説明

鉄含有層で被覆した生石灰粉粒体

【課題】
溶融金属との濡れ性に優れる生石灰粉粒体を提供し、当該濡れ性を利用する分野での有効利用に貢献する。
【解決手段】
生石灰の外表面および細孔内部表面に鉄成分を含む錯体または錯塩の溶液を含浸させ、その後溶媒を除去し、必要に応じて熱処理を施した表面処理生石灰は、熔銑に対する優れた濡れ性を示した。また、生石灰表面および細孔内部表面に、鉄錯体または鉄錯塩、有機溶剤、およびポリオールの混合液を含浸させ、その後溶媒を除去し、必要により加熱処理して調製した表面処理生石灰は、熔銑に対する優れた濡れ性を示した。さらに、鉄錯体または鉄錯塩とポリオールのみの混合液を生石灰粉粒体に滴下し混合した表面処理生石灰も、熔銑に対する改良された濡れ性を示した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製銑や製鋼用途または鉄鋼用添加材として使用する、外表面および細孔内表面を改質した生石灰粉粒体とその製法および使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
生石灰の主要な用途として鉄鋼の製銑・精鋼分野があるが、各工程で使用される生石灰も工程毎に適するよう検討されている。特に、生石灰と溶湯との濡れ性改善は、精製効率のみでなく製品特性を変えうるために精力的に進められてきた。鉄成分を含むカルシウムフェライトの被覆処理は従前より検討され、特許文献1には酸化鉄ダストで被覆した石灰石を焼成して調製する方法が開示され、特許文献2には石灰石とカルシウムフェライトの造粒物を焼成して多孔質体とする方法が開示されている。焼成炉の内部に供給された生石灰に酸化鉄を吹き込み、カルシウムフェライトで被覆された生石灰の製造方法が特許文献3に報告されている。さらに、特許文献4には、鉄鉱石で被覆された石灰石をロータリーキルンで焼成し分級することにより、カルシウムフェライトで被覆された生石灰を得る方法が記載されている。
【0003】
生石灰粉粒体の表面を詳細に観察すると、0.2μm付近に特徴的な細孔が多数存在し、例えば細孔表面積が1グラム当たり6平方メートル程度になる。より大きな細孔も少量ながら同時に形成される。これら細孔を改質するには、上述の方法では対処しきれない。対策の一つが含浸被覆処理であり、カルシア耐火物の耐消化性を高めるためにチタン化合物を使う方法(特許文献5)が報告されているが、鉄化合物による被覆効果は検討されていない。
【特許文献1】特公昭39−25884号
【特許文献2】特開2004−176097号
【特許文献3】特公昭49−48369号
【特許文献4】特開平11−209817号
【特許文献5】特開平10−245284号
【非特許文献1】Chem.Lett.1993年,p.1611.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生石灰粉粒体の外表面ならびに内部の構成一次粒子を被覆処理し、溶湯に対する濡れ性や反応性のみでなく、反応率をも高めた生石灰粉粒体を提供することは、従来の精鋼プロセスの効率化や副生スラグの減量化、新たな石灰系添加材の用途展開をもたらし、石灰資源の有効利用に繋がる。本発明者らは、多孔質体である生石灰粉粒体の細孔内部にまで鉄成分を導入する方法として、鉄錯体を非水溶媒に溶解し、生石灰粉粒体の外表面ならびに細孔内部へ含浸させることを検討し、効果的に導入できることを認めた。そこで如何なる化合物、如何なる追加処理が、溶融金属との濡れ性を改善するかを明らかにする必要があった。
【0005】
また製銑工程・精鋼工程においては、酸化性雰囲気から還元性雰囲気に亘る多様な条件が課される。上記含浸改質法を応用することにより、金属鉄または酸化度の低い鉄酸化物で被覆された生石灰の調製方法、ならびにその効果発現方法の開発を行うことが、もう一つの課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した含浸法を応用して生石灰粉粒体表面ならびに細孔内部表面へ特定の鉄錯体を導入し、そのことによって得られた表面処理生石灰が、顕著な濡れ性改善効果を奏することを見出して本発明を完遂した。本発明で使用できる鉄化合物は、有機溶剤またはキレート剤含有溶剤に溶解して使用できる錯体または錯塩であり、例えば鉄のアンミン錯体、シアノ錯体、酸素配位錯体、ジシクロペンタジエニル錯体などがある。これらの置換類縁体も利用可能である。鉄錯体のうち特に好適に使用できるのは、例えばトリス(アセチルアセトナト)鉄(III)(以下Fe錯体と略す)、トリス(エチルアセトアセテート)鉄(III)などの、非電解質性で有機溶剤への溶解度の高いβ−ジケトン錯体である。
