説明

金属鋼帯の蛇行制御方法および装置

【課題】不要な蛇行制御を防止して安定した通板を実現できる金属鋼帯の蛇行制御方法および装置を提供すること。
【解決手段】金属鋼帯の側面に電磁波を送信し、前記側面からの前記電磁波の反射電磁波を受信し、前記電磁波の送信から前記反射電磁波の受信までの時間を基に前記金属鋼帯の側面の位置を測定する位置測定工程と、前記測定した金属鋼帯の側面の位置を所定の位置に修正する蛇行制御工程と、を含み、前記測定した金属鋼帯の側面の位置の変位速度が閾値よりも大きい場合は前記金属鋼帯の側面の位置の修正を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属鋼帯の蛇行を制御する方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属鋼帯(以下、適宜単に鋼帯と記載する)に連続燃鈍処理等の連続処理を施す連続処理ラインには、安定した通板を実現するために、鋼帯の蛇行を制御する技術が使用されている。従来、特許文献1に記載された蛇行修正装置が開示されている。特許文献1に記載の装置は、鋼帯の側面(エッジ)の位置または幅の検出結果に基づいてその蛇行量を検出し、検出した蛇行量を補正するように蛇行修正を行うものである。また、この蛇行修正装置では、鋼帯の側面の割れ等によって幅異常があると検知された場合には、蛇行修正を行わないようにしている。
【0003】
また、従来鋼帯の側面位置を測定する装置として、鋼帯の側面にマイクロ波を送信してその反射マイクロ波を受信し、マイクロ波の送信から受信までの時間を基に側面位置を測定する装置が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−248507号公報
【特許文献2】国際公開第2006/048979号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の蛇行修正装置では、鋼帯の幅を基に蛇行量や鋼帯の幅異常を検出している。したがって、たとえば鋼帯の片側の側面だけにノッチ、または割れ等の形状異常(以下、適宜ノッチ等と記載する)があった場合に、そのノッチ等による幅変化を蛇行と誤認し、不要な蛇行制御を行ってしまうおそれがあるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、不要な蛇行制御を防止して安定した通板を実現できる金属鋼帯の蛇行制御方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る金属鋼帯の蛇行制御方法は、金属鋼帯の側面に電磁波を送信し、前記側面からの前記電磁波の反射電磁波を受信し、前記電磁波の送信から前記反射電磁波の受信までの時間を基に前記金属鋼帯の側面の位置を測定する位置測定工程と、前記測定した金属鋼帯の側面の位置を所定の位置に修正する蛇行制御工程と、を含み、前記測定した金属鋼帯の側面の位置の変位速度が閾値よりも大きい場合は前記金属鋼帯の側面の位置の修正を停止することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る金属鋼帯の蛇行制御装置は、金属鋼帯の側面に電磁波を送信し、前記側面からの前記電磁波の反射電磁波を受信し、前記電磁波の送信から前記反射電磁波の受信までの時間を基に前記金属鋼帯の側面の位置を測定する位置測定部と、前記測定した金属鋼帯の側面の位置を所定の位置に修正する蛇行制御部と、を備え、前記蛇行制御部は、前記測定した金属鋼帯の側面の位置の変位速度が閾値よりも大きい場合は前記金属鋼帯の蛇行の側面の位置の修正を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、金属鋼帯の不要な蛇行制御を防止して安定した通板を実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施の形態に係る蛇行制御方法を適用する連続処理ラインの要部の模式図である。
【図2】図2は、図1を矢印の方向に見た図である。
【図3】図3は、実施の形態に係る蛇行制御方法のフロー図である。
【図4】図4は、サンプリングのタイミングの一例を示すタイムチャートである。
【図5】図5は、鋼帯にノッチが形成された状態を示す図である。
