説明

金属ナノ粒子の製造方法、これを用いたインク組成物及びその製造方法

【課題】本発明は金属ナノ粒子の製造方法、これを用いたインク組成物及びその製造方法に関する。
【解決手段】本発明の実施例によると、本発明はハロゲンイオンが含有された金属前駆体、アミン及び非水系溶媒を含む第1溶液を用意する段階と、上記第1溶液を加熱及び攪拌し、還元してアミンがキャッピングされた金属ナノ粒子を含む第2溶液を製造する段階と、製造された上記金属ナノ粒子のうち、未反応アミン及びハロゲンイオンが除去されるように、塩基が含有された溶媒で上記第2溶液を洗浄及び乾燥する段階を含む金属ナノ粒子の製造方法、これを用いたインク組成物及びその製造方法を提供する。本発明の実施例によると、残留ハロゲンイオン濃度の規制にも適する金属ナノ粒子の製造方法、これを用いたインク組成物及びその製造方法を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属ナノ粒子の製造方法、これを用いたインク組成物及びその製造方法に関し、より具体的には、残留ハロゲンイオン濃度の規制にも適する金属ナノ粒子の製造方法、これを用いたインク組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットによる非接触式直接印刷(noncontact direct writing technology)は正確な位置に定量のインクを吐出することができるため、材料費を節減する上、製造時間を短縮することができるという長所がある。
【0003】
このようなインクジェットを産業的に応用するためには、それに合うインクが開発されなければならず、インクジェット用材料の開発のために金属粒子を低価で、大量生産できる方法に対する研究が成されている。
【0004】
気相法で粒子を作る方法はナノ粒子の製造は容易であるが、製造方法が複雑で、均一な品質に製造することが困難である。また、環境汚染の恐れがあったり、製造工程上、爆発の危険性が高くて安全な作業環境を作ることが困難であるという問題点がある。
【0005】
一方、湿式粒子合成法は、特に、貴金属に対して歩留まりが高いという長所はあるが、インクの焼成温度を低めるために粒子の表面を分散剤でキャッピングする必要がある。
【0006】
また、近来では、電子材料に対し様々な規制が適用されており、特に、塩素及びブロムのようなハロゲンイオンの電子材料への残留量を900PPM以下に規制している。
【0007】
従って、簡単な方法で大量生産ができ、且つ上記のような残留ハロゲンイオン濃度の規制にも適する新しい製造方法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記のような問題点を解決するためのもので、本発明の目的は残留ハロゲンイオン濃度の規制に適する金属ナノ粒子の製造方法、これを用いたインク組成物及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明の一実施形態は、ハロゲンイオンが含有された金属前駆体、アミン及び非水系溶媒を含む第1溶液を用意する段階と、上記第1溶液を加熱及び攪拌し、還元してアミンがキャッピングされた金属ナノ粒子を含む第2溶液を製造する段階と、上記アミンがキャッピングされた金属ナノ粒子のうち、未反応アミン及びハロゲンイオンが除去されるように、塩基が含有された溶媒で上記第2溶液を洗浄及び乾燥する段階を含む金属ナノ粒子の製造方法を提供する。
【0010】
ここで、上記洗浄及び乾燥する段階の後に、製造された上記金属ナノ粒子を非水系溶媒に分散及び洗浄する段階をさらに含むことができる。
【0011】
ここで、上記金属前駆体は金、銀、銅、ニッケル、コバルト、白金、パラジウム及びこれらの合金から成る群から選択される少なくとも1つの金属を含むことができる。
【0012】
上記アミンは6から30の炭素数を有し、直鎖状、分枝状及び環状のうち、少なくとも1つの形態を有し、飽和及び不飽和アミンから選択される少なくとも1つであることができる。
【0013】
また、上記塩基は金属元素を含まない有機塩基から選択される少なくとも1つであることができる。
【0014】
また、上記塩基はアンモニア、ピリジン、メチルアミン、イミダゾール(imidazole)、ベンズイミダゾール(benzimidazole)やヒスチジン(histidine)から成る群から選択される少なくとも1つであることができる。
【0015】
また、上記塩基は上記第2溶液100vol%に対し、0vol%超過20vol%以下で添加されることができる。
