説明

鉄含有ダスト塊成化物および溶銑製造方法

【課題】破壊・粉化しにくい高い強度と、還元・溶融時に発生する融液が炉内充填層の空隙を埋めないような性能を有する鉄含有ダスト塊成化物を得る。
【解決手段】水硬性のバインダーを混合した鉄含有ダストを水和硬化させて得られる塊成化物であって、内層部と外層部とからなり、内層部中のバインダーのAl含有量xと外層部中のバインダーのAl含有量yが、y>xを満足する。外層部の溶融開始温度が内層部のそれに較べて高いため、炉内に装入されて塊成化物内部に温度分布を生じた際に、外層部と内層部で融液が生成する時間差を小さくし若しくは実質的に無くすことができる。これにより、外層部と内層部について炉内の同じ領域(位置)で融液を生成させることができ、融液の存在する炉内領域を小さくし、融液が炉内充填層の空隙を埋めることを抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
鉄鋼製造プロセスなどで発生する鉄含有ダストを水硬性バインダーで水和硬化させて得られる鉄含有ダスト塊成化物と、この鉄含有ダスト塊成化物を用いた溶銑製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼製造プロセスでは、種々の工程で鉄含有ダストが発生するが、このような鉄含有ダストを塊成化し、これをキュポラなどの竪型溶解炉に鉄源としてリサイクル装入する方法が知られている(例えば、特許文献1)。鉄含有ダストを塊成化する理由は、竪型溶解炉では炉下部から炉頂に向かうガスの流れがあり、粉体のままでは炉頂装入したダストの一部または全部がガス流に同伴して炉外に排出されてしまい、溶銑を得ることができないためである。
【0003】
特許文献1の方法では、酸化鉄粉に所定量の生石灰または消石灰を配合し、必要に応じて炭質物粉を配合し、1ペレットあたりの圧壊強度が20kg以上になる期間、炭酸ガス含有気流中で養生することで塊成化物を得ている。
【特許文献1】特開昭48−23613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、本発明者が行った試験によると、上記従来技術で製造されたダスト塊成化物を竪型溶解炉に装入した場合、炉の通気抵抗が増大して安定的な操業が困難になることが判った。
竪型溶解炉の安定操業に特に重要なことは、炉下部から吹き込まれた送風が、装入物により構成される炉内充填層を通過して炉頂から定常的に排出されることである。そのためには、炉内充填層の空隙が埋まって通気抵抗が高くならないように留意する必要があり、通気抵抗の悪化を防止するためには粉の発生を抑制することが重要である。また、還元・溶融時に発生する融液が、炉内充填層の空隙を埋めることも防止する必要があると考えられる。
【0005】
従来技術では、塊成化物の強度を大きくして容易に破壊・粉化しないものを製造することはできるが、還元・溶融時に融液が空隙を埋めることを防止できないため、竪型溶解炉の操業が不安定化したものと考えられる。
したがって本発明の目的は、破壊・粉化しにくい高い強度を有するとともに、還元・溶融時に発生する融液が炉内充填層の空隙を埋めないような性能を有する鉄含有ダスト塊成化物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、そのような鉄含有ダスト塊成化物を鉄源として、溶銑を安定的に製造することができる溶銑製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、製鉄所発生ダスト等から製造される鉄含有ダスト塊成化物(以下、単にダスト塊成化物という)について、その強度を維持しつつ、還元・溶融時に発生する融液が炉内充填層の空隙を埋めないような性能を付与する方法について検討を行い、その結果、以下のような知見を得た。
まず、ダスト塊成化物の融液が炉内充填層の空隙を埋めないようにするには、ダスト塊成化物の溶融開始温度をできるだけ高温側にすればよいことが判った。融液の粘度は一般に高温になるほど低下するため、高温で発生した融液はすみやかに滴下して空隙を埋める効果は小さい。逆に低温から融液が生成すると、容易に滴下せずに空隙を埋め、炉内充填層の通気を阻害することになる。
【0007】
竪型溶解炉に装入されたダスト塊成化物は、炉内を降下していく際に高温ガスと接触して温度が上がっていく。このとき外部から熱を供給されるため、ダスト塊成化物内で温度分布を生じることになる。すなわち、ダスト塊成化物の中心部は比較的温度が低く、外側部分は比較的高温となっている。組成が全体に均一なダスト塊成化物がそのような温度分布を持つと、外側部分が先に還元・溶融を開始し、炉の比較的低温側(炉上部側)の領域から融液が生成する。一方、中心部は昇温に時間がかかるため、炉の比較的高温側(炉下部側)の領域に至って初めて融液を生成する。この結果、炉高さ方向の広い領域で融液が存在することになり、融液がこのような状態で炉内に存在すると、前述のように炉内充填層の空隙を埋めて通気性が阻害されることになる。
【0008】
このような課題を解決するためには、ダスト塊成化物の組成に半径方向で分布を持たせればいよい。つまり、ダスト塊成化物の外層部の組成を調整してその溶融開始温度を内層部よりも高め、炉内においてダスト塊成化物内部に温度分布が生じた際に、内層部が溶融するタイミングに合わせて、外層部が溶融するようにすればよい。これにより、ダスト塊成化物の外層部と内層部について、炉内の同じ領域(位置)で融液を生成させることができ、この結果、炉内でダスト塊成化物の融液の存在する領域が小さくなるので、融液が炉内充填層の空隙を埋めることが抑えられ、通気性の悪化を防止することが可能となる。
【0009】
