説明

金属帯の形状測定装置

【要 約】
【課 題】 極薄金属帯の形状を精度良く測定する形状測定装置を提供する
【解決手段】 金属帯を垂直方向に搬送する搬送手段と、金属帯に付加される張力を制御する張力制御手段と、非接触式距離計を金属帯の長手方向に走査させる距離計走査手段と、非接触式距離計によって得られた測定データから金属帯の形状指標を演算する演算手段と、を有する金属帯の形状測定装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属帯の形状測定装置に関するもので、特に非接触式距離計を用いて厚み0.4mm以下の金属帯の形状を測定する形状測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属帯(たとえば冷延鋼帯等)の品質を維持する上で、金属帯の形状(たとえば平坦度等)は重要な意味を持つ。一般に金属帯は、その製造過程で局部的に波状の伸びを生じる。その例を図2に示す。図2(a)は金属帯1の端部に波状の伸び(いわゆる耳伸び)を生じた例を示す斜視図であり、図2(b)は金属帯1の中央部に波状の延び(いわゆる腹伸び)を生じた例を示す斜視図である。
【0003】
このような波状の伸び(すなわち耳伸び,腹伸び)は、金属帯1の圧延工程で使用する圧延ロールの弾性変形(たとえば熱膨張,たわみ等)に起因して発生するものである。耳伸びや腹伸びが軽微な金属帯1は比較的平坦であり、後工程で様々な加工を加えても問題はない。しかし耳伸びや腹伸びが著しく発生した金属帯1は、凹凸が著しいので、後工程で加工を加える際に種々の問題を生じる。
【0004】
したがって、金属帯1の耳伸びや腹伸びの発生の程度(すなわち平坦の度合)を測定して、金属帯1の製造過程の様々な設定を調整する必要がある。そこで金属帯1の平坦の度合を示す指標として、急峻度λが広く使用されている。急峻度λは、耳伸びや腹伸びに起因する波の周期Pと波の高さdとを用いて算出される。つまり、図3に示す金属帯1の波の周期Pと波の高さdとを用いて、下記の(1)式から急峻度λ(%)を算出する。
【0005】
λ=100×(d/P) ・・・(1)
急峻度λを得るためには、金属帯1の形状(すなわち波の周期,高さ等)を測定する必要があり、その形状を測定する技術が種々検討されている。
たとえば非特許文献1には、接触式あるいは非接触式の様々な形状測定装置が開示されている。
【0006】
非特許文献1には接触式の形状測定装置として、幅方向に分割された測定ロールを金属帯に接触させて、金属帯の幅方向の張力分布を測定し、得られた張力を金属帯のヤング率で除して伸び差分布を算出する形状測定装置が開示されている。
また非特許文献1には非接触式の形状測定装置として、光学式センサー(たとえばレーザー等)を用いて金属帯の変位を測定し、得られた変位から金属帯の形状を測定する形状測定装置が開示されている。
【0007】
特許文献1には、冷延鋼板の幅方向と長手方向にレーザー変位計を走査させて、冷延鋼板の形状を測定する技術が開示されている。この技術は、冷延鋼板を切断せず帯状のまま水平方向に搬送し、形状を測定する際には冷延鋼板の搬送を停止して張力が作用しない状態で形状を測定している。
特許文献2には、鋼板を搬送しながら、鋼板の形状を測定する技術が開示されている。この技術は、互いに隣り合う搬送ロールの間に等間隔で複数の非接触式距離計を配設し、搬送される鋼板の変位を測定し、得られた変位からパスラインの変動による影響因子を除去して鋼板の形状を測定する技術である。
【0008】
非特許文献1および特許文献1,2に開示された技術は、いずれも耳伸びや腹伸びに起因して波状に変形した金属帯の形状を測定するものである。
ところが、厚みが0.4mm以下の金属帯1a(以下、極薄金属帯という)では、耳伸びや腹伸びのみならず、微小な凹凸が極薄金属帯1aの全面に発生する。その例を図4に示す。
この微小な凹凸の発生原因は以下の通りである。つまり極薄金属帯1aの圧延工程で1対の圧延ロールで挟まれた部分に圧縮応力が作用し、極薄金属帯1aが幅方向に広がろうとする一方で、圧延ロールによって極薄金属帯1aが拘束される。このとき、極薄金属帯1aの幅方向の圧縮応力が発生する。その後、極薄金属帯1aが圧延ロールの拘束から開放されると、その圧縮応力によって極薄金属帯1aが変形(いわゆる座屈)して、全面に微小な凹凸が発生する。
