説明

金属抽出用組成物及び方法

【課題】酸性又はアンモニア性水溶液から有価金属を抽出する方法を提供する。
【解決手段】溶媒抽出用組成物は、一つ又はそれ以上のオルトヒドロキシアリールアルドキシム或いはオルトヒドロキシアリールケトキシム及び一つ又はそれ以上の、ヒドロキシル基で置換されたエステル、並びに好ましくは水非混和性有機溶媒を含む。オルトヒドロキシアリールアルドキシム又はオルトヒドロキシアリールケトキシムは、一般的に以下の式(1):


を有し、式中、R1は水素又はヒドロカルビル基であり、そしてR2はオルト−ヒドロキシアリール基である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶媒抽出用組成物、溶媒抽出法及び特に金属、特に銅を、水溶液、特に鉱石のリーチング(leaching)により得られる溶液から抽出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属、特に銅を、金属を例えば塩の形で含む水溶液から、水溶液を水非混和性有機溶媒中の溶媒抽出剤の溶液と接触させ、そして次いで金属を含む、即ち少なくとも金属の一部を錯体の形で含む溶媒相を分離することによって抽出することは知られている。次いで金属を、低pHの溶液でストリッピング(stripping)し、続いて例えば電解採取によって回収することができる。最も一般的には、抽出される金属を含む水溶液は、鉱石の酸リーチングから得られる。然しながら、一部の金属、特に銅は、ある種の鉱石からアンモニア性溶液とともにリーチングさせることができることが知られている。これは、特に高濃度の銅を含む溶液が得られ、そして溶液は鉄の僅かな汚染しか存在しないという利益を有する。
【0003】
特に水溶液から銅を回収するために、近年好ましいことが見出された溶媒抽出剤は、オキシム試薬、特にo−ヒドロキシアリールオキシム及びo−ヒドロキシアリールケトキシムを含む。このような試薬が、溶液から銅を回収することにおいて充分に作用することが見出されているが、このような試薬を適用することにおいて遭遇した一つの問題点は、オキシム及びケトキシム試薬が、リーチ溶液(leachsolution)からストリップ溶液(strip solution)への金属の移動の効率を阻害できるほどに、金属を強固に結合することができることである。このような問題を克服するために、抽出剤の結合効率に影響を与えるように改質剤が使用されてきている。典型的な改質剤は、国際特許出願公開WO96/25525に開示されており、そして特に高度に分枝したエステル改質剤の群は、欧州特許出願公開EP−A−0202833に開示されている。然しながら溶媒抽出法は更に各種の状況下での使用が増加しているために、更なる改質剤を確認することに対する必要性がなお存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO96/25525
【特許文献2】EP−A−0202833
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の第1の側面によれば、一つ又はそれ以上のオルトヒドロキシアリールアルドキシム或いはオルトヒドロキシアリールケトキシム及び一つ又はそれ以上の、ヒドロキシ基で置換されたエステルを含む、溶媒抽出用組成物が提供される。組成物は、好ましくは更に水非混和性有機溶媒を含む。
【0006】
本発明で使用されるオルトヒドロキシアリールアルドキシム又はオルトヒドロキシアリールケトキシム化合物及びその塩は、実質的に水不溶性であり、そして好ましくは以下の式:
【0007】
【化1】

【0008】
[式中: R1は、水素又は置換されていてもよいヒドロカルビル基であり;
2は、置換されていてもよいオルト−ヒドロキシアリール基である;]
を有する。
【0009】
本発明は、本明細書中に式(1)の化合物に関して記載されるが、前記化合物のいかなる可能な互変異性形、及び更にオルトヒドロキシアリールアルドキシム又はオルトヒドロキシアリールケトキシム及び金属、特に銅との間で形成される錯体にも関することは了解される。
【0010】
1で表すことができる置換されていてもよいヒドロカルビル基は、好ましくは置換されていてもよいアルキル及びアリール基並びに置換されていてもよいアラルキル及びアルカリール基のようなこれらの組み合わせを含む。
【0011】
1で表すことができる置換されていてもよいアルキル基の例は、アルキル部分が、1ないし20個、特に1ないし4個の炭素原子を含むことができる基を含む。好ましいオルトヒドロキシアリールケトキシムは、R1が好ましくは20個まで、そして特に10個まで、そして更に好ましくは3個までの飽和脂肪族炭素原子を含むアルキルであるものであり、そして最も好ましくはR1はメチル基である。
【0012】
1で表すことができる置換されていてもよいアリール基の例は、置換されていてもよいフェニル基を含む。R1がアリール基の場合、これは好ましくは置換されていないフェニル基である。
【0013】
最も好ましくはR1は、水素原子である。
2で表すことができる置換されていてもよいオルト−ヒドロキシアリール基は、置換されていてもよいフェノールを含む。R2で表すことができる置換されていてもよいフェノールの例は、以下の式:
【0014】
【化2】

【0015】
のものを含み、式中、R3ないしR6は、それぞれ独立にH又はC1ないしC22、好ましくはC7ないしC15の直鎖又は分枝鎖状のアルキル基である。特に好ましくはR5のみがC1-22アルキル基、最も好ましくはC7ないしC15アルキル基であり、R3、R4及びR6は、Hである。
【0016】
