説明

金属製管路の導通一体型構造

【課題】継手部の伸縮、屈曲の際に導電性部材が破損しないようにする。
【解決手段】継手部2で接続された金属製の管体1,1をさや管P内に充填材Gを介して埋設し、前記継手部2を挟む両管体1,1間を導線12で繋いで、前記両管体1,1間を導通させるとともに、その導線12に伸縮を許容する可動部20を設けた。このため、継手部2が伸縮、屈曲する際に、導線12は管体1の動きに追随して動くことができ、その破損を防ぐことができる。また、可動部20周囲に、その可動部20に密着する発泡樹脂成形体からなる保護部材21を設け、可動部20以外の部分を樹脂製保護管からなる保護部材22で覆って、導線12と前記管体1周囲の充填材Gとを隔てた。継手部2の伸縮に伴って管体1及び保護部材21が充填材Gに対して相対移動する際に、周囲の充填材Gとの間に空隙が確保されるので、可動部20の動きが阻害されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地中に埋設した金属管の導通一体型構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道線路が敷設されている付近に、ガス管、水道管、各種ケーブル管などの金属製の埋設管が設けられている場合、レールに流れる電流が地中に漏れ出て、その漏れ電流(いわゆる迷走電流)が、それらの埋設管にしばしば電食を生じさせる。
これは、例えば、図7に示すように、上記漏れ電流がレールRから地中を伝って埋設管1に流入した後、電鉄の変電所S付近で再度地上のレールRに向かって流出することによりその流出部分Cにおいて局部的に激しい腐食が生じるものである。
【0003】
そこでこのような電食を防止するため、金属管継手部分にゴム輪を用いて隣り合う管同士を電気的に絶縁し、管路に沿って迷走電流が流れないようにする手法が知られている。
また、埋設管の表面に絶縁層を設けたり、あるいは、電流を他へ逃がす導電層を設けるなどして、外部から埋設管に電流が流れ込まないようにする手法なども提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、一方、このような電食を防止したり、あるいは配管を積極的に防食する手法として、選択排流法、強制排流法、外部電源法、流電陽極法などの電気防食法があるが、これらの電気防食対策を行うためには、逆に管路を一体化させる必要がある。さらに、管路の電位に基いて配管を防食管理するため電位管理を行う場合にも、管路を同様に一体化させる必要がある。
【特許文献1】特開2000−120923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、埋設管の継手部は、地震時等の地盤変動に対して管体が損傷しないように、軸方向伸縮、屈曲を大きく許容する耐震管継手構造を採用するケースが増えている。
【0006】
しかし、管路を電気的に一体化させるため管体同士を導線等を介して接続すると、継手部を挟んで管体同士が動いた際に、導線がその動きに追随できなくて破損してしまう場合がある。
【0007】
導線等がひとたび管体間の導通機能を失えば、その導通機能の復元は、その破損部分を配管の電位の変動や掘削等により見つけ出して、新たな導電性部材により復旧するなどしなければならず、これらの作業は大変困難を要し、場合によっては不可能である。
【0008】
そこで、この発明は、管体同士を導通させる導電性部材が、継手部の伸縮、屈曲の際に破損しないようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、この発明は、管体同士を導通させる導電性部材に伸縮可能な部分を設けたのである。
このようにすれば、継手部において管体同士が伸縮、屈曲する際に、導電性部材は、管体の動きに追随して伸縮することができる。このため、導電性部材の破損を防ぐことができる。
【0010】
また、その導電性部材が、管体の埋設時に周囲の地盤あるいはさや管内の充填材に固着しないよう、その導電性部材と周囲の地盤あるいは充填材とを隔てる覆いを設けたのである。
このようにすれば、上記導電性部材は、管体を埋設した際に周囲の充填材、地盤等によって固着せず、その動きが拘束されにくい。このため、管体同士の伸縮、屈曲の際にその動きに追随して動きやすく、導電性部材の破損をより確実に防止し得る。
【発明の効果】
【0011】
この発明は、管体同士を導通させる導電性部材が、管体同士の伸縮、屈曲の際に破損しないので、地震時等の地盤変動があった際にも、管体同士の導通状態が維持されるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