【図6】図6は、蛇行量と制御量との関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照して本発明に係る金属鋼帯の蛇行制御方法および装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係る蛇行制御方法を適用する連続処理ラインの要部の模式図である。図1に示す連続処理ラインは、連続燃鈍処理を行う焼鈍炉である。焼鈍炉100では、炉体101の内部において、不図示の搬送ローラによって、紙面上方の上流側から紙面下方の下流側に鋼帯Sを通板しながら、ラジアントチューブ102、103により鋼帯Sを間接加熱している。
【0013】
鋼帯Sの側面S1、S2のうち、側面S1には、加工装置(ノッチャー)によってノッチNが形成されているとする。ラジアントチューブ102、103は、炉体101の外部から内部へと炉壁を貫通し、鋼帯Sの表面に沿うように炉体内部を蛇行し、炉体内部から外部へと炉壁を貫通するように配置されている。なお、焼鈍炉100は、図示しないラジアントチューブをさらに備えていてもよい。
【0014】
焼鈍炉100には蛇行制御装置10が設置されている。蛇行制御装置10は、位置検出用のセンサ11、12と、測定部13と、制御部14と、鋼帯位置制御装置15とを備えている。
【0015】
センサ11、12は、炉体101の炉壁内に設けられている。なお、図1にも示すように、センサ11、12は、ラジアントチューブ102、103が炉内に導入される場所以外の位置に、ラジアントチューブ102、103と干渉しないように設けられている。
【0016】
測定部13は、センサ11、12からの検出信号を基に、鋼帯Sの側面の位置の変位および変位速度を測定するように構成されている。制御部14は、測定部13の測定結果をもとに、鋼帯位置制御装置15を制御するように構成されている。測定部13および制御部14は、たとえばパーソナルコンピュータ上において所定の測定プログラムおよび制御プログラムを実行することにより実現される。
【0017】
鋼帯位置制御装置15は、鋼帯Sの位置を制御してその蛇行を修正するものである。鋼帯位置制御装置15としては、たとえば公知のCPC(Center Position Control)装置を使用することができるが、特に限定はされず、たとえばEPC(Edge Position Control)装置でもよい。
【0018】
図2は、図1を矢印Arの方向、すなわち鋼帯Sの下流側から上流側に向かって見た図である。図2に示すように、センサ11は、鋼帯Sの側面S1に対向するように配置されている。また、センサ11は、測定部13に接続された本体部11aと、本体部11aに接続された、送信アンテナ11bおよび受信アンテナ11cとを備えている。送信アンテナ11bと受信アンテナ11cとは、鋼帯Sの通板方向に対して略垂直の方向に配列されている。
【0019】
センサ11は、送信アンテナ11bが、鋼帯Sの側面S1に向けてマイクロ波W1を送信し、受信アンテナ11cが、鋼帯Sの側面S1で反射されたマイクロ波W1の反射マイクロ波RW1を受信するように構成されている。
【0020】
同様に、センサ12は、鋼帯Sの側面S2に対向するように配置されている。また、センサ12は、測定部13に接続された本体部12aと、本体部12aに接続された、送信アンテナ12bおよび受信アンテナ12cとを備えている。送信アンテナ12bと受信アンテナ12cとは、鋼帯Sの通板方向に対して略垂直の方向に配列されている。センサ12は、送信アンテナ12bが、鋼帯Sの側面S2に向けてマイクロ波W2を送信し、受信アンテナ12cが、鋼帯Sの側面S2で反射されたマイクロ波W2の反射マイクロ波RW2を受信するように構成されている。
【0021】
つぎに、蛇行制御装置10を用いた本実施の形態に係る鋼帯Sの蛇行制御方法について説明する。図3は、本実施の形態に係る蛇行制御方法のフロー図である。図3に示すように、本制御方法では、はじめに、鋼帯Sの通常蛇行制御を行う(ステップS101)。つぎに、鋼帯Sの側面の変位速度が閾値以内かどうかの判定を行う(ステップS102)。変位速度が閾値以内であれば(ステップS102、Yes)、続けて通常蛇行制御を行う(ステップS101)。変位速度が閾値以内でなければ、すなわち閾値より大きければ(ステップS102、No)、蛇行制御を停止する(ステップS103)。その後、さらにステップS102の判定を行い、変位速度が閾値より大きければ、ステップS103の蛇行制御の停止を継続する。一方、変位速度が閾値以内であれば、ステップS101の通常蛇行制御を再開する。
【0022】
