながら、特定の薬剤の薬力学的特徴、ならびにその機序および投与経路:レシピエントの年齢、健康および体重;症状の性質および程度、同時治療の種類、治療の頻度、ならびに所望の効果などの公知の要因に依存して変わるであろう。通常は、活性成分の1日投与量は、約0.01〜100mg/kg体重であることが可能である。1日1〜6回に分割された用量にて、または徐放型にて供される、通常は1.0〜5、そして好ましくは1〜10mg/kg/日が、所望の結果を得るのに効果的である。
【0129】
[131] 非限定的な例として、SARSの治療は、本発明の抗TNFペプチド、モノクローナル キメラ抗体および/またはルーチンの抗体の1日投与量0.1〜100mg/kgとして供されることが可能であって、該投与量は、第1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40のうち少なくとも1日、あるいは、第1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20週のうちの少なくとも1週、あるいはその任意の組み合わせにて、単回投与、または24、12、8、6、4もしくは2時間毎の分割投与、またはその任意の組み合わせを用いた、0.5、0.9、1.0、1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、45、50、60、70、80、90または100mg/kg/日などである。
【0130】
[132] TNFの循環濃度は、非敗血症の個体において約10pg/ml、および敗血症患者において約50pg/ml、および敗血症症候群において約100pg/mlの範囲と、極めて低い傾向にあるか(Hammerle A.F.ら、1989年、以下)、またはTNFを介する病態の部位においてのみ検出可能であることから、TNFイムノアッセイおよびTNFを介する病態の治療の双方において、高親和性および/または強力なin vivoTNF阻害抗体および/または中和抗体、その断片または領域を用いることが好ましい。このような抗体、断片または領域は、好ましくは、hTNF−αに対する親和性を有するであろうし、該親和性はKaとして表現され、少なくとも10−1、より好ましくは、10〜1010−1、5x10−1、8x10−1、2x10−1、4x10−1、6x10−1、8x10−1、またはその中の任意の範囲もしくは値などの、少なくとも10−1である。
【0131】
[133] ヒト治療での使用に好ましいのは、本発明によれば、TNFに誘導されるIL−6分泌を遮断する強力なin vivo TNF−α阻害活性および/または中和活性を有する、高親和性マウス抗体およびキメラ抗体、ならびに断片、領域および誘導体である。ヒト治療での使用に好ましいのはまた、TNFに誘導されるELAM−IおよびICAM−Iなどの接着分子の発現の遮断、ならびにTNFマイトジェン活性の遮断を含む、in vivo、in situおよびin vitroにおいてTNFに誘導される凝血促進活性を遮断する、このような高親和性マウス抗TNF−α抗体およびキメラ抗TNF−α抗体、ならびにその断片、領域および誘導体である。
【0132】
[134] 本発明の組成物には、好ましくは、医薬的に許容可能なキャリアーが含まれる。適切な医薬的に許容可能なキャリアーおよび/または希釈剤には、任意およびすべての慣用の溶媒、分散媒質、充填剤、固体キャリアー、水溶性溶液、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤等が含まれる。適切な医薬的に許容可能なキャリアーには、例えば、水、生理食塩液、リン酸緩衝生理食塩液、ブドウ糖、グリセロール、エタノール等のうち1またはそれより多く、ならびにその組み合わせが含まれる。医薬的に許容可能なキャリアーは、湿潤剤もしくは乳化剤、保存剤またはバッファーなどの少量の補助剤をさらに含んでもよく、これらは、組成物の貯蔵期間または有効性を増強する。医薬的に許容可能なキャリアーの調製および使用については、当該技術分野において周知である。任意の慣用の媒質または剤が活性成分と不適合である場合を除き、本発明の組成物におけるその使用が、意図されている。
【0133】
[135] 本発明の組成物は、例えば、例えば皮下または筋肉内注射などの非経口、ならびに経口または経鼻を含む慣用の経路によって、投与されることが可能である。筋肉内注射方法については、Wolffらによって、およびSedegahらによって記載されている。他の投与方法には、例えば、非限定的に、経口処方物、肺処方物、坐剤および経皮塗布が用いられる。例えば、経口処方物には、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、マグネシウム、カーボネート等などの通常用いられる賦形剤が含まれる。
【0134】
[136] 体内投与に適した剤形(組成物)は、一般的に、約0.1mg〜約500mgの活性成分を1単位につき含有する。これらの医薬組成物において、活性成分は、通常は、組成物の全重量に基づく約0.5〜95%重量の量にて、存在するであろう。
【0135】
[137] 非経口投与に関しては、抗TNFペプチドまたは抗体は、医薬的に許容可能な非経口ビヒクルに関連する溶液、懸濁液、エマルジョン、または凍結乾燥粉末として、処方されることが可能である。このようなビヒクルの例は、水、生理食塩液、リンガー液、ブドウ糖溶液および5%ヒト血清アルブミンである。リポソーム、および不揮発性油などの非水溶性ビヒクルを、用いてもよい。ビヒクルまたは凍結乾燥粉末は、等張性を維持する添加物(例えば、塩化ナトリウム、マンニトール)および化学的安定性を維持する添加物(例えば、バッファーおよび保存剤)を含有することが可能である。処方物は、一般的に用いられる技術によって無菌化される。
【0136】
[138] 適切な医薬キャリアーについては、この技術分野において標準的な参考文献である、Remington’s Pharmaceutical Sciences, A.Asolの最新版において記載されている。本発明の組成物および方法は、本発明の実施に応じて、例えば、補助療法などの他の療法と併用して、用いられてもよい。
【0137】
[139] 本発明の実施に応じて、本発明の組成物は、静注(IV)液とともに、患者に投与されてもよい。例えば、本組成物は、静注(IV)バッグ内に含有されてもよく、または静注(IV)ラインのロックに注射されてもよい。
【0138】
[140] 別の実施において、本発明の組成物は、酸素または他のこのような治療とともに、患者に投与されてもよい。例えば、本発明の組成物は、噴霧器を介して投与されてもよい。
