説明

金属シリコン窒化物または金属シリコンオキシ窒化物のサブミクロン蛍光体粒子およびこれらの粒子を合成する方法

金属シリコン窒化物および金属シリコンオキシ窒化物のサブミクロンパウダーが、1つ又はそれ以上の前駆体材料のナノスケール粒子を用いて固相反応によって合成される。例えば、シリコン窒化物のナノスケールパウダーは、金属シリコン窒化物および金属シリコンオキシ窒化物のサブミクロンパウダーの合成にとって有用な前駆体パウダーである。サブミクロン蛍光体(phosphor)パウダー合成のためのナノスケール前駆体材料の使用により、生成物の蛍光体は、極めて高い内部量子効率を有することができる。蛍光体パウダーは、希土類金属元素などの適切なドーパントを含んでもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、同時係属の米国仮特許出願(シリアル番号:61/070337、2008年3月21日出願、発明者:Ravilisetty et al.、名称:"Silicon Nitride-Based Submicron Phosphors and Methods for Synthesizing These Phosphors")の優先権を主張するものであり、この内容は参照によってここに組み込まれる。
【0002】
本発明は、例えば、シリコン窒化物粒子などのサブミクロン粒子から合成された蛍光体(phosphor)粒子に関する。詳細には、本発明は、ドープ可能な金属シリコン窒化物または金属シリコンオキシ窒化物のサブミクロンである蛍光体に関する。本発明はさらに、蛍光体粒子を形成するための熱反応に関する。
【背景技術】
【0003】
蛍光体は、例えば、照明、ディスプレイなど、幾つかの応用に関して著しい役割を演ずる。蛍光体は、電子、電界/磁界や他の刺激に応答して、光、一般には可視光を放出する。改善した性能、例えば、より高解像度で低コストに関する持続的な要求は、これらの商業的用途に組み込まれる材料に関する対応した要求をもたらす。ナノテクノロジーは、妥当なコストで材料の性能を改善することに有望である。ある範囲の蛍光体材料は、該材料に関する性能および実用的な問題に関する種々のトレードオフ(tradeoff)で使用され提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子ディスプレイは、しばしば蛍光体材料を使用しており、これらは電子、電磁界や他のエネルギー源との相互作用に応答して可視光を放出する。蛍光体材料は、基板に塗布されて、陰極線管、フラットパネルディスプレイ等を生産する。ディスプレイ装置での改善は、例えば、励起エネルギーの減少またはディスプレイ解像度の増加など、蛍光体材料について厳しい要求をもたらす。例えば、蛍光体励起のための電子速度は、電力需要を削減するために減少できる。特に、フラットパネルディスプレイは、一般に、低速の電子または低電圧に対応した蛍光体を必要とする。
【0005】
さらに、カラーディスプレイの要望は、選択的に励起されるディスプレイ位置で、異なる波長で光を放出する材料または材料の組合せの使用を必要とする。種々の材料が蛍光体として使用されている。所望の光波長で発光する材料を得るためには、賦活剤が蛍光体材料にドープされている。代替として、複数の蛍光体が混合可能であり、所望の発光が得られる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
第1の態様において、本発明は、せいぜい約250nmの平均1次粒子直径を有し、金属とシリコンの合計モル含量に対してせいぜい約10モルパーセントのドーパント賦活剤元素を含む、結晶性金属シリコン窒化物/オキシ窒化物粒子の堆積物(collection)に関するものであり、粒子は少なくとも約25%のIQEを有する。
【0007】
幾つかの実施形態において、本発明は、金属シリコン窒化物粒子を合成する方法に関するものであり、該方法は、金属窒化物前駆体粒子とシリコン窒化物前駆体粒子の混合物を加熱して、生成物の結晶性金属シリコン窒化物粒子を形成することを含み、シリコン窒化物前駆体粒子は、せいぜい約100nmの平均1次粒子サイズを有し、せいぜい約1ミクロンの平均1次粒子サイズを有する生成物粒子を形成する。
【0008】
追加の実施形態において、本発明は、金属アルミニウムシリコンオキシ窒化物粒子を合成する方法に関するものである。該方法は、金属組成前駆体粒子、アルミニウム組成前駆体粒子およびシリコン組成前駆体粒子の混合物を加熱して、生成物の結晶性金属シリコンアルミニウムオキシ窒化物粒子を形成することを含む。金属組成前駆体粒子は、金属酸化物、金属窒化物、金属オキシ窒化物、金属炭酸塩またはこれらの組合せを有してもよく、アルミニウム組成前駆体粒子は、Al,AlN,AlN(1−x)3/2またはこれらの混合物を含み、シリコン組成前駆体粒子は、Si,SiO,SiN(1−x)4/32xまたはこれらの混合物を含む。さらに、シリコン組成前駆体粒子は、せいぜい約100nmの平均1次粒子サイズを有してもよく、生成物の金属アルミニウムシリコンオキシ窒化物粒子は、せいぜい約1ミクロンの平均1次粒子直径を有してもよい。
【0009】
他の実施形態において、本発明は、金属シリコン窒化物/オキシ窒化物粒子を合成する方法に関するものであり、該方法は、金属組成前駆体粒子とシリコン組成前駆体粒子の混合物を加熱して、結晶性の金属シリコン窒化物/オキシ窒化物粒子を形成することを含む。幾つかの実施形態において、シリコン組成前駆体粒子は、Si,SiO,SiN(1−x)4/32x,0<x<1またはこれらの混合物を含み、せいぜい約100nmの平均粒子直径を有する。金属組成前駆体粒子は、金属酸化物、金属窒化物、金属オキシ窒化物、金属炭酸塩またはこれらの組合せを含み、せいぜい約100nmの平均粒子直径を有する。金属シリコン窒化物/オキシ窒化物生成物粒子は、せいぜい約1ミクロンの平均粒子サイズを有してもよい。
【0010】
更なる実施形態において、本発明は、せいぜい約1ミクロン、幾つかの実施形態ではせいぜい約250nmの平均1次粒子サイズを有する金属シリコン窒化物粒子の堆積物を含む照明装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】蛍光体材料を備えたディスプレイ装置の概略側面図である。
【図2】実施例1に示した方法に従って合成した(Sr0.98Eu0.02Siについての代表的なX線回折図である。
【図3】実施例1に示した方法に従って合成した(Ba0.95Eu0.05Siについての代表的なX線回折図である。
【図4】実施例1に示した方法に従って合成した(Sr0.98Eu0.02Siについての透過電子顕微鏡像である。
【図5】実施例1に示した方法に従って合成した(Sr0.98Eu0.02Siについての走査電子顕微鏡像である。
【図6】イットリウムアルミニウムガーネット蛍光体(YAG)の市販サンプルと比較して、実施例1に示した方法に従って合成した、組成BaSi:EuおよびSrSi:Euを持つサンプルの発光スペクトルである。
【図7】市販の蛍光体YAG−KO(化成オプトニクス)と比較して、サンプルSiON−21,SiON−32,SiON−34についての発光スペクトルである。
【図8】実施例3に示した方法に従って合成したCa0.94Eu0.1AlSiON15についての代表的なX線回折図である。
【図9】実施例3に示した方法に従って合成したCa0.94Eu0.06AlSiON15についての走査電子顕微鏡像である。
【図10】実施例3に示した方法に従って合成した同じグループCa0.94Eu0.06AlSiON15からの蛍光体サンプルの1つから記録した発光スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ナノスケールのシリコン組成前駆体粒子及び/又はナノスケールの金属組成前駆体粒子は、サブミクロンの金属シリコン窒化物粒子または金属シリコンオキシ窒化物粒子を合成するために使用できる。生成物のサブミクロン金属シリコン窒化物粒子および金属シリコンオキシ窒化物粒子は、一般に、高剪断ミリングの使用なしで形成できる。蛍光体粒子は、内部量子効率の点で表現できる高い光度(luminosity)で生産できる。高い光度のため、サブミクロンの金属シリコン窒化物粒子は、ディスプレイおよび照明の用途に有用な蛍光体を提供できる。一般に、1つ又はそれ以上の前駆体パウダーが、せいぜい約100nmの平均1次粒子サイズを有することができる。前駆体パウダーは、混合して固相反応で反応可能である。例えば、シリコン窒化物(Si)ナノ粒子は、一般に結晶性である、選択した蛍光体粒子への熱処理のために、一般に、金属窒化物パウダー、金属オキシ窒化物パウダー、金属酸化物パウダー、シリコン酸化物パウダーまたはこれらの組合せと組合せ可能である。生成物粒子は、サブミクロンの平均粒子サイズを有することができる。粒子は、ドーパント金属元素を、例えば、賦活剤として含むことができる。生成物の蛍光体粒子は、ある範囲のディスプレイ応用での使用に好適である。所望の蛍光体粒子を合成するために、ナノスケールのシリコン窒化物粒子及び/又は他のナノスケール粒子の使用は、望ましい蛍光体特性を持つサブミクロン蛍光体の合成にとって望ましい出発原料を提供する。
【0013】
蛍光体は、一般に、ホスト結晶またはマトリクスと、ドーパントとして比較的少量の賦活剤とを含む。一般に、遷移金属イオン、例えば、重金属イオンまたは希土類イオンが賦活剤として用いられる。対象の蛍光体粒子は、電磁界、電子、エネルギー光または他の刺激による励起に続いて、蛍光または燐光によるルミネセンスを示す。特に関心のある組成は、適切な賦活剤ドーパントを有する、金属シリコン窒化物または金属シリコンオキシ窒化物の組成である。結晶化度(crystallinity)、粒子サイズ、ドーパントレベル、格子構造の適切な制御は、高い光度を得るために重要になる。ここで説明したサブミクロン粒子サイズは、高いルミネセンスを生じさせるとともに、選択した生成物への混入のための望ましい処理特性を提供する。蛍光体パウダーは、所望の応用にとって充分なルミネセンスを示すべきである。
【0014】
サブミクロン金属酸化物蛍光体粒子は、レーザ熱分解(pyrolysis)を用いて合成されている。特に、希土類金属または希土類金属ドーパント/賦活剤を有する金属/半金属の酸化物粒子は、米国特許第6692660号(Kumar, "High Luminescent Phosphor Particles and Related Particle Compositions")に説明されており、これは参照によりここに組み込まれる。高い結晶性のサブミクロン金属酸化物蛍光体は、米国特許公開第2007/0215837A号(Chiruvolu et al., "Highly Crystalline Nanoscale Phosphor Particles and Composite Materials Incorporating the Particles")に説明されており、これは参照によりここに組み込まれる。
