説明

金属及びシリカ含有ジルコニアベースの組成物を利用する一酸化炭素及び炭化水素の触媒的酸化のためのガス処理方法

この発明は、ガス処理方法に関係し、特に、その中に含まれる一酸化炭素及び炭化水素を酸素に富む媒質中に触媒的に酸化するための内燃機関の排気ガスの処理方法に関するものであり、該方法は、酸化用触媒金属例えば白金及び触媒の形態のシリカ含有ジルコニウムに基く化合物の利用にある。この発明の方法は、ジーゼルエンジン又はガソリン希薄混合気エンジンの排気ガスの処理に特に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ガス特に内燃機関からの排気ガスの、一酸化炭素及び炭化水素の触媒的酸化のための処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一酸化炭素及び炭化水素の排出を制限する自動車における後燃えの基準は、一層厳しくなるであろうし、慣用のガソリンエンジンに対してのみならず、ジーゼル型のエンジンに対しても適用されるであろう。後者の型のエンジンは、継続的に過剰の酸素を含む排気ガスを排出するということも知られている。この理由のために、三方向触媒は、酸素の如何なる過剰もそれらの性能の突然の低下により反映されるので、これらのガスの処理において限られた効力のものである。加えて、この型のエンジンの場合には、比較的低温即ち約150〜300℃の範囲内で有効でありうる触媒を有することが必要である。加えて、ジーゼル燃料が一般にガソリンエンジンの燃料よりも一層高いイオウ含有量を有する限り、硫酸化に対する増進された抵抗性を有する利用可能な触媒を有することができることが必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、この発明の目的は、低温から有意の活性を示す酸素に富むガスの処理に適した触媒を提供することである。
【0004】
他の目的は、硫酸化に対する改善された抵抗性を有する触媒を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的につき、ガスの、その中に存在する一酸化炭素及び炭化水素の触媒的酸化の処理のための、この発明の方法は、酸化用触媒であってシリカ含有ジルコニア上の、金属ベースの組成物の触媒としての利用がなされることを特徴とする。
【0006】
この発明の方法は、用いる触媒のために、200〜220℃という低温で有効であり、これらの温度は、この触媒が未だ老化してない場合には、一層低温であってもよい。それは、イオウ含有燃料を用いる場合でさえ使うことができ、最終的に、この用いる触媒は、老化に対する良好な耐性を示す。
【0007】
この発明の他の特徴、詳細及び利点は、下記の記載及びそれを説明することを意図した様々な具体的であるが非制限的な例を読むことにより一層十分に明らかとなろう。
【0008】
この記載の続きにおいて、用語「比表面積」は、雑誌「The Journal of the American Chemical Society, 60, 309 (1938)」に記載されたBrunauer-Emmett-Teller法から作成された標準ASTM D 3663−78に従って窒素吸着により測定されたB.E.T.比表面積を意味すると理解される。
【0009】
同様に、本願の記載において、用語「希土類金属」は、イットリウム及び原子番号が57以上で71以下の周期律表の元素よりなる族からの元素を意味すると理解される。
【0010】
最後に、別途指示しない限り、与えられた値の範囲において、境界の値は含まれるということが規定される。
【0011】
この発明の方法は、ガス中に存在する一酸化炭素及び炭化水素の触媒的酸化に関係する。本発明のコンテキストにおいて処理されうるガスは、例えば、ガスタービン、発電所のボイラー又は内燃機関から生じるものである。それは、更に、上記の化合物の酸素による酸化即ち下記の反応をも包含する:
CO + 1/2O2 → CO2 (1)
HC(炭化水素) + O2 → CO2 + H2O (2)
【0012】