【0139】
[141] 例えば、注射による投与に適した非経口組成物は、1.5重量%の活性成分を0.9%塩化ナトリウム溶液に溶解することによって、調製される。
[142] 任意の有効な投与経路を、TNF阻害剤を治療のため投与するのに用いてもよい。注射される場合、阻害剤は、例えば、関節内、静脈内、筋肉内、病巣内、腹腔内または皮下経路を介して、ボーラス注射または持続注入によって投与されることが可能である。他の適切な投与手段には、移植片からの徐放、エアロゾル吸入、点眼、経口調製物(丸剤、シロップ、トローチ剤またはチューインガムを含む)、ならびに、ローション剤、ジェル、スプレー、軟膏などの局所調製物、あるいは他の適切な技術が含まれる。あるいは、可溶性TNFRなどのタンパク質性TNF阻害剤を、タンパク質を発現する培養細胞を植え込むことによって、投与してもよい。阻害剤を、1またはそれより多くの他の生物学的に活性な化合物と併用して投与する場合、これらは、同じまたは異なる経路によって投与されてもよく、そして同時に、別々に、または連続的に投与されてもよい。
【0140】
[143] TNFR:Fcまたは他の可溶性TNFRまたは他のTNF阻害剤は、好ましくは、精製リコンビナントタンパク質を、生理学的に許容可能なキャリアー、賦形剤または希釈剤と併せて含む、生理学的に許容可能な組成物の形態で投与される。このようなキャリアーは、用いられる投与量および濃度ではレシピエントに対して非毒性である。通常は、このような組成物の調製は、TNF−αアンタゴニストをバッファー、アスコルビン酸などの抗酸化剤、低分子量ペプチド(10アミノ酸よりも少ないアミノ酸を有するものなど)、タンパク質、アミノ酸、炭水化物(グルコース、ショ糖またはデキストリンなど)、EDTAなどのキレート剤、グルタチオン、ならびに他の安定剤および賦形剤と組み合わせることを、伴う。中性緩衝生理食塩液または同種血清アルブミンは、典型的な希釈剤である。適切な業界基準にしたがって、ベンジルアルコールなどの保存剤を加えてもよい。TNFR:Fcは、好ましくは、適切な賦形剤溶液(例えば、ショ糖)を希釈剤として用いる凍結乾燥品として、処方される。適切なコンポーネントは、用いられる投与量および濃度ではレシピエントに対して非毒性である。医薬処方物において用いられてもよいコンポーネントのさらなる例については、Remington’s Pharmaceutical Science、第16版、マック・パブリッシング・カンパニー、イーストン、ペンシルバニア州、1980年に示されている。
【0141】
[144] 適切な投与量は、標準的な用量決定臨床試験において決定されることが可能であり、そして選択される投与経路に応じて変わる可能性がある。投与の量および頻度は、治療されている適応の性質および重症度などの要因、所望の反応、患者の年齢および状態等によって決まるであろう。
【0142】
[145] 本発明の一つの態様において、TNFR:Fcは、本明細書に開示される種々の医学的障害を治療するために週に1回投与され、別の態様においては、少なくとも週2回投与され、そして別の態様においては、少なくとも週に3回投与される。成人患者は、18歳またはそれより年上の者である。注射される場合、成人用量あたりのTNFR:Fcの有効量は、1〜20mgmの範囲であり、そして好ましくは、約5〜12mg/mである。あるいは、定用量が投与されてもよく、その量は、5〜100mg/用量の範囲であってもよい。皮下注射によって投与されるべき、定用量の典型的な用量範囲は、5〜25mg/用量、25〜50mg/用量、および50〜100mg/用量である。本発明の一つの態様において、以下に記載される種々の適応は、TNFR:Fcを25mg/用量含有する、あるいは50mg/用量を含有する、注射を許容可能な調製物を投与することによって、治療される。25mgまたは50mgの用量は、反復投与されてもよい。注射以外の投与経路が用いられる場合、用量は、標準的な医療実務にしたがって適切に調整される。多くの例において、患者の状態の改善は、より長期間の治療が所望の程度の改善を誘導するのに必要である可能性はあるが、約25mgのTNFR:Fcの用量を週1〜3回、少なくとも3週間の期間にわたって、あるいは約50mgのTNFR:Fcの用量を週1または2回、少なくとも3週間、注射することによって、得られるであろう。
【0143】
[146] 小児患者(4〜17歳)に関しては、任意の適切なレジメンが用いられてもよい。好ましくは、レジメンは、皮下注射によって週1回以上投与される、0.4mg/kgから最高用量25mgまでのTNFR:Fcの皮下注射を含む。
【0144】
[147] 本発明は、さらに、TNFR:Fcなどの可溶性TNFRを、同じ患者に可溶性TNFRと併用投与される1またはそれより多くの他の薬物と同時に投与することを含み、ここで、各薬物は、その薬剤に適したレジメンにしたがって投与されている。「同時投与」は、併用のコンポーネントとの同時または連続的な治療、ならびに、薬物を交互に投与するレジメン、または一方のコンポーネントを長期間投与し、そして他方(単数または複数)を断続的に投与するレジメンを、包含する。コンポーネントは、同じ組成物において、または別々の組成物において、そして同じまたは異なる投与経路によって、投与されてもよい。同時投与されるであろう薬物の例には、これに限定されないが、抗ウイルス剤、抗生物質、鎮痛剤、コルチコステロイド、炎症性サイトカインのアンタゴニスト、DMARDおよび非ステロイド性抗炎症剤が含まれる。TNFR:Fcなどの標記のTNF−α阻害剤と併用投与されることが可能なDMARDには、アザチオプリン、シクロホスファミド、シクロスポリン、硫酸ヒドロキシクロロキン、メトトレキサート、レフルノミド、ミノサイクリン、ペニシラミン、スルファサラジン、ならびに、経口金、金チオリンゴ酸ナトリウムおよびアウロチオグルコースなどの金化合物が含まれる。加えて、TNFR:Fcは、第二のTNF−αアンタゴニストと併用されてもよく、これには、TNF−αまたはTNFRに対する抗体、TNF−αの競合的阻害剤として作用するTNF−α由来ペプチド(米国特許第5,795,859または米国特許第6,107,273に記載されるものなど)、p55 TNF−α受容体の細胞外部分を含有するものなどの、エタネルセプト以外のTNFR−IgG融合タンパク質、IgG融合タンパク質以外の可溶性TNFR、または、TNF−α変換酵素阻害剤として内因性TNF−αレベルを低下させる他の分子(例えば、米国特許第5,594,106を参照されたい)、あるいは、ペントキシフィリンまたはサリドマイドを含む、上記の任意の小分子またはTNF−α阻害剤が、含まれる。