【0009】
極薄金属帯1aは様々な用途に使用されるが、特に建材として使用される冷延鋼板等では、この微小な凹凸によって建材の外観が損なわれる等の問題が生じる。そのため、極薄金属帯1aの製造過程における様々な設定を調整するために、微小な凹凸の形状を測定する必要がある。
しかし従来の技術では、極薄金属帯1aに発生する微小な凹凸の形状を測定することは困難である。
【特許文献1】特開昭58-111708号公報
【特許文献2】特開平7-234121号公報
【非特許文献1】板圧延の理論と実際(日本鉄鋼協会,p164〜177)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
様々な用途に使用される金属帯の波状の凹凸や微小な凹凸を防止するために、金属帯の形状を測定する技術の重要性が高まっている。特に厚み0.4mm以下の金属帯(すなわち極薄金属帯)では、耳伸びや腹伸びに起因する波状の凹凸のみならず、全面に発生する微小な凹凸も精度良く測定して、極薄金属帯の製造過程における様々な設定を調整する必要がある。
【0011】
しかし、極薄金属帯の全面に発生する微小な凹凸は、幅方向の張力分布に影響を及ぼさないので、非特許文献1に開示された接触式の形状測定技術を用いて幅方向の張力分布を測定しても、極薄金属帯の微小な凹凸を測定することは困難である。
また特許文献1に開示された技術を極薄金属帯に適用する際には、張力を作用させず水平な定盤上に静置して、極薄金属帯の形状を測定する。図5は、極薄金属帯1aを定盤上に静置した例を模式的に示す断面図である。極薄金属帯1aの剛性は低いので、水平な定盤10上に静置することによって、凹凸の谷底部が全て定盤10と接触(すなわち極薄金属帯1aが変形)した状態で形状を測定することになり、測定精度が低下する。
【0012】
特許文献2に開示された技術を極薄金属帯に適用する際には、互いに隣り合う搬送ロールの間で極薄金属帯の形状を測定する。図6は、極薄金属帯1aを搬送ロール11で搬送する例を模式的に示す断面図である。極薄金属帯1aの剛性は低いので、搬送ロール11の間で極薄金属帯1aの撓みが発生し、その撓みが発生(すなわち極薄金属帯1aが変形)した部位の形状を測定することになり、測定精度が低下する。また、特許文献2はパスラインの変動という周期性を有する影響因子を除去して鋼板の形状を測定する技術であるが、図6に示すような極薄金属帯1aの撓みの発生には周期性がないので、特許文献2の技術を適用しても測定精度の向上は期待できない。
【0013】
本発明は、厚み0.4mm以下の金属帯(すなわち極薄金属帯)の形状を精度良く測定する形状測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
厚み0.4mm以下の金属帯(すなわち極薄金属帯)の急峻度λに影響を及ぼす因子は、局部的に発生する伸び(すなわち耳伸び,腹伸び)に起因する波状の凹凸と、全面に発生する微小な凹凸と、に大別される。
既に説明した通り、非特許文献1および特許文献1,2に開示された技術では、耳伸びや腹伸びに起因する波状の凹凸を測定することは可能であるが、極薄金属帯の全面に発生する微小な凹凸を測定することは困難である。しかも特許文献1,2の技術では、波状の凹凸を測定することは可能であるが、極薄金属帯が変形した状態で形状を測定するので、測定精度が低下するのは避けられない。
【0015】
そこで発明者らは、極薄金属帯の耳伸びや腹伸びに起因する波状の凹凸のみならず、全面に発生する微小な凹凸を精度良く測定する技術について調査検討した。その結果、極薄金属帯を鉛直方向に搬送しかつ張力を作用させることによって、極薄金属帯の変形を防止し、極薄金属帯の形状を精度良く測定できることが判明した。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
【0016】
すなわち本発明は、非接触式距離計を用いて厚み0.4mm以下の金属帯の形状を測定する形状測定装置であって、金属帯を垂直方向に搬送する手段(以下、搬送手段という)と、金属帯に付加される張力を制御する手段(以下、張力制御手段という)と、非接触式距離計を金属帯の長手方向に走査させる手段(以下、距離計走査手段という)と、非接触式距離計によって得られた測定データから金属帯の形状指標を演算する手段(以下、演算手段という)と、を有する金属帯の形状測定装置である。