1及びR2が置換されている場合、置換基は、オルトヒドロキシアリールアルドキシム又はオルトヒドロキシアリールケトキシムが、金属、特に銅と錯化する能力に逆に影響しないようなものでなければならない。適した置換基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロカルビル、例えばC1-20−アルキル、特にC1-10−アルキル;ヒドロカルビルオキシ、例えばC1-20−アルコキシ、特にC1-10−アルコキシ;ヒドロカルビルオキシカルボニル、例えばC1-20−アルコキシカルボニル、特にC1-10−アルコキシカルボニル;アシル、例えばC1-20−アルキルカルボニル及びアリールカルボニル、特にC1-10−アルキルカルボニル及びフェニルカルボニル;並びにアシルオキシ、例えばC1-20−アルキルカルボニルオキシ及びアリールカルボニルオキシ、特にC1-10−アルキルカルボニルオキシ及びフェニルカルボニルオキシを含む。一つより多い置換基が存在することができる場合、置換基は同じでも又は異なっていてもよい。
【0017】
多くの態様において、オルトヒドロキシアリールケトキシムが使用される場合、オルトヒドロキシアリールケトキシムは、5−(C8ないしC14アルキル)−2−ヒドロキシアセトフェノンオキシム、特に5−ノニル−2−ヒドロキシアセトフェノンオキシムである。
【0018】
多くの好ましい態様において、オルトヒドロキシアリールアルドキシムが使用される場合、オルトヒドロキシアリールアルドキシムは、5−(C8ないしC14アルキル)−2−ヒドロキシベンズアルドキシム、特に5−ノニル−2−ヒドロキシベンズアルドキシムである。
【0019】
組成物は、一つ又はそれ以上の異なったオルトヒドロキシアリールアルドキシム又はオルトヒドロキシアリールケトキシム或いはこれらの混合物を含むことができ、ここでR1及びR2で表される置換基の本質は、特にオルトヒドロキシアリールアルドキシム又はオルトヒドロキシアリールケトキシム成分が異性体である場合、オルトヒドロキシアリールアルドキシム又はオルトヒドロキシアリールケトキシム成分間で異なっている。このような異性体の混合物は、有機溶媒に対して単一のオルトヒドロキシアリールケトキシムより良好な溶解性を有する。
【0020】
オルトヒドロキシアリールアルドキシム又はオルトヒドロキシアリールケトキシムは、しばしば組成物の60重量%まで、通常50%以下、そして一般的には40重量/重量%以下の量で存在する。しばしばオルトヒドロキシアリールアルドキシム又はオルトヒドロキシアリールケトキシムは、組成物の少なくとも1重量%、通常少なくとも2.5重量%、そして一般的に少なくとも5重量%を構成し、そして好ましくは組成物の重量の7.5ないし20%、例えば約10%を構成する。
【0021】
本発明で使用されるヒドロキシ基で置換されたエステルは、実質的に水不溶性であり、通常以下の式:
【0022】
【化3】

【0023】
を有し、式中、R7又はR8の一方は、少なくとも一つのヒドロキシル基で置換された置換されたヒドロカルビル基であり、そして他方は、置換されていてもよいヒドロカルビル基である。好ましくは、エステルは、脂肪族又は芳香族−脂肪族エステル、そして特に好ましくは分枝鎖脂肪族又は芳香族−脂肪族エステルである。
【0024】
本発明に使用することができるヒドロキシ基で置換されたエステル(本明細書中で以降ヒドロキシ−エステル)は、ジ−エステル又はポリエステルであることができるが、しかし特にモノ−エステルである。
【0025】
本発明のヒドロキシ−エステルは、5ないし51個の炭素原子、好ましくは7ないし40個の炭素原子、そして更に好ましくは9ないし25個の炭素原子を含むことができる。
【0026】
ヒドロキシ−エステルは、好ましくは高度に分枝している。本発明の文脈において、“高度に分枝した”は、メチル炭素原子(CH3基)と非メチル炭素原子(非CH3基)の数の比が、1:5より高く、そして好ましくは1:3より高く、そしてしばしば1.8:1より低く、好ましくは1.5:1より低いことを意味する。
【0027】
7及びR8によって表すことができる置換されていてもよいヒドロカルビル基は、好ましくは置換されていてもよいアルキル及びアリール並びにこれらの組み合わせ、例えば置換されていてもよいアラルキル及びアルカリール基を含む。
【0028】
7及びR8で表すことができる置換されていてもよいアルキル基の例は、アルキル部分が1ないし25個、特に2ないし12個の炭素原子を含むことができる基を含む。R7が置換されていてもよいアルキル基の場合、これが12個までの炭素原子、更に好ましくは8個までの炭素原子、そして特に4個までの炭素原子を含むことが好ましい。R8が置換されていてもよいアルキル基の場合、これが少なくとも2個の炭素原子、特に少なくとも4個の炭素原子、そして特に少なくとも6個の炭素原子を含むことが好ましい。
【0029】
7及びR8で表すことができる置換されていてもよいアリール基の例は、置換されていてもよいフェニル基を含む。ある態様において、R7又はR8の一つのみがアリール基である。R7又はR8の一つのみがアリール基である場合、R7がアリール基であることが特に好ましい。R7又はR8がアリール基の場合、置換されていないフェニル基であることが好ましい。
【0030】
ヒドロキシ−エステルは、ヒドロキシ基を含まなければならないが、しかし他の官能基を含んでいてもよい。存在してもよい官能基は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロカルビル、例えばC1-20−アルキル、特にC1-10−アルキル;ヒドロカルビルオキシ、例えばC1-20−アルコキシ、特にC1-10−アルコキシ;ヒドロカルビルオキシカルボニル、例えばC1-20−アルコキシカルボニル、特にC1-10−アルコキシカルボニル;アシル、例えばC1-20−アルキルカルボニル及びアリールカルボニル、特にC1-10−アルキルカルボニル及びフェニルカルボニル;並びにアシルオキシ、例えばC1-20−アルキルカルボニルオキシ及びアリールカルボニルオキシ、特にC1-10−アルキルカルボニルオキシ及びフェニルカルボニルオキシを含む。一つより多い置換基が存在することができる場合、置換基は同じでも又は異なっていてもよい。
