説明

金コロイドの粒径調整方法及び金コロイド溶液

【課題】本発明は、高価な機器、熟練した技術を必要とすることなく、簡便かつ精度良く、金コロイドの粒径を調整する方法の提供を課題とする。また、粒径が所定の範囲内の金コロイド溶液の提供を課題とする。
【解決手段】最大吸収波長の他に、金コロイド溶液の最大吸収波長における吸光度(Aλmax)および最大吸収波長とは異なる波長における吸光度(Aλ)の比(Aλ/Aλmax)を測定することによって、金コロイド粒子の粒度分布幅を推定し、金コロイド粒径を調整する方法および、本方法を用いて得られる金コロイド溶液を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金コロイドの粒径調整方法に関する。特に、イムノクロマト法に用いられる検出用抗体を標識するための金コロイドの粒径調整方法及び粒径調整された金コロイド溶液に関する。
【背景技術】
【0002】
金コロイド溶液は、テトラクロロ金酸(III)などの塩化金酸溶液に還元剤としてクエン酸塩溶液を加えて加熱することにより、金属イオンを還元してコロイドとする溶液内還元反応を利用して製造する方法が繁用されている。
当該方法においては、塩化金酸に対する還元剤の添加量を増減することにより、金コロイド粒子の大きさを変化させることができると言われている(非特許文献1)。
しかしながら、還元剤の添加量をコントロールしただけで単一の粒径の金コロイドが得られるわけではなく、ある粒度分布をもった金コロイドが得られていた。つまり、目的とする粒径の範囲外の金コロイド粒子も同時に得られ、さらに、その粒度分布も製造バッチ(ロット)間で差が大きく、工業的な製造再現性は良好ではなかった。
このため、所望の粒径及び粒度分布を有しているか否かを製造バッチ毎に測定して選択しているのが実情である。
ここで、製造された金コロイドの粒径の測定方法としては、電子顕微鏡を用いる方法、立体排除クロマトグラフィーを用いる方法、動的光散乱式粒度分布計を用いる方法などが使用されているが、いずれも高価で特殊な機器を必要とし、また、機器の操作には熟練した技術が必要であり、工業的なルーチン検査には適さない。
一方、金コロイドの粒径と最大吸収波長との間には一定の相関関係があることが知られている(非特許文献2)。しかし、相関関係にもとづいて算出される値と実際の粒径の値とが必ずしも一致しない場合があり、最大吸収波長のみを粒径の検査方法とすることはできない。
【非特許文献1】G. Frens、NATURE PHYSICAL SCIENCE、241. 20-22 (1973)
【非特許文献2】S. L. Goodman、G. M. Hodgesら、J. Microscopy、123. 201-213 (1981)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、高価な機器、熟練した技術を必要とすることなく、簡便かつ精度良く、金コロイドの粒径を測定する方法の提供を課題とする。また、粒径が所定の範囲内の金コロイド溶液の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、最大吸収波長の他に、金コロイド溶液の最大吸収波長における吸光度(Aλmax)および最大吸収波長とは異なる波長Xにおける吸光度(Aλ)の比(Aλ/Aλmax)を測定することによって、金コロイド粒子の粒度分布幅を推定し、粒径を調整することができることを見出し、本発明をするに至った。
すなわち、本発明は以下の構成を有する。
(1)金コロイド溶液の最大吸収波長(λmax)及び最大吸収波長とは異なる波長Xにおける吸光度(Aλ)の最大吸収波長における吸光度(Aλmax)に対する比(Aλ/Aλmax)を測定することを特徴とする金コロイドの粒径調整方法。
λmax:最大吸収波長
Aλmax:最大吸収波長における吸光度
Aλ:最大吸収波長とは異なる波長Xにおける吸光度
(2)異なる波長が550〜650nmである上記(1)に記載の金コロイドの粒径調整方法。
(3)粒径調整が、金コロイド溶液の粒度分布の調整である上記(1)に記載の金コロイドの粒径調整方法。
(4)金コロイド溶液の最大吸収波長(λmax)及び最大吸収波長とは異なる波長Xにおける吸光度(Aλ)の最大吸収波長における吸光度(Aλmax)に対する比(Aλ/Aλmax)を測定し、
粒径と最大吸収波長(λmax)及び吸光度の比(Aλ/Aλmax)の関係を求め、それにもとづいて所望の粒径の金コロイド溶液を得ることを特徴とする、金コロイド溶液の製造方法。
(5)金コロイド溶液の最大吸収波長(λmax)及び最大吸収波長とは異なる波長Xにおける吸光度(Aλ)の最大吸収波長における吸光度(Aλmax)に対する比(Aλ/Aλmax)が以下の関係を満たす、金コロイド溶液。
(i)a≦λmax≦b
(ii)c≦Aλ/Aλmax≦d
(6)最大吸収波長とは異なる波長Xが600nmであるとき、a,b,c,dが以下の関係を満たす、所望の平均粒径の金コロイド溶液。