この酸素は、ここでは、この方法を酸素に富む媒質において適用する場合には、これらのガスの過剰な酸素である。これは、この方法により処理されるこれらのガスが、燃料の化学量論的燃焼に必要な量に関して酸素の過剰を示すからであり、一層詳細には、これらのガスは、化学量論的値γ=1に関して過剰な酸素を示す。それ故、γの値が1より大きいガスが、関係する。この値γは、空気/燃料比と、それ自体公知の方法で、相関している(特に、内燃機関の分野において)。かかるガスは、希薄混合条件下でのガソリンエンジン運転のものであってよく、例えば少なくとも2%(体積)の酸素含有率を有するものであってよく、一層高い酸素含有率(即ち、少なくとも5%以上、一層詳細には、少なくとも10%)を有するもの例えばジーゼル型のエンジンからのガスであってもよく、この含有量は、例えば、5〜20%であってよい。
【0013】
上記の(1)及び(2)の酸化反応に加えて、この方法は、これらのガスの処理中に、可溶性有機画分(即ち、燃料及び潤滑油から生じた液体炭化水素、及び煤煙粒子に吸着したもの)の酸化、及び酸素含有化合物(例えば、アルデヒド)の酸化をも利用して、二酸化炭素と水を与えることができるということには注意すべきである。
【0014】
この発明の方法は、特定の組成物を触媒として利用するが、その組成物を今から一層詳細に記載する。
【0015】
この組成物は、上記の酸化反応の触媒である金属及び該金属の支持体として作用するジルコニアに基づいている。
【0016】
一層詳細には、貴金属をこの型の触媒として挙げることができる。この用語は、金、銀及び白金族の金属即ちルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金を意味すると理解される。白金は、非常に特別に利用されうる。これらの貴金属は、勿論、単独でも組み合わせても利用することができる。
【0017】
この酸化触媒の量は、例えば、0.05〜10%であってよく、一層詳細には0.1〜5%であってよく、この量は、この組成物の全重量に対する金属形態の酸化触媒の重量として表される。この量は、純粋に指示のために与えられ、この酸化触媒最少量は、それを下回ればこの組成物がもはや触媒的に有効でないものであり、最大含量は一般に臨界的でないが本質的にコスト的事情に依存するものであるということは理解されよう。
【0018】
この発明の方法において触媒として利用される組成物は、更に、ジルコニアに基づいており、その本質的特徴は、シリカを含むことである。
【0019】
このシリカ含量は、広い範囲で変化しうる。その最少値は、一般に、ジルコニアが、その値から満足な熱安定性を示すものであり、最大含量は、それを超えるとこの組成物の有効性を減じうるフェーズが現れうるものである。例として、この含量は、1〜50%であってよく、一層詳細には、5〜30%であってよく、この量は、ジルコニウム+シリカの組合せに対するシリカの重量として表されている。
【0020】
この組成物のジルコニアは、更に、希土類金属を含むことができ、この希土類金属は、酸化物形態で存在している。この希土類金属は、特に、ランタン、ネオジム、プラセオジム及びイットリウムであってよい。一般に、希土類金属の含量は、最大で20%の範囲であってよく、この量は、ジルコニウム+シリカ+希土類金属酸化物の組合せに対する希土類金属酸化物の重量として表示されている。
【0021】
これらのジルコニウムベースの、適宜希土類金属と組み合わせたシリカを含む組成物は、公知の生成物であり、様々な種類の方法によって製造することができる。
【0022】
この方法は、例えば、ジルコニウム化合物とシリカの前駆体及び希土類金属化合物との共沈によるプロセスであってよい。用いることのできる他の方法は、希土類金属の塩とシリカをジルコニウムゾルと混合し;得られた懸濁液を次いで乾燥してからか焼することにある。用語「ジルコニウムゾル」は、コロイド寸法即ち約1〜500nmの寸法のジルコニウムベースの化合物の微細な固体粒子よりなる任意のシステムを示し、この化合物は、一般に、酸化ジルコニウム及び/又は酸化ジルコニウム水和物例えばオキシ水酸化ジルコニウム又は塩基性硝酸ジルコニウム(水性液相中の懸濁液)である。
【0023】
酸化ジルコニウムをシリカ前駆体の及び希土類金属化合物の溶液を利用する含浸により処理することも又、可能である。
【0024】
ジルコニウム化合物として、ジルコニウム塩例えば、硝酸塩、酢酸塩又は塩化物を挙げることができる。
【0025】
従って、例えば、硝酸ジルコニル又は塩化ジルコニルを挙げることができる。硝酸ジルコニルが、最も一般的に用いられる。
【0026】
