金属缶用天板およびその補正方法ならびに補正装置
【課題】環境汚染を防止しつつ、天板本体に対して付属構造物を固着する際に生じたラミネート層の損傷箇所を適切に補正することができる金属缶用天板およびその補正方法ならびに補正装置を提供すること。
【解決手段】金属缶用天板の天板本体に対して固着されている付属構成物のうち、少なくとも天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域に亘って円環状の補正フィルム形成され、補正フィルムは、加熱ローラにより口金用フィルム形成領域上に熱溶着されてなることを特徴とする。
【解決手段】金属缶用天板の天板本体に対して固着されている付属構成物のうち、少なくとも天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域に亘って円環状の補正フィルム形成され、補正フィルムは、加熱ローラにより口金用フィルム形成領域上に熱溶着されてなることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、金属缶用天板およびその補正方法ならびに補正装置に係り、特に、ラミネート層が形成されたラミネート金属板からなる天板本体に付属構造物を固着する際に生じるラミネート層の損傷箇所を補正するのに好適な金属缶用天板およびその補正方法ならびに補正装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来から、石油、塗料、化学薬品または食料等の種々の液体の内容物を収容する手段として、天板、缶胴および地板（底板）によって構成される１８リットル缶等の金属缶が用いられていた。
【０００３】
この種の金属缶としては、缶の腐食（錆の発生等）ひいては缶内の内容物の品質の劣化を防止する観点から、缶内面に樹脂材料によるラミネート層を形成したものが普及していた。
【０００４】
また、従来から、１８リットル缶用の天板としては、内容物の出し入れを行うための円環状の口金を天板本体の１隅部にかしめ結合され、更に運搬の際の利便性を考慮して、缶を把持するための手環が取り付けられた天板が用いられていた。
【０００５】
更に説明すると、一方の円環状の口金は、表裏両面にラミネート層を形成したラミネート板を円環状にプレス成型され、天板の１隅部に形成された円形の開口部の内周部分に口金の外周部分をかしめ結合して天板に取付られている。
【０００６】
他方の手環は、天板本体に取り付ける際には、天板本体の缶外面側の表面と手環取り付け用の座金との間に手環の基端部を遊びを持たせた状態で挟み込むように配置した上で、当該座金を天板本体にスポット溶接して取付けていた。このようにして、手環が天板本体と座金との間にその基端部を介して起倒自在に取り付けられるようになっていた。
【０００７】
従来から、一方の口金については、天板に口金をかしめ結合する際に、天板および口金の缶内面側の表面を形成するラミネート層に破れや剥離等の損傷が生じてしまうことが問題となっていた。また、かしめ結合部分からの内容物の漏洩を確実に防止する必要性があった。
【０００８】
また、他方の手環については、手環の取り付けの際に、スポット溶接の熱によって、天板の缶内面側の表面を形成するラミネート層に破れや剥離等の損傷が生じてしまうことが問題となっていた。
【０００９】
このような問題を解決するため、これまでにも、例えば、ラミネート層の損傷箇所に、ニス等の液体塗料を用いた焼き付け塗装を行うことによって損傷箇所を補正する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【００１０】
【特許文献１】特開平０９−９９９４１号公報（特に、段落０００３参照）
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１１】
しかしながら、従来の焼き付け塗装による補正方法においては、液体塗装のため、塗装膜の膜厚が安定しないばかりでなく十分な膜厚を得ることができず、ひいては、ラミネート層の損傷箇所を適切に補正することができず、缶内の内容物によって缶内面における損傷箇所に対応する部位が腐食してしまったり、密封性が劣化するといった問題が生じていた。
【００１２】
また、かかる従来の補正方法においては、液体塗料の焼き付け時に大気中に溶剤などが飛散することによって、環境汚染をもたらすといった問題も生じていた。
【００１３】
そこで、本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、環境汚染を防止しつつ、天板本体に対して付属構造物を固着する際に生じたラミネート層の損傷箇所を適切に補正することができる金属缶用天板およびその補正方法ならびに補正装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【００１４】
前述した目的を達成するため、本発明の第１の態様に係る金属缶用天板は、少なくとも缶内面がラミネート層によって形成されたラミネート金属板からなる天板本体と、この天板本体に形成されている円形開口の内周部に外周部をかしめ結合された内面側がラミネート層によって形成された円環状の口金と、この天板本体の缶外面にスポット溶接された手環取り付け用の座金と、この座金と前記天板本体との間に基端部を介して起倒自在に取り付けられた手環とからなる付属構成物とを備えた金属缶用天板において、前記付属構成物のうち、少なくとも前記天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域に亘って円環状の補正フィルムが形成され、前記補正フィルムは、フィルム溶着手段としての加熱ローラおよび／または加熱パッドにより前記口金用フィルム形成領域上に熱溶着されてなることを特徴とする。
【００１５】
また、本発明の第２の態様金属缶用天板は、前記天板本体の缶内面上に、前記スポット溶接による前記ラミネート層の損傷箇所を補正するための補正フィルムが、前記損傷箇所を含む所定範囲の手環用フィルム形成領域に亘って形成され、前記補正フィルムは、前記手環用フィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状を有する加熱ローラにより、前記手環用フィルム形成領域上に熱溶着されてなることを特徴とする。
【００１６】
また、本発明の第３の態様の金属缶用天板は、前記天板本体における損傷箇所を含む所定範囲の部位は、前記座金との間で前記スポット溶接における複数の溶接点を形成して前記座金をスポット溶接すべきスポット溶接部位とされ、このスポット溶接部位は、その缶外面が、前記厚み方向における缶外面側に突出されるとともに、缶内面が、前記缶外面側に凹入された形状に形成され、前記加熱ローラは、前記補正フィルムの熱溶着の際に、前記加熱ローラとして、その外周面の一部が前記スポット溶接部位の前記缶内面に対応するように突出されていることを特徴とする。
【００１７】
ここで、前記補正フィルムは、前記ラミネート層と同一の樹脂材料からなるものであってもよい。
【００１８】
また、本発明の第１の態様に係る金属缶用天板の補正方法は、少なくとも缶内面がラミネート層によって形成されたラミネート金属板からなる天板本体と、この天板本体に形成されている円形開口の内周部に外周部をかしめ結合された内面側がラミネート層によって形成された円環状の口金と、この天板本体の缶外面にスポット溶接された手環取り付け用の座金と、この座金と前記天板本体との間に基端部を介して起倒自在に取り付けられた手環とからなる付属構成物とを備えた金属缶用天板に対して、前記付属構成物の固着部分の補正を行うための金属缶用天板の補正方法において、前記付属構成物のうち、少なくとも前記天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域上に、この口金用フィルム形成領域に対応する大きさの補正フィルムを配置した状態で、フィルム溶着手段としての加熱ローラおよび／または加熱パッドを前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧させることにより、前記口金用フィルム形成領域上に前記補正フィルムを熱溶着することを特徴とする。
【００１９】
また、本発明の第２の態様に係る金属缶用天板の補正方法は、前記天板本体の缶内面における前記損傷箇所を含む所定範囲の手環用フィルム形成領域上に、この手環用フィルム形成領域に対応する大きさの補正フィルムを配置した状態で、前記手環用フィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状を有する加熱ローラを、前記補正フィルムの上から前記手環用フィルム形成領域側に押圧させながら前記手環用フィルム形成領域に沿って相対移動させることにより、前記手環用フィルム形成領域上に前記補正フィルムを熱溶着することを特徴とする。
【００２０】
また、本発明の第３の態様に係る金属缶用天板の補正方法は、前記天板本体における所定範囲の部位は、前記座金との間で前記スポット溶接における複数の溶接点を形成して前記座金をスポット溶接すべきスポット溶接部位とされ、このスポット溶接部位は、その缶外面が、前記厚み方向における缶外面側に突出されるとともに、その缶内面が、缶外面側に凹入された形状に形成され、前記補正フィルムの熱溶着の際に、前記加熱ローラとして、その外周面の一部が前記スポット溶接部位の前記缶内面に対応するように突出された加熱ローラを用いることを特徴とする。
【００２１】
また、本発明の第４の態様に係る金属缶用天板の補正方法は、前記加熱ローラによる前記補正フィルムの溶着後に、第２の加熱ローラを、前記補正フィルムの上から前記フィルム形成領域側に押圧させながら前記フィルム形成領域に沿って相対移動させることにより、前記補正フィルムの前記天板本体への密着力を高めることを特徴とする。
【００２２】
また、本発明の第１の態様に係る金属缶用天板の補正装置は、少なくとも缶内面がラミネート層によって形成されたラミネート金属板からなる天板本体と、この天板本体に形成されている円形開口の内周部に外周部をかしめ結合された内面側がラミネート層によって形成された円環状の口金と、この天板本体の缶外面にスポット溶接された手環取り付け用の座金と、この座金と前記天板本体との間に基端部を介して起倒自在に取り付けられた手環とからなる付属構成物とを備えた金属缶用天板に対して、前記付属構成物の固着部分の補正を行う金属缶用天板の補正装置において、前記金属缶用天板を所定の搬送経路にしたがって搬送する天板搬送手段と、前記搬送経路上に複数の前記金属缶用天板を一枚ずつ順次供給可能とされた天板供給手段と、前記搬送経路上における前記天板供給手段に対する下流側の位置に配設され、前記金属缶用天板に対して加熱を行う天板乾燥手段と、前記搬送経路上における前記天板乾燥手段に対する下流側の位置に配設され、前記天板本体の前記缶内面における前記付属構成物の固着部分を含む所定範囲のフィルム形成領域に対応する補正フィルムを、前記天板乾燥手段による乾燥後の前記金属缶用天板の前記フィルム形成領域上に供給するフィルム供給手段と、前記搬送経路上における前記フィルム供給手段に対する下流側の位置に配設され、前記フィルム供給手段による前記補正フィルムの供給後の前記金属缶用天板に対して、当該補正フィルムの前記フィルム形成領域上への熱溶着を行うフィルム溶着手段と、前記搬送経路上における前記フィルム溶着手段に対する下流側の位置に配設され、前記フィルム溶着手段による前記補正フィルムの熱溶着後の前記金属缶用天板に対して、前記補正フィルムの前記天板本体への密着力を高めるための加熱処理を行う加熱処理手段と、前記搬送経路上における前記加熱処理手段に対する下流側の位置に配設され、前記加熱処理手段による前記加熱処理後の前記金属缶用天板を冷却する天板冷却手段とを備え、前記フィルム供給手段は、前記付属構成物のうち、少なくとも前記天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域にこの口金用フィルム形成領域に対応する円環状の補正フィルムを供給するように形成され、前記フィルム溶着手段は、前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧することにより、前記口金用フィルム形成領域上に前記補正フィルムを熱溶着する加熱ローラおよび／または加熱パッドによって形成されていることを特徴とする。
【００２３】
また、本発明の第２の態様に係る金属缶用天板の補正装置は、前記フィルム溶着手段としての加熱ローラが、前記付属構成物のうち、少なくとも前記天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状を有する第１の加熱ローラと、この第１の加熱ローラを前記口金用フィルム形成領域上に供給された前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧させる第１の押圧手段と、この第１の押圧手段による押圧状態のまま前記第１の加熱ローラを前記口金用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第１の移動手段と、第２の加熱ローラと、この第２の加熱ローラを、前記第１の加熱ローラによる前記補正フィルムの熱溶着後に、当該熱溶着された前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧させる第２の押圧手段と、この第２の押圧手段による押圧状態のまま前記第２の加熱ローラを前記口金用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第２の移動手段とを備えたことを特徴とする。
【００２４】
また、本発明の第３の態様に係る金属缶用天板の補正装置は、前記フィルム供給手段は、前記天板本体の缶内面上に、前記スポット溶接による前記ラミネート層の損傷箇所を含む所定範囲の手環用フィルム形成領域上に、この手環用フィルム形成領域に対応する大きさの補正フィルムを供給するように形成され、前記フィルム溶着手段は、前記手環用フィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状であって、外周面の一部が、前記手環用フィルム形成領域のうちの前記スポット溶接における複数の溶接点に対応する所定範囲の領域の面形状に対応するように突出された外周面形状を有する第１の加熱ローラと、この第１の加熱ローラを前記手環用フィルム形成領域上に供給された前記補正フィルムの上から前記手環用フィルム形成領域側に押圧させる第１の押圧手段と、この第１の押圧手段による押圧状態のまま前記第１の加熱ローラを前記手環用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第１の移動手段と、第２の加熱ローラと、この第２の加熱ローラを、前記第１の加熱ローラによる前記補正フィルムの熱溶着後に、当該熱溶着された前記補正フィルムの上から前記手環用フィルム形成領域側に押圧させる第２の押圧手段と、この第２の押圧手段による押圧状態のまま前記第２の加熱ローラを前記手環用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第２の移動手段とを備えたことを特徴とする。
【００２５】
また、本発明の第４の態様に係る金属缶用天板の補正装置は、少なくとも缶内面がラミネート層によって形成されたラミネート金属板からなる天板本体と、この天板本体に形成されている円形開口の内周部に外周部をかしめ結合された内面側がラミネート層によって形成された円環状の口金と、この天板本体の缶外面にスポット溶接された手環取り付け用の座金と、この座金と前記天板本体との間に基端部を介して起倒自在に取り付けられた手環とからなる付属構成物とを備えた金属缶用天板に対して、前記付属構成物の固着部分の補正を行う金属缶用天板の補正装置において、前記金属缶用天板を所定の搬送経路にしたがって搬送する天板搬送手段と、前記搬送経路上に複数の前記金属缶用天板を一枚ずつ順次供給可能とされた天板供給手段と、前記搬送経路上における前記天板供給手段に対する下流側の位置に配設され、前記天板供給手段によって前記搬送経路上に供給された前記金属缶用天板に対して、洗浄液を用いた拭き取り洗浄を行う天板洗浄手段と、前記搬送経路上における前記天板洗浄手段に対する下流側の位置に配設され、前記天板洗浄手段による洗浄後の前記金属缶用天板に対して熱風による乾燥を行う天板乾燥手段と、前記搬送経路上における前記天板乾燥手段に対する下流側の位置に配設され、前記天板本体の前記缶内面における前記付属構成物の固着部分を含む所定範囲のフィルム形成領域に対応する補正フィルムを、前記天板乾燥手段による乾燥後の前記金属缶用天板の前記フィルム形成領域上に供給するフィルム供給手段と、前記搬送経路上における前記フィルム供給手段に対する下流側の位置に配設され、前記フィルム供給手段による前記補正フィルムの供給後の前記金属缶用天板に対して、当該補正フィルムの前記フィルム形成領域上への熱溶着を行うフィルム溶着手段と、前記搬送経路上における前記フィルム溶着手段に対する下流側の位置に配設され、前記フィルム溶着手段による前記補正フィルムの熱溶着後の前記金属缶用天板に対して、前記補正フィルムの前記天板本体への密着力を高めるための加熱処理を行う加熱処理手段と、前記搬送経路上における前記加熱処理手段に対する下流側の位置に配設され、前記加熱処理手段による前記加熱処理後の前記金属缶用天板を冷却する天板冷却手段とを備え、前記フィルム供給手段は、前記付属構成物のうち、少なくとも前記天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域にこの口金用フィルム形成領域に対応する円環状の補正フィルムを供給するように形成され、前記フィルム溶着手段は、前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧することにより、前記口金用フィルム形成領域上に前記補正フィルムを熱溶着する加熱ローラおよび／または加熱パッドによって形成されていることを特徴とする。
【００２６】
また、本発明の第５の態様に係る金属缶用天板の補正装置は、前記フィルム溶着手段としての加熱ローラが、前記付属構成物のうち、少なくとも前記天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状を有する第１の加熱ローラと、この第１の加熱ローラを前記口金用フィルム形成領域上に供給された前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧させる第１の押圧手段と、この第１の押圧手段による押圧状態のまま前記第１の加熱ローラを前記口金用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第１の移動手段と、第２の加熱ローラと、この第２の加熱ローラを、前記第１の加熱ローラによる前記補正フィルムの熱溶着後に、当該熱溶着された前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧させる第２の押圧手段と、この第２の押圧手段による押圧状態のまま前記第２の加熱ローラを前記口金用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第２の移動手段とを備えたことを特徴とする。
【００２７】
また、本発明の第６の態様に係る金属缶用天板の補正装置は、前記フィルム溶着手段としての加熱パッドが、前記天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域の面形状に対応する加圧面形状を有する加熱体と、この加熱体を前記口金用フィルム形成領域上に供給された前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧させる押圧手段とを備えたことを特徴とする。
【００２８】
また、本発明の第７の態様に係る金属缶用天板の補正装置は、前記フィルム供給手段は、前記天板本体の缶内面上に、前記スポット溶接による前記ラミネート層の損傷箇所を含む所定範囲の手環用フィルム形成領域上に、この手環用フィルム形成領域に対応する大きさの補正フィルムを供給するように形成され、前記フィルム溶着手段は、前記手環用フィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状であって、外周面の一部が、前記手環用フィルム形成領域のうちの前記スポット溶接における複数の溶接点に対応する所定範囲の領域の面形状に対応するように突出された外周面形状を有する第１の加熱ローラと、この第１の加熱ローラを前記手環用フィルム形成領域上に供給された前記補正フィルムの上から前記手環用フィルム形成領域側に押圧させる第１の押圧手段と、この第１の押圧手段による押圧状態のまま前記第１の加熱ローラを前記手環用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第１の移動手段と、第２の加熱ローラと、この第２の加熱ローラを、前記第１の加熱ローラによる前記補正フィルムの熱溶着後に、当該熱溶着された前記補正フィルムの上から前記手環用フィルム形成領域側に押圧させる第２の押圧手段と、この第２の押圧手段による押圧状態のまま前記第２の加熱ローラを前記手環用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第２の移動手段とを備えたことを特徴とする。
【００２９】
ここで、本発明によれば、液体塗料に比べて厚みおよび厚みの安定性・均一性に優れた補正フィルムを、金属缶用天板の天板本体に対する付属構造物の固着部分を確実に補正することができる。
【００３０】
具体的には、天板本体に固着される口金と手環とからなる付属構造物の内、少なくとも口金部分の口金用フィルム形成領域の補正を実施したり、手環部分の手環用フィルム形成領域を含めた双方の補正を実施することができる。
【００３１】
更に、口金用および手環用の双方のフィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状を有する加熱ローラや加熱パッドによって十分な密着性を持たせて双方のフィルム形成領域上に熱溶着することができるため、ラミネート層の損傷箇所を適切に補正することができ、ひいては、缶内面における損傷箇所に対応する部位の腐食を確実に抑制することができる。また、本発明によれば、スポット溶接や口金加工の際の熱によって天板本体にねじれが生じた場合においても、ラミネート層の損傷箇所を適切に補正することができる。さらに、本発明によれば、補正フィルムの熱溶着の際に、焼き付け塗装の場合のように溶剤等の有害物質が飛散することはないため、環境汚染を防止することができる。さらにまた、補正フィルムをラミネート層と同一の樹脂材料からなるものとすれば、損傷箇所を適切に補正することができるとともに、コストを削減することができる。また、加熱ローラによる補正フィルムの熱溶着を行った後に、さらに、第２の加熱ローラによって補正フィルムの天板本体への密着力を高めるようにすれば、ラミネート層の損傷箇所をより適切に補正することができる。また、加熱パッドによる補正フィルムの熱溶着を行った後に、さらに、第２の加熱パッドによって補正フィルムの天板本体への密着力を高めるようにすれば、ラミネート層の損傷箇所をより適切に補正することができる。さらにまた、このようなラミネート層の損傷箇所の補正を一連のライン上において自動的に行うようにすれば、当該補正を効率的に行うことができ、ひいては、金属缶用天板の量産性を向上させることができる。
【００３２】
また、本発明方法を実施する金属缶用天板の補正装置としては、少なくとも、前記フィルム供給手段と前記フィルム溶着手段とを備えていればよい。
【発明の効果】
【００３３】
本発明によれば、環境汚染を防止しつつ、天板本体に対して付属構造物を固着する際に生じたラミネート層の損傷箇所を適切に補正することができることができる。
【図面の簡単な説明】
【００３４】
【図１】本発明に係る金属缶用天板の実施形態を示す平面図
【図２】図１の下面図
【図３】かしめ結合の構成に基づく図２のＡ−Ａ断面図
【図４】図３のかしめ結合に基づく分解斜視図
【図５】図２のＢ−Ｂ断面図
【図６】図２のＣ−Ｃ断面図
【図７】本発明に係る金属缶用天板の補正装置の実施形態において、全体構成を示す概略平面図
【図８】本発明に係る金属缶用天板の補正装置の実施形態において、手環部の補正フィルム供給装置を示す概略構成図
【図９】本発明に係る金属缶用天板の補正装置の実施形態において、口金部の補正フィルム供給装置を示す概略構成図
【図１０】本発明に係る金属缶用天板の補正装置の実施形態において、手環部のフィルム溶着装置を示す概略構成図
【図１１】本発明に係る金属缶用天板の補正装置の実施形態において、手環部の第１のヒートローラを示す正面図
【図１２】図１１の側面図
【図１３】本発明に係る金属缶用天板の補正装置の実施形態において、手環部の第２のヒートローラを示す正面図
【図１４】図１３の側面図
【図１５】本発明に係る金属缶用天板の補正装置の実施形態において、天板受け部を示す平面図
【図１６】口金用の天板受け部を除く図１５の側面図および部分断面図
【図１７】本発明に係る金属缶用天板の補正装置の実施形態において、口金部のフィルム溶着装置を示す概略構成図
【図１８】本発明に係る金属缶用天板の補正装置の実施形態において、口金部の第１のヒートローラを示す正面図
【図１９】図１８の側面図
【図２０】加熱電気炉内の搬送コンベアを示す概略側面図並びに要部拡大図
【図２１】（ａ）はフィルム供給装置の他の実施例を示す側面図、（ｂ）は長尺なフィルムを示す平面図
【図２２】本発明に係る金属缶用天板の補正装置の実施形態において、口金部のフィルム溶着装置の他の例を示す概略構成図
【図２３】本発明に係る金属缶用天板の補正装置の実施形態において、口金部のフィルム溶着装置の更に他の例を示す概略斜視図
【図２４】図２３における補正フィルムを供給するフィルム供給装置部分を示し、（ａ）は側面図、（ｂ）は長尺なフィルムを示す平面図
【図２５】図２３における補正フィルムを熱溶着する熱溶着機部分を示し、（ａ）は側面図、（ｂ）は加熱パッドの接触面近傍の拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【００３５】
以下、本発明に係る金属缶用天板およびその補正方法ならびに補正装置の実施形態について、図１乃至図２５を参照して説明する。
【００３６】
本実施形態は天板本体に固着される付属構造物である口金および手環の双方を補正するように形成されている。
【００３７】
＜金属缶用天板について＞
まず、金属缶用天板について説明する。
【００３８】
図１は、本実施形態における金属缶用天板１を示す平面図であり、図２は、図１の下面図である。また、図３は、図２のＡ−Ａ断面図であり、図４は、かしめ結合部分のかしめ前の分解斜視図である。また、図５は、図２のＢ−Ｂ断面図であり、図６は、図２のＣ−Ｃ断面図である。
【００３９】
図１および図２に示すように、本実施形態における金属缶用天板１は、口金２および手環８を備えた平面略正方形状の天板本体３を有している。
【００４０】
天板本体３は、ラミネート金属板としてのラミネート鋼板からなり、図３乃至図６に示すように、その厚み方向における一方（図３乃至図６における上方）（以下、缶内面側と称する）の表面が、鋼板６にラミネートされた樹脂材料のラミネート層５によって構成されている。このラミネート層５は、金属缶用天板１が金属缶（図示せず）を構成した状態において、鋼板６が缶内の内容物に直に触れることを防止するようになっている。