(7)金コロイド溶液の最大吸収波長(λmax)及び最大吸収波長とは異なる波長Xにおける吸光度(Aλ)の最大吸収波長における吸光度(Aλmax)に対する比(Aλ/Aλmax)が以下の関係を満たす上記(6)に記載の金コロイド溶液。
(i)530≦λmax≦535
(ii)0.34≦Aλ600/Aλmax≦0.44
(8)イムノクロマト法、フロースルーアッセイ法、金コロイド凝集比色法に用いられるものである上記(5)〜(7)のいずれかに記載の金コロイド溶液。
(9)上記(8)に記載の金コロイド溶液を用いて標識した抗体または抗原を含んで成る診断用試薬。
(10)抗体が、インフルエンザの鑑別診断用抗体である上記(9)に記載の金コロイド溶液。
(11)上記(10)に記載の金コロイド溶液を用いて標識したインフルエンザの鑑別診断用抗体を含浸させた標識抗体パッドを含むインフルエンザ鑑別診断用キット。
【発明の効果】
【0005】
本発明の粒径調整方法を用いれば、金コロイド溶液の粒径を正確かつ簡便に測定することができる。また、所定の粒径の金コロイド溶液を工業的に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(金コロイド溶液)
金コロイドとは、液体中に分散した金微粒子をいう。赤紫色を呈することが知られており、従来よりガラスや陶磁器等のあるいは化粧品の着色剤としての利用がなされてきた。また、医療用に免疫反応を利用したイムノクロマト法、フロースルーアッセイ法、金コロイド凝集比色法等の診断用試薬にも使用されている。
金コロイドの製造は、テトラクロロ金酸(III)などの塩化金酸溶液に還元剤としてクエン酸塩溶液等を加えて加熱することにより、金属イオンを還元してコロイドとする溶液内還元反応を利用して行われる。得られる金コロイドを含む溶液を、本発明では金コロイド溶液という。
金コロイドの粒径は、前記のとおり、テトラクロロ金酸(III)に対するクエン酸三ナトリウムの添加量と関係があり、添加量をコントロールすることにより粒径を調整することができる。すなわち、テトラクロロ金酸(III)に対するクエン酸三ナトリウムの割合を減少させることによって次第に大きくなる。しかし、前述のとおり、添加量の調整だけでは粒径を所望の範囲に調整することは難しい。
【0007】
(最大吸収波長、異なる波長、吸光度の比)
最大吸収波長とは、金コロイド溶液の吸光度を測定した際の最大吸収波長をいい、通常 515nm〜560nmの範囲である。
最大吸収波長と異なる波長とは、金コロイド溶液の前記最大吸収波長とは異なる波長であって、長波長であることが望ましく、具体的には550nm〜650nm程度の波長がより望ましい。
本発明でいう吸光度の比(Aλ/Aλmax)とは、金コロイド溶液の、最大吸収波長とは異なる波長における吸光度の最大吸収波長における吸光度に対する比をいう。
本発明は、この吸光度の比と金コロイドの粒径との間に正の相関があることを初めて見出したことにもとづくものである。
本発明は、吸光度の比を測定し、粒径と最大吸収波長(λmax)及び吸光度の比(Aλ/Aλmax)の関係をあらかじめ求めておき、それにもとづいて所望の粒径の金コロイド溶液を得ることができる。
【0008】
(吸光度の測定)
吸光度の測定は、吸収スペクトルを測定できる機能を有する分光光度計であれば、どのような機器でも使用することができる。吸収スペクトルとしては、400nmから800nmを測定できればよい。
【0009】
(測定方法)
本発明における吸光度の測定は、分光光度計の精度等を考慮して、最大吸収波長における吸光度が1.0付近になるよう、製造した金コロイド溶液を精製水等で希釈し、分光光度計により400〜800nmの吸収スペクトルを測定することにより行う。これから、最大吸収波長における吸光度、最大吸収波長とは異なる波長Xにおける吸光度、ブランクとして例えば800nmにおける吸光度を抽出し、最大吸収波長における吸光度とXにおける吸光度の比を以下の式により算出する。
吸光度比=(波長Xにおける吸光度−800nmにおける吸光度)/(最大吸収波長における吸光度−800nmにおける吸光度)
【0010】
(粒径調整方法)
本発明は、吸光度の比を測定し、粒径と最大吸収波長(λmax)及び吸光度の比(Aλ/Aλmax)の関係をあらかじめ求めておき、それにもとづいて所望の粒径の金コロイド溶液を得ることができる。具体的には、最大吸収波長と異なる波長Xが600nmの場合、目的とする所望の平均粒径の金コロイド溶液は、以下の表1に示す最大吸収波長及び吸光度の比の双方を満足した場合に選択(調整)可能となる。
【0011】
【表1】

