説明

金属加工用水溶性潤滑剤、その使用に適した金属加工方法及び金属加工装置

本発明は、加工性能及び乾燥性に優れ、環境負荷の極めて小さい金属加工用水溶性潤滑剤、その使用に適した金属加工方法及び金属加工装置を提供する。
上記潤滑剤は、(A)底面積50cmの容器に1g秤り取り、100℃の恒温槽に保持し、80質量%が蒸発するまでの時間が10分以内である有機カルボン酸金属塩0.01質量%以上5質量%未満、(B)非イオン性界面活性剤0.05〜20質量%、及び水からなる。
上記金属加工方法は、薄肉金属板の表裏の少なくとも一方に金属加工用水溶性潤滑剤を塗布する工程、薄肉金属板をプレス加工及び/又は切削加工する工程から本質的になり、金属加工装置は、薄肉金属の収納部、薄肉金属板を引き出す駆動手段、薄肉金属板の表裏の少なくとも一方に金属加工用水溶性潤滑剤を塗布する塗布手段、プレス加工及び/又は切削加工を行う加工手段から本質的になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、金属加工用水溶性潤滑剤、その使用に適した金属加工方法及び金属加工装置に関するものである。
【背景技術】
従来、アルミニウム等の切削、研削、塑性加工等の金属加工には、揮発性のオイル系潤滑剤が使用されていたが、乾燥性が充分でなく、熱風等による高温乾燥が必要であった。この問題を解決するためには、水系にすることが考えられるが、一般に水系にすると、加工性能が劣るという問題があった。したがって、加工性能を維持しつつ、乾燥性に優れる水系の金属加工用潤滑剤の開発と、それを用いる金属加工方法及び金属加工装置の開発が望まれていた。
ところで、水溶性切削油剤については、アルキレンオキサイドブロック付加型非イオン界面活性剤、カルボン酸塩及び水からなる組成物が知られているが(特開2002−212584号公報参照)、乾燥性と加工性能が不十分であった。加工性能を向上させるためには、カルボン酸塩の添加量を増加する必要があるが、そうすると乾燥性が悪化するばかりでなく、腐敗しやすくなるため、腐敗防止剤等の添加剤を増加することが必要となり、さらに、各成分の分散性を向上させるため、非イオン界面活性剤も増量せざるを得なくなり、一層、乾燥性を悪化させてしまうこととなっていた。しかし、乾燥性を改良するため、カルボン酸塩の添加量を削減すると、加工性能が悪化してしまうため、二律背反を満足させることが必要であった。
一方、金属加工方法と金属加工装置に関しては種々の技術があり、例えば、特開昭54−91832号公報には、石油燃焼器の内炎筒、外炎筒の製造方法に関し、ロール状に巻回したステンレス板を引き出しながら加工し、コンベア式連続乾燥炉で焼鈍脱脂する方法が開示されている。ここで、加工、切削、乾燥炉工程からなるコンベア式連続加工装置を用いて、熱交換器用の潤滑被膜付きアルミフィンを製造する方法について、図4を用いて説明する。
ロール状に巻回された薄肉金属板101は、端部から引き出されて、従来から使用されているオイル系潤滑剤102を溜めたオイルバス103に浸され、オイル系潤滑剤102が塗布される。オイル系潤滑剤102は、オイル系潤滑剤105を蓄えておくタンク104から供給量制御バルブ106を介してオイルバス103に供給される。
プレス加工用ダイ107には、加工用のメス金型107a〜107dが設けてあり、プレス加工用ポンチ108には、加工用のオス金型108a〜108dが設けてある。薄肉金属板は、プレス加工用ダイ107およびプレス加工用ポンチ108によりプレス加工された後、切削用ダイ109、110に設けた切削用カッター109a、110aにより切削加工される。
乾燥炉111は薄肉金属板に塗布された潤滑剤を乾燥するためのものであり、加熱用火炎あるいはヒーターからなる比較的大容量の加熱手段112と、加熱手段112で発生した熱風113aを薄肉金属板にあてる送風機113を有する。
このような従来の金属加工装置を用いて、従来のオイル系潤滑剤を使用する場合、オイル系であるがゆえに環境に与える負荷が大きく、作業方法および作業環境に配慮しないと、作業者の健康或いは自然環境を損ねる可能性もあった。また、材料表面に潤滑被膜をもったアルミ板の場合、加工時に加工紛が析出して加工具に付着し、加工具に損傷を与えたり、加工品の品質を損ねるという問題も発生していた。
上記の問題を解決するために、乾燥性に優れた環境負荷の小さい金属加工用水溶性潤滑剤の開発が望まれていた。
本発明は、上記状況を鑑みてなされたものであり、加工性能及び乾燥性に優れ、環境負荷の極めて小さい金属加工用水溶性潤滑剤、及びその使用に適した金属加工方法及び金属加工装置を提供することを目的とする。