【００４１】
また、天板本体３は、その厚み方向における他方（図３乃至図６における下方）（以下、缶外面側と称する）の表面も、後述する手缶取り付け用の座金が取り付けられた一部の範囲を除いて、鋼板６にラミネートされた樹脂材料のラミネート層によって構成されている。
【００４２】
なお、鋼板６としては、例えば、ティンフリースチールを好適なものとして用いることができる。また、ラミネート層５を構成する樹脂材料としては、例えば、ＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）樹脂フィルムを好適なものとして用いることができる。
【００４３】
また、本発明においては、ラミネート層５として、その代替物として鋼板６にエポキシ−フェノール樹脂やエポキシ−ユリア樹脂等の樹脂塗料を塗装して形成したものを含むものである。
【００４４】
一方の口金２は、図４に示すように、鋼板６と同一のラミネート層５を形成したラミネート鋼板を予めプレス成型することにより円環状に形成されている。このラミネート層５は口金２の少なくとも缶内面側に形成されていればよい。本実施形態においては、表裏両面にラミネート層が形成されている。この口金２は、図４に示すように、天板本体３の１隅部に形成されている円形開口３ａの内周部に、口金２のフランジ部２ａの外周部とをかしめ結合して天板本体３にかしめ結合部４をもって固着されている。かしめ結合としては図３の態様から選択するとよい。図４は図３の例の口金２を示している。
【００４５】
このような口金２と天板本体３とのかしめ結合部分４には、かしめによって缶内面側のラミネート層５が損傷する可能性があり、これに対して何等対策を採らない場合には、金属缶用天板１が金属缶を構成した際に、缶内の内容物による鋼板６の腐食をもたらすことになる。
【００４６】
そこで、本実施形態においては、このようなかしめ結合部４を補正するための手段が講じられている。
【００４７】
すなわち、図２乃至図４に示すように、口金２および天板本体３の缶内面側の表面であって、口金２と天板本体３とのかしめ結合部４の内面側境界部分を含む所定範囲に亘る円環状の口金用フィルム形成領域上に、補正用の樹脂材料からなる円環状の補正フィルム９が形成されている。
【００４８】
また、本実施形態において、補正フィルム９は、加熱ローラによって、口金用フィルム形成領域上に熱溶着されている。この加熱ローラの詳細は後述する。
【００４９】
他方の手環８については、図１および図５に示すように、天板本体３の缶外面側の表面には、断面形状が略Ω字状を呈する手環取り付け用の座金（以下、手環用座金と称する）７が、天板本体３との間に手環配置用の間隙部１０（図５参照）を設けた状態でスポット溶接されている。そして、この手環用座金７と天板本体３との間に挟まれた間隙部１０には、手環８の基端部８ａが遊びを持った状態で配置されている。
【００５０】
このようにして、手環８が、その基端部８ａを介して手環用座金７と天板本体３との間に起倒自在に取り付けられている。
【００５１】
より具体的には、図２、図５、図６に示すように、天板本体３は、その中央の所定範囲の部位が、手環用座金７との間でスポット溶接における複数の溶接点を形成して手環用座金７をスポット溶接すべきスポット溶接部位１１とされている。
【００５２】
また、図２、図５、図６に示すように、本実施形態においては、スポット溶接部位１１が２つ形成されている。これら２つのスポット溶接部位１１，１１は、ともに天板本体３の一方の対角方向（図２における左斜め約４５°方向）に長尺とされているとともに、当該対角方向に直交する天板本体３の他方の対角方向（図２における右斜め約４５°方向）に互いに間隔を隔てるように並設されている。
【００５３】
図５に示すように、各スポット溶接部位１１，１１は、その缶外面側の表面が缶外面側に突出されるとともに、その缶内面側の表面が缶外面側に凹入された突起状に形成されている。
【００５４】
一方、図１および図６に示すように、手環用座金７には、天板本体３側に突出するようなＵ字形状の複数（図１においては１２個）の突起部１２が、手環用座金７の長手方向（図１における右斜め方向、図４における横方向）およびこれに直交する方向（図１における左斜め方向）に互いに間隔を設けて形成されている。
【００５５】
そして、図６に示すように、手環用座金７は、各突起部１２の天板本体３側の表面が、これらに対向する各スポット溶接部位１１，１１の缶外面側の表面にそれぞれ接した状態で、各突起部１２ごとにスポット溶接部位１１，１１との間で溶接点Ｐが形成されるようにして、スポット溶接部位１１，１１上にスポット溶接されている。
【００５６】
このようなスポット溶接によって、各スポット溶接部位１１，１１には、それぞれの長手方向に沿って複数の溶接点Ｐが整列形成されている。
【００５７】
さらに、このスポット溶接によって、各スポット溶接部位１１，１１の缶内側表面における各溶接点Ｐに対応する位置には、スポット溶接の際の溶接熱によって、ラミネート層５の損傷部（クラックや剥離部分等）１４が形成されている。
【００５８】
このような損傷部１４は、これに対して何等対策を採らない場合には、金属缶用天板１が金属缶を構成した際に、缶内の内容物による鋼板６の腐食をもたらすことになる。
【００５９】
そこで、本実施形態においては、このような損傷部１４を補正するための手段が講じられている。
【００６０】
すなわち、図２、図５、図６に示すように、天板本体３の缶内面側の表面であって、各損傷部１４を含む所定範囲に亘る手環用フィルム形成領域上には、各損傷部１４を補正するための樹脂材料からなる矩形状の補正フィルム１５が形成されている。なお、手環用フィルム形成領域は、各スポット溶接部位１１，１１の缶内面側の表面を含んでいる。
【００６１】
また、本実施形態において、補正フィルム１５は、手環用フィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状を有する加熱ローラによって、手環用フィルム形成領域上に熱溶着されている。この加熱ローラの詳細は後述する。
【００６２】
なお、口金２部および手環８部に形成される補正フィルム９、１５を構成する樹脂材料としては、例えば、ラミネート層５を構成する樹脂材料と同一の樹脂材料（ＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート））を好適なものとして用いることができる。また、補正フィルムを構成する樹脂材料としては、前記ＰＥＴの他にＰＰ（ポリプロピレン）、ＰＥ（ポリエチレン）を用いることができる。
【００６３】
＜補正方法および補正装置について＞
次に、金属缶用天板に対する補正方法および補正装置について工程順に説明する。
【００６４】
前記のように形成されている金属缶用天板１は、例えば、図７乃至図２０に示す補正装置１７によって得ることができる。
【００６５】
この補正装置１７は、金属缶用天板１における前述した口金２部分のかしめ結合部４および手環８部分の損傷部１４の補正を、一連のライン上において自動的に行うことが可能とされている。
【００６６】
すなわち、図７に示すように、補正装置１７は、金属缶用天板１をその搬送経路（以下、天板搬送経路と称する）にしたがって搬送する天板搬送手段として、天板搬送経路に沿って順次配設された複数の搬送コンベア１８を有している。各搬送コンベア１８は、かしめ結合部４および損傷部１４を補正するための後述する一連の各工程において、タクト送りによって前工程から次工程への金属缶用天板１の受け渡しを行うようになっている。各搬送コンベア１８は、モータ等の図示しない駆動源によって独立に駆動されるようになっている。なお、各搬送コンベア１８の駆動源は、補正装置１７全体の動作を電気的に制御する図示しない制御部（マイコン）によって駆動制御されるようになっている。
【００６７】
＜天板供給工程＞
図７に示すように、補正装置１７は、天板供給手段としての天板供給装置１９を有しており、この天板供給装置１９には、かしめ結合部４および損傷部１４の補正前の複数の金属缶用天板１が、その缶内面側の表面を鉛直上方に向けるようにして鉛直方向に積載収容されている。そして、天板供給装置１９は、積載収容されている複数の金属缶用天板１を、最上段の金属缶用天板１から順に、天板搬送経路上の上流端に一枚ずつ順次タクト送りによって供給するようになっている。この金属缶用天板の供給動作は、前記制御部から供給指令信号が入力されることによって開始されるようになっている。なお、天板供給装置１９は、収容位置に積載収容されている金属缶用天板１をバキュームパッドに吸着させて収容位置から取り出し、取り出された金属缶用天板１を、最も上流側の天板搬送手段としてのマグネットが設けられた吊り下げコンベア（図示せず）に渡すものであってもよい。この場合、吊り下げコンベアは、天板供給装置１９から受けた金属缶用天板１を、マグネットの磁力を介して吊り下げ、吊り下げられた金属缶用天板１を最も上流側の搬送コンベア１８側へとタクト送りによって搬送すればよい。
【００６８】
＜天板洗浄工程＞
次に、図７に示すように、天板搬送経路上における天板供給装置１９に対する下流側の位置には、天板洗浄手段としての天板洗浄装置２０が配設されている。この天板洗浄装置２０は、天板供給装置１９によって天板搬送経路上に供給された後に天板搬送手段（例えば、吊り下げコンベア）によって下流側に搬送された金属缶用天板１に対して、揮発性洗浄液を用いた拭き取り洗浄を行うようになっている。具体的には、天板洗浄装置２０は、エチルアルコールが塗布されたフェルトによって金属缶用天板１の少なくともフィルム形成領域を自動的に拭き取る機構を備えたものであってもよい。
【００６９】
そして、このような天板洗浄装置２０による洗浄工程により、口金２のかしめ結合や手環用座金７のスポット溶接等の天板加工工程において飛散した油分、粉塵または湿気等の異物を金属缶用天板１から取り除くことができる。
【００７０】
なお、金属缶用天板１の少なくともフィルム形成領域が補正フィルム９、１５の熱溶着ができる状態である場合等の条件が許す場合には、天板洗浄装置２０による洗浄工程若しくは天板洗浄装置２０自体を省くことができる。
【００７１】
＜天板乾燥工程＞
次に、図７に示すように、天板搬送経路上における天板洗浄装置２０に対する下流側の位置には、天板乾燥手段としての天板乾燥装置２１が配設されている。この天板乾燥装置２１は、天板洗浄装置２０による洗浄後の金属缶用天板１に対して、それぞれ熱風によって乾燥を行うようになっている。この天板乾燥装置２１は、公知の熱風発生器を備えたものであってもよい。熱風は金属缶用天板１の上下両面にそれぞれ吹き付けて行うとよい。
【００７２】
そして、このような天板乾燥装置２１による乾燥工程により、揮発性洗浄液（たとえばエチルアルコール）が蒸発する際に空気中から吸引されて金属缶用天板１上に付着した水分を蒸発させることができる。
【００７３】
また、天板乾燥装置２１としては、遠赤外線ヒータあるいは近赤外線ヒータ（図示せず）を金属缶用天板１の上下両面側に配置して乾燥するように形成してもよい。
【００７４】
なお、天板洗浄装置２０を省いた場合には、天板乾燥装置２１も省くことができるし、下流側の補正フィルムの熱溶着を実行する場合の予加熱を施す場合には省かないこととするとよい。
【００７５】
＜フィルム供給工程＞
このフィルム供給工程からフィルム溶着工程までは、口金２のかしめ結合部４の補正と、手環８の損傷部１４の補正とを別々に行うために２系統に分けられている。
【００７６】
図７に示すように、天板搬送経路上における天板乾燥装置２１に対する下流側の位置には、口金２のかしめ結合部４の補正と、手環８の損傷部１４の補正とに供される補正フィルム９、１５をそれぞれ供給するためのフィルム供給手段としてのフィルム供給装置７１、２３が搬送コンベア１８の両側に分けて配設されている。このフィルム供給装置７１、２３は、天板乾燥装置２１による乾燥後に搬送コンベア１８によって天板搬送経路上を缶内面側の表面を鉛直上方に向けた状態で搬送される金属缶用天板１に対して、そのフィルム形成領域上への補正フィルム９、１５の供給を行うようになっている。
【００７７】
（手環８について）
具体的には、手環８の損傷部１４へ補正フィルム１５を供給する一方のフィルム供給装置２３は、フィルムカット装置２４を有している。このフィルムカット装置２４は、ロール状の補正フィルムを先頭側から順に繰り出しつつ、繰り出された補正フィルムを、手環用フィルム形成領域の面積に対応する所定の長さ（大きさ）に切断加工するようになっている。そして、切断加工後の補正フィルム１５は、図７においてＰ１で示す待機位置に位置されるようになっている。
【００７８】
また、図７および図８に示すように、フィルム供給装置２３は、フィルムカット装置２４によって切断加工された補正フィルム１５を待機位置Ｐ１から図７においてＰ２に示す供給位置まで搬送する吸着搬送装置２５を有している。図８に示すように、吸着搬送装置２５は、サクションパッド２６と、このサクションパッド２６をシリンダチューブ２７の長手方向に沿って往復動させる第１のフィルム供給用エアシリンダ２８と、サクションパッド２６の姿勢を図８の破線部に示すパッド２６の位置との間の９０°の角度範囲内で調整可能とされた第２のフィルム供給用エアシリンダ２９とを有している。第１のフィルム供給用エアシリンダ２８は、公知のロッドレスシリンダであってもよい。また、第２のフィルム供給用エアシリンダ２９は、公知の耐熱型オートスイッチ付きの回転シリンダであってもよい。このような吸着搬送装置２５は、待機位置Ｐ１に位置された補正フィルム１５をサクションパッド２６によって吸着し、吸着された補正フィルム１５を、第１のフィルム供給用エアシリンダ２８によってサクションパッド２６ごと供給位置Ｐ２まで搬送するようになっている。そして、供給位置Ｐ２において、第２のフィルム供給用エアシリンダ２９により、サクションパッド２６をこれに吸着されている補正フィルム１５が手環用フィルム形成領域に接触するようにした後に、サクションパッド２６の吸着を解除することによって、手環用フィルム形成領域上に補正フィルム１５を載置するようになっている。なお、サクションパッド２６にスプリングクッションを設けることによって、補正フィルム１５を手環用フィルム形成領域上に載置する際のアジャスト性を高めるようにしてもよい。
【００７９】
このようにして、手環用フィルム形成領域上への補正フィルム１５の供給が行われるようになっている。なお、図７に示すように、吸着搬送装置２５による補正フィルム１５の搬送方向は、金属缶用天板１の搬送方向に対して約４５°の傾きを有しているが、これは、図２に示したような金属缶用天板１の向きに対する補正フィルム１５の向きの関係をそのまま反映したものである。すなわち、図２を用いて説明すれば、金属缶用天板１の搬送方向は、図２における下方向となるのに対して、補正フィルム１５の搬送方向は、図２における右下方向となる。
【００８０】
（口金２について）
また、口金２のかしめ結合部４へ補正フィルム９を供給する他方のフィルム供給装置７１は、予め円環状に形成されている補正フィルム９を供給するように形成されている。具体的には、図７および図９に示すように、フィルム供給装置７１は、円環状に形成されている補正フィルム９を待機位置Ｐ３から図７においてＰ４に示す供給位置まで搬送する吸着搬送装置７２を有している。図９に示すように、吸着搬送装置７２は、サクションパッド７３と、このサクションパッド７３をシリンダチューブ７４の長手方向に沿って往復動させる第１のフィルム供給用エアシリンダ７５と、サクションパッド７３の姿勢を図９の破線部に示すパッド７３の位置との間の９０°の角度範囲内で調整可能とされた第２のフィルム供給用エアシリンダ７６とを有している。第１のフィルム供給用エアシリンダ７５は、公知のロッドレスシリンダであってもよい。また、第２のフィルム供給用エアシリンダ７６は、公知の耐熱型オートスイッチ付きの回転シリンダであってもよい。このような吸着搬送装置７２は、待機位置Ｐ３位置された補正フィルム９をサクションパッド７３によって吸着し、吸着された補正フィルム９を、第１のフィルム供給用エアシリンダ７５によってサクションパッド７３ごと供給位置Ｐ４まで搬送するようになっている。そして、供給位置Ｐ４において、第２のフィルム供給用エアシリンダ７６により、サクションパッド７３をこれに吸着されている補正フィルム９が口金用フィルム形成領域に接触するようにした後に、サクションパッド７３の吸着を解除することによって、口金用フィルム形成領域上に補正フィルム９を載置するようになっている。なお、サクションパッド７３にスプリングクッションを設けることによって、補正フィルム９を口金用フィルム形成領域上に載置する際のアジャスト性を高めるようにしてもよい。
【００８１】
このようにして、口金用フィルム形成領域上への補正フィルム９の供給が行われるようになっている。なお、図７に示すように、吸着搬送装置７２による補正フィルム９の搬送方向は、金属缶用天板１の搬送方向に対して直交するようにされているが、手環８の損傷部１４の補正するための補正フィルム１５の搬送方向と直交するようにしてもよい。
【００８２】
両補正フィルム９、１５の供給は天板搬送経路上に停止されている天板本体３に対して、別々若しくは同時に行うとよい。
【００８３】
なお、補正フィルム９、１５の供給後の金属缶用天板１は、搬送コンベア等の不図示の搬送手段によって天板搬送経路上を次工程まで搬送されるようになっている。
【００８４】
＜フィルム溶着工程＞
（手環８について）
図７に示すように、天板搬送経路上におけるフィルム供給装置７１、２３に対する下流側の位置には、口金２のかしめ結合部４と、手環８の損傷部１４とにおいて補正フィルム９、１５をそれぞれ溶着するためのフィルム溶着手段としてのフィルム溶着装置８１、３２が搬送コンベア１８の両側に分けて配設されている。このフィルム溶着装置８１、３２は、フィルム供給装置７１、２３による補正フィルム９、１５の供給後の金属缶用天板１に対して、当該補正フィルム９、１５のフィルム形成領域上への熱溶着を行うようになっている。
【００８５】
具体的には、手環８の損傷部１４へ補正フィルム１５を溶着する一方のフィルム溶着装置３２は、第１の移動手段および第２の移動手段としての第１の溶着用エアシリンダ３３を有している。この第１の溶着用エアシリンダ３３は、図１０における横方向に長尺とされたシリンダチューブ３４と、このシリンダチューブ３４に対するエアの給排によってシリンダチューブ３４の長手方向に往復動可能とされた移動部３１とを有している。なお、図７に示すように、第１の溶着用エアシリンダ３３のシリンダチューブ３４は、前述した第１のフィルム供給用エアシリンダ２８のシリンダチューブ２７に平行とされている。
【００８６】
また、図１０に示すように、移動部３１には、第１の押圧手段としての第２の溶着用エアシリンダ３５と、第２の押圧手段としての第３の溶着用エアシリンダ３６とが、図１０における横方向に互いに間隔を設けるようにしてボルト等の固定手段によって固定されている。
【００８７】
さらに、図１０に示すように、第２の溶着用エアシリンダ３５におけるシリンダチューブ３７の下端部には、第１のヒートローラ取り付け板３８が連結されている。この第１のヒートローラ取り付け板３８は、第２の溶着用エアシリンダ３５によって上下動可能とされている。なお、第１のヒートローラ取り付け板３８は、図１０の紙面垂直方向に間隔を設けるようにして一対配設されており、これら一対の第１のヒートローラ取り付け板３８，３８はブラケット構造をなしている。
【００８８】
さらにまた、図１０に示すように、第３の溶着用エアシリンダ３６におけるシリンダチューブ３９の下端部には、第２のヒートローラ取り付け板４０が連結されている。この第２のヒートローラ取り付け板４０は、第３の溶着用エアシリンダ３６によって上下動可能とされている。なお、第２のヒートローラ取り付け板４０も、図１０の紙面垂直方向に間隔を設けるようにして一対配設されており、これら一対の第２のヒートローラ取り付け板４０，４０はブラケット構造をなしている。
【００８９】
そして、一対の第１のヒートローラ取付板３８，３８の間には、図１０乃至図１２に示すような第１の加熱ローラとしての第１のヒートローラ４１が回転自在に取り付けられている。
【００９０】
一方、一対の第２のヒートローラ取付板４０，４０の間には、図１０、図１３および図１４に示すような第２の加熱ローラとしての第２のヒートローラ４２が回転自在に取り付けられている。
【００９１】
ここで、まず、第１のヒートローラ４１について更に詳述すると、図１１および図１２に示すように、第１のヒートローラ４１は、第１のヒートローラ取り付け板３８に回転自在に支持された回転軸４３を有している。また、回転軸４３の軸方向における中央の所定範囲の部位の外側には、略円筒状のフランジ部４４が、回転軸４３と一体的に形成されている。さらに、フランジ部４４には、その周方向に等間隔を設けて合計３つのヒータ４５が埋設されている。このヒータ４５には、その発熱温度を調整するための図示しないパイロメータが接続されている。さらにまた、フランジ部４４の軸方向における中央の所定範囲の部位の外側には、耐熱性の弾性材料（エラストマー）からなる筒状のフィルム接触部４６が、フランジ部４４と一体的に形成されている。
【００９２】
図１１に示すように、フィルム接触部４６は、その外径が軸方向に沿って変化するような部分を含む凹凸状の外周面形状を有している。このフィルム接触部４６の外周面形状は、天板本体３の手環用フィルム形成領域の面形状にほぼ沿うような手環用フィルム形成領域の面形状に対応する形状となっている。例えば、図１１に示すように、フィルム接触部４６の外周面上には、所定の頂角を有する三角形状の一対の凸面部４７，４７が、軸方向に互いに間隔を設けるようにして形成されているが、これら凸面部４７，４７の面形状は、図５に示した畝状の各スポット溶接部位１１，１１の缶内面側の表面の面形状にほぼ沿った当該面形状に対応する面形状となっている。
【００９３】
なお、フランジ部４４の材料としては、例えば、熱伝導性に優れたアルミニウムを好適な材料として用いることができる。また、フィルム接触部４６を構成する弾性材料としては、例えば、耐熱シリコーンゴムを好適な材料として用いることができる。また、ヒータ４５の発熱温度（調整温度）としては、フランジ部４４およびフィルム接触部４６の熱伝導率を考慮した上で、好適な温度を採用するとよい。例えば、フィルム接触部４６の外周面の温度が２００℃となるような温度（例えば、２３０℃）を好適な温度として採用することができる。さらに、ヒータ４５としては、赤外線ヒータ等の種々の発熱方式のヒータを用いることができる。
【００９４】
このような第１のヒートローラ４１は、初期状態においては、図１０に示すように、第１の溶着用エアシリンダ３３によって第１のヒートローラ４１の水平移動範囲内における一端部のホームポジションに位置されるようになっている。さらに、初期状態において、第１のヒートローラ４１は、第２の溶着用エアシリンダ３５によって第１のヒートローラ４１の上下方向の移動範囲内における上端部の退避位置に位置されるようになっている。
【００９５】
また、第１のヒートローラ４１は、金属缶用天板１が、その手環用フィルム形成領域上の補正フィルム１５を第１の溶着用エアシリンダ３３の真下に位置させるような所定の熱溶着位置まで搬送されると、第２の溶着用エアシリンダ３５によって退避位置から下方向に移動されて補正フィルム１５の押圧位置に位置されるようになっている。このとき、金属缶用天板１が熱溶着位置に搬送されたことを、例えば、光センサ等の天板位置検出手段によって検出し、この検出結果に基づいて、前述した制御部が第２の溶着用エアシリンダ３５を駆動制御して前記第１のヒートローラ４１を押圧位置まで移動させるように構成してもよい。また、押圧位置において、第１のヒートローラ４１は、手環用フィルム形成領域上の補正フィルム１５における熱溶着進行方向の上流端を押圧した状態になっていてもよく、あるいは、金属缶用天板１における当該補正フィルム１５の上流端に上流側において近接する部位を押圧した状態となっていてもよい。
【００９６】
さらに、第１のヒートローラ４１は、退避位置から押圧位置に移動された後に、この押圧位置において、フィルム接触部４６の外周面の温度がヒータ４５によって十分な温度（たとえば２００℃）となるように所定時間待機させられるようになっている。
【００９７】
この所定時間の待機の後、第１のヒートローラ４１は、上下方向における位置を押圧位置に維持したまま、第１の溶着用エアシリンダ３３によってホームポジションから水平移動範囲内における他端部に向かって所定の移動速度で移動されるようになっている。これにより、加熱状態の第１のヒートローラ４１が、そのフィルム接触部４６を介して補正フィルム１５の上から手環用フィルム形成領域側に押圧された状態で、手環用フィルム形成領域に沿って移動されることになる。
【００９８】
以上のように構成された第１のヒートローラ４１によれば、手環用フィルム形成領域上の補正フィルム１５を、この補正フィルム１５に接触したフィルム接触部４６の熱によって溶融して手環用フィルム形成領域上に熱溶着することができる。このとき、フィルム接触部４６の外周面形状が手環用フィルム形成領域の面形状に対応する形状に形成されているため、補正フィルム１５を天板本体３への十分な密着力を持たせた状態に熱溶着することができる。
【００９９】
そして、このようにして補正フィルム１５の熱溶着を行った後に、第１のヒートローラ４１は、第２の溶着用エアシリンダ３５によって初期状態と同様の退避位置に戻されるとともに、第１の溶着用エアシリンダ３３によって初期状態と同様のホームポジションに戻されるようになっている。
【０１００】
なお、前述した押圧位置における第１のヒートローラ４１の加圧力としては、例えば、０．２〜０．３〔ＭＰａ〕を好適な加圧力として採用することができる。このような加圧力を採用すれば、補正フィルム１５を十分な加圧力を以て適切に熱溶着することができるとともに、加圧力が大きすぎることによって金属缶用天板１に後述する天板受け部５０（図１５、図１６参照）による押圧痕が生じることを防止することができる。押圧痕は、金属缶の製品外観を損ねるため、可及的に低減することが望ましい。
【０１０１】
また、第１のヒートローラ４１を補正フィルム１５の熱溶着のために手環用フィルム形成領域に沿って移動させる際の移動速度としては、例えば、５０ｍｍの長さの補正フィルム１５の熱溶着進行方向の上流端から下流端まで１〜２秒で移動するような十分に遅い速度を、好適な移動速度として採用することができる。
【０１０２】
次に、第２のヒートローラ４２について更に詳述すると、図１３および図１４に示すように、第２のヒートローラ４２は、第１のヒートローラ４１と同様に、第２のヒートローラ取り付け板４０に回転自在に支持された回転軸４３、フランジ部４４、ヒータ４５およびフィルム接触部４９を有している。
【０１０３】
ただし、第２のヒートローラ４２のフィルム接触部４９は、第１のヒートローラ４１のフィルム接触部４６とは異なり、その外径が軸方向に沿って一定とされた平坦な円筒状の外周面形状を有している。
【０１０４】
このような第２のヒートローラ４２は、初期状態においては、図１０に示すように、第１の溶着用エアシリンダ３３によって第２のヒートローラ４２の水平移動範囲内における一端部のホームポジションに位置されるようになっている。さらに、初期状態において、第２のヒートローラ４２は、第３の溶着用エアシリンダ３６によって第２のヒートローラ４２の上下方向の移動範囲内における上端部の退避位置に位置されるようになっている。
