説明

金属イオンと錯体を形成しうる多座アザ配位子ならびに診断および治療におけるその使用

任意に、生理システムと相互作用しうる適当な分子と複合される、一般式(I)で示される化合物[式中、R1、R2、R3、R4、R5およびFGは、明細書および請求の範囲と同意義である];20−31、39、42、43、44、49および57−83の範囲の原子番号を有する金属元素および放射性同位体の二価−三価イオンとのそのキレートならびに生理的適合性塩基または酸とのその塩。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、全体として参照することにより本発明に援用される、係属中の2001年7月17日出願のイタリア出願No. MI2001 A001518の優先権を主張する係属中の2002年7月10日出願の国際出願番号PCT/EP02/07658の国内段階の出願である2004年1月15日出願の係属中のU.S.S.N. 10/484,111の一部継続出願であり、その優先権を主張するU.S.S.N. 11/165,793の利益を請求する。
本発明は、金属イオン、特に常磁性イオンと錯体を形成しうる新規なアザ配位子および磁気共鳴画像法(MRI)用の造影剤としての対応する錯体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
数多くの常磁性金属と環状および非環状アザ配位子との錯体が、MRI診断技術における造影剤として知られている(たとえば:The Chemistry of Contrast Agents in Medical Magnetic Resonance Imaging、Merbach A.E.およびToth E編、John Wiley and sons、Chichester、2001;Caravan P.ら、Chem.Rev.1999、99、2293−2352ならびにUS 4,885,363;US 4,916,246;US 5,132,409;US 6,149,890を参照のこと)。これらの錯体のいくつか(Gd−DTPA、Gd−DOTA、Gd−HPDO3Aなど)は、近年市販されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
MRIにおいて最も広範に用いられている常磁性金属イオンは、遷移金属およびランタニド系列のいずれかに属する。ランタニドに関して言えば、Gd(III)イオンが、その常磁性の高さ(7個の不対電子)および電子緩和能の観点からのその有益な特性の両方のために基本的に注目されている。この金属は、哺乳動物においていずれの生理的機能ももたず、遊離イオンとしてのその投与は、低用量(10−20 μLmol/Kg)であっても毒性が強い。このために、熱力学的および動力学的安定性を与えられたランタニドイオンとキレートを形成する配位子を用いることが必要である。このことは、キレートしている配位子が、生理的イオンに対立するものとして、関連する常磁性イオンに対して高レベルの親和性および選択性を示すべきであることを意味する。さらに、配位子は、適当な薬物動態学的特性(排出、血漿タンパク質への結合、代謝的不活発さなど)および最適緩和特性を示すべきであり、すなわち、このパラメーターの値が、周囲の環境、特に生理的アニオンの存在およびpH変化とは無関係に、高く、かつ高く維持されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
とりわけ安定性および緩和能の観点から見て、特に有益な特性を有する錯体を形成する新規な配位子の物質群が今や見出されている。
緩和能(r1p)は、近接プロトンの核磁気緩和速度を増加させる能力を特徴とする常磁性錯体の固有の特性である。高い緩和速度は、画像のコントラストが増強されるのを確実にし、その結果、短時間で生理学的情報を獲得することができるようになり、画質および経済費用の両方の点から明らかな利点がある。
【0005】
Gd(III)錯体の緩和能は金属イオンの内部配位圏の水分子の数(q)に直接関連する特性である。前に述べたように、磁気共鳴画像法(MRI)用の造影剤は、安定なGd(III)イオンの錯体によって大部分が代表され、大多数の該錯体は、高い熱力学的安定性を確保するための八座配位子に基づいている。しかし、この選択は、ただ1つの水分子のみが9つの配位数を有するGd(III)イオンの内部配位圏に入りうることを含意している(The Chemistry of Contrast Agents in Medical Magnetic Resonance Imaging、Merbach A.E.and Toth E.Eds.、John Wiley and sons、Chichester、2001)。
【0006】
観察された緩和速度への(常磁性錯体を含む水性溶液中の水プロトンの)さらなる貢献は、配位された水の分子および残っている溶媒の分子の間の交換に由来する。特に、観察された緩和速度の増加は、内部配位圏の常磁性中心に配位した水分子のプロトンの滞留時間(tM)に反比例する。
本発明の配位子は、その高い開始緩和能が、内部配位圏にある2つの水分子の存在および同時の有益なtM値に一致する錯体を形成する。
【0007】
本発明の配位子は、以下の一般式(I):
【化1】

[式中、R1は、水素、1つ以上のカルボキシ基で任意に置換されたC1−C20アルキル、C3−C10シクロアルキル、C4−C20シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキルであるか、または2つのR1基が一緒になって、直鎖または環式C2−C10アルキレン基またはオルト二置換アリーレンを形成する;
R2は、水素、カルボキシ、またはC1−C20アルキル、C3−C10シクロアルキル、C4−C20シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、酸性部分を有する基およびアミノ部分を有する基から選ばれる任意に置換された基であり、それらのそれぞれは、生理システムと相互作用しうる適当な分子と複合しうる官能基でさらに任意に置換されうる;
同一または異なりうるR3、R4およびR5は、水素、カルボキシ、またはC1−C20アルキル、C3−C10シクロアルキル、C4−C20シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、酸性部分を有する基およびアミノ部分を有する基から選ばれる任意に置換された基であり、それらのそれぞれは、生理システムと相互作用しうる適当な分子と複合しうる官能基でさらに任意に置換されうる;
同一または異なりうるFGは、カルボキシ、−PO3H2または−RP(O)OH基である(ここで、Rは、水素、またはC1−C20アルキル、C3−C10シクロアルキル、C4−C20シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、酸性部分を有する基およびアミノ部分を有する基から選ばれる任意に置換された基であり、それらのそれぞれは、生理システムと相互作用しうる適当な分子と複合しうる官能基でさらに任意に置換されうる)]
を有する。
【0008】
上記定義の範囲内にある置換基は、当業者に公知であり、実施例に記載の本発明化合物によって説明される。
上記化合物は、1つ以上の酸(または酸性部分を有する基)またはアミン(またはアミノ部分を有する基)を有することができる。したがって、これらの基の1つ以上が、1つ以上の保護基によって保護されうることが理解され、本発明の範囲内である。
【0009】
酸またはアミンが「保護される」場合、これは、保護部位における望ましくない副反応を排除するために基が修飾体であることを意味する。本発明化合物のための適当な保護基は、当業者のレベルを考慮している本願から、およびGreene ら、Protective Groups in Organic Synthesis(New York:Wiley、1991)などの標準的テキストを参照して、理解されるであろう。
【0010】
保護基の例として、カルボキシル保護基としてtert−ブチル、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)およびトリクロロエトキシカルボニル(Troc)ならびにアミン保護基としてテトラクロロ−フタロイル(TCP)、フタロイル、ピペコリン酸(Pic−OH)、Boc、COCF3およびCbzが挙げられる。さらに、保護基は、当業界で周知であり、このリストは、本発明の範囲を制限することを意味しない。いずれの適当な保護基もが、本発明の範囲内にあることが理解される。
【0011】
生理システムと相互作用しうる標的化分子または他の分子と複合しうる官能基は、当業者に公知である。このような基として、たとえば、カルボン酸、アミン、アルデヒド、アルキルハロゲン、アルキルマレイミド、スルフヒドリル基、ヒドロキシル基などが挙げられる。カルボン酸およびアミンが特に好ましい。本発明はさらに、式(I)で示される化合物と常磁性または放射性金属イオン、特に、20〜31、39、42、43、44、49および57〜83の範囲の原子番号を有する金属元素および放射性同位体の二価−三価イオンとのキレートならびに生理的適合性塩基または酸とのその塩に関する。
【0012】
MRI造影剤としての診断用途に特に好ましいのは、Fe(2+)、Fe(3+)、Cu(2+)、Cr(3+)、Gd(3+)、Eu(3+)、Dy(3+)、La(3+)、Yb(3+)、Mn(2+)、Mn(3+)、Co(2+)、Ni(2+)、Pr(3+)、Nd(3+)、Sm(3+)、Gd(3+)、Tb(3+)、Ho(3+)およびEr(3+)などの常磁性イオンとの錯体、特にガドリニウム錯体である。
【0013】
その一方で、放射線療法または放射線診断に用いるには、203Pb、67Ga、68Ga、72As、111In、113In、90Y、97Ru、62Cu、64Cu、52Fe、52mMn、140La、175Yb、153Sm、166Ho、149Pm、177Lu、142Pr、159Gd、212Bi、47Sc、149Pm、67Cu、111Ag、199Au、161Tb、51Cr、167Tm、141Ce、168Yb、88Y、165Dy、166Dy、97Ru、103Ru、186Re、188Re、99mTc、211Bi、212Bi、213Bi、214Bi、105Rh、109Pd、117mSn、177Snおよび199Auとの錯体ならびにその酸化物および窒素化物が好ましい。金属の選択は、所望の治療または診断適用に基づいて決定される。たとえば、診断目的(たとえば、原発性腫瘍および転移などにおける治療の進行を診断およびモニターするためなど)にとっては、好ましい放射性核種として、64Cu、67Gaおよび111Inが挙げられ、111Inが特に好ましい。治療目的(たとえば、前立腺、乳房、肺などのガンに関連する原発性腫瘍および転移のための放射線療法を提供するためなど)にとっては、好ましい放射性核種として、64Cu、90Y、105Rh、111In、117mSn、149Pm、153Sm、161Tb、166Dy、166Ho、175Yb、177Lu、186/188Reおよび199Auが挙げられ、177Luおよび90Yが特に好ましい。
【0014】
本発明のキレートは、配位子が塩化しうる官能基を有する場合、塩の形態でもありうる。
本発明の錯体を塩化するのに適切に用いることができる無機塩基の好ましいカチオンは、カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリまたはアルカリ土類金属のイオンを含む。
有機塩基の好ましいカチオンは、とりわけ、エタノールアミン、ジエタノールアミン、モルフォリン、グルカミン、N−メチルグルカミン、N,N−ジメチルグルカミンなどの第一級、第二級および第三級アミンのカチオンを含む。
【0015】
本発明の錯体を塩化するのに適切に用いることができる無機酸の好ましいアニオンは、塩化物、臭化物、ヨウ化物などのハロ酸のイオンまたはスフェートなどの他のイオンを含む。
有機酸の好ましいアニオンは、アセテート、スクシネート、シトレート、フマレート、マレエート、オキサレートなどの塩基性物質を塩化するために製薬技術において慣例的に用いられる酸のアニオンを含む。
アミノ酸の好ましいカチオンおよびアニオンは、たとえば、タウリン、グリシン、リシン、アルギニンまたはオルニチンのカチオンおよびアニオン、またはアスパラギン酸およびグルタミン酸のカチオンおよびアニオンなどを含む。
【0016】
C1−C20アルキル基は、直鎖または分枝鎖基であり、好ましくはC1−C6基、より好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルである。
C3−C10シクロアルキル基は、好ましくはシクロプロピル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル基であり、前述のアルキル基によって、環の部分の1つにおいて任意に順に置換される。
The C4−C20シクロアルキルアルキル基は、好ましくはシクロプロピルメチル、シクロヘキシルエチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、シクロペンチルエチルである。
【0017】
アリールは、好ましくは、フェニルまたは同一もしくは異なって、ヒドロキシ、C1−C2アルコキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、メチル、エチル、カルボキシ、アミノ、C1−C2アルキル−またはジアルキルアミノ、またはヒドロキシ、C1−C2アルコキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、メチル、エチル、カルボキシ、アミノ、C1−C2アルキル−またはジアルキルアミノなどの1−3個の置換基で様々に置換されたアルキル基から選ばれる1−5個の置換基で置換されたフェニルである。
【0018】
オルト二置換アリーレンは、好ましくは、任意に置換された前述の1,2−フェニレンである。
カルボキシ基で置換されたC1−C20アルキルは、好ましくは、カルボキシメチルである。
【0019】
FGは、好ましくは、カルボキシ基である。
R2は、好ましくは、分子の構造的完全性を妨げることなく他の化合物との複合部位として用いることができる、任意に保護されたカルボキシ、アミノ、ホルミル、ヒドロキシまたはメルカプトなどの官能基ですべて任意に置換されたメチル、前述のアルキル、アリールまたはアリールアルキルである。
R3は、好ましくは、水素である。
R4は、好ましくは、水素またはメチルである。
R5は、好ましくは、水素である。
【0020】
好ましい式(I)で示される化合物は、2つのR1基が一緒になって、アルキレン、特にエチレンまたはプロピレン、好ましくはエチレン、または環式アルキレンを形成する化合物であり、その他の基は、一般式(I)と同意義であるか、または上述の好ましい意義を有する。
【0021】
別の実施態様では、2つの式(I)で示される化合物は、互いにそのR2置換基を介して二量体を形成することができる。このタイプの化合物の一例を後記実施例10に示す。
二量体の製造は、実施例10のようにR2を介する2つの式(I)で示される化合物の直接連結によって、あるいは、対応するジアミンまたは二酸へのR2におけるアルキルカルボキシルまたはアルキルアミン基のアミド結合形成によって、行うことができる。このアプローチは、R2のアルキル酸またはアルキルアミンの結合のためのポリアミンまたはポリ酸を有することによる多量体の製造に一般化することができる。式(I)で示される化合物から二量体または多量体を製造するためのアミド結合形成ステップを、アルキル化、アシル化、エステル化または還元的アミノ化法によって置き換えることができることが、当業者には理解される。ポリアミンまたはポリ酸を、pHまたは抗体の標的化を可能にするための複合基で任意に置換することができる。1つの分子における2つ以上のGd−キレートの付加は、少なくとも付加的様式によって、緩和能を増加させる。
【0022】
R1が、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルまたはアリールである化合物(I)は、
a)化合物(II):
【化2】

[式中、R2は前記と同意義である]
をホルムアルデヒトとアミン(III):
R1−NH2 III
[式中、R1は前記と同意義である]
と反応させて、式(IV):
【化3】

で示される化合物を得、
b)化合物(IV)のニトロ基をアミノ基に還元して、式(V):
【化4】

で示される化合物を得、式(V)で示される化合物をハロ酢酸エステルまたはメチル置換ハロ酢酸エステルと反応させて、化合物(VI):
【化5】

[式中、R6はC1−C6アルキルである]
を得、次いで、加水分解して、化合物(I)を得るか、または化合物(V)をホルムアルデヒドおよび亜リン酸または式:
RP(OH)2
[式中、Rは前記と同意義である]
で示される化合物と反応させて、対応するFGが−PO3H2またはRP(O)OHである化合物(I)を得ること、を含む過程で製造することができる。
【0023】
2つのR1基が一緒になって、アルキレン基を形成する式(I)で示される化合物は、
a)化合物(II)をホルムアルデヒドまたは第一級脂肪族アルデヒドおよび式(VII):
【化6】