上記手段の実施形態として、金属製の管体同士を継手部を介して接続して地中に埋設し、前記継手部を挟む両管体にそれぞれ設けた接点間を導電性部材で繋いで前記両管体間を導通させ、その導電性部材に、前記接点間の距離変化に伴って伸縮を許容する可動部を設けた構成を採用し得る。
ここで、金属管とはダクタイル鋳鉄管、鋳鉄管、鋼管あるいはステンレス鋼管などが挙げられる。
継手部において管体同士が伸縮、屈曲すると、導電性部材を繋いだ接点間の距離は変化するが、導電性部材は、その距離変化に伴って可動部において伸縮して管体の動きに追随することができる。このため、導電性部材の破損を防ぐことができる。
【0013】
また、上記導電性部材は上記管体の外側に配設され、その導電性部材の全長を保護部材で覆うとともに、上記管体の地中への埋設状態において、前記保護部材に対して前記導電性部材を長さ方向に移動自在とした構成を採用し得る。
【0014】
例えば、その管体が充填材を介してさや管内に敷設される場合、導電性部材が管体の外側に配設されていれば、可動部とその可動部以外の導電性部材は、それぞれさや管と管体との間に充填したエアミルク等の充填材によりその動きが拘束され、その伸縮が鈍くなるとも考えられる。また、管体が、さや管を介さずに直接地盤の土中に埋設される場合においても、導電性部材が、周囲の地盤に接触してその動きが拘束されると考えられる。
そこで、上記のように導電性部材を覆う保護部材を設ければ、充填材や地盤による導電性部材の拘束を防ぐことができる。
【0015】
上記導電性部材を導線とし、上記可動部は、前記導線の一部に弛みを設けて形成されたものとすれば、可動部は、その弛みによっての伸縮を許容し得るので、可動部の構成を簡素化し得る。
【0016】
なお、上記導電性部材が導線である場合において、可動部以外の部分に設けられる保護部材は、その内部に前記導線を収納可能な樹脂製保護管とすることができる。
【0017】
また、上記導電性部材の可動部に設けられる保護部材は、その内部に前記可動部の伸縮を許容する空隙を有するものとすれば、可動部が伸縮の際、適宜その空隙内で動くことができるので、その伸縮が阻害されない。
このように保護部材で可動部を覆えば、継手部の伸縮に伴ってその保護部材が周囲の充填材に対して相対移動すると、その保護部材又は周囲の充填材、あるいはその双方が、適宜、変形又は圧壊等して前記空隙を確保し得る。
【0018】
また、上記導電性部材の可動部に設けられる保護部材は、前記可動部の周囲に密着する発泡樹脂成形体とすることができる。
このように発泡樹脂成形体からなる保護部材で可動部を覆えば、上記の場合と同様、継手部の伸縮に伴ってその保護部材が周囲の充填材に対して相対移動すると、その保護部材又は周囲の充填材、あるいはその双方が、適宜、変形又は圧壊等して前記空隙を確保し得る。また、可動部の周囲に発泡樹脂成形体が密着しているので、その可動部は、管体に伸縮が発生しない通常の状態において、発泡樹脂成形体にしっかりと保持される。
【実施例1】
【0019】
実施例1を図1乃至図3に基づいて説明する。この実施例は、ダクタイル鋳鉄管である管体1,1の継手部2として通常使用されているNS形継手において、その管体1,1間を導通させることにより、管体1に流入した漏れ電流を管路方向に沿って導く導通一体型構造を採用したものである。
【0020】
継手部2の構成は、図1に示すように、管体1の挿し口3が、隣り合う管体1の受口4に嵌め込まれるようになっており、その挿し口3の先端部外周面に全周に亘る挿し口突起3aが一体に形成されている。また、受口4の内周面には、挿し口3の外周面に摺接するシール用ゴム輪5を収納するゴム輪溝5aと、芯出し用ゴム付きのロックリング6を収納するロックリング溝6aとが形成されている。
【0021】
地中に埋設されたさや管P内において、上記管体1の挿し口3を先行する管体1の受口4に挿入することによって管体1が順次接合され、その接合された管体1,1・・・が、さや管P内に押し込まれて行くことにより管路が敷設されていく。
挿し口3の外周には、やや後方においてサドル部材9が嵌められており、そのサドル部材9のフランジ部9aに管軸直角方向のボルト軸8aが挿通されて、そのボルト軸8aに回転自在の推進用ローラ8が設けられている。このため、管体1を押し込む際のさや管Pとの摩擦抵抗を少なくし、推進に必要な押し込み力が低減される。
また、推進完了後は、管体1とさや管Pとの隙間には充填材Gが充填される。
【0022】
このように敷設された管路において、地震等により、上記継手部2に大きな引き抜き力が作用した場合は、挿し口3と受口4とが管軸方向に引き抜かれる方向に移動する。このとき、上記ロックリング6と上記挿し口突起3aとが係合することにより、受口4から挿し口3が逸脱することが防止される(図1(a)参照)。
また、継手部2に大きな押し込み力が作用した場合は、挿し口3と受口4とが管軸方向に押し込まれる方向に移動する。このとき、挿し口3の先端が、受口4の奥端部4aに当接するまで、その移動が許容される(図1(b)参照)。