【０１０５】
また、第２のヒートローラ４２は、第１のヒートローラ４１による補正フィルム１５の熱溶着の際に、第１の溶着用エアシリンダ３３によって第１のヒートローラ４１と一体的に水平移動されるようになっている。ただし、このとき、第２のヒートローラ４２の上下方向における移動位置は、退避位置に維持されたままであり、第２のヒートローラ４２が熱溶着に関与することはない。
【０１０６】
さらに、第２のヒートローラ４２は、第１のヒートローラ４１が補正フィルム１５の熱溶着の完了後に第１の溶着用エアシリンダ３３によってホームポジションに戻された後に、第３の溶着用エアシリンダ３６によって退避位置から下方向に移動されて補正フィルム１５の押圧位置に位置されるようになっている。
【０１０７】
さらにまた、第２のヒートローラ４２は、退避位置から押圧位置に移動された後に、この押圧位置において、フィルム接触部４９の外周面の温度がヒータ４５によって十分な温度（たとえば２００℃）となるように所定時間待機させられるようになっている。
【０１０８】
この所定時間の待機の後、第２のヒートローラ４２は、上下方向における位置を押圧位置に維持したまま、第１の溶着用エアシリンダ３３によってホームポジションから第２のヒートローラ４２の水平移動範囲内における他端部に向かって所定の移動速度で移動されるようになっている。これにより、加熱状態の第２のヒートローラ４２が、そのフィルム接触部４９を介して補正フィルム１５の上から手環用フィルム形成領域側に押圧された状態で、手環用フィルム形成領域に沿って移動されることになる。
【０１０９】
以上のように構成された第２のヒートローラ４２によれば、第１のヒートローラ４１によって手環用フィルム形成領域上に熱溶着された補正フィルム１５に対して、更に補強的な熱溶着を行って、溶着浮き等の溶着不良部分を可及的に解消することができる。この結果、天板本体３に対する補正フィルム１５の密着力を更に高めることができる。
【０１１０】
その後、第２のヒートローラ４２は、第３の溶着用シリンダ３６によって退避位置に戻されるとともに、第１の溶着用エアシリンダ３３によって再びホームポジションに戻されるようになっている。
【０１１１】
なお、前述した押圧位置における第２のヒートローラ４２の加圧力は、第１のヒートローラ４１の加圧力と同様であってもよい。
【０１１２】
また、第２のヒートローラ４２を補正フィルム１５の補強的な熱溶着のために手環用フィルム形成領域に沿って水平移動させる際の移動速度は、第１のヒートローラ４１を補正フィルム１５の熱溶着のために水平移動させる際の移動速度と同様であってもよい。
【０１１３】
さらに、フィルム溶着装置３２は、天板搬送経路上における第１の溶着用エアシリンダ３３に対する鉛直下方位置に、図１５および図１６に示すような天板受け部５０を有している。
【０１１４】
図１５および図１６に示すように、天板受け部５０は、その中央に位置する座金支承プレート５１と、この座金支承プレート５１を包囲する天板周縁部支承フレーム５２とを有している。これら座金支承プレート５１と天板周縁部支承フレーム５２とは、板状の連結プレート５３を介して互いに連結されている。座金支承プレート５１は、手環用座金７に対応する大きさに形成されているとともに、その表面が、手環用座金７および手環８の形状に対応するような凹凸形状に形成されている。
【０１１５】
このような天板受け部５０は、第１のヒートローラ４１による補正フィルム１５の熱溶着および第２のヒートローラ４２による補強的な熱溶着の際に、その座金支承プレート５１によって手環用座金７を下方から支承するようになっている。また、このとき、天板受け部５０は、その天板周縁部支承フレーム５２によって、金属缶用天板１の周縁部を下方から支承するようになっている。これにより、補正フィルム１５を安定的に熱溶着させることができるようになっている。
【０１１６】
さらにまた、図１６に示すように、座金支承プレート５１の下部近傍位置には、プレートヒータ５４が水平に配設されている。このプレートヒータ５４は、補正フィルム１５の熱溶着の際に、所定の発熱温度によって、フィルム形成面を下方から加熱するようになっている。これにより、補正フィルム１５の熱溶着を補助することができる。なお、プレートヒータ５４の発熱温度としては、例えば、８０℃を好適な温度として採用することができる。
【０１１７】
（口金２について）
また、口金２のかしめ結合部４へ補正フィルム９を溶着する他方のフィルム溶着装置８１は、図７および図１７に示すように、第１の移動手段および第２の移動手段としての第１の溶着用エアシリンダ８２を有している。この第１の溶着用エアシリンダ８２は、図１７における横方向に長尺とされたシリンダチューブ８３と、このシリンダチューブ８３に対するエアの給排によってシリンダチューブ８３の長手方向に往復動可能とされた移動部８４とを有している。なお、図７に示すように、第１の溶着用エアシリンダ８２のシリンダチューブ８３は、前述した第１のフィルム供給用エアシリンダ７５のシリンダチューブ７４に平行とされている。
【０１１８】
また、図１７に示すように、移動部８４には、第１の押圧手段としての第２の溶着用エアシリンダ８５と、第２の押圧手段としての第３の溶着用エアシリンダ８６とが、図１７における横方向に互いに間隔を設けるようにしてボルト等の固定手段によって固定されている。
【０１１９】
さらに、図１７に示すように、第２の溶着用エアシリンダ８５におけるシリンダチューブ８７の下端部には、第１のヒートローラ取り付け板８８が連結されている。この第１のヒートローラ取り付け板８８は、第２の溶着用エアシリンダ８５によって上下動可能とされている。なお、第１のヒートローラ取り付け板８８は、図１７の紙面垂直方向に間隔を設けるようにして一対配設されており、これら一対の第１のヒートローラ取り付け板８８，８８はブラケット構造をなしている。
【０１２０】
さらにまた、図１７に示すように、第３の溶着用エアシリンダ８６におけるシリンダチューブ８９の下端部には、第２のヒートローラ取り付け板９０が連結されている。この第２のヒートローラ取り付け板９０は、第３の溶着用エアシリンダ８６によって上下動可能とされている。なお、第２のヒートローラ取り付け板９０も、図１７の紙面垂直方向に間隔を設けるようにして一対配設されており、これら一対の第２のヒートローラ取り付け板９０，９０はブラケット構造をなしている。
【０１２１】
そして、一対の第１のヒートローラ取付板８８，８８の間には、図１７乃至図１９に示すような第１の加熱ローラとしての第１のヒートローラ９１が回転自在に取り付けられている。
【０１２２】
一方、一対の第２のヒートローラ取付板９０，９０の間には、第１のヒートローラ９１と同一構成の第２の加熱ローラとしての第２のヒートローラ９２が回転自在に取り付けられている。
【０１２３】
ここで、まず、第１のヒートローラ９１について更に詳述すると、図１８および図１９に示すように、第１のヒートローラ９１は、第１のヒートローラ取り付け板８８に回転自在に支持された回転軸９３を有している。また、回転軸９３の軸方向における中央の所定範囲の部位の外側には、略円筒状のフランジ部９４が、回転軸９３と一体的に形成されている。さらに、フランジ部９４には、その周方向に等間隔を設けて合計３つのヒータ９５が埋設されている。このヒータ９５には、その発熱温度を調整するための図示しないパイロメータが接続されている。さらにまた、フランジ部９４の軸方向における中央の所定範囲の部位の外側には、耐熱性の弾性材料（エラストマー）からなる筒状のフィルム接触部９６が、フランジ部４４と一体的に形成されている。このフィルム接触部９６はその外径が軸方向に沿って一定とされた平坦な円筒状の外周面形状を有している。
【０１２４】
なお、フランジ部９４の材料としては、例えば、熱伝導性に優れたアルミニウムを好適な材料として用いることができる。また、フィルム接触部９６を構成する弾性材料としては、例えば、耐熱シリコーンゴムを好適な材料として用いることができる。また、ヒータ９５の発熱温度（調整温度）としては、フランジ部９４およびフィルム接触部９６の熱伝導率を考慮した上で、好適な温度を採用するとよい。例えば、フィルム接触部９６の外周面の温度が２００℃となるような温度（例えば、２３０℃）を好適な温度として採用することができる。さらに、ヒータ９５としては、赤外線ヒータ等の種々の発熱方式のヒータを用いることができる。
【０１２５】
このような第１のヒートローラ９１は、初期状態においては、図１７に示すように、第１の溶着用エアシリンダ８２によって第１のヒートローラ９１の水平移動範囲内における一端部のホームポジションに位置されるようになっている。さらに、初期状態において、第１のヒートローラ９１は、第２の溶着用エアシリンダ８５によって第１のヒートローラ９１の上下方向の移動範囲内における上端部の退避位置に位置されるようになっている。
【０１２６】
また、第１のヒートローラ９１は、金属缶用天板１が、その口金用フィルム形成領域上の補正フィルム９を第１の溶着用エアシリンダ８２の真下に位置させるような所定の熱溶着位置まで搬送されると、第２の溶着用エアシリンダ８５によって退避位置から下方向に移動されて補正フィルム９の押圧位置に位置されるようになっている。このとき、金属缶用天板１が熱溶着位置に搬送されたことを、例えば、光センサ等の天板位置検出手段によって検出し、この検出結果に基づいて、前述した制御部が第２の溶着用エアシリンダ８５を駆動制御して前記第１のヒートローラ９１を押圧位置まで移動させるように構成してもよい。また、押圧位置において、第１のヒートローラ９１は、口金用フィルム形成領域上の補正フィルム９における熱溶着進行方向の上流端を押圧した状態になっていてもよく、あるいは、金属缶用天板１における当該補正フィルム９の上流端に上流側において近接する部位を押圧した状態となっていてもよい。
【０１２７】
さらに、第１のヒートローラ９１は、退避位置から押圧位置に移動された後に、この押圧位置において、フィルム接触部９６の外周面の温度がヒータ９５によって十分な温度（たとえば２００℃）となるように所定時間待機させられるようになっている。
【０１２８】
この所定時間の待機の後、第１のヒートローラ９１は、上下方向における位置を押圧位置に維持したまま、第１の溶着用エアシリンダ８２によってホームポジションから水平移動範囲内における他端部に向かって所定の移動速度で移動されるようになっている。これにより、加熱状態の第１のヒートローラ９１が、そのフィルム接触部９６を介して補正フィルム９の上から口金用フィルム形成領域側に押圧された状態で、口金用フィルム形成領域に沿って移動されることになる。
【０１２９】
以上のように構成された第１のヒートローラ９１によれば、口金用フィルム形成領域上の補正フィルム９を、この補正フィルム９に接触したフィルム接触部９６の熱によって溶融して口金用フィルム形成領域上に熱溶着することができる。
【０１３０】
そして、このようにして補正フィルム９の熱溶着を行った後に、第１のヒートローラ９１は、第２の溶着用エアシリンダ８５によって初期状態と同様の退避位置に戻されるとともに、第１の溶着用エアシリンダ３８によって初期状態と同様のホームポジションに戻されるようになっている。
【０１３１】
なお、前述した押圧位置における第１のヒートローラ９１の加圧力としては、手環８の場合と同様に、例えば、０．２〜０．３〔ＭＰａ〕を好適な加圧力として採用することができる。このような加圧力を採用すれば、補正フィルム９を十分な加圧力を以て適切に熱溶着することができるとともに、加圧力が大きすぎることによって金属缶用天板１に後述する天板受け部９７（図１５参照）による押圧痕が生じることを防止することができる。押圧痕は、金属缶の製品外観を損ねるため、可及的に低減することが望ましい。
【０１３２】
また、第１のヒートローラ９１を補正フィルム９の熱溶着のために口金用フィルム形成領域に沿って移動させる際の移動速度としては、手環８の場合と同様に、例えば、５０ｍｍの長さの補正フィルム９の熱溶着進行方向の上流端から下流端まで１〜２秒で移動するような十分に遅い速度を、好適な移動速度として採用することができる。
【０１３３】
次に、第１のヒートローラ９１と同様に形成されている第２のヒートローラ９２による熱溶着を説明する。第２のヒートローラ９２は、初期状態においては、図１７に示すように、第１の溶着用エアシリンダ８２によって第２のヒートローラ９２の水平移動範囲内における一端部のホームポジションに位置されるようになっている。さらに、初期状態において、第２のヒートローラ９２は、第３の溶着用エアシリンダ８６によって第２のヒートローラ９２の上下方向の移動範囲内における上端部の退避位置に位置されるようになっている。
【０１３４】
また、第２のヒートローラ９２は、第１のヒートローラ９１による補正フィルム９の熱溶着の際に、第１の溶着用エアシリンダ８２によって第１のヒートローラ９１と一体的に水平移動されるようになっている。ただし、このとき、第２のヒートローラ９２の上下方向における移動位置は、退避位置に維持されたままであり、第２のヒートローラ９２が熱溶着に関与することはない。
【０１３５】
さらに、第２のヒートローラ９２は、第１のヒートローラ９１が補正フィルム９の熱溶着の完了後に第１の溶着用エアシリンダ８２によってホームポジションに戻された後に、第３の溶着用エアシリンダ８６によって退避位置から下方向に移動されて補正フィルム９の押圧位置に位置されるようになっている。
【０１３６】
さらにまた、第２のヒートローラ９２は、退避位置から押圧位置に移動された後に、この押圧位置において、フィルム接触部９６の外周面の温度がヒータ９５によって十分な温度（たとえば２００℃）となるように所定時間待機させられるようになっている。
【０１３７】
この所定時間の待機の後、第２のヒートローラ９２は、上下方向における位置を押圧位置に維持したまま、第１の溶着用エアシリンダ８２によってホームポジションから第２のヒートローラ９２の水平移動範囲内における他端部に向かって所定の移動速度で移動されるようになっている。これにより、加熱状態の第２のヒートローラ９２が、そのフィルム接触部９６を介して補正フィルム９の上から口金用フィルム形成領域側に押圧された状態で、口金用フィルム形成領域に沿って移動されることになる。
【０１３８】
以上のように構成された第２のヒートローラ９２によれば、第１のヒートローラ９１によって口金用フィルム形成領域上に熱溶着された補正フィルム９に対して、更に補強的な熱溶着を行って、溶着浮き等の溶着不良部分を可及的に解消することができる。この結果、天板本体３に対する補正フィルム１５の密着力を更に高めることができる。
【０１３９】
その後、第２のヒートローラ９２は、第３の溶着用シリンダ８６によって退避位置に戻されるとともに、第１の溶着用エアシリンダ８２によって再びホームポジションに戻されるようになっている。
【０１４０】
なお、前述した押圧位置における第２のヒートローラ９２の加圧力は、第１のヒートローラ９１の加圧力と同様であってもよい。
【０１４１】
また、第２のヒートローラ９２を補正フィルム９の補強的な熱溶着のために口金用フィルム形成領域に沿って水平移動させる際の移動速度は、第１のヒートローラ９１を補正フィルム９の熱溶着のために水平移動させる際の移動速度と同様であってもよい。
【０１４２】
さらに、フィルム溶着装置８１は、天板搬送経路上における第１の溶着用エアシリンダ８２に対する鉛直下方位置に、図１５に示すような天板受け部９７を有している。なお、天板受け部９７は図１６において図示を省略している。
【０１４３】
図１５に示すように、天板受け部９７は、口金２を下から支承する位置に環状の口金支承プレート９８を有しており、この口金支承プレート９８を板状の連結プレート９９を介して天板周縁部支承フレーム５２に連結されている。口金支承プレート９８は、口金２の外周部分を取り囲むとともにかしめ結合部４を下から支承する大きさに形成されている。
【０１４４】
このような天板受け部９７は、第１のヒートローラ９１による補正フィルム９の熱溶着および第２のヒートローラ９２による補強的な熱溶着の際に、その口金支承プレート９８によって口金２の外周部分のかしめ結合部４を下方から支承するようになっている。これにより、補正フィルム９を安定的に熱溶着させることができるようになっている。
【０１４５】
＜加熱処理工程＞
図７に戻って、天板搬送経路上におけるフィルム溶着装置８１、３２に対する下流側の位置には、加熱処理手段としての加熱電気炉５６が配設されている。この加熱電気炉５６は、フィルム溶着装置８１、３２による補正フィルム９、１５の熱溶着後に搬送コンベア１８によって搬送経路上を搬送された金属缶用天板１に対して、ヒータ等を用いた加熱処理を行うようになっている。これにより、補正フィルム９、１５の天板本体３への密着力を高めることができる。加熱電気炉５６においては、図２０に示すように、搬送コンベア６０によって金属缶用天板１を立てた状態で搬送するように形成されている。この搬送コンベア６０は、天板搬送経路に沿って平行に設けられた一対のチエン６１の各ピンリンクプレート６２の間に支え棒６３をかけ渡して形成されており、各支え棒６３の二股の間に金属缶用天板１を挿入して搬送する。搬送コンベア６０に対する金属缶用天板１の挿入と取り出しは、搬送コンベア６０の両端部において各支え棒６３が広角に開いている個所において行われる。
【０１４６】
なお、この加熱電気炉５６の上流側にハロゲンヒータ（図示せず）を設けて予め加熱するようにしてもよい。
【０１４７】
＜冷却処理工程＞
また、図７に示すように、加熱電気炉５６以後の搬送経路は、金属缶用天板１をマグネットの磁力を介して吊り下げた状態（立てた状態）で下流側に搬送するハンガースタッカ５８によって構成されている。
【０１４８】
さらに、図７に示すように、天板搬送経路上における加熱電気炉５６に対する下流側の位置には、天板冷却手段としての冷却ブロワ５７が配設されている。この冷却ブロワ５７は、加熱電気炉５６による加熱処理後に天板搬送経路上を搬送された金属缶用天板１に対して、送風による冷却処理を行うようになっている。
【０１４９】
＜搬出準備工程＞
そして、冷却後の金属缶用天板１は、図示しない整理箱（例えば、内部に縦方向の仕切りを並設した整理箱）に搬送されて各仕切り間に立てた状態に並列収容されることになる。
【０１５０】
なお、このような一連のライン上の各処理工程を実施する各装置１９，２０，２１，２３，３２，５６，５７、７１、８１の動作は、前述した制御部によって電気的に制御されるようになっている。また、各処理工程においては、前記制御部の制御により、各処理工程に要する単位処理時間だけ金属缶用天板１の搬送が一時的に停止されることがあることは勿論である。
【０１５１】
以上のように構成された補正装置１７によれば、本発明に係る金属缶用天板の補正方法を実施することができる。
【０１５２】
本実施形態においては、天板本体３に固着される口金２と手環８とからなる付属構造物の内、少なくとも口金２の補正を実施したり、双方の補正を実施するとよい。
【０１５３】
すなわち、補正装置１７によれば、天板供給装置１９によって天板搬送経路上に供給されて、天板洗浄装置２０による洗浄工程および天板乾燥装置２１による乾燥工程を順次経た後にフィルム供給位置に搬送された金属缶用天板１に対して、一方の系列のフィルム供給装置７１、フィルム溶着装置８１を用いて口金２に対する補正フィルム９の補正を行い、他方の系列のフィルム供給装置２３、フィルム溶着装置３２を用いて手環８に対する補正フィルム１５の補正を行うことができる。
【０１５４】
具体的には、口金２部分においては、フィルム供給装置７１によって、口金用フィルム形成領域に対応する大きさに切断加工された円環状の補正フィルム９を口金２のかしめ結合部４の口金用フィルム形成領域上へ配置させることができる。
【０１５５】
次いで、補正フィルム９の供給後に熱溶着位置に搬送された金属缶用天板１に対して、フィルム溶着装置８１により、第１のヒートローラ９１を、フィルム形成面上の補正フィルム９の上から口金用フィルム形成領域側に押圧させながら口金用フィルム形成領域に沿って移動させることによって、口金用フィルム形成領域上に補正フィルム９を熱溶着することができる。
【０１５６】
さらに、第１のヒートローラ９１による補正フィルム９の熱溶着後に、第２のヒートローラ９２を、当該補正フィルム９の上から口金用フィルム形成領域側に押圧させながら口金用フィルム形成領域に沿って移動させることにより、補正フィルム９のかしめ結合部４への密着力を高めることができる。
【０１５７】
また、手環８部分においては、フィルム供給装置２３によって、手環用フィルム形成領域に対応する大きさに切断加工された補正フィルム１５を手環用フィルム形成領域上へ配置することができる。
【０１５８】
次いで、補正フィルム１５の供給後に熱溶着位置に搬送された金属缶用天板１に対して、フィルム溶着装置３２により、手環用フィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状を有する第１のヒートローラ４１を、フィルム形成面上の補正フィルム１５の上から手環用フィルム形成領域側に押圧させながら手環用フィルム形成領域に沿って移動させることによって、手環用フィルム形成領域上に補正フィルム１５を熱溶着することができる。
【０１５９】
さらに、第１のヒートローラ４１による補正フィルム１５の熱溶着後に、第２のヒートローラ４２を、当該補正フィルム１５の上から手環用フィルム形成領域側に押圧させながら手環用フィルム形成領域に沿って移動させることにより、補正フィルム１５の天板本体３への密着力を高めることができる。
【０１６０】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することができる。
【０１６１】
例えば、口金２のかしめ結合部４へ補正フィルム９を供給する場合に、図２１に示すフィルム供給装置１１１を用いてもよい。
【０１６２】
このフィルム供給装置１１１においては、図２１ｂに示すような予め補正フィルム９の内孔に相当する小孔１１２ａが所定ピッチで開設されている長尺なフィルム１１２を用いて補正フィルム９を供給するように形成されている。長尺なフィルム１１２は、原反ロール１１３側から繰り出されて巻取りロール１１４側に巻き取られるように配設されている。長尺なフィルム１１２は途中で金属用天板１の口金２の直上部の供給位置Ｐ５を経由して搬送される位置に配設されている。この位置Ｐ５に合わせて長尺なフィルム１１２を切断するための上切断刃１１５と下切断刃１１６とが長尺なフィルム１１２の上下に配設されている。上切断刃１１５はシリンダ１１７のプランジャ１１７ａの下端に固着されており、固定状態の下切断刃１１６に向けて進退自在に形成されている。上切断刃１１５には補正フィルム９の外径に相当する外径を備えた刃部１１５ａが形成されている。下切断刃１１６には上切断刃１１５の刃部１１５ａとで長尺なフィルム１１２を切断する円形孔状の刃部１１６ａが形成されている。
【０１６３】
このように形成されているフィルム供給装置１１１によれば、原反ロール１１３と巻取りロール１１４とを駆動させて長尺なフィルム１１２の小孔１１２ａを所定位置に停止している金属缶用天板１の口金２の直上部となる供給位置Ｐ５に位置決めさせて停止させる。続いて、駆動シリンダ１１７の退避位置に退避していたプランジャ１１７ａを下向きに突出させて、上切断刃１１５および下切断刃１１６の両刃部１１５ａ、１１６ａによって長尺なフィルム１１２より補正フィルム９の外径の大きさに相当する大孔１１２ｂをもって切断して、補正フィルム９を金属缶用天板１の口金２の上に載置させる。その後プランジャ１１７ａを退避位置に戻す。以上の動作を繰り返すことにより補正フィルム９を金属缶用天板１の口金２の上に供給する。
【０１６４】
なお、補正フィルム９の搬送方向は、手環８の損傷部１４を補正するための補正フィルム１５のフィルム供給装置２３との設置スペースを勘案して設定するとよい。
【０１６５】
また、口金２および手環８の損傷部１４の位置に供給された補正フィルム９、１５を熱溶着前に仮接着させて供給された補正フィルム９、１５が移動しないようにするためには、例えば、天板乾燥装置２１によって金属缶用天板１を予加熱して、補正フィルム９、１５を緩く溶着させて所定位置に仮接着させるとよい。また、図示しない加熱ローラによって供給位置Ｐ２、Ｐ４、Ｐ５にある補正フィルム９、１５の上面を加圧することによって仮接着させるとよい。
【０１６６】
また、補正フィルム９を溶着させる第１のヒートローラとしては、前記実施形態に代えて、図２２に示すように、形成することもできる。具体的には、第２の溶着用エアシリンダ８５のシリンダチューブ８７の下端部にシリンダチューブ８７の軸回りに回転する回転駆動部１０１を取付け、この回転駆動部１０１の先端部からシリンダチューブ８７の中心軸から環状のかしめ結合部４の半径に相当する長さを偏芯した偏芯位置に一対の第１のヒートローラ取り付け板８８ａを突設し、この第１のヒートローラ取り付け板８８ａの先端に第１のヒートローラ９１ａを回転自在に取付けている。この第１のヒートローラ９１ａのフィルム接触部９７ａの軸方向長さは、円環状に形成されている補正フィルム９の幅よりも大きく形成されている。この場合、回転駆動部１０１によって第１のヒートローラ９１ａをシリンダチューブ８７回りに回転させて補正フィルム９の熱溶着を行う。
【０１６７】
また、前記実施形態のヒートローラは内部に熱源としてのヒータを内蔵しているが、熱源をヒートローラと別体に形成してもよい。例えば、別体のドライヤからの熱風をヒートローラに吹きかけて加熱したり、別体の加熱ローラをヒートローラに押し当てて加熱するように形成するとよい。
【０１６８】
また、図２３から図２５に示すように、金属缶用天板１の口金２に対する補正を手環用座金７の損傷部１４に対する補正の前に実行するように形成してもよい。
【０１６９】
更に説明すると、図２３に全体構成を示すように、金属缶用天板１を作業位置Ｐ１１からＰ１５と順にタクト搬送させる搬送コンベア１８を設けている。金属缶用天板１の口金２に対して、作業位置Ｐ１１において第１乾燥、作業位置Ｐ１２において第２乾燥、作業位置Ｐ１３において補正フィルム９の載置、作業位置Ｐ１４において補正フィルム９の第１溶着、作業位置Ｐ１５において第２溶着を実行するように形成されている。
【０１７０】
次に、作業位置順に装置の構成と作用を説明する。
【０１７１】
作業位置Ｐ１１およびＰ１２においては、第１熱風送風機１２１および第２熱風送風機１２２を、送風口１２１ａ、１２２ａを口金２の口金用フィルム形成領域に対向させて配置している。金属缶用天板１が各作業位置Ｐ１１、Ｐ１２を順にタクト搬送される間に、各第１熱風送風機１２１および第２熱風送風機１２２から送風口１２１ａ、１２２ａを通して口金２の口金用フィルム形成領域に熱風を送風することにより、口金用フィルム形成領域に被覆されているラミネート層５を加熱して、乾燥するとともに次の作業位置Ｐ１３において載置される補正フィルム９をラミネート層５の上面に良好に仮接着できる温度まで予加熱するようにしている。
【０１７２】
作業位置Ｐ１３おいては、図２３および図２４に示すフィルム供給装置１３１により補正フィルム９を金属缶用天板１の口金２の口金用フィルム形成領域に被覆されているラミネート層５の上に載置するように形成されている。
【０１７３】