[式中、R1は前記と同意義であり、Bzはベンジルまたはアミノ保護基である]で示されるジアミンと反応させて、式(VIII):
【化7】

で示される化合物を得、
b)たとえば、触媒的水素添加によって、化合物(VIII)からニトロ基を還元し、ベンジル基を除去して、式(IX):
【化8】

で示される化合物を得、
c)(IX)をハロ酢酸エステルと反応させて、化合物(X):
【化9】

[式中、R6は前記と同意義である]
を得るか、またはホルムアルデヒドまたは第一級脂肪族アルデヒドおよび亜リン酸または式:
RP(OH)2
[式中、Rは前記と同意義である]
で示される化合物と反応させて、対応するFGが−PO3H2またはRP(O)OHである化合物(I)を得、
d)カルボキシエステル基を加水分解して、R1基が一緒になって、アルキレンを形成する化合物(I)を得ること、を含む過程で製造することができる。
【0024】
カルボキシル基とホスホン酸基の両方が存在する式(I)で示される化合物は、上述の通り、またはその逆の通り、たとえば、最初にハロ酢酸エステルと反応させ、次いで、ニトロ基を還元し、次いでホルムアルデヒドおよびH3PO3またはRP(OH)2と反応させるなど、上述の反応順序を適当に変化させ、予め脱保護した式(VIII)で示される化合物にカルボキシメチルまたはホスホノメチル基を導入することによって得ることができる。この手順にしたがって、環の窒素原子上のFG基が環外アミノ基に存在するFG基と異なる式(I)で示される化合物を製造することができる。
【0025】
保護体および非保護体の両方での式(IX)で示されるアミンは新規であり、中間体として本発明のさらなる目的である。
【0026】
本発明化合物をさらに、生理的システムと相互作用しうる1つ以上の適当な分子と複合させることができる。その有用な例は、胆汁酸、ペプチド、タンパク質、ホルモン、オリゴヌクレオチド、抗生物質、抗体、酵素、成長因子などである。
【0027】
生理的システムと相互作用しうる分子もまた標的化部分と呼ばれる。標的化部分は、特定の部位または特定の代謝機能に対する結合親和性を有するいずれかの分子である。標的化部分(1つまたは複数)は、本発明化合物を適切な部位に方向付けるか、または化合物を反応に関与させ、そこで、所望の診断または治療活性が生じる。典型的な実施態様では、標的化部分は、特定の部位を結合する配位子として機能するペプチド、その等価物、誘導体または類縁体である。もう1つの典型的実施態様では、標的化部分は、酵素または酵素に結合する分子である。もう1つの典型的実施態様では、標的化部分は、抗生物質である。さらに別の実施態様では、標的化部分は、たとえば、所望の受容体などの関心の部位に結合する抗体またはそのフラグメントである。
【0028】
好ましい実施態様では、標的化部分(1つまたは複数)は、関心の受容体または酵素に結合するペプチドを含む。たとえば、標的化ペプチドは、たとえば、文献に記載されているような黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)などのペプチドホルモン[たとえば、Radiometal−Binding Analogues of Luteinizing Hormone Releasing Hormone PCT/US96/08695;PCT/US97/12084(WO 98/02192)など];インスリン;オキシトシン;ソマスタチン;ニューロキニン−1(NK−1);文献[たとえば、Comparison of Cyclic and Linear Analogs of Vasoactive Intestinal Peptide.D. R. Bolin、J. M. Cottrell、R. Garippa、N. Rinaldi、R. Senda、B. Simkio、M. O'Donnell.Peptides: Chemistry、Structure and Biology Pravin T. P. Kaumaya、and Roberts S. Hodges(Eds).Mayflower Scientific LTD.、1996、pgs 174−175など]に描写されているような直線および環式バージョンの両方を含む血管作用性小腸ペプチド(VIP);ガストリン放出ペプチド(GRP);ボンベシンおよびその他の公知のホルモンペプチドならびにその類縁体および誘導体であってよい。
【0029】
他の有用な標的化ペプチドとして、たとえば、ランレオチド(Nal−Cys−Thr−DTrp−Lys−Val−Cys−Thr−NH2)、オクトレオチド(Nal−Cys−Thr−DTrp−Lys−Val−Cys−Thr−ol)、and Maltose(Phe−Cys−Thr−DTrp−Lys−Val−Cys−Thr−ol)などのソマトスタチンの類縁体が挙げられる。これらの類縁体は、文献に記載されている [たとえば、Potent Somatostatin Analogs Containing N−terminal Modifications、S. H. Kim、J. Z. Dong、T. D. Gordon、H. L. Kimball、S. C. Moreau、J.−P. Moreau、B.A. Morgan、W. A. Murphy and J. E. Taylor;Peptides: Chemistry、Structure and Biology Pravin T. P. Kaumaya、and Roberts S. Hodges(Eds).、Mayflower Scientific LTD.、1996、pgs 241−243]。同様に、たとえば、VEGF受容体などの血管新生関連受容体を標的とするペプチドを、標的化部分として用いることができる。このようなペプチドの例は、PCT/US03/28787;USSN 10/939,890;USSN 09/871,974;およびPCT/US01/18053に開示されており、これらは、参照することにより本発明に援用される。
【0030】
さらに他の有用な標的化ペプチドとして、サブスタンスPアゴニスト[たとえば、G. Bitan、G. Byk、Y. Mahriki、M. Hanani、D. Halle、Z. Selinger、C. Gilon、Peptides: Chemistry、Structure and Biology、Pravin T. P. Kaumaya、and Roberts S. Hodges(Eds)、Mayflower Scientific LTD.、1996、pgs 697−698;G Protein Antagonists A novel hydrophobic peptide competes with receptor for G protein binding、Hidehito Mukai、Eisuke Munekata、Tsutomu Higashijima、J. Biol. Chem. 1992、267、16237−16243など];NPY(Y1)[たとえば、Novel Analogues of Neuropeptide Y with a Preference for the Y1−receptor、Richard M. Soll、Michaela、C. Dinger、Ingrid Lundell、Dan Larhammer、Annette G. Beck−Sickinger、Eur. J. Biochem. 2001、268、2828−2837;99mTc−Labeled Neuropeptide Y Analogues as Potential Tumor Imaging Agents、Michael Langer、Roberto La Bella、Elisa Garcia−Garayoa、Annette G. Beck−Sickinger、Bioconjugate Chem. 2001、12、1028−1034;Novel Peptide Conjugates for Tumor−Specific Chemotherapy、Michael Langer、Felix Kratz、Barbara Rothen−Rutishauser、Heidi Wnderli−Allenspach、Annette G. Beck−Sickinger、J. Med. Chem. 2001、44、1341−1348など];オキシトシン;エンドセリンAおよびエンドセリンB;ブラジキニン;硬膜外成長因子(EGF);インターロイキン−1[Anti−IL−1 Activity of Peptide Fragments of IL−1 Family Proteins、I. Z. Siemion、A. Kluczyk、Zbigtniew Wieczorek、Peptides 1998、19、373−382];およびコレシストキニン(CCK−B)[Cholecystokinin Receptor Imaging Using an Octapeptide DTPA−CCK Analogue in Patients with Medullary Thryroid Carcinoma、Eur. J. Nucl Med. 200、27、1312−1317]が挙げられる。
【0031】
標的化ペプチドの一般的評論の記載された文献をたとえば、以下の物に見出すことができる:The Role of Peptides and Their Receptors as Tumor Markers、Jean−Claude Reubi、Gastrointestinal Hormones in Medicine、Pg 899−939;Peptide Radiopharmaceutical in Nuclear Medicine、D. Blok、R. I. J. Feitsma、P. Vermeij、E. J. K. Pauwels、Eur. J. Nucl Med. 1999、26、1511−1519;and Radiolabeled Peptides and Other 配位子 for Receptors Overexpressed in Tumor Cells for Imaging Neoplasms、John G. McAfee、Ronald D. Neumann、Nuclear Medicine and Biology、1996、23、673−676(ソマトスタチン、VIP、CCK、GRP、サブスタンスP、ガラナン、MSH、LHRH、アルギニン−バソプレシン、エンドセリン)。先の段落に置いて上記言及したすべての文献は、全体として参照することにより本発明に援用される。
【0032】
他の標的化ペプチド参考物として、以下のものが挙げられる:インビボマルチレセプター腫瘍標的化の分子機序として乳ガンにおける共発現ペプチド受容体.Jean Claude Reubi、Mathias Gugger、Beatrice Waser.Eur. J. Nucl Med. 2002、29、855−862、(NPY、GRPを含む);黄体形成ホルモン放出ホルモンの放射性金属結語類縁体 PCT/US96/08695(LHRH);PCT/US97/12084(WO 98/02192)(LHRH);PCT/EP90/01169(放射線療法ペプチド);WO 91/01144(放射線療法ペプチド);およびPCT/EP00/01553(腫瘍の治療および診断用分子)。これらはすべて、全体として参照することにより本発明に援用される。
【0033】
さらに、標的化ペプチドの類縁体を用いることができる。これらの類縁体は、標的化ペプチド自体ならびに標的化ペプチドの変異タンパク質、レトロペプチドおよびレトロ−逆−ペプチドよりも大きいか、または等しい結合活性をもつ所望の部位受容体を標的にする分子を包含する。当業者であれば、これらの類縁体が、1つまたは数個のアミノ酸の置換および/または欠失および/または付加を包含する修飾を、これらの修飾がその中に記載されたペプチドの生物活性を否定的に変更しない限りにおいて含みうることも理解するであろう。これらの置換は、1つ以上のアミノ酸をその同義アミノ酸で置き換えることによって行うことができる。1つのグループ内の同義アミノ酸は、分子の生物学的機能を保存するために、グループのメンバー間での置換を可能にするのに十分に類似した特性を有するアミノ酸として定義される。本明細書で用いる同義アミノ酸は、これらのアミノ酸の合成誘導体(たとえば、アミノ酸のD体およびその他の合成誘導体など)を包含する。
【0034】
規定された配列内に、該配列の生物学的機能を変更しないという条件で、アミノ酸の欠失または挿入を導入することもできる。このような挿入または欠失は、優先的には、1、2、3、4または5個のアミノ酸に限定されるべきであり、機能的構造に不可欠であるアミノ酸を除去または物理的に妨害または置換すべきではない。本明細書に記載のペプチドまたはポリペプチドの変異タンパク質は、アミノ酸置換、欠失または挿入が1つ以上のアミノ酸位置に存在する本明細書に開示された配列に相同な配列を有することができる。変異タンパク質は、少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは60−70%、最も好ましくは80−90%の本明細書に記載のペプチドの生物活性を有する。しかし、それらは、特に例示されたペプチドより大きい生物活性を有してもよく、したがって、例示のペプチドの生物学的機能と必ずしも同一でなくてもよい。標的化ペプチドの類縁体には、チオアミド、メチレンアミンおよびE−オレフィンといったような、ペプチド骨格のアミド結合に変化を組み込んでいるペプチド模倣体または擬ペプチドも包含される。
N−置換ヒドラジンカルボニル化合物で置換されたアミノ酸をもつ、標的化ペプチドまたはそのペプチド類縁体の構造に基づくペプチド(アザアミノ酸としても知られる)もまた、本明細書で用いる用語「類縁体」に包含される。
【0035】
標的化分子は、本明細書に開示された方法および当業者に公知の方法で結合してもよい。たとえば、標的化ペプチドは、NもしくはC末端を介して、またはリシンのイプシロン窒素、またはガンマ窒素またはオルニチンまたはアスパラギン酸もしくはグルタミン酸の第2カルボキシル基への結合を介してリンカーまたはキレーターに結合することができる。
【0036】
本発明はまた、官能性アザ誘導体を標的化部分とカップリングするためのカップリング条件を包含する。たとえば、後記実施例4、5、6、7および15は、アミノ基または保護アミノ基(カップリング前に脱保護)をもつAazta誘導体を開示する。それらを、方法1によって、T−NH2(アミノ基を含む標的化部分)にカップリングすることができる。T−CO2H(カルボン酸基を含む標的化部分)を、方法2によって、Aazta−NH2にカップリングすることができる(文献に公知の活性化方法を用いることができる)。
【化10】

【0037】
後記実施例8、9、18、22、23、24は、カルボン酸側鎖をもつAazta誘導体を開示する。それらを、以下に示す方法によって、アミノ基を含むT−NH2標的化部分にカップリングすることができる。
【化11】

【0038】
後でより詳しく示す本発明の2つの例示的実施態様では、標的化分子は、フィブリンまたはGRP(ガストリン放出ペプチド)受容体(GRP−R)を標的とする。標的化分子がGRP−Rに結合する場所で、適当な金属で標識される場合、たとえば、原発性または転移性前立腺、乳および肺腫瘍などのGRP受容体を発現している腫瘍を画像化または治療するのに本発明化合物を用いることができる。標的化分子がフィブリンに結合する場所で、適当な金属で標識される場合、たとえば、フィブリン含有血餅/血栓、プラークまたは腫瘍を画像化または治療するのに本発明化合物を用いることができる。
【0039】
心臓血管疾患は、世界中で、主な死因である。突然のプラーク破裂が、脳卒中および心臓発作および死を引き起こしうる。プラーク、特に不安定なプラークを画像化する能力は、診断的画像化の重要な領域である。これらのプラークは、フィブリンを含み、ペプチドまたは抗体で効果的に標的化することができる。フィブリンは、血栓およびガン性腫瘍にも存在する。このことは、フィブリン画像化のためのさらなる適用を提供する。
【0040】
金属キレーターと標的化剤の間の物理的分離を作り出すための1つ以上の「スペーサー」または「リンカー」基の使用も本発明の範囲に包含される。スペーサーまたはリンカーの使用は、PollakらのU.S.特許No. 5,976,495(これは、参照することにより本発明に援用される)に、より詳細に記載されている。
【0041】
連結基は、本発明のキレーターを標的化部分(1つまたは複数)にカップリングするように働くが、標的化部分の標的化機能またはキレーターの診断または治療機能のいずれかに悪影響を与えない化学基を包含する。適当な連結基として、たとえば、ペプチド(すなわち、一緒に連結したアミノ酸)単独、非ペプチド基(たとえば、炭化水素鎖など)またはアミノ酸配列と非ペプチドスペーサーとの組み合わせなどが挙げられる。他の適当なリンカーとして、ポリエチレングリコール(PEG)リンカーが挙げられる。
【0042】
1つの実施態様では、連結基として、L−グルタミンおよび炭化水素鎖、またはその組み合わせが挙げられる。
もう1つの実施態様では、連結基として、一連のアミノ酸(たとえば、ジグリシン、トリグリシン、gly−gly−glu、gly−ser−glyなど)からなる純粋なペプチド連結基が挙げられる。
【0043】
さらなる実施態様では、連結基として、炭化水素鎖[すなわち、R1−(CH2)n−R2](ここで、nは、0−10、好ましくはn=3〜9、R1は配位子骨格または予め形成された金属キレーターまたは金属錯形成骨格を共有的に連結するための部位として用いることができる基(たとえば、H2N−、HS−、−COOH);およびR2は与えられた標的化ペプチドのN−末端NH2−基に共有カップリングするために用いられる基(たとえば、R2は活性化されたCOOH基である)である)を挙げることもできる。配位子(すなわち、キレーター)またはキレート(放射性核種に錯形成したキレーター/配位子)を生体分子(標的化部分など)に複合するためのいくつかの化学的方法が、文献に記載されている[Wilbur、1992;Parker、1990;Hermanson、1996;Frizbergら、1995]。1つ以上のこれらの方法を用いて、非錯形成配位子(キレーター)または放射性金属キレートのいずれかをリンカーに連結するか、またはリンカーを標的化部分またはその他の診断または治療部分に連結することができる。これらの方法は、酸無水物、アルデヒド、アリールイソチオシアネート、活性化エステルまたはN−ヒドロキシスクシンイミドの形成を包含する[Wilbur、1992;Parker、1990;Hermanson、1996;Frizbergら、1995]。
【0044】
好ましい実施態様では、連結基は、後記の求電子試薬または求核試薬を有するリンカー前駆体から形成されうる。
LP1:リンカーの少なくとも2つの位置に同じ求電子試薬E1または同じ求核試薬Nu1を有するリンカー前駆体;
LP2:求電子試薬E1およびリンカーのもう1つの位置に異なる求電子試薬E2を有するリンカー前駆体;
LP3:求核試薬Nu1およびリンカーのもう1つの位置に異なる求核試薬Nu2を有するリンカー前駆体;または
LP4:求電子試薬E1で官能化された一方の端および求核試薬Nu1で官能化された他方の端を有するリンカー前駆体。
【0045】
本発明の1つの実施態様では、リンカーは、少なくとも1つの置換された胆汁酸を含む。胆汁酸は、胆汁中に見出され、1つのヒドロキシル基およびカルボキシル基で終結する5つの炭素原子からなる1つの側鎖を有するステロイドである。置換胆汁酸では、胆汁酸の水素原子などの少なくとも1つの原子が、もう1つの原子、分子または化学基で置換される。たとえば、置換胆汁酸として、7および12位において、水素、ヒドロキシルまたはケト官能基で任意に置換された3−アミノ、24−カルボキシル官能基を有するものが挙げられる。
【0046】
本発明における他の有用な置換胆汁酸として、置換コール酸およびその誘導体が挙げられる。特定の置換コール酸誘導体には、以下のものが包含される:
(3β,5β)−3−アミノコラン−24−酸;
(3β,5β,12α)−3−アミノ−12−ヒドロキシコラン−24−酸;
(3β,5β,7α,12α)−3−アミノ−7,12−ジヒドロキシコラン−24−酸;
Lys−(3,6,9)−トリオキサウンデカン−1,11−ジカルボニル−3,7−ジデオキシ−3−アミノコール酸);
(3β,5β,7α)−3−アミノ−7−ヒドロキシ−12−オキソコラン−24−酸;および
(3β,5β,7α)−3−アミノ−7−ヒドロキシコラン−24−酸。
このようなリンカーは、PCT/US03/41656およびUSSN(代理人整理番号RB106C CIP US)、2005年6月23日出願に、より詳細に記載されており、これらは全体として参照することにより本発明に援用される。
【0047】
本発明のもう1つの実施態様では、リンカーは、少なくとも1つの非α−アミノ酸を含む。非α−アミノ酸は、当業界で公知であり、天然または合成のものが包含される。好ましい非α−アミノ酸には、以下のものが包含される:
8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸;
N−4−アミノエチル−N−1−酢酸;および
式:NH2−(CH2CH2O)n−CH2CO2HまたはNH2−(CH2CH2O)n−CH2CH2CO2H(ここで、n=2〜100)を有するポリエチレングリコール誘導体。
このようなリンカーは、WO 2004/065407およびUSSN(代理人整理番号RB106C CIP US)、2005年6月23日出願に、より詳細に記載されており、これらは全体として参照することにより本発明に援用される。
【0048】
本発明のもう1つの実施態様では、リンカーは、環式基をもつ少なくとも1つの非α−アミノ酸を含む。環式基をもつ少なくとも1つの非α−アミノ酸として、置換フェニル、ビフェニル、シクロヘキシルまたは他のアミンおよびカルボキシル含有環式脂肪族または複素環式部分が挙げられる。これらの例には、以下のものが包含される:
4−アミノ安息香酸(本明細書において、以降、「Abz4」と称する)
3−アミノ安息香酸
4−アミノメチル 安息香酸8−アミノオクタン酸
trans−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸
4−(2−アミノエトキシ)安息香酸
イソニペコ酸
2−アミノメチル安息香酸
4−アミノ−3−ニトロ安息香酸
4−(3−カルボキシメチル−2−ケト−1−ベンズイミダゾリル−ピペリジン
6−(ピペラジン−1−イル)−4−(3H)−キナゾリノン−3−酢酸
(2S,5S)−5−アミノ−1,2,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−アゼピノ[3,21−hi]インドール−4−オン−2−カルボン酸
(4S,7R)−4−アミノ−6−アザ−5−オキソ−9−チアビシクロ[4.3.0]ノナン−7−カルボン酸
3−カルボキシメチル−1−フェニル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−4−オン
N1−ピペラジン酢酸
N−4−アミノエチル−N−1−ピペラジン酢酸
(3S)−3−アミノ−1−カルボキシメチルカプロラクタム
(2S,6S,9)−6−アミノ−2−カルボキシメチル−3,8−ジアザビシクロ−[4,3,0]−ノナン−1,4−ジオン
3−アミノ−3−デオキシコール酸
4−ヒドロキシ安息香酸
4−アミノフェニル酢酸
3−ヒドロキシ−4−アミノ安息香酸
3−メチル−4−アミノ安息香酸
3−クロロ−4−アミノ安息香酸
3−メトキシ−4−アミノ安息香酸
6−アミノナフトエ酸
N,N'−ビス(2−アミノエチル)−スクシンアミド酸
【0049】
このようなリンカーは、WO 2004/065407およびUSSN(2005年6月23日出願の代理人整理番号:RB106C CIP US)に、より詳細に記載されている(両方は、全体として参照することにより本発明に援用される)。
化合物(I)で示される錯体は、MRI造影剤または放射性医薬品として非経口で投与することができ、pHが、たとえば、6.0〜8.5の範囲にわたる滅菌水性溶液または懸濁液として製剤されるのが好ましい。
該水性溶液または懸濁液は、0.002〜1.0モルの範囲の濃度で投与することができる。
【0050】
該製剤は、凍結乾燥し、使用前に戻すものとして供給される。胃腸での使用または体腔への注射のために、これらの作用剤は、たとえば、粘度を調整するための適当な添加剤を含む溶液または懸濁液として製剤することができる。
経口投与のために、製薬技術において通常用いられる製造方法にしたがって作用剤を製剤することができ、任意に、通常、胃液の典型的なpH値において起こる、キレートされた金属イオンの放出を阻害する胃の酸性pHからの保護を強化するためにコーティング製剤とすることもできる。
医薬製剤の公知技術にしたがって、甘味料および/または香味料などの他の賦形剤を加えることもできる。
【0051】
式(I)で示される配位子をもつ常磁性Gd(III)錯体は、該錯体の内部配位圏における2つの水分子の存在および配位した水分子の同時の有利な早い交換速度で説明されうる特に良好な開始緩和能を付与される。
q=2(すなわち、Gd−DO3A−様系)であるいくつかの錯体について、溶液のpHが増加すると緩和能における減少が観察されたことが報告されている。この減少は、ほぼ確実に、ヒドロキシルイオンなどの溶液中に存在するいくつかのアニオンが、Gd(III)における配位部位に対して水分子と競合し、金属キレートとの三重錯体の形成を通して、その緩和能を著しく減少させるという事実によるものである(S.Aime et al、J.Biol.Inorg.Chem.、5、488−497、(2000)。緩和能における減少は、二座配位子が溶液中に存在する場合にも観察される。このような挙動を示す系は、HSAなどのタンパク質への結合の際に、緩和増強が小さいことによって通常特徴付けられる。これは、タンパク質上のドナー原子による水分子の置換によるものである。
【0052】
反対に、本発明の実施例1のGd(III)錯体を用いて行った試験は、全く興味深いことに、本発明の配位子が、溶液中に存在するいくつかのアニオンおよびアニオン性代謝物に対して非常に低い親和性を示すことを指摘した。
この結果は、本発明の錯体化合物の緩和能が、高濃度の二座アニオンが存在しても「低下」しないことを強く示す。
【0053】
それは、本発明の配位子を用いて、巨大分子(たとえば、アスパラギン酸塩またはグルタミン酸塩)上のドナー原子がGd(III)の配位部位と相互作用して、達成可能な緩和能の低減化を誘発するということなく、ヒト血清アルブミンまたはその他の適当な巨大分子に複合するか、または非共有的に相互作用することが可能なq=2である常磁性錯体化合物を好都合に製造することができることをさらに示す。
ほぼ確実に、(DO3A)および対応するDO3MA トリメチル−誘導体の配位子構造と比べた場合、配位子構造における実質的変化は、二座アニオンに向かう錯体の完全に異なる挙動が原因である。
【0054】
診断上または治療上有用な金属で標識した場合、本発明化合物は、画像診断法、放射線診断法および放射線療法の分野で確立された手順によって、腫瘍などのガンならびに心臓血管疾患などの疾患を治療および/または検出するのに用いることもできる[Bushbaum、1995;Fischmanら、1993;Schubigerら、1996;Lowbertzら、1994;Krenningら、1994]。
【0055】
これらの化合物の診断的適用は、画像診断法(たとえば、シンチグラフィー画像法または磁気共鳴画像法など)を用いる標的化細胞の存在のための第一線の診断スクリーンとして、放射免役ガイド手術(RIGS)の分野における手持ち放射線検出器具を用いる選ばれた組織を標的化するための作用剤として、マッチドペア放射線療法化合物の投与前の線量測定データを得るための手段として、および経時的治療の関数としての標的受容集団を評価するための手段として、ありうる。
【0056】
本発明化合物は、治療的にも有用である。特に、適当な治療用放射性核種で標識された本発明化合物は、放射性同位体療法において有用である。放射性同位体療法(放射線療法)は、標的化組織を損傷または破壊するのに十分な量での放射標識された化合物の投与を含む。化合物の投与(たとえば、静脈内、皮下または腹腔内による)後、放射標識された医薬は、疾患部位(たとえば、腫瘍組織など)に選択的に局在化する。いったん、局在化すると、放射標識された化合物は、次いで、投与される同位体の放射性崩壊中に放出されるエネルギーで疾患組織を損傷または破壊する。本明細書で検討するように、本発明化合物は、アジュバント化学療法と併用して(またはいずれかの他の適当な治療剤と併用して)、放射線療法において用いてもよい。
【0057】
成功する放射線療法の設計は、数種類の重要な因子を含む。
1.疾患部位へ放射能をデリバリーするための適切な標的化基の選択;
2.隣接する正常な組織を実質的に損傷することなく疾患部位を損傷するのに十分なエネルギーを放出する適切な放射性核種の選択;および
3.疾患部位で局在化する複合体の能力に悪影響を及ぼさない標的化基および放射性核種の適切な組み合わせの選択。放射性金属については、組み合わせが、標的化基にキレートを連結し、標的組織における取り込みを最大化し、正常な非標的臓器おける取り込みを最小化するように化合物の全体内分布に影響を及ぼすリンカーを組み合わせた、放射性核種に堅固に配位するキレート基を含むことが多い。
適切な放射性核種ならびに好ましくは標的化基およびリンカーと錯形成する場合、本発明のキレーターは、放射線療法に有用である。
【0058】
放射線療法に有用な本発明化合物は、ランタニドとして知られる元素のクラス(原子番号57−71の元素)およびその類縁元素(すなわち、イットリウムおよびインジウムなどのM3+金属)からの3+の金属イオンと有利に錯形成する。このクラスにおける典型的な放射性金属として、同位体90−イットリウム、111−インジウム、149−プロメチウム、153−サマリウム、166−ジスプロシウム、166−ホルミウム、175−イッテルビウムおよび177−ルテチウムが挙げられる。これらの金属のすべて(およびランタニド系列におけるその他のもの)は、+3の酸化状態を保つという非常に類似した化学的性質を、本発明のキレーターなどのハードな(酸素/窒素)ドナー原子を有する配位子に錯形成することを好む。
【0059】
本発明のキレーターは、遊離(非結合)放射性金属と錯形成して、身体への該金属の放出を防止する。3+放射性金属のキレートからの該金属のインビボ解離は、肝臓、骨および脾臓における放射性金属の取り込みをもたらしうるので、このことは重要である[Brechbiel MW、Gansow OA、「Backbone−substituted DTPA ligands for 90Y radioimmunotherapy」、Bioconj. Chem. 1991;2:187−194;Li、WP、Ma DS、Higginbotham C、Hoffman T、 Ketring AR、Cutler CS、 Jurisson、SS、「Development of an in vitro model for assessing the in vivo stability of lanthanide chelates.」 Nucl. Med. Biol.2001;28(2):145−154;Kasokat T、Urich K. Arzneim.−Forsch、「Quantification of dechelation of gadopentetate dimeglumine in rats」. 1992;42(6): 869−76]。これらの臓器を特に標的化しない限り、このような非特異的取り込みは、骨髄の照射による造血抑制などの問題の原因となりうる非標的組織の非特異的照射を導くので、非常に望ましくない。
【0060】
特定の放射線療法適用に用いるための適当な放射性核種の選択は、以下のような多くの因子に応じて変わる:
a.物理的半減期:これは、放射性金属および複合体からの放射線療法的構築物の合成および精製ならびに注入前の重大な放射性崩壊なしでの注入部位への該構築物のデリバリーを可能にするのに十分長くあるべきである。好ましくは、放射性核種が、約0.5〜8日間の物理的半減期を有するべきである。
【0061】
b.放射性核種からの放出のエネルギー:短い距離においてエネルギーを蓄積することによって非常に局在化した損傷を生み出す高エネルギー粒子を放出するので、粒子(アルファ放射体、ベータ放射体およびオージェ電子放射体)の放射体である放射性核種が特に有用である。これらの同位体からのベータ粒子放出からのエネルギーは、5〜約150細胞直径以内に蓄積されるので、ベータ放出放射性核種が特に好ましい。これらの核種から製造された放射線療法剤は、その局在化部位に比較的近い疾患細胞を殺す能力があるが、骨髄などの隣接する正常な組織を損傷するために長い距離を移動することはできない。
【0062】
c.比放射能(すなわち、放射性核種の質量当たりの放射能):高い比放射能を有する放射性核種(たとえば、発生装置が生み出した90−Y、111−In、177−Lu)が、特に好ましい。放射性核種の比放射能は、その生成方法、それを生成するのに用いられる特定の標的および問題になっている同位体の特性によって決定される。
【0063】
多くのランタニドおよびランタノイドは、ベータ粒子を放出するので、それらを放射線療法剤としての使用に適したものにする核特性を有する放射性同位体を包含する。これらのいくつかを下記表に挙げる。