【発明の開示】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の性状を有する金属加工用水溶性潤滑剤、及びその使用に適した金属加工方法及び金属加工装置が、上記目的を効果的に達成しうることを見出し本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は下記のとおりである。
1.(A)底面積50cmの容器に1g秤り取り、100℃の恒温槽に保持し、80質量%が蒸発するまでの時間が10分以内である有機カルボン酸金属塩0.01質量%以上5質量%未満、(B)非イオン界面活性剤0.05〜20質量%、及び水からなることを特徴とする金属加工用水溶性潤滑剤。
2.さらに、(C)腐敗防止剤0.01〜10質量%及び(D)金属不活性化剤0.01〜10質量%を含むことを特徴とする上記1に記載の金属加工用水溶性潤滑剤。
3.(A)有機カルボン酸金属塩がアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩である上記1又は2に記載の金属加工用水溶性潤滑剤。
4.(A)有機カルボン酸金属塩における有機カルボン酸が、カルボン酸残基の総炭素数が8以上の直鎖飽和脂肪酸、直鎖モノエン不飽和脂肪酸及び二塩基酸からなる一種又は二種以上のものである上記1〜3のいずれかに記載の金属加工用水溶性潤滑剤。
5.(B)非イオン界面活性剤の総炭素数が15以下のものである上記1〜4のいずれかに記載の金属加工用水溶性潤滑剤。
6.(C)腐敗防止剤が、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン及び/又はアミン類である上記1〜5のいずれかに記載の金属加工用水溶性潤滑剤。
7.(D)金属不活性化剤が、トリアゾール化合物である上記1〜6のいずれかに記載の金属加工用水溶性潤滑剤。
8.アルミニウム用である上記1〜7のいずれかに記載の金属加工用水溶性潤滑剤。
9.薄肉金属板の表裏の少なくとも一方に金属加工用水溶性潤滑剤を塗布する工程、及び前記薄肉金属板をプレス加工及び/又は切削加工する工程から本質的になる金属加工方法。
10.さらに前記薄肉金属板の表面に付着した金属加工用水溶性潤滑剤の乾燥もしくは乾燥を促進する工程を含む上記9に記載の金属加工方法。
11.金属加工用水溶性潤滑剤をミスト状にスプレーし、あるいは飛沫状に噴霧して、薄肉金属板に塗布するものである上記9又は10に記載の金属加工方法。
12.薄肉金属板への金属加工用水溶性潤滑剤の塗布を、プレス加工直前及び/又は切削加工直前、あるいは前記各加工と同時に行うものである上記9〜11のいずれかに記載の金属加工方法。
13.金属加工用水溶性潤滑剤の塗布量あるいは濃度を、薄肉金属の種類、表面潤滑被膜の有無、硬度、厚さによって設定する上記9〜12のいずれかに記載の金属加工方法。
14.プレス加工用に塗布する金属加工用水溶性潤滑剤の塗布量あるいは濃度と、切削加工用に塗布する金属加工用水溶性潤滑剤の塗布量あるいは濃度を、それぞれ別個に設定する上記9〜13のいずれかに記載の金属加工方法。
15.プレス加工及び/又は切削加工の前に、金属加工用水溶性潤滑剤の原材料を希釈して予め設定された濃度とするものである上記7〜14のいずれかに記載の金属加工方法。
16.薄肉金属板が、熱交換器用のフィン材料の潤滑被膜付きアルミ薄板である上記7〜15のいずれかに記載の金属加工方法。
17.請求項1〜5のいずれかに記載の金属加工用水溶性潤滑剤を用いるものである上記7〜16のいずれかに記載の金属加工方法。
18.薄肉金属の収納部、前記薄肉金属板を引き出す駆動手段、前記薄肉板の表裏の少なくとも一方に金属加工用水溶性潤滑剤を塗布する塗布手段、プレス加工及び/又は切削加工を行う加工手段から本質的になる金属加工装置であって、上記塗布手段において、上記1〜8のいずれかに記載の金属加工用水溶性潤滑剤の供給量を制御して、薄肉金属板に塗布することを特徴とする金属加工装置。
19.塗布手段を、プレス加工及び/又は切削加工を行う加工手段の直前に設けた上記18記載の金属加工装置。
20.さらに、常温近辺の温度による乾燥手段を有するものである上記18又は19に記載の金属加工装置。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の金属加工装置を示す図である。図2(a)は、本発明における薄肉金属板1の加工工程における断面図であり、図2(b)は、本発明におけるプレス加工の詳細断面図であり、図3は本発明におけるプレス加工および切削加工を施した薄肉金属板の斜視図である。図4は従来の金属加工装置を示す図である。
図中の符号は次のとおりである。