アルカリ金属元素例えばナトリウムのケイ酸塩、ケイ素アルコキシド又はアルカリ金属元素例えばナトリウム若しくはカリウムのアルキルシリコネートを、ケイ素の前駆体として利用することができ、例えば、カリウムメチルシリコネートを挙げることができる。
【0027】
希土類金属化合物につき、後者の塩(例えば、硝酸塩、塩化物、硫酸塩又は炭酸塩)への回帰が持たれうる。
【0028】
この発明の方法で用いるジルコニアを、下記の工程を含む方法を用いて製造することも又、可能である:
− (a)ジルコニア化合物、ケイ素化合物及び、適宜、希土類金属化合物を、塩基性媒質中に一緒にもたらし、それにより、沈殿を得;
− (b)該沈殿を液体媒質中で加熱し;
− (c)アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、ポリエチレングリコール、カルボン酸及びそれらの塩、並びにカルボキシメチル化脂肪アルコールエトキシレート型の界面活性剤から選択した化合物を前記の工程で得られた沈殿に加え;
− (d)こうして得られた沈殿をか焼する。
【0029】
ジルコニウム化合物及び希土類金属化合物について上で述べられたことは、ここでも適用される。ケイ素化合物については、上記のシリカ前駆体及びケイ酸の溶液又は沈降シリカ(前記の前駆体から得られる)を利用することができる。ケイ素化合物として、熱分解法シリカ例えばDegussa製のAerosil(登録商標)を挙げることもできる。このシリカは、ゾルの又は溶液の形態で与えることができる。
【0030】
このジルコニウム化合物、ケイ素化合物及び、適宜、希土類金属化合物を一緒にもたらした媒質は、塩基又は特に水酸化物型の塩基性化合物を用いて塩基性にする。アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物を挙げることができる。第二、第三又は第四アミンを利用することもできる。しかしながら、アミン及びアンモニアは、それらがアルカリ金属又はアルカリ土類金属カチオンによる汚染の危険を減じる限りにおいて好適でありうる。尿素を挙げることもできる。
【0031】
この塩基性化合物は、一般に、水溶液の形態で用いられる。
【0032】
このジルコニウム化合物、ケイ素化合物及び、適宜、希土類金属化合物を一緒にもたらす方法は、臨界的でない。しかしながら、この一緒にもたらす操作は、例えば、ケイ酸ナトリウム溶液を、ジルコニウム化合物の溶液と塩基性化合物との調製された混合物に導入することにより行なうことができる。ジルコニウム化合物の溶液と、ケイ酸塩の溶液と塩基性化合物の調製された混合物とを反応器に同時に導入することも可能である。
【0033】
工程(a)は、好ましくは、周囲温度(20〜25℃)で実施する。
【0034】
この方法の次の工程(b)は、液体媒質中の沈殿を加熱する工程である。
【0035】
この加熱操作は、直接、工程(a)後に得られた反応媒質に対して行なうことができ、又は沈殿の反応媒質からの分離(及び随意の沈殿の洗浄及び水への戻し)の後に得られた懸濁液に対して行なうこともできる。この媒質を加熱する温度は、少なくとも100℃であり、一層詳細には、少なくとも130℃である。この加熱操作は、液体媒質を閉じた容器(オートクレーブ型の閉じた容器)に導入することにより実施することができる。上で与えた温度条件下で且つ液体媒質中で、説明として、この閉じた容器内の圧力は、105Pa(1バール)〜1.65×107Pa(165バール)の、好ましくは5×105Pa(5バール)〜1.65×107Pa(165バール)の値で変化しうることを特定することができる。加熱は、100℃付近の温度については、解放型反応器で行なうこともできる。
【0036】
加熱は、空気中で又は不活性ガス中で(後者の場合、好ましくは、窒素中で)行なうことができる。
【0037】
加熱の持続時間は、広い範囲で例えば1〜48時間、好ましくは2〜24時間で変化しうる。同様に、温度上昇は、ある速度で起きるが、それは、臨界的でなく、従って、例えば媒質を30分〜4時間加熱することにより設定反応温度に達することは可能であり、これらの値は、全く指示として与えたものである。
【0038】
幾つかの加熱操作を行なうことが可能である。従って、加熱工程(及び随意の洗浄操作)後に得られた沈殿を、水に再懸濁してから、その媒質に更なる加熱操作を行なうことができる。この更なる加熱操作は、始めに記載したものと同じ条件下で行なう。
【0039】