このフィルム供給装置１３１においては、図２４ｂに示すような長尺なフィルム１３２を用いて補正フィルム９を供給するように形成されている。長尺なフィルム１３２は、原反ロール１３３側から繰り出されて巻取りロール１３４側に巻き取られるように配設されている。長尺なフィルム１３２は途中で金属用天板１の口金２の直上部の作業位置Ｐ１３を経由して搬送される位置になるように、搬送コンベア１８に対して直交するように配設されている。
【０１７４】
長尺なフィルム１３２の搬送方向の作業位置Ｐ１３の前の作業位置Ｐ１３ａにおいては、長尺なフィルム１３２に環状の補正フィルム９の内孔を切断するための上切断刃１３５と下切断刃１３６とが長尺なフィルム１３２の上下に配設されている。上切断刃１３５はシリンダ１３７のプランジャ１３７ａの下端に固着されており、固定状態の下切断刃１３６に向けて進退自在に形成されている。上切断刃１３５には補正フィルム９の内径に相当する外径を備えた刃部１３５ａが形成されている。下切断刃１３６には上切断刃１３５の刃部１３５ａとで長尺なフィルム１３２を切断する円形孔状の刃部１３６ａが形成されている。下切断刃１３６の下方には長尺なフィルム１３２を打ち抜いた円形の切り屑を吸引除去する吸引ホース１３８が吸引口１３８ａを上向きにして設置されている。図示しないが上切断刃１３５の刃部１３５ａの下面には、前記切り屑を吸引ホース１３８の吸引口１３８ａに向けて吹き飛ばすエアーブロー孔が開設されている。
【０１７５】
次の作業位置Ｐ１３においては、長尺なフィルム１３２をから環状の補正フィルム９を切断するための上切断刃１３９と下切断刃１４０とが長尺なフィルム１３２の上下に配設されている。上切断刃１３９はシリンダ１４１のプランジャ１４１ａの下端に固着されており、固定状態の下切断刃１４０に向けて進退自在に形成されている。上切断刃１３９には補正フィルム９の外径に相当する外径を備えた刃部１３９ａが形成されている。下切断刃１４０には上切断刃１３９の刃部１３９ａとで長尺なフィルム１３２を切断する円形孔状の刃部１４０ａが形成されている。図示しないが上切断刃１３９の刃部１３９ａの下面には、切断した補正フィルム９を吸引して吸着するためのエアー吸引孔が開設されている。
【０１７６】
このように形成されているフィルム供給装置１３１によれば、原反ロール１３３と巻取りロール１３４と間に渡されて停止している長尺なフィルム１３２に対して、作業位置Ｐ１３ａにおいて、駆動シリンダ１３７の退避位置に退避していたプランジャ１３７ａを下向きに突出させて、上切断刃１３５および下切断刃１３６の両刃部１３５ａ、１３６ａによって長尺なフィルム１３２より補正フィルム９の内孔の大きさに相当する小孔１３２ａ部分を切断し、上切断刃１３５の刃部１３５ａの下面に開設されたエアーブロー孔よりエアーを吹出して切断された切り屑を下方に向けて吹き飛ばし、続いて当該切り屑を吸引ホース１３８の吸引口１３８ａより吸引して除去する。その後プランジャ１３７ａを退避位置に戻す。
【０１７７】
次に、原反ロール１３３と巻取りロール１３４とを駆動させて長尺なフィルム１３２を送り、小孔１３２ａを作業位置Ｐ１３に停止している金属缶用天板１の口金２の直上部に位置決めさせて停止させる。続いて、駆動シリンダ１４１の退避位置に退避していたプランジャ１４１ａを下向きに突出させて、上切断刃１３９および下切断刃１４０の両刃部１３９ａ、１４０ａによって長尺なフィルム１３２より補正フィルム９の外径の大きさに相当する大孔１３２ｂをもって切断すると同時にエアーの吸引状態にある上切断刃１３９の刃部１３９ａの下面に開設されているエアー吸引孔による吸着力によって切断された補正フィルム９を当該刃部１３９ａの下面に吸着させる。続いてプランジャ１４１ａが下降することにより刃部１３９ａの下面に吸着されている補正フィルム９を金属缶用天板１の口金２の上に位置精度よく当接させ、その後刃部１３９ａの下面に開設されているエアー吸引孔に対するエアー吸引を停止して補正フィルム９を金属缶用天板１の口金２の上に位置精度よく載置させる。その後、プランジャ１４１ａを退避位置に戻す。作業位置Ｐ１３に搬送されている金属缶用天板１の口金２に被覆されているラミネート層５は作業位置Ｐ１２において予加熱されているので、補正フィルム９がラミネート層５の上面に載置されると、両者は良好に仮接着される。
【０１７８】
以上の動作を繰り返すことにより作業位置Ｐ１３において補正フィルム９を金属缶用天板１の口金２の上に順に供給する。
【０１７９】
次の作業位置Ｐ１４およびＰ１５においては、図２３および図２５（ａ）に示すように、第１熱溶着機１５１ａおよび第２熱溶着機１５１ｂを、下端に取付けた加熱パッド１５２ａ、１５２ｂを金属缶用天板１の口金２の口金用フィルム形成領域に対向させて配置している。各加熱パッド１５２ａ、１５２ｂは駆動シリンダ１５３ａ、１５３ｂのプランジャ１５４ａ、１５４ｂの下端部に固着されており、金属缶用天板１に対して上下方向に進退自在に形成されている。各加熱パッド１５２ａ、１５２ｂは、それぞれ口金２に直に接触する耐熱シリコーンゴム等の耐熱性の弾性材料（エラストマー）からなる加熱体１５５ａ、１５５ｂと、その内部に設置されている加熱用の加熱ヒータ１５６ａ、１５６ｂとにより形成されている。これらの加熱ヒータ１５６ａ、１５６ｂには、その発熱温度を調整するための図示しないパイロメータが接続されている。各加熱体１５５ａ、１５５ｂの口金２に直に接触する接触面１５５ａｂ、１５５ｂｂは、それぞれ図２５（ｂ）に示すように、かしめ結合されている天板本体３の円形開口３ａの内周部と口金２のフランジ部２ａの外周部とによるかしめ結合部４の上面形状に丁度合致する断面形状に形成されている。
【０１８０】
また、各作業位置Ｐ１４、Ｐ１５においてはそれぞれ図１５に示す口金支承プレート９８と同様の口金支承プレート１５７ａ、１５７ｂが設置されている。各口金支承プレート１５７ａ、１５７ｂの下部近傍位置には、プレートヒータ１５８ａ、１５８ｂが水平に配設されている。このプレートヒータ１５８ａ、１５８ｂは、補正フィルム９の熱溶着の際に、所定の発熱温度によって、かしめ結合部４を下方から加熱するようになっている。これにより、補正フィルム９の熱溶着を補助することができる。なお、プレートヒータ１５８ａ、１５８ｂの発熱温度としては、例えば、８０℃を好適な温度として採用することができる。
【０１８１】
このように形成されている第１熱溶着機１５１ａによれば、作業位置Ｐ１４において、口金支承プレート１５７ａ上に載置された金属缶用天板１は、下方のプレートヒータ１５８ａによってかしめ結合部４を下方から加熱されて口金２部分におけるラミネート層５と補正フィルム９との仮接着状態が良好に維持されている。第１熱溶着機１５１のプランジャ１５４ａが駆動シリンダ１５３ａによって下方に突出され、加熱パッド１５２ａの加熱ヒータ１５６ａによって約２００℃に加熱されている加熱体１５５ａの接触面１５５ａｂを補正フィルム９に押圧する。当該接触面１５５ａｂの断面形状はかしめ結合部４の上面形状に丁度合致するので、補正フィルム９とラミネート層５とが全周を均一に押圧されて。全周に亘って良好に熱溶着される。この熱溶着が終了するとプランジャ１５４ａが上昇させられて加熱パッド１５２ａが退位させられる。
【０１８２】
その後、金属缶用天板１は次の作業位置Ｐ１５に搬送され、第２熱溶着機１５１ｂを用いて、第１熱溶着機１５１ａによる熱溶着作業と同様の熱溶着作業が施される。この第２熱溶着機１５１ｂによる熱溶着によって、口金２部分における補正フィルム９とラミネート層５との熱溶着が更に確実なものとされる。
【０１８３】
その後、金属缶用天板１は手環用座金７の部分における補正フィルム１５の熱溶着工程に搬送される。
【０１８４】
補正フィルム９の熱溶着については、加熱パッド１５２ａ、１５２ｂによるものと前記ヒートローラ９１、９１ａ、９２によるものとを前後に連続して施して、補正フィルム９の熱溶着を更に強固に行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【０１８５】
以上述べたように、本発明によれば、液体塗料に比べて厚みおよび厚みの安定性・均一性に優れた補正フィルム９、１５を、第１のヒートローラ９１、９１ａや、手環用フィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状を有する第１のヒートローラ４１によって十分な密着性を持たせてフィルム形成領域上に熱溶着することができるため、かしめ結合部４や損傷部１４を適切に補正することができ、ひいては、缶内面における損傷部１４に対応する部位の腐食を確実に抑制することができる。ここで、従来の塗装ガンを用いた補正方法においては、塗装膜の膜厚が２０μｍ程度に止まっていたのに対して、本発明によれば、８０μｍ程度の十分な厚みの補正フィルム９、１５を用いてかしめ結合部４や損傷部１４を適切に補正することができる。
【０１８６】
また、本発明によれば、補正フィルム９、１５の熱溶着の際に、焼き付け塗装の場合のように溶剤等の有害物質が飛散することはないため、環境汚染を防止することができる。
【符号の説明】
【０１８７】
１ 金属缶用天板
２ 口金
３ 天板本体
３ａ 円形開口
４ かしめ結合部
５ ラミネート層
６ 鋼板
７ 手環用座金
８ 手環
９、１５ 補正フィルム
１４ 損傷部
１７ 補正装置
１８ 搬送コンベア
１９ 天板供給装置
２０ 天板洗浄装置
２１ 天板乾燥装置
２３、７１、１１１、１３１ フィルム供給装置
３２、８１ フィルム溶着装置
３３、３５、３６、８２、８５、８６ 溶着用エアシリンダ
４１、４２、９１、９１ａ、９２ ヒートローラ
５６ 加熱電気炉
５７ 冷却ブロワ
１１２、１３２ 長尺なフィルム
１１２ａ、１３２ａ 小孔
１１２ｂ、１３２ｂ 大孔
１１３、１３３ 原反ロール
１１４、１３４ 巻取りロール
１１５、１３５、１３９ 上切断刃
１１５ａ、１１６ａ、１３５ａ、１３６ａ、１３９ａ、１４０ａ 刃部
１１６、１３６、１４０ 下切断刃
１１７、１３７、１４１、１５３ａ、１５３ｂ 駆動シリンダ
１１７ａ、１３７ａ、１４１ａ、１５４ａ、１５４ｂ プランジャ
１３８ 吸引ホース
１３８ａ 吸引口
１５１ａ 第１熱溶着機
１５１ｂ 第２熱溶着機
１５２ａ、１５２ｂ 加熱パッド
１５５ａ、１５５ｂ 加熱体
１５５ａｂ、１５５ｂｂ 接触面
１５６ａ、１５６ｂ 加熱ヒータ
１５７ａ、１５７ｂ 口金支承プレート
１５８ａ、１５８ｂ プレートヒータ
【技術分野】
【０００１】
本発明は、金属缶用天板およびその補正方法ならびに補正装置に係り、特に、ラミネート層が形成されたラミネート金属板からなる天板本体に付属構造物を固着する際に生じるラミネート層の損傷箇所を補正するのに好適な金属缶用天板およびその補正方法ならびに補正装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来から、石油、塗料、化学薬品または食料等の種々の液体の内容物を収容する手段として、天板、缶胴および地板（底板）によって構成される１８リットル缶等の金属缶が用いられていた。
【０００３】
この種の金属缶としては、缶の腐食（錆の発生等）ひいては缶内の内容物の品質の劣化を防止する観点から、缶内面に樹脂材料によるラミネート層を形成したものが普及していた。
【０００４】
また、従来から、１８リットル缶用の天板としては、内容物の出し入れを行うための円環状の口金を天板本体の１隅部にかしめ結合され、更に運搬の際の利便性を考慮して、缶を把持するための手環が取り付けられた天板が用いられていた。
【０００５】
更に説明すると、一方の円環状の口金は、表裏両面にラミネート層を形成したラミネート板を円環状にプレス成型され、天板の１隅部に形成された円形の開口部の内周部分に口金の外周部分をかしめ結合して天板に取付られている。
【０００６】
他方の手環は、天板本体に取り付ける際には、天板本体の缶外面側の表面と手環取り付け用の座金との間に手環の基端部を遊びを持たせた状態で挟み込むように配置した上で、当該座金を天板本体にスポット溶接して取付けていた。このようにして、手環が天板本体と座金との間にその基端部を介して起倒自在に取り付けられるようになっていた。
【０００７】
従来から、一方の口金については、天板に口金をかしめ結合する際に、天板および口金の缶内面側の表面を形成するラミネート層に破れや剥離等の損傷が生じてしまうことが問題となっていた。また、かしめ結合部分からの内容物の漏洩を確実に防止する必要性があった。
【０００８】
また、他方の手環については、手環の取り付けの際に、スポット溶接の熱によって、天板の缶内面側の表面を形成するラミネート層に破れや剥離等の損傷が生じてしまうことが問題となっていた。
【０００９】
このような問題を解決するため、これまでにも、例えば、ラミネート層の損傷箇所に、ニス等の液体塗料を用いた焼き付け塗装を行うことによって損傷箇所を補正する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【００１０】
【特許文献１】特開平０９−９９９４１号公報（特に、段落０００３参照）
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１１】
しかしながら、従来の焼き付け塗装による補正方法においては、液体塗装のため、塗装膜の膜厚が安定しないばかりでなく十分な膜厚を得ることができず、ひいては、ラミネート層の損傷箇所を適切に補正することができず、缶内の内容物によって缶内面における損傷箇所に対応する部位が腐食してしまったり、密封性が劣化するといった問題が生じていた。
【００１２】
また、かかる従来の補正方法においては、液体塗料の焼き付け時に大気中に溶剤などが飛散することによって、環境汚染をもたらすといった問題も生じていた。
【００１３】
そこで、本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、環境汚染を防止しつつ、天板本体に対して付属構造物を固着する際に生じたラミネート層の損傷箇所を適切に補正することができる金属缶用天板およびその補正方法ならびに補正装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【００１４】
前述した目的を達成するため、本発明の第１の態様に係る金属缶用天板は、少なくとも缶内面がラミネート層によって形成されたラミネート金属板からなる天板本体と、この天板本体に形成されている円形開口の内周部に外周部をかしめ結合された内面側がラミネート層によって形成された円環状の口金と、この天板本体の缶外面にスポット溶接された手環取り付け用の座金と、この座金と前記天板本体との間に基端部を介して起倒自在に取り付けられた手環とからなる付属構成物とを備えた金属缶用天板において、前記付属構成物のうち、少なくとも前記天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域に亘って円環状の補正フィルムが形成され、前記補正フィルムは、フィルム溶着手段としての加熱ローラおよび／または加熱パッドにより前記口金用フィルム形成領域上に熱溶着されてなることを特徴とする。
【００１５】
また、本発明の第２の態様金属缶用天板は、前記天板本体の缶内面上に、前記スポット溶接による前記ラミネート層の損傷箇所を補正するための補正フィルムが、前記損傷箇所を含む所定範囲の手環用フィルム形成領域に亘って形成され、前記補正フィルムは、前記手環用フィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状を有する加熱ローラにより、前記手環用フィルム形成領域上に熱溶着されてなることを特徴とする。
【００１６】
また、本発明の第３の態様の金属缶用天板は、前記天板本体における損傷箇所を含む所定範囲の部位は、前記座金との間で前記スポット溶接における複数の溶接点を形成して前記座金をスポット溶接すべきスポット溶接部位とされ、このスポット溶接部位は、その缶外面が、前記厚み方向における缶外面側に突出されるとともに、缶内面が、前記缶外面側に凹入された形状に形成され、前記加熱ローラは、前記補正フィルムの熱溶着の際に、前記加熱ローラとして、その外周面の一部が前記スポット溶接部位の前記缶内面に対応するように突出されていることを特徴とする。
【００１７】
ここで、前記補正フィルムは、前記ラミネート層と同一の樹脂材料からなるものであってもよい。
【００１８】
また、本発明の第１の態様に係る金属缶用天板の補正方法は、少なくとも缶内面がラミネート層によって形成されたラミネート金属板からなる天板本体と、この天板本体に形成されている円形開口の内周部に外周部をかしめ結合された内面側がラミネート層によって形成された円環状の口金と、この天板本体の缶外面にスポット溶接された手環取り付け用の座金と、この座金と前記天板本体との間に基端部を介して起倒自在に取り付けられた手環とからなる付属構成物とを備えた金属缶用天板に対して、前記付属構成物の固着部分の補正を行うための金属缶用天板の補正方法において、前記付属構成物のうち、少なくとも前記天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域上に、この口金用フィルム形成領域に対応する大きさの補正フィルムを配置した状態で、フィルム溶着手段としての加熱ローラおよび／または加熱パッドを前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧させることにより、前記口金用フィルム形成領域上に前記補正フィルムを熱溶着することを特徴とする。
【００１９】
また、本発明の第２の態様に係る金属缶用天板の補正方法は、前記天板本体の缶内面における前記損傷箇所を含む所定範囲の手環用フィルム形成領域上に、この手環用フィルム形成領域に対応する大きさの補正フィルムを配置した状態で、前記手環用フィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状を有する加熱ローラを、前記補正フィルムの上から前記手環用フィルム形成領域側に押圧させながら前記手環用フィルム形成領域に沿って相対移動させることにより、前記手環用フィルム形成領域上に前記補正フィルムを熱溶着することを特徴とする。
【００２０】
また、本発明の第３の態様に係る金属缶用天板の補正方法は、前記天板本体における所定範囲の部位は、前記座金との間で前記スポット溶接における複数の溶接点を形成して前記座金をスポット溶接すべきスポット溶接部位とされ、このスポット溶接部位は、その缶外面が、前記厚み方向における缶外面側に突出されるとともに、その缶内面が、缶外面側に凹入された形状に形成され、前記補正フィルムの熱溶着の際に、前記加熱ローラとして、その外周面の一部が前記スポット溶接部位の前記缶内面に対応するように突出された加熱ローラを用いることを特徴とする。
【００２１】
また、本発明の第４の態様に係る金属缶用天板の補正方法は、前記加熱ローラによる前記補正フィルムの溶着後に、第２の加熱ローラを、前記補正フィルムの上から前記フィルム形成領域側に押圧させながら前記フィルム形成領域に沿って相対移動させることにより、前記補正フィルムの前記天板本体への密着力を高めることを特徴とする。
【００２２】
また、本発明の第１の態様に係る金属缶用天板の補正装置は、少なくとも缶内面がラミネート層によって形成されたラミネート金属板からなる天板本体と、この天板本体に形成されている円形開口の内周部に外周部をかしめ結合された内面側がラミネート層によって形成された円環状の口金と、この天板本体の缶外面にスポット溶接された手環取り付け用の座金と、この座金と前記天板本体との間に基端部を介して起倒自在に取り付けられた手環とからなる付属構成物とを備えた金属缶用天板に対して、前記付属構成物の固着部分の補正を行う金属缶用天板の補正装置において、前記金属缶用天板を所定の搬送経路にしたがって搬送する天板搬送手段と、前記搬送経路上に複数の前記金属缶用天板を一枚ずつ順次供給可能とされた天板供給手段と、前記搬送経路上における前記天板供給手段に対する下流側の位置に配設され、前記金属缶用天板に対して加熱を行う天板乾燥手段と、前記搬送経路上における前記天板乾燥手段に対する下流側の位置に配設され、前記天板本体の前記缶内面における前記付属構成物の固着部分を含む所定範囲のフィルム形成領域に対応する補正フィルムを、前記天板乾燥手段による乾燥後の前記金属缶用天板の前記フィルム形成領域上に供給するフィルム供給手段と、前記搬送経路上における前記フィルム供給手段に対する下流側の位置に配設され、前記フィルム供給手段による前記補正フィルムの供給後の前記金属缶用天板に対して、当該補正フィルムの前記フィルム形成領域上への熱溶着を行うフィルム溶着手段と、前記搬送経路上における前記フィルム溶着手段に対する下流側の位置に配設され、前記フィルム溶着手段による前記補正フィルムの熱溶着後の前記金属缶用天板に対して、前記補正フィルムの前記天板本体への密着力を高めるための加熱処理を行う加熱処理手段と、前記搬送経路上における前記加熱処理手段に対する下流側の位置に配設され、前記加熱処理手段による前記加熱処理後の前記金属缶用天板を冷却する天板冷却手段とを備え、前記フィルム供給手段は、前記付属構成物のうち、少なくとも前記天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域にこの口金用フィルム形成領域に対応する円環状の補正フィルムを供給するように形成され、前記フィルム溶着手段は、前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧することにより、前記口金用フィルム形成領域上に前記補正フィルムを熱溶着する加熱ローラおよび／または加熱パッドによって形成されていることを特徴とする。
【００２３】
また、本発明の第２の態様に係る金属缶用天板の補正装置は、前記フィルム溶着手段としての加熱ローラが、前記付属構成物のうち、少なくとも前記天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状を有する第１の加熱ローラと、この第１の加熱ローラを前記口金用フィルム形成領域上に供給された前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧させる第１の押圧手段と、この第１の押圧手段による押圧状態のまま前記第１の加熱ローラを前記口金用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第１の移動手段と、第２の加熱ローラと、この第２の加熱ローラを、前記第１の加熱ローラによる前記補正フィルムの熱溶着後に、当該熱溶着された前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧させる第２の押圧手段と、この第２の押圧手段による押圧状態のまま前記第２の加熱ローラを前記口金用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第２の移動手段とを備えたことを特徴とする。
【００２４】
また、本発明の第３の態様に係る金属缶用天板の補正装置は、前記フィルム供給手段は、前記天板本体の缶内面上に、前記スポット溶接による前記ラミネート層の損傷箇所を含む所定範囲の手環用フィルム形成領域上に、この手環用フィルム形成領域に対応する大きさの補正フィルムを供給するように形成され、前記フィルム溶着手段は、前記手環用フィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状であって、外周面の一部が、前記手環用フィルム形成領域のうちの前記スポット溶接における複数の溶接点に対応する所定範囲の領域の面形状に対応するように突出された外周面形状を有する第１の加熱ローラと、この第１の加熱ローラを前記手環用フィルム形成領域上に供給された前記補正フィルムの上から前記手環用フィルム形成領域側に押圧させる第１の押圧手段と、この第１の押圧手段による押圧状態のまま前記第１の加熱ローラを前記手環用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第１の移動手段と、第２の加熱ローラと、この第２の加熱ローラを、前記第１の加熱ローラによる前記補正フィルムの熱溶着後に、当該熱溶着された前記補正フィルムの上から前記手環用フィルム形成領域側に押圧させる第２の押圧手段と、この第２の押圧手段による押圧状態のまま前記第２の加熱ローラを前記手環用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第２の移動手段とを備えたことを特徴とする。
【００２５】
また、本発明の第４の態様に係る金属缶用天板の補正装置は、少なくとも缶内面がラミネート層によって形成されたラミネート金属板からなる天板本体と、この天板本体に形成されている円形開口の内周部に外周部をかしめ結合された内面側がラミネート層によって形成された円環状の口金と、この天板本体の缶外面にスポット溶接された手環取り付け用の座金と、この座金と前記天板本体との間に基端部を介して起倒自在に取り付けられた手環とからなる付属構成物とを備えた金属缶用天板に対して、前記付属構成物の固着部分の補正を行う金属缶用天板の補正装置において、前記金属缶用天板を所定の搬送経路にしたがって搬送する天板搬送手段と、前記搬送経路上に複数の前記金属缶用天板を一枚ずつ順次供給可能とされた天板供給手段と、前記搬送経路上における前記天板供給手段に対する下流側の位置に配設され、前記天板供給手段によって前記搬送経路上に供給された前記金属缶用天板に対して、洗浄液を用いた拭き取り洗浄を行う天板洗浄手段と、前記搬送経路上における前記天板洗浄手段に対する下流側の位置に配設され、前記天板洗浄手段による洗浄後の前記金属缶用天板に対して熱風による乾燥を行う天板乾燥手段と、前記搬送経路上における前記天板乾燥手段に対する下流側の位置に配設され、前記天板本体の前記缶内面における前記付属構成物の固着部分を含む所定範囲のフィルム形成領域に対応する補正フィルムを、前記天板乾燥手段による乾燥後の前記金属缶用天板の前記フィルム形成領域上に供給するフィルム供給手段と、前記搬送経路上における前記フィルム供給手段に対する下流側の位置に配設され、前記フィルム供給手段による前記補正フィルムの供給後の前記金属缶用天板に対して、当該補正フィルムの前記フィルム形成領域上への熱溶着を行うフィルム溶着手段と、前記搬送経路上における前記フィルム溶着手段に対する下流側の位置に配設され、前記フィルム溶着手段による前記補正フィルムの熱溶着後の前記金属缶用天板に対して、前記補正フィルムの前記天板本体への密着力を高めるための加熱処理を行う加熱処理手段と、前記搬送経路上における前記加熱処理手段に対する下流側の位置に配設され、前記加熱処理手段による前記加熱処理後の前記金属缶用天板を冷却する天板冷却手段とを備え、前記フィルム供給手段は、前記付属構成物のうち、少なくとも前記天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域にこの口金用フィルム形成領域に対応する円環状の補正フィルムを供給するように形成され、前記フィルム溶着手段は、前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧することにより、前記口金用フィルム形成領域上に前記補正フィルムを熱溶着する加熱ローラおよび／または加熱パッドによって形成されていることを特徴とする。
【００２６】