【0015】
無機粒子は、一般に、金属及び/又は半金属の元素を元素形態または化合物で含む。伝統的な表記法により、「金属及び/又は半金属」は、省略表記として「金属/半金属」と記載している。一般に、無機粒子は、例えば、元素金属または元素半金属、即ち、非イオン化元素、これらの合金、金属/半金属酸化物、金属/半金属窒化物、金属/半金属炭化物、金属/半金属硫化物、金属/半金属ケイ酸塩、金属/半金属リン酸塩またはこれらの組合せを含むことができる。半金属は、金属と非金属の中間で、これらを含む化学特性を示す元素である。半金属元素は、シリコン、ホウ素、ヒ素、ゲルマニウム、テルルを含む。用語、金属または半金属を限定なしで用いた場合、これらの用語は、何れかの酸化状態にある、例えば、元素形態またはある組成の金属または半金属の元素を参照している。金属または半金属の組成を記述する場合、これは、電気的中性を提供するために、対応する追加元素とともに非元素形態、即ち、酸化形態にある1つ又はそれ以上の金属半金属元素を有する何れかの組成を参照している。
【0016】
一般に、広範囲の金属シリコン窒化物組成が、蛍光体パウダーとして適している。これらの組成についての一般式は、MSi:Rとして表現でき、ここで、Mは1つ又はそれ以上の金属を表し、Siはシリコン、Nは窒素、Rは1つ又はそれ以上のドーパント元素を表し、x,y,z,rは化学量論およびドーパントレベルを示す。同様に、広範囲の金属シリコンオキシ窒化物組成が有用な蛍光体として使用できる。オキシ窒化物組成についての一般式は、MSi:Rとして表現でき、ここで、Mは1つ又はそれ以上の金属を表し、Siはシリコン、Oは酸素、Nは窒素、Rは1つ又はそれ以上のドーパント元素を表し、x,y,w,z,rは化学量論およびドーパントレベルを示す。例えば、幾つかの実施形態では、適切な蛍光体は、アルカリ土類および他の二価金属元素を含むことができる。ここで説明する金属シリコン窒化物およびオキシ窒化物蛍光体組成は、ナノスケールのシリコン窒化物粒子及び/又は他のナノスケール粒子を用いて固相反応で合成できる。例えば、シリコン窒化物前駆体パウダーは、所望の蛍光体組成のため、残りの金属/半金属元素を、例えば、窒化物、酸化物または炭酸塩の形態で供給する追加の前駆体パウダーと混合可能である。1つ又はそれ以上の金属または半金属元素は、賦活剤ドーパント元素とすることができる。目標組成がオキシ窒化物である場合、前駆体とともに導入される酸素の量は、一般に、最終生成物材料にとって望ましい酸素量だけを供給するように制御すべきである。なお、窒素環境での処理工程を行うことにより酸素の幾つかまたは全ての置換をもたらすことになる。
【0017】
ナノスケール前駆体粒子は、例えば、フローベースの手法を用いて合成できる。特に、シリコン窒化物ナノスケール粒子および金属窒化物サブミクロン粒子は、レーザ熱分解によって合成できる。なお、代替ソースも幾つかの材料について利用可能である。レーザ熱分解は、アモルファスまたは結晶性のSiを合成するために使用できる。レーザ熱分解は、アモルファスSiOを合成するためにも使用でき、これはオキシ窒化物蛍光体の形成のための前駆体として使用できる。一般に、レーザ熱分解は、広範囲の組成の合成のために順調に使用されている。反応ストリーム中の組成および処理条件を適切に選択することによって、サブミクロンまたはナノスケールの粒子は、所望の金属/半金属組成化学量論を取り込む。
【0018】
一般に、ここで説明したプロセスにおいて、前駆体組成の少なくとも1つは、ナノスケールの粒子、例えば、ナノスケールのシリコン窒化物(Si)粒子の形態を有する。しかしながら、幾つかの実施形態において、固相反応プロセスに関して、異なる組成を持つ複数のナノスケールパウダーを混合することが望ましい。例えば、ナノスケールのSi及び/又はSiOを他の金属組成と組み合せて、所望の金属シリコン窒化物または金属シリコンオキシ窒化物の組成を形成することができ、これらは所望のサブミクロン平均粒子サイズで形成可能である。合成プロセスにおいて複数のナノスケールパウダーの使用は、いくらか低い反応温度または時間及び/又は高い結晶化度および化学的一様性の達成を伴う合成プロセスを促進できる。合成した粒子が所望の平均粒子サイズを有する場合、パウダーのミリング(milling)時間の短縮、ミリング程度の低減またはミリング省略が可能になり、所望のサブミクロン生成物粒子が得られる。幾つかのシステムにおいて、高剪断ミリングがパウダーの結晶化度に悪影響を与え、蛍光体性能を劣化させることが観察されている。こうしてミリングの削減または廃止は、改善した生成物材料、生産コストの削減を導く。少しの低エネルギーまたは短時間のミリングは、弱い粒子凝集を分散させるために望ましい。
【0019】
ドーパント元素は、固相反応に取り込まれる適切なドーパント前駆体パウダー、例えば、金属酸化物などを用いて導入可能であり、ドーパント元素は生成物粒子へ取り込まれる。量子効率が一定であると仮定すると、ドーパントレベルは粒子のルミネセンス特性に直接に関連することがある。幾つかの実施形態では、追加のドーパントはより大きなルミネセンスをもたらす。ドーパントは、粒子内部で吸収−発光中心を形成するためである。一般に、ルミネセンスは、ドーパントレベルとともに増加する。より多くの電子が発光状態への推進に利用可能になるためである。しかしながら、量子効率は、ドーパントレベルについて複雑な関数である。こうして光度は、要因のバランスに起因して、一般に、ドーパント濃度の関数としてピークに達する。特に、ルミネセンス特性は、粒子の結晶化度、結晶格子内のドーパントの位置、および濃度に依存する。ドーパントレベルが増加すると、ルミネセンスを減少させるクエンチング機構が働くようになり、結晶欠陥が増加する。充分に高いドーパント濃度では、光度は、一般にドーパントレベルの増加とともに減少する。クエンチングが、より強い吸収からの増加を支配するようになるためである。光度は、ドーパント濃度の関数としてピークを有することがある。なお、光度のドーパント依存性は、処理パラメータにも依存しており、その関係はより複雑なものになる。高剪断ミリングまたは他の高エネルギーミリングを使用せずに蛍光体粒子を形成する熱処理の場合、ナノ粒子前駆体を用いて、良好なドーパント混入および対応する高い値の量子収量とともに高レベルの結晶化度が達成される。
【0020】
高い結晶性の無機蛍光体粒子の場合、得られる蛍光体粒子は高い光度を有し得る。具体的には、粒子は、少なくとも約25%の内部量子効率を有し得る。粒子の平均サイズ、ドーパント濃度およびドーパント組成は、吸収スペクトルおよび発光スペクトルに影響を及ぼす。ここで説明する無機蛍光体粒子のより高いルミネセンス−量子収量特性は、何れかのルミネセンス原理に基づいたデバイスのより効率的な動作を提供する。
【0021】
混合した前駆体パウダーの固相反応は、金属シリコン窒化物または金属シリコンオキシ窒化物の形成を生じさせる。その反応条件は、生成物材料にとって適切な結晶化度が得られるように選択できる。オキシ窒化物蛍光体の形成のために、2つの加熱工程または焼成を用いることが望ましく、第1の工程において中間体のケイ酸塩化合物が合成され、これは第2の焼成において所望の結晶性構造へ容易に変換される。ここで説明する粒子合成のためのプロセスは、比較的低い温度で実施できる。適切な処理条件を伴う少なくとも幾つかのナノスケール前駆体材料の使用により、サブミクロンの生成物蛍光体が生産できる。生成物パウダーは、適切な発光特性および対応する量子効率を示す。
【0022】
生成物パウダーは、ミリングまたは他の処理が行われ、所望の粒子特性を持つ生成物材料を合成する。なお、幾つかの実施形態では、ミリングを回避することが望ましいこともある。ミリングは、ビーズミル(bead mill)等で実施できる。適切なミルは市販されている。幾つかの実施形態では、ミリングは、液体の存在下で実施できる。幾つかの実施形態では、低剪断及び/又は低エネルギーで粒子をミリングし、粒子のルミネセンスを著しく減少させるような粒子の結晶構造へのダメージを回避することが望ましい。サブミクロンのシリコン窒化物ベースの蛍光体は、ある範囲のディスプレイ応用で有用になる。代替または追加で、低エネルギーミリングまたは低エネルギー超音波破壊が、弱く凝集した粒子を分散させるために使用できる。
【0023】
生成物のサブミクロン蛍光体粒子は、これらの小さな粒子サイズに起因して、例えば、ディスプレイ画素などの小型な構造を形成するために使用できる。また、サブミクロン蛍光体は、高いルミネセンスを有し得る。良好なサイズ均一性を持つナノ粒子を備えたディスプレイ装置は、米国特許第7132783号(Kambe et al., "Phosphor Particles Having Specific Distribution of Average Diameters")に説明されており、これは参照によりここに組み込まれる。小さな粒子サイズおよび比較的高い光度は、改善したデバイス形成およびより効率的な動作の能力を提供する。高いルミネセンスは、より少ない量の蛍光体の使用と材料のコスト削減を提供する。
【0024】
一般に、蛍光体粒子は、ある範囲のディスプレイ及び/又は照明装置、例えば、発光ダイオード(LED)装置、陰極線管、プラズマディスプレイパネル、電界放出(filed emission)装置、エレクトロルミネセンス装置などへの組み込みが可能である。同様に、蛍光体は、固体照明装置において有用となり得る。蛍光体の特定の組成が、蛍光体から所望の発光を生じさせるように選択できる。幾つかの実施形態では、赤色発光蛍光体粒子が、赤色蛍光体の励起ソースとしてスペクトルの青色または近紫外のフォトンを放出する固体発光装置に組み込み可能である。
【0025】
(蛍光体粒子の特性および組成)
蛍光体から所望の発光スペクトルが得られるように、特定の組成および賦活剤濃度が選択できる。幾つかの実施形態では、生成物の窒化物ベース蛍光体は、赤色蛍光体として望ましい。なお、その組成は、可視および赤外スペクトルの他の部分で強い発光となるように選択できる。一般に、生成物の蛍光体粒子は、金属シリコン窒化物または金属シリコンオキシ窒化物を含むことができ、蛍光体粒子は、選択した賦活剤ドーパントを含む。ここで説明するように、サブミクロン蛍光体粒子を形成する望ましいプロセス手法に起因して、内部量子収量の観点で評価すると、粒子は極めて高い光度を有することができる。