1:薄肉金属板、2:塗布室、3:噴霧ノズル、4,9,14:水溶性潤滑剤、5:水溶性潤滑剤溜め、8:水溶性潤滑剤調製機、10:水溶性潤滑剤噴霧量制御バルブ、11:プレス加工用ダイ、12:プレス加工用ポンチ、13:水溶性潤滑剤シャワー、15:水溶性潤滑剤シャワー量制御バルブ、17,18:切削用ダイ、17a,18a:切削用カッター、19:エアブロー用送風機、20:エアブロー用ノズル、101:薄肉金属板、102,105:オイル系潤滑剤、103:オイル系潤滑剤塗布用オイルバス、104:オイル系潤滑剤タンク、106:オイル系潤滑剤供給制御バルブ、111:乾燥炉、112:加熱手段、113:乾燥炉用送風機、113a:熱風
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の金属加工用水溶性潤滑剤は、(A)底面積50cmの容器に1g秤り取り、100℃の恒温槽に保持し、80質量%が蒸発するまでの時間が10分以内である有機カルボン酸金属塩0.01質量%以上5質量%未満、(B)非イオン界面活性剤0.05〜20質量%、及び水からなることを特徴とする。
本発明の金属加工用水溶性潤滑剤(以下、単に水溶性潤滑剤ということもある。)の主成分である水の量は、潤滑剤全量基準で、好ましくは80〜99.9質量%である。より好ましくは90〜99.9質量%、さらに好ましくは95〜99.9質量%、特に好ましくは97〜99.9質量%である。80質量%未満では、乾燥性に劣り、99.9質量%を超えると加工性に劣る。
次に、水溶性潤滑剤の(A)成分である有機カルボン酸金属塩は、潤滑性を向上させるもので、特に制限なく使用することができる。有機カルボン酸金属塩における有機カルボン酸としては、下記のものを挙げることができる。
(1)ノナン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等の直鎖飽和脂肪酸、(2)2−メチルデカン酸、6−プロピルノナン酸、4−メチルドデカン酸、12−メチルトリデカン酸、4−メチルテトラデカン酸、2−エチルテトラデカン酸、14−メチルヘプタデカン酸、5−メチルオクタデカン酸、2−ブチルオクタデカン酸等の分岐飽和脂肪酸、(3)cis−2−ノネン酸、カプロレイン酸、10−ウンデセン酸、リンデル酸、2−トリデセン酸、5−テトラデセン酸、ミリストレイン酸、cis−6−ヘキサデセン酸、trans−9−オクタデセン酸、オレイン酸、cis−9−エイコセン酸、トランス−13−ドコセン酸、エルカ酸等の直鎖モノエン不飽和脂肪酸、(4)3−メチル−2−ノネン酸、5−メチル−2−ウンデセン酸、5−メチル−2−トリデセン酸、2−プロピル−9−オクタデセン酸等の分岐モノエン不飽和脂肪酸、(5)ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、イワシ酸、ニシン酸等のポリエン不飽和脂肪酸、(6)タリリン酸、ステアロール酸、キシメニン酸等のアセチレン酸、(7)マルバリン酸、ヒドノカルピン酸、ゴルリン酸等の脂環式脂肪酸、(8)サビニン酸、ヤラピノール酸、リシノール酸、リカン酸等の含酸素脂肪酸、(9)アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の直鎖飽和二塩基酸、7−エチルヘキサデカンジカルボン酸等の分岐飽和二塩基酸の二塩基酸、(10)トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等の多価カルボン酸(二塩基酸を除く)を挙げることができる。
上記の有機カルボン酸の中では、直鎖飽和脂肪酸、直鎖モノエン不飽和脂肪酸、二塩基酸が好ましい。また、カルボン酸残基の総炭素数が8以上のものが好ましく、12以上のものがより好ましく、16以上のものがさらに好ましい。より具体的には、カルボン酸残基の総炭素数が8以上の直鎖飽和脂肪酸、直鎖モノエン不飽和脂肪酸及び二塩基酸からなる一種又は二種以上のものが好ましく、これらの中でも、特に、カルボン酸残基の総炭素数が16以上の二塩基酸が最も好ましい。
また、上記有機カルボン酸金属塩の金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属が好ましい。なお、有機カルボン酸金属塩は一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記有機カルボン酸金属塩の配合量は、潤滑剤全量基準で、0.01質量%以上5質量%未満である。好ましくは0.01〜3質量%であり、より好ましくは0.01〜1.5質量%である。0.01質量%未満では、加工性が劣り、5質量%以上では、乾燥性が劣る。
本発明の金属加工用水溶性潤滑剤は、乾燥性が良好で、底面積50cmの容器に1g秤り取り、100℃の恒温槽に保持し、80質量%が蒸発するまでの時間が10分以内である。この因子は、前述のとおり、様々な因子が絡みあって決まるものである。