本発明は、以上のような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]水硬性のバインダーを混合した鉄含有ダストを水和硬化させて得られる塊成化物であって、内層部と外層部とからなり、内層部中のバインダーのAl含有量x(mass%)と外層部中のバインダーのAl含有量y(mass%)が、y>xを満足することを特徴とする鉄含有ダスト塊成化物。
[2]上記[1]の鉄含有ダスト塊成化物において、外層部中のバインダーがアルミナセメントからなり、内層部中のバインダーがアルミナセメントよりもAl含有量が低いバインダーからなることを特徴とする鉄含有ダスト塊成化物。
[3]上記[1]または[2]の鉄含有ダスト塊成化物において、鉄含有ダスト塊成化物中の外層部の比率が、10mass%を下限とし、90mass%または下記(1)式で求められる値α(mass%)のいずれか小さい方を上限とすることを特徴とする鉄含有ダスト塊成化物。
【数2】

【0010】
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの鉄含有ダスト塊成化物において、外層部および内層部中のバインダーの配合量が2〜25mass%であることを特徴とする鉄含有ダスト塊成化物。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの鉄含有ダスト塊成化物において、外層部および/または内層部が、さらに炭材粉を含有することを特徴とする鉄含有ダスト塊成化物。
[6]竪型溶解炉において、炉頂部から鉄源とコークスを装入し、炉下部に設けられた複数の羽口から熱風を吹き込み、コークスの燃焼熱で鉄源を溶解することにより溶銑を製造する方法であって、鉄源の少なくとも一部として、上記[1]〜[5]のいずれかの鉄含有ダスト塊成化物を用いることを特徴とする溶銑製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の鉄含有ダスト塊成化物は、外層部を構成する組成の溶融開始温度が内層部のそれに較べて高いため、炉内に装入されて塊成化物内部に温度分布を生じた際に、外層部と内層部で融液が生成する時間差を小さくし若しくは実質的に無くすことができる。これにより、鉄含有ダスト塊成化物の外層部と内層部について、炉内の同じ領域(位置)で融液を生成させることができる。この結果、炉内で鉄含有ダスト塊成化物の融液の存在する領域を小さくし、融液が炉内充填層の空隙を埋めることを抑えることができ、通気性の悪化を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の鉄含有ダスト塊成化物(以下、単にダスト塊成化物という)は、水硬性のバインダーを混合した鉄含有ダストを水和硬化させて得られる塊成化物であって、内層部と外層部とからなり、内層部中のバインダーのAl含有量x(mass%)と外層部中のバインダーのAl含有量y(mass%)が、y>xを満足するものである。このようなダスト塊成化物は、例えば、外層部中のバインダーをアルミナセメントで構成し、内層部中のバインダーをアルミナセメントよりもAl含有量が低いバインダー、例えば、ポルトランドセメントなどで構成することができる。
【0013】
このような本発明のダスト塊成化物は、内層部中のバインダーのAl含有量xと外層部中のバインダーのAl含有量yがy>xであるため、外層部を構成する組成の溶融開始温度が内層部のそれに較べて高くなる。このため、炉内に装入されて塊成化物内部に温度分布を生じた際に、外層部と内層部で融液が生成する時間差が小さくなり或いは実質的に時間差が無くなる。この結果、ダスト塊成化物の外層部と内層部について、炉内の同じ領域(位置)で融液を生成させることができ、炉内でダスト塊成化物の融液の存在する領域を小さくして融液が炉内充填層の空隙を埋めることを抑えることができる。
【0014】
このダスト塊成化物は、外層部の比率が、10mass%を下限とし、90mass%または後述する(1)式で求められる値α(mass%)のいずれか小さい方を上限とすることが好ましい。
竪型溶解炉(以下、単に竪型炉という)中の初期融液は、CaO、SiO、Al等で構成されるスラグ分に未還元の鉄(FeO)が加わって低融点の化合物を生成することにより発生する。竪型炉の操業では、最終スラグの塩基度は通常0.8〜1.3の範囲に設定されている。このスラグ塩基度は、流動性の面から竪型炉からのスラグの排出に適していることや、溶銑中の不純物が濃縮しない(例えば、硫黄分がスラグによく吸収される)ように設定された値である。ここで、スラグ塩基度とは、スラグ中のCaO含有量(mass%)とSiO含有量(mass%)との比[%CaO/%SiO]である。
【0015】
上述の理由から、従来のダスト塊成化物のバインダーは、Al含有量の比較的少ない水硬性バインダー、例えば、ポルトランドセメント、高炉セメント、高炉スラグ微粉末、生石灰、フライアッシュなどを単独でまたは組み合わせて使用されることが多かった。これらバインダーを用いた場合の初期融液は、2CaO・FeO・2SiO(融点1203℃)やCaO・FeO・SiO
(融点1208℃)などのような比較的低融点の化合物を生成しやすい。
【0016】
一方、ダスト塊成化物のバインダーにアルミナセメントを用いると、スラグ組成は2CaO・Al・SiOとFeOの化合物を生成するが、その初期融液生成温度は1280℃であり、Al含有量の少ないバインダーを用いた場合に比較して80℃程度高くすることができる(CaO−FeO−Al−SiOの4元系状態図については、例えば、文献「J.F. Schairer, “The system CaO-FeO-Al2O3-SiO2.