【0007】
本発明で使用できる有機溶媒は、汎用加熱装置、真空加熱装置、燃焼装置などを使って、多孔質粉粒体生石灰から容易に除去可能なものが使用できる。例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸エチレンなどのエステル類、ジオキサン、ジグライムやジブチルエーテルなどのエーテル類、トルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素、四塩化炭素や塩化エチレンなどの有機ハロゲン化物、フッ素系溶剤、BTX混合物や変性アルコールなどの混合溶剤、灯油や軽油などの燃料油などが利用できる。また、これらの混合物も使用できる。鉄錯体の溶解性や溶剤の除去方法により、使用する溶媒を適宜選択することが重要である。
【0008】
生石灰の外表面および細孔内表面で微細な金属を還元生成する方法としては、金属錯体を使ったポリオール還元法が有効と考えられ、貴金属ならびに軽遷移金属やその合金粒子は、ポリオール還元法によって金属まで還元される(非特許文献1)。しかし、鉄錯体の場合、通常のポリオール還元によっては、酸化度の低いマグネタイトが生成するのみで、金属鉄にまで還元できない。本発明者らは、より強力な還元剤を使用するよりも、表面処理された生石灰が高温下で使用されることに鑑み、高温下でのカーボン還元力を応用する方法に想到した。従って、反応前駆体としての酸化度の低い鉄酸化物(ウスタイトまたはマグネタイト)とカーボンを含む層を、生石灰外表面および細孔内表面に生成することを目的とする表面改質法を検討した。
【0009】
ポリオール添加系にあっては、ポリオール自体が鉄錯体や鉄錯塩に対する良好な溶媒として働くことが多い。従って、これ以外の溶媒を使用する目的は、錯体や錯塩の溶解よりも主に濃度調整、粘度調整であり、ポリオール以外の易揮発性溶媒を使うことが必ずしも必須要件とはならない。本発明で使用できるポリオール還元剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、1,2−ドデカンジオール、ジプロピレングリコール等の化合物が好適に使用できる。さらに、窒素やイオウなどのヘテロ原子を含むポリオールも使用可能である。また、ラウリルグリコールヒドロキシプロピルエーテル(LPE)など、上記ジオールのエーテル化誘導体も好適に利用できる。
【0010】
鉄成分を含有する薄層の被覆率に関しては、生石灰の重量に対して5%あれば十分な効果を発揮し、これ以上の過剰な被覆率は処理コストの上昇を招く。被覆率が少な過ぎれば処理効果が十分に得られない懸念があるが、2価の鉄イオンの半径(0.92〜0.75オングストローム)および酸素のイオン半径(1.26オングストローム)から計算して、また処理する生石灰の固有表面積の変動を考慮して、0.001%以上の被覆率は必要と考えられる。鉄酸化物やカーボンの被覆状態は、加熱雰囲気、加熱温度、錯体や還元剤の分解温度によっても異なると考えられ、実施前に個々に検証する必要がある。
【発明の効果】
【0011】
以下において更に詳細に説明するが、例えば大きさ15〜20mmの塊状生灰石を、Fe錯体を溶解したエタノール(2.5w/v%)に常温常圧下に1分間浸漬すると、エタノール溶液は塊状生石灰の細孔を通って塊内部にまで容易に浸透する(図1)。図1の断面中央の白色部分が未浸透箇所であり、僅かに残っていることが確認できる。他方、後述するが、ベンガラのエタノール懸濁液(1.0w/v%)による同様の浸漬処理では、最外表面のみがベンガラ被覆されて、内部からはベンガラが検出できず(図2)、双方の状況は好対照をなした。前者の方法で得られた生石灰粉粒体は銑鉄に対する濡れ性の改善をもたらし、上記課題の解決が達成された。