本発明の水溶性潤滑剤には、液安定性(可溶化性能)、耐腐敗性及び防錆性を向上させるために、(B)非イオン界面活性剤、(C)腐敗防止剤及び(D)金属不活性化剤を配合することができる。
(B)成分の非イオン界面活性剤は、特に限定されない。具体的には、2−エチルヘキシルジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールヘキシルエーテル、オクタエチレングリコールノニルフェニルエーテル等を挙げることができる。これらの中では、総炭素数15以下のものが好ましく、12以下のものがより好ましく、10以下のものがさらに好ましい。より具体的には、ジエチレングリコールヘキシルエーテル(総炭素数10)、ジプロピレングリコール(総炭素数6)が特に好ましい。(B)成分は一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。その配合量は、潤滑剤全量基準で、0.05〜20質量%、好ましくは0.05〜10質量%、さらに好ましくは0.05〜5質量%、特に好ましくは0.05〜1質量%である。0.05質量%未満であると、他の添加剤を分散させる効果が小さく、20質量%を超えると、量の割には効果が小さく経済的に不利となり、乾燥性も悪化する。
(C)成分の腐敗防止剤は、特に限定されず、各種のものを使用することができる。具体的には、2,4−ジヒドロキシ安息香酸アニリド化合物;メルカプトアミドカルボン酸またはその塩;ジメチルチアゾリジン、メチルチアゾリジン、チアゾリジン等のチアゾリジン化合物;ポリエチレンイミン;2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸又はその塩;1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸又はその塩;トリ−n−ブチル−n−ヘキサデシル−ホスホニウム,トリ−n−ブチル−n−ドデシル−ホスホニウム、テトラキス−ヒドロキシメチル−ホスホニウム又はそれらの塩;N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン;ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)トリアジン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン等のアミン類などを挙げることができる。これらの中では、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、アミン類が特に好ましい。(C)成分は一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。その配合量は、潤滑剤全量基準で、0.01〜10質量%、好ましくは0.01〜2質量%、さらに好ましくは0.01〜0.6質量%である。0.01質量%未満であると、耐腐敗性の効果が小さく、10質量%を超えると、量の割には効果が小さく経済的に不利となり、乾燥性も悪化する。
(D)成分の金属不活性化剤は、金属表面に吸着して金属と腐食性物質が接触するのを防ぐために使用するものである。用いることのできる金属不活性化剤としては、特に制限はないが、ベンゾトリアゾール;カルボキシベンゾトリアゾール;3−アミノトリアゾール、4−アミノトリアゾール、2,5−ジアミノトリアゾール、3−メルカプトトリアゾール、3−アミノ−5−トリアゾール等のトリアゾール化合物;2−メルカプトチアゾール、2−アミノチアゾール等のチアゾール化合物;2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物などを挙げることができる。これらの中では、トリアゾール化合物が特に好ましい。(D)成分は一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。その配合量は、潤滑剤全量基準で、0.01〜10質量%、好ましくは0.01〜2質量%、さらに好ましくは0.01〜0.6質量%である。0.01質量%未満であると、防錆性の効果が小さく、10質量%を超えると、量の割には効果が小さく経済的に不利となり、乾燥性も悪化する。
本発明の金属加工用水溶性潤滑剤には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じて各種添加剤、例えば、酸化防止剤、消泡剤、防錆剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤などを単独又は二種以上を組み合わせて、適宜含有させることができる。