この方法の次の工程(c)は、沈殿工程で生成した沈殿に、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、ポリエチレングリコール及びカルボン酸並びにこれらの塩から選択する化合物を加えることにある。
【0040】
この化合物に関して、出願WO98/45212の教示を参照することができて、この文献に記載された界面活性剤を利用することができる。
【0041】
アニオン型界面活性剤としては、エトキシカルボキシレート、エトキシル脂肪酸、サルコシネート、リン酸エステル、サルフェート例えばアルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート及びサルフェート化アルカノールアミドエトキシレート、又はスルホネート例えばスルホスクシネート、アルキルベンゼンスルホネート若しくはアルキルナフタレンスルホネートを挙げることができる。
【0042】
非イオン性界面活性剤としては、アセチレン性界面活性剤、アルコールエトキシレート、アルカノールアミド、アミンオキシド、エトキシル化アルカノールアミド、長鎖を含むエトキシル化アミン、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー、ソルビタン誘導体、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ポリグリセリルエステル及びそれらのエトキシル化誘導体、アルキルアミン、アルキルイミダゾリン、エトキシル化油及びアルキルフェノールエトキシレートを挙げることができる。特に、商標Igepal(登録商標)、Dowanol(登録商標)、Rhodamox(登録商標)及びAlkamide(登録商標)で販売されている製品を挙げることができる。
【0043】
カルボン酸に関しては、特に、脂肪族モノ又はジカルボン酸を利用することができ、それらの内で特に飽和酸を利用することができる。脂肪酸特に飽和脂肪酸も又、利用することができる。こうして、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸及びパルミチン酸を挙げることができる。ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸を挙げることができる。
【0044】
これらのカルボン酸の塩も又、利用することができ、特に、アンモニウム塩を利用することができる。
【0045】
特に、例として、ラウリン酸及びラウリン酸アンモニウムを挙げることができる。
【0046】
最後に、カルボキシメチル化脂肪アルコールエトキシレート型のものから選択する界面活性剤を利用することができる。
【0047】
用語「カルボキシメチル化脂肪アルコールエトキシレート型の生成物」は、鎖の末端に−CH2−COOH基を含むエトキシル化又はプロポキシル化脂肪アルコールよりなる生成物を意味すると理解される。
【0048】
これらの生成物は、下記式に相当するものでありうる:
1−O−(CR23−CR45−O)n−CH2−COOH
(式中、R1は、飽和又は不飽和の炭化水素鎖を示し、その長さは、一般に、22炭素原子以下であり、好ましくは、少なくとも12炭素原子であり;R2、R3、R4及びR5は、同一であって水素を表すことができ又はR2がCH3基を表し、R3、R4及びR5は水素を表し;nは、ゼロでない50以下の整数であり、一層詳細には、5以上で15以下の整数である)。界面活性剤は、上記の式の生成物であってR1がそれぞれ飽和のもの及び不飽和のものの混合物よりなるものであってよく又は−CH2−CH2−O−及び−C(CH3)−CH2−O−基の両方を含む生成物の混合物よりなるものであってもよいということに注意すべきである。
【0049】
この界面活性剤の添加は、2つの方法で行なうことができる。それは、直接、先行する加熱工程(b)から生じた沈殿懸濁液に加えることができる。それは又、加熱を起こした媒質のための公知の手段による、固体沈殿の分離後に、該固体沈殿に加えることもできる。
【0050】
用いる界面活性剤の量は、組成物の重量に関する界面活性剤の重量パーセント(オキシドとして計算)で表して、一般に、5〜100%であり、一層詳細には15〜60%である。
【0051】
界面活性剤を沈殿懸濁液に加える場合には、沈殿の液体媒質からの分離後に、そうして得られた沈殿を洗うことができる。
