説明

金属材料表面の劣化度評価方法及び評価装置

【課題】撮像画像から金属材料表面の腐食による劣化度を判定するにあたり、色見本や標準図、基準サンプルなどと比較することなく、評価対象部の色彩情報に基づき、金属材料表面の劣化度を判定できるようにした劣化度評価方法及び評価装置を提供する。
【解決手段】撮像手段により金属材料表面を撮像し、得られた像から非腐食面を抽出し、その面の数値化された色彩情報の数値範囲を算出する。次に、非腐食面の色彩情報の範囲と各面の色彩情報を比較し、非腐食面の色彩数値範囲外の面を腐食部として抽出する。撮像された金属表面積に対して、抽出された腐食部の面積比率を算出し、腐食部の面積比率を指標として、金属表面の劣化度を評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属材料表面の劣化度を評価する方法及び装置に係り、特に金属材料表面の腐食による劣化度や腐食面積を定量化して評価できるようにした劣化度評価方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属材料の腐食状態或いは亜鉛めっきやニッケルめっきを施した鋼材の腐食状態を評価する方法としては、評価者が直接観察する方法、超音波を用いて金属材料の厚さの減少量を測定する方法、電気化学的な酸化還元反応を利用して電流値や電気量から腐食速度や腐食量を評価する方法が知られている。
【0003】
特に、大気中における暴露された金属材料の腐食状態の評価では、評価者が鋼材を直接観察する方法、或いは、写真撮影した後に評価者が視覚により主観的に、或いは、基準となる標準図と比較することにより、相対的な腐食状態を決定する方法が採用されていた。
【0004】
しかし、人の視覚による評価方法では、同一の試料を評価しても、評価者により異なる評価結果が得られる、或いは、定量的に同一の評価結果が得られない問題がある。これらの問題を解決する方法として、評価対象となる金属材料と色見本やグレーカードを同時に写真撮影し、撮影された写真の色彩を補正した後に電子情報として計算機に取り込み、色彩情報に画像処理を施して評価する方法がある(例えば、特許文献1,2,3参照)。また、劣化度の基準値を明度,彩度,色相の情報として予め設定し、評価対象となる試料の色彩情報と比較して、劣化度を判定する方法がある(例えば、特許文献4参照)。
【0005】
【特許文献1】特許第3329767号公報
【特許文献2】特許第3568892号公報
【特許文献3】特開平11−37950号公報
【特許文献4】特許第3181543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
色見本と評価対象となる試料を同時に写真撮影し、得られた画像をもとに劣化度を判定する方法では、写真の撮影に及ぼす光源の影響など撮影条件が異なることによる評価結果の相違を排除することはできる。しかし、色見本と評価対象となる試料を同時に撮影しなければならない煩雑さに課題が残る。また、実際に稼働している装置等の腐食状態を評価する場合では、評価対象となる部位の近傍に色見本を設置できない、或いは、設置できても評価対象の部位と色見本との撮影条件を同一にできない課題がある。
【0007】
また、劣化度の基準値を明度,彩度,色相の情報として予め設定しておく方法では、撮像条件の違いを補正しなければならない煩雑さがある。
【0008】
本発明の目的は、撮像画像から金属材料表面の腐食による劣化度を判定するにあたり、色見本や標準図、基準サンプルなどと比較することなく、評価対象部の色彩情報に基づき、金属材料表面の劣化度を判定きるようにした劣化度評価方法及び評価装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、金属材料表面の撮像画像を所定の面積毎に分割し、分割された各面の色彩情報を混色体系の混色量比として数値化する工程と、分割された金属材料表面から非腐食面を抽出する工程と、非腐食面の混色量比の数値範囲を算出する工程と、分割された各面の混色量比と前記非腐食面の混色量比の範囲を比較し、非腐食面の混色量比数値範囲外の面を腐食部として抽出する工程と、撮像された金属表面積に対して、抽出された腐食部の面積比率を算出する工程を含み、腐食部の面積比率をもとに金属表面の劣化度を評価することを特徴とする金属材料表面の劣化度評価方法にある。
【0010】