【0012】
また、Fe錯体0.4gとジエチレングリコール(DEG)0.08gの混合物をルツボに入れて蓋をし、300℃で30分間加熱すると、粉末X線回折(PXRD)の測定からマグネタイトとグラファイトの生成が認められた(図1)。この知見をもとに本発明者らは、鉄錯体とポリオールで外表面および細孔内表面を改質した生石灰粉粒体を調製した。この粉粒体を加圧調製して得たディスク状成形体に銑鉄小片を乗せて共に加熱すると、顕著に改善された熔銑濡れ性を示した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
表面処理を行うための生石灰粉粒体は、岡山県産出の石灰石を炉内温度約1050℃のロータリーキルンで焼成した、いわゆる軟焼生石灰(酸化カルシウム)を粉砕分級して得たものである。本発明は、他の産地の、別の型の焼成炉で調製した生石灰で、異なる粒度をもつものに対しても、浸漬時間などを調節して対処できる。用途によっては、径が数十mmの塊状のもの使用されるが、これらにも本表面処理法が適用できることは明らかであり、本明細書の粉粒体に含まれるものとする。なお、ここで使用した粉粒状生石灰のCaO成分は97.47%、残余成分はMgO:1.07%、SrO:0.16%、SiO:0.58%、Al:0.24%、P:0.11%、SO:0.35%、KO:0.02%であった。この軟焼生石灰粉粒体は、一般によく知られているように、大きさ約2μm程度の楕円体様一次粒子の凝集構造をもち、それらの間に細孔が多数存在する多孔質体である。水銀ポロシメータによる細孔分布の測定から、160nm付近に大きな細孔径ピークが認められた。
【0014】
エタノール(99.5%)、ポリオールおよびFe錯体は試薬を購入し、精製することなくそのまま使用した。また生石灰と銑鉄との濡れ性は、高温濡れ性試験機(アルバック理工製、WET−1200型)によって観察評価し、測定に供した銑鉄は日本鉄鋼連盟から頒布されている鋳物用銑鉄標準物質(#110−12)を使用した。このものの鉄以外の成分は、C:4.18%、Si:1.70%、Mn:0.392%、P:0.0902%、S:0.0251%、その他の不純物:0.0799%であった。以下、本発明の内容を、具体例に即して記述するが、このことは、別の鉄錯体を別の有機溶媒と組み合わせて行なう方法を、本発明の範囲から排除するものではない。また処理する方法は、生石灰の粒度により最適の方法があり、その一部を以下の具体例に示すが、それ以外の処理法を排除する意図でなく、例えば極微細な生石灰粉末にはスプレードライ法等がより有効である。
【実施例1】
【0015】
鉄成分を含有する薄層により被覆した生石灰の調製
調製例1として、500mLの丸底フラスコに99.5%のエタノール100mLを入れ、Fe錯体5.0gを加えて溶解し、この溶液に生石灰(粒度を0.5mm以下に調整したもの)100gを添加して懸濁液を調製した。これを回転エバポレータに移しエタノールを留去して固形物を得たのち、130℃の恒温乾燥機に入れて乾燥した。僅かにクリーム色を帯びた生石灰粉粒体が得られた。次に、この乾燥物の一部を磁製坩堝に分取し、500℃の電気炉で30分間焼成した。Fe錯体の生石灰に対する添加率(5.0重量%)から計算して求めたFeによるCaO被覆率は1.1重量%であった。
【0016】
PXRD分析により、得られた表面処理生石灰から水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムのピークも認められた。X線マイクロアナライザーの鉄元素マッピング分析により、粉粒体表面全体に一様にFe元素が分布していることを確認した(図3)。このことは、上述したように、塊状生石灰の浸漬処理で示された断面の浸透状態の結果(図1)に符合する。即ち、大きさ15〜20mmの塊状生石灰を1分間、該Fe錯体エタノール溶液に浸漬し、次いで生石灰を取り出して金槌で断面を出し、薄黄色の着色層の厚みを測定することでFe錯体の生石灰内部への浸透性を判定したが、その浸透距離は約4〜5mmあり、Fe錯体エタノール液は塊状生石灰の内部にまで容易に浸透する。付言すれば、0.5mm以下に調整した上記粉粒体では、その内部まで十分に被覆が行なわれているものと合理的に推測される。なお、比較のために使用したベンガラのエタノール懸濁液に使用したベンガラの平均一次粒子径は約130nmであり、生石灰の平均細孔径(約160nm)よりやや小さいが、浸漬による塊状生石灰内部への浸透は殆ど認められなかった(図2)。