【0031】
本発明のヒドロキシ−エステル中に存在しなければならないヒドロキシ基は、名目上アルコール(置換されていてもよいヒドロカルビル基R8)又はカルボン酸(置換されていてもよいヒドロカルビル基R7)から誘導されたヒドロキシ−エステルの部分に存在することができる。ヒドロキシ基がアルコールから誘導されたヒドロキシ−エステルの部分に存在し、そして特にこの部分がジオールから誘導されていることが好ましい。ヒドロキシ基がヒドロキシ−エステルの脂肪族部分に結合していることが特に好ましい。
【0032】
ヒドロキシ−エステルが、アルコール及びヒドロキシで置換されたモノカルボン酸の反応の産物の場合、アルコールがアルキルアルコールであり、そして2ないし12個の炭素原子を含み、そして酸がヒドロキシで置換されたアルキルカルボン酸であり、そして2ないし12個の炭素原子を含むことが好ましい。ヒドロキシ−エステルがジオール及びモノカルボン酸の反応の産物の場合、ジオールがアルキルジオールであり、そして少なくとも6個の炭素原子を含み、そしてモノカルボン酸が2ないし12個の炭素原子を含むことが好ましい。有用なエステルの例は、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールモノイソブチレート、2−ヒドロキシメチル−2−メチルペンタノール モノタートペンタノエート及びノナン−1,3−ジオール モノアセテート並びに特に2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール モノベンゾエートを含む。
【0033】
ヒドロキシ−エステルは、しばしば組成物の30重量/重量%まで、好ましくは0.1ないし20重量/重量%、そして最も好ましくは0.5ないし15重量/重量%を構成する。ヒドロキシ−エステルとアルドキシム又はケトキシムの重量比は、しばしば10:1ないし1:10、通常5:1ないし1:5、そして好ましくは1:1ないし1:4の範囲である。
【0034】
組成物中に存在することができる有機溶媒は、水と非混和性であり、そして抽出条件下で存在する他の物質に対して不活性な、いかなる流動性有機溶媒、又は溶媒の混合物を含む。適した溶媒の例は、脂肪族、脂環族及び芳香族炭化水素及びこれらのいずれもの混合物、並びに塩素化炭化水素、例えばトリクロロエチレン、ペルクロロエチレン、トリクロロエタン、及びクロロホルムを含む。適した炭化水素溶媒の例は、Exxonから商業的に入手可能なESCAID110、ESCAID 115、ESCAID 120、ESCAID 200及びESCAID 300(ESCAIDは商標である)、Shellから商業的に入手可能なSHELLSOL D70及びD80 300(SHELLSOLは商標である)、並びにConocoから商業的に入手可能なCONOCO170(CONOCOは商標である)を含む。ある種の適した溶媒、例えばExxonから商業的に入手可能なESCAID110(ESCAIDは商標である)、並びにPhillips Petroleumから商業的に入手可能なORFOM SX10及びORFOMSX11(ORFOMは商標である)のような炭化水素溶媒は、低い芳香族含有率(<1重量/重量%)を有する。好ましい溶媒は、Exxonから商業的に入手可能なSOLVESSO150(SOLVESSOは商標である)のような高芳香族含有率の高引火点溶媒を含む炭化水素溶媒であり、そしてImperialChemical Industries PLCから商業的に入手可能なAROMASOL H(AROMASOLは商標である)のような本質的にトリメチルベンゼンの混合物からなる溶媒を含む。然しながら、特に好ましいものは、低毒性及び広範囲な入手の可能性に基づいて、灯油のような比較的低い芳香族含有率の炭化水素溶媒、例えばExxonから商業的に入手可能な、全芳香族含有率23%の石油留出油であるESCAID100(ESCAIDは商標である)、又はPhillips Petroleumから商業的に入手可能なORFOM SX7(ORFOMは商標である)である。
【0035】
多くの態様において、組成物は、少なくとも30%、しばしば少なくとも45重量%、好ましくは50ないし95重量/重量%の水非混和性炭化水素溶媒を含む。
【0036】
ある好ましい組成物は、42重量/重量%まで、そして好ましくは7.5ないし20重量/重量%の量で存在してもよい少なくとも一つのオルトヒドロキシアリールアルドキシム又はオルトヒドロキシアリールケトキシム、及び更に28%まで、好ましくは0.5ないし15重量/重量%の量で存在してもよい少なくとも一つのヒドロキシ−エステルを含む。7.5ないし20重量/重量%に量で存在する少なくとも一つのオルトヒドロキシアリールアルドキシム又はオルトヒドロキシアリールケトキシム、及び0.5ないし15重量/重量%の量で存在する少なくとも一つのヒドロキシ−エステルを含む組成物が特に好ましい。
【0037】
特に好ましい溶媒抽出用組成物は、7.5ないし20重量/重量%の5−(C8ないしC14アルキル)−2−ヒドロキシアセトフェノンオキシム又は5−(C8ないしC14アルキル)−2−ヒドロキシベンズアルドキシム、0.5ないし15重量/重量%の2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール モノイソブチレート又はベンゾエート、及び65ないし92%の水非混和性炭化水素溶媒を含むものである。
【0038】