また、本発明は、金属材料の表面を撮像する撮像装置と、撮像された金属表面の色彩情報を数値化して数値演算を実施する計算機能を備えた画像処理装置を有し、前記画像処理装置に、撮像画像を所定の面積毎に分割し、分割された各面の色彩情報を混色体系の混色量比として数値化する手段と、分割された各面の数値化データを、予め取得した腐食面の数値化データと比較することで、分割された金属材料表面から非腐食面を抽出する手段と、非腐食面の混色量比の数値範囲を算出する手段と、分割された各面の混色量比と前記非腐食面の混色量比の範囲を比較し、非腐食面の混色量比数値範囲外の面を腐食部として抽出する手段と、撮像された金属表面積に対して、抽出された腐食部の面積比率を算出する手段を備えたことを特徴とする金属材料の劣化度評価装置にある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、評価対象部の色彩情報に基づき、金属材料表面の劣化状態や腐食面積を定量化することができるため、色見本や標準図、基準サンプルなどと比較することなく、簡便に劣化度を評価できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明では、撮像手段により金属材料表面を撮像し、得られた像を所定の面積毎に分割し、分割された各面の色彩情報を数値化する。また、非腐食面を抽出し、その面の数値化された色彩情報の数値範囲を算出する。そして、分割された各面の色彩情報と非腐食面の色彩情報の範囲を比較し、非腐食面の色彩数値範囲外の面を腐食部として抽出する。さらに、撮像された金属表面積に対して、抽出された腐食部の面積比率を算出し、腐食部の面積比率を指標として、金属表面の劣化度を評価する。
【0013】
以上の評価方法は、金属材料表面を撮像する撮像装置と、撮像された色彩情報を数値化して数値演算を実施する計算機能を備えた画像処理装置を用いることにより実施できる。
【0014】
本発明を実施するに当たっては、まず、対象となる金属材料表面を撮像し、得られた像から色彩情報を数値データとして取得し、その色彩情報から、劣化や腐食が認められない部位の色彩情報の数値範囲を算出する。この数値範囲と得られた像の各部位の数値化された色彩情報を比較し、腐食や劣化が認められた部位を抽出する。そして、腐食や劣化が認められた部位の面積比率を指標として劣化度を評価する。
【0015】
本発明によれば、腐食の発生面積比率を数値データとして定量化できるため、従来のJIS法などの腐食評価法に比べて客観性が向上する。また、亜鉛めっき鋼板などのように、金属表面に複数の腐食が発生する場合でも評価できる。
【実施例1】
【0016】
図2は、本発明の一実施例である金属材料表面の劣化度評価装置の構成図である。劣化度評価装置は、評価対象となるサンプル1を撮影するためのCCDカラーカメラ2と、撮影された像から色彩情報を数値化し、数値演算を実施する計算機能を有する画像処理装置3とから構成される。図2では、評価サンプルとして、板状のサンプルを示したが、評価対象物が建築構造物に使用されている金属材料などの場合は、CCDカメラを評価対象部位に向けて撮影することによっても評価できる。また、本実施例では、撮影された像から色彩情報を直接数値化するために、CCDカメラを用いたが、銀塩カメラ等を用いて撮影した後に印画し、その印画紙をイメージスキャナー等で読み込むことにより色彩情報を数値化することによっても評価できる。また、予め、評価対象部位をデジタルカメラ等で撮影し、一旦、デジタルカメラ内の記録デバイスに収録後、収録データを画像処理装置により解析することによっても評価できる。
【0017】
図1は、数値化された色彩情報から腐食劣化度を評価するためのフローを示したものである。まず、(a)金属材料の評価対象部を撮影する。次に、(b)撮影された像を所定の面積に分割する。ここでは、数値化された色彩情報が記録されている撮影された各画素を、分割した各面とした。評価精度として高精細が必要でない場合や簡略な評価で充分な場合は、撮影された面積を、例えば10000等分に分割するなど、分割する面積を大面積にすることによっても評価できる。
【0018】
次に、(c)各面の色彩情報を、混色体系の混色量比、例えば、光の三原色であるR(赤),G(緑),B(青)の数値データとして撮影データから取得する。分割した面が、撮影された画素より大面積の場合には、各画素の色彩情報を算術的に平均化することにより、分割した面の色彩情報として評価することもできる。
【0019】