【0052】
この方法の最後の工程において、回収された沈殿を、次いで、か焼する。このか焼は形成された生成物の結晶化度が発達することを可能にし、それは又、この組成物のために留保したその後の操作温度によって調節及び/又は選択することができる。これは、生成物の比表面積が用いるか焼温度が上昇するほど減少するという事実を考慮した場合である。かかるか焼は、一般に、空気中で行われるが、非常に明らかに、例えば不活性ガス中で又は制御された大気中で行なうか焼(酸化又は還元)は排除されない。
【0053】
実際に、か焼温度は、一般に、500〜1100℃、一層詳細には600〜900℃の値の範囲に限定される。
【0054】
酸化触媒である金属のシリカ含有ジルコニア上の付着は、公知の方法で例えばジルコニアの触媒金属の塩への含浸により実施される。
【0055】
この方法の実施のためには、この金属ベースの及びジルコニアベースの組成物を、粉末形態で利用することができるが、それは、適宜、様々な寸法の顆粒、ビーズ、円柱形又はハニカム形態で提供するために形作ることができる。
【0056】
この組成物は又、例えば金属又はセラミックモノリス型の基材上にこの組成物ベースのコーティング(ウォッシュコート)を含むデバイスにおいて利用することもできる。
【0057】
それ故、この発明は又、上記の方法の実施のための、前記の型の基材上にこの同じ組成物をベースとするコーティングを含むことを特徴とするデバイスにも関係する。このデバイスは、自動車両に適合された触媒排気マフラーの構成要素であってよい。
【0058】
実施例を、今から与える。
【実施例】
【0059】
実施例1
この実施例は、ジルコニウム及びケイ素の酸化物ベースの組成物(それぞれの酸化物の90重量%及び10重量%の割合)の製造に関係する。
【0060】
溶液Aを、173.8gの硝酸ジルコニウム溶液(酸化物で表して、21重量%)及び240gの蒸留水を、攪拌装置を有するビーカー中で混合することにより製造する。同時に、溶液Bを、他の攪拌装置を有するビーカー中で、100mlのアンモニア水溶液(29体積%)及び300mlの蒸留水を混合することにより製造する。
【0061】
溶液Aを攪拌装置を有する反応器に導入してから、溶液Bを、攪拌しながら徐々に加える。この媒質のpHは、少なくとも9.5の値に達する。次いで、21.3gのケイ酸ナトリウム溶液(酸化物として表して、19重量%)を、やはり徐々に攪拌しならがら導入する。
【0062】
こうして得られた懸濁液を、ステンレス鋼製の攪拌装置を備えたオートクレーブ中に入れる。この媒質の温度を、2時間にわたって、攪拌しながら、150℃にもたらす。
【0063】
周囲温度に戻した後で、得られた沈殿を濾過して蒸留水で洗う。
【0064】
48gのこの沈殿を、回収する。
【0065】
同時に、ラウリン酸アンモニウムゲルを、次の条件下で製造する:13.3gのラウリン酸を、7.8gのアンモニア水(29体積%)及び27mlの蒸留水に導入し、次いで、この混合物をスパーテルを用いて均質化する。
【0066】
このゲル48gを48gの沈殿に加えてから、合せた混合物を、均質なペーストが得られるまで混練する。
【0067】
得られた生成物を、次いで、オーブン中で120℃で一晩乾燥し、最後に、空気中で、900℃で、4時間、定常条件下でか焼する。この生成物は、75m2/gの比表面積及び純粋正方晶系相により特徴付けられる。
【0068】
この酸化物を、次いで、白金(II)テトラミンヒドロキシド塩(Pt(NH3)4(OH)2)に、酸化物の重量に関して、1重量%の白金を含む触媒を得るように含浸する。
【0069】
得られた触媒を、120℃で一晩乾燥してから、空気中で500℃で2時間か焼する。
【0070】
実施例2
この実施例は、ジルコニウム及びケイ素の酸化物ベースの組成物(それぞれの酸化物の95重量%及び5重量%の割合)の製造に関係する。
【0071】
溶液Aを、攪拌装置を有するビーカー内で、10.7gのケイ酸ナトリウム溶液(酸化物として表して19重量%)を40mlのアンモニア水溶液(29体積%)及び330mlの蒸留水と混合することによって製造する。同時に、184.4gの硝酸ジルコニウム溶液B(酸化物として表して、21重量%)をも製造する。
【0072】
溶液A及び溶液Bを、同時に、及び徐々に、攪拌装置を有する反応器に導入する。
【0073】