Pm:プロメチウム、Sm:サマリウム、Dy:ジスプロシウム、Ho:ホルミウム、Yb:イッテルビウム、Lu:ルテチウム、Y:イットリウム、In:インジウム
【0064】
ベータ放出ランタニド放射性同位体などの放射性金属の製造方法は、当業者に公知であり、他の文献に記載されている[たとえば、Cutler C S、Smith CJ、Ehrhardt GJ.;Tyler TT、Jurisson SS、Deutsch E. 「Current and potential therapeutic uses of lanthanide radioisotopes.」 Cancer Biother. Radiopharm. 2000;15(6):531−545]。これらの同位体の多くを、相対的に低コストで高収率にて生成することができ、多くを(たとえば、90−Y、149−Pm、177−Lu)、無担体比放射能に近い状態で生成することができる(すなわち、大部分の原子が放射性である)。非放射性原子は、標的組織上の受容体への結合についてその放射性類縁体と競合することができるので、標的組織へできるだけ高用量で放射能をデリバリーすることを可能にするためには高い非放射能をもつ放射性同位体の使用が重要である。
【0065】
治療的放射性核種と錯形成した本発明化合物の治療的適用は、ガンなどの疾患の治療の第一線療法として用いられる放射性医薬として、本発明の放射線療法薬をアジュバント化学療法(たとえば、本明細書に開示した他の治療薬のひとつ)と組み合わせて用いることができる併用療法として、またはマッチドペア治療薬の治療的パートとして、のいずれかとして定義することができる。マッチドペアの概念は、適切なキレートに結合するために選択された放射性金属に応じて診断および治療薬の両方として働くことができる単一の非メタレート化合物を意味する。もし、キレーターが、所望の金属を受け入れることができないならば、インビボにおいて診断的化合物の挙動を用いて、放射線治療的化合物の挙動を予測すことができるように薬理を維持しながら、異なる金属を受け入れるように適切な置換を行うことができる。
【実施例】
【0066】
以下の実施例は、本発明をより詳しく説明する。
【0067】
実施例1
【化12】

1,4−ビス(カルボキシメチル)−6−[ビス(カルボキシメチル)アミノ]−6−メチル−ペルヒドロ−1,4−ジアゼピン
a)1,4−ジベンジル−6−メチル−6−ニトロペルヒドロ−1,4−ジアゼピン
250 mLの丸底フラスコにて、N,N'−ジベンジルエチレンジアミンジアセテート(18.4 g、51.0 mmol)およびニトロエタン(3.66 mL、50.9 mmol)をエタノール(80 mL)に溶解する。パラホルムアルデヒド(5.00 g、166.5 mmol)を溶液に少しずつ加え、得られる懸濁液を還流する。混合物は、約60℃にて均質になり(パラホルムアルデヒドの溶解)、僅かに発熱性の反応が起こる。3時間還流した後、混合物を蒸発し、水性飽和Na2CO3溶液に溶解し、有機生成物を塩化メチレンで繰り返し抽出する。合わせた有機抽出物を水で洗浄し、Na2SO4で乾燥する。濾過し、塩化メチレンを蒸発した後、ロウ様残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製する。
塩化メチレンで溶離して、純粋な標記化合物(15.65 g、90.6%)を得る。溶離液(CH2Cl2/MeOH 9:1)の極性を増加させると、非環式誘導体N,N'−ジベンジル−N−(2−ニトロプロピル)エタンジアミン(0.350 g、2.1%)が得られる。
ロウ様白色固体、m.p.49.5−50℃(n−ヘキサン)
1H−NMR(CDCl3)
7.32(m、10H)、3.78(d、2H、J=13.2 Hz)、3.65(d、2H、J=13.2 Hz)、3.60(d、2H、J=14.1 Hz)、2.96(d、2H、J=14.1 Hz)、2.60(m、4H)、1.35(s、3H)。
13C−NMR(CDCl3)
139.0(s)、128.8(d)、128.1(d)、127.1(d)、91.5(s)、63.7(t)、63.4(t)、58.1(t)、24.2(q)。
MS(CI)340(MH+)。
元素分析:計算値:C20H25N3O2(339.43):C、70.77;H、7.42;N、12.38。実測値:C、70.57;H、7.60;N、12.27。
【0068】
b)6−アミノ−6−メチルペルヒドロ−1,4−ジアゼピン
エタノール(45 mL)および水(5 mL)の混合物中のa)で得られる化合物(6.00 g、17.7 mmol)の溶液に、10%パラジウム/炭素からなる触媒(1.0 g)を加える。混合物をParr装置に導入し、28気圧(2.84 MPa)および室温にて水素添加する。2時間後、水素はもはや吸収されない。反応混合物をセライト(登録商標)で濾過する。路液を蒸発して、次の段階にとって十分に純粋な標記化合物(2.25 g、98.3%)を無色油状物の形体で得る。
1H−NMR(CDCl3)
2.82(m、4H)、2.63(d、2H、J=13.6 Hz)、2.57(d、2H、J=13.6 Hz)、1.86(bs、4H、D2Oと交換)、0.96(s、3H)。
13C−NMR(CDCl3)
62.2(t)、53.8(s)、51.7(t)、26.5(q)。
MS(CI)130(MH+)。
元素分析:計算値:C6H15N3(129.21):C、55.78;H、11.70;N、32.52。実測値:C、55.56;H、11.91;N、32.29。
【0069】
c)1,4−ビス(t−ブトキシカルボニルメチル)−6−[ビス(t−ブトキシカルボニルメチル)−アミノ]−6−メチルペルヒドロ−1,4−ジアゼピン
無水アセトニトリル(25 mL)中のb)で得られる化合物(0.909 g、7.04 mmol)の溶液に、粉末炭酸カリウム(6.53 g、47.24 mmol)および硫酸ナトリウム(およそ3 g)を加える。0−5℃(氷浴)に冷却した後、ブロモ酢酸t−ブチル(4.50 mL、30.45 mmol)を10分間で加え、混合物をこの温度で15分間放置する。次いで、反応混合物を4時間還流し、次いで、室温に冷却し、無機苑を濾去し、路液を減圧蒸発する。得られる残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーによって精製する。n−ヘキサン/酢酸エチル 8:2で溶離して、純粋な化合物(3.15 g、76.4%)を無色油状物で得る。
1H−NMR(CDCl3)
3.68(s、4H)、3.27(s、4H)、3.03(d、2H、J=14.1 Hz)、2.72(m、4H)、2.61(d、2H、J=14.1 Hz)、1.44(s、36H)、1.09(s、3H)。
13C−NMR(CDCl3)
172.6(s)、170.8(s)、80.6(s)、80.1(s)、66.1(t)、62.3(t)、60.6(s)、59.1(t)、51.5(t)、28.1(q)、28.0(q)、24.1(q)。
MS(CI)586(MH+)。
元素分析:計算値:C30H55N3O8(585.78):C、61.51;H、9.46;N、7.17。実測値:C、61.42;H、9.62;N、6.98。
【0070】
d)1,4−ビス(カルボキシメチル)−6−[ビス(カルボキシメチル)アミノ]−6−メチル−ペルヒドロ−1,4−ジアゼピン
50 mLの丸底フラスコにて、c)で得られるエステル(3.03 g、5.17 mmol)をトリフルオロ酢酸(10 mL)に溶解する。得られる溶液を室温にて一夜放置し、次いで、減圧蒸発し、濃HClを加え、蒸発乾固する。固体残渣をアンバーライト(登録商標) XAD1600樹脂カラム(3cm ID x 30 cm)に通す。水/アセトン(100/0→70/30)で溶離して、純粋な標記化合物(1.33 g、71.1%)を白色結晶で得る。m.p.178−181℃(分解)(H2O)。
1H−NMR(D2O)
3.65(s、8H)、3.51(m、4H)、3.38(m、4H)、1.06(s、3H)
13C−NMR(D2O)
175.9(s)、173.3(s)、65.7(s)、61.2(t)、61.1(t)、56.1(t)、54.3(t)、19.5(q)。
MS(FAB+)362(MH+)。
元素分析:計算値:C14H23N3O8(361.35):C、46.53;H、6.42;N、11.63。実測値:C、46.56;H、6.70;N、11.39。
【0071】
上述の手順と同様にして、以下の化合物を合成することができる:
【化13】

【0072】
特に、以下の配位子を製造することができる:
【化14】

【化15】

特に、配位子Cの製造が詳細に記載されている実施例8を参照のこと。
【0073】
e)1,4−ビス(カルボキシメチルメチル)−6−[ビス(ヒドロキシカルボニル−メチル)アミノ]−6−メチルペルヒドロ−1,4−ジアゼピンのGd(III)錯体
100 mLの丸底フラスコにて、d)からの配位子(3.61 g、10 mmol)を、30 mLのH2Oに懸濁し、1N NaOH(10 mL)を加えて、透明な溶液を得、Gd2O3(1.81 g、5 mmol)を加え、50℃にて15時間加熱する。室温に冷却した後、溶液を濾過し、蒸発乾固して、白色固体を得る。
元素分析:計算値:C14H19GdN3NaO8(537.56):C、31.28;H、3.56;N、7.82;Na 4.28;Gd 29.25。実測値:C、30.98;H、3.71;N、7.99;Na 4.01;Gd 29.59。
この手順(ならびに当業者に公知のいずれかの変更)を用いて、本発明化合物のいずれかをガドリニウムなどの常磁性金属で標識する。
【0074】
実施例2
N,N”−ジイソプロピル−2−メチル−1,2,3−プロパントリアミノ−N,N',N',N”−四酢酸
【化16】

a)N,N'−ジイソプロピル−2−メチル−2−ニトロ−1,3−プロパンジアミン
イソプロピルアミン(20.6 g、349 mmol)を入れた250 mLの丸底フラスコを氷浴で3−5℃に冷却し、37%水性ホルムアルデヒド溶液(26.3 mL、350 mmol)を、反応温度が10℃を越えないように約30分間で加える。添加完了後、混合物を15分間撹拌し、次いで、ニトロエタン(13.1 g、174.5 mmol)を1回で加える。混合物を放置して室温まで温め、次いで、溶解を完了させるために撹拌しながらNa2SO4(20 g)を加える。形成された2つの相を分離し、下部水性層を捨てる。有機相に、さらなるNa2SO4(20 g)を加え、60時間静置する。混合物を濾過し、固体をジエチルエーテルで繰り返し洗浄する。濾液および洗液を合わせ、減圧蒸発する。残渣を減圧蒸留し、標記生成物に対応する、3 mmHg下88−90℃にて蒸留される画分(25.9 g、68.2%)を無色油状物で集める、p.eb.88−90℃(3 mmHg)。
1H−NMR(CDCl3)
1.01(d、12H、J=6.2 Hz)、1.50(bs、2H、D2Oと交換)、1.55(s、3H)、2.73(sept、2H、J=6.2 Hz)、2.99(AB、4H、J=12.8 Hz)。
13C−NMR(CDCl3)
20.7(q)、22.8(q)、48.9(t)、52.5(d)、91.9(s)。
MS(CI)218(MH+)。
元素分析:計算値:C10H23N3O2(217.31):C、55.27;H、10.67;N 19.34。実測値:C、55.11;H、10.81;N、19.39。
【0075】
b)N,N”−ジイソプロピル−2−メチル−1,2,3−プロパントリアミン
CH3OH(100 mL)中のa)で得られる化合物(18.50 g、85.1 mmol)の溶液に、ラニーニッケル50%/H2O(3.5 g)を加える。混合物をParr装置に置き、60気圧および室温にて水素添加する。約3時間後、もはや水素の吸収は観察されない。混合物をセライト(登録商標)で濾過し、残渣をCH3OH(2x15 mL)で洗浄する。濾液および洗液を合わせ、蒸発する。残渣を減圧蒸留し、標記生成物に対応する、僅かに黄色い透明油状物である、3 mmHg下98−100℃にて蒸留される画分(15.15 g、95.0%)を集める、p.eb.88−90℃(3 mmHg)。
1H−NMR(CDCl3)
1.02(s、3H)、1.03(d、12H、J=6.2 Hz)、1.40(bs、4H、D2Oと交換)、2.46(AB、4H、J=11.6 Hz)、2.71(sept、2H、J=6.2 Hz)。
13C−NMR(CDCl3)
22.9(q)、25.4(q)、49.2(t)、51.6(s)、56.9(d)。
MS(CI)188(MH+)。
元素分析:計算値:C10H25N3(187.33):C、64.12;H、13.45;N、22.43。実測値:C、63.89;H、13.61;N、22.49。
【0076】
c)N,N”−ジイソプロピル−N,N',N',N”−テトラキス(t−ブトキシカルボニルメチル)−2−メチル−1,2,3−プロパントリアミン
アセトニトリル(10 mL)中のb)からのトリアミン(1.25 g、6.67 mmol)の溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(11.6 mL、66.6 mmol)を加える。撹拌しながら、ブロモ酢酸t−ブチル(5.90 mL、36.5 mmol)を30分間かけて滴下し、氷浴で冷却し、添加完了後、氷浴を除去し、混合物を室温にてさらに30分間放置し、15時間還流する。その後、混合物を冷却し、減圧蒸発する。得られる残渣をCH2Cl2および10%水性Na2CO3溶液に分配し、水性相をCH2Cl2(2x20 mL)でさらに抽出する。有機相をNa2SO4で乾燥し、濾過し、減圧蒸発する。残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン/Et2O勾配 100/0→50/50、30 mL画分)によって精製して、純粋な標記テトラエステル(3.57 g、83.0%)を僅かに黄色い透明油状物で得る。
Rf(SiO2、CHCl3)0.70。
1H−NMR(CDCl3)
0.91(d、6H、J=6.6 Hz)、0.96(d、6H、J=6.8 Hz)、1.16(s、3H)、1.41(s、36H)、2.57(AB、4H、J=14.3 Hz)、2.87(sept、2H、J=6.6 Hz)、3.38(s、4H)、3.52(s、4H)。
13C−NMR(CDCl3)
17.7(q)、19.8(q)、19.9(q)、27.9(q)、51.2(s)、53.9(t)、54.0(t)、55.0(t)、63.1(d)、79.7(d)、80.0(s)、172.0(s)、172.9(s)。
MS(EI)645、644(MH+)、530、457、343、287、231、186、160、130、112、88、70。
元素分析:計算値:C34H65N3O8(643.91):C、63.42;H、10.18;N、6.53。実測値:C、63.29;H、10.33;N、6.39。
【0077】
d)N.N”−ジイソプロピル−2−メチル−1,2,3−プロパントリアミノ−N,N',N',N”−四酢酸
c)からのエステル(5.96 g、9.10 mmol)を100 mLの丸底フラスコに入れ、濃塩酸(20 mL)を加える。混合物を7時間還流し、次いで、冷却し、H2O(20 mL)で希釈して、CH2Cl2(3x15 mL)で抽出する。水性相を蒸発乾固し、残渣を濃HCl/エタノールから再結晶して、標記配位子(4.08 g、91.0%)を二塩酸塩で得る。
1H−NMR(CDCl3)
1.14(d、6H、J=6.3 Hz)、1.17(d、6H、J=6.3 Hz)、1.33(s、3H)、3.21(AB、4H、J=15.1 Hz)、3.57(sept、2H、J=6.3 Hz)、3.68(s、8H)。
MS(FAB+)420(MH+)、442(MNa+)、458(MK+)[計算値:C18H33N3O8:419.47]。
元素分析:計算値:C18H33N3O8・2HCl(492.39):C、43.91;H、7.16;N、8.57。実測値:C、43.66;H、7.30;N、8.41。
MS(FAB+)420(MH+)、442(MNa+)、458(MK+)[計算値:C18H33N3O8:419.47]。
元素分析:計算値:C18H33N3O8・2HCl(492.39):C、43.91;H、7.16;N、8.57。実測値:C、43.66;H、7.30;N、8.41。
【0078】
実施例3
実施例1のGd(III)錯体の安定性特性
電位差測定
pH電極と組み合わせてMetrohm 6.0203.100を備えたMetrohm 670 Titroprocessorを用いることによって、脱気した0.1 mol dm−3 NMe4NO3溶液中で、298.1 Kにて、すべてのpH計量測定(pH=−log [H+])を行った。各電位差滴定に先立って、既知量のHClを無CO2NMe4OH溶液と滴定し、標準電位Eoおよび水のイオン積を決定することを可能にするGranの方法により当量点を決定することによって、組み合わせた電極を水素濃度プローブとして較正した。錯形成実験において、金属イオン濃度は、配位子濃度の約80%であった。pH範囲2.5−10.5において、各系に対して少なくとも3回の測定(それぞれ1回につき約100個のデータポイント)を行い、関連するe.m.f.データを、プロトン化定数および錯形成定数を提供するコンピュータプログラムSUPERQUADおよびHYPERQUADの方法によって処理した。
【0079】