【0016】
また、上記非水系溶媒はヘキサン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラデカン、オクタデセン、クロロベンゾ酸、1−ヘキサデシン、1−テトラデシン及び1−オクタデシンから成る群から選択される少なくとも1つであることができる。
【0017】
また、上記第1溶液の加熱は0℃超過100℃以下の温度で行われることができる。
【0018】
また、上記洗浄及び乾燥する段階の後に、残留ハロゲンイオン濃度を測定する段階をさらに含むことができる。
【0019】
上記の目的を達成するため、本発明の他の実施形態は、ハロゲンイオンが含有された金属前駆体、アミン及び非水系溶媒を含む第1溶液を用意する段階と、上記第1溶液を加熱及び攪拌し、還元してアミンがキャッピングされた金属ナノ粒子を含む第2溶液を製造する段階と、上記アミンがキャッピングされた金属ナノ粒子のうち、未反応アミン及びハロゲンイオンが除去されるように塩基が含有された溶媒で上記第2溶液を洗浄及び乾燥して金属ナノ粒子を製造する段階と、製造された上記金属ナノ粒子を非水系溶媒に分散及び洗浄する段階を含むインク組成物の製造方法を提供する。
【0020】
ここで、上記分散及び洗浄する段階の後に、上記金属ナノ粒子が含有された上記非水系溶媒に粘度調節剤を添加する段階をさらに含むことができる。
【0021】
また、上記分散及び洗浄する段階の後に、上記金属ナノ粒子が含有された上記非水系溶媒に分散剤を添加する段階をさらに含むことができる。
【0022】
ここで、上記インク組成物100wt%に対し、上記粘度調節剤は0wt%超過20wt%以下で添加されることができる。
【0023】
また、上記インク組成物100wt%に対し、上記分散剤は0wt%超過20wt%以下で添加されることができる。
【0024】
ここで、上記金属前駆体は金、銀、銅、ニッケル、コバルト、白金、パラジウム及びこれらの合金から成る群から選択される少なくとも1つの金属を含むことができる。
【0025】
上記アミンは6から30の炭素数を有し、直鎖状、分枝状及び環状のうち、少なくとも1つの形態を有し、飽和及び不飽和アミンから選択される少なくとも1つであることができる。
【0026】
また、上記塩基は、金属元素を含まない有機塩基から選択される少なくとも1つであることができる。
【0027】
また、上記塩基はアンモニア、ピリジン、メチルアミン、イミダゾール(imidazole)、ベンズイミダゾール(benzimidazole)及びヒスチジン(histidine)から成る群から選択される少なくとも1つであることができる。
【0028】
また、上記塩基は、上記第2溶液100vol%に対し、0vol%超過20vol%以下で添加されることができる。
【0029】
また、上記非水系溶媒はヘキサン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラデカン、オクタデセン、クロロベンゾ酸、1−ヘキサデシン、1−テトラデシン及び1−オクタデシンから成る群から選択される少なくとも1つであることができる。
【0030】
ここで、上記インク組成物100wt%に対し、上記金属ナノ粒子は0wt%超過60wt%以下で添加されることができる。
【0031】
一方、上記第1溶液の加熱は、0℃から100℃の温度で行われることができる。
【0032】
また、上記洗浄及び乾燥し上記金属ナノ粒子を製造する段階の後に、残留ハロゲンイオン濃度を測定する段階をさらに含むことができる。
【0033】
上記の目的を達成するため、本発明のさらに他の実施形態は、アミンがキャッピングされたハロゲンイオン含有金属ナノ粒子及び上記金属ナノ粒子のうち、未反応アミン及びハロゲンイオンを洗浄する塩基が含有された非水系溶媒を含むインク組成物を提供する。
【0034】
ここで、上記インク組成物は、上記インクの粘性を調節する粘度調節剤をさらに含むことができる。
【0035】
また、上記インク組成物は上記金属ナノ粒子の分散性を向上させる分散剤をさらに含むことができる。
【0036】
ここで、上記インク組成物100wt%に対し、上記粘度調節剤は00wt%超過20wt%以下で添加されることができる。
【0037】
また、上記インク組成物100wt%に対し、上記分散剤は0wt%超過20wt%以下で添加されることができる。
【0038】
ここで、上記金属ナノ粒子は金、銀、銅、ニッケル、コバルト、白金、パラジウム及びこれらの合金から成る群から選択される少なくとも1つの金属を含むことができる。