【0023】
また、上記挿し口3には、外側に突出するフランジ7が上記サドル部材9と一体に設けられており、そのフランジ7と受口4の端面4bとの間に、発泡スチロール等からなる推進力伝達部材Mが設けられている。
推進力伝達部材Mは、管体1をさや管P内に押し込む際に、前記受口4の端面4bに推進力を伝達する役割を果し、施工完了後は、上記のように継手部2が押し込まれた際に、弾性限界応力以下の圧縮力を受けて弾性変形し、それ以上の圧縮力が作用した場合は塑性変形することにより、継手部2の動きに対応するものとなっている。
【0024】
その継手部2を挟む両管体1,1には、管体1の外周面に金属製の固定台13が溶接により固定されている。固定台13と管体1とは、その接触面を接点aとして導通している。その固定台13にボルト11がねじ込まれており、そのボルト11及び固定台13によって、そのボルト11と管体1の金属部分とが接触することにより、その接触部分を接点a,aとして管体1とボルト11が導通し、そのボルト11を介して固定台13は管体1に導通する。
各固定台13,13には、導線(導線性部材)12の両端に設けた圧着端子11a,11aがボルト11、11により固定され、1本の導線12を介して、継手部2を挟む両管体1,1同士が導通する(図2(a)(b)参照)。
【0025】
導線12は、ケーブル10の樹脂製保護管(保護部材)22内に収納されており、その導線12が保護管22内において長さ方向に移動可能な状態となっている。また、このケーブル10は、管体1の外周面に沿って配設されており、サドル部材9を設けた部分においては、推進用ローラ8と管体1の外周面との間の隙間に通されている。
なお、ケーブル10の配設ルートは自由に設定可能であるので、例えば、推進用ローラ8の介在しない位置(周方向位置)において、サドル部材9の外周側を前記ケーブル10の配設ルートとしてもよい。
【0026】
また、その導線12には、上記継手部2の伸縮、又は屈曲による前記接点a,a間の距離変化に伴って、そのケーブル10の全長の伸縮を許容する可動部20が設けられる。
可動部20は、上記導線12の一方の端部に設けられて、図2(b)の左側に示すように、上記圧着端子11aへの接続部付近において、導線12に弛みを設けて形成される。このように弛みを設ければ、導線12に引張り方向の力(図中の矢印A参照)が作用すれば、その弛みが取り除かれる方向に導線12が移動し、また、導線12に押し込み方向の力(図中の矢印B参照)が作用すれば、その弛みが増える方向に導線12が移動する。
【0027】
また、管体1には、その可動部20全周を覆う保護部材21が設けられている。保護部材21は、発泡スチロール成形体で構成される。
【0028】
図3(a)に示す状態から図3(b)に示す状態へと矢印C方向に管体1が移動すれば、保護部材21の変形、圧壊に伴い作り出された空間により、可動部20がその移動方向に沿って伸びる。
同様に、図3(c)に示す状態から、図3(d)の矢印D方向に管体1が移動すれば、可動部20がその移動方向に沿って縮む。
【0029】
上記樹脂製保護管22は、上記可動部20に至らない範囲で設けることが望ましい。仮に、可動部20の導線12周囲を樹脂製保護管22でぴったりと覆うと、その可動部20の伸縮が幾分拘束されるからである。したがって、この実施例では、樹脂製保護管22は、導線12が保護部材21内へ入り込む部分まで設けられており、その保護部材21と樹脂製保護管22との接続部分には、シール材等により内部に充填材G等が入り込まないような処置を施している。
ただし、樹脂製保護管22が可撓性の大きい素材であり、その可動部20の伸縮の動きを阻害しない素材である場合には、樹脂製保護管22を導線12の全長に設けることも可能である。
【0030】
また、この実施例では、上記保護部材21を、図2(b)の左側に示す可動部20を設けた側の導線12端部に加え、同図右側に示す可動部20を設けていない側の導線12端部にも設けている。このようにすることにより、固定台13やボルト11、圧着端子11a等を腐食から保護する効果も期待できる。
【0031】
なお、可動部20を導線12の両端にそれぞれ設けることは差し支えない。導線12の両端に可動部を設ければ、より大きな継手部2の伸縮にも対応できるようになる。
また、上記可動部20が対応し得る伸縮量は、上記接点a,a間に予想される距離変化以上に設定することが望ましいといえる。
【0032】
このような導通一体型構造を伴った管体1を、さや管P内に推進により敷設する際には、管体1の挿し口3を先行する管体1の受口4に挿入して接続した後、その接続した継手部2が発進立抗内、あるいはその近傍に位置する状態において、導線12を各管体1,1に接続するとよい。継手部2がさや管P内に深く入り込んでしまうと、そのさや管Pと管体1との隙間が小さい場合は、接続作業が困難になるからである。