LogKGd(条件、pH 7.4)= 17.06
【0080】
実施例1のGd(III)錯体の緩和能測定特性
該錯体について、25℃、pH 7および20 MHzにて測定した緩和能は、7.1 mM−1 s−1である。
実施例1のGd(III)錯体の交換時間(tM)の値を、前述の参考文献中のAimeらによって記載された手順にしたがって、種々の温度にて横行水17O NMR緩和時間を測定することによって評価した。結果を図1に示す。
得られる値を298 Kにてns(ナノ秒)にした。最適値(約30 ns)は到達されなかったが、この交換速度は、特に、もし、tM値が160 nsである、内圏における、参照のGd(III)錯体(Gd−DO3A)の水分子との速度と比較するならば、かなり速いとみなすことができる。
【0081】
図2は、そのフィッティングから、80 psというtR(分子最配向時間)値および他の小さいサイズのGd(III)錯体の値に類似した電気的緩和時間値を計算することができる、実施例1のGd(III)錯体のNMRDプロフィールを示す(前述のMerbac A.E.を参照のこと)。
この錯体の緩和能を、pHの関数としてさらに試験した。図3は、得られた結果を示す。
驚いたことに、試験した錯体化合物の緩和速度は、すべての調査したpH範囲にわたって実質的に一定であることがわかった。この結果は、本発明の配位子をもつGd錯体が、塩基性pHで溶液中に存在するヒドロキシルおよびカルバメートアニオンに対して低い親和性を示すことを明らかに示す。対照的に、それらは、測定された緩和能を著しく減少した。
【0082】
三重錯体の形成の欠如をさらに評価するために試験を行った。非限定的実施例として、ラクテートおよびホスフェートイオンに対する実施例1の化合物の親和性を測定した。増加量の各アニオンをGd(III)錯体の1 mM溶液に加えることによって、定量を直接行った。図4に示す得られた結果は、高濃度の二座内在性アニオンが存在しても、相互作用が完全に不在であることを示す。
逆に言えば、ラクテートイオンをもつGd−DO3AおよびGd−DO3MA(両者は、q=2を与える)の類似した滴定は、そっれぞれ150 M−1および110 M−1のKA値をもたらした。
いずれの測定可能な会合定数を示さない配位子1のGd錯体は、確実に、このアニオンに対して親和性の低い錯体である。
【0083】
この結果は、本発明の配位子をもつGd錯体の緩和能が、高濃度の二座内在性アニオンが存在したとしても低下されないことを示す。
さらに、配位した水の高い交換速度は、いったんそれらの分子運動が、たとえば、巨大分子への結合を介して遅くなると、高緩和能(r1および/またはr2)の獲得にとって、このタイプの常磁性錯体を特に興味深いものにする。それは当業者によって知られているので、当該の分子との配位子および/またはその金属錯体(共有および非共有の両方)の結合(共有および非共有の両方)を行うための多くの手順が利用可能である。
【0084】
実施例4
R2にて標的化部分を結合するための化合物
【化17】

【0085】
化合物(1):
エタノール(80 mL)中のN、N−ジベンジルエチレンジアミン(12.18 g、50.6 mmol)の溶液に、酢酸(6.0 mL)を加え、溶液を60 ℃にて10分間撹拌する(形成した固体は80 ℃に加熱すると溶解する)。N−(3−ニトロプロピル)フタルイミド1(11.7 g、50.0 mmol)を加え、80 ℃にて撹拌を継続して、透明な溶液を得る。パラホルムアルデヒド(5.0 g、166 mmol)を30分間にわたって少しずつこの溶液に加え、80 ℃にて5時間撹拌を継続する。反応混合物を冷却し、形成した固体を濾過し、例エタノールで洗浄し、減圧乾燥する。収量22.0 g(88%)。
MS:499.5(M+H)。
【0086】
化合物(2):
CH3NH2/THF(40.0 mL)CH3NH2/H2O(80 mL)の混合物に、フタルイミド誘導体1(21.0 g、42.0 mmol)を加え、室温にて48時間撹拌する。窒素気流を通して過剰のメチルアミンを除去し、溶媒を減圧除去する。得られる固体をテトラヒドロフラン(100 mL)および水(10 mL)の混合物に溶解する。重炭酸ジ−tert−ブチル(19.0 g、87.0 mmol)をTHF−水溶液に加え、16時間撹拌する。溶媒を除去し、得られるペースト状固体を酢酸エチル(400 mL)に溶解し、塩化ナトリウム溶液(2 x 200 mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)する。酢酸エチルを蒸発して、黄色油状物を得、ヘキサン−酢酸エチル(7:3)を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。UV可視画分を集め、蒸発して、2を油状物で得る。収量18.20 g(92%)。
MS:469.2(M+H)。
【0087】
化合物(3):
メタノール(40 mL)中のニトロ化合物2(2.0 g、4.27 mmol)の溶液に、Pd−C 10%(750 mg)を加え、混合物を45 psiにて24時間水素添加する。触媒を濾去し、メタノールを回転蒸発器にて除去して、アミン3を濃厚な油状物で得る。収量1.0 g(91%)。
MS:259.2(M+H)。
【0088】
化合物(4):
DMF(4 mL)中のアミン3(1.0 g、3.87 mmol)および炭酸カリウム(2.69 g、19.5 mmol)の混合物に、ブロモ酢酸tert−ブチル(3.8 g、2.88 mL、19.5 mmol)を加え、混合物を40 ℃にて12時間撹拌する。DMFを減圧除去し、得られる油状物を酢酸エチル(150.0 mL)に溶解し、水で洗浄し、乾燥(Na2SO4)する。酢酸エチルを蒸発して、油状物を得、ヘキサン−酢酸エチル(7:3)を用いる化合物句によって精製する。生成物含有画分(Rf 0.7)を集め、蒸発して、濃厚な油状物を得る。収量1.10 g(40%)。
MS:715.5(M+H)、737.4(M+Na)。
【0089】
化合物(5):
塩化メチレン(5 mL)、酢酸t−ブチル(15 mL)およびTFA(4 mL)の混合物に、Boc誘導体4(0.82 g 1.15 mmol)を加え、混合物を10分間撹拌する。塩化メチレン(1 mL)中のメタンスルホン酸(300 μL)を10分間にわたって少しずつ加え、12時間撹拌する。重炭酸ナトリウム溶液によって溶液を中和し、酢酸エチルで抽出する。酢酸エチル溶液を水で洗浄し、乾燥(Na2SO4)する。酢酸エチルを蒸発して、油状物を得、減圧乾燥して、泡状固体を得る。収量0.7 g(99%)。
MS:615.4(M+H)。
【0090】
実施例5
R3にて可能な追加の誘導体化をともなうR2における誘導体化のための化合物
【化18】

【0091】
化合物(7):
ブロモ−エステル2 6(0.8 g、2.24 mmol)をアセトニトリル(4 mL)中のアミン3(0.26 g、1.0 mmol)および炭酸カリウム(0.5 g、3.62 mmol)の混合物に加え、混合物を8時間撹拌する。反応混合物を濾過し、アセトニトリルを減圧蒸発する。得られる濃厚な油状物を酢酸エチルに溶解し、水で洗浄し、乾燥(Na2SO4)する。酢酸エチルを蒸発して、油状物を塩化ナトリウム、塩化メチレン−メタノール(95:5)を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。画分(Rf 0.5)を集め、蒸発して、エステル7を油状物で得る。収量0.3 g(37%)。
MS:811.4(M+H)、849.3(M+K)。
【0092】
化合物(8):
アセトニトリル(3 mL)中のアミン7(0.3 g、0.37 mmol)および炭酸カリウム(0.2 g、1.45 mmol)の混合物に、ブロモ酢酸tert−ブチル(0.29 g、0.22 mL、1.4 mmol)を加え、混合物を70 ℃にて24時間撹拌する。反応混合物に、アセトニトリル(15 mL)を加え、濾過する。アセトニトリルを除去し、得られた油状物を酢酸エチルに溶解し、水(2 x 10 mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)する。溶媒を蒸発して、褐色油状物を得、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン−酢酸エチル、7:3)によって精製する。
UV可視画分(Rf 0.45)を集め、蒸発して、8を油状物で得、静置して固化する。収量 0.27g(70%)。
MS:1040.4(M+H)。
最終化合物またはたとえば、標的化部分を含む誘導体化バージョンを脱保護し、当業界で公知あるいは本明細書に記載の手順を用いて、たとえば、Gdまたは177Luで標識することができる。
【0093】
実施例6
R2における誘導体化を可能にするR1にてシクロヘキシルを有する化合物
化合物13は、抗体標的化部分を結合するのに特に有用である(たとえば、Boc基を除去し、イソチオシアネートを用いて抗体を結合する)。
【化19】

【0094】
化合物(9):
臭化p−アミノフェニルエチル臭化水素酸塩3(36.0 g、128 mmol)およびトリエチルアミン(10 mL)の氷冷混合物に、重炭酸ジ−tert−ブチル(30.0 g 138 mmol)を加え、室温にて24時間攪拌する。溶媒を除去し、ペースト状固体をで処理し、酢酸エチルで抽出する。酢酸エチルを蒸発して、固体を得、ヘキサン−酢酸エチルを用いるカラムクロマトグラフィーによって精製する。UV可視画分を集め、蒸発して、白色固体を得る白色固体。収量34.2 g(88%)
MS:324.2(M+Na)。
【0095】
化合物(10):
DMSO(5 mL)中の亜硝酸ナトリウム(1.4 g、20.0 mmol)の混合物に、化合物9(3.0 g、10.0 mmol)を加え、混合物を2時間攪拌する。30分後に半固体が形成する。反応後、混合物に水を注ぎ入れ、酢酸エチルで抽出する。酢酸エチル溶液を水で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)する。酢酸エチルを蒸発して、黄色固体を得、ヘキサン−酢酸エチル(7:3)を用いるカラムクロマトグラフィーによって精製する。UV可視画分を集め、蒸発して、黄色固体を得る。収量1.29 g(48.5%)。
MS:289.2(M+Na)。
【0096】
化合物(11):
エタノール(5.0 mL)中のtrans−N、N−ジベンジル−1,2−ジアミノシクロヘキサン4(1.43 g、4.85 mmol)の溶液に酢酸(0.6 mL)を加え、60 ℃にて10分間撹拌する。この溶液に、化合物10(1.29 g、4.84 mmol)を加え、60 ℃にてさらに10分間攪拌を継続する。パラホルムアルデヒド(0.5 g、16.6 mmol)を30分間にわたって少しずつ加え、反応混合物を80 ℃にて5時間撹拌する。エタノールを除去し、残渣を酢酸エチルで抽出し、水で洗浄し、乾燥する。酢酸エチルを蒸発して、油状物を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル 7:3)によって精製する。UV可視画分を集め、蒸発して、油状物を得る。収量2.2 g(76%)。
MS:585.3(M+H),
【0097】
化合物(12):
メタノール(40 mL)中の化合物10(2.1 g、3.6 mmol)の温かいスラリーに、Pd−C 10%(1.0 g)を加え、混合物を45 psiで室温にて24時間水素添加する。触媒を濾去し、溶媒を減圧除去して、油状物をエタノール、さらに精製することなく次のステップに用いる。収量1.28 g(95%)。
MS:375.3(M+H)、389.4(M+Na)。
【0098】
化合物(13):
DMF(4 mL)中のアミン12(0.75 g、2.0 mmol)および炭酸カリウム(1.66 g、12.0 mmol)の溶液に、ブロモ酢酸tert−ブチル (2.34 g、1.78 mL、12 mmol)を加え、混合物を70 ℃にて24時間撹拌する。反応混合物に、塩化メチレン(10.0 mL)を加え、濾過する。溶媒を除去し、得られる褐色油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2:CH3OH、95:5)によって精製する。UV可視画分(Rf 0.48)を集め、蒸発して、油状物を得、静置して固化する。収量0.75 g、(45%)。
MS :831.5(M+H)。
最終化合物またはたとえば、標的化部分を含む誘導体化バージョンを脱保護し、当業界で公知あるいは本明細書に記載の手順を用いて、たとえば、Gdまたは177Luで標識することができる。
【0099】
実施例7
R1にてシクロヘキシル、R2にてカップリングのためのアミンを有する化合物(すなわち、アミンにおける誘導体化)
【化20】

【0100】
化合物(14):
エタノール(60 mL)中のtrans−N、N−ジベンジル−1,2−ジアミノシクロヘキサン(8.82 g、30.0 mmol)の溶液に、酢酸(3.60 mL)を加え、溶液を60 ℃にて10分間撹拌する。N−(3−ニトロプロピル)フタルイミド(7.1 g、30.3 mmol)を加え、60 ℃にてさらに30分間撹拌を継続する。この溶液に、パラホルムアルデヒド(3.75 g、126 mmol)を30分間にわたって少しずつ加え、80 ℃にて5時間撹拌を継続する。エタノールを除去し、得られる濃厚な油状物を酢酸エチル(200 mL)に溶解し、酢酸エチル溶液を重炭酸ナトリウム溶液、水で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)する。酢酸エチル溶液を濃縮し、得られる油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(7:3)によって精製する。画分(Rf 0.48)を集め、蒸発して、濃厚な黄色油状物を得、減圧乾燥して、泡状固体を得る。得られる泡状固体をメタノール(50.0 mL)に溶解し、30分間静置する。形成する固体を濾過し、冷エタノールで洗浄し、減圧乾燥する。収量 8.3 g(50.0%)。
MS:553.3(M+H)。
【0101】
化合物(15):
THF(75 mL)中のCH3NH2の2 M溶液およびH2O(30 mL)中のCH3NH2の40%溶液の混合物に、フタルイミド誘導体14(8.0 g、14.5 mmol)を加え、混合物を室温にて48時間撹拌する。窒素気流を通して過剰のメチルアミンを除去し、溶媒を減圧除去する。得られる黄色固体をテトラヒドロフラン(100 mL)および水(10 mL)の混合物に溶解する。THF溶液に、重炭酸ジ−tert−ブチル(8.72 g、40.0 mmol)を加え、6時間攪拌する。THFを除去し、得られるペースト状固体を酢酸エチル(300 mL)に溶解し、重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、次いで、塩化ナトリウム溶液(2 x 200 mL)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)する。酢酸エチルを蒸発して、黄色油状物を得、ヘキサン−酢酸エチル(9:1および8:2)を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。UV可視画分を集め、蒸発して、14を油状物で得る。得られる油状物をメタノール(50 mL)に溶解し、1時間静置する。形成する白色固体を濾過し、減圧乾燥する。収量5.1 g(67.5%)。
MS :523.3(M+H)。
【0102】
化合物(16):
メタノール(50 mL)中の化合物14(4.80 g、9.2 mmol)を、Pd−C 10%(2.0 g)の存在下、45 psiで72時間水素添加する。触媒を濾去し、メタノールを減圧除去して、2.6 g(90%)のアミン16を得る。
MS:313.2(M+H)。
【0103】
化合物(17):
DMF(4 mL)中の炭酸カリウム(2.5 g、18.0 mmol)およびアミン16(0.93 g、3.0 mmol)のスラリーに、ブロモ酢酸tert−ブチル (3.51 g、2.65 mL、18.0 mmol)を加え、混合物を70 ℃にて24時間撹拌する。次いで、反応混合物に塩化メチレン(10 mL)を加え、濾過する。溶媒を除去し、得られる褐色油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル 7:3)によって精製する。画分(Rf 0.48)を集め、蒸発して、油状物を得、静置して固化する。収量1.1 g、(48.0%)。
MS :769.5(M+H)。
【0104】
化合物(18):
塩化メチレン(5 mL)、酢酸t−ブチル(25 mL)およびTFA(5 mL)の混合物に、Boc誘導体4(1.1 g 1.43 mmol)を加え、混合物を10分間攪拌する。塩化メチレン(1 mL)中のメタンスルホン酸(400 μL)を10分間にわたって少しずつ加え、反応物を3時間攪拌する。重炭酸ナトリウム溶液で溶液を中和し、酢酸エチルで抽出する。酢酸エチル溶液を水で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)する。酢酸エチルを蒸発して、油状物を得、減圧乾燥して、泡状固体を得る。収量0.82 g(99%).
MS:669(M+H)。
最終化合物またはたとえば、標的化部分を含む誘導体化バージョンを脱保護し、当業界で公知あるいは本明細書に記載の手順を用いて、たとえば、Gdまたは177Luで標識することができる。
【0105】
実施例8
R2にて誘導体化するためのカルボン酸を含む化合物
【化21】