【0039】
上記アミンは6から30の炭素数を有し、直鎖状、分枝状及び環状のうち、少なくとも1つの形態を有し、飽和及び不飽和アミンから選択される少なくとも1つであることができる。
【0040】
また、上記非水系溶媒はヘキサン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラデカン、オクタデセン、クロロベンゾ酸、1−ヘキサデシン、1−テトラデシン及び1−オクタデシンから成る群から選択される少なくとも1つであることができる。
【0041】
また、上記インク組成物100wt%に対し、上記金属ナノ粒子は0wt%超過60wt%以下で添加されることができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によると、残留ハロゲンイオン濃度の規制にも適する金属ナノ粒子の製造方法、これを用いたインク組成物及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明による金属ナノ粒子の製造方法及びそれによる金属ナノ粒子に対し、より詳しく説明する。
【0044】
本発明は残留ハロゲンイオン濃度の規制に適する金属ナノ粒子の製造方法、これを用いたインク組成物及びその製造方法を提供する。
【0045】
本発明の一実施例による金属ナノ粒子の製造方法は、ハロゲンイオンが含有された金属前駆体、アミン及び非水系溶媒を含む第1溶液を用意する段階と、上記第1溶液を加熱及び攪拌し、還元してアミンがキャッピングされた金属ナノ粒子を含む第2溶液を製造する段階と、上記アミンがキャッピングされた金属ナノ粒子のうち、未反応アミン及びハロゲンイオンが除去されるように、塩基が含有された溶媒で上記第2溶液を洗浄及び乾燥する段階を含む。
【0046】
ここで、上記洗浄及び乾燥する段階の後に、製造された上記金属ナノ粒子を非水系溶媒に分散及び洗浄する段階をさらに含むことができる。
【0047】
本発明による金属ナノ粒子の製造方法では、先ずアミンがキャッピングされたハロゲンイオンが含有された金属ナノ粒子を用意する。ここで、ハロゲンイオンが含有された金属前駆体、アミン及び非水系溶媒を含む溶液を用意した後、上記溶液を加熱及び攪拌し、還元してアミンがキャッピングされた金属ナノ粒子を製造する。
【0048】
ここで、上記金属前駆体としては金、銀、銅、ニッケル、コバルト、白金、パラジウム及びこれらの合金から成る群から選択される少なくとも1つの金属及びハロゲンイオンを含むものを用いることができ、例えば、HAuCl、HPtCl、CuCl、PtCl等を用いることができる。
【0049】
上記アミンは炭素数6から30の直鎖状、分枝状及び環状のうち、少なくとも1つの形態を有し、飽和及び不飽和アミンから選択される少なくとも何れか1つであることができ、1次アミンまたは2次アミンでも構わない。
【0050】
上記アミンの具体的な例としては、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミン等を挙げることができ、そこから少なくとも1つを選択して用いることができる。上記アミンの含量は、合成された金属ナノ粒子100wt%に対し、5wt%から30wt%で合成されることが好ましい。アミンの含量が5wt%未満であれば、安全性に問題が生じ得、30wt%を超えると、インクの製造時に、粘度調節が困難であるという問題があって好ましくない。
【0051】
次に、製造された上記金属ナノ粒子のうち、未反応アミン及びハロゲンイオンを塩基が含有された溶媒で洗浄及び乾燥する。ここで、上記塩基は金属を含まない有機塩基から選択される少なくとも1つであることができるが、上記塩基はアンモニア、ピリジン、メチルアミン、イミダゾール(imidazole)、ベンズイミダゾール(benzimidazole)及びヒスチジン(histidine)から成る群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。それは上記金属ナノ粒子が含まれたインクの製造時に、インクが適用される所が大部分基板上であるためであり、基板上の様々な金属物質との相互作用を防ぐと共に、後工程である焼結に及ぼす影響を最小化するためである。
【0052】
下記の簡略な反応式は、上記本発明の実施例に従って添加される塩基性物質がハロゲンイオンを除去する例を図式化したものである。ここで、金属前駆体物質であるHAuClで発生するHとClとキャッピング剤であるアミンの機能基である−NHが結合されたNH3+Cl−にNHOHのような塩基性物質を添加し、NHClのような化合物を形成することで、金属ナノ粒子の表面をキャッピングしたアミンからハロゲンイオンである塩素を除去することができる。