また、本発明の第５の態様に係る金属缶用天板の補正装置は、前記フィルム溶着手段としての加熱ローラが、前記付属構成物のうち、少なくとも前記天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状を有する第１の加熱ローラと、この第１の加熱ローラを前記口金用フィルム形成領域上に供給された前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧させる第１の押圧手段と、この第１の押圧手段による押圧状態のまま前記第１の加熱ローラを前記口金用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第１の移動手段と、第２の加熱ローラと、この第２の加熱ローラを、前記第１の加熱ローラによる前記補正フィルムの熱溶着後に、当該熱溶着された前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧させる第２の押圧手段と、この第２の押圧手段による押圧状態のまま前記第２の加熱ローラを前記口金用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第２の移動手段とを備えたことを特徴とする。
【００２７】
また、本発明の第６の態様に係る金属缶用天板の補正装置は、前記フィルム溶着手段としての加熱パッドが、前記天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域の面形状に対応する加圧面形状を有する加熱体と、この加熱体を前記口金用フィルム形成領域上に供給された前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧させる押圧手段とを備えたことを特徴とする。
【００２８】
また、本発明の第７の態様に係る金属缶用天板の補正装置は、前記フィルム供給手段は、前記天板本体の缶内面上に、前記スポット溶接による前記ラミネート層の損傷箇所を含む所定範囲の手環用フィルム形成領域上に、この手環用フィルム形成領域に対応する大きさの補正フィルムを供給するように形成され、前記フィルム溶着手段は、前記手環用フィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状であって、外周面の一部が、前記手環用フィルム形成領域のうちの前記スポット溶接における複数の溶接点に対応する所定範囲の領域の面形状に対応するように突出された外周面形状を有する第１の加熱ローラと、この第１の加熱ローラを前記手環用フィルム形成領域上に供給された前記補正フィルムの上から前記手環用フィルム形成領域側に押圧させる第１の押圧手段と、この第１の押圧手段による押圧状態のまま前記第１の加熱ローラを前記手環用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第１の移動手段と、第２の加熱ローラと、この第２の加熱ローラを、前記第１の加熱ローラによる前記補正フィルムの熱溶着後に、当該熱溶着された前記補正フィルムの上から前記手環用フィルム形成領域側に押圧させる第２の押圧手段と、この第２の押圧手段による押圧状態のまま前記第２の加熱ローラを前記手環用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第２の移動手段とを備えたことを特徴とする。
【００２９】
ここで、本発明によれば、液体塗料に比べて厚みおよび厚みの安定性・均一性に優れた補正フィルムを、金属缶用天板の天板本体に対する付属構造物の固着部分を確実に補正することができる。
【００３０】
具体的には、天板本体に固着される口金と手環とからなる付属構造物の内、少なくとも口金部分の口金用フィルム形成領域の補正を実施したり、手環部分の手環用フィルム形成領域を含めた双方の補正を実施することができる。
【００３１】
更に、口金用および手環用の双方のフィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状を有する加熱ローラや加熱パッドによって十分な密着性を持たせて双方のフィルム形成領域上に熱溶着することができるため、ラミネート層の損傷箇所を適切に補正することができ、ひいては、缶内面における損傷箇所に対応する部位の腐食を確実に抑制することができる。また、本発明によれば、スポット溶接や口金加工の際の熱によって天板本体にねじれが生じた場合においても、ラミネート層の損傷箇所を適切に補正することができる。さらに、本発明によれば、補正フィルムの熱溶着の際に、焼き付け塗装の場合のように溶剤等の有害物質が飛散することはないため、環境汚染を防止することができる。さらにまた、補正フィルムをラミネート層と同一の樹脂材料からなるものとすれば、損傷箇所を適切に補正することができるとともに、コストを削減することができる。また、加熱ローラによる補正フィルムの熱溶着を行った後に、さらに、第２の加熱ローラによって補正フィルムの天板本体への密着力を高めるようにすれば、ラミネート層の損傷箇所をより適切に補正することができる。また、加熱パッドによる補正フィルムの熱溶着を行った後に、さらに、第２の加熱パッドによって補正フィルムの天板本体への密着力を高めるようにすれば、ラミネート層の損傷箇所をより適切に補正することができる。さらにまた、このようなラミネート層の損傷箇所の補正を一連のライン上において自動的に行うようにすれば、当該補正を効率的に行うことができ、ひいては、金属缶用天板の量産性を向上させることができる。
【００３２】
また、本発明方法を実施する金属缶用天板の補正装置としては、少なくとも、前記フィルム供給手段と前記フィルム溶着手段とを備えていればよい。
【発明の効果】
【００３３】
本発明によれば、環境汚染を防止しつつ、天板本体に対して付属構造物を固着する際に生じたラミネート層の損傷箇所を適切に補正することができることができる。
【図面の簡単な説明】
【００３４】
【図１】本発明に係る金属缶用天板の実施形態を示す平面図
【図２】図１の下面図
【図３】かしめ結合の構成に基づく図２のＡ−Ａ断面図
【図４】図３のかしめ結合に基づく分解斜視図
【図５】図２のＢ−Ｂ断面図
【図６】図２のＣ−Ｃ断面図
【図７】本発明に係る金属缶用天板の補正装置の実施形態において、全体構成を示す概略平面図
【図８】本発明に係る金属缶用天板の補正装置の実施形態において、手環部の補正フィルム供給装置を示す概略構成図
【図９】本発明に係る金属缶用天板の補正装置の実施形態において、口金部の補正フィルム供給装置を示す概略構成図
【図１０】本発明に係る金属缶用天板の補正装置の実施形態において、手環部のフィルム溶着装置を示す概略構成図
【図１１】本発明に係る金属缶用天板の補正装置の実施形態において、手環部の第１のヒートローラを示す正面図
【図１２】図１１の側面図
【図１３】本発明に係る金属缶用天板の補正装置の実施形態において、手環部の第２のヒートローラを示す正面図
【図１４】図１３の側面図
【図１５】本発明に係る金属缶用天板の補正装置の実施形態において、天板受け部を示す平面図
【図１６】口金用の天板受け部を除く図１５の側面図および部分断面図
【図１７】本発明に係る金属缶用天板の補正装置の実施形態において、口金部のフィルム溶着装置を示す概略構成図
【図１８】本発明に係る金属缶用天板の補正装置の実施形態において、口金部の第１のヒートローラを示す正面図
【図１９】図１８の側面図
【図２０】加熱電気炉内の搬送コンベアを示す概略側面図並びに要部拡大図
【図２１】（ａ）はフィルム供給装置の他の実施例を示す側面図、（ｂ）は長尺なフィルムを示す平面図
【図２２】本発明に係る金属缶用天板の補正装置の実施形態において、口金部のフィルム溶着装置の他の例を示す概略構成図
【図２３】本発明に係る金属缶用天板の補正装置の実施形態において、口金部のフィルム溶着装置の更に他の例を示す概略斜視図
【図２４】図２３における補正フィルムを供給するフィルム供給装置部分を示し、（ａ）は側面図、（ｂ）は長尺なフィルムを示す平面図
【図２５】図２３における補正フィルムを熱溶着する熱溶着機部分を示し、（ａ）は側面図、（ｂ）は加熱パッドの接触面近傍の拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【００３５】
以下、本発明に係る金属缶用天板およびその補正方法ならびに補正装置の実施形態について、図１乃至図２５を参照して説明する。
【００３６】
本実施形態は天板本体に固着される付属構造物である口金および手環の双方を補正するように形成されている。
【００３７】
＜金属缶用天板について＞
まず、金属缶用天板について説明する。
【００３８】
図１は、本実施形態における金属缶用天板１を示す平面図であり、図２は、図１の下面図である。また、図３は、図２のＡ−Ａ断面図であり、図４は、かしめ結合部分のかしめ前の分解斜視図である。また、図５は、図２のＢ−Ｂ断面図であり、図６は、図２のＣ−Ｃ断面図である。
【００３９】
図１および図２に示すように、本実施形態における金属缶用天板１は、口金２および手環８を備えた平面略正方形状の天板本体３を有している。
【００４０】
天板本体３は、ラミネート金属板としてのラミネート鋼板からなり、図３乃至図６に示すように、その厚み方向における一方（図３乃至図６における上方）（以下、缶内面側と称する）の表面が、鋼板６にラミネートされた樹脂材料のラミネート層５によって構成されている。このラミネート層５は、金属缶用天板１が金属缶（図示せず）を構成した状態において、鋼板６が缶内の内容物に直に触れることを防止するようになっている。
【００４１】
また、天板本体３は、その厚み方向における他方（図３乃至図６における下方）（以下、缶外面側と称する）の表面も、後述する手缶取り付け用の座金が取り付けられた一部の範囲を除いて、鋼板６にラミネートされた樹脂材料のラミネート層によって構成されている。
【００４２】
なお、鋼板６としては、例えば、ティンフリースチールを好適なものとして用いることができる。また、ラミネート層５を構成する樹脂材料としては、例えば、ＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）樹脂フィルムを好適なものとして用いることができる。
【００４３】
また、本発明においては、ラミネート層５として、その代替物として鋼板６にエポキシ−フェノール樹脂やエポキシ−ユリア樹脂等の樹脂塗料を塗装して形成したものを含むものである。
【００４４】
一方の口金２は、図４に示すように、鋼板６と同一のラミネート層５を形成したラミネート鋼板を予めプレス成型することにより円環状に形成されている。このラミネート層５は口金２の少なくとも缶内面側に形成されていればよい。本実施形態においては、表裏両面にラミネート層が形成されている。この口金２は、図４に示すように、天板本体３の１隅部に形成されている円形開口３ａの内周部に、口金２のフランジ部２ａの外周部とをかしめ結合して天板本体３にかしめ結合部４をもって固着されている。かしめ結合としては図３の態様から選択するとよい。図４は図３の例の口金２を示している。
【００４５】
このような口金２と天板本体３とのかしめ結合部分４には、かしめによって缶内面側のラミネート層５が損傷する可能性があり、これに対して何等対策を採らない場合には、金属缶用天板１が金属缶を構成した際に、缶内の内容物による鋼板６の腐食をもたらすことになる。
【００４６】
そこで、本実施形態においては、このようなかしめ結合部４を補正するための手段が講じられている。
【００４７】
すなわち、図２乃至図４に示すように、口金２および天板本体３の缶内面側の表面であって、口金２と天板本体３とのかしめ結合部４の内面側境界部分を含む所定範囲に亘る円環状の口金用フィルム形成領域上に、補正用の樹脂材料からなる円環状の補正フィルム９が形成されている。
【００４８】
また、本実施形態において、補正フィルム９は、加熱ローラによって、口金用フィルム形成領域上に熱溶着されている。この加熱ローラの詳細は後述する。
【００４９】
他方の手環８については、図１および図５に示すように、天板本体３の缶外面側の表面には、断面形状が略Ω字状を呈する手環取り付け用の座金（以下、手環用座金と称する）７が、天板本体３との間に手環配置用の間隙部１０（図５参照）を設けた状態でスポット溶接されている。そして、この手環用座金７と天板本体３との間に挟まれた間隙部１０には、手環８の基端部８ａが遊びを持った状態で配置されている。
【００５０】
このようにして、手環８が、その基端部８ａを介して手環用座金７と天板本体３との間に起倒自在に取り付けられている。
【００５１】
より具体的には、図２、図５、図６に示すように、天板本体３は、その中央の所定範囲の部位が、手環用座金７との間でスポット溶接における複数の溶接点を形成して手環用座金７をスポット溶接すべきスポット溶接部位１１とされている。
【００５２】
また、図２、図５、図６に示すように、本実施形態においては、スポット溶接部位１１が２つ形成されている。これら２つのスポット溶接部位１１，１１は、ともに天板本体３の一方の対角方向（図２における左斜め約４５°方向）に長尺とされているとともに、当該対角方向に直交する天板本体３の他方の対角方向（図２における右斜め約４５°方向）に互いに間隔を隔てるように並設されている。
【００５３】
図５に示すように、各スポット溶接部位１１，１１は、その缶外面側の表面が缶外面側に突出されるとともに、その缶内面側の表面が缶外面側に凹入された突起状に形成されている。
【００５４】
一方、図１および図６に示すように、手環用座金７には、天板本体３側に突出するようなＵ字形状の複数（図１においては１２個）の突起部１２が、手環用座金７の長手方向（図１における右斜め方向、図４における横方向）およびこれに直交する方向（図１における左斜め方向）に互いに間隔を設けて形成されている。
【００５５】
そして、図６に示すように、手環用座金７は、各突起部１２の天板本体３側の表面が、これらに対向する各スポット溶接部位１１，１１の缶外面側の表面にそれぞれ接した状態で、各突起部１２ごとにスポット溶接部位１１，１１との間で溶接点Ｐが形成されるようにして、スポット溶接部位１１，１１上にスポット溶接されている。
【００５６】
このようなスポット溶接によって、各スポット溶接部位１１，１１には、それぞれの長手方向に沿って複数の溶接点Ｐが整列形成されている。
【００５７】
さらに、このスポット溶接によって、各スポット溶接部位１１，１１の缶内側表面における各溶接点Ｐに対応する位置には、スポット溶接の際の溶接熱によって、ラミネート層５の損傷部（クラックや剥離部分等）１４が形成されている。
【００５８】
このような損傷部１４は、これに対して何等対策を採らない場合には、金属缶用天板１が金属缶を構成した際に、缶内の内容物による鋼板６の腐食をもたらすことになる。
【００５９】
そこで、本実施形態においては、このような損傷部１４を補正するための手段が講じられている。
【００６０】
すなわち、図２、図５、図６に示すように、天板本体３の缶内面側の表面であって、各損傷部１４を含む所定範囲に亘る手環用フィルム形成領域上には、各損傷部１４を補正するための樹脂材料からなる矩形状の補正フィルム１５が形成されている。なお、手環用フィルム形成領域は、各スポット溶接部位１１，１１の缶内面側の表面を含んでいる。
【００６１】
また、本実施形態において、補正フィルム１５は、手環用フィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状を有する加熱ローラによって、手環用フィルム形成領域上に熱溶着されている。この加熱ローラの詳細は後述する。
【００６２】
なお、口金２部および手環８部に形成される補正フィルム９、１５を構成する樹脂材料としては、例えば、ラミネート層５を構成する樹脂材料と同一の樹脂材料（ＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート））を好適なものとして用いることができる。また、補正フィルムを構成する樹脂材料としては、前記ＰＥＴの他にＰＰ（ポリプロピレン）、ＰＥ（ポリエチレン）を用いることができる。
【００６３】
＜補正方法および補正装置について＞
次に、金属缶用天板に対する補正方法および補正装置について工程順に説明する。
【００６４】
前記のように形成されている金属缶用天板１は、例えば、図７乃至図２０に示す補正装置１７によって得ることができる。
【００６５】
この補正装置１７は、金属缶用天板１における前述した口金２部分のかしめ結合部４および手環８部分の損傷部１４の補正を、一連のライン上において自動的に行うことが可能とされている。
【００６６】
すなわち、図７に示すように、補正装置１７は、金属缶用天板１をその搬送経路（以下、天板搬送経路と称する）にしたがって搬送する天板搬送手段として、天板搬送経路に沿って順次配設された複数の搬送コンベア１８を有している。各搬送コンベア１８は、かしめ結合部４および損傷部１４を補正するための後述する一連の各工程において、タクト送りによって前工程から次工程への金属缶用天板１の受け渡しを行うようになっている。各搬送コンベア１８は、モータ等の図示しない駆動源によって独立に駆動されるようになっている。なお、各搬送コンベア１８の駆動源は、補正装置１７全体の動作を電気的に制御する図示しない制御部（マイコン）によって駆動制御されるようになっている。
【００６７】
＜天板供給工程＞
図７に示すように、補正装置１７は、天板供給手段としての天板供給装置１９を有しており、この天板供給装置１９には、かしめ結合部４および損傷部１４の補正前の複数の金属缶用天板１が、その缶内面側の表面を鉛直上方に向けるようにして鉛直方向に積載収容されている。そして、天板供給装置１９は、積載収容されている複数の金属缶用天板１を、最上段の金属缶用天板１から順に、天板搬送経路上の上流端に一枚ずつ順次タクト送りによって供給するようになっている。この金属缶用天板の供給動作は、前記制御部から供給指令信号が入力されることによって開始されるようになっている。なお、天板供給装置１９は、収容位置に積載収容されている金属缶用天板１をバキュームパッドに吸着させて収容位置から取り出し、取り出された金属缶用天板１を、最も上流側の天板搬送手段としてのマグネットが設けられた吊り下げコンベア（図示せず）に渡すものであってもよい。この場合、吊り下げコンベアは、天板供給装置１９から受けた金属缶用天板１を、マグネットの磁力を介して吊り下げ、吊り下げられた金属缶用天板１を最も上流側の搬送コンベア１８側へとタクト送りによって搬送すればよい。
【００６８】
＜天板洗浄工程＞
次に、図７に示すように、天板搬送経路上における天板供給装置１９に対する下流側の位置には、天板洗浄手段としての天板洗浄装置２０が配設されている。この天板洗浄装置２０は、天板供給装置１９によって天板搬送経路上に供給された後に天板搬送手段（例えば、吊り下げコンベア）によって下流側に搬送された金属缶用天板１に対して、揮発性洗浄液を用いた拭き取り洗浄を行うようになっている。具体的には、天板洗浄装置２０は、エチルアルコールが塗布されたフェルトによって金属缶用天板１の少なくともフィルム形成領域を自動的に拭き取る機構を備えたものであってもよい。
【００６９】
そして、このような天板洗浄装置２０による洗浄工程により、口金２のかしめ結合や手環用座金７のスポット溶接等の天板加工工程において飛散した油分、粉塵または湿気等の異物を金属缶用天板１から取り除くことができる。
【００７０】
なお、金属缶用天板１の少なくともフィルム形成領域が補正フィルム９、１５の熱溶着ができる状態である場合等の条件が許す場合には、天板洗浄装置２０による洗浄工程若しくは天板洗浄装置２０自体を省くことができる。
【００７１】
＜天板乾燥工程＞
次に、図７に示すように、天板搬送経路上における天板洗浄装置２０に対する下流側の位置には、天板乾燥手段としての天板乾燥装置２１が配設されている。この天板乾燥装置２１は、天板洗浄装置２０による洗浄後の金属缶用天板１に対して、それぞれ熱風によって乾燥を行うようになっている。この天板乾燥装置２１は、公知の熱風発生器を備えたものであってもよい。熱風は金属缶用天板１の上下両面にそれぞれ吹き付けて行うとよい。
【００７２】
そして、このような天板乾燥装置２１による乾燥工程により、揮発性洗浄液（たとえばエチルアルコール）が蒸発する際に空気中から吸引されて金属缶用天板１上に付着した水分を蒸発させることができる。
【００７３】
また、天板乾燥装置２１としては、遠赤外線ヒータあるいは近赤外線ヒータ（図示せず）を金属缶用天板１の上下両面側に配置して乾燥するように形成してもよい。
【００７４】
なお、天板洗浄装置２０を省いた場合には、天板乾燥装置２１も省くことができるし、下流側の補正フィルムの熱溶着を実行する場合の予加熱を施す場合には省かないこととするとよい。
【００７５】
＜フィルム供給工程＞
このフィルム供給工程からフィルム溶着工程までは、口金２のかしめ結合部４の補正と、手環８の損傷部１４の補正とを別々に行うために２系統に分けられている。
【００７６】
図７に示すように、天板搬送経路上における天板乾燥装置２１に対する下流側の位置には、口金２のかしめ結合部４の補正と、手環８の損傷部１４の補正とに供される補正フィルム９、１５をそれぞれ供給するためのフィルム供給手段としてのフィルム供給装置７１、２３が搬送コンベア１８の両側に分けて配設されている。このフィルム供給装置７１、２３は、天板乾燥装置２１による乾燥後に搬送コンベア１８によって天板搬送経路上を缶内面側の表面を鉛直上方に向けた状態で搬送される金属缶用天板１に対して、そのフィルム形成領域上への補正フィルム９、１５の供給を行うようになっている。
【００７７】
（手環８について）
具体的には、手環８の損傷部１４へ補正フィルム１５を供給する一方のフィルム供給装置２３は、フィルムカット装置２４を有している。このフィルムカット装置２４は、ロール状の補正フィルムを先頭側から順に繰り出しつつ、繰り出された補正フィルムを、手環用フィルム形成領域の面積に対応する所定の長さ（大きさ）に切断加工するようになっている。そして、切断加工後の補正フィルム１５は、図７においてＰ１で示す待機位置に位置されるようになっている。
【００７８】
また、図７および図８に示すように、フィルム供給装置２３は、フィルムカット装置２４によって切断加工された補正フィルム１５を待機位置Ｐ１から図７においてＰ２に示す供給位置まで搬送する吸着搬送装置２５を有している。図８に示すように、吸着搬送装置２５は、サクションパッド２６と、このサクションパッド２６をシリンダチューブ２７の長手方向に沿って往復動させる第１のフィルム供給用エアシリンダ２８と、サクションパッド２６の姿勢を図８の破線部に示すパッド２６の位置との間の９０°の角度範囲内で調整可能とされた第２のフィルム供給用エアシリンダ２９とを有している。第１のフィルム供給用エアシリンダ２８は、公知のロッドレスシリンダであってもよい。また、第２のフィルム供給用エアシリンダ２９は、公知の耐熱型オートスイッチ付きの回転シリンダであってもよい。このような吸着搬送装置２５は、待機位置Ｐ１に位置された補正フィルム１５をサクションパッド２６によって吸着し、吸着された補正フィルム１５を、第１のフィルム供給用エアシリンダ２８によってサクションパッド２６ごと供給位置Ｐ２まで搬送するようになっている。そして、供給位置Ｐ２において、第２のフィルム供給用エアシリンダ２９により、サクションパッド２６をこれに吸着されている補正フィルム１５が手環用フィルム形成領域に接触するようにした後に、サクションパッド２６の吸着を解除することによって、手環用フィルム形成領域上に補正フィルム１５を載置するようになっている。なお、サクションパッド２６にスプリングクッションを設けることによって、補正フィルム１５を手環用フィルム形成領域上に載置する際のアジャスト性を高めるようにしてもよい。
【００７９】
このようにして、手環用フィルム形成領域上への補正フィルム１５の供給が行われるようになっている。なお、図７に示すように、吸着搬送装置２５による補正フィルム１５の搬送方向は、金属缶用天板１の搬送方向に対して約４５°の傾きを有しているが、これは、図２に示したような金属缶用天板１の向きに対する補正フィルム１５の向きの関係をそのまま反映したものである。すなわち、図２を用いて説明すれば、金属缶用天板１の搬送方向は、図２における下方向となるのに対して、補正フィルム１５の搬送方向は、図２における右下方向となる。
【００８０】
（口金２について）
また、口金２のかしめ結合部４へ補正フィルム９を供給する他方のフィルム供給装置７１は、予め円環状に形成されている補正フィルム９を供給するように形成されている。具体的には、図７および図９に示すように、フィルム供給装置７１は、円環状に形成されている補正フィルム９を待機位置Ｐ３から図７においてＰ４に示す供給位置まで搬送する吸着搬送装置７２を有している。図９に示すように、吸着搬送装置７２は、サクションパッド７３と、このサクションパッド７３をシリンダチューブ７４の長手方向に沿って往復動させる第１のフィルム供給用エアシリンダ７５と、サクションパッド７３の姿勢を図９の破線部に示すパッド７３の位置との間の９０°の角度範囲内で調整可能とされた第２のフィルム供給用エアシリンダ７６とを有している。第１のフィルム供給用エアシリンダ７５は、公知のロッドレスシリンダであってもよい。また、第２のフィルム供給用エアシリンダ７６は、公知の耐熱型オートスイッチ付きの回転シリンダであってもよい。このような吸着搬送装置７２は、待機位置Ｐ３位置された補正フィルム９をサクションパッド７３によって吸着し、吸着された補正フィルム９を、第１のフィルム供給用エアシリンダ７５によってサクションパッド７３ごと供給位置Ｐ４まで搬送するようになっている。そして、供給位置Ｐ４において、第２のフィルム供給用エアシリンダ７６により、サクションパッド７３をこれに吸着されている補正フィルム９が口金用フィルム形成領域に接触するようにした後に、サクションパッド７３の吸着を解除することによって、口金用フィルム形成領域上に補正フィルム９を載置するようになっている。なお、サクションパッド７３にスプリングクッションを設けることによって、補正フィルム９を口金用フィルム形成領域上に載置する際のアジャスト性を高めるようにしてもよい。
【００８１】
このようにして、口金用フィルム形成領域上への補正フィルム９の供給が行われるようになっている。なお、図７に示すように、吸着搬送装置７２による補正フィルム９の搬送方向は、金属缶用天板１の搬送方向に対して直交するようにされているが、手環８の損傷部１４の補正するための補正フィルム１５の搬送方向と直交するようにしてもよい。
【００８２】
両補正フィルム９、１５の供給は天板搬送経路上に停止されている天板本体３に対して、別々若しくは同時に行うとよい。
【００８３】
なお、補正フィルム９、１５の供給後の金属缶用天板１は、搬送コンベア等の不図示の搬送手段によって天板搬送経路上を次工程まで搬送されるようになっている。
【００８４】
＜フィルム溶着工程＞
（手環８について）
図７に示すように、天板搬送経路上におけるフィルム供給装置７１、２３に対する下流側の位置には、口金２のかしめ結合部４と、手環８の損傷部１４とにおいて補正フィルム９、１５をそれぞれ溶着するためのフィルム溶着手段としてのフィルム溶着装置８１、３２が搬送コンベア１８の両側に分けて配設されている。このフィルム溶着装置８１、３２は、フィルム供給装置７１、２３による補正フィルム９、１５の供給後の金属缶用天板１に対して、当該補正フィルム９、１５のフィルム形成領域上への熱溶着を行うようになっている。
【００８５】