【0106】
化合物(19):
エタノール(40 mL)中のN、N'−ジベンジルエチレンジアミン(6.0 g、25 mmol)の溶液に、酢酸(3 mL)を加え、混合物を60 ℃にて10分間撹拌する。次いで、反応混合物に、4−ニトロ酪酸t−ブチルエステル(4.73 g、25 mmol)を加え、60 ℃にてさらに10分間撹拌を継続する。反応混合物に、パラホルムアルデヒド(2.5 g、83 mmol)を少しずつ加え、懸濁液を80℃にて5時間および室温にて一夜撹拌する。暗色の反応混合物を濃縮し、残渣を重炭酸ナトリウムの溶液で処理し、酢酸エチル(400 mL)で抽出する。酢酸エチル溶液を水(2 x 200 mL)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)する。酢酸エチルを蒸発して、暗色の濃厚な油状物を得る。それを、塩化メチレンを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。UV可視画分を集め、蒸発して、明黄色油状物を得、静置して固化する。収量8.9 g(86.5%)。
MS:454.3(M+H)。
【0107】
化合物(20):
メタノール(25 mL)中のニトロ化合物19 (4.5 g、10 mmol)の溶液にPd−C 10%(2.0 g)を加え、混合物を50 psiで24時間水素添加する。触媒を濾去し、メタノールを回転蒸発器で除去する。得られる油状物を24時間減圧乾燥して、アミン20を得る。収量2.2 g(92%)。
MS:244.2(M+H)。
【0108】
化合物(21):
塩化メチレン(25.0 mL)中のアミン20(3.5 g、14.4 mmol)の溶液に、ピリジン(15.0 mL)を加え、混合物を−10 ℃に冷却する。塩化メチレン(25.0 mL)中のトリフルオロ酢酸無水物(22.7 g、 15.25 mL 、108 mmol)を30分間にわたって滴下する。反応混合物を0 ℃にて3時間および室温にて12時間撹拌する。溶媒を除去し、得られるペースト状塊を酢酸エチル(200 mL)に溶解し、水で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)する。酢酸エチルを蒸発して、黄色油状物を得、減圧乾燥して、泡状固体を得る。収量6.92 g(90%)。
塩化メチレン(10 mL)中のt−ブチルエステル(5.0 g、9.4 mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(15 mL)を加え、溶液を6時間撹拌する。溶媒を蒸発し、得られる褐色油状物を酢酸エチルに溶解し、、水で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)する。酢酸エチル溶液を濃縮し、残渣を減圧乾燥して、21を黄色泡状固体で得る。収量4.23 g(95%)。
MS:474.1(M−H)。
【0109】
化合物(22):
アセトニトリル(15 mL)中の酸21(4.2 g、8.8 mmol)の溶液に、炭酸銀(3.43 g、12.4 mmol)を加え、混合物を10分間攪拌する。次いで、反応混合物に、臭化ベンジル(3.42 g、2.4 mL、12.4 mmol)を加え、5時間撹拌を継続する。反応混合物に、塩化メチレン(25 mL)を加え、濾過する。濾過ケーキを塩化メチレン(15.0 mL)で洗浄する。濾液を濃縮し、得られる褐色油状物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン−酢酸エチル、7:3)によって精製する。画分(Rf 0.45)を集め、蒸発して、明黄色油状物を得、減圧乾燥して、明黄色固体を得る。収量4.2 g(84%)。
MS :588.1(M+Na)。
【0110】
化合物(23):
無水エタノール(5 mL)中のトリフルオロアセトアミド 22(0.57 g、1.0 mmol)の冷スラリーに、水素化ホウ素ナトリウム(0.23 g、6.0 mmol)を2回にわけて加える。反応混合物を10 ℃にて30分間および室温にて30分間撹拌する。次いで、反応混合物に、エタノール性HClを加え、溶媒を除去して、0.72 gの粗生成物を得る。それをさらに精製することなく次のステップに用いる。
MS :278.2(M+H)、300.1(M+Na)。
【0111】
化合物(24):
DMF(1 mL)中の塩酸塩23(0.72 g、1.0 mmol)および炭酸カリウム(0.83 g、6.0 mmol)のスラリーに、ブロモ酢酸tert−ブチル(1.17 g、 0.89 mL、6.0 mmol)を加え、混合物を40 ℃にて24時間撹拌する。反応混合物に、塩化メチレン(5 mL)を加え、濾過する。溶媒を減圧除去し、粗生成物を酢酸エチルに溶解し、水で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)する。酢酸エチルを蒸発して、油状物をエタノール、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル、7:3)によって精製する。画分(Rf 0.5)を集め、蒸発して、ベンジルエステル24を明黄色油状物で得る。収量0.12 g(17%)。
MS :734.4(M+H)、756.4(M+Na)。
【0112】
化合物(25):
メタノール(5 mL)中のベンジルエステル24(0.15 g、0.2 mmol)をPd−C 10%(150 mg)の存在下、45 psiで6時間水素添加する。触媒を濾去し、メタノール性溶液を濃縮して、油状物を得る。それを減圧乾燥して、泡状固体を得る。収量0.11 g(83%)。
MS:644.4(M+H)。
最終化合物またはたとえば、標的化部分を含む誘導体化バージョンを脱保護し、当業界で公知あるいは本明細書に記載の手順を用いて、たとえば、Gdまたは177Luで標識することができる。
【0113】
実施例9
R1にてシクロヘキシル、R2にて誘導体化のためのカルボン酸を含む化合物
【化22】

【0114】
化合物(26):
エタノール(50 mL)中のtrans−N,N−ジベンジル−1,2−ジアミノシクロヘキサン(10.87 g、0.037 mmol)の溶液に、酢酸(4.5 mL、75 mmol)を加え、60 ℃にて10分間にて撹拌する。次いで、4−ニトロ酪酸−t−ブチルエステル(7.1 g、37.5 mmol)を加え、さらに10分間撹拌を継続する。パラホルムアルデヒド(3.37 g、125 mmol)を30分間にわたって少しずつ加え、80 ℃にて6時間撹拌する。反応混合物を冷却し、形成する固体を濾過し、エタノールで洗浄し、減圧乾燥する。収量9.2 g(49%)。
MS:508(M+H)。
【0115】
化合物(27):
メタノール(50 mL)中のニトロ化合物26(5.1 g、10 mmol)の温かい溶液に、Pd−C 10%(2.0 g)を加え、混合物を50 psiで24時間水素添加する。触媒を濾去し、メタノールを除去して、2.92 g(98%)のアミン27を得る。
MS:298(M+H)。
【0116】
化合物(28):
ベンジルアルコール(20 mL)中のt−ブチルエステル27(1.0 g、3.37 mmol)の溶液に、メタンスルホン酸(1.0 mL)を加え、混合物を24時間攪拌する。反応混合物に、THF(100 mL)を加え、形成する固体を濾過し、THF(2 x 50 mL)でトリチュレートし、濾過する。
得られる粗ベンジルエステルを次のステップに用いる。収量1.2 g(57%)。
MS:332.3(M+H)。
【0117】
化合物(29):
DMF(4 mL)中の28(0.15 g、0.45 mmol)および炭酸カリウム(0.5 g、3.7 mmol)の混合物に、ブロモ酢酸tert−ブチル(0.51 g、0.39 mL、2.6 mmol)を加え、混合物を48時間攪拌する。反応混合物に、塩化メチレン(10 mL)を加え、溶媒を除去して、油状物を得る。得られる油状物を、塩化メチレン、次いで塩化メチレン−メタノール(95:5)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付す。生成物含有画分(Rf 0.4)を集め、蒸発して、油状物を得る。収量0.15 g(43%)。
MS:788.6(M+H)、826.4(M+K)。
【0118】
化合物(30):
メタノール(10 mL)中のベンジルエステル(0.4 g、0.19 mmol)の溶液に、Pd−C 10%(250 mg)を加え、混合物を45 psiで6時間水素添加する。触媒を濾去し、メタノール性溶液を濃縮して、油状物を得、減圧乾燥して、泡状固体を得る。収量0.32 g(92%)。
MS: 698.4(M+H),
最終化合物またはたとえば、標的化部分を含む誘導体化バージョンを脱保護し、当業界で公知あるいは本明細書に記載の手順を用いて、たとえば、Gdまたは177Luで標識することができる。
【0119】
実施例10
二量体を形成するための2つのR2基の結合
【化23】

【0120】
化合物(31):
エタノール(40 mL)中のN、N−ジベンジルエチレンジアミン(6.0 g、25.3 mmol)の溶液に、酢酸(3 mL)を加ええ、溶液を60 ℃にて10分間撹拌する。形成する白色固体を80 ℃に加熱して溶解する。1,5−ジニトロペンタン(2.03 g、12.5 mmol)を加え、60 ℃にてさらに10分間撹拌を継続する。この溶液に、パラホルムアルデヒド(5.0 g、166 mmol)を30分間にわたって少しずつ加え、懸濁液を80 ℃にて5時間撹拌する。反応混合物を冷却し、形成する固体を濾過し、冷エタノールで洗浄し、減圧乾燥する。収量6.0 g(70%)。
MS :691.4(M+H)。
【0121】
化合物(32):
メタノール(50 mL)中のニトロ化合物31(1.0 g、1.45 mmol)の熱いスラリーに、Pd−C 10%(750 mg)を加え、混合物を45 psiで24時間水素添加する。触媒を濾去し、メタノールを回転蒸発器で除去して、アミン32を濃厚な油状物で得る。収量0.38 g(97%)。
MS :271.3(M+H)。
【0122】
化合物(33):
DMF(4 mL)中のアミン32(0.45 g、1.66 mmol)および炭酸カリウム(2.69 g、16.6 mmol)の混合物に、2−ブロモ酢酸ベンジル(3.76 g、2.2 mL、16.6 mmol)を加え、混合物を70 ℃にて18時間撹拌する。DMFを減圧除去し、得られる油状物を酢酸エチル(150.0 mL)に溶解し、水で洗浄し、乾燥する(Na2SO4)。酢酸エチルを蒸発して、油状物を得、ヘキサン−酢酸エチル(7:3)を用いるカラムクロマトグラフィーによって精製する。生成物含有画分(Rf 0.7)を集め、蒸発して、濃厚な油状物を得る。得られる濃厚な油状物を、プレパラティブHPLC(CH3CN/H2O/0.1% TFA)によってさらに精製する。純粋な生成物を含有する画分を集め、凍結乾燥して、33をガラス状固体で得る。収量0.42 g(17.0%)。
MS:1455.7(M+H)、1477.6(M+Na)。
【0123】
化合物(34):
メタノール(50 mL)中のベンジルエステル31(0.3 g、0.2 mmol)の溶液に、Pd−C 10%(750 mg)を加え、混合物を45 psiで24時間水素添加する。触媒を濾去し、メタノールを除去して、アミン32を濃厚な油状物で得る。得られる油状物をアセトニトリルおよび水の混合物に溶解し、凍結乾燥して、化合物34を白色固体で得る。収量0.11 g(75%)。
MS:733.3(M−H)、366.2(M−2H/2)。
最終化合物、二量体を脱保護し、当業界で公知あるいは本明細書に記載の手順を用いて、たとえば、Gdまたは177Luで標識することができる。標的化分子の結合を可能にするために、必要に応じて、2つの式(I)で示される化合物の間のアルキルリンカーを、標的化部分の結合を可能にするアミノアルキルまたはカルボキシアルキル基でさらに置換することができる。
【0124】
ペプチドの合成のための一般的手順
FastMocプロトコルを備えたABI 433 Aシンセサイザー(Applied Biosystems Inc.)を用い、0.25 mmolスケールでペプチドの合成を行う。このプロトコルの各サイクルにおいて、カートリッジ内の1.0 mmolの無水保護アミノ酸を、DMF中の0.9 mmolのHBTU、2 mmolのDIEAおよび0.9 mmolのHOBtの溶液に溶解し、さらなるNMPを加える。0.1 mmolのFmoc−PAL−PEG−PS樹脂樹脂を用いて、ペプチドを作製する(樹脂置換0.18 mmol/g)。このプロトコルにおけるカップリング時間は、21分間である。NMP中の20%ピペリジンでFmoc脱保護を行う。ペプチド結合樹脂を洗浄し、乾燥し、さらなる操作のために樹脂から切断する(試薬B:TFA/トリイソプロピルシラン/フェノール/H20 8.6 mL、0.4 mL、0.5 g、0.5 mLを用いる)か、または切断されたペプチドをDMSO中、pH 7.5−8.0にて環化させ、CH3CN/水含有0.1% カラム:Water's X Terra、50 mm x 250 mm i.d.;C18、粒子サイズ:10 ミクロン;溶離液:A:水(0.1% TFA)、B:アセトニトリル(0.1% TFA);溶離:開始条件:10 % B、70分間にわたる直線勾配10−70% B;流速:100 mL/分;検出:UV220 nmを用いるプレパラティブHPLCによって精製する。
【0125】
実施例11
フィブリン結合ペプチドを含む本発明化合物
【化24】

【0126】
化合物(36):
グルタル酸ジスクシンイミジル(50.0 mg. 0.153 mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(100 μL)の混合物に、DMF(0.5 mL)中のペプチド35(69.0 mg、0.03 mmol)の溶液を加え、混合物を30.0分間攪拌する。DMFを除去し、残渣を酢酸エチル(4 x 5 mL)でトリチュレートし、酢酸エチル溶液を捨てる。得られる固体をDMF(0.4 mL)に溶解し、化合物5(30.5 mg、0.5 mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(100 μL)を加え、16時間撹拌する。DMFを除去し、得られる油状物を試薬B(5 mL)で室温にて8時間処理する。TFAを除去し、得られるペースト状固体をエーテルでトリチュレートして、明黄色固体を得る。粗ペプチド36を、CH3CN/0.1%TFA含有水を用いるプレパラティブHPLCによって精製する。純粋な生成物を含有する画分を集め、凍結乾燥して、28 mgの生成物を得る。
MS:1394.8(M−2H/2)、929.5(M−3H/3)、696.9(M−4H/4)。
最終化合物を、当業界で公知あるいは本明細書に記載の手順を用いて、たとえば、Gdまたは177Luで標識することができる。
【0127】
実施例12
フィブリン結合ペプチドリンカーを含む本発明化合物
【化25】

【0128】
化合物(38):
DMF(0.4 mL)中のグルタル酸ジスクシンイミジル(69.0 mg. 0.21 mmol)の溶液に、DMF(0.5 mL)中のペプチド37(110 mg、0.042 mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(100 μL)の溶液を加え、混合物を1時間撹拌する。DMFを除去し、残渣を酢酸エチル(4 x 5 mL)でトリチュレートし、酢酸エチル溶液を捨てる。得られる固体をDMF(0.6 mL)に溶解し、化合物5(78.0 mg、0.13 mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(50 μL)を加え、16時間撹拌する。DMFを除去し、残渣を試薬B(5 mL)で処理し、室温にて8時間撹拌する。TFAを除去し、得られるペースト状固体をエーテルでトリチュレートして、固体を得、CH3CN/0.1%TFA含有水を用いるプレパラティブHPLCによって精製する。純粋な生成物を含有する画分を集め、凍結乾燥して、38 mgの生成物を得る。
MS:1540.7(M−2H/2)、875.3(M−3H/3)。
最終化合物を、当業界で公知あるいは本明細書に記載の手順を用いて、たとえば、Gdまたは177Luで標識することができる。
【0129】
実施例13
フィブリン結合ペプチドを含む本発明化合物
【化26】

【0130】
化合物(39):
DMF(0.4 mL)中のグルタル酸ジスクシンイミジル(50.0 mg. 0.15 mmol)の溶液に、DMF(0.5 mL)中のペプチド(90 mg、0.035 mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(50 μL)の溶液を加え、混合物を1時間撹拌する。DMFを除去し、残渣を酢酸エチル(4 x 5 mL)でトリチュレートし、酢酸エチル溶液を捨てる。得られる固体をDMF(0.6 mL)に溶解し、化合物18(100 mg、0.15 mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(100 μL)を加え、16時間撹拌する。DMFを除去し、得られる油状物をCH3CN/0.1%TFA含有水を用いるプレパラティブHPLCによって精製する。純粋な画分を集め、凍結乾燥して、テトラt−ブチルエステルを白色固体で得る。収量53 mg(45%)。得られるテトラt−ブチルエステルを2 mLの試薬Bで処理し、8時間撹拌する。TFAを除去し、得られるペースト状固体をエーテルでトリチュレートして、固体を得、CH3CN/0.1%TFA含有水を用いるプレパラティブHPLCによって精製する。純粋な生成物を含有する画分を集め、凍結乾燥して、35 mgの39を得る。 MS:1567.1(M−2H/2)。
最終化合物を、当業界で公知あるいは本明細書に記載の手順を用いて、たとえば、Gdまたは177Luで標識することができる。
【0131】
実施例14
GRP標的化ペプチド(GRP−Rを結合する)を含む本発明化合物
【化27】

【0132】
化合物(41):
DMF(1 mL)中の酸25(0.19 g、0.3 mmol)およびHATU(0.12 g、0.32 mmol)の冷溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(150 μL)を加え、5分間撹拌する。次いで、反応混合物に、精製ペプチド40(0.11 g、0.1 mmol)を加え、18時間撹拌する。DMFを除去し、得られる油状物をDMF/CH3CNの混合物に溶解し、プレパラティブHPLC によって精製する。テトラ−t−ブチルエステルを含有する純粋な画分を集め、凍結乾燥して、テトラ−t−ブチルエステルを白色固体で得る。収量80 mg(32%)。得られるテトラ−t−ブチルエステルを試薬Bに溶解し、8時間撹拌する。TFA を除去し得られるペースト状固体をCH3CN/水/0.1% TFAを用いるHPLCによって精製する。純粋な画分を集め、凍結乾燥して、白色固体を得る。収量23 mg(38%)
MS: 1515.7(M−H)、757.4(M−2H)/2。
最終化合物を、当業界で公知あるいは本明細書に記載の手順を用いて、たとえば、Gdまたは177Luで標識することができる。
【0133】
実施例15
GRP標的化ペプチドを含む本発明化合物
【化28】

化合物(42):
DMF(1 mL)中の30(0.278 g、0.4 mmol)およびHATU(0.152 g、0.4 mmol)の冷混合物に、ジイソプロピルエチルアミン(150 μL)を加え、5分間撹拌する。反応混合物に、精製ペプチド40(0.12 g .0.11 mmol)を加え、18時間撹拌する。DMFを除去し、得られる油状物をDMF/CH3CNの混合物に溶解し、プレパラティブHPLCによって精製する。テトラ−t−ブチルエステルを含む純粋な画分を集め、凍結乾燥して、テトラ−t−ブチルエステルを得る。収量62 mg(32%)。テトラ t−ブチルエステル(36.0 mg、0.02 mmol)を試薬Bに溶解し、8時間攪拌する。TFAを除去し、得られる濃厚な油状物をCH3CN/水/0.1% TFAを用いるHPLCによって精製する。純粋な画分を集め、凍結乾燥して、42を白色固体で得る。収量12 mg(38%)。
MS:1569.7(M−H)、784.4(M−2H/2)、803.3(M+K−2H)/2。
最終化合物を、当業界で公知あるいは本明細書に記載の手順を用いて、たとえば、Gdまたは177Luで標識することができる。
【0134】
実施例16
Aaztaに付加されたシクロヘキシル環
【化29】

【0135】
化合物(55)
エタノール(60 mL)中のN,N'−ジベンジル−trans−1,2−ジアミノシクロヘキサン(10.0g、34 mmol)の溶液に、酢酸(4.1 mL、68 mol)を加え、混合物を60 ℃にて10分間撹拌する。次いで、反応混合物に、ニトロエタン(2.5 mL、33 mol)を加える。反応混合物に、パラホルムアルデヒド(3.4 g、167 mol)を30分間にわたって少しずつ加える。4時間還流した後、反応混合物を0 ℃に冷却すると、反応混合物から明黄色固体が分離し始める。沈澱する固体を濾過し、氷冷エタノールで洗浄し、減圧乾燥する。収量8.2 g、63%。
MS:394.1(M+H)。
【0136】
化合物(56):
メタノール(40 mL)中のニトロ化合物55(4.0 g、10 mmol)の溶液に、Pd−C 10%(2.0 g)を加え、混合物を50 psiで12時間水素添加する。触媒を濾去し、メタノールを蒸発して、アミンを濃厚な明黄色油状物で得る。収量1.75 g(96%)。
MS:184.1(M+H)。
【0137】
化合物(57):
DMF(30.0 mL)中の炭酸カリウム(6.9 g、50 mol)およびベンジル−2−ブロモ酢酸(11.45 g、7.92 mL、50 mmol)の混合物に、DMF(25 mL)中のアミン56(1.83 g、10 mmol)を4−5時間にわたって加える。添加中、反応混合物を60 ℃にて撹拌し、70 ℃にてさらに12時間撹拌する。固体を濾去し、濾過ケーキをDMF(25 mL)で洗浄する。濾液および洗液を合わせ、DMFを減圧除去する。残渣に酢酸エチル(400 mL)を加え、水(2 x 200 mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)する。酢酸エチルを蒸発して、油状物を得る。次いで、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル 7:3に2回付して、生成物57を得る。これをシリカゲル(ヘキサン:酢酸エチル 7:3)で再精製する。生成物含有純粋画分を集め、蒸発して、ベンジルエステルを濃厚な油状物で得る。収量2.8 g(36%)。
MS:776.3(M+H)。
【0138】
化合物(58):
メタノール(25 mL)中のテトラ ベンジルエステル57(0.39 g、0.5 mmol)の溶液に、Pd−C−10%(150 mg)を加え、混合物を50 psiで24時間水素添加する。触媒を濾去し、溶媒を除去して、テトラ酸を得、アセトニトリルおよび水に溶解し、凍結乾燥して、58を白色固体で得る。収量0.18 g(87%)。
MS:416.2(M+H)。
最終化合物を、当業界で公知あるいは本明細書に記載の手順を用いて、たとえば、Gdまたは177Luで標識することができる。もし、標的化部分の連結が望ましいならば、CyAaztaコア上のメチル基をアミノアルキルまたはカルボキシアルキル基で置換して、標的化部分を連結することができる。
【0139】
実施例4−16の参考文献:
1)Alston、T. A.;Porter、D. J. T.;Bright、H. J. J. Enzyme Inhibition. 1987、212−222 。
2)Eisenwiener、K.−P.;Powell、P.;Macke、H. R. Bioorg.,Med.Chem.Lett. 2000、10、2133−2135.
3)Tamai、T.;Tanaka、M.;Mukaiyama、H.;Hirabayashi、A.;Muranaka、H.;Sato. M.;Akahane、M。US 6353025
4)Tye、H.;Eldred、C.;Wills、M. Tetrahedron Lett. 44、155−158(2002)
【0140】
実施例17
連結のもう1つの方法として有用であり、より強いUV発色団も提供する、芳香族基で官能基化されたAazta誘導体
【化30】