【0053】
−NH+H+CL→NH4OH(塩基添加)→−NH+HO+NHCl
【0054】
ここで、本発明に用いることができる非水系有機溶媒として、例えばヘキサン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラデカン、オクタデセン、クロロベンゾ酸、1−ヘキサデシン、1−テトラデシン及び1−オクタデシンから成る群から選択されることができる。上記有機溶媒はこれらから選択された1つを単独で、または2以上を混合して使用することができ、上記アミンがキャッピングされた金属ナノ粒子を用意する過程において、金属粒子を抽出して分離せず、これに用いられた有機溶媒をそのまま使用してもよい。
【0055】
以下では、実施例1から実施例3、比較例及び表1を参照し、本発明の実施例によるハロゲン含有金属ナノ粒子おける残留ハロゲンイオンの除去具合を説明する。
【0056】
下記表1を参照すると、比較例のドデシルアミンがキャッピングされた金ナノ粒子を塩基なしにエタノールのみで数回洗浄した後、残留塩素イオンの濃度は合成後の8410PPMから7670PPMと小幅減少した。
【0057】
【表1】

【0058】
洗浄時に、塩基であるアンモニアを全溶液の1vol%添加した実施例1は、残留塩素イオンの濃度が合成後の8410PPMから7900PPMと小幅減少したが、残留塩素イオンの除去効果は微々たるものであった。しかし、塩基であるアンモニアを全溶液の2vol%添加した実施例2は、残留塩素イオンの濃度が合成後の8410PPMから1380PPMと大幅減少した。また、塩基であるアンモニアを全溶液の5vol%添加した実施例3は、残留塩素イオンの濃度が合成後の8410PPMから1140PPMとさらに減少した。添加するアンモニアの量が増加すると、残留塩素イオンの濃度が減少するという効果は増加するが、金ナノ粒子の安全性に影響を及ぼし、粒子が溶液中に分散せず沈澱する。
【0059】
<実施例1>
塩化金酸(HAuCl)25g、ドデシルアミン80g及びトルエン1Lが混合された溶液を用意した。次に、上記溶液を80℃で攪拌し、ホルム酸3mlで還元して金ナノ粒子が含有された溶液を製造した。
【0060】
次に、エタノール、アンモニア水及び上記金ナノ粒子含有溶液が5.9:0.1:4(体積比)で混合された溶媒で、上記アミンがキャッピングされた金ナノ粒子中の塩素イオンを1次洗浄した後、3500rpmで2分間遠心分離する。そのうち、上澄液は捨て、沈殿物を乾燥し金ナノ粒子を得た。
【0061】
次に、得られた25gの金ナノ粒子をトルエン500mlに分散した。
【0062】
次いで、エタノール、アセトン及び上記金ナノ粒子が分散された溶液を4:2:4(体積比)にし混合した後、4000rpmで15分間遠心分離し、上澄液を捨てた後乾燥し、最終的に塩素イオンが除去された金ナノ粒子を得た。
【0063】
<実施例2>
塩化金酸(HAuCl)25g、ドデシルアミン80g及びトルエン1Lが混合された溶液を用意した。次に、上記溶液を80℃で攪拌し、ホルム酸3mlで還元して金ナノ粒子が含有された溶液を製造した。
【0064】
次に、エタノール、アンモニア水及び上記金ナノ粒子含有溶液が5.8:0.2:4(体積比)で混合された溶媒で、上記アミンがキャッピングされた金ナノ粒子中の塩素イオンを1次洗浄した後、3500rpmで12分間遠心分離する。そのうち、上澄液は捨て、沈殿物を乾燥して金ナノ粒子を得た。
【0065】
次に、得られた25gの金ナノ粒子をトルエン500mlに分散した。
【0066】
次いで、エタノール、アセトン及び上記金ナノ粒子が分散された溶液を4:2:4(体積比)にして4000rpmで15分間遠心分離し、上澄液を捨てた後乾燥し、最終的に塩素イオンが除去された金ナノ粒子を得た。
【0067】
<実施例3>
塩化金酸(HAuCl)25g、ドデシルアミン80g及びトルエン1Lが混合された溶液を用意した。次に、上記溶液を80℃で攪拌し、ホルム酸3mlで還元して金ナノ粒子が含有された溶液を製造した。
【0068】
次に、エタノール、アンモニア水及び上記金ナノ粒子含有溶液が5.5:0.5:4(体積比)で混合された溶媒で、上記アミンがキャッピングされた金ナノ粒子中の塩素イオンを1次洗浄した後、3500rpmで12分間遠心分離する。そのうち、上澄液は捨て、沈殿物を乾燥して金ナノ粒子を得た。
【0069】