【0145】
[148] TNF−αに対する抗体が、TNF−α阻害剤として用いられるならば、好ましい用量範囲は0.1〜20mg/kgであり、そしてより好ましくは1〜10mg/kgである。抗TNF−TNF−α抗体の別の好ましい用量範囲は、0.75〜7.5mg/kg体重である。ヒト化抗体が好ましく、これはすなわち、抗体分子の抗原結合部分のみが非ヒト源に由来する抗体である。本明細書に記載される疾患を治療するための典型的なヒト化抗体は、インフリキシマブ(レミケード(セントコア・Inc.)としてセントコア社により販売)であり、これは、分子量およそ149,100ダルトンを有するキメラIgG1κモノクローナル抗体である。インフリキシマブは、ヒト定常領域とマウス可変領域とから構成され、そしてヒトTNF−αと特異的に結合する。他の適切な抗TNF−α抗体には、ヒト化抗体D2E7およびCDP571、ならびにEP 0 516 785 B1、米国特許第5,656,272、EP 0 492 448 A1に記載される抗体が含まれる。このような抗体は、注射または静脈内投与されてもよい。
【0146】
[149] 本発明の一つの好ましい態様において、本明細書において開示されている、TNF−α阻害剤で治療可能なものとしての種々の医学的障害は、別のサイトカインまたはサイトカイン阻害剤と併用して治療される。例えば、TNFR:Fcなどの可溶性TNFRは、他の炎症性サイトカインとのその受容体との相互作用を阻害する化合物も含有する組成にて、投与されてもよい。TNFR:Fcと併用されるサイトカイン阻害剤の例には、例えば、TGF−β、II−6またはII−8が含まれる。TNFR:FcなどのTNF−α阻害剤もまた、抗レトロウイルス療法を受けているHIV感染患者においてT細胞増殖を増強するために、サイトカインであるGM−CSF、IL2、および1型プロテインキナーゼA阻害剤と併用投与されてもよい。加えて、TNF−α阻害剤は、ホジキン病を治療するために、IL−13阻害剤と併用されてもよい。
【0147】
[150] 本明細書に記載される疾患を治療するための他の組み合わせには、TNFR:Fcと抗ウイルス化合物の同時投与が含まれる。
[151] 加えて、標記の発明は、その必要性のあるヒト患者を治療するための方法を提供し、該方法は、治療有効量のTNF−α阻害剤およびIL−6阻害剤を患者に投与することを含む。
【0148】
[152] 本発明はまた、SARSの予防または治療のための薬剤の製造において、TNFR:Fcなどの開示されたTNF−α阻害剤を用いることに関する。
[153] 本発明はまた、ヒト腫瘍壊死因子−α(hTNF−α)および/またはヒト腫瘍壊死因子β(hTNFβ)の中和エピトープとの会合に特異的な、in vitro、in situおよび/またはin vivoにてTNF生物学的活性を阻害および/または中和する抗TNF化合物、ならびに、抗TNF抗体(Ab)および/または抗TNFペプチドを含んでなる組成物を、提供する。このような抗TNF Abまたはペプチドは、SARSの治療における使用に有用である。
【0149】
[154] 本発明の抗TNF化合物および組成物は、細胞表面と会合しているTNFを有する細胞に対する抗体依存性細胞毒性(ADCC)および/または補体依存性細胞毒性(CDC)を媒介する能力に基づいて、治療に有効なように適合させることが可能である。これらの活性のために、エフェクター細胞の内因性源もしくは外因性源(ADCCに関して)、または補体コンポーネント(CDCに関して)を利用することが可能である。本発明のマウス抗体およびキメラ抗体、断片および領域、その断片、ならびに誘導体を、免疫複合体として治療に用いることが可能である(総説については:Dillman,R.O.,Ann.Int.Med.111:592−603(1989年)を参照されたい)。ペプチドまたはAbは、非限定的にリシン−A、シュードモナス毒素およびジフテリア毒素を含む細胞毒性タンパク質と連結することが可能である。抗体または他のリガンドまたはペプチドと複合化した毒素は、当該技術分野において周知である(例えば、Olsnes,S.ら、Immunol.Today 10:291−295(1989年)を参照されたい)。植物毒素および細菌毒素は、典型的には、タンパク質合成機構を破壊することによって細胞を死滅させる。
【0150】
[155] 本発明の抗TNF化合物および組成物を、非限定的に放射性核種、治療剤、細胞毒性剤および薬物を含む、さらなる種類の治療構成部分と複合化することが可能である。抗体と連結し、そしてin vivoにて抗原の部位へ送達されることが可能な放射性核種には、212Bi、132I、186Reおよび90Yが含まれるが、この一覧がすべてであることを意図しない。放射性核種は、放射線療法の技術分野において公知であるように、細胞を局所的に照射して、種々の細胞内傷害を導くことによって、その細胞毒性効果を発揮する。
【0151】
[156] 抗TNFペプチドおよび/または抗体と連結し、続いてin vivo治療に用いられることが可能な細胞毒性薬物には、これに限定されないが、ダウノルビシン、ドキソルビシン、メトトレキサートおよびミノマイシンCが含まれる。細胞毒性薬物は、DNA、RNAおよびタンパク質合成を含む細胞の決定的な過程を、妨げる。当該技術分野において周知のこれらの種類の薬物についての記載、およびその作用機序に関しては、Goodmanら、Goodman and Gilman’s THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS、第8版、マクミリアン・パブリッシング・CO.、1990年を参照されたい。
【0152】
[157] 本発明のペプチドおよび/または抗体などの、抗TNF化合物および組成物を、他のモノクローナル抗体またはルーチンmadキメラ抗体、断片および領域と、あるいは、抗体と相互作用するエフェクター細胞の数もしくは活性を増加する働きをするリンフォカインまたは造血成長因子等と併用して、有利に利用することが可能である。
【0153】