好都合には、組成物を濃縮物の形で製造し、そして供給することが好ましい。ある態様において、濃縮物は一つ又はそれ以上のオルトヒドロキシアリールアルドキシム又はオルトヒドロキシアリールケトキシム、及び一つ又はそれ以上のヒドロキシ−エステルの混合物からなることができる(即ち溶媒が存在しない)。濃縮物は、次いで本明細書中で先に記載したように有機溶媒を加えることにより希釈して、本明細書中で先に記載したような範囲の組成物を製造することができる。濃縮物が溶媒を含む場合、同一の溶媒を使用して、濃縮物を“使用時”の濃度範囲に希釈することが好ましい。多くの態様において、濃縮組成物は、30%まで、しばしば20重量%まで、好ましくは10重量/重量%までの水非混和性炭化水素溶媒を含む。しばしば濃縮組成物は、5重量/重量%より多い水非混和性炭化水素溶媒を含む。
【0039】
所望する場合、アルキルフェノール、アルコール、エステル、エーテル、ポリエーテル、炭酸塩、ケトン、ニトリル、アミド、カルバミン酸塩、スルホキシド、並びにアミン及び第四アンモニウム化合物の塩からなる群から選択される化合物又は化合物の混合物を、更に本発明の組成物中の付加的な改質剤として使用することができる。特に好ましいものは、アルキルフェノール、アルコール、エステル、エーテル、ポリエーテル、炭酸塩、ケトン、ニトリル、アミド、カルバミン酸塩、スルホキシド、並びにアミン及び第四アンモニウム化合物の塩からなる群から選択される第1の化合物並びに6ないし18個の炭素原子を有するアルカノール、アルキル基が7ないし12個の炭素原子を含むアルキルフェノール及びリン酸トリブチルからなる群から選択される第2の化合物を含む混合物である。
【0040】
上記の付加的な改質剤は、一つ又はそれ以上のオルトヒドロキシアリールアルドキシム或いはオルトヒドロキシアリールケトキシム、一つ又はそれ以上の、ヒドロキシル基で置換されたエステル、一つ又はそれ以上の付加的な改質剤、並びに水非混和性有機溶媒を含む抽出剤組成物の調製に使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0041】
本発明の第2の側面によれば、溶解された金属を含む酸性溶液を、水非混和性有機溶媒及び水非混和性溶媒抽出剤を含む溶媒抽出用組成物と接触させ、これにより少なくとも金属の一部を有機溶液に抽出し、溶媒抽出用組成物が、一つ又はそれ以上のオルトヒドロキシアリールアルドキシム或いはオルトヒドロキシアリールケトキシム、及び一つ又はそれ以上の、ヒドロキシ基で置換されたエステルを含むことを特徴とする、溶液から金属を抽出するための方法が提供される。
【0042】
本発明の第2の側面による方法において抽出することができる金属は、銅、コバルト、ニッケル、マンガン及び亜鉛を含み、最も好ましくは銅である。
オルトヒドロキシアリールアルドキシム、オルトヒドロキシアリールケトキシム、ヒドロキシル基で置換されたエステル、及び水非混和性有機溶媒は、本明細書中で先に記載した通りである。溶剤抽出用組成物中に存在するオルトヒドロキシアリールケトキシムに関してオルトヒドロキシアリールアルドキシムが優越して存在することが好ましい。溶媒抽出用組成物が、一つ又はそれ以上のオルトヒドロキシアリールアルドキシム及び一つ又はそれ以上のヒドロキシル基で置換されたエステルを含むことが特に好ましい。
【0043】
本発明の第2の側面の方法によって金属が抽出される酸性水溶液は、しばしば−1ないし7、好ましくは0ないし5、そして最も好ましくは0.25ないし3.5の範囲のpHを有する。好ましくは、抽出される金属が銅の場合、銅が、本質的に鉄、コバルト又はニッケルを含まずに抽出されるように、3より低いpH値が選択される。溶液は、鉱石のリーチングから得ることができ、又は他の供給源、例えば銅のエッチング浴のような金属を含む廃棄物の流れから得ることができる。
【0044】
酸性水溶液中の金属、特に銅の濃度は、例えば溶液の供給源によって幅広く変化するであろう。溶液が鉱石のリーチングから得られる場合、金属の濃度は、しばしば75g/lまで、そして最もしばしば1ないし40g/lである。溶液が廃棄物流の場合、金属の濃度は、しばしば鉱石リーチングからのものより僅かに高く、例えば150g/lまで、通常75ないし130g/lである。
【0045】
好ましい溶媒抽出用組成物は、本発明の第1の側面に関して先に記載した通りのアルドキシムを含む組成物である。
本発明の第2の側面の方法は、溶媒抽出剤組成物を酸性水溶液と接触させることによって行うことができる。周囲温度又は高い、例えば75℃までの温度を、所望する場合は使用することができる。しばしば5ないし60℃、そして好ましくは15ないし40℃の範囲の温度が使用される。水溶液及び溶媒抽出剤は、通常いっしょに撹拌されて、二つの溶液間の界面の面積を最大にする。溶媒抽出剤と水溶液の体積比は、通常20:1ないし1:20の範囲であり、そして好ましくは5:1ないし1:5の範囲である。多くの態様において、装置の大きさを減少し、そして溶媒抽出剤の使用を最大にするために、1:1に近い有機物と水性物との体積比、例えば1.5:1以下が使用される。
【0046】
存在するオルトヒドロキシアリールアルドキシム及び/又はオルトヒドロキシアリールケトキシムの合計と移動される銅のモル比は、しばしば2.7:1ないし1:1の範囲であるように選択される。好ましくは、改良された湿式精錬特性、例えば粘度の減少及び改良された相分離を達成するために、オキシムと移動される銅のモル比は2.3:1ないし2.0:1である。
【0047】
酸性水溶液と接触した後、金属は、溶媒抽出剤から酸性ストリップ水溶液と接触させることによって回収することができる。