【0026】
金属シリコン窒化物蛍光体に関して、その組成は、一般に、MSi:Rの組成を有し、ここで、Mは1つ又はそれ以上の金属を表し、Siはシリコン、Nは窒素、Rは1つ又はそれ以上のドーパント元素を表し、x,y,z,rは化学量論およびドーパントレベルを示す。rの値は、一般に、0.0001≦r≦0.5の範囲であり、更なる実施形態では、x+yに対する係数として、0.0001≦r≦0.1である。これらの範囲のドーパントレベルは、ここでは、蛍光体組成でのドーパントレベルに関して具体的な量が適用されていない化合物に対して適用可能である。Nが−3の原子価、Siが+4の原子価を有することから、x=(3z−4y−Wr)/Qになる。ここで、WはRの原子価、QはMの原子価である。この式は、M及び/又はRが複数の金属を含む実施形態について、当業者によって簡単に調整できる。
【0027】
アルカリ土類シリコン窒化物組成が、可視スペクトルの所望の部分での発光にとって有用な蛍光体組成である。例えば、赤色蛍光体が、組成MSi((2/3)x+(4/3)y):Rを有することができる。ここで、MはII族元素、即ち、Mg,Ca,Sr,Ba,Znまたはこれらの組合せであり、Siはシリコン、Rは希土類賦活剤元素、例えば、Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Luおよびこれらの組合せであり、組成の幾つかの実施形態は、0.5≦x≦3および1.5≦y≦8を有する。例えば、関心のある特定の組成は、化学量論MSi:Rを含む。これらの赤色蛍光体は、米国特許第7297293号(Tamaki et al., "Nitride Phosphor and Production Process Thereof, and Light Emitting Device")に説明されており、これは参照によりここに組み込まれる。
【0028】
ランタニドシリコン窒化物が、米国特許公開第2006/0017041A号(Tian et al, "Nitride Phosphors and Devices")に説明されており、これは参照によりここに組み込まれる。これらのランタニドシリコン窒化物は、式LnSi:Rを有する。ここで、Lnは三価ランタニドまたはこれらの組合せである。幾つかの実施形態では、窒化物蛍光体は、式M1−zLSiN:Rを有し、Mは二価元素、例えば、カルシウム、マンガン、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、ベリリウム、カドミウム、水銀またはこれらの組合せであり、Lは三価元素、例えば、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、イットリウム、スカンジウム、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマスまたはこれらの組合せであり、Siはシリコン、Nは窒素、Rは賦活剤元素、例えば、希土類元素、遷移金属元素またはこれらの組合せであり、rは一般に0.0001≦r≦0.5の範囲であり、更なる実施形態では、0.0001≦r≦0.1である。これらの組成は、米国特許第7252788号(Nagatomi et al., "Phosphor Light Source and LED")に説明されており、これは参照によりここに組み込まれる。追加の窒化物蛍光体が、式M1−zSi:RおよびM2−zSi:Rを有することができ、ここでMは二価元素、Lは三価元素、Rは賦活剤ドーパント金属元素、rは一般に0.0001≦r≦0.5の範囲であり、更なる実施形態では、0.0001≦r≦0.1であり、上述のMおよびLの特定の例を伴う。
【0029】
金属シリコンオキシ窒化物蛍光体の場合、その組成は、一般に、組成MSi:Rを有し、ここで、Mは1つ又はそれ以上の金属を表し、Siはシリコン、Nは窒素、Oは酸素、Rは1つ又はそれ以上のドーパント金属を表し、w,x,y,z,rは化学量論およびドーパントレベルを示す。rの値は、一般に、0.0001≦r≦0.5の範囲であり、更なる実施形態では、0.0001≦r≦0.1である。Nが−3の原子価、Siが+4の原子価を有することから、x=(3z+2W−4y−Wr)/Qになる。ここで、WはRの原子価、QはMの原子価である。この式は、M及び/又はRが複数の金属を含む実施形態について、当業者によって簡単に調整できる。
【0030】
幾つかの実施形態において、金属シリコンオキシ窒化物蛍光体が、二価金属元素を用いて形成できる。具体的には、式MSi:Rを持つ蛍光体(ここで、Mは二価元素、Rは賦活剤金属、0<x<15,0<y<30,2<z<6)が、米国特許第7291289号(Gotoh et al., "Phosphor and Production Method of the Same and Light Source and LED Using the Phosphor")に説明されており、これは参照によりここに組み込まれる。
【0031】
Mとして適切な二価元素の例は、例えば、Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd,Hgおよびこれらの組合せを含む。Rは、一般に、希土類金属元素、遷移金属元素またはこれらの組合せとすることができる。一般に、蛍光体は、0.0001≦r≦0.5の式モル範囲であり、更なる実施形態では、0.0001≦r≦0.1のRを含む。二価金属をベースとした他のシリコンオキシ窒化物蛍光体は、式(Sr1−x−yBaCa1−cSi:Eu(0<x+y<0.5)を有することができる。
【0032】
より一般的なシリコンオキシ窒化物蛍光体組成が、米国特許第7297293号(Tamaki et al., "Nitride Phosphor and Production Process Thereof, and Light Emitting Device"に説明されており、これは参照によりここに組み込まれる。適切な金属シリコンオキシ窒化物組成が、式MSi(2/3)X+(4/3)y−(2/3)z:Rを有することができ、Mは二価元素、例えば、Mg,Ca,Sr,Ba,Znおよびこれらの組合せであり、Siはシリコン、Nは窒素、Rは希土類元素であり、Rは一般にxに対してせいぜい約0.5の式モル量、更なる実施形態では、xに対してせいぜい約0.1の式モル量で存在する。幾つかの実施形態では、パラメータは、おおよそ0.5≦x≦3,1.5≦y≦8,0<z≦3の範囲である。ランタンシリコンオキシ窒化物およびシリコンアルミニウムホウ素オキシ窒化物が、米国特許公開第2006/0017041号(Tian et al., "Nitride Phosphors and Devices")で議論されており、これは参照によりここに組み込まれる。
【0033】
シリコンアルミニウムオキシ窒化物は、一般にSiAlONと称されており、蛍光体としてかなりの関心を集めている。活性化SiAlON蛍光体が、米国特許公開第2005/0285506号(Sakuma et al., Oxynitride Phosphor and a Light Emitting Device")に説明されており、これは参照によりここに組み込まれる。特に、重要な1クラスのSiAlONは、式M(Si,Al)12(O,N)16:Euを有する。ここで、Mは二価金属、xはおおよそ0.3<x<1.5の範囲であり、yはおおよそ0.001<y<0.8の範囲であり、Euは他の希土類元素と部分的または完全に置換可能である。(Si,Al)12は、SiAl(a+b=12)を意味し、(O,N)16は、O(c+d=16)を意味する。幾つかの実施形態では、bはおおよそ0.3<b<6.75の範囲であり、cはおおよそ0<c<2.5の範囲である。
【0034】
粒子の内部量子効率(IQE)は、放出フォトン数/吸収フォトン数として測定できる。ここで説明するサブミクロン/ナノスケール蛍光体粒子の場合、IQEは、少なくとも約25%になり、更なる実施形態では、少なくとも約35%、他の実施形態では少なくとも約40%、追加の実施形態では少なくとも約45%、他の実施形態では約50〜約75%になり得る。当業者は、明示した範囲内での追加範囲の量子効率が予想され、本開示の範囲内であることは認識するであろう。
【0035】
定義により、内部量子効率は下記の式(1)を用いて評価できる。
【0036】
【数1】

【0037】
ここで、N,N,Nは、それぞれ入射光、放射光、反射光のスペクトルにおけるフォトン数である。これらの値は、標準光源を用いて較正された分光光度計を用いて測定される。そして、標準光の放射輝度(radiance)が単位 W/nm/cm/srで与えられた場合、量子効率は下記の式(2)で表される。
【0038】
【数2】

【0039】
ここで、I(λ),E(λ),R(λ)は、それぞれ入射光、放射光、反射光のスペクトルである。標準光の放射輝度が単位 フォトン/nm/cm/srで与えられた場合、式(2)中の積分でのλの係数は省略する必要がある。
【0040】
分光光度計と連結した積分球を用いた測定手順は、論文(J.C. de Mello, H.F. Wittmann, and R.H. Friend "An improved experimental determination of external photoluminescehce quantum effect", Adv. Mater. 9, 230 (1997))によって正当化されている。3つの測定が必要になる。
【0041】
1.レーザ(または他の励起光源)を空の球の中に照射する。
2.サンプルを球の中に置くが、レーザは壁に向ける。
3.サンプルを球の中に置き、レーザをサンプルに法線方向で照射する。
【0042】
収集したスペクトルから、レーザスペクトルおよび発光スペクトルをデコンボリューションし、積分する。そして、量子効率が下記の式(3)で計算される。
【0043】
【数3】

【0044】
ここで、Lは、積分したレーザスペクトルに対応し、Eは、積分した発光スペクトルに対応する。積分球は、UV−可視分光光度計を用いた用途で市販されている。内部量子効率の測定について同様な手法が、米国特許第7001537号(Kijima et al., "Phosphor and its Production Process")に説明されており、これは参照によりここに組み込まれる。この方法は膜材料に適用可能である。積分球は、UV−可視分光光度計を用いた用途で市販されている。
【0045】