[158] 本発明のペプチドおよび/または抗体、断片あるいは誘導体などの抗TNF化合物および組成物を、TNFの望ましくない副作用を遮断するために、TNF療法と組み合わせて用いることも可能である。癌療法に対する最近のアプローチには、癌患者へのTNFの直接投与、あるいは、リンフォカイン活性化キラー(LAK)細胞(Rosenbergら、New Eng.J.Med.313:1485−1492(1985年))または腫瘍浸潤リンパ球(TIL)(Kurnickら、(Clin.Immunol Immunopath.38:367−380(1986年);Kradinら、Cancer Immunol.Immunother.24:76−85(1987年);Kradinetら、Transplant.Proc.20:336−338(1988年))を用いた癌患者の免疫療法が、含まれている。大量のTNFを産生するようにTNF遺伝子でトランスフェクトされている改変LAK細胞またはTILを用いた治験が、現在進行中である。このような治療アプローチは、本明細書に記載される、そして関連する技術分野において公知の、TNFの多様な作用に起因する、多数の望ましくない副作用を伴う可能性が高い。本発明にしたがって、標記の投与されるTNF、または大量のTILを産生する細胞を受けている被験者を、本発明の抗体、断片または誘導体で同時治療を行うことによって、これらの副作用を低下させることが可能である。有効用量は、上記のとおりである。用量レベルは、主とするTNFの抗腫瘍効果を遮断することなく副作用を遮断するために、投与されるTNFまたはTNF産生細胞の用量に応じた調整を必要とするであろう。当業者は、過度の実験を行うことなく、どのようにこのような用量を決定するかを知るであろう。
【0154】
スクリーニング方法
[159] 本発明は、SARS関連炎症性サイトカイン阻害剤を同定するための方法を意図するであろう。実施に応じて、スクリーニング方法は:無作為プラセボ対照試験において、候補のSARS関連炎症性サイトカイン阻害剤を、SARS関連感染性因子に感染している患者群に投与すること;および、候補のSARS関連炎症性サイトカイン阻害剤の有効性をモニターすること、を含んでなる。好ましくは、候補のSARS関連炎症性サイトカイン阻害剤は、可溶性リコンビナントSARS関連炎症性サイトカイン受容体、SARS関連炎症性サイトカインに対する抗体、SARS関連炎症性サイトカインの活性に影響を及ぼす小分子、SARS関連アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその組み合わせである。当業者は、本明細書において提供されるガイダンスに基づいて、このような化合物をこのようにルーチンに同定することが、容易に可能であろう。
【0155】
[160] 本発明の別の実施に応じて、SARS患者の治療における有効な組成物をスクリーニングする方法は:無作為プラセボ対照試験において、候補のTNF阻害剤を、SARS関連感染性因子に感染している患者群に投与すること;および、候補のTNF阻害剤の有効性をモニターすること、を含んでなる。好ましくは、候補のTNF阻害剤は、可溶性リコンビナントTNF受容体、TNFに対する抗体、TNFの活性に影響を及ぼす小分子、TNFアンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその組み合わせである。当業者は、本明細書において提供されるガイダンスに基づいて、TNF阻害剤をこのようにルーチンに同定することが、容易に可能であろう。
【0156】
[161] 本発明の別の実施に応じて、SARS患者の治療における有効な組成物をスクリーニングする方法は:無作為プラセボ対照試験において、候補の抗ウイルス化合物を、SARS関連感染性因子に感染している患者群に投与すること;および、候補の抗ウイルス化合物の有効性をモニターすること、を含んでなる。好ましくは、候補の抗ウイルス化合物は、候補の抗コロナウイルス化合物である。候補の抗コロナウイルス化合物は、好ましくは、ウイルスに対する抗体(例えば、モノクローナル、ポリクローナル、キメラ等)、ウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤、ウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼのプロセシングに影響を及ぼす、ウイルスにコードされるプロテアーゼの阻害剤、感染細胞からのコロナウイルス出芽もしくは放出の阻害剤、ヘマグルチニンエステラーゼ活性に影響を及ぼすものなどの、感染細胞からのコロナウイルス出芽もしくは放出の阻害剤、特定の細胞表面受容体へのウイルス結合の阻害剤(例えば、hAPNのHcoV−229Eへの結合阻害剤)、ウイルス侵入に関連するウイルススパイク糖タンパク質の受容体誘導コンホメーション変化の阻害剤、およびその組み合わせである。より好ましくは、候補の抗ウイルス化合物は、SARS−CoVなどのSARS関連ウイルスに対するモノクローナル抗体である。当業者は、本明細書において提供されるガイダンスに基づいて、SARSの治療における有効な抗ウイルス化合物をこのようにルーチンに同定することが、容易に可能であろう。
【0157】
[162] 特定の態様の記載は、本発明の一般的な性質を完全に表すであろうことから、他者が当該技術の範囲にある知識(本明細書において引用される参考文献の内容を含む)を応用することによって、過度の実験を行うことなく、本発明の一般的な概念から逸脱することなく、種々の申請に対して、このような特定の態様を容易に修飾および/または適応させることが可能である。したがって、このような適応および修飾は、本明細書にて示される教示およびガイダンスに基づき、開示される態様と同等の意味および範囲にあることを意図されている。本明細書の用語または言い回しが、本明細書に示される教示およびガイダンスを考慮して、当業者の知識と組み合わせて、当業者により解釈されるように、本明細書における用語または言い回しは、記載を目的とし、かつ限定を目的としないことが理解されるべきであろう。
【0158】
[163] 当業者は、ルーチンの実験のみを用いて、本明細書において提供されるガイダンスに基づき、本明細書に記載される本発明の特定の態様と同等の多くのことを知るか、または確かめることが可能であろう。本発明の好ましい態様を示すために、以下の実施例が含まれる。以下の実施例において開示される技術は、本発明の実行において良好に機能することが発明者によって発見された技術を示し、それゆえに、その実行に関する好ましい方法を構成すると考えられることが可能であることが、当業者によって理解されるべきである。しかしながら、当業者は、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、開示されている特定の態様において多くの変更が行われることが可能であって、そして同様のまたは類似した結果がなお得られることを、本開示を考慮して理解するべきである。以下の実施例は、例示の目的で提供され、かつ限定の目的で提供されるものではない。