次に、(d)撮影された像から腐食が発生していない面(非腐食面)を抽出する。非腐食面としては、予め、赤さびや白さびが発生した面のRGB数値データ範囲を取得しておき、各面のRGBデータと予め取得したRGBデータを比較することにより抽出する。或いは、画像解析装置を用いる評価者が、撮影された像から腐食が発生していない部位を任意に選び、その面を非腐食面として抽出する。抽出した非腐食面は、予め取得されたデータに基づく場合は、撮影条件によりRGBデータにばらつきが生じる場合がある。一方、評価者により抽出された場合は、評価者の主観に基づくため、そのデータの客観性が乏しい。このため、一旦、抽出した非腐食面のRGBデータの範囲を再評価し、非腐食面のRGBデータ範囲を再決定することで評価精度を向上させる。
【0020】
再評価の方法としては、多変量解析法における判別分析の一手法であるマハラノビス距離を判断基準にした評価を実施することが望ましい。非腐食面として抽出された各面のRGBデータを変量ごとにそれらの平均値と標準偏差を算出し、それらによりデータを正規化する。次に、変量間の相関係数行列を算出した後にその逆行列を算出し、この逆行列から、非腐食面におけるRGBデータを用いたマハラノビス距離(MD)を求める。次に、各評価面のRGBデータを用い、非腐食面のデータから得られた平均値および標準偏差を用いてデータを正規化し、このデータを用いて各評価面のマハラノビス距離を算出する。
【0021】
次に、(e)算出したマハラノビス距離をもとに腐食が発生した面(腐食面)を抽出する。本実施例では、各評価面のマハラノビス距離が4以上の面を腐食面として抽出した。
【0022】
最後に、(f)全評価面積に対する腐食面の面積比率を算出し、この面積比率を指標として金属表面の劣化度合いを定量評価する。
【0023】
本発明の評価方法に基づき、化成処理が施された亜鉛めっき鋼板上に発生した白さびの面積比率を求めた結果について説明する。
【0024】
28日間の腐食試験を実施した後の試験サンプルの表面を、デジタルカメラを用いて撮影し、撮影データをデジタルカメラに内蔵された記録媒体に保存した。この撮影データを画像処理装置に取り込み、撮像を画素毎に分割し、各画素のRGB情報を取得する処理を実行し、同時に付属のディスプレイ画面に像を表示した。
【0025】
次に、映し出された試験サンプル中から、評価者が腐食の発生が認められないと判断した領域100点を画面上で指定し、指定した画素のRGB情報を取得した。このRGB情報を基準空間として採用し、マハラノビス距離を算出した。これらのプロセスによって得られたRGB情報とマハラノビス距離(MD)の算出結果の一例を表1の金属素地欄に示す。
【0026】
さらに、各画素のRGB情報に基づき、全画素のマハラノビス距離を算出し、マハラノビス距離が4以上の画素を白さび発生画素として抽出した。白さび発生として抽出された画素情報の一例を表1の白さび欄に示す。最後に、全画素に対する白さび発生画素の割合を算出し、その比率を白さび発生面積比率とした。今回の試験サンプルの場合は、白さび発生面積比率は約12%であった。
【0027】
【表1】

【0028】
上記実施例に示したように、評価対象面内の色彩情報に基いて腐食面を抽出し、定量化することにより、色見本などとの比較や撮影条件の相違に基づく色彩情報の修正などの煩雑さを排除することができる。
【実施例2】
【0029】
図3は、本発明の他の実施例である亜鉛めっき鋼板の劣化度評価装置の構成図である。本実施例の劣化度評価装置は、評価対象となるサンプル1を撮影するためのCCDカラーカメラ2、撮影するための標準光源4、撮影された像から色彩情報を数値化し、数値演算を実施する計算機能を有する画像処理装置3から構成されている。ここで、乱反射を抑制して色を正確に測定するために、サンプル1とCCDカラーカメラ2及び標準光源4は、内面が黒色に塗られた暗ボックス5の中に設置した。
【0030】
図4は、数値化された色彩情報から腐食劣化度を評価するためのフローを示したものである。まず、(a)鉛めっき鋼板の評価対象部を、CCDカメラを用いて撮影する。次に、(b)撮影された像を所定の面積に分割する。分割する面積として各画素単位を採用しても良いが、ここでは、数値化された色彩情報が記録されている500×500画素の写真から、5画素×5画素を1角面に割り付けて、合計10000の面に関して評価した。そして、分割した各面の混色比の平均値を色彩情報として採用した。
【0031】
次に、(c)各面の色彩情報を、混色体系の混色量比,R(赤),G(緑),B(青)の数値データとして取得する。そして、(d)既に知られている図5のフローによりL数値データに変換する。
【0032】