米国特許第7001537号(Kijima et al., "Phosphor and its Production Process")に説明されている内部量子効率の測定に関する手法は、パウダーサンプルから内部量子効率の直接測定に使用できる。最初に、0.98の反射率を有する白拡散標準体を積分球の中に置いて、光源を用いて約5〜10度の入射角で照射する。標準体から反射した光スペクトルは、球と連結したスペクトル放射計によって収集される。このスペクトルに関する積分は、Iと称される。
【0046】
そして、標準体は、ペレット状に押圧されたパウダーでもよいサンプルと置き換えられる。サンプルは、標準体と同じ配置でレーザ光源を用いて照射される。サンプルのスペクトルは、積分球と連結したスペクトル放射計を用いて収集される。サンプルのスペクトルは、反射スペクトルと発光スペクトルにデコンボリューションを行う。一般に、デコンボリューションは、カットオフの割り当てをベースとしており、カットオフより上の波長が発光とみなされ、カットオフより下の波長が反射とみなされる。反射スペクトルと発光スペクトルの両方を積分する。反射領域での積分はRと称し、発光領域での積分はEと称している。
【0047】
これらのペクトルは球壁から収集される。これらをサンプル表面での実際の量と関連付けるために、積分球の特性、例えば、乗算係数、ポートサイズなどを考慮する必要がある。これらは実験定数Z,Zを用いて記述できる。量子効率の正確な決定のため、積分球の壁によって後方散乱した反射光によって生ずるサンプル照射への追加の関与を考慮する必要がある。
【0048】
そして、内部量子効率(IQE)が下記の式(4)で表される。
【0049】
【数4】

【0050】
同様に、外部量子効率(EQE)は、入射光に対する放射光のスペクトル中のフォトン数の比率であり、下記の式(5)で評価できる。
【0051】
【数5】

【0052】
(ナノスケール前駆体粒子)
サブミクロン蛍光体粒子の合成のためのプロセスは、一般に、ナノスケール粒子サイズ、即ち、せいぜい約100nmの平均1次粒子サイズを有する1つ又はそれ以上のタイプの前駆体粒子の使用を含むことができる。適切なナノ粒子が、例えば、レーザ熱分解、火炎(flame)合成、燃焼、またはゾルーゲル法などの溶液ベースのプロセスによって形成できる。適切な手法の選択は、選択した前駆体粒子の組成に依存することがある。特に、フローベースのプロセス、例えば、レーザ熱分解または火炎スプレー熱分解などが、均一なナノスケール粒子の合成のために上手く使用されている。レーザ熱分解は、粒子を形成する反応を促進する、強力な光源からの光を必要とする。レーザ熱分解は、選択した組成および平均粒子直径の狭い分布を持つ広範囲のナノスケール粒子を効率的に生産するのに優れた手法である。代替として、サブミクロン粒子が、火炎製造装置、例えば、米国特許第5447708号(Helble et al., "Apparatus for Producing Nanoscale Ceramic Particles")(参照によりここに組み込まれる)に説明されている装置を用いて生産できる。さらに、サブミクロン粒子が、熱反応チャンバ、例えば、米国特許第4842832号(Inoue et al., "Ultrafine Spherical Particles of Metal Oxide and a Method for the Production Thereof")(参照によりここに組み込まれる)に説明されている装置を用いて生産できる。
【0053】
金属/半金属の窒化物、酸化物またはオキシ窒化物の生産のためのフローベースのプロセスの応用の基本的な特徴は、所望の金属/半金属前駆体の反応フローへの導入である。また、窒素ソース、酸素ソースまたは両方が、反応フローに導入される。火炎スプレー熱分解は、一般に、選択した金属/半金属酸化物組成のサブミクロン粒子を合成するために使用できる。レーザ熱分解は、金属/半金属酸化物、金属/半金属窒化物または金属/半金属オキシ窒化物組成の広範囲の選択したサブミクロンパウダーを合成するために使用できる。
【0054】
火炎スプレー熱分解では、液体前駆体および液体燃料のエアロゾルが反応チャンバに送給され、燃料が酸素雰囲気中で燃焼して生成物の金属/半金属酸化物粒子を形成する。粒子は、適切なフィルタまたは他の捕集器(collector)を用いてフローから捕獲される。一般に、反応器は環境大気に開放されている。反応のための酸素の全部または一部が、空気を反応器に引き込むことによって供給される。熱分解前駆体は、エアロゾル送給システムから送給される液体中に溶解可能な金属/半金属組成を含むことができる。金属酸化物の生産のための火炎スプレー熱分解は、米国特許第5958361号(Laine et al., "Ultrafine Metal Oxide Powders by Flame Spray Pyrolysis")に説明されており、これは参照によりここに組み込まれる。金属/半金属酸化物の火炎スプレー熱分解合成のための汎用前駆体溶液、例えば、水性前駆体溶液は、同時係属の米国特許出願(2008年10月24日出願、シリアル番号:12/288890、発明者:Jaiswal et al.、名称:"Flame Spray Pyrolysis With Versatile Precursors For Metal Oxide Nanoparticle Synthesis and Applications of Submicron Inorganic Oxide Compositions for Transparent Electrodes")に説明されており、これは参照によってここに組み込まれる。
【0055】
レーザ熱分解は、極めて均一なナノ粒子を形成するのに望ましい手法である。レーザ熱分解において、強力な光源からの光が、粒子を形成する反応を促進する。レーザ熱分解は、例えば、複数の金属/半金属元素およびドープ元素を有する組成を含む、広範囲の無機粒子の合成のため上手く使用されている特に多目的な粒子合成法である。
【0056】
便宜上、光ベースの熱分解は、レーザ熱分解と称される。この用語は、放射源としてレーザの利便性を反映しており、先行技術のレーザ熱分解法での伝統的な用語であり、気体、蒸気、エアロゾルまたはこれらの組合せを含む反応フローを組み込んで、所望の元素フローをフロー流れに導入することができる。気体、蒸気及び/又はエアロゾルを伴う反応流を発生する汎用性は、広範囲の可能性のある組成を持つ粒子の発生を提供する。
【0057】
所望の無機ナノ粒子の生産のためのレーザ熱分解の上手な応用の基本的な特徴は、1つ又はそれ以上の金属/半金属前駆体化合物、放射吸収体、そして幾つかの実施形態では、二次反応物質を含む反応流の発生である。二次反応物質は、所望の生成物への組み込みのために導入され、及び/又は、所望の生成物形成を促進する酸化剤または還元剤となり得る非金属/半金属原子、例えば、窒素または酸素のソースとなり得る。二次反応物質は、強力な光放射の下で前駆体が所望の生成物に分解する場合には使用しなくてもよい。同様に、別個の放射吸収体は、金属/半金属前駆体及び/又は二次反応物質が適切な光放射を吸収して反応を促進する場合には使用しなくてもよい。
【0058】
レーザ熱分解において、反応流の反応は、強力な放射ビーム、例えば、レーザビームなどの光ビームによって促進される。幾つかの実施形態では、COレーザを有効に使用できる。反応流が放射ビームから退くと、無機粒子は、得られる生成物粒子流、即ち、反応流の連続に存在する粒子とともに急速に冷却される。流れの概念は、一方の場所から到来し、他方の場所で終了する、2つのポイント間の質量の運動を伴うフローの伝統的な意味を有するものであり、混合する方式での運動とは区別される。
【0059】
レーザ熱分解による商業的な量の粒子の生産に適したレーザ熱分解装置は、レーザビーム経路に沿った方向にかなり細長くした反応入口を用いて開発されている。この高性能レーザ熱分解装置、例えば、1キログラム/時間又はそれ以上のものは、米国特許第5958348号("Efficient Production Of Particles By Chemical Reaction")に説明されており、これは参照によりここに組み込まれる。レーザ熱分解による粒子の商業生産のためのエアロゾル前駆体の配給のための装置は、同時係属し譲渡された、米国特許第6193936号(Gardner et al., "Reactant Delivery Apparatus")、および米国特許出願第12/233325号(Frey et al., "Uniform Aerosol Delivery for Flow-Based Pyrolysis for Inorganic Material Synthesis")に説明されており、これらは参照によりここに組み込まれる。
【0060】
広範囲の簡単および複雑なサブミクロン及び/又はナノスケール粒子は、追加の加熱処理有りまたは無しのレーザ熱分解によって生産されている。一般に、無機粒子は、金属または半金属元素を元素形態または化合物形態で含んでいる。特に、無機粒子は、例えば、元素金属または元素半金属、即ち、例えば、銀またはシリコンなどの非イオン化元素、金属/半金属酸化物、金属/半金属窒化物、金属/半金属炭化物、金属/半金属硫化物またはこれらの組合せを含むことができる。さらに、これらの高品質材料の均一性が重要になることがある。これらの粒子は、一般に、極めて狭い粒子サイズ分布を有し得る。
【0061】
幾つかの異なるタイプのナノスケール粒子が、レーザ熱分解によって生産されている。選択した無機粒子は、一般に、可変の相対的比率で存在する異なる元素の数を持つ組成を含むものとして特徴付けでき、数および相対的比率はナノスケール粒子のための応用に基づいて選択される。生産し(可能ならば追加の処理、例えば、加熱処理とともに)または、レーザ熱分解による生産について詳細に説明している材料は、例えば、カーボン粒子、シリコン、SiO、ドープSiO、チタン酸化物(アナターゼおよびルチルTiO)、MnO、Mn、Mn、Mn、バナジウム酸化物、銀バナジウム酸化物、リチウムマンガン酸化物、アルミニウム酸化物(γ−Al,δ−Al,θ−Al)、ドープアルミニウム酸化物(アルミナ)、錫酸化物、亜鉛酸化物、希土類金属酸化物粒子、希土類ドープ金属/半金属窒化物粒子、希土類金属/半金属硫化物、希土類ドープ金属/半金属硫化物、銀金属、鉄、鉄酸化物、鉄炭化物、鉄硫化物(Fe1−xS)、セリウム酸化物、ジルコニウム酸化物、チタン酸バリウム(BaTiO)、ケイ酸アルミニウム、チタン酸アルミニウム、炭化シリコン、窒化シリコン、錯陰イオン、例えば、リン酸、ケイ酸、硫酸などを持つ金属/半金属化合物などを含む。