次に、得られた25gの金ナノ粒子をトルエン500mlに分散した。
【0070】
次いで、エタノール、アセトン及び上記金ナノ粒子が分散した溶液を4:2:4(体積比)にして4000rpmで15分間遠心分離し、上澄液を捨てた後乾燥し、最終的に塩素イオンが除去された金ナノ粒子を得た。
【0071】
<比較例>
塩化金酸(HAuCl)25g、ドデシルアミン80g及びトルエン1Lが混合された溶液を用意した。次に、上記溶液を80℃で攪拌し、ホルム酸3mlで還元して金ナノ粒子が含有された溶液を製造した。
【0072】
次に、エタノール及び上記金ナノ粒子含有溶液が6:4(体積比)で混合された溶媒で、上記アミンがキャッピングされた金ナノ粒子中の塩素イオンを1次洗浄した後、3500rpmで12分間遠心分離する。そのうち、上澄液は捨て、沈殿物を乾燥して金ナノ粒子を得た。
【0073】
次に、得られた25gの金ナノ粒子をトルエン500mlに分散した。
【0074】
次いで、上記過程を10回繰り返して乾燥した後、最終的に塩素イオンが除去された金ナノ粒子を得た。
【0075】
このように本発明による金属ナノ粒子の製造方法は、高歩留まりで得られた金属ナノ粒子の製造工程時に、残留ハロゲンイオンを洗浄して効果的に除去することができる。
【0076】
本発明の他の実施例によるインク組成物の製造方法は、ハロゲンイオンが含有された金属前駆体、アミン及び非水系溶媒を含む第1溶液を用意する段階と、上記第1溶液を加熱及び攪拌し、還元してアミンがキャッピングされた金属ナノ粒子を含む第2溶液を製造する段階と、上記アミンがキャッピングされた金属ナノ粒子のうち、未反応アミン及びハロゲンイオンを塩基が含有された溶媒で洗浄及び乾燥し、金属ナノ粒子を製造する段階と、製造された上記金属ナノ粒子を非水系溶媒に分散及び洗浄する段階と、上記金属ナノ粒子が含有された上記非水系溶媒に粘度調節剤及び分散剤を添加する段階を含む。
【0077】
また、上記配線用インク組成物の製造方法によると、本発明のさらに他の実施例によるアミンがキャッピングされたハロゲンイオン含有金属ナノ粒子、上記金属ナノ粒子のうち、未反応アミン及びハロゲンイオンを洗浄する塩基が含有された溶媒、インクの粘性を調節する粘度調節剤及びインクの分散性を向上させる分散剤を含むインク組成物を提供することができる。
【0078】
本発明によるハロゲンイオンが含有された金属前駆体からハロゲンイオンが除去された溶液は、上述の金属ナノ粒子の製造方法により製造されることができる。
【0079】
ここで、粘度調節剤は、全インク組成物の100wt%に対し、20wt%以下で添加されることが好ましい。それは粘度調節剤の含量が20wt%を越えると、有機物含量が増加し配線の形成に好ましくないためである。
【0080】
また、分散剤は全インク組成物の100wt%に対し、20wt%以下で添加されることが好ましい。それは、分散剤の含量が20wt%を越えると、有機物含量が増加し配線の形成に好ましくないためである。
【0081】
このような構造の金属ナノ粒子は、金属粒子の表面がアミンでキャッピングされており、非水系で製造されるため、非水系の炭化水素系有機溶媒との混合性に優れ、別途の界面活性剤がなくとも高濃度の金属ナノ粒子含有インクを簡単に製造することができる。
【0082】
また、残留ハロゲンイオン濃度の規制に適する金属ナノ粒子含有インクを製造することができる。
【0083】
本発明によると、残留ハロゲンイオン濃度の規制に適するインク組成物及びその製造方法を提供することができる。
【0084】
本発明は上述した実施形態及び添付の図面により限定されず、添付の請求の範囲により限定される。従って、請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で当技術分野の通常の知識を有する者により多様な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロゲンイオンが含有された金属前駆体、アミン及び非水系溶媒を含む第1溶液を用意する段階と、
前記第1溶液を加熱及び攪拌し、還元してアミンがキャッピングされた金属ナノ粒子を含む第2溶液を製造する段階と、
前記アミンがキャッピングされた金属ナノ粒子のうち、未反応アミン及びハロゲンイオンが除去されるように、塩基が含有された溶媒で前記第2溶液を洗浄及び乾燥する段階と、
を含む金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項2】