次に、(e)撮影された像から腐食が発生していない面(非腐食面)を抽出する。非腐食面としては、予め、赤さびや白さびが発生した面のL数値データ範囲を取得しておき、各面のLデータと予め取得したLデータを比較することにより抽出する。或いは、画像解析装置を用いる評価者が、撮影された像から腐食が発生していない部位を任意に選び、その面を非腐食面として抽出する。抽出した非腐食面は、予め取得されたデータに基づく場合は、予め得られているL数値データ範囲以外にも非腐食面が存在する可能性がある。一方、評価者により抽出された場合は、評価者の主観に基づくため、そのデータの客観性が乏しい。このため、一旦、抽出した非腐食面のL数値データの範囲を再評価し、非腐食面のL数値データ範囲を再決定して評価精度を向上させる。
【0033】
再評価の方法としては、多変量解析法における判別分析の一手法であるマハラノビス距離を判断基準にした評価を実施した。非腐食面として抽出された各面のL数値データを変量ごとにそれらの平均値と標準偏差を算出し、それらによりデータを正規化する。次に、変量間の相関係数行列を算出した後にその逆行列を算出し、この逆行列から、非腐食面におけるL数値データを用いたマハラノビス距離(MD)を求める。
【0034】
次に、各評価面のL数値データを用い、非腐食面のデータから得られた平均値および標準偏差を用いてデータを正規化し、このデータを用いて各評価面のマハラノビス距離を算出する。そして、(f)算出したマハラノビス距離をもとに、腐食が発生した面(腐食面)を抽出する。本実施例では、各評価面のマハラノビス距離が3以上の面を腐食面として抽出した。
【0035】
亜鉛めっき鋼板では、亜鉛が腐食した白さびと素地の鋼板が腐食した赤さびが鋼板表面に発生するため、腐食面から赤さび発生面積と白さび発生面積を分離、定量化する必要がある。本発明では、L数値データ中のL(明度指数)を指標として分別した。すなわち、非腐食面の再評価されたL値(Lref)と腐食面のL値(Lcorr)を比較し、Lcorr>Lrefの場合に白さび発生、Lref>Lcorrの場合に赤さび発生と判別した(g)。最後に、(h)全評価面積に対する白さび発生面及び赤さび発生面の面積比率を算出し、この面積比率を指標として金属表面の劣化度合いを定量評価した。
【0036】
本発明の評価方法に基づき、化成処理が施された亜鉛めっき鋼板上に発生した白さび及び赤さびの面積比率を求めた結果について説明する。
【0037】
42日間の腐食試験を実施した後の試験サンプルを、CCDカメラが設置された暗ボックスの所定の位置に設置し、CCDカメラにより撮影した。この試験サンプルの撮影データを画像処理装置に取り込み、5画素×5画素を分割した各面とし、各面の混色比の平均値を色彩情報として採用した。
【0038】
次に、各面のRGB情報を取得する処理を実行し、続いて、各面のRGB情報から、L数値データを算出した。このL数値データと予め入力しておいた非腐食面のL数値データを比較し、非腐食面に該当する面のL数値データ情報を取得し、このL数値データを基準空間として採用し、マハラノビス距離を算出した。これらのプロセスによって得られたRGB情報、L数値データとマハラノビス距離(MD)の算出結果を、表2の金属素地欄に示す。
【0039】
さらに、各面のL数値データに基づき、各面のマハラノビス距離を算出し、マハラノビス距離が3以上の面を腐食が発生した面(腐食面)として抽出した。本試験サンプルでは、白さびと赤さびが混在していたため、腐食面から、赤さび発生面積と白さび発生面積の分離定量化を実施した。ここでは、L数値データ中のL(明度指数)を指標として、非腐食面のL値(Lref)と腐食面のL値(Lcorr)を比較し、Lcorr>Lrefの場合に白さびが発生、Lref>Lcorrの場合に赤さびが発生と判別した。抽出された白さび面及び赤さび面の情報を表2の白さび欄及び赤さび欄に示した。
【0040】
最後に、全サンプル面に対する白さび発生面と赤さび発生面の割合を算出し、その比率を白さび、或いは、赤さび発生面積比率とした。この試験サンプルの場合は、白さび発生面積比率は約23%、赤さび発生面積比率は約76%であり、腐食部の面積比率は約99%であった。
【0041】
【表2】

【0042】
上記実施例にて明らかなように、評価対象面内の色彩情報に基づいて腐食面を抽出し、定量化することにより、色見本などとの比較や撮影条件の相違に基づく色彩情報の修正などの煩雑さを排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】腐食劣化度の評価フローを示す図。
【図2】金属材料の劣化度評価装置の構成図。
【図3】亜鉛めっき鋼板の劣化度評価装置の構成図。
【図4】亜鉛めっき鋼板の腐食劣化度の評価フローを示す図。
【図5】RGB数値データからL数値データへの変換フローを示す図。
【符号の説明】
【0044】