【0017】
本発明の形状測定装置においては、距離計走査手段が、非接触式距離計を金属帯の長手方向と幅方向に走査させることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、厚み0.4mm以下の金属帯(すなわち極薄金属帯)の形状を精度良く測定できる。しかも、耳伸びや腹伸びに起因する波状の凹凸のみならず、全面に発生する微小な凹凸も精度良く測定できるので、極薄金属帯の製造過程における様々な設定を調整して、波状の凹凸および微小な凹凸の発生を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明の形状測定装置を用いて、厚み0.4mm以下の金属帯1a(すなわち極薄金属帯)の形状を測定する例を模式的に示す斜視図である。図1に示すように、極薄金属帯1aは、搬送手段2(たとえばピンチロール等)によって挟持されて鉛直方向に搬送される。そして非接触式距離計3が形状を測定する際には、極薄金属帯1aは、張力を付加された状態で停止する。搬送手段2は張力制御手段を兼ねており、ピンチロール2の回転速度を調整することによって、極薄金属帯1aに付加される張力を制御することが可能である。つまり極薄金属帯1aの搬送方向に対して、たとえば後方のピンチロール2を停止する一方で、前方のピンチロール2の回転数を調整して、張力測定手段(図示せず)によって得られる測定値が所定の範囲を満足するように制御する。
【0020】
なお、図1にはピンチロール2が搬送手段と張力制御手段の機能を兼ね備える例を示したが、搬送手段と張力制御手段を個別に配設しても良い。搬送手段と張力制御手段を個別に配設する例は、後述する図7に示す。
このようにして極薄金属帯1aに所定の張力を付加した部位に非接触式距離計3を配設する。極薄金属帯1aの微小な凹凸を測定する場合には、測定ロールを極薄金属帯1aに接触させるような接触式距離計を使用しても、高精度の測定は期待できない。そのため本発明では、非接触式距離計3を使用する。
【0021】
非接触式距離計3は、極薄金属帯1aの幅方向に複数台を配設する。そして距離計走査手段4を用いて、極薄金属帯1aの長手方向に非接触式距離計3を走査させることによって、極薄金属帯1aの全面の形状を測定する。
非接触式距離計3を走査させる機構は、特定の構成に限定せず、ベルトや歯車等の従来から知られている技術を使用する。
【0022】
なお、図1には極薄金属帯1aの幅方向に7台の非接触式距離計3を配設する例を示したが、非接触式距離計3の台数は特に限定せず、要求される測定精度や極薄金属帯1aの寸法等に応じて適宜選択する。あるいは図9に示すように、1台の非接触式距離計3を極薄金属帯1aの幅方向に走査させても良い。つまり図9に示す例では、非接触式距離計3は、極薄金属帯1aの長手方向と幅方向に走査される。また図示は省略するが、2台以上の非接触式距離計3を極薄金属帯1aの長手方向と幅方向に走査させても良い。
【0023】
非接触式距離計3によって得られた測定データは演算手段(図示せず)に伝送され、演算手段は極薄金属帯1aの形状を示す指標(たとえば急峻度等)を出力する。
図7は、本発明を適用して、極薄金属帯1aの形状を測定する例を模式的に示す配置図である。なお図7では、非接触式距離計3を1台のみ示し、距離計走査手段は図示を省略する。図7に示す例においても、非接触式距離計3を極薄金属帯1aの幅方向に複数台配設して極薄金属帯1aの長手方向に非接触式距離計3を走査させる、あるいは1台の非接触式距離計3を極薄金属帯1aの幅方向と長手方向に走査させることによって、極薄金属帯1aの形状を測定する。
【0024】
極薄金属帯1aは、その搬送方向が2機のデフレクターロール7によってその鉛直方向に固定され、かつ搬送手段2(すなわちピンチロール)によって挟持されて搬送される。そして非接触式距離計3が形状を測定する際には、極薄金属帯1aは、張力を付加された状態で停止する。つまりピンチロール2の回転を全て停止し、さらに極薄金属帯1aの搬送方向に対して後方のブライドルロール5を停止する一方で、前方のブライドルロール5の回転数を調整して、張力測定手段6によって得られる張力の測定値が所定の範囲を満足するように制御する。
【0025】
このようにして非接触式距離計3によって得られた測定データは演算手段8に伝送され、演算手段8は極薄金属帯1aの形状を示す指標(たとえば急峻度等)を出力する。