具体的には、手環８の損傷部１４へ補正フィルム１５を溶着する一方のフィルム溶着装置３２は、第１の移動手段および第２の移動手段としての第１の溶着用エアシリンダ３３を有している。この第１の溶着用エアシリンダ３３は、図１０における横方向に長尺とされたシリンダチューブ３４と、このシリンダチューブ３４に対するエアの給排によってシリンダチューブ３４の長手方向に往復動可能とされた移動部３１とを有している。なお、図７に示すように、第１の溶着用エアシリンダ３３のシリンダチューブ３４は、前述した第１のフィルム供給用エアシリンダ２８のシリンダチューブ２７に平行とされている。
【００８６】
また、図１０に示すように、移動部３１には、第１の押圧手段としての第２の溶着用エアシリンダ３５と、第２の押圧手段としての第３の溶着用エアシリンダ３６とが、図１０における横方向に互いに間隔を設けるようにしてボルト等の固定手段によって固定されている。
【００８７】
さらに、図１０に示すように、第２の溶着用エアシリンダ３５におけるシリンダチューブ３７の下端部には、第１のヒートローラ取り付け板３８が連結されている。この第１のヒートローラ取り付け板３８は、第２の溶着用エアシリンダ３５によって上下動可能とされている。なお、第１のヒートローラ取り付け板３８は、図１０の紙面垂直方向に間隔を設けるようにして一対配設されており、これら一対の第１のヒートローラ取り付け板３８，３８はブラケット構造をなしている。
【００８８】
さらにまた、図１０に示すように、第３の溶着用エアシリンダ３６におけるシリンダチューブ３９の下端部には、第２のヒートローラ取り付け板４０が連結されている。この第２のヒートローラ取り付け板４０は、第３の溶着用エアシリンダ３６によって上下動可能とされている。なお、第２のヒートローラ取り付け板４０も、図１０の紙面垂直方向に間隔を設けるようにして一対配設されており、これら一対の第２のヒートローラ取り付け板４０，４０はブラケット構造をなしている。
【００８９】
そして、一対の第１のヒートローラ取付板３８，３８の間には、図１０乃至図１２に示すような第１の加熱ローラとしての第１のヒートローラ４１が回転自在に取り付けられている。
【００９０】
一方、一対の第２のヒートローラ取付板４０，４０の間には、図１０、図１３および図１４に示すような第２の加熱ローラとしての第２のヒートローラ４２が回転自在に取り付けられている。
【００９１】
ここで、まず、第１のヒートローラ４１について更に詳述すると、図１１および図１２に示すように、第１のヒートローラ４１は、第１のヒートローラ取り付け板３８に回転自在に支持された回転軸４３を有している。また、回転軸４３の軸方向における中央の所定範囲の部位の外側には、略円筒状のフランジ部４４が、回転軸４３と一体的に形成されている。さらに、フランジ部４４には、その周方向に等間隔を設けて合計３つのヒータ４５が埋設されている。このヒータ４５には、その発熱温度を調整するための図示しないパイロメータが接続されている。さらにまた、フランジ部４４の軸方向における中央の所定範囲の部位の外側には、耐熱性の弾性材料（エラストマー）からなる筒状のフィルム接触部４６が、フランジ部４４と一体的に形成されている。
【００９２】
図１１に示すように、フィルム接触部４６は、その外径が軸方向に沿って変化するような部分を含む凹凸状の外周面形状を有している。このフィルム接触部４６の外周面形状は、天板本体３の手環用フィルム形成領域の面形状にほぼ沿うような手環用フィルム形成領域の面形状に対応する形状となっている。例えば、図１１に示すように、フィルム接触部４６の外周面上には、所定の頂角を有する三角形状の一対の凸面部４７，４７が、軸方向に互いに間隔を設けるようにして形成されているが、これら凸面部４７，４７の面形状は、図５に示した畝状の各スポット溶接部位１１，１１の缶内面側の表面の面形状にほぼ沿った当該面形状に対応する面形状となっている。
【００９３】
なお、フランジ部４４の材料としては、例えば、熱伝導性に優れたアルミニウムを好適な材料として用いることができる。また、フィルム接触部４６を構成する弾性材料としては、例えば、耐熱シリコーンゴムを好適な材料として用いることができる。また、ヒータ４５の発熱温度（調整温度）としては、フランジ部４４およびフィルム接触部４６の熱伝導率を考慮した上で、好適な温度を採用するとよい。例えば、フィルム接触部４６の外周面の温度が２００℃となるような温度（例えば、２３０℃）を好適な温度として採用することができる。さらに、ヒータ４５としては、赤外線ヒータ等の種々の発熱方式のヒータを用いることができる。
【００９４】
このような第１のヒートローラ４１は、初期状態においては、図１０に示すように、第１の溶着用エアシリンダ３３によって第１のヒートローラ４１の水平移動範囲内における一端部のホームポジションに位置されるようになっている。さらに、初期状態において、第１のヒートローラ４１は、第２の溶着用エアシリンダ３５によって第１のヒートローラ４１の上下方向の移動範囲内における上端部の退避位置に位置されるようになっている。
【００９５】
また、第１のヒートローラ４１は、金属缶用天板１が、その手環用フィルム形成領域上の補正フィルム１５を第１の溶着用エアシリンダ３３の真下に位置させるような所定の熱溶着位置まで搬送されると、第２の溶着用エアシリンダ３５によって退避位置から下方向に移動されて補正フィルム１５の押圧位置に位置されるようになっている。このとき、金属缶用天板１が熱溶着位置に搬送されたことを、例えば、光センサ等の天板位置検出手段によって検出し、この検出結果に基づいて、前述した制御部が第２の溶着用エアシリンダ３５を駆動制御して前記第１のヒートローラ４１を押圧位置まで移動させるように構成してもよい。また、押圧位置において、第１のヒートローラ４１は、手環用フィルム形成領域上の補正フィルム１５における熱溶着進行方向の上流端を押圧した状態になっていてもよく、あるいは、金属缶用天板１における当該補正フィルム１５の上流端に上流側において近接する部位を押圧した状態となっていてもよい。
【００９６】
さらに、第１のヒートローラ４１は、退避位置から押圧位置に移動された後に、この押圧位置において、フィルム接触部４６の外周面の温度がヒータ４５によって十分な温度（たとえば２００℃）となるように所定時間待機させられるようになっている。
【００９７】
この所定時間の待機の後、第１のヒートローラ４１は、上下方向における位置を押圧位置に維持したまま、第１の溶着用エアシリンダ３３によってホームポジションから水平移動範囲内における他端部に向かって所定の移動速度で移動されるようになっている。これにより、加熱状態の第１のヒートローラ４１が、そのフィルム接触部４６を介して補正フィルム１５の上から手環用フィルム形成領域側に押圧された状態で、手環用フィルム形成領域に沿って移動されることになる。
【００９８】
以上のように構成された第１のヒートローラ４１によれば、手環用フィルム形成領域上の補正フィルム１５を、この補正フィルム１５に接触したフィルム接触部４６の熱によって溶融して手環用フィルム形成領域上に熱溶着することができる。このとき、フィルム接触部４６の外周面形状が手環用フィルム形成領域の面形状に対応する形状に形成されているため、補正フィルム１５を天板本体３への十分な密着力を持たせた状態に熱溶着することができる。
【００９９】
そして、このようにして補正フィルム１５の熱溶着を行った後に、第１のヒートローラ４１は、第２の溶着用エアシリンダ３５によって初期状態と同様の退避位置に戻されるとともに、第１の溶着用エアシリンダ３３によって初期状態と同様のホームポジションに戻されるようになっている。
【０１００】
なお、前述した押圧位置における第１のヒートローラ４１の加圧力としては、例えば、０．２〜０．３〔ＭＰａ〕を好適な加圧力として採用することができる。このような加圧力を採用すれば、補正フィルム１５を十分な加圧力を以て適切に熱溶着することができるとともに、加圧力が大きすぎることによって金属缶用天板１に後述する天板受け部５０（図１５、図１６参照）による押圧痕が生じることを防止することができる。押圧痕は、金属缶の製品外観を損ねるため、可及的に低減することが望ましい。
【０１０１】
また、第１のヒートローラ４１を補正フィルム１５の熱溶着のために手環用フィルム形成領域に沿って移動させる際の移動速度としては、例えば、５０ｍｍの長さの補正フィルム１５の熱溶着進行方向の上流端から下流端まで１〜２秒で移動するような十分に遅い速度を、好適な移動速度として採用することができる。
【０１０２】
次に、第２のヒートローラ４２について更に詳述すると、図１３および図１４に示すように、第２のヒートローラ４２は、第１のヒートローラ４１と同様に、第２のヒートローラ取り付け板４０に回転自在に支持された回転軸４３、フランジ部４４、ヒータ４５およびフィルム接触部４９を有している。
【０１０３】
ただし、第２のヒートローラ４２のフィルム接触部４９は、第１のヒートローラ４１のフィルム接触部４６とは異なり、その外径が軸方向に沿って一定とされた平坦な円筒状の外周面形状を有している。
【０１０４】
このような第２のヒートローラ４２は、初期状態においては、図１０に示すように、第１の溶着用エアシリンダ３３によって第２のヒートローラ４２の水平移動範囲内における一端部のホームポジションに位置されるようになっている。さらに、初期状態において、第２のヒートローラ４２は、第３の溶着用エアシリンダ３６によって第２のヒートローラ４２の上下方向の移動範囲内における上端部の退避位置に位置されるようになっている。
【０１０５】
また、第２のヒートローラ４２は、第１のヒートローラ４１による補正フィルム１５の熱溶着の際に、第１の溶着用エアシリンダ３３によって第１のヒートローラ４１と一体的に水平移動されるようになっている。ただし、このとき、第２のヒートローラ４２の上下方向における移動位置は、退避位置に維持されたままであり、第２のヒートローラ４２が熱溶着に関与することはない。
【０１０６】
さらに、第２のヒートローラ４２は、第１のヒートローラ４１が補正フィルム１５の熱溶着の完了後に第１の溶着用エアシリンダ３３によってホームポジションに戻された後に、第３の溶着用エアシリンダ３６によって退避位置から下方向に移動されて補正フィルム１５の押圧位置に位置されるようになっている。
【０１０７】
さらにまた、第２のヒートローラ４２は、退避位置から押圧位置に移動された後に、この押圧位置において、フィルム接触部４９の外周面の温度がヒータ４５によって十分な温度（たとえば２００℃）となるように所定時間待機させられるようになっている。
【０１０８】
この所定時間の待機の後、第２のヒートローラ４２は、上下方向における位置を押圧位置に維持したまま、第１の溶着用エアシリンダ３３によってホームポジションから第２のヒートローラ４２の水平移動範囲内における他端部に向かって所定の移動速度で移動されるようになっている。これにより、加熱状態の第２のヒートローラ４２が、そのフィルム接触部４９を介して補正フィルム１５の上から手環用フィルム形成領域側に押圧された状態で、手環用フィルム形成領域に沿って移動されることになる。
【０１０９】
以上のように構成された第２のヒートローラ４２によれば、第１のヒートローラ４１によって手環用フィルム形成領域上に熱溶着された補正フィルム１５に対して、更に補強的な熱溶着を行って、溶着浮き等の溶着不良部分を可及的に解消することができる。この結果、天板本体３に対する補正フィルム１５の密着力を更に高めることができる。
【０１１０】
その後、第２のヒートローラ４２は、第３の溶着用シリンダ３６によって退避位置に戻されるとともに、第１の溶着用エアシリンダ３３によって再びホームポジションに戻されるようになっている。
【０１１１】
なお、前述した押圧位置における第２のヒートローラ４２の加圧力は、第１のヒートローラ４１の加圧力と同様であってもよい。
【０１１２】
また、第２のヒートローラ４２を補正フィルム１５の補強的な熱溶着のために手環用フィルム形成領域に沿って水平移動させる際の移動速度は、第１のヒートローラ４１を補正フィルム１５の熱溶着のために水平移動させる際の移動速度と同様であってもよい。
【０１１３】
さらに、フィルム溶着装置３２は、天板搬送経路上における第１の溶着用エアシリンダ３３に対する鉛直下方位置に、図１５および図１６に示すような天板受け部５０を有している。
【０１１４】
図１５および図１６に示すように、天板受け部５０は、その中央に位置する座金支承プレート５１と、この座金支承プレート５１を包囲する天板周縁部支承フレーム５２とを有している。これら座金支承プレート５１と天板周縁部支承フレーム５２とは、板状の連結プレート５３を介して互いに連結されている。座金支承プレート５１は、手環用座金７に対応する大きさに形成されているとともに、その表面が、手環用座金７および手環８の形状に対応するような凹凸形状に形成されている。
【０１１５】
このような天板受け部５０は、第１のヒートローラ４１による補正フィルム１５の熱溶着および第２のヒートローラ４２による補強的な熱溶着の際に、その座金支承プレート５１によって手環用座金７を下方から支承するようになっている。また、このとき、天板受け部５０は、その天板周縁部支承フレーム５２によって、金属缶用天板１の周縁部を下方から支承するようになっている。これにより、補正フィルム１５を安定的に熱溶着させることができるようになっている。
【０１１６】
さらにまた、図１６に示すように、座金支承プレート５１の下部近傍位置には、プレートヒータ５４が水平に配設されている。このプレートヒータ５４は、補正フィルム１５の熱溶着の際に、所定の発熱温度によって、フィルム形成面を下方から加熱するようになっている。これにより、補正フィルム１５の熱溶着を補助することができる。なお、プレートヒータ５４の発熱温度としては、例えば、８０℃を好適な温度として採用することができる。
【０１１７】
（口金２について）
また、口金２のかしめ結合部４へ補正フィルム９を溶着する他方のフィルム溶着装置８１は、図７および図１７に示すように、第１の移動手段および第２の移動手段としての第１の溶着用エアシリンダ８２を有している。この第１の溶着用エアシリンダ８２は、図１７における横方向に長尺とされたシリンダチューブ８３と、このシリンダチューブ８３に対するエアの給排によってシリンダチューブ８３の長手方向に往復動可能とされた移動部８４とを有している。なお、図７に示すように、第１の溶着用エアシリンダ８２のシリンダチューブ８３は、前述した第１のフィルム供給用エアシリンダ７５のシリンダチューブ７４に平行とされている。
【０１１８】
また、図１７に示すように、移動部８４には、第１の押圧手段としての第２の溶着用エアシリンダ８５と、第２の押圧手段としての第３の溶着用エアシリンダ８６とが、図１７における横方向に互いに間隔を設けるようにしてボルト等の固定手段によって固定されている。
【０１１９】
さらに、図１７に示すように、第２の溶着用エアシリンダ８５におけるシリンダチューブ８７の下端部には、第１のヒートローラ取り付け板８８が連結されている。この第１のヒートローラ取り付け板８８は、第２の溶着用エアシリンダ８５によって上下動可能とされている。なお、第１のヒートローラ取り付け板８８は、図１７の紙面垂直方向に間隔を設けるようにして一対配設されており、これら一対の第１のヒートローラ取り付け板８８，８８はブラケット構造をなしている。
【０１２０】
さらにまた、図１７に示すように、第３の溶着用エアシリンダ８６におけるシリンダチューブ８９の下端部には、第２のヒートローラ取り付け板９０が連結されている。この第２のヒートローラ取り付け板９０は、第３の溶着用エアシリンダ８６によって上下動可能とされている。なお、第２のヒートローラ取り付け板９０も、図１７の紙面垂直方向に間隔を設けるようにして一対配設されており、これら一対の第２のヒートローラ取り付け板９０，９０はブラケット構造をなしている。
【０１２１】
そして、一対の第１のヒートローラ取付板８８，８８の間には、図１７乃至図１９に示すような第１の加熱ローラとしての第１のヒートローラ９１が回転自在に取り付けられている。
【０１２２】
一方、一対の第２のヒートローラ取付板９０，９０の間には、第１のヒートローラ９１と同一構成の第２の加熱ローラとしての第２のヒートローラ９２が回転自在に取り付けられている。
【０１２３】
ここで、まず、第１のヒートローラ９１について更に詳述すると、図１８および図１９に示すように、第１のヒートローラ９１は、第１のヒートローラ取り付け板８８に回転自在に支持された回転軸９３を有している。また、回転軸９３の軸方向における中央の所定範囲の部位の外側には、略円筒状のフランジ部９４が、回転軸９３と一体的に形成されている。さらに、フランジ部９４には、その周方向に等間隔を設けて合計３つのヒータ９５が埋設されている。このヒータ９５には、その発熱温度を調整するための図示しないパイロメータが接続されている。さらにまた、フランジ部９４の軸方向における中央の所定範囲の部位の外側には、耐熱性の弾性材料（エラストマー）からなる筒状のフィルム接触部９６が、フランジ部４４と一体的に形成されている。このフィルム接触部９６はその外径が軸方向に沿って一定とされた平坦な円筒状の外周面形状を有している。
【０１２４】
なお、フランジ部９４の材料としては、例えば、熱伝導性に優れたアルミニウムを好適な材料として用いることができる。また、フィルム接触部９６を構成する弾性材料としては、例えば、耐熱シリコーンゴムを好適な材料として用いることができる。また、ヒータ９５の発熱温度（調整温度）としては、フランジ部９４およびフィルム接触部９６の熱伝導率を考慮した上で、好適な温度を採用するとよい。例えば、フィルム接触部９６の外周面の温度が２００℃となるような温度（例えば、２３０℃）を好適な温度として採用することができる。さらに、ヒータ９５としては、赤外線ヒータ等の種々の発熱方式のヒータを用いることができる。
【０１２５】
このような第１のヒートローラ９１は、初期状態においては、図１７に示すように、第１の溶着用エアシリンダ８２によって第１のヒートローラ９１の水平移動範囲内における一端部のホームポジションに位置されるようになっている。さらに、初期状態において、第１のヒートローラ９１は、第２の溶着用エアシリンダ８５によって第１のヒートローラ９１の上下方向の移動範囲内における上端部の退避位置に位置されるようになっている。
【０１２６】
また、第１のヒートローラ９１は、金属缶用天板１が、その口金用フィルム形成領域上の補正フィルム９を第１の溶着用エアシリンダ８２の真下に位置させるような所定の熱溶着位置まで搬送されると、第２の溶着用エアシリンダ８５によって退避位置から下方向に移動されて補正フィルム９の押圧位置に位置されるようになっている。このとき、金属缶用天板１が熱溶着位置に搬送されたことを、例えば、光センサ等の天板位置検出手段によって検出し、この検出結果に基づいて、前述した制御部が第２の溶着用エアシリンダ８５を駆動制御して前記第１のヒートローラ９１を押圧位置まで移動させるように構成してもよい。また、押圧位置において、第１のヒートローラ９１は、口金用フィルム形成領域上の補正フィルム９における熱溶着進行方向の上流端を押圧した状態になっていてもよく、あるいは、金属缶用天板１における当該補正フィルム９の上流端に上流側において近接する部位を押圧した状態となっていてもよい。
【０１２７】
さらに、第１のヒートローラ９１は、退避位置から押圧位置に移動された後に、この押圧位置において、フィルム接触部９６の外周面の温度がヒータ９５によって十分な温度（たとえば２００℃）となるように所定時間待機させられるようになっている。
【０１２８】
この所定時間の待機の後、第１のヒートローラ９１は、上下方向における位置を押圧位置に維持したまま、第１の溶着用エアシリンダ８２によってホームポジションから水平移動範囲内における他端部に向かって所定の移動速度で移動されるようになっている。これにより、加熱状態の第１のヒートローラ９１が、そのフィルム接触部９６を介して補正フィルム９の上から口金用フィルム形成領域側に押圧された状態で、口金用フィルム形成領域に沿って移動されることになる。
【０１２９】
以上のように構成された第１のヒートローラ９１によれば、口金用フィルム形成領域上の補正フィルム９を、この補正フィルム９に接触したフィルム接触部９６の熱によって溶融して口金用フィルム形成領域上に熱溶着することができる。
【０１３０】
そして、このようにして補正フィルム９の熱溶着を行った後に、第１のヒートローラ９１は、第２の溶着用エアシリンダ８５によって初期状態と同様の退避位置に戻されるとともに、第１の溶着用エアシリンダ３８によって初期状態と同様のホームポジションに戻されるようになっている。
【０１３１】
なお、前述した押圧位置における第１のヒートローラ９１の加圧力としては、手環８の場合と同様に、例えば、０．２〜０．３〔ＭＰａ〕を好適な加圧力として採用することができる。このような加圧力を採用すれば、補正フィルム９を十分な加圧力を以て適切に熱溶着することができるとともに、加圧力が大きすぎることによって金属缶用天板１に後述する天板受け部９７（図１５参照）による押圧痕が生じることを防止することができる。押圧痕は、金属缶の製品外観を損ねるため、可及的に低減することが望ましい。
【０１３２】
また、第１のヒートローラ９１を補正フィルム９の熱溶着のために口金用フィルム形成領域に沿って移動させる際の移動速度としては、手環８の場合と同様に、例えば、５０ｍｍの長さの補正フィルム９の熱溶着進行方向の上流端から下流端まで１〜２秒で移動するような十分に遅い速度を、好適な移動速度として採用することができる。
【０１３３】
次に、第１のヒートローラ９１と同様に形成されている第２のヒートローラ９２による熱溶着を説明する。第２のヒートローラ９２は、初期状態においては、図１７に示すように、第１の溶着用エアシリンダ８２によって第２のヒートローラ９２の水平移動範囲内における一端部のホームポジションに位置されるようになっている。さらに、初期状態において、第２のヒートローラ９２は、第３の溶着用エアシリンダ８６によって第２のヒートローラ９２の上下方向の移動範囲内における上端部の退避位置に位置されるようになっている。
【０１３４】
また、第２のヒートローラ９２は、第１のヒートローラ９１による補正フィルム９の熱溶着の際に、第１の溶着用エアシリンダ８２によって第１のヒートローラ９１と一体的に水平移動されるようになっている。ただし、このとき、第２のヒートローラ９２の上下方向における移動位置は、退避位置に維持されたままであり、第２のヒートローラ９２が熱溶着に関与することはない。
【０１３５】
さらに、第２のヒートローラ９２は、第１のヒートローラ９１が補正フィルム９の熱溶着の完了後に第１の溶着用エアシリンダ８２によってホームポジションに戻された後に、第３の溶着用エアシリンダ８６によって退避位置から下方向に移動されて補正フィルム９の押圧位置に位置されるようになっている。
【０１３６】
さらにまた、第２のヒートローラ９２は、退避位置から押圧位置に移動された後に、この押圧位置において、フィルム接触部９６の外周面の温度がヒータ９５によって十分な温度（たとえば２００℃）となるように所定時間待機させられるようになっている。
【０１３７】
この所定時間の待機の後、第２のヒートローラ９２は、上下方向における位置を押圧位置に維持したまま、第１の溶着用エアシリンダ８２によってホームポジションから第２のヒートローラ９２の水平移動範囲内における他端部に向かって所定の移動速度で移動されるようになっている。これにより、加熱状態の第２のヒートローラ９２が、そのフィルム接触部９６を介して補正フィルム９の上から口金用フィルム形成領域側に押圧された状態で、口金用フィルム形成領域に沿って移動されることになる。
【０１３８】
以上のように構成された第２のヒートローラ９２によれば、第１のヒートローラ９１によって口金用フィルム形成領域上に熱溶着された補正フィルム９に対して、更に補強的な熱溶着を行って、溶着浮き等の溶着不良部分を可及的に解消することができる。この結果、天板本体３に対する補正フィルム１５の密着力を更に高めることができる。
【０１３９】
その後、第２のヒートローラ９２は、第３の溶着用シリンダ８６によって退避位置に戻されるとともに、第１の溶着用エアシリンダ８２によって再びホームポジションに戻されるようになっている。
【０１４０】
なお、前述した押圧位置における第２のヒートローラ９２の加圧力は、第１のヒートローラ９１の加圧力と同様であってもよい。
【０１４１】
また、第２のヒートローラ９２を補正フィルム９の補強的な熱溶着のために口金用フィルム形成領域に沿って水平移動させる際の移動速度は、第１のヒートローラ９１を補正フィルム９の熱溶着のために水平移動させる際の移動速度と同様であってもよい。
【０１４２】
さらに、フィルム溶着装置８１は、天板搬送経路上における第１の溶着用エアシリンダ８２に対する鉛直下方位置に、図１５に示すような天板受け部９７を有している。なお、天板受け部９７は図１６において図示を省略している。
【０１４３】
図１５に示すように、天板受け部９７は、口金２を下から支承する位置に環状の口金支承プレート９８を有しており、この口金支承プレート９８を板状の連結プレート９９を介して天板周縁部支承フレーム５２に連結されている。口金支承プレート９８は、口金２の外周部分を取り囲むとともにかしめ結合部４を下から支承する大きさに形成されている。
【０１４４】
このような天板受け部９７は、第１のヒートローラ９１による補正フィルム９の熱溶着および第２のヒートローラ９２による補強的な熱溶着の際に、その口金支承プレート９８によって口金２の外周部分のかしめ結合部４を下方から支承するようになっている。これにより、補正フィルム９を安定的に熱溶着させることができるようになっている。
【０１４５】
＜加熱処理工程＞
図７に戻って、天板搬送経路上におけるフィルム溶着装置８１、３２に対する下流側の位置には、加熱処理手段としての加熱電気炉５６が配設されている。この加熱電気炉５６は、フィルム溶着装置８１、３２による補正フィルム９、１５の熱溶着後に搬送コンベア１８によって搬送経路上を搬送された金属缶用天板１に対して、ヒータ等を用いた加熱処理を行うようになっている。これにより、補正フィルム９、１５の天板本体３への密着力を高めることができる。加熱電気炉５６においては、図２０に示すように、搬送コンベア６０によって金属缶用天板１を立てた状態で搬送するように形成されている。この搬送コンベア６０は、天板搬送経路に沿って平行に設けられた一対のチエン６１の各ピンリンクプレート６２の間に支え棒６３をかけ渡して形成されており、各支え棒６３の二股の間に金属缶用天板１を挿入して搬送する。搬送コンベア６０に対する金属缶用天板１の挿入と取り出しは、搬送コンベア６０の両端部において各支え棒６３が広角に開いている個所において行われる。
【０１４６】
なお、この加熱電気炉５６の上流側にハロゲンヒータ（図示せず）を設けて予め加熱するようにしてもよい。
【０１４７】
＜冷却処理工程＞
また、図７に示すように、加熱電気炉５６以後の搬送経路は、金属缶用天板１をマグネットの磁力を介して吊り下げた状態（立てた状態）で下流側に搬送するハンガースタッカ５８によって構成されている。
【０１４８】
さらに、図７に示すように、天板搬送経路上における加熱電気炉５６に対する下流側の位置には、天板冷却手段としての冷却ブロワ５７が配設されている。この冷却ブロワ５７は、加熱電気炉５６による加熱処理後に天板搬送経路上を搬送された金属缶用天板１に対して、送風による冷却処理を行うようになっている。
【０１４９】
＜搬出準備工程＞
そして、冷却後の金属缶用天板１は、図示しない整理箱（例えば、内部に縦方向の仕切りを並設した整理箱）に搬送されて各仕切り間に立てた状態に並列収容されることになる。
【０１５０】