【0017】
使用するアルコールには微量の水分が含まれることが多いが、この場合、生石灰は加水分解を受け、更には炭酸化を受けて、消石灰と炭酸カルシウムを含む変性生石灰となる。この変性生石灰は、熱分析によって、380℃ないし470℃で水酸化カルシウムが脱水し、550℃ないし750℃で炭酸カルシウムが脱炭酸することが分かった。これらアルコール変性による、熔銑と生石灰との濡れ性への影響は軽微であった。
【0018】
調製例2として、粒子径のやや大きな粒状生石灰をFe錯体で処理した。用いた生石灰の粒度分布は、4mm超:3.7%、4mm〜2mm:64.4%、2mm〜1mm:10.5%、1mm未満:21.4%であった。この粉粒体450gをステンレス製のボールに入れ、2.5%のFe錯体を含む変性アルコール(エタノール90%、メタノール10%)の溶液500mLを加えた。5分間浸漬した後、過剰なアルコールをデカンテーションにより除き、残った生石灰をバットに移し棚型乾燥機に入れて減圧乾燥した。その後、乾燥物の一部を磁製坩堝に移して1050℃に設定した電気炉内で30分間焼成した。この焼成物のPXRD分析から、CaOのほかにCaFeの形成が認められた(CuKα1の2Θ値で、CaO以外に33.0°、33.2°、46.6°にピークが認められた)。
【実施例2】
【0019】
熔銑との濡れ性比較
実施例1の調製例1および2で得られた表面処理生石灰200mgを別々に錠剤成形機に入れ、14.7kNの力を加え10mmΦ×2mm厚のディスクに成形した。この成形体上に銑鉄標準物質(日本鉄鋼連盟、#110−12)を約15mg置き、この銑鉄と成形体を、高温濡れ性試験機のサンプル支持体上に置いた。炉内をアルゴンで置換した後、室温から800℃まで毎分40℃の昇温を行い、その後800℃から1200℃まで毎分10℃の昇温を行ない、1200℃で5分間保持したのち放冷し、各加熱プロセスでの銑鉄の状態変化を観察した。その結果、調製例1の成形体と銑鉄との濡れ性が明瞭に改善されていた(図4)。また、成形体と銑鉄の界面にケイ素を含む層が形成されていることをEPMA分析により確認した。なお同じ濡れ試験の操作を、表面処理していない生石灰成形体を使って行なったが、成形体上に溶融銑鉄の液滴が形成されて、濡れ性は良くなかった(比較例1、図5)。調製例2の成形体でも銑鉄との濡れ性改良が認められたものの、調製例1ほど顕著でなかった。
【実施例3】
【0020】
鉄成分を含有する薄層により被覆した生石灰の調製
調製例3として、500mLの丸底フラスコに純度99.5%のエタノール100mLを入れ、Fe錯体2.5g、DEG1.0gを加えて溶解し、この溶液に酸化カルシウムで粒度を0.5mm以下に調整したもの100gを添加して懸濁液を調製した。これを回転エバポレータに移し、エタノールを留去して固形物を得たのち、130℃の恒温乾燥機に入れて乾燥した。僅かにクリーム色を帯びた酸化カルシウム粉粒体を得た。また調製例4として、Fe錯体3.0gをジエチレングリコール100mLに溶解し、この10mLを、粒度を1.5mm〜0.1mmに調整した酸化カルシウム粉砕物(1.0kg)の上に滴下し、小型ミキサーを使用して混合し、含浸させて表面処理生石灰を調製した。
【実施例4】
【0021】
熔銑との濡れ性比較
実施例3調製例3で得られた表面処理酸化カルシウムを、実施例2と同様にして、銑鉄の濡れ状態の変化を観察した。成形体の上表面全体がSi成分で覆われ、鉄の微粒子が表面層内部へ拡散しているのが確認された。図7のSEM画像(左図)からは、球形の鉄微粒子が1つ観察されるのみであるが、EPMAのFeマッピング図(右図)では、その周辺に数多くの微細な鉄粒子の潜伏が認められた。なお同じ操作を、ジエチレングリコールを含まず、Fe錯体のみで表面処理した生石灰成形体(調製例1)を使った実施例では、成形体上部に熔銑付着が認められたものの(図4)、成形体内部への顕著な鉄成分拡散は認められなかった。この場合Si成分は、銑鉄の付着近傍でのみ観察され、成形体上面での広範な広がりはなかった。