【0012】
(金コロイド標識)
本発明の金コロイドは様々な抗体や抗原の標識に用いることができ、金コロイドを使用して目的物質の検出を行う測定方法であれば制限なく使用することができる。例えばインフルエンザ、呼吸器のアデノウイルス又はBNP鑑別診断用の抗体に標識するために用いられる。
金コロイド標識抗体の製造方法について説明する。まず、製造された金コロイド溶液のpHを各抗体に応じて調整し、抗体液と混合後、撹拌して金コロイドに抗体を結合させる。ブロッキング剤としてウシ血清アルブミンを加えて更に撹拌を加えた後、遠心分離を行い、遠心後の上清を吸引除去することにより沈殿した金コロイド標識抗体を得ることができる。
【実施例】
【0013】
(金コロイド溶液の製造)
塩化金酸・4水和物0.61gを精製水5Lに溶解し加熱した。沸騰状態で還流させながら、これにクエン酸3ナトリウム・2水和物0.48〜0.91gを精製水10mLに溶解した水溶液を加え、10分間撹拌した。氷水中で室温まで冷却して金コロイド溶液を得た。これを1バッチとする。用いた試薬を以下に示す。
<試薬>
塩化金酸・4水和物 関東化学株式会社製
クエン酸3ナトリウム・2水和物 キシダ化学株式会社製
【0014】
(金コロイド溶液の評価)
粒度分布測定装置による平均粒子径57nm〜62nmを目標として前記「金コロイド溶液の製造方法」に従って製造した金コロイド溶液169バッチについて、各々精製水にて2倍に希釈し、粒度分布測定装置により平均粒径を、及び分光光度計により400〜800nmの吸収スペクトルを測定した。
169バッチの粒度測定装置による測定値の分布を図1に示す。全169バッチのうち目標とした57nm〜62nmのものは113バッチであった。
<測定機器>
分光光度計:日立製作所 U3310
粒度分布測定装置:動的散乱式粒度分布測定装置 NICOMP C370
【0015】
〔比較例1〕
(最大吸収波長における規格設定)
各バッチの粒度測定装置による測定値と最大吸収波長の関係は図2の様になり、両者間に相関性が認められたため、最大吸収波長に規格幅を設け、目標とした57nm〜62nmのバッチの選択を試みた。
57nm〜62nm金コロイド溶液の最大吸収波長の規格を530nm〜535nmとし、含まれる金コロイドの粒径を確認した。条件に該当する金コロイドは全部で153バッチあり、全169バッチの90.5%に相当した。しかし、その中で実際に粒径が57nm〜62nmであるのは113バッチであり、粒径が規格外となるバッチは40に及んだ。そのほとんどは大粒径の金コロイド溶液であり、最大吸収波長が長波長となるにつれ大粒径の金コロイドの割合が増加するため、最大吸収波長の上限を534nmとし再度検証を行った。しかし、粒径が規格外となるバッチが126バッチ中22バッチと依然高い割合で存在した。そこで 最大吸収波長の規格をさらに狭め上限を533nmとすると、粒径が規格外となるバッチは83バッチ中4バッチであったが、最大吸収波長で不合格となるバッチが全体の約50%を占め、粒径が規格内にあるにも関わらず不合格となるものが38バッチ存在する事が判明した。これは粒径57nm〜62nmの金コロイド溶液、全113バッチの1/3にも相当する数であった(図3)。