4−メトキシ−β−ニトロスチレン
温度計と均圧滴下ロートを備えた二口フラスコ中で、p−メトキシベンズアルデヒド(11.19 g、82.2 mmol)およびニトロメタン(5.0 g、82.2 mmol)をメタノール(20 mL)に溶解する。温度を15℃以下に保ちながら、溶液に、氷/水(10 mL)中のNaOH(4.27 g、0.107 mol)を滴下する。滴下中に微細なスラリーが形成し、さらにメタノールを加えて、十分に撹拌できるようにする。添加後、反応混合物を氷/水で希釈し、得られる透明な溶液をHCl/H2O(40mL/60mL)の溶液に滴下する;添加中に黄色の沈澱が形成する。沈澱をブフナーロートで濾過し、メタノールから結晶化して、4−メトキシ−β−ニトロスチレン(10.66 g、72%)を得る。黄色針状物。M.p. 57−58℃。ESI−MS:180(MH+);(計算値:C9H9NO3:179 u.m.a.)。
【0141】
4−メトキシ−2'−ニトロエチルベンゼン
温度計と均圧滴下ロートを備えた500 mLの二口フラスコ中で、NaBH4(4.73 g、59.5 mmol)を1,4−ジオキサン/エタノール(100/30 mL)に懸濁する。温度を30℃以下に保ちながら、溶液に、1,4−ジオキサン(100 mL)中の4−メトキシ−β−ニトロスチレン(10.6 g、0.125 mol)を45分間にわたって滴下する。滴下中に微細なスラリーが形成する。添加後、反応混合物を一夜攪拌し、次いで、氷/水(100 mL)を加え、酢酸の50%水溶液を加えて、過剰のNaBH4を中和する;得られる透明な溶液を減圧濃縮し、残渣をCH2Cl2/H2Oに溶解する。有機相を水(2 x 30 mL)および食塩水(1 x 30 mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濾過し、減圧濃縮して、4(10.78 g 、94%)を黄色油状物で得る。ESI−MS:182(MH+);(計算値:C9H11NO3:181 u.m.a.)。
【0142】
1,4−ジベンジル−6−(4−メトキシベンジル)−6−ニトロ−1,4−ジアゼパン
500 mLの丸底フラスコ中で、N'−ジベンジルエチレンジアミンジアセテート(20.14 g、55.9 mmol)および4−メトキシ−2'−ニトロエチルベンゼン(10.12 g、55.9 mmol)を1:1 トルエン/メタノール(150 mL)に溶解する。溶液に、パラホルムアルデヒド(5.87 g、0.196 mol)を少しずつ加え、得られる懸濁液を還流する。混合物が、均質になり(パラホルムアルデヒドの溶解)、3時間還流した後、混合物を冷却し、減圧蒸発する。残渣をメタノールから再結晶して、純粋な生成物(18.84 g、76%)を明黄色固体で得る。M.p. 100−102℃(MeOH)。ESI−MS:468(MNa+)、446(MH+);(計算値:C27H31N3O3:445 u.m.a.)。
【0143】
6−(4−メトキシベンジル)−1,4−ジアゼパン−6−イルアミン(6)
100 mLのフラスコ中で、メタノール(10 mL)に、化合物5(1.0 g、2.24 mmol)を溶解する;10% Pd/C(400 mg、0.1 mLの水で湿らせたもの)、次いで、ギ酸アンモニウム(2.83 g、44.9 mmol)を加える。混合物を撹拌し、3時間加熱還流する。反応が完了(TLC PET/AcOEt 9/1)したら、触媒をセライト(登録商標)で濾去し、濾液を減圧蒸発する。残渣をジクロロメタンに溶解し、5%水性NaOHで洗浄する。次いで、有機相を乾燥(Na2SO4)し、濾過し、減圧蒸発して、純粋なトリアミン(518 mg、98%)を明黄色油状物で得る。ESI−MS:258(MNa+)、236(MH+);(計算値:C13H21N3O:235 u.m.a.)。
【0144】
[6−ビス(tert−ブトキシカルボニルメチルアミノ)−4−tert−ブトキシカルボニルメチル−6−(4−メトキシベンジル)−1,4−ジアゼパン−1−イル]酢酸 tert−ブチルエステル
25 mLの丸底フラスコ中で、アセトニトリル(10 mL)に、トリアミン(500 mg、2.12 mmol)を溶解し、K2CO3(2.3 g、17.0 mmol)を加える。温度を<10 ℃に保ちながら(氷浴)、撹拌均質混合物に、ブロモ酢酸t−ブチル(2.07 g、10.6 mmol)をゆっくりと滴下する。添加後、TLCが変換の完了を示すまで、混合物を撹拌しながら60℃に加熱する。沈澱を濾過し、ジクロロメタンで洗浄する;濾液および洗液を合わせ、減圧蒸発して、粗生成物を得る。半固体残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル 9.3/0.7)によって精製して、純粋な生成物を淡黄色油状物(500 mg、34%)で得る。ESI−MS:714(MNa+)、692(MH+);(計算値:C37H61N3O9:691 u.m.a.)。
【0145】
[6−ビス(カルボキシメチルアミノ)−4−カルボキシメチル−6−(4−メトキシベンジル)−1,4−ジアゼパン−1−イル]酢酸
25 mLの丸底フラスコ中で、トリフルオロ酢酸(4 mL)に、テトラエステル(250mg、0.361 mmol)を溶解し、室温にて一夜撹拌する。次いで、溶液を減圧蒸発し、残渣をメタノール(1 mL)に溶解する。次いで、過剰のジエチルエーテルで生成物を沈澱させ、遠心分離により単離し、ジエチルエーテルで完全に洗浄し、減圧乾燥して、純粋な配位子(169 mg、95%)を白色固体で得る。M.p. 186−189℃(分解)。ESI−MS:490(MNa+)、468(MH+);(計算値:C21H29N3O9:467 u.m.a.)。
最終化合物を、当業界で公知あるいは本明細書に記載の手順を用いて、たとえば、Gdまたは177Luで標識することができる。
【0146】
実施例18
連結のもう1つの方法として有用であり、より強いUV発色団も提供する、芳香族基で官能基化されたAazta誘導体
【化31】

β−ニトロスチレン(3)
温度計と均圧滴下ロートを備えた二口フラスコ中で、ベンズアルデヒド(2、52.35 g、0.493 mol)およびニトロメタン(30.11 g、0.493 mol)をメタノール(100 mL)に溶解する。温度を15℃以下に保ちながら、溶液に、氷/水(50 mL)中のNaOH(25.6 g、0.641 mol)を滴下する。滴下中に微細なスラリーが形成し、さらにメタノールを加えて、十分に撹拌できるようにする。添加後、スラリーを氷/水で希釈し、得られる透明な溶液をHCl/H2O(200/300ml)の溶液に滴下する;添加中に黄色の沈澱が形成する。沈澱をブフナーロートで濾過し、水で洗浄し、メタノールから結晶化して、純粋な3(58.78 g、80%)を得る。黄色針状物。M.p. 57−58℃。
【0147】
2−ニトロエチルベンゼン(4)
温度計と均圧滴下ロートを備えた500 mLの二口フラスコ中で、NaBH4(5.33 g、0.140 mol)を1,4−ジオキサン/エタノール(100 mL/30 ml)に懸濁する。温度を30℃以下に保ちながら、溶液に、1,4−ジオキサン(100 mL)中のβ−ニトロスチレン(3、10.0 g 、67.0 mmol)を45分間にわたって滴下する。滴下中に微細なスラリーが形成する。添加後、反応混合物を一夜攪拌し、次いで、氷/水(125 mL)を加え、酢酸の50%水溶液を加えて、過剰のNaBH4を中和する;次いで、得られる透明な溶液を減圧濃縮し、残渣を水に溶解し、CH2Cl2で2回抽出する。有機相を水(2 x 30 mL)および食塩水(1 x 30 mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濾過し、減圧濃縮して、4(8.40 g 、83%)を黄色油状物で得る。ESI−MS:152(MH+)(計算値:C8H9NO2:151)。
【0148】
1,4−ジベンジル−6−ベンジル−6−ニトロ−1,4−ジアゼパン(5)
250 mLの丸底フラスコ中で、N,N'−ジベンジルエチレンジアミンジアセテート(19.67g、54.6 mmol)および2−ニトロエチルベンゼン(4、8.28 g、54.6 mmol)を1:1 トルエン/メタノール(100 mL)に溶解する。溶液に、パラホルムアルデヒド(5.74 g、0.191 mol)を少しずつ加え、得られる懸濁液を還流する。混合物が、均質になり(パラホルムアルデヒドの溶解)、3時間還流した後、混合物を冷却し、減圧蒸発する。残渣をメタノールから再結晶して、純粋な5(20.29 g、89%)を明黄色固体で得る。M.p. 83−85℃.(EtOH)、ESI−MS:438(MNa+)、416(MH+);(計算値:C26H29N3O2:415 u.m.a.)。
【0149】
6−ベンジル−1,4−ジアゼパン−6−イルアミン(6)
500 mLのフラスコ中で、メタノール(100 mL)に、化合物5(16.0 g、38.5 mmol)を溶解する;Pd/C(10%、3.0g、0.5 mLの水で湿らせたもの)を一度に加え、次いで、ギ酸アンモニウム(24.0 g、0.385 mol)を加える。混合物を撹拌し、3時間加熱還流する。反応が完了(TLC PET/AcOEt 9/1)したら、触媒をセライト(登録商標)で濾去し、濾液を減圧蒸発する。残渣をジクロロメタンに再溶解し、5%水性NaOHで洗浄する。次いで、有機相を乾燥(Na2SO4)して、6(5.98 g、76%)を明黄色油状物で得る。M.p.:。ESI−MS:206(MH+);(計算値:C12H19N3:205 u.m.a.)。
【0150】
[6−ビス(tert−ブトキシカルボニルメチルアミノ)−4−tert−ブトキシカルボニルメチル−6−ベンジル−1,4−ジアゼパン−1−イル]酢酸 tert−ブチルエステル(7)
100 mLの丸底フラスコ中で、アセトニトリル(25 mL)に、アミン6(1.80 g、8.77 mmol)を溶解し、K2CO3(9.69 g、70.1 mmol)を加える。温度を<10 ℃に保ちながら(氷浴)、撹拌均質混合物に、ブロモ酢酸t−ブチル(8.55 g、43.8 mmol)をゆっくりと滴下する。添加後、TLCが変換の完了を示すまで、混合物を撹拌しながら60℃に加熱する。沈澱を濾過し、ジクロロメタンで洗浄する;濾液および洗液を合わせ、減圧蒸発して、粗生成物を得る。半固体残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル 9.3/0.7)によって精製して、純粋な7を淡黄色油状物(1.91 g、33%)で得る。ESI−MS:662(MH+);(計算値:C36H59N3O8:661 u.m.a.)。
【0151】
[6−ビス(カルボキシメチルアミノ)−4−カルボキシメチル−6−ベンジル−1,4−ジアゼパン−1−イル]酢酸(1)
50 mLの丸底フラスコ中で、トリフルオロ酢酸(10 mL)に、エステル7(1.85g、2.8 mmol)を溶解し、室温にて一夜撹拌する。次いで、溶液を減圧蒸発し、残渣をメタノール(2 mL)に溶解する。過剰のジエチルエーテルで生成物を沈澱させ、遠心分離により単離し、ジエチルエーテルで完全に洗浄し、減圧乾燥して、純粋な1(1.045 g、86%)を非晶質白色固体で得る。M.p. 105−107℃。ESI−MS:460(MNa+)、438(MH+);(計算値:C20H27N3O8:437 u.m.a.)。
最終化合物を、当業界で公知あるいは本明細書に記載の手順を用いて、たとえば、Gdまたは177Luで標識することができる。
【0152】
実施例19
たとえば、標的化部分との誘導体化に用いることができる、R2がカルボキシ置換アルキルである本発明化合物
【化32】

【0153】
11−ブロモウンデカン酸 tert−ブチルエステル
CH2Cl2(60mL)中の11−ブロモウンデカン酸(10.0 g、37.7 mmol)、2−メチル−2−プロパノール(8.38 g、0.113 mol)およびDMAP(0.50 g、3.77 mmol)の溶液に、DCC(8.90 g、43.4 mmol)を加える。反応混合物を室温にて2日間撹拌し、沈澱したジシクロヘキシルウレアを濾去し、CH2Cl2で洗浄する。濾液および合わせた洗液を合わせ、水(2 x 50mL)、HCl 1M(2 x 50mL)、NaHCO3 5%(2 x 50mL)および食塩水(2 x 50ml)で洗浄する。有機相を乾燥(Na2SO4)し、減圧濃縮する。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PET/エーテル 98/2)によって精製して、無色油状物3(6.37 g、60%)を得る。ESI−MS:323−321(MH+);(計算値:C15H29BrO2:320 u.m.a.)。
【0154】
11−ニトロウンデカン酸tert−ブチルエステル
100mlの二口丸底フラスコ中で、DMF(10 ml)中のNaNO2(2.60g、38.0 mmol)およびフロログルシノール(3.10g、19.0 mmol)の撹拌溶液に、11−ブロモウンデカン酸t−ブチルエステル(6.10 g、19.0 mmol)を滴下する。反応混合物を50℃にて温め、24時間攪拌し、次いで、40 mLの氷/水および40 mLのPETの混合物を注ぎ入れる。分離後、水性相を PET(3 x 30mL)でさらに抽出し、乾燥(Na2SO4)し、減圧濃縮する。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PET/ジエチルエーテル 95/5)によって精製して、明黄色固体(2.29 g、42%)を得る。M.p. 39−42 ℃。ESI−MS:288(MH+);(計算値:C15H29NO4:287 u.m.a.)。
【0155】
1,4−ジベンジル−6−(10−tert−ブトキシカルボニルデシル)−6−ニトロ−1,4−ジアゼパン
250 mLの丸底フラスコ中で、N,N'−ジベンジルエチレンジアミンジアセテート(2.76 g、7.65 mmol)および11−ニトロウンデカン酸tert−ブチルエステル(2.20 g、7.65 mmol)を1:1 トルエン/メタノール(100 mL)に溶解する。溶液に、パラホルムアルデヒド(800 mg、26.8 mmol)を少しずつ加え、得られる懸濁液を還流する。混合物が、均質になり(パラホルムアルデヒドの溶解)、3時間還流した後、混合物を冷却し、減圧蒸発する。残渣をカラムクロマトグラフィー(PET/ジエチルエーテル 95/5)によって精製して、無色油状物(2.90 g、69%)を得る。ESI−MS:552(MH+);(計算値:C33H49N3O4:551 u.m.a.)。
【0156】
6−(10−tert−ブトキシカルボニルデシル)−1,4−ジアゼパン−6−イルアミン
50 mLのフラスコ中で、メタノール(20 mL)に、1,4−ジベンジル−6−(10−tert−ブトキシカルボニルデシル)−6−ニトロ−1,4−ジアゼパン(500 mg、0.906 mmol)を溶解する。Pd/C 10%(200 mg、0.2 mLの水で湿らせたもの)を加え、次いで、ギ酸アンモニウム(1.14 g、18.1 mmol)を加える。混合物を撹拌し、出発物質が完全に消失するまで加熱還流する。次いで、触媒を濾去し、濾液を減圧蒸発する。残渣をジクロロメタンに再溶解し、水(2 x 10mL)で洗浄する。有機相を乾燥(Na2SO4)し、濾過し、減圧蒸発して、所望のトリアミノエステル(308 mg、99.5%)を無色油状物で得る。ESI−MS:364(MNa+)、342(MH+);(計算値:C19H39N3O2:341 u.m.a.)。
【0157】
[6−ビス(tert−ブトキシカルボニルメチルアミノ)−4−tert−ブトキシカルボニルメチル−6−(10−tert−ブチルデカノエート)−1,4−ジアゼパン−1−イル]酢酸 tert−ブチルエステル
100 mLの丸底フラスコ中で、アセトニトリル(20 mL)に、トリアミノエステル(1.16 g、3.4 mmol)を溶解し、K2CO3(3.76 g、27.2 mmol)を加える。温度を<10 ℃に保ちながら(氷浴)、撹拌均質混合物に、ブロモ酢酸t−ブチル(3.31 g、17.0 mmol)をゆっくりと滴下する。添加後、TLCが変換の完了を示すまで、混合物を撹拌しながら60℃に加熱する。沈澱を濾過し、ジクロロメタンで洗浄する;濾液および洗液を合わせ、減圧蒸発して、粗生成物を得る。半固体残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/エーテル 8.5/1.5)によって精製して、純粋なペンタエステル(2.71g、37%)を淡黄色油状物で得る。ESI−MS:820(MNa+)、798(MH+)、742(MH+−tBu);(計算値:C43H79N3O10:797 u.m.a.)。
【0158】
[6−ビス(カルボキシメチルアミノ)−4−カルボキシメチル−6−(10−カルボキシデシル)−1,4−ジアゼパン−1−イル]酢酸
50 mLの丸底フラスコ中で、トリフルオロ酢酸(15 mL)に、ペンタエステル(1.00 g、1.25 mmol)を溶解し、室温にて一夜撹拌する。次いで、溶液を減圧蒸発し、残渣をメタノール(2 mL)に溶解する。過剰のジエチルエーテルで生成物を沈澱させ、遠心分離により単離し、ジエチルエーテルで完全に洗浄し、減圧乾燥して、純粋な1(641 mg、99%)を非晶質白色固体で得る。M.p. 187−190℃(分解)。ESI−MS:540(MNa+)、518(MH+);(計算値:C23H39N3O10:517 u.m.a.)。
最終化合物またはたとえば、標的化部分を含む誘導体化バージョンを脱保護し、当業界で公知あるいは本明細書に記載の手順を用いて、たとえば、Gdまたは177Luで標識することができる。
【0159】
実施例20
R2がC17アルキルである本発明化合物
【化33】