本発明の第2の側面による方法に使用されるストリップ溶液は、一般的に酸性であり、通常2以下のpH、そして好ましくは1以下のpH、例えば−1ないし0.5の範囲のpHを有する。ストリップ溶液は、通常無機酸、特に硫酸、硝酸又は塩酸を含む。多くの態様において、酸の濃度、特に硫酸の場合、130ないし200g/l、そして好ましくは150ないし180g/lの範囲が使用される。欧州特許出願第93301095.1(公開番号0562 709 A2)、又は国際特許出願公開WO95/04835(これら両者は、本明細書中に参考文献として援用される)に記載されているような、低い酸の濃度の、しかし少なくとも4Mの塩化物を含むストリップ溶液を使用することができる。抽出される金属が銅又は亜鉛の場合、好ましいストリップ溶液は、典型的には80g/lまでの銅又は亜鉛、しばしば20g/lより多い銅又は亜鉛、そして好ましくは30ないし70g/lの銅又は亜鉛を含み、そして220g/lまでの硫酸、しばしば120g/lより多い硫酸、そして好ましくは150ないし180g/lの硫酸を含む、それぞれ銅又は亜鉛電解採取槽からのストリップされた又は使用済み電解液を含む。
【0048】
本発明の第2の側面の方法における有機溶液とストリップ水溶液の体積比は、通常ストリップ溶液のリットル当たり50g/lまでの金属、特に銅の、有機溶液からストリップ溶液への移動を達成するように選択される。多くの工業的銅電解採取法において、移動はしばしばストリップ溶液のリットル当たり10g/lないし35g/l、そして好ましくは15ないし20g/lの銅が有機溶液から移動される。1:2ないし15:1、そして好ましくは1:1ないし10:1、特に3:1より低い有機溶液と水溶液の体積比が通常使用される。
【0049】
本発明の第2の側面の好ましい態様は、酸性水溶液から金属を抽出するための方法を含み、ここにおいて:工程1において、オルトヒドロキシアリールアルドキシム及び一つ又はそれ以上の、ヒドロキシル基で置換されたエステルを含む水非混和性溶媒抽出用組成物を、まず金属を含む酸性水溶液と接触させ;
工程2において、金属−溶媒抽出剤錯体を含む溶媒抽出用組成物を、酸性水溶液から分離し;
工程3において、金属−溶媒抽出剤錯体を含む溶媒抽出用組成物を、酸性ストリップ溶液と接触させて、水非混和性相からの銅のストリップを行い;
工程4において、金属を放出した溶媒抽出用組成物を、金属を付加されたストリップ溶液から分離する。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明の第3の側面によれば、溶解された金属を含むアンモニア性水溶液を、水非混和性有機溶媒及び水非混和性溶媒抽出剤を含む溶媒抽出用組成物と接触させ、これにより少なくとも金属の一部を有機溶液に抽出し、溶媒抽出用組成物が、一つ又はそれ以上のオルトヒドロキシアリールアルドキシム或いはオルトヒドロキシアリールケトキシム、及び一つ又はそれ以上の、ヒドロキシル基で置換されたエステルを含むことを特徴とする、溶液から金属を抽出するための方法が提供される。
【0051】
本発明の第3の側面による方法において抽出される金属は、銅、コバルト、ニッケル、マンガン及び亜鉛を含み、最も好ましくは銅である。
オルトヒドロキシアリールアルドキシム、オルトヒドロキシアリールケトキシム、ヒドロキシル基で置換されたエステル、及び水非混和性有機溶媒は、本明細書中で先に記載した通りである。溶剤抽出用組成物中に存在するオルトヒドロキシアリールアルドキシムに関してオルトヒドロキシアリールケトキシムが優越して存在することが好ましい。溶媒抽出用組成物が、一つ又はそれ以上のオルトヒドロキシアリールケトキシム及び一つ又はそれ以上のヒドロキシル基で置換されたエステルを含むことが特に好ましい。
【0052】
本発明の第3の側面の方法によってそこから金属が抽出されるアンモニア性水溶液は、しばしば7ないし12、好ましくは8ないし11、そして最も好ましくは9ないし10の範囲のpHを有する。溶液は、鉱石、特に輝銅鉱のリーチング(leaching)から得ることができ、又は他の供給源、例えば銅のエッチング浴のような金属を含む廃棄物の流れから得ることができる。
【0053】
好ましい溶媒抽出用組成物は、本発明の第1の側面に関して先に記載した通りのケトキシムを含む組成物である。
アンモニア性水溶液中の金属、特に銅の濃度は、例えば溶液の供給源によって幅広く変化するであろう。溶液が鉱石のリーチングから得られる場合、金属の濃度は、しばしば75g/lまで、そして最もしばしば10ないし40g/lである。溶液が廃棄物流の場合、金属の濃度は、しばしば鉱石リーチングからのものより僅かに高く、例えば150g/lまで、通常75ないし130g/lである。
【0054】
本発明の第3の側面の方法は、溶媒抽出剤組成物をアンモニア性水溶液と接触させることによって行うことができる。周囲温度又は高い、例えば75℃までの温度を、所望する場合は使用することができる。しばしば15ないし60℃、そして好ましくは30ないし50℃の範囲の温度が使用される。水溶液及び溶媒抽出剤は、通常いっしょに撹拌されて、二つの溶液間の界面の面積を最大にする。溶媒抽出剤と水溶液の体積比は、通常20:1ないし1:20の範囲、そして好ましくは5:1ないし1:5の範囲である。多くの態様において、装置の大きさを減少し、そして溶媒抽出剤の使用を最大にするために、1:1に近い有機物と水性物との体積比、例えば1.5:1以下、そして好ましくは1.3:1以下が使用される。
【0055】
存在する組み合わせたオルトヒドロキシアリールアルドキシム及びオルトヒドロキシアリールケトキシムと移動される銅のモル比は、しばしば2.7:1ないし1:1の範囲であるように選択される。好ましくは、改良された湿式精錬特性、例えば粘度の減少及び改良された相分離を達成するために、オキシムと移動される銅のモル比は2.3:1ないし2.0:1である。
【0056】
アンモニア性水溶液と接触した後、金属は、金属が抽出された時より低いpHを有する酸性ストリップ溶液と接触させることによって、溶媒抽出剤から回収することができる。
【0057】