I. Results of quenching experiments on five joins”, J. Am. Ceram. Soc., 25 [10]
241-274(1942)等を参考にした)。
また、最終的に竪型炉下部から溶銑とともに排出されるスラグを最終スラグと呼ぶが、最終スラグ中のAlが増大すると流動性が悪化するため、最終スラグ中のAlは高くとも25mass%以下、望ましくは19mass%以下に調整されている。
【0017】
アルミナセメントをバインダーに使用した場合に生成される2CaO・Al・SiO中のAl組成は37.2mass%に達し、流動性が悪化することが懸念される。ダスト塊成化物から生成するスラグのAl組成を、望ましいレベルである19mass%以下にするためには、ダスト塊成化物全体に含まれるAlの量を、ダスト塊成化物全体から生成するスラグの量、すなわちダスト塊成化物中のSiO、Al、CaO、MgOの合計量の19mass%以下にする条件から、下記(1)式で求められる値αを外層部の比率の上限とする必要がある。
下記(1)式では、ダスト中のスラグ分が多いときにはアルミナセメント由来のAlが容易に希釈されるため、計算される値が90mass%を超えることがある。このような場合には、後述するような図1(b)の結果に基づき、外層部の比率の上限を90mass%とする。
【0018】
【数3】

【0019】
図1(a)〜(c)は、実際の竪型炉での操業に本発明のダスト塊成化物を使用し、ダスト塊成化物の外層部の比率が圧力損失に及ぼす影響を調査したものである。図1において圧力損失指数とは、半径方向に組成分布がない従来型のダスト塊成化物の圧力損失を“1”とした場合の指数である。
図1(a)に示すように、外層部の比率が小さくなると圧力損失が増大し、本発明の効果は小さくなる。外層部の比率が概ね20mass%以下になると、送風圧力が増大する傾向がある。外層部の比率が十分に大きいときは、送風圧力指数は0.6程度まで低下するが、送風圧力指数が好ましい上限である0.8となる外層部の比率はほぼ10mass%であることが判る。したがって、外層部の比率は10mass%以上とすることが好ましい。
【0020】
一方、図1(b)に示すように、外層部の比率が80mass%を超えると送風圧力が増大する傾向がある。外層部の比率が低い側と同様に、送風圧力指数が好ましい上限である0.8となる外層部の比率は90mass%であることが判る。したがって、外層部の比率は90mass%以下が好ましい(但し、上記(1)式で計算される値αが90mass%を超える場合)。
また、図1(c)に示すように、上記(1)式で計算される値αが90mass%以下の時(ここでは、上記(1)式で計算される値αが50mass%の場合を示している)、外層部の比率が10〜50mass%の範囲で圧力損失が大きく低下している。この場合、外層部の比率が50mass%以上で送風圧力が増大するのは、ダスト塊成化物から生成されるスラグ中のAlが19mass%を超えるため、生成スラグの粘度が大きくなり、容易に滴下しないことによるものと推定される。但し、外層部の比率が上記(1)式で計算される値以上90mass%の間でも、本発明を実施しない場合に較べて送風圧力を小さく抑えることができていることが判る。
【0021】
ここで、外層部の比率が90mass%以上となった場合に圧力損失が上昇する理由は、図2で説明できる。図2は、ダスト塊成化物が竪型炉に装入されてからの時間と温度の関係を内層部と外層部のそれぞれについて模式的に示したものである。従来技術のダスト塊成化物では、A点に達したとき外側部分の初期融液生成が開始され、B点で中心部の融液が生成する。初期融液が存在している時間は(i)で表され、比較的長い時間融液が存在していると言える。これに対して本発明のダスト塊成化物では、外層部の初期融液はC点で初めて生成し、内層部の初期融液はB点で開始するため、初期融液が存在している時間は(ii)で表され、(i)に比較して短くなっている。これが圧力損失低減に寄与するものと推定される。一方、外層部の比率が90mass%を超えると、外層部の初期融液生成点はC点であり上記同じであるが、内層部の初期融液生成点は本来Bであるにもかかわらず、Al量が多いため見掛け上D点となる。これは結果的に、外層部の初期融液生成開始は高温部にシフトするが、同様に内層部の初期融液生成開始も高温側にシフトするため、融液が存在している時間を短くできないことを示している。したがって、外層部の比率は90mass%以下が好ましいことが理解される。
【0022】
外層部および内層部中のバインダーの配合量は2〜25mass%であることが好ましい。
バインダーの配合量が2mass%未満では必要な強度が発現せず、一方、25mass%を超えると、ダスト塊成化物の強度は十分であるが、生成するスラグにより竪型炉の操業が不安定化する場合がある。バインダーを構成する主成分はCaO、SiO、Al、CaSOなどであり、これらは竪型炉内で溶解してスラグとして排出される必要がある。スラグは一般に溶銑に比べて流動性が悪いため、量が増えるとその排出が困難となり、竪型炉中に蓄積しやすくなり、溶解量と排出量のバランスが取りにくくなる。なお、鉄のリサイクルのためには、水硬性バインダーの配合量は少ない方がよく、2〜12mass%とすることがより望ましい。