こうして得られた懸濁液を、ステンレス鋼製の攪拌器を備えたオートクレーブ中に入れる。この媒質の温度を、2時間にわたって、攪拌しながら、150℃にもたらす。
【0074】
周囲温度に戻した後で、得られた沈殿を、濾過して、蒸留水で洗う。
【0075】
この沈殿48gを、回収する。
【0076】
同時に、ラウリン酸アンモニウムゲルを、次の条件下で製造する:13.3gのラウリン酸を、7.8gのアンモニア水(29体積%)及び27mlの蒸留水に導入し、次いで、この混合物をスパーテルを用いて均質にする。
【0077】
このゲル48gを、48gの沈殿に加えてから、合せた混合物を、均質なペーストが得られるまで混練する。
【0078】
得られた生成物を、次いで、オーブン中で、120℃で一晩乾燥させ、最後に、空気中で900℃で4時間定常条件下でか焼する。この生成物につき得られる比表面積は、80m2/gである。
【0079】
この酸化物を、その後、白金(II)テトラミンヒドロキシド塩(Pt(NH3)4(OH)2)に、酸化物の重量に関して、1重量%の白金を含む触媒を得るように含浸させる。
【0080】
得られた触媒を、120℃で一晩乾燥させてから、空気中で500℃で2時間か焼する。
【0081】
実施例3
この実施例は、ジルコニウム及びケイ素の酸化物ベースの組成物(それぞれの酸化物の80重量%及び20重量%の割合)の製造に関係する。
【0082】
溶液Aを、攪拌装置を有するビーカー内で、42.6gのケイ酸ナトリウム溶液(酸化物として表して、19重量%)を、40mlのアンモニア水溶液(29体積%)及び330mlの蒸留水と混合することにより製造する。同時に、155.3gの硝酸ジルコニウム溶液B(酸化物として表して、21重量%)をも製造する。
【0083】
この手順を、その後、実施例2におけるように実施する。
【0084】
実施例4
この実施例は、ジルコニウム、ケイ素及びランタンの酸化物ベースの組成物(それぞれの酸化物の80重量%、10重量%及び10重量%の割合)の製造に関係する。
【0085】
溶液Aを、攪拌装置を有するビーカー内で、42.6gのケイ酸ナトリウム溶液(酸化物として表して19重量%)を、40mlのアンモニア水溶液(29体積%)及び330mlの蒸留水と混合することにより製造する。同時に、155.3gの硝酸ジルコニウム溶液(酸化物として表して21重量%)及び15.0gの硝酸ランタン溶液(酸化物として表して、27重量%)をも製造する。
【0086】
この手順を、その後、実施例2におけるように実施する。
【0087】
実施例5(比較例)
この実施例は、アルミナ上に支持された白金よりなる型の比較用組成物の製造に関係する。
【0088】
ガンマ転移アルミナ(Condea製)を、硝酸ランタン溶液に、乾燥及び500℃での空気中でのか焼後に、10重量%酸化ランタンで安定化されたアルミナを得るように含浸させる。
【0089】
この支持体を、その後、白金(II)テトラミンヒドロキシド塩(Pt(NH3)4(OH)2)に、酸化物の重量に関して、1重量%の白金を含む触媒を得るように含浸する。
【0090】
得られた組成物を、120℃で一晩乾燥させてから、500℃で空気中で2時間か焼する。
【0091】
実施例6
この実施例は、前記の実施例で製造した組成物を用いる触媒試験を記載する。
【0092】
これらの触媒組成物を先ず、触媒試験の前に老化にかける。
【0093】
老化
第一のステップにおいて、10体積%のO2及び10体積%のH2OをN2中に含む合成ガス混合物を、触媒化合物を含む石英反応器中の400mgの触媒組成物上を連続的に循環させる。この反応器の温度を、16時間にわたって定常的条件下で750℃にもたらす。この温度を、その後、周囲温度に戻す。
【0094】
第二ステップにおいて、20vpmのSO2、10体積%のO2及び10体積%のH2OをN2中に含む合成ガス混合物を、触媒化合物を含む石英反応器中で連続的に循環させる。この反応器の温度を、12時間にわたって定常的条件下で300℃にもたらす。
【0095】
この触媒組成物中の元素イオウSの含量を、硫酸化に対する耐性を評価するために、老化の終局において測定する。この老化の条件下で、この触媒組成物によって捕捉されうるイオウの最大含量は、1.28重量%である。この触媒組成物の老化後のイオウ含量が低いほど、その硫酸化に対する耐性は大きい。
【0096】
老化した触媒組成物を、その後、CO及びプロペンC36の酸化反応のための温度開始(着火型)の触媒試験において評価する。