【0033】
この接続の際、あらかじめ導線12の可動部20を含む周囲に、保護部材21としての発泡スチロール成形体を一体化させておき(図2(a)に示す状態)、その発泡スチロール成形体のうち、上記ボルト11頭部に臨む部分のみを切り欠いておくと便利である。その切り欠きからボルト11を挿入して固定台13にねじ込んだ後、その発泡スチロールの切り欠いた部分を同種の素材で埋めることにより、容易に保護部材21で全体を覆うことができるからである。
なお、上記可動部20は、地震時等の継手部2の伸縮、屈曲のみならず、さや管P内に管体1を推進する際に継手部2に生じる伸縮、屈曲にも対応し得る。
【実施例2】
【0034】
実施例2を図4乃至図6に基づいて説明する。この実施例は、S形継手において導通一体型構造を採用したものである。
【0035】
継手部2の構成は、上記NS形継手の場合と同様、挿し口3は、管体1の先端外周面に設けた挿し口突起3aが、受口4側に設けたロックリング6に係合することにより、受口4から挿し口3が抜けることを防止する(図4参照)。
【0036】
その受口4の内面には、端面4bに近づくにつれて徐々に拡径するテーパ部4cが設けられており、端面4bには、ねじ穴14が周方向に沿って多数設けられている。
上記受口4に挿し口3を挿入した状態において、前記テーパ部4cと挿し口3の外周面との間に、シール材であるゴム輪15が差し込まれる。ゴム輪15は、受口4の内面に沿う形状に形成されており、前記受口4と挿し口3との間に差し込んだ後、その後部に割輪16を介して押輪18が配置される。
【0037】
押輪18にはボルト17が挿通されて、そのボルト17が上記ねじ穴14にねじ込まれる。そのボルト17には、押輪18の後側においてナット17aが取付けられており、そのナット17aを締め付けると押輪18が前方へ押し出されて、割輪16を介してゴム輪15が受口4のテーパ部4cと挿し口3の外周面との隙間に押し込まれる。
【0038】
挿し口3の外周には、やや後方においてサドル部材9が嵌められており、そのサドル部材9のフランジ部9aに管軸直角方向のボルト軸8aが挿通されて、そのボルト軸8aに回転自在の推進用ローラ8が設けられている。
また、その挿し口3には外側に突出するフランジ7が上記サドル部材9と一体に設けられており、そのフランジ7と上記ボルト17の後端との間に、発泡スチロール等からなる推進力伝達部材Mが設けられている。また、その推進力伝達部材Mの推進方向前面には、前記ボルト17の後端に当接する防護リングが設けられている。
推進力伝達部材M、推進用ローラ8等の機能については、実施例1のNS形継手の場合と同様であるので説明を省略する。
【0039】
ケーブル10の構成は、実施例1と同様であるが、導線(導電性部材)12は、図4に示すように、継手部2によって多数接続された管体1の連結体に沿って連続的に設けられており、その導線12と管体1とを導通させるために、図5に示す金属製の固定台13が管体1に取付けられている。
【0040】
固定台13は、管体1の外周面に沿って管軸方向に延びる外側部13aと、その外側部13aから内径方向に延びて上記押輪18に密着する差込み部13bとからなる断面T字型を成し、その差込み部13bに形成した孔13cに上記ボルト17が挿通されて、そのボルト17と上記受口4の端面4bに設けたねじ穴14との接触部分を接点aとして、固定台13が管体1に導通するようになっている。
【0041】
また、可動部20は、隣接する継手部2,2間の中程、すなわち、上記接点a,a間の中程に設けられて、図6に示すように、導線12に弛みを設けて形成される。また、その可動部20を覆う上記保護部材21が設けられる。保護部材21の構成は、実施例1と同様、発泡スチロール成形体である。継手部2が伸縮した際の作用も、その保護部材21内に固定台13、ボルト11、圧着端子11a等の端子類を有さない点を除けば、実施例1の場合と同様であるので、説明を省略する。
なお、図6は、導線12を二本並列して設けたものであり、いずれの態様においても、このように配設する導線12の本数は自由である。
【0042】
上記各実施例では、管体1を充填材Gを介してさや管P内に敷設したが、この実施例に限定されず、例えば、管体1を充填材Gを介さずにさや管P内に敷設する態様も考えられる。充填材Gを介さずに管体1を敷設する場合には、管体1の周囲には空間が介在するので、可動部20を覆う保護部材21を省略した構成としてもよい。
また、地盤内に管体1を直接埋設する態様においても、上記各導通一体型構造を採用することができる。
【0043】
上記各実施例では、保護部材21を発泡スチロール成形体としたが、保護部材21としては、他の素材からなる発泡樹脂成型体を採用可能である。
【0044】