【0023】
前記鉄含有ダストは、酸化鉄及び/又は金属鉄を含むダストであり、その種類に特に制限はないが、代表的なものとしては、鉄鋼製造プロセスで生じる製鋼ダストを挙げることができる。この製鋼ダストには、溶銑予備処理工程で生じる溶銑予備処理ダスト、転炉脱炭工程で生じる転炉ダスト、電気炉で生じる電気炉ダストなどが含まれる。これらの製鋼ダストは、製鋼工程で発生した排ガスから集塵することにより回収されたものである。また、これらの中でも、転炉脱炭工程で生じる転炉ダスト、いわゆるOGダストが、不純物の含有量が少なく、したがって鉄含有量が高いため特に好ましい。また、製鋼ダスト以外の鉄含有ダストとしては、例えば、高炉ダスト、圧延ダストなどがある。
また、製鉄所の各工程で湿式回収される微粉かつ含水率の高いダスト(いわゆるスラッジまたはフィルターケーキなどと呼ばれるもので、例えば、圧延スラッジ、表面処理スラッジなどがある)についても使用可能である。但し、塊成化物の製造には後述のように水分の制約があるため、所定の水分量になるまで乾燥させるか、乾燥したダストと混合して含水率を下げてから使用することが好ましい。
【0024】
前記水硬性のバインダーとしては、例えば、ポルトランドセメント、高炉セメント、アルミナセメント、フライアッシュセメントなどの各種セメント、高炉水砕スラグ微粉末、生石灰などの1種以上を用いることができる。
本発明では、内層部中のバインダーのAl含有量xと外層部中のバインダーのAl含有量yがy>xを満足することが必要なので、これに対応してバインダー種が選択される。一般には、外層部のバインダーとしてはアルミナセメントまたはアルミナセメントを主成分とするものが用いられ、内層部にはアルミナセメント以外のバインダー(通常、ポルトランドセメントまたはポルトランドセメントを主成分とするもの)が用いられる。
【0025】
外層部および/または内層部には、必要に応じて、炭材粉を配合してもよい。
この炭材粉とは炭素を主成分とする粉体のことであり、竪型炉中で酸化鉄の還元材となる。一般に、製鉄用の竪型炉では還元材として塊コークスが用いられるが、塊コークスよりもコークス粉などの炭材粉の方が価格が安く、コスト的に有利なことに加え、酸化鉄と炭素の接触面積が増大するため、酸化鉄の還元反応も速やかに進行する利点がある。炭材粉としては、コークス粉、石炭粉(好ましくは無煙炭粉)、プラスチック粉などの1種以上を用いることができるが、特に、コークス粉などのように揮発分が少ないものが好ましい。また、ダスト塊成化物中に大きな炭材が存在すると、その部分から亀裂が生じ、強度を低下させる原因となるため、炭材粉は粒径3mm以下が好ましい。原料中の炭材粉の配合量は、一般に2〜25mass%程度が好ましい。
【0026】
また、ダスト塊成化物中には、上述した鉄含有ダスト、水硬性バインダーおよび炭材粉以外の成分を必要に応じて適宜配合してもよい。例えば、硬化速度調整剤、界面活性剤、ベントナイト、さらには、ダスト塊成化物の圧縮強度を高めるための塩化物、原料に適度な粒度分布を与えて成型性を高めるための材料として焼結篩下粉、ミルスケールなどの鉄含有粉粒物、スラグの塩基度を調整するための石灰石、硅石などの粉粒物などの1種以上を配合してもよい。
また、生成するスラグ量をなるべく少なくするという観点から、原料中でのSiO、Al、CaO、MgOの合計量を25mass%以下とすることが好ましい。当然、これら成分は水硬性バインダーなどに含有されるものも含まれる。
【0027】
本発明のダスト塊成化物を製造するには、通常、内層部用の原料(鉄含有ダスト、水硬性バインダーなど)に水を加えて混合した後、これを成形または造粒などの方法で塊成化する。これとは別に、外層部用の原料(鉄含有ダスト、水硬性バインダーなど)に水を加えて混合し、これを前記内層部用の塊成化物の外側に成形または造粒などの方法で被覆する。或いはこの方法とは逆に、水を加えた外層部用の原料の一部を型枠で凹状に成型し、その成型物の凹部に、水を加えた内層部用の原料を充填した後、その上に外層部用の原料の残りを被せ、全体をさらに成型する。
水の量は原料の配合によっても異なるが、成形時に圧縮しても水がしみ出てこない最大水量が望ましい。定量的には、JIS−A−1101(コンクリートのスランプ測定方法)に準じた測定においてスランプが0である最大水量となるように調整することが好ましい。水の量が少なすぎると適切に成形または造粒できず、また水硬性バインダーの硬化も進行しない。一方、水の量が多すぎて成形時に水がしみ出てくると、その水の処理などに特別な対応が必要になるからである。
【0028】