【0097】
触媒試験
この試験において、ジーゼルエンジン排気ガスの典型的な合成混合物(2000vpmのCO、667vpmのH2、250vpmのC36、250vpmのC38、150vpmのNO、10体積%のCO2、13体積%のO2及び10体積%のH2OをN2中に含む)を、この触媒組成物上を通過させる。このガス混合物は、20mgの触媒化合物を180mgのシリコンカーバイドSiC中に希釈して含む石英反応器中を30L/時の流量で連続的に移動する。
【0098】
SiCは、酸化反応に関して不活性であり、ここでは、希釈剤として作用して、均質性を有する触媒床を与えることを可能にする。
【0099】
着火型の試験において、触媒組成物の温度の関数としてのCO及びプロペンC36の変換を測定する。こうして、触媒組成物は、100〜450℃の、10℃/分の温度勾配にかけられ、合成混合物は、反応器中を移動する。これらのガスは、反応器を出て、CO及び炭化水素のCO2及びH2Oへの変換を測定するために、約10秒の間隔で赤外線分光分析により分析される。
【0100】
その結果は、T20%(CO及びプロペンC36の20%変換が測定される温度)として表される。
【0101】
2つの温度勾配を一緒にリンクさせる。触媒組成物の触媒活性は、第一の勾配において安定化される。T20%温度を、第二の勾配において測定する。
【0102】
老化の後に得られた結果を、下に与える。
【表1】

【0103】
これらの結果は、この発明による組成物について、老化後に、硫酸化に対する耐性が改善されること及びCO及びC36の酸化が一層低温で開始することを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素に富む媒質中での、ガスの、その中に存在する一酸化炭素及び炭化水素の触媒的酸化のための処理の方法であって、触媒として、酸化触媒である金属及びシリカ含有ジルコニアに基く組成物を利用することを特徴とする当該方法。
【請求項2】
シリカ含量が1〜50重量%であり、一層詳細には5〜30重量%であるジルコニアに基く組成物の利用を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
希土類金属を更に含むジルコニアに基く組成物の利用を特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
希土類金属の含量が20重量%以下であるジルコニアに基く組成物の利用を特徴とする、前記の請求項に記載の方法。
【請求項5】
酸化触媒である金属を、貴金属から選択し、特にそれが白金でありうる組成物の利用を特徴とする、前記の請求項の一つに記載の方法。
【請求項6】
少なくとも5体積%の酸素含量を示すガスの処理を実施する、前記の請求項の一つに記載の方法。
【請求項7】
ジーゼル型の又はガソリン型の希薄混合条件下で運転するエンジンからの排気ガスの処理を実施する、前記の請求項の一つに記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜5の一つに記載の方法を実行するための装置であって、酸化触媒である金属及びシリカ含有ジルコニアに基く組成物を含むコーティングを、例えば金属又はセラミックモノリス型の基材上に含む当該装置。
【請求項9】
ジーゼル型の又はガソリン型の希薄混合条件下で運転するエンジンからの排気ガスの、その中に存在する一酸化炭素及び炭化水素の触媒的酸化のための、酸素に富む媒質における処理の方法を実行するための装置であって、酸化触媒である金属及びシリカ含有ジルコニアに基く組成物を含むコーティングを、例えば金属又はセラミックモノリス型の基材上に含むことを特徴とする当該装置。

【公表番号】特表2008−546532(P2008−546532A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518915(P2008−518915)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【国際出願番号】PCT/FR2006/001491
【国際公開番号】WO2007/000514
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【Fターム(参考)】