なお、このような一連のライン上の各処理工程を実施する各装置１９，２０，２１，２３，３２，５６，５７、７１、８１の動作は、前述した制御部によって電気的に制御されるようになっている。また、各処理工程においては、前記制御部の制御により、各処理工程に要する単位処理時間だけ金属缶用天板１の搬送が一時的に停止されることがあることは勿論である。
【０１５１】
以上のように構成された補正装置１７によれば、本発明に係る金属缶用天板の補正方法を実施することができる。
【０１５２】
本実施形態においては、天板本体３に固着される口金２と手環８とからなる付属構造物の内、少なくとも口金２の補正を実施したり、双方の補正を実施するとよい。
【０１５３】
すなわち、補正装置１７によれば、天板供給装置１９によって天板搬送経路上に供給されて、天板洗浄装置２０による洗浄工程および天板乾燥装置２１による乾燥工程を順次経た後にフィルム供給位置に搬送された金属缶用天板１に対して、一方の系列のフィルム供給装置７１、フィルム溶着装置８１を用いて口金２に対する補正フィルム９の補正を行い、他方の系列のフィルム供給装置２３、フィルム溶着装置３２を用いて手環８に対する補正フィルム１５の補正を行うことができる。
【０１５４】
具体的には、口金２部分においては、フィルム供給装置７１によって、口金用フィルム形成領域に対応する大きさに切断加工された円環状の補正フィルム９を口金２のかしめ結合部４の口金用フィルム形成領域上へ配置させることができる。
【０１５５】
次いで、補正フィルム９の供給後に熱溶着位置に搬送された金属缶用天板１に対して、フィルム溶着装置８１により、第１のヒートローラ９１を、フィルム形成面上の補正フィルム９の上から口金用フィルム形成領域側に押圧させながら口金用フィルム形成領域に沿って移動させることによって、口金用フィルム形成領域上に補正フィルム９を熱溶着することができる。
【０１５６】
さらに、第１のヒートローラ９１による補正フィルム９の熱溶着後に、第２のヒートローラ９２を、当該補正フィルム９の上から口金用フィルム形成領域側に押圧させながら口金用フィルム形成領域に沿って移動させることにより、補正フィルム９のかしめ結合部４への密着力を高めることができる。
【０１５７】
また、手環８部分においては、フィルム供給装置２３によって、手環用フィルム形成領域に対応する大きさに切断加工された補正フィルム１５を手環用フィルム形成領域上へ配置することができる。
【０１５８】
次いで、補正フィルム１５の供給後に熱溶着位置に搬送された金属缶用天板１に対して、フィルム溶着装置３２により、手環用フィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状を有する第１のヒートローラ４１を、フィルム形成面上の補正フィルム１５の上から手環用フィルム形成領域側に押圧させながら手環用フィルム形成領域に沿って移動させることによって、手環用フィルム形成領域上に補正フィルム１５を熱溶着することができる。
【０１５９】
さらに、第１のヒートローラ４１による補正フィルム１５の熱溶着後に、第２のヒートローラ４２を、当該補正フィルム１５の上から手環用フィルム形成領域側に押圧させながら手環用フィルム形成領域に沿って移動させることにより、補正フィルム１５の天板本体３への密着力を高めることができる。
【０１６０】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することができる。
【０１６１】
例えば、口金２のかしめ結合部４へ補正フィルム９を供給する場合に、図２１に示すフィルム供給装置１１１を用いてもよい。
【０１６２】
このフィルム供給装置１１１においては、図２１ｂに示すような予め補正フィルム９の内孔に相当する小孔１１２ａが所定ピッチで開設されている長尺なフィルム１１２を用いて補正フィルム９を供給するように形成されている。長尺なフィルム１１２は、原反ロール１１３側から繰り出されて巻取りロール１１４側に巻き取られるように配設されている。長尺なフィルム１１２は途中で金属用天板１の口金２の直上部の供給位置Ｐ５を経由して搬送される位置に配設されている。この位置Ｐ５に合わせて長尺なフィルム１１２を切断するための上切断刃１１５と下切断刃１１６とが長尺なフィルム１１２の上下に配設されている。上切断刃１１５はシリンダ１１７のプランジャ１１７ａの下端に固着されており、固定状態の下切断刃１１６に向けて進退自在に形成されている。上切断刃１１５には補正フィルム９の外径に相当する外径を備えた刃部１１５ａが形成されている。下切断刃１１６には上切断刃１１５の刃部１１５ａとで長尺なフィルム１１２を切断する円形孔状の刃部１１６ａが形成されている。
【０１６３】
このように形成されているフィルム供給装置１１１によれば、原反ロール１１３と巻取りロール１１４とを駆動させて長尺なフィルム１１２の小孔１１２ａを所定位置に停止している金属缶用天板１の口金２の直上部となる供給位置Ｐ５に位置決めさせて停止させる。続いて、駆動シリンダ１１７の退避位置に退避していたプランジャ１１７ａを下向きに突出させて、上切断刃１１５および下切断刃１１６の両刃部１１５ａ、１１６ａによって長尺なフィルム１１２より補正フィルム９の外径の大きさに相当する大孔１１２ｂをもって切断して、補正フィルム９を金属缶用天板１の口金２の上に載置させる。その後プランジャ１１７ａを退避位置に戻す。以上の動作を繰り返すことにより補正フィルム９を金属缶用天板１の口金２の上に供給する。
【０１６４】
なお、補正フィルム９の搬送方向は、手環８の損傷部１４を補正するための補正フィルム１５のフィルム供給装置２３との設置スペースを勘案して設定するとよい。
【０１６５】
また、口金２および手環８の損傷部１４の位置に供給された補正フィルム９、１５を熱溶着前に仮接着させて供給された補正フィルム９、１５が移動しないようにするためには、例えば、天板乾燥装置２１によって金属缶用天板１を予加熱して、補正フィルム９、１５を緩く溶着させて所定位置に仮接着させるとよい。また、図示しない加熱ローラによって供給位置Ｐ２、Ｐ４、Ｐ５にある補正フィルム９、１５の上面を加圧することによって仮接着させるとよい。
【０１６６】
また、補正フィルム９を溶着させる第１のヒートローラとしては、前記実施形態に代えて、図２２に示すように、形成することもできる。具体的には、第２の溶着用エアシリンダ８５のシリンダチューブ８７の下端部にシリンダチューブ８７の軸回りに回転する回転駆動部１０１を取付け、この回転駆動部１０１の先端部からシリンダチューブ８７の中心軸から環状のかしめ結合部４の半径に相当する長さを偏芯した偏芯位置に一対の第１のヒートローラ取り付け板８８ａを突設し、この第１のヒートローラ取り付け板８８ａの先端に第１のヒートローラ９１ａを回転自在に取付けている。この第１のヒートローラ９１ａのフィルム接触部９７ａの軸方向長さは、円環状に形成されている補正フィルム９の幅よりも大きく形成されている。この場合、回転駆動部１０１によって第１のヒートローラ９１ａをシリンダチューブ８７回りに回転させて補正フィルム９の熱溶着を行う。
【０１６７】
また、前記実施形態のヒートローラは内部に熱源としてのヒータを内蔵しているが、熱源をヒートローラと別体に形成してもよい。例えば、別体のドライヤからの熱風をヒートローラに吹きかけて加熱したり、別体の加熱ローラをヒートローラに押し当てて加熱するように形成するとよい。
【０１６８】
また、図２３から図２５に示すように、金属缶用天板１の口金２に対する補正を手環用座金７の損傷部１４に対する補正の前に実行するように形成してもよい。
【０１６９】
更に説明すると、図２３に全体構成を示すように、金属缶用天板１を作業位置Ｐ１１からＰ１５と順にタクト搬送させる搬送コンベア１８を設けている。金属缶用天板１の口金２に対して、作業位置Ｐ１１において第１乾燥、作業位置Ｐ１２において第２乾燥、作業位置Ｐ１３において補正フィルム９の載置、作業位置Ｐ１４において補正フィルム９の第１溶着、作業位置Ｐ１５において第２溶着を実行するように形成されている。
【０１７０】
次に、作業位置順に装置の構成と作用を説明する。
【０１７１】
作業位置Ｐ１１およびＰ１２においては、第１熱風送風機１２１および第２熱風送風機１２２を、送風口１２１ａ、１２２ａを口金２の口金用フィルム形成領域に対向させて配置している。金属缶用天板１が各作業位置Ｐ１１、Ｐ１２を順にタクト搬送される間に、各第１熱風送風機１２１および第２熱風送風機１２２から送風口１２１ａ、１２２ａを通して口金２の口金用フィルム形成領域に熱風を送風することにより、口金用フィルム形成領域に被覆されているラミネート層５を加熱して、乾燥するとともに次の作業位置Ｐ１３において載置される補正フィルム９をラミネート層５の上面に良好に仮接着できる温度まで予加熱するようにしている。
【０１７２】
作業位置Ｐ１３おいては、図２３および図２４に示すフィルム供給装置１３１により補正フィルム９を金属缶用天板１の口金２の口金用フィルム形成領域に被覆されているラミネート層５の上に載置するように形成されている。
【０１７３】
このフィルム供給装置１３１においては、図２４ｂに示すような長尺なフィルム１３２を用いて補正フィルム９を供給するように形成されている。長尺なフィルム１３２は、原反ロール１３３側から繰り出されて巻取りロール１３４側に巻き取られるように配設されている。長尺なフィルム１３２は途中で金属用天板１の口金２の直上部の作業位置Ｐ１３を経由して搬送される位置になるように、搬送コンベア１８に対して直交するように配設されている。
【０１７４】
長尺なフィルム１３２の搬送方向の作業位置Ｐ１３の前の作業位置Ｐ１３ａにおいては、長尺なフィルム１３２に環状の補正フィルム９の内孔を切断するための上切断刃１３５と下切断刃１３６とが長尺なフィルム１３２の上下に配設されている。上切断刃１３５はシリンダ１３７のプランジャ１３７ａの下端に固着されており、固定状態の下切断刃１３６に向けて進退自在に形成されている。上切断刃１３５には補正フィルム９の内径に相当する外径を備えた刃部１３５ａが形成されている。下切断刃１３６には上切断刃１３５の刃部１３５ａとで長尺なフィルム１３２を切断する円形孔状の刃部１３６ａが形成されている。下切断刃１３６の下方には長尺なフィルム１３２を打ち抜いた円形の切り屑を吸引除去する吸引ホース１３８が吸引口１３８ａを上向きにして設置されている。図示しないが上切断刃１３５の刃部１３５ａの下面には、前記切り屑を吸引ホース１３８の吸引口１３８ａに向けて吹き飛ばすエアーブロー孔が開設されている。
【０１７５】
次の作業位置Ｐ１３においては、長尺なフィルム１３２をから環状の補正フィルム９を切断するための上切断刃１３９と下切断刃１４０とが長尺なフィルム１３２の上下に配設されている。上切断刃１３９はシリンダ１４１のプランジャ１４１ａの下端に固着されており、固定状態の下切断刃１４０に向けて進退自在に形成されている。上切断刃１３９には補正フィルム９の外径に相当する外径を備えた刃部１３９ａが形成されている。下切断刃１４０には上切断刃１３９の刃部１３９ａとで長尺なフィルム１３２を切断する円形孔状の刃部１４０ａが形成されている。図示しないが上切断刃１３９の刃部１３９ａの下面には、切断した補正フィルム９を吸引して吸着するためのエアー吸引孔が開設されている。
【０１７６】
このように形成されているフィルム供給装置１３１によれば、原反ロール１３３と巻取りロール１３４と間に渡されて停止している長尺なフィルム１３２に対して、作業位置Ｐ１３ａにおいて、駆動シリンダ１３７の退避位置に退避していたプランジャ１３７ａを下向きに突出させて、上切断刃１３５および下切断刃１３６の両刃部１３５ａ、１３６ａによって長尺なフィルム１３２より補正フィルム９の内孔の大きさに相当する小孔１３２ａ部分を切断し、上切断刃１３５の刃部１３５ａの下面に開設されたエアーブロー孔よりエアーを吹出して切断された切り屑を下方に向けて吹き飛ばし、続いて当該切り屑を吸引ホース１３８の吸引口１３８ａより吸引して除去する。その後プランジャ１３７ａを退避位置に戻す。
【０１７７】
次に、原反ロール１３３と巻取りロール１３４とを駆動させて長尺なフィルム１３２を送り、小孔１３２ａを作業位置Ｐ１３に停止している金属缶用天板１の口金２の直上部に位置決めさせて停止させる。続いて、駆動シリンダ１４１の退避位置に退避していたプランジャ１４１ａを下向きに突出させて、上切断刃１３９および下切断刃１４０の両刃部１３９ａ、１４０ａによって長尺なフィルム１３２より補正フィルム９の外径の大きさに相当する大孔１３２ｂをもって切断すると同時にエアーの吸引状態にある上切断刃１３９の刃部１３９ａの下面に開設されているエアー吸引孔による吸着力によって切断された補正フィルム９を当該刃部１３９ａの下面に吸着させる。続いてプランジャ１４１ａが下降することにより刃部１３９ａの下面に吸着されている補正フィルム９を金属缶用天板１の口金２の上に位置精度よく当接させ、その後刃部１３９ａの下面に開設されているエアー吸引孔に対するエアー吸引を停止して補正フィルム９を金属缶用天板１の口金２の上に位置精度よく載置させる。その後、プランジャ１４１ａを退避位置に戻す。作業位置Ｐ１３に搬送されている金属缶用天板１の口金２に被覆されているラミネート層５は作業位置Ｐ１２において予加熱されているので、補正フィルム９がラミネート層５の上面に載置されると、両者は良好に仮接着される。
【０１７８】
以上の動作を繰り返すことにより作業位置Ｐ１３において補正フィルム９を金属缶用天板１の口金２の上に順に供給する。
【０１７９】
次の作業位置Ｐ１４およびＰ１５においては、図２３および図２５（ａ）に示すように、第１熱溶着機１５１ａおよび第２熱溶着機１５１ｂを、下端に取付けた加熱パッド１５２ａ、１５２ｂを金属缶用天板１の口金２の口金用フィルム形成領域に対向させて配置している。各加熱パッド１５２ａ、１５２ｂは駆動シリンダ１５３ａ、１５３ｂのプランジャ１５４ａ、１５４ｂの下端部に固着されており、金属缶用天板１に対して上下方向に進退自在に形成されている。各加熱パッド１５２ａ、１５２ｂは、それぞれ口金２に直に接触する耐熱シリコーンゴム等の耐熱性の弾性材料（エラストマー）からなる加熱体１５５ａ、１５５ｂと、その内部に設置されている加熱用の加熱ヒータ１５６ａ、１５６ｂとにより形成されている。これらの加熱ヒータ１５６ａ、１５６ｂには、その発熱温度を調整するための図示しないパイロメータが接続されている。各加熱体１５５ａ、１５５ｂの口金２に直に接触する接触面１５５ａｂ、１５５ｂｂは、それぞれ図２５（ｂ）に示すように、かしめ結合されている天板本体３の円形開口３ａの内周部と口金２のフランジ部２ａの外周部とによるかしめ結合部４の上面形状に丁度合致する断面形状に形成されている。
【０１８０】
また、各作業位置Ｐ１４、Ｐ１５においてはそれぞれ図１５に示す口金支承プレート９８と同様の口金支承プレート１５７ａ、１５７ｂが設置されている。各口金支承プレート１５７ａ、１５７ｂの下部近傍位置には、プレートヒータ１５８ａ、１５８ｂが水平に配設されている。このプレートヒータ１５８ａ、１５８ｂは、補正フィルム９の熱溶着の際に、所定の発熱温度によって、かしめ結合部４を下方から加熱するようになっている。これにより、補正フィルム９の熱溶着を補助することができる。なお、プレートヒータ１５８ａ、１５８ｂの発熱温度としては、例えば、８０℃を好適な温度として採用することができる。
【０１８１】
このように形成されている第１熱溶着機１５１ａによれば、作業位置Ｐ１４において、口金支承プレート１５７ａ上に載置された金属缶用天板１は、下方のプレートヒータ１５８ａによってかしめ結合部４を下方から加熱されて口金２部分におけるラミネート層５と補正フィルム９との仮接着状態が良好に維持されている。第１熱溶着機１５１のプランジャ１５４ａが駆動シリンダ１５３ａによって下方に突出され、加熱パッド１５２ａの加熱ヒータ１５６ａによって約２００℃に加熱されている加熱体１５５ａの接触面１５５ａｂを補正フィルム９に押圧する。当該接触面１５５ａｂの断面形状はかしめ結合部４の上面形状に丁度合致するので、補正フィルム９とラミネート層５とが全周を均一に押圧されて。全周に亘って良好に熱溶着される。この熱溶着が終了するとプランジャ１５４ａが上昇させられて加熱パッド１５２ａが退位させられる。
【０１８２】
その後、金属缶用天板１は次の作業位置Ｐ１５に搬送され、第２熱溶着機１５１ｂを用いて、第１熱溶着機１５１ａによる熱溶着作業と同様の熱溶着作業が施される。この第２熱溶着機１５１ｂによる熱溶着によって、口金２部分における補正フィルム９とラミネート層５との熱溶着が更に確実なものとされる。
【０１８３】
その後、金属缶用天板１は手環用座金７の部分における補正フィルム１５の熱溶着工程に搬送される。
【０１８４】
補正フィルム９の熱溶着については、加熱パッド１５２ａ、１５２ｂによるものと前記ヒートローラ９１、９１ａ、９２によるものとを前後に連続して施して、補正フィルム９の熱溶着を更に強固に行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【０１８５】
以上述べたように、本発明によれば、液体塗料に比べて厚みおよび厚みの安定性・均一性に優れた補正フィルム９、１５を、第１のヒートローラ９１、９１ａや、手環用フィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状を有する第１のヒートローラ４１によって十分な密着性を持たせてフィルム形成領域上に熱溶着することができるため、かしめ結合部４や損傷部１４を適切に補正することができ、ひいては、缶内面における損傷部１４に対応する部位の腐食を確実に抑制することができる。ここで、従来の塗装ガンを用いた補正方法においては、塗装膜の膜厚が２０μｍ程度に止まっていたのに対して、本発明によれば、８０μｍ程度の十分な厚みの補正フィルム９、１５を用いてかしめ結合部４や損傷部１４を適切に補正することができる。
【０１８６】
また、本発明によれば、補正フィルム９、１５の熱溶着の際に、焼き付け塗装の場合のように溶剤等の有害物質が飛散することはないため、環境汚染を防止することができる。
【符号の説明】
【０１８７】
１ 金属缶用天板
２ 口金
３ 天板本体
３ａ 円形開口
４ かしめ結合部
５ ラミネート層
６ 鋼板
７ 手環用座金
８ 手環
９、１５ 補正フィルム
１４ 損傷部
１７ 補正装置
１８ 搬送コンベア
１９ 天板供給装置
２０ 天板洗浄装置
２１ 天板乾燥装置
２３、７１、１１１、１３１ フィルム供給装置
３２、８１ フィルム溶着装置
３３、３５、３６、８２、８５、８６ 溶着用エアシリンダ
４１、４２、９１、９１ａ、９２ ヒートローラ
５６ 加熱電気炉
５７ 冷却ブロワ
１１２、１３２ 長尺なフィルム
１１２ａ、１３２ａ 小孔
１１２ｂ、１３２ｂ 大孔
１１３、１３３ 原反ロール
１１４、１３４ 巻取りロール
１１５、１３５、１３９ 上切断刃
１１５ａ、１１６ａ、１３５ａ、１３６ａ、１３９ａ、１４０ａ 刃部
１１６、１３６、１４０ 下切断刃
１１７、１３７、１４１、１５３ａ、１５３ｂ 駆動シリンダ
１１７ａ、１３７ａ、１４１ａ、１５４ａ、１５４ｂ プランジャ
１３８ 吸引ホース
１３８ａ 吸引口
１５１ａ 第１熱溶着機
１５１ｂ 第２熱溶着機
１５２ａ、１５２ｂ 加熱パッド
１５５ａ、１５５ｂ 加熱体
１５５ａｂ、１５５ｂｂ 接触面
１５６ａ、１５６ｂ 加熱ヒータ
１５７ａ、１５７ｂ 口金支承プレート
１５８ａ、１５８ｂ プレートヒータ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
少なくとも缶内面がラミネート層によって形成されたラミネート金属板からなる天板本体と、
この天板本体に形成されている円形開口の内周部に外周部をかしめ結合された内面側がラミネート層によって形成された円環状の口金と、この天板本体の缶外面にスポット溶接された手環取り付け用の座金と、この座金と前記天板本体との間に基端部を介して起倒自在に取り付けられた手環とからなる付属構成物と
を備えた金属缶用天板において、
前記付属構成物のうち、少なくとも前記天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域に亘って円環状の補正フィルムが形成され、
前記補正フィルムは、フィルム溶着手段としての加熱ローラおよび／または加熱パッドにより前記口金用フィルム形成領域上に熱溶着されてなること
を特徴とする金属缶用天板。
【請求項２】
前記天板本体の缶内面上に、前記スポット溶接による前記ラミネート層の損傷箇所を補正するための補正フィルムが、前記損傷箇所を含む所定範囲の手環用フィルム形成領域に亘って形成され、
前記補正フィルムは、前記手環用フィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状を有する加熱ローラにより、前記手環用フィルム形成領域上に熱溶着されてなること
を特徴とする請求項１に記載の金属缶用天板。
【請求項３】
前記天板本体における損傷箇所を含む所定範囲の部位は、前記座金との間で前記スポット溶接における複数の溶接点を形成して前記座金をスポット溶接すべきスポット溶接部位とされ、
このスポット溶接部位は、その缶外面が、前記厚み方向における缶外面側に突出されるとともに、缶内面が、前記缶外面側に凹入された形状に形成され、
前記加熱ローラは、前記補正フィルムの熱溶着の際に、前記加熱ローラとして、その外周面の一部が前記スポット溶接部位の前記缶内面に対応するように突出されていること
を特徴とする請求項２に記載の金属缶用天板。
【請求項４】
前記補正フィルムは、前記ラミネート層と同一の樹脂材料からなること
を特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれか１項に記載の金属缶用天板。
【請求項５】
少なくとも缶内面がラミネート層によって形成されたラミネート金属板からなる天板本体と、この天板本体に形成されている円形開口の内周部に外周部をかしめ結合された内面側がラミネート層によって形成された円環状の口金と、この天板本体の缶外面にスポット溶接された手環取り付け用の座金と、この座金と前記天板本体との間に基端部を介して起倒自在に取り付けられた手環とからなる付属構成物とを備えた金属缶用天板に対して、前記付属構成物の固着部分の補正を行うための金属缶用天板の補正方法において、
前記付属構成物のうち、少なくとも前記天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域上に、この口金用フィルム形成領域に対応する大きさの補正フィルムを配置した状態で、フィルム溶着手段としての加熱ローラおよび／または加熱パッドを前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧させることにより、前記口金用フィルム形成領域上に前記補正フィルムを熱溶着すること
を特徴とする金属缶用天板の補正方法。
【請求項６】
前記天板本体の缶内面における前記損傷箇所を含む所定範囲の手環用フィルム形成領域上に、この手環用フィルム形成領域に対応する大きさの補正フィルムを配置した状態で、前記手環用フィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状を有する加熱ローラを、前記補正フィルムの上から前記手環用フィルム形成領域側に押圧させながら前記手環用フィルム形成領域に沿って相対移動させることにより、前記手環用フィルム形成領域上に前記補正フィルムを熱溶着すること
を特徴とする請求項５に記載の金属缶用天板の補正方法。
【請求項７】
前記天板本体における所定範囲の部位は、前記座金との間で前記スポット溶接における複数の溶接点を形成して前記座金をスポット溶接すべきスポット溶接部位とされ、
このスポット溶接部位は、その缶外面が、前記厚み方向における缶外面側に突出されるとともに、その缶内面が、缶外面側に凹入された形状に形成され、
前記補正フィルムの熱溶着の際に、前記加熱ローラとして、その外周面の一部が前記スポット溶接部位の前記缶内面に対応するように突出された加熱ローラを用いること
を特徴とする請求項６に記載の金属缶用天板の補正方法。
【請求項８】
前記加熱ローラによる前記補正フィルムの溶着後に、第２の加熱ローラを、前記補正フィルムの上から前記フィルム形成領域側に押圧させながら前記フィルム形成領域に沿って相対移動させることにより、前記補正フィルムの前記天板本体への密着力を高めること
を特徴とする請求項５乃至請求項７のいずれか１項に記載の金属缶用天板の補正方法。
【請求項９】
少なくとも缶内面がラミネート層によって形成されたラミネート金属板からなる天板本体と、この天板本体に形成されている円形開口の内周部に外周部をかしめ結合された内面側がラミネート層によって形成された円環状の口金と、この天板本体の缶外面にスポット溶接された手環取り付け用の座金と、この座金と前記天板本体との間に基端部を介して起倒自在に取り付けられた手環とからなる付属構成物とを備えた金属缶用天板に対して、前記付属構成物の固着部分の補正を行う金属缶用天板の補正装置において、
前記金属缶用天板を所定の搬送経路にしたがって搬送する天板搬送手段と、
前記搬送経路上に複数の前記金属缶用天板を一枚ずつ順次供給可能とされた天板供給手段と、
前記搬送経路上における前記天板供給手段に対する下流側の位置に配設され、前記金属缶用天板に対して加熱を行う天板乾燥手段と、
前記搬送経路上における前記天板乾燥手段に対する下流側の位置に配設され、前記天板本体の前記缶内面における前記付属構成物の固着部分を含む所定範囲のフィルム形成領域に対応する補正フィルムを、前記天板乾燥手段による乾燥後の前記金属缶用天板の前記フィルム形成領域上に供給するフィルム供給手段と、
前記搬送経路上における前記フィルム供給手段に対する下流側の位置に配設され、前記フィルム供給手段による前記補正フィルムの供給後の前記金属缶用天板に対して、当該補正フィルムの前記フィルム形成領域上への熱溶着を行うフィルム溶着手段と、
前記搬送経路上における前記フィルム溶着手段に対する下流側の位置に配設され、前記フィルム溶着手段による前記補正フィルムの熱溶着後の前記金属缶用天板に対して、前記補正フィルムの前記天板本体への密着力を高めるための加熱処理を行う加熱処理手段と、
前記搬送経路上における前記加熱処理手段に対する下流側の位置に配設され、前記加熱処理手段による前記加熱処理後の前記金属缶用天板を冷却する天板冷却手段と
を備え、
前記フィルム供給手段は、前記付属構成物のうち、少なくとも前記天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域にこの口金用フィルム形成領域に対応する円環状の補正フィルムを供給するように形成され、
前記フィルム溶着手段は、前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧することにより、前記口金用フィルム形成領域上に前記補正フィルムを熱溶着する加熱ローラおよび／または加熱パッドによって形成されている
ことを特徴とする金属缶用天板の補正装置。
【請求項１０】
前記フィルム溶着手段としての加熱ローラは、前記付属構成物のうち、少なくとも前記天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状を有する第１の加熱ローラと、
この第１の加熱ローラを前記口金用フィルム形成領域上に供給された前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧させる第１の押圧手段と、
この第１の押圧手段による押圧状態のまま前記第１の加熱ローラを前記口金用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第１の移動手段と、