1…評価サンプル、2…CCDカラーカメラ、3…画像処理装置、4…標準光源、5…暗ボックス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材料表面の劣化度を評価する方法であって、
金属材料表面の撮像画像を所定の面積毎に分割し、分割された各面の色彩情報を混色体系の混色量比として数値化する工程と、
分割された金属材料表面から非腐食面を抽出する工程と、
非腐食面の混色量比の数値範囲を算出する工程と、
分割された各面の混色量比と前記非腐食面の混色量比の範囲を比較し、非腐食面の混色量比数値範囲外の面を腐食部として抽出する工程と、
撮像された金属表面積に対して、抽出された腐食部の面積比率を算出する工程を含み、
腐食部の面積比率をもとに金属表面の劣化度を評価することを特徴とする金属材料表面の劣化度評価方法。
【請求項2】
請求項1において、前記非腐食面を抽出する工程が、分割された各面の数値化データを、予め取得した腐食面の数値化データと比較することによって非腐食面を抽出する第1段階と、前記第1段階で抽出された非腐食面の数値化データについてマハラノビス距離を判定基準にした評価を行い、所定のマララノビス距離を有する面を非腐食面と決定する第2段階とからなることを特徴とする金属材料表面の劣化度評価方法。
【請求項3】
請求項1において、前記非腐食面を抽出する工程が、分割された各面から腐食が発生していないと推定される像を任意に抽出する第1段階と、第1段階で抽出された非腐食面の数値化データについてマハラノビス距離を判定基準にした再評価を行い、所定のマハラノビス距離を有する面を非腐食面と決定する第2段階とからなることを特徴とする金属材料表面の劣化度評価方法。
【請求項4】
表面処理が施された金属表面の劣化度を評価する方法であって、
表面処理が施された金属表面の撮像画像を所定の面積毎に分割し、分割された各面の色彩情報を混色体系の混色量比として数値化する工程と、
表面処理健全部を抽出し、抽出された健全部の混色量比の数値範囲を算出する工程と、
分割された各面の混色量比と表面処理健全部の混色量比の数値範囲を比較し、健全部の混色量比数値範囲外の面を表面処理劣化部として抽出する工程と、
撮像された金属表面積に対して、表面処理劣化部の面積比率を算出する工程を含み、
表面処理劣化部の面積比率を指標として、表面処理面の劣化度を評価することを特徴とする金属材料表面の劣化度評価方法。
【請求項5】
亜鉛めっき鋼板の表面の劣化度を評価する方法であって、
亜鉛めっき鋼板の撮像画像を所定の面積毎に分割し、分割された各面の色彩情報を混色体系の混色量比として数値化する工程と、
分割された亜鉛めっき鋼板表面から非腐食面を抽出する工程と、
非腐食面の混色量比の数値範囲を算出する工程と、
分割された各面の混色量比と前記非腐食面の混色量比の数値範囲を比較し、非腐食面の混色量比数値範囲外の面を腐食部として抽出する工程と、
抽出された腐食部の混色量比から、亜鉛が腐食した白さびの混色量比の数値範囲を算出する工程と、
抽出された腐食部の混色量比から、鋼が腐食した赤さびの混色量比の数値範囲を算出する工程と、
撮像された金属表面積に対して、抽出された白さび及び/又は赤さびの面積比率を前記混色量比の数値範囲との比較から算出する工程を含み、
白さび及び/又は赤さびの面積比率を指標として、亜鉛めっき鋼板の劣化度を評価することを特徴とする金属材料表面の劣化度評価方法。
【請求項6】
金属材料の表面を撮像する撮像装置と、撮像された金属表面の色彩情報を数値化して数値演算を実施する計算機能を備えた画像処理装置を有し、前記画像処理装置に、
撮像画像を所定の面積毎に分割し、分割された各面の色彩情報を混色体系の混色量比として数値化する手段と、
分割された各面の数値化データを、予め取得した腐食面の数値化データと比較することで、分割された金属材料表面から非腐食面を抽出する手段と、
非腐食面の混色量比の数値範囲を算出する手段と、
分割された各面の混色量比と前記非腐食面の混色量比の範囲を比較し、非腐食面の混色量比数値範囲外の面を腐食部として抽出する手段と、
撮像された金属表面積に対して、抽出された腐食部の面積比率を算出する手段を備えたことを特徴とする金属材料の劣化度評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−256050(P2007−256050A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80308(P2006−80308)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】