【実施例】
【0159】
実施例
実施例I SARSの治療における、可溶性リコンビナントTNFRのin vivo有効性
[164] 可溶性リコンビナントTNFRを、無作為対照試験において試験する。SARS−CoVに感染していることが検査で確認された50例の成人患者(すなわち、18歳以上)に、1、5、12または20mg/mいずれかのTNFR:Fcを単回投与する。別の60例の患者は、100mgのTNFR:Fcを投与後に、プラセボまたは1、5、12もしくは20mg TNFR:Fcのいずれかを受けるであろう。TNFR:Fcは、単回注射として投与される。臨床評価、バイタルサインおよび検査パラメータを、注入前、注入中、および注入後28日間定期的に、測定する。
【0160】
臨床モニタリング
[165] 患者を、注入後24時間の間、血行動態変化、発熱または他の有害事象についてモニターする。臨床反応試験は、以下のパラメータからなる:
[166] バイタルサインを、注入中に15〜30分毎に、そして注入後間隔を空けて記録する。完全な理学的検査を、スクリーニング時および治療コース完結時に行う。加えて、患者を、完全血球計数、補体C3およびC4成分、IgG、IgMおよびIgA、血清電解質、クレアチニン、尿素、アルカリホスファターゼ、アスパラ酸トランスアミナーゼならびに総ビリルビンを含む標準的な臨床検査によって、モニターする。尿の解析および培養もまた、TNFおよび/または存在するSARS−CoVのレベルを測定するために、各評価点において行う。
【0161】
応答の評価
[167] 患者を、治験第1、2、3、4、6および8週に、治療に対する応答について評価する。評価は、同じ観察者によって、0700〜13時間の間に行われる。以下の臨床評価が含まれる:温度、主観的な呼吸窮迫症の感覚、呼吸状態の客観的な解析(すなわち、肺の評価)、一定期間にわたる咳の頻度、放射線検査、および血清検査。加えて、患者の応答の全体的な評価を、5ポイントのスケール(悪化、応答なし、中程度の応答、良好な応答、非常に良好な応答)で記録する。免疫蛍光で陽性の血清を、抗体についてスクリーニングする。
【0162】
サイトカインアッセイ
[168] 血清中の生理活性TNFを、WEHI 164クローン13の細胞毒性アッセイを用いて測定する(Espevikら、J.Imm.Methods 95:99−105(1986年))。血清中の総IL−6を、市販のイムノアッセイ(Medgenix Diagnostics社、SA、ベルギー)を用いて、およびモノクローナル抗体を用いたサンドイッチELISAによって、測定する。マイクロタイタープレートを、モノクローナル抗体LNI 314−14で、3μg/mlの濃度で4℃にて18時間コーティングし、そしてpH7.2の0.1Mリン酸緩衝生理食塩液に溶かした3%ウシ血清アルブミンでブロッキングする。非希釈血清または標準品(リコンビナントhIL 6、0〜8.1μg/ml)をデュプリケートでウェルに加え、そして4℃にて18時間インキュベートする。結合したIL−6は、モノクローナル抗体LNI 110−14とともに37℃にて90分間インキュベートした後に、続いて、ビオチン標識ヤギ抗マウス抗体IgG2bとともに37℃にて90分間インキュベートすることによって、検出されるはずである。サザン・バイオテクノロジー社、バーミンガム、アラバマ州)。アッセイを、ストレプトアビジン−アルカリホスファターゼ(サザン・バイオテクノロジー社)、および基質としてp−ニトロフェニルフォスフェートを用いて発色させ、そして光学濃度を405nmにて読み取る。
【0163】
疾患活動性
[169] 疾患活動性の臨床評価の各々に対する応答パターンを、典型的なSARSの臨床評価にしたがって評価する。臨床評価は、治療後の改善を示す。呼吸窮迫症は、中央値2日に始まり第6週まで減少する。同様に、温度および他のインフルエンザ(flu)様症状は、24時間〜3週間の期間に改善される。
【0164】
[170] 応答データを、個々の患者について解析する。試験は、主としてTNF阻害治療の短期効果を評価するように設計されているが、十分な期間フォローされたこれらの患者については、追跡臨床データおよび検査データが利用可能である。これらの患者における応答期間を、選択される活動性の測定において20%(またはそれより大きい)平均改善される期間として定義する。TNFR:Fc(各10mg/kg)の注入により治療された患者の臨床データおよび検査データと、4回の注入(各5mg/kg)により治療された患者のものとの比較は、応答の迅速性または程度の違いを示すのに用いられる。適切な投与量のTNF阻害剤を投与された患者では、十分な患者の耐容性とともに、慢性肺機能、拡散容量および肺コンプライアンスのそれぞれを含む、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)の少なくとも約20%の減少が認められる。死亡率の約20%減少もまた、認められる。
【0165】
免疫学的検討およびサイトカイン
[171] 患者から得た血清を、WEHI 164クローン13細胞毒性アッセイ(Espevikら、J.Imm.Methods 95:99−105(1986年))を用いて、生理活性TNFの存在についても試験する。加えて、CRPおよびSAAの産生が、IL−6によって主に調節されていると考えられることから、このサイトカインの血清中レベルを、総IL−6を測定する二つの異なるアッセイであるMedgenixアッセイおよびELISAを用いて、測定する。
【0166】
実施例II 小分子阻害剤のSARS治療に対するin vivo有効性
[172] プラセボ対照試験において、SARSを有する(SARS−CoVに感染していることが検査で確認された)患者に、以下の提案される治療を投与する。SARS−CoVを伴う50例の患者に、サリドマイド100、200、300または400mgのいずれかを単回投与する。別の60例の患者に、サリドマイド100mgを投与し、次いでプラセボ、あるいはサリドマイド100、200、300または400mg/kg体重のいずれかを投与する。サリドマイドは、経口投与される。臨床評価、バイタルサインおよび検査パラメータを、注入前、注入中、および注入後28日間定期的に、測定する。
【0167】
臨床モニタリング