原料の塊成化物を成形法で得る場合、成形工程は、型枠を用いた成形、押し出し成形、ロールプレス成形など任意の方式で行うことができるが、成形物を高密度にするとダスト塊成化物は高強度化する傾向があるため、できるだけ高密度化に成形することが好ましい。このため原料と水の混合物を圧縮成形し、または加振しつつ圧縮成形することが好ましい。具体的には、ブリケット成形機、プレス成形機、押出成形機などのような圧縮成形機や、これに加振機能を持たせたものなどを用いて成形することが好ましい。
成形物の形状は任意であるが、炉に装入した際の粉化をなるべく抑えるために角部が少ない方が好ましい。また、成形物の大きさも任意であるが、あまり小さいと竪型炉に装入した際に炉の圧力損失を増大させ、一方、あまり大きいと竪型炉に装入した際に塊成化物の中心部の昇温遅れによる還元・溶解遅れを生じるので、一般には容積で20〜2000cm程度のサイズが好ましい。
【0029】
また、原料の塊成化物を造粒法で得る場合、例えば、内層部用原料の造粒と、外層部用原料の被覆のための2台のペレタイザイーを用いて塊成化物を得る。
原料と水の混合物を成形また造粒して得られた塊成化物は、水硬性バインダーにより水和硬化させるため、一定期間養生させる。この養生の方法や期間は任意であり、例えば、蒸気による一次養生を行った後、大気下での二次養生を行ってもよい。養生期間は、養生スペースや生産性などの面からはなるべく短い方が好ましいが、養生後の必要強度に応じて適宜選択すればよい。一般には1〜7日間程度が好ましい。
【0030】
以下、本発明のダスト塊成化物の製造方法の実施形態について説明する。
図3は、本発明のダスト塊成化物の製造フローの一例を模式的に示すものである。
1は内層部用原料の貯留設備であり、この貯留設備1は、鉄含有ダストの貯留槽1a、水硬性バインダー(ポルトランドセメントなどのようなAl含有量の少ない水硬性バインダー)の貯留槽1b、炭材粉の貯留槽1cを備えている。貯留槽1a〜1cは、それぞれの貯留原料を定量供給するための機能を備えている。これら貯留槽1a〜1cからコンベア3上に定量供給された原料は、水供給ライン(図示せず)から供給される水とともに加湿混合機2に導入される。この加湿混合機2で十分に混合された水と原料の混合物は、コンベア4で貯留槽5に搬送・装入され、ここで一次貯留される。この貯留槽5内の混合物は内層部用原料として使用される。
【0031】
6は外層部用原料の貯留設備であり、この貯留設備6は、鉄含有ダストの貯留槽6a、水硬性バインダー(アルミナセメントなどのようなAl含有量の多い水硬性バインダー)の貯留槽6b、炭材粉の貯留槽6cを備えている。貯留槽6a〜6cは、それぞれの貯留原料を定量供給するための機能を備えている。これら貯留槽6a〜6cからコンベア8上に定量供給された原料は、水供給ライン(図示せず)から供給される水とともに加湿混合機7に導入される。この加湿混合機7で十分に混合された水と原料の混合物は、コンベア9で貯留槽10に搬送・装入され、ここで一次貯留される。この貯留槽10内の混合物は外層部用原料として使用される。
貯留槽5から切り出される内層部内原料と、貯留槽10から切り出される外層部用原料は、例えば、成型機11で成形されて塊成化され、塊成化物Aが得られる。この塊成化物Aは、必要に応じ養生場所12において静置され、竪型炉で使用されるまで養生される。
【0032】
図4(a)〜(e)は、原料を成型法(型枠を用いたプレス成型)で塊成化する場合の一実施形態を示しており、以下のような工程で成型がなされる。なお、各図面は型枠、プレスおよび原料の断面を示しているが、型枠とプレスの断面線は省略してある。
図4(a):所定の大きさ、形状を持つ型枠13を準備する。
図4(b):型枠13に外層部用の原料14a(水と原料の混合物)を充填する。
図4(c):凸型のプレス型15により原料14aをプレス成型する。このプレス成型により原料14aの上面には凹部140が形成される。
図4(d):原料14aの凹部140に内層部用の原料16(水と原料の混合物)を充填し、さらにその上から外層部用の原料14b(水と原料の混合物)を被せる。
図4(e):平らな圧下面を持つプレス型17により、原料全体をプレス成型する。これにより塊成化物Aが得られる。
【0033】
図5は、原料を造粒法(ディスクペレタイザイーによる造粒)で塊成化する場合の一実施形態を示している。ここで、内層部用原料の貯留設備1、コンベア3、加湿混合機2、外層部用原料の貯留設備6、コンベア8、加湿混合機7は、図3の実施形態と同様である。
加湿混合機2で十分に混合された内層部用原料(水と原料の混合物)は、コンベア18で第1のディスクペレタイザー19に搬送・装入され、ここでほぼ球状に造粒(塊成化)される。この造粒物23はコンベア20により第2のディスクペレタイザー21に搬送・装入される。一方、加湿混合機7で十分に混合された外層部用原料(水と原料の混合物)は、コンベア22で前記ディスクペレタイザー21に搬送・装入され、このディスクペレタイザー21において外層部用原料が造粒物23の外側に被覆され、塊成化物Aが得られる。
【実施例】
【0034】