本実施の形態に係る制御方法では、鋼帯の側面の変位速度が閾値以内かどうかの判定を基に、通常蛇行制御の継続、停止、再開を行う。これによって、鋼帯Sの側面の変位が、蛇行によるものか、ノッチ等によるものかを判別して、通常の蛇行制御の継続、停止、再開を行うことができる。その結果、鋼帯の幅を基にする場合のような、不要な蛇行制御を行ってしまうこと、およびこの不要な蛇行制御によって鋼帯の位置が異常になるということを防止することができる。
【0023】
本実施の形態に係る制御方法についてさらに具体的に説明する。はじめに、ステップS101の通常蛇行制御について説明する。
【0024】
この通常蛇行制御では、センサ11、12および測定部13が、所定のサンプリング時間間隔で、鋼帯Sの側面S1、S2の位置を測定し、これを基に側面S1、S2の変位および変位速度を算出する。側面S1の位置は、送信アンテナ11bがマイクロ波W1を送信してから受信アンテナ11cが側面S1からの反射マイクロ波RW1を受信するまでの時間を基に測定される。側面S2の位置も同様に、送信アンテナ12bがマイクロ波W2を送信してから受信アンテナ12cが側面S2からの反射マイクロ波RW2を受信するまでの時間を基に測定される。
【0025】
つぎに、側面S1、S2の変位および変位速度の算出について説明する。図4は、サンプリングのタイミングの一例を示すタイムチャートである。図4では、測定部13が、センサ11に、時間軸上で所定のサンプリング周期だけ離れた時刻t0、t2、t4で側面S1の位置のサンプリングを実行させる。各時刻における側面S1の測定位置がそれぞれ位置x1、x2、x3であるとする。また、測定部13は、センサ12に、時間軸上で所定のサンプリング周期だけ離れた時刻t1、t3、t5で側面S2の位置のサンプリングを実行させる。各時刻における側面S1の測定位置がそれぞれ位置y1、y2、y3であるとする。
【0026】
測定部13は、センサ11、12のサンプリング結果を基に、時刻t2、t3、t4、t5での側面S1または側面S2の変位を、それぞれ、(x2−x1)、(y2−y1)、(x3−x2)、(y3−y2)として算出する。また、測定部13は、時刻t2、t3、t4、t5での側面S1または側面S2の変位速度を、それぞれ、(x2−x1)/(t2−t0)、(y2−y1)/(t3−t1)、(x3−x2)/(t4−t2)、(y3−y2)/(t5−t3)として算出する。
【0027】
通常蛇行制御においては、制御部14は、測定部13から測定した側面S1および側面S2の変位が入力され、この変位を鋼帯Sの蛇行量とし、この蛇行量を修正するように鋼帯位置制御装置15を制御する。これによって、鋼帯Sの蛇行の制御が行われる。
【0028】
つぎに、測定部13は、測定した側面S1または側面S2の変位速度が閾値以内かどうか判定する。変位速度が閾値以内であると判定した場合は、上記の通常蛇行制御を継続して行う。また、変位速度が閾値より大きいと判定した場合は、通常蛇行制御を停止する。
【0029】
ここで、側面S1または側面S2の変位は、この変位が鋼帯Sの蛇行によるものである場合は連続的に、かつ比較的ゆっくりと変化する場合が多い。その結果蛇行による変位に対応する変位速度は比較的小さいものとなる。しかしながら、側面S1または側面S2の変位が、鋼帯Sに形成されたノッチ等によるものである場合には、急激に、または急激かつ不連続に変化する場合が多い。その結果ノッチ等による変位に対応する変位速度は比較的大きいものとなる。したがって、所定の変位速度の閾値を設けることによって、変位速度が閾値以内であれば蛇行による変位であり、閾値より大きければノッチ等による変位であると区別することができる。また、側面S1または側面S2の変位速度を基に判定を行っているので、たとえば図1のように鋼帯Sの側面S1の側だけにノッチNがあったとしても、蛇行とノッチ等とを区別し、通常蛇行制御を停止することができる。
【0030】
つぎに、変位速度について、鋼帯Sにノッチが形成されている場合を例にして説明する。図5は、鋼帯Sにノッチが形成された状態を示す図である。図5では、鋼帯Sは鋼帯SAと、鋼帯SAよりも幅が広い鋼帯SBとを接続したものであるとする。また、鋼帯SAと鋼帯SBとの接続部において鋼帯Sの両側面にそれぞれノッチN1、N2が形成されているとする。ノッチN1、N2は半径がRの円弧状であるとする。また、ノッチN1、N2は、鋼帯Sの側面に対して同じ深さで形成されているとする。
【0031】