ここで、酸化防止剤としては、例えばアルキル化ジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化−α−ナフチルアミンなどのアミン系、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールなどのフェノール系、及び硫黄系などが挙げられ、消泡剤としては、例えばジメチルポリシロキサン、フルオロエーテルなどが挙げられる。また、防錆剤としては、例えばカルボン酸系防錆剤、カルボン酸エステル系防錆剤、過塩基性アルカリ土類金属塩類などが挙げられる。
これらの必要に応じて用いられる添加剤の合計含有量は、潤滑剤全量基準で、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
また、水溶性潤滑剤の塗布量は薄肉金属板の表面積1平方メートルに対し、潤滑被膜を表面に有する薄肉金属板の場合は、3cc〜12ccの範囲であり、潤滑被膜を表面に設けない薄肉金属板の場合は、3cc〜35ccの範囲が好ましい。
塗布量が3ccより少ない場合は、各加工に必要とされる潤滑性が得られず、プレス加工において薄肉金属板に割れが発生する危険性が高くなる。また、塗布量が12cc又は35ccより多い場合は容易に乾燥されず、乾燥工程の設備が大掛りなものとなる可能性がある。
また、プレス加工用に塗布する水溶性潤滑剤の塗布量あるいは濃度と、切削加工用に塗布する水溶性潤滑剤の塗布量あるいは濃度を、それぞれ別個に設定する方が好ましい。
さらに、上記水溶性潤滑剤の原材料を水で希釈する希釈倍率は、潤滑被膜を表面に有する薄肉金属板の場合は、30〜200の範囲であり、潤滑被膜を表面に設けない薄肉金属板の場合は、30〜100の範囲が好ましい。
希釈倍率が30より小さい場合は、濃度が高い水溶性潤滑剤を用いることになり、容易に乾燥されず乾燥工程の設備が大掛りなものとなる可能性がある。また、希釈倍率が100又は200より大きい場合は、各加工に必要とされる潤滑性が得られず、プレス加工において薄肉金属板に割れが発生する可能性が高くなる。
このように、水溶性潤滑剤の塗布量、濃度には選択範囲があり、薄肉金属板に塗布する水溶性潤滑剤は、薄肉金属板の種類、表面潤滑被膜の有無、硬度、厚さに対して、最適な潤滑油塗布量あるいは濃度を選択することが好ましく、そうすることで無駄な水溶性潤滑剤を使用することなく良好な潤滑性能を発揮でき、且つコストを削減することができる。
次に、本発明の金属加工方法及び装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
例として、熱交換器等に使用されるアルミフィン用材料であって、アルミ材料の表面に親水性被膜層を有し、さらにその上層に潤滑性被膜層を有するアルミフィン用材料の場合を説明する。
図1は本発明の金属加工装置を示す図であり、本装置において、プレス加工、切削加工、乾燥の各工程は、図1の左方から右方へ向かって進行する。
ロール状に巻かれた薄肉金属板1は、任意の方法によって引き出され、塗布室2に導入される。水溶性潤滑剤調製機8は、水溶性潤滑剤の原材料と水道水とを混合することにより、水溶性潤滑剤9を任意の濃度に調製し、一時蓄えるものである。水溶性潤滑剤9は、噴霧量を制御する制御バルブ10を介して塗布室2内に供給される。
なお、上記水溶性潤滑剤の原材料を水で希釈する工程は、薄肉金属板のプレス加工、切削加工工程と同じ敷地内あるいは近辺で行うことにより、希釈工程に至るまでは水溶性潤滑剤を原材料の状態で扱うことができ、流通や貯蔵の段階で管理する潤滑剤の重量、容積、在庫量を低減でき、コストを削減することができる。また、希釈工程をプレス加工、切削加工工程の直前で行うことにより、希釈によって発生成長する泡の処理労力を低減することができる。
塗布室2内では、噴霧ノズル3からミスト状の水溶性潤滑剤4が噴出し、塗布室2の中はミスト状の水溶性潤滑剤4の雰囲気で満たされる。そして、ミスト状の潤滑剤4の雰囲気中に薄肉金属板1が導入されると、潤滑被膜層を残した状態で、薄肉金属板1の表面にミスト状になった水溶性潤滑剤4が均一に付着し、塗布される。このとき、噴霧ノズル3は、塗布室2内を通過する薄肉金属板1に背を向けて噴霧するように設置されている。これは、水溶性潤滑剤4が薄肉金属板1に直接噴霧されることにより、薄肉金属板1表面にある水溶性の潤滑被膜層(図示せず)が溶けて剥がれるのを抑えるためである。
本発明においては、水溶性潤滑剤をミスト状にスプレーし、あるいは飛沫状に噴霧して、薄肉金属板に塗布するので、最少量の水溶性潤滑剤で薄肉金属板表面をむらなく潤滑することができ、水溶性潤滑剤にかかるコストを削減することができる。
塗布室2内に設けられ余分となった水溶性潤滑剤4aは、潤滑剤溜め5に一時的に溜めておき、所定量溜まると排出量制御バルブ6を設けたドレーン管7を介して塗布室2より排出される。