本発明の形状測定装置では、図1,7,9に示すように、いずれも形状を測定する位置で極薄金属板1aを鉛直方向に搬送する。極薄金属板1aを鉛直方向に搬送することによって、狭小な場所に形状測定装置を設置することが可能となる。そのため、極薄金属帯1aの新規の製造ラインのみならず既存の製造ラインに、その立地条件に関わらず、本発明の形状測定装置を設置できる。
【0026】
形状を測定する際に極薄金属板1aに付加する張力は、極薄金属板1aの成分,寸法や製造過程における様々な設定条件に応じて適宜設定する。ただし、極薄金属板1aに付加する張力が過小である場合は、極薄金属板1aが自重によって撓むので、変形した部位の形状を測定することになり、測定精度が低下する。一方、張力が過大である場合は、極薄金属帯1aが破断する、あるいは塑性変形する等の問題が生じる。したがって、極薄金属板1aに付加する張力は0.1〜200N/mm2の範囲内が好ましい。
【0027】
たとえば極薄金属帯1aとしてSPCC鋼の冷延鋼帯(厚み0.15mm,幅1000mm)を冷間総圧下率92.5%で製造した場合、冷延鋼帯のヤング率は約205.8×103N/mm2(=21×103kgf/mm2),降伏強さは約842.8N/mm2(=86kgf/mm2)であり、形状を測定する際に付加する張力は19.6N/mm2(=2kgf/mm2)が好適である。その冷延鋼帯の幅方向中央部の形状を非接触式距離計で測定した結果を図8に示す。なお、非接触式距離計としてレーザー式距離計を使用し、幅方向中央部を長手方向1500mmにわたって測定した。張力19.6N/mm2を付加することによって、図8に示すように、冷延鋼帯の微小な凹凸を精度良く測定することが可能である。また、冷延鋼帯の幅方向中央部以外の部位(たとえば幅方向端部)の形状を測定することも可能である。
【0028】
図1に示すように、極薄金属帯1aの幅方向に複数台を配設し、極薄金属帯1a長手方向に非接触式距離計3を走査させる形状測定装置は、測定に要する時間を短縮できる。
一方で、図9に示すように、1台の非接触式距離計3を極薄金属帯1aの幅方向と長手方向に走査させる形状測定装置は、その製造コストを低減できるとともに、小型化を達成できる。
【実施例】
【0029】
図10に示す5スタンドからなる冷間タンデム圧延機を用いて冷間圧延を行ない、厚み0.07〜0.4mmの極薄金属帯1a(すなわち冷延鋼帯)を製造し、冷延コイル9に巻き取った。図10中の矢印Aは冷延鋼板1aの進行方向を示す。使用した冷間タンデム圧延機の第1〜4スタンドは4段ミル,第5スタンドは6段ミルである。冷間圧延に供した素材は、熱間圧延の後で酸洗を施した厚み2.0mmのSPCC鋼である。
【0030】
得られた種々の冷延コイル9を検査ラインに送給し、図1に示すように本発明の形状測定装置を使用して形状を測定した。非接触式距離計3としてレーザー式距離計を使用し、冷延鋼帯1aの幅方向に10台配設した。ただし図1では、簡略化して7台の非接触式距離計3を図示する。
冷延鋼帯1aの形状を測定する位置では冷延鋼板1aを鉛直方向に搬送し、形状を測定する際には冷延鋼板1aの搬送を停止した。そしてブライドルロール(図7参照)を用いて、冷延鋼板1aの張力を19.6N/mm2(=2kgf/mm2)に制御しながら、非接触式距離計3を冷延鋼帯1aの長手方向に走査(距離:1500mm)した。
【0031】
このようにして得た測定データを演算手段(図示せず)に伝送して、冷延鋼板1aの形状を示す指標として、図11に示すような表面の凹凸を示す図を出力した。なお演算手段は(1)式から急峻度を算出する等、他の指標を出力することも可能であるが、ここでは図11について説明する。
図11は、厚み0.15mm,幅1000mmの冷延鋼帯1a表面の形状を示す図である。図11のLは長手方向,Wは幅方向,Hは高さ方向を示す。なお数字の単位はmmである。冷延鋼帯1aの幅方向に配設された10台の非接触式距離計3(すなわちレーザー式距離計)が測定した位置は、図11中の両端部を含む10本の線(すなわちL方向へ延伸する線)で示される。W方向へ延伸する多数の線は、凹凸を視覚的に表現するための補助線である。この測定結果から形状指標(たとえば凹凸の高さ,個数等)を求めることができる。
【0032】