[172] 患者を、注入後24時間の間、血行動態変化、発熱または他の有害事象についてモニターする。臨床応答試験は、以下のパラメータを含んでなる。バイタルサインを、投与中に15〜30分毎に、そして投与後間隔を空けて記録する。完全な理学的検査を、スクリーニング時および治療コース完結時に行う。加えて、患者を、完全血球計数、補体C3およびC4コンポーネント、IgG、IgMおよびIgA、血清電解質、クレアチニン、尿素、アルカリホスファターゼ、アスパラ酸トランスアミナーゼならびに総ビリルビンを含む標準的な臨床検査によって、モニターする。尿の解析および培養もまた、TNFおよび/または存在するコロナウイルスのレベルを測定するために、各評価点において行う。
【0168】
応答の評価
[173] 患者を、治験第1、2、3、4、6および8週に、治療に対する応答について評価する。評価は、同じ観察者によって、0700〜1300時間の間に行われる。行われた以下の臨床評価が含まれる:温度、主観的な呼吸窮迫症の感覚、呼吸状態の客観的な解析(すなわち、肺の評価)、一定期間にわたる咳の頻度、放射線検査、および血清検査。加えて、患者の応答の全体的な評価を、5ポイントのスケール(悪化、応答なし、中程度の応答、良好な応答、非常に良好な応答)で記録する。免疫蛍光で陽性の血清を、抗体についてスクリーニングする。
【0169】
サイトカインアッセイ
[175] 血清中の生理活性TNFを、WEHI 164クローン13の細胞毒性アッセイを用いて測定する(Espevikら、J.Imm.Methods 95:99−105(1986年))。血清中の総IL−6を、市販のイムノアッセイ(Medgenix Diagnostics社、SA、ベルギー)を用いて、およびモノクローナル抗体を用いたサンドイッチELISAによって、測定する。マイクロタイタープレートを、モノクローナル抗体LNI 314−14で、3μg/mlの濃度で4℃にて18時間コーティングし、そしてpH7.2の0.1Mリン酸緩衝生理食塩液に溶かした3%ウシ血清アルブミンでブロッキングする。非希釈血清または標準品(リコンビナントhIL 6、0〜8.1μg/ml)をデュプリケートでウェルに加え、そして4℃にて18時間インキュベートする。結合したIL−6は、モノクローナル抗体LNI 110−14とともに37℃にて90分間インキュベートした後に、続いて、ビオチン標識ヤギ抗ルーチン抗体IgG2bとともに37℃にて90分間インキュベートすることによって、検出されるはずである。サザン・バイオテクノロジー社、バーミンガム、アラバマ州)。アッセイを、ストレプトアビジン−アルカリホスファターゼ(サザン・バイオテクノロジー社)、および基質としてp−ニトロフェニルフォスフェートを用いて発色させ、そして光学濃度を405nmにて読み取る。
【0170】
疾患活動性
[176] 疾患活動性の臨床評価の各々に対する応答パターンを、典型的なSARSの臨床評価にしたがって評価する。臨床評価は、サリドマイドでの治療後の改善を示す。呼吸困難は、中央値2日に始まり第6週まで減少する。同様に、温度および他のインフルエンザ(flu)様症状は、24時間〜3週間の期間に改善される。
【0171】
[177] 応答データを、個々の患者について解析する。試験は、主としてTNF阻害治療の短期効果を評価するように設計されているが、十分な期間フォローされたこれらの患者については、追跡臨床データおよび検査データが利用可能である。これらの患者における応答期間を、選択される活動性の測定において20%(またはそれより大きい)平均改善される期間として定義する。サリドマイド(各10mg/kg)の注入により治療された患者の臨床データおよび検査データと、4回の注入(各5mg/kg)により治療された患者のものとの比較は、応答の迅速性または程度の違いを示すのに用いられるであろう。適切な投与量のTNF阻害剤を投与された患者では、十分な患者の耐容性とともに、慢性肺機能、拡散容量および肺コンプライアンスのそれぞれを含む、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)の少なくとも約20%の減少が認められる。死亡率の約20%減少もまた、認められる。
【0172】
免疫学的検討およびサイトカイン
[178] 患者から得た血清を、WEHI 164クローン13細胞毒性アッセイ(Espevikら、J.Imm.Methods 95:99−105(1986年))を用いて、生理活性TNFの存在についても試験する。加えて、CRPおよびSAAの産生が、IL−6によって主に調節されていると考えられることから、このサイトカインの血清中レベルを、総IL−6を測定する二つの異なるアッセイであるMedgenixアッセイおよびELISAを用いて、測定する。
【0173】
[179] 本発明が、ここで完全に記載されていることから、本明細書に記載の本発明の精神または範囲から逸脱することなく、多くの変更および修飾がこれに対してなされることが可能なことは、当業者に明らかであろう。本発明の好ましい態様を、多数の可能な選択肢とともに、先に記載する。しかしながら、これらの態様は単なる例であって、そして本発明はこれに制限されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬的に許容可能なキャリアー中、治療有効量のSARS関連炎症性サイトカイン阻害剤:
を含んでなる、組成物。
【請求項2】
SARS関連炎症性サイトカイン阻害剤が、可溶性リコンビナントSARS関連炎症性サイトカイン受容体、SARS関連炎症性サイトカインに対する抗体、SARS関連炎症性サイトカインの活性に影響を及ぼす小分子、SARS関連アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその組み合わせである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
SARS関連炎症性サイトカインがTNF阻害剤である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤がTNFリコンビナント受容体(TNFR)である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤がTNFに対する抗体である、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤がTNF−α阻害剤である、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤がTNF−β阻害剤である、請求項3に記載の組成物。
【請求項8】