また、保護部材21は、例えば、可動部20周囲を覆う箱状の部材とするなど、可動部20周囲に所定の空間を確保しつつ、その確保した空間とその外側とを仕切る部材で構成してもよい。可動部20周囲の空間に充填材G等が流入しないようにして、可動部20周囲に空間を確保すれば、可動部20の自由な動きが確保できる。
その箱状の保護部材21を採用した態様において、継手部2が伸縮した際には、上記発泡スチロール成形体からなる保護部材21を採用した場合(図3参照)と同様、可動部20が管体1の移動方向に沿って伸縮するとともに、可動部20の動きが充填材Gによって拘束されないように、周囲の充填材Gとの間に空隙を確保し得るものであればよい。
例えば、箱状を成す樹脂製の保護部材21を、管体1の外面に接着等により固定した態様が考えられる。
【0045】
また、可動部20の構成としては、導線12を弛ませた構成のほか、導線12をばね状に形成して伸縮自在とする手法、導線12の一部に対の摺動部材を設けて、その摺動部材同士の摺動により伸縮可能とする可動部20の構成、導線12の圧着端子11aに長穴を設けて、その長穴にボルト11を挿通することにより、導線12の端部を固定台13に対して可動とする構成などを採用することができる。
また、上記各実施例では、導電性部材として導線を採用したが、導線以外の導電性を有する部材、例えば、管軸方向に長い金属板等を採用してもよい。さらに、管路の使用上問題なければ、この導電性部材12を管体1の内面に沿って配設することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施例1を示し、(a)は継手部が引かれた状態、(b)は継手部が押し込まれた状態を示す一部切断正面図
【図2】実施例1を示し、(a)は管体に導電性部材を取付けた状態を示す正面図、(b)はその平面図
【図3】図2の作用図
【図4】実施例2の一部切断正面図
【図5】実施例2を示し、(a)は管体に導電性部材を取付けた状態を示す平面図、(b)はその正面図
【図6】実施例2の可動部の詳細図
【図7】電食のメカニズムを示す説明図
【符号の説明】
【0047】
1 管体
2 継手部
3 挿し口
4 受口
5 シール用ゴム輪
6 ロックリング
7 フランジ
8 推進用ローラ
9 サドル部材
10 ケーブル
11 ボルト
11a 圧着端子
12 導線(導電性部材)
13 固定台
13a 外側部
13b 差込み部
20 可動部
21 保護部材
22 保護管
a 接点
G 充填材
P さや管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の管体1,1同士を継手部2を介して接続して地中に埋設し、前記継手部2を挟む両管体1,1にそれぞれ設けた接点a,a間を導電性部材12で繋いで前記両管体1,1間を導通させ、その導電性部材12に、前記接点a,a間の距離変化に伴って伸縮を許容する可動部20を設けたことを特徴とする金属製管路の導通一体型構造。
【請求項2】
上記導電性部材12は上記管体1の外側に配設され、その導電性部材12の全長を保護部材21,22で覆うとともに、上記管体1の地中への埋設状態において、前記保護部材21,22に対して前記導電性部材12を長さ方向に移動自在としたことを特徴とする請求項1に記載の金属製管路の導通一体型構造。
【請求項3】
上記導電性部材12は導線であり、上記可動部20は、前記導線の一部に弛みを設けて形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属製管路の導通一体型構造。
【請求項4】
上記導電性部材12の可動部20以外の部分に設けられる保護部材22は、その内部に上記導線を収納可能な樹脂製保護管であることを特徴とする請求項3に記載の金属製管路の導通一体型構造。
【請求項5】
上記導電性部材12の可動部20に設けられる保護部材21は、その内部に前記可動部20の伸縮を許容する空隙を有することを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の金属製管路の導通一体型構造。
【請求項6】
上記導電性部材12の可動部20に設けられる保護部材21は、前記可動部20の周囲に密着する発泡樹脂成形体であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の金属製管路の導通一体型構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−281136(P2008−281136A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−126893(P2007−126893)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(000142595)株式会社栗本鐵工所 (566)
【Fターム(参考)】