【0016】
〔実施例1〕
(最大吸収波長及び吸光度の比による規格設定)
吸光度の比と最大吸収波長との組合せについて検証を行った。吸収スペクトルから最大吸収波長における吸光度に対する600nmにおける吸光度の比を算出した。
このとき、800nmの吸光度をブランクとし、以下の式により吸光度の比を求めた。

吸光度比=(600nmにおける吸光度−800nmにおける吸光度)/(最大吸収波長における吸光度−800nmにおける吸光度)

粒径57nm〜62nmの範囲の金コロイド溶液の吸光度の比の最小・最大値から下限は0.34に固定し、上限を0.5から徐々に引き下げ、該当する金コロイド溶液とその内訳について観察した(図4)。
その結果、条件に適合する金コロイドのうち粒径が規格外となるバッチの割合を10%以下とするには、(i)最大吸収波長530nm〜535nm かつ 吸光度比0.34〜0.46、あるいは(ii)最大吸収波長530nm〜534nm かつ 吸光度比0.34〜0.47が必要であった。ただし条件(i)や(ii)では大粒径の金コロイドを除外しきれなかったため、吸光度比の上限をさらに引き下げたところ、極大吸収波長に関わらず吸光度比0.44以上でほとんどの大粒子金コロイドが除外でき、吸光度比0.42以下では平均粒子径60nm以上の金コロイド溶液を全て除外できた。このように最大吸収波長に吸光度比を組み合わせて規格を設定した場合、効率よく目的とする粒径57〜62nmの金コロイド溶液を選択できることが判明した。
これと同様に他の所望の粒径、37〜42nm、47〜52nm、67〜72nmについても試験を行った。併せて結果を表2に示す。これらの試験により、金コロイド溶液の最大吸収波長(λmax)及び最大吸収波長とは異なる波長Xにおける吸光度(Aλ)の最大吸収波長における吸光度(Aλmax)に対する比(Aλ/Aλmax)が以下の表2の関係を満たす場合に、所望の平均粒径の金コロイド溶液を得ることができることが判明した。
【0017】
【表2】