本発明の第3の側面による方法に使用されるより低いpHのストリップ溶液は、一般的に酸性であり、そして本発明の第2の側面の方法のストリップ溶液に対して記載した通りである。抽出される金属が銅又は亜鉛の場合、好ましいストリップ溶液は、典型的には80g/lまでの銅又は亜鉛、しばしば40g/lより多い銅又は亜鉛、そして好ましくは50ないし70g/lの銅又は亜鉛を含み、そして220g/lまでの硫酸、しばしば120g/lより多い硫酸、そして好ましくは150ないし180g/lの硫酸を含む、それぞれ銅又は亜鉛電解採取槽からのストリップされた又は使用済み電解液を含む。
【0058】
本発明の第3の側面の方法における有機溶液とストリップ溶液の体積比は、通常ストリップ溶液のリットル当たり50g/lまでの金属、特に銅の、有機溶液からストリップ溶液への移動を達成するように選択される。多くの工業的銅電解採取法において、移動はしばしばストリップ溶液のリットル当たり10g/lないし35g/l、そして好ましくは15ないし20g/lの銅が有機溶液から移動される。1:2ないし15:1、そして好ましくは1:1ないし10:1、特に3:1より低い有機溶液と水溶液の体積比が通常使用される。
【0059】
本発明の第3の側面の好ましい態様は、アンモニア性水溶液から金属を抽出するための方法を含み、ここにおいて:工程1において、オルトヒドロキシアリールケトキシム及び一つ又はそれ以上の、ヒドロキシル基で置換されたエステルを含む水非混和性溶媒抽出用組成物を、まず金属を含むアンモニア性水溶液と接触させ;
工程2において、金属−溶媒抽出剤錯体を含む溶媒抽出用組成物を、アンモニア性水溶液から分離し;
工程3において、金属−溶媒抽出剤錯体を含む溶媒抽出用組成物を、アンモニア性溶液より低いpHの酸性ストリップ溶液と接触させて、水非混和性相からの銅のストリップを行い;
工程4において、金属を放出した溶媒抽出用組成物を、より低いpHの水溶液から分離する。
【0060】
金属は、ストリップ溶液から慣用的な方法、例えば電解採取によって回収することができる。
本発明は、制約するものではないが、以下の実施例によって更に例示される。
【実施例】
【0061】
実施例の一般的方法
それぞれの改質剤を、同一のオキシムで試験して、与えられたストリップ条件下で目標とする最低のストリップ濃度を達成するために必要な改質剤の量を決定した。これらの目標濃度は、このような条件下の市販の抽出剤の性能の経験に基づいて選択された。3種類のストリップ溶液(カッコ内は組成)において、目標の最小ストリップ濃度は、1.8gplCu(30gpl Cu/120gpl H2SO4)、1.6gpl Cu(30gplCu/150gpl H2SO4)及び1.24gpl Cu(30gpl Cu/180gplH2SO4)であった。次いで目標最小ストリップ濃度実験によって規定された改質剤の濃度を使用して、最大付加値を、一定の付加条件下で測定した。次いで最後に最大付加溶液に対してストリップ実験を行い、そして付加された及びストリップされた銅の数値間の差を計算することによって、一定の抽出及びストリップ条件下の正味銅移動値を、それぞれの改質剤に対して誘導した。
【0062】
目標最小ストリップ値を達成するために必要な改質剤濃度
試料溶液: 5−ノニル−2−ヒドロキシベンズアルドキシム(以降“オキシム”)(100g)を、ORFOM SX7の商標で商業的に入手可能な炭化水素溶媒(1l)中に溶解して、100g/lの原溶液を得た。次いで試験されるそれぞれの改質剤に対して、原溶液の四つの別個のアリコート(25ml)を取り出し、そしてこれらを以下の試験溶液を調製するために使用した:−1)原溶液の第1のアリコート(25ml)に、2.5gの改質剤を加え、そして次いで得られた溶液をORFOMSX7を加えることによって50mlに希釈した。これにより、50g/lのオキシム、50g/lの改質剤の試験溶液を得た。
【0063】
2)原溶液の第2のアリコート(25ml)に、1.5gの改質剤を加え、そして次いで得られた溶液をORFOMSX7を加えることによって50mlに希釈した。これにより、50g/lのオキシム、30g/lの改質剤の試験溶液を得た。
【0064】
3)原溶液の第3のアリコート(25ml)に、0.75gの改質剤を加え、そして次いで得られた溶液をORFOMSX7を加えることによって50mlに希釈した。これにより、50g/lのオキシム、15g/lの改質剤の試験溶液を得た。
【0065】
4)原溶液の第4のアリコート(25ml)に、改質剤を加えず、ORFOM SX7のみを加えることによって50mlに希釈した。これにより、50g/lのオキシムの改質剤を含まない試験溶液を得た。
【0066】
評価の方法: それぞれの改質剤に対して、四種類の試験溶液を、三種類の銅/酸ストリップ溶液でストリップすることによってそれぞれ評価した。この方法に対して、それぞれの試験溶液の三種類のアリコート(10ml)を別個に取り出した。次いでそれぞれのアリコートを、試験アリコートを、10g/lのCu2+を含むpH4.5に緩衝された同体積(1:1のO/A(有機/水))のCuSO4水溶液と2分間分液漏斗中で震盪し、水相を捨て、そして新しい銅溶液で更に3回繰り返すことによって、Cu2+で平衡まで付加した。銅で付加した後、それぞれの有機相を分離し、そして次いで銅をストリップした。それぞれの溶液のストリップは、試験アリコートを、同体積の所定のストリップ溶液と2分間分液漏斗中で震盪し、水相を捨て、そして新しいストリップ溶液で更に3回繰り返すことによって行った。30gplCu/120gpl H2SO4、30gpl Cu/150gpl H2SO4及び30gpl Cu/180gpl H2SO4からなるストリップ溶液をこれらの評価に使用した。得られた有機相の銅濃度は、原子吸光分光分析によって測定した。それぞれの試験された改質剤に対して、合計12回の測定を行った。
【0067】