鉄含有ダストを塊成化してダスト塊成化物を製造し、竪型溶解炉(鉄スクラップ溶解炉)において使用した。鉄含有ダストとしては転炉OGダストまたは高炉ダストを、水硬性バインダーとしてはポルトランドセメント、アルミナセメントの1種または2種を、炭材粉としてはコークス粉を、それぞれ用いた。表1に、使用した高炉ダスト、転炉OGダスト、ポルトランドセメント、アルミナセメント、コークス粉の各成分組成を示す。表1中のスラグ分とは、SiO、Al、CaO、MgO(スラグを構成する主要な化合物)の合計量を示す。これら以外のものは燃焼するか、溶銑の一部となるか、揮発してダスト中へ移行する。
以下に示す発明例1〜10および比較例において、図3および図4に示す製造フローに従いダスト塊成化物を製造し、このダスト塊成化物を竪型溶解炉に装入して操業を行った。その結果を、ダスト塊成化物の原料配合量、圧縮強度、炉の操業条件などとともに表2に示す。
表2において、「スラグ化する不純物量」とは、原料中のSiO,Al,CaO,MgOの合計量である。なお、これ以外のものは燃焼するか、溶銑の一部となるか、揮発してダスト中へ移行する。
【0035】
[発明例1]
鉄含有ダストとして高炉ダストを用い、外層部の質量比率を50mass%とし、内層部のバインダーとしてポルトランドセメントを10mass%配合し、外層部のバインダーとしてアルミナセメントを10mass%配合した。また、使用した高炉ダストは炭素を33mass%含有しており、ダスト中の酸化物を還元するに十分と判断されたため、コークス粉など炭材粉は配合しなかった。ダスト塊成化物は、製造後約1週間静置養生した後、竪型炉で使用されるため、ダスト塊成化物の強度の指標として7日養生後の冷間での圧縮強度を用いた。ダスト塊成化物の冷間強度は概ね10MPa以上あれば十分と言えることが別途実験により確認されているが、本実施例では22.1Mpaと十分に強く、竪型炉の通気性を悪化(送風圧力を増大)させることも無く操業も順調であった。本実施例では、スラグ化する不純物量は23.2mass%であり、限界値25mass%以下であったため、生成したスラグが炉内に蓄積することもなく、順調に竪型炉の操業が可能であった。
【0036】
[発明例2]
鉄含有ダストとして転炉OGダストを用い、外層部の質量比率を50mass%とし、内層部のバインダーとしてポルトランドセメントを10mass%配合し、外層部のバインダーとしてアルミナセメントを10mass%配合した。転炉OGダスト中の炭素含有量はわずか0.66mass%で、このままではダスト中の酸化物を還元するに不十分と判断されたため、炭材粉としてコークス粉を内層部および外層部にそれぞれ15mass%配合した。ダスト塊成化物の冷間強度は25.1Mpaと十分に強く、竪型炉の通気性を悪化(送風圧力を増大)させることも無く操業も順調であった。本実施例では、スラグ化する不純物量は14.3mass%であり、限界値25mass%以下であったため、生成したスラグが炉内に蓄積することもなく、順調に竪型炉の操業が可能であった。
【0037】
[発明例3]
鉄含有ダストとして高炉ダストを用い、外層部の質量比率をやや小さい11mass%とした。内層部のバインダーとしてポルトランドセメントを10mass%配合し、外層部のバインダーとしてアルミナセメントを10mass%配合した。発明例1と同様に、還元用の炭材粉はとくに配合しなかった。ダスト塊成化物の冷間強度は22.5Mpaと十分に強く、竪型炉の通気性を悪化(送風圧力を増大)させることも無く操業も順調であった。本実施例では、スラグ化する不純物量は22.9mass%であり、限界値25mass%以下であったため、生成したスラグが炉内に蓄積することもなく、順調に竪型炉の操業が可能であった。
【0038】
[発明例4]
鉄含有ダストとして高炉ダストを用い、外層部の質量比率をやや大きい88mass%とした。内層部のバインダーとしてポルトランドセメントを10mass%配合し、外層部のバインダーとしてアルミナセメントを10mass%配合した。発明例1と同様に、還元用の炭材粉はとくに配合しなかった。ダスト塊成化物の冷間強度は23.2Mpaと十分に強く、竪型炉の通気性を悪化(送風圧力を増大)させることも無く操業も順調であった。本実施例では、スラグ化する不純物量は23.5mass%であり、限界値25mass%以下であったため、生成したスラグが炉内に蓄積することもなく、順調に竪型炉の操業が可能であった。
【0039】
[発明例5]
鉄含有ダストとして高炉ダストを用い、外層部の質量比率をやや小さい5mass%とした。内層部のバインダーとしてポルトランドセメントを10mass%配合し、外層部のバインダーとしてアルミナセメントを10mass%配合した。発明例1と同様に、還元用の炭材粉はとくに配合しなかった。ダスト塊成化物の冷間強度は21.1Mpaと十分に強い。外層部の比率が10mass%よりも小さい値であったことから、外層部の初期融液の生成温度を上昇させる効果が小さいため、竪型炉の通気性がやや悪化(送風圧力がやや増大)したが、その変化は小さく実操業上問題のない範囲であった。また、本実施例では、スラグ化する不純物量は22.9mass%であり、限界値25mass%以下であったため、生成したスラグの炉外への排出は問題なかったと考えられる。