【0062】
レーザ熱分解による広範囲の粒子の製造は、米国特許第7384680号(Bi et al., "Nanoparticle Production and Corresponding Structures")に説明されており、これは参照によりここに組み込まれる。
【0063】
シリコン酸化物ナノ粒子の生産は、米国特許第6726990号(Kumar et al., "Silicon Oxide Particles")に説明されており、これは参照によりここに組み込まれる。この特許は、アモルファスSiOの生産を記述している。レーザ熱分解による炭化シリコンおよび窒化シリコンの合成は、国際特許公開第WO01/32799A号(Reitz et al., "Particle Dispersions")に説明されており、これは参照によりここに組み込まれる。レーザ熱分解によるシリコン粒子の生産は、論文(Cannon et al., J. of the American Ceramic Society, Vol. 65, No. 7, pp. 330-335 (1982), entitled Sinterable Ceramic Particles From Laser-Driven Reactions: II, Powder Characteristics And Process Variables")に説明されており、これは参照によりここに組み込まれる。
【0064】
上述のように、窒化シリコンのレーザ熱分解合成は記述されており、SiHおよびNH前駆体を用いたレーザ熱分解の使用をベースとしていた。同様なプロセスが、下記の例で説明する窒化シリコンナノスケールパウダーを合成するために使用されている。所望の金属窒化物ナノスケールパウダーが同様に合成できる。例えば、前駆体フローが所望の金属元素を含むことができ、これは一般に上記参考文献に記載された形態で供給できる。窒素は、NH,N、その他の窒素化合物またはこれらの組合せを用いて供給可能である。
【0065】
幾つかの実施形態において、ナノスケール前駆体粒子の堆積物(collection)は、約100nm未満の平均1次粒子直径、幾つかの実施形態では約2nm〜約75nm、更なる実施形態では約2nm〜約50nm、追加の実施形態では約2nm〜約25nmの平均1次粒子直径を有してもよい。当業者は、これらの特定の範囲内で他の範囲がここでの開示によってカバーされていることを認識するであろう。1次粒子直径は、透過電子顕微鏡によって評価される。
【0066】
ここで使用したように、用語「粒子」は、物理的粒子を指し、液体中での超音波撹拌によって分解できないものであり、即ち、物理的粒子はかなり弱い表面力によって結合しない。従って、粒子は、1次粒子(未融合)および固体ブリッジ(solid bridge)で化学結合した1次粒子からなる硬い凝集を指す。レーザ熱分解で形成された粒子では、粒子は、一般には、1次粒子、即ち、材料内部の1次構造元素と事実上同一でもよい。幾つかの1次粒子の硬い融合(hard fusing)がある場合、これらの硬く融合した1次粒子は、対応して大きな物理的粒子を形成する。1次粒子は、おおよそ球形の肉眼的形態を有することができ、あるいはロッド形状、プレート形状または他の非球形状を有することができる。近接した調査では、結晶性粒子は、一般に、下地の結晶格子に対応した彫面(facet)を有する。アモルファス粒子は、一般に、球形の面(aspect)を有する。非対称性の粒子についての直径測定は、粒子の主軸に沿った長さ測定の平均をベースとしている。これらの小さなサイズのため、隣接する粒子間のファンデルワールス力および他の電磁力に起因して、粒子は緩い凝集を形成する傾向がある。緩い凝集は、分散剤中でかなりの程度に分散可能である。幾つかの実施形態では、ほぼ完全に分散した1次粒子を形成している。分散した粒子のサイズは、2次粒子サイズと称される。1次粒子サイズは、当然ながら、特定の粒子堆積物についての2次粒子サイズの下限である。その結果、1次粒子が実質的に溶融しておらず、粒子が液体中で事実上完全に分散している場合は、平均2次粒子サイズは、おおよそ平均1次粒子サイズになる。2次または凝集した粒子サイズは、初期の形成、粒子の組成および構造、そして後続の粒子処理に依存することがある。
【0067】
粒子が緩い凝集を形成していても、ナノメータスケールの粒子、そして1次粒子は、粒子の透過電子顕微鏡像において明瞭に観察できる。粒子は、顕微鏡像で観察されるように、一般に、ナノメータスケールでの粒子に対応した表面積を有する。さらに、粒子は、材料の重さに対してこれらの小さなサイズおよび大きな表面積に起因して、ユニークな特性を示すことがある。例えば、結晶性のナノスケールTiO粒子の吸収スペクトルは、紫外にシフトしている。
【0068】
粒子は、サイズについて高度の均一性を有することができる。レーザ熱分解は、一般に、極めて狭い範囲の粒子直径を有する粒子をもたらす。さらに、適切に緩い条件下での加熱処理は、一般に、極めて狭い範囲の粒子直径を大きくは変化させない。レーザ熱分解のための反応物質のエアロゾル配給の場合、粒子直径の分布は、反応条件に特に敏感である。それでも反応条件が適切に管理されていれば、エアロゾル配給システムを用いて極めて狭い分布の粒子直径が得られる。透過電子顕微鏡像の評価から決定されるように、1次粒子は、一般に、少なくとも約95%、幾つかの実施形態では、99%の粒子が平均直径の約35%より大きく、平均直径の約220%より小さい直径を有するようなサイズ分布を有する。追加の実施形態では、1次粒子は、一般に、少なくとも約95%、幾つかの実施形態では、99%の粒子が平均直径の約40%より大きく、平均直径の約160%より小さい直径を有するようなサイズ分布を有する。幾つかの実施形態では、1次粒子は、一般に、少なくとも約95%、幾つかの実施形態では、99%の粒子が平均直径の約60%より大きく、平均直径の約140%より小さい直径を有するようなサイズ分布を有する。当業者は、これらの特定の範囲内で他の範囲の均一性が、ここでの開示によってカバーされていることを認識するであろう。幾つかの実施形態では、粒子は、1次粒子について上記のパラメータ範囲内での分布を有することがある。
【0069】
さらに、幾つかの実施形態において、平均直径の約10倍より大きい平均直径、他の実施形態では平均直径の約6倍、更なる実施形態では平均直径の約5倍、追加の実施形態では平均直径の約3倍より大きい平均直径を有するような1次粒子は本質的には存在しない。換言すると、1次粒子サイズ分布は、かなり大きなサイズを持つ少数の1次粒子を示すようなテイル(tail)を有していない。これは、無機粒子を形成する小さな反応領域および、対応した無機粒子の急速な冷却の結果である。幾つかの実施形態では、粒子は、1次粒子についての上記の範囲内で粒子サイズ分布のテイルにカットオフを有してもよい。粒子サイズ分布のテイルにおける有効カットオフは、平均直径を超えた特定のカットオフより大きな直径を有する粒子が10のうち約1個未満しか存在しないことを示している。高い粒子均一性が種々の応用で活用できる。
【0070】
さらに、混入のための前駆体ナノ粒子は、極めて高い純度を有してもよい。さらに、レーザ熱分解によって生産されるような結晶性ナノ粒子は、高い結晶化度を有し得る。同様に、レーザ熱分解で生産された結晶性ナノ粒子は、結晶化度及び/又は特定の結晶構造を改善及び/又は変更するために、続いて加熱処理が可能である。粒子表面での不純物が粒子を加熱することによって除去でき、高い結晶性純度だけでなく全体の高い純度を達成できる。
【0071】
(サブミクロン窒化物およびオキシ窒化物のための合成プロセス)
ここで説明する固相合成法は、組成式Siを持つシリコン窒化物など、ナノスケール前駆体粒子の使用をベースとすることが可能である。なお、この合成法はシリコンリッチの窒化物を生じさせ得る。幾つかの実施形態では、複数のナノスケール前駆体材料が使用できる。例えば、1つ又はそれ以上のシリコンベースの前駆体、例えば、Si及び/又はSiO、及び/又は1つ又はそれ以上の金属ベースの前駆体、例えば、AI,AlNまたはCaOが、せいぜい約100nmの平均量子サイズを備え、生成物の窒化物またはオキシ窒化物組成を生成する熱反応のために組合せ可能である。幾つかの実施形態では、生成物の蛍光体の主要成分が、熱合成反応のためにナノスケールパウダーとして導入される。2つの加熱処理工程が使用でき、第1の熱反応はかなりの程度まで用いられ、選択した化学量論を持つ所望の材料を形成するものであり、第2の熱処理工程は生成物の蛍光体の結晶性を改善する。ナノスケールの出発原料の使用により、粒子を破砕するハードミリング工程の使用なしで、サブミクロン蛍光体粒子が合成可能である。
【0072】
一般に、適切なナノスケール前駆体パウダーを合成したり、別の方法で獲得できる何れの合理的な手法も使用可能である。ナノスケールパウダーは、せいぜい約100nmの平均1次粒子サイズを持つ粒子の堆積物(collection)を含む。ナノスケール前駆体のより詳細は、上記のセクションで説明している。同様に、適切な合成手法はナノスケール前駆体に関して上述している。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの前駆体材料が、せいぜい約100nmの平均1次粒子サイズを有する。追加の実施形態では、複数の異なる前駆体パウダーが、せいぜい約100nmの平均1次粒子サイズを有する。更なる実施形態では、ドーパント元素を導入する1つ又はそれ以上の前駆体を除く全ての前駆体パウダーがせいぜい約100nmの平均1次粒子サイズを持つ粒子を含む。追加の実施形態では、全ての前駆体パウダーがせいぜい約100nmの平均1次粒子サイズを有する。
【0073】
これらの実施形態の何れについて、前駆体粒子は、約2nm〜約75nm、代替として約2nm〜約50nm、さらには約2nm〜約25nmの平均1次粒子サイズを有することができる。当業者は、明示した範囲内での追加範囲が予想され、本開示の範囲内であることは認識するであろう。幾つかの実施形態では、前駆体粒子は、前駆体1次粒子について上述したような粒子サイズの狭い分布を有することができる。
【0074】