【0018】
〔実施例2〕
(インフルエンザ鑑別診断用キット)
(1)抗体
市販の抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体(マウス)および抗B型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体(マウス)を用いた。
(2)本発明の金コロイドによる標識
実施例1で得られた粒径の調整された金コロイド溶液を炭酸カリウム水溶液によりpH9.0に調整し、これにホウ酸緩衝液(pH9.0)で希釈した抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体又は抗B型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体を加え、室温にて10分間撹拌した。ウシ血清アルブミン水溶液を添加し、室温下さらに5分間撹拌の後、8000rpmで45分間遠心分離を行った。遠心後の上清を吸引除去し得られた沈渣をウシ血清アルブミンおよびスクロース等を含むリン酸緩衝液(pH8.0)に懸濁させ、最大吸収波長が7.5となるように調整し、金コロイド標識抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体液又は金コロイド標識抗B型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体液を得た。金コロイド標識抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体液および金コロイド標識抗B型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体液を等量ずつ混合し、金コロイド標識抗インフルエンザ抗体液とした。
(3)標識抗体パッド
上記で作製した金コロイド標識抗インフルエンザ抗体液128μLを8.5mm×254mmのガラス繊維パッドにしみ込ませ、恒温乾燥機で70℃、30分間乾燥し、標識抗体パッドを作製した。
(4)テストデバイス
ニトロセルロース膜に抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体液および抗B型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体液をライン状に塗布し、恒温乾燥機で70℃、30分間乾燥させ、抗体固相化膜とした。抗体固相化膜、標識抗体パッド、吸収紙をプラスチック製粘着シートに貼り付け、7.1mm幅に切断し、テストストリップとした。テストストリップを、測定検体液を添加するための開口部および抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体並びに抗B型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体のラインが露出する別の開口部を設けたプラスチック製ケースに入れ、テストデバイスを作製した。
(5)キット
インフルエンザ鑑別診断用キットは、ウシ血清アルブミンを含むリン酸緩衝液(pH7.6)から成る検体希釈液入りプラスチック製チューブおよび上記で作製したテストデバイスを本質とする。
(6)診断テスト
インフルエンザウイルス感染の疑いのある患者より検体採取した綿棒を検体希釈液入りプラスチック製チューブに入れて上下に7〜8回動かして検体を浮遊させた後、綿棒を抜き取った。チューブの開口部にフィルターノズルを装着し、テストデバイスの測定検体液を添加するための開口部に5滴滴下した。15分後にテストデバイスの判定窓に現れる赤紫色のラインで判定した結果、インフルエンザの鑑別診断が可能であった。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明によれば、製造した金コロイド溶液の簡便な粒径調整方法を提供することができる。すなわち、一般的な分光光度計による測定により、最大吸収波長及び最大吸収波長とは異なる波長における吸光度の最大吸収波長における吸光度に対する比率を組み合わせることにより、容易に目的とするサイズの金コロイド溶液を高率で選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】粒径別のヒストグラムを示す。
【図2】最大吸収波長別のヒストグラムを示す。
【図3】最大吸収波長による規格設定結果を示す。
【図4】最大吸収波長と吸光度比の組み合わせによる規格設定結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金コロイド溶液の最大吸収波長(λmax)及び最大吸収波長とは異なる波長Xにおける吸光度(Aλ)の最大吸収波長における吸光度(Aλmax)に対する比(Aλ/Aλmax)を測定することを特徴とする金コロイドの粒径調整方法。
λmax:最大吸収波長
Aλmax:最大吸収波長における吸光度
Aλ:最大吸収波長とは異なる波長Xにおける吸光度
【請求項2】
異なる波長が550〜650nmである請求項1に記載の金コロイドの粒径調整方法。
【請求項3】
粒径調整が、金コロイド溶液の粒度分布の調整である請求項1に記載の金コロイドの粒径調整方法。
【請求項4】
金コロイド溶液の最大吸収波長(λmax)及び最大吸収波長とは異なる波長Xにおける吸光度(Aλ)の最大吸収波長における吸光度(Aλmax)に対する比(Aλ/Aλmax)を測定し、
粒径と最大吸収波長(λmax)及び吸光度の比(Aλ/Aλmax)の関係を求め、それにもとづいて所望の粒径の金コロイド溶液を得ることを特徴とする、金コロイド溶液の製造方法。
【請求項5】
金コロイド溶液の最大吸収波長(λmax)及び最大吸収波長とは異なる波長Xにおける吸光度(Aλ)の最大吸収波長における吸光度(Aλmax)に対する比(Aλ/Aλmax)が以下の関係を満たす、金コロイド溶液。
(i)a≦λmax≦b
(ii)c≦Aλ/Aλmax≦d
【請求項6】
最大吸収波長とは異なる波長Xが600nmであるとき、a,b,c,dが以下の関係を満たす、所望の平均粒径の金コロイド溶液。

【請求項7】
金コロイド溶液の最大吸収波長(λmax)及び最大吸収波長とは異なる波長Xにおける吸光度(Aλ)の最大吸収波長における吸光度(Aλmax)に対する比(Aλ/Aλmax)が以下の関係を満たす請求項6に記載の金コロイド溶液。
(i)530≦λmax≦535
(ii)0.34≦Aλ600/Aλmax≦0.44
【請求項8】
イムノクロマト法、フロースルーアッセイ法、金コロイド凝集比色法に用いられるものである請求項5〜7のいずれかに記載の金コロイド溶液。
【請求項9】
請求項8に記載の金コロイド溶液を用いて標識した抗体または抗原を含んで成る診断用試薬。
【請求項10】
抗体が、インフルエンザの鑑別診断用抗体である請求項9に記載の金コロイド溶液。
【請求項11】
請求項10に記載の金コロイド溶液を用いて標識したインフルエンザの鑑別診断用抗体を含浸させた標識抗体パッドを含むインフルエンザ鑑別診断用キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−23384(P2007−23384A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−186548(P2006−186548)
【出願日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(390037327)第一化学薬品株式会社 (111)
【Fターム(参考)】