【0040】
[発明例6]
鉄含有ダストとして高炉ダストを用い、外層部の質量比率をやや大きい95mass%とした。内層部のバインダーとしてポルトランドセメントを10mass%配合し、外層部のバインダーとしてアルミナセメントを10mass%配合した。発明例1と同様に、還元用の炭材粉はとくに配合しなかった。ダスト塊成化物の冷間強度は24.6Mpaと十分に強い。外層部の比率が90mass%よりも大きい値であったことから、内層部の質量比率が相対的に小さくなり、内層部の初期融液の生成温度に対して外層部の初期融液の生成温度を上昇させる効果がやや小さく、竪型炉の通気性がやや悪化(送風圧力がやや増大)したが、その変化は小さく実操業上問題のない範囲であった。また、本実施例では、スラグ化する不純物量は23.6mass%であり、限界値25mass%以下であったため、生成したスラグの炉外への排出は問題なかったと考えられる。
【0041】
[発明例7]
鉄含有ダストとして転炉OGダストを用い、外層部の質量比率をやや大きい70mass%とし、内層部のバインダーとしてポルトランドセメントを10mass%配合し、外層部のバインダーとしてアルミナセメントを10mass%配合した。転炉OGダスト中の炭素含有量はわずか0.66mass%で、このままではダスト中の酸化物を還元するに不十分と判断されたため、炭材粉としてコークス粉を内層部および外層部にそれぞれ15mass%配合した。ダスト塊成化物の冷間強度は26.1Mpaと十分に強い。外層部の比率は90mass%よりも小さい値であるが、Al濃度の限界から(1)式で計算される外層部の計算比率51mass%よりもやや大きい値であったことから、内層部の質量比率が相対的に小さくなり、内層部の初期融液の生成温度に対して外層部の初期融液の生成温度を上昇させる効果がやや小さく、竪型炉の通気性がやや悪化(送風圧力がやや増大)した。しかしながら、その変化は小さく実操業上問題のない範囲であった。また、本実施例では、スラグ化する不純物量は14.4mass%であり、限界値25mass%以下であったため、生成したスラグの炉外への排出は問題なかったと考えられる。
【0042】
[発明例8]
鉄含有ダストとして転炉OGダストを用い、外層部の質量比率を50mass%とし、内層部のバインダーとしてポルトランドセメントを1mass%配合し、外層部のバインダーとしてアルミナセメントを1mass%配合した。転炉OGダスト中の炭素含有量はわずか0.66mass%で、このままではダスト中の酸化物を還元するに不十分と判断されたため、炭材粉としてコークス粉を内層部および外層部にそれぞれ15mass%配合した。ダスト塊成化物の冷間強度はバインダー量が少ないため8.8Mpaと低い。このため、竪型炉内でダスト塊成化物が粉化したため竪型炉の通気性がやや悪化(送風圧力がやや増大)した。しかしながら、ダスト塊成化物の外層部と内層部での初期融液生成温度を適切に制御できていたため、送風圧力の増大は小さく実操業上問題のない範囲であった。また、本実施例では、スラグ化する不純物量は6.6mass%であり、限界値25mass%以下であったため、生成したスラグの炉外への排出は問題なかったと考えられる。
【0043】
[発明例9]
鉄含有ダストとして転炉OGダストを用い、外層部の質量比率を35mass%とし、内層部のバインダーとしてポルトランドセメントを27mass%配合し、外層部のバインダーとしてアルミナセメントを27mass%配合した。転炉OGダスト中の炭素含有量はわずか0.66mass%で、このままではダスト中の酸化物を還元するに不十分と判断されたため、炭材粉としてコークス粉を内層部および外層部にそれぞれ15mass%配合した。ダスト塊成化物の冷間強度はバインダー量が多いため34.8Mpaと非常に高い。また、外層部の比率も適した範囲である。但し、本実施例では、スラグ化する不純物量は28.4mass%であり、限界値25mass%を超える値であったため、生成したスラグの炉外への排出がやや困難となった結果、竪型炉の通気性がやや悪化(送風圧力がやや増大)した。しかしながら、送風圧力の増大は小さく実操業上問題のない範囲であった。
【0044】
[発明例10]