たとえば、鋼帯SAの側面SA1からのノッチN1の最大深さをAとし、鋼帯SAの側面SA1と鋼帯SBの側面SB1との段差をBとする。すると、ノッチN1、N2の最大深さの最小値は、幅の狭い鋼帯SA側での最大深さであるAとなる。また、ノッチN1、N2の鋼帯SA側での長さは、√(R−(R−A))で表される。また、ノッチN1、N2の鋼帯SB側での長さは、√(R−(R−A−B))で表される。
【0032】
また、鋼帯Sの通板の速度(炉速)の最小値をV、変位の測定のサンプリング周期をΔtとすると、サンプリング周期毎の鋼帯Sの移動量の最小値は、V×Δtで表すことができる。なお、たとえば炉速の最小値を60mpm程度とすると、サンプリング周期はたとえば1〜10秒程度である。このとき、たとえば図5に示すようにV×Δt<√(R−(R−A))である場合は、サンプリング周期ΔtにおけるノッチN1、N2による変位の最小値は、幅の狭い鋼帯SA側での変位であるxとなる。一方、たとえば、V×Δt>√(R−(R−A))の場合は、サンプリング周期ΔtにおけるノッチN1、N2による変位の最小値は、幅の狭い鋼帯SA側での変位であるAとなる。
【0033】
変位速度の閾値は、過去の操業における蛇行速度の実績の最大値、変位の測定のサンプリング周期、およびノッチャーにより形成するノッチの仕様、および上述したようなノッチ等による変位の最小値などをパラメータとして、これらのパラメータを適宜組み合わせて設定することができる。たとえば、変位速度の閾値は、蛇行速度の実績の最大値以上に設定することが好ましく、ノッチ等による変位の最小値に対応する変位速度よりも小さく設定することが好ましい。
【0034】
その後も、センサ11、12および測定部13は、所定のサンプリング周期で側面S1、S2の変位および変位速度を測定し、変位速度が閾値以内かどうかの判定を行う。そして、側面S1および側面S2の変位速度が閾値以内であれば、蛇行制御装置10は、通常蛇行制御の再開または継続を行う。また、側面S1または側面S2の変位速度が閾値より大きければ、蛇行制御装置10は通常蛇行制御の停止または停止の継続を行う。
【0035】
以上説明したように、本実施の形態に係る蛇行制御方法によれば、鋼帯Sの不要な蛇行制御を防止し、より的確な蛇行制御を実現することができ、安定した鋼帯Sの通板および連続焼鈍処理を実現することができる。
【0036】
また、本実施の形態によれば、センサ11およびセンサ12のいずれか一方から得られた変位速度を基に通常蛇行制御の継続、停止、再開を行うことができる。したがって、図1に示すように、ラジアントチューブ102、103と干渉しないように、センサ11とセンサ12とを、鋼帯Sの通板方向に対してずらして配置してもよい。すなわち、センサ11とセンサ12とは、通板方向に対して軸対称の配置でなくてもよい。このように、設備配置上の制約を受けず、センサ11、12の自由な配置が可能となる。なお、センサ11、12の通板方向に対する位置ずれ量は、たとえば1〜20mとしてもよい。ただし、焼鈍炉100内の隣接する2つの搬送ローラ間にセンサ11、12の両方を配置することが好ましい。
【0037】
ここで、図6は、本実施の形態の構成の蛇行制御装置によって、焼鈍炉内で鋼帯の蛇行制御を行った場合の、蛇行量と蛇行制御量との関係の一例を示す図である。横軸は時間を示し、縦軸は鋼帯の蛇行量又は蛇行制御量を示している。蛇行制御量とは、鋼帯位置制御装置による鋼帯の位置の修正量を意味する。縦軸の0は時刻0秒での鋼帯の幅方向の基準位置を示している。線L1は鋼帯の蛇行量を示している。線L2は蛇行制御量を示している。
【0038】
図6に示す例では、時刻0秒から時間の経過にしたがって鋼帯が縦軸の負の方向に蛇行しているが、蛇行制御装置によって鋼帯の位置を縦軸の正の方向に修正するように制御が掛けられている。その結果、鋼帯は蛇行が修正された状態で通板されている。つぎに、区間Tでは側面の変位速度が閾値を越えたので、蛇行制御装置の修正の制御が停止している。これによって、不要な蛇行制御が防止されている。区間Tの後は、蛇行量が正の方向に増加しているが、蛇行制御装置によって鋼帯の位置を負の方向に修正するように制御が掛けられており、鋼帯は蛇行が修正された状態で通板されている。
【0039】
なお、上記実施の形態において、蛇行制御装置10はセンサ11、12を備えているが、センサ11およびセンサ12の一方だけを備えるようにしてもよい。また、センサ11、12は、電磁波としてマイクロ波を送受信するものであるが、レーザ光やミリ波などの他の電磁波を送受信して鋼帯の側面の位置を検出するものでもよい。
【0040】