前記洗浄及び乾燥する段階の後に、製造された前記金属ナノ粒子を非水系溶媒に分散及び洗浄する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項3】
前記金属前駆体は金、銀、銅、ニッケル、コバルト、白金、パラジウム及びこれらの合金から成る群から選択される少なくとも1つの金属を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項4】
前記アミンは6から30の炭素数を有し、直鎖状、分枝状及び環状のうち、少なくとも1つの形態を有し、飽和及び不飽和アミンから選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項5】
前記塩基は、金属元素を含まない有機塩基から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項6】
前記塩基はアンモニア、ピリジン、メチルアミン、イミダゾール(imidazole)、ベンズイミダゾール(benzimidazole)及びヒスチジン(histidine)から成る群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項5に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項7】
前記塩基は前記第2溶液100vol%に対し、0vol%超過5vol%以下で添加されることを特徴とする請求項5または6に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項8】
前記非水系溶媒はヘキサン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラデカン、オクタデセン、クロロベンゾ酸、1−ヘキサデシン、1−テトラデシン及び1−オクタデシンから成る群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項2に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項9】
前記第1溶液の加熱は、0℃超過100℃以下の温度で行われることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項10】
前記洗浄及び乾燥する段階の後に、残留ハロゲンイオンの濃度を測定する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1から9の何れか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項11】
ハロゲンイオンが含有された金属前駆体、アミン及び非水系溶媒を含む第1溶液を用意する段階と、
前記第1溶液を加熱及び攪拌し、還元してアミンがキャッピングされた金属ナノ粒子を含む第2溶液を製造する段階と、
前記アミンがキャッピングされた金属ナノ粒子のうち、未反応アミン及びハロゲンイオンが除去されるように、塩基が含有された溶媒で前記第2溶液を洗浄及び乾燥し、金属ナノ粒子を製造する段階と、
製造された前記金属ナノ粒子を非水系溶媒に分散及び洗浄する段階と、
を含むインク組成物の製造方法。
【請求項12】
前記分散及び洗浄する段階の後に、前記金属ナノ粒子が含有された前記非水系溶媒に粘度調節剤を添加する段階をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載のインク組成物の製造方法。
【請求項13】
前記分散及び洗浄する段階の後に、前記金属ナノ粒子が含有された前記非水系溶媒に分散剤を添加する段階をさらに含むことを特徴とする請求項11または12に記載のインク組成物の製造方法。
【請求項14】
前記インク組成物100wt%に対し、前記粘度調節剤は0wt%超過20wt%以下で添加されることを特徴とする請求項12に記載のインク組成物の製造方法。
【請求項15】
前記インク組成物100wt%に対し、前記分散剤は0wt%超過20wt%以下で添加されることを特徴とする請求項13に記載のインク組成物の製造方法。
【請求項16】
前記金属前駆体は金、銀、銅、ニッケル、コバルト、白金、パラジウム及びこれらの合金から成る群から選択される少なくとも1つの金属を含むことを特徴とする請求項11から15の何れか1項に記載のインク組成物の製造方法。
【請求項17】
前記アミンは6から30の炭素数を有し、直鎖状、分枝状及び環状のうち、少なくとも1つの形態を有し、飽和及び不飽和アミンから選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項11から16の何れか1項に記載のインク組成物の製造方法。
