説明

金属製形材

【課題】 本発明は、連結する一方形材と他方形材にせん断力を伝達して堅牢な耐久性を有する金属製形材を提供することにある。
【解決手段】
本発明は、一方形材1と他方形材2と、一方形材1と他方形材2を接合する金属性の連結材3とを備え、連結材3は、左右の横突条3a、3aと、横突条3a、3aの略中央から上下いずれか一方に向けて突出する竪突条3bとを有し、竪突条3bの両側面の各々には凹凸状をなす係合部22を有しており、一方形材1と他方形材2は、横突条3a、3aを上下に挟む第一挟止片4と第二挟止片5を有すると共に、第一挟止片4及び第二挟止片5のうちの竪突条3bと対向する挟止片4、5に竪突条3bの係合部22と凹凸に係合する凹凸状をなす被係合部23を有していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型の金属製形材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
押し出し機により押し出しできる形材については、一般に約100mm×300mm角のものが限界とされており、それ以上の大型の形材を得るには、大型の押出設備の導入が必要であった。また、断熱サッシにおいては特開2001−32636号公報に開示されるように形材と樹脂製の断熱部材とを接合した断熱形材が使用されており、この断熱形材においては、樹脂製の断熱部材の接合強度を向上するために、形材の断熱部材接合面に対して1mm程度に凹凸した微細なローレット加工を施すことが一般的に行われていた。
【特許文献1】特開2001−32636号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の特開2001−32636号公報に開示される構成については、形材と樹脂製のブリッジ材との係合強度が小さいことから、通常サイズのもののみに適用されていた。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、堅牢な耐久性を有する大型の金属製形材を大型の押出設備がなくても提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の請求項1記載の発明は、金属製の一方形材及び他方形材と、一方形材と他方形材を接合する金属製の連結材とを備え、連結材は、左右方向に突出する左右の横突条と、上下方向に突出する竪突条とを有し、竪突条の両側面の各々には凹凸状をなす係合部を有しており、一方形材と他方形材は、横突条を上下から挟む第一挟止片と第二挟止片を有すると共に、第一挟止片及び第二挟止片のうちの竪突条と対向する挟止片に竪突条の係合部と凹凸に係合する凹凸状をなす被係合部を有することを特徴とする。
【0005】
本発明の請求項2記載の発明は、金属製の一方形材及び他方形材と、一方形材と他方形材を接合する金属製の主連結材及び金属製の補助連結材とを備え、主連結材は、左右方向に突出する左右の横突条を有し、補助連結材は、主連結材に隣接し且つ両側面に凹凸状をなす係合部を有しており、一方形材と他方形材は、横突条を上下から挟む第一挟止片と第二挟止片を有すると共に、第一挟止片及び第二挟止片のうちの補助連結材と対向する挟止片に補助連結材の係合部と凹凸に係合する凹凸状をなす被係合部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、連結材の竪突条両側面の凹凸状をなす係合部と、一方形材及び他方形材の挟止片の凹凸状をなす被係合部とが凹凸に係合することにより、形材長手方向のせん断力を両形材及び連結材が負担しあうことで形材同士の連結強度が高まるので、押し出し機などの設備を増強することなく大型の金属製形材が得られる。
【0007】
請求項2記載の発明によれば、一方形材と他方形材を主連結材で連結した後に、両形材の挟止片間に補助連結材を挟めて凹凸に嵌合することもできるので、この場合であっても、設備を増強することなく大型の金属製形材が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、図面に基づいて本実施による金属製形材の実施の形態を説明する。
図1(a)は、図3中B−B線を横断面して示す、本実施による金属製形材の拡大斜視図を示すものであり、(b)は、図1中Aを拡大して示す斜視図である。図2(a)は、本実施による施工手順を示す一部を拡大した斜視図であり、(b)は、他の実施例による施工手順を示す一部を拡大した斜視図である。図3は、本実施による金属製形材を適用した構造物の全体図である。
尚、本実施による金属製形材は、図3のように、カーポート50の支柱40に適用されるものについて説明する。
【0009】
本実施による金属製形材は、図1(a)に示すように、W寸略100mm・H寸略300mmのアルミ製の一方形材1と他方形材2とW寸略40mm・H寸略20mmのアルミ製の連結材3とからなり、W寸が略200mm・H寸が略300mmの中空略矩形状をなすものである。一方形材1及び他方形材2は、夫々が断面略矩形状をなし、各々の一側面の上下には、水平方向に延びる第一挟止片4と第二挟止片5を有しており、第一挟止片4及び第二挟止片5と一方形材1又は他方形材2の側壁部とにより、横向き略コ字状をなす挟止部を構成しており、連結材3の横突条3a、3aを夫々嵌合する。また、第一挟止片4の側面は、本実施のものではプレス加工により一方形材1及び他方形材2の長手方向に沿って連続する鋸歯状をなす略5mm出没(図1(b)中aの長さ)する凹凸状の係合部22が設けてあり、さらに、第一挟止片4と第二挟止片5の間隔は、開放側(第一挟止片と第二挟止片の側壁面側)に向けて次第に上下方向の間隔が狭まるテーパ状となっている。
【0010】
連結材3は、左右の横突条3a、3aと竪突条3bとからなる正面視略凸型をなすものであり、左右の横突条3a、3aは、先端側に向けて次第に上下に拡がるテーパ状をなしている。また、竪突条3bは、連結材3の略中央から上方に突出していると共に、両側面には、長手方向に沿って凹凸状に連続する係合部22を有している。
【0011】
以上のように構成する本実施による金属製形材の施工手順の一例について、図2(a)丸付き数字1〜2に基づいて以下に説明する。