プレス加工用ダイ11には、加工用のメス金型11a〜11dが設けてあり、プレス加工用ポンチ12には、加工用のオス金型12a〜12dが設けてある。薄肉金属板は、プレス加工用ダイ11およびプレス加工用ポンチ12によりプレス加工される。プレス加工において、薄肉金属板はプレス機が1回プレス動作を行う毎にメス金型11a〜11dあるいはオス金型12a〜12dの1列分進行し、合計4段階の小工程を経て、プレス工程が終了する。
水溶性潤滑剤シャワー13は、水溶性潤滑剤14を薄肉金属板に飛沫状に噴霧塗布するものである。水溶性潤滑剤14は、水溶性潤滑剤調製機8からシャワー量制御バルブ15を介して供給される。
プレス加工の工程と同時進行で、プレス工程を終えた薄肉金属板の表面には、潤滑剤シャワー13から飛沫状に噴霧される水溶性潤滑剤14が直接塗布される。ここで、水溶性潤滑剤14を薄肉金属板の表面に直接塗布しているのは、プレス加工に比べて切削加工では、薄肉金属板表面に潤滑被膜層を設ける必要性が低いため、ミスト状の水溶性潤滑剤の雰囲気をつくるための塗布室2のような設備を必要としないからである。余分となった水溶性潤滑剤14aは潤滑剤溜め16にを一時的に溜めておき、所定量溜まると排出量制御バルブ6を設けたドレーン管7を介して排出される。
本発明においては、水溶性潤滑剤の塗布を、プレス加工直前若しくは切削加工の前工程として、あるいは前記加工と同時に行い、最小限の水溶性潤滑剤を最適時期に塗布するので、水溶性潤滑剤が乾くことなく加工でき、且つ水溶性潤滑剤にかかるコストを削減することができる。
切削用ダイ17および18には、それぞれ切削用カッター17a、18aが設けてあり、薄肉金属板は、切削用カッター17a、18aにより切削加工される。
エアブロー用送風機19はノズル20を通して送風し、プレス加工および切削加工された薄肉金属板表面の水溶性潤滑剤4、14を乾燥させる。乾燥は、雰囲気温度で行うが、必要に応じて小容量の熱源等を用い、雰囲気温度より若干高い温度で行ってもよい。このような送風機による送風手段を採用したり、低温度の乾燥設備を設けることにより、従来のような大型加熱乾燥設備等を必要としない簡素な設備とすることができるため、初期投資および運転維持費用の削減ができる。
水溶性潤滑剤は、本来自然乾燥によって乾燥可能であるため、プレス加工、切削加工後の薄肉金属板の自然乾燥が可能であれば、エアブロー送風機19などを用いた乾燥工程のための設備は必要でない。しかし、乾燥時間を大幅に短縮するために、既存の乾燥炉あるいは大容量熱源の乾燥炉などを用いてもよい。
図2(a)は、上記プレス加工用のメス金型11a〜11dおよびオス金型12a〜12dによる薄肉金属板1の加工工程における断面図を示したものである。
図2において、薄肉金属板1は、フォーミングで球面状に塑性加工を行うステップI、ピアシングで孔1aを開け、かつカラー1bを設けるステップII、アイアニングで前記カラー1bを伸延するステップIII、リフレアーでカラー1bの端部1cをその外側に巻込むステップIVの各工程の順で加工される。
上記プレス加工においては加工具への負荷が大きく、特に、図2(b)に示したAの箇所にかかる応力が最も大きく、場合によっては、被加工材料である薄肉金属板1のちぎれや加工具であるプレス加工用ダイ11およびプレス加工用ポンチ12の損傷が生じる場合がある。そのため、上記一連のプレス加工時において、潤滑の最適化が重要である。
そのため、プレス加工前では、薄肉金属板1の潤滑被膜を溶出しないミスト噴霧によって水溶性潤滑剤4の塗布を施して潤滑性を高め、後の切削加工前の潤滑では、シャワーによって水溶性潤滑剤14の塗布を施し、切削粉などの異物を除去することに重点を置いている。
なお、プレス加工具は、少なくともコバルト又はニツケルをバインダー(結合相金属)として含む超硬合金からなるものが好ましく、水溶性潤滑剤にはプレス加工具からのバインダー(結合相金属)の溶出を抑制するインヒビターが溶解されていることが好ましい。
図3は、上記プレス工程および切削工程を終了した薄肉金属板の斜視図である。図3において、1aはピアシングで開けられた孔、1bはアイアニングで伸延されたカラー、そして1cは外側へ巻込み加工を施されたカラー1bの端部である。
なお、上記においてはアルミ板加工の態様を説明したが、鋼鈑や銅板に適用してもよく、薄肉であって水溶性潤滑剤を要する金属のプレス加工あるいは切削加工であればいずれにも適当できる。
また、上記実施の形態1においては、プレス加工前の水溶性潤滑剤4の塗布をミスト状の噴霧としたが、もともと潤滑被膜層が表面に施されていない薄肉金属板の場合は、潤滑被膜層の溶出を考慮する必要がないので、プレス加工前の水溶性潤滑剤の塗布は薄肉金属板を水溶性潤滑剤に直接浸す方法、あるいは飛沫状に直接噴霧塗布する方法であってもよい。