【請求項18】
前記塩基は、金属元素を含まない有機塩基から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項11から17の何れか1項に記載のインク組成物の製造方法。
【請求項19】
前記塩基はアンモニア、ピリジン、メチルアミン、イミダゾール(imidazole)、ベンズイミダゾール(benzimidazole)及びヒスチジン(histidine)から成る群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項18に記載のインク組成物の製造方法。
【請求項20】
前記塩基は、前記第2溶液100vol%に対し、0vol%超過20vol%以下で添加されることを特徴とする請求項18または19に記載のインク組成物の製造方法。
【請求項21】
前記非水系溶媒はヘキサン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラデカン、オクタデセン、クロロベンゾ酸、1−ヘキサデシン、1−テトラデシン及び1−オクタデシンから成る群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項11から20の何れか1項に記載のインク組成物の製造方法。
【請求項22】
前記インク組成物100wt%に対し、前記金属ナノ粒子は0wt%超過60wt%以下で添加されることを特徴とする請求項11から21の何れか1項に記載のインク組成物の製造方法。
【請求項23】
前記第1溶液の加熱は、0℃超過100℃以下の温度で行われることを特徴とする請求項11から22の何れか1項に記載のインク組成物の製造方法。
【請求項24】
前記洗浄及び乾燥して前記金属ナノ粒子を製造する段階の後に、残留ハロゲンイオンの濃度を測定する段階をさらに含むことを特徴とする請求項11から23の何れか1項に記載のインク組成物の製造方法。
【請求項25】
アミンがキャッピングされたハロゲンイオン含有金属ナノ粒子と、
前記金属ナノ粒子のうち、未反応アミン及びハロゲンイオンを洗浄する塩基が含有された非水系溶媒と、
を含むインク組成物。
【請求項26】
前記インクの粘性を調節する粘度調節剤をさらに含むことを特徴とする請求項25に記載のインク組成物。
【請求項27】
前記金属ナノ粒子の分散性を向上させる分散剤をさらに含むことを特徴とする請求項25または26に記載のインク組成物。
【請求項28】
前記インク組成物100wt%に対し、前記粘度調節剤は0wt%超過20wt%以下で添加されることを特徴とする請求項26に記載のインク組成物。
【請求項29】
前記インク組成物100wt%に対し、前記分散剤は0wt%超過20wt%以下で添加されることを特徴とする請求項27に記載のインク組成物。
【請求項30】
前記金属ナノ粒子は金、銀、銅、ニッケル、コバルト、白金、パラジウム及びこれらの合金から成る群から選択される少なくとも1つの金属を含むことを特徴とする請求項25から29の何れか1項に記載のインク組成物。
【請求項31】
前記アミンは6から30の炭素数を有し、直鎖状、分枝状及び環状のうち、少なくとも1つの形態を有し、飽和及び不飽和アミンから選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項25から30の何れか1項に記載のインク組成物。
【請求項32】
前記非水系溶媒はヘキサン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラデカン、オクタデセン、クロロベンゾ酸、1−ヘキサデシン、1−テトラデシン及び1−オクタデシンから成る群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項25から31の何れか1項に記載のインク組成物。
【請求項33】
前記インク組成物100wt%に対し、前記金属ナノ粒子は0wt%超過60wt%以下で添加されることを特徴とする請求項25から32の何れか1項に記載のインク組成物。

【公開番号】特開2011−208274(P2011−208274A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280478(P2010−280478)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】