使用したストリップ溶液のそれぞれについて集められたデータをプロットして、ストリップ後有機相に残った銅に対する必要な改質剤の濃度を示す曲線を得た。次いでこれを使用して、それぞれのストリップ条件下で目標最小ストリップ濃度を達成するための、それぞれの改質剤の必要な量を決定した。
【0068】
正味銅移動:
試験溶液: それぞれの改質剤に対して、50g/lのオキシム及び目標の最小ストリップ値を達成するために決定された濃度の改質剤を含む、3種類の試験溶液を調製した。これらは、原溶液(ノニルサリチルアルドキシム(100g)をORFOMSX7(1l)に溶解して、100g/lの原溶液を得る)のアリコート(25ml)から、そして必要な量の改質剤を加え、次いでORFOMSX7を加えることにより50mlに希釈することによって調製した。
【0069】
評価の方法: 最大付加値: それぞれの試験溶液のアリコート(10ml)を別個に取り出し、そしてそれぞれを、5g/lのCu2+を含むCuSO4水溶液と1:1のO/Aで接触させ、新しい付加用溶液と分液漏斗中で4回、2分間震盪することによって、銅で平衡まで付加した。pH1.0、1.5及び2.0の銅付加用溶液を評価に使用した。5種類、pH1.0を1種類、pH1.5を1種類及びpH2.0を3種類の付加された有機溶液をそれぞれの改質剤に対して調製した。有機相を分離し、そして相分離媒体を通して濾過してから、原子吸光分光分析によって銅を分析した。
【0070】
ストリップ値:次いでpH2.0で付加されたそれぞれの改質剤の3種類の有機溶液を、それぞれに異なったストリップ条件を使用してストリッピングした。ストリッピングは、付加された有機溶液のアリコート(5ml)を、30gplCu/120gpl H2SO4、30gpl Cu/150gpl H2SO4又は30gpl Cu/180gpl H2SO4を含むストリップ溶液と接触させることによって、1:1のO/Aで行われた(接触は新しいストリップ溶液と4回、2分間分液漏斗中で震盪することによる)。銅のストリッピングは、有機相中の銅の濃度を原子吸光分光分析により測定することによって決定した。
【0071】
ストリップ条件によって達成することができる最小のストリッピングは、付加条件に依存しないため、付加及びストリップ条件の組み合わせに対する正味銅移動は、それぞれの改質剤/オキシム組成物に対して、所定のストリップ溶液のストリップ値を所定のpHの付加値から差し引くことによって決定した。
【0072】
実施例1
ヒドロキシ−エステル即ち2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートに対して、以下の結果を得た。
【0073】
目標最小ストリップ値を達成するために必要な改質剤の濃度は、27gpl(30/180)、33gpl(30/150)及び38gpl(30/120)であった。
【0074】
これらの改質剤の濃度を使用して、所定のpH付加条件及びストリップ条件下の正味銅移動値のマトリックスを作成し、そして表1に示す。
【0075】
【表1】

【0076】
比較実施例A
既知の市販の改質剤2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレートに対して、以下の結果を得た。
【0077】
目標最小ストリップ値を達成するために必要な改質剤の濃度は、41gpl(30/180)、48gpl(30/150)及び55gpl(30/120)であった。
【0078】
これらの改質剤の濃度を使用して、所定のpH付加条件及びストリップ条件下の正味銅移動値のマトリックスを作成し、そして表2に示す。
【0079】
【表2】

【0080】
結果は、最小ストリップ値を達成するために、より少ない2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(本発明による改質剤)しか必要としないことを示す。更に、それぞれの改質剤に対して示されたデータの各点ごとの比較は、それぞれの付加/ストリップ条件の組み合わせにおいて、より少ないヒドロキシ−エステル改質剤が必要なだけでなく、より高い正味銅移動が達成され、そして従って本発明の組成物が、対比される市販の組成物より効果的な銅移動剤であることが示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ又はそれ以上のオルトヒドロキシアリールアルドキシム或いはオルトヒドロキシアリールケトキシム、及び一つ又はそれ以上の、ヒドロキシ基で置換されたエステルを含む溶媒抽出用組成物。
【請求項2】
更に水非混和性有機溶媒を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記オルトヒドロキシアリールアルドキシム又はオルトヒドロキシアリールケトキシムが、以下の式(1):
【化1】

[式中: R1は、水素又は置換されていてもよいヒドロカルビル基であり;
2は、置換されていてもよいオルトヒドロキシアリール基である;]
によって表される化合物及びその塩の群から選択される、請求項1又は2のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項4】
前記ヒドロキシ基で置換されたエステルが、以下の式:
【化2】

[式中、R7又はR8の一方が、少なくとも一つのヒドロキシル基で置換されたヒドロカルビル基であり、そして他方が置換されていてもよいヒドロカルビル基である;]