SARS関連炎症性サイトカイン阻害剤が、可溶性リコンビナント受容体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
阻害剤が、SARS関連炎症性サイトカインに対する抗体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
抗体がポリクローナル抗体である、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
抗体がキメラ抗体である、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
腫瘍壊死因子阻害剤が、TNFの活性に影響を及ぼす小分子である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
小分子が、腫瘍壊死因子(TNF)のTNFRへの結合を妨げることによって、TNFの活性に影響を及ぼす、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
医薬的に許容可能なキャリアー中、抗ウイルス化合物をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
抗ウイルス化合物が抗コロナウイルス化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
抗コロナウイルス化合物が、ウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤、ウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼのプロセシングに影響を及ぼす、ウイルスにコードされるプロテアーゼの阻害剤、感染細胞からのコロナウイルス出芽もしくは放出の阻害剤、ヘマグルチニンエステラーゼ活性に影響を及ぼす、感染細胞からのコロナウイルス出芽もしくは放出の阻害剤、特定の細胞表面受容体へのウイルス結合の阻害剤、ウイルス侵入に関連するウイルススパイク糖タンパク質の受容体誘導コンホメーション変化の阻害剤、またはその組み合わせである、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
抗コロナウイルス化合物が、ウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤である、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
抗コロナウイルス化合物が、ウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼのプロセシングに影響を及ぼす、ウイルスにコードされるプロテアーゼの阻害剤である、請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
抗コロナウイルス化合物が、感染細胞からのコロナウイルス出芽もしくは放出の阻害剤である、請求項16に記載の組成物。
【請求項21】
感染細胞からのコロナウイルス出芽もしくは放出の阻害剤が、ヘマグルチニンエステラーゼ活性に影響を及ぼす、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
抗コロナウイルス化合物が、特定の細胞表面受容体へのウイルス結合の阻害剤として作用する、請求項16に記載の組成物。
【請求項23】
抗コロナウイルス化合物が、hAPNのHCoV−229Eへの結合を阻害する、請求項16に記載の組成物。
【請求項24】
抗コロナウイルス化合物が、ウイルス侵入に関連するウイルススパイク糖タンパク質の受容体誘導コンホメーション変化の阻害剤として作用する、請求項16に記載の組成物。
【請求項25】
可溶性リコンビナントSARS関連炎症性サイトカイン受容体、SARS関連炎症性サイトカインに対する抗体、SARS関連炎症性サイトカインの活性に影響を及ぼす小分子、SARS関連アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその組み合わせ:
を含んでなる、組成物。
【請求項26】
ウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤、ウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼのプロセシングに影響を及ぼす、ウイルスにコードされるプロテアーゼの阻害剤、感染細胞からのコロナウイルス出芽もしくは放出の阻害剤、ヘマグルチニンエステラーゼ活性に影響を及ぼす、感染細胞からのコロナウイルス出芽もしくは放出の阻害剤、特定の細胞表面受容体へのウイルス結合の阻害剤、ウイルス侵入に関連するウイルススパイク糖タンパク質の受容体誘導コンホメーション変化の阻害剤、またはその組み合わせをさらに含んでなる、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
可溶性リコンビナントTNF受容体、TNFに対する抗体、TNFの活性に影響を及ぼす小分子、TNFアンチセンスオリゴヌクレオチド、およびその組み合わせからなる群より選択される、第一物質;ならびに、
ウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤、ウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼのプロセシングに影響を及ぼす、ウイルスにコードされるプロテアーゼの阻害剤、感染細胞からのコロナウイルス出芽もしくは放出の阻害剤、ヘマグルチニンエステラーゼ活性に影響を及ぼす、感染細胞からのコロナウイルス出芽もしくは放出の阻害剤、特定の細胞表面受容体へのウイルス結合の阻害剤、ウイルス侵入に関連するウイルススパイク糖タンパク質の受容体誘導コンホメーション変化の阻害剤、およびその組み合わせからなる群より選択される、第二物質:
を含んでなる組成物。
【請求項28】
無作為プラセボ対照試験において、候補のSARS関連炎症性サイトカイン阻害剤を、SARS関連感染性因子に感染している患者群に投与すること;
候補のSARS関連炎症性サイトカイン阻害剤の有効性を、モニターすること;
および、医薬的に許容可能なキャリアーを伴う組成物中に、このように同定された治療に有効なSARS関連炎症性サイトカイン阻害剤を含めること:
を含んでなる過程によって調製される、組成物。
【請求項29】
無作為プラセボ対照試験が、盲検プラセボ対照試験である、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