次に、上記と同様に製造した冷延コイル9を検査ラインに送給し、図9に示すように本発明の形状測定装置を使用して形状を測定した。非接触式距離計3としてレーザー式距離計を使用し、冷延鋼帯1aの幅方向に1台配設した。
冷延鋼帯1aの形状を測定する位置では冷延鋼板1aを鉛直方向に搬送し、形状を測定する際には冷延鋼板1aの搬送を停止した。そしてブライドルロール(図7参照)を用いて、冷延鋼板1aの張力を19.6N/mm2(=2kgf/mm2)に制御しながら、非接触式距離計3を冷延鋼帯1aの幅方向に走査させて形状を測定(50mmピッチ,20回)した後、長手方向に走査し、再び幅方向に走査させて形状を測定した。このようにして、幅方向と長手方向の走査を繰り返して、長手方向1500mmの距離を全幅にわたって測定した。
【0033】
このようにして得た測定データを演算手段(図示せず)に伝送して、冷延鋼板1aの形状を示す指標として、図12に示すような表面の凹凸を示す図を出力した。なお演算手段は(1)式から急峻度を算出する等、他の指標を出力することも可能であるが、ここでは図12について説明する。
図12は、厚み0.15mm,幅1000mmの冷延鋼帯1a表面の形状を示す図である。図12のLは長手方向,Wは幅方向,Hは高さ方向を示す。なお数字の単位はmmである。冷延鋼帯1aの幅方向(50mmピッチ,20回ごと)に非接触式距離計3(すなわちレーザー式距離計)が測定した位置は、図12中の両端部を含む20本の線(すなわちL方向へ延伸する線)で示される。W方向へ延伸する多数の線は、凹凸を視覚的に表現するための補助線である。この測定結果から形状指標(たとえば凹凸の高さ,個数等)を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の形状測定装置を用いて極薄金属帯の形状を測定する例を模式的に示す斜視図である。
【図2】金属帯に波状の伸びを生じた例を模式的に示す斜視図であり、(a)は耳伸びの例,(b)は腹伸びの例を示す。
【図3】波状の伸びを生じた金属帯の例を模式的に示す側面図である。
【図4】厚み0.4mm以下の金属帯に生じる微小な凹凸の例を模式的に示す斜視図である。
【図5】厚み0.4mm以下の金属帯を水平な定盤上に静置した例を模式的に示す断面図である。
【図6】厚み0.4mm以下の金属帯を搬送ロールで搬送する例を模式的に示す断面図である。
【図7】本発明の形状測定装置を用いて極薄金属帯の形状を測定する他の例を模式的に示す配置図である。
【図8】極薄金属帯の形状を測定した例を示すグラフである。
【図9】本発明の形状測定装置の他の例を模式的に示す斜視図である。
【図10】冷間タンデム圧延機の例を模式的に示す断面図である
【図11】冷延鋼帯の表面の形状を測定した例を示す図である。
【図12】冷延鋼帯の表面の形状を測定した例を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
1 金属帯
1a 極薄金属帯
2 搬送手段(ピンチロール)
3 非接触式距離計
4 距離計走査手段
5 ブライドルロール
6 張力測定手段
7 デフレクターロール
8 演算手段
9 冷延コイル
10 定盤
11 搬送ロール
A 冷延鋼板の進行方向


【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触式距離計を用いて厚み0.4mm以下の金属帯の形状を測定する形状測定装置であって、前記金属帯を鉛直方向に搬送する搬送手段と、前記金属帯に付加される張力を制御する張力制御手段と、前記非接触式距離計を前記金属帯の長手方向に走査させる距離計走査手段と、前記非接触式距離計によって得られた測定データから前記金属帯の形状指標を演算する演算手段と、を有することを特徴とする金属帯の形状測定装置。
【請求項2】
前記距離計走査手段が、前記非接触式距離計を前記金属帯の長手方向と幅方向に走査させることを特徴とする請求項1に記載の金属帯の形状測定装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−281921(P2009−281921A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135490(P2008−135490)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】