によって表される化合物の群から選択される、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記オルトヒドロキシアリールケトキシムが、5−(C9ないしC14アルキル)−2−ヒドロキシアセトフェノンオキシム、好ましくは5−ノニル−2−ヒドロキシ−アセトフェノンオキシムである、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記オルトヒドロキシアリールアルドキシムが、5−(C9ないしC14アルキル)−2−ヒドロキシベンズアルドキシム、好ましくは5−ノニル−2−ヒドロキシベンズアルドキシムである、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記ヒドロキシ基で置換されたエステルが、9ないし25個の炭素原子を含む高度に分枝したヒドロキシ−エステルを含む、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記ヒドロキシ基で置換されたエステルのヒドロキシ官能基がR8にあり、そしてここにおいてR8は、分枝脂肪族基である、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記ヒドロキシ基で置換されたエステルが、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート又は2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール モノベンゾエートである、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
溶解された金属を含む酸性溶液又は溶解された金属を含むアンモニア性水溶液のいずれかを、水非混和性有機溶媒及び水非混和性溶媒抽出剤を含む溶媒抽出用組成物と接触させ、これにより少なくとも金属の一部を前記有機溶液に抽出し、前記溶媒抽出用組成物が、一つ又はそれ以上のオルトヒドロキシアリールアルドキシム或いはオルトヒドロキシアリールケトキシム、及び一つ又はそれ以上の、ヒドロキシ基で置換されたエステルを含むことを特徴とする、溶液から金属を抽出するための方法。
【請求項11】
前記溶媒抽出用組成物中に存在するいかなるオルトヒドロキシアリールケトキシムに対しても、オルトヒドロキシアリールアルドキシムが優越して存在する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記溶媒抽出用組成物中に存在するいかなるオルトヒドロキシアリールアルドキシムに対しても、オルトヒドロキシアリールケトキシムが優越して存在する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記金属が、銅、亜鉛、コバルト又はニッケルであり、好ましくは銅である、請求項10ないし12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記オルトヒドロキシアリールオキシム又はオルトヒドロキシアリールケトキシムが、以下の式(1):
【化3】

[式中: R1は、水素又は置換されていてもよいヒドロカルビル基であり;
2は、置換されていてもよいオルト−ヒドロキシアリール基である;]
によって表される化合物の群及びその塩から選択される、請求項10ないし13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記ヒドロキシ基で置換されたエステルが、以下の式:
【化4】

[式中、R7又はR8の一方が、少なくとも一つのヒドロキシル基で置換されたヒドロカルビル基であり、そして他方が置換されていてもよいヒドロカルビル基である;]
によって表される化合物の群から選択される、請求項10ないし14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記オルトヒドロキシアリールケトキシムが、5−(C9ないしC14アルキル)−2−ヒドロキシアセトフェノンオキシム、好ましくは5−ノニル−2−ヒドロキシ−アセトフェノンオキシムである、請求項10ないし15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記オルトヒドロキシアリールアルドキシムが、5−(C9ないしC14アルキル)−2−ヒドロキシベンズアルドキシム、好ましくは5−ノニル−2−ヒドロキシベンズアルドキシムである、請求項10ないし16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記ヒドロキシ基で置換されたエステルが、9ないし25個の炭素原子を含む高度に分枝したヒドロキシ−エステルを含む、請求項10ないし17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記ヒドロキシ基で置換されたエステルのヒドロキシ官能基がR8にあり、そしてここにおいてR8は、分枝脂肪族基である、請求項10ないし18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記ヒドロキシ基で置換されたエステルが、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート又は2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール モノベンゾエートである、請求項10ないし19のいずれか1項に記載の方法。

【公開番号】特開2011−38182(P2011−38182A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185097(P2010−185097)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【分割の表示】特願2000−588414(P2000−588414)の分割
【原出願日】平成11年11月16日(1999.11.16)
【出願人】(501475549)サイテック テクノロジー コーポレーション (5)
【Fターム(参考)】