また、上記実施の形態において、センサ11、12によって鋼帯Sの幅も測定するようにしてもよい。センサ11、12によって鋼帯Sの幅を測定する場合は、センサ11、12が、鋼帯Sの通板方向に軸対称な側面S1、S2の位置を測定するように、鋼帯Sの炉速に応じてサンプリング周期およびサンプリングのタイミングを設定することがより好ましい。たとえば、図1において、所定のタイミングでセンサ11が鋼帯Sの側面S1の位置を測定した後、この測定した位置がセンサ12の正面に到達したタイミングで、センサ12が鋼帯Sの側面S2の位置を測定するようにサンプリング周期およびサンプリングのタイミングを設定する。これによって、センサ11、12は、鋼帯Sの通板方向に軸対称な側面S1、S2の位置を測定することができる。
【0041】
また、上記実施の形態では、本発明を焼鈍炉に適用しているが、本発明は酸洗工程、圧延工程などの他の連続処理ラインにも制限無く適用することができる。
【0042】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施の形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。本実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
10 蛇行制御装置
11、12 センサ
11b、12b 送信アンテナ
11c、12c 受信アンテナ
11a、12a 本体部
13 測定部
14 制御部
15 鋼帯位置制御装置
100 焼鈍炉
101 炉体
102、103 ラジアントチューブ
Ar 矢印
L1、L2 線
N、N1、N2 ノッチ
RW1、RW2 反射マイクロ波
S、SA、SB 鋼帯
S1、S2、SA1、SB1 側面
S101、S102、S103 ステップ
T 区間
W1、W2 マイクロ波

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属鋼帯の側面に電磁波を送信し、前記側面からの前記電磁波の反射電磁波を受信し、前記電磁波の送信から前記反射電磁波の受信までの時間を基に前記金属鋼帯の側面の位置を測定する位置測定工程と、前記測定した金属鋼帯の側面の位置を所定の位置に修正する蛇行制御工程と、
を含み、前記測定した金属鋼帯の側面の位置の変位速度が閾値よりも大きい場合は前記金属鋼帯の側面の位置の修正を停止することを特徴とする金属鋼帯の蛇行制御方法。
【請求項2】
前記位置測定工程において、前記金属鋼帯の両側の側面の位置を測定し、前記少なくとも一方の側面の位置の変位速度が前記閾値よりも大きい場合は前記金属鋼帯の側面の位置の修正を停止することを特徴とする請求項1に記載の金属鋼帯の蛇行制御方法。
【請求項3】
前記位置測定工程において、前記金属鋼帯の通板方向に対してずれた位置において前記金属鋼帯の両側の側面のそれぞれの位置を測定することを特徴とする請求項2に記載の金属鋼帯の蛇行制御方法。
【請求項4】
金属鋼帯の側面に電磁波を送信し、前記側面からの前記電磁波の反射電磁波を受信し、前記電磁波の送信から前記反射電磁波の受信までの時間を基に前記金属鋼帯の側面の位置を測定する位置測定部と、前記測定した金属鋼帯の側面の位置を所定の位置に修正する蛇行制御部と、
を備え、前記蛇行制御部は、前記測定した金属鋼帯の側面の位置の変位速度が閾値よりも大きい場合は前記金属鋼帯の側面の位置の修正を停止することを特徴とする金属鋼帯の蛇行制御装置。
【請求項5】
前記位置測定部は、前記金属鋼帯の両側の側面の位置を測定するための2つの位置検出部を備え、前記蛇行制御部は、前記2つの位置検出部が測定した少なくとも一方の側面の位置の変位速度が閾値よりも大きい場合は前記金属鋼帯の側面の位置の修正を停止することを特徴とする請求項4に記載の金属鋼帯の蛇行制御装置。
【請求項6】
前記2つの位置検出部は、前記金属鋼帯の両側の側面において、前記金属鋼帯の通板方向に対してずれた位置にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項5に記載の金属鋼帯の蛇行制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−255178(P2012−255178A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127632(P2011−127632)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】