窒化物蛍光体に関して、蛍光体合成プロセスは、サブミクロンシリコン窒化物粒子を金属窒化物粒子と混合することを含んでもよい。幾つかの実施形態では、金属窒化物は、アルカリ金属窒化物、アルカリ土類金属窒化物、遷移金属窒化物、またはAl,Ga,In,Sn,Sb,Tl,Pb,BiまたはPoの窒化物でもよい。粒子は、固相反応を実施する前に、固相混合を用いて混ぜ合わせ可能である。なお、粒子は、幾つかの実施形態ではこれらの混合の際に、分散液中で分散可能である。金属窒化物粒子は、一般に、例えば、アルカリ土類窒化物粒子またはランタニド窒化物粒子などの粒子の混合物を含む。ドーパントが、対応する酸化物及び/又は窒化物として導入可能である。ドーパント前駆体の形態は少量のためあまり重要ではなく、窒素含有環境での加熱処理、即ち、窒化物形成の際に、対応した窒化物に変換できるためである。混合した後、例えば、蒸発及び/又は相分離を用いて、液体が除去される。
【0075】
前駆体パウダーを混合した後、粒子混合物は、一般には、還元性及び/又は、H,Nまたはこれらの組合せを含む窒素含有の環境で加熱される。特に、せいぜい約10モルパーセントのH、更なる実施形態ではせいぜい約4モルパーセントのHとNの組合せが使用可能である。当業者は、明示した範囲内での水素含量の追加範囲が予想され、本開示の範囲内であることは認識するであろう。加熱は、適切なオーブン、加熱炉などで、制御された雰囲気で、一般にはせいぜい約1600℃の温度、幾つかの実施形態では約1000℃〜約1450℃の範囲、幾つかの実施形態では約1000℃〜約1200℃の範囲で実施できる。加熱は、一般には、少なくとも15分間、更なる実施形態では約30分間〜約24時間、幾つかの実施形態では約45分間〜約10時間で実施できる。当業者は、明示した範囲内での温度および加熱時間の追加範囲が予想され、本開示の範囲内であることは認識するであろう。ここで説明する加熱処理および他の加熱工程は、加熱処理の際、より均一な熱分布を有するように、混合または撹拌とともに実施できる。また、加熱および冷却のレートは、所望の生成物の特性を達成するように、合理的な値について調整可能である。
【0076】
オキシ窒化物粒子の形成のため、前駆体パウダーは、酸化物粒子、窒化物粒子またはこれらの組合せを含むことができる。例えば、シリコン窒化物およびシリコン酸化物のパウダー混合物を金属酸化物粒子とともに使用することが望ましい。なお、金属酸化物パウダーに加えて及び/又はその代替として、金属窒化物パウダーが使用可能である。1つ又はそれ以上のこれらのパウダーは、せいぜい約100nmの平均1次粒子サイズを有することができる。シリコン窒化物およびシリコン酸化物の相対量は、金属酸化物および金属窒化物のパウダーの量とともに、所望量の窒素および酸素を生成物パウダーへ導入するように選択できる。さらに、処理工程中の雰囲気は、生成物組成での窒素および酸素の量を変えることがある。処理のための特定の組成選択は、可能性のある異なる材料反応性に起因して、材料の処理に影響することがある。
【0077】
オキシ窒化物材料の形成について幾つかの実施形態では、加熱を2つの工程プロセスで実施できる。第1の工程では、シリコン酸化物が金属酸化物パウダーとともに混合され、ケイ酸塩生成物組成を形成する。加熱工程は、例えば、大部分のNガスと少量のHを有するフォーミングガスなど、還元性雰囲気で実施できる。第1の工程は、一般にはせいぜい約1400℃の温度、幾つかの実施形態では、約1000℃〜約1200℃の範囲の温度で実施できる。加熱は、一般には、少なくとも15分間、更なる実施形態では約30分間〜約24時間、幾つかの実施形態では約45分間〜約10時間で実施できる。得られたケイ酸塩パウダーは、シリコン窒化物及び/又は金属窒化物と混合できる。この第2の混合物は、結晶性オキシ窒化物を形成するための第2の加熱工程に投入できる。少量のフラックス(flux)材料、例えば、塩化アンモニウムまたはフッ化アンモニウムなどが、モフォロジー(morphology)を改善し、反応温度を低減するために添加できる。第2の加熱工程は、一般にはせいぜい約1600℃の温度、幾つかの実施形態では、約1100℃〜約1400℃の範囲の温度で実施できる。加熱は、一般には、少なくとも15分間、更なる実施形態では約30分間〜約24時間、幾つかの実施形態では約45分間〜約12時間で実施できる。当業者は、処理時間および処理温度の追加範囲が予想され、本開示の範囲内であることは認識するであろう。オキシ窒化物を形成するための2工程処理法はまた、文献(Yun et al., J. Electrochemistry Society 154: J320 (2007))で検討されている。
【0078】
固相反応に続いて、生成物の蛍光体粒子は、サブミクロン特性を有することができる。一般に、粒子は、比較的高いレベルの結晶化度で形成可能である。サブミクロン粒子の結晶化度および対応する光度にとって、ミリングが著しく不利益となり得ることが判明した。従って、かなりの量のミリングは、一般には望ましくなく、特に、粒子サイズを著しく低減するミリングの使用は望ましくない。下記実施例で合成したサブミクロン蛍光体パウダーは、大量のミリングなしで形成した。特に、大量の剪断力を粒子に印加することなくクラスターを分散させるために、超音波を使用した。一般に、低剪断および低エネルギーミリングまたは他の混合法だけを用いて、最終の蛍光体粒子を処理することが望ましいと判明した。高い結晶化度のサブミクロン蛍光体粒子の有望さは、米国特許公開第2007/0215837A号(Chiruvolu et al., "Highly Crystalline Nanoscale Phosphor Particles and Composite Materials Incorporating the Same")の金属酸化物蛍光体の文脈にさらに説明されており、これは参照によりここに組み込まれる。得られた粒子は、上述したように、高い内部量子収量を有する。
【0079】
(蛍光体応用)
種々の望ましい蛍光体粒子およびこれらの調製について、ここで詳細に説明する。蛍光体は、励起後、可視光などの光を放出する。幾つかの有用な蛍光体は、光スペクトルの赤外領域での光を放出する。蛍光体を励起するために種々の方法が使用可能であり、特定の蛍光体は1つ又はそれ以上の励起手法に反応し得る。特定のタイプのルミネセンスは、例えば、カソードルミネセンス、フォトルミネセンス、エレクトロルミネセンスなどであり、それぞれ電子、光および電界による励起を含む。カソードルミネセンス蛍光体として適した多くの材料は、エレクトロルミネセンス蛍光体としても適している。特に、蛍光体粒子は、1キロボルト(KV)未満、より好ましくは100V未満のポテンシャルで加速された電子を持つ低速電子励起に適している。粒子の小さなサイズは、低速電子励起に適したものにする。低エネルギー電子励起が使用できる。対応した電子の低い浸透距離は、粒子サイズの減少とともに制限的でなくなるためである。
【0080】
さらに、ナノスケール粒子は、例えば、低い電子速度励起で、高いルミネセンスを発生できる。電圧が減少すると、小型サイズの粒子から高い光度が期待できる。なお、粒子サイズは、より小さな粒子サイズがわずかに減少した光度をもたらすように到達できる。
【0081】
減少する粒子サイズの蛍光体への効果は、論文("The Effects of Particle Size And Surface Recombination Rate on the Brightness of Low-Energy Phosphor," J. S. Yoo et al., J. App. Phys. 81 (6), 2810-2813 (March 15, 1997))において理論的に説明されており、これは参照によりここに組み込まれる。
【0082】
改善した蛍光体粒子は、ある範囲の視覚化応用において有効に使用できる。さらに、エネルギー効率がより良い一般照明光源を生産する要望がある。例えば、蛍光体粒子は、ディスプレイ、車両照明、信号機、家庭照明、公共照明、標識、他の一般照明において使用可能である。ここで説明する蛍光体は、照明からより望ましい色品質を作成するように、蛍光照明へ組み込み可能である。また、蛍光体は、固体照明デバイスへ組み込み可能である。例えば、これらの照明デバイスは、共通の半導体基板上に形成された発光ダイオードアレイを備えることができる。蛍光体は、ダイオード発光を白色発光へシフトするために使用できる。固体照明デバイスの実施形態は、例えば、米国特許第7329887号(Henson et al., "Solid State Light Device")にさらに説明されており、これは参照によりここに組み込まれる。また、適切な組成を持つ改善した蛍光体は、X線シンチレーションカウンタにおいて使用可能であり、米国特許第6974955号(Okada et al., "Radiation Detection Device and System, and Scintillator Panel Provided to the Same")にさらに説明されており、これは参照によりここに組み込まれる。
【0083】
蛍光体粒子は、何れの種々のディスプレイ装置を生産するために使用可能である。幾つかのディスプレイにおいて、蛍光体は、例えば、エレクトロルミネセンスまたはカソードルミネセンスの結果としての自己発光である。幾つかのディスプレイにおいて、蛍光体は、バックライト照明の結果として、例えば、液晶バックライトまたは発光ダイオードバックライトからの励起とともに、所望の視覚化を有効に生み出す。これらのディスプレイは、ホームエレクトロニクスまたは車両ディスプレイにおいて使用可能である。
【0084】
1つの代表的な実施形態において、図1を参照すると、ディスプレイ装置100は、片側に蛍光体層104を有するアノード102を備える。蛍光体層は、適当な形状のカソード106に面しており、カソード106は蛍光体を励起するために用いられる電子ソースである。グリッドカソード108が、アノード102とカソード106の間に配置され、カソード106からアノード102への電子の流れを制御している。更なる実施形態は、下記の教示に基づいて当業者によって形成可能である。
【0085】
特に、シリコン窒化物ベースの蛍光体は、LEDデバイスにおいて有用となり得る。特に、白色光を放出するLEDデバイスを有することが望ましい。ダイオード光源は、一般に、比較的狭い帯域の光を放出する。そこで、複数の蛍光体を組み合わせて、LEDから白色光を発生する。1つ又はそれ以上の蛍光体が、ここで説明するように、サブミクロンのシリコンベース窒化物及び/又はオキシ窒化物蛍光体とすることができる。蛍光体の混合物をベースとした白色発光LEDの形成は、米国特許第7291289号(Gotoh et al., "Phosphor and Production Method of the Same and Light Source and LED Using the Phosphor")および米国特許第7345418号(Nagatomi et al., "Phosphor Mixture and Light Emitting Device Using the Same")に説明されており、これらは参照によりここに組み込まれる。