【0022】
実施例3調製例4で調製した表面処理生石灰を140kNで成形し、その上に標準銑鉄を載せて高温濡れ性試験機中でアルゴン雰囲気下に加熱して状態変化を観察した。放冷直後のサンプルの顕微鏡写真を図8に示す。簡便表面処理方法によっても、生石灰成形体表面と銑鉄との濡れ性が、顕著に改善されていることが認められた。
【産業上の利用可能性】
【0023】
銑鉄による顕著な濡れ性の向上、空気中の水分による耐消化性の改善は、これらの特性を利用する生石灰の用途において、本発明に係る表面処理生石灰の利用可能性を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】Fe錯体を溶解したエタノール(2.5w/v%)に1分間浸漬した塊状生灰石の断面写真である。
【図2】ベンガラのエタノール懸濁液(1.0w/v%)に1分間浸漬した塊状生灰石の断面写真である。
【図3】実施例1における表面処理前(左下)の生石灰粉粒体、および表面処理後(左上)の生石灰粉粒体の走査型電子顕微鏡写真(SEM)と、それらに対応する中央部分のFe元素のマッピング写真を、それぞれの右側に示す。
【図4】表面処理生石灰の成形体上に銑鉄粉を置き、1200℃まで加熱した後、放冷したものの写真である(実施例2)。
【図5】表面処理を行なっていない生石灰成形体上に銑鉄粉を置き、1200℃まで加熱した後、放冷したものの写真である(比較例1)。
【図6】Fe錯体とジエチレングリコールの混合物を焼成したもののPXRDパターンで、Gはグラファイトを、Mはマグネタイトを示す。
【図7】Fe錯体とジエチレングリコールの混合物で表面処理した生石灰の成形体上に銑鉄粉を置き、1200℃まで加熱した後、放冷したもののEPMA分析写真である(実施例4)。左がSEM写真、右がFe元素のマッピング図である。
【図8】表面処理生石灰の成形体上に銑鉄粉を置き、1200℃まで加熱した後、放冷したものの写真である(実施例4、調製例4)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生石灰粉粒体の外表面および細孔内表面を覆う鉄成分含有薄層が、鉄の錯体または錯塩を含む層、またはその部分分解物またはそれらの酸化物を含む層であることを特徴とする生石灰粉粒体。
【請求項2】
生石灰粉粒体の外表面および細孔内表面を覆う鉄成分含有薄層が、鉄の錯体または錯塩ならびにポリオールを含む層、または鉄の錯体または錯塩の部分分解物またはそれらの還元物を含む層であることを特徴とする生石灰粉粒体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の鉄成分含有薄層が、鉄の錯体として鉄β−ジケトン錯体を含む層であることを特徴とする生石灰粉粒体。
【請求項4】
請求項1ないし3に記載の鉄成分含有薄層が、少なくとも一部分において生石灰表面と反応し、または少なくとも一部分において消化または炭酸化した生石灰表面と反応していることを特徴とする生石灰粉粒体。
【請求項5】
生石灰粉粒体の外表面および細孔内表面を覆う鉄成分含有薄層が、鉄の錯体または錯塩を含む層、またはその部分分解物またはそれらの酸化物を含む層であることを特徴とする生石灰粉粒体を溶融金属と接触させて使用する方法。
【請求項6】
生石灰粉粒体の外表面および細孔内表面を覆う鉄成分含有薄層が、鉄の錯体または錯塩ならびにポリオールを含む層、または鉄の錯体または錯塩の部分分解物またはそれらの還元物を含む層であることを特徴とする生石灰粉粒体を溶融金属と接触させて使用する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−74158(P2009−74158A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320737(P2007−320737)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(592256243)中山石灰工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】