さらに、前記水溶性潤滑剤4、14の塗布は、プレス加工直前と切削加工直前で行っているが、金属薄板の材質、加工面積、加工の複雑さ度合、表面潤滑被膜の有無とその厚さ等を考慮し、プレス加工前、プレス加工時、切削加工前、切削加工時の各工程において、水溶性潤滑剤の塗布量、濃度等の調整をそれぞれ任意に設定することができる。そうすることにより、それぞれの金属に応じた潤滑効果を最大限に発揮することができ、また各工程において最低限必要な水溶性潤滑剤の塗布管理を行うことができるため、潤滑剤にかかるコストを削減することができる。
本発明の金属加工装置は、薄肉金属の収納部、前記薄肉金属板を引き出す駆動手段、前記薄肉板の表裏の少なくとも一方に金属加工用水溶性潤滑剤を塗布する塗布手段、プレス加工及び/又は切削加工を行う加工手段から本質的になる金属加工装置であって、上記塗布手段において、請求項1〜8のいずれかに記載の金属加工用水溶性潤滑剤の供給量を制御して、薄肉金属板に塗布することを特徴とする金属加工装置である。
本発明の装置は、以上に述べた金属加工方法に使用できる装置であればよく、塗布手段を、プレス加工及び/又は切削加工を行う加工手段の直前に設け、さらに、常温近辺の温度あるいは短時間乾燥の目的によっては、150℃程度の高温の乾燥炉による乾燥手段を有するものであってもよい。
【実施例】
次に、本発明の金属加工用水溶性潤滑剤について実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1〜10及び比較例1〜3
(1)金属加工用水溶性潤滑剤の調製
水に対し、第1表に示す成分を、潤滑剤全量に基づき第1表に示す量(質量%)で配合することにより、金属加工用水溶性潤滑剤を調製した。なお、比較例3は、イソパラフィン(40℃における動粘度;2.6mm/s)と炭素数16のα−オレフィン(20質量%)からなる従来のオイル系潤滑剤である。
(2)物性の評価
各潤滑剤について下記の要領で物性の評価を行なった。その結果を第1表に示す。
▲1▼乾燥性試験1
底面積50cmの容器に(1)で調製した潤滑剤1gを秤り取り、容器底部に均一に拡げた後、100℃の恒温槽に保持し、80質量%蒸発するまでの時間(分)を測定した。
▲2▼乾燥性試験2
底面積50cmの容器に(1)で調製した潤滑剤1gを秤り取り、容器底部に均一に拡げた後、180℃の恒温槽に保持し、残量(質量%)を測定した。
▲3▼摩擦試験
バウデン試験で摩擦係数を求めた。
供試フィン材:ベア材(摩擦試験1)及びKS175、ボール:SUJ2(3/16inch)(摩擦試験2)
荷重:1kg(Pmax=97.6kPa)、速度:10mm/s、
ストローク:40mm、温度:室温(25℃)
▲4▼腐敗性試験
イージーカルトにより1週間後の生菌数から腐敗度を求めた。
○:軽度、△:中度、×:強度
▲5▼防錆性試験
ベア材20×50を30ccの試料に浸漬し、60℃に3日間保持後、腐食の有無を観察した。
▲6▼試料外観
目視観察により、試料の状態を観察した。



上記金属加工装置及び4%に希釈した潤滑剤を用いて空気調和機用熱交換器フィンのプレス加工及び切削加工さらに乾燥炉による160℃で4分間の乾燥を一連して行った結果、品質確保に問題もなく、良好な結果が得られた。
【産業上の利用の可能性】
本発明の金属加工用水溶性潤滑剤は、加工性能及び乾燥性に優れ、環境負荷の極めて小さい水溶性潤滑剤であり、前記の金属加工方法及び金属加工装置の水系の潤滑剤として好適に使用できる。水溶性潤滑剤ゆえに環境負荷が極めて低く、余分の潤滑剤は再利用せず廃水処理することができるので、水溶性潤滑剤の組成が変化することなく安定して使用することができ、取扱いが容易であるなど種々効果を奏する。
本発明の金属加工方法及び金属加工装置においては、薄肉金属板のプレス加工または切削加工において、前記薄肉金属板の表裏少なくともいずれか一方に水溶性潤滑剤を塗布するので、環境への負荷を低減することができる。また、乾燥性に優れた水溶性潤滑剤を使用するので、乾燥工程および水切り工程において、適宜送風手段等の乾燥手段を用いることにより、乾燥時間の短縮化を図ることが可能となる。さらに、水溶性潤滑剤を用いることで、潤滑液による引火の可能性がなくなるため、乾燥装置をプレス加工機に近接して設けることができ、装置のラインを短縮できる。
また、本発明の金属加工方法及び金属加工装置においては、水溶性潤滑剤をミスト状にスプレーし、あるいは飛沫状に噴霧して、薄肉金属板に塗布するので、最少量の水溶性潤滑剤で薄肉金属板表面をむらなく潤滑することができる。