【0086】
蛍光体材料は、ポリマーとの組合せが可能であり、得られた複合材料は、発光ダイオード用のカプセル材料として使用できる。ここで用いたように、発光ダイオード(LED)は、ダイオードレーザおよびインコヒーレント発光ダイオードを含む。蛍光体を持つ複合物は、放出された光の波長をシフトできる。LEDカプセル材料の代表的な構成は、米国特許第6921929号(LeBoeuf et al., "Light-Emitting Diode (LED) With Amorphous Flu[sigma]ropolymer Encapsulant and Lens")に示されており、これは参照によりここに組み込まれる。発光ダイオード(LED)デバイスのための白色発光蛍光体混合物は、例えば、米国特許第6621211号(Srivastava et al., "White Light Emitting Phosphor Blends for LED Devices")において説明されており、これは参照によりここに組み込まれる。さらに、表面電子ディプレイ(SED)に使用される蛍光体が、例えば、米国特許第6015324号(Potter, "Fabrication Process for Surface Electron Display Device With Electron Sink")において説明されており、これは参照によりここに組み込まれる。
【0087】
追加の実施形態に関して、陰極線管(CRT)が画像を生成するために長期間使用されいる。CRTは、一般に、比較的高い電子速度を使用する。蛍光体粒子は、上述のように、異なる色の粒子を供給し、蛍光体厚さを低減し、所定の光度での蛍光体量を削減する便利な方法として好都合に使用可能である。CRTは、図1に示すような一般的な構造を有し、アノードおよびカソードが比較的長い距離だけ離れており、一般にはグリッド電極ではなく操縦(steering)電極が電子をカソードからアノードへ案内するために用いられている点が異なる。CRTでの蛍光体の使用は、例えば、米国特許第5523114号(Tong et al., "Surface Coating With Enhanced Color Contrast for Video Display")において説明されており、これは参照によりここに組み込まれる。
【0088】
他の適切な応用は、例えば、フラットパネルディスプレイの生産を含む。フラットパネルディスプレイは、例えば、液晶または電界放出デバイスをベースにできる。液晶ディスプレイは、何れの種々の光源をベースにできる。蛍光体が液晶ディスプレイ用照明の生産において有用となり得る。液晶ディスプレイはまた、エレクトロルミネセンスディスプレイからのバックライト照明を用いて照射できる。バックライトLCDディスプレイは、例えば、米国特許公開第2004/0056990号(Setlur et al., "Phosphor Blends and Backlight Sources For Liquid Crystal Displays")において説明されており、これは参照によりここに組み込まれる。
【0089】
エレクトロルミネセンスディスプレイは、自動車ダッシュボードおよびコントロールスイッチ照明など、他のディスプレイ応用にも使用可能である。さらに、組み合わせた液晶/エレクトロルミネセンスディスプレイが設計されている。文献(Fuh, et al., Japan J. Applied Phys. 33:L870-L872 (1994))を参照するとともに、これは参照によりここに組み込まれる。
【0090】
代替として、米国特許第5651712号("Multi-Chromic Lateral Field Emission Devices With Associated Displays And Methods Of Fabrication")は、参照によりここに組み込まれ、所望の光伝搬方向に沿ったエッジ(面ではなく)で配向した蛍光体層を有する電界放出デバイスを組み込んだディスプレイを開示する。この特許で示された構成は、所望の周波数で発光する蛍光体を用いるのではなく、所望の色放射を出力するカラーフィルタを組み込む。上述した粒子をベースとして、選択した蛍光体粒子が、異なる色の光を出力するために使用可能であり、これによりカラーフィルタの必要性を排除している。
【0091】
蛍光体が、高解像度のテレビジョンおよび投影テレビジョン用のプラズマディスプレイパネルにおいても使用される。これらの応用は、高いルミネセンスを必要とする。しかしながら、標準的な蛍光体は、一般には低い変換効率をもたらす。そして、放熱すべきかなりの熱および大きなエネルギー消費がある。サブミクロンまたはナノスケールの粒子の使用は、ルミネセンスを増加させて変換効率を改善できる。大きな表面積を持つ蛍光体をベースとしたサブミクロン/ナノスケールの粒子は、紫外光を効率的に吸収し、エネルギーを所望の色の光出力に変換する。蛍光体粒子を組み込んだプラズマディスプレイパネルは、米国特許第6833672号(Aoki et al., "Plasma Display Panel and a Method for Producing a Plasma Display Panel")において説明されており、これは参照によりここに組み込まれる。
【0092】
蛍光体粒子は、具体的に説明する代表的な実施形態を超えて、種々の他のデバイスでの使用に適応可能である。ここで説明するサブミクロン/ナノスケール蛍光体粒子は、上記構造を生産する基板に直接に塗布可能である。代替として、幾つかの実施形態では、蛍光体粒子は、ポリマーバインダー、例えば、基板塗布用の硬化性ポリマーなどと混合可能である。硬化性バインダーおよび蛍光体粒子を含む組成が、フォトリソグラフィ、スクリーン印刷または、基板をパターン形成するための他の適切な技法によって基板に塗布可能である。この組成が基板上に適切な位置で堆積すると、この材料は適切な条件に曝されて、ポリマーを硬化させる。ポリマーは、電子ビーム放射、UV放射または他の適切な技法によって硬化可能である。
【0093】
(実施例)
下記の例で説明する蛍光体合成のためのプロセスにおいて前駆体組成としての使用のために、シリコン窒化物ナノ粒子を生産した。詳細には、10〜20nmの範囲の1次粒子直径を持つナノスケールシリコン窒化物パウダーを、気相シラン(SiH)およびアンモニア(NH)前駆体と、不活性アルゴン減速(moderating)ガスを用いてレーザ熱分解によって合成した。レーザ熱分解装置は、基本的には、米国仮特許出願(シリアル番号:12/077076、2008年3月14日出願、発明者:Holunga et al.、名称:"Laser Pyrolysis with In-Flight Particle Manipulation for Powder Engineering")の図8に示すものであり、これは参照によりここに組み込まれる。不活性クエンチングガスをシステム内に導入し、生成物の粒子を冷却した。
【0094】
(実施例1−二価ユーロピウム活性化アルカリ土類−シリコン窒化物サブミクロンパウダーの合成)
本例は、幾つかのユーロピウム活性化アルカリ土類−シリコン窒化物サブミクロン粒子パウダーの合成を示す。
【0095】
バリウム金属パウダーを用いて窒素フロー下で550℃、6時間で窒化バリウム(Ba)パウダーを合成した。同様に、ストロンチウム金属パウダーの反応により、窒素フロー下で800℃、6時間で窒化ストロンチウム(Sr)を調製した。これらの反応は管状炉内で行われる。
【0096】
結晶性サブミクロンパウダー M2−xEuSi(0.001≦x≦0.2、M=BaまたはSr)を固相反応で調製した。上述のようなレーザ熱分解によって調製したSrまたはBa、結晶性ナノSiとEuを、精製した窒素ガスで充填されたグローブボックスにおいて瑪瑙乳鉢内で秤量、混合、粉砕した。混合したパウダーは、グラファイト坩堝に移した。パウダー充填した坩堝を管状炉に投入した。サンプルは、管状炉内で1200℃〜1450℃、6〜10時間、4モルパーセントのHで希釈した窒素(N)の還元性雰囲気中で加熱した。加熱サイクルの終了後、サンプルを炉内でフローガスの存在下で室温まで徐々に冷却した。サンプルは、超音波処理を施して、サンプルクラスタを微粒子に破砕した。脱イオン水を用いて洗浄した後、微粒子を120℃で6時間乾燥させた。
【0097】
サンプルの結晶化度は、Miniflex回折装置(リガク社)を用いてX線回折(XRD)によって特徴付けした。(Sr0.98Eu0.02Siについての代表的なX線回折図を図2に示し、(Ba0.95Eu0.05Siについて図3に示す。(Sr0.98Eu0.02Siについての透過電子顕微鏡像(TEM)を図4に示し、(Sr0.98Eu0.02Siについての走査電子顕微鏡像(SEM)を図5に示す。
【0098】
発光スペクトルは、オーシャンオプティクス社HR4000分光光度計を用いて室温で記録した。パウダーサンプルを特注サンプルホルダーに詰めて、オーシャンオプティクス社の光源(LS−450)からの450nm光で励起した。2つのサンプル(Sr0.98Eu0.02Siおよび(Ba0.95Eu0.05Siについての発光スペクトルは、市販の蛍光体YAG−KO(化成オプトニクス)と比較して図6にプロットしている。さらに、サンプルの内部量子効率(IQE)および外部量子効率(EQE)を評価した。特に、YAGの70%IQEおよび50%EQEと比較して、BaSi:Euのサンプルは32%のIQE、23%のEQEを有し、SrSi:Euのサンプルは53%のIQE、47%のEQEを有する。
【0099】
(実施例2−二価ユーロピウム活性化アルカリ土類−シリコンオキシ窒化物サブミクロンパウダーの合成)
本例は、幾つかのユーロピウム活性化アルカリ土類−シリコンオキシ窒化物サブミクロン粒子パウダーの合成を示す。
【0100】
結晶性サブミクロンパウダー M1−xEuSi(0.001≦x≦0.2、M=Ba,SrまたはCa)を固相反応で調製した。2ステップ合成を用いた。最初に、SrCO,BaCO,CaCOの化学量論的混合物、またはこれらとSiOの組合せを乳鉢と乳棒で完全に混合して、アルミナボートに移し、1000〜1200℃で、2〜4℃/分の加熱レートで2〜4時間、焼成した。焼成は、MSiOケイ酸中間体を形成する全ての反応を確保するように繰り返し、サンプルは乳鉢と乳棒を用いて焼成中に粉砕した。反応は、4モルパーセントのHで希釈した窒素(N)からなるフォーミングガスを2〜4L/minで流すことによって還元性雰囲気で行った。