第２の加熱ローラと、
この第２の加熱ローラを、前記第１の加熱ローラによる前記補正フィルムの熱溶着後に、当該熱溶着された前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧させる第２の押圧手段と、
この第２の押圧手段による押圧状態のまま前記第２の加熱ローラを前記口金用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第２の移動手段と
を備えたことを特徴とする請求項９に記載の金属缶用天板の補正装置。
【請求項１１】
前記フィルム溶着手段としての加熱パッドは、前記天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域の面形状に対応する加圧面形状を有する加熱体と、
この加熱体を前記口金用フィルム形成領域上に供給された前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧させる押圧手段と、
を備えたことを特徴とする請求項９に記載の金属缶用天板の補正装置。
【請求項１２】
前記フィルム供給手段は、前記天板本体の缶内面上に、前記スポット溶接による前記ラミネート層の損傷箇所を含む所定範囲の手環用フィルム形成領域上に、この手環用フィルム形成領域に対応する大きさの補正フィルムを供給するように形成され、
前記フィルム溶着手段は、前記手環用フィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状であって、外周面の一部が、前記手環用フィルム形成領域のうちの前記スポット溶接における複数の溶接点に対応する所定範囲の領域の面形状に対応するように突出された外周面形状を有する第１の加熱ローラと、
この第１の加熱ローラを前記手環用フィルム形成領域上に供給された前記補正フィルムの上から前記手環用フィルム形成領域側に押圧させる第１の押圧手段と、
この第１の押圧手段による押圧状態のまま前記第１の加熱ローラを前記手環用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第１の移動手段と、
第２の加熱ローラと、
この第２の加熱ローラを、前記第１の加熱ローラによる前記補正フィルムの熱溶着後に、当該熱溶着された前記補正フィルムの上から前記手環用フィルム形成領域側に押圧させる第２の押圧手段と、
この第２の押圧手段による押圧状態のまま前記第２の加熱ローラを前記手環用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第２の移動手段と
を備えたことを特徴とする請求項９乃至請求項１２のいずれか１項に記載の金属缶用天板の補正装置。
【請求項１３】
少なくとも缶内面がラミネート層によって形成されたラミネート金属板からなる天板本体と、この天板本体に形成されている円形開口の内周部に外周部をかしめ結合された内面側がラミネート層によって形成された円環状の口金と、この天板本体の缶外面にスポット溶接された手環取り付け用の座金と、この座金と前記天板本体との間に基端部を介して起倒自在に取り付けられた手環とからなる付属構成物とを備えた金属缶用天板に対して、前記付属構成物の固着部分の補正を行う金属缶用天板の補正装置において、
前記金属缶用天板を所定の搬送経路にしたがって搬送する天板搬送手段と、
前記搬送経路上に複数の前記金属缶用天板を一枚ずつ順次供給可能とされた天板供給手段と、
前記搬送経路上における前記天板供給手段に対する下流側の位置に配設され、前記天板供給手段によって前記搬送経路上に供給された前記金属缶用天板に対して、洗浄液を用いた拭き取り洗浄を行う天板洗浄手段と、
前記搬送経路上における前記天板洗浄手段に対する下流側の位置に配設され、前記天板洗浄手段による洗浄後の前記金属缶用天板に対して熱風による乾燥を行う天板乾燥手段と、
前記搬送経路上における前記天板乾燥手段に対する下流側の位置に配設され、前記天板本体の前記缶内面における前記付属構成物の固着部分を含む所定範囲のフィルム形成領域に対応する補正フィルムを、前記天板乾燥手段による乾燥後の前記金属缶用天板の前記フィルム形成領域上に供給するフィルム供給手段と、
前記搬送経路上における前記フィルム供給手段に対する下流側の位置に配設され、前記フィルム供給手段による前記補正フィルムの供給後の前記金属缶用天板に対して、当該補正フィルムの前記フィルム形成領域上への熱溶着を行うフィルム溶着手段と、
前記搬送経路上における前記フィルム溶着手段に対する下流側の位置に配設され、前記フィルム溶着手段による前記補正フィルムの熱溶着後の前記金属缶用天板に対して、前記補正フィルムの前記天板本体への密着力を高めるための加熱処理を行う加熱処理手段と、
前記搬送経路上における前記加熱処理手段に対する下流側の位置に配設され、前記加熱処理手段による前記加熱処理後の前記金属缶用天板を冷却する天板冷却手段と
を備え、
前記フィルム供給手段は、前記付属構成物のうち、少なくとも前記天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域にこの口金用フィルム形成領域に対応する円環状の補正フィルムを供給するように形成され、
前記フィルム溶着手段は、前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧することにより、前記口金用フィルム形成領域上に前記補正フィルムを熱溶着する加熱ローラおよび／または加熱パッドによって形成されている
ことを特徴とする金属缶用天板の補正装置。
【請求項１４】
前記フィルム溶着手段としての加熱ローラは、前記付属構成物のうち、少なくとも前記天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状を有する第１の加熱ローラと、
この第１の加熱ローラを前記口金用フィルム形成領域上に供給された前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧させる第１の押圧手段と、
この第１の押圧手段による押圧状態のまま前記第１の加熱ローラを前記口金用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第１の移動手段と、
第２の加熱ローラと、
この第２の加熱ローラを、前記第１の加熱ローラによる前記補正フィルムの熱溶着後に、当該熱溶着された前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧させる第２の押圧手段と、
この第２の押圧手段による押圧状態のまま前記第２の加熱ローラを前記口金用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第２の移動手段と
を備えたことを特徴とする請求項１３に記載の金属缶用天板の補正装置。
【請求項１５】
前記フィルム溶着手段としての加熱パッドは、前記天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域の面形状に対応する加圧面形状を有する加熱体と、
この加熱体を前記口金用フィルム形成領域上に供給された前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧させる押圧手段と、
を備えたことを特徴とする請求項１３に記載の金属缶用天板の補正装置。
【請求項１６】
前記フィルム供給手段は、前記天板本体の缶内面上に、前記スポット溶接による前記ラミネート層の損傷箇所を含む所定範囲の手環用フィルム形成領域上に、この手環用フィルム形成領域に対応する大きさの補正フィルムを供給するように形成され、
前記フィルム溶着手段は、前記手環用フィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状であって、外周面の一部が、前記手環用フィルム形成領域のうちの前記スポット溶接における複数の溶接点に対応する所定範囲の領域の面形状に対応するように突出された外周面形状を有する第１の加熱ローラと、
この第１の加熱ローラを前記手環用フィルム形成領域上に供給された前記補正フィルムの上から前記手環用フィルム形成領域側に押圧させる第１の押圧手段と、
この第１の押圧手段による押圧状態のまま前記第１の加熱ローラを前記手環用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第１の移動手段と、
第２の加熱ローラと、
この第２の加熱ローラを、前記第１の加熱ローラによる前記補正フィルムの熱溶着後に、当該熱溶着された前記補正フィルムの上から前記手環用フィルム形成領域側に押圧させる第２の押圧手段と、
この第２の押圧手段による押圧状態のまま前記第２の加熱ローラを前記手環用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第２の移動手段と
を備えたことを特徴とする請求項１３乃至請求項１５のいずれか１項に記載の金属缶用天板の補正装置。
【請求項１】
少なくとも缶内面がラミネート層によって形成されたラミネート金属板からなる天板本体と、
この天板本体に形成されている円形開口の内周部に外周部をかしめ結合された内面側がラミネート層によって形成された円環状の口金と、この天板本体の缶外面にスポット溶接された手環取り付け用の座金と、この座金と前記天板本体との間に基端部を介して起倒自在に取り付けられた手環とからなる付属構成物と
を備えた金属缶用天板において、
前記付属構成物のうち、少なくとも前記天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域に亘って円環状の補正フィルムが形成され、
前記補正フィルムは、フィルム溶着手段としての加熱ローラおよび／または加熱パッドにより前記口金用フィルム形成領域上に熱溶着されてなること
を特徴とする金属缶用天板。
【請求項２】
前記天板本体の缶内面上に、前記スポット溶接による前記ラミネート層の損傷箇所を補正するための補正フィルムが、前記損傷箇所を含む所定範囲の手環用フィルム形成領域に亘って形成され、
前記補正フィルムは、前記手環用フィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状を有する加熱ローラにより、前記手環用フィルム形成領域上に熱溶着されてなること
を特徴とする請求項１に記載の金属缶用天板。
【請求項３】
前記天板本体における損傷箇所を含む所定範囲の部位は、前記座金との間で前記スポット溶接における複数の溶接点を形成して前記座金をスポット溶接すべきスポット溶接部位とされ、
このスポット溶接部位は、その缶外面が、前記厚み方向における缶外面側に突出されるとともに、缶内面が、前記缶外面側に凹入された形状に形成され、
前記加熱ローラは、前記補正フィルムの熱溶着の際に、前記加熱ローラとして、その外周面の一部が前記スポット溶接部位の前記缶内面に対応するように突出されていること
を特徴とする請求項２に記載の金属缶用天板。
【請求項４】
前記補正フィルムは、前記ラミネート層と同一の樹脂材料からなること
を特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれか１項に記載の金属缶用天板。
【請求項５】
少なくとも缶内面がラミネート層によって形成されたラミネート金属板からなる天板本体と、この天板本体に形成されている円形開口の内周部に外周部をかしめ結合された内面側がラミネート層によって形成された円環状の口金と、この天板本体の缶外面にスポット溶接された手環取り付け用の座金と、この座金と前記天板本体との間に基端部を介して起倒自在に取り付けられた手環とからなる付属構成物とを備えた金属缶用天板に対して、前記付属構成物の固着部分の補正を行うための金属缶用天板の補正方法において、
前記付属構成物のうち、少なくとも前記天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域上に、この口金用フィルム形成領域に対応する大きさの補正フィルムを配置した状態で、フィルム溶着手段としての加熱ローラおよび／または加熱パッドを前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧させることにより、前記口金用フィルム形成領域上に前記補正フィルムを熱溶着すること
を特徴とする金属缶用天板の補正方法。
【請求項６】
前記天板本体の缶内面における前記損傷箇所を含む所定範囲の手環用フィルム形成領域上に、この手環用フィルム形成領域に対応する大きさの補正フィルムを配置した状態で、前記手環用フィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状を有する加熱ローラを、前記補正フィルムの上から前記手環用フィルム形成領域側に押圧させながら前記手環用フィルム形成領域に沿って相対移動させることにより、前記手環用フィルム形成領域上に前記補正フィルムを熱溶着すること
を特徴とする請求項５に記載の金属缶用天板の補正方法。
【請求項７】
前記天板本体における所定範囲の部位は、前記座金との間で前記スポット溶接における複数の溶接点を形成して前記座金をスポット溶接すべきスポット溶接部位とされ、
このスポット溶接部位は、その缶外面が、前記厚み方向における缶外面側に突出されるとともに、その缶内面が、缶外面側に凹入された形状に形成され、
前記補正フィルムの熱溶着の際に、前記加熱ローラとして、その外周面の一部が前記スポット溶接部位の前記缶内面に対応するように突出された加熱ローラを用いること
を特徴とする請求項６に記載の金属缶用天板の補正方法。
【請求項８】
前記加熱ローラによる前記補正フィルムの溶着後に、第２の加熱ローラを、前記補正フィルムの上から前記フィルム形成領域側に押圧させながら前記フィルム形成領域に沿って相対移動させることにより、前記補正フィルムの前記天板本体への密着力を高めること
を特徴とする請求項５乃至請求項７のいずれか１項に記載の金属缶用天板の補正方法。
【請求項９】
少なくとも缶内面がラミネート層によって形成されたラミネート金属板からなる天板本体と、この天板本体に形成されている円形開口の内周部に外周部をかしめ結合された内面側がラミネート層によって形成された円環状の口金と、この天板本体の缶外面にスポット溶接された手環取り付け用の座金と、この座金と前記天板本体との間に基端部を介して起倒自在に取り付けられた手環とからなる付属構成物とを備えた金属缶用天板に対して、前記付属構成物の固着部分の補正を行う金属缶用天板の補正装置において、
前記金属缶用天板を所定の搬送経路にしたがって搬送する天板搬送手段と、
前記搬送経路上に複数の前記金属缶用天板を一枚ずつ順次供給可能とされた天板供給手段と、
前記搬送経路上における前記天板供給手段に対する下流側の位置に配設され、前記金属缶用天板に対して加熱を行う天板乾燥手段と、
前記搬送経路上における前記天板乾燥手段に対する下流側の位置に配設され、前記天板本体の前記缶内面における前記付属構成物の固着部分を含む所定範囲のフィルム形成領域に対応する補正フィルムを、前記天板乾燥手段による乾燥後の前記金属缶用天板の前記フィルム形成領域上に供給するフィルム供給手段と、
前記搬送経路上における前記フィルム供給手段に対する下流側の位置に配設され、前記フィルム供給手段による前記補正フィルムの供給後の前記金属缶用天板に対して、当該補正フィルムの前記フィルム形成領域上への熱溶着を行うフィルム溶着手段と、
前記搬送経路上における前記フィルム溶着手段に対する下流側の位置に配設され、前記フィルム溶着手段による前記補正フィルムの熱溶着後の前記金属缶用天板に対して、前記補正フィルムの前記天板本体への密着力を高めるための加熱処理を行う加熱処理手段と、
前記搬送経路上における前記加熱処理手段に対する下流側の位置に配設され、前記加熱処理手段による前記加熱処理後の前記金属缶用天板を冷却する天板冷却手段と
を備え、
前記フィルム供給手段は、前記付属構成物のうち、少なくとも前記天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域にこの口金用フィルム形成領域に対応する円環状の補正フィルムを供給するように形成され、
前記フィルム溶着手段は、前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧することにより、前記口金用フィルム形成領域上に前記補正フィルムを熱溶着する加熱ローラおよび／または加熱パッドによって形成されている
ことを特徴とする金属缶用天板の補正装置。
【請求項１０】
前記フィルム溶着手段としての加熱ローラは、前記付属構成物のうち、少なくとも前記天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状を有する第１の加熱ローラと、
この第１の加熱ローラを前記口金用フィルム形成領域上に供給された前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧させる第１の押圧手段と、
この第１の押圧手段による押圧状態のまま前記第１の加熱ローラを前記口金用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第１の移動手段と、
第２の加熱ローラと、
この第２の加熱ローラを、前記第１の加熱ローラによる前記補正フィルムの熱溶着後に、当該熱溶着された前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧させる第２の押圧手段と、
この第２の押圧手段による押圧状態のまま前記第２の加熱ローラを前記口金用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第２の移動手段と
を備えたことを特徴とする請求項９に記載の金属缶用天板の補正装置。
【請求項１１】
前記フィルム溶着手段としての加熱パッドは、前記天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域の面形状に対応する加圧面形状を有する加熱体と、
この加熱体を前記口金用フィルム形成領域上に供給された前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧させる押圧手段と、
を備えたことを特徴とする請求項９に記載の金属缶用天板の補正装置。
【請求項１２】
前記フィルム供給手段は、前記天板本体の缶内面上に、前記スポット溶接による前記ラミネート層の損傷箇所を含む所定範囲の手環用フィルム形成領域上に、この手環用フィルム形成領域に対応する大きさの補正フィルムを供給するように形成され、
前記フィルム溶着手段は、前記手環用フィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状であって、外周面の一部が、前記手環用フィルム形成領域のうちの前記スポット溶接における複数の溶接点に対応する所定範囲の領域の面形状に対応するように突出された外周面形状を有する第１の加熱ローラと、
この第１の加熱ローラを前記手環用フィルム形成領域上に供給された前記補正フィルムの上から前記手環用フィルム形成領域側に押圧させる第１の押圧手段と、
この第１の押圧手段による押圧状態のまま前記第１の加熱ローラを前記手環用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第１の移動手段と、
第２の加熱ローラと、
この第２の加熱ローラを、前記第１の加熱ローラによる前記補正フィルムの熱溶着後に、当該熱溶着された前記補正フィルムの上から前記手環用フィルム形成領域側に押圧させる第２の押圧手段と、
この第２の押圧手段による押圧状態のまま前記第２の加熱ローラを前記手環用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第２の移動手段と
を備えたことを特徴とする請求項９乃至請求項１２のいずれか１項に記載の金属缶用天板の補正装置。
【請求項１３】
少なくとも缶内面がラミネート層によって形成されたラミネート金属板からなる天板本体と、この天板本体に形成されている円形開口の内周部に外周部をかしめ結合された内面側がラミネート層によって形成された円環状の口金と、この天板本体の缶外面にスポット溶接された手環取り付け用の座金と、この座金と前記天板本体との間に基端部を介して起倒自在に取り付けられた手環とからなる付属構成物とを備えた金属缶用天板に対して、前記付属構成物の固着部分の補正を行う金属缶用天板の補正装置において、
前記金属缶用天板を所定の搬送経路にしたがって搬送する天板搬送手段と、
前記搬送経路上に複数の前記金属缶用天板を一枚ずつ順次供給可能とされた天板供給手段と、
前記搬送経路上における前記天板供給手段に対する下流側の位置に配設され、前記天板供給手段によって前記搬送経路上に供給された前記金属缶用天板に対して、洗浄液を用いた拭き取り洗浄を行う天板洗浄手段と、
前記搬送経路上における前記天板洗浄手段に対する下流側の位置に配設され、前記天板洗浄手段による洗浄後の前記金属缶用天板に対して熱風による乾燥を行う天板乾燥手段と、
前記搬送経路上における前記天板乾燥手段に対する下流側の位置に配設され、前記天板本体の前記缶内面における前記付属構成物の固着部分を含む所定範囲のフィルム形成領域に対応する補正フィルムを、前記天板乾燥手段による乾燥後の前記金属缶用天板の前記フィルム形成領域上に供給するフィルム供給手段と、
前記搬送経路上における前記フィルム供給手段に対する下流側の位置に配設され、前記フィルム供給手段による前記補正フィルムの供給後の前記金属缶用天板に対して、当該補正フィルムの前記フィルム形成領域上への熱溶着を行うフィルム溶着手段と、
前記搬送経路上における前記フィルム溶着手段に対する下流側の位置に配設され、前記フィルム溶着手段による前記補正フィルムの熱溶着後の前記金属缶用天板に対して、前記補正フィルムの前記天板本体への密着力を高めるための加熱処理を行う加熱処理手段と、
前記搬送経路上における前記加熱処理手段に対する下流側の位置に配設され、前記加熱処理手段による前記加熱処理後の前記金属缶用天板を冷却する天板冷却手段と
を備え、
前記フィルム供給手段は、前記付属構成物のうち、少なくとも前記天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域にこの口金用フィルム形成領域に対応する円環状の補正フィルムを供給するように形成され、
前記フィルム溶着手段は、前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧することにより、前記口金用フィルム形成領域上に前記補正フィルムを熱溶着する加熱ローラおよび／または加熱パッドによって形成されている
ことを特徴とする金属缶用天板の補正装置。
【請求項１４】
前記フィルム溶着手段としての加熱ローラは、前記付属構成物のうち、少なくとも前記天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状を有する第１の加熱ローラと、
この第１の加熱ローラを前記口金用フィルム形成領域上に供給された前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧させる第１の押圧手段と、
この第１の押圧手段による押圧状態のまま前記第１の加熱ローラを前記口金用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第１の移動手段と、
第２の加熱ローラと、
この第２の加熱ローラを、前記第１の加熱ローラによる前記補正フィルムの熱溶着後に、当該熱溶着された前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧させる第２の押圧手段と、
この第２の押圧手段による押圧状態のまま前記第２の加熱ローラを前記口金用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第２の移動手段と
を備えたことを特徴とする請求項１３に記載の金属缶用天板の補正装置。
【請求項１５】
前記フィルム溶着手段としての加熱パッドは、前記天板本体と口金とのかしめ結合部の内面側境界部分を含む所定範囲の口金用フィルム形成領域の面形状に対応する加圧面形状を有する加熱体と、
この加熱体を前記口金用フィルム形成領域上に供給された前記補正フィルムの上から前記口金用フィルム形成領域側に押圧させる押圧手段と、
を備えたことを特徴とする請求項１３に記載の金属缶用天板の補正装置。
【請求項１６】
前記フィルム供給手段は、前記天板本体の缶内面上に、前記スポット溶接による前記ラミネート層の損傷箇所を含む所定範囲の手環用フィルム形成領域上に、この手環用フィルム形成領域に対応する大きさの補正フィルムを供給するように形成され、
前記フィルム溶着手段は、前記手環用フィルム形成領域の面形状に対応する外周面形状であって、外周面の一部が、前記手環用フィルム形成領域のうちの前記スポット溶接における複数の溶接点に対応する所定範囲の領域の面形状に対応するように突出された外周面形状を有する第１の加熱ローラと、
この第１の加熱ローラを前記手環用フィルム形成領域上に供給された前記補正フィルムの上から前記手環用フィルム形成領域側に押圧させる第１の押圧手段と、
この第１の押圧手段による押圧状態のまま前記第１の加熱ローラを前記手環用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第１の移動手段と、
第２の加熱ローラと、
この第２の加熱ローラを、前記第１の加熱ローラによる前記補正フィルムの熱溶着後に、当該熱溶着された前記補正フィルムの上から前記手環用フィルム形成領域側に押圧させる第２の押圧手段と、
この第２の押圧手段による押圧状態のまま前記第２の加熱ローラを前記手環用フィルム形成領域に沿って相対移動させる第２の移動手段と
を備えたことを特徴とする請求項１３乃至請求項１５のいずれか１項に記載の金属缶用天板の補正装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２１】
【図２２】
【図２３】
【図２４】
【図２５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２１】
【図２２】
【図２３】
【図２４】
【図２５】
【公開番号】特開２０１２−９１８６７（Ｐ２０１２−９１８６７Ａ）
【公開日】平成２４年５月１７日（２０１２．５．１７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−２１１１０１（Ｐ２０１１−２１１１０１）
【出願日】平成２３年９月２７日（２０１１．９．２７）
【出願人】（３９０００３１９３）東洋鋼鈑株式会社 (265)
【出願人】（３１１０１３９５９）
【出願人】（５０９３０７０５９）
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年５月１７日（２０１２．５．１７）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年９月２７日（２０１１．９．２７）
【出願人】（３９０００３１９３）東洋鋼鈑株式会社 (265)
【出願人】（３１１０１３９５９）
【出願人】（５０９３０７０５９）
【Ｆターム（参考）】
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