本発明は、熱交換器用のフィン材料の潤滑被膜付きアルミ薄板の加工に適用できるため、空気調和機などに用いる熱交換器を効率良く製造することができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)底面積50cmの容器に1g秤り取り、100℃の恒温槽に保持し、80質量%が蒸発するまでの時間が10分以内である有機カルボン酸金属塩0.01質量%以上5質量%未満、(B)非イオン界面活性剤0.05〜20質量%、及び水からなることを特徴とする金属加工用水溶性潤滑剤。
【請求項2】
さらに、(C)腐敗防止剤0.01〜10質量%及び(D)金属不活性化剤0.01〜10質量%を含むことを特徴とする請求項1に記載の金属加工用水溶性潤滑剤。
【請求項3】
(A)有機カルボン酸金属塩がアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩である請求項1又は2に記載の金属加工用水溶性潤滑剤。
【請求項4】
(A)有機カルボン酸金属塩における有機カルボン酸が、カルボン酸残基の総炭素数が8以上の直鎖飽和脂肪酸、直鎖モノエン不飽和脂肪酸及び二塩基酸からなる一種又は二種以上のものである請求項1〜3のいずれかに記載の金属加工用水溶性潤滑剤。
【請求項5】
(B)非イオン界面活性剤の総炭素数が15以下のものである請求項1〜4のいずれかに記載の金属加工用水溶性潤滑剤。
【請求項6】
(C)腐敗防止剤が、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン及び/又はアミン類である請求項1〜5のいずれかに記載の金属加工用水溶性潤滑剤。
【請求項7】
(D)金属不活性化剤が、トリアゾール化合物である請求項1〜6のいずれかに記載の金属加工用水溶性潤滑剤。
【請求項8】
アルミニウム用である請求項1〜7のいずれかに記載の金属加工用水溶性潤滑剤。
【請求項9】
薄肉金属板の表裏の少なくとも一方に金属加工用水溶性潤滑剤を塗布する工程、及び前記薄肉金属板をプレス加工及び/又は切削加工する工程から本質的になる金属加工方法。
【請求項10】
さらに前記薄肉金属板の表面に付着した金属加工用水溶性潤滑剤の乾燥もしくは乾燥を促進する工程を含む請求項9に記載の金属加工方法。
【請求項11】
金属加工用水溶性潤滑剤をミスト状にスプレーし、あるいは飛沫状に噴霧して、薄肉金属板に塗布するものである請求項9又は10に記載の金属加工方法。
【請求項12】
薄肉金属板への金属加工用水溶性潤滑剤の塗布を、プレス加工直前及び/又は切削加工直前、あるいは前記各加工と同時に行うものである請求項9〜11のいずれかに記載の金属加工方法。
【請求項13】
金属加工用水溶性潤滑剤の塗布量あるいは濃度を、薄肉金属の種類、表面潤滑被膜の有無、硬度、厚さによって設定する請求項9〜12のいずれかに記載の金属加工方法。
【請求項14】
プレス加工用に塗布する金属加工用水溶性潤滑剤の塗布量あるいは濃度と、切削加工用に塗布する金属加工用水溶性潤滑剤の塗布量あるいは濃度を、それぞれ別個に設定する請求項9〜13のいずれかに記載の金属加工方法。
【請求項15】
プレス加工及び/又は切削加工の前に、金属加工用水溶性潤滑剤の原材料を希釈して予め設定された濃度とするものである請求項7〜14のいずれかに記載の金属加工方法。
【請求項16】
薄肉金属板が、熱交換器用のフィン材料の潤滑被膜付きアルミ薄板である請求項7〜15のいずれかに記載の金属加工方法。
【請求項17】
請求項1〜5のいずれかに記載の金属加工用水溶性潤滑剤を用いるものである請求項7〜16のいずれかに記載の金属加工方法。
【請求項18】
薄肉金属の収納部、前記薄肉金属板を引き出す駆動手段、前記薄肉板の表裏の少なくとも一方に金属加工用水溶性潤滑剤を塗布する塗布手段、プレス加工及び/又は切削加工を行う加工手段から本質的になる金属加工装置であって、上記塗布手段において、請求項1〜8のいずれかに記載の金属加工用水溶性潤滑剤の供給量を制御して、薄肉金属板に塗布することを特徴とする金属加工装置。
【請求項19】
塗布手段を、プレス加工及び/又は切削加工を行う加工手段の直前に設けた請求項18記載の金属加工装置。
【請求項20】
さらに、常温近辺の温度による乾燥手段を有するものである請求項18又は19に記載の金属加工装置。

【国際公開番号】WO2004/076601
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【発行日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−568784(P2004−568784)
【国際出願番号】PCT/JP2003/017004
【国際出願日】平成15年12月26日(2003.12.26)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】