【0101】
冷却後、サンプルは粉砕し、乳鉢と乳棒において必要な量のナノSiおよびEuと混合し、混合物を形成した。ナノSiは、上述のようなレーザ熱分解によって合成したものであり、結晶性およびアモルファスの窒化シリコンの混合物であった。Euレベルは、5,15または20%にできる。混合物は、アルミナボートに移し、管状炉内で加熱した。最終生成物のモフォロジーを改善し、反応温度を低減するために、少量、例えば1〜2%のフラックス材料、例えば、塩化アンモニウムまたはフッ化アンモニウムなどを混合物に添加した。混合物は、4モルパーセントのHで希釈した窒素(N)からなる還元性雰囲気で1300〜1400℃、4〜6時間焼成した。焼成は、全ての反応を確保するように繰り返し、サンプルは乳鉢と乳棒を用いて焼成中に粉砕した。冷却および洗浄処理は、実施例1で説明した対応する工程と同様である。
【0102】
サンプルSiON021,SiON032,SiON034についての発光スペクトルは、市販の参照サンプルYAG−KO(化成オプトニクス)と比較して図7にプロットしている。SiON021は、石英と結晶性ナノSi(レーザ熱分解による合成)を用いて、15%Euドーパントレベルで合成した。SiON032とSiON034は、アモルファスナノSiO(レーザ熱分解による合成)と結晶性ナノSi(レーザ熱分解による合成)を用いて、5%と25%のEuドーパントレベルでそれぞれ合成した。SiON021サンプルは、31%のIQE、27%のEQEを有した。SiON032サンプルは、35%のIQE、22%のEQEを有した。SiON034サンプルは、38%のIQE、21%のEQEを有した。比較として、市販YAG−KOは、70%のIQE、50%のEQEを有した。
【0103】
(実施例3−二価ユーロピウム活性化アルカリ土類−アルミニウムシリコンオキシ窒化物サブミクロンパウダーの合成)
本例は、幾つかのユーロピウム活性化アルカリ土類−アルミニウムシリコンオキシ窒化物サブミクロン粒子パウダーの合成を示す。
【0104】
結晶性サブミクロンパウダー M1−xEuAlSiON15(0.001≦x≦0.2、M=Ba,SrまたはCa)を、制御した雰囲気で固相反応で調製した。SrCO,BaCO,CaCOまたはこれらの組合せからなる化学量論的混合物、AlN,Al,SiおよびEuを、Nで充填されたグローブボックスにおいて乳鉢と乳棒で完全に混合した。使用するAlおよびアルカリ土類炭酸塩の量は、最終の式での酸素含有量をバランスさせるのに必要な酸素量によって決定した。そして、反応混合物はグラファイト坩堝に移した。混合した開始材料で充填したグラファイト坩堝は、Nで充填された容器に移し、これをNフローで保たれた管状炉に投入した。管状炉は、1400〜1700℃で、2〜4℃/分の加熱レートで4〜8時間、2〜4L/minのフォーミングガスおよび2〜4L/minの純粋Nガスを流すことによって還元性雰囲気中で焼成した。フォーミングガスは、4%のHと96%のNで構成した。次の冷却および洗浄処理は、実施例1で説明した対応する工程と同様であった。
【0105】
得られたこれらの微細パウダーは、実施例1で概説した条件を用いてXRD,SEMおよびPL測定によって特徴付けた。図8は、代表的なCa0.94Eu0.1AlSiON15蛍光体のX線回折図である。同じサンプルグループのCa0.94Eu0.06AlSiON15からの走査電子顕微鏡像を図9に示す。同じサンプルグループのCa0.94Eu0.06AlSiON15からの蛍光体サンプルのうちの1つから記録した発光スペクトルを図10に示す。
【0106】
上記実施形態は、例示的なものであって限定的であることを意図していない。追加の実施形態は請求項の範囲内である。さらに、本発明は特定の実施形態を参照して説明したが、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形式および詳細での変更が可能であることを認識するであろう。上記文献の参照による組み込みは、ここでの明示的な開示に反して組み込まれる主題が無いように制限される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性金属シリコン窒化物/オキシ窒化物粒子の堆積物であって、
せいぜい約250nmの平均1次粒子直径を有し、
金属とシリコンの合計モル含量に対してせいぜい約10モルパーセントのドーパント賦活剤元素を含み、
粒子は少なくとも約25%のIQEを有する、結晶性金属シリコン窒化物/オキシ窒化物粒子の堆積物。
【請求項2】
平均1次粒子直径は、せいぜい約200nmである、請求項1記載の結晶性金属シリコン窒化物/オキシ窒化物粒子の堆積物。
【請求項3】
粒子は、約35%〜約75%のIQE値を有する、請求項1記載の結晶性金属シリコン窒化物/オキシ窒化物粒子の堆積物。
【請求項4】
結晶性金属シリコン窒化物/オキシ窒化物は、金属シリコン窒化物を含む、請求項1記載の結晶性金属シリコン窒化物/オキシ窒化物粒子の堆積物。
【請求項5】
結晶性金属シリコン窒化物/オキシ窒化物は、式LSi((2/3)x+(4/3)y):R(ここでLは、Mg,Ca,Sr,Ba,Znまたはこれらの組合せであり、0.5≦x≦3および1.5≦y≦8、Rは希土類賦活剤)で表される組成を含む、請求項1記載の結晶性金属シリコン窒化物/オキシ窒化物粒子の堆積物。
【請求項6】
結晶性金属シリコン窒化物/オキシ窒化物は、式L1−zMSiN:R(ここでLは二価金属元素、Mは三価金属元素、Rは希土類元素、0.0001≦z≦0.1)で表される組成を含む、請求項1記載の結晶性金属シリコン窒化物/オキシ窒化物粒子の堆積物。
【請求項7】
結晶性金属シリコン窒化物/オキシ窒化物粒子は、金属シリコンオキシ窒化物組成を含む、請求項1記載の結晶性金属シリコン窒化物/オキシ窒化物粒子の堆積物。
【請求項8】
式LSi(2/3)x+(4/3)y−(2/3)z:R(ここでLはMg,Ca,Sr,Ba,Znまたはこれらの組合せ、Rは希土類ドーパント、0.5≦x≦3,1.5≦y≦8,0<z≦3)で表される組成を含む、請求項1記載の結晶性金属シリコン窒化物/オキシ窒化物粒子の堆積物。
【請求項9】
結晶性金属シリコン窒化物/オキシ窒化物粒子は、金属アルミニウムシリコンオキシ窒化物組成を含む、請求項1記載の結晶性金属シリコン窒化物/オキシ窒化物粒子の堆積物。
【請求項10】
ドーパント元素は、希土類元素を含む、請求項1記載の結晶性金属シリコン窒化物/オキシ窒化物粒子の堆積物。
【請求項11】
金属シリコン窒化物粒子を合成する方法であって、
金属窒化物前駆体粒子とシリコン窒化物前駆体粒子の混合物を加熱して、結晶性金属シリコン窒化物粒子を形成することを含み、
シリコン窒化物前駆体粒子は、せいぜい約100nmの平均1次粒子サイズを有し、せいぜい約1ミクロンの平均1次粒子サイズを有する生成物粒子を形成するようにした方法。
【請求項12】
加熱は、せいぜい約1600℃の温度で行うようにした請求項11記載の方法。
【請求項13】
金属窒化物前駆体粒子は、せいぜい約100nmの平均1次粒子サイズを有する請求項11記載の方法。
【請求項14】
シリコン窒化物前駆体粒子は、せいぜい約25nmの平均1次粒子直径を有する請求項11記載の方法。
【請求項15】
シリコン窒化物前駆体粒子は、せいぜい約50nmの平均1次粒子直径を有し、
金属窒化物前駆体粒子は、せいぜい約50nmの平均1次粒子直径を有する請求項11記載の方法。
【請求項16】
金属アルミニウムシリコンオキシ窒化物粒子を合成する方法であって、
金属組成前駆体粒子、アルミニウム組成前駆体粒子およびシリコン組成前駆体粒子の混合物を加熱して、生成物の結晶性金属シリコンアルミニウムオキシ窒化物粒子を形成することを含み、
金属組成前駆体粒子は、金属酸化物、金属窒化物、金属オキシ窒化物、金属炭酸塩またはこれらの組合せを含み、
アルミニウム組成前駆体粒子は、Al,AlN,AlN(1−x)3/2またはこれらの混合物を含み、
シリコン組成前駆体粒子は、Si,SiO,SiN(1−x)4/32xまたはこれらの混合物を含み、
シリコン組成前駆体粒子は、せいぜい約100nmの平均1次粒子サイズを有し、
生成物の金属アルミニウムシリコンオキシ窒化物粒子は、せいぜい約1ミクロンの平均1次粒子直径を有するようにした方法。
【請求項17】
金属組成前駆体粒子およびアルミニウム組成前駆体粒子は、せいぜい約100nmの平均1次粒子直径をそれぞれ有し、
加熱は、約800℃〜約1600℃の最高温度で、少なくとも約15分間行うようにした請求項16記載の方法。
【請求項18】
各組成の前駆体粒子は、せいぜい約50nmの平均粒子直径を有する請求項16記載の方法。
【請求項19】
アルミニウム前駆体粒子は、Alを含み、
金属前駆体粒子は、金属炭酸塩を含む請求項16記載の方法。
【請求項20】
金属シリコン窒化物/オキシ窒化物粒子を合成する方法であって、
金属組成前駆体粒子およびシリコン組成前駆体粒子の混合物を加熱して、結晶性金属シリコン窒化物/オキシ窒化物粒子を形成することを含み、
シリコン組成前駆体粒子は、Si,SiO,SiN(1−x)4/32x(0<x<1)またはこれらの混合物を含み、せいぜい約100nmの平均粒子直径を有し、
金属組成前駆体粒子は、金属酸化物、金属窒化物、金属オキシ窒化物、金属炭酸塩またはこれらの組合せを含み、せいぜい約100nmの平均粒子直径を有し、
金属シリコン窒化物/オキシ窒化物生成物粒子は、せいぜい約1ミクロンの平均粒子サイズを有するようにした方法。
【請求項21】
シリコン組成前駆体粒子は、せいぜい約50nmの平均粒子サイズを有し、
金属組成前駆体粒子は、せいぜい約50nmの平均粒子直径を有する請求項20記載の方法。
【請求項22】
金属組成前駆体粒子は、金属炭酸塩を含む請求項20記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−515536(P2011−515536A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500813(P2011−500813)
【出願日】平成21年3月20日(2009.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/001771
【国際公開番号】WO2009/117148
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(503157216)ナノグラム・コーポレイション (15)
【氏名又は名称原語表記】NanoGram Corporation
【Fターム(参考)】