【化34】

1−ニトロオクタデカン
温度計と均圧滴下ロートを備えた二口フラスコ中で、
1,2−ジクロロエタン(200 ml)に、m−クロロペルオキシ安息香酸(12.84 g、74.4 mol、純度85%)を溶解する。還流溶液に、1,2−ジクロロエタン(100 mL)中のオクタデシルアミン(2、5.0 g、18.6 mmol)を滴下する。添加後、還流を30分間継続する;次いで、反応混合物を冷却し、濾過し、10%水性Na2CO3(3x100 ml)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)する。溶媒を減圧除去して、 1−ニトロオクタデカン 3(3.9 g 71%)を得る。無色固体。M.p. 47−50℃。ESI−MS:300(MH+);(計算値:C18H37NO2:299 u.m.a.)。
【0160】
1,4−ジベンジル−6−ヘプタデシル−6−ニトロ−1,4−ジアゼパン
500 mLの丸底フラスコ中で、N,N'−ジベンジルエチレンジアミンジアセテート(4.78 g、13 mmol)および1−ニトロオクタデカン(3、3.97 g、13 mmol)を1:1 トルエン/メタノール(100 mL)に溶解する。溶液に、パラホルムアルデヒド(1.39 g、46.5 mmol)を少しずつ加え、得られる懸濁液を還流する。混合物が、均質になり(パラホルムアルデヒドの溶解)、3時間還流した後、混合物を冷却し、減圧蒸発する。残渣をエタノールから再結晶して、純粋な4(4.38 g、61%)を無色固体で得る。M.p. 70−72℃ (EtOH)、ESI−MS:586(MNa+)、564(MH+);(計算値:C36H57N3O2:563 u.m.a.)。
【0161】
6−ヘプタデシル−1,4−ジアゼパン−6−イルアミン
250 mLのフラスコ中で、メタノール(100 mL)に、化合物4(4.3 g、7.6 mmol)を溶解する。10% Pd/C(1.0 g、0.5 mLの水で湿らせたもの)を加え、次いで、ギ酸アンモニウム(4.8 g、76 mmol)を加える。混合物を撹拌し、3時間加熱還流する。次いで、触媒を濾去し、濾液を減圧蒸発する。残渣をジクロロメタンに再溶解し、5%水性NaOHで洗浄する。次いで、有機相を乾燥(Na2SO4)し、5(2.6 g、91%)を無色ロウ物で得る。M.p. 66−69℃。ESI−MS:376(MNa+)、354(MH+);(計算値:C22H47N3:353 u.m.a.)。
【0162】
[6−ビス(tert−ブトキシカルボニルメチルアミノ)−4−tert−ブトキシカルボニルメチル−6−ヘプタデシル−1,4−ジアゼパン−1−イル]酢酸 tert−ブチルエステル
50 mLの丸底フラスコ中で、アセトニトリル(15 mL)に、アミン5(1.65 g 4.7 mmol)を溶解し、K2CO3(5.16 g、37 mmol)を加える。温度を<10 ℃に保ちながら(氷浴)、撹拌均質混合物に、ブロモ酢酸t−ブチル(4.55g、23.4 mmol)をゆっくりと滴下する。添加後、TLCが変換の完了を示すまで、混合物を撹拌しながら60℃に加熱する。沈澱を濾過し、ジクロロメタンで洗浄する;濾液および洗液を合わせ、減圧蒸発して、粗生成物を得る。半固体残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル 9.3/0.7)によって精製して、純粋な6(1.35g、36%)を淡黄色油状物で得る。ESI−MS:832(MNa+)、810(MH+);(計算値:C46H87N3O8:809 u.m.a.)。
【0163】
[6−ビス(カルボキシメチルアミノ)−4−カルボキシメチル−6−ヘプタデシル−1,4−ジアゼパン−1−イル]酢酸(1)
50 mLの丸底フラスコ中で、トリフルオロ酢酸(20 mL)に、エステル6(1.354 g 1.7 mmol)を溶解し、室温にて一夜撹拌する。次いで、溶液を減圧蒸発し、残渣をメタノール(2 mL)に溶解する。過剰のジエチルエーテルで生成物を沈澱させ、遠心分離により単離し、ジエチルエーテルで完全に洗浄し、減圧乾燥して、純粋な1(795 mg、81%)を非晶質白色固体で得る。M.p. 185−187℃(分解)。ESI−MS:608(MNa+)、586(MH+);(計算値:C30H55N3O8:585 u.m.a.)。
最終化合物を、当業界で公知あるいは本明細書に記載の手順を用いて、たとえば、Gdまたは177Luで標識することができる。
【0164】
標識データ
化合物36(実施例11)、化合物41(実施例14)、化合物42(実施例15)および化合物58(実施例16)の177Lu錯体の放射標識およびHPLC分析
放射標識手順:
典型的には、0.2 M酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.8)中で、配位子の1 mg/mL溶液を製造する。100〜200 μLの0.2 M、pH 4.8 NaOAc緩衝液に、この溶液のアリコート(2 to 5 μl)および6〜10 mCiの177LuCl3(0.05 N HCl中、比放射能2.8−4.09 Ci/μmol)を加え、2:1の配位子対Luモル比を達成する。室温にて5分間インキュベートした後、10 μLの10 mM Na2EDTA・2H2Oを加えて、反応を終結させ、溶液中の残留遊離177Luを除去する。次いで、静菌性0.9%塩化ナトリウム注射液USP/ASCOR L500(登録商標)アスコルビン酸注射液USP(0.2 mL)の9:1(v/v)混合物を加えて、得られる放射性錯体の放射線分解を阻止する。放射化学的純度(RCP)をHPLCによって決定する。試験したすべての配位子について、室温におけるインキュベーションから5分以内に、Lu−177の完全な配位が認められる。
【0165】
インビボ生体内分布試験のために製造した放射標識錯体:
生体内分布試験のために、すべての出発配位子の完全なキレート化を保証するために配位子:LUのモル比1:1を用いる以外は、上述の記載にしたがって、放射標識化合物を製造する。1 mLの9:1静菌性生理食塩水/0.1 % HSA含有ASCOR L500(登録商標)溶液中に、得られる177Lu錯体を含むHPLCピークを集め、高速真空装置を用いて、有機溶媒を除去する。9:1[v/v])比で混合した静菌性生理食塩水/ASCOR L500(登録商標)アスコルビン酸注射液USPを用いて、残りの溶液をさらに希釈して、必要な放射線濃度にする。すべてのサンプルの放射化学的純度は、≧95%である。
【0166】
HPLC分析:カラム温度37℃を用い、流速1.5 mL/分にて、すべてのHPLC試験を行う。
1.177Lu化合物36(実施例11)
HPLCカラム:リゲルC8アストロシル、5 μm、150 mm x 4.6 mm(Stellar Phase,Inc.、ラングホーン、PA)。
移動相:以下の溶離勾配を用いる;A=水;B=30 mM(NH4)2SO4含有水;C=アセトニトリル。

保持時間:177Lu−化合物36(実施例11)=13.6分間。
【0167】
2.177Lu化合物41(実施例14)
HPLCカラム:ゾルバックス・ボーナス−RP、5 μm、孔径80オングストローム、250 mm x 4.6 mm(Agilent)。
移動相:以下の溶離勾配を用いる;A=水;B=30 mM(NH4)2SO4含有水;C=メタノール;D=アセトニトリル。

保持時間:177Lu化合物41(実施例14)=25.5分間。
【0168】
3.177Lu化合物42(実施例15)
HPLCカラム:ゾルバックス・ボーナス−RP、5 μm、孔径80オングストローム、250 mm x 4.6 mm(Agilent)。
移動相:以下の溶離勾配を用いる;A=水;B=30 mM(NH4)2SO4含有水;C=メタノール;D=アセトニトリル。

保持時間:177Lu−化合物42(実施例15)=23.1分間。
【0169】
4.177Lu化合物58(実施例16)
HPLCカラム:ゾルバックス・ボーナス−RP、5 μm、孔径80オングストローム、250 mm x 4.6 mm(Agilent)。
移動相:A=水;B=30 mM(NH4)2SO4含有水。
勾配:40% A/ 60% Bでイソクラティク。
保持時間:177Lu−化合物58(実施例16)=9.3分間。
【0170】
実施例21
反応工程式1
カルボキシル基からの2つの標的化基の結合を可能にする、両方のR1において官能化されたAazta誘導体
【化35】

【0171】
化合物66(反応工程式1)
0℃に冷却した1 N HBr(200 mL)中のL−アスパラギン酸β ベンジルエステル65(市販品)(10.0 g;44.8 mmol)およびNaBr(17.1 g;165.8 mmol)の混合物に、水(60 mL)中のNaNO2(5.88 g;85.2 mmol)の溶液を30分間にわたって滴下する。3時間後、0℃にて、濃H2SO4(4.4 mL)を加え、溶液をEt2O(3 x 200 mL)で抽出する。有機相を合わせ、食塩水(2 x 200 mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、減圧蒸発する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、66(9.3 g)を無色油状物で得る。収量73%。
【0172】
化合物67(反応工程式1)
酢酸t−ブチル(100 mL)および70% HClO4(0.08 mL)中の化合物66(9.3 g;27.1 mmol)の溶液を室温にて12時間攪拌する。水(300 mL)を加え、溶液をEtOAc(3 x 100 mL)で抽出する。有機相を合わせ、5%水性Na2CO3(200 mL)、水(200 mL)で洗浄し、次いで、乾燥(Na2SO4)し、減圧蒸発する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、67(8.4 g)を無色油状物で得る。収量90%。
【0173】
化合物69(反応工程式1)
MeCN(50 mL)中の67(5.98 g;17.4 mmol)、6−アミノ−6−メチル−ペルヒドロ−1,4−ジアゼピン68(Aime、S.ら Inorg.Chem.2004、43、7588)(0.5 g;3.9 mmol)およびK2CO3(2.4 g;17.4 mmol)の混合物を24時間攪拌する。溶液を減圧蒸発し、次いで、水(100 mL)およびCHCl3(100 mL)を加える。有機相を乾燥(Na2SO4)し、蒸発する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、69(1.3 g)を淡黄色油状物で得る。収量37%。
【0174】
化合物70(反応工程式1)
0℃に冷却したMeCN(8 mL)中の69(0.80 g;0.87 mmol)、K2CO3(0.46 g;3.32 mmol)およびNa2SO4(0.22 g)の撹拌溶液に、ブロモ酢酸t−ブチル(0.32 mL;2.18 mmol)を加える。室温にて30分後、溶液を5時間30分還流する。室温にて14時間後、溶液を蒸発し、8:2 石油エーテル/EtOAc(20 mL)で処理する。沈澱を捨て、液体相を蒸発して、粗物質(0.90 g)を得、フラッシュクロマトグラフィーによって精製して、70(0.66 g)を黄色油状物で得る収量86%。
【0175】
化合物71(反応工程式1)
無水EtOH(50 mL)中の化合物70(0.60 g;0.68 mmol)の溶液に、5% Pd/C(0.18 g)を加える。反応混合物を水素雰囲気下、1時間攪拌する。混合物をミリポア(登録商標)(FH 0.5 μm)装置で濾過し、蒸発して、71(0.41 g)を白色固体で得る。収量89%。
最終化合物またはたとえば、1つ以上の標的化部分を含む誘導体化バージョンを、当業界で公知あるいは本明細書に記載の手順を用いて、たとえば、Gdまたは177Luで標識することができる。
【0176】
実施例22
反応工程式2
末端カルボキシル基からの1つ、2つまたは3つの標的化基の結合を可能にする、R1とR3の両方において官能化されたAazta誘導体
【化36】

【0177】
化合物72(反応工程式2)
0℃に冷却した1 N HBr(45 mL)中のL−グルタミン酸 5−tブチルエステル72(市販品)(2.0 g;9.8 mmol)およびKBr(4.31 g;36.0 mmol)の混合物に、水(15 mL)中のNaNO2(1.35 g;19.6 mmol)の溶液を30分間にわたって滴下する。0℃にて3時間後、溶液をEtOAc(3x100 mL)で抽出する。有機相を合わせ、食塩水(80 mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、減圧蒸発する。粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製して、73(0.53 g)を無色油状物で得る。収量20%。
【0178】
化合物74(反応工程式2)
CH2Cl2(25 mL)中の化合物73(1.38 g;5.2 mmol)、ベンジルアルコール(0.58 mL;5.7 mmol)、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(1.18 g;5.7 mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.06 g;0.52 mmol)の溶液を室温にて3時間攪拌する。沈澱したジシクロヘキシルウレアを濾去し、濾液を5%水性AcOH(20 mL)および水(3 x 20 mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、減圧蒸発する。粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製して、74(1.31 g)を無色油状物で得る。収量71%。
【0179】
化合物76(反応工程式2)
0℃に冷却したMeCN(13 mL)中の6−アミノ−ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピン−6−プロピオン酸 1,1−ジメチルエチルエステル75(Aime、S.ら Inorg.Chem.2004、43、7588)(0.40 g;1.66 mmol)およびK2CO3(0.57 g;4.15 mmol)の混合物に、MeCN(2 mL)中の74(1.30 g;3.65 mmol)の溶液を5分間にわたって滴下する。反応混合物を放置して室温まで温め、29時間撹拌する。塩を濾去し、濾液を減圧蒸発する。粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製して、76(0.91 g)を黄色油状物で得る。収量69%。
【0180】
化合物77(反応工程式2)
0℃に冷却したMeCN(5 mL)中の76(0.83 g;1.05 mmol)、K2CO3(0.41 g;2.80 mmol)およびNa2SO4(0.22 g)の混合物に、ブロモ酢酸ベンジル(0.41 mL;2.60 mmol)を加える。添加後、反応混合物を放置して室温まで温め、6時間還流する。さらにブロモ酢酸ベンジル(0.05 g;0.30 mmol)およびK2CO3(0.04 g;0.28 mmol)を混合物に加え、さらに8時間還流する。混合物を濾過し、蒸発し、残渣にCH2Cl2(10 mL)を加える。有機相を水(2 x 10 mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、減圧蒸発する。粗物質をカラムクロマトグラフィーによって精製して、77(0.22 g)を黄色油状物で得る。収量19 %。
【0181】
化合物78(反応工程式2)
CF3COOH(2.5 mL)中の化合物77(0.22 g;0.20 mmol)の溶液を室温にて60時間攪拌する。次いで、混合物を蒸発し、残渣にCH2Cl2(10 mL)を加え、溶液を減圧蒸発する。操作を2回以上繰り返して、粗物質を得、カラムクロマトグラフィーによって精製して、78(0.12 g)を淡黄色油状物で得る。収量65 %。
最終化合物またはたとえば、1つ以上の標的化部分を含む誘導体化バージョンを、当業界で公知あるいは本明細書に記載の手順を用いて、たとえば、Gdまたは177Luで標識することができる。
【0182】
実施例23
反応工程式3
末端カルボキシル基からの標的化基の結合を可能にする、1つのR1において官能化されたAazta誘導体
【化37】

【0183】
化合物80(反応工程式3)
1M HBr(400 mL)中の L−グルタミン酸γ―ベンジルエステル79(市販品)(20 g、84.3 mmol)の溶液を機械的に撹拌しながら−7℃に冷却し、次いで、NaBr(32.1g、311.9 mmol)を加える。反応溶液に、水(40 mL)中のNaNO2(11.05 g、160.2 mmol)の溶液を35分間で滴下する。1時間後、濃H2SO4(10 mL)を加え、混合物をEt2O(4 x 200 mL)で抽出する;有機相を合わせ、食塩水(2 x 150 mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、減圧蒸発する。粗物質をカラムクロマトグラフィーによって精製して、所望の生成物80(13.79 g)を得る。収率:54 %。
【0184】
化合物81(反応工程式3)
酢酸tert−ブチル(179 mL)に、化合物79(13.46 g、44.7 mmol)を溶解し、次いで、70 % HClO4(193 μL)を加え、溶液を室温にて撹拌する。24時間後、水(180 mL)を加え、有機相を分離し、水(130 mL)、5 %水性NaHCO3(130 mL)および再度水 (130 mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、減圧蒸発する。粗物質をカラムクロマトグラフィーによって精製して、生成物81(10.75 g)を得る。収率:67 %。
【0185】
化合物82(反応工程式3)
氷浴で冷却したMeCN(130 mL)中の6−アミノ−6−メチル−ペルヒドロ−1,4−ジアゼピン68(Aime、S.ら Inorg.Chem.2004、43、7588)(6.62 g;51.3 mmol)およびK2CO3(2.13 g;15.4 mmol)の懸濁液に、MeCN(30 mL)中のブロモ誘導体81(5.5 g;15.4 mmol)の溶液を35分間で滴下する。この後で、冷却浴を除去し、反応混合物を室温にて撹拌する。4時間後、混合物を濾過し、溶媒を減圧蒸発する。粗物質をEtOAc(150 mL)に溶解し、水(3 x 100 mL)で洗浄する。有機相を希釈したHBrで洗浄し、25 % NH4OHで水性相をpH9にし、次いで、EtOAc(4 x 70 mL)で抽出する。有機相を合わせ、水(100 mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、蒸発して、生成物82(4.8 g)を得る。収率:77 %。
【0186】
化合物83(反応工程式3)
MeCN(80 mL)中の化合物82(4.65 g、11.5 mmol)、K2CO3(6.36 g、46 mmol)およびNa2SO4(1.5 g、10.6 mmol)の懸濁液に、ブロモ酢酸t−ブチル(7.86 g、40.3 mmol)を加え、混合物を加熱還流する。16時間後、混合物を濾過し、減圧蒸発する。粗物質をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、所望の生成物83(7.24 g)を得る。収率:84 %。
【0187】
化合物84(反応工程式3)
EtOH(50 mL)に、化合物83(572 mg、0.77 mmol)を溶解し、大気圧にて10 % Pd/C(100 mg)で水素添加する。混合物をミリポア(登録商標)装置(FH 0.5 μm)で濾過し、減圧蒸発して、生成物84(430 mg)を得る。収率:85 %。
最終化合物またはたとえば、標的化部分を含む誘導体化バージョンを脱保護し、当業界で公知あるいは本明細書に記載の手順を用いて、たとえば、Gdまたは177Luで標識することができる。
【0188】
実施例24
反応工程式4
カルボキシル基からの標的化基の結合を可能にする、1つのR1において官能化されたAazta誘導体
【化38】

【0189】
化合物85(反応工程式4)
MeCN(10 mL)中の81(実施例3を参照)(1.7 g;4.8 mmol)、6−アミノ−6−メチル−ペルヒドロ−1,4−ジアゼピン 68(Aime、S.ら Inorg.Chem.2004、43、7588)(0.25 g;1.9 mmol)およびK2CO3(0.67 g;4.8 mmol)の混合物を72時間攪拌する。を懸濁液濾過し、減圧蒸発する。残渣をCH2Cl2(30 mL)に溶解し、次いで、水(2 x 20 mL)および食塩水(2x20 mL)で洗浄する。分離後、有機相を乾燥(Na2SO4)し、蒸発する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、85(1.1 g)を黄色油状物で得る。収量85%。
【0190】
化合物86(反応工程式4)
0℃に冷却したMeCN(20 mL)中の85(0.76 g;1.11 mmol)、K2CO3(0.54 g;3.90 mmol)およびNa2SO4(0.3 g)の撹拌溶液に、ブロモ酢酸t−ブチル(0.41 mL;2.79 mmol)を加える。添加後、懸濁液を窒素下で15時間還流し、次いで、60℃にてさらに15時間撹拌する。さらなるブロモ酢酸t−ブチル(0.41 mL;2,79 mmol)を加え、反応混合物を8時間還流撹拌し、次いで60℃にて15時間撹拌する。懸濁液を室温に冷却し、濾過し、溶媒を蒸発する。残渣をCH2Cl2(20 mL)に溶解し、H2O(2x10 mL)および5%水性NaHCO3(2x10 mL)で洗浄する。有機相を乾燥(Na2SO4)し、濾過し、蒸発する。粗オレンジ色油状物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、86(0.65 g)を黄色油状物で得る。収量64%。
【0191】
化合物86(反応工程式4)
MeOH(20 mL)中の化合物86(0.5 g;0.55 mmol)の溶液に、10% Pd/C(100 mg)を加える。反応混合物を水素雰囲気下で5時間攪拌する。混合物をミリポア(登録商標)装置(FH 0.5 μm)で濾過し、蒸発して、87(0.4 g)を黄色固体で得る。収量99%。
最終化合物またはたとえば、1つ以上の標的化部分を含む誘導体化バージョンを脱保護し、当業界で公知あるいは本明細書に記載の手順を用いて、たとえば、Gdまたは177Luで標識することができる。
【0192】
実施例25
反応工程式5
末端アミノ基からの標的化基の結合を可能にする、R1において官能化されたAazta誘導体
【化39】