鉄含有ダストとして転炉OGダストを用い、外層部の質量比率を50mass%とし、内層部のバインダーとしてポルトランドセメントを10mass%配合し、外層部のバインダーとしてアルミナセメントを10mass%配合した。塊成化の際には、還元用の炭材粉を添加しなかった。このとき、還元用の炭素が不足したためコークス比を増大させる必要があった。この増大幅は問題と言えるほど大きくはないが、ダスト塊成化物に添加した場合に比較してやや大きくなると考えられる。例えば、発明例2ではコークス比が162kg/t・pigで、ダスト塊成化物の15mass%、すなわち15kg/t・pigのコークス粉が供給されるため、トータルのコークス使用量は177kg/t・pigである。本実施例ではコークス比は185kg/t・pig必要であった。これは、コークス粉の方が、ダスト塊成化物中の酸化物と炭素の接触面積が増大するため、酸化物の還元反応が効率的に進行したためと推定される。また、一般には、ダスト塊成化物中に炭材粉を添加する場合に比較して、塊コークスの使用量が増大することになるため、製造コストがやや増大すると思われるが、コークス粉や塊コークスの価格、在庫量などを考慮して使用する炭材を決定すれば良い。一方、ダスト塊成化物の冷間強度は27.3Mpaと高く、また、外層部の比率も適した範囲である。スラグ化する不純物量は13.9mass%であり、限界値25mass%よりも小さく生成したスラグの炉外への排出も問題無かったと言える。
【0045】
[比較例]
ダスト塊成化物の組成を全体で均一にしたものであり、鉄含有ダストとして転炉OGダストを用いた。バインダーとしてポルトランドセメントを10mass%配合した。また、還元用の炭材粉としてコークス粉を15mass%添加した。ダスト塊成化物の冷間強度は20.1Mpaと高く、スラグ化する不純物量も14.7mass%であり、限界値25mass%よりも小さく生成したスラグの炉外への排出も問題無かったと言える。しかしながら、ダスト塊成化物の外層部と内層部での初期融液生成温度が適切に制御できていないため、竪型炉の高さ方向で広い範囲に亘って融液が存在し、このため炉内充填層の空隙が減り、送風圧力の増大が著しくなった。このため操業は不安定化し、吹き抜けを頻発するようになりコークス比も208kg/t・pigと大幅に増大した。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明のダスト塊成化物を竪型炉の操業に使用し、ダスト塊成化物の外層部の比率が圧力損失に及ぼす影響を調査した結果を示すグラフ
【図2】ダスト塊成化物が竪型炉に装入されてからの時間と温度との関係を、内層部と外層部のそれぞれについて模式的に示した説明図
【図3】本発明のダスト塊成化物の製造フローの一例を模式的に示す説明図
【図4】本発明のダスト塊成化物の製造における塊成化工程の一例を模式的に示す説明図
【図5】本発明のダスト塊成化物の製造における塊成化工程の他の例を模式的に示す説明図
【符号の説明】
【0049】
1,6 原料貯留設備
1a〜1c,6a〜6c 貯留槽
5,10 貯留槽
2,7 加湿混合機
3,4,8,9 コンベア
11 成型機
12 養生設備
13 型枠
14a,14b,16 原料
15,17 プレス型
18,20,22 コンベア
19,21 ディスクペレタイザー
23 造粒物
140 凹部
A 塊成化物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水硬性のバインダーを混合した鉄含有ダストを水和硬化させて得られる塊成化物であって、
内層部と外層部とからなり、内層部中のバインダーのAl含有量x(mass%)と外層部中のバインダーのAl含有量y(mass%)が、y>xを満足することを特徴とする鉄含有ダスト塊成化物。
【請求項2】
外層部中のバインダーがアルミナセメントからなり、内層部中のバインダーがアルミナセメントよりもAl含有量が低いバインダーからなることを特徴とする請求項1に記載の鉄含有ダスト塊成化物。
【請求項3】
鉄含有ダスト塊成化物中の外層部の比率が、10mass%を下限とし、90mass%または下記(1)式で求められる値α(mass%)のいずれか小さい方を上限とすることを特徴とする請求項1または2に記載の鉄含有ダスト塊成化物。
【数1】

【請求項4】
外層部および内層部中のバインダーの配合量が2〜25mass%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鉄含有ダスト塊成化物。
【請求項5】
外層部および/または内層部が、さらに炭材粉を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の鉄含有ダスト塊成化物。
【請求項6】
竪型溶解炉において、炉頂部から鉄源とコークスを装入し、炉下部に設けられた複数の羽口から熱風を吹き込み、コークスの燃焼熱で鉄源を溶解することにより溶銑を製造する方法であって、
鉄源の少なくとも一部として、請求項1〜5のいずれかに記載の鉄含有ダスト塊成化物を用いることを特徴とする溶銑製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−13690(P2010−13690A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−174031(P2008−174031)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】