無作為プラセボ対照試験が、二重盲検プラセボ対照試験である、請求項28に記載の組成物。
【請求項31】
候補のSARS関連炎症性サイトカイン阻害剤が、可溶性リコンビナントSARS関連炎症性サイトカイン受容体、SARS関連炎症性サイトカインに対する抗体、SARS関連炎症性サイトカインの活性に影響を及ぼす小分子、SARS関連アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその組み合わせである、請求項28に記載の組成物。
【請求項32】
無作為プラセボ対照試験において、候補の腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤を、重症急性呼吸症候群(SARS)関連感染性因子に感染している患者群に投与すること;
候補のTNF阻害剤の有効性を、モニターすること;および、
医薬的に許容可能なキャリアーを伴う組成物中に、このように同定された治療に有効なTNF阻害剤を含めること:
を含んでなる過程によって調製される、組成物。
【請求項33】
無作為プラセボ対照試験が、盲検プラセボ対照試験である、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
無作為プラセボ対照試験が、二重盲検プラセボ対照試験である、請求項32に記載の組成物。
【請求項35】
候補のTNF阻害剤が、可溶性リコンビナントTNF受容体、TNFに対する抗体、TNFの活性に影響を及ぼす小分子、TNFアンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその組み合わせである、請求項32に記載の組成物。
【請求項36】
重症急性呼吸症候群(SARS)に対して有効な薬剤における、請求項1〜35のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項37】
SARS関連コロナウイルス(SARS−CoV)に対して有効な薬剤における、請求項1〜35のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項38】
治療有効量のSARS関連炎症性サイトカイン阻害剤を患者に投与すること;
を含む、重症急性呼吸症候群(SARS)を有する患者を治療するための方法。
【請求項39】
SARS関連炎症性サイトカイン阻害剤が、可溶性リコンビナントSARS関連炎症性サイトカイン受容体、SARS関連炎症性サイトカインに対する抗体、SARS関連炎症性サイトカインの活性に影響を及ぼす小分子、SARS関連アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその組み合わせである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
治療有効量のTNF阻害剤を患者に投与すること:
を含んでなる、重症急性呼吸症候群(SARS)を有する患者を治療するための方法。
【請求項41】
TNF阻害剤が、可溶性リコンビナントTNF受容体、TNFに対する抗体、TNFの活性に影響を及ぼす小分子、TNFアンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその組み合わせである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
無作為プラセボ対照試験において、候補のSARS関連炎症性サイトカイン阻害剤を、重症急性呼吸症候群(SARS)関連感染性因子に感染している患者群に投与すること;および、治療に有効なSARS関連炎症性サイトカインを同定するために、候補のSARS関連炎症性サイトカイン阻害剤の有効性をモニターすること:
を含んでなる、SARS関連炎症性サイトカイン阻害剤のスクリーニング方法。
【請求項43】
候補のSARS関連炎症性サイトカイン阻害剤が、可溶性リコンビナントSARS関連炎症性サイトカイン受容体、SARS関連炎症性サイトカインに対する抗体、SARS関連炎症性サイトカインの活性に影響を及ぼす小分子、SARS関連アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその組み合わせである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
無作為プラセボ対照試験において、候補の腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤を、SARS関連感染性因子に感染している患者群に投与すること;および、治療に有効なTNF阻害剤を同定するために、候補のTNF阻害剤の有効性をモニターすること:
を含んでなる、SARS患者の治療に有効な組成物のスクリーニング方法。
【請求項45】
候補の腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤が、可溶性リコンビナントTNF受容体、TNFに対する抗体、TNFの活性に影響を及ぼす小分子、TNFアンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその組み合わせである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
無作為プラセボ対照試験が、盲検プラセボ対照試験である、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
無作為プラセボ対照試験が、二重盲検プラセボ対照試験である、請求項44に記載の方法。

【公表番号】特表2007−525465(P2007−525465A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−514911(P2006−514911)
【出願日】平成16年5月20日(2004.5.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/015864
【国際公開番号】WO2005/018535
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(500349339)ワイエス・ホールディングス・コーポレーション (3)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth Holdings Corporation
【Fターム(参考)】