図2(a)のように、第一の手順として、図2(a)中の丸付き数字1のように、一方形材1の第一挟止片4と第二挟止片5との間に連結材3の左側横突条3aを挟み込ませる。第二の手順として、連結材3の右側横突条3aを他方形材2の第一挟止片4と第二挟止片5の間に挟み込む。第三の手順として、一方形材1と他方形材2を左右に近づける方向に押し込み、連結材3の竪突条3bの両側面の係合部22に対し、一方形材1と他方形材2の第一挟止片4の夫々の被係合部23とを左右に当接し、さらに、一方形材1及び他方形材2の夫々の第一挟止片4を上方から下方に押し込むことで、係合部22と被係合部23とが凹凸に係合し、図2(a)中の丸付き数字2のような中空略矩形状をなす金属製形材が得られる。また、連結材3の左右の横突条3a、3aと第一挟止片4と第二挟止片5の当接面は、テーパ状となるため、連結材3と一方形材1及び他方形材2とが離脱しない構成となる。
【0012】
また、本発明の金属製形材における他の施工手順の一例として、図2(b)の丸付き数字1〜4のように、上記実施形態における連結材3の左右の横突条3a、3aに相当する部位のみから構成される金属製の主連結材30と、同じく竪突条3bに相当する部位のみからなる金属製の補助連結材31とを使用して金属製形材を形成することもでき、補助連結材31は、その両側面に長手方向に沿って凹凸状に連続する係合部22を有している。具体的に、第一の手順として、図2(b)中の丸付き数字1のように、主連結材30の左右の横突条30a、30aを一方形材1及び他方形材2の第一挟止片4と第二挟止片5の間に挟み込ませ、各々の第一挟止片4を上方から下方に押圧することで、図2(b)中の丸付き数字2のように、一方形材1と他方形材2との間に主連結材30を連結する。第二の手順として、図2(b)中の丸付き数字3のように、補助連結材31を一方形材1と他方形材2の第一挟止片4、4間に配置し、次いで、補助連結材31を夫々の第一挟止片4、4間の隙間に押し込むことで、図2(b)中の丸付き数字4のように、一方形材1及び他方形材2の第一挟止片4、4の凹凸状をなす被係合部23と、補助連結材31両側面の凹凸状をなす係合部22とが凹凸に係合した中空略矩形状をなす金属製形材が得られる。
【0013】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、連結材3、主連結材30、補助連結材31及び第一挟止片4及び第二挟止片5の形状については、第一挟止片4と第二挟止片5の間に連結材3又は主連結材30を挟み込んだときに抜け出さないものであればよく、例えば、連結材3又は主連結材30の左右の横突条3a、3aの上面と下面がフラットに形成してあり、第一挟止片4と第二挟止片5の上下の対向面に凸部を設けると共に、連結材3や主連結材30に凹部を設けて、互いの凹部と凸部を凹凸に嵌合する態様のものであってもよい。連結材3の竪突条3b及び補助連結材31の係合部22、ならびに一方形材1及び他方形材2の被係合部23とは、互いに凹凸に係合するものであればよいから、波型に曲面が連続するものなどでもよい。また、係合部22及び被係合部23を形成するときは、フライス加工、ワイヤーカット加工などであってもよい。補助連結材31は、一方形材1及び他方形材2の形材長手方向に一定の間隔で複数設けてもよく、特に形態を限定するものではない。また、竪突条3b及び補助連結材31は、上記実施形態では上方にのみ設けてあるが、連結材3又は主連結材30の上下両方に配置してあってもよい。一方形材1、他方形材2及び連結材3は、適用する構造物によって寸法が適宜変更される。また、材質はアルミのほか、スチールであってもよい。上記した施工手順以外に、左右の横突条3a、3aを両方同時に一方形材1と他方形材2の挟止部に挟み込むようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1(a)(b)】(a)は、図3中B−Bを横断面して示す、本実施による金属製形材の斜視図であり、(b)は、背面視したものである。
【図2(a)(b)】(a)は、本実施による金属製形材の施工手順を示す斜視図であり、(b)は、本発明の金属製形材の施工手順の他の実施例を示す正面図である。
【図3】本実施による金属製形材を適用した構造物の全体図である。
【符号の説明】
【0015】
1 一方形材
2 他方形材
3 連結材
3a、30a 横突条
3b 竪突条
4 第一挟止片
5 第二挟止片
22 係合部
23 被係合部
30 主連結材
31 補助連結材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の一方形材及び他方形材と、一方形材と他方形材を接合する金属製の連結材とを備え、連結材は、左右方向に突出する左右の横突条と、上下方向に突出する竪突条とを有し、竪突条の両側面の各々には凹凸状をなす係合部を有しており、一方形材と他方形材は、横突条を上下から挟む第一挟止片と第二挟止片を有すると共に、第一挟止片及び第二挟止片のうちの竪突条と対向する挟止片に竪突条の係合部と凹凸に係合する凹凸状をなす被係合部を有することを特徴とする金属製形材。
【請求項2】
金属製の一方形材及び他方形材と、一方形材と他方形材を接合する金属製の主連結材及び金属製の補助連結材とを備え、主連結材は、左右方向に突出する左右の横突条を有し、補助連結材は、主連結材に隣接し且つ両側面に凹凸状をなす係合部を有しており、一方形材と他方形材は、横突条を上下から挟む第一挟止片と第二挟止片を有すると共に、第一挟止片及び第二挟止片のうちの補助連結材と対向する挟止片に補助連結材の係合部と凹凸に係合する凹凸状をなす被係合部を有することを特徴とする金属製形材。

【図1(a)(b)】
image rotate

【図2(a)(b)】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−249952(P2009−249952A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−100704(P2008−100704)
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【出願人】(000175560)三協立山アルミ株式会社 (529)
【Fターム(参考)】