【0193】
化合物89(反応工程式5)
6M HBr(45mL)に、Nε−カルボベンジルオキシ−L−リシン88(市販品)(15g;0.052 mol)を0℃にて溶解する。NaNO2(3.97 g;0.057mol)を30分間にわたって少しずつ加える。反応溶液を室温にて2時間撹拌し、酢酸エチル(3x100mL)で抽出する。有機相を乾燥(Na2SO4)し、濾過し、減圧蒸発する。粗物質をカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物89(14.06 g)をオレンジ色油状物で得る。収量79%。
【0194】
化合物90(反応工程式5)
酢酸tert−ブチル(160mL)中の化合物89(13 g;0.0377 mol)の溶液に、70%水性HClO4(1.5mL)を滴下する。反応混合物を室温にて24時間撹拌する。次いで、水(2x200mL)および5%水性NaHCO3(2 x 150 mL)で洗浄する。有機相を乾燥(Na2SO4)し、濾過し、減圧蒸発する。粗物質をカラムクロマトグラフィーによって精製し、生成物90(9.66g)を黄色油状物で得る。収量64%。
【0195】
化合物91(反応工程式5)
0℃にて、MeCN(25 mL)中の6−アミノ−6−メチル−ペルヒドロ−1,4−ジアゼピン68(Aime、S.ら Inorg.Chem.2004、43、7588)(5 g;0.039 mol)およびK2CO3(1.59g;0.0115 mol)の混合物に、MeCN(25 mL)中の化合物90(4.6 g;0。115 mol)の溶液を30分間にわたって滴下する。混合物を室温にて4時間撹拌し、次いで、減圧蒸発する。粗物質をEtOAc(25 mL)に溶解し、水(3x25 mL)で洗浄する。有機相を乾燥(Na2SO4)し、濾過し、減圧蒸発する。粗物質をEtOAc(25 mL)に溶解し、水性HBrで洗浄する。水性相を集め、水性NH4OHを添加してpHを9にして、酢酸エチル(3x100 mL)で抽出する。有機相を乾燥(Na2SO4)し、濾過し、蒸発して、生成物91(3.3 g)を得る。収量64%。
【0196】
化合物92(反応工程式5)
0℃にて、MeCN(30mL)中の化合物91(3.28 g;7.3 mmol)、K2CO3(3.6 g)およびNa2SO4(0.5 g)の撹拌懸濁液に、MeCN(20 mL)中のブロモ酢酸t−ブチル(3.8 mL)の溶液を滴下する。添加終了後、混合物を14時間加熱還流する。次いで、濾過し、減圧蒸発する。粗物質をCH2Cl2(50mL)に溶解し、水(50 mL)および5%水性NaHCO3(2x50mL)で洗浄する;有機層を乾燥(Na2SO4)し、濾過し、減圧蒸発する。粗物質をカラムクロマトグラフィーによって精製して、生成物92(3.32 g )を黄色油状物で得る。収量58%。
【0197】
化合物93(反応工程式5)
MeOH(20 mL)中の化合物92(3.32 g;4.2 mmol)の溶液に、10% Pd/C(400 mg)を加える。反応混合物を水素雰囲気下で2時間攪拌する。混合物をミリポア(登録商標)装置(FH 0.5 μm)で濾過し、蒸発して、化合物93(2.42 g)を黄色油状物で得る。収量90%。
最終化合物またはたとえば、1つ以上の標的化部分を含む誘導体化バージョンを脱保護し、当業界で公知あるいは本明細書に記載の手順を用いて、たとえば、Gdまたは177Luで標識することができる。
【0198】
実施例26
GRP受容体を標的とする、実施例14の化合物41および実施例15の化合物42を用いる生体内分布および腫瘍標的化実験
ヒトPC−3ヌードマウスモデルにおいて、GRP受容体を標的とする標的化部分を含む2つの本発明化合物(実施例14の177Lu−化合物41および実施例15の177Lu−化合物42)の腫瘍標的化能力、生体内分布および薬物動態ならびに標的化部分を含まない1つの本発明化合物(化合物94)を評価する(PC−3腫瘍細胞は、GRP受容体を発現する)。本発明化合物を、化合物41および42と同じ標的化部分を含み、放射線療法の目的のためにPC−3腫瘍に放射能をデリバリーするのに効力があることを実証している化合物である177Lu−AMBAとも比較する。
【0199】
10−50 μCiのHPLC精製化合物を尾静脈内注射によって各マウスに投与する;グループ当たり、n=4。注射後1時間、1日および7日の時点で、マウスを死亡させ、臓器および組織を採取する。ガンマ計数管にて放射能をアッセイする。膀胱と合わせた尿ならびに血液プールについて、データを、総投与放射能のパーセンテージ(%ID);および他の試験した臓器すべてについて、g当たりの総投与放射能のパーセンテージ(%ID/g)として表す。
【表1】

【0200】
データは、GRP受容体標的化部分を含まない非誘導体化シクロヘキシルaazta(化合物94)の錯体として投与されたLu−177が、いずれの臓器または組織においても僅かしか残留局在化せず、身体から迅速に排除されることを示す。錯体が、GRP標的化ペプチドで誘導体化される場合(化合物41および42において見られるように)、放射能は腫瘍における局在化を示す。データは、放射線療法の目的のためのPC−3腫瘍への放射能のデリバリーについて実証された効力をもつ化合物である177Lu−AMBAのデータと類似する。腫瘍における局在化および身体の他の組織において放射能保持が無いことは、インビボ用途のためのペプチドなどの放射標識標的化剤の手段としてのこれらの2つのキレーターの有用性を示す。
【0201】
AMBAの構造式を真下に示す。化合物94の構造をその次に示す。
【化40】

【図面の簡単な説明】
【0202】
(原文に記載なし)
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

[式中、R1は、水素、1つ以上のカルボキシ基で任意に置換されたC1−C20アルキル、C3−C10シクロアルキル、C4−C20シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキルであるか、または2つのR1基が一緒になって、直鎖または環式C2−C10アルキレン基またはオルト二置換アリーレンを形成する;およびR2、R3、R4、R5およびFGは、下記(a)、(b)または(c)に定義するとおりである:
(a)R2は、カルボキシ;C1−C20アルキル、C3−C10シクロアルキル、C4−C20シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、酸性部分を有する基およびアミノ部分を有する基から選ばれる置換された基であり、それらのそれぞれは、生理システムと相互作用しうる適当な分子と複合しうる官能基でさらに任意に置換されうる;
同一または異なりうるR3、R4およびR5は、水素、カルボキシ、またはC1−C20アルキル、C3−C10シクロアルキル、C4−C20シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、酸性部分を有する基およびアミノ部分を有する基から選ばれる任意に置換された基であり、それらのそれぞれは、生理システムと相互作用しうる適当な分子と複合しうる官能基でさらに任意に置換されうる;
同一または異なりうるFGは、カルボキシ、−PO3H2または−RP(O)OH基である(ここで、Rは、水素、またはC1−C20アルキル、C3−C10シクロアルキル、C4−C20シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、酸性部分を有する基およびアミノ部分を有する基から選ばれる任意に置換された基であり、それらのそれぞれは、生理システムと相互作用しうる適当な分子と複合しうる官能基でさらに任意に置換されうる);
(b)R2は、水素、カルボキシ、またはC1−C20アルキル、C3−C10シクロアルキル、C4−C20シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、酸性部分を有する基およびアミノ部分を有する基から選ばれる任意に置換された基であり、それらのそれぞれは、生理システムと相互作用しうる適当な分子と複合しうる官能基でさらに任意に置換されうる;
同一または異なりうるR3、R4およびR5は、水素、カルボキシ、またはC1−C20アルキル、C3−C10シクロアルキル、C4−C20シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、酸性部分を有する基およびアミノ部分を有する基から選ばれる任意に置換された基であり、それらのそれぞれは、生理システムと相互作用しうる適当な分子と複合しうる官能基でさらに任意に置換されうる;および、ここで、R3、R4およびR5の少なくとも1つは、カルボキシ;C1−C20アルキル、C3−C10シクロアルキル、C4−C20シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、酸性部分を有する基およびアミノ部分を有する基から選ばれる置換された基である;
同一または異なりうるFGは、カルボキシ、−PO3H2または−RP(O)OH基である(ここで、Rは、水素、またはC1−C20アルキル、C3−C10シクロアルキル、C4−C20シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、酸性部分を有する基およびアミノ部分を有する基から選ばれる任意に置換された基であり、それらのそれぞれは、生理システムと相互作用しうる適当な分子と複合しうる官能基でさらに任意に置換されうる);または
(c)R2は、水素、カルボキシ、またはC1−C20アルキル、C3−C10シクロアルキル、C4−C20シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、酸性部分を有する基およびアミノ部分を有する基から選ばれる任意に置換された基であり、それらのそれぞれは、生理システムと相互作用しうる適当な分子と複合しうる官能基でさらに任意に置換されうる;
同一または異なりうるR3、R4およびR5は、水素、カルボキシ、またはC1−C20アルキル、C3−C10シクロアルキル、C4−C20シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、酸性部分を有する基およびアミノ部分を有する基から選ばれる任意に置換された基であり、それらのそれぞれは、生理システムと相互作用しうる適当な分子と複合しうる官能基でさらに任意に置換されうる;
同一または異なりうるFGは、カルボキシ、−PO3H2または−RP(O)OH基である(ここで、Rは、水素、またはC1−C20アルキル、C3−C10シクロアルキル、C4−C20シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、酸性部分を有する基およびアミノ部分を有する基から選ばれる任意に置換された基であり、それらのそれぞれは、生理システムと相互作用しうる適当な分子と複合しうる官能基でさらに任意に置換されうる);および、ここで、FG基の少なくとも1つは、−RP(O)OH基である(ここで、Rは、C1−C20アルキル、C3−C10シクロアルキル、C4−C20シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、酸性部分を有する基およびアミノ部分を有する基から選ばれる置換された基である)]
で示される化合物ならびに生理的適合性塩基または酸とのその塩。
【請求項2】
20〜31、39、42、43、44、49および57〜83の範囲の原子番号を有する金属元素および203Pb、67Ga、68Ga、72As、111In、113In、90Y、97Ru、62Cu、64Cu、52Fe、52mMn、140La、175Yb、153Sm、166Ho、149Pm、177Lu、142Pr、159Gd、212Bi、47Sc、149Pm、67Cu、111Ag、199Au、161Tb、51Cr、167Tm、141Ce、168Yb、88Y、165Dy、166Dy、97Ru、103Ru、186Re、188Re、99mTc、211Bi、212Bi、213Bi、214Bi、105Rh、109Pd、117mSn、177Snおよび199Auから選ばれる放射性同位体から選ばれる金属と錯形成する請求項1に記載の式(I)で示される化合物。
【請求項3】
Fe(2+)、Fe(3+)、Cu(2+)、Cr(3+)、Gd(3+)、Eu(3+)、Dy(3+)、La(3+)、Yb(3+)およびMn(2+)から選ばれる常磁性イオンまたは放射性同位体と錯体を形成する請求項2に記載の式(I)で示される化合物。
【請求項4】
ガドリニウムまたは放射性同位体と錯体を形成する請求項3に記載の式(I)で示される化合物。
【請求項5】
FGが、任意に保護された形態のカルボキシ基である請求項1〜4のいずれか1つに記載の式(I)で示される化合物。
【請求項6】
(b)または(c)で定義されたR2が、メチルまたは任意に保護されたカルボキシまたはアミノ基で任意に置換されたアルキル、アリールまたはアリールアルキルから選ばれる基である請求項1〜4のいずれか1つに記載の式(I)で示される化合物。
【請求項7】
R3およびR5が両方とも水素であり、R4が水素またはメチルである請求項1〜4のいずれか1つに記載の式(I)で示される化合物。
【請求項8】
2つのR1基が一緒になって、アルキレン、環式アルキレンまたはアリーレン基を形成する請求項1〜4のいずれか1つに記載の式(I)で示される化合物。
【請求項9】
2つのR1基が一緒になって、エチレン基を形成する請求項8に記載の式(I)で示される化合物。
【請求項10】
R2、R3、R4、R5またはFGのいずれか1つの意味の範囲内において、酸性部分を有する基が、カルボキシル部分を有する任意に置換された基である請求項1〜4のいずれか1つに記載の式(I)で示される化合物。
【請求項11】
生理システムと相互作用しうる適当な分子と複合しうるいずれかの官能基が、カルボキシル、アミノ、アルデヒド、ハロアルキル、マレイミドアルキル、ヒドロキシルおよびスルフヒドリル基から選ばれる請求項1〜4のいずれか1つに記載の式(I)で示される化合物。
【請求項12】
生理システムと相互作用しうる適当な分子と複合しうるいずれかの官能基が、任意に保護されたカルボキシルおよびアミノ基から選ばれる請求項11に記載の式(I)で示される化合物。
【請求項13】
R2が、生理システムと相互作用しうる分子と複合する本明細書に定義する基である請求項1に記載の式(I)で示される化合物。
【請求項14】
生理システムと相互作用しうる分子が、ペプチドである請求項13に記載の式(I)で示される化合物。
【請求項15】
ペプチドが、フィブリン結合標的化ペプチドまたはガストリン放出ペプチドである請求項14に記載の式(I)で示される化合物。
【請求項16】
診断薬または治療薬として用いるための請求項2に記載の式(I)で示される化合物。
【請求項17】
請求項2に記載の常磁性金属イオンと錯形成した式(I)で示される化合物。
【請求項18】
放射性造影剤として用いるための、請求項2に記載の診断に有用な放射性同位体と錯形成した式(I)で示される化合物。
【請求項19】
放射線療法剤として用いるための、請求項2に記載の治療用放射性同位体と錯形成した式(I)で示される化合物。
【請求項20】
抗腫瘍剤として用いるための、R2、R3、R4、R5またはFGの1つ以上が腫瘍に選択的に結合しうる分子と複合し、式(I)で示される化合物が腫瘍に対して治療的に有効な放射性金属イオンと錯形成する式(I)で示される化合物。
【請求項21】
診断または治療薬の製造における、請求項2に記載の式(I)で示される化合物の使用。
【請求項22】
いずれかの薬理学的に許容しうる担体または賦形剤と混合して、有効量の請求項2に記載の式(I)で示される化合物を含む治療または診断用組成物。
【請求項23】
式(IX):
【化2】

[式中、2つのR1基は、直鎖または環式C2−C10アルキレン基またはオルト二置換アリーレンを形成し、R2は、請求項1における(b)と同意義である]
で示される化合物。
【請求項24】
2つのR1基が、エチレンまたはプロピレンである請求項23に記載の式(IX)で示される化合物。
【請求項25】
任意に脱保護され、金属と錯形成および/または標的化部分に連結された、式(5)、(25)、(30)または(18):
【化3】

を有する化合物。
【請求項26】
a.
【化4】

および
b.
【化5】

から選ばれる反応を利用することを含む、請求項25の化合物(18)にフィブリン結合標的化ペプチドをカップリングする方法。
【請求項27】
以下の反応:
【化6】

[ここで、37は、請求項26からのフィブリン結合標的化ペプチドである。]
を含む、請求項25の化合物(5)にフィブリン結合標的化ペプチドをカップリングする方法。
【請求項28】
以下の反応:
【化7】

を含む、請求項25の化合物(30)にフィブリン結合標的化ペプチドをカップリングする方法。
【請求項29】
任意に保護または脱保護され、金属と錯形成および/または標的化部分に連結された、下記式(8)、(13)、(71)、(78)、(84)、(87)、(93)、(34)、(58)および(64):
【化8】

【化9】

または下記式:
【化10】

のいずれか1つを有する化合物。
【請求項30】
任意に金属と錯形成した、下記式(36)、(38)、(39)、(41)および(42):
【化11】

【化12】

を有する化合物。
【請求項31】
抗腫瘍剤の製造における、治療用放射性同位体と錯形成した請求項30に記載の式(41)または(42)で示される化合物の使用。
【請求項32】
心筋疾患、フィブリン含有血餅/血栓、プラークまたは腫瘍の治療用医薬の製造における、治療用放射性同位体と錯形成した請求項30に記載の式(36)、(38)または(39)で示される化合物の使用。
【請求項33】
化合物がそのR2置換基を介して、任意にアミドまたはポリアミド結合形成を介して連結する、2つ以上の請求項1に記載の式(I)で示される化合物を含む二量体または多量体。
【請求項34】
アミノ基または保護アミノ基を有するAazta誘導体を、カルボン酸基を含む標的化部分にカップリングする方法であって、以下の反応:
【化13】

[ここで、T−CO2Hは、カルボン酸基を含む標的化部分であり、Aazta−NH2は、アミノ基または保護アミノ基を有するAazta誘導体であり、Aazta NH−CO−Tは、カルボン酸基を含む標的化部分にカップリングしたアミノ基または保護アミノ基を有するAazta誘導体である;ただし、Aazta誘導体のアミノ基が保護される場合、それは上記反応を進行する前に脱保護される]
を含む方法。
【請求項35】
アミノ基または保護アミノ基を有するAazta誘導体を、アミノ基を含む標的化部分にカップリングする方法であって、以下の反応:
【化14】

[ここで、Aazta−NH2は、アミノ基または保護アミノ基を有するAazta誘導体であり、T−NH2は、アミノ基を含む標的化部分である;ただし、Aazta誘導体のアミノ基が保護される場合、それは上記反応を進行する前に脱保護される]
を含む方法。
【請求項36】
1つ以上のカルボン酸側鎖を有するAazta誘導体(ここで、1つ以上のカルボン酸側鎖は、保護されうる)を、アミノ基を含む標的化部分にカップリングする方法であって、下記:
【化15】

および
【化16】

[ここで、Aazta−CO2Hまたは
【化17】

は、1つ以上のカルボン酸側鎖を有するAazta誘導体(ここで、1つ以上のカルボン酸側鎖は、保護されうる)であり、T−NH2は、アミノ基を含む標的化部分であり、Aazta CONH−Tまたは
【化18】

は、アミノ基を含む標的化部分にカップリングした、1つ以上のカルボン酸側鎖を有するAazta誘導体(ここで、1つ以上のカルボン酸側鎖は、保護されうる)である;ただし、Aazta誘導体の1つ以上のカルボン酸側鎖が保護される場合、それらは上記反応を進行する前に脱保護される]
から選ばれる反応を含む方法。
【請求項37】
一般式(I):
【化19】

[式中、R1は、水素、1つ以上のカルボキシ基で任意に置換されたC1−C20アルキル、C3−C10シクロアルキル、C4−C20シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキルであるか、または2つのR1基が一緒になって、直鎖または環式C2−C10アルキレン基またはオルト二置換アリーレンを形成する;
R2は、水素、カルボキシ、またはC1−C20アルキル、C3−C10シクロアルキル、C4−C20シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、酸性部分を有する基およびアミノ部分を有する基から選ばれる任意に置換された基であり、それらのそれぞれは、生理システムと相互作用しうる適当な分子と複合しうる官能基でさらに任意に置換されうる;
同一または異なりうるR3、R4およびR5は、水素、カルボキシ、またはC1−C20アルキル、C3−C10シクロアルキル、C4−C20シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、酸性部分を有する基およびアミノ部分を有する基から選ばれる任意に置換された基であり、それらのそれぞれは、生理システムと相互作用しうる適当な分子と複合しうる官能基でさらに任意に置換されうる;
同一または異なりうるFGは、カルボキシ、−PO3H2または−RP(O)OH基である(ここで、Rは、水素、またはC1−C20アルキル、C3−C10シクロアルキル、C4−C20シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、酸性部分を有する基およびアミノ部分を有する基から選ばれる任意に置換された基であり、それらのそれぞれは、生理システムと相互作用しうる適当な分子と複合しうる官能基でさらに任意に置換されうる)]
で示される化合物ならびに生理的適合性塩基または酸とのその塩。
【請求項38】
診断的に許容しうる担体中に、請求項2に記載の診断に有用な常磁性金属または放射性同位体と錯形成した式(I)で示される化合物を含む、有効量の診断的造影剤を患者に投与し、患者を画像化するステップを含む、患者を画像化する方法。
【請求項39】
生理的に許容しうる担体中に、請求項2に記載の治療的放射性同位体と錯形成した式(I)で示される化合物を含む、有効量の治療薬を患者に投与するステップを含む、患者を治療する方法。
【請求項40】
患者が、腫瘍に対して治療される請求項39に記載の方法。
【請求項41】
式(I)で示される化合物が、腫瘍に選択的に結合する分子に複合し、治療的放射性同位体が、腫瘍に対して治療的に有効な放射性金属イオンである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
薬学的または獣医学的に許容しうる担体中、治療的放射性同位体と錯形成した、治療的有効量の請求項30に記載の化合物(41)または(42)を、治療を必要とする患者に投与することを含む、ガンの治療方法。
【請求項43】
薬学的または獣医学的に許容しうる担体中、治療的放射性同位体と錯形成した、治療的有効量の請求項30に記載の化合物(36)、(38)または(39)を、治療を必要とする患者に投与することを含む、心筋疾患、フィブリン含有血餅/血栓、プラークまたは腫瘍の治療方法。

【公表番号】特表2009−505946(P2009−505946A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517490(P2008−517490)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【国際出願番号】PCT/EP2006/063368
【国際公開番号】WO2006/136564
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(504448162)ブラッコ・イメージング・ソシエタ・ペル・アチオニ (34)
【氏名又は名称原語表記】BRACCO IMAGING S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Via XXV Aprile No.4, 20097 San Donato Milanese,Italy
【Fターム(参考)】